JP6731589B2 - 蓄電池 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄電池に関する。
近年、電子機器の小型軽量化が進む中で、電源として高エネルギー密度電池の需要が増々高まっている。リチウムや亜鉛等の金属を負極活物質に含む蓄電池は、単位質量当りのエネルギー密度や出力密度が高いという利点があり、電子機器や車載用の電源として実用化や可能性の検討が行われている。
しかしながら、負極活物質に含まれるリチウムや亜鉛等の金属からはデンドライトが成長してセパレータの貫通ショートを起こすという問題があり、充放電サイクル寿命が短くなる原因になっていた。このような問題に対して、電解液に添加物を加えることが従来から行われている。
特許文献1には、「分子内に炭素原子を2個以上有し且つヒドロキシル基を1個以上有する有機物を少なくとも含むことを特徴とするアルカリ電池用電解液。」(請求項1)の発明について記載されている。
この発明は、段落[0007]に記載の「副反応により生じる水素ガスの発生や、亜鉛の析出時に発生するデンドライト、亜鉛の形状変化を抑制して、長期の充放電サイクル及び優れた充放電効率を実現し得るアルカリ電池用電解液及びアルカリ電池を提供する」ことを目的とするものである。
そして、段落[0017]には、「ヒドロキシル基は5個以下であることが好ましい。」と記載され、段落[0019]、[0020]には、前記有機物として、炭素数2〜6の一価アルコール、二価アルコール、三価アルコールが挙げられている。
特許文献2には、「負極と正極とを電解液を介して配置した二次電池であって、前記負極は、金属イオンを吸蔵放出する材料を負極活物質とするものであり、前記電解液は、ポリアルキレンイミン類、ポリアリルアミン類及び非対称ジアルキルスルフォン類からなる群より選ばれた少なくとも1種のデンドライト生成防止剤を含むものである、二次電池。」(請求項1)であって、「前記負極は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム及びそれらの合金からなる群より選ばれた材料を含む、‥二次電池。」(請求項6)の発明が記載されている。
この発明は、「デンドライトの生成を抑制して充放電を繰り返し実行することが可能な二次電池を提供することを主目的とする」(段落[0005])ものである。
そして、段落[0018]には、ポリエチレンイミン(PEI)を1%重量添加した6N水酸化水溶液を電解液とする亜鉛−空気電池では、デンドライトの生成が抑制され、充放電を繰り返し実行することが可能であったことが記載されている。
特許文献3には、「負極活物質として亜鉛あるいは亜鉛合金を含有する負極と、正極と、セパレータと、アルカリ電解液とを備えてなるアルカリ亜鉛電池であって、上記アルカリ電解液が、10重量%〜30重量%の水酸化カリウム水溶液にカチオン性有機物を含有させてなる‥アルカリ亜鉛電池。」(請求項1)であって、前記カチオン性有機物が、「第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第三級スルホニウム塩のいずれか1種以上」(請求項2)であり、「二次電池である‥アルカリ亜鉛電池。」(請求項7)の発明について記載されている。
この発明は、段落[0076]に記載の「水素ガス発生に伴う電池の膨張、漏液や、亜鉛負極における樹枝状あるいは海綿状の亜鉛の不均一な成長による内部短絡を防止し、漏液性やサイクル寿命に優れたアルカリ亜鉛二次電池を実現する」ことを目的とするものである。
また、アルカリ亜鉛二次電池についての実施例(段落[0171]〜[0245])として、電解液に添加するカチオン性有機物には、「塩化n−ドデシルトリメチルアンモニウム」をはじめ、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩が記載されており、段落[0216]には、「カチオン性有機物を0.1M以上飽和量以下において確実に溶解させるには、水酸化カリウム水溶液の濃度を30重量%以下とすることが好ましい」と記載され、段落[0229]には、「、カチオン性有機物の長鎖アルキル基の炭素数が3以上の場合に、アルカリ亜鉛二次電池の漏液および内部短絡が著しく抑制されることが判る。但し、前記置換基が炭素数15より大きい場合、特に21以上の場合においては放電容量が低下するため、カチオン性有機物の長鎖アルキル基の炭素数は3〜20、特に3〜15の範囲が好ましい」と記載されている。
特許文献4には、段落[0001]に記載の「ニトリル化合物を用いた電極表面被覆形成剤」についての発明が記載されている。段落[0003]には、「リチウムイオン電池安全性の向上のために高温での電解液の安定性の向上が求められている。」という課題が記載されており、段落[0051]には、ニトリル化合物について、「これらの化合物によって電極表面に安定な保護膜が形成されることにより、充放電効率が向上し得る。また、リチウム金属のデンドライト現象も安定な保護膜により抑制され得る。」、段落[0052]には、「本発明の電極表面被膜形成剤に用いられるニトリル基を有する化合物は、単独で用いても良いが、通常用いられている有機溶媒系電解液に対して通常0.1〜80重量%程度、好ましくは1〜50重量%程度、より好ましくは5〜30重量%程度含まれる。」と記載されている。
特許文献5には、電極活物質が「金属亜鉛」である「金属空気電池」(請求項1、11)について、「空気極6は、電解液槽1に溜める電解液3と接触するイオン交換膜8と接触するように設けてもよい。イオン交換膜8は、アニオン交換膜であってもよい。‥アニオン交換膜は、固定イオンである陽イオン基を有するため、電解液中の陽イオンは空気極6に伝導することはできない。これに対し、空気極6で生成した水酸化物イオンは陰イオンであるため、電解液へと伝導することができる。このことにより、金属空気電池45の電池反応が進行させることができ、かつ、電解液3中の陽イオンが空気極6に移動するのを防止することができる。このことにより、空気極6における金属や炭酸化合物の析出を抑制することができる。」と記載されている。
特許文献6には、「電解液保持性の多孔性絶縁膜と陽イオン交換膜からなるセパレータの多孔性絶縁膜側に正極層を有し、陽イオン交換膜側に負極層を有することを特徴とするLi二次電池。」(請求項1)の発明について記載されている。段落[0003]には、「電池寿命の短期化問題は、起電力や充放電容量の向上を目的にリチウムやリチウム合金、特にリチウムがリッチなリチウム合金を負極に用いるほど著しい。」との課題が記載されており、段落[0008]には、「従来の多孔性絶縁膜からなるセパレータの負極層側に陽イオン交換膜を付加することにより、負極表面でリチウムが化合物化して析出することを防止、ないし抑制した」と記載されている。
特開2013−84349号公報 特開2009−93983号公報 特開2003−297375号公報 特開2014−199815号公報 特開2014−44908号公報 特開平8−130034号公報
特許文献1〜4に記載された発明は、リチウムや亜鉛等のデンドライトを生成し得る金属を負極活物質に含む蓄電池において、前記金属の電解液への溶解度を低下させたり、析出形態を制御する特定の添加物を電解液に有することにより、充放電特性の悪化を誘発するデンドライトの生成等を抑制するものである。
しかし、これらの添加物は、高電位で作動する正極側の領域で分解消失して,充放電効率を低下させるため、実用化が困難であった。
特許文献5には、金属空気電池において、セパレータにアニオン交換膜を用いることが記載されており、電解液中を陽イオンが正極へ移動することを防止し、正極における金属の析出を抑制することが記載されている。
また特許文献6には、リチウムやリチウム合金を負極に用いる電池の負極側に陽イオン交換膜からなるセパレータを配置することにより、負極表面でリチウムが化合物化して析出することを抑制することが記載されている。
しかし、特許文献5,6には、特定の添加物を加えた電解液について、何ら記載されていない。
本発明者らは、先に、電解液中を拡散又は泳動によって移動することができる添加物の濃度を、セパレータで区切られた一方の領域で他方の領域より高くすることにより、前記添加物が、他方の領域で分解消失したり、副反応を起こすことを抑制し、充放電特性の優れた蓄電池を提供することができることを見出した(特願2015−151179)。
しかし、この電池が完成してから時間が経過すると、電解液の溶媒がセパレータを越えて移動し、アルカリ濃度や添加物の濃度が変わることで、最適な組成からずれてしまい、充放電特性が低下し、却って短寿命化してしまうという新たな課題が明らかになった。
本発明は、上記の課題を解決することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段である本発明は、以下のとおりである。
(1)本第一発明に係る蓄電池は、正極と、負極と、前記正極側の領域と前記負極側の領域とを区切るセパレータと、溶質と溶媒を含む電解液と、を有する蓄電池であって、前記電解液は、第一の添加物と第二の添加物を含み、前記セパレータは、溶媒及び電池反応に寄与するイオンは透過するが、少なくとも前記第一の添加物の透過率がこれらのイオンよりも低いという、分子量による選択的な透過性を有する半透膜であり、前記第一の添加物は、分子量が400以上であり、前記セパレータで区切られた前記正極側又は負極側のいずれか一方の領域における前記電解液中の前記第一の添加物の濃度が、他方の領域における濃度よりも高く、かつ、前記他方の領域における電解液中の前記第二の添加物の濃度が前記一方の領域における濃度よりも高く、前記第二の添加物は、第一の添加物の濃度差により生じる浸透圧差を減少させる機能を有することを特徴とする。
(2)本第二発明に係る蓄電池は、前記第一発明において、前記第一の添加物は、前記蓄電池における前記正極又は負極の充放電特性を高める物質であることを特徴とする。
(3)本第三発明に係る蓄電池は、前記第一又は第二発明において、前記負極は、デンドライトを生成し得る金属及び/又はその化合物を活物質とし、前記第一の添加物は、前記デンドライトを生成し得る金属及び/又はその化合物の前記電解液への溶解度を低下させる物質であることを特徴とする。
(4)本第四発明に係る蓄電池は、前記第一乃至第三発明のいずれかにおいて、前記第二の添加物は、正負極の電位範囲内で安定な有機物又は無機物であることを特徴とする。
(5)本第五発明に係る蓄電池は、前記第一乃至第四発明において、前記第二の添加物は、前記溶質と同じイオン、又は別種のイオンを含むことを特徴とする。
(6)本第六発明に係る蓄電池は、前記第一乃至第五発明のいずれかにおいて、前記セパレータは、前記第二の添加物の透過率が電池反応に寄与するイオンよりも低い選択的な透過性を有することを特徴とする。
(7)本第七発明は、前記第一乃至第六発明のいずれかに係る蓄電池の製造方法であって、前記セパレータで区切られた前記正極側又は負極側のいずれか一方の領域に前記第一の添加物を添加した電解液を配し、他方の領域に前記第二の添加物を添加した電解液を配することを特徴とする。
(8)本第八発明は、前記第一乃至第六発明のいずれかに係る蓄電池の製造方法であって、前記第二の添加物が電解液の溶質であり、前記セパレータで区切られた前記正極側又は負極側のいずれか一方の領域に前記第一の添加物を添加した低溶質濃度の電解液を配し、他方の領域に高溶質濃度の電解液を配することを特徴とする。
本発明により、電解液成分の濃度変動を抑制し、充放電特性等の優れた蓄電池を提供することができる。
本発明に係る蓄電池構造の概念図 透過試験に用いる二室セルの概略図
本発明者らは、セパレータで区切られた領域間で電解液中の添加物の濃度に差がある蓄電池では、充放電特性が低下してしまう原因を、以下のように推測した。
区切られた領域間で添加物の濃度差を保つために、添加物に対する選択透過性を有するセパレータを用いると、浸透圧に差が生じるので、浸透圧差を解消するために溶媒がセパレータを越えて浸透圧が高い領域から低い領域へと移動する。すると、電池完成から所定時間の経過後には、溶媒の移動によって、例えばアルカリ濃度や添加物濃度が予期せぬ濃度に変化してしまい、電池特性に影響を及ぼす。
極端な場合、浸透圧が低い領域では溶媒の移動によって、電極が電解液に濡れない部分が形成され、充放電時の反応が起こりやすくなる箇所と反応が困難になる箇所とが発生する(ドライアウト)。そのため、容量低下が起こりやすく、またサイクル寿命が低下しやすい。
本発明に係る蓄電池は、正極と、負極と、前記正極側の領域と前記負極側の領域とを区切るセパレータと、少なくとも第一の添加物及び第二の添加物を含む電解液とを有し、前記セパレータは、少なくとも第一の添加物に対して選択的な透過性を有し、前記セパレータによって区切られた一方の領域における前記電解液中の前記第一の添加物の濃度が、他方の領域における濃度よりも高く構成されるとともに、前記他方の領域における電解液中の第二の添加物の濃度が、前記一方の領域における濃度よりも高くなるように構成されるものである。
この第二の添加物は、第一の添加物の濃度差により生じる浸透圧差を減少させる機能を有するので、本明細書において、以下、「浸透圧差軽減剤」ともいう。
本発明に係る蓄電池構造の概念図を、図1に示す。隔膜(セパレータ)の左側は第一の添加物濃度が高い例えば負極側領域であり、右側は第二の添加物濃度が高い例えば正極側領域である。黒丸は第一の添加物を、白丸は第二の添加物(浸透圧差軽減剤)を表している。
本発明は、電解液が水系、非水系のいずれの蓄電池にも適用可能である。以下、水系、非水系の蓄電池に共通する実施形態について示す。
[第一の添加物]
本発明に係る第一の添加物は、セパレータによる選択透過性を有する物質であれば、無機物、有機物のいずれでも使用可能であるが、蓄電池における正極又は負極の充放電特性を高める性能を持つものであることが好ましく、例えば、正極又は負極の活物質上に安定な被膜を形成する等の機能を有することが好ましい。
負極がデンドライトを生成し得る金属及び/又はその化合物を活物質とする蓄電池である場合、デンドライトを生成し得る金属及び/又はその化合物の電解液への溶解度を低下させることが可能な物質であることが好ましい。例えば、特許文献1〜4に記載の有機物を第一の添加物として使用することが可能である。
ここで、充放電特性とは、サイクル特性のみならず、入出力抵抗や充電状態での容量維持などの特性も含み得る。負極の充放電特性を高める第一の添加物を使用した場合、負極側の添加物濃度が高いと本発明の効果が高く、正極の充放電特性を高める第一の添加物を使用した場合、正極側の添加物濃度が高いと本発明の効果が高い。
前記第一の添加物が有機物である場合は、正極上で分解されることによって二酸化炭素などのガスが生じることがあり、密閉型電池では電池の変形が生じるなどの不都合が生じることがある。そこで、有機物は、負極側に高濃度になるように用いることが好ましい。そうすることによって、ガス発生を抑制し、電池の密閉化を容易に達成できるなど、電池設計上の自由度を確保することができる。
前記第一の添加物は、前記電解液中を拡散又は泳動によって移動することができるものであり、蓄電池を充放電せずに静置した状態で、電解液中を移動することが可能なものである。すなわち、ゲル化するなどして負極近傍に固定化されていて、正極近傍に移動することがない添加物は、本発明の範囲に含まれない。
前記第一の添加物は、セパレータの選択透過性の効果が十分であるように、分子量が小さすぎないことが好ましい。分子量が400以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、5000以上であることがさらに好ましい。
一方、上記のように、分子量が大きい添加物を加えると、電解液の粘度が上昇してゲル化したり、溶解度が低下して、十分な量を添加することが困難になったりする傾向がある。そのような場合、例えば、ホモ重合体の一部のモノマーを他のモノマーに置換して、結晶性を乱したり、より親水性の高い官能基を導入したりすることにより、大きな分子量を有する添加物の溶解度を上げることができる。
セパレータで区切られた一方の領域に第一の添加物を添加した電解液を配することにより、一方の領域における第一の添加物の濃度を他方の領域における濃度より高くすることができる。第一の添加物の添加量は、組成や分子量によって異なるが、一方の領域の電解液100mLに対して下限として1g以上が好ましく、2.5g以上がより好ましく、特に5g以上が好ましい。上限としては15g以下が好ましく、12.5g以下がより好ましく、特に10g以下が好ましい。
1g/100mL以上とすることによって、充放電特性を向上させることができ、15g/100mL以下とすることによって、電解液の粘度が上がりすぎることを防ぐことができる。
前記第一の添加物は、蓄電池を充放電せずに静置した状態で、セパレータに区切られた一方の側の領域の濃度が、他方の領域の濃度よりもわずかでも高ければ、本発明の効果は奏し得る。なお、充放電時の局所的な電解液の濃度変化は時間的にすぐに緩和されるので、その影響は少ない。また、セパレータを自由に透過できる有機物は、浸透圧の関係で移動した分、それをキャンセルするために他のイオンなどが移動するために全体の浸透圧は変わらないから、本発明の添加物の範囲に含まれない。
[第二の添加物]
本発明に係る第二の添加物(浸透圧差軽減剤)は、電解液の溶媒に可溶で、正負極の電位範囲内で安定な物質であれば、電解液の溶質であってもよく、無機物、有機物のいずれでも使用可能であるが、イオン解離性を有することが好ましい。基本的には、イオン解離性物質から放出されたイオンのモル数に比例して浸透圧が変化するので、少ない質量で多数のイオンを放出する物質を選択することが好ましい。 無機物では、例えば、Li、K、Naの水溶塩、具体的には、リン酸塩、炭酸塩、塩化物等が好ましい。
有機物では、高電位下で安定度が高分子であって、分子量が400以上のものが好ましく、分子量が1000以上のものがより好ましい。官能基がCOOHやCOOK、COONaであるポリアクリル酸等が例示される。
前記第二の添加物を添加した電解液を、セパレータで区切られた他方の領域に配することにより、他方の領域における第二の添加物の濃度を一方の領域における濃度より高くすることができる。他方の領域における前記第二の添加物の添加量は、一方の領域における前記第一の添加物の含有量に応じて、浸透圧差を減少する量とする。浸透圧差を相殺する量が含まれることが好ましい。
[セパレータ]
本発明に係るセパレータは、電池反応に寄与するイオン等は透過するが、少なくとも前記第一の添加物の透過率がこれらのイオン等よりも低いという選択的な透過性を有している。前記セパレータは、分子量による選択的な透過性を有する膜(半透膜)であることが好ましい。半透膜は細孔径などの調整により、透過可能な分子量を調整することが比較的容易にできるため、電池設計の自由度が高くすることが可能である。また、前記セパレータはイオン交換膜を含むことがさらに好ましい。電池反応に寄与するイオンは透過させやすくすることができるためである。
本発明に係るセパレータは、第二の添加物に対しても選択的な透過性を有することが好ましい。セパレータを超える第二の添加物の移動が起きにくくなることで、電解液の溶質や添加物の濃度の変動をより効果的に抑制することができる。
本発明に係るセパレータは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン基材フィルムに、電子線加速装置によって加速された電子線を窒素雰囲気下で照射してラジカルを発生させた後、脱酸素されたアクリル酸溶液に浸漬してグラフト重合することにより得られた半透膜とすることが好ましい。この膜はOHイオンを選択的に透過する陰イオン交換膜でもある。
ポリオレフィンを基材とすることにより、高い耐酸化性、耐アルカリ性を有するセパレータとすることができる。また、透水度や透気度を調整するために、この膜に不織布や微多孔膜等を積層したセパレータとしてもよい。
ここで、セパレータに用いる膜の選択的な透過性を確認する試験として、本発明の実験に用いた25μm厚のポリエチレンフィルムにアクリル酸をグラフト重合した膜(以下、「イオン交換膜」という。)について、以下の透過試験1を行った。
<透過試験1>
図2に透過試験1に用いる二室セルの概略を示す。A、Bの二室は、直径8mmの連結部で連結され、全体が略H型である。その連結部に上記のイオン交換膜を挟み込んで二室を仕切り、A室には表1に記載の各添加物が10mass%溶解している水溶液10mLを入れ、B室には10mLの水を入れた。
25℃にて10日間保存後、B室の水に含まれる炭素量を測定し、その炭素量から、添加物の含有量に換算した透過量を求めた。
また、二室の添加物濃度が等しくなる場合(換算透過量が5mass%)を透過率100%として、グラフト膜のそれぞれの添加物に対する透過率を求めた。その結果を表1に示す。
この透過試験1の結果、当該膜は添加物の分子量の増大につれて透過率が低下し、1000以上の分子量で十分な選択透過性を有することがわかった。また、上記方法と同様の方法によって、4M水酸化カリウム溶液の透過試験を行った結果、当該膜はカリウムイオンおよび水酸化物イオンを透過することがわかった。
したがって、上記のイオン交換膜は、一方の領域における添加物の濃度を他方の領域における濃度より高くし、かつ、電池反応に寄与するイオン等は透過する選択透過膜であることがわかった。
[蓄電池の組立]
本発明においては、少なくとも第一の添加物に対して選択的な透過性を有するセパレータで区切られた前記正極側又は負極側のいずれか一方の領域に前記第一の添加物を添加した電解液を配し、他方の領域に前記第二の添加物を添加した電解液を配することにより蓄電池を組み立てることができる。セパレータが少なくとも第一の添加物に対して選択的な透過性を有することにより、一方の領域における添加物の濃度は、他方の領域における濃度よりも高く維持され、かつ他方の領域における第二の添加物(浸透圧差軽減剤)により、浸透圧差が減少し、電解液中の溶質の濃度や、第一の添加物濃度などの変化を抑制することができる。
第二の添加物が電解液の溶質である場合は、溶質濃度の異なる電解液を作製し、セパレータで区切られた一方の領域に第一の添加物を加えた低溶質濃度の電解液を配し、他方の領域に高溶質濃度の電解液を配すればよい。
次に、本発明が、水系電解液を有するアルカリ蓄電池、及び非水系電解液を有するリチウム二次電池である場合について、それぞれ説明する。
[アルカリ蓄電池の負極]
本発明に係るアルカリ蓄電池は、負極が亜鉛、マグネシウム、アルミニウム又はそれらの合金を含有することが好ましい。亜鉛負極の場合、活物質は酸化亜鉛(ZnO)及び金属亜鉛(Zn)の一方又は両方であることが好ましい。
負極は、例えば、上記負極活物質の粉末、アセチレンブラック、PbO等の粉末に、水、及びポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンラバー等のバインダを加えてペーストを作製し、このペーストを発泡銅、発泡ニッケル等の基材に充填もしくは穿孔鋼板に塗布して、充分に乾燥させた後、ロール加工を施し、裁断することにより、作製することができる。
[アルカリ蓄電池の正極]
本発明に係るアルカリ蓄電池は、正極が、ニッケル、酸化銀、二酸化マンガン、空気等であることが好ましい。本発明では、添加物に対して選択透過性を有するセパレータを用いることにより、負極側の領域における添加物が正極側の領域へ透過することを抑制することができるため、最大作動電圧がHg/HgOの電極の電位に対して0.4V以上である正極を用いることができる。例えば、正極としては、オキシ水酸化ニッケルを主たる成分とする金属水酸化物と発泡ニッケルなどの集電体とで構成されたニッケル極、炭素材料と酸素還元触媒と結着剤で構成された空気極等を用いることができる。
[アルカリ蓄電池の電解液]
電解液としては、例えば、水にアルカリ金属の水酸化物を溶解させたものを用いることができ、アルカリ金属の水酸化物としては、KOH、NaOH、LiOH等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。水酸化物の濃度は、下限として3M以上であることが好ましく、4M以上であることがより好ましい。上限としては、9M以下であることが好ましく、6M以下であることがより好ましい。3M以上とすることにより、自己放電を抑制することができ、9M以下とすることにより、電解液の粘度の増大を抑制することができる。
なお、本発明は、第二の添加物が電解液の溶質(アルカリ金属の水酸化物)であって、セパレータで区切られた領域間で溶質の濃度に差を付ける態様を含んでよい。より少ない添加量で浸透圧を生じさせるイオン濃度を上げるためには、第二の添加物が、アニオンとカチオンがともにセパレータに対して選択透過性を有する、例えば、炭酸塩やリン酸等の電解質塩であることがより好ましい。
負極が亜鉛又はそれらの合金を含む場合、電解液は、酸化亜鉛を飽和濃度で含むことが好ましい。酸化亜鉛を含むことによって、負極に含まれる亜鉛の溶出を抑制することができる。
[リチウム二次電池の負極]
本発明をリチウム二次電池に適用する場合、負極は、リチウム又はリチウム合金を活物質とすることが好ましい。リチウム合金としては、リチウムにAl、Sn、Bi、In、Ag等を合金化したものが使用できる。
[リチウム二次電池の正極]
正極の活物質としては、二酸化マンガン、五酸化バナジウムのような遷移金属化合物や、硫化鉄、硫化チタンのような遷移金属カルコゲン化合物、Li1+XMeO(0≦x、MeはCo、Ni及びMnから選択される一種以上の遷移金属)で表されるα−NaFeO型、又はLiMn等のスピネル型のリチウム遷移金属複合酸化物、これらの複合酸化物の遷移金属サイト又はリチウムサイトをAl、V、Fe、Cr、Ti、Zn、Sr、Mo、W、Mgなどの金属元素、若しくはP、Bなどの非金属元素で置換した化合物、LiFePO等のオリビン型のリン酸化合物を用いることができる。
[リチウム二次電池の電解液]
リチウム二次電池の電解液に用いる非水溶媒は、非水電解液二次電池に通常使用されるものから選択することができる。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、通常、誘電率、粘度、作動温度域等を調整するために2種以上混合して用いられる。
リチウム二次電池の電解液に用いる溶質(電解質塩)としては、例えば、LiClO、LiBF、LiAsF6、LiPF、LiB(C、LiSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、NaClO、NaI、NaSCN、NaBr、KClO4、KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、(CHNBF、(CH)4NBr、(CNClO、(CNI、(CNBr、(n−CNClO、(n−CNI、(CN−maleate、(CN−benzoate、(CN−phthalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
なお、リチウム二次電池においても、第二の添加物が上記の溶質(電解質塩)であって、セパレータで区切られた正負極領域間の溶質(電解質塩)濃度が異なる電解液を使用することができる。
以下、本発明をアルカリ蓄電池に適用した場合の実施例を示すが、本発明が以下の実施例に限定されないことはもちろんである。
まず、浸透圧差解消の確認を、以下の透過試験2により行った。
<透過試験2>
・電解液a
分子量13,000の変性ポリビニルアルコール(以下、「変性PVA-1」という。)を第一の添加物aとし、これを5g/100mLとなるように純水に投入して、撹拌し、その後、温度を90℃まで上昇させてさらに撹拌した。変性PVA−1が十分に溶解することを確認した後、室温まで冷却し、変性PVA−1水溶液を調製した。この水溶液にKOH粉末を加えて溶解し、4M濃度のKOH溶液(以下、「4MKOH」という。)に変性PVA−1(第一の添加物a)が含まれた電解液aを作製した。
・電解液b
分子量13,000のOH基をSOH基で置換した変性ポリビニルアルコール(以下、「変性PVA−2」という。)を第一の添加物bとし、これを10g/100mLとなるように純水に投入して、前記と同様の手順で変性PVA−2水溶液を調製した。この水溶液に、KOH粉末を加えて溶解し、4MKOHに変性PVA−2(第一の添加物b)が含まれた電解液bを作製した。
・電解液c1、c2
純水にKOH粉末とKCO(第二の添加物)粉末を投入して溶解し、4MKOHにKCOが0.1M含まれた電解液c1、及びKCOが0.5M含まれた電解液c2を作製した。
・電解液d1、d2
分子量10,000のポリアクリル酸ナトリウム(以下、「PA」という。)を第二の添加物dとし、これを0.08g/100mL、及び0.8g/100mL含む2種の水溶液を調製した。これらの水溶液にKOH粉末を加えて溶解し、4MKOHにそれぞれの濃度の第二の添加物dが含まれた電解液d1、及び電解液d2を作製した。
透過試験1と同じ二室セルを用い、A室には電解液a又はbを、B室には電解液c〜d2又は4MKOHのいずれかを、それぞれ15mL注入した。その後、25℃にて10日間保存し、液の移動を観察した。結果を表2に示す。
この透過試験により、適量の第二の添加物の使用が第一の添加物による浸透圧差を減少させ、液量の平衡を保つ効果があることを確認することができた。
続いて、電解液a、電解液c1、及び4MKOHを用いて、以下の実施例及び比較例に係る試験セルを作製した。
[実施例]
<電解液の作製>
電解液a、及び電解液c1にそれぞれZnO粉末を過剰投入して25℃にて24時間撹拌した。その後、濾過して余剰分のZnOを取り除くことによって、亜鉛飽和電解液a´、電解液c1´を作製した。
<電極の作製>
ZnO粉末、アセチレンブラック(AB)、PbO粉末を所定量秤量して撹拌した。その後、水およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョンを加えて、さらに撹拌してペーストを作製した。固形分は、それぞれ、ZnO:AB:PTFE:PbO=88:5:5:2(mass%)となるようにして、水分率はペースト全体の65mass%となるように調整した。そのペーストを厚み1mm、面積当たりの密度が0.45g/cmの発泡銅基材に充填して、充分に乾燥させた後、ロール加工を施した。これにより、厚さが0.35mmのZnO電極のシートを得た。この基材を2cm×2cmに裁断することによって、ZnO電極(以下、「亜鉛極」という。)を得た。この亜鉛極の理論容量は、100mAhとなるように、ペースト充填量を調整されている。
正極には、容量過剰のシンター式ニッケル電極を用いた。
<イオン交換膜の作製>
厚さ25μmの架橋ポリエチレンフィルムに、電子線加速装置によって加速電圧を300kV、ビーム電流を10mAとした電子線を窒素雰囲気下で100kGy(キログレイ)照射し、あらかじめ窒素によって脱酸素されたアクリル酸20重量部、水79重量部、モール氏塩1重量部からなる溶液中に常温で3時間浸漬してグラフト重合したイオン交換膜を得た。
<試験セルの作製>
上記のように作製した亜鉛極(負極)を、上記のイオン交換膜を用いて袋状に包んだ。さらにその上にポリプロピレンおよびポリエチレンを使用した繊維で構成された不織布を袋状に重ねて配置してセパレータとした。上記イオン交換膜の袋内に、上記の電解液a´を0.2mL注入した。この亜鉛極の両側に正極を配置し、これらの電極を容器に入れ、容器の正極側の領域には上記の電解液c1´を0.8mL注入した。また、参照極としてHg/HgO電極を設けた。その後、それぞれの電解液が電極に浸透するまで静置した。これにより、開放型の試験セルを作製した。
[比較例1]
負極側、正極側の領域における電解液として、ともに4MKOHを用いた以外は、実施例と同様にして、比較例1に係る試験セルを作製した。
[比較例2]
負極側の領域における電解液として電解液a´を、正極側の領域における電解液として4MKOHを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る試験セルを作製した。
<サイクル試験>
実施例、及び比較例1、2の試験セルについて、以下の充電放電条件を繰り返して、25℃の環境下にて、サイクル試験を行った。
電流を0.5CmA(50mA)として、定電流定電圧(制限電位 1.55V)にて50mAh充電し、5分間休止した後、参照極に対して−0.8Vとなるように放電した。上記の条件にてサイクル試験を行い、初期容量の80%以下になったサイクル数をサイクル寿命として評価した。
サイクル試験の結果を、以下の表3に示す。
比較例1は、負極側の電解液に充放電特性を向上させる第一の添加物を含まず、サイクル寿命が60回であった。正極側にも添加物を含まないので、負極側と正極側との電解液に浸透圧差が生じず、溶媒の移動による悪影響はない。
比較例2は、負極側の電解液に充放電特性を向上させる添加物を含むが、サイクル寿命が極端に短かった。これは、第一の添加物の濃度差により浸透圧差が生じ、正極側の電解液に浸透圧差を軽減する第二の添加物を含まないため、溶媒が正極側から負極側に移動し、正極側の電解液が早期に減少(ドライアウト)したためと考えられる。
これに対して、実施例では、サイクル寿命の改善効果がみられた。これは、第一の添加物による充放電特性の改善とともに、第一の添加物の濃度差により生じる浸透圧差を第二の添加物が打ち消すことにより、溶媒の移動が抑制され、電解液における溶質や添加物の濃度の変動が抑制されたためと考えられる。
本発明に係る蓄電池は、少なくとも第一の添加物に対する選択透過性を有するセパレータを用い、セパレータで区切られた一方の領域の電解液に含まれる第一の添加物の濃度が他方の領域よりも高く、他方の領域に含まれる第二の添加物の濃度が一方の領域よりも高いことにより、一方から他方の領域へ第一の添加物が透過することを抑制するとともに、第二の添加物により、前記第一の添加物の濃度差によって生じる浸透圧差を減少し、他方から一方の領域へ溶媒が移動することを防止することができる。したがって、電解液成分の濃度が変動して電池特性に悪影響を及ぼすことがなく、充放電特性等が改善される。よって、電子機器、電気自動車等の電源としての利用が期待される。

Claims (8)

  1. 正極と、
    負極と、
    前記正極側の領域と前記負極側の領域とを区切るセパレータと、
    溶質と溶媒を含む電解液と、を有する蓄電池であって、
    前記電解液は、第一の添加物と第二の添加物を含み、
    前記セパレータは、溶媒及び電池反応に寄与するイオンは透過するが、少なくとも前記第一の添加物の透過率がこれらのイオンよりも低いという、分子量による選択的な透過性を有する半透膜であり、前記第一の添加物の分子量は、400以上であり、
    前記セパレータで区切られた前記正極側または負極側のいずれか一方の領域における前記電解液中の前記第一の添加物の濃度が、他方の領域における濃度よりも高く、かつ、
    前記他方の領域における電解液中の前記第二の添加物の濃度が前記一方の領域における濃度よりも高く、前記第二の添加物は、第一の添加物の濃度差により生じる浸透圧差を減少させる機能を有することを特徴とする蓄電池。
  2. 前記第一の添加物は、前記蓄電池における前記正極又は負極の充放電特性を高める物質であることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池。
  3. 前記負極は、デンドライトを生成し得る金属及び/又はその化合物を活物質とし、前記第一の添加物は、前記デンドライトを生成し得る金属及び/又はその化合物の前記電解質への溶解度を低下させることが可能な物質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電池。
  4. 前記第二の添加物は正負極の電位範囲内で安定な有機物又は無機物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蓄電池。
  5. 前記第二の添加物は前記溶質と同じイオン、又は別種のイオンを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蓄電池。
  6. 前記セパレータは、前記第二の添加物の透過率が電池反応に寄与するイオンよりも低い選択的な透過性を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の蓄電池。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の蓄電池の製造方法であって、前記セパレータで区切られた前記正極側又は負極側のいずれか一方の領域に前記第一の添加物を添加した電解液を配し、他方の領域に前記第二の添加物を添加した電解液を配することを特徴とする蓄電池の製造方法。
  8. 請求項1〜6に記載の蓄電池の製造方法であって、前記第二の添加物が前記電解液の溶質であり、前記セパレータで区切られた前記正極側又は負極側のいずれか一方の領域に前記第一の添加物を添加した低溶質濃度の電解液を配し、他方の領域に高溶質濃度の電解液を配することを特徴とする蓄電池の製造方法。
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