JP6737708B2 - オレキシン受容体拮抗薬を含む固体分散体 - Google Patents

オレキシン受容体拮抗薬を含む固体分散体 Download PDF

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Description

本発明は、オレキシン受容体拮抗薬としての非晶質形態のスボレキサント([(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)−フェニル]メタノン)またはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体に関する。さらに、本発明はまた、非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体の調製方法、ならびに前記方法によって得られる、または得られ得る固体分散体に関する。さらに、本発明は、かかる固体分散体を含む医薬組成物ならびにかかる固体分散体を含む医薬組成物であって睡眠障害の治療または予防における使用のための医薬組成物に関する。さらに、本発明は、睡眠の質を高めることを、必要とする哺乳動物患者において施すための方法、不眠症を治療することを、必要とする哺乳動物患者において施すための方法ならびに肥満を治療またはコントロールすることを、必要とする哺乳動物患者において施すための方法に関し、これらの方法は、該固体分散体を含む医薬組成物を該哺乳動物患者に投与することを含む。
オレキシンは、覚醒状態および食欲を調節する神経伝達物質である。オレキシンは、覚醒状態の維持において極めて重要な役割を有する興奮性神経ペプチドである。オレキシン受容体は哺乳動物の脳内にみられ、鬱;不安症;常用癖;強迫性障害;情動(affective)神経症;抑鬱神経症;不安神経症;気分変調性障害;行動障害;気分障害;性的機能不全;性心理的機能不全;性的障害;統合失調症;躁鬱;精神錯乱;認知症;重度の精神遅滞および運動障害、例えば、ハンチントン病およびトゥレット症候群;摂食障害、例えば、拒食症、過食症、悪液質および肥満;中毒的食行動;気晴らし食い行動;心血管疾患;糖尿病;食欲/味覚障害;嘔吐(emesis)、嘔吐(vomiting)、悪心;喘息;がん;パーキンソン病;クッシング症候群/病;好塩基性腺腫;プロラクチノーマ;高プロラクチン血症(hypeiprolactinemia);下垂体腫瘍/腺腫;視床下部性疾患;炎症性腸疾患;胃ジスキネジア;胃潰瘍;フレーリッヒ症候群;下垂体前葉の疾患;下垂体の疾患;下垂体前葉機能低下;下垂体前葉機能亢進;視床下部性性腺機能低下症;カルマン症候群(無嗅覚症、嗅覚鈍麻);機能性または心因性の無月経;下垂体機能低下;視床下部性甲状腺機能低下症;視床下部性副腎性機能不全;特発性高プロラクチン血症;成長ホルモン欠乏症の視床下部性障害;特発性成長不足(growth deficiency);小人症;巨人症;末端肥大症;生体リズムおよび概日リズムの乱れ;神経系の障害、神経障害性疼痛および下肢静止不能症候群などの疾患に伴う睡眠障害;心臓および肺の疾患、急性およびうっ血性の心不全;低血圧;高血圧;尿閉;骨粗鬆症;狭心症;心筋梗塞(myocardinal infarction);虚血性または出血性卒中;クモ膜下出血;潰瘍;アレルギー;良性前立腺肥大症;慢性腎不全;腎疾患;耐糖能異常;片頭痛;痛覚過敏;疼痛;痛みに対する感受性の増強または痛みに対する過度な感受性、例えば、痛覚過敏、灼熱痛および異痛症;急性の痛み;熱傷の痛み;非定型的顔面痛;神経障害性疼痛;背部痛;複合性局所疼痛症候群IおよびII;関節痛;スポーツ損傷による痛み;感染、例えばHIVと関連する痛み、化学療法後疼痛;卒中後疼痛;術後疼痛;神経痛;嘔吐(emesis)、悪心、嘔吐(vomiting);内臓痛に伴う病状、例えば、過敏性腸症候群およびアンギナ;片頭痛;膀胱尿失禁、例えば、急迫性尿失禁;麻薬に対する耐性または麻薬からの離脱;睡眠障害;睡眠時無呼吸;ナルコレプシー;不眠症;錯睡眠;ジェットラグ症候群;ならびに神経変性障害(疾病分類学的なものを含む。)、例えば、脱抑制−認知症−パーキンソニズム−筋萎縮複合型(disinhibition−dementia−parkinsonism−amyotrophy complex);淡蒼球−橋−黒質(pallido−ponto−nigral)変性;てんかん;発作障害ならびに一般的(general)と関連する他の疾患および一般的なオレキシン系の機能不全と関連する他の疾患などの病態において数々の密接な関連性を有している可能性がある。
一部のオレキシン受容体拮抗薬は、上記の病的状態の少なくとも一部に影響を及ぼし得るものであり、特に、動物およびヒトの睡眠を向上させ得ることが当該技術分野で報告されている。かかるオレキシン受容体拮抗薬の一例は[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンであり、これは、式I
Figure 0006737708
による構造を有し、例えば、US20080132490A1、WO2008/069997およびCox et al(2010)Journal of Medicinal Chemistry,53(14):5320−5332に記載されている。この化合物の別名は5−クロロ−2−{(5R)−5−メチル−4−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−チアゾール−2−イル)ベンゾイル]−1,4−ジアゼパン−1−イル}−1,3−ベンゾベンゾオキサゾールおよび[(R)−4−(5−クロロ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−(5−メチル−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−フェニル)−メタノンである。
[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノン(本明細書において以下および上記において、「スボレキサント」または「オレキシン受容体拮抗薬」と称する。)の合成はWO2008/069997に記載されている。WO2008/069997(実施例3)によれば、この化合物は最終的に白色固形物として得られる。本明細書において以下に示す実施例からわかり得るように、この固形物は、使用される結晶化温度に応じて結晶形態Iまたは結晶形態IIのいずれかである。スボレキサントの非晶質形態はWO2008/069997に記載されていない。
[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの結晶形態IおよびIIは、WO2012/148553A1にさらに明示的に記載されている。これには、形態IとIIは35から40℃の転移温度でエナンチオトロピー的に関連していると記載されている。さらに、結晶形態の[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンを含む医薬組成物が記載されている。しかしながら、結晶形態のスボレキサントは限られた溶解度およびバイオアベイラビリティしか示さない。
従って、WO2013/181174では、スボレキサントを濃度向上ポリマーと一緒に含む組成物であって、これらが一緒に非晶質分散体を形成する組成物が提案されている。しかしながら、この組成物にはスボレキサントが約4%から40%しか含まれていない。
従って、依然として、高い溶解度および/またはバイオアベイラビリティならびに長期安定性を示すスボレキサントを多量に含む好都合な組成物の必要性が依然として存在している。
米国特許出願公開第2008/0132490号明細書 国際公開第2008/069997号 国際公開第2012/148553号 国際公開第2013/181174号
Cox et al(2010)Journal of Medicinal Chemistry,53(14):5320−5332
従って、本発明の目的は、スボレキサントを含む組成物であって、溶解度および/またはバイオアベイラビリティおよび/または安定性に関して好都合な特徴を有する組成物を提供することであった。
驚くべきことに、この目的は、非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む、好ましくはこれらからなる固体分散体であって、該少なくとも1種類のマトリックス化合物が
(i)ポリマーであって、該固体分散体が、該スボレキサントもしくはその塩を、該スボレキサントもしくはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して、少なくとも50重量%の量で含むものであるか、または
(ii)ケイ素系無機吸着剤である、
固体分散体を提供することにより解決され得ることがわかった。
さらに、本発明により、非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体の調製であって、その方法が
(a)スボレキサントまたはその塩を準備し、
(b)(a)で準備した該スボレキサントおよび少なくとも1種類のマトリックス化合物を溶媒に溶解または分散させて混合物を形成し、
(c)該溶媒の少なくとも一部、好ましくは基本的に全部を除去して
固体分散体を得ることを含み、該少なくとも1種類のマトリックス化合物が
(i)ポリマーであって、該固体分散体が、該スボレキサントもしくはその塩を、該スボレキサントもしくはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも50重量%の量で含むものであるか、または
(ii)ケイ素系無機吸着剤である、
該固体分散体の調製を提供する。
さらに、本発明は、非晶質形態のスボレキサントまたはその塩を含む固体分散体の調製方法であって、
(a)スボレキサントまたはその塩を準備し、
(b)(a)で準備した該スボレキサントを溶媒に溶解または分散させて混合物を形成し、
(c)該溶媒の少なくとも一部、好ましくは基本的に全部を噴霧乾燥によって除去して
固体分散体を得ること
を含む方法に関する。
さらに、本発明は、非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体の調製方法であって、
(a’)スボレキサントまたはその塩を準備し、
(b’)(a’)で準備したスボレキサントと少なくとも1種類のマトリックス化合物を混合して混合物を形成し、
(c’)(b’)による混合物をミリングして
固体分散体を得ることを含み、該マトリックス化合物が
(i)ポリマーであって、該固体分散体が、該スボレキサントまたはその塩を、該スボレキサントまたはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%の量で含むものであるか、または
(ii)ケイ素系無機吸着剤である、
方法に関する。
さらに、本発明は、非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体の調製方法であって、
(a’)スボレキサントまたはその塩を準備し、
(b’)(a’)で準備したスボレキサントと少なくとも1種類のマトリックス化合物を混合して混合物を形成し、
(c’)(b’)による混合物をミリングして
固体分散体を得ること
を含む方法に関する。
さらに、本発明は、上記の方法によって得られるか、または得られ得る固体分散体、ならびに上記の固体分散体または上記の方法によって得られるか、もしくは得られ得る固体分散体を含む医薬組成物に関する。
第1の態様では、本発明により、非晶質形態のスボレキサント([(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノン)またはその塩および少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体であって、該少なくとも1種類のマトリックス化合物が
(i)ポリマーであって、該固体分散体が該スボレキサントもしくはその塩を、該スボレキサントもしくはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも50重量%の量で含むものであるか、または
(ii)ケイ素系無機吸着剤である、
固体分散体を提供する。
さらに、本発明はかかる固体分散体の調製方法に関する。
驚くべきことに、非晶質形態のスボレキサントはそのままでは不安定であることがわかっていたが、該スボレキサントを少なくとも1種類のマトリックス化合物と合わせると非晶質形態のスボレキサントを含む安定な固体分散体が得られ得ることがわかった。この驚くべき安定な非晶質形態は、その溶解度ならびにバイオアベイラビリティに関して、先行技術で報告されている結晶形態と比較した場合、好都合であることが想定される。さらに、この固体分散体は好都合な長期安定性を示す。
さらに、先行技術の教示と比べて、本発明により、高スボレキサント含有量(例えば、スボレキサントもしくはその塩と少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも50重量%の量)を有する組成物を提供できる可能性がもたらされ、これによりスボレキサントを、必要とする患者に数回のみの投薬またはさらには1回だけの投薬で投与することが可能になる。さらに、特に、錠剤などの投薬形態に関して、このような高スボレキサント含有量により、患者が容易に飲み込むことができるより小型の錠剤を調製することが可能になる。
非晶質スボレキサント
上記のように、本発明による固体分散体は、非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および少なくとも1種類のマトリックス化合物を含むものである。
「非晶質」は、本発明との関連において、固相が非結晶性の状態であることを意味する。非晶質固体は、一般的に結晶様短範囲の分子配列を有するものである、即ち、結晶性固体に分子充填の長範囲規則はみられない。固体分散体中の固体、例えばオレキシン受容体拮抗薬の固体状態の形態は、偏光顕微鏡使用、粉末X線回折、示差走査熱量測定または当業者に知られた他の手法によって測定され得る。非晶質形態のスボレキサントまたはその塩を「含む(comprising)」という用語は、固体分散体中に存在するスボレキサントの少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも96重量%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98重量%、より好ましくは少なくとも重量基準で99重量%、より好ましくは少なくとも重量基準で99.9重量%、より好ましくはすべてが非晶質形態で存在していることを意味することを表す。
非晶質形態のスボレキサントまたはその塩の他に、固体分散体は結晶形態のスボレキサントを含んでいてもよい。しかしながら、結晶性態で存在しているのは、固体分散体中に存在するすべてのスボレキサントの好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重量%未満、より好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、より好ましくは4重量%未満、より好ましくは3%未満、より好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0重量%である。従って、好ましくは、固体分散体は結晶形態のスボレキサントを全く含まないものである。
従って、本発明は、好ましくは、固体分散体中に存在するスボレキサントの少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも96重量%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98重量%、より好ましくは少なくとも重量基準で99重量%、より好ましくは少なくとも重量基準で99.9重量%、より好ましくはすべてが非晶質形態で存在している上記の固体分散体に関する。同様に、本発明は、固体分散体中に存在するスボレキサントの少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも96重量%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98重量%、より好ましくは少なくとも重量基準で99重量%、より好ましくは少なくとも重量基準で99.9重量%、より好ましくはすべてが非晶質形態で存在している上記の固体分散体の調製方法に関する。
固体分散体
用語「固体分散体」は固体状態の組成物、即ち、液体でもガス状でもない状態の組成物をいい、スボレキサントは、固体分散体中に含まれている医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物のうちの少なくとも1種類に分散されており、好ましくは、固体分散体中に含まれている医薬として許容されるマトリックス化合物のすべてに分散されている。
好ましくは、固体分散体はスボレキサントおよび少なくとも1種類のマトリックス化合物からなるものである。好ましくは、該少なくとも1種類のマトリックス化合物は、結晶性もしくは非晶質またはその混合体のいずれかであり得るマトリックスを形成している。スボレキサントは、原則的には該マトリックス中に分子的に、純非晶質粒子で、または非晶質粒子と結晶性粒子で、上記のとおりに分散され得る。
用語「固体分散体」は、本明細書で用いる場合、既知のあらゆるカテゴリーの固体分散体、即ち、単純な共融混合物、固溶体、例えば、連続固溶体、不連続固溶体、置換型結晶性固溶体、侵入型結晶性固溶体および非晶質固溶体、液体ガラスならびに結晶性担体中の非晶質析出物を包含している。好ましくは、本発明による固体分散体は非晶質固溶体である。
好ましくは、本発明による固体分散体は非晶質固体分散体である。用語「非晶質固体分散体」は、本明細書で用いる場合、実質的に非晶質の固体形態のスボレキサントを含む固体分散体をいう。好ましくは、スボレキサントの非晶質粒子がポリマーマトリックス中に分散されている。
用語「実質的に非晶質の固体形態」は、オレキシン受容体拮抗薬、即ちスボレキサントまたはその塩の少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも96重量%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98重量%、より好ましくは少なくとも重量基準で99重量%、より好ましくは少なくとも重量基準で99.9重量%、より好ましくはすべてが非晶質形態で存在していることを意味することを表す。
マトリックス化合物
医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物に関して、この少なくとも1種類のマトリックス化合物は、上記のように、ポリマーまたはケイ素系無機吸着剤のいずれかである。固体分散体は、1種類より多くのマトリックス化合物、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10種類のマトリックス化合物を含むものであり得ることは理解されよう。1種類より多くのマトリックス化合物が存在している場合、また、少なくとも1種類のポリマーと少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤の混合物を存在させてもよい。好ましくは、固体分散体は1種類のマトリックス化合物を含むものである。
驚くべきことに、動的水蒸気吸脱着測定に供したときに特定の特徴を示すマトリックス化合物が本発明によるマトリックス化合物として特に適切であることがわかった。特に、このようなマトリックス化合物は、50から95重量%の範囲のスボレキサント含有量などの高スボレキサント含有量であっても、非晶質スボレキサントを本発明による固体分散体中で安定化させ得ることがわかった。従って、かかる高スボレキサント含有量では、固体分散体中に含有されるマトリックス化合物のそれぞれの量は必然的に少なくなるが、動的水蒸気吸脱着測定に供したときに特定の特徴を示すマトリックス化合物により、スボレキサントがその非晶質形態で安定化され得る。従って、驚くべきことに、本発明の好ましい固体分散体のスボレキサント含有量は当該技術分野で教示されているものより有意に高く、従って、有意に低い含有量の安定化マトリックス化合物、特に上記の好ましいマトリックス化合物を有するものであるが、ストレス湿度条件(即ち、40℃で75%相対湿度)であっても潮解を示さない安定な固体分散体を得ることが可能であることがわかった。なおさらには、本発明の好ましい固体分散体中に含まれた非晶質スボレキサントは、本発明による固体分散体中において、なんら結晶化の傾向を示さないことがわかった。
従って、本発明は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の湿気安定性を有する上記の固体分散体に関し、ここで、湿気安定性は、40℃で75%の相対湿度に4週間曝露した後の固体分散体(固形組成物)中に存在する固体の非晶質スボレキサントの量を、前記曝露前の固体分散体中に存在する固体の非晶質スボレキサントの量に相対させたものと定義する。用語「前記曝露前」は、本出願のこの状況において用いる場合、40℃で75%の相対湿度に曝露する前に、調製直後、30%からの範囲の相対湿度で25℃の温度にて保存されていた固体分散体に関する。従って、本発明はまた、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の湿気安定性を有する上記の固体分散体であって、湿気安定性を、40℃で75%の相対湿度に4週間曝露した後の固体分散体中に存在する固体の非晶質スボレキサントの量を、調製直後、30%からの範囲の相対湿度相対湿度で25℃の温度にて保存されていた場合の固体分散体中に存在する固体の非晶質スボレキサントの量に相対させたものと定義する上記の固体分散体に関する。
動的水蒸気吸脱着測定に供したときの本発明による好ましいマトリックス化合物の特定の特徴に関して、少なくとも1種類のマトリックス化合物の吸着−脱着等温線において、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、25℃における50%相対湿度と90%相対湿度での質量の差Δm(吸着)は、40%以上、好ましくは40から80%の範囲、より好ましくは45から78%の範囲であることがわかった。
さらに、好ましくは、少なくとも1種類のマトリックス化合物の吸着−脱着等温線において、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、25℃における0%相対湿度と50%未満の相対湿度での質量の差Δm(吸着)は、20%以下、好ましくは15%未満、より好ましくは12%未満、より好ましくは10%未満である。
なんら理論に拘束されることを望まないが、好ましいマトリックス化合物の特定の細孔特性および/または特定の表面特性(そのそれぞれの化学的性質および/または物理的性質のいずれかに関するもの)により、固体分散体のマトリックス化合物含有量が低い場合であっても、非晶質スボレキサントを固体分散体中で安定化させるための特定の好都合な好適性がもたらされ得ると考えられる。動的水蒸気吸脱着測定ならびに75%相対湿度および25℃におけるΔm(脱着)およびΔm(吸着)の値の測定に関して、本発明の実施例Vに具体的に言及している。
ポリマー
好ましい一実施形態(実施形態(i))によれば、少なくとも1種類のマトリックス化合物は少なくとも1種類のポリマーである。好ましくは、固体分散体は、ポリマーである1種類だけのマトリックス成分を含むものである。
この実施形態によれば、固体分散体はスボレキサントまたはその塩を、スボレキサントもしくはその塩と少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも50重量%、好ましくは50重量%より多く、より好ましくは少なくとも51重量%、より好ましくは少なくとも55重量%の量で含有している。好ましくは、固体分散体はスボレキサントまたはその少なくとも1種類の塩を、スボレキサントまたはその少なくとも1種類の塩と少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは80%から95重量%の範囲の量で含むものである。好ましい範囲は51から95重量%または55から95重量%または60から95重量%または70から95重量%または80から95重量%である。
本発明の分散体における使用に適切なポリマーは、好ましくは、ヒトなどの哺乳動物に対して医薬として許容される、特に経口投与のためのポリマーである。好ましくは、ポリマーは、セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル/ポリエチレングリコールコポリマーならびにその混合物およびコポリマーからなる群より選択されるポリマーである。
セルロースの適切な例として、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロースならびにカルボキシメチルセルロースおよびカルボキシエチルセルロースが挙げられる。これには、上記のポリマーの誘導体、例えば、その化学修飾誘導体も包含されていることは理解されよう。ポリマーがヒドロキシアルキルセルロースである場合、ポリマーは好ましくは、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル(propypl)メチルセルロースまたはヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネートである。このようなセルロースの適切な例は酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシエチルセルロースである。用語「酢酸フタル酸セルロース」は、エステル結合によってセルロースポリマーの有意な割合のヒドロキシル基に結合している酢酸基とフタル酸基を有する任意のセルロースポリマーファミリーをいう。
好ましくは、ポリマーは、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酢酸ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルカプロラクタムポリ酢酸ビニルポリエチレングリコールコポリマーおよびその混合物またはコポリマーからなる群より選択される。ポリマーがポリビニルカプロラクタムポリ酢酸ビニルポリエチレングリコールコポリマーである場合、ポリマーは好ましくはグラフトポリマーである。用語「グラフトポリマー」は、本明細書で用いる場合、側鎖が主鎖と構造的に別個のものである分岐コポリマーをいう。好ましくは、このようなグラフトポリマーは、ポリエーテルを主体とするものであり、ポリエーテルの存在下でのビニルモノマーのフリーラジカル重合によって得られるものである。ポリビニルカプロラクタムポリ酢酸ビニルポリエチレングリコールグラフトポリマーの場合、ビニルカプロラクタムと酢酸ビニルがビニルモノマーとして使用される。この型のグラフトポリマーはSoluplus(R)(BASF)として市販されている。
より好ましくは、ポリマーは、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーおよびポリビニルカプロラクタムポリ酢酸ビニルポリエチレングリコールグラフトポリマーからなる群より選択される。
従って、本発明はまた、ポリマーがヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーおよびポリビニルカプロラクタムポリ酢酸ビニルポリエチレングリコールグラフトポリマーからなる群より選択される上記の固体分散体であって、固体分散体中に存在するすべてのスボレキサントの好ましくは少なくとも80重量%が非晶質形態で存在している固体分散体に関する。同様に、本発明は、工程(b)がスボレキサントとポリマーを溶媒に溶解させて溶液を形成させることを含むものであり、ポリマーがヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーおよびポリビニルカプロラクタムポリ酢酸ビニルポリエチレングリコールグラフトポリマーからなる群より選択される、固体分散体の調製方法および前記方法によって得られる、または得られ得る固体分散体に関する。
最も好ましくは、ポリマーはヒドロキシアルキルアルキルセルロースまたはポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールグラフトポリマー、より好ましくはポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールグラフトポリマーである。
好ましくは、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量平均分子量(M)は7から225kDaの範囲、より好ましくは7から100kDaの範囲、より好ましくは7から30kDaの範囲である。本発明によれば、固体分散体が、2種類以上のセルロース誘導体、好ましくは2種類以上のヒドロキシアルキルアルキルセルロース、より好ましくは、重量平均分子量Mのみが異なる2種類以上のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有しているものであることが考えられ得る。
好ましくは、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースの分子の置換度(DS)は0.3から2.8の範囲、好ましくは0.6から2.5の範囲、より好ましくは1.0から2.3の範囲、より好ましくは1.3から2.0の範囲である。本発明によれば、固体分散体が、2種類以上のセルロース誘導体、好ましくは2種類以上のヒドロキシアルキルアルキルセルロース、より好ましくは、分子の置換度のみが異なる2種類以上のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有しているものであることが考えられ得る。パラメータDSは、所与のヒドロキシアルキルアルキルセルロースのアンヒドログルコース単位1つあたりのヒドロキシアルキルアルキル化部位の数を示す。
好ましくは、少なくとも1種類の親水性の、好ましくは水溶性のポリマーは、少なくとも10g/l、より好ましくは少なくとも15g/l、より好ましくは少なくとも20g/l、より好ましくは少なくとも25g/l、より好ましくは少なくとも30g/l(各場合、23℃で雰囲気圧)の水中溶解度を有するものである。
驚くべきことに、上記のポリマーを使用した場合、スボレキサントは非晶質形態で安定化され得ることがわかった。換言すると、非晶質形態のスボレキサントを含む安定な固体分散体がもたらされる。これに関連する用語「安定な」は、固体分散体中に存在する非晶質形態で存在しているスボレキサントの総量が4週間までの期間にわたって、特に、40℃で75%相対湿度に4週間曝露した場合に変化しないことを意味することを表す。
少なくとも1種類のポリマーは、結晶質もしくは非晶質またはその混合体のいずれかであり得るマトリックスを形成しており、好ましくは、該ポリマーは、非晶質であるマトリックスを形成している。これに関連する用語「非晶質」は、固体分散体中に存在する該ポリマーの少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも96重量%、より好ましくは少なくとも97重量%、より好ましくは少なくとも98重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%、より好ましくはすべてが非晶質形態で存在していることを意味することを表す。
ケイ素系無機吸着剤
好ましい一実施形態(実施形態(ii))によれば、少なくとも1種類のマトリックス化合物は少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤である。好ましくは、固体分散体は、ケイ素系無機吸着剤である1種類だけのマトリックス成分を含むものである。
好ましくは、(ii)の場合の固体分散体は、スボレキサントまたはその少なくとも1種類の塩を、該スボレキサントまたはその少なくとも1種類の塩と少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して、10から70重量%の範囲、より好ましくは20から65重量%の範囲、より好ましくは30から60重量%の範囲、より好ましくは35から55重量%の範囲、より好ましくは40から55重量%の範囲、より好ましくは45から55重量%の範囲の量で含むものである。
ケイ素系無機吸着剤の例としては、限定されないが、シリカ、シリケートおよびこれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。例えば、ケイ素系無機吸着剤は、シリカおよびその2種類以上の組み合わせからなる群より;またはシリケートおよびその2種類以上の組み合わせからなる群より;または少なくとも1種類のシリケートからなる群より選択される。用語「シリケート」は、本発明の状況において用いる場合、陰イオン性ケイ素化合物、好ましくはオキシドを含有している天然に存在している化合物または合成化合物をいう。かかるシリケートの例としては、限定されないが、構造単位[SiO4−を含むネソシリケート、構造単位[Si6−を含むソロシリケート、構造単位[Si3n2n−を含むシクロシリケート、構造単位[Si3n2n−を含む単鎖イノシリケート、構造単位[Si4n11n6n−を含む二本鎖イノシリケート、構造単位[Si5n2n−を含むフィロシリケート、または構造単位[AlSi2(x+y)x−を含む3D骨格を有するテクトシリケートが挙げられる。用語「シリカ」は、本発明の状況において用いる場合、天然に存在しているシリカまたは合成シリカをいう。かかるシリカの例としては、限定されないが、フュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、コロイド状シリカが挙げられる。
驚くべきことに、(ii)の少なくとも1種類のマトリックス化合物の吸着−脱着等温線において、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、25℃における50%相対湿度と90%相対湿度での質量の差Δm(吸着)が、40%以上、好ましくは42%以上、44%以上、より好ましくは45%以上であるケイ素系無機吸着剤が好ましいことがわかった。
好ましくは、(ii)の少なくとも1種類のマトリックス化合物の吸着−脱着等温線、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、25℃における0%相対湿度と50%未満の相対湿度での質量の差Δm(吸着)が、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下である。
好ましくは、(ii)の少なくとも1種類のマトリックス化合物の吸着−脱着等温線において、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、75%相対湿度および25℃における質量の差Δm(脱着)が、75%相対湿度および25℃における質量の差Δm(吸着)以上である。
好ましくは、ケイ素系無機吸着剤は少なくとも6.0のpHを有するものである。より好ましくは、ケイ素系無機吸着剤は、6.0から9.0の範囲、より好ましくは6.5から8.5の範囲、より好ましくは6.8から8.0の範囲のpHを有するものである。このpHは、2gのそれぞれの吸着剤を50mlの水中に懸濁させ、この懸濁液を撹拌し、撹拌懸濁液を2分間放置し、pHをpHメータで室温にて測定することにより測定されるものであると理解されたい。
一般的に、本発明の固体分散体は、上記に規定した好ましい範囲のpHを有する少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤、およびこれらの範囲外のpHを有する少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤を含有しているものであることが想定され得る。好ましくは、本発明の固体分散体中に含まれているすべてのケイ素系無機吸着剤が上記に規定した好ましい範囲のpHを有するものである。
好ましくは、少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤の油吸着量は1.0から5.0ml/gの範囲、好ましくは1.3から4.5ml/gの範囲、より好ましくは1.5から4.0ml/gの範囲、より好ましくは2から3.5ml/gの範囲である。一般的に、本発明の固体分散体は、上記に規定した好ましい範囲の油吸着量を有する少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤、およびこれらの範囲外の油吸着量を有する少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤を含有しているものであることが想定され得る。好ましくは、本発明の固体分散体中に含まれているすべてのケイ素系無機吸着剤が上記に規定した好ましい範囲の油吸着量を有するものである。
好ましくは、少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤のかさ密度は0.05から0.25g/mlの範囲、好ましくは0.10から0.16g/mlの範囲、より好ましくは0.10から0.16g/mlの範囲である。一般的に、本発明の固体分散体は、上記に規定した好ましい範囲のかさ密度を有する少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤、およびこれらの範囲外のかさ密度を有する少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤を含有しているものであることが想定され得る。好ましくは、本発明の固体分散体中に含まれているすべてのケイ素系無機吸着剤が上記に規定した好ましい範囲のかさ密度を有するものである。
好ましくは、シリカは、フュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、コロイド状シリカおよびこれらの2種類以上の組み合わせ、例えば、フュームドシリカと沈降シリカの組み合わせまたはフュームドシリカとコロイド状シリカの組み合わせまたはフュームドシリカとシリカゲルの組み合わせまたは沈降シリカとシリカゲルの組み合わせまたは沈降シリカとコロイド状シリカの組み合わせまたはシリカゲルとコロイド状シリカの組み合わせまたはフュームドシリカと沈降シリカとシリカゲルの組み合わせまたはフュームドシリカとシリカゲルとコロイド状シリカの組み合わせ(combination or)または沈降シリカとシリカゲルとコロイド状シリカの組み合わせまたはフュームドシリカと沈降シリカとシリカゲルとコロイド状シリカの組み合わせからなる群より選択される。好ましいシリカとしては、限定されないが、市販の化合物Syloid(R)72 FP、Syloid(R)244 FP(ともにGrace製)が挙げられる。
好ましくは、シリケートは、より好ましくは、Li、Na、K、Rb、Csおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より、好ましくはLi、Na、Kおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より、より好ましくはNa、Kおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ金属元素、および/またはMg、Ca、Sr、Baおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より、好ましくはMg、Ca、Baおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より、好ましくはMg、Caおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素をさらに含有しているアルミノシリケートである。より好ましくは、シリケートは、Mg、Ca、Sr、Baおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より、好ましくはMg、Ca、Baおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より、好ましくはMg、Caおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素をさらに含有しているアルミノシリケートである。より好ましくは、シリケートはMgをさらに含有しているアルミノシリケートである。好ましいシリケートとしては、限定されないが、市販の化合物Neusilin(R)UFL2、Neusilin(R)US2(ともに富士化学工業株式会社製)が挙げられる。
従って、本発明はまた、少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤がシリカ、シリケートおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択され、該シリカが好ましくは、フュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、コロイド状シリカおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択され、該シリケートが好ましくは、好ましくは少なくとも1種類のアルカリ金属元素および/または少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素、より好ましくは少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素、より好ましくはマグネシウムを含むものであるアルミノシリケートである上記の固体分散体に関する。
従って、本発明はまた、少なくとも1種類のマトリックス化合物が少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤であり、該少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤が、シリカ、シリケートおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択され、該シリカが好ましくは、フュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、コロイド状シリカおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択され、該シリケートが好ましくは、好ましくは少なくとも1種類のアルカリ金属元素および/または少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素、より好ましくは少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素、より好ましくはマグネシウムを含むものであるアルミノシリケートであり、該少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤のより好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%が非晶質形態で存在している上記の固体分散体および上記の固体分散体の調製方法に関する。
一般的に、シリカおよび/またはシリケートは結晶形態で存在させても非晶質形態で存在させてもよい。少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤の好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%が非晶質形態で存在している。より好ましくは、少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤の少なくとも99.5重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%、より好ましくは少なくとも99.99重量%が非晶質形態で存在している。
この実施形態によれば、固体分散体は、スボレキサントまたはその塩、好ましくはケイ素系無機吸着剤を、該スボレキサントまたはその少なくとも1種類の塩と少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量(全マトリックス化合物の総量)に対して含有している。
医薬として許容される塩
上記のように、本発明の化合物を医薬として許容される塩として存在させてもよい。用語「医薬として許容される塩」は、医薬として許容される、好ましくは無毒性の塩基または酸、例えば鉱酸もしくは有機酸または有機塩基もしくは無機塩基から調製される塩をいう。かかる塩はまた、酸付加塩および塩基付加塩としても知られている。酸付加塩の一般的に使用されている酸は無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸など、および有機酸、例えば、パラ−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酸性(acidic)酸などである。医薬として許容される塩の例は硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、ジカノエート(dicanoate)、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩 塩酸塩、二塩酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、キシレン硫酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩(butyrrate)、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩、および他の第1級、第2級または第3級アミン、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチレンエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、コカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プリン、チオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどのアミンから誘導される由来する塩などである。好ましい医薬として許容される酸付加塩は、鉱酸(塩酸および臭化水素酸など)を用いて形成されるもの、ならびに有機酸(リンゴ酸およびメタンスルホン酸など)を用いて形成されるものである。無機塩基から誘導されるさらなる塩、例えば、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛の塩なども挙げられよう。
上記の成分、即ちスボレキサントとポリマーの他に、固体分散体にさらなる成分、例えば、さらなるオレキシン拮抗薬、さらなるポリマー、場合により少なくとも1種類の溶媒などを含めてもよい。
好ましくは、固体分散体は、スボレキサントの他にさらなるオレキシン拮抗薬を含まないものである。
上記のように、固体分散体に少なくとも1種類の溶媒、例えば、固体分散体の調製方法に使用される溶媒を含めてもよい。固体分散体が少なくとも1種類の溶媒を含むものである場合、固体分散体中に存在させる溶媒の量は、固体分散体の総重量に対して好ましくは5重量%未満、より好ましくは4重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満である。
好ましくは、本発明による固体分散体は、スボレキサントまたはその塩およびポリマーならびに場合により少なくとも1種類の溶媒からなるものであり、該溶媒は好ましくは、固体分散体の総重量に対して5重量%未満、より好ましくは4重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満の量で存在させる。より好ましくは、上記の固体分散体は、スボレキサントまたはその塩および該ポリマーからなるものである。
また、好ましくは、固体分散体は、非イオン性界面活性剤、好ましくはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、より好ましくは以下の式:
OH−[CH−CH−O]−[CH−CH(CH)−O]−[CH−CH−O]−H
によるエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含むものである。
添え字aおよびbに関して特に制限はない。好ましくは、aは50から150、好ましくは60から130、より好ましくは70から110の範囲である。好ましくは、bは10から80、好ましくは20から70、より好ましくは30から60の範囲である。エチレンオキシドとプロピレンオキシドの好ましいブロックコポリマーは、例えば、Kolliphor(R)P 188、Kolliphor(R)P 237、Kolliphor(R)P 338またはKolliphor(R)P 407として市販品で得られ得る。エチレンオキシドとプロピレンオキシドの好ましいブロックコポリマーに関して、aは75から85の範囲であり、bは25から30の範囲である。かかる好ましいブロックコポリマーは市販品で得られ得る(例えば、Kolliphor(R)P 188)。
固体分散体は固体分散体の総重量に対して0.1から10重量%または0.5から9重量%または1から8重量%または2から7重量%または3から6重量%の範囲の量の非イオン性界面活性剤を含有しているものであり得る。
好ましくは、本発明による固体分散体は、スボレキサントまたはその塩、ポリマー、非イオン性界面活性剤および場合により少なくとも1種類の溶媒からなるものであり、該溶媒は好ましくは、固体分散体の総重量に対して5重量%未満、より好ましくは4重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満の量で存在させる。より好ましくは、上記の固体分散体は、スボレキサントまたはその塩、該ポリマーおよび非イオン性界面活性剤からなるものである。
固体分散体の調製方法
上記のように、本発明はまた、非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体の調製方法であって、
(a)スボレキサントまたはその塩を準備し、
(b)(a)で準備した該スボレキサントおよび少なくとも1種類のマトリックス化合物を、場合により界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤の存在下で溶媒に溶解または分散させて混合物を形成し、
(c)該溶媒の少なくとも一部、好ましくは基本的に全部を除去して
固体分散体を得ることを含み、該少なくとも1種類のマトリックス化合物が
(i)ポリマーであって、該固体分散体が該スボレキサントもしくはその塩を、該スボレキサントもしくはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも50重量%の量で含むものであるか、または
(ii)ケイ素系無機吸着剤である、
方法に関する。
工程(a)
スボレキサントの準備は、当業者に知られた任意の方法、例えばWO2012/148553A1に記載の方法などによって行われ得る。スボレキサントは任意の形態で、例えば、結晶形態もしくは非晶質形態で、または結晶形態と非晶質形態の混合体として準備され得る。好ましくは、工程(a)の化合物は、WO2012/148553A1に記載のもののような結晶形態で準備される。従って、工程(a)で準備されるスボレキサントは結晶形態IもしくはIIで存在させ得るか、またはIもしくはIIの混合体であり得る。好ましくは、スボレキサントは、WO2012/148553A1に記載のような多形形態IまたはIIで準備される。従って、本発明はまた、工程(a)において好ましくは多形形態IまたはIIの結晶のスボレキサントを準備する固体分散体の調製方法および上記の方法によって得られる、または得られ得る固体分散体に関する。
あるいは、工程(a)のスボレキサントを非晶質形態で準備する。どのようにして非晶質スボレキサントを調製するかについて特に制限はない。好ましくは、非晶質スボレキサントは、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が少なくとも1つの結晶形態、好ましくは結晶形態Iおよび/またはIIで存在しているスボレキサントから調製される。好ましくは、結晶のスボレキサントを少なくとも1種類の溶媒に溶解させ、得られた溶液を、非晶質スボレキサントが得られる少なくとも1つの処理段階に供する。少なくとも1種類の溶媒に関して特に制限はない。好ましくは、該少なくとも1種類の溶媒は、C1−C3ケトン、C1−C2ハロゲン化炭化水素、C1−C4アルコール、C2−C6エーテル、C3−C5エステルおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より、より好ましくはC1−C2ハロゲン化炭化水素からなる群より、より好ましくはジクロロメタンから選択される。非晶質スボレキサントが得られる該少なくとも1つの処理段階に関して特に制限はないが、非晶質スボレキサントが得られるものであるものとする。好ましくは、該処理段階は、スボレキサントの溶液の少なくとも一部を凍結乾燥または急速乾燥、好ましくは急速乾燥に供することを含むものであり、ここで、急速乾燥は好ましくは少なくとも1回の霧状化過程を含み、より好ましくは噴霧乾燥または噴霧造粒によって、好ましくは噴霧乾燥によって行われる。急速乾燥の前に、スボレキサントの溶液をスボレキサント含有量に関して、例えば濾過、遠心分離、エバポレーション、溶液へのスボレキサントの添加、またはこれらの方法の2つ以上の組み合わせによって濃縮してもよい。
従って、固体分散体の調製方法の他に、本発明はまた、スボレキサントが、
(a1)少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が少なくとも1つの結晶形態で存在しているスボレキサントを準備すること;
(a2)(a1)により準備したスボレキサントの少なくとも一部を少なくとも1種類の溶媒、好ましくはジクロロメタンに溶解させ、これにより、該スボレキサントを含む溶液を得ること;
(a3)(a2)により得られた溶液の少なくとも一部を、場合により濃縮後、凍結乾燥または急速乾燥、好ましくは急速乾燥に供し、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が非晶質形態で存在しているスボレキサントを得ること
を含む方法によって調製される方法に関する。
好ましい急速乾燥方法である噴霧乾燥に特に制限はないが、非晶質スボレキサントが得られるものであるものとする。好ましくは、使用される供給口温度は50から90℃の範囲、より好ましくは55から75℃の範囲である。好ましくは、使用される排出口温度は20から70℃の範囲、より好ましくは30から50℃の範囲である。
一般的に、本発明はまた、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が非晶質形態で存在するスボレキサントの調製のための方法であって、
(a1)少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が少なくとも1つの結晶形態で存在しているスボレキサントを準備すること;
(a2)(a1)により準備したスボレキサントの少なくとも一部を、少なくとも1種類の溶媒に溶解させ、これにより、該スボレキサントを含む溶液を得ること;
(a3)(a2)により得られた溶液の少なくとも一部を、場合により濃縮後、急速乾燥に供し、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が非晶質形態で存在するスボレキサントを得ること
を含み;
(a2)による該少なくとも1種類の溶媒が、好ましくは、水、C1−C3ケトン、C1−C2ハロゲン化炭化水素、C1−C4アルコール、C2−C6エーテル、C3−C5エステルおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より、より好ましくは、水、C1−C4アルコール、C1−C3ケトンおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択され、ここで、より好ましくは、該少なくとも1種類の溶媒は、C1−C2ハロゲン化炭化水素、好ましくはジクロロメタンを含み、より好ましくはC1−C2ハロゲン化炭化水素、好ましくはジクロロメタンからなる、
少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が非晶質形態で存在するスボレキサントの調製のための方法に関する。
さらに、本発明はまた、非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体の調製方法であって、
(a)スボレキサントまたはその塩を準備し、
(b)(a)で準備した該スボレキサントおよび少なくとも1種類のマトリックス化合物を、場合により界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤の存在下で溶媒に溶解または分散させて混合物を形成し、
(c)該溶媒の少なくとも一部、好ましくは基本的に全部を除去して
固体分散体を得ることを含み、該少なくとも1種類のマトリックス化合物が
(i)ポリマーであって、該固体分散体が該スボレキサントもしくはその塩を、該スボレキサントもしくはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも50重量%の量で含むものであるか、または
(ii)ケイ素系無機吸着剤であり、
ここで、工程(a)は
(a1)少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が少なくとも1つの結晶形態で存在しているスボレキサントを準備すること;
(a2)(a1)により準備したスボレキサントの少なくとも一部を少なくとも1種類の溶媒、好ましくはジクロロメタンに溶解させ、これにより、該スボレキサントを含む溶液を得ること;
(a3)(a2)により得られた溶液の少なくとも一部を、場合により濃縮後、凍結乾燥または急速乾燥、好ましくは急速乾燥に供し、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が非晶質形態で存在しているスボレキサントを得ること
を含むものである、
方法に関する。
工程(b)
工程(b)では、工程(a)で準備したスボレキサントを好ましくは、少なくとも1種類のマトリックス化合物と一緒に適切な溶媒に溶解または分散させる。両成分を一緒に溶解または分散させてもよく、逐次溶解または分散させてもよい。
用語「適切な溶媒」は、本明細書で用いる場合、スボレキサント拮抗薬と少なくとも1種類のマトリックス化合物の両方が充分な溶解度を有する溶媒もしくは溶媒混合物または適切に分散され得る溶媒もしくは溶媒混合物をいう。用語「充分な溶解度」は、室温で約10mg/mlより大きい溶解度を意味することを表す。スボレキサントとポリマーが所望の溶解度を得るために異なる溶媒を必要とする場合、好ましくは、溶媒の混合物が使用される。この場合、少なくとも1種類の溶媒とオレキシン受容体拮抗薬を含む混合物を得るために、スボレキサントは該少なくとも1種類の溶媒に溶解され得る。同様に、該ポリマーと少なくとも1種類のさらなる溶媒を含む混合物を得るために、該ポリマーは該少なくとも1種類のさらなる溶媒に溶解され得る。次いで、両混合物が一緒に混合され得る。
スボレキサントとポリマーは適切な溶媒(溶媒混合物を含む。)に、一緒に溶解または分散させてもよく、逐次溶解または分散させてもよい。
適切な溶媒の例としては、限定されないが、水、C1−C3ケトン、C1−C2ハロゲン化炭化水素、C3−C4アルコール、C2−C6エーテル、C3−C5エステルおよびこれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる(より好ましくは、C1−C3ケトンおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より)。より好ましくは、溶媒は、ジクロロ(dichlor)メタン、クロロホルム、エタノール、メタノール、THF、2−プロパノール、酢酸エチル、アセトン、水またはその混合物からなる群より選択される。好ましくは、溶媒は、ジクロロメタン、THF、メチルTHFおよびその2種類以上の混合物からなる群より選択される。
この場合の少なくとも1種類のマトリックス化合物がケイ素系無機吸着剤およびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択される場合、方法は、該少なくとも1種類のマトリックス化合物を、スボレキサントを含む溶液に分散させることを含むものであることが好ましい。
従って、スボレキサントが溶解され得、少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤が分散され得る溶媒が好ましい。好ましくは、該少なくとも1種類の適切な溶媒は、水、C1−C3ケトン、C1−C2ハロゲン化炭化水素、C3−C4アルコール、C2−C6エーテル、C3−C5エステルおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より、より好ましくはC1−C3ケトンおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択される。
少なくとも1種類の溶媒に対するスボレキサントと少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤の重量比に関して特に制限はないが、最終的に得られる混合物が、該少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤がスボレキサントの該少なくとも1種類の溶媒中の溶液中に分散された混合物であって、後続の工程(c)に供され得る混合物であるものとする。好ましくは、該少なくとも1種類の溶媒、好ましくはジクロロメタンに対するスボレキサントまたはその塩+該少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤の重量比、好ましくは、スボレキサントまたはその塩+少なくとも1種類のシリカの重量比は0.01:1から0.3:1の範囲、好ましくは0.02:1から0.2:1の範囲、より好ましくは0.05:1から0.2:1の範囲である。また、好ましくは、該少なくとも1種類の溶媒、好ましくはジクロロメタンに対するスボレキサント+該少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤の重量比、好ましくは、スボレキサント+少なくとも1種類のシリケート、好ましくは、好ましくは少なくとも1種類のアルカリ金属元素および/または少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素、より好ましくは少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素、より好ましくはマグネシウムを含むアルミノシリケートの重量比は0.01:1から0.3:1の範囲、より好ましくは0.02:1から0.2:1の範囲、より好ましくは0.05:1から0.2:1の範囲である。
少なくとも1種類の溶媒へのスボレキサントの溶解方法を加速および/または改善するために適切な方法が適用され得る。例えば、該溶解方法は、適切な温度を選択すること、撹拌すること、および/またはそれぞれの混合物を超音波処理に供することにより影響され得、このとき、これらの方法は全体をとおして適用してもよく、混合過程の1回以上の一部分に適用してもよい。
好ましくは、少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤(好ましくは、シリカ、シリケートおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択される。)のスボレキサントの少なくとも1種類の溶媒中の溶液中の分散体は、10から40℃の範囲、より好ましくは15から35℃の範囲、より好ましくは20から30℃の範囲温度で、好ましくは周囲圧力で調製される。
工程(b)で得られた溶液を直接、本発明による方法の工程(c)で使用してもよい。好ましい一実施形態によれば、形成された溶液は、工程(c)で使用する前に精製される。これに関連する用語「精製される」とは、例えば、非溶解粒子、例えば非溶解ポリマーおよび/または非溶解オレキシン受容体拮抗薬が当業者に知られた適切な方法、例えば遠心分離、濾過、限外濾過などによって除去され得ることを意味する。好ましくは、工程(b)の溶液は工程(c)の前に濾過される。
従って、本発明はまた、
(a)スボレキサントまたはその塩もしくは溶媒を準備し(ここで、該スボレキサントは好ましくは結晶性である。)、
(b)工程(a)で準備したスボレキサントおよび少なくとも1種類のマトリックス化合物を、場合により界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤の存在下で溶媒に溶解または分散させて溶液を形成し、該溶液を濾過し、
(c)該溶媒の少なくとも一部、好ましくは基本的に全部を除去して
固体分散体を得ること
を含む、上記の方法に関する。
工程(c)
上記の方法の工程(c)では、溶媒の少なくとも一部、好ましくは基本的に全部を除去する。「基本的に全部」は、工程(b)による溶液中に存在する溶媒の少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも96重量%、より好ましくは少なくとも97重量%、より好ましくは少なくとも98重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%、より好ましくはすべてが工程(c)で除去されることを意味することを表す。
好ましくは、この方法によってかくして得られる、または得られ得る固体分散体に含まれている溶媒は、該固体分散体の総重量に対して5重量%未満、より好ましくは4重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満である。最も好ましくは、該溶液中に存在しているすべての溶媒が除去されて固体分散体が得られる。
溶媒の除去は、任意の当業者に知られた適切な方法、例えばエバポレーション、凍結乾燥、溶融押出し、ドラム乾燥、凍結乾燥または他の溶媒除去法によって行われ得る。好ましくは、溶媒は噴霧乾燥またはエバポレーションによって除去される。噴霧乾燥は、固体分散体を調製するための当業者によく知られた方法である。かかる噴霧乾燥法では、溶液をアトマイザーから乾燥チャンバ内にポンプ輸送し、これにより溶媒が除去されると固体分散体が形成される。乾燥過程では高温の気体、例えば空気、窒素、窒素高含有空気またはアルゴンを用いて粒子を乾燥させる。溶液は、当該技術分野でよく知られた慣用的な手段、例えば、二流体超音波処理ノズルおよび二流体非超音波処理ノズルによって霧状化され得る。
好ましくは、溶媒はエバポレーションによって、例えば、減圧下でのエバポレーションによって除去される。好ましくは、工程(c)における圧力は50から450mbarの範囲、より好ましくは50から250mbarの範囲、より好ましくは50から200mbarの範囲である。
エバポレーション中の温度は変動させてもよく、基本的に一定に保持してもよく、好ましくは20から40℃の範囲、より好ましくは25から40℃の範囲、最も好ましくは35から40℃の範囲である。
また、上記のように、本発明はまた、非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体の調製方法であって、
(a’)スボレキサントまたはその塩を準備し、
(b’)(a’)で準備したスボレキサントと少なくとも1種類のマトリックス化合物を混合して混合物を形成し、
(c’)(b’)による混合物をミリングして
固体分散体を得ることを含み、該マトリックス化合物が
(i)ポリマーであって、該固体分散体が該スボレキサントまたはその塩を、該スボレキサントまたはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%の量で含むものであるか、または
(ii)ケイ素系無機吸着剤である、
方法に関する。
工程(a’)
スボレキサントの準備は、当業者に知られた任意の方法、例えばWO2012/148553A1に記載の方法などによって行われ得る。スボレキサントは任意の形態で、例えば、結晶形態もしくは非晶質形態で、または結晶形態と非晶質形態の混合体として準備され得る。好ましくは、工程(a)の化合物は、WO2012/148553A1に記載のもののような結晶形態で準備される。従って、工程(a)で準備されるスボレキサントは結晶形態IもしくはIIで存在させ得るか、またはIもしくはIIの混合体であり得る。好ましくは、スボレキサントは、WO2012/148553A1に記載のような多形形態IまたはIIで準備される。
従って、本発明はまた、工程(a’)において好ましくは多形形態IまたはIIの結晶のスボレキサントを準備する固体分散体の調製方法および上記の方法によって得られる、または得られ得る固体分散体に関する。
あるいは、工程(a)のスボレキサントを非晶質形態で準備する。どのようにして非晶質スボレキサントを調製するかについて特に制限はない。工程(a)との関連において上記に開示した、考えられ得る好ましい調製を充分に参照されたい。
さらに、本発明はまた、非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体の調製方法であって、
(a’)スボレキサントまたはその塩を準備し、
(b’)(a’)で準備したスボレキサントと少なくとも1種類のマトリックス化合物を混合して混合物を形成し、
(c’)(b’)による混合物をミリングして
固体分散体を得ることを含み、該マトリックス化合物が
(i)ポリマーであって、該固体分散体が該スボレキサントまたはその塩を、該スボレキサントまたはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%の量で含むものであるか、または
(ii)ケイ素系無機吸着剤であり、
ここで、工程(a’)は
(a1)少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が少なくとも1つの結晶形態で存在しているスボレキサントを準備すること;
(a2)(a1)により準備したスボレキサントの少なくとも一部を少なくとも1種類の溶媒、好ましくはジクロロメタンに溶解させ、これにより、該スボレキサントを含む溶液を得ること;
(a3)(a2)により得られた溶液の少なくとも一部を、場合により濃縮後、凍結乾燥または急速乾燥、好ましくは急速乾燥に供し、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が非晶質形態で存在しているスボレキサントを得ること
を含むものである、
方法に関する。
工程(b’)
工程(b’)では、工程(a’)で準備したスボレキサントを好ましくは、(a’)で準備したスボレキサントおよび少なくとも1種類のマトリックス化合物と混合して混合物を形成する。
好ましくは、混合は、0から50℃、より好ましくは5から45℃、より好ましくは10から40℃、より好ましくは15から35℃、より好ましくは20から30℃の範囲の温度で行われる。好ましくは、混合は、500mbarから5bar、より好ましくは750mbarから2bar、より好ましくは900mbarから1.5bar、より好ましくは0.95から1.05barの範囲の絶対圧力で行われる。
好ましくは、(b’)により、(a’)により準備したスボレキサントおよび少なくとも1種類のマトリックス化合物以外の成分は混合しない。従って、(c’)による混合物の少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%が、(a’)で準備したスボレキサントと該少なくとも1種類のマトリックス化合物からなることが好ましい。また、(b’)により、(a’)により準備したスボレキサントと該少なくとも1種類のマトリックス化合物を乾燥状態で混合することが好ましい。好ましくは、(b’)による混合物には、ジクロロメタン、THF、エタノールおよびその2種類以上の混合物からなる群より選択される溶媒が含有されておらず、より好ましくは有機溶媒が含有されておらず、より好ましくは溶媒が含有されていない。
工程(c’)
(c’)による混合物のミリングはドライミリング法によって行われることが好ましい。当該技術分野で知られたミリング装置、好ましくは種々の型のボールミルが使用され得る。ボールミルの一例はRetschミル(Retsch GmbH,Germany)であり、これは振動ボールミルである。Retschミルを使用した場合のミリング時間はミルの大きさ、回転速度ならびに供給材料の型および量に依存する。このような可変量の影響は当該技術分野で知られており、本発明は、このような可変量の広い範囲において実施され得る。典型的なミリング時間は実験室規模の設備(25mlのミリングセル)で約10から約120分間、好ましくは20から40分間の範囲である。ミリング周波数は、実験室規模の設備で典型的には20から35Hz、好ましくは25から30Hzの範囲である。このような設定は、大規模の設備を使用する場合、適合策が必要となる場合があり得る。
医薬組成物
本発明の別の態様において、本発明は、上記の固体分散体または上記の方法によって得られる、もしくは得られ得る固体分散体を含む医薬組成物に関する。医薬組成物は好ましくは、枢要な成分としての固体分散体を、固体分散体中に存在させる少なくとも1種類のマトリックス化合物に加えて少なくとも1種類のさらなる賦形剤と一緒に含むものである。該少なくとも1種類のさらなる賦形剤は固体分散体中に含めてもよく、該分散体に逐次添加しても混合してもよい。好ましくは、医薬組成物は、固体分散体中に存在するスボレキサントに加えてさらなるスボレキサントを含まないものである。従って、医薬組成物中に存在しているスボレキサントの好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも96重量%、より好ましくは少なくとも97重量%、より好ましくは少なくとも98重量%、より好ましくは少なくとも重量基準で99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%、より好ましくはすべてが非晶質形態で存在している。
適切な医薬用賦形剤としては、限定されないが、担体、充填剤、希釈剤、滑沢剤、甘味料、安定化剤、可溶化剤、酸化防止剤および保存料、フレーバー剤、結合剤、着色剤、浸透圧剤 保存料、バッファー、界面活性剤、造粒剤および崩壊剤ならびにその組み合わせが挙げられる。
希釈剤の例としては、限定されないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、微晶質セルロース、マンニトール、デンプン、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。
造粒剤および崩壊剤の例はコーンスターチ、アルギン酸、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムなどである。
本発明の医薬組成物は場合により1種類以上の界面活性剤を含むものであり得、該界面活性剤はイオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤であり得る。界面活性剤は、ぬれ性を助長し、これにより、溶解している薬物の最大濃度を増大させることにより溶解速度を増大させ得るものである。また、界面活性剤は、該分散体をより加工処理し易くするものであり得る。また、界面活性剤は、溶解している薬物との錯化、包接錯体の形成、ミセルの形成および固体の該薬物の表面への吸着などの機構によって相互作用させることにより、該薬物の結晶化または析出を抑止することによって非晶質の該分散体を安定化させ得るものである。適切な界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤および非イオン性界面活性剤が挙げられる。
このようなものとしては、例えば、脂肪酸およびアルキルスルホン酸の塩;カチオン界面活性剤、例えば、塩化ベンザルコニウム);アニオン界面活性剤、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム);ソルビタン脂肪酸エステル;ビタミンE TPGS;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンヒマシ油ならびに水添ヒマシ油、例えば、Cremophor RH−40およびCremopher EL;Liposorb P−20、Capmul POE−0、ならびに天然界面活性剤、例えば、レシチンおよび他の脂質ならびにモノ−およびジグリセリドが挙げられる。
従って、本発明はまた、アニオン界面活性剤および非イオン性界面活性剤からなる群より選択される1種類以上の界面活性剤を含むものである上記の医薬組成物に関する。
好ましくは、医薬組成物は、ドデシル硫酸ナトリウムならびに(a)ソルビタン脂肪酸エステル、(b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(c)ポリオキシエチレンヒマシ油、(d)ポリオキシエチレン水添ヒマシ油および(e)ビタミンE TPGS;ならびにその混合物から選択される1種類以上の非イオン性界面活性剤から選択される1種類以上の界面活性剤を含むものである。
担体の例としては、限定されないが、溶媒、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ポリソルベート80(Tween(R)80)、ポリ(エチレン)グリコール300および400(PEG 300および400)、PEG化ヒマシ油(例えば、Cremophor(R)EL)、ポロキサマー407および188、疎水性担体、脂肪乳剤、脂質、PEG化リン脂質(phopholid)、ポリマーマトリックス、生体適合性ポリマー、リポスフィア、小胞、粒子およびリポソーム、またはその組み合わせが挙げられる。
浸透圧剤の例としては、塩化ナトリウム、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、グルコースまたはその組み合わせが挙げられる。
結合剤としては、アカシアガム、デンプン、ゼラチン、スクロース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ソルビトール、またはトラガカントメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、またはその組み合わせが挙げられ得る。
充填剤の例としては、リン酸カルシウム、グリシン、ラクトース、トウモロコシデンプン、ソルビトール、スクロース、またはその組み合わせが挙げられ得る。
例示的な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウムまたは他のステアリン酸金属塩、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ワックス、油、シリカおよびコロイド状シリカ、シリコン(silicon)液、タルク、またはその組み合わせが挙げられる。
フレーバー剤としては、FTAによって菓子類および医薬品、食品、キャンディーおよび飲料などにおける使用が承認されたフレーバー剤が好ましい。好ましくは、このようなフレーバー剤は、グレープ、チェリー、柑橘類、ピーチ、ストロベリー、風船ガム、ペパーミントなど、または他の風味を付与するものである。ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジフレーバーなどが一例として挙げられる。
本発明の医薬組成物には好ましくは、治療有効量のスボレキサントが含有されている。用語「治療有効量」は、本明細書で用いる場合、睡眠障害の1つ以上の症状の発現が予防されるのに充分な、または該症状がある程度緩和されるのに充分な、投与される固体分散体または医薬組成物中に存在するスボレキサントの量をいう。
本発明の医薬組成物は好ましくは、患者(限定されないが、哺乳動物、例えばヒトが挙げられる。)に、例えば錠剤、丸剤、顆粒剤などの形態で経口投与される。また、本発明の医薬組成物を、該組成物と医療的に不適合性でない他の治療用薬剤および/または予防用薬剤および/または投薬物とともに投与してもよいことは自明であろう。
好ましくは、例えば、任意の本発明の医薬組成物は錠剤の形態である。一般的に、錠剤の非晶質スボレキサントに関する錠剤総重量に対する含有量は少なくとも5重量%である。好ましい範囲は5から95重量%または5から85重量%または5から75重量%または5から65重量%または5から55重量%または5から45重量%または5から35重量%または5から25重量%または5から15重量%、例えば、5から10重量%または10から15重量%であり得る。
錠剤には少なくとも1種類の賦形剤が含まれ得る。一般的に、このような賦形剤の化学的性質に関して特に制限はないが、錠剤中に含められる賦形剤または賦形剤混合物は医薬として許容されるものであるものとし、スボレキサントは錠剤中で非晶質形態で安定なものであるものとする。医薬として許容される賦形剤は、スボレキサントの有効活性と整合する濃度において患者に対して相対的に無毒性および無害なものであり、このため、賦形剤に起因する副作用(あれば)によってスボレキサントの有益な効果が損なわれない任意の賦形剤である。従って、本発明によれば、賦形剤は、例えば、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、充填剤、可塑剤、界面活性剤および湿潤剤、膜形成剤およびコーティング材料、甘味料、フレーバー剤、ならびに着色剤(例えば顔料など)である。また、医薬組成物の分野で知られている他の賦形剤も使用され得る。
適切な崩壊剤としては、限定されないが、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロース(架橋カルボキシメチルセルロース)ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、クロスポビドン(架橋ポビドン、N−ビニル−2−ピロリドンの合成の架橋ホモポリマー)、アルギン酸、微晶質セルロース(例えば、アルファセルロースから得られたリファイニングされた木材パルプ)、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポラクリリンカリウム、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン部分水解物、カルボキシメチルデンプンナトリウムおよびデンプンが挙げられ得る。
適切な結合剤としては、限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース,HPMC)、微晶質セルロース、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮糖、エチルセルロース、ゼラチン、ブドウ糖液、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびアルファ化デンプンが挙げられ得る。
適切な滑沢剤としては、限定されないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸、フマル酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸亜鉛およびポリエチレングリコールが挙げられ得る。
適切な充填剤としては、限定されないが、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、微晶質セルロース、シリケート型微晶質セルロース、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、ラクトース、例えば無水形態など、または水和物形態、例えば一水和物形態、糖類、例えばデキストロース、マルトース、サッカロース、グルコース、フルクトースまたはマルトデキストリン、糖アルコール、例えばマンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、粉末化セルロース、沈降炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウムおよびデンプンが挙げられ得る。
適切な界面活性剤および湿潤剤としては、限定されないが、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、ソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、塩化ベンザルコニウム、ノノキシノール10、オクトキシノール9、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60またはポリソルベート80、ソルビタンモノパルミテート、脂肪族アルコールの硫酸エステルのナトリウム塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸エステルのナトリウム塩、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、脂肪酸とアルコールとの部分エステル、例えばグリセリンモノステアレート、脂肪酸とソルビタンとの部分エステル、例えばソルビタンモノラウレート、脂肪酸とポリヒドロキシエチレンソルビタンとの部分エステル、例えばポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート、−モノステアレートまたは−モノオレエート、脂肪族アルコールとポリヒドロキシエチレンとのエーテル、脂肪酸とポリヒドロキシエチレンとのエステル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー(Pluronic(R))およびエトキシル化トリグリセリドが挙げられ得る。
適切な膜形成剤およびコーティング材料としては、限定されないが、ブドウ糖液、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース,HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、シェラック、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、例えばKollidon(R)VA64 BASF、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルとトリメチルアンモニウムメチルアクリレートとのコポリマー、ジメチルアミノメタクリル酸と中性メタクリル酸エステルのコポリマー、メタクリル酸またはメタクリル酸エステルのポリマー、アクリル酸エチルエステルとメタクリル酸メチルエステルのコポリマー、ならびにアクリル酸とアクリル酸メチルエステルのコポリマーが挙げられ得る。
適切な可塑剤としては、限定されないが、ポリエチレングリコール、フタル酸ジエチルおよびグリセロールが挙げられ得る。
適切な着色剤としては、限定されないが、顔料、無機顔料、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD&C Yellow No.6、FD&C Blue No.2、D&C Green No.5、D&C Orange No.5、D&C Red No.8、カラメル、酸化第二鉄の赤色、酸化第二鉄の黄色および二酸化チタンが挙げられ得る。
使用され得る適切なさらなる一般的に使用される賦形剤としては、限定されないが、酸性化剤、例えば酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸および硝酸;アルカリ化剤、例えばアンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンおよびトロラミン;吸着剤、例えば粉末化セルロースおよび活性炭;安定化剤および酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸(hypophosphorus)酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウム;結合材料、例えばブロックポリマー、天然および合成のゴム、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、ポリシロキサンおよびスチレン−ブタジエンコポリマー;緩衝剤、例えばメタリン酸カリウム、リン酸二カリウム、酢酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム水和物;カプセル封入剤、例えばゼラチン、デンプンおよびセルロース誘導体;フレーバー、矯味矯臭薬(masking agent)および香料、例えばアニス油、シナモン油、ココア、メントール、オレンジ油、ペパーミント油およびバニリン;保湿剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールおよびソルビトール;甘味料、例えばアスパルテーム、デキストロース、グリセロール、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトールおよびスクロース;固結防止剤、例えばステアリン酸マグネシウムおよびタルク;直接圧縮賦形剤、例えば二塩基性リン酸カルシウム、ラクトースおよび微晶質セルロース;錠剤研磨剤、例えばカルナウバワックスおよび白蝋が挙げられ得る。
好ましくは、賦形剤としては、微晶質セルロース;ラクトース、好ましくはラクトース水和物、より好ましくはラクトース一水和物;クロスカルメロース、好ましくはクロスカルメロースナトリウム;ステアレート、好ましくはステアリン酸マグネシウムのうちの1種類以上が挙げられる。
錠剤の調製では、工程(a)、(b)および(c)を含む方法との関連において本明細書に記載のようなスボレキサントを溶媒に溶解させ、溶媒を適切に除去することを含めて調製される本発明の固体分散体が使用され得る。さらに、錠剤の調製では、工程(a’)、(b’)および(c’)を含む方法との関連において本明細書に記載のようなミリングすることを含めて調製される本発明の固体分散体が使用され得る。またさらには、錠剤の調製では、このような固体分散体の組み合わせを使用してもよい。
錠剤はコーティングされていない錠剤、コーティング錠、発泡錠、溶解錠、分散錠、口腔内崩壊錠、口内での使用のための錠剤、またはチュアブル錠であり得る。
上記の固体分散体を、本発明の化合物が有用である疾患または病状の予防、治療、コントロール、改善、またはそのリスクの低減に使用される他の薬物と併用して使用してもよい。かかる他の薬物は、該薬物に対して一般的に使用される経路および量で本発明の固体分散体と並存的に、または逐次投与され得る。
使用
上記の固体分散体または上記の医薬組成物は、オレキシン受容体活性に対して拮抗作用をもたらす方法に有用である。従って、本発明ではまた、オレキシン受容体活性の拮抗薬としての使用のための上記の固体分散体または上記の医薬組成物も記載している。特に、上記の固体分散体または上記の医薬組成物は、オレキシン受容体と関連しているさまざまな神経系および精神系の障害を治療する、予防する、改善する、コントロールする、もしくはそのリスクを低減させるため、特に、睡眠の質を高めるため;睡眠維持を増大させるため;REM睡眠を多くするため;ステージ2の睡眠を多くするため;睡眠パターンの断続化を低減させるため;不眠症を治療するため;認知力を高めるため;記憶保持を増大させるため;肥満を治療もしくはコントロールするため;鬱を治療もしくはコントロールするため;てんかん、例えば欠神てんかんを治療する、コントロールする、改善する、もしくはそのリスクを低減させるため;疼痛、例えば神経障害性疼痛を治療もしくはコントロールするため;パーキンソン病を治療もしくはコントロールするため;精神病を治療もしくはコントロールするため;または統合失調症を治療する、コントロールする、改善する、もしくはそのリスクを低減させるために、必要とする哺乳動物患者において使用される。
特に、上記の固体分散体または上記の医薬組成物は、睡眠障害の治療もしくは予防において治療するため、特に、睡眠の質を高めるため、または不眠症を治療するために哺乳動物患者において使用される。特に、上記の固体分散体または上記の医薬組成物は、肥満を治療またはコントロールするために哺乳動物患者において使用される。
本明細書で用いる場合、用語「治療」および「治療する」とは、本明細書に記載の神経系および精神系の障害の進行の遅滞、遮断、阻止、コントロールまたは停止がみとめられ得るあらゆる方法(だが、必ずしも、障害のあらゆる症状の完全な解消を示しているのではない。)、ならびに記載の病状の予防的治療(特に、かかる疾患または障害に対して素因を有する患者において)をいう。
さらに、本発明はまた、睡眠の質を高めることを、必要とする哺乳動物患者において施すための方法であって、医薬組成物を該患者に投与することを含むに関する。さらに、本発明はまた、不眠症を治療することを、必要とする哺乳動物患者において施すための方法であって、上記の医薬組成物を該患者に投与することを含む方法に関する。さらに、本発明はまた、肥満を治療またはコントロールすることを、必要とする哺乳動物患者において施すための方法であって、上記の医薬組成物を該患者に投与することを含む方法に関する。
本発明の組成物中のスボレキサントの投薬量は種々であり得るが、スボレキサントの量は、適切な投薬形態が得られるようなものであることが必要である。投薬レジメンは、担当医師および他の臨床的要素によって決定される。医療分野では、任意の患者に対する投薬量が多くの要素、例えば患者の体格、体表面積、年齢、性別、投与期間および投与経路、一般健康状態ならびに同時に投与を受けている他の薬物に依存することはよく知られている。有効性は定期的評価によってモニタリングされ得る。スボレキサントは、かかる治療を必要とする患者(動物およびヒト)に、最適な薬学的有効性がもたらされる投薬量で投与され得る。典型的な投薬量は、例えば10から80mgの範囲(10、20、40または80mgなど)であり得る。
一例として、本発明の以下の特に好ましい実施形態ならびにそれぞれの従属性および参照性によって示唆される実施形態の組み合わせを記載する:
1.非晶質形態のスボレキサント([(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノン)またはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体であって、該少なくとも1種類のマトリックス化合物が
(i)ポリマーであって、該固体分散体が、該スボレキサントまたはその塩を、該スボレキサントまたはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%の量で含むものであるか、または
(ii)ケイ素系無機吸着剤である、
固体分散体。
2.固体分散体中に存在するスボレキサントまたはその塩の少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは全部が非晶質形態で存在している、実施形態1による固体分散体。
3.(ii)の少なくとも1種類のマトリックス化合物の吸着−脱着等温線において、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、25℃における50%相対湿度と90%相対湿度での質量の差Δm(吸着)が40%以上である、実施形態1または2による固体分散体。
4.(ii)の少なくとも1種類のマトリックス化合物の吸着−脱着等温線において、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、25℃における0%相対湿度と50%未満の相対湿度での質量の差Δm(吸着)が20%以下である、実施形態1から3のいずれか1つによる固体分散体。
5.(i)のポリマーが、セルロース誘導体またはポリビニルカプロラクタムポリ酢酸ビニルポリエチレングリコールグラフトポリマーである、実施形態1から4のいずれか1つの固体分散体。
6.(i)のポリマーがポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコール、好ましくはソルプラスである、実施形態1から5のいずれか1つによる固体分散体。
7.(i)のポリマーが、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースおよびその2種類以上または混合物、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシメチルセルロースからなる群より選択されるセルロース誘導体である、実施形態1から6のいずれか1つによる固体分散体。
8.セルロース誘導体が0.3から2.8の範囲、好ましくは0.6から2.5の範囲、より好ましくは1.0から2.3の範囲、より好ましくは1.3から2.0の範囲の置換度(DS)を有するものである、実施形態7による固体分散体。
9.(i)の場合の固体分散体がスボレキサントまたはその少なくとも1種類の塩を、該スボレキサントまたはその少なくとも1種類の塩と少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは80から95%重量%の範囲の量で含むものである、実施形態1から8のいずれか1つによる固体分散体。
10.(ii)のケイ素系無機吸着剤の吸着−脱着等温線において、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、75%相対湿度および25℃における質量の差Δm(脱着)が、75%相対湿度および25℃における質量の差Δm(吸着)以上である、実施形態1から4のいずれか1つによる固体分散体。
11.(ii)のケイ素系無機吸着剤が、6.0から9.0の範囲、好ましくは6.5から8.5の範囲、より好ましくは6.8から8.0の範囲のpHを有するものである、実施形態1から4または10のいずれか1つによる固体分散体。
12.(ii)の少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤が、1.0から5.0ml/gの範囲、好ましくは2から3.5ml/gの範囲の油吸着量を有するものである、実施形態1から4または10または11のいずれか1つによる固体分散体。
13.(ii)の少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤が、0.05から0.25g/mlの範囲、好ましくは0.10から0.22g/mlの範囲、より好ましくは0.10から0.16g/mlの範囲のかさ密度を有するものである、実施形態1から4または10から12のいずれか1つによる固体分散体。
14.(ii)のケイ素系無機吸着剤がシリカ、シリケートおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択され、該シリカが好ましくは、フュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、コロイド状シリカおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択され、該シリケートが好ましくは、好ましくは少なくとも1種類のアルカリ金属元素および/または少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素、より好ましくは少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素、より好ましくはマグネシウムを含むものであるアルミノシリケートであり、該少なくとも1種類のケイ素系無機吸着剤のより好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%が非晶質形態で存在している、実施形態1から4または10から13のいずれか1つによる固体分散体。
15.(ii)の場合の固体分散体が、スボレキサントまたはその少なくとも1種類の塩を、スボレキサントまたはその少なくとも1種類の塩と少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して、10から70重量%の範囲、より好ましくは20から65重量%の範囲、より好ましくは30から60重量%の範囲、より好ましくは35から55重量%の範囲、より好ましくは40から55重量%の範囲、より好ましくは45から55重量%の範囲の量で含むものである、実施形態1から4または10から14のいずれか1つによる固体分散体。
16.固体分散体の少なくとも99重量%、好ましくは少なくとも99.5重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%がスボレキサントまたはその塩、少なくとも1種類のマトリックス化合物および場合により少なくとも1種類の溶媒からなるものである、実施形態1から15のいずれか1つによる固体分散体。
17.スボレキサントまたはその塩、少なくとも1種類のマトリックス化合物および少なくとも1種類の溶媒からなる、実施形態1から16のいずれか1つによる固体分散体。
18.スボレキサントまたはその塩および少なくとも1種類のマトリックス化合物からなる、実施形態1から16のいずれか1つによる固体分散体。
19.非イオン性界面活性剤、好ましくは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、より好ましくは、以下の式:
OH−[CH−CH−O]−[CH−CH(CH)−O]−[CH−CH−O]−H
によるエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーを含む、実施形態1から15のいずれか1つによる固体分散体。
20.aが、50から150、好ましくは60から130、より好ましくは70から110の範囲であり、bが、10から80、好ましくは20から70、より好ましくは30から60の範囲である、実施形態19による固体分散体。
21.aが75から85の範囲であり、bが25から30の範囲である、実施形態19または20による固体分散体。
22.固体分散体の少なくとも99重量%、好ましくは少なくとも99.5重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%がスボレキサントまたはその塩、少なくとも1種類のマトリックス化合物、非イオン性界面活性剤および場合により少なくとも1種類の溶媒からなる、実施形態19から21のいずれか1つによる固体分散体。
23.スボレキサントまたはその塩、少なくとも1種類のマトリックス化合物、非イオン性界面活性剤および少なくとも1種類の溶媒からなる、実施形態19から22のいずれか1つによる固体分散体。
24.スボレキサントまたはその塩、非イオン性界面活性剤および少なくとも1種類のマトリックス化合物からなる、実施形態19から22のいずれか1つによる固体分散体。
25.非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体の調製方法であって、
(a)スボレキサントまたはその塩を準備し、
(b)(a)で準備した該スボレキサントおよび少なくとも1種類のマトリックス化合物を溶媒に溶解または分散させて混合物を形成し、
(c)該溶媒の少なくとも一部、好ましくは基本的に全部を除去して
固体分散体を得ることを含み、該マトリックス化合物が
(i)ポリマーであって、該固体分散体が、該スボレキサントまたはその塩を、該スボレキサントまたはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%の量で含むものであるか、または
(ii)ケイ素系無機吸着剤である、
方法。
26.工程(a)において結晶のスボレキサントを準備する、実施形態25による方法。
27.工程(a)において結晶形態IまたはIIのスボレキサントを準備する、実施形態25による方法。
28.固体分散体中に含まれるすべてのスボレキサントの少なくとも80重量%が非晶質である、実施形態25から27のいずれか1つによる方法。
29.(b)の少なくとも1種類の溶媒が有機溶媒、好ましくはジクロロメタン、THF、エタノールおよびその2種類以上の混合物からなる群より選択される溶媒である、実施形態25から28のいずれか1つによる方法。
30.(b)の溶液を工程(c)の前に濾過する、実施形態25から29のいずれか1つによる方法。
31.工程(c)において溶液を好ましくは50から450mbarの範囲の圧力でエバポレートする、実施形態25から30のいずれか1つによる方法。
32.非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体の調製方法であって、
(a’)スボレキサントまたはその塩を準備し、
(b’)(a’)で準備したスボレキサントと少なくとも1種類のマトリックス化合物を混合して混合物を形成し、
(c’)(b’)による混合物をミリングして
固体分散体を得ることを含み、該マトリックス化合物が
(i)ポリマーであって、該固体分散体が該スボレキサントまたはその塩を、該スボレキサントまたはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%の量で含むものであるか、または
(ii)ケイ素系無機吸着剤である、
方法。
33.工程(a’)において結晶のスボレキサントを準備する、実施形態32による方法。
34.工程(a’)において結晶形態IまたはIIのスボレキサントを準備する、実施形態33による方法。
35.固体分散体中に含まれているすべてのスボレキサントの少なくとも80重量%が非晶質である、実施形態32から34のいずれか1つによる方法。
36.(c’)による混合物の少なくとも99重量%、好ましくは少なくとも99.5重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%が、(a’)で準備したスボレキサントと少なくとも1種類のマトリックス化合物からなる、実施形態32から35のいずれか1つによる方法。
37.(c’)により混合物がミリングされる、実施形態32から36のいずれか1つによる方法。
38.(c’)により混合物がドライミリングされる、実施形態32から37のいずれかによる方法。
39.少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が非晶質形態で存在するスボレキサントの調製のための方法であって、
(a1)少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が少なくとも1つの結晶形態で存在しているスボレキサントを準備すること;
(a2)(a1)により準備したスボレキサントの少なくとも一部を、少なくとも1種類の溶媒に溶解させ、該スボレキサントを含む溶液を得ること;
(a3)(a2)により得られた溶液の少なくとも一部を、場合により濃縮後、急速乾燥に供し、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.9重量%の部分が非晶質形態で存在するスボレキサントを得ること
を含み;
(a2)による少なくとも1種類の溶媒が、好ましくは、水、C1−C3ケトン、C1−C2ハロゲン化炭化水素、C1−C4アルコール、C2−C6エーテル、C3−C5エステルおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より、より好ましくは、水、C1−C4アルコール、C1−C3ケトンおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択され、ここで、より好ましくは、該少なくとも1種類の溶媒はC1−C2ハロゲン化炭化水素、より好ましくはジクロロメタンを含み、より好ましくは、C1−C2ハロゲン化炭化水素、より好ましくはジクロロメタンからなる、
方法。
40.実施形態25から31のいずれか1つによる方法または実施形態32から38のいずれか1つによる方法によって得られ得る、または得られる固体分散体。
41.実施形態1から24のいずれか1つによる固体分散体または実施形態40による固体分散体を含む医薬組成物。
42.アニオン界面活性剤および非イオン性界面活性剤からなる群より選択される1種類以上の界面活性剤を含む実施形態41の医薬組成物。
43.ドデシル硫酸ナトリウムならびに(a)ソルビタン脂肪酸エステル、(b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(c)ポリオキシエチレンヒマシ油、(d)ポリオキシエチレン水添ヒマシ油および(e)ビタミンE TPGSからなる群より選択される1種類以上の非イオン性界面活性剤;ならびにその混合物からなる群より選択される1種類以上の界面活性剤を含む実施形態41または42の医薬組成物。
44.錠剤の形態である、実施形態41から43のいずれか1つの医薬組成物。
45.睡眠障害の治療または予防における使用のための実施形態1から24のいずれか1つによる固体分散体を含む医薬組成物または実施形態41から44のいずれか1つによる医薬組成物。
46.実施形態41から44のいずれか1つによる医薬組成物を投与することを含む、睡眠の質を高めることを、必要とする哺乳動物患者において施すための方法。
47.実施形態41から44のいずれか1つによる医薬組成物を投与することを含む、不眠症を治療することを、必要とする哺乳動物患者において施すための方法。
48.患者に実施形態41から44のいずれか1つによる医薬組成物を投与することを含む、肥満を治療またはコントロールすることを、必要とする哺乳動物患者において施すための方法。
49.非晶質スボレキサントまたは非晶質のスボレキサント塩を固体分散体中および/または医薬組成物中で安定化させるためのケイ素系無機吸着剤の使用。
50.(ii)の少なくとも1種類のマトリックス化合物の吸着−脱着等温線において、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、75%相対湿度および25℃における質量の差Δm(脱着)が、75%相対湿度および25℃における質量の差Δm(吸着)以上である、実施形態49の使用。
51.固体分散体がスボレキサントまたはその塩を該スボレキサントまたはその塩とケイ素系無機吸着剤の合計重量に対して10から70重量%の範囲、より好ましくは20から65重量%の範囲、より好ましくは30から60重量%の範囲、より好ましくは35から55重量%の範囲、より好ましくは40から55重量%の範囲、より好ましくは45から55重量%の範囲の量で含むものである、非晶質スボレキサントまたは非晶質のスボレキサント塩を固体分散体中で安定化させるための実施形態49または50の使用。
図1は、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンとSoluplus(R)(1:1の重量比)の固体分散体のPXRDパターンを示す。Y軸はカウント数を、X軸は2θ角度(銅)の精度(precision)を示す。 図2は、40℃および75%の相対湿度で4週間の保存後の、Soluplus(R)を有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノン(重量比は1:1)の固体分散体のPXRDパターンを示す。X軸:カウント数,Y軸:2θ角度(銅)。 図3は、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンとヒドロキシ(hydyroxy)プロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(1:1の重量比)の固体分散体のPXRDパターンを示す。Y軸はカウント数を、X軸は2θ角度(銅)の精度を示す。 図4は、40℃および75%の相対湿度で4週間の保存後の、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノン(重量比は1:1)の固体分散体のPXRDパターンを示す。X軸:カウント数,Y軸:2θ角度(銅)。 図5は、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンとヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel(R)E5)(1:1の重量比)の固体分散体のPXRDパターンを示す。Y軸はカウント数を、X軸は2θ角度(銅)の精度を示す。 図6は、40℃および75%の相対湿度で4週間の保存後の、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel(R)E5)を有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノン(重量比は1:1)の固体分散体のPXRDパターンを示す。X軸:カウント数,Y軸:2θ角度(銅)。 図7は、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンとSyloid(R)72 FP(1:1の重量比)の固体分散体のPXRDパターンを示す。Y軸はカウント数を、X軸は2θ角度(銅)の精度を示す。 図8は、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンとSyloid(R)244 FP(1:1の重量比)の固体分散体のPXRDパターンを示す。Y軸はカウント数を、X軸は2θ角度(銅)の精度を示す。 図9は、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンとSyloid(R)AL−1 FP(1:1の重量比)の固体分散体のPXRDパターンを示す。Y軸はカウント数を、X軸は2θ角度(銅)の精度を示す。 図10は、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンとAerosil(R)200(1:1の重量比)の固体分散体のPXRDパターンを示す。Y軸はカウント数を、X軸は2θ角度(銅)の精度を示す。 図11は、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンとNeusilin(R)US2(1:1の重量比)の固体分散体のPXRDパターンを示す。Y軸はカウント数を、X軸は2θ角度(銅)の精度を示す。 図12は、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンとNeusilin(R)UFL2(1:1の重量比)の固体分散体のPXRDパターンを示す。Y軸はカウント数を、X軸は2θ角度(銅)の精度を示す。 図13は、非晶質の[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンのPXRDパターンを示す。Y軸はカウント数を、X軸は2θ角度(銅)の精度を示す。 図14は、実施例Vに記載のようにして記録した、マトリックス化合物Syloid(R)72 FPのDVS等温線を示す。x軸はr.h.(相対湿度,単位:%)値を示し、目盛りは、左から右に0,0;10,0;20,0;30,0;40,0;50,0;60,0;70,0;80,0;90,0;および100,0である。y軸はΔm値(単位:%)を示し、目盛りは、下から上に−10,0;0,0;10,0;20,0;30,0;40,0;50,0;60,0;70,0;80,0;および90,0である。Δm(脱着)値は脱着等温線から得たものであり(記号:●)、Δm(吸着)値は吸着等温線から得たものである(記号:■)。 図15は、実施例Vに記載のようにして記録した、マトリックス化合物Syloid(R)244 FPのDVS等温線を示す。x軸はr.h.(相対湿度,単位:%)値を示し、目盛りは、左から右に0,0;10,0;20,0;30,0;40,0;50,0;60,0;70,0;80,0;90,0;および100,0である。y軸はΔm値(単位:%)を示し、目盛りは、下から上に−20,0;0,0;20,0;40,0;60,0;80,0;および100,0である。Δm(脱着)値は脱着等温線から得たものであり(記号:●)、Δm(吸着)値は吸着等温線から得たものである(記号:■)。 図16は、実施例Vに記載のようにして記録した、マトリックス化合物Neusilin(R)UFL2のDVS等温線を示す。x軸はr.h.(相対湿度,単位:%)値を示し、目盛りは、左から右に0,0;10,0;20,0;30,0;40,0;50,0;60,0;70,0;80,0;90,0;および100,0である。y軸はΔm値(単位:%)を示し、目盛りは、下から上に−20,0;−10,0;0,0;10,0;20,0;30,0;40,0;50,0;60,0;および70,0である。Δm(脱着)値は脱着等温線から得たものであり(記号:●)、Δm(吸着)値は吸着等温線から得たものである(記号:■)。 図17は、実施例Vに記載のようにして記録した、マトリックス化合物Neusilin(R)US2のDVS等温線を示す。x軸はr.h.(相対湿度,単位:%)値を示し、目盛りは、左から右に0,0;10,0;20,0;30,0;40,0;50,0;60,0;70,0;80,0;90,0;および100,0である。y軸はΔm値(単位:%)を示し、目盛りは、下から上に−20,0;−10,0;0,0;10,0;20,0;30,0;40,0;50,0;60,0;70,0;および80,0である。Δm(脱着)値は脱着等温線から得たものであり(記号:●)、Δm(吸着)値は吸着等温線から得たものである(記号:■)。 図18は、実施例Vに記載のようにして記録した、マトリックス化合物SoluplusのDVS等温線を示す。x軸はr.h.(相対湿度,単位:%)値を示し、目盛りは、左から右に0,0;10,0;20,0;30,0;40,0;50,0;60,0;70,0;80,0;90,0;および100,0である。y軸はΔm値(単位:%)を示し、目盛りは、下から上に−5,0;0,0;5,0;10,0;15,0;20,0;25,0;30,0;35,0;40,0;および45,0である。Δm(脱着)値は脱着等温線から得たものであり(記号:●)、Δm(吸着)値は吸着等温線から得たものである(記号:■)。 図19は、実施例Vに記載のようにして記録した、マトリックス化合物Syloid(R)AL−1 FPのDVS等温線を示す。x軸はr.h.(相対湿度,単位:%)値を示し、目盛りは、左から右に0,0;10,0;20,0;30,0;40,0;50,0;60,0;70,0;80,0;90,0;および100,0である。y軸はΔm値(単位:%)を示し、目盛りは、下から上に−20,0;−15,0;−10,0;−5,0;0,0;5,0;10,0;および15,0である。Δm(脱着)値は脱着等温線から得たものであり(記号:●)、Δm(吸着)値は吸着等温線から得たものである(記号:■)。 図20は、実施例Vに記載のようにして記録した、マトリックス化合物Aerosil(R)200のDVS等温線を示す。x軸はr.h.(相対湿度,単位:%)値を示し、目盛りは、左から右に0,0;10,0;20,0;30,0;40,0;50,0;60,0;70,0;80,0;90,0;および100,0である。y軸はΔm値(単位:%)を示し、目盛りは、下から上に−2.0;−1.0;0.0;1.0;2,0;3,0;4.0;および5,0である。Δm(脱着)値は脱着等温線から得たものであり(記号:●)、Δm(吸着)値は吸着等温線から得たものである(記号:■)。 図21は、Kollidon(R)VA64を含む固体分散体をベースにして調製した実施例VII.21による錠剤の溶解プロフィールを示す。x軸は時間/分を示し、目盛りは、左から右に0、20、40、60、80である。y軸は、溶解前の錠剤のスボレキサント含有量に対する放出されたスボレキサントの量/%を示し、目盛りは、下から上に0、20、40、60、80、100である。記号◆は、溶解および乾燥によって調製した固体分散体から得た錠剤の値を示し、記号■は、ミリングによって調製した固体分散体から得た錠剤の値を示す。 図22は、Soluplus(R)を含む固体分散体をベースにして調製した実施例VII.21による錠剤の溶解プロフィールを示す。x軸は時間/分を示し、目盛りは、左から右に0、20、40、60、80である。y軸は、溶解前の錠剤のスボレキサント含有量に対する放出されたスボレキサントの量/%を示し、目盛りは、下から上に0、20、40、60、80、100である。記号◆は、溶解および乾燥によって調製した固体分散体から得た錠剤の値を示し、記号■は、ミリングによって調製した固体分散体から得た錠剤の値を示す。 図23は、HPMCASを含む固体分散体をベースにして調製した実施例VII.21による錠剤の溶解プロフィールを示す。x軸は時間/分を示し、目盛りは、左から右に0、20、40、60、80である。y軸は、溶解前の錠剤のスボレキサント含有量に対する放出されたスボレキサントの量/%を示し、目盛りは、下から上に0、20、40、60、80、100である。記号◆は、溶解および乾燥によって調製した固体分散体から得た錠剤の値を示し、記号■は、ミリングによって調製した固体分散体から得た錠剤の値を示す。 図24は、Neusilin(R)UFLを含む固体分散体をベースにして調製した実施例VII.21による錠剤の溶解プロフィールを示す。x軸は時間/分を示し、目盛りは、左から右に0、20、40、60、80である。y軸は、溶解前の錠剤のスボレキサント含有量に対する放出されたスボレキサントの量/%を示し、目盛りは、下から上に0、20、40、60、80、100である。記号◆は、溶解および乾燥によって調製した固体分散体から得た錠剤の値を示し、記号■は、ミリングによって調製した固体分散体から得た錠剤の値を示す。 図25は、Kollidon(R)VA64を含み、さらに、界面活性剤を含まない(記号:×)か、またはTween(R)80(記号:▲)もしくはKolliphor(R)188(記号:◆)もしくはSDS(記号:■)のいずれかを界面活性剤として含む固体分散体をベースにして調製した実施例VII.22による錠剤の溶解プロフィールを示す。x軸は時間/分を示し、目盛りは、左から右に0、10、20、30、40、50、60、70である。y軸は、溶解前の錠剤のスボレキサント含有量に対する放出されたスボレキサントの量/%を示し、目盛りは、下から上に0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100である。
本発明を、以下の実施例によってさらに例示する。
I.固体分散体の調製
[実施例1]:Soluplus(R)をポリマー(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
151mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと151mgのSoluplus(R)を10mLのジクロロメタンに溶解させた。濾過後、透明な溶液を回転式エバポレータにて室温でエバポレートした。泡状残渣を室温で18時間真空乾燥させた。得られた固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンが非晶質形態で存在していることが示された(図1参照)。
[実施例2]:Soluplus(R)をポリマー(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
113mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと113mgのSoloplus(R)を20mLのメチルTHFに溶解させた。続いて、溶媒を回転式エバポレータにて40℃で蒸発させ、残渣を18時間真空乾燥させた。
[実施例3]:実施例1による固体分散体の安定性
48mgの実施例1による固体分散体を40℃で75%相対湿度に4週間曝露した。その後、固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンは4週間後、Soluplus(R)の存在下で結晶化を起こしていないことが確認された(図2参照)。
[実施例4]:ヒドロキシルプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートをポリマー(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
151mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと151mgのヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを40mLのCHCl中に懸濁させた。溶媒を回転式エバポレータで蒸発させ、残渣を室温で18時間真空乾燥させた。得られた固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンが非晶質形態で存在していることが示された(図3参照)。
[実施例5]:ヒドロキシルプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートをポリマー(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
103mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと103mgのヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを20mlのメチルTHFに溶解させた。続いて、溶媒を回転式エバポレータにて40℃で蒸発させ、残渣を18時間真空乾燥させた。
[実施例6]:実施例4による固体分散体の安定性
53mgの実施例4による固体分散体を40℃で75%相対湿度に4週間曝露した。その後、固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンは4週間後、Soluplus(R)の存在下で結晶化を起こしていないことが確認された(図4参照)。
[実施例7]:Methocel(R)E5をポリマー(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
168mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと168mgのMethocel E5を50mLのCHCl中に懸濁させた。透明な溶液の溶媒を回転式エバポレータで蒸発させ、残渣を室温で18時間真空乾燥させた。
得られた固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンが非晶質形態で存在していることが示された(図5参照)。
[実施例8]:Methocel(R)E5をポリマー(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
109mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと109mgのMethocel(R)E5を、23mLのTHFと6mLのHOの溶媒混合物に溶解させた。続いて、溶媒を回転式エバポレータにて40℃で蒸発させ、残渣を18時間真空乾燥させた。
[実施例9]:実施例7による固体分散体の安定性
53mgの実施例7による固体分散体を40℃で75%相対湿度に4週間曝露した。その後、固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンは4週間後、Soluplus(R)の存在下で結晶化を起こしていないことが確認された(図6参照)。
[実施例10]:Syloid(R)72 FPを担体(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
152mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと153mgのSyloid(R)72 FPを50mLのCHCl中に懸濁させた。この懸濁液を室温で15時間撹拌した。続いて、溶媒を回転式エバポレータにて40℃で除去した。残渣を室温で2日間真空乾燥させた。得られた固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンが非晶質形態で存在していることが示された(図7参照)。
[実施例11]:Syloid(R)244 FPを担体(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
159mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと160mgのSyloid(R)244 FPを50mLのCHCl中に懸濁させた。この懸濁液を室温で15時間撹拌した。続いて、溶媒を回転式エバポレータにて40℃で除去した。残渣を室温で2日間真空乾燥させた。得られた固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンが非晶質形態で存在していることが示された(図8参照)。
[実施例12]:Syloid(R)AL−1 FPを担体(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
167mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと169mgのSyloid(R)AL−1 FPを50mLのCHCl中に懸濁させた。この懸濁液を室温で15時間撹拌した。続いて、溶媒を回転式エバポレータにて40℃で除去した。残渣を室温で2日間真空乾燥させた。得られた固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンが非晶質形態で存在していることが示された(図9参照)。
[実施例13]:Aerosil(R)200を担体(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
163mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと168mgのAerosil(R)200を50mLのCHCl中に懸濁させた。この懸濁液を室温で15時間撹拌した。続いて、溶媒を回転式エバポレータにて40℃で除去した。残渣を室温で2日間真空乾燥させた。得られた固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンが非晶質形態で存在していることが示された(図10参照)。
[実施例14]:Neusilin(R)US2を担体(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
153mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと154mgのNeusilin(R)US2を50mLのCHCl中に懸濁させた。この懸濁液を室温で15時間撹拌した。続いて、溶媒を回転式エバポレータにて40℃で除去した。残渣を室温で2日間真空乾燥させた。得られた固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンが非晶質形態で存在していることが示された(図11参照)。
[実施例15]:Neusilin(R)UFL2を担体(マトリックス化合物)として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
153mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと155mgのNeusilin(R)UFL2を50mLのCHCl中に懸濁させた。この懸濁液を室温で15時間撹拌した。続いて、溶媒を回転式エバポレータにて40℃で除去した。残渣を室温で2日間真空乾燥させた。得られた固体分散体をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンが非晶質形態で存在していることが示された(図12参照)。
[実施例16]:噴霧乾燥による固体分散体の調製
750mgのスボレキサントと以下の表1および2に示す250mgのポリマーを250mLのジクロロメタンに室温で溶解させた。以下のパラメータで噴霧乾燥することにより非晶質固体分散体を得た:
Figure 0006737708
収率を以下の表2に示す:
Figure 0006737708
II.固体分散体の特性評価
粉末X線回折パターンは、透過幾何構造のθ/θ連動(coupled)ゴニオメータ、集束ミラーによるCu−Kα1,2放射線(波長0.15419nm)およびPIXcel固体検出器を備えたPANalytical X’Pert PRO回折計により取得した。パターンは、45kVの管電圧および40mAの管電流で、周囲条件で2から40°(2θ)の角度範囲で0.013°(2θ)のステップ幅で40s/ステップ(255チャネル)を適用して記録した。
III.非晶質スボレキサントの調製
III.1 噴霧乾燥による調製
[実施例17]:噴霧乾燥による[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの非晶質形態の調製
1gのスボレキサントを室温で50mLのジクロロメタンに溶解させた。Buechi Spray Dryerのノズルからの噴霧乾燥により非晶質スボレキサントを得た。方法パラメータは以下のとおりに設定した:
Figure 0006737708
非晶質スボレキサントは95%収率で得られた。
III.2 回転式エバポレータでのエバポレーションによる調製
[実施例18]:非晶質形態の[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの調製
200mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンを5mLのCHClに溶解させた。溶媒を回転式エバポレータにて40℃で蒸発させ、残渣を室温で2日間真空乾燥させた。得られた固形物をPXRDを用いて分析し、これにより、[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンが非晶質形態で存在していることが示された(図13参照)。
III.3 特性評価
パラグラフIIの上記参照。
IV.湿気安定性の測定
20から200mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンと、以下の表3に示したとおりのAPIの量に対して特定量のマトリックス化合物を50mLのCHCl中に懸濁させた。この懸濁液を室温で15時間撹拌した。続いて、溶媒を回転式エバポレータにて40℃で除去した。残渣を室温で2日間真空乾燥させ、非晶質のスボレキサントのみを含む固体分散体を得た。長期安定性を以下のようにして測定した:40から100mgの所与の固形組成物を、75%の相対湿度および40℃の温度を有する雰囲気に以下の表3に示した時間、曝露し、安定な場合および潮解していない場合は、XRDにより、非晶質性に関してパラグラフIIで上記のようにして分析した。
Figure 0006737708
Figure 0006737708
V.75%相対湿度および25℃での動的水蒸気吸脱着(DVS)測定
75%相対湿度および25℃におけるΔm(脱着)およびΔm(吸着)の値が得られる吸着−脱着等温線を、SPSx−1μ湿気吸脱着分析装置(ProUmid GmbH&Co.KG,Ulm,Germany)で記録した。測定サイクルは40%相対湿度(RH)から開始し、まず3%RHおよび0%RHまで下げた。次いで、RHを5%から10%RHまで、その後、10%ステップで90%RHまで、さらに95%RHまで上げた。脱着サイクルは90%RHまで5%ステップで開始し、次いで、10%ステップで90%から10%RHから5%RHまでおよび0%RHまでにした。最後のステップはRHを40%まで上げた。ステップあたりの時間は最低1時間および最長3時間に設定した。試験したすべての試料で最長時間より前に1時間以内に±0.01%の一定質量の平衡状態に達した場合、最長時間である3時間より前に逐次湿度工程を適用した。平衡に達しなかった場合は、最長時間である3時間の後に連続湿度工程を適用した。温度は(25±0.1)℃にした。
Δm(脱着)およびΔm(吸着)の値を得るため、記録した吸着−脱着等温線(本発明の図に示している。)を、所与の脱着等温線のΔm(脱着)の値(y軸上にプロット)をそれぞれの吸着等温線のΔm(吸着)の値(y軸上にプロット)と、ともにx軸上にプロットした75%r.h.において比較することにより解析した。
VI.固体分散体の調製
[実施例19]:Kollidon(R)VA64を担体(マトリックス化合物)として、およびKolliphor(R)P188 microを界面活性剤として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
781mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノン、360mgのKollidon VA64および60mgのKolliphor P188 microを10mLのジクロロメタンに溶解させた。濾過後、透明な溶液を回転式エバポレータにて40℃でエバポレートした。泡状残渣を室温で18時間真空乾燥させた。
[実施例20]:Kollidon(R)VA64を担体(マトリックス化合物)として、およびTween(R)80を界面活性剤として有する[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノンの固体分散体の調製
783mgの[(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノン、361mgのKollidon VA64を10mLのジクロロメタンに溶解させた。60mgのTween 80を5mLのジクロロメタンに溶解させた。この2つの溶液を合わせ、濾過した。次いで、透明な溶液を回転式エバポレータにて40℃でエバポレートした。泡状残渣を室温で18時間真空乾燥させた。
VII.錠剤の調製
[実施例21]:スボレキサントの固体分散体を含む錠剤の形態の組成物の調製
非晶質スボレキサントを含む固体分散体を使用し、錠剤を調製した。固体分散体は、溶解(本明細書に記載の工程(a)、(b)および(c))またはミリング(本明細書に記載の工程(a’)、(b’)および(c’))のいずれかによって調製した。特に、表示した成分を25ml容ミリングセルを有するRetschミルを用いてドライミリングすることによる固体分散体の調製に関して、この場合、ミリングは20分間、27.5Hzのミリング周波数で行った。調製された錠剤は、表5に示す以下の組成を有するものであった。マトリックス化合物として、Kollidon(R)VA64、Soluplus(R)、HPMCASおよびNeusilin(R)UFLを使用した。
Figure 0006737708
錠剤を以下の手順に従って調製した:固体分散体、微晶質セルロース、ラクトース一水和物およびクロスカルメロースナトリウムを適切な容器内で3から5分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに1分間混合した。最終ブレンドを、9mmの円形工作器具を用いて錠剤に圧縮した。得られたそれぞれの錠剤を溶解試験に供した。従って、溶解試験は、1000mlの容積を有するパドル装置、50r.p.m.の回転速度を用いて行い、このとき、溶解媒体として0.1M HClを使用した。得られた溶解プロフィールを図21から24に示す。
以下の表6に、実験の結果を示す。使用した固体分散体に関して、固体分散体中に含まれたスボレキサントが固体分散体の調製後、非晶質であるかどうかを記載している。さらに、スボレキサントが安定性試験(40℃および75%r.h.で3週間;上記のセクションIV参照)後、非晶質形態で安定であるかどうかを記載している。さらに、どのような溶解値が個々の錠剤で得られたかを記載している。
Figure 0006737708
[実施例22]:さらに界面活性剤を含むスボレキサントの固体分散体を含む錠剤の形態の組成物の調製
非晶質スボレキサントを含む固体分散体を使用し、錠剤を調製した。固体分散体は、溶解(本明細書に記載の工程(a)、(b)および(c)によって調製した。マトリックス化合物として、Kollidon(R)VA64を使用した。非晶質スボレキサントとマトリックス化合物に加えて、界面活性剤を使用した。異なる錠剤に対して、Tween(R)80、Kolliphor(R)188およびSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を使用した。固体分散体は、65重量%の非晶質スボレキサント含有量、30重量%のマトリックス化合物含有量および5重量%の界面活性剤含有量を有するものであった。
以下の表7に、実験の結果を示す。使用した固体分散体に関して、固体分散体中に含まれたスボレキサントが固体分散体の調製後、非晶質であるかどうかを記載している。
Figure 0006737708
得られたそれぞれの錠剤を溶解試験に供した。従って、溶解試験は、上記の実施例21に記載のようにして行った。得られた溶解プロフィールを図25に示す。明らかに、Kolliphor(R)188が好ましい界面活性剤であることがわかった。これは、Kolliphor(R)188を含有していない錠剤と比べて1時間後の溶解が大きいからである。
引用した文献
Figure 0006737708

Claims (15)

  1. 非晶質形態のスボレキサント([(7R)−4−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−7−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル][5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノン)またはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体であって、
    該少なくとも1種類のマトリックス化合物が
    (i)ポリマーであって、該固体分散体が、該スボレキサントもしくはその塩を、該スボレキサントもしくはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して、少なくとも60重量%の量で含み、該ポリマーは、セルロース誘導体、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルカプロラクタムポリ酢酸ビニルポリエチレングリコールグラフトポリマーならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択されるか、または
    (ii)ケイ素系無機吸着剤である、
    固体分散体。
  2. 固体分散体中に存在するスボレキサントまたはその塩の少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは全部が非晶質形態で存在している、請求項1に記載の固体分散体。
  3. (ii)の少なくとも1種類のマトリックス化合物の吸着−脱着等温線において、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、25℃における50%相対湿度と90%相対湿度との相対質量の差Δm(吸着)が、40%以上である、請求項1または2に記載の固体分散体。
  4. (ii)の少なくとも1種類のマトリックス化合物の吸着−脱着等温線において、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、25℃における0%相対湿度と50%未満の相対湿度との相対質量の差Δm(吸着)が、20%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の固体分散体。
  5. (i)のポリマーが、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、またはポリビニルカプロラクタムポリ酢酸ビニルポリエチレングリコールグラフトポリマーである、請求項1から4のいずれか一項に記載の固体分散体。
  6. (ii)の少なくとも1種類のマトリックス化合物の吸着−脱着等温線において、動的水蒸気吸脱着測定によって測定される、75%相対湿度および25℃における質量の差Δm(脱着)が、75%相対湿度および25℃における質量の差Δm(吸着)以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の固体分散体。
  7. ケイ素系無機吸着剤が、シリカ、シリケートおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択され、
    該シリカが好ましくは、フュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、コロイド状シリカおよびこれらの2種類以上の組み合わせからなる群より選択され、
    該シリケートが好ましくはアルミノシリケートであり、好ましくは少なくとも1種類のアルカリ金属元素および/または少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素、より好ましくは少なくとも1種類のアルカリ土類金属元素、より好ましくはマグネシウムを含むアルミノシリケートであり、
    少なくとも1種類の該ケイ素系無機吸着剤のより好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%が非晶質形態で存在している、請求項1から4または6のいずれか一項に記載の固体分散体。
  8. (ii)の固体分散体が、スボレキサントまたはその少なくとも1種類の塩を、該スボレキサントまたはその少なくとも1種類の塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して、10から70重量%の範囲、好ましくは20から65重量%の範囲、より好ましくは30から60重量%の範囲、より好ましくは35から55重量%の範囲、より好ましくは40から55重量%の範囲、より好ましくは45から55重量%の範囲の量で含むものである、請求項1から4または6または7のいずれか一項に記載の固体分散体。
  9. スボレキサントまたはその塩、少なくとも1種類のマトリックス化合物および場合により少なくとも1種類の溶媒からなる、請求項1から8のいずれか一項に記載の固体分散体。
  10. 非晶質形態のスボレキサントまたはその塩および医薬として許容される少なくとも1種類のマトリックス化合物を含む固体分散体の調製方法であって、
    (a)スボレキサントまたはその塩を準備し、
    (b)(a)で準備した該スボレキサントおよび少なくとも1種類のマトリックス化合物を溶媒に溶解または分散させて混合物を形成し、
    (c)該溶媒の少なくとも一部、好ましくは基本的に全部を除去して
    固体分散体を得ることを含み、該マトリックス化合物が
    (i)ポリマーであって、該固体分散体が、該スボレキサントもしくはその塩を、該スボレキサントもしくはその塩と該少なくとも1種類のマトリックス化合物の合計重量に対して少なくとも60重量%の量で含み、該ポリマーは、セルロース誘導体、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルカプロラクタムポリ酢酸ビニルポリエチレングリコールグラフトポリマーならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択されるか、または
    (ii)ケイ素系無機吸着剤であり、
    ここで、工程(a)において、好ましくは結晶のスボレキサントを準備する、
    方法。
  11. 固体分散体中に含まれるすべてのスボレキサントの少なくとも80重量%が非晶質である、請求項10に記載の方法。
  12. 工程(c)において、溶液を好ましくは50から450mbarの範囲の圧力でエバポレートする、請求項10または11に記載の方法。
  13. 請求項1から9のいずれか一項に記載の固体分散体を含む、医薬組成物。
  14. 睡眠障害の治療または予防における使用のための、請求項1から9のいずれか一項に記載の固体分散体を含む、医薬組成物。
  15. 非晶質スボレキサントを固体分散体中で安定化させるための、ケイ素系無機吸着剤の使用であって、
    該固体分散体が、スボレキサントもしくはその少なくとも1種類の塩を、20から65重量%の範囲の量で含む、使用。
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