本発明は、以下に説明する複数の発明を包含する発明群に属する発明であり、以下に、その発明群の実施形態として、第1〜第3の実施形態について説明するが、そのうち、第3の実施形態が、本出願人が特許請求の範囲に記載した発明に対応するものである。
以下、本発明の実施形態による燃料ガス充填装置を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の第1の実施形態を示している。図1中の燃料ガス充填装置1は、例えば車両2の燃料タンク2Aに圧縮した燃料ガス(本実施形態では、水素ガス)を充填するように供給するため、一般にガス供給ステーションと呼ばれる設備等に設置されている。燃料ガス充填装置1は、高圧に圧縮されたガスを貯蔵するガス貯蔵部3と、該ガス貯蔵部3からの燃料ガスを車両2の燃料タンク2Aに充填、供給するためのディスペンサユニット4と、ガス貯蔵部3からディスペンサユニット4のディスペンサ筐体4A内にわたって延びるガス供給管路5とを含んで構成されている。
ガス供給管路5は、ディスペンサ筐体4A内に配設され、加圧された燃料ガスがガス蓄圧器6から供給されるものである。このガス供給管路5は、ガス蓄圧器6から後述の遮断弁19まで延びる上流側供給管路5Aと、遮断弁19から後述の充填ホース12まで延びる下流側供給管路5Bとにより構成されている。即ち、上流側供給管路5Aは、一端(上流端)側がガス蓄圧器6に接続され、他端(下流端)側が遮断弁19に接続されている。一方、下流側供給管路5Bは、一端(上流端)側が遮断弁19に接続され、他端(下流端)側が充填ホース12に接続されている。また、下流側供給管路5Bの途中部位には、後述の脱圧管路22が接続される接続部5B1が設けられている。
燃料ガス充填装置1のガス貯蔵部3は、ガス蓄圧器6と、昇圧器としてのコンプレッサ7とを含んで構成されている。ガス蓄圧器6は、コンプレッサ7により圧縮された高圧の燃料ガスを蓄圧するための容器であり、例えば複数個のボンベを互いに並列に接続してなる圧力容器として形成されている。ガス蓄圧器6は、その流入側がガス導管8を介してコンプレッサ7の吐出側に接続され、ガス導管8の途中には逆止弁9が設けられている。逆止弁9は、ガス蓄圧器6内の燃料ガスがガス導管8内を逆流するのを防止している。
コンプレッサ7は、例えば複数段で燃料ガスを圧縮する多段式の圧縮機からなり、その吸込管路10は、例えば水素ガスを貯蔵するガスタンク(または、水素ガスを生成する水素生成設備)と連通する中圧配管11に接続されている。中圧配管11からの燃料ガスは、吸込管路10を介してコンプレッサ7により圧縮され、昇圧した燃料ガスがガス導管8および逆止弁9を介してガス蓄圧器6に供給される。ガス蓄圧器6には、コンプレッサ7よって昇圧された高圧の燃料ガスが満圧になるまで蓄圧して貯蔵される。
ディスペンサ筐体4A内には、ガス供給管路5が上流側(例えば、ガス蓄圧器6側)から下流側にわたって延びるように配設されている。充填ホース12は、基端側が下流側供給管路5Bに連通され、ディスペンサ筐体4Aの外部へと延びている。充填ホース12の先端側には、燃料タンク2Aの接続口2B(即ち、レセプタクル)に連結される充填ノズル13が設けられている。
充填ノズル13は、例えば水素ガスからなる燃料を車両2の燃料タンク2Aに供給するため、接続口2Bに気密状態で着脱可能に接続される充填カップリングを構成している。充填ノズル13は、例えば水素ガスの充填中にガスの圧力によって接続口2Bから誤って外れることがないように、燃料タンク2Aの接続口2Bに対して係脱可能に接続される接続機構(図示せず)を備えている。これにより、充填ノズル13を燃料タンク2Aの接続口2Bに接続した状態で、ガス蓄圧器6内の高圧な燃料(水素ガス)をガス供給管路5、充填ホース12および充填ノズル13等を通じて車両2の燃料タンク2Aに充填することができる。
また、この接続機構は、充填ノズル13が後述の載置部25に載置された状態(非充填状態)で、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12を冷却中(予冷中)にガスの圧力によって充填ノズル13が載置部25から誤って外れることがないように、また作業者が誤って充填ノズル13を載置部25から取外すことがないように載置部25に対して係脱可能に接続する。これにより、充填ノズル13を載置部25に接続した状態で、ガス蓄圧器6内の高圧な燃料(水素ガス)を下流側供給管路5Bおよび充填ホース12に流通させることができる。
ディスペンサ筐体4A内のガス供給管路5には、上流側から下流側へと順に、流量調整弁14、流量計15、熱交換器16、遮断弁19、圧力センサ20、および温度センサ21等が設けられている。なお、ガス供給管路5の上流側から下流側に向けて設けられている流量調整弁14、流量計15、熱交換器16、遮断弁19、およびセンサ20,21等の取り付けの順番は、図1中に示した順番に限定されるものではない。
流量調整弁14は、上流側供給管路5Aに設けられ、燃料タンク2Aへの燃料ガスの流通を制御するものである。即ち、流量調整弁14は、例えばエア作動式でエアの供給で開弁し、制御信号で制御圧(エア圧)を制御して弁開度が調整される弁装置である。流量調整弁14は、制御装置27の制御プログラムに基づく指令により任意の弁開度に制御され、ガス供給管路5内を流れる燃料ガスの流量、ガス圧を可変に制御するものである。
流量計15は、上流側供給管路5Aに設けられ、ガス供給管路5内を流通する被測流体の質量流量を計測するコリオリ式流量計等により構成されている。流量計15は、例えば流量調整弁14および遮断弁19等を介してガス供給管路5内を流れる燃料ガス、即ち水素ガスの流量(質量流量)を計測し、計測した流量に比例した数の流量パルスを後述の制御装置27へと出力する。これによって、制御装置27は、車両2の燃料タンク2Aに対する燃料(水素ガス)の充填量を演算により求めることができ、車両2に対する燃料の払出し量(給油量に相当)を表示装置(例えば、後述の表示部33またはこれ以外の表示部)等で表示し、例えば顧客等に表示内容を報知することができる。
熱交換器16は、上流側供給管路5A内を流れる燃料を冷却するものである。即ち、熱交換器16は、燃料ガスが充填される車両2の燃料タンク2Aの温度上昇を抑制するために、ガス供給管路5の途中位置で燃料ガスを冷却するように配設されている。
熱交換器16は、冷媒管路17を介してチラーユニット18に接続されている。チラーユニット18は、冷媒(例えば、エチレングリコール等を含んだ液体)を冷媒管路17に流通させて熱交換器16との間に循環させる。これにより、熱交換器16は、冷媒と燃料ガスとを熱交換させて燃料ガス(水素ガス)の温度を規定温度(例えば、−33℃〜−40℃)まで低下させる。
この場合、熱交換器16は、例えば冷媒が流通する多数の冷媒流路(図示せず)が形成された第1層と、燃料ガスが流通する多数のガス流路(図示せず)が形成された第2層とが交互に積層され、複数の各層が一体的に形成された一体型積層構造熱交換器として構成されている。なお、熱交換器16は、一体型積層構造熱交換器に限らず、例えば冷却液化された冷媒(二酸化炭素)が充填された容器内に燃料ガスが流通するガス供給管路を配設することにより、燃料ガスを冷却してもよく、熱交換器16の構造についてはこれらに限るものではない。
遮断弁19は、ガス供給管路5に設けられ、燃料タンク2Aへの燃料ガスの流通を制御するものである。この遮断弁19は、ガス供給管路5の途中部位(上流側供給管路5Aと下流側供給管路5Bとの間)に設けられたエア作動式または電磁式の弁装置である。遮断弁19は、後述する制御装置27からの制御信号で開,閉されることにより、充填ノズル13が燃料タンク2Aの接続口2Bに接続された燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給、遮断を行うものである。遮断弁19は、本発明の制御弁を構成している。
即ち、制御装置27は、充填ノズル13を介して車両2の燃料タンク2Aに燃料ガスを充填するとき、または充填を停止(終了)するときに、流量調整弁14と遮断弁19との開,閉弁制御を行うものである。また、制御装置27は、燃料ガスの非充填時に下流側供給管路5B内を冷却するときに、流量調整弁14と遮断弁19との開,閉弁制御を行うものである。
圧力センサ20は、遮断弁19に対して充填ノズル13側(即ち、下流側供給管路5B)に設けられている。この圧力センサ20は、ガス蓄圧器6から燃料タンク2Aに供給される燃料ガスの供給ガス圧を検出するものである。また、圧力センサ20の検出値は、燃料ガスの非充填時に下流側供給管路5B内を冷却(予冷)するときの燃料ガスの供給を終了させるか否かを判定するのにも用いられる。圧力センサ20は、本発明の計測部を構成するもので、充填ノズル13の近傍で下流側供給管路5B内の圧力値Pを測定し、測定した圧力値Pに応じた検出信号を制御装置27へと出力する。
温度センサ21は、圧力センサ20よりも下流側に位置して下流側供給管路5Bに設けられている。即ち、温度センサ21は、遮断弁19に対して充填ノズル13側(即ち、下流側供給管路5B)に設けられている。この温度センサ21は、燃料タンク2Aに供給される燃料ガスの温度を検出するものである。また、温度センサ21の検出値は、燃料ガスの非充填時に、下流側供給管路5B内を冷却(予冷)するために燃料ガスの供給を開始させるか否かを判定するのにも用いられる。
温度センサ21は、圧力センサ20と共に本発明の計測部を構成するもので、充填ノズル13の近傍で下流側供給管路5B内の温度を測定し、測定した温度に応じた検出信号を制御装置27へと出力する。なお、温度センサ21は、圧力センサ20よりも上流側に設けていてもよい。
脱圧管路22の端部は、遮断弁19よりも下流側に位置する下流側供給管路5Bの途中に設けられた接続部5B1に接続されている。脱圧管路22は、例えば充填ノズル13側からガス圧力を脱圧するためのもので、脱圧管路22の途中には、例えば電磁弁または空圧駆動弁等の自動弁からなる脱圧弁23が設けられている。
この脱圧弁23は、充填ノズル13を用いた燃料タンク2Aへの燃料ガス充填作業が完了して遮断弁19が閉弁されたときに、制御装置27からの信号により開弁制御され、下流側供給管路5B内が減圧された後に閉弁制御される。脱圧弁23が開弁したときには、下流側供給管路5B内の燃料ガスが放散ライン24に放出されて充填ノズル13の圧力が大気圧に減圧される。これにより、充填ノズル13と燃料タンク2Aの接続口2Bとの接続を解除することができる。
また、脱圧弁23は、燃料ガスの非充填時に下流側供給管路5B内および充填ホース12内への燃料ガスの供給が終了して遮断弁19が閉弁されたときに、制御装置27からの信号により開弁制御され、下流側供給管路5B内および充填ホース12内が減圧された後に閉弁制御される。これにより、充填ノズル13の圧力が減圧されて充填ノズル13を載置部25から取外すことができる。
なお、脱圧管路22の孔径を下流側供給管路5Bの孔径よりも大きく形成することにより、脱圧弁23を開状態とした場合に下流側供給管路5B内を急減圧させて下流側供給管路5B内の温度をさらに低下させることができる。これにより、下流側供給管路5B内の温度上昇を効率よく抑制することができる。
載置部25は、ディスペンサ筐体4Aに設けられ、充填ノズル13を載置させるものである。この載置部25は、充填ノズル13が燃料ガスの充填を終了して戻される場合に、当該充填ノズル13を収納するものである。この場合、充填ノズル13は、気密状態を維持した状態で載置部25に収納される。即ち、充填ノズル13の燃料ガス供給口(図示せず)は、充填ノズル13が載置部25に収納されたときに、充填ノズル13に設けられた供給口閉塞部(図示せず)により気密状態で閉塞される。
載置部25には、充填ノズル13が載置部25から取外されているか否かを検出する充填ノズル検出部25Aが設けられている。この充填ノズル検出部25Aは、例えば2位置切換型のスイッチ等からなり、充填ノズル13によって押動されることにより開閉状態が切換わる。そして、充填ノズル検出部25Aは、充填ノズル13が載置部25から取外されているか否かを検出し、その検出結果を後述の制御装置27に出力する。なお、充填ノズル検出部25Aは、載置部25に設けているが、これに限らずに充填ノズル13に設けてもよい。
車両2の燃料タンク2Aに燃料を充填するときには、図1中に二点鎖線で示す如く、充填ノズル13が載置部25から取外されて車両2(燃料タンク2A)の接続口2Bに連結される。この場合、載置部25の充填ノズル検出部25Aは、図1中の二点鎖線で示す如く閉状態(ON)に切換わり、この検出結果を制御装置27に出力する。そして、充填ノズル13を燃料タンク2Aに接続した状態で、ガス蓄圧器6内の燃料ガスは、ガス供給管路5、充填ホース12、および充填ノズル13等を通じて車両2の燃料タンク2Aに充填される。
一方、充填ノズル13が載置部25に載置されたときには、充填ノズル検出部25Aが開状態(OFF)に切換わり、この検出結果を制御装置27に出力する。これにより、制御装置27は、燃料ガスの非充填中(待機中)であることを判断することができる。
ディスペンサユニット4に設けられた操作部26は、例えば充填開始スイッチと充填停止スイッチ(いずれも図示せず)とを含んで構成されている。充填開始スイッチは、例えば燃料供給所の作業者等が手動で操作可能な操作スイッチで、燃料ガスの充填を開始する場合に操作される。即ち、充填開始スイッチは、充填ホース12の先端に設けられた充填ノズル13が燃料タンク2Aの接続口2Bに接続された後に、ガス充填作業を開始させるために操作される充填開始用の操作スイッチである。
充填停止スイッチは、ガス充填作業を停止する際に操作される充填停止用の操作スイッチで、ガス充填中に充填を停止させる場合に操作される。そして、操作部26の充填開始スイッチと充填停止スイッチとは、操作状態に応じた信号を制御装置27にそれぞれ出力し、制御装置27は、これらの信号に応じてエア作動式の空圧駆動弁または電磁弁等の自動弁からなる遮断弁19を開弁または閉弁させる。
制御装置27は、流量調整弁14および遮断弁19の制御を行うことにより燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給を制御するもので、本発明の制御部を構成している。この制御装置27は、例えばマイクロコンピュータ等を用いて構成され、その入力側が流量計15、圧力センサ20、温度センサ21、および操作部26等に接続されている。一方、制御装置27の出力側は、流量調整弁14、遮断弁19、脱圧弁23、および表示部33等に接続されている。
制御装置27には、後述のメモリ28に記憶されたガス充填制御処理用のプログラムにより燃料ガスの充填制御を行う充填制御部(図示せず)を有している。具体的には、制御装置27は、車両2の燃料タンク2Aの接続口2Bに充填ノズル13を接続した状態で、例えば操作部26の充填開始スイッチが閉成(ON)操作されたときに、流量調整弁14と遮断弁19に開弁信号を出力して流量調整弁14と遮断弁19とを開弁させる。これにより、ガス蓄圧器6内の燃料ガスを燃料タンク2A内に供給するガス充填作業が開始される。
また、制御装置27は、例えば流量計15、圧力センサ20、温度センサ21の測定結果を監視しつつ、流量調整弁14の開度等を予め設定された制御方式(定圧上昇制御方式または定流量制御方式等)で調整する。即ち、制御装置27は、例えば燃料ガスの充填時に圧力センサ20により検出された圧力値から得られる圧力上昇率が予め設定された所定の圧力上昇率に一致するように流量調整弁14の弁開度を制御する。
これにより、制御装置27は、ガス供給管路5内に供給される燃料ガスの圧力、流量を適切な流通状態に制御することができる。このとき、制御装置27は、流量計15からの流量パルスを積算して燃料の充填量(質量)を演算し、燃料の充填量が予め設定された目標充填量に達するか、または圧力センサ20により検出した燃料ガスの圧力値が予め設定された目標充填圧力(目標充填圧)に達したときに、流量調整弁14および遮断弁19を閉弁させて燃料の充填を停止する。また、操作部26の充填停止スイッチが操作された場合には、例えば燃料ガスの充填量や圧力値が目標に達していなくても、充填動作を強制的に停止すべく流量調整弁14および遮断弁19が制御装置27からの信号により閉弁される。
その後、制御装置27は、脱圧弁23を開弁させて下流側供給管路5B内の燃料ガスを放散ライン24に放出させ、下流側供給管路5B内および充填ノズル13を減圧した後に脱圧弁23を閉弁する。そして、制御装置27は、燃料ガスの非充填時(待機中)に、下流側供給管路5B内の温度が所定の温度以上となっているか否かを判定している。このために、制御装置27は、メモリ28、燃料ガス供給判定部29、供給制御部30、温度判定部31、圧力判定部32等を備えている。
メモリ28は、例えば不揮発性メモリ、RAM、ROM等からなり、例えば上述のガス充填制御処理用のプログラム、図2に示すガス供給管路5の冷却の制御処理用のプログラム、予冷を開始するための閾値である所定の温度Ta、予冷中の燃料ガスの供給を終了させるための閾値である所定の圧力値Pa,脱圧を終了させるための閾値である圧力値Pb等が格納されている。また、メモリ28には、圧力センサ20と温度センサ21とにより検出された各検出値が随時記憶される。
次に、制御装置27に設けられた燃料ガス供給判定部29、供給制御部30、温度判定部31、圧力判定部32について説明する。
燃料ガス供給判定部29は、燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給が行われているか否かを判定するものである。この場合、燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給が行われているか否かとは、実際に燃料タンク2Aに燃料ガスを充填中か非充填中かを意味するものではなく、充填ノズル13が載置部25に載置されているか、充填ノズル13が載置部25から取外されているかを意味するものである。
即ち、燃料ガス供給判定部29は、充填ノズル13が載置部25に載置された状態である待機中である場合に燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給が行われていないと判断する。一方、充填ノズル13が載置部25から取外されて燃料タンク2Aに燃料ガスを充填するための準備中ないし燃料ガスを燃料タンク2Aに充填中に燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給が行われていると判断する。また、これ以外にも例えば操作部26の充填開始スイッチが押された場合に、燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給が行われていると判定してもよい。さらに、操作部26の充填停止スイッチが押された場合に、燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給が行われていないと判定してもよい。
具体的には、燃料ガス供給判定部29は、充填ノズル13が載置部25から取外されて、載置部25の充填ノズル検出部25Aから閉状態の検出結果が出力されている場合に燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給が行われていると判定する。一方、燃料ガス供給判定部29は、充填ノズル13が載置部25に載置されて、載置部25の充填ノズル検出部25Aから開状態の検出結果が出力されている場合に燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給が行われていない(非充填状態である)と判定する。
供給制御部30は、燃料ガス供給判定部29により燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給が行われていないと判定された場合に、遮断弁19より下流側のガス供給管路(下流側供給管路5B)に熱交換器16から燃料ガスを供給させるものである。供給制御部30は、前記充填制御部により燃料ガスを燃料タンク2Aに供給する前に下流側供給管路5Bの予冷の制御を行う。
具体的には、供給制御部30は、温度センサ21により計測された温度に基づき、遮断弁19より下流側のガス供給管路(下流側供給管路5B)に熱交換器16から燃料ガスを供給させる。また、供給制御部30は、遮断弁19より下流側のガス供給管路(下流側供給管路5B)に熱交換器16から燃料ガスを供給させた後、脱圧弁23から遮断弁19より下流側のガス供給管路(下流側供給管路5B)中の燃料ガスを脱圧させて排出させる。
これにより、遮断弁19(接続部5B1)よりも下流側の下流側供給管路5Bおよび充填ホース12へ熱交換器16で冷却された燃料ガスを供給させることができ、遮断弁19よりも下流側の下流側供給管路5Bおよび充填ホース12を冷却させることができる。また、上記のように、冷却された燃料ガスの供給と排出を繰り返すことにより、遮断弁19よりも下流側の下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の更なる冷却を行うことができる。特に、下流側供給管路5Bのうち外気温の影響を受け易い接続部5B1よりも下流側の下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の冷却を効率よく行うことができるので、燃料ガスを燃料タンクに充填するときの充填効率を向上することができる。
温度判定部31は、燃料ガスの供給(充填)が終了した後(充填ノズル13が載置部25に載置された後)に、下流側供給管路5B内の温度Tが所定の温度Ta(例えば、Ta=15℃〜20℃の範囲、好ましくはTa=20℃)以上となっているか否かを判定する。即ち、温度判定部31は、温度センサ21からの検出信号により下流側供給管路5B内および充填ホース12内の温度Tを監視する。
ここで、燃料ガスの供給(充填)が終了した直後は、下流側供給管路5B内および充填ホース12内が十分に冷却された状態となっているが、環境温度(外気温)等の影響により下流側供給管路5B内および充填ホース12内の温度Tは徐々に上昇する。そして、下流側供給管路5B内および充填ホース12内の温度Tが高い状態で燃料タンク2Aに対する燃料ガスの充填を行うと、熱交換器16で冷却された燃料ガスが下流側供給管路5B内および充填ホース12内を流通したときに、熱交換されて温度上昇してしまい、燃料タンク2Aへの燃料ガスの充填効率が低下する虞がある。
そこで、制御装置27は、温度判定部31により待機中における下流側供給管路5B内および充填ホース12内の温度Tを監視している。そして、制御装置27(供給制御部30)は、温度判定部31が下流側供給管路5B内および充填ホース12内の温度が所定の温度Ta以上となったと判定した場合に、流量調整弁14および遮断弁19を開状態として下流側供給管路5B内および充填ホース12内への燃料ガスの供給を開始する。
圧力判定部32は、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の予冷中に下流側供給管路5B内の圧力値Pが所定値Pa(例えば、Pa=65MPa〜70MPaの範囲、好ましくはPa=70MPa)以上となっているか否かを判定する。また、圧力判定部32は、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の脱圧弁23を開状態としたときに、下流側供給管路5B内の圧力値Pが所定値Pb(例えば、Pb=0.05MPa〜0.1MPa、好ましくはPb=0.1MPa)以下となっているか否かを判定する。即ち、圧力判定部32は、圧力センサ20からの検出信号により下流側供給管路5B内および充填ホース12内の圧力値Pを監視する。
ここで、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の予冷中には、充填ノズル13が気密状態を維持して載置部25に収納されているので、ガス蓄圧器6から熱交換器16を介して下流側供給管路5Bおよび充填ホース12に燃料ガスが供給されると、下流側供給管路5B内および充填ホース12内の圧力値Pが徐々に上昇することになる。この場合、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12への燃料ガスの供給量は、流量調整弁14の開度を調整することにより行われる。
そして、制御装置27(供給制御部30)は、圧力判定部32が下流側供給管路5B内および充填ホース12内の圧力値Pが所定値Pa以上となったと判定した場合に、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12への燃料ガスの供給を終了する。その後、制御装置27は、流量調整弁14および遮断弁19を閉状態として、脱圧弁23を開状態とする。そして、制御装置27(供給制御部30)は、圧力判定部32が下流側供給管路5B内および充填ホース12内の圧力値Pが所定値Pb以下となったと判定した場合に、脱圧弁23を閉状態として下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の予冷を終了する。
表示部33は、燃料ガスの充填作業を行う作業者が視認し易い位置でディスペンサ筐体4Aに設けられている。この表示部33は、燃料ガスの充填作業に必要な情報表示等を行う。表示部33は、制御装置27により充填プロトコルに準拠した充填制御を行っているときに、例えば車両2の燃料タンク2Aに対する燃料ガスの充填状態等を表示して作業者に知らせる。
また、表示部33は、制御装置27の供給制御部30が下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の予冷を行っている場合に例えば「予冷中」の表示を行う。これにより、表示部33は、作業者に対して下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の冷却中であることおよび充填ノズル13が載置部25に取外し不可状態で接続されていることを報知することができる。
本実施形態による燃料ガス充填装置1は、上述の如き構成を有するものであり、次に、車両2の燃料タンク2Aに燃料ガスを供給するための制御について説明する。
作業者は、載置部25から充填ノズル13を取外して、充填ノズル13を車両2の燃料タンク2Aの接続口2Bに連結する。そして、操作部26の充填開始スイッチが操作されることにより、流量調整弁14と遮断弁19とが開弁してガス蓄圧器6から燃料タンク2Aに燃料ガスが供給される。この場合、制御装置27は、圧力センサ20により検出された圧力値から得られる圧力上昇率が予め設定された所定の圧力上昇率に一致するように流量調整弁14の弁開度を制御する。
そして、制御装置27は、流量計15からの流量パルスを積算して燃料の充填量(質量)を演算し、燃料の充填量が予め設定された目標充填量に達するか、または圧力センサ20により検出した燃料ガスの圧力値が予め設定された目標充填圧力(目標充填圧)に達したときに、流量調整弁14および遮断弁19を閉弁させて燃料の充填を停止する。また、操作部26の充填停止スイッチが操作された場合には、例えば燃料ガスの充填量や圧力値が目標に達していなくても、充填動作を強制的に停止すべく流量調整弁14および遮断弁19が制御装置27からの信号により閉弁される。
その後、制御装置27は、脱圧弁23を開弁させて下流側供給管路5B内の燃料ガスを放散ライン24に放出させ、下流側供給管路5B内および充填ノズル13を減圧した後に脱圧弁23を閉弁する。これにより、下流側供給管路5B内の燃料ガスが放散ライン24に放出されて充填ノズル13の圧力が大気圧に減圧される。そして、作業者は、充填ノズル13と燃料タンク2Aの接続口2Bとの接続を解除して、充填ノズル13を載置部25に戻す(収納)する。
ところで、上述した従来技術では、遮断弁よりも下流側のガス供給管路および充填ホースは、待機中に環境温度(外気温)の影響により温度上昇する虞がある。この場合、燃料ガスを燃料タンクに充填するときに、温度上昇したガス供給管路および充填ホースに熱交換器で冷却された燃料ガスが流通すると、熱交換されて燃料ガスの温度が上昇してしまい、燃料ガスを燃料タンクに充填するときの充填効率が低下してしまう虞がある。
そこで、本実施形態では、待機中に遮断弁19よりも下流側に位置する下流側供給管路5B内の温度Tを計測している。そして、下流側供給管路5B内の温度Tが所定値Ta以上となった場合に、流量調整弁14および遮断弁19を開状態にして、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12を冷却(予冷)する構成としている。
以下、制御装置27による下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の予冷の制御処理について、図2を参照して説明する。この制御処理は、燃料ガス充填装置1が起動している間に所定周期毎に繰り返し実行される。なお、本実施形態では、燃料ガスの非充填時にも冷媒がチラーユニット18と熱交換器16との間を循環している。
まず、処理動作がスタートすると、ステップ1では、前記充填制御部による燃料ガスの充填作業が終了しているか否かを判定する。即ち、制御装置27の燃料ガス供給判定部29は、充填ノズル13が載置部25に収納されて充填ノズル検出部25Aが開状態となっていることを検知することにより、燃料ガスの充填が終了したこと(燃料ガスの供給が行われていないこと)を判断することができる。そして、ステップ1で「YES」、即ち燃料ガスの充填作業が終了したと判定された場合には、ステップ2に進む。一方、ステップ1で「NO」、即ち燃料ガスの充填中であると判定された場合には、燃料ガスの充填が終了するまで待機する。
ステップ2では、ガス供給管路5内の燃料ガス温度Tの取得を行う。即ち、制御装置27は、温度センサ21で検出された下流側供給管路5B内の燃料ガス温度Tを取得してメモリ28に記憶し、次のステップ3に進む。
ステップ3では、検出された燃料ガス温度Tが所定値Ta(例えば、Ta=15℃〜20℃の範囲)以上(T≧Ta)であるか否かを判定する。即ち、制御装置27の温度判定部31は、メモリ28に記憶された燃料ガスの温度Tと所定の温度Taとを比較する。これにより、制御装置27は、下流側供給管路5B内および充填ホース12内の温度が外気温等の影響で上昇したか否かを判断する。
そして、ステップ3で「YES」、即ち検出された燃料ガス温度Tが所定値Ta以上(T≧Ta)であると判定された場合には、ステップ4に進む。一方、ステップ3で「NO」、即ち検出された燃料ガス温度Tが所定値Ta未満(T<Ta)であると判定された場合には、リターンする。
ステップ4では、燃料ガスの供給を開始する。即ち、制御装置27の供給制御部30は、流量調整弁14と遮断弁19とを開状態とする。これにより、ガス蓄圧器6内の燃料ガスは、熱交換器16で低温(例えば、−33℃〜−40℃)に冷却された後に下流側供給管路5Bおよび充填ホース12に供給される。その結果、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12は、随時供給される燃料ガスによって冷却されることになる。この場合、表示部33には、例えば「予冷中」の表示がなされると共に、充填ノズル13の接続機構が作動して、充填ノズル13が載置部25に接続される。
次のステップ5では、ガス供給管路5内の圧力値Pの取得を行う。即ち、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12に燃料ガスが供給されると、下流側供給管路5B内および充填ホース12内の圧力値Pが徐々に増加する。そこで、制御装置27は、圧力センサ20で検出された下流側供給管路5B内の圧力値Pを取得してメモリ28に記憶し、次のステップ6に進む。
ステップ6では、検出された下流側供給管路5B内の圧力値Pが所定値Pa(例えば、Pa=65MPa〜70MPaの範囲)以上(P≧Pa)であるか否かを判定する。即ち、制御装置27の圧力判定部32は、メモリ28に記憶された下流側供給管路5B内の圧力値Pと所定値Paとを比較する。これにより、制御装置27は、下流側供給管路5B内および充填ホース12内に冷却された燃料ガスが十分に供給されたことを判断することができる。
そして、ステップ6で「YES」、即ち検出された下流側供給管路5B内の圧力値Pが所定値Pa以上(P≧Pa)であると判定された場合には、ステップ7に進む。一方、ステップ6で「NO」、即ち検出された下流側供給管路5B内の圧力値Pが所定値Pa未満(P<Pa)であると判定された場合には、ステップ5に戻り下流側供給管路5B内の圧力を監視する。
ステップ7では、燃料ガスの供給を終了する。即ち、制御装置27の供給制御部30は、流量調整弁14と遮断弁19とを閉状態とする。これにより、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12への燃料ガスの供給が停止され、次のステップ8に進む。
ステップ8では、ガス供給管路5内の脱圧を開始する。即ち、制御装置27の供給制御部30は、脱圧弁23を開状態とする。これにより、下流側供給管路5B内および充填ホース12内を減圧することができる。
次のステップ9では、ガス供給管路5内の圧力値Pの取得を行う。即ち、脱圧弁23が開状態となると、下流側供給管路5B内および充填ホース12内の圧力値Pが徐々に減少する。そこで、制御装置27は、圧力センサ20で検出された下流側供給管路5B内の圧力値Pを取得してメモリ28に記憶し、次のステップ10に進む。
ステップ10では、検出された下流側供給管路5B内の圧力値Pが所定値Pb(例えば、Pb=0.05MPa〜0.1MPaの範囲)以下(P≦Pb)であるか否かを判定する。即ち、制御装置27の圧力判定部32は、メモリ28に記憶された下流側供給管路5B内の圧力値Pと所定値Pbとを比較する。これにより、制御装置27は、下流側供給管路5B内および充填ホース12内の圧力がほぼ大気圧まで減少したことを判断することができる。
そして、ステップ10で「YES」、即ち検出された下流側供給管路5B内の圧力値Pが所定値Pb以下(P≦Pb)であると判定された場合には、ステップ11に進む。一方、ステップ10で「NO」、即ち検出された下流側供給管路5B内の圧力値Pが所定値Pbよりも大きい(P>Pb)と判定された場合には、ステップ9に戻り下流側供給管路5B内の圧力を監視する。
ステップ11では、ガス供給管路5内の脱圧を終了する。即ち、制御装置27の供給制御部30は、脱圧弁23を閉状態とする。これにより、下流側供給管路5B内および充填ホース12内の予冷を終了する。そして、表示部33の「予冷中」の表示が消去されると共に、充填ノズル13の接続が解除されて、充填ノズル13を載置部25から安全に取外すことができる。
かくして、第1の実施形態では、待機中に下流側供給管路5B内の温度Tを検出して、その検出値(温度T)が所定の温度Ta以上となった場合に、流量調整弁14と遮断弁19とを開弁して下流側供給管路5Bおよび充填ホース12に熱交換器16で冷却された燃料ガスを供給している。
これにより、待機中でも下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の温度を所定値以下に保つことができる。従って、次なる燃料タンク2Aへの燃料供給時に燃料ガスが下流側供給管路5Bおよび充填ホース12で温度上昇するのを抑制することができるので、燃料ガスを燃料タンクに充填するときの充填効率を高めることができる。
次に、図3は、本発明の第2の実施形態を示すものである。第2の実施形態の特徴は、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の予冷に用いた燃料ガスをガス供給元に戻す構成としたことにある。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
載置部41は、ディスペンサ筐体4Aに設けられ、充填ノズル13を載置させるものである。この載置部41は、前記第1の実施形態で述べた載置部25と同様に、充填ノズル13が燃料ガスの充填を終了して戻される場合に、当該充填ノズル13を収納するものである。載置部41には、充填ノズル13が載置部41から取外されているか否かを検出する充填ノズル検出部41Aが設けられている。
この充填ノズル検出部41Aは、例えば2位置切換型のスイッチ等からなり、充填ノズル13によって押動されることにより開閉状態が切換わる。そして、充填ノズル検出部41Aは、充填ノズル13が載置部41から取外されているか否かを検出し、その検出結果を後述の制御装置27に出力する。なお、充填ノズル検出部41Aは、載置部41に設けているが、これに限らずに充填ノズル13に設けてもよい。
連結部42は、載置部41に設けられ、予冷に用いられた燃料ガスを燃料ガス供給元のタンク44に戻すときに燃料ガスが流通する流路を構成している。この連結部42の一端側は、充填ノズル13を載置部41に収納したときに、充填ノズル13の開口部(燃料ガス供給口)に連通する。一方、連結部42の他端側は、後述の戻り管路43に連通している。
戻り管路43は、連結部42と燃料ガス供給元であるタンク44とを接続している。この戻り管路43は、一端側が連結部42に連結され、途中部位がディスペンサ筐体4Aから延出して、他端側がタンク44を介して吸込管路10に連結されている。即ち、戻り管路43は、予冷に用いられた燃料ガスをガス貯蔵部3に戻すときに燃料ガスが流通する流路を構成している。なお、戻り管路43は、タンク44を介してコンプレッサ7の吸込側に接続し、これをガス供給元としてもよい。また、戻り管路43内を流れる燃料ガスの逆流を防止するために、戻り管路43に逆止弁(図示せず)を設けてもよい。
タンク44は、戻り管路43の途中に設けられている。このタンク44は、予冷に用いられた燃料ガスを一時的に貯留するものである。タンク44に貯留された燃料ガスは、コンプレッサ7により圧縮され、昇圧した燃料ガスがガス導管8および逆止弁9を介してガス蓄圧器6に供給される。即ち、予冷に用いられた燃料ガスは、タンク44に貯留された後、連結部42および戻り管路43を介してガス蓄圧器6に戻される。
戻り管路側脱圧弁45は、ディスペンサ筐体4A内に位置して戻り管路43に設けられている。即ち、戻り管路側脱圧弁45は、戻り管路43のうち連結部42に可及的に近い位置に設けられている。この戻り管路側脱圧弁45は、制御装置27からの信号により開弁制御され、下流側供給管路5B内および充填ホース12内が減圧された後に閉弁制御される。
具体的には、戻り管路側脱圧弁45は、燃料ガスの非充填時に下流側供給管路5B内および充填ホース12内への燃料ガスの供給が終了して遮断弁19が閉弁された後に、制御装置27からの信号により開弁制御され、下流側供給管路5B内および充填ホース12内が減圧された後に閉弁制御される。これにより、下流側供給管路5B内および充填ホース12内の燃料ガスは、連結部42および戻り管路43を介してタンク44に導かれる。
このように構成された第2の実施形態においても、上述の図2と同様の制御処理が実行される。この場合、ステップ8のガス供給管路5内の脱圧開始する前に、制御装置27の供給制御部30は、脱圧弁23を閉状態に維持させた状態で戻り管路側脱圧弁45を開状態とする。これにより、下流側供給管路5B内および充填ホース12内の燃料ガスを連結部42、戻り管路43を介してタンク44に導き、下流側供給管路5B内および充填ホース12内を減圧することができる。
ここで、図3に示す脱圧弁23の開弁動作は、車両2の燃料タンク2Aへの充填時において、充填ノズル13と燃料タンク2Aの接続口2Bとの接続を解除するために、燃料タンク2Aへの燃料ガス充填作業が完了して遮断弁19が閉弁されたときに、制御装置27からの信号により開弁制御され、下流側供給管路5B内が減圧された後に閉弁制御される。即ち、脱圧弁23は、燃料タンク2Aへの燃料ガスの充填が終了されたときに、下流側供給管路5B内および充填ホース12内を減圧するために開弁される。一方、戻り管路側脱圧弁45は、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の予冷を終了するときに、下流側供給管路5B内および充填ホース12内を減圧するために開弁される。
そして、ステップ11で制御装置27の供給制御部30は、戻り管路側脱圧弁45を閉状態とする。これにより、下流側供給管路5B内および充填ホース12内の予冷を終了する。そして、表示部33の「予冷中」の表示が消去されると共に、充填ノズル13の接続が解除されて、充填ノズル13を載置部25から安全に取外すことができる。
かくして、第2の実施形態についても第1の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。特に第2の実施形態では、予冷で用いた燃料ガスを放散ライン24に放出することなく、載置部41の連結部42と戻り管路43とを介して燃料供給元であるタンク44(ガス貯蔵部3)に戻している。これにより、燃料ガスの消費を抑制することができるので、コストを低減することができる。
次に、図4、図5は、本発明の第3の実施形態を示すものである。第3の実施形態の特徴は、燃料ガスを燃料タンク2Aに供給するときに、ガス供給管路5と充填ホース12とを予冷することにある。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。また、第3の実施形態では、制御装置27のメモリ28に、図5に示す予冷の制御処理用のプログラム等が格納されている。
図4に示す車両・人検知センサ51は、ディスペンサ筐体4Aに設けられている。この車両・人検知センサ51は、例えばレーダ発信器およびレーダ受信器または超音波発信器および超音波受信器等からなり、燃料ガスを充填するためにディスペンサユニット4に横付けされた車両2またはディスペンサユニット4を操作する作業員を検知するものである。そして、車両・人検知センサ51は、検出信号を制御装置27に出力する。なお、車両・人検知センサ51は、レーダおよび超音波を用いた車両または人の検出に限らず、例えば車両2に搭載された送信器および作業員が携帯する送信器からの信号を受信する受信器としてもよい。
車両・人検知部52は、制御装置27に備えられている。この車両・人検知部52は、ディスペンサユニット4に車両2または人(作業員)が近付いているか否かを判定する。即ち、車両・人検知部52は、車両・人検知センサ51からの検出信号によりディスペンサユニット4の近傍に車両2または作業員が存在するか否かを判断する。そして、供給制御部30は、車両・人検知部52が車両2または作業員の存在を確認した場合に、遮断弁19より下流側のガス供給管路5(下流側供給管路5B)に熱交換器16から燃料ガスを供給させる。
次に、制御装置27による下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の予冷の制御処理について、図5を参照して説明する。この制御処理は、燃料ガス充填装置1が起動している間に所定周期毎に繰り返し実行される。なお、本実施形態では、燃料ガスの非充填時にも冷媒がチラーユニット18と熱交換器16との間を循環している。
まず、処理動作がスタートすると、ステップ21では、図2中のステップ1と同様に燃料ガス充填終了か否かの制御処理が実行される。次のステップ22では、車両または人の検知有りか否かを判定する。即ち、制御装置27の車両・人検知部52は、車両・人検知センサ51の検出信号からディスペンサユニット4の近傍に車両2または作業員が存在しているか否かを検知することにより、燃料ガス充填作業が行われようとしているか、待機中が継続しているのかを判断する。そして、ステップ22で「YES」、即ち車両または人の検知有りと判定された場合には、ステップ23に進む。一方、ステップ22で「NO」、即ち車両または人の検知なしと判定された場合には、リターンする。そして、ステップ23からステップ30までは、図2中のステップ4からステップ11までと同様の制御処理が実行される。
かくして、第3の実施形態についても第1の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。特に第3の実施形態では、供給制御部30は燃料ガスを供給するために車両2または作業員がディスペンサユニット4に接近したときに、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の予冷を開始する構成となっている。これにより、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の予冷の回数を少なくすることができる。その結果、予冷のための燃料ガスの使用量および消費電力を抑制することができるので、コストを低減することができる。
なお、上述した第1の実施形態では、下流側供給管路5B内の温度Tが所定値Ta以上となったときに、燃料ガスの供給(予冷)を開始した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図6に示す変形例のように、燃料ガスの充填終了後(ステップ31で「YES」)から所定時間経過した場合(ステップ32で「YES」)に燃料ガスの供給(予冷)を開始してもよい。この場合、ステップ31は、図2中のステップ1と同様の制御処理が実行され、ステップ33からステップ40までは、図2中のステップ4からステップ11までと同様の制御処理が実行される。また、燃料ガスの充填終了後から所定時間経過した場合とは、例えば燃料ガスの充填終了後から10分後、20分後…というように、燃料ガスの充填終了後から所定時間毎に予冷を行うことを含んでいる。このことは、第2の実施形態についても同様である。
また、上述した第1の実施形態では、下流側供給管路5B内の温度Tが所定値Ta以上となったときに、燃料ガスの供給(予冷)を開始した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば下流側供給管路5B内の圧力値Pが所定値Pc(Pb<Pc<Pa)以上となった場合に、燃料ガスの供給(予冷)を開始してもよい。
即ち、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の温度が上昇すると、それに伴い圧力も上昇することになる。従って、制御装置27は、待機中に圧力センサ20からの検出信号から下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の温度が上昇していることを判断して予冷を開始してもよい。このことは、第2の実施形態についても同様である。
また、上述した第1の実施形態では、下流側供給管路5B内の圧力値Pが所定値Pa以上となったときに、燃料ガスの供給を終了した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば燃料ガスの供給を開始してから所定時間経過後に燃料ガスの供給を終了してもよい。このことは、第2,第3の実施形態および変形例についても同様である。
また、上述した第1の実施形態では、熱交換器16よりも下流側に制御弁としての遮断弁19を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば遮断弁19に代えてガス供給管路5内を流通する燃料ガスの流量を調整することができる流量調整弁を設けてもよい。このことは、第2,第3の実施形態および変形例についても同様である。
また、上述した第2の実施形態では、戻り管路43に戻り管路側脱圧弁45を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば載置部41内の連結部42に脱圧弁を設けてもよい。また、充填カップリング内に開閉可能な内蔵弁を設けてもよい。
また、上述した第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に下流側供給管路5B内の温度Tが所定値Ta以上となったときに、燃料ガスの供給(予冷)を開始した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第2の実施形態のディスペンサユニット4に第3の実施形態のように車両・人検知センサおよび車両・人検知部を設けて、車両または作業員の検知信号により燃料供給(予冷)を開始してもよい。
また、上述した第1の実施形態では、メモリ28、燃料ガス供給判定部29、供給制御部30、温度判定部31、圧力判定部32を、また第3の実施の形態では、メモリ28、燃料ガス供給判定部29、供給制御部30、温度判定部31、圧力判定部32、車両・人検知部52を燃料ガスの供給制御を行う制御装置27に設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば制御装置27とは異なる別の制御装置にメモリ、燃料ガス供給判定部、供給制御部、温度判定部、圧力判定部、車両・人検知部を設けてもよい。このことは、第2の実施形態および変形例についても同様である。
さらに、前記実施形態では、燃料ガスとして水素ガスを用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、水素ガス以外のガス、例えばブタン,プロパン等のガスや圧縮天然ガス(CNG)を車両2の燃料タンク2Aに充填するための燃料ガス充填装置にも適用することができる。また、車両2の燃料タンク2Aに圧縮されたガスを充填する形態に限らず、他の被充填タンク(容器を含む)に圧縮されたガスを充填する際にも適用することができる。さらに、本燃料ガス充填装置1のディスペンサユニット4を、他の場所にガス給送するための管路の途中に設置してもよい。
さらに、前記実施形態では、熱交換器16で冷却された燃料ガスを遮断弁19(接続部5B1)よりも下流側の下流側供給管路5Bと充填ホース12に供給することを説明したが、供給される際の燃料ガスの圧力について、当該圧力が所定圧力以下になるよう熱交換器16や流量調整弁14の駆動を制御させることにより、供給される燃料ガスの圧力を所定圧力以下とさせてもよい。具体的には、例えば、供給される燃料ガスの圧力が70MPaである場合と比べて、35MPaである方が、供給される側の下流側供給管路5Bと充填ホース12とへの影響(耐久性等)が少なくなり、下流側供給管路5Bと充填ホース12との耐久性や強度が低下してしまうことを防止できる。
以上説明した実施形態に基づく燃料ガス充填装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
燃料ガス充填装置の第1の態様としては、ディスペンサ筐体内に配設され、加圧された燃料ガスがガス蓄圧器から供給されるガス供給管路と、前記ディスペンサ筐体から延設され、基端側が前記ガス供給管路に連通された充填ホースと、前記充填ホースの先端側に備えられ、充填対象の燃料タンクの接続口と接続する充填カップリングと、前記ガス供給管路に設けられ、前記充填カップリングによって充填される燃料ガスを冷却するための熱交換器と、前記熱交換器よりも下流側に位置して前記ガス供給管路に設けられ、前記燃料タンクへの燃料ガスの流通を制御する制御弁と、前記制御弁の制御を行うことにより前記燃料タンクへの燃料ガスの供給を制御する制御部と、を備えた燃料ガス充填装置において、前記燃料タンクへの燃料ガスの供給が行われているか否かを判定する燃料ガス供給判定部と、前記燃料ガス供給判定部により前記燃料タンクへの燃料ガスの供給が行われていないと判定された場合に、前記制御弁を開弁させて前記制御弁よりも下流側の前記ガス供給管路および前記充填ホースに前記熱交換器から燃料ガスを供給させる供給制御部とを備えている。
第2の態様としては、前記制御弁より下流側のガス供給管路には、前記ガス供給管路中の燃料ガスを排出させる脱圧弁が備えられ、前記供給制御部は、前記制御弁より下流側の前記ガス供給管路および前記充填ホースに前記熱交換器から燃料ガスを供給させた後、前記脱圧弁から前記制御弁よりも下流側の前記ガス供給管路内と前記充填ホース内の燃料ガスを排出させる。
第3の態様としては、前記ディスペンサ筐体には、前記充填カップリングを載置させる載置部と、前記載置部に載置された前記充填カップリングの開口部と連結する連結部と、前記連結部と燃料ガス供給元とを接続させる戻り管路と、が備えられ、前記供給制御部は、前記制御弁よりも下流側の前記ガス供給管路および前記充填ホースに前記熱交換器から燃料ガスが供給された後、前記連結部と前記戻り管路とを介して非充填中に供給された燃料ガスを前記燃料ガス供給元へ戻す。
第4の態様としては、前記制御弁よりも下流側の前記ガス供給管路には、燃料ガスの温度および/または圧力を計測する計測部が設けられ、前記供給制御部は、前記計測部により計測された温度および/または圧力の値に基づき、前記制御弁よりも下流側の前記ガス供給管路および前記充填ホースに前記熱交換器から燃料ガスを供給させる。
第5の態様としては、前記ディスペンサ筐体には、車両または人を検知する検知センサが備えられ、前記供給制御部は、前記検知センサにより車両または人を検知した場合に、前記制御弁よりも下流側の前記ガス供給管路および前記充填ホースに前記熱交換器から燃料ガスを供給させる。
第6の態様としては、前記供給制御部は、所定時間毎に前記制御弁よりも下流側の前記ガス供給管路および前記充填ホースに前記熱交換器から燃料ガスを供給させる。
第7の態様としては、前記制御弁は、前記燃料タンクへの燃料ガスの供給および遮断を行う遮断弁からなる。