JP6736836B2 - 折畳み保持性、低収縮性、透明性、耐衝撃性に優れた積層フィルム、ガゼット袋およびブックカバー - Google Patents

折畳み保持性、低収縮性、透明性、耐衝撃性に優れた積層フィルム、ガゼット袋およびブックカバー Download PDF

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Description

本発明は包装紙、手提げ袋、折り紙等として使用可能な折畳み保持性に優れたポリエステルフィルムに関するものであり、耐水性、高温環境下での低収縮性、透明性、耐衝撃性、に優れた積層フィルムに関する。
紙は優れた折畳み保持性を有することにより、各種包装紙、手提げ袋、折り紙等、幅広く使用されている。しかし、紙は耐水性に劣り、雨等で濡れた場合に破れが生じたり印刷が変色したりすることがある。また、紙には透明性がないため、袋等の包装用に供した場合には中身が見えないという問題もあった。そのため、紙の代替としてプラスチックフィルムが過去より検討されてきた。
折畳み保持性の優れたフィルムとして、過去には透明性のあるセロハンが使用されてきた。しかしながら、セロハンは吸湿性を有するため特性が季節により変動し、製品の品質を一定に維持しながら供給することが困難であり、かつ厚みの不均一性に起因する加工性の悪さが欠点とされてきた。
一方、ポリエステルフィルムは耐水性、透明性等の優れた特性の良さがある反面、折畳み保持性が劣るという欠点があった。
かかる欠点を解消する方法として、フィルムの密度を低下させることで折畳み保持性を良好に保つことの出来るポリエステルフィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1のポリエステルフィルムでは、熱収縮性が大きいことが課題として挙げられる。このようなフィルムを用いた袋等を真夏の車中や温調管理の無い倉庫内等に放置しておくと、フィルムが収縮・変形して使用できなくなる点が指摘される。また、フィルムへの印刷工程等の高温を要する加工工程においては、フィルムの収縮によって加工できなくなる問題もあった。
また、特許文献1のポリエステルフィルムは、衝撃を受けたときの強度に改善の余地があった。このフィルムから作成した袋を繰り返し使用すると、袋の一部に破れが発生する等の問題が表れることもあった。
ところで、ポリエステルフィルムの欠点を補うために、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面にポリアミドフィルムを貼り付けた積層体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2のフィルムは、ポリエステルフィルム単体で使用する場合に対して耐熱性や強度を高めることのできる利点がある。
特許文献2の積層体の場合、強度や耐熱性を高めることのできる代わりに、折り畳み保持性が低下してしまう問題があった。
また、ポリエステルフィルムやポリアミドフィルムの厚みを増せば、その分だけ積層体の強度が向上することは一般的であり、積層体の構成や厚みは、コストや強度を考慮に入れて選定される。ただし、フィルムの厚みを増やしても折畳み保持性は低下してしまうため、強度と折畳み保持性には二律背反の関係があった。
特許第4308662号公報(請求項1など) 特許第5256754号公報
本発明は前記従来技術の問題点を解消することを目的とするものである。即ち、特定の厚みを有しており、優れた折畳み保持性を有し、高温環境下での熱収縮性が小さく、耐衝撃性と透明性に優れた積層フィルムを提供しようとするものである。
本発明は、以下の構成よりなる。
1.合成樹脂からなる第一層と、第一層と同一の又は異なる組成物からなる第二層とを含む積層フィルムであって、積層フィルムは前記第一層と第二層を接着させたものであり、
以下の(1)〜(5)の要件を満たすことを特徴とする積層フィルム。
(1)積層フィルム全体の合計厚みが10〜100μmであり、
(2)20℃50%RHの環境下で1日保管させた後の折畳み保持角度が100度以下であり、
(3)95℃温湯へ10秒浸漬したあとの収縮率が長手方向、幅方向、いずれも10%以下であり、
(4)衝撃強度が0.8〜3.0Jである
(5)ヘイズが15%以下である
2.第二層は第一層とは異なる組成物からなる前記第1.に記載の積層フィルム。
3.第一層にはポリエステル樹脂が含まれている前記第1.又は第2.に記載の積層フィルム。
4.合成樹脂からなる第一層と、第一層とは異なる組成物からなる第二層と、第二層とは異なる組成物からなる第三層とを含む積層フィルムであって、第二層は、第一層と第三層との間に位置しており、積層フィルムは、前記第一層、第二層および第三層をこの順で接着させたものであり、
以下の(1)〜(5)の要件を満たすことを特徴とする積層フィルム。
(1)積層フィルム全体の合計厚みが10〜100μmであり、
(2)20℃50%RHの環境下で1日保管させた後の折畳み保持角度が100度以下であり、
(3)95℃温湯へ10秒浸漬したあとの収縮率が長手方向、幅方向、いずれも10%以下であり、
(4)衝撃強度が0.8〜3.0Jである
(5)ヘイズが15%以下である
5.第一層及び第三層にはポリエステル樹脂が含まれている前記第4.に記載の積層フィルム。
6.第一層と第三層とは同じ組成物からなる前記第4.又は第5.に記載の積層フィルム。
7.第二層にはナイロン樹脂又はポリプロピレン樹脂が含まれている前記第1.〜第6.のいずれかに記載の積層フィルム。
8.前記第1.〜第7.のいずれかに記載の積層フィルムからなるガゼット袋。
9.前記第1.〜第7.のいずれか1項に記載の積層フィルムからなるブックカバー。
本発明に係る積層フィルムは、デッドホールド性に優れた第一層にシート状である第二層を積層した積層フィルムとし、第一層の他方の面(第二層が積層されていない側の面)には何も積層しないようにした結果、デッドホールド性、加工性、及び耐久性に優れた積層フィルムとすることができる。本発明に係る積層フィルムは、ガゼット袋、ブックカバー、包装紙、折り紙などに用いることができる。尚、デッドホールド性とは、フィルム等の平坦な材料に折り曲げ等の力を加えて形状変化させた際、その形状を保持しようとする性質のことである。
縦折り癖が付された裁断前の積層フィルムを示した図である。 縦折り癖及びセンターシール部を山折り用折り癖として折り込みを行った積 層フィルムを示した図である。 縦折り癖、上折り癖、下折り癖が付された積層フィルムを示した図である。 積層フィルムを用いて作製したブックカバーを示した図である。 フィルムの折畳み保持角度の測定方法を示した図である。
積層フィルムは、デッドホールド性に優れた第一層にシート状である第二層を積層したものであり、第一層の他方の面(第二層が積層されていない側の面)には何も積層しないようにした。また、第二層の上(第一層が積層されていない面)にデッドホールド性に優れた第三層がさらに積層される場合もある。
(第一層)
本発明の第一層は合成樹脂からなり、第一層(以下、第一フィルムということもある)を形成する樹脂組成物にはポリエステル樹脂が含まれていることが好ましい。
上記ポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレートユニットを主たる構成成分とすることが好ましい。エチレンテレフタレートユニットは、ポリエステルの構成ユニット100モル%中、40モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、55モル%以上がさらに好ましい。本発明で用いられるポリエステルを構成する他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および脂環族ジカルボン酸等を挙げることができる。
ポリエステルを構成する多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
本発明で用いられるポリエステルは、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数3〜6個を有するジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)のうちの1種以上を共重合させて、ガラス転移点(Tg)を60〜70℃に調整したポリエステルが好ましい。
また、ポリエステルは、全モノマー成分中(ポリエステル樹脂中における多価アルコール成分100モル%中あるいは多価カルボン酸成分100モル%中)の非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が13モル%以上であることが好ましく、より好ましくは14モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上、特に好ましくは16モル%以上、最も好ましくは17モル%以上である。また非晶質成分となり得るモノマー成分の合計の上限は特に限定されないが、好ましくは30モル%、より好ましくは29モル%である。
非晶質成分となり得るモノマーとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはイソフタル酸を用いるのが好ましい。
また、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数3〜6個を有するジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)、ε−カプロラクトンやテトラメチレングリコール等を含むポリエステルエラストマーを含有させることにより、後述の融解開始温度を低下させることができ、折畳み保持性と低収縮性を両立することができるため、少なくとも1種以上使用することが好ましい。
例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ε−カプロラクトンやテトラメチレングリコール等を含むポリエステルエラストマーを含ませて融解開始温度を低下させる場合、前記の融解開始温度を低下させる成分はフィルムを構成するポリエステル組成物に対して、1モル%以上含有されていることが好ましく、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは15モル%以上含有されていることが好ましい。但し、あまりにも多くの前記の融解開始温度を低下させる成分が含有されていると、物理的強度を担うエチレンテレフタレートユニットが相対的に少なくなるため、フィルム強度、耐熱性等が不充分となる恐れを生じるので、フィルムを構成するポリエステル組成物の全ポリエステルユニットに対し30モル%以下としておくことが好ましく、より好ましくは25モル%以下である。
本発明の第一層を形成する樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、例えば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。また、フィルムの作業性(滑り性)を良好にする滑剤としての微粒子を添加することが好ましい。微粒子としては、任意のものを選択することができるが、例えば、無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等、有機系微粒子としては、例えば、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、0.05〜3.0μmの範囲内(コールターカウンタにて測定した場合)で、必要に応じて適宜選択することができる。
第一層を形成する樹脂の中に上記粒子を配合する方法としては、例えば、ポリエステル系樹脂を製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めるのが好ましい。また、ベント付き混練押出し機を用いてエチレングリコールまたは水等に分散させた粒子のスラリーとポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法、または混練押出し機を用いて、乾燥させた粒子とポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法等によって行うのも好ましい。
さらに、第一フィルムには、フィルム表面の接着性を良好にするために、コロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
次に本発明の第一フィルムの諸特性を説明する。
第一フィルムは、20℃50%RHの環境下で1日保管させた後の折畳み保持角度(以下、折畳み保持角度という)が20度以上75度以下であるのが好ましく、より好ましくは65度以下、さらに好ましくは55度以下、最も好ましくは45度以下である。75度を超えると、折り紙や包装紙等で折った際に折り目が開き、きれいな美観を得られなくなるおそれがある。また、第一フィルムの折畳み保持角度が小さいほど積層フィルムの折畳み保持角度も小さくなるので、第一フィルムの折畳み保持角度は小さいほど好ましいが、現状では20度程度が下限であるが、25度以上であっても構わない。折畳み保持角度の測定方法については後述する。
折り畳み保持角度は、後述する40%伸張時の応力が低いほど低下するため、上述のように非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が13モル%以上、好ましくは14モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは16モル%以上となるようなポリエステル樹脂を用い、かつ、製膜工程中の最終熱処理工程において、ポリエステル樹脂の融解開始温度以上240℃以下の温度で加熱することが好ましい。これらの条件によって40%伸張時応力を調整することができ、折り畳み角度を25度以上75度以下に調整することができる。
第一フィルムは、長手方向及び/又は幅方向の引張り試験による40%伸張時応力が40MPa以上110MPa以下であることが好ましい。同様に、第一フィルムの長手方向と幅方向の引張り試験による40%伸張時応力の平均値は40MPa以上110MPa以下であることが好ましい。
フィルムを折りたたんだとき、折り目の谷側は局所的な圧縮やフィルム自身の摩擦による破壊が生じると同時に、折り目の山側は局所的な伸張による塑性変形が生じると考えられる。折り目山側の塑性変形ひずみは、フィルムの厚みや折り畳み度合いによって変化するが、20%以上60%以下の間に収まると考えられる。この平均値である40%を塑性変形ひずみとした場合、40%伸張(変形)時の応力が高いほどフィルムを折り畳んだときの復元力、すなわち反発が大きくなり、折畳み性が低下すると考えられる。逆に、40%伸張時の応力が低いと容易にフィルムが降伏しやすい、すなわち折り目が付きやすいと考えられる。
40%伸張時の応力を低下させるには、上述のように、フィルムを構成しているポリエステル組成物が非晶性ポリエステルであることが好ましく、ポリエステル中における多価アルコール成分100モル%中あるいは多価カルボン酸成分100モル%中の非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が13モル%以上、好ましくは14モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは16モル%以上である。また非晶質成分となり得るモノマー成分の合計の上限は特に限定されないが、上限は30モル%が好ましい。また、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ε−カプロラクトンやテトラメチレングリコール等を含むポリエステルエラストマーを含ませて融解開始温度を低下させると、40%伸張時の応力が更に低下してより好ましい。また、後述するフィルムの製膜工程中の最終熱処理工程において、ポリエステル樹脂の融解開始温度以上240℃以下の温度で加熱することが必要となる。この熱処理工程を経ることでフィルムの分子配向を部分的に崩壊させ、40%伸張時の応力を低下させることができる。
40%伸張時の応力が110MPaを超えると、折り紙や包装等で折った際に折り目が開き、きれいな美観を得られなくなるので好ましくない。40%伸張時の応力は105MPa以下が好ましく、100MPa以下がより好ましい。40%伸張時の応力は低いほどフィルムの力学的破壊・変形を起こしやすく、折畳み性が良好となり好ましいが、現状の技術水準では40MPaが下限である。
本発明のポリエステルフィルムは、DSCの昇温プロファイルから得られる融解開始温度が100℃以上180℃以下であることが好ましい。融解開始温度は更に好ましくは175以下である。後述するフィルムの熱処理工程において、フィルムを部分的に融解できることが好ましく、この際に融解開始温度が影響する。融解開始温度が180℃以下であると、ポリエステル樹脂の結晶性が高過ぎないため、熱処理時に結晶化が促進されにくく部分的に融解しやすいので好ましい。結晶化が促進されず非晶部の多いポリエステル組成物からなるフィルムは折畳み時の反発が小さく、折畳み保持性が良好に維持されるので好ましい。融解開始温度が100℃以上であると、フィルムを高温環境下に放置した際にも耐熱性が十分であり、好ましい。融解開始温度は120℃以上であることが更に好ましい。
フィルムの融解開始温度を100℃から180℃に調整するためには、上記記載のように、非晶質のポリエステル樹脂を原料として用いることが好ましい。非晶質成分となり得るモノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸が好ましい。非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計が13モル%以上、好ましくは14モル%以上、より好ましくは15モル%以上、特に好ましくは16モル%以上である。非晶質成分となり得るモノマー成分の合計の上限は特に限定されないが、上限は30モル%が好ましい。また、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状ジオールや、炭素数3〜6個を有するジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等)、ε−カプロラクトンやテトラメチレングリコール等を含むポリエステルエラストマーを含有させることにより、融解開始温度を低下させることができるため、少なくとも1種以上使用することが好ましい。例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ε−カプロラクトンやテトラメチレングリコール等を含むポリエステルエラストマーを含ませて融解開始温度を低下させる場合、フィルムを構成するポリエステル組成物に対して、1モル%以上含有されていることが好ましく、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは15モル%以上含有されていることが好ましい。但し、あまりにも多くの前記の融解開始温度を低下させる成分が含有されていると、物理的強度を担うエチレンテレフタレートユニットが相対的に少なくなり、フィルム強度、耐熱性等が不充分となる恐れを生じるので、フィルムを構成するポリエステル組成物の全ポリエステルユニットに対し30モル%以下としておくことが好ましく、より好ましくは25モル%以下である。
第一フィルムは、95℃の温湯に10秒間に亘って処理した場合における幅方向、長手方向の温湯熱収縮率がいずれも−10%以上10%以下であることが好ましい。10%を超えると、例えば真夏の車中や温調管理の無い倉庫内といった高温環境下では、積層フィルムとしたときに収縮が大きくなり、積層フィルムが変形や剥がれ(デラミネーション)を起こしてしまい好ましくない。温湯熱収縮率の上限は9%以下であるとより好ましく、8%以下であると更に好ましい。一方、温湯熱収縮率が−10%を下回ると、収縮率が高い場合と同様にフィルムが元の形状を維持できづらくなり好ましくない。温湯熱収縮率の下限値は−5%以上であるとより好ましく、0%以上であると更に好ましい。
温湯熱収縮率を−10%以上10%以下の範囲にするためには、後述するフィルムの製膜工程中の最終熱処理工程において、ポリエステル樹脂の融解開始温度以上240℃以下の温度で加熱することが好ましい。熱処理温度が融解開始温度より低い場合、収縮率が10%を超えて好ましくない。さらに、上記の非晶質成分となり得るモノマーの含有量がフィルムを構成するポリエステル組成物の全ポリエステルユニットに対し30モル%以下としておくことが好ましく、より好ましくは25モル%以下である。30モル%を超えると、融解開始温度以上の熱処理でも収縮率が高くなりすぎてしまい好ましくない。
第一フィルムの厚みは、5μm以上90μm以下が好ましい。第一フィルムの厚みが薄いほど、第一フィルム自体の折畳み保持角度は小さくなるが、第二層と接着させた際、積層フィルムを折畳んだ時の第二層による反発を抑制できなくなる。さらに第一フィルムが5μmより薄いと加工が困難になるおそれがある。また、第一フィルムの厚みが90μmより厚いと、積層フィルムのデッドホールド性が低下してしまうおそれがある。第一フィルムの厚みは、より好ましくは7μm以上、60μm以下であり、さらに好ましくは9μm以上、40μm以下である。第一フィルムの厚みが薄いほど、折畳み保持角度が小さくなる傾向があるので、より好ましくは35μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。
本発明の第一フィルムは、ヘイズが0.5%以上14.5%以下であることが好ましい。ヘイズが14.5%を超えると、透明性が低下するため、透明性が求められる袋等の包装材用途での使用が制限されることがある。一方、ヘイズ値が0.5%未満となると、傷などが目立ちやすく生産性が低下することがある。
第一フィルムを形成する樹脂の中には、上述のように滑剤としての微粒子を添加することが好ましいが、あまりにも滑剤の含有量が多いと、フィルム表面凹凸が大きくなる場合があるので、3000ppm以下としておくことが好ましく、より好ましくは1000ppm以下である。さらに、最終熱処理工程での熱処理温度が240℃を超えると、フィルム表面が熱によって粗くなりヘイズが高くなるため好ましくない。
本発明における第一フィルムは、フィルム幅方向、長手方向の少なくとも一方向の引張破壊強度が100MPa以上400MPa以下であることが好ましく、より好ましくは、130MPa以上、350MPa以下である。もちろん幅方向、長手方向の双方向が前記範囲の引張破壊強度を有することは特に好ましい。
本発明における第一フィルムは、衝撃強度が0.4J以上であることが好ましく、0.45J以上であるとより好ましい。本発明においては、第一層以外の層に衝撃強度の高い層をもってくることを想定しているが、第一フィルムの衝撃強度が0.4J未満であると、積層フィルムを袋にしたときに落下等の衝撃が加わることで破袋等の問題が生じるため、好ましくない。第一フィルムの衝撃強度は高ければ高いほど好ましいが、折畳み保持性が低下するため、2.0Jが上限である。
本発明における第一フィルムは、後述の方法により求めた長手方向と幅方向の厚み斑(%)が、1%以上20%以下であることが好ましい。厚み斑が20%を超える値であると、印刷時に印刷斑が発生し易くなったりするのであまり好ましくない。なお、厚み斑は18%以下であるとより好ましく、16%以下であると更に好ましく、14%以下であれば特に好ましい。厚み斑は0%に近づくほど良いが、下限は1%であっても実用上構わない。
第一フィルムは、フィルムを構成する上記のポリエステル組成物とすべく、単一又は複数のポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す所定の方法により一軸延伸または二軸延伸し、その後さらに熱処理することによって得ることができる。なお、ポリエステルは、前記した好適なジカルボン酸成分とジオール成分とを公知の方法で重縮合させることで得ることができる。また、通常は、チップ状のポリエステルを2種以上混合してフィルムの原料として使用することが好ましく行われる。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエステル原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィム状に押し出す。押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金から回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
本発明の目的を達成するには、本発明の第一フィルムの延伸方向はフィルム縦(長手)方向、横(幅)方向のいずれでも構わない。以下では、最初に縦延伸、次に横延伸を実施する縦延伸−横延伸法について説明するが、順番を逆にする横延伸−縦延伸であっても、主配向方向が変わるだけであるので構わない。また、延伸方向が縦方向のみ、もしくは横方向のみでも構わない。
まず、縦方向の延伸を行う。実質的に未配向のフィルムを、Tg以上Tg+30℃以下の温度で3.0倍以上4.5倍以下の倍率となるように縦延伸するのが好ましい。縦方向への延伸倍率が高くなると、縦方向への配向が強化されすぎてしまい、縦方向への延伸、または次工程の横延伸で破断が生じてしまう。縦延伸倍率の好ましい上限は4.2倍以下であり、3.9倍以下だとより好ましい。縦延伸後にフィルムを長手方向へ弛緩(リラックス)して最終的な延伸倍率をコントロールすることもできる。リラックスは、縦延伸後のフィルムをTg以上Tg+90℃以下の温度で加熱し、ロールの速度差を用いる等の手段を用いることで、長手方向に任意の倍率でフィルムを弛緩することで行うことができる。加熱手段はロール、近赤外線、遠赤外線、熱風ヒータ等のいずれも用いる事ができる。
また、縦延伸倍率が3.0倍よりも低いとフィルム長手方向の厚み斑が悪化してしまう場合があり、フィルムをロールとして巻き取った際に巻きズレ等の問題が生じるため、好ましくない。最終的な縦方向の延伸倍率を3.0倍以下としたい場合は、縦延伸を3.0倍以上で実施した後にリラックスを実施することでコントロールすることができる。縦延伸倍率の好ましい下限は3.2倍以上であり、3.4倍以上だとより好ましい。上記したように、横延伸を実施するのであれば、縦延伸を実施しなくても構わない。
次に、横方向の延伸を行う。横方向の延伸は、テンター内でフィルム幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、Tg以上Tg+30℃以下の温度で3.5〜5.0倍程度、行うことが好ましい。横方向の延伸を行う前には、Tg−10℃以上Tg+50℃以下の温度で予備加熱を行っておくことが好ましい。
横延伸の後は、フィルムの熱処理を行う。熱処理温度は、原料として用いるポリエステル樹脂のDSC昇温プロファイルから得られる融解開始温度以上とすることが好ましい。熱処理の際には横方向のクリップ間距離を縮めるリラックス処理(前記の長手方向のリラックス処理とは異なる)を任意の倍率で行っても良い。融解開始温度以上で熱処理することにより、延伸によって生じたフィルムの結晶配向を部分的に崩壊させて40%伸張時応力を調節でき、折畳み角度を低下させる作用がある。それと同時に、融解開始温度以上の熱処理によって、延伸で生じたフィルムの非晶配向も崩壊させて収縮性を低下させることができる。熱処理温度が融解開始温度より低いとフィルムが結晶化する領域で熱処理していることになり、フィルムの収縮性は低下するものの、折畳み保持角度が増加して好ましくない。一方、熱処理温度が240℃を超える場合、本発明では非晶性のポリエステル樹脂を用いるため、フィルムの収縮が大きくなる。このことで製膜中のフィルムの厚み斑が悪化し、さらに過熱が進むとフィルムが完全融解して破断してしまうため好ましくない。後は、フィルム両端部を裁断除去しながら巻き取れば、第一フィルムからなるポリエステル系フィルムロールが得られる。
(第二層)
第二層は、第一層とは異なる組成物からなることが好ましいが、樹脂組成物からなる層であってもよいし、樹脂組成物以外の組成物からなる層であってもよい。ただし、積層フィルムのヘイズを15%以下として透明性を確保する観点からは、第二層は樹脂組成物であることが好ましい。第一層のデッドホールド性の良さを活かして、種々のシート状物を第二層として積層することによって、折り畳むことができる積層フィルムを提供できる。
第二層に含有される樹脂としては、例えば、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などが挙げられるが、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂が好ましい。第二層に含有される樹脂は、一種のみを用いてもよいし、適宜、二種以上を混合して用いてもよい。
第二層において、縦方向の95℃の温湯で10秒間処理した後の温湯熱収縮率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下である。10%を超えると第二層の収縮が大きすぎ、その結果、積層フィルムの熱収縮も大きくなりすぎるので積層フィルムの加工性が悪くなるおそれがある。また、第二層において、横方向の温湯熱収縮率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは8%以下である。10%を超えると第二層の収縮が大きすぎ、その結果、積層フィルムの熱収縮も大きくなりすぎるので積層フィルムの加工性が悪くなるおそれがある。
積層フィルムのデッドホールド性を向上させる上で、第二層においても、折畳み保持角度はなるべく小さいことが好ましいが、第二層単体の折畳み保持角度を評価すると「×」の評価になってしまうものでも使用可能である。
第二層は第一層と同様に、ヘイズが0.5%以上14.5%以下であることが好ましい。ヘイズが14.5%を超えると、透明性が低下するため、透明性が求められる袋等の包装材用途での使用が制限されることがある。一方、ヘイズ値が0.5%未満となると、傷などが目立ちやすく生産性が低下することがある。
第二層の衝撃強度は0.5J以上であることが好ましく、0.55J以上であるとより好ましい。第二層の衝撃強度が1.0J未満であると、積層フィルムを袋にしたときに落下等の衝撃が加わることで破袋等の問題が生じるため、好ましくない。
第二層の厚みは10μm以上95μm以下が好ましい。第二層の厚みが10μmより薄いと印刷等の加工が困難になるおそれがある。また第二層の厚みが95μmより厚くても構わないが、第二層の使用質量が増えるため、コストが高くなる。第二層の厚みは12μm以上、90μm以下であるとより好ましく、14μm以上、85μm以下であるとさらに好ましい。
第二層としては、市販品を使用してもよく、上記市販品としては、例えば、東洋紡社製ハーデン(登録商標)フィルムN1202、N1102、東洋紡社製パイレン(登録商標)フィルムP2261、P2161などが挙げられる。
第二層が、第一層と同一の樹脂組成物からなる場合、積層フィルムの折畳み保持角度は
、75度以下であるのが好ましく、より好ましくは70度以下、さらに好ましくは65度
以下、特に好ましくは55度以下である。75度を超えると、折り紙や包装紙等で折った
際に折り目が開き、きれいな美観を得られなくなるおそれがある。また、積層フィルムの
折畳み保持角度は小さいほど好ましいが、現状では25度程度が下限であるが、30度以
上であっても構わない。
(第三層)
本発明の第三層は合成樹脂からなり、本発明の第三層における好適な組成、物性、製法などは、第一層での記載と同一となるため、説明を省略する。また、第三層は、第一層と同じ樹脂組成物からなる層でも、異なる樹脂組成物からなる層でもよいが、第一層と同じ樹脂組成物からなる層であることが好ましい。
(積層フィルム)
本発明に係る積層フィルムは、第一層と、第一層とは同一の又は異なる組成物からなる第二層とを含む構成、または、第一層と、第一層とは異なる組成物からなる第二層と、第二層とは異なる樹脂組成物からなる第三層とを含んでおり、第二層は、第一層と第三層との間に位置する構成となっている。このような構成とすることにより、第二層の折畳み保持角度が大きい場合であっても、第一層又は第三層が山折り面となるように山折りすると、積層フィルムの折畳み保持角度を小さくすることができる。なお、折畳み保持角度の大きい層が表層を形成した場合、折畳み保持角度の大きい層が山折り面となるように山折りすると、積層フィルムの折畳み保持角度が大きくなる場合があり、あまり好ましくない。
本発明に係る積層フィルムは、折畳み保持角度が100度以下であり、より好ましくは95度以下、さらに好ましくは90度以下、特に好ましくは85度以下、最も好ましくは80度以下である。100度を超えると、折り紙や包装紙等で折った際に折り目が開き、きれいな美観を得られなくなるので好ましくない。また、折畳み保持角度は小さいほど好ましいが、現状では30度程度が下限である。
本発明に係る積層フィルムは、縦方向及び横方向の95℃温湯で10秒間処理した後の温湯熱収縮率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは9.5%以下である。10%を超えると積層フィルムの収縮が大きすぎ、加工性が悪くなるおそれがある。収縮率はゼロ%に近づくほどよく、実際にゼロ%とすることも可能である。また、収縮率は数%程度のマイナスの値を示す、すなわち極わずかな伸長挙動を示す場合もある。
本発明に係る積層フィルムの衝撃強度は、0.8J以上であることが好ましく、0.85J以上であるとより好ましい。衝撃強度が0.8J未満であると、積層フィルムを袋にしたときに落下等の衝撃が加わることで破袋等の問題が生じるため、好ましくない。衝撃強度は高ければ高いほど好ましいが、本発明における実施態様からは、3.0Jが上限である。
本発明に係る積層フィルムの厚みは、10μm以上100μm以下であることが好ましく、15μm以上95μm以下であるとより好ましい。厚みが10μm未満であると、必要な衝撃強度が確保できないため、好ましくない。また、厚みが100μmより大きい場合、衝撃強度が増加する点では好ましいが、折畳み保持性が低下するので好ましくない。
尚、上記積層フィルムの厚みとは、第一層、第二層、及び第三層と、後述する層同士の接着に用いられるラミネート層の合計厚みを言う。
低熱収縮性及び折畳み保持性を妨げない限りは、第一層、第二層、及び第三層をそれぞれ複数層重ねてもよく、第一層と第二層との間、第二層と第三層との間に他の層を設けてもよい。他の層としては、第一層、第二層、第三層が挙げられ、第一・第二・第三層をそれぞれ複数層積層することも可能である。また、他の層としては、第一・第二・第三層とは異なる組成物からなる層であってもよい。さらに、他の層として紙、アルミホイル、金箔、ドライラミネーション用接着剤、押出ラミネーションのためのアンカーコート層やポリエチレン接着層などを設けることもできる。
(隣接する層同士の接着)
本発明に係る積層フィルムを作製する際には、ドライラミネートや押出ラミネートにより隣接するフィルム同士を接着することが好ましい。ドライラミネートの場合は市販のドライラミネーション用接着剤を用いることができる。代表例としては、DIC社製ディックドライ(登録商標)LX−703VL、DIC社製KR−90、三井化学社製タケネート(登録商標)A−4、三井化学社製タケラック(登録商標)A−905などである。押出ラミネートの場合は、層間、又は層とその他の層の間にポリエチレンなどを溶融させて接着させるが、層等の表面の接着性を高めるためにアンカーコート層を積層しておくことも好ましい。
(用途)
本発明に係る積層フィルムは、ガゼット袋、ブックカバー、包装紙、折り紙などに用いることができる。以下に、本発明に係る積層フィルムを用いてガゼット袋を作製する方法及び本発明に係る積層フィルムを用いてブックカバーを作製する方法を以下に記載する。
(ガゼット袋の作製方法)
ガゼット袋に用いる積層フィルムとしては、ガゼット袋を作製する際に積層フィルムの両面(表面、裏面)共に山折り面として用いるため、合成樹脂からなる第一層と、第一層とは異なる組成物からなる第二層と、第二層とは異なる組成物からなる第三層とを含む積層フィルムであって、第二層は、第一層と第三層との間に位置している積層フィルム(以下、3層フィルムという)であることが好ましい。第一層のように樹脂組成物からなる層をガゼット袋の表面とすることにより、従来の紙でできたガゼット袋と比べて、水分により破れが生じたり、印刷が変色したりすることが少ないので、本発明の積層フィルムから作製されたガゼット袋は耐久性に優れたものとなる。
以下に、ガゼット袋を作製しやすいように、二つ折りの状態とした積層フィルムを所定
の長さに裁断し、かつ折り癖が設けられたガゼット袋用積層フィルムを作製する工程の一
例を記載する。
まず、本発明に係る積層フィルムを上述のとおりに作製し、そしてリールに巻き付ける。次に、積層フィルムを巻いたリールから、搬送ローラによって積層フィルムを繰り出す。続いて、帯状の積層フィルムを筒状にするために、繰り出された積層フィルムを一端部が筒状であるフォーマーに搬送する。その後、フォーマーに巻き付けられた筒状の積層フィルムがフォーマーの一端部から他端部へと向かうように、積層フィルムをフィルムの長手方向に繰り出す。フォーマーの形状は進行方向に進むにつれて筒状から薄板状に変形しており、フォーマーの他端部は薄板状となっているため、積層フィルムは次第に筒状から二つ折りの状態へと変形する。二つ折りの状態へと積層フィルムを変形させた後、フォーマー近傍に設けられたシーラを用いてフィルム幅方向の両端部を合掌しつつ、フォーマー近傍に設けられた折り癖付け用治具によりフィルムの長手方向に縦折り癖aを付す。縦折り癖aを付した状態の積層フィルムを図1に示す。縦折り癖aと左折り目bとの距離は、センターシール部11と右折り目cとの距離と略同じとするのが好ましい。略同じとすることで、後述のガゼット袋用積層フィルムを手作業で折ってガゼット袋を作製するときに、図2に示すとおり、縦折り癖a及びセンターシール部11を山折り用折り癖として折り込み作業を行うことができるので、折り込み作業を効率的に行うことができる。
なお、センターシール部11におけるセンターシールはヒートシールでも実施できるが、第一層や第三層が非晶質成分を含むポリエステルを含んでなる場合に溶剤接着により実施することが好ましい。接着用溶剤は特に限定はなく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、またはこれらの混合物等を挙げることができる。
続いて、シールされ、かつ二つ折り状態となった積層フィルム(以下、二つ折り積層フィルムという)を長手方向に移動させ、カッティングマシーンにより長手方向が所定の長さとなるように二つ折り積層フィルムを裁断し、ガゼット袋用積層フィルム20とする。そして、二つ折り積層フィルムを長手方向に移動させている間に、折り癖付け用治具により二つ折り積層フィルムの幅方向にフィルム長手方向上端部から所定の距離となるように上折り癖dを、フィルム長手方向下端部から所定の距離となるように下折り癖eを付す。所定の長さとなるように裁断され、上折り癖d、下折り癖eが付されたガゼット袋用積層フィルム20を図3に示す。
このようにして所定の長さで裁断され、かつ折り癖が設けられたガゼット袋用積層フィルム20は、縦折り癖a及びセンターシール部11を山折り用折り癖として山折りし、左折り込み部12及び右折り込み部13の幅方向中央部近傍のラインを谷折りして図2の状態とし、その後、公知の方法で、積層フィルムの下折り癖eからフィルム長手方向下端部までの部分にガゼット折り込みを施して角底部を形成することによって、ガゼット袋を作製することができる。角底部を形成する際に、下折り癖eが設けられているので、どのガゼット袋も同一の高さとなるようにガゼット折り込みを施すことができる。また、上折り癖dが設けられているので、ガゼット袋の上端部を容易に折り曲げることができる。そして、ガゼット袋の上端部を折り曲げた場合であっても、他の折り曲げられたガゼット袋と同一の高さとすることができる。
以上より、積層フィルム10にセンターシール部11、縦折り癖a、上折り癖d、下折り癖eを設けることにより、ガゼット袋の折り込み作業を容易に行うことができる。
(ブックカバーの作製方法)
ブックカバーに用いる積層フィルムとしては、第一層と、第一層とは同一の又は異なる組成物からなる第二層とを含む積層フィルム(以下、2層フィルムという)又は3層フィルムが好ましい。2層フィルムであっても、第一層が山折り面となるように折畳みを行ってブックカバーを作製することで折畳み保持角度を低くすることができる。よって、2層フィルム又は3層フィルムを用いることにより、デッドホールド性に優れたブックカバーを作製することができ、第一層のように樹脂組成物からなる層をブックカバーの表面とすることにより、従来の紙でできたブックカバーと比べて、水分により破れが生じたり、印刷が変色することが少ないので、本発明の積層フィルムから作製されたブックカバーは耐久性に優れたものとなる。
ブックカバー31は、図4に示すように、本の表表紙部分を覆う表表紙カバー部32と、背部分を覆う背側カバー部33と、裏表紙部分を覆う裏表紙カバー部34と、表表紙カバー部32から折り返された表表紙折返し部35と、裏表紙カバー部34から折り返された裏表紙折返し部36とを有している。上記表表紙折返し部35及び上記裏表紙折返し部36はともに袋状に形成されている。
2層フィルムを用いて図4に示す形状とするために、まず、ブックカバーは、第一層が山折り面となるように2層フィルムの長手方向上端部を2つ折りにし、表表紙カバー部32から折り返された表表紙折返し部35が第二層と隣り合うようにする。次に、長手方向下端部についても2つ折りにし、裏表紙カバー部34から折り返された裏表紙折返し部36が第二層と隣り合うようにし、その後、表表紙折返し部35は熱シール又は溶剤接着(図中、記号×を付した部分)によって表表紙カバー部32の上縁および下縁に接着されており、裏表紙折返し部36もまた熱シールによって裏表紙カバー部34の上縁および下縁に接着されている。
なお、3層フィルムを用いた場合であっても、2層フィルムと同様にブックカバーを作製することができ、3層フィルムの場合は、表表紙折返し部35及び裏表紙折返し部36を形成するために、長手方向上端部及び長手方向下端部を2つ折りする際に、第一層が山折り面となるように折畳んでも、第三層が山折り面となるように折畳んでもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
各実施例、比較例で得られた供試材についての物性測定方法は以下の通りである。尚、フィルムの面積が小さいなどの理由で、長手方向と幅方向が直ちに特定できない場合は、仮に長手方向と幅方向を定めて測定すればよく、仮に定めた長手方向、幅方向が、真の長手方向、幅方向と90度間違っているからと言って、特に問題を生ずることはない。
[平均厚み]
マイクロメーター(ファインプリューフ社製ミリトロン1254D)を用いて、1枚当たり5点を計3枚の15点を測定し、その平均値を求めた。
[折畳み保持角度(デッドホールド性)]
(単層フィルム)
20℃50%RH環境の恒温室で単層フィルムを24時間放置する。その後直ちに、単層フィルムを20℃65%RH環境で10cm×10cmの正方形に裁断し、軽く4つ折り(2.5cm×2.5cmの正方形が重なった状態)にし、テストシーラーで0.5kgの荷重を1秒間かけた。そして、図5に示すように、サンプル41の四隅がガラス板42に接する又はガラス板42近傍に位置する(折り目の頂点(4つ折り前のサンプル41の中央部)がガラス板42から離れたところに位置する)ように4つ折りにしたサンプル41をガラス板42上に置き、1分経過後に折られた単層フィルムが開いた角度43(完全に折りたたまれた状態を0度とした)を測定して折畳み保持角度を求めた。また、フィルム縦方向、横方向の両方の折畳み保持角度を測定し、角度が大きい方の値を折畳み保持角度とした。なお、折畳み保持角度の測定においては、フィルム縦方向と横方向が不明瞭なフィルムサンプルの場合、一方向を仮に縦方向と定め、前記仮の縦方向と直交する方向を仮の横方向とした。
(積層フィルム)
2層以上積層した積層フィルムでも、以下の点を除いては上記測定方法と同様に折畳み保持角度を測定した。4つ折り状態とする際にまず2つ折りを行うが、積層フィルムの一方の面(表面)が山折り面となるように2つ折りした場合の折畳み保持角度と、積層フィルムの他方の面(裏面)が山折り面となるように2つ折りした場合の折畳み保持角度とを測定し、角度が小さい方の値を折畳み保持角度とした。
[熱収縮率]
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、95℃±0.5℃の温湯中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から引き出してフィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記式(1)にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。

熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) …式(
1)
[40%伸張時の応力]
測定方向をフィルム幅方向とすると、幅方向に140mm、測定方向と直交する方向(フィルム長手方向)に20mmの短冊状の試験片を作製した。万能引張試験機「DSS−100」(島津製作所製)を用いて、試験片の両端からチャックで各々20mmずつ把持(チャック間距離100mm)して、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/min.の条件にて引張試験を行った。得られた応力−ひずみ曲線より、ひずみ40%時の応力を40%伸張時の応力とした。長手方向の測定は、前記幅方向の測定と試料片の作成方向を90度変更して実施した。尚、ひずみが40%に到達する前にフィルムが破断した場合は、応力を0MPaとした。最終的には幅方向と長手方向、それぞれから得られた応力の平均値をひずみ40%時の応力として用いた。
[ヘイズ]
JIS-K-7136に準拠し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
[引張破壊強さ]
測定方向をフィルム幅方向とすると、幅方向に140mm、測定方向と直交する方向(フィルム長手方向)に20mmの短冊状の試験片を作製した。万能引張試験機「DSS−100」(島津製作所製)を用いて、試験片の両端からチャックで各々20mmずつ把持(チャック間距離100mm)して、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/min.の条件にて引張試験を行い、引張破壊時の応力を引張破壊強さとした。長手方向の測定は、前記幅方向の測定と試料片の作成方向を90度変更して実施した。
[衝撃強度]
JIS-K-7128に準拠し、東洋精機製作所社製のフィルムインパクトテスターを使用し、温度23℃、相対湿度65%の環境下で測定した。
[ガラス転移点(Tg)]
温度変調示差走査熱量計(DSC)「Q100」(TA Instruments 社製)を用いて、30℃、85%RH雰囲気下で672時間エージングした後のフィルムサンプルをハーメチックアルミニウムパン内に5.0mg秤量し、MDSC(登録商標)ヒートオンリーモードで、平均昇温速度2.0℃/min、変調周期60秒で測定して得られる可逆熱流束曲線を測定した。得られた可逆熱流束曲線の変曲点の前後に接線を引き、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点(T;℃)とした。
[融解開始温度]
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、JIS−K−7121に従って低温側の補外融解開始温度を求めた。まずフィルム10mgを20℃から300℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、昇温プロファイルを得た。昇温プロファイルにおいて、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度を融解開始温度として読み取った。
[長手方向厚み斑]
フィルムを長さ12m×幅40mmの長尺なロール状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、測定速度5m/分でフィルムの長手方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは10m)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、下式(2)からフィルムの長手方向の厚み斑を算出した。
厚み斑={(Tmax.−Tmin.)/Tave.}×100 (%) ・・式(2)
[幅方向厚み斑]
フィルムを長さ40mm×幅1.2mの幅広な帯状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、測定速度5m/分でフィルム試料の幅方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは500mm)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、上式(2)からフィルムの幅方向の厚み斑を算出した。
〔ポリエステル原料の調製〕
ポリエステルA〜Eは以下の表1に記載の酸性分と多価アルコール成分とを公知の方法で反応させて得られたポリエステルであり、ポリエステルEに含有されている滑剤は富士シリシア社製サイリシア(登録商標)266である。上記ポリエステルA〜Eを用いてポリエステルフィルムNo.1〜7を作製した。組成を表1に示す。なお、表中、IPAはイソフタル酸、NPGはネオペンチルグリコール、CHDMは1,4−シクロヘキサンジメタノール、BDは1,4−ブタンジオール、ε−CLはε−カプロラクトン、DEGは副生成物のジエチレングリコールである。
以下に各フィルムの製膜方法について記載する。
(ポリエステルフィルムNo.1の製膜)
上記したポリエステルAとポリエステルBとポリエステルDとポリエステルFを重量比5:66:24:5で混合し、混合して押出機に投入した。この混合樹脂を270℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度25℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さ280μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのガラス転移温度は61℃、融解開始温度は130℃であった。得られた未延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、予熱ロールでフィルム温度が70℃になるまで予備加熱した後、表面温度80℃に設定された低速回転ロールと、表面温度80℃に設定された高速回転ロールとの間で、回転速度差を利用して、縦方向に3.5倍延伸した。しかる後、縦延伸後のフィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、まずフィルムの表面温度が100℃になるまで予備加熱を行い、その後、90℃で横方向に4.0倍に延伸した。横延伸後のフィルムは、幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でテンター内の熱処理ゾーンに導き、当該熱処理ゾーンにおいて、150℃の温度で8秒間に亘って熱処理を施した後に冷却した。しかる後、両縁部を裁断除去して幅400mmでロール状に巻き取ることによって、フィルム厚みが約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜してポリエステルフィルムNo.1(以下、フィルムNo.1という)を得た。
(ポリエステルフィルムNo.2の製膜)
フィルムNo.1と同じポリエステル原料をフィルムNo.1と同様に溶融押し出しし、厚さ170μmの未延伸フィルムを得た。その後、フィルムNo.1と同じ方法で縦延伸し、縦延伸直後のフィルムを熱炉へ通した。加熱炉内は熱風ヒータで加熱されており、設定温度は95℃であった。加熱炉の入口と出口のロール間の速度差を利用して、長手方向に40%リラックス処理を行った。リラックスの時間は0.6秒であった。続いてフィルムNo.1と同様の方法で横延伸と熱固定を行い、両縁部を裁断除去して幅400mmでロール状に巻き取ることによって、フィルム厚みが約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜してポリエステルフィルムNo.2(以下、フィルムNo.2という)を得た。
(ポリエステルフィルムNo.3の製膜)
フィルムNo.1と同じポリエステル原料をフィルムNo.1と同様に溶融押し出しし、厚さ160μmの未延伸フィルムを得た。その後、フィルムNo.1と同じ方法で縦延伸し、フィルムNo.2と同様の方法でリラックスを行った。続いてフィルムNo.1と同様の方法で横延伸を行い、幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でテンター内の熱処理ゾーンに導き、当該熱処理ゾーンにおいて、クリップ間の距離を縮めてリラックス処理を行いながら150℃の温度で8秒間に亘って熱処理を施した。このときのリラックス率は5%であった。しかる後、フィルムを冷却し、両縁部を裁断除去して幅400mmでロール状に巻き取ることによって、フィルム厚みが約20μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜してポリエステルフィルムNo.3(以下、フィルムNo.3という)を得た。
(ポリエステルフィルムNo.4の製膜)
フィルムNo.1と同じポリエステル原料をフィルムNo.1と同様に溶融押し出しし、厚さ560μmの未延伸フィルムを得た。その後、フィルムNo.1と同様の方法で縦延伸、横延伸、熱処理を行い、両縁部を裁断除去して幅400mmでロール状に巻き取ることによって、フィルム厚みが約40μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜してポリエステルフィルムNo.4(以下、フィルムNo.4という)を得た。
(ポリエステルフィルムNo.5の製膜)
上記したポリエステルAとポリエステルBとポリエステルEとポリエステルFを重量比5:75:15:5で混合し、混合して押出機に投入した。この混合樹脂をフィルムNo.1と同様の方法で溶融押し出しし、厚さ505μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのガラス転移温度は60℃、融解開始温度は125℃であった。その後、縦延伸後のリラックス率を50%とした以外は、フィルムNo.2と同様の方法で縦延伸、縦延伸後のリラックス、横延伸、熱処理を行い、両縁部を裁断除去して幅400mmでロール状に巻き取ることによって、フィルム厚みが約60μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜してポリエステルフィルムNo.5(以下、フィルムNo.5という)を得た。
(ポリエステルフィルムNo.6の製膜)
上記したポリエステルAとポリエステルCとポリエステルEとポリエステルFとポリエステルGを重量比5:20:10:5:60で混合し、混合して押出機に投入した。この混合樹脂をフィルムNo.1と同様の方法で溶融押し出しし、厚さ67μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのガラス転移温度は65℃、融解開始温度は140℃であった。得られた実延伸フィルムをフィルムNo.1と同じ方法で縦延伸し、フィルムNo.5と同じ方法で縦延伸後のリラックスを行った。その後、横延伸の温度を95℃、熱処理を160℃とした以外はフィルムNo.3と同様の方法で横延伸、熱処理、リラックスを行った。しかる後、両縁部を裁断除去して幅400mmでロール状に巻き取ることによって、フィルム厚みが約10μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜してポリエステルフィルムNo.6(以下、フィルムNo.6という)を得た。
上述したフィルムNo.1〜6の物性を測定し、その結果を製造方法と一緒に表2にまとめた。
上記のフィルム以外に二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである東洋紡社製東洋紡エステル(登録商標)フィルムE5102、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムである東洋紡社製パイレン(登録商標)フィルムP2161、及び二軸延伸ポリアミド(ONY)フィルムであるである東洋紡社製ハーデン(登録商標)フィルムN1102を用い、各々のフィルムの折畳み保持角度、95℃温湯収縮率、衝撃強度、ヘイズを測定し、その結果を表3にまとめた。なお、折畳み保持角度が「×」となっているのは折畳んだにもかかわらず1秒後には折畳み状態を保持できていなかったことを示す。
〔積層フィルム〕
(実施例1)
2つの20μmのフィルムNo.1をドライラミネーション用接着剤(三井化学社製タ
ケラック(登録商標)A−950)を用いて積層することによって、2層フィルムを作製
した。得られた2層フィルムの物性を測定し、その結果を表4に示す。
(実施例2〜10)
実施例2〜10は、実施例1で用いたフィルムを変更し、実施例1と同じ方法で種々の2層フィルムを作製した。得られた2層フィルムの物性を測定し、その結果を表4に示す。
(実施例11)
10μmのフィルムNo.6と12μmのE5102フィルムとを接着剤(三井化学社製タケラック(登録商標)A−950)を用いて積層し、12μmのE5102フィルムが積層されていない面に別の10μmのフィルムNo.6を接着剤(三井化学社製タケラック(登録商標)A−950)を用いて接着することによって、3層フィルムを得た。得られた3層フィルムの物性を測定し、その結果を表4に示す。
(実施例12〜16)
実施例12〜16は、実施例11で用いたフィルムを変更し、実施例11と同じ方法で種々の3層フィルムを作製した。得られた3層フィルムの物性を測定し、その結果を表4に示す。
(比較例1)
20μmのP2161と10μmのフィルムNo.6とを接着剤(三井化学社製タケラック(登録商標)A−950)を用いて積層し、10μmのフィルムNo.6とが積層されていない面に別の20μmのP2161を接着剤(三井化学社製タケラック(登録商標)A−950)を用いて接着することによって、3層フィルムを得た。得られた3層フィルムの物性を測定し、その結果を表4に示す。
(比較例2、3)
比較例2、3は、比較例1で用いたフィルムを変更し、比較例1と同じ方法で種々の3層フィルムを作製した。得られた3層フィルムの物性を測定し、その結果を表4に示す。
折畳み保持性に優れた第一層にシート状である第二層を積層した積層フィルムとし、第一層の他方の面(第二層が積層されていない側の面)には何も積層しないようにすることによって、デッドホールド性及び加工性に優れた積層フィルムとすることができた。本発明に係る積層フィルムは、ガゼット袋、ブックカバー、包装紙、折り紙などに用いることができる。
10 積層フィルム
11 センターシール部
12 左折り込み部
13 右折り込み部
20 ガゼット袋用積層フィルム
a 縦折り癖
b 左折り目
c 右折り目
d 上折り癖
e 下折り癖

Claims (6)

  1. 非晶成分となりうるモノマー成分の合計量が13モル%以上30モル%以下のポリエステルからなる第一層と、第一層とは異なる樹脂組成物からなる第二層と、第二層とは異なる樹脂組成物からなる第三層とを含む積層フィルムであって、第二層は、第一層と第三層との間に位置しており、積層フィルムは、前記第一層、第二層および第三層をこの順で接着させたものであり、
    以下の(1)〜(5)の要件を満たすことを特徴とする積層フィルム。
    (1)積層フィルム全体の合計厚みが10〜100μmであり、
    (2)20℃50%RHの環境下で1日保管させた後の折畳み保持角度が100度以下 であり、
    (3)95℃温湯へ10秒浸漬したあとの収縮率が長手方向、幅方向、いずれも10% 以下であり、
    (4)衝撃強度が0.8〜3.0Jである
    (5)ヘイズが15%以下である
  2. 第一層及び第三層にはポリエステル樹脂が含まれている請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 第一層と第三層とは同じ樹脂組成物からなる請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 第二層にはナイロン樹脂又はポリプロピレン樹脂が含まれている請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルムからなるガゼット袋。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルムからなるブックカバー。
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