JP6731055B2 - ブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法に関する。
血漿分画製剤やバイオ医薬品の製造工程に混入したウイルスに対する対策は、ウイルスの検出、不活化及び除去である。
ウイルスを不活化する方法には、加熱処理法や化学薬品処理法(例えば、Solvent/Detergnt:S/D処理)等がある。これらの方法は、ヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus;HIV)やC型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus;HCV)等のエンベロープウイルスに対して特に有効な不活化処理方法として知られている。
しかし、ヒトパルボウイルスB19(Human parvovirus B19;B19)やA型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus;HAV)等のノンエンベロープウイルスは、上記ウイルス不活化方法に対して抵抗性を有しており、エンベロープウイルスに対するほどの効果が期待できない。
ウイルスを除去する方法には、膜ろ過法等がある。膜ろ過法は、粒子の大きさに応じて分離操作を行うので、分離する対象の化学的特性や熱的性質に拘わらず、大きさのみに応じて、ウイルスを除去することができるという利点があると考えられている。そのため、近年、ウイルス除去膜による膜ろ過法が一般的に採用されている。また、セルロース系ウイルス除去膜は素材が親水性の天然素材であるため、タンパク製剤の膜への吸着が少なく、幅広い製剤の製造において用いられている。
ノンエンベロープウイルスであるパルボウイルスとしては、例えば、B19、マウス微小ウイルス(Minute virus of mice;MVM)、ブタパルボウイルス(Porcine parvovirus;PPV)等がある。
B19はパルボウイルス科(Parvoviridae)に属する直鎖一本鎖DNAウイルスであり、その大きさは約18〜24nmである。
パルボウイルス等に対する堅牢性の高いウイルス除去方法としても、ウイルス除去膜による膜ろ過法が普及している。この膜ろ過法の基本原理は、使用するウイルス除去膜の孔径によって、目的タンパク質はウイルス除去膜を通過するが、ウイルスは通過できない条件を設定することによって達成される。
特許文献1には、B19の除去について、アミノ酸溶液をpH4〜8に調整することによりB19を凝集させ、膜にB19を捕捉させる手法が開示されている。
また、特許文献2には、タンパク質溶液をpH6未満かつ電気伝導度7mS/cm以下に調整して保持することによりB19を凝集させ、次いで単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径を有する親水性膜に該タンパク質溶液を透過させることを特徴とする、タンパク質溶液中のウイルスを除去する方法が開示されている。
ブタサーコウイルス(Porcine Circovirus;以下、「PCV」という場合がある。)は現在知られている最も小さなウイルスであり、その粒子径は16〜20.7nmである。PCVは、サーコウイルス科に属し、例えばPCV1、PCV2等に分類される。PCVはバイオ医薬品の製造工程に混入するリスクの高いウイルスの一つであり、2010年に混入事例が報告されている。PCVは、低pH処理、加熱処理にも耐性であり、非特許文献1における検討によれば、PCVを単分散させた溶液中でのウイルス除去膜の除去率は、Planova20Nで0.1−0.7log、Planova15Nで1.3−1.8logと低いウイルス除去性能しか得られず、多くのバイオ医薬品の製造工程で導入されているウイルス除去膜では除去できない。
一方、非特許文献1には、PCVはイオン交換体処理では吸着除去できることが開示されているものの、これまでに、より効果的にPCVを除去する方法の検討が十分にされているとはいえない。
特開2004−339079号公報 特開2006−151840号公報
Yan B, et al., Porcine Circovirus (PCV) removal by Q sepharose fast flow chromatography. Biotechnol. Prog. 2013; 29:1464−1471.
本発明が解決しようとする課題は、ブタサーコウイルスが夾雑する溶液の新規な処理方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法として、特定のpHに調整したブタサーコウイルスが夾雑する溶液を、特定のろ過膜で処理する、新規な処理方法を提供することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下のとおりである。
(1)
ブタサーコウイルスが夾雑する溶液のpHを3.0〜7.0に調整する工程、及び
pHを調製した溶液を、バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜で処理する工程を含む、ブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
(2)
前記pHを調製した溶液が0.50M以下のグリシンを含む、(1)に記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
(3)
0.010〜0.40Mのグリシンを含む、(2)に記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
(4)
0.20〜0.35Mのグリシンを含む、(2)に記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
(5)
前記ブタサーコウイルスが夾雑する溶液が5.0w/v%以下のタンパク質を含む、(1)〜(4)のいずれかに記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
(6)
前記ブタサーコウイルスが夾雑する溶液のタンパク質濃度が0.10w/v%未満の場合、前記ブタサーコウイルスが夾雑する溶液のpHを3.0〜6.0に調整する、(5)に記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
(7)
前記ブタサーコウイルスが夾雑する溶液のタンパク質濃度が0.10〜1.5w/v%の場合、前記ブタサーコウイルスが夾雑する溶液のpHを3.8〜7.0に調整する、(5)に記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
(8)
前記タンパク質がIgGである、(5)〜(7)のいずれかに記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
(9)
前記pHを調製した溶液を、50〜100L/m2で処理する、(1)〜(8)のいずれかに記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
(10)
ブタサーコウイルスに対するLRVが2以上である、(1)〜(9)のいずれかに記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
(11)
被処理溶液のpHを3.0〜7.0に調整する工程、及び
pHを調製した溶液を、バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜で処理する工程を含む、溶液の処理方法。
本発明によれば、ブタサーコウイルスが夾雑する溶液の新規な処理方法を提供することができる。
実施例1において、0.30Mグリシンバッファーを用いて、pH3.0〜8.0の条件下でのPCV除去能力の変化を確認した結果を示す図である。 実施例2において、0.10〜2.0Mグリシンバッファー(pH4.0)の条件下での、PCV除去能力の変化を確認した結果を示す図である。 実施例3において、0.10%IgG及び0.10Mグリシン条件下でのpHのPCV除去に及ぼす影響を確認した結果を示す図である。 実施例4において、0.10%IgG及びpH6.0条件下でのグリシン濃度のPCV除去に及ぼす影響を確認した結果を示す図である。 実施例5において、0.30Mグリシンバッファー(pH6.0)条件下でのIgG濃度のPCV除去に及ぼす影響を確認した結果を示す図である。 実施例6において、1.0%IgG含有0.30Mグリシン(pH6.0)条件下でのP−15及びP−20でのろ過後のIgG回収率を確認した結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態の、ブタサーコウイルス(PCV)が夾雑する溶液の処理方法は、
ブタサーコウイルスが夾雑する溶液のpHを3.0〜7.0に調整する工程、及び
pHを調製した溶液を、バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜で処理する工程を含む。
本実施形態の処理方法に供される試料は、PCVが夾雑する溶液である。
本明細書において「PCVが夾雑する溶液」は、PCVが溶液中に存在する溶液であってもよく、PCVの夾雑可能性がある溶液を含む。
PCVの夾雑可能性がある溶液としては、PCVが実際に夾雑している必要はなく、溶液の作成過程において、PCVが夾雑する可能性がある溶液であってよい。PCVの夾雑可能性がある溶液としては、PCVが夾雑していることを妨げるものではない。
PCVが夾雑する溶液としては、例えば、PCVの夾雑可能性があるタンパク質を含む溶液であってもよいし、PCVの夾雑可能性があり、タンパク質を含まない溶液であってもよく、PCVが夾雑し、タンパク質を含む溶液であってもよく、PCVが夾雑し、タンパク質を含まない溶液であってもよい。
PCVが夾雑する溶液としては、例えば、ヒトや哺乳動物等の体内液体成分である体液等が挙げられ、体液の具体例としては、特に限定されるものではないが、血液(血清及び血漿)、唾液、汗、尿、鼻水、精液、血漿、リンパ液、酵素及び組織液等が挙げられる。
PCVが夾雑する溶液としては、これらの体液等を原料として精製して得られた溶液であってもよく、体液等を希釈して得られる体液等を含有する溶液であってもよい。
PCVが夾雑する溶液には、細胞培養後の培地、細胞培養後の培養上清等であってもよく、細胞としては遺伝子組換えの技術のために使用される細胞であってもよい。
PCVが夾雑する溶液としては、これらの培地等を原料として精製して得られた溶液であってもよく、培地等を希釈して得られる培地等を含有する溶液であってもよい。
PCVが夾雑する溶液としては、細胞培養で作られるワクチン、抗体医薬、遺伝子組み換え製剤等であってもよい。また、その製造工程において生体組織由来の酵素を用いるような製剤等であってもよい。
本明細書において、PCVが夾雑する溶液には、タンパク質を含んでいても含んでいなくてもよいが、5.0w/v%以下のタンパク質を含む、すなわち、0〜5.0w/v%のタンパク質を含むことが好ましい。
本実施形態において体液や培地等を原料として精製して得られた溶液には、タンパク質が含まれる。
本実施形態において、PCVが夾雑する溶液に含有されるタンパク質としては、特に限定されないが、例えば、抗体、エリスロポイエチン、トロンボポイエチン、組織型プラスミノーゲンアクチベータ、プロウロキナーゼ、トロンボモジュリン、アンチトロンビンIII、プロテインC、血液凝固因子VII、血液凝固因子VIII、血液凝固因子IX、血液凝固因子X、血液凝固因子XI、血液凝固因子XII、プロトロンビン複合体、フィブリノゲン、アルブミン、性腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、上皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、ケラチノサイト増殖因子、アクチビン、骨形成因子、G−CSF、M−CSF等の幹細胞因子(SCF)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン10、インターロイキン11、可溶性インターロイキン4受容体、腫瘍壊死因子α、Dnasel、ガラクトシダーゼ、αグルコシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、ヘモグロビン、トランスフェリン等のタンパク質、及びこれらタンパク質の部分断片が挙げられる。
本実施形態において、PCVが夾雑する溶液に含有されるタンパク質としては、上述のタンパク質又はそのタンパク質の部分断片に放射性同位元素、低分子の薬剤、高分子の薬剤、又は異なるタンパク質又はそのタンパク質の部分断片等を化学的又は遺伝子工学的に結合させたタンパク質又はそのタンパク質の部分断片であってもよい。
PCVが夾雑する溶液に含有されるタンパク質としては、免疫グロブリン等の抗体が好ましく、免疫グロブリンのうちでもIgGが好適である。
PCVが夾雑する溶液にタンパク質を含有する場合、PCVが夾雑する溶液の具体例としては、特に限定されるものではないが、抗体製剤の製造工程で得られる溶液が挙げられる。
抗体の分離精製工程では、原料血漿のイオン濃度、アルコール濃度、反応温度及びタンパク濃度を適切に組み合わせることによって、原料血漿中に含まれているタンパク質の溶解度をコントロールし、特定のタンパクを沈殿させる。そして、沈殿させたタンパク質と上澄みを高速遠心分離器で分離した後、必要な沈殿物又は上澄みを採取する。そして、その得られた沈殿物又は上澄みに対し、前記条件とは異なる条件を適宜設定することで別のタンパク質を沈殿させる。以上の工程を繰り返して原料血漿から不純物を順次除去していくことで、高純度の抗体を含有する溶液が得られる。抗体の分離精製工程中に得られる溶液のいずれも、本実施形態におけるPCVが夾雑する溶液として用いることができる。
抗体としては、例えば、ヒト抗体、ヒト型キメラ抗体及びヒト型相補性決定領域移植抗体等のヒト化抗体、並びにこれらの抗体断片等が挙げられる。
抗体は可変領域(V領域)と定常領域(C領域)より構成され、重鎖の可変領域をVH、軽鎖の可変領域をVL、重鎖の定常領域をCH、軽鎖の定常領域をCLという。
ヒト型キメラ抗体とは、ヒト以外の動物の抗体のVH及びVLとヒト抗体のCH及びCLとからなる抗体をいう。ヒト型キメラ移植抗体は、ヒト以外の動物の抗体のVH及びVLをコードするcDNAを設計、構築し、ヒト抗体のCH及びCLをコードするcDNAを有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型キメラ移植抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させ、製造することができる。
ヒト型キメラ抗体のCHとしては、ヒト免疫グロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、さらにhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型キメラ抗体のCLとしては、hIgに属すればいずれのものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
ヒト以外の動物とは、マウス、ラット、ハムスター、ラビット等をいう。また、IgGの共存によってMVM、PPVの凝集が阻害されることが知られている。
抗体の断片としては、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv、diabody、dsFv及びCDRを含むペプチド等が挙げられる。
Fabは、IgG型抗体分子をタンパク質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち(H鎖の224番目のアミノ酸残基で切断される)、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体がジスルフィド結合で結合した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。Fabは、抗体をタンパク質分解酵素パパインで処理することにより又は、該抗体のFabをコードするDNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより、製造することができる。
本実施形態において、PCVが夾雑する溶液のpHを3.0〜7.0に調整する工程は、PCVが夾雑する溶液のpHを測定し、pHを3.0〜7.0に調整することにより行われる。
PCVが夾雑する溶液のタンパク質濃度が0.10w/v%未満の場合には、PCVが夾雑する溶液のpHをpH3.0〜6.0に調整するのが好ましい。
PCVが夾雑する溶液のタンパク質濃度が0.10〜1.5w/v%の場合には、PCVが夾雑する溶液のpHを3.8〜7.0に調整するのが好ましく、より好ましくはpH5.5〜6.5に調整する。
pH調整は塩基、酸及び緩衝液を用いて行なうことができる。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウムが挙げられ、酸としては、無機酸及び有機酸のいずれを用いてもよく、例えば、塩酸が挙げられ、緩衝液としては、例えば、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液及びリン酸緩衝液等が挙げられる。
ウイルス除去の観点から、pHを調整して得られた溶液は、グリシンを含むことが好ましい。
pHを調整した溶液におけるグリシン濃度は0.50M以下、すなわち、0〜0.50Mであることが好ましく、より好ましくは0.010〜0.40Mであり、さらに好ましくは0.20〜0.35Mである。
PCVが夾雑する溶液のタンパク質濃度が0.10〜1.5w/v%の場合には、pHを調整した溶液におけるグリシン濃度を0.010〜0.50Mに調整するのが好ましく、より好ましくは0.010〜0.30Mに調整する。
PCVが夾雑する溶液にタンパク質が含有される場合、pHを調整した溶液におけるグリシン濃度やpHは、当該タンパク質の濃度によっても適宜調整される。
本実施形態においては、pHを調整することによって、目的タンパク質の性質及び収率に影響を与えることなく、ろ過によりPCVを効果的に除去することができる。また、グリシン濃度を好適な範囲に調整することによって、より効果的にPCVを除去することができる。
これは、理論に束縛されるものではないが、試料中に夾雑するPCVが凝集し、試料中に含有される目的タンパク質の分子よりも凝集したPCVが大きくなることにより、効率的に除去されたためと考えられる。
本実施形態において、pHを調製した溶液を、バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜で処理する工程は、バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜に、pHを調製した溶液を通液することにより行われる。
本実施形態においては、バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜で処理することで、PCVを効果的に除去することができる。
バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜とは、使用するろ過膜に対し、バクテリオファージ PP7を含む溶液を50L/m2負荷した場合におけるLRVが4以上となる膜である。バクテリオファージ PP7を含む溶液としては、1mg/mLのBSA溶液(PBSバッファー、pH 7.4)にバクテリオファージ PP7濃度を107pfu/mLとしたものが用いられる。
使用するろ過膜の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、平膜であってもよいし、中空糸膜であってもよい。平膜を用いる場合、一枚でろ過を行ってもよいし、複数枚重ねてろ過を行ってもよい。
バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜に、pHを調製した溶液を通液してろ過することにより、pHを調製した溶液は、バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜で処理される。
ろ過方法は、全ろ過で行ってもよいし、クロスフロー方式で行ってもよい。
バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜で処理する前に、平均孔径が20nmよりも大きい孔径の膜で予備的に処理してもよい。
バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜の具体例としては、セルロースからなるPlanovaTM15N(旭化成メディカル(Asahi Kasei Medical)社製)及びPlanovaTM20N(旭化成メディカル(Asahi Kasei Medical)社製)、親水化PVDFからなるPlanovaTMBioEX(旭化成メディカル(Asahi Kasei Medical)社製)及びPegasus SV4(Pall社製)、並びに親水化PESからなるVirosart CPV (Sartorius社製)及びViresolve Pro (Millipore社製)等が挙げられる。
バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜として、セルロースからなるウイルス除去膜の場合、ウイルス除去膜が有する空孔の平均孔径によって好ましい膜を規定することもできる。ウイルス除去膜が有する空孔の平均孔径は、例えば、13nm以上21nm以下である。
空孔の平均孔径は、国際公開第2015/156401号に記載の方法を参考にして、以下の計算式により算出することができる。
平均孔径(nm)=2×103×√(V・d・μ/P・A・Pr)
ここで、Vは透水量(mL/分)、dは膜厚(μm)、μは水の粘度(cp)、Pは圧力差(mmHg)、Aは膜面積(cm2)、Prは空孔率(%)を示す。
透水量は、10本の糸を束ね、16cmの有効長さになるようにモジュールを作成し、得られたモジュールの一端を閉とし、他端に200mmHgの圧力をかけ、37℃で水を通した。このとき膜を通して出てくる水の量を透水量として測定した。
膜面積は、乾燥状態での内径を測定して算出した。また、膜厚は、乾燥状態における膜厚を意味する。
空孔率は、以下の計算式により算出する。
空孔率(%)=(1−ρa/ρp)×100
中空糸の見掛け密度ρaは、以下の計算式により算出し、ρpはセルロースの密度(g/cm3)を意味する。
中空糸の見掛け密度(g/cm3)=Wd/Vw=4Wd/πl(Do2−Di2
ここで、Wdは中空糸の絶乾重量(g)、Vwは中空糸の見かけ体積(cm3)を意味し、lは中空糸の長さ(cm)、Doは中空糸の外径(cm)、Diは中空糸の内径(cm)を意味する。
本実施形態において、LRVとは、ウイルス除去係数(Log Reduction Value)を意味し、対数で表されるウイルスの減少度であって、除去係数ともいう。
LRVは、以下の計算式により求められる。
LRV=Log[(V1×T1))]/[(V2×T2))]
1:ウイルス除去処理工程前の試料の容量
1:ウイルス除去処理工程前のウイルス量(力価)
2:ウイルス除去処理工程後の試料の容量
2:ウイルス除去処理工程後のウイルス量(力価)
バクテリオファージ PP7のウイルス量は、特に限定されるものではないが、プラークアッセイ法(Plaque assay method)で測定することができる。
プラークアッセイ法は、Journal of Pharmaceutical Science and Technology 2008;Supplement Volume 62 No.S−4に記載の方法に従い、実施することができる。
バクテリオファージ PP7を含む溶液サンプルを段階希釈し、それぞれのサンプルを緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)と混合した後、軟寒天を加える。混合溶液を寒天プレート上に注ぎ、固化させた後に37℃で一日培養する。翌日肉眼でプラーク数を計測し、下記式により元の溶液に含まれていたファージ濃度pfu(plaque forming unit)/mLを算出する。
(プラーク数×希釈倍率)pfu/サンプル量(mL) pfu/mL
本実施形態においては、本実施形態に処理方法によるPCV除去の指標として、LRVにより確認することができる。
PCVに対するLRVは、上記式において、PCVのウイルス量測定することにより求めることができる。
PCVのウイルス量は、特に限定されるものではないが、定量PCR(Quantitative polymerase chain reaction: Q−PCR)で測定することができる。
定量PCR法は、Yangらの方法(非特許文献1に記載)に従い、実施することができる。この場合、プライマーとしてPCV−1 TM Fwd.: AGAAAGGCGGGAATTGAAGATAC(配列番号1)、PCV−1 TM Rev.:CACACCCCGCCTTCAGAA(配列番号2)、プローブとしてTaqMan probe:6FAM−CGTCTTTCGGCGCCATCTGTAACG−TAMRA(配列番号3)を使用する。
本実施形態においては、PCVのLRVを測定した場合に、2以上である場合に効果的にPCVが除去されたと判断することができる。
本実施形態において、バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜に供されるpHを調整した溶液は、ウイルス除去膜面積当たりのろ過液量として、50〜100L/m2で処理することが好適である。
50〜100L/m2で処理することにより、ウイルス除去膜にタンパク質等の目詰まりを生じることなく、効果的に試料をろ過することができる。
ウイルス除去膜面積は、ろ過面(一次側の表面)の面積として計算する。平膜の場合は、2辺の長さから算出した面積であり、中空糸膜の場合は、中空糸の内側(内表面)の面積となる。
ろ過液量は、一定のろ過圧力条件下でのろ過において、ろ過時間により調節することができる。
本実施形態のPCVが夾雑する溶液の処理方法により、PCVを含む溶液を所定のpHに溶液調製を行うことで、一般的なウイルス除去膜の孔径よりも小さいPCVを凝集させ、ウイルス除去膜で除去することができる。また、本実施形態のPCVが夾雑する溶液の処理方法により、PCVの夾雑可能性がある溶液(夾雑していない場合を含む)に対して安全性を担保できるという効果を得ることができる。
したがって、本実施形態においては、被処理溶液のpHを3.0〜7.0に調整する工程、及びpHを調製した溶液を、バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜で処理する工程を含む、溶液の処理方法をも提供する。
本実施形態のPCVが夾雑する溶液がタンパク質を含有する場合には、ウイルス除去膜で処理することにより、安全性とタンパク質透過性を同時に満足させることができる。また、本実施形態のPCVが夾雑する溶液がタンパク質を含有しない場合には、ウイルス除去膜で処理することにより、PCVを除去することができる。
すなわち、本実施形態の処理方法により、PCVを含む溶液から、LRV4以上の膜を用いてろ過することにより、溶液からPCVを除去することができ、また、PCVの夾雑可能性のある溶液に対し、ろ過することにより、安全性を担保できる。加えて、本実施形態の処理方法により、タンパク質含有の有無によらず、本方法によりPCVを除去することができ、また、タンパク質含有液であれば、高い透過性・安全性を同時に満足することができる。
以下の実施例に示すとおり、ある態様においては、本実施形態の処理方法によれば、目的タンパク質の回収率は80%以上であった。すなわち、本実施形態の処理方法により、PCVが除去された安全性の高い製品を提供することができる。
本発明の理解を助けるために、以下に実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は本実施例に限定されるものでないことはいうまでもない。
(実施例1)グリシンバッファー条件下での至適pHの検討
0.30Mグリシンバッファーを用いて、pH3.0〜8.0の条件下でのPCV除去能力の変化をLRVにより確認した。
1.材料・使用
・ウイルス株(PCV):PCVのウイルスソースは豚腎臓由来株化細胞(PK(15)細胞: ATCC No.CCL−33)の培養液を用いた。PK(15)細胞、1.0x105 cells/mLを5%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改変イーグル培地に播種・培養し(37℃、5%CO2)、培養4日目の培養上清をウイルスソースとして用いた。ウイルスソースの保存は−80℃で行った。ウイルスソースのゲノム濃度は10.17Log copies/mLであった。
・グリシンバッファー:1.2Lの純水に対し、27.0gのグリシン(購入メーカー:WAKO)を加え、スターラーで撹拌し、溶解させた。グリシンが完全に溶解した後、スターラーで撹拌しながら0.50Mの塩酸または水酸化ナトリウム水溶液を加えて目的のpHに調整した。
・使用ろ過膜:旭化成メディカル株式会社製のPlanova15N(以下、「P−15」と称する)、Planova20N(以下、「P−20」と称する)、Planova35N(以下、「P−35」と称する)を用いた。膜面積は0.001m2であり、PP7に対するLRVは、P−15及びP−20は>6.5であり、P−35は0であった。
・PCR用試薬:QuantiTect Probe PCR Kit、入手先QIAGEN
・IgG:献血ヴェノグロブリンIH(日本血液製剤機構)、濃度10%、生物種ヒト
2.方法
pH3.0〜8.0に調整した0.30Mグリシンバッファー0.1Lに、それぞれPCVを1mL加えた(1/100量に相当)。これらの試料を使用ろ過膜に対し、ろ過圧0.08MPa、処理溶液量0.03Lの条件で、デッドエンドろ過を行った。
ろ過膜は、実施例としてP−15、P−20、比較例としてP−35を用いた。ろ過前後のPCVゲノム量をQ−PCR法により測定し、LRVを算出した。
結果を図1及び表1に示す。
3.PCV除去能力は、以下の式で算出される除去係数(LRV)に基づいて判断した。
LRV=Log [(V1×T1))]/[(V2×T2))]
1:ウイルス除去処理工程前の試料のPCVゲノム容量
1:ウイルス除去処理工程前のPCVゲノム量
2:ウイルス除去処理工程後の試料のPCVゲノム容量
2:ウイルス除去処理工程後のPCVゲノム量
4.結果
上記の濃度の、グリシンバッファー存在下においてPCVは、pH依存的にウイルス除去膜で除去されることが確認された。pH4.0におけるP−15及びP−20LRVは≧5.0であった(表1・図1)。pH4.0におけるP−35のLRVは3.8であった。なお、図1に示す矢印の箇所は、検出限界以下にウイルスが減少したことを示す。
(実施例2)至適グリシン濃度の検討
本実施例では、0.10〜2.0Mグリシンバッファー(pH4.0)の条件下でのPCV除去能力の変化を確認した。グリシンバッファーのpHを4に固定し、グリシン濃度を0.1〜2.0M条件とした他は、実施例1と同様に各試料を調製した。各試料について実施例1と同手法によりろ過を行い、LRVを算出した。結果を図2及び表2に示す。
P−15、P−20のいずれを用いた場合でも、グリシン濃度0.10M、0.30MにおけるLRVはそれぞれ≧4.5、≧5.0であった。グリシン濃度が0.50Mの場合、LRVはそれぞれ4.2、3.9であった。P−35を用いた場合には、グリシン濃度0.10M、0.30MにおけるLRVはそれぞれ4.5、3.8であった(表2)。なお、図2に示す矢印の箇所は、検出限界以下にウイルスが減少したことを示す。
0.10Mグリシンバッファー(pH4.0)の条件下ではIgG濃度が低い条件でウイルス除去能力が高かった。
(実施例3)0.10%IgG及び0.10Mグリシン条件下での至適pHの検討
本実施例では、0.10%IgG及び0.10Mグリシン条件下でのpHのPCV除去に及ぼす影響を確認した。0.10Mグリシンバッファー(pH3.5〜6.0)に0.10%IgGを添加した他は、実施例1と同様に各試料を調製した。P−15を用いて実施例1と同条件にて各試料のろ過を行い、LRVを算出した。結果を図3及び表3に示す。
(実施例4)0.10%IgG及びpH6.0条件下での至適グリシン濃度の検討
本実施例では、0.10%IgG及びpH6.0条件下でのグリシン濃度のPCV除去に及ぼす影響を確認した。0.10〜0.50Mのグリシンバッファー(pH6.0)に0.10%IgGを添加した他は、実施例1と同様に各試料を調製した。P−15及びP−20を用いて実施例1と同条件にて各試料のろ過を行い、LRVを算出した。結果を図4及び表4に示す。
(実施例5)0.30Mグリシン及びpH6.0条件下でのタンパク質濃度の検討
本実施例では、0.30Mグリシンバッファー(pH6)条件下でのIgG濃度のPCV除去に及ぼす影響を確認した。0.30Mグリシンバッファー(pH6)に0.10〜5.0%IgGを添加した他は、実施例1と同様に各試料を調製した。IgG濃度1.0%の条件では、P−15とP−20をそれぞれ2本ずつ用い、それ以外のIgG濃度ではP−20を用いて、実施例1と同条件にて各試料のろ過を行い、LRVを算出した。結果を図5及び表5に示す。
(実施例6)1%IgG含有0.30Mグリシン(pH6.0)条件下でのろ過によるタンパク質回収率
本実施例では、1%IgG含有0.30Mグリシン(pH6.0)条件下でのP−15及びP−20でのろ過後のIgG回収率を確認した。ろ過後のIgGの回収率は吸光光度計により測定した(A280nm)。P−15及びP−20に対し150mL及び53mLの試料液量を負荷したとき、ろ過後の回収液量は、147.6mL及び50.7mLであった。回収率(%)は、それぞれ負荷したサンプルのIgG量を100%としたときのろ過後サンプルのIgG量を示した。P−20では98%、P−15では94%の回収率であった(図6)。
本出願は、2016年8月9日出願の日本特許出願(特願2016−156506号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の方法は、特に、血漿分画製剤やバイオ医薬品の製造において有用である。
配列番号1は、プライマー(PCV−1 TM Fwd.)の塩基配列を示す。
配列番号2は、プライマー(PCV−1 TM Rev.)の塩基配列を示す。
配列番号3は、プローブ(TaqMan probe)の塩基配列を示す。

Claims (7)

  1. ブタサーコウイルスが夾雑する溶液のpHを3.8〜7.0に調整する工程、及び
    pHを調製した溶液を、バクテリオファージ PP7に対するLRVが4以上であるろ過膜で処理する工程を含み、
    前記溶液がタンパク質を含み、タンパク質濃度が0.10〜1.5w/v%であり、
    前記ろ過膜の前記LRVは、1mg/mLのBSA、及び10 7 pfu/mLのバクテリオファージ PP7を含み、pHが7.4であるPBSバッファー溶液を50L/m 2 負荷した場合におけるLRVである、ブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
  2. 前記pHを調製した溶液におけるグリシン濃度は、0〜0.50Mである、請求項1に記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
  3. 0.010〜0.40Mのグリシンを含む、請求項2に記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
  4. 0.20〜0.35Mのグリシンを含む、請求項2に記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
  5. 前記タンパク質がIgGである、請求項のいずれか一項に記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
  6. 前記pHを調製した溶液を、50〜100L/m2で処理する、請求項1〜のいずれか一項に記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
  7. ブタサーコウイルスに対するLRVが2以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載のブタサーコウイルスが夾雑する溶液の処理方法。
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