JP6739240B2 - 吊り上げ部材および吊り上げ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クレーンの吊り下げ部から伸びる複数本の吊りワイヤーのうち、少なくとも一本の吊りワイヤーの先端部に取り付けられ、吊荷の連結部に連結される吊り上げ部材、および、その吊り上げ部材を備えた吊り上げ装置に関するものである。
人力で持ち上げることが困難な質量の大きい製品等を移動させる場合、または内蔵される機器の都合上水平を保ちながら移動させる場合、作業者の安全を考慮してクレーン等による搬送が行われることが多い。
吊り上げる対象物(以下、吊荷とする。)が大型である場合、その吊荷に設けられた複数の吊り点に対して、クレーンの吊り下げ部から伸びるワイヤーを連結し、吊荷を吊り上げて搬送を行う。
しかし、外観が類似であっても、内蔵される機器により重心位置が変化している吊荷の場合、吊荷の回転や転倒を防止するため、搬送時には、重心位置に対する考慮が必要である。
従来において、あらかじめ吊荷に設けられた吊り点にワイヤー等を連結することにより、吊り上げや搬送が行われていた。ここで、吊り点は吊荷に対してボルト締結もしくは溶接等により固定されている部材である。吊荷に内蔵される機器等により重心位置が変化する場合は、吊り点の位置を設計変更しなければならず、吊り点の位置変更には問題があった。
また、あらかじめ製品に対して吊り点の位置を複数箇所に設けることはコストアップの要因となっていた。さらに、重心位置の変化によって、使用する吊り点の位置を変更しなくてはならないという問題点があった。
これに対し、吊り点の位置を変更せずにワイヤー等の長さを変更する場合は、長さの異なる数種類のワイヤー等を用意する必要があった。このとき、ワイヤー長が大きくなってしまうと、吊り上げ高さを低下させる一因となっていた。
関連する従来技術として、重心が吊荷の中心からずれているいわゆる偏重心吊荷を、吊上げた当初から水平な状態とするために、天秤本体の両端に、吊りワイヤーの長さ調節を行うワイヤー支持板を設けることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、金型装置吊り上げ用金具として、被吊上げ用長孔を利用することで、搬送する金型装置のバランスをとって吊り上げることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−154783号公報 実開平1−147373号公報
特許文献1の水平吊天秤にあっては、複数の吊りワイヤーの集束部から吊荷に伸びるワイヤーの長さを調整することが示されている。しかし、吊荷側の支持点において吊りワイヤーを屈曲させ、吊りワイヤーの先端部をワイヤー支持板内に収納して調整を行うという形態のものであった。そのため、ワイヤー長さを最短とする場合、ワイヤー支持板内に、吊り下げに寄与しない吊りワイヤーを収納した状態となり、その分重量が増していた。
また、特許文献2に開示された金型装置吊り上げ用金具は、吊荷となる金型装置の上端の長さに相当する寸法のものが用いられ、一つのフックによって吊り上げを行う場合のものであり、吊荷の複数の箇所に吊り点を設ける場合よりも安定しないものであった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、吊荷に設けた複数の吊り点を介して吊荷を吊り上げる際に、吊荷の重心位置に対応してワイヤー長を調整するために吊りワイヤーに連結させて用いる吊り上げ部材として、吊りワイヤーの先端部に連結され、吊りワイヤーの集束部と吊荷の連結部との距離の調節を可能とした吊り上げ部材およびこの吊り上げ部材を備えた吊り上げ装置を得ることを目的とする。
この発明に係わる吊り上げ部材は、吊り上げ機器の集束部から吊り下げられた複数本の吊りワイヤーのうち、少なくとも一本の上記吊りワイヤーの先端部に連結されるとともに、吊り上げ対象となる吊荷に設けられた連結部に連結され、上記吊りワイヤーの先端部と上記連結部との間の距離を調整可能とした吊り上げ部材であって、一つの一方向に伸びる平板内に、上記連結部と連結する連結孔と、上記吊りワイヤーの先端部を係合させる複数の吊り孔が設けられ、複数の上記吊り孔は、上記平板が伸びる方向に沿って上記連結孔からの距離が各々異なるように設けられ、上記平板の上記連結孔が設けられていない側の端部に、上記吊りワイヤーを挿通させるワイヤー挿通部を備えたことを特徴とするものである。
また、この発明に係わる吊り上げ装置は、上述の吊り上げ部材を備え、上記吊り上げ部材が、吊り上げ機器の集束部から吊り下げられた複数本の吊りワイヤーのうち、少なくとも一本の上記吊りワイヤーの先端部に連結されたことを特徴とするものである。
この発明の吊り上げ部材によれば、吊荷の重心位置の変化に対応させて、吊りワイヤーの長さを調整することが必要となった場合に、吊りワイヤー自体の長さは変更することなく、吊りワイヤーの先端部に連結させた吊り上げ部材によって、ワイヤー長の不足分を補うことが可能となる。
また、この発明の吊り上げ装置によれば、吊りワイヤーの長さを変更することなく、吊りワイヤーの先端部を吊り上げ部材に連結して、ワイヤー長の不足分を補い、吊荷を安定的に吊り上げて搬送することが可能となる。
本発明の実施の形態1の吊り上げ部材を示す平面図である。 本発明の実施の形態1の吊り上げ装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態2の吊り上げ部材を示す平面図である。 本発明の実施の形態2の吊り上げ部材を示す断面図である。 本発明の実施の形態3の吊り上げ部材を示す平面図である。 本発明の実施の形態3の吊り上げ装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態4の吊り上げ部材を示す平面図である。 本発明の実施の形態5の吊り上げ部材を示す平面図である。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1の吊り上げ装置100について、図1および図2を用いて説明する。図1は、吊り上げ装置100を構成する吊り上げ部材1(吊り金具)の平面図である。図2は、本発明の実施の形態1の吊り上げ装置100の概略側面を示す構成図である。
図1に示す吊り上げ部材1は、一方向に伸びる一枚の平板30により主に構成されている。平板30には、吊り上げ対象物となる吊荷4の連結部42a、42b(吊り点)と連結するための連結孔3と、吊荷4を吊り上げるために用いられる吊りワイヤー5a、5b等と連結するための、例えばダルマ形の吊り孔形成部2を有している。吊り孔形成部2には、平板30が伸びる方向に沿って、開口形状が円形の吊り孔2a、2b、2c、2dが形成されている。なお、連結孔3に近い側から順に、吊り孔2a、2b、2c、2dが開口され、その開口形状は円形以外の形状(例えば、ダルマ形)であってもよく、開口数は、任意の数であってもよいことは言うまでもない。
なお、吊りワイヤー5a、5bは、鎖やロープなど紐状の部材を総称しており、吊荷4の荷重に耐えるものとする。
このように、吊り上げ部材1は、一つの平板30内に、吊荷4の連結部42aまたは42bと連結する連結孔3と、吊りワイヤー5aまたは5bの先端部に各々設けられたフック50aまたは50bを係合させる複数の吊り孔2a、・・、2dが設けられてなり、複数の吊り孔2a、・・、2dは、連結孔3からの距離が各々異なるように配置されている。
ここで、吊荷4は、図2の紙面左右方向の寸法が、紙面奥行方向の寸法よりも大きく、吊荷4の連結部42a、42bは、紙面の左右に離れて配置されている。
図2は、吊り上げ部材1を用いた吊り上げ装置100の概略側面を例示した構成図であり、吊り上げ機器であるクレーン6等の集束部60(吊り下げ部)から吊り下げられた複数本の吊りワイヤー5a、5b、この吊りワイヤー5a、5bの先端部のフック50a、50bに連結されるとともに、吊り上げ対象となる吊荷4に設けられた連結部42a、42bに連結され、吊りワイヤー5a、5bの先端部と連結部42a、42bとの間の距離を調整する吊り上げ部材1a、1bを備えたことを特徴としている。
なお、集束部60は、例えばフックによって構成されるものとする。
また、図2は、図1において示した吊り上げ部材1を用い、吊り上げ機器であるクレーン6等の吊り下げ部に吊り下げられた2本の吊りワイヤー5a、5bに取り付け、吊荷4を、この2本の吊りワイヤー5a、5bにより、水平を保ちながら吊り上げた状態を示しているものである。この時、吊荷4の重心位置12は、吊荷4の吊り上げに用いられる連結部42a、42bの中心位置から偏心した状態となっている。
ここで、図2において、クレーン6の集束部60から吊り下げられる2本の吊りワイヤー5a、5bは、例えば長さが同じであり、吊荷4の種類によって用いる吊りワイヤー5a、5bを変更することはなく、吊りワイヤー5a、5b自体のワイヤー長は、搬送作業時に変化せず、同じ吊りワイヤー5a、5bを用いて、様々な吊荷4を搬送することを想定している。
吊荷4の重心位置12は、吊荷4の内部編成によって変化が生じ、2本の吊りワイヤー5a、5bによって、吊荷4を吊り上げる場合に、集束部60から連結部42a、42bに至る吊りワイヤー5a、5bのワイヤー長を調整することが必要となる。そこで、吊りワイヤー5a、5bの先端部に連結させる吊り上げ部材1a、1bの吊り孔形成部2のどの吊り孔2a、2b、2c、2dを選択して、フック50a、50bを係合させるか、その選択によって、ワイヤー長を決定する。
また、図2に例示するように、吊荷4には、搬送時に吊りワイヤー5a、5bを連結するための連結部42a、42bが、互いに離間して設けられている。この連結部42a、42bは、例えば、吊荷4の上面側に突出して設けられた連結部形成部41a、41bに設けられた突起形状の部材であり、吊り上げ部材1a、1bの連結孔3に挿通させ、吊り上げ部材1a、1bを上側に引き上げることで、連結孔3に連結される。
ここで、吊りワイヤー5a、5bに、吊り上げ部材1a、1bを連結させた場合のワイヤー長について、詳しく説明する。図2に示すように、吊荷4を水平に吊り上げる場合、吊荷4の重心位置12の直上には、吊りワイヤー5a、5bを束ねるクレーン6の集束部60が位置し、吊荷4の連結部42a、42bの高さにおける重心位置12から連結部42a、42bまでの距離を、それぞれL11,L21とし、連結部42a、42bからクレーン6の集束部60までの距離を、それぞれL12、L22とし、連結部42a、42bから集束部60までの高さをhとすると、L12は、二つの辺L11とh(高さ)が直角を成す場合の、直角三角形の斜辺の長さに合致する。同様に、L22は、二つの辺L21とh(高さ)が直角を成す場合の、直角三角形の斜辺の長さに合致するという関係が成り立つ。
吊り孔の係合位置決定段階では、上記のような関係を考慮し、吊荷4をクレーン6により吊り上げ、吊りワイヤー5a、5bがピンと張った状態となった時に、吊荷4の重心位置12の直上に、吊りワイヤー5a、5bを束ねるクレーン6の集束部60が位置する安定した吊り下げ状態を得られるように、吊りワイヤー5a、5bの先端部に設けられたフック50a、50bを、吊り孔2a、・・、2dのいずれか一つを選択して係合させ、ワイヤー長の調整を行う。
具体的には、図2に示すように、吊りワイヤー5aの先端部に設けられたフック50aは、吊り上げ部材1aの吊り孔2dに係合されており、吊りワイヤー5aのワイヤー長は、吊り上げ部材1aの連結孔3から吊り孔2dに至る長さが延長され、全長がL12となっている。同様に、吊りワイヤー5bの先端部に設けられたフック50bは、吊り上げ部材1bの吊り孔2aに係合されており、吊りワイヤー5bのワイヤー長は、吊り上げ部材1bの連結孔3から吊り孔2aに至る長さが延長され、全長がL22となっている。
このように、重心位置12とクレーン6の集束部60を同一垂直線上とするために、連結部42a、42bの位置を変更することなく、吊りワイヤー5a、5bを連結する、吊り上げ部材1a、1bの吊り孔2a、・・、2bの係合位置のみ調整することにより、吊荷4の吊り上げ時のバランスを保つことが可能となる。
図1に示す吊り上げ部材1では、4つの吊り孔2a、・・、2dを設けた例を示しているが、吊荷4となる製品の重心位置12が大きく変化する場合は、平板30の長さをより長くし、吊り孔数を増加させた吊り上げ部材1を用いることで、ワイヤー長の調整範囲を広げることが可能となる。
なお、吊荷4の連結部42a、42bを設ける連結部形成部41a、41bの位置は、吊荷4の回転や転倒を防止するため、吊荷4の外周付近に設けられることが一般的である。吊荷4は、この吊荷4を構成する製品の製作完了から出荷までの間、品質検査のため、もしくは同時出荷される際の製品の製作完了待ちのため、一定期間保管される場合もある。保管場所には、吊荷4となる製品が集められるが、その保管場所として必要となる面積を最小とするため、製品と製品の間隔は狭くなりがちであり、製品の搬送時に吊りワイヤー5a、5bを連結する作業は、図2で示す紙面の左端もしくは右端側からのアクセスしかできなくなることがしばしばある。
この時、吊荷4となる製品の上部に設けられた連結部形成部41a、41bの位置もしくは連結部42a、42bの位置を変更することは容易ではないことについては、既に記述した。そこで、本発明の吊り上げ部材1a、1bを用いれば、連結部形成部41a、41bの位置もしくは連結部42a、42bの位置変更は不要であり、作業者は、安全な場所で、吊り上げ部材1a、1bの吊り孔2a、・・、2dへの係合位置変更を行うことで、容易に吊荷4の吊り上げバランスを調整することが可能となる。
これに対し、従来の吊り上げ方法では、本発明の吊り上げ部材1(1a、1b)を用いないため、あらかじめ、長さの異なる数種類の吊りワイヤー等を用意しておくなどして、吊荷4の重心位置12が変化した場合には、適した長さのワイヤー長のものを選んで用い、吊り上げ時のバランスを保つ必要があった。
しかし、本発明の吊り上げ部材1(1a、1b)を備えた吊り上げ装置100では、同じ長さの2本の吊りワイヤー5a、5bを用意すればよく、吊り孔係合位置の変更だけで、吊荷4の重心位置12の変更に対応できるため、従来のような長さが異なる数種類のワイヤー等を用意する必要はない。
上述の例では、2本の吊りワイヤー5a、5bの両方の先端部に、各々一つの吊り上げ部材1a、1bを取り付けてワイヤー長を調整する場合を示した。しかし、これに限ることなく、2本の吊りワイヤー5a、5bのうち、ワイヤー長が大きくなる吊りワイヤー5a側にのみ吊り上げ部材1aを連結させ、他方の吊りワイヤー5bには吊り上げ部材1bを連結させず、吊りワイヤー5bの先端部のフック50bを、吊荷4の連結部42bに直接的に係合させる構成とすることによっても、吊荷4のバランスを取ることが可能となる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2について、図3、図4を用いて説明する。
図3は、実施の形態2の吊り上げ部材1の平面図であり、実施の形態1で示した吊り上げ部材1に、付加的にワイヤー挿通部11が形成されたことを示している。図4は、図3の吊り上げ部材1の断面図である。
上述の実施の形態1で示した吊り上げ部材1は、平板30に連結孔3、吊り孔2a、・・、2dが開口されたものであった。そのため、図2において示したように、吊り上げ部材1bにより延長するワイヤー長が短く、例えば、吊りワイヤー5bの先端のフック50bを、連結孔3に最も近い吊り孔2aに係合させるような場合、吊り上げ作業時に、連結孔3から遠い側の吊り上げ部材1bの端部(吊り孔2d近傍)がこにも係止されていない状態となり、この吊り上げ部材1bの、フック50bに係合されていない側の端部が吊りワイヤー5bの動きに追従せず、撥ねるなどして不安定な配置をとる場合があった。

そこで、図3および図4に示すように、吊りワイヤー5の先端部のフック50を吊り上げ部材1に装着させる場合、クレーン6の集束部60が吊荷4に十分に近づけられ、吊りワイヤー5が撓んだ状態である時に、吊りワイヤー5を、ワイヤー挿通部11のワイヤー挿通口11aに挿通させ、平板30から突出したカギ型の突起部であるワイヤー挿通部11の内部に保持させる。そして、フック50の吊り孔形成部2への係合箇所が決定すれば、その係合箇所に合致する吊り孔2a、・・、2dに係合させ、クレーン6による吊り上げ作業を行う。なお、ワイヤー挿通口11aの開口寸法は、吊りワイヤー5を挿通可能な程度の寸法とする。
このように、吊りワイヤー5と、連結孔3が設けられていない側の吊り上げ部材1の端部とを、ワイヤー挿通部11により係合させた状態となることにより、吊りワイヤー5と吊り上げ部材1との一体感を向上させることができ、吊り上げ作業時の吊り上げ部材1の撥ねを抑制し、作業の安全性を向上させることが可能となる。
なお、ワイヤー挿通部11が、カギ型の突起部である例を示したが、その形状やワイヤー挿通口11aの配置は、これに限定されないことは言うまでもない。
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3による吊り上げ部材10の平面図であり、図6は、図5に示す吊り上げ部材10を用いた吊り上げ装置100の構成図である。
図5に示すように、吊り上げ部材10は、吊荷4の連結部42a、42bと連結する連結孔3を備えた第一の平板31と、開口位置が異なる吊り孔8a、8b、8c、8dを各
1個開口した第二の平板81、82、83、84を組み合わせた構成である。
そして、複数枚の第二の平板81、82、83、84は、第一の平板31の一端(連結孔3が形成されていない側の端部)に位置する節部7に連結され、この節部7を中心に回転可能に固定されている。
図5の例では、第二の平板部8を構成する第二の平板81、82、83、84の4枚の部材が、一枚の第一の平板31に連結された構成を示しているが、この第二の平板81、・・、84は、4枚に限定されるものではなく、ワイヤー長調節のために必要な吊り孔の数を満たすことができる枚数であればよい。
また、図5の例では、第二の平板部8の中の複数枚の第二の平板81、82、83、84に対し、一枚の部材につき一つの吊り孔8a、8b、8c、8dを配置した場合を示しているが、一枚の部材につき、複数の吊り孔(節部7からの距離が異なる)を配置形成することも可能である。これにより、フック50a、50bを係合させる対象が増え、節部7と吊り孔との距離の微調整を行うことも可能である。
図6に、この実施の形態3による吊り上げ装置100を示すように、吊りワイヤー5aの先端部に設けられたフック50aは、吊り上げ部材10aの第二の平板84の吊り孔8dに係合されており、吊りワイヤー5aのワイヤー長は、吊り上げ部材10aの第一の平板31の連結孔3から、節部7を介し、第二の平板84の吊り孔8dに至る長さが延長され、全長がL12(図2参照)となる。同様に、吊りワイヤー5bの先端部に設けられたフック50bは、吊り上げ部材10bの第二の平板81の吊り孔8aに係合されており、吊りワイヤー5bのワイヤー長は、吊り上げ部材10bの第一の平板31の連結孔3から節部7を介し、第二の平板81の吊り孔8aに至る長さが延長され、全長がL22(図2参照)となる。
このように、吊り上げ部材10a、10bにより、吊りワイヤー5a、5bのワイヤー長を調整することにより、クレーン6を上昇させ、吊りワイヤー5a、5bをピンと張りつめた状態で、吊荷4の直上にクレーン6の吊りワイヤー5a、5bの集束部60が位置する状態を得ることができ、クレーン等6により水平を保ちながら吊荷4を吊り上げることが可能となる。
また、図5および図6に示すように、吊り上げ部材10a、10bは連結孔3と吊り孔8a、8b、8c、8dの間に節部7を有し、吊り孔8a、8b、8c、8dの節部7からの距離(位置)が異なる複数の部位(第二の平板81、・・、84)を有している。そのため、ワイヤー長を調整する際には、複数の第二の平板81、82、83、84の中から適した開口を持つ一枚を選択して、フック50a、50bを係合させることによって、容易にワイヤー長を調整することが可能となる。
そして、図6に示したように、吊り上げ部材10aの第二の平板84を、別の第二の平板81、82、83のうちの一つの部材に交換することによって、フック50aの係合位置を吊り孔8dから、別の吊り孔8a、8b、8cの係合位置に容易に変更することが可能である。他方の吊り上げ部材10bについても同様のことが言えることは言うまでもない。
これらをふまえ、あらかじめ、吊荷4となる製品の種類により使用頻度の高い吊り孔8a、8b、8c、8dを備えた吊り上げ部材10(10a、10b)を用意することにより、効率よく搬送作業を行うことが可能である。
さらに、吊り孔8a、8b、8c、8dを有する第二の平板81、82、83、84が、節部7を中心に回転可能なように構成されるため、任意の吊り孔8a、8b、8c、8dの位置に対応した長さの第二の平板81、・・、84を備えた吊り上げ部材10を用意することが可能であり、図6に示すように、使用しない第二の平板は、節部7から下へ垂れ下がった状態で安定的に保持でき、作業時の吊り上げ部材10の撥ねを抑制でき、作業者の安全を確保した上で、作業効率を向上させることが可能となる。
図6に示す吊り上げ部材10a、10bは、第二の平板部8として4枚の第二の平板81、82、83、84を設けた例を挙げているが、吊荷4となる製品の重心位置12の変化が多様である場合には、節部7からの吊り孔8a、・・、8dまでの距離のバリエーションを増加させ、ワイヤー長の微調整を可能とするため、より多くの枚数の第二の平板により第二の平板部8を構成することも可能である。
また、上述したように、一枚の第二の平板81(または82、83、84)に複数の吊り孔を設ける場合においては、さらに細かくワイヤー長を調整することが可能となる。
これにより、例えば内蔵される機器が精密機器であり、より高精度に水平状態を実現したい場合でも、吊荷4側の連結部42a、42bの位置を変更する必要がなく、吊り上げ部材10を用いることで、吊りワイヤー5a、5bのフック50a、50bを係合させる位置を変更するだけで吊り上げ時のバランスを高精度に保つことが可能となる。
実施の形態4.
上述の実施の形態1および実施の形態2では、一枚の平板30に複数の吊り孔2a、・・、2dが設けられた場合を例示していた。この実施の形態4では、一つの吊り上げ部材1に1つの吊り孔20を設けた場合について説明する。
図7に、この実施の形態4の吊り上げ部材1の平面図を示す。図7(a)、図7(b)は、それぞれ、連結孔3から吊り孔20までの距離が異なる吊り上げ部材1を例示しており、全長が長い平板32、全長が短い平板33を主構成とする吊り上げ部材1の形状を示している。
一枚の平板32に、1つの吊り孔20が形成される場合、ワイヤー長の調整は、吊り孔20の開口位置が異なる別の吊り上げ部材1を、吊りワイヤー5a、5bと連結部42a、42bの間に付け替えることによって行う。
そして、この図7に示す、一枚の平板32(または33)に、一つの吊り孔20が形成された吊り上げ部材1を用いることによって、吊りワイヤー5に連結させることで、吊りワイヤー5の長さに対し、連結孔3から吊り孔20までの長さを延長することが可能になる。
実施の形態5.
次に、実施の形態5の吊り上げ部材1について、図8にその平面図を示して説明する。
上述の実施の形態1、2、4と同様に、この実施の形態5の吊り上げ部材1は、一枚の平板34に、多数の吊り孔21を開口した構成であり、吊り孔21は、一列に配置されるのではなく、部分的に複数列となるように配置されている。
図8の例では、吊り孔21は、紙面上において、連結孔3の上方向に3つの吊り孔21が配置され、最も上の吊り孔21の左横に2つ、中間の吊り孔21の左横に1つの、計6つの吊り孔21が設けられている。また、平板34は、全ての開口部を配置できるように、実施の形態1に示した平板30等よりも広い面部を持つ構成となっている。
いずれの吊り孔21も、連結孔3からの距離は異なっており、これらの吊り孔21を選択的に用い、吊りワイヤー5の先端部を係合させることで、ワイヤー長の微調整を行うことができ、吊荷4を安定的に搬送することが可能となる。
なお、上述の例では、吊荷4に設けられた連結部42a、42bが計2つである場合について説明した。
しかし、同様の手法にて、吊荷4側に設ける連結部の数をさらに増加させ、例えば上面形状が四角形の吊荷4の四隅を連結部とする場合等においても同様に、吊り上げ部材1を吊りワイヤー5に取り付け、各ワイヤー長(吊りワイヤー5と吊り上げ部材1(または1
0)との合計の長さ)を調整し、吊荷4の重心位置12直上にワイヤーを束ねる集束部60が位置する状態とすることによって、吊荷4を安定的に吊り上げ、搬送することが可能となる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1、1a、1b、10、10a、10b 吊り上げ部材、2 吊り孔形成部、
2a、2b、2c、2d、8a、8b、8c、8d、20、21 吊り孔、
3 連結孔、4 吊荷、5、5a、5b 吊りワイヤー、
6 クレーン、7 節部、8 第二の平板部、
11 ワイヤー挿通部、11a ワイヤー挿通口、12 重心位置、
30、32、33、34 平板、31 第一の平板、41a、41b 連結部形成部、
42a、42b 連結部、50、50a、50b フック、
60 集束部、81、82、83、84 第二の平板、100 吊り上げ装置

Claims (4)

  1. 吊り上げ機器の集束部から吊り下げられた複数本の吊りワイヤーのうち、少なくとも一本の上記吊りワイヤーの先端部に連結されるとともに、
    吊り上げ対象となる吊荷に設けられた連結部に連結され、
    上記吊りワイヤーの先端部と上記連結部との間の距離を調整可能とした吊り上げ部材であって、
    一つの一方向に伸びる平板内に、上記連結部と連結する連結孔と、上記吊りワイヤーの先端部を係合させる複数の吊り孔が設けられ、
    複数の上記吊り孔は、上記平板が伸びる方向に沿って上記連結孔からの距離が各々異なるように設けられ、
    上記平板の上記連結孔が設けられていない側の端部に、上記吊りワイヤーを挿通させるワイヤー挿通部を備えたことを特徴とする吊り上げ部材。
  2. 上記ワイヤー挿通部は、カギ型の突起部であることを特徴とする請求項記載の吊り上げ部材。
  3. 請求項1または請求項2記載の吊り上げ部材を備え、
    上記吊り上げ部材が、吊り上げ機器の集束部から吊り下げられた複数本の吊りワイヤーのうち、少なくとも一本の上記吊りワイヤーの先端部に連結されたことを特徴とする吊り上げ装置。
  4. 複数の上記吊りワイヤーは、同じ長さであることを特徴とする請求項記載の吊り上げ装置。
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