JP2014113789A - 多層延伸フィルムの製造方法および多層延伸フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性とともに、衝撃強度および易裂性に優れた多層延伸フィルムを製造する製造方法を提供する。
【解決手段】40質量%以上85質量%以下のNy6と、15質量%以上60質量%以下のMXD6とを配合して溶融混練したバージン原料と、Ny6と融点が233℃以上238℃以下MXD6とを配合した熱履歴品とを、バージン原料100質量%に対して5質量%以上40質量%以下で添加し溶融混練する。溶融物を、接着層およびポリエステル層の樹脂原料を溶融混練した溶融物と積層状態に押し出して得られた原反フィルムを、最大歪み速度がMD方向およびTD方向のいずれも2.5sec−1以上で二軸延伸する。衝撃強度が40000J/m以上の高強度および易裂性に優れた多層延伸フィルムが得られる。
【選択図】なし
【解決手段】40質量%以上85質量%以下のNy6と、15質量%以上60質量%以下のMXD6とを配合して溶融混練したバージン原料と、Ny6と融点が233℃以上238℃以下MXD6とを配合した熱履歴品とを、バージン原料100質量%に対して5質量%以上40質量%以下で添加し溶融混練する。溶融物を、接着層およびポリエステル層の樹脂原料を溶融混練した溶融物と積層状態に押し出して得られた原反フィルムを、最大歪み速度がMD方向およびTD方向のいずれも2.5sec−1以上で二軸延伸する。衝撃強度が40000J/m以上の高強度および易裂性に優れた多層延伸フィルムが得られる。
【選択図】なし
Description
本発明は、多層延伸フィルムの製造方法および多層延伸フィルムに関する。
食品や医薬分野、電子部品などの工業用分野などにおいて、包材に易裂性を付与する技術に対する要求特性が高くなっている。特に、レトルト食品用包材や流動食用包材などの高熱処理を施す包材に対しても易裂性が望まれている。
このような易裂性フィルムに耐熱性を付与する方法として、易裂性フィルムに耐熱性を有したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをラミネートすることが考えられている(例えば、特許文献1参照)
特許文献1に記載の方法では、ラミネート工程を減らすべく、多層延伸にてPETフィルムと、接着層と、ナイロン6(以後、Ny6ともいう)およびメタキシリレンアジパミド(以後、MXD6ともいう)のブレンド層からなる積層体を製造する方法が採られている。
このような易裂性フィルムに耐熱性を付与する方法として、易裂性フィルムに耐熱性を有したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをラミネートすることが考えられている(例えば、特許文献1参照)
特許文献1に記載の方法では、ラミネート工程を減らすべく、多層延伸にてPETフィルムと、接着層と、ナイロン6(以後、Ny6ともいう)およびメタキシリレンアジパミド(以後、MXD6ともいう)のブレンド層からなる積層体を製造する方法が採られている。
しかしながら、特許文献1では、多層延伸フィルムを製造する方法として、同時二軸延伸でも逐次二軸延伸でもよいとの記載があり、具体的には各層をTダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出して、フラット状の多層フィルムを、ロール延伸機により縦延伸した後、テンター延伸機により横延伸する逐次二次延伸を実施している。このため、耐熱性は得られるものの、ナイロンフィルムとしての衝撃強度や易裂性は十分ではなく、これらの特性についてさらなる改善が望まれている。
本発明では、耐熱性とともに、衝撃強度および易裂性に優れた多層延伸フィルムの製造方法および多層延伸フィルムを提供することを目的とする。
本発明の多層延伸フィルムの製造方法は、ナイロン6(以後、Ny6ともいう)およびメタキシリレンアジパミド(以後、MXD6ともいう)からなるポリアミド層と、接着層と、ポリエステル層とを積層した後に延伸してなる多層延伸フィルムの製造方法であって、前記ポリアミド層は、Ny6が40質量%以上85質量%以下、MXD6が15質量%以上60質量%以下の配合比で溶融混練された原料100質量%に対して、Ny6および融点が233℃以上238℃以下のMXD6からなる熱履歴品を5質量%以上40質量%以下で添加する配合工程と、前記ポリアミド層、前記接着層、および前記ポリエステル層を積層状態で溶融押出して原反フィルムを成形する原反フィルム製造工程と、前記原反フィルムを、MD方向およびTD方向の最大歪み速度がいずれも2.5sec−1以上で二軸延伸する延伸工程と、を実施することを特徴とする。
そして、本発明では、前記延伸工程後の多層延伸フィルムは、前記ポリエステル層の厚さ寸法が5μm以上30μm以下で、前記接着層の厚さ寸法が1μm以上10μm以下で、前記ポリアミド層の厚さ寸法が5μm以上30μm以下で、総厚さ寸法が15μm以上70μmであり、前記ポリエステル層の厚さ寸法よりも前記ポリアミド層の厚さ寸法が厚い構成とすることが好ましい。
本発明の多層延伸フィルムは、本発明の多層延伸フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする。
そして、本発明では、衝撃強度が40000J/m以上であることが好ましい。
そして、本発明では、衝撃強度が40000J/m以上であることが好ましい。
本発明によれば、Ny6およびMXD6からなる所定の配合のポリアミド層に接着層を介してポリエステル層を積層して所定の最大歪み速度の条件で延伸するので、易裂性、高強度および耐熱性に優れ、かつ所定の熱履歴品を添加するので層内剥離現象も生じない優れた多層延伸フィルムを提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
[多層延伸フィルムの構成]
本実施形態に係る多層延伸フィルムは、Ny6およびMXD6からなるポリアミド層と、このポリアミド層の少なくともいずれか一方の面に、接着層およびポリエステル層とを積層した後に二軸延伸することで得られる。ここで、二軸延伸は、同時二軸延伸法や逐次二軸延伸法を用いることができるが、延伸する際の最大歪み速度を本発明範囲内にするために、チューブラー式同時二軸延伸法を用いることが特に好ましい。
[多層延伸フィルムの構成]
本実施形態に係る多層延伸フィルムは、Ny6およびMXD6からなるポリアミド層と、このポリアミド層の少なくともいずれか一方の面に、接着層およびポリエステル層とを積層した後に二軸延伸することで得られる。ここで、二軸延伸は、同時二軸延伸法や逐次二軸延伸法を用いることができるが、延伸する際の最大歪み速度を本発明範囲内にするために、チューブラー式同時二軸延伸法を用いることが特に好ましい。
ポリアミド層は、Ny6およびMXD6の配合比が40質量%以上85質量%以下:15質量%以上60質量%以下として溶融混練されたバージン原料100質量%に対して、MXD6の融点が233℃以上238℃以下の熱履歴品を5質量%以上40質量%以下で添加して得られる。
ここで、前記Ny6の化学式を下記の化1に示し、またMXD6の化学式を下記の化2に示す。
ここで、前記Ny6の化学式を下記の化1に示し、またMXD6の化学式を下記の化2に示す。
上述のバージン原料とは、通常は、Ny6とMXD6とが互いに混合され溶融混練された履歴を持つ混合原料ではない状態の原料を意味する。例えば、Ny6やMXD6が各々単独で溶融混練された履歴があっても(例えばリサイクル品)、これらが混合され溶融混練されていない場合は、バージン原料である。
バージン原料におけるNy6とMXD6の配合割合は、多層延伸フィルムの衝撃強度および耐熱性の観点から、Ny6が40質量%以上85質量%以下、MXD6が15質量%以上60質量%以下であることが好ましい。なお、バージン原料におけるMXD6が15質量部より少ない場合には、耐熱効果が減り、当該ポリアミド層を接着層およびポリエステル層、さらに適宜他のシーラントフィルムと積層して同時二軸延伸してラミネート包材を構成し、これをシール処理した際、ラミネート包材がシールバーに付着するおそれがある。また、MXD6が40質量部より多い場合には、衝撃強度が大幅に低下して実用性に乏しくなる。
バージン原料におけるNy6とMXD6の配合割合は、多層延伸フィルムの衝撃強度および耐熱性の観点から、Ny6が40質量%以上85質量%以下、MXD6が15質量%以上60質量%以下であることが好ましい。なお、バージン原料におけるMXD6が15質量部より少ない場合には、耐熱効果が減り、当該ポリアミド層を接着層およびポリエステル層、さらに適宜他のシーラントフィルムと積層して同時二軸延伸してラミネート包材を構成し、これをシール処理した際、ラミネート包材がシールバーに付着するおそれがある。また、MXD6が40質量部より多い場合には、衝撃強度が大幅に低下して実用性に乏しくなる。
熱履歴品とは、Ny6とMXD6の配合品で、一度押出機を通過したものをいい、本発明については、示差走査熱量計(DSC)でMXD6の融点が233℃以上238℃以下、好ましくは235℃以上237℃以下の範囲に保持されたものを用いる。なお、この熱履歴品は、本実施形態により得られたポリアミド層をリサイクルしたものでもよい。このような熱履歴品は、Ny6とMXD6の双方に親和性のある相溶化剤として機能するので、かかる熱履歴品をポリアミド層に加えることで層内剥離の発生を防止できる。
ここで、層内剥離とは、適当なシーラントフィルムとラミネートした後に冷間成形のような過酷な条件で使用すると、ポリアミド層内で剥離を引き起こす現象をいう。この層内剥離の機構は必ずしも明確ではないが、ポリアミド層内では、Ny6とMXD6が層状に配向しており、その界面で剥離が起こるものと考えられる。
また、Ny6およびMXD6からなる熱履歴品におけるMXD6の融点とは、バージン原料と溶融混練される前の状態で測定された融点をいう。熱履歴品におけるMXD6の融点が233℃未満になると、ポリアミド層の衝撃強度が低下する。また、熱履歴品におけるMXD6の融点が238℃以上になると、層内剥離を防止する効果が低くなる。
ここで、層内剥離とは、適当なシーラントフィルムとラミネートした後に冷間成形のような過酷な条件で使用すると、ポリアミド層内で剥離を引き起こす現象をいう。この層内剥離の機構は必ずしも明確ではないが、ポリアミド層内では、Ny6とMXD6が層状に配向しており、その界面で剥離が起こるものと考えられる。
また、Ny6およびMXD6からなる熱履歴品におけるMXD6の融点とは、バージン原料と溶融混練される前の状態で測定された融点をいう。熱履歴品におけるMXD6の融点が233℃未満になると、ポリアミド層の衝撃強度が低下する。また、熱履歴品におけるMXD6の融点が238℃以上になると、層内剥離を防止する効果が低くなる。
熱履歴品の含有量は、バージン原料全量100質量%基準で5質量%以上40質量%以下である。熱履歴品が5質量%未満では、ラミネートフィルムとした後に冷間成形のような過酷な条件下で使用すると、ポリアミド層で層内剥離を起こしやすくなる。また、熱履歴品が40質量%を超えると、ポリアミド層の衝撃強度が低下する。
熱履歴品におけるNy6とMXD6の配合割合は、衝撃強度および層内剥離防止効果の観点から、Ny6:MXD6=60質量%以上85質量%以下:15質量%以上40質量%以下であることが好ましい。なお、熱履歴品におけるMXD6の配合割合が15質量%未満(Ny6の配合割合が85質量%より多い)である場合、ポリアミド層の層内剥離防止効果が低くなる。熱履歴品におけるMXD6の配合割合が40質量%を越える(Ny6の配合割合が60質量%未満)場合、ポリアミド層の衝撃強度が低下すると同時に、易裂性が十分ではなくなる傾向がある。
熱履歴品におけるNy6とMXD6の配合割合は、衝撃強度および層内剥離防止効果の観点から、Ny6:MXD6=60質量%以上85質量%以下:15質量%以上40質量%以下であることが好ましい。なお、熱履歴品におけるMXD6の配合割合が15質量%未満(Ny6の配合割合が85質量%より多い)である場合、ポリアミド層の層内剥離防止効果が低くなる。熱履歴品におけるMXD6の配合割合が40質量%を越える(Ny6の配合割合が60質量%未満)場合、ポリアミド層の衝撃強度が低下すると同時に、易裂性が十分ではなくなる傾向がある。
なお、ポリアミド層には、必要な添加剤を適宜添加することができる。このような添加剤として、例えばアンチブロッキング剤(無機フィラーなど)、はっ水剤(エチレンビスステアリン酸エステルなど)、滑剤(ステアリン酸カルシウムなど)を挙げることができる。
ポリアミド層に隣接して積層される接着層は、例えば不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性された酸変性樹脂などの変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリオレフィン(具体的な商品名としては、三井化学株式会社製アドマー、三菱化学株式会社製モディック)や、変性スチレン系エラストマーなどが使用できる。これらは1種類に限らず、2種類以上混合して使用してもよい。
接着層に隣接して積層されるポリエステル層は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂などが使用できる。これらは1種類に限らず、2種類以上混合して使用してもよい。
多層延伸フィルムは、ポリエステル層の厚さ寸法が5μm以上30μm以下、好ましくは8μm以上20μm以下である。また、接着層の厚さ寸法は、1μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上8μm以下である。さらに、ポリアミド層の厚さ寸法は、5μm以上30μm以下、好ましくは8μm以上20μm以下である。さらに、総厚さ寸法は、15μm以上70μm以下、好ましくは18μm以上50μm以下である。そして、多層延伸フィルムは、ポリエステル層よりもポリアミド層の方が厚くなる条件の積層構造であることが好ましい。
ここで、ポリエステル層の厚さ寸法が5μmより薄くなると、耐熱性が不十分となるおそれがある。一方、ポリエステル層の厚さ寸法が30μmより厚くなると、易裂性や衝撃強度が十分に得られないおそれがある。
また、接着層の厚さ寸法が1μmより薄くなると、デラミネーション(層間剥離)という不都合を生じるおそれがある。一方、接着層の厚さ寸法が10μmより厚くなると、易裂性や衝撃強度が十分に得られないおそれがある。
さらに、ポリアミド層の厚さ寸法が5μmより薄くなると、易裂性や衝撃強度が十分に得られないおそれがある。一方、ポリアミド層の厚さ寸法が30μmより厚くなると、効果が飽和し製造面でコスト高となるおそれがある。
そして、ポリアミド層、接着層およびポリエステル層の3層の総厚さ寸法が15μmより薄くなると、衝撃強度が十分に得られないおそれがある。一方、3層の総厚さ寸法が70μmより厚くなると、効果が飽和するおそれがある。
さらに、ポリエステル層よりもポリアミド層の方を厚くしない場合には、衝撃強度や易裂性が十分に得られにくくなるという不都合を生じるおそれがある。
また、接着層の厚さ寸法が1μmより薄くなると、デラミネーション(層間剥離)という不都合を生じるおそれがある。一方、接着層の厚さ寸法が10μmより厚くなると、易裂性や衝撃強度が十分に得られないおそれがある。
さらに、ポリアミド層の厚さ寸法が5μmより薄くなると、易裂性や衝撃強度が十分に得られないおそれがある。一方、ポリアミド層の厚さ寸法が30μmより厚くなると、効果が飽和し製造面でコスト高となるおそれがある。
そして、ポリアミド層、接着層およびポリエステル層の3層の総厚さ寸法が15μmより薄くなると、衝撃強度が十分に得られないおそれがある。一方、3層の総厚さ寸法が70μmより厚くなると、効果が飽和するおそれがある。
さらに、ポリエステル層よりもポリアミド層の方を厚くしない場合には、衝撃強度や易裂性が十分に得られにくくなるという不都合を生じるおそれがある。
なお、本発明の多層延伸フィルムは、さらに他のラミネート基材を積層することで種々の用途に適用できる。ラミネート基材としては、例えばアルミニウム層およびアルミニウム層を含むフィルム、シーラント層などが挙げられる。
本実施形態のラミネート包材は、ポリアミド層と他のラミネート基材との全体の厚みが200μm以下であることが好ましい。かかる全体の厚みが200μmを超える場合、優れた易裂性が得られにくくなるおそれがある。
本実施形態のラミネート包材に使用するアルミニウム層としては、純アルミニウムまたはアルミニウム−鉄系合金の軟質材からなるアルミ箔を使用することができる。この場合、アルミニウム箔には、ラミネート性能を向上する観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤などによるアンダーコート処理、あるいはコロナ放電処理などの前処理を施してから、ONyフィルムに積層することが好ましい。
このようなアルミニウム層の厚さは5〜50μmであることが好ましい。これにより、酸素や水分などがラミネート包材中を透過することを防止できる。
なお、アルミニウム層の厚さが5μm未満である場合、ラミネート包材中を酸素や水分などが透過してしまうおそれがある。一方、アルミニウム層の厚さが50μmを超える場合、易裂性が十分に得られにくくなるおそれがある。
さらに、ラミネート基材やシーラント層の他、帯電防止層や印刷層、バリア層、強度補強層などの種々の機能層を積層してもよい。
このようなアルミニウム層の厚さは5〜50μmであることが好ましい。これにより、酸素や水分などがラミネート包材中を透過することを防止できる。
なお、アルミニウム層の厚さが5μm未満である場合、ラミネート包材中を酸素や水分などが透過してしまうおそれがある。一方、アルミニウム層の厚さが50μmを超える場合、易裂性が十分に得られにくくなるおそれがある。
さらに、ラミネート基材やシーラント層の他、帯電防止層や印刷層、バリア層、強度補強層などの種々の機能層を積層してもよい。
[多層延伸フィルムの製造方法]
以上のような多層延伸フィルムは、チューブラー法による同時二軸延伸法により好適に製造できる。具体的には、以下のようにして製造できる。
まず、配合工程において、Ny6が40質量%以上85質量%以下、MXD6が15質量%以上60質量%以下の配合割合で溶融混練したバージン原料と、Ny6が40質量%以上85質量%以下、MXD6が15質量%以上60質量%以下の配合で、かつ、当該MXD6の融点が233℃以上238℃以下の熱履歴品とを、バージン原料100質量%に対して5質量%以上40質量%以下で添加して溶融混練し、ポリアミド層の溶融物を調製する。
並行して、接着層およびポリエステル層の樹脂原料を溶融混練する。
以上のような多層延伸フィルムは、チューブラー法による同時二軸延伸法により好適に製造できる。具体的には、以下のようにして製造できる。
まず、配合工程において、Ny6が40質量%以上85質量%以下、MXD6が15質量%以上60質量%以下の配合割合で溶融混練したバージン原料と、Ny6が40質量%以上85質量%以下、MXD6が15質量%以上60質量%以下の配合で、かつ、当該MXD6の融点が233℃以上238℃以下の熱履歴品とを、バージン原料100質量%に対して5質量%以上40質量%以下で添加して溶融混練し、ポリアミド層の溶融物を調製する。
並行して、接着層およびポリエステル層の樹脂原料を溶融混練する。
次に、原反フィルム製造工程において、各溶融物を、ポリアミド層、接着層およびポリエステル層の順で積層する状態に環状ダイスから円筒状のフィルムとして溶融押し出しした後、引き続き急冷して原反フィルム(原反バブル)を作製する。
この後、延伸工程において、原反バブルを、一対のニップロール間に挿通した後、中に気体を圧入しながら延伸炉を通過させて外部からヒータで加熱すると共に、延伸開始点にエアーリングより外方からエアーを吹き付けて原反バブルを膨張させ、下流側の一対のニップロールで引き取ることにより、チューブラー法によるMD方向およびTD方向の同時二軸延伸を行い、延伸バブルを形成する。この際、最大歪み速度は、MD方向およびTD方向のいずれも2.5sec−1以上である。この最大歪み速度は、好ましくは3sec−1以上15sec−1以下である。
ここで、最大歪み速度とは、原反バブルが延伸開始から延伸終了点までの各位置でのMD方向とTD方向の変化率を算出し、その最大値で示したものである。最大歪み速度の制御は、例えば、溶融物を環状ダイスから溶融押し出しする際の吐出量や、延伸炉の大きさ(直径や長さ)を調整することで行うことができる。
ここで、最大歪み速度とは、原反バブルが延伸開始から延伸終了点までの各位置でのMD方向とTD方向の変化率を算出し、その最大値で示したものである。最大歪み速度の制御は、例えば、溶融物を環状ダイスから溶融押し出しする際の吐出量や、延伸炉の大きさ(直径や長さ)を調整することで行うことができる。
このような最大歪速度は、次のような方法により具体的に求めることができる。
まず、延伸途中のフィルムサンプルを採取する。そして、このサンプルの移動方向の移動距離に対する、サンプルの折径(幅)の変化を計測して、移動距離とサンプルの折径(幅)との関係を示す曲線を作成する。ここで、移動距離からは、延伸開始からの時間が算出できる。また、サンプルの折径と、原反フィルム(未延伸フィルム)の折径(幅)と、TD方向の延伸倍率との関係は、下記式:
(サンプルの折径(幅))/(原反フィルムの折径(幅))=(TD方向の延伸倍率)
で表されることから、サンプルの折径(幅)を原反フィルムの折径(幅)で割ることにより、TD方向の延伸倍率が算出できる。そのため、移動距離とサンプルの折径との関係を示す曲線から、延伸開始からの時間とTD方向の延伸倍率との関係を示す曲線を作成することができる。
まず、延伸途中のフィルムサンプルを採取する。そして、このサンプルの移動方向の移動距離に対する、サンプルの折径(幅)の変化を計測して、移動距離とサンプルの折径(幅)との関係を示す曲線を作成する。ここで、移動距離からは、延伸開始からの時間が算出できる。また、サンプルの折径と、原反フィルム(未延伸フィルム)の折径(幅)と、TD方向の延伸倍率との関係は、下記式:
(サンプルの折径(幅))/(原反フィルムの折径(幅))=(TD方向の延伸倍率)
で表されることから、サンプルの折径(幅)を原反フィルムの折径(幅)で割ることにより、TD方向の延伸倍率が算出できる。そのため、移動距離とサンプルの折径との関係を示す曲線から、延伸開始からの時間とTD方向の延伸倍率との関係を示す曲線を作成することができる。
次いで、上述したサンプルについて、サンプルの移動方向の移動距離に対する、サンプルの厚みの変化を計測して、移動距離とサンプルの厚みとの関係を示す曲線を作成する。ここで、移動距離からは、延伸開始からの時間が算出できる。また、サンプルの厚みと、原反フィルムの厚みと、MD×TDの総合延伸倍率との関係は、下記式:
(原反フィルムの厚み)/(サンプルの厚み)=(MD×TDの総合延伸倍率)
で表されることから、原反フィルム厚みからサンプルの厚みを割ることにより、MD×TDの総合延伸倍率が算出できる。また、MD×TDの総合延伸倍率と、TD方向の延伸倍率と、MD方向の延伸倍率との関係は、下記式:
(MD×TDの総合延伸倍率)/(TD方向の延伸倍率)=(MD方向の延伸倍率)
で表されることから、MD×TDの総合延伸倍率から先程算出したTD方向の延伸倍率を割ることにより、MD方向の延伸倍率が算出できる。そのため、移動距離とサンプルの厚みとの関係を示す曲線から、延伸開始からの時間とMD方向の延伸倍率との関係を示す曲線を作成することができる。
以上のようにして作成できる2つの曲線により、延伸開始からの時間に対するMD方向およびTD方向の延伸倍率の変化状況が定量化できる。そして、これらの曲線において、曲線の傾きが最大となる箇所の傾きを求めることにより、MD方向およびTD方向の最大歪速度を求めることができる。
なお、この最大歪み速度は、MD方向およびTD方向のいずれかが2.5sec−1より遅くなると、衝撃強度が低下し(例えば40000J/m未満に低下し)、易裂性や直線カット性が低下するという不都合を生じる。
(原反フィルムの厚み)/(サンプルの厚み)=(MD×TDの総合延伸倍率)
で表されることから、原反フィルム厚みからサンプルの厚みを割ることにより、MD×TDの総合延伸倍率が算出できる。また、MD×TDの総合延伸倍率と、TD方向の延伸倍率と、MD方向の延伸倍率との関係は、下記式:
(MD×TDの総合延伸倍率)/(TD方向の延伸倍率)=(MD方向の延伸倍率)
で表されることから、MD×TDの総合延伸倍率から先程算出したTD方向の延伸倍率を割ることにより、MD方向の延伸倍率が算出できる。そのため、移動距離とサンプルの厚みとの関係を示す曲線から、延伸開始からの時間とMD方向の延伸倍率との関係を示す曲線を作成することができる。
以上のようにして作成できる2つの曲線により、延伸開始からの時間に対するMD方向およびTD方向の延伸倍率の変化状況が定量化できる。そして、これらの曲線において、曲線の傾きが最大となる箇所の傾きを求めることにより、MD方向およびTD方向の最大歪速度を求めることができる。
なお、この最大歪み速度は、MD方向およびTD方向のいずれかが2.5sec−1より遅くなると、衝撃強度が低下し(例えば40000J/m未満に低下し)、易裂性や直線カット性が低下するという不都合を生じる。
そして、上述の延伸工程後、延伸されたフィルムをテンター式熱処理炉に入れ、160以上215℃以下で熱固定を施すことにより、本実施形態の多層延伸フィルムを得ることができる。
得られた多層延伸フィルムは、衝撃強度が40000J/m以上と高強度である。
得られた多層延伸フィルムは、衝撃強度が40000J/m以上と高強度である。
上述したように、上記実施形態では、Ny6およびMXD6からなる所定の配合のポリアミド層に、接着層を介してポリエステル層を積層して所定の最大歪み速度の条件で二軸延伸するので、易裂性、強度および耐熱性に優れ、かつ所定の熱履歴品を添加するので層内剥離現象も生じない優れた多層延伸フィルムを提供できる。
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した材質、層構成などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、同時二軸延伸方法としてチューブラー方式を採用したが、テンター方式でもよい。
また、同時二軸延伸に限らず、逐次二軸延伸としてもよい。
したがって、上記に開示した材質、層構成などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、同時二軸延伸方法としてチューブラー方式を採用したが、テンター方式でもよい。
また、同時二軸延伸に限らず、逐次二軸延伸としてもよい。
次に、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの例によって何等限定されるものではない。
[実施例1]
・ポリエステル層:PET樹脂(ベルポリエステルプロダクツ製、ベルペット-PIFG)厚さ寸法12μm
・接着層:変性ポリオレフィン樹脂(三井化学株式会社製、アドマー)厚さ寸法3μm
・ポリアミド樹脂層:(Ny6+MXD6、及びNy6+MXD6の熱履歴品)厚さ寸法15μm
Ny6;宇部興産株式会社製ナイロン6(UBEナイロン 1022FD(商品名)、相対粘度ηr=3.5)70質量%
MXD6;三菱ガス化学株式会社製MXD6(MAXナイロン6007(商品名))30質量%
熱履歴品;上記Ny6およびMXD6のブレンド品(配合比も上記と同様)で、MXD6の融点が236℃のものを、ブレンド品の全量に対して20質量%添加
・ポリエステル層:PET樹脂(ベルポリエステルプロダクツ製、ベルペット-PIFG)厚さ寸法12μm
・接着層:変性ポリオレフィン樹脂(三井化学株式会社製、アドマー)厚さ寸法3μm
・ポリアミド樹脂層:(Ny6+MXD6、及びNy6+MXD6の熱履歴品)厚さ寸法15μm
Ny6;宇部興産株式会社製ナイロン6(UBEナイロン 1022FD(商品名)、相対粘度ηr=3.5)70質量%
MXD6;三菱ガス化学株式会社製MXD6(MAXナイロン6007(商品名))30質量%
熱履歴品;上記Ny6およびMXD6のブレンド品(配合比も上記と同様)で、MXD6の融点が236℃のものを、ブレンド品の全量に対して20質量%添加
上記樹脂原料をチューブラー法により積層状態で溶融押出した後、同時二軸延伸して多層延伸フィルムを得た。延伸時の倍率は、MD方向で3.5倍、TD方向で3.2倍であり、MD方向の最大歪み速度は4.8sec−1、TD方向の最大歪み速度は3.9sec−1の条件で同時二軸延伸した。
そして、得られた多層延伸フィルムのポリアミド樹脂層側にポリプロピレン系シーラントフィルムを積層し、ラミネートフィルムを作製した。このラミネートフィルムに対し、下記評価を行った。その結果を、以下の表1に示す。
(層内剥離)
ラミネートフィルムから15mm幅の短冊状試験片を切り出し、その端部を手で数cmほど界面剥離を行い、多層延伸フィルムとシーラントフィルムとに分離した。その後、各々のフィルム片を引張り試験機(インストロン万能試験機1123型)にセットして、300mm/minの速度でラミネート部分の剥離試験を行った(90度剥離)。剥離試験の最中に多層延伸フィルム内部で層内剥離が生ずると剥離強度が急激に減少するため、そのような挙動が発現したか否かで層内剥離発生の有無を判別できる。例えば、剥離試験の開始時は、剥離強度が7N/15mm幅程度であったものが、剥離試験の途中で急激に1〜2N/15mm幅程度に減少すれば、層内剥離が生じたと判断できる。
そして、多層延伸フィルムのポリアミド樹脂層内部で層内剥離の挙動を示さないものを「○」と判定し、層内剥離の挙動を示したものを「×」と判定した。
(層内剥離)
ラミネートフィルムから15mm幅の短冊状試験片を切り出し、その端部を手で数cmほど界面剥離を行い、多層延伸フィルムとシーラントフィルムとに分離した。その後、各々のフィルム片を引張り試験機(インストロン万能試験機1123型)にセットして、300mm/minの速度でラミネート部分の剥離試験を行った(90度剥離)。剥離試験の最中に多層延伸フィルム内部で層内剥離が生ずると剥離強度が急激に減少するため、そのような挙動が発現したか否かで層内剥離発生の有無を判別できる。例えば、剥離試験の開始時は、剥離強度が7N/15mm幅程度であったものが、剥離試験の途中で急激に1〜2N/15mm幅程度に減少すれば、層内剥離が生じたと判断できる。
そして、多層延伸フィルムのポリアミド樹脂層内部で層内剥離の挙動を示さないものを「○」と判定し、層内剥離の挙動を示したものを「×」と判定した。
(易裂性:直線カット性)
特開2007−39664号公報(段落[0043]、[0044]、図6参照)に記載された方法で易裂性(直線カット性)を評価した。具体的には、20cm幅のラミネートフィルムに2cm間隔で切れ目を入れて、これらの切れ目に沿ってラミネートフィルムを引裂いた後、ラミネートフィルム片の他の幅Weを測定し、元の間隔Wsとの偏差αを下記式に基づいて算出した。
α={(Ws−We)/Ws}×100
この測定を10枚のラミネートフィルム片に対して行い、その平均値のα(%)を下記の基準に基づいて判定した。
○:−30%≦α≦30%(直線カット性が良好)
×:α<−30%、または、α>30%(直線カット性が不良)
特開2007−39664号公報(段落[0043]、[0044]、図6参照)に記載された方法で易裂性(直線カット性)を評価した。具体的には、20cm幅のラミネートフィルムに2cm間隔で切れ目を入れて、これらの切れ目に沿ってラミネートフィルムを引裂いた後、ラミネートフィルム片の他の幅Weを測定し、元の間隔Wsとの偏差αを下記式に基づいて算出した。
α={(Ws−We)/Ws}×100
この測定を10枚のラミネートフィルム片に対して行い、その平均値のα(%)を下記の基準に基づいて判定した。
○:−30%≦α≦30%(直線カット性が良好)
×:α<−30%、または、α>30%(直線カット性が不良)
(衝撃強度)
多層延伸フィルムの衝撃強度(J/m)は、フィルムインパクトテスター(東洋精機製、30Kg−cmの1/2インチ半球ヘッド)を用いて測定した。測定結果について、下記の基準で評価した。
〇:40000J/m以上
×:40000J/m未満
多層延伸フィルムの衝撃強度(J/m)は、フィルムインパクトテスター(東洋精機製、30Kg−cmの1/2インチ半球ヘッド)を用いて測定した。測定結果について、下記の基準で評価した。
〇:40000J/m以上
×:40000J/m未満
(総合評価)
各評価項目にて×が一つもない場合は総合評価を〇とし、×が一つでもある場合は総合評価を×として評価を行った。
各評価項目にて×が一つもない場合は総合評価を〇とし、×が一つでもある場合は総合評価を×として評価を行った。
[実施例2]
実施例1の層厚みと延伸条件と熱履歴品を表及び下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・最大歪み速度:MD方向3.6sec−1、TD方向3.2sec−1
・熱履歴品:MXD6の融点237℃、添加量15質量%
実施例1の層厚みと延伸条件と熱履歴品を表及び下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・最大歪み速度:MD方向3.6sec−1、TD方向3.2sec−1
・熱履歴品:MXD6の融点237℃、添加量15質量%
[実施例3]
実施例1の延伸条件と熱履歴品を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・延伸倍率:MD方向3.5倍、TD方向3.5倍
・最大歪み速度:MD方向7.6sec−1、TD方向6.3sec−1
・熱履歴品:MXD6の融点235℃、添加量25質量%
実施例1の延伸条件と熱履歴品を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・延伸倍率:MD方向3.5倍、TD方向3.5倍
・最大歪み速度:MD方向7.6sec−1、TD方向6.3sec−1
・熱履歴品:MXD6の融点235℃、添加量25質量%
[実施例4]
実施例1の延伸条件を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・最大歪み速度:MD方向2.7sec−1、TD方向2.5sec−1
実施例1の延伸条件を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・最大歪み速度:MD方向2.7sec−1、TD方向2.5sec−1
[比較例1]
実施例1の延伸条件と熱履歴品を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・テンター法同時二軸延伸法
・最大歪み速度:MD方向0.4sec−1、TD方向0.3sec−1
・熱履歴品:MXD6の融点236℃、添加量20質量%
実施例1の延伸条件と熱履歴品を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・テンター法同時二軸延伸法
・最大歪み速度:MD方向0.4sec−1、TD方向0.3sec−1
・熱履歴品:MXD6の融点236℃、添加量20質量%
[比較例2]
実施例1の延伸条件と熱履歴品を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・テンター法同時二軸延伸法
・最大歪み速度:MD方向0.3sec−1、TD方向0.3sec−1
・熱履歴品:添加なし
実施例1の延伸条件と熱履歴品を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・テンター法同時二軸延伸法
・最大歪み速度:MD方向0.3sec−1、TD方向0.3sec−1
・熱履歴品:添加なし
[比較例3]
実施例1の延伸条件を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・テンター法逐次二軸延伸法
・延伸倍率:MD方向3.2倍、TD方向3.5倍
・最大歪み速度:MD方向0.4sec−1、TD方向0.4sec−1
・熱履歴品:MXD6の融点236℃、添加量20質量%
実施例1の延伸条件を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・テンター法逐次二軸延伸法
・延伸倍率:MD方向3.2倍、TD方向3.5倍
・最大歪み速度:MD方向0.4sec−1、TD方向0.4sec−1
・熱履歴品:MXD6の融点236℃、添加量20質量%
[比較例4]
実施例1の延伸条件と熱履歴品を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・延伸倍率:MD方向3.2倍、TD方向3.2倍
・最大歪み速度:MD方向2.0sec−1、TD方向1.8sec−1
実施例1の延伸条件と熱履歴品を下記の通り変更した以外は、実施例1と同様にして多層延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様に評価した。
・延伸倍率:MD方向3.2倍、TD方向3.2倍
・最大歪み速度:MD方向2.0sec−1、TD方向1.8sec−1
[結果]
表1に示すように、比較例1、2では、テンター式同時二軸延伸法で多層延伸していること、比較例3では、テンター式逐次延伸法で多層延伸していることから、チューブラー式同時二軸延伸法で多層延伸している本願発明範囲の最大歪速度が得られていない。それ故、これらの比較例では、延伸ポリエステル層の存在により耐熱性は優れているものの、衝撃強度が弱く、易裂性も十分ではなかった。また、比較例4では、チューブラー式同時二軸延伸法で多層延伸しているが、最大歪み速度が本願発明の範囲外であるため、衝撃強度が劣っている。
一方、実施例1〜4では、チューブラー式同時二軸延伸法により本願発明の範囲内の最大歪速度で多層延伸しているため、ポリエステル層による優れた耐熱性が得られるとともに、成形安定性、易裂性およびフィルム衝撃強度も良好であった。なお、実施例2は、ポリエステル層が薄いため、耐熱性が実施例1〜3よりも若干劣るおそれはあるも、易裂性やフィルム衝撃強度は良好である。
表1に示すように、比較例1、2では、テンター式同時二軸延伸法で多層延伸していること、比較例3では、テンター式逐次延伸法で多層延伸していることから、チューブラー式同時二軸延伸法で多層延伸している本願発明範囲の最大歪速度が得られていない。それ故、これらの比較例では、延伸ポリエステル層の存在により耐熱性は優れているものの、衝撃強度が弱く、易裂性も十分ではなかった。また、比較例4では、チューブラー式同時二軸延伸法で多層延伸しているが、最大歪み速度が本願発明の範囲外であるため、衝撃強度が劣っている。
一方、実施例1〜4では、チューブラー式同時二軸延伸法により本願発明の範囲内の最大歪速度で多層延伸しているため、ポリエステル層による優れた耐熱性が得られるとともに、成形安定性、易裂性およびフィルム衝撃強度も良好であった。なお、実施例2は、ポリエステル層が薄いため、耐熱性が実施例1〜3よりも若干劣るおそれはあるも、易裂性やフィルム衝撃強度は良好である。
本発明は、食品や医薬分野、工業用分野など、耐熱性とともに衝撃強度および易裂性に優れた多層延伸フィルムおよびその製造方法として利用できる。
Claims (4)
- ナイロン6(以後、Ny6ともいう)およびメタキシリレンアジパミド(以後、MXD6ともいう)からなるポリアミド層と、接着層と、ポリエステル層とを積層した後に延伸してなる多層延伸フィルムの製造方法であって、
前記ポリアミド層は、Ny6が40質量%以上85質量%以下、MXD6が15質量%以上60質量%以下の配合比で溶融混練された原料100質量%に対して、Ny6および融点が233℃以上238℃以下のMXD6からなる熱履歴品を5質量%以上40質量%以下で添加する配合工程と、
前記ポリアミド層、前記接着層、および前記ポリエステル層を積層状態で溶融押出して原反フィルムを成形する原反フィルム製造工程と、
前記原反フィルムを、MD方向およびTD方向の最大歪み速度がいずれも2.5sec−1以上で二軸延伸する延伸工程と、を実施する
ことを特徴とする多層延伸フィルムの製造方法。 - 請求項1に記載の多層延伸フィルムの製造方法であって、
前記延伸工程後の多層延伸フィルムは、
前記ポリエステル層の厚さ寸法が5μm以上30μm以下で、
前記接着層の厚さ寸法が1μm以上10μm以下で、
前記ポリアミド層の厚さ寸法が5μm以上30μm以下で、
総厚さ寸法が15μm以上70μmであり、
前記ポリエステル層の厚さ寸法よりも前記ポリアミド層の厚さ寸法が厚い
ことを特徴とする多層延伸フィルムの製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の多層延伸フィルムの製造方法により製造された
ことを特徴とする多層延伸フィルム。 - 請求項3に記載の多層延伸フィルムであって、
衝撃強度が40000J/m以上である
ことを特徴とする多層延伸フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012270834A JP2014113789A (ja) | 2012-12-11 | 2012-12-11 | 多層延伸フィルムの製造方法および多層延伸フィルム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016179659A (ja) * | 2015-03-25 | 2016-10-13 | 東洋紡株式会社 | 折畳み保持性、低収縮性、透明性、耐衝撃性に優れた積層フィルム、ガゼット袋およびブックカバー |
CN113348066A (zh) * | 2019-01-28 | 2021-09-03 | 东洋纺株式会社 | 双轴取向聚酰胺膜及聚酰胺膜压延卷 |
-
2012
- 2012-12-11 JP JP2012270834A patent/JP2014113789A/ja active Pending
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