以下、本発明の実施形態による燃料ガス充填装置を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図3は、本発明の第1の実施形態を示している。図1中の燃料ガス充填装置1は、例えば車両2の燃料タンク2Aに圧縮した燃料ガス(本実施形態では、水素ガス)を充填するように供給するため、一般にガス供給ステーションと呼ばれる設備等に設置されている。燃料ガス充填装置1は、高圧に圧縮されたガスを貯蔵するガス貯蔵部3と、該ガス貯蔵部3からの燃料ガスを車両2の燃料タンク2Aに充填、供給するためのディスペンサユニット4と、ガス貯蔵部3からディスペンサユニット4のディスペンサ筐体4A内にわたって延びるガス供給管路5とを含んで構成されている。
ガス供給管路5は、ディスペンサ筐体4A内に配設され、加圧された燃料ガスがガス蓄圧器6から供給されるものである。このガス供給管路5は、ガス蓄圧器6から後述の遮断弁19まで延びる上流側供給管路5Aと、遮断弁19から後述の充填ホース12まで延びる下流側供給管路5Bとにより構成されている。即ち、上流側供給管路5Aは、一端(上流端)側がガス蓄圧器6に接続され、他端(下流端)側が遮断弁19に接続されている。一方、下流側供給管路5Bは、一端(上流端)側が遮断弁19に接続され、他端(下流端)側が充填ホース12に接続されている。
燃料ガス充填装置1のガス貯蔵部3は、ガス蓄圧器6と、昇圧器としてのコンプレッサ7とを含んで構成されている。ガス蓄圧器6は、コンプレッサ7により圧縮された高圧の燃料ガスを蓄圧するための容器であり、例えば複数個のボンベを互いに並列に接続してなる圧力容器として形成されている。ガス蓄圧器6は、その流入側がガス導管8を介してコンプレッサ7の吐出側に接続され、ガス導管8の途中には逆止弁9が設けられている。逆止弁9は、ガス蓄圧器6内の燃料ガスがガス導管8内を逆流するのを防止している。
コンプレッサ7は、例えば複数段で燃料ガスを圧縮する多段式の圧縮機からなり、その吸込管路10は、例えば水素ガスを貯蔵するガスタンク(または、水素ガスを生成する水素生成設備)と連通する中圧配管11に接続されている。中圧配管11からの燃料ガスは、吸込管路10を介してコンプレッサ7により圧縮され、昇圧した燃料ガスがガス導管8および逆止弁9を介してガス蓄圧器6に供給される。ガス蓄圧器6には、コンプレッサ7よって昇圧された高圧の燃料ガスが満圧になるまで蓄圧して貯蔵される。
ディスペンサ筐体4A内には、ガス供給管路5が上流側(例えば、ガス蓄圧器6側)から下流側にわたって延びるように配設されている。充填ホース12は、基端側が下流側供給管路5Bに連通され、ディスペンサ筐体4Aの外部へと延びている。充填ホース12の先端側には、燃料タンク2Aの接続口2B(即ち、レセプタクル)に連結される充填ノズル13が設けられている。
充填ノズル13は、例えば水素ガスからなる燃料を車両2の燃料タンク2Aに供給するため、接続口2Bに気密状態で着脱可能に接続される充填カップリングを構成している。充填ノズル13は、例えば水素ガスの充填中にガスの圧力によって接続口2Bから誤って外れることがないように、燃料タンク2Aの接続口2Bに対して係脱可能にロックされるロック機構(図示せず)を備えている。
これにより、充填ノズル13を燃料タンク2Aの接続口2Bに接続(ロック)した状態で、ガス蓄圧器6内の高圧な燃料(水素ガス)をガス供給管路5、充填ホース12および充填ノズル13等を通じて車両2の燃料タンク2Aに充填することができる。
ディスペンサ筐体4A内のガス供給管路5には、上流側から下流側へと順に、流量調節弁としての制御弁14、流量計15、熱交換器16、遮断弁19、圧力センサ20、および温度センサ21等が設けられている。なお、ガス供給管路5の上流側から下流側に向けて設けられている制御弁14、流量計15、熱交換器16、遮断弁19、およびセンサ20,21等の取り付けの順番は、図1中に示した順番に限定されるものではない。
制御弁14は、上流側供給管路5Aに設けられ、例えばエア作動式でエアの供給で開弁し、制御信号で制御圧(エア圧)を制御して弁開度が調整される弁装置である。制御弁14は、制御装置27の制御プログラムに基づく指令により任意の弁開度に制御され、ガス供給管路5内を流れる燃料ガスの流量、ガス圧を可変に制御するものである。
流量計15は、上流側供給管路5Aに設けられ、ガス供給管路5内を流通する被測流体の質量流量を計測するコリオリ式流量計等により構成されている。流量計15は、例えば制御弁14および遮断弁19等を介してガス供給管路5内を流れる燃料ガス、即ち水素ガスの流量(質量流量)を計測し、計測した流量に比例した数の流量パルスを後述の制御装置27へと出力する。これによって、制御装置27は、車両2の燃料タンク2Aに対する燃料(水素ガス)の充填量を演算により求めることができ、車両2に対する燃料の払出し量(給油量に相当)を表示装置(例えば、後述の表示部32またはこれ以外の表示部)等で表示し、例えば顧客等に表示内容を報知することができる。
熱交換器16は、上流側供給管路5A内を流れる燃料を冷却するものである。即ち、熱交換器16は、燃料ガスが充填される車両2の燃料タンク2Aの温度上昇を抑制するために、ガス供給管路5の途中位置で燃料ガスを冷却するように配設されている。
熱交換器16は、冷媒管路17を介してチラーユニット18に接続されている。チラーユニット18は、冷媒(例えば、エチレングリコール等を含んだ液体)を冷媒管路17に流通させて熱交換器16との間に循環させる。これにより、熱交換器16は、冷媒と燃料ガスとを熱交換させて燃料ガス(水素ガス)の温度を規定温度(例えば、−33℃〜−40℃)まで低下させる。
遮断弁19は、ガス供給管路5の途中部位(上流側供給管路5Aと下流側供給管路5Bとの間)に設けられたエア作動式または電磁式の弁装置である。遮断弁19は、後述する制御装置27からの制御信号で開,閉されることにより、充填ノズル13が燃料タンク2Aの接続口2Bに接続された燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給、遮断を行うものである。即ち、制御装置27は、充填ノズル13を介して車両2の燃料タンク2Aに燃料ガスを充填するとき、または充填を停止(終了)するときに、制御弁14と遮断弁19との開,閉弁制御を行うものである。
圧力センサ20は、遮断弁19に対して充填ノズル13側(即ち、下流側供給管路5B)に設けられている。この圧力センサ20は、ガス蓄圧器6から燃料タンク2Aに供給される燃料ガスの供給ガス圧を検出するものである。また、圧力センサ20の検出値は、燃料ガスの非充填時、即ち遮断弁19が閉じているときに、遮断弁19から燃料ガスの漏れが生じているか否かを判定するのにも用いられる。圧力センサ20は、充填ノズル13の近傍で下流側供給管路5B内の圧力を測定し、測定した圧力に応じた検出信号を制御装置27へと出力する。
温度センサ21は、圧力センサ20よりも下流側に位置して下流側供給管路5Bに設けられている。即ち、温度センサ21は、遮断弁19に対して充填ノズル13側(即ち、下流側供給管路5B)に設けられている。この温度センサ21は、燃料タンク2Aに供給される燃料ガスの温度を検出するものである。また、温度センサ21の検出値は、燃料ガスの非充填時、即ち遮断弁19が閉じているときに、遮断弁19から燃料ガスの漏れが生じているか否かを判定するのにも用いられる。温度センサ21は、充填ノズル13の近傍で下流側供給管路5B内の温度を測定し、測定した温度に応じた検出信号を制御装置27へと出力する。なお、温度センサ21は、圧力センサ20よりも上流側に設けていてもよい。
脱圧管路22は、遮断弁19と充填ホース12との間に位置して下流側供給管路5Bの途中に分岐して設けられている。脱圧管路22は、例えば充填ノズル13側からガス圧力を脱圧するためのもので、脱圧管路22の途中には、例えば電磁弁または空圧駆動弁等の自動弁からなる脱圧弁23が設けられている。
この脱圧弁23は、充填ノズル13を用いた燃料ガス充填作業が完了して遮断弁19が閉弁されたときに、制御装置27からの信号により開弁制御され、ガス供給管路5内が減圧された後に閉弁制御される。脱圧弁23が開弁したときには、下流側供給管路5B内の燃料ガスが放散ライン24に放出されて充填ノズル13の圧力が大気圧に減圧される。これにより、充填ノズル13と燃料タンク2Aの接続口2Bとの接続を解除することができる。
外気温センサ25は、ディスペンサ筐体4A内に設けられ、ディスペンサ筐体4Aの周囲温度を検出するものである。この外気温センサ25は、測定した温度に応じた検出信号を制御装置27へと出力する。外気温センサ25の検出値は、例えば燃料ガスを燃料タンク2Aに供給するときのガス供給量およびガス温度等の制御に用いられる。
ディスペンサユニット4に設けられた操作部26は、例えば充填開始スイッチと充填停止スイッチ(いずれも図示せず)とを含んで構成されている。充填開始スイッチは、例えば燃料供給所の作業者等が手動で操作可能な操作スイッチで、燃料ガスの充填を開始する場合に操作される。即ち、充填開始スイッチは、充填ホース12の先端に設けられた充填ノズル13が燃料タンク2Aの接続口2Bに接続された後に、ガス充填作業を開始させるために操作される充填開始用の操作スイッチである。
充填停止スイッチは、ガス充填作業を停止する際に操作される充填停止用の操作スイッチで、ガス充填中に充填を停止させる場合に操作される。そして、操作部26の充填開始スイッチと充填停止スイッチとは、操作状態に応じた信号を制御装置27にそれぞれ出力し、制御装置27は、これらの信号に応じてエア作動式の空圧駆動弁または電磁弁等の自動弁からなる遮断弁19を開弁または閉弁させる。
制御装置27は、制御弁14および遮断弁19の制御を行うことにより燃料タンク2Aへの燃料ガスの供給を制御するもので、本発明の制御手段を構成している。この制御装置27は、例えばマイクロコンピュータ等を用いて構成され、その入力側が流量計15、圧力センサ20、温度センサ21、外気温センサ25、および操作部26等に接続されている。一方、制御装置27の出力側は、制御弁14、遮断弁19、脱圧弁23、および表示部32等に接続されている。
制御装置27は、後述のメモリ28に記憶されたガス充填制御処理用のプログラムにより燃料ガスの充填制御がなされる。具体的には、制御装置27は、車両2の燃料タンク2Aの接続口2Bに充填ノズル13を接続した状態で、例えば操作部26の充填開始スイッチが閉成(ON)操作されたときに、制御弁14と遮断弁19に開弁信号を出力して制御弁14と遮断弁19とを開弁させる。これにより、ガス蓄圧器6内の燃料ガスを燃料タンク2A内に供給するガス充填作業が開始される。
また、制御装置27は、例えば流量計15、圧力センサ20、温度センサ21の測定結果を監視しつつ、制御弁14の開度等を予め設定された制御方式(定圧上昇制御方式または定流量制御方式)等で調整する。即ち、制御装置27は、例えば燃料ガスの充填時に圧力センサ20により検出された圧力値から得られる圧力上昇率が予め設定された所定の圧力上昇率に一致するように制御弁14の弁開度を制御する。
これにより、制御装置27は、ガス供給管路5内に供給される燃料ガスの圧力、流量を適切な流通状態に制御することができる。このとき、制御装置27は、流量計15からの流量パルスを積算して燃料の充填量(質量)を演算し、燃料の充填量が予め設定された目標充填量に達するか、または圧力センサ20により検出した燃料ガスの圧力が予め設定された目標充填圧力(目標充填圧)に達したときに、遮断弁19を閉弁させて燃料の充填を停止する。また、操作部26の充填停止スイッチが操作された場合には、例えば燃料ガスの充填量や圧力が目標に達していなくても、充填動作を強制的に停止すべく遮断弁19が制御装置27からの信号により閉弁される。
その後、制御装置27は、脱圧弁23を開弁させて下流側供給管路5B内の燃料ガスを放散ライン24に放出させ、下流側供給管路5B内および充填ノズル13を減圧した後に脱圧弁23を閉弁する。そして、制御装置27は、燃料ガスの非充填時(待機中)に、遮断弁19から燃料ガスが漏れているか否かを判定している。このために、制御装置27は、メモリ28、温度判定部29、質量演算部30、漏洩判定部31等を備えている。
メモリ28は、例えば不揮発性メモリ、RAM、ROM等からなり、本発明の記憶手段として構成されている。このメモリ28には、例えば上述のガス充填制御処理用のプログラム、図2、図3に示す燃料ガス漏れ検知の制御処理用のプログラム等が格納されている。また、メモリ28には、圧力センサ20、温度センサ21、外気温センサ25により検出された検出値が随時記憶される。
次に、制御装置27に設けられた温度判定部29、質量演算部30、漏洩判定部31について説明する。
温度判定部29は、燃料ガスの供給が終了した後に、下流側供給管路5B内の温度を検出して、下流側供給管路5B内が安定したか否かを判定するもので、本発明の温度判定手段を構成している。即ち、燃料ガスの供給が終了した後は、下流側供給管路5Bおよび充填ホース12の素材の違い、保温材の有無、および下流側供給管路5B内を燃料ガスが流通したときに生じたジュールトムソン効果による熱影響等により、下流側供給管路5Bのそれぞれの位置で放熱の速度が異なる。従って、燃料ガスの供給が終了した直後は、温度センサ21で検出される下流側供給管路5B内の温度が不均一となり、特に遮断弁19から微量の燃料ガスの漏れが生じているか否かを判断するのが困難である。
そこで、温度判定部29は、下流側供給管路5B内の温度が所定値以内にあることを判定することにより、下流側供給管路5B内で燃料ガスの状態が安定しているか否かを判断する。具体的には、温度判定部29は、メモリ28に記憶された温度に関する検出値(例えば、温度T1)と該検出値を検出してから所定時間経過後(例えば、1分後)に温度センサ21により検出された検出値(例えば、温度T2)との差(変化量)が所定値Ta以内(例えば、T2−T1≦Ta)であるか否かを判定する。
この場合、所定値Taは、燃料ガスの微量な漏れを質量で判別する上で、その前提となる下流側供給管路5B内が安定した状態(均一な温度状態)となったと判断できる値として、これまでの経験知や実験的に求められた値(例えば、0.1℃〜2.0℃、好ましくは、0.15℃〜0.3℃の範囲)に設定することができる。そして、温度判定部29は、今回検出された温度T2と前回検出された温度T1との差が、所定値Ta以内である場合に、下流側供給管路5B内が安定したと判断する。
質量演算部30は、圧力センサ20から得られた検出値(圧力P1)および温度センサ21から得られた検出値(温度Tg1)により、下流側供給管路5B内の燃料ガスの質量G1を演算するもので、本発明の質量演算手段を構成している。この質量演算部30は、圧力センサ20から検出される圧力P、温度センサ21から検出される温度T、下流側供給管路5Bの体積V、気体定数R、とすると、理想気体の状態方程式(PV=nRT)からモル数nを算出することにより、下流側供給管路5B内の燃料ガスの質量を演算することができる。
質量演算部30は、温度判定部29により下流側供給管路5B内が安定したと判定された後に、圧力センサ20から得られた圧力P1と温度センサ21から得られた温度Tg1とから下流側供給管路5B内の燃料ガスの質量G1を演算する。そして、質量演算部30は、所定時間経過後(例えば、1分後)に再度、圧力センサ20から得られた圧力P2と温度センサ21から得られた温度Tg2とから下流側供給管路5B内の燃料ガスの質量G2を演算する。
漏洩判定部31は、燃料ガスの供給が終了した場合に、質量演算部30により演算された燃料ガスの質量(G1,G2)から遮断弁19に漏れが生じているか否かを判定するもので、本発明の漏洩判定手段を構成している。即ち、漏洩判定部31は、温度判定部29により所定値以内(例えば、T2−T1≦Ta)であると判定された場合に、質量演算部30により演算された燃料ガスの質量(G1,G2)から遮断弁19に燃料ガスの漏れが生じているか否かを判定する。
具体的には、漏洩判定部31は、質量演算部30により演算された今回の燃料ガスの質量G2と前回の燃料ガスの質量G1との差(変化量)が所定値Gaよりも大きい(G2−G1>Ga)か否かを判定することにより、遮断弁19から下流側供給管路5B内に燃料ガスが漏れていることを判断することができる。この場合、所定値Gaは、例えば圧力センサ20および温度センサ21の検出値の誤差の範囲から求められた燃料ガスの質量以上の値として、実験的に求められた値に設定することができる。一例として、所定値Gaは、0.01g〜0.05g、好ましくは、0.01g〜0.03gの範囲に設定することができる。
このように、下流側供給管路5B内が安定した状態となった後に、下流側供給管路5B内の燃料ガスの質量を演算して遮断弁19から下流側供給管路5Bへの燃料ガスの漏れを検出している。その結果、早期に遮断弁19から燃料ガスの微量な漏れを検知することができ、遮断弁19の交換作業等のメンテナンス作業を効率よく行うことができる。従って、例えば長期間の待機時間があった場合等に、遮断弁19よりも上流側の上流側供給管路5A内の圧力損失を抑制することができるので、車両2に燃料ガスを供給するときの充填効率が低下するのを抑制することができる。また、遮断弁19よりも下流側の下流側供給管路5B内の圧力上昇を抑制することができるので、長期間の待機時間があった場合等にも、充填ノズル13を接続口2Bに確実に接続することができる。
なお、遮断弁19から下流側供給管路5B内に燃料ガスが多量に漏れている場合には、下流側供給管路5B内が安定した状態にはならない。従って、圧力センサ20に接続された圧力計(図示せず)および温度センサ21に接続された温度計(図示せず)を確認することにより、遮断弁19から下流側供給管路5B内に燃料ガスが多量(微量ではなく)に漏れているか否かを検知することができる。
表示部32は、燃料ガスの充填作業を行う作業者が視認し易い位置でディスペンサ筐体4Aに設けられている。この表示部32は、燃料ガスの充填作業に必要な情報表示等を行う。表示部32は、制御装置27により充填プロトコルに準拠した充填制御を行っているときに、例えば車両2の燃料タンク2Aに対する燃料ガスの充填状態等を表示して作業者に知らせる。また、表示部32は、制御装置27の漏洩判定部31が燃料ガスの漏れを検出した場合に「エラー表示」を行う。これにより、表示部32は、作業者に対して遮断弁19からガス供給管路5に燃料ガス漏れが生じていることを報知することができる。
本実施形態による燃料ガス充填装置1は、上述の如き構成を有するものであり、次に、制御装置27による燃料ガスのガス漏れ検知の制御処理について、図2、図3を参照して説明する。
まず、処理動作がスタートすると、ステップ1では、燃料ガス充填終了か否かを判定する。即ち、制御装置27は、充填ノズル13が燃料タンク2Aの接続口2Bから取り外されたか否かを検知することにより、ガス蓄圧器6から燃料タンク2Aへの燃料ガスの充填が終了したか否かを判断することができる。そして、ステップ1で「YES」、即ち燃料ガスの充填が終了したと判定された場合には、ステップ2に進む。一方、ステップ1で「NO」、即ち燃料ガスの充填中であると判定された場合には、燃料ガスの充填が終了するまで待機する。
ステップ2では、燃料ガス温度T1の取得を行う。即ち、制御装置27は、温度センサ21で検出された下流側供給管路5B内の燃料ガス温度T1を取得して、メモリ28に記憶し、次のステップ3に進む。
ステップ3では、所定時間経過したか否かを判定する。即ち、制御装置27は、燃料ガス温度T1の取得後に所定時間(例えば、1分間)を計測する。そして、ステップ3で「YES」、即ち所定時間経過したと判定された場合には、ステップ4に進む。一方、ステップ3で「NO」、即ち所定時間経過していないと判定された場合には、所定時間が経過するまで待機する。
ステップ4では、燃料ガス温度Tn(n=2,3,4…)の取得を行う。即ち、制御装置27は、再度、温度センサ21で検出された下流側供給管路5B内の温度(例えば、T2)を取得して、メモリ28に記憶する。この場合、温度Tnは、制御処理の1巡目にはn=2とすることにより、検出値T2としてメモリ28に記憶される。また、以降制御処理の2巡目、3巡目(後述のステップ5で「NO」)には、それぞれn=3,4とすることにより、温度T3,T4としてそれぞれメモリ28に記憶される。
次のステップ5では、今回検出された燃料ガス温度(例えば、T2)と前回検出された燃料ガス温度(例えば、T1)との差が所定値Ta(例えば、Ta=0.15℃〜0.3℃の範囲)以内(T2−T1≦Ta)にあるか否かを判定する。即ち、制御装置27の温度判定部29は、メモリ28に記憶された燃料ガス温度T2と前回燃料ガスの温度T1とを読込んで、両者の差が小さい(即ち、温度の変化量が小さい)ことを判定する。これにより、制御装置27は、下流側供給管路5B内の温度が安定したか否かを判断する。そして、ステップ5で「YES」、即ち今回検出された燃料ガスの温度と前回検出された燃料ガスの温度との差が所定値以内であると判定された場合には、下流側供給管路5B内の温度が安定したものと判断して、ステップ6に進む。
一方、ステップ5で「NO」、即ち今回検出された燃料ガスの温度と前回検出された燃料ガスの温度との差が所定値よりも大きいと判定された場合には、下流側供給管路5B内の温度が不安定であるものと判断して、ステップ3に戻る。この場合、所定時間経過後(ステップ3で「YES」)に再度、燃料ガス温度の取得(ステップ4)を行い、ステップ5に進むことになる。これにより、徐々に今回検出された燃料ガス温度(例えば、Tn+1)と前回検出された燃料ガス温度(例えば、Tn)との差が小さくなり、制御装置27は、下流側供給管路5B内の温度が均一状態、即ち安定したものと判断することができる。
なお、ステップ5で「NO」の場合には、遮断弁19から下流側供給管路5B内に多量の燃料ガスが漏れている場合も考えられる。この場合、圧力センサ20に接続された圧力計(図示せず)および温度センサ21に接続された温度計(図示せず)を確認することにより、遮断弁19からの燃料ガスの多量な漏れは検知することができる。即ち、燃料ガスの充填が終了した場合には、脱圧弁23が開弁することにより、下流側供給管路5B内の燃料ガスが放散ライン24に放出されて充填ノズル13の圧力が大気圧に減圧され、その後、脱圧弁23は閉弁する。従って、燃料ガスが多量に漏れている場合には、下流側供給管路5B内の温度が安定しないことに加えて、下流側供給管路5B内の圧力値が徐々に上昇することになる。
次のステップ6では、燃料ガス温度Tg1とガス供給管路5内の圧力P1とを取得する。即ち、制御装置27は、圧力センサ20により検出された下流側供給管路5B内の圧力P1と、温度センサ21により検出された下流側供給管路5B内の温度Tg1とを取得してメモリ28に記憶し、次のステップ7に進む。
ステップ7では、燃料ガスの質量G1の演算を行う。即ち、制御装置27の質量演算部30は、メモリ28に記憶された燃料ガス温度Tg1と圧力P1とを理想気体の状態方程式(PV=nRT)に代入してモル数nを算出することにより、下流側供給管路5B内の燃料ガスの質量G1を演算することができる。そして、質量演算部30は、燃料ガスの質量G1をメモリ28に記憶し、次のステップ8に進む。
ステップ8では、所定時間経過したか否かを判定する。即ち、制御装置27は、ガス漏れ監視のために、燃料ガスの質量G1の演算後に所定時間(例えば、1分間)を計測する。そして、ステップ8で「YES」、即ち所定時間経過したと判定された場合には、図3のステップ9に進む。一方、ステップ8で「NO」、即ち所定時間経過していないと判定された場合には、所定時間が経過するまで待機する。
次のステップ9では、燃料ガス温度Tg2とガス供給管路5内の圧力P2とを取得する。即ち、制御装置27は、再度、圧力センサ20により検出された下流側供給管路5B内の圧力P2と、温度センサ21により検出された下流側供給管路5B内の温度Tg2とを取得してメモリ28に記憶し、次のステップ10に進む。
ステップ10では、燃料ガスの質量G2の演算を行う。即ち、制御装置27の質量演算部30は、メモリ28に記憶された燃料ガス温度Tg2と圧力P2とを理想気体の状態方程式(PV=nRT)に代入してモル数nを算出することにより、下流側供給管路5B内の燃料ガスの質量G2を演算することができる。そして、質量演算部30は、燃料ガスの質量G2をメモリ28に記憶し、次のステップ11に進む。
ステップ11では、燃料ガスの質量G2と燃料ガスの質量G1との差(変化量)が所定値Gaよりも大きいか否かを判定する。即ち、制御装置27の漏洩判定部31は、メモリ28に記憶された燃料ガスの質量G2と燃料ガスの質量G1とを読込んで、ステップ10で演算された燃料ガスの質量G2とステップ7で演算された燃料ガスの質量G1との差が所定値Gaよりも大きい(G2−G1>Ga)か否かを判定する。
そして、ステップ11で「YES」、即ち燃料ガスの質量G2と燃料ガスの質量G1との差が所定値Gaよりも大きいと判定された場合には、ステップ12に進む。一方、ステップ11で「NO」、即ち燃料ガスの質量G2と燃料ガスの質量G1との差が所定値Ga以下であると判定された場合には、ステップ13に進む。
ステップ12では、表示部32でエラー表示を行う。即ち、制御装置27は、遮断弁19から下流側供給管路5B内に燃料ガスの漏れが発生していることを報知するために、表示部32に「エラー表示」を行い、エンド(制御処理の終了)とする。
ステップ13では、燃料ガスの質量演算は2巡目か否かを判定する。即ち、制御装置27は、下流側供給管路5B内の燃料ガス温度が安定して、燃料ガスの漏れ判定(即ち、ステップ11)を2回行ったか否かを判定する。制御装置27は、1巡目を検出したときに、例えばフラグを立ち上げる等の制御を行うことにより、燃料ガスの質量演算が2巡目か否かを判定することができる。
そして、ステップ13で「YES」、即ち燃料ガスの質量演算は2巡目であると判定された場合には、エンド(制御処理の終了)とする。即ち、本実施形態では、ステップ11で「NO」の判定が2回なされた場合に、遮断弁19からの燃料ガスの漏れが発生していないものとして、燃料ガス漏れ検知の制御処理を終了している。これにより、例えばディスペンサユニット4の長期間待機中に、何回も燃料ガス漏れ検知の制御処理を実行するのを抑制することができるので、電力の消費を低減することができる。
また、制御処理の終了後は、例えば燃料タンク2Aに燃料ガスの充填が開始されたことを検出することにより、新たに燃料ガス漏れ検知の制御処理がスタートする。一方、ステップ13で「NO」、即ち燃料ガスの質量演算は1巡目であると判定された場合には、図2のステップ3に戻り、2巡目の燃料ガス漏れ検知の制御処理が行われる。
かくして、第1の実施形態では、温度センサ21により検出された温度T2と先立って温度センサ21により検出された温度T1との差が所定値Ta以内(T2−T1≦Ta)であるか否かを判定することにより、下流側供給管路5B内の燃料ガス温度が安定したか否かを判断している。そして、制御装置27は、下流側供給管路5B内の燃料ガス温度が安定した状態で、下流側供給管路5B内の燃料ガスの質量を演算している。
これにより、遮断弁19から下流側供給管路5Bに燃料ガスが漏れているか否かを判定する漏洩判定の精度を向上することができ、ひいては遮断弁19から微量の燃料ガスが漏れているのを検知することができる。その結果、遮断弁19の交換作業等のメンテナンス作業を効率よく行うことができる。従って、例えば長期間の待機時間があった場合等に、遮断弁19よりも上流側の上流側供給管路5A内の圧力損失を抑制することができるので、車両2に燃料ガスを供給するときの充填効率が低下するのを抑制することができる。また、遮断弁19よりも下流側の下流側供給管路5B内の圧力上昇を抑制することができるので、長期間の待機時間があった場合等にも、充填ノズル13を接続口2Bに接続できなくなる事態を抑制することができる。
次に、図4、図5は、本発明の第2の実施形態を示すものである。第2の実施形態の特徴は、下流側供給管路5B内の燃料ガスの温度と外気温度との差が所定値以内にあるときに、下流側供給管路5B内が安定した状態となったと判断したことにある。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
また、第2の実施形態では、制御装置27のメモリ28に、図4、図5に示す燃料ガス漏れ検知の制御処理用のプログラム等が格納されている。
まず、処理動作がスタートすると、ステップ21では、図2中のステップ1と同様の制御処理が実行される。次のステップ22では、図2中のステップ3と同様の制御処理が実行される。ステップ23では、燃料ガス温度Tn(n=1,2,3…)の取得を行う。即ち、制御装置27は、温度センサ21で検出された下流側供給管路5B内の温度(例えば、T1)を取得して、メモリ28に記憶する。この場合、温度Tnは、制御処理の1巡目にはn=1とすることにより、検出値T1としてメモリ28に記憶される。また、以降制御処理の2巡目、3巡目(後述のステップ25で「NO」)には、それぞれn=2,3とすることにより、温度T2,T3としてそれぞれメモリ28に記憶される。
次のステップ24では、外気温度Toの取得を行う。即ち、制御装置27は、外気温センサ25で検出された外気温度Toを取得して、メモリ28に記憶し、次のステップ25に進む。
ステップ25では、外気温度Toと燃料ガス温度Tnとの差が所定値Tb以内にあるか否かを判定する。即ち、制御装置27の温度判定部29は、メモリ28に記憶された外気温度Toと燃料ガス温度Tnとを読込んで、両者の差が所定値Tb以内(例えば、Tb=1.0℃〜4.0℃、好ましくはTb=1.5〜2.5℃の範囲)であることを判定する。これにより、制御装置27は、下流側供給管路5B内の温度が安定したか否かを判断する。そして、ステップ25で「YES」、即ち外気温度Toと燃料ガス温度Tnとの差(変化量)が所定値Tb以内にあると判定された場合には、下流側供給管路5B内の温度が安定したものと判断して、ステップ26に進む。
一方、ステップ25で「NO」、即ち外気温度Toと燃料ガス温度Tnとの差(変化量)が所定値Tbよりも大きいと判定された場合には、下流側供給管路5B内の温度が不安定であるものと判断して、ステップ22に戻る。この場合、所定時間経過後(ステップ22で「YES」)に再度、燃料ガス温度の取得(ステップ23)を行い、ステップ25に進むことになる。これにより、徐々に燃料ガス温度Tnと外気温度Toとの差が小さくなり、制御装置27は、下流側供給管路5B内の温度が均一状態、即ち安定したものと判断することができる。
次のステップ26からステップ33までは、図2、図3中のステップ6からステップ13までと同様の制御処理が実行される。この場合、ステップ33で「NO」と判定された場合には、図4中のステップ22に戻り、2巡目の燃料ガス漏れ検知の制御処理が行われる。
かくして、第2の実施形態についても第1の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。第2の実施形態では、外気温度Toと燃料ガス温度Tnとの差が所定値Tb以内(To−Tn≦Tb)であるか否かを判定することにより、下流側供給管路5B内の燃料ガス温度が安定したか否かを判断している。そして、制御装置27は、下流側供給管路5B内の燃料ガス温度が安定した状態で、下流側供給管路5B内の燃料ガスの質量を演算している。
これにより、遮断弁19から下流側供給管路5Bに燃料ガスが漏れているか否かを判定する漏洩判定の精度を向上することができ、ひいては遮断弁19から微量の燃料ガスが漏れているのを検知することができる。その結果、遮断弁19の交換作業等のメンテナンス作業を効率よく行うことができる。従って、例えば長期間の待機時間があった場合等に、遮断弁19よりも上流側の上流側供給管路5A内の圧力損失を抑制することができるので、車両2に燃料ガスを供給するときの充填効率が低下するのを抑制することができる。また、遮断弁19よりも下流側の下流側供給管路5B内の圧力上昇を抑制することができるので、長期間の待機時間があった場合等にも、充填ノズル13を接続口2Bに確実に接続することができる。
次に、図6、図7は、本発明の第3の実施形態を示すものである。第3の実施形態の特徴は、温度センサ21により検出された温度と先立って温度センサ21により検出された温度との差が所定値以内であるか否かを判定した後に、さらに下流側供給管路5B内の燃料ガスの温度と外気温度との差が所定値以内にあるときに、下流側供給管路5B内が安定した状態となったと判断したことにある。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
また、第3の実施形態では、制御装置27のメモリ28に、図6、図7に示す燃料ガス漏れ検知の制御処理用のプログラム等が格納されている。
まず、処理動作がスタートすると、ステップ41からステップ45では、図2中のステップ1からステップ5と同様の制御処理が実行される。次のステップ46では、図4中のステップ24と同様の制御処理が実行される。
ステップ47では、前回燃料ガス温度、今回燃料ガス温度と外気温度とが所定値以内にあるか否かを判定する。即ち、制御装置27の温度判定部29は、メモリ28に記憶された各燃料ガス温度(例えば、T1,T2)と外気温度Toとを読込む。そして、温度判定部29は、外気温度Toと前回燃料ガス温度T1との差(変化量)が所定値Tb以内(例えば、Tb=1.0℃〜4.0℃、好ましくはTb=1.5℃〜2.5℃の範囲)、かつ外気温度Toと今回燃料ガス温度T2との差(変化量)が所定値Tb以内であることを判定する。これにより、制御装置27は、下流側供給管路5B内の温度が安定したか否かを判断する。
即ち、制御装置27は、ステップ45で今回燃料ガス温度T2と前回燃料ガス温度T1との差が所定値Ta以内(T2−T1≦Ta)にある場合に、さらにステップ47で外気温度Toと今回燃料ガス温度T2との差が所定値Tb以内(To−T2≦Tb)にあり、かつ外気温度Toと前回燃料ガス温度T1との差が所定値Tb以内(To−T1≦Tb)にある場合に、下流側供給管路5B内が安定した状態になったものと判断している。そして、ステップ47で「YES」、即ち外気温度Toと今回燃料ガス温度との差が所定値Tb以内にあり、かつ外気温度Toと前回燃料ガス温度との差が所定値Tb以内にある場合には、ステップ48に進む。
一方、ステップ47で「NO」、即ち外気温度Toと今回燃料ガス温度T2との差および外気温度Toと前回燃料ガス温度T1との差のうち少なくともいずれか一方が所定値Tb以内にない場合には、ステップ43に戻る。この場合、所定時間経過後(ステップ43で「YES」)に再度、燃料ガス温度T3の取得(ステップ44)を行い、ステップ45で今回燃料ガス温度T3と前回燃料ガス温度T2との差が所定値Ta以内にあるか否かを判定する。そして、ステップ47で再度、外気温度Toと今回燃料ガス温度T3との差が所定値Tb以内にあり、かつ外気温度Toと前回燃料ガス温度T2との差が所定値Tb以内にある場合に、制御装置27は、下流側供給管路5B内が安定した状態になったものと判断する。
次のステップ48からステップ55までは、図2、図3中のステップ6からステップ13までと同様の制御処理が実行される。この場合、ステップ55で「NO」と判定された場合には、図6中のステップ43に戻り、2巡目の燃料ガス漏れ検知の制御処理が行われる。
かくして、第3の実施形態についても第1の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。第3の実施形態では、今回燃料ガス温度T2と前回燃料ガス温度T1との差が所定値Ta以内(T2−T1≦Ta)にある場合に、さらにステップ47で外気温度Toと今回燃料ガス温度T2との差が所定値Tb以内(To−T2≦Tb)にあり、かつ外気温度Toと前回燃料ガス温度T1との差が所定値Tb以内(To−T1≦Tb)にある場合に、下流側供給管路5B内が安定した状態になったものと判断している。
これにより、下流側供給管路5B内が安定した状態になったか否かの精度をより向上させることができるので、遮断弁19から下流側供給管路5Bに燃料ガスが漏れているか否かを判定する漏洩判定の精度をさらに向上することができ、ひいては遮断弁19から微量の燃料ガスが漏れているのを検知することができる。その結果、遮断弁19の交換作業等のメンテナンス作業を効率よく行うことができる。従って、例えば長期間の待機時間があった場合等に、遮断弁19よりも上流側の上流側供給管路5A内の圧力損失を抑制することができるので、車両2に燃料ガスを供給するときの充填効率が低下するのを抑制することができる。また、遮断弁19よりも下流側の下流側供給管路5B内の圧力上昇を抑制することができるので、長期間の待機時間があった場合等にも、充填ノズル13を接続口2Bに確実に接続することができる。
なお、上述した第1の実施形態では、今回検出された燃料ガスの温度と前回検出された燃料ガスの温度との差が所定値以内にあるか否かを判定した後に、燃料ガスの質量を演算して燃料ガスの漏れ判定をした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば今回検出された燃料ガスの温度と前回検出された燃料ガスの温度との差が所定値以内にあるか否かを判定することなく、燃料ガスの質量を演算して燃料ガスの漏れ判定をしてもよい。この場合、例えば予め実験的に求められた下流側供給管路5B内の燃料ガス温度が安定するための所定時間経過後に、燃料ガスの質量を演算して燃料ガスの漏れ判定をしてもよい。
また、上述した第1の実施形態では、今回検出された燃料ガスの温度と前回検出された燃料ガスの温度との差(変化量)が所定値以内にあるか否かを判定することにより、下流側供給管路5B内の燃料ガス温度が安定したか否かを判定した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば今回検出された燃料ガスの温度と前回検出された燃料ガスの温度とから得られる温度変化率(変化量)が所定値以内にあるか否かを判定することにより、下流側供給管路5B内の燃料ガス温度が安定したか否かを判定してもよい。このことは、第2、第3の実施形態についても同様である。
また、上述した第1の実施形態では、今回演算された燃料ガスの質量と前回演算された燃料ガスの質量との差(変化量)が所定値以内にあるか否かを判定することにより、遮断弁19から下流側供給管路5Bに燃料ガスが漏れているか否かを判定した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば今回演算された燃料ガスの質量と前回演算された燃料ガスの質量とから得られる質量変化率(変化量)が所定値以内にあるか否かを判定することにより、遮断弁19から下流側供給管路5Bに燃料ガスが漏れているか否かを判定してもよい。このことは、第2、第3の実施形態についても同様である。
また、上述した第1の実施形態では、下流側供給管路5B内の燃料ガス温度が安定したと判定された後に、再度、燃料ガス温度Tg1を取得して燃料ガスの質量G1を演算した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば燃料ガス温度Tg1に代えて、下流側供給管路5B内の燃料ガス温度が安定したか否かを判定するときに取得した今回燃料ガス温度Tnを用いてもよい。このことは、第2、第3の実施形態についても同様である。
また、上述した第1の実施形態では、燃料ガス漏れ検知の制御処理を2巡目で終了した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば燃料ガス漏れ検知の制御処理を1巡目で終了させてもよいし、3巡以上させてもよい。このことは、第2、第3の実施形態についても同様である。
また、上述した第1の実施形態では、遮断弁19から燃料ガスの漏れが発生していると判定された場合に、表示部32を用いて「エラー表示」を行った場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば報知ランプ、警報ブザー、または音声合成装置等の報知手段を用いてもよい。このことは、第2、第3の実施形態についても同様である。
また、上述した第1の実施形態では、メモリ28、温度判定部29、質量演算部30、漏洩判定部31を燃料ガスの供給制御を行う制御装置27に設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば制御装置27とは異なる別の制御装置にメモリ、温度判定部、質量演算部、漏洩判定部を設けてもよい。このことは、第2、第3の実施形態についても同様である。
また、上述した第3の実施形態では、外気温度Toと今回燃料ガス温度T2との差が所定値Tb以内(To−T2≦Tb)にあり、かつ外気温度Toと前回燃料ガス温度T1との差が所定値Tb以内(To−T1≦Tb)にある場合に、下流側供給管路5B内が安定した状態になったものと判断した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば両者の内のいずれか一方のみを判定に用いてもよい。
即ち、外気温度Toと今回燃料ガス温度T2との差が所定値Tb以内(To−T2≦Tb)にある場合に下流側供給管路5B内が安定した状態になったものと判断してもよい。また、外気温度Toと前回燃料ガス温度T1との差が所定値Tb以内(To−T1≦Tb)にある場合に、下流側供給管路5B内が安定した状態になったものと判断してもよい。
さらに、前記実施形態では、燃料ガスとして水素ガスを用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、水素ガス以外のガス、例えばブタン,プロパン等のガスや圧縮天然ガス(CNG)を車両2の燃料タンク2Aに充填するための燃料ガス充填装置にも適用することができる。また、車両2の燃料タンク2Aに圧縮されたガスを充填する形態に限らず、他の被充填タンク(容器を含む)に圧縮されたガスを充填する際にも適用することができる。さらに、本燃料ガス充填装置1のディスペンサユニット4を、他の場所にガス給送するための管路の途中に設置してもよい。