JP6739240B2 - 吊り上げ部材および吊り上げ装置 - Google Patents
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Description
吊り上げる対象物(以下、吊荷とする。)が大型である場合、その吊荷に設けられた複数の吊り点に対して、クレーンの吊り下げ部から伸びるワイヤーを連結し、吊荷を吊り上げて搬送を行う。
しかし、外観が類似であっても、内蔵される機器により重心位置が変化している吊荷の場合、吊荷の回転や転倒を防止するため、搬送時には、重心位置に対する考慮が必要である。
これに対し、吊り点の位置を変更せずにワイヤー等の長さを変更する場合は、長さの異なる数種類のワイヤー等を用意する必要があった。このとき、ワイヤー長が大きくなってしまうと、吊り上げ高さを低下させる一因となっていた。
また、金型装置吊り上げ用金具として、被吊上げ用長孔を利用することで、搬送する金型装置のバランスをとって吊り上げることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献2に開示された金型装置吊り上げ用金具は、吊荷となる金型装置の上端の長さに相当する寸法のものが用いられ、一つのフックによって吊り上げを行う場合のものであり、吊荷の複数の箇所に吊り点を設ける場合よりも安定しないものであった。
本発明の実施の形態1の吊り上げ装置100について、図1および図2を用いて説明する。図1は、吊り上げ装置100を構成する吊り上げ部材1(吊り金具)の平面図である。図2は、本発明の実施の形態1の吊り上げ装置100の概略側面を示す構成図である。
図1に示す吊り上げ部材1は、一方向に伸びる一枚の平板30により主に構成されている。平板30には、吊り上げ対象物となる吊荷4の連結部42a、42b(吊り点)と連結するための連結孔3と、吊荷4を吊り上げるために用いられる吊りワイヤー5a、5b等と連結するための、例えばダルマ形の吊り孔形成部2を有している。吊り孔形成部2には、平板30が伸びる方向に沿って、開口形状が円形の吊り孔2a、2b、2c、2dが形成されている。なお、連結孔3に近い側から順に、吊り孔2a、2b、2c、2dが開口され、その開口形状は円形以外の形状(例えば、ダルマ形)であってもよく、開口数は、任意の数であってもよいことは言うまでもない。
なお、吊りワイヤー5a、5bは、鎖やロープなど紐状の部材を総称しており、吊荷4の荷重に耐えるものとする。
ここで、吊荷4は、図2の紙面左右方向の寸法が、紙面奥行方向の寸法よりも大きく、吊荷4の連結部42a、42bは、紙面の左右に離れて配置されている。
なお、集束部60は、例えばフックによって構成されるものとする。
しかし、本発明の吊り上げ部材1(1a、1b)を備えた吊り上げ装置100では、同じ長さの2本の吊りワイヤー5a、5bを用意すればよく、吊り孔係合位置の変更だけで、吊荷4の重心位置12の変更に対応できるため、従来のような長さが異なる数種類のワイヤー等を用意する必要はない。
次に、この発明の実施の形態2について、図3、図4を用いて説明する。
図3は、実施の形態2の吊り上げ部材1の平面図であり、実施の形態1で示した吊り上げ部材1に、付加的にワイヤー挿通部11が形成されたことを示している。図4は、図3の吊り上げ部材1の断面図である。
なお、ワイヤー挿通部11が、カギ型の突起部である例を示したが、その形状やワイヤー挿通口11aの配置は、これに限定されないことは言うまでもない。
図5は、この発明の実施の形態3による吊り上げ部材10の平面図であり、図6は、図5に示す吊り上げ部材10を用いた吊り上げ装置100の構成図である。
図5に示すように、吊り上げ部材10は、吊荷4の連結部42a、42bと連結する連結孔3を備えた第一の平板31と、開口位置が異なる吊り孔8a、8b、8c、8dを各
1個開口した第二の平板81、82、83、84を組み合わせた構成である。
そして、複数枚の第二の平板81、82、83、84は、第一の平板31の一端(連結孔3が形成されていない側の端部)に位置する節部7に連結され、この節部7を中心に回転可能に固定されている。
また、図5および図6に示すように、吊り上げ部材10a、10bは連結孔3と吊り孔8a、8b、8c、8dの間に節部7を有し、吊り孔8a、8b、8c、8dの節部7からの距離(位置)が異なる複数の部位(第二の平板81、・・、84)を有している。そのため、ワイヤー長を調整する際には、複数の第二の平板81、82、83、84の中から適した開口を持つ一枚を選択して、フック50a、50bを係合させることによって、容易にワイヤー長を調整することが可能となる。
そして、図6に示したように、吊り上げ部材10aの第二の平板84を、別の第二の平板81、82、83のうちの一つの部材に交換することによって、フック50aの係合位置を吊り孔8dから、別の吊り孔8a、8b、8cの係合位置に容易に変更することが可能である。他方の吊り上げ部材10bについても同様のことが言えることは言うまでもない。
さらに、吊り孔8a、8b、8c、8dを有する第二の平板81、82、83、84が、節部7を中心に回転可能なように構成されるため、任意の吊り孔8a、8b、8c、8dの位置に対応した長さの第二の平板81、・・、84を備えた吊り上げ部材10を用意することが可能であり、図6に示すように、使用しない第二の平板は、節部7から下へ垂れ下がった状態で安定的に保持でき、作業時の吊り上げ部材10の撥ねを抑制でき、作業者の安全を確保した上で、作業効率を向上させることが可能となる。
これにより、例えば内蔵される機器が精密機器であり、より高精度に水平状態を実現したい場合でも、吊荷4側の連結部42a、42bの位置を変更する必要がなく、吊り上げ部材10を用いることで、吊りワイヤー5a、5bのフック50a、50bを係合させる位置を変更するだけで吊り上げ時のバランスを高精度に保つことが可能となる。
上述の実施の形態1および実施の形態2では、一枚の平板30に複数の吊り孔2a、・・、2dが設けられた場合を例示していた。この実施の形態4では、一つの吊り上げ部材1に1つの吊り孔20を設けた場合について説明する。
図7に、この実施の形態4の吊り上げ部材1の平面図を示す。図7(a)、図7(b)は、それぞれ、連結孔3から吊り孔20までの距離が異なる吊り上げ部材1を例示しており、全長が長い平板32、全長が短い平板33を主構成とする吊り上げ部材1の形状を示している。
一枚の平板32に、1つの吊り孔20が形成される場合、ワイヤー長の調整は、吊り孔20の開口位置が異なる別の吊り上げ部材1を、吊りワイヤー5a、5bと連結部42a、42bの間に付け替えることによって行う。
そして、この図7に示す、一枚の平板32(または33)に、一つの吊り孔20が形成された吊り上げ部材1を用いることによって、吊りワイヤー5に連結させることで、吊りワイヤー5の長さに対し、連結孔3から吊り孔20までの長さを延長することが可能になる。
次に、実施の形態5の吊り上げ部材1について、図8にその平面図を示して説明する。
上述の実施の形態1、2、4と同様に、この実施の形態5の吊り上げ部材1は、一枚の平板34に、多数の吊り孔21を開口した構成であり、吊り孔21は、一列に配置されるのではなく、部分的に複数列となるように配置されている。
図8の例では、吊り孔21は、紙面上において、連結孔3の上方向に3つの吊り孔21が配置され、最も上の吊り孔21の左横に2つ、中間の吊り孔21の左横に1つの、計6つの吊り孔21が設けられている。また、平板34は、全ての開口部を配置できるように、実施の形態1に示した平板30等よりも広い面部を持つ構成となっている。
いずれの吊り孔21も、連結孔3からの距離は異なっており、これらの吊り孔21を選択的に用い、吊りワイヤー5の先端部を係合させることで、ワイヤー長の微調整を行うことができ、吊荷4を安定的に搬送することが可能となる。
しかし、同様の手法にて、吊荷4側に設ける連結部の数をさらに増加させ、例えば上面形状が四角形の吊荷4の四隅を連結部とする場合等においても同様に、吊り上げ部材1を吊りワイヤー5に取り付け、各ワイヤー長(吊りワイヤー5と吊り上げ部材1(または1
0)との合計の長さ)を調整し、吊荷4の重心位置12直上にワイヤーを束ねる集束部60が位置する状態とすることによって、吊荷4を安定的に吊り上げ、搬送することが可能となる。
2a、2b、2c、2d、8a、8b、8c、8d、20、21 吊り孔、
3 連結孔、4 吊荷、5、5a、5b 吊りワイヤー、
6 クレーン、7 節部、8 第二の平板部、
11 ワイヤー挿通部、11a ワイヤー挿通口、12 重心位置、
30、32、33、34 平板、31 第一の平板、41a、41b 連結部形成部、
42a、42b 連結部、50、50a、50b フック、
60 集束部、81、82、83、84 第二の平板、100 吊り上げ装置
Claims (4)
- 吊り上げ機器の集束部から吊り下げられた複数本の吊りワイヤーのうち、少なくとも一本の上記吊りワイヤーの先端部に連結されるとともに、
吊り上げ対象となる吊荷に設けられた連結部に連結され、
上記吊りワイヤーの先端部と上記連結部との間の距離を調整可能とした吊り上げ部材であって、
一つの一方向に伸びる平板内に、上記連結部と連結する連結孔と、上記吊りワイヤーの先端部を係合させる複数の吊り孔が設けられ、
複数の上記吊り孔は、上記平板が伸びる方向に沿って上記連結孔からの距離が各々異なるように設けられ、
上記平板の上記連結孔が設けられていない側の端部に、上記吊りワイヤーを挿通させるワイヤー挿通部を備えたことを特徴とする吊り上げ部材。 - 上記ワイヤー挿通部は、カギ型の突起部であることを特徴とする請求項1記載の吊り上げ部材。
- 請求項1または請求項2記載の吊り上げ部材を備え、
上記吊り上げ部材が、吊り上げ機器の集束部から吊り下げられた複数本の吊りワイヤーのうち、少なくとも一本の上記吊りワイヤーの先端部に連結されたことを特徴とする吊り上げ装置。 - 複数の上記吊りワイヤーは、同じ長さであることを特徴とする請求項3記載の吊り上げ装置。
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