JP6731724B2 - 顔料ペースト及び塗工材 - Google Patents

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本発明は、高顔料濃度においても、顔料分散性、貯蔵安定性、耐溶剤性に優れる顔料ペースト及び塗工材に関する。
従来、顔料を顔料分散樹脂、溶媒及び場合によっては分散助剤の混合物中に分散させたペースト状の顔料分散体が、塗料、塗工材、コーティング材、シーリング材、触媒フィルター、着色フィルム、着色シート、印刷用インキ、化粧材、磁石改質材、LED封止材、各種ゴム製品、樹脂成形品などの分野で広く用いられている。
これらの分野では、発色性、鮮映性、導電性、仕上がり性、粘弾性、などの性能向上がますます要求されており、そのため、優れた顔料分散能力と、形成された顔料分散体中の顔料粒子を再凝集させないだけの優れた顔料分散安定性を有する顔料分散樹脂の開発がなされつつある。
顔料分散樹脂の設計にあたっては、顔料への濡れ性と顔料分散樹脂の溶媒中での分散安定性を両立させることが重要である。濡れ性に関しては、顔料分散樹脂が低粘度、低分子量であること、さらに顔料表面と顔料分散樹脂との相互作用があることが有利であるといわれ、分散安定化に関しては、顔料表面での立体反発層の形成や顔料分散樹脂の連続相への溶解性が良いことが有利であるといわれている。
また、顔料分散樹脂が塗膜やフィルムや印刷物などの最終製品そのものの性能に悪い影響を及ぼさないように、あるいは溶媒及び顔料分散樹脂の使用量を低減することや乾燥時の使用エネルギーを低減する観点から、少量の顔料分散樹脂で高濃度かつ均一に分散された顔料ペーストを作製することが重要となっている。
例えば、特許文献1には、ポリビニルアルコール等の親水性結合剤の存在下、金属酸化物及び/又はカーボンブラックの分散液を安定化するための特定のブロック共重合体が開示されている。また、特許文献2には、二酸化マンガン粉末、カーボン粉末、分散剤(ポリビニルアルコール等の各種高分子樹脂)、及び分散媒を含有するペースト組成物が開示されている。また、特許文献3には、ポリビニルアルコール系ブロックコポリマーと各種顔料とを含有する顔料分散液が開示されている。また、特許文献4には、カーボンブラックと分散剤としてのポリビニルアルコール樹脂と溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドンとを含有するカーボンブラック分散液が開示されている。
しかしながら、これらの顔料ペーストは、高顔料濃度での顔料分散性、貯蔵安定性のバランスがまだ十分でない場合があった。
特開平5−117490号公報 特開平11−74158号公報 特開2005−23297号公報 特開2015−193986号公報
本発明の目的は、高顔料濃度においても、顔料分散性、貯蔵安定性、耐溶剤性に優れる顔料ペースト及び塗工材を提供することである。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造を有する分散樹脂(A1)を一定量含む分散樹脂(A)を用いることにより上記課題を解決できることを見出した。本発明はかかる新規の知見に基づくものである。
従って、本発明は以下の項を提供する:
項1.スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)を含有する分散樹脂(A)、顔料(B)、及び溶媒(C)からなる顔料ペーストであって、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)が、スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマーを0.1〜10質量%含有することを特徴とする顔料ペースト。
項2.スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)のケン化度が50〜100mol%であることを特徴とする前記項1に記載の顔料ペースト。
項3.分散樹脂(A)が、さらにケン化度30〜100mol%のスルホン酸基を含まないポリビニルアルコール樹脂(A2)を含有し、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)及びポリビニルアルコール樹脂(A2)の含有割合が、樹脂固形分質量を基準として、51/49〜99/1であることを特徴とする前記項1又は2に記載の顔料ペースト。
項4.前記項1〜3のいずれか1項に記載の顔料(B)が、導電性顔料であることを特徴とする顔料ペースト。
項5.前記項1〜3のいずれか1項に記載の顔料(B)が、アルミナ、マグネシア、シリカ、チタニア、ゼオライト、セリア、及びジルコニアから選択される1種以上の無機材料であることを特徴とする顔料ペースト。
項6.前記項4又は5に記載の顔料ペーストを含有することを特徴とする塗工材。
項7.前記項6に記載の塗工材を塗布して得られる物品。
本発明の顔料ペーストは、高顔料濃度においても、顔料の分散性、貯蔵安定性に優れ、比較的少ない配合量で充分にペーストの粘度を低下させることができる。また、耐溶剤性等に優れる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを意味する。また、「重合性不飽和モノマー」とは、ラジカル重合しうる重合性不飽和基を有するモノマーを意味し、該重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルエーテル基などが挙げられる。
顔料ペースト
本発明は、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)を含有する分散樹脂(A)、顔料(B)、及び溶媒(C)からなる顔料ペーストであって、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)が、スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマーを0.1〜10質量%含有することを特徴とする。
分散樹脂(A)
本発明の顔料ペーストで用いることができる分散樹脂(A)は、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)を含有する。また、必要に応じて、ケン化度30〜100mol%のスルホン酸基を含まないポリビニルアルコール樹脂(A2)を併用して用いることができる。
スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)
本発明で用いることができるスルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)において、スルホン酸の変性方法は特に限定されず、それ自体公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、以下の方法で製造することができる。
(1)スルホン酸基と重合性不飽和基を含有する化合物と、酢酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステルとを共重合し、得られる重合体を更にケン化する方法。
(2)ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などをポリビニルアルコールにマイケル付加させる方法。
(3)ポリビニルアルコールを硫酸化合物溶液(硫酸水溶液や亜硫酸ナトリウム水溶液等)で加熱する方法。
(4)ポリビニルアルコールをスルホン酸基含有アルデヒド化合物でアセタール化する方法。
(5)スルホン酸基を有するアルコール、アルデヒド及びチオール等の官能基を有する化合物を連鎖移動剤として共存させ、ポリビニルアルコールの重合をする方法。
いずれの製造方法でも好適に用いることができるが、特に(1)のスルホン酸基と重合性不飽和基を含有する化合物と酢酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステルとを共重合し、得られる重合体を更にケン化する方法が好ましい。
上記スルホン酸基と重合性不飽和基を含有する化合物としては、脂肪酸ビニルエステルと共重合が可能な化合物であれば特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、ビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸;ナトリウムスルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、ナトリウムスルホプロピルトリデシルマレート、ナトリウムスルホプロピルエイコシルマレート等のスルホアルキルマレート;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−スルホイソブチレンアクリルアミドナトリウム等のスルホアルキル(メタ)アクリルアミド;3−メタクリロイルオキシプロパンスルホン酸、4−メタクリロイルオキシブタンスルホン酸、3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、メタクリル酸ナトリウム−4−スチレンスルホネート、ナトリウム2−スルホエチルアクリレート等のスルホアルキル(メタ)アクリレート;アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタアリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、オレイル2−ヒドロキシ−〔3−アリルオキシ〕−プロピルスルホサクシネートアンモニウム塩等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明においては、スルホン酸基は遊離の酸の形であっても、あるいはナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等の形であってもよい。
スルホン酸変性ポリビニルアルコール中におけるスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマーの含有量は、樹脂固形分を基準として、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。
上記スルホン酸基と重合性不飽和基を含有する化合物と共重合する脂肪酸ビニルエステルとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルおよびその他の直鎖または分岐状の飽和脂肪酸ビニルエステルが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも酢酸ビニルが好ましい。
その他の共重合可能な重合性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;アルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等などの(メタ)アクリロイル基含有モノマー;アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル系化合物;アルキルビニルエーテル、4−ヒドロキシビニルエーテルなどのビニルエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)のケン化度としては、50〜100mol%の範囲内であることが好ましく、60〜100mol%の範囲内であることがより好ましく、86〜100mol%の範囲内であることが更に好ましく、88〜99.9mol%の範囲内であることが特に好ましい。
通常、高ケン化度(高極性)になると、カーボンなどの無機顔料への吸着性は良くなるものの、溶媒との溶解性は落ち、立体反発層が形成できず分散性は劣ることとなる。しかし、本発明において、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)が顔料ペーストの分散性に効果を奏する理由としては、樹脂の側鎖に特定の官能基を導入することにより、比較的嵩高い側鎖官能基が立体障害となることで樹脂の融点を低下させ、また、高極性の側鎖によって樹脂の結晶性を低下させることができるため、溶媒への溶解性と顔料への吸着性が両立できたと考えられる。
上記樹脂(A1)の重合方法としては、それ自体既知の重合方法、例えば、有機溶媒中で溶液重合する方法により製造することができるが、これに限られるものではなく、例えば、バルク重合や乳化重合や懸濁重合等でもよい。溶液重合を行う場合には、連続重合でもよいしバッチ重合でもよく、モノマーは一括して仕込んでもよいし、分割して仕込んでもよく、あるいは連続的又は断続的に添加してもよい。
溶液重合において使用する重合開始剤は、特に限定するものではないが、具体的には、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)等のアゾ化合物;アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物;ジイソプピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物;アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシバレロニトリル等の公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。
重合反応温度は、特に限定するものではないが、通常30〜200℃程度の範囲で設定することができる。
ケン化をする場合の条件としては、特に限定されず、公知の方法でケン化することができる。例えば、メタノール等のアルコール溶液中において、アルカリ触媒又は酸触媒の存在下で、分子中のエステル部を加水分解することで行うことができる。
アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物や、アルコラート等を用いることができる。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸水溶液、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を用いることができるが、水酸化ナトリウムを用いることが望ましい。
ケン化反応の温度は、特に限定されないが、好ましくは10〜70℃、より好ましくは30〜40℃の範囲であることが望ましい。反応時間は、特に限定されないが、30分〜3時間の範囲で行なうことが望ましい。
上記樹脂(A1)は、合成終了後に脱溶媒及び/又は溶媒置換することで、固体又は任意の溶媒に置き換えた樹脂溶液にすることができる。置換溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アルコール類等が好ましい。
脱溶媒の方法としては、常圧で加熱により行ってもよいし、減圧下で脱溶媒してもよい。溶媒置換の方法としては、脱溶媒前、脱溶媒途中、又は脱溶媒後のいずれの段階で置換溶媒を投入してもよい。
スルホン酸基を含まないポリビニルアルコール樹脂(A2)
本発明の顔料ペーストに、必要に応じて含有することができるスルホン酸基を含まないポリビニルアルコール樹脂(A2)は、スルホン酸基非含有であり、かつケン化度が30〜100mol%であることを特徴とする。
上記スルホン酸基を含まないポリビニルアルコール樹脂(A2)は、それ自体既知の重合方法、例えば、酢酸ビニルに代表される脂肪酸ビニルエステルを重合し、加水分解することにより得ることができる。
上記脂肪酸ビニルエステルとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルおよびその他の直鎖または分岐状の飽和脂肪酸ビニルエステルが挙げられる。なかでも酢酸ビニルが好ましい。
上記スルホン酸基を含まないポリビニルアルコール樹脂(A2)は、前記スルホン酸基と重合性不飽和基を含有する化合物以外であれば、脂肪酸ビニルエステル以外の重合性不飽和モノマーと共重合して得ることもできる。
脂肪酸ビニルエステルと共重合可能な重合性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;アルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等などの(メタ)アクリロイル基含有モノマー;アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル系化合物;アルキルビニルエーテル、4−ヒドロキシビニルエーテルなどのビニルエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
尚、以下において、主として酢酸ビニルを引用して説明を行うが、本発明はそれに限定されるものではない。
ポリビニルアルコール樹脂の重合方法は、それ自体既知の重合方法、例えば、酢酸ビニルをアルコール系有機溶媒中で溶液重合してポリ酢酸ビニルを製造し、これをケン化する等の方法により製造することができるが、これに限られるものではなく、例えば、バルク重合や乳化重合や懸濁重合等でもよい。溶液重合を行う場合には、連続重合でもよいしバッチ重合でもよく、単量体は一括して仕込んでもよいし、分割して仕込んでもよく、あるいは連続的又は断続的に添加してもよい。
溶液重合において使用する重合開始剤は、特に限定するものではないが、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)等のアゾ化合物;アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物;ジイソプピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物;アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシバレロニトリル等の公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。
重合反応温度は、特に限定するものではないが、通常30〜150℃程度の範囲で設定することができる。
ポリビニルアルコール樹脂を製造する際のケン化条件は特に限定されず、公知の方法でケン化することができる。一般的には、メタノール等のアルコール溶液中において、アルカリ触媒又は酸触媒の存在下で、分子中のエステル部を加水分解することで行うことができる。
アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物や、アルコラート等を用いることができる。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸水溶液、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を用いることができるが、水酸化ナトリウムを用いることが望ましい。
ケン化反応の温度は、特に限定されないが、好ましくは10〜70℃、より好ましくは30〜40℃の範囲であることが望ましい。反応時間は、特に限定されないが、30分〜3時間の範囲で行なうことが望ましい。
このようにして得ることができるポリビニルアルコール樹脂は、重合度が100〜4,000であることが好ましく、100〜3,000であることがより好ましい。
また、ケン化度は、通常30〜100mol%の範囲内であり、好ましくは32〜85mol%の範囲内である。
本発明においてポリビニルアルコール樹脂のケン化度とは、ポリビニルアルコール樹脂に含まれる脂肪酸ビニルエステル由来の構成単位のうち、エステル結合が加水分解されているものの割合(mol%)を意味する。本発明においてケン化度は、ポリビニルアルコール樹脂を水酸化ナトリウムのようなアルカリ性物質で完全にケン化し、得られた脂肪酸塩(例えば酢酸塩)の量を測定することにより測定することができる。(完全にケン化したかは赤外吸光分析により確認することができる。)
尚、上記ポリビニルアルコール樹脂は市販品であっても良い。
上記ポリビニルアルコール樹脂(a1)は、合成終了後に脱溶媒及び/又は溶媒置換することで、固体又は任意の溶媒に置き換えた樹脂溶液にすることができる。置換溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、水などが好ましい。
脱溶媒の方法としては、常圧で加熱により行ってもよいし、減圧下で脱溶媒してもよい。溶媒置換の方法としては、脱溶媒前、脱溶媒途中、又は脱溶媒後のいずれの段階で置換溶媒を投入してもよい。
本発明の顔料ペーストにおいて、高極性のスルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)と比較的低極性のスルホン酸基を含まないポリビニルアルコール樹脂(A2)とを併用することによって樹脂同士が相溶化され、該樹脂混合物により、溶媒溶解性と顔料吸着性が更に両立できたと考えられる。
上記スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)及びポリビニルアルコール樹脂(A2)を用いる場合、その含有割合としては、樹脂固形分質量を基準として、通常51/49〜99/1であり、60/40〜95/5の範囲内であることが好ましい。
顔料(B)
本発明の顔料ペーストで用いることができる顔料(B)としては、従来公知のものを特に制限なく使用することができ、具体的には、例えば、チタン白、亜鉛華などの白色顔料;シアニンブルー、インダスレンブルーなどの青色顔料;シアニングリーン、緑青などの緑色顔料;アゾ系やキナクリドン系などの有機赤色顔料、ベンガラなどの赤色顔料;ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系及びキノフタロン系などの有機黄色顔料、チタンイエロー、黄鉛などの黄色顔料;カーボン、松煙などの黒色顔料;アルミニウム粉、銅粉、ニッケル粉、酸化チタン被覆マイカ粉、酸化鉄被覆マイカ粉及び光輝性グラファイトなどの光輝性顔料;アルミナ、マグネシア、シリカ、チタニア、ゼオライト、セリア、ジルコニアなどの各種触媒用無機材料等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
また、本発明の顔料ペーストは、顔料を微細かつ均一に分散し、長期に渡って安定化できるため、特に厳しい性能が要求される導電性顔料を含有する顔料ペーストに好適である。
導電性顔料としては、導電性カーボンが好ましく、具体的には、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック、バルカン、カーボンナノチューブ、グラフェン、気相成長カーボンファイバー(VGCF)、黒鉛等が挙げられる。好ましくは、アセチレンブラック、黒鉛等が挙げられ、より好ましくはアセチレンブラックが挙げられる。
上記導電性顔料の平均粒子径としては、粘度及び導電性の関係から、20〜100nmの範囲内であることが好ましく、33〜70nmの範囲内であることがさらに好ましい。
上記導電性顔料の比表面積としては、粘度及び導電性の関係から、1〜500m/gの範囲内であることが好ましく、30〜200m/gの範囲内であることがさらに好ましい。
上記導電性顔料のジブチルフタレート(DBP)吸油量としては、分散性及び導電性の関係から、60〜1000ml/100gの範囲内であることが好ましく、150〜800ml/100gの範囲内であることがさらに好ましい。
また、上記導電性顔料は、導電性の観点から、一次粒子が鎖状構造(ストラクチャー)を形成している状態が好ましく、ストラクチャー指数が1.5〜4.0の範囲内であることがより好ましく、1.7〜3.2の範囲内であることが特に好ましい。
ストラクチャー自体は電子顕微鏡で撮影した画像でも比較的容易に観察できるが、ストラクチャー指数はストラクチャーの度合いを定量化した数値である。ストラクチャー指数は一般的にDBP吸油量(ml/100g)を比表面積(m/g)で割った値で定義することができる。ストラクチャー指数が1.5未満であると、ストラクチャーが発達していないために、十分な導電性が得ることができず、また、4.0を超えるとDBP吸油量に対して粒子径が大きいために導電経路が減少し、十分な導電性を示さなくなるか、又は塗工材の粘度が高くなる恐れがある。
溶媒(C)
本発明の顔料ペーストで用いることができる溶媒(C)としては、従来公知のものを特に制限なく使用することができ、前述した樹脂(A1)及び樹脂(A2)の重合又は希釈に使用される有機溶剤などを好適に用いることができる。
上記溶媒(C)は、本発明の顔料ペーストの原料に含有して持ち込まれた溶媒を含めたものであり、2種以上の混合物であってもよい。
なかでも、本発明の顔料ペーストで用いることができる溶媒(C)は、比較的高極性である樹脂(A1)〔溶解性パラメーターは10.4〜15.0(cal/cm1/2程度〕との溶解性及び分散安定性の観点から、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エーテル基などの極性官能基を持つ溶媒を含有することが好ましい。また、溶解性パラメーターが、10.0(cal/cm1/2以上であることが好ましく、10.4〜15.0(cal/cm1/2の範囲内であることがより好ましく、10.5〜13.0(cal/cm1/2の範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、溶解性パラメーターとは、一般にSP値(ソルビリティ・パラメーター)とも呼ばれるものであって、溶媒や樹脂の親水性又は疎水性の度合い(極性)を示す尺度である。また、溶媒と樹脂、樹脂間の溶解性や相溶性を判断する上で重要な尺度となるものであり、溶解性パラメーターの値が近い(溶解性パラメーターの差の絶対値が小さい)と、一般的に溶解性や相溶性が良好となる。
溶媒の溶解性パラメーターは、J.BrandrupおよびE.H.Immergut編“Polymer Handbook” VII Solubility Parament Values,pp519−559(John Wiley& Sons社、第3版1989年発行)に記載される方法に従って求めることができる。2種以上の溶媒を組合せて混合溶媒として用いる場合、その溶解性パラメーターは、実験的に求めることができ、また、簡便な方法として、個々の液状溶媒のモル分率と溶解性パラメーターとの積の総和により求めることもできる。
また、樹脂の溶解性パラメーターは、当業者に公知の濁度測定法をもとに数値定量化されるものであり、具体的には、K.W.SUH、J.M.CORBETTの式(Journal of Applied Polymer Science,12,2359,1968)に準じて求めることができる。
顔料ペースト
本発明の顔料ペーストは、上記分散樹脂(A)、顔料(B)、溶媒(C)の他に、必要に応じて、その他の添加剤などを含有することができる。
その他の添加剤としては、中和剤、顔料分散剤、結着剤(バインダー)、消泡剤、防腐剤、防錆剤、可塑剤などを挙げることができる。顔料分散剤及び/又は結着剤としては、例えば、上記樹脂(A1)及び樹脂(A2)以外のポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリケート樹脂、塩素系樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びこれらの複合樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
顔料ペースト中の顔料分散樹脂固形分の含有量は、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下であることが、顔料分散時の粘度、顔料分散性、分散安定性及び生産効率などの面から好適である。特に導電性顔料ペーストの場合は、塗膜の導電性の観点から、導電性顔料ペースト固形分中の顔料分散樹脂固形分の含有量は、通常、30質量%以下、好ましくは0.1〜25質量%、より好ましくは1.0〜20質量%であることが好適である。
顔料ペーストは、以上に述べた各成分を、例えば、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、ペブルミル、LMZミル、DCPパールミル、遊星ボールミル、ホモジナイザー、二軸混練機、薄膜旋回型高速ミキサーなどの従来公知の分散機を用いて均一に混合、分散させることにより調製することができる。
塗工材
本発明の塗工材は、上記顔料ペーストに含まれる樹脂(A)、導電性顔料(B)、及び溶媒(C)を必須成分とするものであって、さらに必要に応じて、樹脂、顔料、溶媒、添加剤などを含有することができる。
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリケート樹脂、塩素系樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びこれらの複合樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
顔料としては、例えば、着色顔料、光輝性顔料、体質顔料、防錆顔料などが挙げられる。これらの顔料は1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
溶媒としては、特に制限はないが、前述した溶媒(C)と同様の溶媒を好適に用いることができる。上記溶媒は1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
添加剤としては、中和剤、顔料分散剤、消泡剤、防腐剤、防錆剤、可塑剤、粘性調整剤などが挙げられる。
塗工材中の樹脂(A)の含有量は、塗工材中の固形分を基準として、通常0.05〜80質量%、好ましくは0.1〜60質量%、より好ましくは0.2〜50質量%、特に好ましくは0.5〜40質量%であることが、顔料分散時の粘度、顔料分散性、貯蔵安定性、及び生産効率などの面から好ましい。
塗工材は、以上に述べた各成分を、例えば、ディスパー、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、ペブルミル、LMZミル、DCPパールミル、遊星ボールミル、ホモジナイザーなどの従来公知の撹拌機又は分散機を用いて均一に混合又は分散させることにより調製することができる。
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに説明する。
各種樹脂の重合方法、塗工材の製造方法、評価試験方法などは当該技術分野で従来公知の方法を用いている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能である。
各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)の製造
製造例1
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル及びアリルスルホン酸ナトリウム、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて、約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度270、ケン化度50モル%、スルホン酸基含有モノマー含有量3.0質量%のスルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂No.1を得た。
製造例2
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル及びアリルスルホン酸ナトリウム、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度270、ケン化度80モル%、スルホン酸基含有モノマー含有量3.0質量%のスルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂No.2を得た。
製造例3
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル及びアリルスルホン酸ナトリウム、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度90モル%、スルホン酸基含有モノマー含有量3.0質量%のスルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂No.3を得た。
製造例4
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル及びアリルスルホン酸ナトリウム、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度90モル%、スルホン酸基含有モノマー含有量8.0質量%のスルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂No.4を得た。
製造例5
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル及びアリルスルホン酸ナトリウム、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度90モル%、スルホン酸基含有モノマー含有量12.0質量%のスルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂No.5を得た。
製造例6
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度50モル%、スルホン酸基含有モノマー含有量3.0質量%のスルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂No.6を得た。
スルホン酸基を含まないポリビニルアルコール樹脂(A2)の製造
製造例7
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度500、ケン化度50モル%のポリビニルアルコール樹脂No.1を得た。
製造例8
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度500、ケン化度70モル%のポリビニルアルコール樹脂No.2を得た。
製造例9
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度500、ケン化度90モル%のポリビニルアルコール樹脂No.3を得た。
顔料ペースト及び塗工材の製造
実施例1〜16及び比較例1〜5
下記表1に記載した樹脂25部、顔料100部、及び溶媒600部を混合し、ボールミルにて5時間分散し、顔料ペーストを得た。さらに希釈溶媒100部を加え、塗工材X−1〜X−21を得た。尚、表中の樹脂配合量は固形分の値である。
また、下記表1に、全溶媒のSP値、及び後述する評価試験の結果(粘度、導電性、耐溶剤性)をあわせて記載する。
本発明においては、粘度、導電性、耐溶剤性の全ての性能に優れていることが重要であり、いずれか1つに「×」の評価がある場合、その塗工材は不合格となる。
Figure 0006731724
尚、実施例15の塗工材X−15については、上記表1に記載している溶媒2種類のそれぞれ14.3%(合計100部)を塗工材の希釈溶媒としている。
(注1)カーボンA:カーボンブラック、平均粒子径43μm、比表面積76m/g、DBP給油量212ml/100g、ストラクチャー指数2.8。
(注2)カーボンB:カーボンブラック、平均粒子径32μm、比表面積214m/g、DBP給油量175ml/100g、ストラクチャー指数0.82。
(注3)カーボンC:カーボンブラック、平均粒子径30μm、比表面積88m/g、DBP給油量103ml/100g、ストラクチャー指数1.2。
(注4)カーボンD:カーボンブラック、平均粒子径75μm、比表面積28m/g、DBP給油量65ml/100g、ストラクチャー指数2.3。
評価試験
<粘度>
得られた塗工材をコーン&プレート型粘度計「Mars2」(商品名、HAAKE社製)を用い、シアーレート1.0sec−1で粘度を測定し、下記基準により評価した。
◎:粘度が、1.0Pa・s未満である。
○:粘度が、1.0Pa・s以上、かつ2.0Pa・s未満である。
△:粘度が、2.0Pa・s以上、かつ5.0Pa・s未満である。
×:粘度が、5.0Pa・s以上である。
<導電性>
ポリプロピレン板(10cm×15cm×3mm)の上にアルミ箔テープ(住友3M社製、No.425)を3cm間隔で平行に2本貼り付けた。次いで、得られた導電ペーストをアルミ箔テープの間に長さ5cm、乾燥膜厚60μmになるようにアプリケーターで塗装し、35℃で24時間乾燥した。(幅3cm×長さ5cm×膜厚60μmの乾燥塗膜を作成した。)
アルミ箔テープ間に塗装した乾燥塗膜の抵抗率を「ディジタルマルチメーター MODEL73401」(商品名、横河メータ&インスツルメンツ社製)を用いて20℃の雰囲気で測定し、下記基準により導電性を評価した。
○:抵抗率が、0.0065Ωm未満であり、導電性は良好である。
△:抵抗率が、0.0065Ωm以上、かつ0.01Ωm未満であり、導電性はやや劣る。
×:抵抗率が、0.01Ωm以上であり、導電性は非常に劣る。
<耐溶剤性>
上記導電性試験で用いた乾燥塗膜の上にシクロヘキサノンを接触させた。3日後に溶剤を除去して指でラビング後の塗膜状態を観察し、下記基準により耐溶剤性を評価した。
○:塗膜の状態に変化なし。
△:塗膜が軟化する。
×:塗膜の一部又は全部が剥離する。

Claims (6)

  1. スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)を含有する分散樹脂(A)、顔料(B)、及び溶媒(C)からなる顔料ペーストであって、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)が、スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマーを0.1〜10質量%含有し、顔料(B)が、導電性カーボンであり、溶媒(C)が、有機溶剤であり、かつ、顔料ペースト固形分中の分散樹脂固形分の含有量が30質量%以下であることを特徴とする顔料ペースト。
  2. 溶媒(C)の溶解性パラメーターが、10.4〜15.0(cal/cm1/2の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の顔料ペースト。
  3. スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)のケン化度が50〜100mol%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の顔料ペースト。
  4. 分散樹脂(A)が、さらにケン化度30〜100mol%のスルホン酸基を含まないポリビニルアルコール樹脂(A2)を含有し、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A1)及びポリビニルアルコール樹脂(A2)の含有割合が、樹脂固形分質量を基準として、51/49〜99/1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の顔料ペースト。
  5. 請求項1又は2に記載の顔料ペーストを含有することを特徴とする塗工材。
  6. 請求項5に記載の塗工材を塗布して得られる物品。
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