以下に、本発明の実施の形態にかかる空気調和システムおよび空気調和システムの制御方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1にかかる空気調和システムについて説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和システムの構成例を概略的に示す図である。
図1において、空気調和システム100は、室外に設置される室外機3と、室内に設置される室内機4a,4b,…,4nと、室内に設置される換気装置5a,…,5mと、室内機用リモートコントローラ6a,6b,…,6nと、換気装置用リモートコントローラ7a,…,7mと、中央監視装置8とを備える。以下、室内機4a,4b,…,4nを単に室内機4という場合もあり、換気装置5a,…,5mを単に換気装置5という場合もあり、室内機用リモートコントローラ6a,6b,…,6nを単にリモコン6という場合もあり、換気装置用リモートコントローラ7a,…,7mを単にリモコン7という場合もある。室内機4および換気装置5は、室内機の一例である。
室外機3と室内機4とは冷媒の流れる方向を切り替える分岐ユニット9を介して冷媒配管1で接続されている。同様に、室外機3と換気装置5も分岐ユニット9を介して冷媒配管1で接続されている。室外機3、室内機4、換気装置5および中央監視装置8は、それぞれ互いに通信線2を介して接続されている。中央監視装置8は、通信線2を介して室外機3、室内機4および換気装置5を個別にまたは一括に操作したり、運転状態を監視したりすることができる。たとえば、中央監視装置8は、室内機4を運転または停止させるための指令、室内機4を暖房運転または冷房運転させるための指令、室内機4の風速を設定させるための指令、および室内機4を加湿運転させるための指令または加湿運転を停止させるための指令を室内機4に送出したり、室内機4および換気装置5が乾燥運転を実施しているかの状態を示す実施状態情報を受信したりすることができる。室外機3は、通信線2を介して室内機4および換気装置5が乾燥運転を実施しているかの状態を示す実施状態情報を受信することができる。
室内機4とリモコン6とは有線または無線を介して接続されている。リモコン6は、たとえば、ユーザからの室内機4の運転要求操作または停止要求操作、室内機4の暖房要求操作または冷房要求操作、室内機4の風速設定操作、および室内機4の加湿要求操作または加湿停止要求操作を受け付けることができるとともに、室内機4の運転状態を表示することができる。リモコン6は、室内機4を運転または停止させるための指令、室内機4を暖房運転または冷房運転させるための指令、室内機4の風速を設定させるための指令、および室内機4を加湿運転させるための指令または加湿運転を停止させるための指令を室内機4に送出することができる。同様に、換気装置5とリモコン7とは有線または無線を介して接続されている。同様に、リモコン7は、たとえば、ユーザからの換気装置5の運転要求操作または停止要求操作、換気装置5の暖房要求操作または冷房要求操作、換気装置5の換気風量の操作、および換気装置5の加湿要求操作または加湿停止要求操作を受け付けることができるとともに、換気装置5の運転状態を表示することができる。同様に、リモコン7は、換気装置5を運転または停止させるための指令、換気装置5を暖房運転または冷房運転させるための指令、換気装置5の換気風量を設定させるための指令、および換気装置5を加湿運転させるための指令または加湿運転を停止させるための指令を換気装置5に送出することができる。
室内機4は、リモコン6または中央監視装置8から送出された指令を、リモコン6から送出された指令については有線または無線を介して、中央監視装置8から送出された指令については通信線2を介して受け付けると、暖房運転または冷房運転といった運転設定情報、風速設定情報、温度設定情報、湿度設定情報、後述する加湿器13を乾燥させるための乾燥運転の実施状態情報、調温対象空間の温度情報、および調湿対象空間の湿度情報といった情報に基づいて、室外機3を制御するための指令を生成し、当該指令を通信線2を介して室外機3に送出する。同様に、換気装置5は、リモコン7または中央監視装置8から送出された指令を、リモコン6から送出された指令については有線または無線を介して、中央監視装置8から送出された指令については通信線2を介して受け付けると、暖房運転または冷房運転といった運転設定情報、換気風量設定情報、温度設定情報、湿度設定情報、後述する加湿器13を乾燥させるための乾燥運転の実施状態情報、調温対象空間の温度情報、および調湿対象空間の湿度情報といった情報に基づいて、室外機3を制御するための指令を生成し、通信線2を介して当該指令を室外機3に送出する。
室外機3は、室内機4および換気装置5のうちの少なくとも一方から送出された指令を、通信線2を介して受け付けると、当該指令に基づいて室外機3内の図示しない圧縮機を制御し、室内機4および換気装置5のうちの少なくとも一方へ冷媒配管1および分岐ユニット9を介して供給する冷媒の温度または流量を制御する。
図2は、図1における室内機4の構成例を概略的に示す図である。
図2において、室内機4は、送風機11と、空調コイル12と、加湿器13と、温度センサ14と、制御装置20とを備える。
送風機11は、室内から空気15を吸い込み、吸い込んだ空気15を空調コイル12および加湿器13を通過させて室内に供給するように空気15を循環させる。空調コイル12は、冷媒配管1および分岐ユニット9を介して室外機3と接続されている。空調コイル12は、室外機3から冷媒配管1および分岐ユニット9を介して供給された冷媒を用いて、空気15を加熱または冷却する。以下の説明で、空気を加熱または冷却させることを調温するともいう。空調コイル12に接続される冷媒配管1には、冷媒流量を調節するための膨張弁22が設けられている。加湿器13は、給水配管24を介して給水口23と接続されている。加湿器13は、給水口23から給水配管24を介して供給された水を用いて、空調コイル12で温調された空気15を加湿する。加湿器13に接続される給水配管24には、給水流量を調節するための給水弁21が設けられている。
空調コイル12および加湿器13が配置された加湿風路部19は、上下方向に配置された加湿風路上部17と加湿風路下部18とによって構成されている。加湿風路上部17は、発泡樹脂で空調コイル12および加湿器13を覆う。加湿風路下部18は発泡樹脂製のドレン皿16を備える。加湿風路下部18は、ドレン皿16の水受け表面にプラスチック材が同時に成形され、発砲樹脂への浸水を防いだ構造体である。加湿風路上部17と加湿風路下部18とは、上下方向で嵌め合い構造となっており、一体となって加湿風路部19を形成する。
温度センサ14は、送風機11によって吸い込んだ空気15の温度を、空調コイル12よりも上流側で測定する。制御装置20は、室内機4の全体の動作を制御する。
図3は、図2における制御装置20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、制御装置20は、電源回路31と、送風機駆動回路32と、給水弁駆動回路33と、膨張弁駆動回路34と、センサ検知回路35と、機能設定回路36と、リモコン通信回路37と、冷媒系通信回路38と、マイクロコンピュータ39とを備える。
電源回路31は、商用電源30に接続されている。電源回路31は、制御装置20のハードウェアを駆動するための電源を生成し、電力が送風機駆動回路32、給水弁駆動回路33、膨張弁駆動回路34、センサ検知回路35、機能設定回路36、リモコン通信回路37、冷媒系通信回路38およびマイクロコンピュータ39のそれぞれへ供給されるが、図3において接続線の図示は省略している。
送風機駆動回路32は、送風機11に接続されている。送風機駆動回路32は、マイクロコンピュータ39からの指令に基づいて、送風機11の送風能力を多段階制御することができる。たとえば、送風機駆動回路32は、送風機11の送風能力を弱、中および強の3段階に切り替えることができる。
給水弁駆動回路33は、給水弁21に接続されている。給水弁駆動回路33は、マイクロコンピュータ39からの指令に基づいて、給水弁21を開状態または閉状態に制御することができ、給水弁21の開状態の度合いを制御することもできる。
膨張弁駆動回路34は、膨張弁22に接続されている。膨張弁駆動回路34は、マイクロコンピュータ39からの指令に基づいて、膨張弁22を開状態または閉状態に制御することができ、膨張弁22の開状態の度合いを制御することもできる。
センサ検知回路35は、温度センサ14に接続されている。センサ検知回路35は、温度センサ14による測定結果である温度情報をマイクロコンピュータ39に送出することができる。機能設定回路36は、たとえば加湿器13の乾燥運転の設定情報をマイクロコンピュータ39に送出することができる。
リモコン通信回路37は、リモコン6に接続されている。リモコン通信回路37は、リモコン6から受け付けた、たとえば室内機4を運転または停止させるための指令、室内機4を暖房運転または冷房運転させるための指令、室内機4の風速を設定させるための指定、および室内機4を加湿運転させるための指令または加湿運転を停止させるための指令をマイクロコンピュータ39に送出することができる。
リモコン通信回路37は、マイクロコンピュータ39が持っている、たとえば室内機4が運転または停止しているかの状態、室内機4が暖房運転または冷房運転しているかの状態、室内機4が動作している風速の状態、室内機4が加湿運転を実施または停止しているかの状態、および温度センサ14によって計測された温度といった情報をリモコン6へ送出することができる。
冷媒系通信回路38は、通信線2を介して室外機3、他の室内機4、換気装置5および中央監視装置8に接続されている。冷媒系通信回路38は、通信線2を介して、たとえば室内機4を運転または停止させるための指令、室内機4を暖房運転または冷房運転させるための指令、室内機4の風速を設定させるための指定、および室内機4を加湿運転させるための指令または加湿運転を停止させるための指令を受信することができる。
冷媒系通信回路38は、マイクロコンピュータ39が持っている、たとえば室内機4が運転または停止しているかの状態、室内機4が暖房運転または冷房運転しているかの状態、室内機4が動作している風速の状態、室内機4が加湿運転を実施または停止しているかの状態、加湿器13を乾燥させるための乾燥運転の実施状態、および温度センサ14によって計測された温度といった情報を通信線2を介して送出することができる。
室内機4が備える加湿器13は、室内機4の加湿運転の後に、室内機4を停止しても水分を含んだままの状態となる。また水の蒸発によって室内機4の本体内部が湿潤状態になりやすい。このような湿潤状態で室内機4を放置すると、加湿器13の劣化が進む可能性があるため、加湿器13を乾燥させる必要がある。
本発明の実施の形態1にかかる空気調和システム100における室内機4では、後述する図5の空調処理および図6の乾燥運転処理を実行することにより、室内機4の加湿運転の後に、乾燥運転を実行して、加湿器13を乾燥させる。
図4は、図1における室内機の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4において、室内機4は、制御部110と、通信部111と、測定部112とを備える。制御部110は、駆動指令出力部114と、運転状態判別部115と、第1の送信部116とを備える。
通信部111は、リモコン通信回路37または冷媒系通信回路38を介してリモコン6、室外機3、室内機4、換気装置5または中央監視装置8と指令および情報といったデータを送受信する。
測定部112は、センサ検知回路35を介して、温度センサ14の温度情報を計測する。
駆動指令出力部114は、加湿器13の乾燥運転のための駆動指令の出力を行う。運転状態判別部115は、室外機3から室外機3の運転状態を示す運転状態情報を取得して、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っているか否かを判別する。運転状態情報は、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転をしている状態または室外機3が冷房のための冷媒を供給する運転をしている状態といった室外機3の運転状態を示す情報である。運転状態判別部115による判別の結果、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っているときは、駆動指令出力部114は、乾燥運転中に膨張弁22を開状態にさせる指令を出力する。第1の送信部116は、膨張弁22を開状態にして加湿器13を乾燥させる乾燥運転を実行している旨の情報を室外機3に送信する。
次に、図1における室内機が実行する空調処理について説明する。図5は、図1における室内機4の制御部110が実行する空調処理のフローチャートである。
図5において、まず、室内機4の制御部110は、リモコン6または中央監視装置8から室内機4を運転させるための指令を受信したか否かを判別する(ステップS01)。
ステップS01での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を停止させるための指令を受信したときは(ステップS01でNo)、室内機4の制御部110は後述する図6の乾燥運転処理を実行する(ステップS28)。
ステップS01での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を運転させるための指令を受信したときは(ステップS01でYes)、室内機4の制御部110はリモコン6または中央監視装置8から室内機4を暖房運転させるための指令を受信したか否かを判別する(ステップS10)。
ステップS10での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を暖房運転させるための指令を受信したときは(ステップS10でYes)、室内機4の制御部110はリモコン6または中央監視装置8から室内機4を加湿運転させるための指令を受信したか否かを判別する(ステップS11)。
ステップS11での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を加湿運転させるための指令を受信していないときは(ステップS11でNo)、室内機4の制御部110は暖房運転の設定温度と、温度センサ14によって測定された空気15の温度とを比較して、暖房運転の設定温度が空気15の温度以上であるか否かを判別する(ステップS15)。
ステップS15での判別の結果、暖房運転の設定温度が空気15の温度以上であるときは(ステップS15でYes)、室内機4の制御部110は暖房のための冷媒の供給要求を室外機3に送信する(ステップS18)。暖房のための冷媒は、空調コイル12に供給されて空気15を加熱させるための冷媒である。
次いで、室内機4の制御部110は、暖房運転のための駆動指令の出力を行う(ステップS19)。たとえば、室内機4の制御部110は、送風機11を運転させるための送風機駆動回路32への駆動指令の出力と、給水弁21を閉状態に制御するための給水弁駆動回路33への駆動指令の出力と、膨張弁22を開状態に制御するための膨張弁駆動回路34への駆動指令の出力とを行う。これにより、室内機4の暖房運転が実行される。
ステップS15での判別の結果、暖房運転の設定温度が空気15の温度以上でないときは(ステップS15でNo)、室内機4の制御部110は暖房のための冷媒の供給停止要求を室外機3に送信する(ステップS16)。
次いで、室内機4の制御部110は、暖房運転を停止させるための駆動指令の出力を行う(ステップS17)。たとえば、室内機4の制御部110は、送風機11を停止させるための送風機駆動回路32への駆動指令の出力と、給水弁21を閉状態に制御するための給水弁駆動回路33への駆動指令の出力と、膨張弁22を閉状態に制御するための膨張弁駆動回路34への駆動指令の出力とを行う。これにより、室内機4の暖房運転が停止する。
ステップS11での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を加湿運転させるための指令を受信したときは(ステップS11でYes)、室内機4の制御部110は加湿のための冷媒の供給要求を室外機3に送信する(ステップS12)。空気調和システム100では、室内機4または換気装置5による室内の加湿を効果的に実行するために、室外機3は室内機4または換気装置5から加湿のための冷媒の供給要求を受け付けたときは、室内機4または換気装置5の暖房運転の際に供給する冷媒と同様の冷媒を生成して室内機4または換気装置5に供給する。すなわち、加湿のための冷媒は、空調コイル12に供給されて空気15を加熱させるための冷媒である。
次いで、室内機4の制御部110は、加湿運転のための駆動指令の出力を行う(ステップS13)。たとえば、室内機4の制御部110は、送風機11を運転させるための送風機駆動回路32への駆動指令の出力と、給水弁21を開状態に制御するための給水弁駆動回路33への駆動指令の出力と、膨張弁22を開状態に制御するための膨張弁駆動回路34への駆動指令の出力とを行う。これにより、室内機4の加湿運転が実行される。
ステップS13において、給水弁21を開状態にしたことにより、加湿器13が湿潤状態となったため、乾燥運転を実施する必要がある。そこで、室内機4の制御部110は乾燥運転が必要か否かを管理するための乾燥運転要求フラグをセットする(ステップS14)。乾燥運転要求フラグをセットするというのは、乾燥運転要求フラグを乾燥運転が必要であることを示す値にセットするということである。
ステップS10での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を暖房運転させるための指令を受信していないときは(ステップS10でNo)、室内機4の制御部110はリモコン6または中央監視装置8から室内機4を冷房運転させるための指令を受信したか否かを判別する(ステップS20)。
ステップS20での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を冷房運転させるための指令を受信したときは(ステップS20でYes)、室内機4の制御部110は冷房運転の設定温度と、温度センサ14によって測定された空気15の温度とを比較して、冷房運転の設定温度が空気15の温度以下であるか否かを判別する(ステップS21)。
ステップS21での判別の結果、冷房運転の設定温度が空気15の温度以下であるときは(ステップS21でYes)、室内機4の制御部110は冷房のための冷媒の供給要求を室外機3に送信する(ステップS24)。冷房のための冷媒は、空調コイル12に供給されて空気15を冷却するための冷媒である。
次いで、室内機4の制御部110は、冷房運転のための駆動指令の出力を行う(ステップS25)。たとえば、室内機4の制御部110は、送風機11を運転させるための送風機駆動回路32への駆動指令の出力と、給水弁21を閉状態に制御するための給水弁駆動回路33への駆動指令の出力と、膨張弁22を開状態に制御するための膨張弁駆動回路34への駆動指令の出力とを行う。これにより、室内機4の冷房運転が実行される。
ステップS21での判別の結果、冷房運転の設定温度が空気15の温度以下でないときは(ステップS21でNo)、室内機4の制御部110は冷房のための冷媒の供給停止要求を室外機3に送信する(ステップS22)。
次いで、室内機4の制御部110は、冷房運転を停止させるための駆動指令の出力を行う(ステップS23)。たとえば、室内機4の制御部110は、送風機11を停止させるための送風機駆動回路32への駆動指令の出力と、給水弁21を閉状態に制御するための給水弁駆動回路33への駆動指令の出力と、膨張弁22を閉状態に制御するための膨張弁駆動回路34への駆動指令の出力とを行う。これにより、室内機4の冷房運転が停止する。
ステップS20での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を冷房運転させるための指令を受信していないときは(ステップS20でNo)、室内機4の制御部110はリモコン6または中央監視装置8から室内機4を送風運転させるための指令を受信したと判断し、室内機4の制御部110は冷媒の供給停止要求を室外機3に送信する(ステップS26)。
次いで、室内機4の制御部110は、送風運転のための駆動指令の出力を行う(ステップS27)。たとえば、室内機4の制御部110は、送風機11を運転させるための送風機駆動回路32への駆動指令の出力と、給水弁21を閉状態に制御するための給水弁駆動回路33への駆動指令の出力と、膨張弁22を閉状態に制御するための膨張弁駆動回路34への駆動指令の出力とを行う。これにより、室内機4の送風運転が実行される。
ステップS14、ステップS17、ステップS19、ステップS23、ステップS25またはステップS27の後に、室内機4の制御部110は後述する図6の乾燥運転処理を実行する(ステップS28)。ステップS28の後に、ステップS01に戻り、室内機4の制御部110は本処理を繰り返す。
次に、図1における室内機4が実行する乾燥運転処理について説明する。図6は、図1における室内機4の制御部110が実行する乾燥運転処理のフローチャートである。
図6において、まず、室内機4の制御部110は、乾燥運転が必要か否かを判別するために、乾燥運転要求フラグがセットされているか否か、および給水弁21が閉状態か否かを判別する(ステップS31)。
ステップS31での判別の結果、乾燥運転が必要なとき、すなわち乾燥運転要求フラグがセットされていて、かつ給水弁21が閉状態のときは(ステップS31でYes)、室内機4の制御部110は乾燥運転経過時間のカウントを行う(ステップS32)。乾燥運転経過時間のカウントは、一定間隔、たとえば1分間隔毎に、送風機11および膨張弁22の状態に応じたカウント値を積算することで行う。
図8は、送風機11および膨張弁22の状態に応じたカウント値、および室内機4が乾燥運転を開始してから加湿器13が乾燥するまでに必要な乾燥運転時間の一例を説明するための図である。カウント値は、送風機11および膨張弁22の状態が変化した場合でも、乾燥運転の経過時間を求められるようにするための値であり、最も乾燥しにくい条件での乾燥運転時間を基準単位として、下記式により設定される。
カウント値 = 最大の乾燥運転時間(9時間) ÷ 各条件で必要な乾燥運転時間
たとえば、送風機11の送風能力が強、膨張弁22が開状態のときは、加湿器13が乾燥するまでに必要となる時間は1時間であり、カウント値は9となる。
カウント値を用いた乾燥運転経過時間のカウントの一例を以下に示す。たとえば、最初の40分間は、送風機11の送風能力が強、膨張弁22が開状態、すなわちカウント値を+9とする。その後の60分間は、送風機11の送風能力が強、膨張弁22が閉状態、すなわちカウント値が+3になったとする。この合計100分間での乾燥運転経過時間は、
40分×9 + 60分×3 = 540分
となり、送風機11の送風能力を弱、膨張弁22を閉状態として、540分間だけ乾燥運転を行った場合と同じ結果となる。このようにして、送風機11および膨張弁22の状態に応じて、乾燥運転経過時間をカウントする。
次いで、室内機4の制御部110は、ステップS32でカウントした乾燥運転経過時間が、加湿器13が乾燥するまでに必要な乾燥運転時間の閾値を超えたか否かを判別して、加湿器13が乾燥するまでに必要な乾燥運転時間が経過したか否かを判別する(ステップ33)。本実施の形態では、加湿器13が乾燥するまでに必要な乾燥運転時間の閾値は、図8の各条件での乾燥運転時間のうち、最長の時間、すなわち9時間となる。よって、ステップS33では、乾燥運転経過時間が9時間を超えたか否かを判別する。
ステップS33での判別の結果、加湿器13が乾燥するまでに必要な乾燥運転時間が経過したときは(ステップS33でYes)、室内機4の制御部110は乾燥運転を終了するために、乾燥運転要求フラグ、および乾燥運転経過時間をクリアする(ステップS34)。乾燥運転要求フラグをクリアするというのは、乾燥運転要求フラグを乾燥運転が不要であることを示す値にセットするということである。
ステップS33での判別の結果、加湿器13が乾燥するまでに必要な乾燥運転時間が経過していないときは(ステップS33でNo)、室内機4の制御部110は乾燥運転を終了させないために、乾燥運転要求フラグ、および乾燥運転経過時間をクリアしない。
ステップS31での判別の結果、乾燥運転が不要なとき、すなわち乾燥運転要求フラグがクリアされているとき、あるいは加湿運転を実施しているとき、すなわち給水弁21が開状態のときは(ステップS31でNo)、室内機4の制御部110は乾燥運転経過時間のカウントは行わずに、乾燥運転経過時間をクリアする(ステップS35)。
次いで、室内機4の制御部110は、リモコン6または中央監視装置8から室内機4を運転させるための指令を受信したか否かを判別する(ステップS40)。
ステップS40での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を運転させるための指令を受信していないときは(ステップS40でNo)、室内機4の制御部110は乾燥運転が必要か否かを判別するために、乾燥運転要求フラグがセットされているか否かを判別する(ステップS41)。
ステップS41での判別の結果、乾燥運転が必要なとき、すなわち乾燥運転要求フラグがセットされているときは(ステップS41でYes)、室内機4の制御部110は乾燥のための冷媒の供給要求を室外機3に送信する(ステップS42)。乾燥のための冷媒は、空調コイル12に供給されて空気15を加熱させるための冷媒である。
ステップS42において、乾燥運転要求、すなわち乾燥のための冷媒の供給要求を受信した室外機3は、室内機4の乾燥運転により、暖房負荷が増加するため、室外機3内の図示しない圧縮機を制御し、室内機4または換気装置5、または室内機4および換気装置5へ冷媒配管1および分岐ユニット9を介して供給する冷媒の温度または流量を調整する。
次いで、室内機4の制御部110は、室外機3から室外機3の運転状態を示す情報を取得して、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っているか否かを判別する(ステップS43)。空気調和システム100では、室外機3が複数の室内機4および複数の換気装置5に冷媒の供給を行う。このため、室外機3は、少なくとも1つの室内機4または換気装置5から暖房または加湿のための冷媒の供給要求を受け付けたときは、暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行う。室外機3は、すべての室内機4およびすべての換気装置5から暖房または加湿のための冷媒の供給要求を受け付けることなく、少なくとも1つの室内機4または換気装置5から冷房のための冷媒の供給要求を受け付けたときは、冷房のための冷媒を供給する運転を行う。室外機3は、すべての室内機4およびすべての換気装置5から室外機3の運転停止要求、または乾燥運転要求を受け付けたときは、運転を停止する。
ステップS43での判別の結果、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っているときは(ステップS43でYes)、室内機4の制御部110は膨張弁22を開状態にして行う乾燥運転(以下、当該乾燥運転を「乾燥運転(加速)」という。)のための駆動指令の出力を行う(ステップS44)。たとえば、室内機4の制御部110は、送風機11を運転させるための送風機駆動回路32への駆動指令の出力と、給水弁21を閉状態に制御するための給水弁駆動回路33への駆動指令の出力と、膨張弁22を開状態に制御するための膨張弁駆動回路34への駆動指令の出力とを行う。これにより、室内機4の乾燥運転(加速)が実行される。
ステップS43での判別の結果、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っていないとき、すなわち室外機3が冷房のための冷媒を供給する運転を行っているとき、または室外機3が運転を停止しているときは(ステップS43でNo)、室内機4の制御部110は膨張弁22を閉状態にして行う乾燥運転(以下、当該乾燥運転を「乾燥運転(通常)」という。)のための駆動指令の出力を行う(ステップS45)。たとえば、室内機4の制御部110は、送風機11を運転させるための送風機駆動回路32への駆動指令の出力と、給水弁21を閉状態に制御するための給水弁駆動回路33への駆動指令の出力と、膨張弁22を閉状態に制御するための膨張弁駆動回路34への駆動指令の出力とを行う。これにより、室内機4の乾燥運転(通常)が実行される。
ステップS41での判別の結果、乾燥運転が不要なとき、すなわち乾燥運転要求フラグがクリアされているときは(ステップS41でNo)、室内機4の制御部110は冷媒の供給停止要求を室外機3に送信する(ステップS46)。
次いで、室内機4の制御部110は、運転停止のための駆動指令の出力を行う(ステップS47)。たとえば、室内機4の制御部110は、送風機11を停止させるための送風機駆動回路32への駆動指令の出力と、給水弁21を閉状態に制御するための給水弁駆動回路33への駆動指令の出力と、膨張弁22を閉状態に制御するための膨張弁駆動回路34への駆動指令の出力とを行う。これにより、室内機4は運転を停止する。
ステップS40での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を運転させるための指令を受信したとき(ステップS40でYes)、ステップS44、ステップS45またはステップS47の後に、室内機4の制御部110は本処理を終了する。図7は、上述した室内機4の各運転状態における駆動指令出力部114による駆動指令の出力の一例を説明するための図である。
図5の空調処理および図6の乾燥運転処理によれば、室内機4の加湿運転の後の乾燥運転において、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っているときは、膨張弁22が開状態となる。その結果、室外機3から室内機4に暖房または加湿のための冷媒が供給される。これにより、乾燥運転において空調コイル12によって加熱された空気15を加湿器13に供給することができるため、加熱された空気15を加湿器13に供給しない場合と比較して加湿器13を乾燥させるために必要な時間を短縮することができる。室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っている場合は、室内機4へ暖房または加湿のための冷媒を供給することにより膨張弁22が閉状態の場合と比較して室外機3の負荷が増加しても室外機3の電力消費量の増加は僅かである。乾燥運転において送風機11の運転時間を短縮することができることによる室内機4の電力消費量の削減量は室外機3の電力消費量の増加量と比較して多くなるため、空気調和システム100全体での電力消費量は少なくなり、乾燥運転による電力の消費を削減することができる。
室内機4の制御部110は、ステップS15において、暖房運転の設定温度と、温度センサ14によって測定された空気15の温度とを比較して、暖房運転を実施するか暖房停止運転を実施するかを決定していた。室内機4の制御部110は、ステップS21にて、冷房運転の設定温度と、温度センサ14によって測定された空気15の温度とを比較して、冷房運転を実施するか冷房停止運転を実施するかを決定していた。室内機4の制御部110は、ステップS15およびステップS21において、温度センサ14によって測定された空気15の温度ではなく、リモコン6に搭載された図示しない温度センサによって検知された空調対象空間の室内温度を通信で取得し、または空気調和システム100内の他の室内機4、換気装置5または中央監視装置8が保有する空調対象空間の室内温度を、通信線2を介して取得して、暖房運転または冷房運転の設定温度と比較するようにしてもよい。
換気装置5では、リモコン7に搭載された図示しない温度センサによって検知された空調対象空間の室内温度を通信で取得し、または空気調和システム100内の他の室内機4、換気装置5または中央監視装置8が保有する空調対象空間の室内温度を、通信線2を介して取得して、暖房運転または冷房運転の設定温度と比較するようにしてもよい。換気装置5では、換気装置5が別途備える室外温度を計測するための図示しない温度センサによって検知された室外温度を取得し、または空気調和システム100内の他の換気装置5、室外機3または中央監視装置8が保有する外気温度を、通信線2を介して取得して、暖房運転または冷房運転の設定温度と比較するようにしてもよい。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2にかかる空気調和システムについて説明する。本発明の実施の形態2にかかる空気調和システムは、室内機4の制御部110が第1の成績係数判別部117を備え、室内機4が図6の乾燥運転処理に代えて図10の乾燥運転処理を実行する点が、上述した実施の形態1と異なり、重複した構成および作用については説明を省略し、以下に異なる構成および作用についての説明を行う。
図9は、本発明の実施の形態2にかかる空気調和システムの室内機の機能構成の一例を示すブロック図である。
図9において、室内機4の制御部110は、第1の成績係数判別部117を備える。
第1の成績係数判別部117は、室外機3から室外機3の負荷状況を示す負荷状況情報を取得して、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数が第1の領域内にあるか否かを判別する。室内機4が膨張弁22を閉状態にして加湿器13を乾燥させたときの室内機4の消費電力と、室内機4が膨張弁22を開状態にして加湿器13を乾燥させたときの室内機4の消費電力との差分は、室内機4の消費電力削減量である。第1の領域は、室内機4の消費電力削減量と、室外機3の負荷が増加することによる室外機3の消費電力増加量との間に、
室内機の消費電力削減量 > 室外機の消費電力増加量
との関係が成立する領域および室外機3の負荷が現在の負荷より増加すると成績係数が向上する領域である。
運転状態判別部115による判別の結果、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っているとき、かつ第1の成績係数判別部117による判別の結果、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数が第1の領域内にあるときは、駆動指令出力部114は、室外機3が他の室内機4に供給している冷媒を室内機4に供給するように、膨張弁22を開状態にするための駆動指令の出力を行う。
図10は、本発明の実施の形態2にかかる空気調和システムの室内機が実行する乾燥運転処理のフローチャートである。ステップS50以外は図6の乾燥運転処理と同様であるため、ステップS50以外の説明は省略する。
図10において、ステップS43での判別の結果、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っているときは(ステップS43でYes)、室内機4の第1の成績係数判別部117は、室外機3から室外機3の負荷状況を示す情報を取得して、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数(COP:Coefficient Of Performance)が図11に示す領域1または領域2の範囲内にあるか否かを判別する(ステップS50)。
図11は、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の成績係数(COP)を説明するための図である。図11に示すように、暖房COPは暖房負荷に応じて変化し、低負荷時において暖房COPは低くなる。暖房COPは、以下の数式(1)で算出される。
暖房COP=暖房能力÷暖房消費電力 …(1)
図11において、領域1は、室外機3の成績係数(COP)が一定値C1以上となる領域を示している。室内機4が膨張弁22を閉状態にして加湿器13を乾燥させたときの室内機4の消費電力と、室内機4が膨張弁22を開状態にして加湿器13を乾燥させたときの室内機4の消費電力との差分は、室内機4の消費電力削減量である。領域1は、室内機4の消費電力削減量と、室外機3の負荷が増加することによる室外機3の消費電力増加量との間に、
室内機4の消費電力削減量 > 室外機3の消費電力増加量
との関係が成立する領域であり、空気調和システム100全体での電力消費量を削減できる領域である。
図12は、室内機4の消費電力削減量を説明するための図である。図12に示すように、乾燥運転において送風機11の送風能力を強とし、膨張弁22を閉状態にしたときの室内機4の消費電力量は、加湿器13が乾燥するまでに3時間を要するため、
送風機11の消費電力1.5kW×3時間=4.5kWh
となる。乾燥運転において送風機11の送風能力を強とし、膨張弁22を開状態にしたときの室内機4の消費電力量は、加湿器13が乾燥するまでに1時間を要するため、
送風機11の消費電力1.5kW×1時間=1.5kWh
となる。よって、室内機4の消費電力削減量は、
4.5kWh−1.5kWh=3.0kWh
となる。
図13は、図11における領域2を拡大した図である。領域2は成績係数がC1よりも低い領域であるが、室内機4が膨張弁22を開状態にすることで暖房負荷が増加し、それに伴い成績係数が向上する領域である。成績係数が向上することで、室外機3の消費電力量が抑制でき、成績係数がC1未満でも空気調和システム100全体での消費電力量を削減することができる。たとえば、室外機3の負荷R2を10kWとし、成績係数C2を2.5とすると、室外機3の消費電力は、
10kW÷2.5=4kW
となる。室内機4の乾燥運転において膨張弁22を開状態にした場合、室外機3の暖房負荷の増加量は1kWであるため、R3は11kWとなり、成績係数C3を2.6とすると、室外機3の消費電力は、
11kW÷2.6=4.23kW
となる。よって、室外機3の消費電力量の増加量は、
(4.23kW−4.00kW)×乾燥運転時間1時間=0.23kWh
となる。室内機4の乾燥運転において膨張弁22を開状態にしたときの消費電力量の削減量は3.0kWhであるため、
3.0kWh−0.23kWh=2.77kWh
だけ消費電力を削減することができる。
図10に戻り、ステップS50での判別の結果、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数(COP)が領域1または領域2の範囲内にあるときは(ステップS50でYes)、ステップS44の処理に進む。これにより、室内機4の乾燥運転(加速)が実行される。
ステップS50での判別の結果、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数(COP)が領域1または領域2の範囲内にないときは(ステップS50でNo)、ステップS45の処理に進む。これにより、室内機4の乾燥運転(通常)が実行される。図14は、室内機4の乾燥運転時の駆動指令出力部114による駆動指令の出力を説明するための図である。図14に示すように、室内機4の乾燥運転時における膨張弁22は、室外機3の運転状態が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転であり、かつ室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数(COP)が領域1または領域2の範囲内にあるときに、開状態となる。
図10の乾燥運転処理によれば、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っているときであって、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数(COP)が領域1または領域2の範囲内にあるときに、室内機4の膨張弁22を開状態にして乾燥運転が行われる。これにより、室内機4の乾燥運転において室外機3および室内機4全体での消費電力が削減できるときに、室内機4の膨張弁22を開状態にして乾燥運転を行うことができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3にかかる空気調和システムについて説明する。本発明の実施の形態3にかかる空気調和システムは、室内機4の制御部110が第1の送信部116を備えておらず第2の成績係数判別部118および第2の送信部119を備えており、室内機が図10の乾燥運転処理に代えて図16の乾燥運転処理を実行する点が、上述した実施の形態2と異なり、重複した構成および作用については説明を省略し、以下に異なる構成および作用についての説明を行う。
図15は、本発明の実施の形態3にかかる空気調和システムの室内機の機能構成の一例を示すブロック図である。
図15において、室内機4の制御部110は、第2の成績係数判別部118と、第2の送信部119とを備える。
第2の成績係数判別部118は、室外機3から室外機3の負荷状況を示す負荷状況情報を取得して、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数が第2の領域内にあるか否かを判別する。室内機4が膨張弁22を開状態にして加湿器13を乾燥させたときの室内機4の消費電力と、室内機4が膨張弁22の開状態の度合いを調整して加湿器13を乾燥させたときの室内機4の消費電力との差分は、室内機4の消費電力増加量である。第2の領域は、室内機4の消費電力増加量と、室外機3の負荷が変化することによる室外機3の消費電力削減量との間に、
室外機3の消費電力削減量 > 室内機4の消費電力増加量
との関係が成立する領域である。
運転状態判別部115による判別の結果、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っているとき、かつ第1の成績係数判別部117による判別の結果、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数が第1の領域内にあるとき、かつ第2の成績係数判別部118による判別の結果、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数が第2の領域内にあるときは、駆動指令出力部114は、室外機3が他の室内機4に供給している冷媒を室内機4に供給するように、膨張弁22の開状態の度合いを調整するための駆動指令の出力を行う。
第2の送信部119は、膨張弁22を開状態にして、または膨張弁22の開状態の度合いを調整して加湿器13を乾燥させる乾燥運転を実行している旨の情報を室外機3に送信する。
図16は、本発明の実施の形態3にかかる空気調和システムの室内機が実行する乾燥運転処理のフローチャートである。ステップS51およびステップS52以外は図10の乾燥運転処理と同様であるため、ステップS51およびステップS52以外の説明は省略する。
図16において、ステップS50での判別の結果、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数(COP)が領域1または領域2の範囲内にあるときは(ステップS50でYes)、室内機4の第2の成績係数判別部118は、膨張弁22の開状態の度合いを調整する必要があるか否かを判別する(ステップS51)。たとえば、室内機4の第2の成績係数判別部118は、室外機3から室外機3の負荷状況を示す情報を取得して、室外機3の暖房または加湿のための冷媒を供給する運転の現在の成績係数(COP)が図17に示すC6付近の領域内にあるか否かを判別する。
図17は、図11における領域1を拡大した図である。室外機3を暖房負荷R4で運転しており、そのときの暖房負荷を50kW、成績係数C4を3.9とすると、室外機3の消費電力は、
50kW÷3.9=12.8kW
となる。室内機4の乾燥運転において膨張弁22を開状態にした場合、室外機3の暖房負荷の増加量は1kWであるため、暖房負荷R6は51kWとなり、成績係数C6を3.95とすると、室外機3の消費電力は、
51kW÷3.95=12.9kW
となる。よって、室外機3の消費電力量の増加量は、
(12.9kW−12.8kW)×乾燥運転時間1時間=0.1kWh
となる。室内機4の乾燥運転において膨張弁22を開状態にしたときの消費電力量の削減量は3.0kWhであるため、
3.0kWh−0.1kWh=2.9kWh
だけ消費電力量を削減できる。室内機4の乾燥運転において膨張弁22の開状態の度合いを調整し、開状態の度合いを90%としたとする。このとき、室内機4は、空調コイル12による空気15の加熱量が低下し、加湿器13が乾燥するまでの時間が長くなる。たとえば、加湿器13が乾燥するまでの時間を1.1時間とする。室外機3の暖房負荷の増加量は、
1.0kW×90%=0.9kW
であるため、暖房負荷R5は50.9kWとなり、成績係数C5を4.0とすると、室外機3の消費電力は、
50.9kW÷4.0=12.7kW
となる。よって、室外機3の消費電力量の減少量は、
(12.8kW−12.7kW)×乾燥運転時間1.1時間=0.11kWh
となり、0.11kWhだけ減少する。室内機4の乾燥運転において膨張弁22の開状態の度合いを90%としたときの消費電力量は、
送風機の消費電力1.5kW×1.1時間=1.65kWh
となり、室内機4の消費電力削減量は、
4.5kWh−1.65kWh=2.85kWh
となる。したがって、室内機4の乾燥運転において膨張弁22の開状態の度合いを90%としたときの消費電力量の削減量は、
2.85kWh+0.11kWh=2.96kWh
となり、膨張弁22の開状態の度合いを100%としたときの消費電力量の削減量である2.9kWhよりも消費電力の削減量を多くすることができる。
図16に戻り、ステップS51での判別の結果、膨張弁22の開状態の度合いを調整する必要があるときは(ステップS51でYes)、室内機4の駆動指令出力部114は、膨張弁22の開状態の度合いを調整するための駆動指令の出力を行う(ステップS52)。これにより、膨張弁22の開状態の度合いが調整される。
ステップS51での判別の結果、膨張弁22の開状態の度合いを調整する必要がないとき(ステップS51でNo)、またはステップS52の後、ステップS44の処理に進む。これにより、室内機4の乾燥運転(加速)が実行される。
図16の乾燥運転処理によれば、膨張弁22の開状態の度合いを調整する必要があるときは、膨張弁22の開状態の度合いを調整する。これにより、室内機4の乾燥運転において室外機3および室内機4全体での電力消費量をさらに削減することができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4にかかる空気調和システムについて説明する。本発明の実施の形態4にかかる空気調和システムは、室内機4の制御部110がカウント部120を備え、室内機4が図6の乾燥運転処理に代えて図19の乾燥運転処理を実行する点が、上述した実施の形態1と異なり、重複した構成および作用については説明を省略し、以下に異なる構成および作用についての説明を行う。
図18は、本発明の実施の形態4にかかる空気調和システムの室内機の機能構成の一例を示すブロック図である。
図18において、室内機4の制御部110は、カウント部120を備える。
カウント部120は、駆動指令出力部114による駆動指令の出力内容に応じて、加湿器13の乾燥運転の運転時間をカウントする。実施の形態1では、カウント値でカウントしていたが、実施の形態4では、分単位でカウントする。
図19は、本発明の実施の形態4にかかる空気調和システムの室内機が実行する乾燥運転処理のフローチャートである。実施の形態4にかかる空気調和システムの室内機が実行する乾燥運転処理は、実施の形態1にかかる空気調和システムの室内機が実行する乾燥運転処理と処理の順序が異なる。
図19において、まず、室内機4の駆動指令出力部114は、乾燥運転のための駆動指令の出力を行う(ステップS501)。これにより、室内機4の乾燥運転、すなわち上述した乾燥運転(通常)が実行される。
次いで、室内機4の運転状態判別部115は、室外機3から室外機3の運転状態を示す情報を取得して、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っているか否かを判別する(ステップS502)。
ステップS502での判別の結果、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っているときは(ステップS502でYes)、室内機4の駆動指令出力部114は、膨張弁22を開状態にするための駆動指令の出力を行う(ステップS503)。これにより、膨張弁22が開状態となる。
次いで、室内機4の第1の送信部116は、膨張弁22を開状態にして室内機4の乾燥運転、すなわち上述した乾燥運転(加速)を実行している旨の情報を室外機3に送信する(ステップS504)。
ステップS502での判別の結果、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転を行っていないとき、すなわち室外機3が冷房のための冷媒を供給する運転を行っているときまたは室外機3が運転を停止しているときは(ステップS502でNo)、室内機4の駆動指令出力部114は、膨張弁22を開状態にするための駆動指令の出力を行わない(ステップS505)。このため、膨張弁22は閉状態のままとなる。
ステップS504またはステップS505の後、室内機4のカウント部120は、駆動指令出力部114による駆動指令の出力内容に応じて、加湿器13の乾燥運転の運転時間をカウントする(ステップS506)。
図20は、加湿器13の乾燥運転の運転時間のカウント時間の一例を説明するための図である。膨張弁22を閉状態にした場合、送風機11の送風能力が弱→中→強と上昇すると、加湿器13の乾燥運転の運転時間は9時間→6時間→3時間と減少する。膨張弁22を開状態にした場合、送風機11の送風能力が弱→中→強と上昇すると、加湿器13の乾燥運転の運転時間は3時間→2時間→1時間と減少する。乾燥運転を1分間実行するごとに、乾燥運転の運転時間を駆動指令出力部114による駆動指令の出力内容に応じた図20に示すカウント時間だけ加算し、合計値が9時間である540分に到達するまで乾燥運転を実行することで、乾燥運転において送風機11の運転状況または膨張弁22の開閉状態が変化しても、加湿器13を確実に乾燥させることができる。送風機11が停止している場合は、加湿器13を乾燥させることはできないため、加湿器13の乾燥運転のカウント時間は0分とする。
図19に戻り、次いで、室内機4の制御部110は、加湿器13の乾燥運転のカウント時間が、加湿器13が乾燥するまでに必要な時間に到達したか否かを判別する(ステップS507)。
ステップS507での判別の結果、加湿器13の乾燥運転のカウント時間が、加湿器13が乾燥するまでに必要な時間に到達していないときは(ステップS507でNo)、ステップS502の処理に戻る。ステップS507での判別の結果、加湿器13の乾燥運転のカウント時間が、加湿器13が乾燥するまでに必要な時間に到達したときは(ステップS507でYes)、室内機4の駆動指令出力部114は、乾燥運転を停止させるための駆動指令の出力を行う(ステップS508)。これにより、室内機4の乾燥運転が停止する。その後に、本処理を終了する。
図21は、本発明の実施の形態4にかかる空気調和システムの動作の一例を説明するためのタイミング図である。図21では、室外機3には室内機4a、室内機4bおよび室内機4cが接続されているものとし、室内機4bおよび室内機4cは加湿器13を備えておらず、室内機4bおよび室内機4cは加湿器13の乾燥運転を行わないものとする。
図21において、時刻t0において、室内機4aは加湿運転をし、室内機4bは暖房運転をし、室内機4cは停止しているとする。室外機3には、室内機4aから加湿のための冷媒の供給要求が送信され、室内機4bから暖房のための冷媒の供給要求が送信され、室内機4cから室外機3の運転停止要求が送信される。その結果、室外機3は暖房または加湿のための冷媒を供給する運転となる。
時刻t1において、室内機4aはリモコン6aから室内機4aを停止させるための指令を受け付けると、室内機4の運転状態が加湿運転から停止へ変化し、加湿器13を乾燥させるための乾燥運転が開始される。室内機4aは、乾燥運転を開始したため、室外機3には、室外機3の運転停止要求が送信されるが、室内機4bから暖房のための冷媒の供給要求が送信されているため、室外機3は暖房または加湿のための冷媒を供給する運転となる。室内機4aは、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転のため、給水弁21を閉状態とし、送風機11を、送風能力を強とした運転とし、膨張弁22を開状態とした、乾燥運転を行う。送風機11が送風能力を強とした運転であり、膨張弁22が開状態であるため、乾燥運転のカウント時間は+9分となる。時刻t1から時刻t2までの時間を20分とすると、時刻t2のときの乾燥運転のカウント時間は、
20分間×乾燥運転のカウント時間(9分)=180分
となる。
時刻t2において、室内機4bがリモコン6bから室内機4bを停止させるための指令を受け付けると、室外機3には室内機4bから室外機3の運転停止要求が送信される。室外機3には、室内機4a、室内機4bおよび室内機4cから室外機3の運転停止要求が送信されるため、室外機3は運転を停止する。室内機4aは、室外機3の運転が停止したため、膨張弁22を閉状態とする。送風機11が送風能力を強とした運転であり、膨張弁22が閉状態であるため、乾燥運転のカウント時間は+3分となる。時刻t2から時刻t3までの時間を60分とすると、時刻t3のときの乾燥運転のカウント時間は、
時刻t2までの乾燥運転のカウント時間(180分)+60分間×乾燥運転のカウント時間(3分)=360分
となる。
時刻t3において、室内機4cがリモコン6cから室内機4cを暖房運転させるための指令を受け付けると、室外機3には室内機4cから暖房のための冷媒の供給要求が送信される。室外機3は、室内機4cから暖房のための冷媒の供給要求を受け付けると、室外機3は暖房または加湿のための冷媒を供給する運転となり、室内機4aは室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転のため、給水弁21を閉状態とし、送風機11を、送風能力を強として運転とし、膨張弁22を開状態にして、乾燥運転を行う。送風機11が送風能力を強とした運転であり、膨張弁22が開状態であるため、乾燥運転のカウント時間は+9分となる。時刻t3までの乾燥運転のカウント時間は360分であるため、残りの乾燥運転の運転時間は180分となる。時刻t3から時刻t4までの時間を20分とすると、時刻t4のときの乾燥運転のカウント時間は、
時刻t3までの乾燥運転のカウント時間(360分)+20分間×乾燥運転のカウント時間(9分)=540分
となる。乾燥運転のカウント時間が540分に到達したので、室内機4aは乾燥運転を停止する。室内機4aは室外機3に室外機3の運転停止要求を送信するが、室外機3は室内機4cから暖房のための冷媒の供給要求を受け付けているため、暖房または加湿のための冷媒を供給する運転のままとなる。
図19の乾燥運転処理によれば、駆動指令出力部114による駆動指令の出力内容に応じて、加湿器13の乾燥運転の運転時間をカウントし、加湿器13の乾燥運転のカウント時間が、加湿器13が乾燥するまでに必要な時間に到達したときに、室内機4の乾燥運転を停止する。これにより、室外機3、他の室内機4および換気装置5の運転状態が変化した場合においても、乾燥運転を適切な時間まで行うことができる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5にかかる空気調和システムについて説明する。本発明の実施の形態5にかかる空気調和システムは、室内機4の制御部110が第1の設定情報取得部121および第2の設定情報取得部122を備え、室内機4が図6の乾燥運転処理に代えて図23の乾燥運転処理を実行する点が、上述した実施の形態1と異なる。重複した構成および作用については説明を省略し、以下に異なる構成および作用についての説明を行う。
図22は、本発明の実施の形態5にかかる空気調和システムの室内機の機能構成の一例を示すブロック図である。
図22において、室内機4の制御部110は、第1の設定情報取得部121と、第2の設定情報取得部122とを備える。
第1の設定情報取得部121は、膨張弁22の開条件の設定情報を取得する。駆動指令出力部114は、第1の設定情報取得部121が取得した膨張弁22の開条件の設定情報に基づいて、加湿器13の乾燥運転のための駆動指令の出力を行う。第2の設定情報取得部122は、送風機11の運転条件の設定情報を取得する。駆動指令出力部114は、第2の設定情報取得部122が取得した送風機11の運転条件の設定情報に基づいて、加湿器13の乾燥運転のための駆動指令の出力を行う。
図23は、本発明の実施の形態5にかかる空気調和システムの室内機が実行する乾燥運転処理のフローチャートである。
図23において、まず、室内機4の第1の設定情報取得部121は、機能設定回路36から送信された膨張弁22の開条件の設定情報を取得する(ステップS601)。図24は、機能設定回路36による膨張弁22の開条件の設定情報を説明するための図である。図24において、設定1は、加湿運転停止後に乾燥運転を実行せずに、ユーザによって室内機4の送風運転を行うことで、加湿器13の乾燥運転を行うようにする設定である。設定2は、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転であれば、室外機3の暖房COPの領域によらずに、室内機4の乾燥運転を行うようにする設定である。設定3は、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転であり、かつ室外機3の暖房COP領域が領域1または領域2の範囲内であれば、室内機4の乾燥運転を行うようにする設定である。設定4は、室外機3の運転状態によらずに、膨張弁22を閉状態にして室内機4の乾燥運転、すなわち上述した乾燥運転(通常)を行うようにする設定である。設定5は、室外機3の運転状態によらずに、膨張弁22を開状態にして室内機4の乾燥運転、すなわち上述した乾燥運転(加速)を行うようにする設定である。たとえば、設定5では、室内機4の乾燥運転を短時間で停止させたいユーザが設定することができる。
次いで、室内機4の第2の設定情報取得部122は、機能設定回路36から送信された送風機11の運転条件の設定情報を取得する(ステップS602)。図25は、機能設定回路36による送風機11の運転条件の設定情報を説明するための図である。図25において、設定1、設定2および設定3は、室内機4の乾燥運転における送風機11の送風能力を固定する設定である。設定4、設定5および設定6は、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転であれば、室外機3の暖房COPの領域によらず、送風機11の送風能力を固定して運転させ、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転以外の運転を行っているときは、室内機4の乾燥運転を実行しないようにする設定である。設定7、設定8および設定9は、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転であり、かつ室外機3の暖房COPの領域が領域1または領域2の範囲内であれば、送風機11の送風能力を固定して運転させ、室外機3が暖房または加湿のための冷媒を供給する運転以外の運転を行っている、または室外機3の暖房COPの領域が領域1または領域2の範囲外であるときは、室内機4の乾燥運転を実行しないようにする設定である。たとえば、設定1、設定2および設定3では、送風機11による動作音および送風音を制御することができる。設定4、設定5および設定6では、室内機4の乾燥運転において温風が室内に供給されるため、室内温度の低下を抑制することができる。設定7、設定8および9では、室内機4の乾燥運転において消費電力を抑制することができる。
次いで、室内機4の駆動指令出力部114は、第1の設定情報取得部121が取得した膨張弁22の開条件の設定情報および第2の設定情報取得部122が取得した送風機11の運転条件の設定情報に基づいて、乾燥運転のための駆動指令の出力を行う(ステップS603)。これにより、上述した膨張弁22の開条件の設定情報および送風機11の運転条件の設定情報に基づく室内機4の乾燥運転が実行される。その後に、本処理を終了する。
図23の乾燥運転処理によれば、膨張弁22の開条件および送風機11の運転条件を柔軟に設定することができるため、ユーザは使用状況に応じて、乾燥運転の動作を設定することができる。
実施の形態6.
上述した実施の形態1から実施の形態5では、送風機11を備えた室内機4について説明したが、換気装置5である室外の空気を室内へ取り込む換気機能を備えた熱交換換気装置についても同様の実施が可能である。
図26は、本発明の実施の形態6にかかる空気調和システムの換気装置の構成例を概略的に示す図である。
図26に示すように、換気装置5は、本体箱体に熱交換器51と排気送風機52と給気送風機53とが組み込まれて構成されている。給気送風機53は給気風路54内に配置され、室外側吸込口(OA)55から熱交換器51を通り室内側吐出口(SA)56へ空気を供給する。排気送風機52は排気風路57内に配置され、室内側吸込口(RA)58から熱交換器51を通り室外側吐出口(EA)59へ空気を排出する。熱交換器51は、上記供給する空気と排出する空気との間で、空気対空気での熱交換を行う。排気送風機52と給気送風機53とは、制御装置60により独立に駆動制御される。
給気風路54内の熱交換器51の出口側には、空調コイル61および加湿器62が配置される。制御装置60によって、空調コイル61へ冷媒配管1を介して供給する冷媒流量を調整する膨張弁66と、給水口67から加湿器62へ給水配管68を介して供給する水量を制御する給水弁65とが、独立に駆動制御される。熱交換器51のRA側には、室内湿度を計測する湿度センサ64が配置されている。
図27は、図26における制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図27において、制御装置60は、マイクロコンピュータ70と、給気送風機駆動回路71と、排気送風機駆動回路72とを備える。
給気送風機駆動回路71は、給気送風機53に接続されている。給気送風機駆動回路71は、マイクロコンピュータ70からの指令に基づいて、給気送風機53の送風能力を多段階制御することができる。たとえば、給気送風機駆動回路71は、給気送風機53の送風能力を弱、中および強の3段階に切り替えることができる。
排気送風機駆動回路72は、排気送風機52に接続されている。排気送風機駆動回路72は、マイクロコンピュータ70からの指令に基づいて、排気送風機52の送風能力を多段階制御することができる。たとえば、排気送風機駆動回路72は、排気送風機52の送風能力を弱、中および強の3段階に切り替えることができる。
マイクロコンピュータ70は、給気送風機53を駆動するための給気送風機駆動回路71への駆動指令、および排気送風機52を駆動するための排気送風機駆動回路72への駆動指令を生成する。そして、マイクロコンピュータ70は、給気送風機53を駆動するための給気送風機駆動回路71への駆動指令の出力と、排気送風機52を駆動するための排気送風機駆動回路72への駆動指令の出力とを行う。
実施の形態7.
実施の形態1から実施の形態6に示した空気調和システムでは、室内機4が室外機3の運転情報および負荷情報を取得して、乾燥運転時に膨張弁22の開閉状態および開状態の程度(以下、開状態の程度を「開度」という。)を判断していた。本発明の実施の形態7では、通信線2によって室外機3、室内機4および換気装置5と接続された中央監視装置8にて、乾燥運転時の各室内機4および各換気装置5に搭載された膨張弁22の開閉状態および開度を判断する場合について説明する。実施の形態1から実施の形態6では、室内機4が運転状態判別部115を備えていたが、運転状態判別部115と同様の機能部を中央監視装置8が備えていてもよく、室外機3が備えていてもよい。
まず、本発明の実施の形態7にかかる空気調和システムが実行する処理について説明する。図28は、本発明の実施の形態7にかかる空気調和システムが実行する処理のシーケンス図である。
まず、室内機4は加湿運転を実施していたとする。室内機4に接続されたリモコン6によって加湿運転停止操作が行われ、その指令を室内機4はリモコン6より受信する(シーケンスSQ01)。
室内機4は、加湿運転停止操作が行われたことにより、加湿運転を停止して、乾燥運転を開始する。このとき、室内機4は、送風機11の送風能力を強とし、膨張弁22を閉状態にし、給水弁21を閉状態にして乾燥運転を実施する(シーケンスSQ02)。
室内機4は、中央監視装置8へ、乾燥運転を開始したこと、膨張弁22の開閉状態に応じた「室外機3の暖房負荷増加量」の情報、「乾燥運転に要する時間」の情報および「乾燥運転に要する消費電力量」の情報を乾燥運転要求コマンドにて送信する(シーケンスSQ03)。
図29は、シーケンスSQ03において室内機4が中央監視装置8に送信するデータの内容の一例を説明するための図である。たとえば、室内機4の送風機11の送風能力を強とした時の消費電力を1.5kWとする。膨張弁22が「0%だけ開、すなわち閉状態」のとき、室内機4の暖房能力により定まる室外機3の暖房負荷増加量は「0kW」となり、乾燥運転に要する時間は「9時間」となる。そのため、室内機4が乾燥運転に要する消費電力は、
1.5kW × 9時間 = 13.5kWh
となる。
同様に、膨張弁22が「50%だけ開、すなわち半開状態」のとき、室内機4の暖房能力により定まる室外機3の暖房負荷増加量は「2kW」となり、乾燥運転に要する時間は「6時間」となる。そのため、室内機4が乾燥運転に要する消費電力は、
1.5kW × 6時間 = 9.0kWh
となる。
同様に、膨張弁22が「100%だけ開、すなわち全開状態」のとき、室内機4の暖房能力により定まる室外機3の暖房負荷増加量は「4kW」となり、乾燥運転に要する時間は「3時間」となる。そのため、室内機4が乾燥運転に要する消費電力は、
1.5kW × 3時間 = 4.5kWh
となる。
シーケンスSQ03では、上述した「膨張弁22が0%だけ開のとき、0kW、9時間、13.5kWh」との情報、「膨張弁22が50%だけ開のとき、2kW、6時間、9.0kWh」との情報、または「膨張弁22が100%だけ開のとき、4kW、3時間、4.5kWh」との情報を乾燥運転要求コマンドによって室内機4から中央監視装置8へ送信する。本実施の形態では、送信するデータを膨張弁22の開度が0%,50%および100%の3パターンとしたが、膨張弁22の開度をより細かく、たとえば10%刻みとしてもよい。
次いで、中央監視装置8は、室内機4から乾燥運転要求コマンドを受信したときは、室外機3の運転状態、および室内機4の膨張弁22の開度が0%,50%および100%になったときの室外機3の暖房負荷増加量に対する室外機3の消費電力量を要求するための運転状態要求コマンドを、室外機3へ送信する(シーケンスSQ04)。
次いで、室外機3は、シーケンスSQ04で中央監視装置8から要求された室外機3の運転状態、および室内機4が乾燥運転となり、膨張弁22の開度が0%,50%および100%になったときの各暖房負荷増加量、すなわち0kW、2kWおよび4kWに対する室外機3の消費電力増加量を運転状態応答コマンドによって中央監視装置8へ送信する(シーケンスSQ05)。
図30は、シーケンスSQ05において室外機3が中央監視装置8に送信するデータの内容の一例を説明するための図である。室外機3は、室内機4が各暖房負荷増加量、すなわち0kW、2kWおよび4kWで運転した時の、室外機3の消費電力の増加量を算出する。室外機3の現在の暖房負荷を50kWとし、COPを4.0とすると、室内機4の暖房負荷増加量が0kWのときは、暖房負荷の増加がないため、この時の室外機3の消費電力は、
50kW ÷ 4.0 = 12.5kW
となる。
同様に、室内機4の暖房負荷増加量が2kWのとき、室外機3のCOPは3.9に低下し、消費電力は、
(50kW + 2kW) ÷ 3.9 = 13.3kW
となる。そのため、室外機3の消費電力は、
13.3kW − 12.5kW = 0.8kW
の増加となる。
同様に、室内機4の暖房負荷増加量が4kWのとき、室外機3のCOPは3.8に低下し、消費電力は、
(50kW + 4kW) ÷ 3.8 = 14.2kW
となる。そのため、室外機3の消費電力は、
14.2kW − 12.5kW = 1.7kW
の増加となる。
シーケンスSQ05では、上述した「暖房負荷増加量0kWのとき、消費電力0kW増加」との情報、「暖房負荷増加量2kWのとき、消費電力0.8kW増加」との情報、または「暖房負荷増加量4kWのとき、消費電力1.7kW増加」との情報を運転状態応答コマンドによって室外機3から中央監視装置8へ送信する。本実施の形態では、現在の暖房負荷、たとえば上述した例では50kWに対し、室内機4の乾燥運転による暖房負荷増加量が僅かとなり、COPの変動が極めて小さい場合は、消費電力の算出を簡素化するために、一律現在のCOPで算出するようにしてもよい。すなわち、上述した例ではCOPを4.0として、各条件の消費電力量を算出するようにしてもよい。
次いで、中央監視装置8は、シーケンスSQ05で室外機3から受信した「室外機3の消費電力増加量」の情報と、シーケンスSQ03で室内機4から受信した「乾燥運転時間」の情報および「乾燥運転に要する消費電力量」の情報とに基づいて、室内機4の乾燥運転判定を行う(シーケンスSQ06)。
まず、中央監視装置8は、室内機4の膨張弁22が「膨張弁22が0%だけ開のとき」について、空気調和システム全体の消費電力量の増減を算出する。室内機4の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスSQ03で受信した「乾燥運転に要する消費電力量」の情報より、13.5kWhである。室外機3の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスSQ03で受信した「乾燥運転時間」の情報、およびシーケンスSQ05で受信した「室外機3の消費電力増加量」の情報より、
9時間 × 0kW = 0kWh
である。したがって、空気調和システム全体の消費電力量は、
13.5kWh + 0kWh = 13.5kWh
となる。
同様に、中央監視装置8は、室内機4の膨張弁22が「膨張弁22が50%だけ開のとき」について、空気調和システム全体の消費電力量の増減を算出する。室内機4の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスSQ03で受信した「乾燥運転に要する消費電力量」の情報より、9.0kWhである。室外機3の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスSQ03で受信した「乾燥運転時間」の情報、およびシーケンスSQ05で受信した「室外機3の消費電力増加量」の情報より、
6時間 × 0.8kW = 4.8kWh
である。したがって、空気調和システム全体の消費電力量は、
9.0kWh + 4.8kWh = 13.8kWh
となる。
同様に、中央監視装置8は、室内機4の膨張弁22が「膨張弁22が100%だけ開のとき」について、空気調和システム全体の消費電力量の増減を算出する。室内機4の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスSQ03で受信した「乾燥運転に要する消費電力量」の情報より、4.5kWhである。室外機3の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスSQ03で受信した「乾燥運転時間」の情報、およびシーケンスSQ05で受信した「室外機3の消費電力増加量」の情報より、
3時間 × 1.7kW = 5.1kWh
である。したがって、空気調和システム全体の消費電力量は、
4.5kWh + 5.1kWh = 9.6kWh
となる。
シーケンスSQ06では、中央監視装置8は、空気調和システム全体の消費電力量が最も低くなる「膨張弁22が100%だけ開のとき」で室内機4を乾燥運転させるようにすると判定する。
次いで、シーケンスSQ06での判定結果に基づいて、中央監視装置8は、室内機4へ「開度100%」で乾燥運転を行うように、開度指令値、すなわち開度100%の情報を乾燥運転応答コマンドにて送信する(シーケンスSQ07)。
次いで、室内機4は、シーケンスSQ07で中央監視装置8より受信した開度指令値の情報に基づいて、乾燥運転を実施する。これにより、室内機4は、送風機11の送風能力を強とし、膨張弁22の開度を100%にした開状態にし、給水弁21を閉状態にして乾燥運転を実施する(シーケンスSQ08)。
次いで、室内機4は、室外機3へ「膨張弁22の開度を100%だけ開」にする旨の情報を送信する(シーケンスSQ09)。
次いで、室外機3は、シーケンスSQ09にて室内機4から受信した「膨張弁22の開度を100%だけ開」にする旨の情報に基づいて、室内機4の膨張弁22の開度が100%だけ開状態となり暖房負荷が増加するため、室外機3内の図示しない圧縮機を制御し、室内機4および換気装置5のうちの少なくとも一方へ冷媒配管1および分岐ユニット9を介して供給する冷媒の温度または流量を調整する(シーケンスSQ10)。
次いで、室外機3に接続されている他の室内機4または換気装置5が操作され、当該操作により室外機3の暖房負荷が変動したとする。たとえば、他のいくつかの室内機4または換気装置5が停止し、暖房負荷が10kWに減少したとする(シーケンスSQ11)。
室外機3は、シーケンスSQ11での暖房負荷の変動に応じて、室外機3内の図示しない圧縮機を制御し、室内機4または換気装置5、または室内機4および換気装置5へ冷媒配管1および分岐ユニット9を介した冷媒の供給を行う。この場合の暖房負荷は、乾燥運転を実施している室内機4の「2kW」と、他の室内機4または換気装置5による暖房負荷「10kW」との合計である「12kW」となる(シーケンスSQ12)。
室外機3は、シーケンスSQ11において暖房負荷が変動したことで、室内機4が乾燥運転となり、膨張弁22の開度が0%,50%または100%になったときの各暖房負荷増加量、すなわち0kW,2kWまたは4kWに対する室外機3の消費電力増加量を再計算する。そして、室外機3の運転状態、および再計算した室内機4が乾燥運転となり、膨張弁22の開度が0%,50%または100%になったときの各暖房負荷増加量、すなわち0kW,2kWまたは4kWに対する室外機3の消費電力増加量を中央監視装置8へ運転状態応答コマンドによって送信する(シーケンスSQ13)。
図31は、シーケンスSQ13において室外機3が中央監視装置8に送信するデータの内容の一例を説明するための図である。室外機3は、室内機4が各暖房負荷増加量、すなわち0kW,2kWまたは4kWで運転した時の、室外機3の消費電力の増加量を算出する。室外機3の現在の暖房負荷を10kWとし、COPを2.50とすると、室内機4の暖房負荷増加量が0kWのときは、暖房負荷の増加がないため、この時の室外機3の消費電力は、
10kW ÷ 2.50 = 4.0kW
となる。
同様に、室内機4の暖房負荷増加量が2kWのとき、室外機3のCOPは2.65に増加し、消費電力は、
(10kW + 2kW) ÷ 2.65 = 4.5kW
となる。そのため、室外機3の消費電力は、
4.5kW − 4.0kW = 0.5kW
の増加となる。
同様に、室内機4の暖房負荷増加量が4kWのとき、室外機3のCOPは2.75に増加し、消費電力は、
(10kW + 4kW) ÷ 2.75 = 5.1kW
となる。そのため、室外機3の消費電力は、
5.1kW − 4.0kW = 1.1kW
の増加となる。
シーケンスSQ13では、上述した「暖房負荷増加量0kWのとき、消費電力0kW増加」との情報、「暖房負荷増加量2kWのとき、消費電力0.5kW増加」との情報、または「暖房負荷増加量4kWのとき、消費電力1.1kW増加」との情報を運転状態応答コマンドによって室外機3から中央監視装置8へ送信する。
次いで、中央監視装置8は、シーケンスSQ13で室外機3から受信した「室外機3の消費電力増加量」の情報と、シーケンスSQ03で室内機4から受信した「乾燥運転時間」の情報および「乾燥運転に要する消費電力量」の情報とに基づいて、室内機4の乾燥運転判定を行う(シーケンスSQ14)。
まず、中央監視装置8は、室内機4の膨張弁22が「膨張弁22が0%だけ開のとき」について、空気調和システム全体の消費電力量の増減を算出する。室内機4の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスS03で受信した「乾燥運転に要する消費電力量」の情報より、13.5kWhである。室外機3の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスSQ03で受信した「乾燥運転時間」の情報、およびシーケンスSQ13で受信した「室外機3の消費電力増加量」の情報より、
9時間 × 0kW = 0kWh
である。したがって、空気調和システム全体の消費電力量は、
13.5kWh + 0kWh = 13.5kWh
となる。
同様に、中央監視装置8は、室内機4の膨張弁22が「膨張弁22が50%だけ開のとき」について、空気調和システム全体の消費電力量の増減を算出する。室内機4の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスSQ03で受信した「乾燥運転に要する消費電力量」の情報より、9.0kWhである。室外機3の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスSQ03で受信した「乾燥運転時間」の情報、およびシーケンスSQ13で受信した「室外機3の消費電力増加量」の情報より、
6時間 × (0.5kW) = 3.0kWh
である。したがって、空気調和システム全体の消費電力量は、
9.0kWh + (3.0kWh) = 12.0kWh
となる。
同様に、中央監視装置8は、室内機4の膨張弁22が「膨張弁22が100%だけ開のとき」について、空気調和システム全体の消費電力量の増減を算出する。室内機4の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスSQ03で受信した「乾燥運転に要する消費電力量」の情報より、4.5kWhである。室外機3の乾燥運転に要する消費電力量は、シーケンスSQ03で受信した「乾燥運転時間」の情報、およびシーケンスSQ13で受信した「室外機3の消費電力増加量」の情報より、
3時間 × (1.1kW) = 3.3kWh
である。したがって、空気調和システム全体の消費電力量は、
4.5kWh + (3.3kWh) = 7.8kWh
となる。
シーケンスSQ14では、中央監視装置8は、空気調和システム全体の消費電力量が最も低くなる「膨張弁22が100%だけ開のとき」で室内機4を乾燥運転させるように変更すると判定する。
次いで、シーケンスSQ14での判定結果に基づいて、中央監視装置8は、室内機4へ「開度100%」で乾燥運転を行うように、開度指令値、すなわち開度100%の情報を乾燥運転応答コマンドによって送信する(シーケンスSQ15)。
次いで、室内機4は、シーケンスSQ15で中央監視装置8より受信した開度指令値の情報に基づいて、乾燥運転を実施する。これにより、室内機4は、送風機11の送風能力を強とし、膨張弁22の開度を100%にした開状態にし、給水弁21を閉状態にして乾燥運転を実施する(シーケンスSQ16)。
次いで、室内機4は、室外機3へ「膨張弁22の開度を100%だけ開」にする旨の情報を送信する(シーケンスSQ17)。
次いで、室外機3は、シーケンスSQ17にて室内機4から受信した「膨張弁22の開度を100%だけ開」にする旨の情報に基づいて、室内機4の膨張弁22の開度が100%だけ開状態となり暖房負荷が減少するため、室外機3内の図示しない圧縮機を制御し、室内機4および換気装置5のうちの少なくとも一方へ冷媒配管1および分岐ユニット9を介して供給する冷媒の温度または流量を調整する(シーケンスSQ18)。
その後、室内機4は、乾燥運転の運転時間が所定時間を経過したときは、乾燥運転を終了する(シーケンスSQ19)。
次いで、室内機4は、中央監視装置8へ乾燥運転を終了したことを通知する(シーケンスSQ20)。
次いで、室内機4は、乾燥運転の終了により「膨張弁22の開度を0%だけ開」にする旨の情報を室外機3へ送信する(シーケンスSQ21)。
次いで、室外機3は、シーケンスSQ21において室内機4から受信した「膨張弁22の開度を0%だけ開」にする旨の情報に基づいて、室内機4の膨張弁22の開度が0%だけ開状態となり暖房負荷が減少するため、室外機3内の図示しない圧縮機を制御し、室内機4および換気装置5のうちの少なくとも一方へ冷媒配管1および分岐ユニット9を介して供給する冷媒の温度または流量を調整する(シーケンスSQ22)。
次に、実施の形態7における室内機が実行する乾燥運転処理について説明する。図32は、実施の形態7における室内機が実行する乾燥運転処理のフローチャートである。ステップS31からステップS34までは図6の乾燥運転処理と同様であるため、説明を省略する。
ステップS60では、室内機4の制御部110は、リモコン6または中央監視装置8から室内機4を運転させるための指令を受信したか否かを判別する。
ステップS60での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を運転させるための指令を受信していないときは(ステップS60でNo)、室内機4の制御部110は乾燥運転が必要か否かを判別するために、乾燥運転要求フラグがセットされているか否かを判別する(ステップS61)。
ステップS61での判別の結果、乾燥運転が必要なとき、すなわち乾燥運転要求フラグがセットされているときは(ステップS61でYes)、室内機4の制御部110は乾燥運転が不要から必要に変化したか否かを判別するために、乾燥運転要求フラグの前回値が無いか否かを判別する(ステップS62)。
ステップS62での判別の結果、乾燥運転が不要から必要に変化したとき、すなわち乾燥運転要求フラグの前回値が無いときは(ステップS62でYes)、室内機4の制御部110は中央監視装置8へ乾燥運転要求を送信する(ステップS63)。
ステップS63で室内機4の制御部110が中央監視装置8へ乾燥運転要求を送信した後、中央監視装置8から乾燥運転応答が送信されるまでの間は、室内機4の制御部110は「膨張弁22を0%だけ開」で乾燥運転させるようにするために、開度指令値を0%にセットする(ステップS64)。
次いで、室内機4の制御部110は、乾燥運転のための駆動指令の出力を行う(ステップS65)。たとえば、室内機4の制御部110は、送風機11を運転させるための送風機駆動回路32への駆動指令の出力と、給水弁21を閉状態に制御するための給水弁駆動回路33への駆動指令の出力と、開度指令値に基づいて膨張弁22の開度を制御するための膨張弁駆動回路34への駆動指令の出力とを行う。これにより、室内機4の乾燥運転が実行される。
ステップS62での判別の結果、乾燥運転が必要なまま変化しないとき、すなわち乾燥運転要求フラグの前回値が有るときは(ステップS62でNo)、室内機4の制御部110が中央監視装置8から乾燥運転応答コマンドによって開度指令値を受信したときは、室内機4の制御部110は受信した値で開度指令値を更新する(ステップS66)。ステップS66では、室内機4の制御部110が中央監視装置8から乾燥運転応答コマンドによって開度指令値を受信していないときは、開度指令値を変更しない。
次いで、ステップS66において開度指令値が更新された場合は、室内機4の制御部110は、室外機3へ乾燥運転操作の情報を送信し、開度指令値に従って膨張弁22の開度を制御することにより、室外機3の暖房負荷が変動することを通知して(ステップS67)、ステップS65の処理に進む。
ステップS61での判別の結果、乾燥運転が不要なとき、すなわち乾燥運転要求フラグがクリアされているときは(ステップS61でNo)、室内機4の制御部110は乾燥運転停止の情報を中央監視装置8へ送信する(ステップS68)。
次いで、乾燥運転が終了して膨張弁22の状態が閉状態に変化した場合は、室内機4の制御部110は、室外機3へ乾燥運転操作の情報を送信し、膨張弁22を閉状態にすることにより、室外機3の暖房負荷が変動することを通知する(ステップS69)。
次いで、室内機4の制御部110は、運転停止のための駆動指令の出力を行う(ステップS70)。たとえば、室内機4の制御部110は、送風機11を停止させるための送風機駆動回路32への駆動指令の出力と、給水弁21を閉状態に制御するための給水弁駆動回路33への駆動指令の出力と、膨張弁22を閉状態に制御するための膨張弁駆動回路34への駆動指令の出力とを行う。これにより、室内機4は運転を停止する。
ステップS60での判別の結果、室内機4の制御部110がリモコン6または中央監視装置8から室内機4を運転させるための指令を受信したとき(ステップS60でYes)、ステップS65またはステップS70の後に、室内機4の制御部110は乾燥運転要求フラグの変化を判断するための乾燥運転要求フラグの前回値を、現在の乾燥運転要求フラグの値で更新して(ステップS71)、室内機4の制御部110は本処理を終了する。
図28の処理および図32の乾燥運転処理によれば、室内機4の加湿運転の後の乾燥運転において、中央監視装置8にて、空気調和システム全体での消費電力量を算出し、乾燥運転による消費電力が最小となるように室内機4へ膨張弁22の開度指令値を送信する。これにより、空気調和システム全体での消費電力を削減することができる。
本実施の形態では、空気調和システム全体での消費電力量の算出を、中央監視装置8ではなく、室外機3で実施してもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略および変更することも可能である。