JP6739964B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法などの方法によって形成される静電潜像を現像してトナー画像を形成するために用いられるトナーの製造方法に関する。
近年、複写機やプリンター、ファックスにおいては、省エネルギー化が大きな技術的課題として考えられており、画像定着装置にかかる熱量の大幅な削減が望まれている。したがって、トナーにおいてはより低エネルギーでの画像定着が可能ないわゆる「低温定着性」のニーズが高まっている。
トナーの低温定着性を改善するための一般的な方法としては、使用する結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を低くする方法が挙げられる。しかしながら、単に結着樹脂のTgを低下させるだけでは低温での離型性が不足するため、Tg低下による粘度低下の効果が発揮される前に定着部材へのコールドオフセット(低温オフセット)が発生してしまう。これを防ぐためには、定着時の離型剤の表面への染み出しを速くする必要がある。例えば、より融点の低い離型剤を用いてこれを達成しようとした場合、定着時の染み出しが速くなると同時に保存中にも離型剤のトナー表面への染み出しが起こりやすくなり、耐熱保存性との両立が困難になる。
そこで、離型剤の上記のような弊害を防ぐために、離型剤の融点を下げずにトナー中での分散状態を制御することによって、離型剤の染み出しを向上させる試みが行われている。
特許文献1では、ポリエステル結着樹脂中での炭化水素ワックスの分散性を向上させるためにワックス分散剤を用いる方法が提案されている。特許文献2では、水系媒体中でトナー製造を行う方法である乳化凝集法においてスチレン/アクリル系バインダーを用いたトナー中にワックスを分散させる方法が提案されている。特許文献3では、水系媒体中でトナー製造を行う方法である懸濁重合法においてトナー中にワックスを分散させる方法が提案されている。
特開2013−228707号公報 特開2005−91707号公報 特許4336621号公報
特許文献1における炭化水素ワックスは、ポリエステルに対して相溶性が小さい。ワックス分散剤を用いることでワックスの分散性は向上するが、本質的にこの方法はトナー原材料を混練してから粉砕することによってトナー粒子を得る、粉砕法によるトナー製造にのみ適用できるものであり、懸濁重合法などへの適用は難しいものと考えられる。
特許文献2は、スチレン/アクリル系結着樹脂を用いて水系媒体中でトナー製造を行う乳化凝集法によるものである。水系媒体を用いる方法であっても、溶解懸濁法や懸濁重合法とはワックスを導入する方法が異なるため、これらの方法への適用は難しいものと考えられる。
特許文献3では、ワックスを予め液中で機械的に粉砕した後に、これを用いて懸濁重合法によるトナー製造を行うことによって、トナー中にワックスを微分散させることができる。しかしこの方法が適用できるワックスは高融点のものだけであるので、低温定着性の向上という目的に用いることは難しいと考えられる。
以上のように、水系媒体を用いるトナー製法のうち、懸濁重合法によるトナーの製造法において、ワックスが低温定着性を向上させるに十分な分散状態を有するトナーを得る方法は未だ提案されていなかった。
本発明は、上述した従来の問題点を解決したトナーを提供するものである。即ち、本発明は、懸濁重合法によるトナーの製造方法においても、トナー中でのワックス分散性がよく、低温定着時の離型性に優れ、コールドオフセットの発生が著しく抑制されたトナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、結着樹脂及びワックスを含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
該製造方法が、
該ワックスを有機溶媒に分散させて、分散された該ワックスの体積平均粒径が1.00μm以下であるワックス分散液を用意する第一の工程、及び
該結着樹脂を形成し得る重合性単量体、第1の重合開始剤、第2の重合開始剤及び該ワックス分散液を含む重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、該重合性単量体を重合することによってトナー粒子を得る第二の工程、
を有し、
該第二の工程が、
該重合性単量体の重合転化率が50%に到達するまでは温度T1(℃)で、該重合性単量体を重合させる工程、及び
該重合性単量体の重合転化率が50%に到達した以降は、該温度T1 (℃)より温度を上げて該重合性単量体を重合させ、温度T2(℃)まで到達させる工程、
を有し、
該温度T1 (℃)が、該ワックスの融点Tm(℃)未満であり
該第1の重合開始剤の10時間半減期温度を温度T 10 (℃)としたときに、該温度T 1 (℃)及び該温度T 10 (℃)が、下記式(1)を満たし、
10 <T 1 ≦T 10 +20 (1)
該温度T2 (℃)該ワックスの融点Tm以上であり、
該温度T1 (℃)における該重合性単量体に対する該ワックスの溶解度が、0.5%以下であり、
該第2の重合開始剤の10時間半減期温度を温度T’ 10 (℃)としたときに、該温度T 2 (℃)、該温度T 10 (℃)及び該温度T’ 10 (℃)が、下記式(3)の関係を満たす
10 <T’ 10 <T 2 (3)
とを特徴とするトナーの製造方法に関する
本発明によれば、懸濁重合法によるトナーの製造方法において、トナー中でのワックス分散性がよく、低温定着時の離型性に優れ、コールドオフセットの発生が著しく抑制されたトナーの製造方法を得ることができる。
本発明者らは、懸濁重合法によるトナーの製造において、トナー中にワックスを導入するためにワックスを所定の粒径で分散させたワックス分散液を用いた。また、重合工程においてワックスの融点と重合性単量体に対する溶解度、重合転化率が50%に到達するまでの重合温度と重合開始剤の10時間半減期温度の関係をある特定の範囲とした。さらに、重合転化率が50%に到達して以降の重合温度をある特定の範囲とすることにより、ワックスのトナー中での分散性が飛躍的に向上し、その結果、低温定着時の離型性が向上することを見出した。
本発明は重合性単量体含む組成物を水系媒体中で造粒しトナー粒子を製造する懸濁重合法による製造方法に適用できる。以下に本発明の製造方法を工程ごとに説明するが、これらに限定されるものではない。
(第一の工程;ワックス分散液調製工程)
有機溶媒およびワックスを分散装置に投入し、ワックスが有機溶媒中に分散されたワックス分散液を調製する。有機溶媒としては重合性単量体を用いることもでき、また、他の有機溶媒と重合性単量体との混合物として用いることもできる。ワックスを重合性単量体中に分散させることが好ましい。分散装置としてはワックスを有機溶媒中で粉砕できるものなら、どのようなものでも用いることができる。例えば、フィルミックス(プライミクス社製)、マイルダー(マツボー社製)やキャビトロン(太平洋機工社製)などの粉砕媒体を用いない分散機を用いることができる。また、粉砕媒体を用いる分散機としては湿式アトライタ(日本コークス工業社製)、ハンディミル(日本コークス工業社製)、SCミル(日本コークス工業社製)、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製)、スターミル(アシザワ・ファインテック社製)、OBミル(マツボー社製)などを用いることができる。
分散されたワックスの体積平均粒径は1.00μm以下であることが必要である。ワックス分散液中に分散されたワックスが異形の場合には、粒径のうち最も小さいものをワックスの分散粒径とする。ワックスの分散粒径が1.00μmを超えると、これをトナーに用いた場合にトナー中でのワックスの分散状態が悪くなり、コールドオフセットを十分に抑制することができない。
ワックス分散液調製工程の間中、有機溶媒の温度はワックスの有機溶媒に対する溶解度が常に4.0%以下となるように調整されていることが好ましい。ワックスの溶解度が4.0%以下であると、分散しているワックスの体積平均粒径を好適な範囲に保つことができる。
また、分散機を用いずに高温の有機溶媒中にワックスを溶解し、次いで高速で撹拌しながら急速に冷却して、ワックスが分散した状態で析出させることによってワックス分散液を得ることもできる。
(重合性単量体組成物調製工程)
結着樹脂を形成し得る重合性単量体、ワックス分散液、着色剤などを混合し、重合性単量体組成物を調製する。着色剤は予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体または有機溶媒中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、全ての組成物を混合した後に分散させてもよい。上記重合性単量体組成物中には必要に応じて極性樹脂、顔料分散剤、荷電制御剤等を適宜加えることが出来る。
(造粒工程)
分散安定剤を含む水系分散媒を調製し、高剪断力を有する撹拌機を設置した撹拌槽に投入し、ここに重合性単量体組成物を添加し、撹拌することにより分散させ重合性単量体組成物分散液とする。重合性単量体組成物の分散液滴径の分布は、得られるトナー粒子の粒径分布にそのまま反映されるので、重合性単量体組成物の分散液滴径を均一にすることが重要である。
(第二の工程;重合工程)
上述のようにして得られた重合性単量体組成物分散液を重合工程において重合性単量体を重合することにより、トナー粒子分散液を得る。本発明における重合工程には、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。重合工程には重合開始剤を用いるが、重合工程のいずれかの時期に投入することもできれば、前述の造粒工程の途中で投入してもよい。
重合性単量体の重合転化率が50%に到達するまでは、温度T1(℃)で、重合性単量体を重合する。重合する温度(T1)はワックスの融点(Tm)未満であり、かつワックスの重合性単量体への溶解度が4.0%以下となる温度であることが必要である。重合温度やワックスの溶解度がこの範囲を満たさないと、トナー中でのワックスの分散状態が悪くなる。
また重合する温度(T1)は重合開始剤の10時間半減期温度より高く、10時間半減期温度(T10)より20℃高い温度以下(下記式(1)を満たす)であることが必要である。
10<T1≦T10+20 (1)
重合温度がこの範囲を満たさない場合は、得られるトナー粒子に残留する未反応の重合性単量体量を十分に減らすことができない。
重合開始剤は、10時間半減期温度の異なるものを併用することもでき、第2の重合開始剤の10時間半減期温度をT’10とした場合に下記式(3)
10<T’10<T2 (3)
を満たすことが好ましい。この関係を満たすことで、トナー粒子中に残留する未反応の重合性単量体をより低減できる。
重合性単量体の重合転化率が50%に到達して以降は、温度T1より温度を上げて、重合性単量体を重合し、温度T2(℃)まで到達させる。重合転化率が50%以上であることにより、昇温してもトナー粒子中でのワックスの分散状態は変化しない。重合温度の上昇は任意の速度で行えるが、最終的にはワックスの融点Tm以上の温度T2まで到達させる。重合温度の上昇は一定の速度を保って行うこともできるが、途中で変化させることもできる。また途中で一旦昇温を停止し、任意の時間その温度で保持した後に再度昇温を開始することもできる。重合温度がワックスの融点以上となることにより、分散されたワックスが一度溶融するため、再結晶化する際に結晶化度が高まり、耐熱保存性の向上、ワックス染み出し性の向上につながる。
(揮発成分除去工程)
重合工程が終了したトナー粒子分散液中から未反応の重合性単量体などを除去するために、揮発成分除去工程を行ってもよい。揮発成分除去工程は樹脂粒子分散液を撹拌手段が設置された撹拌槽で加熱、撹拌することによって行う。揮発成分除去工程時の加熱条件は重合性単量体など除去したい成分の蒸気圧を考慮し適宜調節される。揮発成分除去工程は常圧または減圧下で行うことができる。
(固液分離工程、洗浄工程及び乾燥工程)
トナー粒子表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、トナー粒子分散液を酸又はアルカリで処理をする。トナー粒子から分散安定剤を除去した後、一般的な固液分離法によりトナー粒子を水系媒体と分離するが、酸又はアルカリ、及びそれらに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加してトナー粒子を洗浄することが好ましい。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥してもよい。
(分級工程)
こうして得られたトナー粒子に、さらにシャープな粒度分布を要求される場合には風力分級機などで分級工程を行なうことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別して取り除くこともできる。
次に、本発明のトナー粒子の製造方法に用いることができる材料を例示して具体的に説明するが、以下に限定されるものではない。重合性単量体を重合することにより、結着樹脂を形成する。結着樹脂としては、例えば、スチレン系単量体と、アクリル系単量体またはメタクリル系単量体との重合によるスチレンアクリル系樹脂が挙げられる。
スチレンアクリル系樹脂を構成する重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
前記単官能性重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、及び、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体類(スチレン系単量体);
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレート、及び、アクリル酸の如きアクリル系重合性単量体類(アクリル系単量体);
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレート、及び、メタクリル酸の如きメタクリル系重合性単量体類(メタクリル系単量体);
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、及び、ジビニルエーテルが挙げられる。
単官能性重合性単量体を単独で、あるいは複数組合せて、又は、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体とを組合せて、又は、多官能性重合性単量体を単独で、あるいは、複数を組合せて使用する。重合性単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独もしくは混合して、又は、それらとほかの重合性単量体と混合して使用することが、トナーの現像特性及び耐久性の観点から好ましい。
本発明のトナーには極性樹脂を添加することもできる。極性樹脂としては、ポリエステル系樹脂またはカルボキシル含有スチレン系樹脂が好ましい。極性樹脂としてポリエステル系樹脂またはカルボキシル含有スチレン系樹脂を用いることで、当該樹脂がトナー粒子の表面に偏在してシェルを形成した際に、当該樹脂自身のもつ潤滑性が期待できる。
ポリエステル系樹脂としてはアルコールモノマーとカルボン酸モノマーが縮重合したものが用いられる。アルコールモノマーとしては以下のものが挙げられる。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン。
一方、カルボン酸モノマーとしては、以下のものが挙げられる。
フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物。
また、その他にも以下のモノマーを使用することが可能である。
グリセリン、ソルビット、ソルビタン、さらには例えばノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸類。
特には、以下のアルコールモノマー成分と酸モノマー成分との縮重合物であるポリエステル樹脂が、良好な帯電特性を有するので好ましい。アルコールモノマー成分としては、下記式(5)で表されるビスフェノール誘導体である2価アルコールモノマー成分である。酸モノマー成分としては、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分であり、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
Figure 0006739964
(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
カルボキシル基含有スチレン系樹脂としては、スチレン系のアクリル酸共重合体、スチレン系のメタクリル酸共重合体、スチレン系のマレイン酸共重合体などが好ましい。特にスチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸系共重合体が帯電量を制御しやすく好ましい。また、カルボキシル基含有スチレン系樹脂は1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有していることがより好ましい。具体的な重合体組成物としては、スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−n−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることができる。1級または2級の水酸基を有するモノマーを含有した樹脂は極性が大きく、長期放置安定性がより良好となる。
極性樹脂の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下が好ましく、2質量部以上10質量部以下がより好ましい。
本発明のトナーは、着色剤を含有しており、着色剤としては従来知られている種々の染料や顔料等、公知の着色剤を用いることが出来る。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、又は以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
イエロー着色剤としては、例えばモノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、111、128、155、174、180、185が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えばモノアゾ化合物、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19等が例示できる。
シアン着色剤としては、例えば銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合には、トナー粒子に磁性体を含有させればよい。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。本発明において、該磁性体としては、例えばマグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属が挙げられる。或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属との合金及びその混合物が挙げられる。
本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、およびトナー粒子中の分散性の点から選択される。これらの着色剤は、単独または混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。該着色剤は、結着樹脂100.0質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下で用いることが好ましい。
本発明に用いられるワックスとしては特に制限はなく公知のものが利用できる。例えば、以下のワックスが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、合成エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス;脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;炭化水素系ワックスにスチレン、アクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類等が挙げられる。
これらの中でも炭化水素系ワックスが本発明には好適に用いられる。炭化水素系ワックスであるとトナー中での相分離性が高いため、トナーの耐熱保存性の向上およびワックスの染み出し性の向上が期待できる。ワックスは結着樹脂100質量部に対して1質量部以上30質量部以下使用することが好ましい。本発明に用いられるワックスの融点は40℃以上100℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは50℃以上95℃以下の範囲である。添加量および融点を上記の範囲とすることによって良好な低温定着性と耐熱保存性を両立することができる。
本発明に用いることができる重合開始剤としては、一般的なものを使用することができるが、例えばアゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル等が挙げられる。
また、有機過酸化物系開始剤を用いることもできる。有機過酸化物系開始剤としてはt−ブチルパーオキシピバレート、3−ヒドロキシ−1,1ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、ジ(セカンダリーブチル)パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−アミルパーオキシアセテート等が挙げられる。
これらの重合開始剤のうち所望の重合温度と10時間半減期温度の関係から選択され、単独又は混合して利用されるが、重合開始剤の10時間半減期温度T10が50℃以下であることが好ましい。これによりトナー粒子中に残留する未反応の重合性単量体をより低減できる。また、前記重合開始剤の添加量は目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100質量部に対し0.5質量部以上20質量部以下が添加される。
また、本発明のトナー粒子は、荷電制御剤を使用しても良い。中でも、トナー粒子を負荷電性に制御する荷電制御剤を用いることが好ましい。該荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、ノンメタルカルボン酸系化合物及びその誘導体が挙げられる。また、スルホン酸基、スルホン酸塩基、或いは、スルホン酸エステル基を有するスルホン酸樹脂を好ましく用いることができる。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
本発明のワックス分散工程では有機溶媒を用いることもできる。有機溶媒としては重合性単量体と相溶し、離型剤を溶解しないものであれば特に限定されるものではないが、有機溶媒除去の観点から水の沸点以下でもある程度の蒸気圧があるものが好ましい。例えばトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを用いることができる。
また、水系媒体中に添加する分散安定剤としては、公知の界面活性剤や有機分散剤、無機分散剤を使用することができる。これらの中でも無機分散剤は重合温度や時間経過によっても安定性が崩れにくく、洗浄も容易でトナーに悪影響を与えにくいため、好適に使用することができる。無機分散剤としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛の如きリン酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物。これらの無機分散剤は、重合終了後に酸あるいはアルカリを加えて溶解することにより、ほぼ完全に取り除くことができる。
すでに上述したように、本発明の第一の工程でのワックスの分散粒径は体積平均粒径で1.00μm以下であるが、さらにトナー粒子中に分散したワックスの粒径が1.00μm以下であることが好ましい。トナー粒子中のワックスの粒径が1.00μm以下であると、ワックスの分散が良好で、コールドオフセットをより抑制することができる。
また、トナー粒子の断面を透過型電子顕微鏡で観察したときの該トナーの表面から1.0μmまでの表面領域におけるワックスの占める面積の割合をAs(%)としたとき、下記式(4)
1.5≦As≦18.0 (4)
を満たすことが好ましい。Asをこの範囲とすることで、コールドオフセットの抑制と耐熱保存性をより良好に両立することができる。
トナー粒子のガラス転移温度Tg(℃)は、下記式(2)
35≦Tg≦75 (2)
を満たすことが好ましい。この関係を満たすことで、ワックスの良好な分散と定着時のトナーの十分な粘度低下を両立することができ、コールドオフセットをより抑制することができる。
また、本発明によるトナー粒子の重量平均粒径(D4)は、4.0μm以上9.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以上8.0μm以下であり、さらに好ましくは5.0μm以上7.0μm以下である。
以下に、本発明で規定する各物性値の計算方法および測定方法を記載する。
<重合性単量体の重合転化率の測定>
トナー中の重合性単量体の重合転化率の測定は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。
100mlのアセトンに2.55mgのDMF(ジメチルホルムアミド)を加えて内部標準品入り溶媒をつくる。次に重合性単量体組成物分散液0.2gを精秤し上記溶媒で10mlの溶液とする。30分間超音波振とう機にかけた後、1時間放置する。次に0.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、濾液4μlをガスクロマトグラフィーで分析した。
あらかじめ検量線を作製し、重合性ビニル系単量体と内部標準品DMFの重量比/面積比を求めておく。得られたクロマトグラムから未反応の重合性単量体量を計算し、重合転化率を求めた。
測定装置及び測定条件は、下記の通りである。
GC:島津製作所社 GC−14A
カラム:J&W Scientific社 DB−WAX(249μm×0.25μm×30m)
キャリアーガス:N2
オーブン:(1)70℃で2分ホールド、(2)5℃/分で220℃まで昇温
注入口:200℃
スプリット比:1:20
検出器:200℃(FID)
<残留モノマー量の測定>
トナー中の残留モノマーの定量は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。
トナー500mgを精秤しサンプルビンに入れる。これに精秤した10gのアセトンを加えてフタをした後、よく混合し、発振周波数42kHz、電気的出力125Wの卓上型超音波洗浄器(例えば、商品名「B2510J−MTH」、ブランソン社製)にて超音波を30分間照射する。その後、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)を用いて濾過を行い、濾液2μlをガスクロマトグラフィーで分析する。予めモノマーを用いて作成した検量線により、残留モノマーの残存量を算出する。
測定装置及び測定条件は、下記の通りである。
GC:HP社 6890GC
カラム:HP社 INNOWax(200μm×0.40μm×25m)
キャリアーガス:He(コンスタントプレッシャーモード:20psi)
オーブン:(1)50℃で10分ホールド、(2)10℃/分で200℃まで昇温、(3)200℃で5分ホールド
注入口:200℃、パルスドスプリットレスモード(20→40psi、until0.5分)
スプリット比:5.0:1.0
検出器:250℃(FID)
<ワックスの融点Tmの測定方法>
ワックスの融点Tmは、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ワックス5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度及び降温速度10℃/minで測定を行う。測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明のワックスのDSC測定における融点Tmとする。
<トナーのガラス転移温度Tgの測定>
トナーのガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、トナー5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲20℃から140℃の間で、下記の設定でモジュレーション測定を行う。
昇温速度1℃/min
振幅温度幅±0.318℃/min
この昇温過程で、温度20℃から140℃の範囲において比熱変化が得られる。トナーのガラス転移温度Tgは、可逆比熱変化曲線の比熱変化が出る前と出た後の、ベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点とする。
<トナー中のワックス分散粒径およびAsの測定>
トナー中のワックス粒径およびAsは、トナー断面の透過型電子顕微鏡観察から求めた。ワックスによって形成されたドメインの断面積からワックス粒径およびAsを算出し、任意に選択したトナー10個の平均値をもって評価した。詳細には、トナーを可視光硬化性包埋樹脂(D−800、日新EM社製)で包埋し、超音波ウルトラミクロトーム(EM5、ライカ社製)により60nm厚に切削し、真空染色装置(フィルジェン社製)によりRu染色を行った。その後、透過型電子顕微鏡(H7500、日立社製)により加速電圧120kVで観察を行った。観察するトナーは、重量平均粒径から±2.0μm以内のものを10個選んで撮影を行った。得られた画像に画像処理ソフトを用い、ワックスのドメインとバインダーの領域の区別を明確化した。ワックスのドメインから任意に10個を選び、最も短い径を計測し、その平均値をもってワックスの分散粒径とした。また、表層からの深さ1.0μmの表層近傍領域を残しマスキングを行い、残った表層近傍領域の面積におけるワックスのドメインの占有面積百分率を算出しこれをAsとした。
<ワックスの溶解度の測定>
ワックスの重合性単量体に対する溶解度とは、ある温度において、ワックスが重合性単量体100gに溶解する最大の質量(g)をいう。具体的には、以下に示す方法で溶解度を求める。
10gの重合性単量体を溶解度の測定温度に調整後、撹拌しながらワックスを添加し、ワックスが析出して溶けきらない飽和状態の重合性単量体溶液を調製する。その後、飽和状態の重合性単量体溶液を該測定温度よりさらに10℃上げて析出しているワックスを溶解し、目視で透明であること、すなわち、ワックスが全て溶解したことを確認する。その溶液を再度、測定温度に調整して1時間放置後、上澄み溶液を採取する。その上澄み溶液1gを窒素雰囲気下、赤外線加熱炉を用いて重合性単量体を除去し、残った固形分の質量Wgを測定し、下記式より溶解度を求める。
溶解度(%)=W(g)÷1(g)×100
<ワックス分散液中のワックスの粒径の測定>
ワックスの微粒子等の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA(X−100)(日機装社製)を用い、0.001μm〜10μmのレンジ設定で測定を行い、体積平均粒子径(μm)として測定する。
<トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例7〜9、22および25は参考例である。実施例中で使用する部数は全て質量部を示す。
<ワックス分散液1の調製>
スチレン単量体 39.0部
フィッシャートロプシュワックス(融点:77℃) 9.0部
上記の成分を温度調節可能な撹拌タンクに投入し、粉砕媒体を用いる湿式粉砕装置であるSCミル(日本コークス工業社製)を途中に組み込んだ循環ラインにポンプで移送し、120分間循環させることによってワックス分散工程を行った。SCミルには直径0.8mmのジルコニアビーズを用い、ローター周速を18.0m/s、液の循環流量を4.5kg/minとし、ワックス分散工程時の液温が40℃以下となるよう温度調節した。このとき、ワックスの溶解度は0.3%であった。また、分散されたワックスの体積平均粒径は0.30μmであった。
<ワックス分散液2〜7および9〜17の調製>
表1に示す条件とした他はワックス分散液1の調製と同様にしてワックス分散液2〜7および9〜17を調製した。分散工程中のワックスの溶解度および分散されたワックスの体積平均粒径を各々表1に示す。
<ワックス分散液8の調製>
スチレン単量体 39.0部
フィッシャートロプシュワックス(融点:77℃) 9.0部
上記の成分を温度調節可能な撹拌タンクに投入し、粉砕媒体を用いない湿式粉砕装置であるキャビトロン(太平洋機工社製)を途中に組み込んだ循環ラインにポンプで移送し、120分間循環させることによってワックス分散工程を行った。キャビトロンのローター周速を40.0m/s、液の循環流量を4.5kg/minとし、工程の間中液温が40℃以下となるよう温度調節した。このとき、ワックスの溶解度は0.3%であった。また、分散されたワックスの体積平均粒径は0.85μmであった。
Figure 0006739964
(実施例1)
<トナー粒子1の製造>
・スチレン 39.0部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6.5部
・サリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE−88:オリエント化学社製)0.5部
上記の組成物を15mmのセラミックビーズを入れた湿式アトライタ(日本コークス工業製)に投入し120分間分散した。得られたものと下記を混合し、重合性単量体組成物を調製した。
・ワックス分散液1 48.0部
・n−ブチルアクリレート 22.0部
・極性樹脂 4.0部
(スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体(質量比95:2:2:3)、酸価10mgKOH/g、ガラス転移点(Tg):80℃、重量平均分子量(Mw):15000)
一方、イオン交換水414.0部にリン酸ナトリウム(Na3PO4)6.3部を投入し、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて撹拌しながら、50℃に加温した。その後、3.6部の塩化カルシウム(CaCl2)を25.5部のイオン交換水に溶解した塩化カルシウム水溶液を添加してさらに撹拌を続け、リン酸カルシウムからなる分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
上記重合性単量体組成物に重合開始剤である3−ヒドロキシ−1,1ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度T10:37℃)8.3部およびt−ブチルパーオキシピバレート(10時間半減期温度T’10:58℃)5.0部を添加し、これを上記水系分散媒体に投入した。上記クレアミックスにて15000回転/分を維持しつつ50℃で10分間の造粒工程を行った。
その後、一般的な撹拌機を備えた撹拌槽で、撹拌しながら50℃(T1)を保持して200分間重合を行った。T1での重合性単量体へのワックスの溶解度は0.3%であった。このときの重合性単量体の重合転化率は50%であった。その後30分間かけて70℃まで昇温し、その温度で240分間保持した。さらに30分間かけて98℃(T2)まで昇温し、その温度でさらに240分間保持することによってトナー粒子分散液を得た。
トナー粒子分散液を冷却した後、塩酸を添加し、pHを1.4以下として分散安定剤を溶解し、ろ過、洗浄、乾燥を行うことによってトナー粒子1を得た。トナー粒子1の物性を表2に示す。
(実施例2)
<トナー粒子2の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液2を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子2の製造を行った。得られたトナー粒子2の物性を表2に示す。
(実施例3)
<トナー粒子3の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液3を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子3の製造を行った。得られたトナー粒子3の物性を表2に示す。
(実施例4)
<トナー粒子4の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液4を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子4の製造を行った。得られたトナー粒子4の物性を表2に示す。
(実施例5)
<トナー粒子5の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液5を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子5の製造を行った。得られたトナー粒子5の物性を表2に示す。
(実施例6)
<トナー粒子6の製造>
トナー粒子1の製造において添加する重合開始剤をt−アミルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度T10:46℃)7.4部およびt−ブチルパーオキシピバレート(10時間半減期温度T’10:58℃)5.0部に変更した。それ以外は、トナー粒子1の製造と全く同様の方法によってトナー粒子6の製造を行った。得られたトナー粒子6の物性を表2に示す。
(実施例7)
<トナー粒子7の製造>
トナー粒子1の製造において添加する重合開始剤を2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(10時間半減期温度T10:51℃)7.1部およびt−ブチルパーオキシピバレート(10時間半減期温度T’10:58℃)5.0部に変更した。それ以外は、トナー粒子1の製造と全く同様の方法によってトナー粒子7の製造を行った。得られたトナー粒子7の物性を表2に示す。
(実施例8)
<トナー粒子8の製造>
トナー粒子1の製造において添加する重合開始剤を3−ヒドロキシ−1,1ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度T10:37℃)16.6部のみとした。それ以外は、トナー粒子1の製造と全く同様の方法によってトナー粒子8の製造を行った。得られたトナー粒子8の物性を表2に示す。
(実施例9)
<トナー粒子9の製造>
トナー粒子1の製造において添加する重合開始剤を3−ヒドロキシ−1,1ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度T10:37℃)8.3部およびt−アミルパーオキシアセテート(10時間半減期温度T’10:100℃)4.2部に変更した。それ以外は、トナー粒子1の製造と全く同様の方法によってトナー粒子9の製造を行った。得られたトナー粒子9の物性を表2に示す。
(実施例10)
<トナー粒子10の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液6を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子10の製造を行った。得られたトナー粒子10の物性を表2に示す。
(実施例11)
<トナー粒子11の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液7を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子11の製造を行った。得られたトナー粒子11の物性を表2に示す。
(実施例12)
<トナー粒子12の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液8を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子12の製造を行った。得られたトナー粒子12の物性を表2に示す。
(実施例13)
<トナー粒子13の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液9を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子13の製造を行った。得られたトナー粒子13の物性を表2に示す。
(実施例14)
<トナー粒子14の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液10を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子14の製造を行った。得られたトナー粒子14の物性を表2に示す。
(実施例15)
<トナー粒子15の製造>
トナー粒子1の製造においてスチレンの添加量を32.0部、n−ブチルアクリレートの添加量を29.0部に換えた他は、全く同様の方法によってトナー粒子15の製造を行った。得られたトナー粒子15の物性を表2に示す。
(実施例16)
<トナー粒子16の製造>
トナー粒子1の製造においてスチレンの添加量を50.0部、n−ブチルアクリレートの添加量を11.0部に換えた他は、全く同様の方法によってトナー粒子16の製造を行った。得られたトナー粒子16の物性を表2に示す。
(実施例17)
<トナー粒子17の製造>
トナー粒子1の製造においてスチレンの添加量を31.0部、n−ブチルアクリレートの添加量を30.0部に換えた他は、全く同様の方法によってトナー粒子17の製造を行った。得られたトナー粒子17の物性を表2に示す。
(実施例18)
<トナー粒子18の製造>
トナー粒子1の製造においてスチレンの添加量を51.0部、n−ブチルアクリレートの添加量を10.0部に換えた他は、全く同様の方法によってトナー粒子18の製造を行った。得られたトナー粒子18の物性を表2に示す。
(実施例19)
<トナー粒子19の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液11を用い、T1を45℃とした他は、全く同様の方法によってトナー粒子19の製造を行った。得られたトナー粒子19の物性を表2に示す。
(実施例20)
<トナー粒子20の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液12を用い、T1を45℃とした他は、全く同様の方法によってトナー粒子20の製造を行った。得られたトナー粒子20の物性を表2に示す。
(実施例21)
<トナー粒子21の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液13を用い、T2を100℃とした他は、全く同様の方法によってトナー粒子21の製造を行った。得られたトナー粒子21の物性を表2に示す。
(実施例22)
<トナー粒子22の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液14を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子22の製造を行った。得られたトナー粒子22の物性を表2に示す。
(実施例23)
<トナー粒子23の製造>
トナー粒子1の製造においてT2を80℃とした他は、全く同様の方法によってトナー粒子23の製造を行った。得られたトナー粒子23の物性を表2に示す。
(実施例24)
<トナー粒子24の製造>
トナー粒子1の製造においてT1を40℃とした他は、全く同様の方法によってトナー粒子24の製造を行った。得られたトナー粒子24の物性を表2に示す。
(実施例25)
<トナー粒子25の製造>
トナー粒子1の製造においてT1を55℃とした他は、全く同様の方法によってトナー粒子25の製造を行った。得られたトナー粒子25の物性を表2に示す。
(実施例26)
<トナー粒子26の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液15を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子26の製造を行った。得られたトナー粒子26の物性を表2に示す。
(比較例1)
<トナー粒子27の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液16を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子27の製造を行った。得られたトナー粒子27の物性を表2に示す。
(比較例2)
<トナー粒子28の製造>
トナー粒子1の製造においてT2を75℃とした他は、全く同様の方法によってトナー粒子28の製造を行った。得られたトナー粒子28の物性を表2に示す。
(比較例3)
<トナー粒子29の製造>
トナー粒子1の製造においてT1を35℃とした他は、全く同様の方法によってトナー粒子29の製造を行った。得られたトナー粒子29の物性を表2に示す。
(比較例4)
<トナー粒子30の製造>
トナー粒子1の製造においてT1を60℃とした他は、全く同様の方法によってトナー粒子30の製造を行った。得られたトナー粒子30の物性を表2に示す。
(比較例5)
<トナー粒子31の製造>
トナー粒子1の製造においてT1の保持を120分間とし、重合性単量体の重合転化率が40%に到達したところで昇温を開始した他は、全く同様の方法によってトナー粒子31の製造を行った。得られたトナー粒子31の物性を表2に示す。
(比較例6)
<トナー粒子32の製造>
トナー粒子1の製造においてT1保持後の昇温を行わなかった他は、全く同様の方法によってトナー粒子32の製造を行った。得られたトナー粒子32の物性を表2に示す。
(比較例7)
<トナー粒子33の製造>
トナー粒子1の製造においてワックス分散液1のかわりにワックス分散液17を用いた他は、全く同様の方法によってトナー粒子33の製造を行った。得られたトナー粒子33の物性を表2に示す。
Figure 0006739964
<各トナーの製造>
実施例1〜26および比較例1〜7で得られた各トナー粒子について、トナー粒子100.0部に対して一次粒子の個数平均粒径が40nmのシリカ微粒子1.0部を加え、FMミキサ(日本コークス工業製)を用いて混合しトナーを得た。
得られた各トナーについて、以下の方法に従って性能評価を行った。
[低温定着性]
定着ユニットを外したカラーレーザープリンタ(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(HP Laser Jet90、HP社製、90g/m2)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(トナーの載り量:0.9mg/cm2)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを300mm/sに設定し、初期温度を110℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
低温定着性の評価基準は以下の通りである。低温側定着開始点とは、低温オフセット現象(トナーの一部が定着器に付着してしまう現象)が観察されない下限温度のことである。
A:低温側定着開始点が130℃以下(低温定着性が特に優れている)
B:低温側定着開始点が135℃以上145℃以下(低温定着性に優れている)
C:低温側定着開始点が150℃以上160℃以下(低温定着性が良い)
D:低温側定着開始点が165℃以上175℃以下(低温定着性にやや劣る)
E:低温側定着開始点が180℃以上(低温定着性に劣る)
[耐熱保存性]
各トナー5gを50cc樹脂製カップに取り、温度55℃/湿度10%RHで3日間放置し、凝集塊の有無を調べ、下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:凝集塊発生せず
B:軽微な凝集塊が発生、軽い振とうでほぐれる
C:軽微な凝集塊が発生、軽く指で押すと崩れる
D:凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない
E:完全に凝集
トナーの性能評価の結果を表3に示す。
Figure 0006739964

Claims (8)

  1. 結着樹脂及びワックスを含有するトナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    該製造方法が、
    該ワックスを有機溶媒に分散させて、分散された該ワックスの体積平均粒径が1.00μm以下であるワックス分散液を用意する第一の工程、及び
    該結着樹脂を形成し得る重合性単量体、第1の重合開始剤、第2の重合開始剤及び該ワックス分散液を含む重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、該重合性単量体を重合することによってトナー粒子を得る第二の工程、
    を有し、
    該第二の工程が、
    該重合性単量体の重合転化率が50%に到達するまでは温度T1(℃)で、該重合性単量体を重合させる工程、及び
    該重合性単量体の重合転化率が50%に到達した以降は、該温度T1 (℃)より温度を上げて該重合性単量体を重合させ、温度T2(℃)まで到達させる工程、
    を有し、
    該温度T1 (℃)が、該ワックスの融点Tm(℃)未満であり
    該第1の重合開始剤の10時間半減期温度を温度T 10 (℃)としたときに、該温度T 1 (℃)及び該温度T 10 (℃)が、下記式(1)を満たし、
    10 <T 1 ≦T 10 +20 (1)
    該温度T2 (℃)該ワックスの融点Tm以上であり、
    該温度T1 (℃)における該重合性単量体に対する該ワックスの溶解度が、0.5%以下であり、
    該第2の重合開始剤の10時間半減期温度を温度T’ 10 (℃)としたときに、該温度T 2 (℃)、該温度T 10 (℃)及び該温度T’ 10 (℃)が、下記式(3)の関係を満たす
    10 <T’ 10 <T 2 (3)
    とを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記ワックスの融点Tm(℃)40℃以上100℃以下である請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記トナー粒子のガラス転移温度Tg(℃)が、35℃以上75℃以下である請求項1は2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記重合性単量体がスチレン系単量体、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体からなる群より択される1種又は複数の組せである請求項13のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記トナー粒子中に分散している前記ワックスの粒径が1.00μm以下である請求項14のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記第一の工程が、粉砕媒体を用いる湿式粉砕装置を用いて、前記重合性単量体を含む前記有機溶媒に前記ワックスを分散させることにより、前記ワックス分散液を用意する工程であり、
    前記第一の工程の間、前記重合性単量体を含む前記有機溶媒の温度が常に、前記ワックスの前記重合性単量体に対する溶解度が4.0%以下となるように保たれている請求項15のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記温度10(℃)が50℃以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  8. 透過型電子顕微鏡で観察される該トナーの断面において、前記トナーの表面から1.0μmまでの表面領域における前記ワックスの占める面積の割合As(%)1.5%以上18.0%以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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