以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至図14を参照して、本実施例に係るレンジフード1について説明する。レンジフード1は、下方で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を捕集するための、上方に凹状の内面パネル4を内面に有する薄型のフード部2を有する。フード部2は、やや背面右寄りに位置する連通口6付近で、排気ダクトDUに接続される送風機ボックス3と連結される。また、フード部2は、下方に整流板5を備え、フード部2の周囲の風速を高めて、下方から立ち上る油煙等を捕獲しやすくする。フード部2の正面側には、使用者が排気時の風量を指示したり、洗浄を行う指示をしたりするために操作するスイッチ610が設けられている。また、排気ダクトDUの付近には空気の逆流を防止するためのシャッターSHが設けられている。
送風機ボックス3は、内部に、フード部2で捕獲した油煙等を含む空気の流れARを連通口6を介して送風機ボックス3の内部に導入する導入部7と、導入部7から油分を含む空気を吸い込む吸込口210を有するファンケーシング200と、ファンケーシング200の内部に含まれる羽根車100(ファンとも言う)と、羽根車100を回転駆動するモータ130と、羽根車100の内部に設けられたグリスフィルタ120と、羽根車100の羽根110やグリスフィルタ120を洗浄する洗浄機構400と、ファンケーシング200と連通し油分を取り除いて浄化された空気を排気ダクトDUに排気するための、送風機ボックス3に開けられた開口部である排気口500と、羽根車100から排気口500までの空気の流路上にダンパー300と、羽根車100の回転、ダンパー300の開閉、洗浄機構400の動作などを制御する制御部600と、を有する。
なお、送風機ボックス3は、フード部2に対して正面視でやや右寄りに設けられている。これは、本実施例の場合、排気ダクトDUと接続される排気口500が送風機ボックス3の左側面に設けられているためであり、排気口500が右側面に設けられる場合には、送風機ボックス3は、フード部2に対して正面視でやや左寄りに設けられてもよい。このように、排気口500が送風機ボックス3の側面に位置することで、送風機ボックス3の上面に設けられるより、排気ダクトDUの引き回しスペースも含めたレンジフード1の実効高さを低くすることができ、設置場所の柔軟性が向上することになる。
羽根車100は、主に図5、図6と図14に示すように、下方で行われる調理によって発生した油分を含む空気を捕集するために空気の流れARを発生させるファン(送風機)である。羽根車100がモータ130により回転駆動されることで、空気の流れARが発生し、整流板5と内面パネル4の間を油分を含む空気が移動する。導入部7は、整流板5と内面パネル4の間を移動してきた油分を含む空気を、連通口6を通して上方へ引き込む。導入部7は、連通口6から連通口6の面積とほぼ等しい断面積を持ちながら垂直方向に立ち上がり、油分を含んだ状態で空気の流れARをファンケーシング200の吸込口210へ導入する。
羽根車100は、その円筒側面部分に、羽根110の間の空隙115を保持して複数の羽根110を有する、いわゆるシロッコファンである。なお、本実施例では後述するように、羽根110の内側の面111(回転軸側の面)に洗浄液を衝突させるので、羽根110は、回転軸131からあるひとつの羽根110を見た場合に、他の羽根110や自身の外側の面114(回転軸側の面の反対側の面)によりそのひとつの羽根110の内側の面が隠れることがないように配置されていることが好ましい。すなわち、回転軸131から見た場合、あるひとつの羽根110のファンケーシング200側の縁113(外側の縁)は、その隣の羽根110の回転軸側の縁112(内側の縁)により隠されることがない。なお、本発明に用いられるファン(送風機)は、本実施例のような遠心送風機である羽根車100が好ましいが、これに限定されず、軸流送風機であってもよい。
なお、モータ130の回転軸131は、図5に示すように、ほぼ水平になるように設置され、そのため回転軸131の基部132と先端133を結んだ線は、ほぼ水平になり、羽根車100の回転軸もほぼ水平である。モータ130は、通常運転である排気運転時において高速回転で羽根車100を回転させ、洗浄時においては比較的低速回転で羽根車100を回転させる。モータ130と羽根車100は、回転力伝達板134を介して結合される。回転力伝達板134は、排気運転時の空気抵抗や洗浄時の液体抵抗に対して十分に抗することができるように羽根車100の各羽根110に強固に結合され、また、回転力伝達板の中央背面側には、回転軸131に設けられているモータピン135が嵌り込むことでモータ130の回転力を受け止めるボス溝136が設けられていることで、モータ130の回転駆動力を羽根車100に確実に伝達する。
グリスフィルタ120は、主に図5と図8に示すように、モータ130の回転軸131の先端133に回転軸131と垂直をなすように取り付けられる平板な円盤であり、その外縁が羽根110の内側(回転軸側)の縁112に近接するように取り付けられる。これにより、羽根110とグリスフィルタ120の間から油分を含む空気の漏れが少なくなり、油分を捕獲する割合が増加する。また、グリスフィルタ120は、回転力伝達板134よりも正面側であって、羽根110の奥行き方向におけるほぼ中央部に取りけられる。グリスフィルタ120が回転力伝達板134の空気の流れの上流側にあることで、回転力伝達板134に油分が付着することを防止し、また、羽根110の奥行き方向におけるほぼ中央部に取り付けられることで、その中央部より奥側に油分が付着することを防止する。
グリスフィルタ120は、平板な円盤に空気を通す孔が開いており、羽根車100と共に回転することで空気が孔を通過する際、油分が孔以外の肉部に衝突し、付着することで空気に含まれる油分を取り除く。なお、本実施例では、グリスフィルタ120は平板な円盤であるが、これに限定されず、皿状に湾曲していてもよいし、モータ130の回転軸131を含む断面が正面側に広がっている台形状のグリスフィルタであってもよい。
ファンケーシング200は、主に図5と図9に示すように、吸込口210の周囲に空気の流れARを円滑に引き込めるように構成されているベルマウス211と、内部に羽根車100と、空気の流路上で羽根車100と排気口500の間にダンパー300と、を含む。羽根車100が発生させる空気の流れARは、吸込口210に取り付けられたベルマウス211からファンケーシング200内に吸い込まれ、空気の流れARに含まれる油分は、羽根車100の円筒側面部分に設けられた羽根110または羽根車100の円筒内部に設けられたグリスフィルタ120に衝突し、付着する。これにより、油分を含んだ空気から油分が取り除かれ、油分を取り除かれた空気は、ファンケーシング200の内部であって羽根車100の外側を通って、ダンパー300が開状態の場合、ファンケーシング200の側方(左横方向)に位置する排気口500に送出され、排気口500に接続された排気ダクトDUを通って外気に排気される。
排気口500は、図9に示すように、ファンケーシング200の最下点200Zの位置より上下方向で高い位置に設けられる。すなわち、排気口500の最下点500Zの位置は、ファンケーシング200の最下点200Zの位置より高い。実験値によれば、排気口500の最下点500Zとファンケーシング200の最下点200Zと結ぶ線は、水平線と10度以上、さらに好ましくは15度以上の角度を有することが好ましい。このようにすることで、排気口500の最下点500Zからファンケーシング200の最下点200Zの間に付着した油や洗浄液を、ファンケーシング200の最下点200Zへとスムーズに案内することができ、停滞してしまうことを防止することができる。
羽根車100の回転方向100DRは正面視で右回転であり、ファンケーシング200の最下点200Z付近にある空気は、本図に示される空気の流れARの如く、左斜め上の方向にある排気口500に向けて移動して排気される。このように、排気口500は、ファンケーシング200と連通し排気ダクトDUに浄化された空気を排気するための送風機ボックス3の側面に開けられた開口部である。これにより、送風機ボックス3の上面に設けられるより、排気ダクトDUの引き回しスペースも含めたレンジフード1の実効高さを低くすることができ、設置場所の柔軟性が向上することになる。
ダンパー300は、主に図9に示すように、ファンケーシング200の内部にあり、羽根車100からファンケーシング200の側方(左横方向)に位置する排気口500に至るまでの空気の流路上であって、排気口500の近傍に設けられる。ダンパー300は、回転軸311を有し、回転軸311を中心に回転することにより空気の流路を開閉する。ダンパーはスライド式などで空気の流路を開閉してもよいが、ダンパー300が回転軸311を有することで、ファンケーシング200に空ける穴が最小限の大きさとなり洗浄水がファンケーシング200の外部に漏れにくくなる。また、ファンケーシング200に開ける穴が小さいことでファンケーシング200の気密性が良くなり、ファン駆動時に効率的に排気することが可能となる。
図9に示すダンパー300は、主に排気運転時の状態にあるものであり、ファンケーシング200内部から油分を除去した空気を排気口500に排気する状態なので、排気口500への流路を開いた状態(開状態)である。ダンパー300の回転軸311は、一端310に偏った側に位置し、一端310は、ダンパー300が開状態のときもう一方の他端320(回転軸311のある一端310に対向するダンパー300の他端320)より高い位置にある。すなわち、回転軸311は、開状態のとき、ダンパー300で最も高い位置にある。このように、ダンパーが開状態のとき回転軸が他端より高い位置にあることで、ダンパーに付着した油分が回転軸に流れてくる量を軽減でき、回転軸311に油分が固着して回転不能になるなどの不具合の発生を防止することができる。なお、本実施例では、ダンパー300の回転軸311は、一端310に位置するが、流路方向におけるダンパー300の中央より一端310に偏った側に位置してもよい。
開状態のダンパー300は、ファンケーシング200の内部において凹部を形成するダンパー収容部330に収められ、空気の流れARの抵抗にならないように構成される。また、開状態のダンパー300がダンパー収容部330に収められているとき、ダンパー300は、他端320のみでファンケーシング200の内部に当接する。ダンパー300が面でファンケーシング200に当接すると油分で固着してしまうことがあるが、他端320のみで当接することにより、ダンパー300を開状態から閉状態にする際にダンパー300が固着して閉じられなくなる障害を起こすことを防止する。
ベルマウス211は、主に図10に示すように、清掃し易いようにファンケーシング200と着脱自在に構成される。本図(C)の底面図は、ベルマウス211をファンケーシング200に取り付けた際に正面側となり、本図(B)の平面図は羽根車100と対向する背面側となる。ベルマウス211の背面側には、後述する洗浄機構400を構成する給水パイプ450の一部と給水パイプ450の先端に接続された噴射部460または給水部460が設けられており、ベルマウス211をファンケーシング200に取り付けると、本体側の給水パイプ450と接続されるように構成されている。ベルマウス211をファンケーシング200に取り付けた際には、噴射部460/給水部460の大部分が正面視でベルマウスカバー部212により隠れるように設けられているので、噴射部460/給水部460が油分を含む空気に曝されることが少なく、油分が付着しにくい。
洗浄機構400は、主に図4に示すように、羽根車100の羽根110やグリスフィルタ120を洗浄するための機構である。なお、洗浄機構400は、グリスフィルタ120が羽根車100の内部に設けられていない場合は、羽根車100の羽根110で油分を捕獲することになるので羽根車100の羽根110を洗浄する。洗浄機構400は、フード部2の底面の背面側寄りに位置するタンク収納部412の中に収納され洗浄液を溜めるタンク410と、洗浄液をファンケーシング200の内部に給水する給水部460と、タンク410から給水部460まで洗浄液を供給する給水パイプ450と、給水部460とタンク410との間に配置され、タンク410から洗浄液を吸上げるポンプ420と、タンク410と給水部460の間の給水パイプ450内に洗浄液に混入した異物を除去する異物除去フィルタ440と、給水部460が給水し、羽根車100等を洗浄した後の洗浄液をタンク410へ回収する回収部430と、を備える。
タンク410は、主に図11と図12に示すように、中に洗浄液を蓄えることができる立方体の箱である。タンク収納部412に収納できるように適宜突起が形成されており、これら突起がタンク収納部412の凹部などに係合することで、タンク410は、タンク収納部412に収納される。なお、タンク収納部412は、フード部2の底面の背面側やや左寄りに備えられ、タンク収納部412の蓋413が設けられている。
タンク410は、押圧することで開き、押圧力を除くことで閉まるタンク蓋411と、タンク蓋411の下方に浄化フィルタ部416と、収納された際に給水パイプ450の先端と一致する位置に接続孔415と、を有する。接続孔415の孔径は小さく、また取り出した状態でのタンク蓋411は閉じているので、使用者がタンク410を運ぶ際にも、中に含まれている洗浄液がこぼれることが防止できる。なお、タンク410の上面は、タンク410の本体から着脱自在に構成されており、取り外して内部を洗浄することができる。また、浄化フィルタ部416は、洗浄液を循環させてタンク410に戻すために、回収された洗浄液に含まれる油分などを除去し浄化する。
給水パイプ450は、タンク410から洗浄液を吸い上げる液体吸上げ口414から、羽根車100の空気の流れの上流側となる正面側に位置する給水部460まで、洗浄液を引きまわす液体配管である。給水パイプ450の、給水部460と接続される正面側に位置する部分は、ベルマウス211の裏側(羽根車100側)に配設されたパイプとして構成される。
ポンプ420は、洗浄液をタンク410から高い位置にある給水部460まで移動させる出力を備え、また、給水部460が噴射部460として機能する場合、洗浄液が勢いよく噴射できるための水圧を生じさせる出力を有する。ただし、その場合であっても、噴射部460は、給水パイプ450の内径と同程度の内径を有する孔を有し、その孔から噴射するので、小さな孔から噴射するのに比して大きな出力を必要としない。また、ポンプ420は、タンク410から給水部460への方向に洗浄液を移動させる順回転だけでなく、給水部460からタンク410への方向に洗浄液を移動させる逆回転を行えることが好ましい。
給水部460は、洗浄液で羽根車100の羽根110等を洗浄するために洗浄液をファンケーシング200の内部に給水するが、羽根110やグリスフィルタ120に洗浄液を衝突させて洗浄する場合、洗浄液を勢いよく羽根110やグリスフィルタ120に向けて噴射する噴射部460として機能する。本実施例では、給水部460は噴射部460として機能するので、以下では噴射部460として記載する。
噴射部460は、ファンケーシング200の内部であって羽根車100の羽根110やグリスフィルタ120に向けた広範囲に亘って、洗浄液を噴射するように構成される。噴射部460は、吸込口210側からファンケーシング200の内部に向けて、すなわち油分が付着し易いグリスフィルタ120や羽根110の内側に向けて、直接洗浄液を噴射する。噴射部460は、吸込口210の周縁部の近傍すなわち羽根車100の内側において羽根110の近傍であることが好ましく、接触しない限り近ければ近いほどよい。これにより、噴射部460から噴射した洗浄液が、強く羽根110に衝突する。また、噴射部460が羽根車100の中心部分にあると排気運転中に噴射部460が障害となり油分を含む空気を吸引する性能を低下させる場合があるが、噴射部460を吸込口210の周縁部の近傍に設けることでかかる問題が生じない。
また、噴射部460は、モータ130の回転軸131の先端133より下側に設けられる。たとえば、噴射部460が回転軸131より上に設けられると、噴射部460は回転中回転軸131より高い位置にある羽根110に向けて洗浄液を噴射することとなり、洗浄液が衝突後跳ね返ることで吸込口210を超えて飛び散ることになる。したがって、かかる構成により、噴射された洗浄液が吸込口210から飛び散ったり、噴射部460から洗浄液が滴下したりことを防止できる。
また、図7に示すように羽根車100の回転方向100DRが右回転である場合、噴射部460は、正面視で、モータ130の回転軸131の先端133より下側であって羽根車100の最下点100Zより右側に設けられることが好ましい。すなわち、噴射部460は、モータ130の回転軸131の先端133より下側であって羽根車100の最下点100Zより回転方向100DRの上流側の四半部分100ZUに設けられることが好ましい。噴射部460がかかる四半部分100ZUに設けられることで、羽根車100にむけて噴射され衝突した洗浄液は直後に回転方向である下方へ動くので、吸込口210から飛び散ることを防止することができる。また、かかる四半部分の位置に噴射部460を設けた場合は、モータ130の回転軸131の先端133より下側であって羽根車100の最下点100Zより回転方向の下流側に噴射部を設けた場合と比べて、油分等を含む空気が噴射部に衝突する量が少ないので、汚れが付着することを低減することができる。
ファンケーシング200の吸込口210の内径は、主に図6と図7に示すように、羽根車100の内径より小さい。これにより、吸込口210を通過した空気に含まれる油分は、羽根車100の羽根110の内側に衝突する。そして、噴射部460は、モータ130の回転軸131方向から見て、羽根車100の内側であって吸込口210の外側に設けられる。これによれば、噴射部460の正面側にファンケーシング200が存在することとなるので、吸込口210を超えて洗浄液が飛び散ることを防止できると共に、汚れが付着しやすい羽根車100の内側に向けて洗浄液を直接噴射することができるので効果的に洗浄することできる。なお、ベルマウス211が取り付けられて使用される場合は、吸込口210の内径は、ベルマウス211の開口の内径とみなしてもよい。また、内径とは、開口の中心(本実施例では回転軸131の軸中心線と開口との交点)から周縁までの距離を言うが、本実施例におけるベルマウス211の内径は、開口の中心からベルマウスカバー部21の最も中心寄りの部分2までの距離としてもよい。つまり、少なくとも噴射部460が設けられる位置において、ファンケーシング200の吸込口210の内径(ベルマウス211が取り付けられて使用される場合には、ベルマウス211の開口の内径)が羽根車100の内径より小さくなっていれば良いものである。
また、噴射部460は、図7に示される羽根車100の回転方向100DRにおいて、噴射部460から下流側100ZDの方に向けて洗浄液を噴射することとしてもよい。これによれば、噴射部460から下流側100ZDへ洗浄液を噴射することで、洗浄液が羽根車100の羽根110に衝突した洗浄液は円滑に回転方向である下流側に流れるため、衝突した洗浄液が飛び散ることをより防止することができる。
回収部430は、主に図4、図11と図12に示すように、噴射部460が羽根110やグリスフィルタ120に噴射して洗浄した後の洗浄液を受けるファンケーシング200の底部214と、ファンケーシング200の底部214であってファンケーシング200の最下点200Zよりややタンク410寄りに設けられたファンケーシング洗浄液排出口213と、ファンケーシング洗浄液排出口213と一致する位置にあり、ファンケーシング洗浄液排出口213がファンケーシング200から排出する洗浄液をタンク410に戻すための排水パイプ431と、を有する。
ファンケーシング洗浄液排出口213は、図12に示すように、ファンケーシング200の最下点200Zよりややタンク410寄りすなわち最下点200Zから回転方向100DRにおいて下流側へずれた位置に設けられる。これにより、羽根車100の回転により洗浄液がファンケーシング200の底部214を排気口500の方へ昇ろうとしても、洗浄液をファンケーシング洗浄液排出口213に多く導くことができる。
排水パイプ431は、ファンケーシング洗浄液排出口213と一致する位置から、洗浄液をタンク410に戻すように下斜め方向に延伸して、タンク410のタンク蓋411に一致する位置に配設される。なお、排水パイプ431を下斜め方向に延伸することで、タンク410をファンケーシング200の最下点200Zから横方向にずらすことが可能となり、これにより、レンジフード1の全体の高さを比較的低くすることができる。
タンク蓋411は、タンク収納部412に収納されると、タンク収納部412の上面から突出する突出部417に押圧されて、排水パイプ431から流れてきた汚れた洗浄液をタンク410内に受け入れるように開く。汚れた洗浄液は、浄化フィルタ部416によりろ過されて、浄化された洗浄液がタンク410に戻る。
浄化された洗浄液は、再度、液体吸上げ口414から接続孔415を通してポンプ420により吸い上げられ、給水パイプ450に供給される。なお、このように循環される洗浄液は、洗浄の過程で浄化フィルタ部416では取り除くことのできない異物が混入することがあり、かかる異物を含むことがある。かかる場合、ポンプ420の障害を起こす原因ともなりうるので、タンク410と噴射部460の間の洗浄液の給水パイプ450内に、洗浄液に混入した異物を除去する異物除去フィルタ440を1つ以上設けることが好ましい。
また、ポンプ420を逆回転させて洗浄液を噴射部460からタンク410に移動させる場合、異物除去フィルタ440がタンク410とポンプ420の間に設けられることで、順方向の洗浄液が流れていた時に異物除去フィルタ440に付着した異物を剥がすことができるので、異物除去フィルタ440に異物が付着したままとなり目詰まりを起こすことを防止できる。
特に、異物除去フィルタ440は、タンク410とポンプ420の間に設けることが好ましい。これにより、異物がポンプ420内部に入り込むことを防止することができる。また、ポンプ420を逆回転させる場合、異物除去フィルタ440をタンク410とポンプ420の間、すなわち洗浄液の順方向においてポンプよりも上流側に設けることで、ポンプ420への異物侵入を防ぐことができる。
なお、接続孔415には弾性材が備えられて、タンク収納部412側の給水パイプ450の端面は、タンク収納部412に収納されるとその弾性材に押し付けられることで、洗浄液が漏れることがないように構成されている。また、逆に、給水パイプ450の端面が弾性材を備え、接続孔415がその弾性材に押し付けられるようにしてもよい。
制御部600は、モータ130の回転を制御することにより羽根車100の回転を制御し、ダンパーモータ(図示せず)の回転を制御することによりダンパー300の開閉を制御し、ポンプ420の動作を制御することにより洗浄機構400の動作を制御し、スイッチ610の入力に基づきモータ130、ダンパーモータ、ポンプ420などを制御する。制御部600は、マイコンに内蔵された制御プログラムから構成され、本実施例では送風機ボックス3に設けられるが、特に限定されるものではなく、フード部2に設けられてもよい。
制御部600は、レンジフード1の使用者によるスイッチ610の操作に基づいて、モータ130の回転を制御してもよいし、リモコン信号や調理器からの連動信号の受信によって動作してもよく、また、空気に含まれる油分を検出して自動で所定の回転制御を行ってもよい。また、制御部600は、洗浄機構400の動作を制御する所定の洗浄工程を有していてもよい。また、制御部600は、羽根車100の回転制御や洗浄機構400の動作に応じてダンパー300を開閉制御する。
図9、図13および図14を参照して、本発明に係るレンジフード1について説明する。図13と図14に示すダンパー300は、主に洗浄時の状態にあるものであり、羽根車100が回転方向100DRに回転した場合であっても、空気および空気の流れARに伴って動く洗浄液がファンケーシング200の内部から排気口500へ流出しないように、排気口500への流路を閉じた状態(閉状態)のものである。ダンパー300は、羽根車100から排気口500までの空気の流路上に存し、洗浄時に閉状態となることで、洗浄液が排気口500から流出することを阻止する。
ダンパー300の一端310にある回転軸311は、排気口500の最下点500Zの近傍であってファンケーシング200の底面に設置されているので、ダンパー300の他端320は、閉状態のときファンケーシング200の内部であって高さ方向における中央位置辺りに当接し、排気口500への空気の流路を閉鎖する。これにより、洗浄水が、排気口500から排気ダクトDU内へ侵入してしまうことがなくなる。
洗浄機能を有する従来のレンジフードでは、排気口を送風機ボックスの側面に設けると洗浄時に洗浄液が排気口から漏れ出てしまうため、排気口を送風機ボックスの上面に配設していた。しかし、排気口を送風機ボックスの上面に配設すると、排気ダクトの引き回しスペースも含めたレンジフードの実効高さが高くなってしまい、設置場所の柔軟性を欠き、施工性がよくなかった。
本発明に係るレンジフード1では、排気ダクトDUに接続される排気口500は、送風機ボックス3の側面すなわちファンケーシング200の側方に位置すると共に、制御部600は、排気運転時にはダンパー300を開状態とし、洗浄時にはダンパー300を閉状態とするように、洗浄機構400の動作に応じてダンパー300を開閉制御する。このようにすることで、レンジフード1の高さが低くなり施工性が向上すると共に、洗浄水が排気口500から排気ダクトDU内へ侵入することを防ぐレンジフード1を提供することができる。
また、上述したように、排気口500の最下点500Zの位置がファンケーシング200の最下点200Zの位置より高いことで、ファンケーシング200の下部に流れる洗浄水が排気口500から排気ダクトDU内へ侵入することをより防ぐことができる。また、排気口500の最下点500Zとファンケーシング200の最下点200Zと結ぶ線が水平線と10度以上の角度を有することで、ファンケーシング200の下部に流れる洗浄水が排気口500から排気ダクトDU内へ侵入することをより防ぐことができる。
また、ダンパー300の一端310にある回転軸311はファンケーシング200の底面に設けられ、他端320は、排気運転時にも洗浄時にもファンケーシング200の内部に当接するので、開状態、閉状態、および開閉する遷移状態のいずれにおいても、排気口500の外へ突出しない。このように、ダンパー300が排気口500の外へ突出せず排気口500の内に収まることで、ダンパー300が排気ダクトDUと干渉することがなくなり、ダクト接続の自由度を損なうことがなくなり、施工性が良くなる。
また、ダンパー300は、開状態から閉状態に動作する際、空気の流れARの方向と同じ方向に力が付与されるように動作し、ダンパー300の他端320は、閉状態において、ファンケーシング200の内部に当接する。かかる構成により、ダンパー300が閉状態になったときファンケーシング200の内側からファンケーシング200に当接することで、洗浄時にダンパー300に排気方向の力が加わってもダンパー300が開くことがないため、洗浄水が排気口500から下流側へ流れ出ることがない。
<第二実施例>
図15を参照し、本実施例におけるレンジフード1Aを説明する。なお、重複記載を避けるために、上記実施例と同じ構成要素には同じ符号を付し、異なる部分を中心に説明する。レンジフード1Aは、上方に凹状の内面パネル4を内面に有する薄型のフード部2と、連通口6付近でフード部2と接続される送風機ボックス3とを備える。
送風機ボックス3は、内部に、フード部2で捕獲した油煙等を含む空気の流れARを連通口6を介して送風機ボックス3の内部に導入する導入部7Aと、導入部7Aから油分を含む空気を吸い込む吸込口210を有するファンケーシング200Aと、ファンケーシング200Aの内部に含まれる羽根車100と、羽根車100を回転駆動するモータ130と、羽根車100の内部に設けられたグリスフィルタ120と、羽根車100の羽根110やグリスフィルタ120を洗浄する洗浄機構400と、ファンケーシング200Aと連通し油分を取り除いて浄化された空気を排気ダクトDUに排気するための送風機ボックス3に開けられた開口部である排気口500と、羽根車100から排気口500までの空気の流路上にダンパー300と、羽根車100の回転、ダンパー300の開閉、洗浄機構400の動作などを制御する制御部600と、を有する。
羽根車100は、下方で行われる調理によって発生した油分を含む空気を捕集するために空気の流れARを発生させるファン(送風機)である。羽根車100がモータ130により回転駆動されることで、空気の流れARが発生し、整流板5と内面パネル4の間を油分を含む空気が移動する。導入部7Aは、整流板5と内面パネル4の間を移動してきた油分を含む空気を、連通口6を通して上方へ引き込む。導入部7Aは、連通口6から上部行くに従い徐々に面積が小さくなるように垂直方向に立ち上がり、油分を含んだ状態で空気の流れARをファンケーシング200Aの吸込口210へ導入する。
すなわち、ファンケーシング200Aは、送風機ボックス3の中で吸込口210をやや下に傾けるように配置される。そうすると、モータ130の回転軸131も傾くこととなり、回転軸131の基部132から先端133へ結んだ線は、水平より下方に傾く。この場合、噴射部460は、モータ130の回転軸131の基部132より下側に設けられるというより、回転軸131の先端133より下側に設けられることが好ましい。噴射部460がより下の位置にある方が、吸込口210を超えて飛び散ることが少ないからである。なお、本実施例における回転軸131の基部132から先端133へ結んだ線は、水平より20度程度下方へ傾いている。
本実施例に係るレンジフード1Aでは、送風機ボックス3内におけるファンケーシング200Aが正面側へ傾いている。しかし、排気ダクトDUに接続される排気口500が、送風機ボックス3の側面すなわちファンケーシング200Aの側方に位置すると共に、制御部600は、排気運転時にはダンパー300を開状態とし、洗浄時にはダンパー300を閉状態とするように、洗浄機構400の動作に応じてダンパー300を開閉制御することにおいては、上記実施例と同じである。よって、レンジフード1Aは、その高さが低くなり施工性が向上すると共に、洗浄水が排気口500から排気ダクトDU内へ侵入することを防ぐことができる。
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、適用例、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。