JP6730865B2 - ガラス板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、熔解槽でガラス原料を熔解し生成した熔融ガラスを金属管内に流す時に、熔融ガラスの温度の調整を行うガラス板の製造方法に関する。
ガラス板は、一般的に、熔解槽でガラス原料から熔融ガラスを生成させた後、金属管を用いて成形装置に流し、成形装置で熔融ガラスをシートガラスへ成形する工程を経て製造される。金属管は、熔融ガラスを移送するガラス供給管の他、管状の清澄管や攪拌槽も含む。
例えば、熔融ガラスは、ガラス供給管を流れる熔融ガラスを加熱して目標温度にして、清澄管に供給される。清澄管では、熔融ガラスに含まれる清澄剤による還元反応を利用して熔融ガラスの清澄を行なう。清澄剤による還元反応の程度は、熔融ガラスの温度に依存するので、熔融ガラスを清澄管で効率よく清澄させるためには、熔融ガラスが清澄管に流入するまでの間に熔融ガラスの温度を目標温度にすることはガラス板の泡品質を向上させる上で極めて重要である。
例えば、熔解工程から、金属管であるガラス供給管を用いて熔融ガラスを流す時、熔融ガラスの温度を2℃/分以上の昇温速度で熔融ガラスの温度を1630℃以上に昇温させて清澄槽(清澄管)に供給し、清澄槽(清澄管)で熔融ガラスの脱泡を行なうガラス板の製造方法が知られている(特許文献1)。これにより、ガラス板に残存する泡を効率よく低減することができる。
国際公開2013/054531号
しかし、上述のガラス製造方法では、熔解槽からガラス供給管内に流入する熔融ガラスの温度が時間的に変動した時、熔融ガラスを加熱するための加熱のフィードバック制御により熔融ガラスの温度を調整する機構は用いられない。これは、熔融ガラスの温度を計測するセンサが精度良く計測できないことに拠る。一般的には、高い温度を計測するには、2種類の金属線の先端同士を接触させた構成の熱電対を用いるが、この熱電対を熔融ガラスのような千数百℃を超える高温の計測に適用する場合、金属線が部分的に酸化及び揮発することによって、金属線の接合点に発生する熱起電力が時間とともにドリフトし、正確な温度を計測できない。
一方、熔解槽内では熔融ガラスは渦を巻くように、下層から上層に、上層から下層に循環して対流しているが、この熔融ガラスの対流はゆらいでいる。このため、熔解槽の流出口から金属管であるガラス供給管に熔融ガラスが流入するときの熔融ガラスの温度は、対流のゆらぎによって時間変動をする場合がある。このような場合、熔解槽における熔融ガラスに与える熱量を精度良く一定にし、さらに、ガラス供給管の加熱を通じて熔融ガラスに与える熱量を精度良く一定にしても、ガラス供給管を流れる熔融ガラスの温度はゆらぎ、清澄槽に流入する熔融ガラスの温度も変化する。このため、清澄槽内の熔融ガラスの温度によって清澄の良否が決まる泡品質にばらつきを生じさせるといった悪影響を与える場合がある。
そこで、本発明は、熔解槽から熔融ガラスが金属管に流れるとき、金属管内を流れる熔融ガラスの温度を適切に調整することができるガラス板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、ガラス板の製造方法である。
前記ガラス板の製造方法は、
熔解槽でガラス原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔融工程と、
生成した前記熔融ガラスを金属管内に流すとき、前記熔融ガラスの温度を熱電対により計測し、得られた計測結果に基づいて前記熔融ガラスの温度を調整する温度調整工程と、
前記金属管から流れ出た前記熔融ガラスをシートガラスに成形する工程と、を有し、
前記温度調整工程では、前記熱電対が出力する計測温度の時間波形から、時間変動の周波数の違いを利用して、前記熱電対の熱起電力のドリフト変動成分を除去することにより、前記熔融ガラスの温度の時間変動成分を抽出し、前記時間変動成分の抽出結果に応じて、予め定まっている前記熔融ガラスに与える基準加熱量に付加すべき、前記熔融ガラスに与える加熱量を定めて前記熔融ガラスの温度を調整する。
その際、前記熔融ガラスの温度の前記時間変動成分は、前記熔解槽内の前記熔融ガラスの対流のゆらぎによって生じる温度変動成分である、ことが好ましい。
前記熔融ガラスを前記シートガラスに成形する前に、前記熔融ガラスを清澄する清澄工程を有し、
前記熱電対による前記熔融ガラスの温度計測は、前記清澄工程の前に行われる、ことが好ましい。
前記金属管は、前記熔解槽と前記熔融ガラスの清澄を行なう清澄管と、前記清澄管と前記熔解槽を接続するガラス供給管を含み、
前記熱電対による前記熔融ガラスの温度計測は、前記ガラス供給管の長手方向の中心に対して前記熔解槽の側の部分で行われる、ことが好ましい。
前記熱電対は、前記ガラス供給管の外側に設けられ、前記ガラス供給管の外側面の温度を計測することにより、前記熔融ガラスの温度は調整され、前記熱電対は、前記ガラス供給管の長手方向の、前記熔解槽と接続する前記ガラス供給管の接続部に設けられる、ことが好ましい。
前記金属管を流れる前記熔融ガラスの温度は、1620℃以上であってもよい。
上述のガラス板の製造方法では、熔解槽から熔融ガラスが金属管に流れるとき、金属管内を流れる熔融ガラスの温度を適切に調整することができる。
本実施形態のガラス板の製造方法の工程の一例を示す図である。 本実施形態における熔解工程〜切断工程を行うガラス板製造装置の一例を模式的に示す図である。 本実施形態の、熱電対を用いた熔融ガラスの温度調整を説明する図である。 本実施形態の、熱電対の起電力に基づいて算出される熔融ガラスの推定温度の時間変化の一例と、熔融ガラスの温度の時間変動の一例を示す図である。
以下、本実施形態のガラス板の製造方法について説明する。
本明細書でいう「熔融ガラスの温度の時間変動」とは、熱電対等の計測センサに起因した計測温度のドリフトによる変化を含まない、熔融ガラスの実際の温度の時間的な変動をいう。また、「熱電対の熱起電力のドリフト」とは、熱電対が高温にさらされて熱電対を構成する金属線が部分的に酸化及び揮発することによって、金属線の接合点に発生する熱起電力が時間とともにドリフトすることをいう。
図1は、本実施形態のガラス板の製造方法の工程の一例を示す図である。
ガラス板の製造方法は、熔解工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、均質化工程(ST3)と、供給工程(ST4)と、成形工程(ST5)と、徐冷工程(ST6)と、切断工程(ST7)と、を主に有する。この他に、研削工程、研磨工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有し、梱包工程で積層された複数のガラス板は、納入先の業者に搬送される。
熔解工程(ST1)は熔解槽で行われる。熔解槽では、ガラス原料を、熔解槽に蓄えられた熔融ガラスの液面に投入し、加熱することにより熔融ガラスを作る。さらに、熔解槽の内側側壁の1つの底部近傍に設けられた流出口から下流工程に向けて熔融ガラスを流す。
熔解槽の熔融ガラスの加熱は、熔融ガラス自身に電気が流れて自ら発熱し加熱するとともに、バーナーによる火焔を補助的に与えてガラス原料を熔解する。具体的には、投入されたガラス原料は、熔解槽の気相空間の壁面あるいはバーナーの火炎からの熱輻射伝熱で加熱され、熱分解して熔解される。こうしてできた熔融ガラスは、より高温に通電加熱される。なお、ガラス原料には清澄剤が添加される。清澄剤として、SnO2,As23,Sb23等が知られているが、特に制限されない。しかし、環境負荷低減の点から、清澄剤としてSnO2(酸化錫)を用いることが好ましい。熔解槽では、脈理が発生しないようにガラス原料が完全に熔解されるとともに、後工程が適切に行われるように所定の粘度の熔融ガラスが通電加熱によりつくられる。
清澄工程(ST2)は、少なくとも清澄槽において行われる。清澄工程では、清澄槽内の熔融ガラスが昇温されることにより、熔融ガラス中に含まれるO2、CO2あるいはSO2を含んだ泡が、清澄剤の還元反応により生じた酸素を吸収して成長し、熔融ガラスの液面に泡は浮上して放出される。さらに、清澄工程では、熔融ガラスの温度を低下させることにより、清澄剤の還元反応により得られた還元物質が酸化反応をする。これにより、熔融ガラスに残存する泡中のO2等のガス成分が熔融ガラス中に再吸収されて、泡が消滅する。清澄剤による酸化反応及び還元反応は、熔融ガラスの温度を制御することにより行われる。なお、清澄工程では、酸化錫を清澄剤として用いた清澄方法を用いることができる。
均質化工程(ST3)では、清澄槽から延びるガラス供給管を通って供給された攪拌槽内の熔融ガラスを、スターラを用いて攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。これにより、脈理等の原因であるガラスの組成ムラを低減することができる。
供給工程(ST4)では、攪拌槽から延びるガラス供給管を通して熔融ガラスが成形装置に供給される。
成形装置では、成形工程(ST5)及び徐冷工程(ST6)が行われる。
成形工程(ST5)では、熔融ガラスを帯状のシートガラスに成形して、シートガラスの流れを作る。成形については、オーバーフローダウンドロー法が用いられる。
徐冷工程(ST6)では、成形されたシートガラスが所望の厚さになり、内部歪が生じないように、さらに、反りが生じないように冷却される。
切断工程(ST7)では、切断装置において、成形装置から供給された帯状のシートガラスを所定の長さに切断することで、一枚のガラス板を得る。切断されたガラス板はさらに、所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス板が作られる。この後、ガラス板の端面の研削、研磨が行われ、ガラス板の洗浄が行われ、さらに、気泡や脈理等の異常欠陥の有無が検査された後、検査合格品のガラス板が最終製品として梱包される。
図2は、本実施形態における熔解工程(ST1)〜切断工程(ST7)を行うガラス板製造装置の一例を模式的に示す図である。当該装置は、図2に示すように、主に熔解装置100と、成形装置200と、切断装置300と、を有する。熔解装置100は、熔解槽101と、清澄槽102と、攪拌槽103と、ガラス供給管104,105,106と、を有する。
図2に示す熔解装置101では、ガラス原料の投入がバケット101dを用いて行われ、このガラス原料の熔解により得られる熔融ガラスMGが所定の粘度になるように熔融ガラスMGは加熱される。清澄槽102では、熔融ガラスMGの温度を調整して、清澄剤の酸化還元反応を利用して熔融ガラスMGの清澄が行われる。さらに、攪拌槽103では、スターラ103aによって熔融ガラスMGが攪拌されて均質化される。成形装置200では、成形体210を用いたオーバーフローダウンドロー法により、熔融ガラスMGからシートガラスSGが成形される。本実施形態は、バケット101dをガラス原料の投入手段として用いるが、これに制限されない。例えば、スクリューフィーダを用いることもできる。
ガラス供給管104、清澄槽102、ガラス供給管105、攪拌槽103、及びガラス供給管106は、好適には白金族元素からなる金属又は白金族元素合金で構成された金属管である。白金族元素は、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウムを含む。ガラス供給管104、ガラス供給管105、ガラス供給管106、清澄槽102、及び攪拌槽103を区別することなく一体的に説明するとき、以降、金属管という。
金属管は、熔融ガラスMGを移送する他、熔融ガラスMGの移送の際に熔融ガラスMGの温度を調整する機能を有する。例えば、ガラス供給管104には、熔解槽101から流れ出た熔融ガラスMGの温度を清澄に適した温度にするために熔融ガラスMGを加熱するためのフランジ形状の一対の電極板が設けられている。ガラス供給管104は、この電極板を通して、金属管であるガラス供給管104を通電することにより生じるジュール熱で熔融ガラスMGを加熱することができる。
また、清澄槽102、ガラス供給管105、攪拌槽103、及びガラス供給管106においても、金属管に電極板を設けて、金属管を通電することにより生じるジュール熱で熔融ガラスMGの温度を調整することができる。
特に、ガラス供給管104では、清澄槽102において脱泡を効率よく行うために、ガラス供給管104の本体の加熱により熔融ガラスMGは、好ましくは2℃/分以上の昇温速度で、1620℃以上の温度に達するまで加熱され、そのときの熔融ガラスの粘度は500〜2000dPa・sとなることが好ましい。熔融ガラスMGが1620℃以上、さらに好ましくは、1630℃以上まで加熱され、これにより清澄剤の還元反応が促進されることにより、多量の酸素が熔融ガラスMGに放出される。これにより、清澄槽102において脱泡を効率よく行うことができる。
熔解槽101から流れ出た熔融ガラスMGは、ガラス供給管104、清澄槽102、ガラス供給管105、攪拌槽103、及びガラス供給管106からなる金属管を流れるが、このとき金属管の中を流れる熔融ガラスMGの温度は、金属管の温度の情報が得られれば、この金属管の温度から数値シミュレーションを用いた計算結果を利用して推定することができる。金属管の温度から推定された熔融ガラスの温度を推定温度という。
しかし、金属管の温度は1千数百℃になるので、金属管の外側面に接するように設ける熱電対を用いて金属管の温度の計測を行っても、正確な温度を得ることはできない。上述したように、熱電対を構成する金属線が部分的に酸化及び揮発することによって、金属線の接合点に発生する熱起電力が時間とともにドリフトするためである。

本実施形態では、金属管の温度の計測結果から熔融ガラスMGの温度そのものの温度を推定するのではなく、熔融ガラスMGの温度の時間変動を抽出する。すなわち、本実施形態では、熱電対による計測結果から推定された熔融ガラスの推定温度の時間波形から熱電対の熱起電力のドリフトによる変化を除去して、熔融ガラスMGの温度の時間変動を抽出する。
図3は、本実施形態の熱電対を用いた熔融ガラスMGの温度調整を説明する図である。図3に示す例では、ガラス供給管104を対象としている。ガラス供給管104の外側面には、細長い繊維状の耐火物シートを螺旋状に巻きつけた耐火物繊維層108が設けられ、耐火物繊維層108の外周に例えばアルミナセメント等を用いた耐火物保護層110が設けられ、さらに、耐火物保護層110の外周に耐火物レンガ112が設けられている。
ガラス供給管104の長手方向の2箇所には、一対のフランジ形状の電極板114が設けられている。電極板114はそれぞれ加熱電源120に電気的に接続されている。熔融ガラスMGが熔解槽101から流出するときの熔融ガラスMGの温度と、清澄管102に流入するときの熔融ガラスMGの温度は、ガラス板の製造計画段階で予め定まっているので、熔融ガラスMGがガラス供給管104を流れるときに加熱電源120が熔融ガラスMGに与える基本加熱量も予め定まっている。このため、加熱電源120が電極板114に流す基本電流は予め設定された一定の値に固定されている。
しかし、ガラス供給管104を流れる熔融ガラスMGの温度は、時間変動する場合がある。このため、本実施形態では、後述する計測部118の計測結果(熔融ガラスMGの推定温度の時間変動)に基づいて、ガラス供給管120が予め定まっている基準加熱量に付加すべき加熱量を定めて、この付加すべき加熱量に応じて基準電流に付加すべき付加電流を定め、基準電流と付加電流の合計電流を、電極板114、ひいてはガラス供給管104に流すように加熱電源120は構成されている。
ガラス供給管104の一対の電極板114の上流側(熔融ガラスMGの流れる方向と逆方向の側、熔解槽101の側)の、ガラス供給管104の外側面には、熱電対116が設けられている。熱電対116の起電力は、計測部118で計測される。この起電力の大きさによって熱電対116の位置における温度、すなわちガラス供給管104の外側面の温度を計測することができる。このガラス供給管104の外側面の温度は、熔融ガラスMGの温度変動の影響を受けて変動するので、ガラス供給管104の外側面の計測温度の時間変化を表す波形信号から、熔融ガラスMGの温度の時間変動を抽出することができる。図4は、熱電対の起電力に基づいて算出される熔融ガラスMGの推定温度の時間変化の一例と、熔融ガラスMGの温度の時間変動の一例を示す図である。推定温度は、実際の熔融ガラスMGの温度が一定であっても、直線Aのように熱起電力のドリフトに起因して低下する。このため、従来熱電対の計測に基づいた熔融ガラスMGの温度の取得は行われなかった。しかし、曲線Bのように、金属管を流れる熔融ガラスMGの温度は時間変動する場合がある。このような時間変動は、熱起電力のドリフト成分と区別して除去することができるので、この除去を利用して熔融ガラスMGの時間変動の成分を抽出することができる。したがって、本実施形態では、熔融ガラスMGを金属管内に流すとき、熱電対116の計測結果から熱電対116の熱起電力のドリフトによる変化を除去することにより、熔解槽101から流出する熔融ガラスMGの温度の時間変動を抽出し、この時間変動の抽出結果に応じて、熔融ガラスMGに与える加熱量を定めて熔融ガラスMGの温度を調整する(温度調整工程)。 ガラス供給管104の温度調整は、上述した管そのものを通電する直接通電加熱、或いは、管周りに配置した図示されないヒータによる間接加熱、さらに、空冷、水冷のクーラーによる間接冷却、管へのエアー吹きつけ、水噴霧等のいずれか1つの方法を用いて、或いは、これらの方法の組み合わせを用いて行われる。
計測部118は、波形信号から直線Aのような低周波成分を除去するフィルタを用いて、曲線Bを含む波形信号を抽出する。また、計測部118は、曲線Bおよび直線Aを含む波形信号を周波数変換(フーリエ変換)して、直線Aの周波数成分を除去したのち、周波数逆変換(逆フーリエ変換)を行うことで、曲線Bを含む波形信号を抽出してもよい。
計測部118は、例えば、一定時間間隔で計測を行い、上記方法で抽出した波形信号が予め設定した許容範囲から外れた場合、熔融ガラスMGの温度の時間変動が許容範囲から外れた旨の通知と許容範囲から外れた量を加熱電源120に送る。加熱電源120は、この通知に基づいて、波形信号の許容範囲から外れた量に応じて付加すべき加熱量を定めることにより、付加電流を定める。加熱電源120は、付加電流と基準電流を加算した合計電流を、電極板114を介してガラス供給管104に流す。付加すべき加熱量及び付加電流は正及び負を含む。付加すべき加熱量が負とは基準加熱量を低減させる量をいい、負の付加電流は基準電流を低減させる量をいう。ガラス供給管104には、電流によって発熱し、熔融ガラスMGを加熱することができる。
すなわち、熔融ガラスMGの温度が上昇する時間変動をした場合、付加すべき加熱量及び付加電流は負となり、熔融ガラスMGに与える加熱量は基準加熱量よりも小さくなる。熔融ガラスMGの温度が低下する時間変動をした場合、付加すべき加熱量及び付加電流は正となり、熔融ガラスMGに与える加熱量は基準加熱量よりも大きくなる。
このように、本実施形態では、熔融ガラスMGの温度を取得することができなくても、熱電対を用いて熔融ガラスMGの温度の時間変動を計測することにより、熔融ガラスMGの温度を適切に調整することができる。
上述の熔融ガラスMGの温度の時間変動は、熔解槽101内の熔融ガラスMGの対流のゆらぎによって生成する温度変動であることが好ましい。このような温度変動を想定して熱電対116から得られる波形信号から直線Aのような低周波成分を除去するカットオフ周波数を定めることが好ましい。熔解槽101では、ガラス原料を熔解するため、熔解槽101に貯留される熔融ガラスMGは温度差の大きい温度分布を有する。このため、熔解槽101の熔融ガラスMGは対流する。熔融ガラスMGの一部は、熔解槽101の底部近傍に設けられた流出口からガラス供給管104に流出するので、熔解槽101の熔融ガラスMGの対流のわずかなゆらぎによって、ガラス供給管104に流入する熔融ガラスMGの温度は時間変動する。この時間変動は、熱電対116の起電力のドリフトに起因した熔融ガラスMGの推定温度の変化に比べて急激な変動である。このため、図4に示す曲線Bのような、熔解槽101の熔融ガラスMGの対流のゆらぎに起因した熔融ガラスMGの温度変動を示す波形信号を、直線Aのような、熱電対116の起電力のドリフトに起因した熔融ガラスMGの推定温度の変化を示す低周波成分から分離するフィルタを用いて、効率よくかつ簡単に低周波成分を除去することができる。
本実施形態では、熱電対116を用いた熔融ガラスMGの温度の時間変動の計測と、熔融ガラスMGの温度の調整を含む熔融ガラスMGの温度調整の適用場所を、ガラス供給管104としたが、清澄管102、ガラス供給管105、攪拌槽103、及びガラス供給管105を適用場所とすることもできる。しかし、熔融ガラスMGを清澄する清澄工程の前に、熱電対116を用いた熔融ガラスMGの温度計測を行うことが好ましい。清澄の効果は、熔融ガラスMGの温度に依存するので、清澄工程の前に熔融ガラスMGの温度計測と温度調整を行うことが、十分な清澄を達成させる点から好ましい。
また、熱電対116を用いた熔融ガラスMGの温度計測は、ガラス供給管104,105,106の長手方向の中心に対して熔解槽101の側の部分で行われることが、ガラス供給管104,105,106を流れる熔融ガラスMGの温度調整を十分に行うことができる点から好ましい。
また、熱電対116は、図3に示されるように、ガラス供給管104の外側に設けられ、ガラス供給管104の外側面の温度を計測することにより、熔融ガラスMGの温度は調整される。このとき、熱電対116は、ガラス供給管104の長手方向の、熔解槽101と接続するガラス供給管104の接続部に設けられることが、温度調整がされない熔融ガラスMGを後工程に流さない点から好ましい。接続部とは、熔解槽101の流出口と接続するガラス供給管104の接続端からガラス供給管104の長手方向に沿った長さの10分の1以下の部分をいう。
また、本実施形態では、金属管を流れる熔融ガラスMGの温度が1620℃以上であっても、すなわち、熱電対116の酸化、揮発が生じ易い温度であっても、熱電対116を用いて熔融ガラスMGの温度調整を効率よく行うことができるので、本実施形態の効果は大きい。
本実施形態のガラス板の製造方法によって製造されるガラス板には、無アルカリのボロアルミノシリケートガラスあるいはアルカリ微量含有ガラスが用いられることが好ましい。
<ガラス組成>
本実施形態が適用されるガラス板は、例えば以下の組成を含む無アルカリガラスからなることが好ましい。
本実施形態が適用するガラス組成として、例えば、次が挙げられる(質量%表示)。
SiO:50〜70%(好ましくは、57〜64%)、Al:5〜25%(好ましくは、12〜18%)、B:0〜15%(好ましくは、6〜13%)を含み、さらに、次に示す組成を任意に含んでもよい。任意で含む成分として、MgO:0〜10%(好ましくは、0.5〜4%)、CaO:0〜20%(好ましくは、3〜7%)、SrO:0〜20%(好ましくは、0.5〜8%、より好ましくは3〜7%)、BaO:0〜10%(好ましくは、0〜3%、より好ましくは0〜1%)、ZrO:0〜10%(好ましくは、0〜4%,より好ましくは0〜1%)が挙げられる。さらに、R’O:0.10%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがより好ましい。
或いは、SiO:50〜70%(好ましくは、55〜65%)、B:0〜10%(好ましくは、0〜5%、1.3〜5%)、Al:10〜25%(好ましくは、16〜22%)、MgO:0〜10%(好ましくは、0.5〜4%)、CaO:0〜20%(好ましくは、2〜10%、2〜6%)、SrO:0〜20%(好ましくは、0〜4%、0.4〜3%)、BaO:0〜15%(好ましくは、4〜11%)、RO:5〜20%(好ましくは、8〜20%、14〜19%),を含有することが好ましい(ただし、RはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種である)。さらに、R’Oが0.10%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがより好ましい。
<ヤング率>
本実施形態が適用されるガラス板のヤング率として、例えば、72(Gpa)以上が好ましく、75(Gpa)以上がより好ましく、77(Gpa)以上がより更に好ましい。
<歪点>
本実施形態が適用されるガラス基板の歪率として、例えば、650℃以上が好ましく、680℃以上がより好ましく、700℃以上、720℃以上が更により好ましい。
本実施形態で製造されるガラス板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板を含むディスプレイ用ガラス基板に好適である。IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素)等の酸化物半導体を使用した酸化物半導体ディスプレイ用ガラス基板及びLTPS(低温度ポリシリコン)半導体を使用したLTPSディスプレイ用ガラス基板に好適である。また、本実施形態で製造されるガラス板は、アルカリ金属酸化物の含有量が極めて少ないことが求められる液晶ディスプレイ用ガラス基板に好適である。また、有機ELディスプレイ用ガラス基板にも好適である。言い換えると、本実施形態のガラス板の製造方法は、ディスプレイ用ガラス基板の製造に好適であり、特に、液晶ディスプレイ用ガラス基板の製造に好適である。
また、本実施形態で製造されるガラス板は、カバーガラス、磁気ディスク用ガラス、太陽電池用ガラス基板などにも適用することが可能である。
以上、本発明のガラス板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
100 熔解装置
101 熔解槽
102 清澄槽
103 攪拌槽
104,105,106 ガラス供給管
108 耐火物繊維層
110 耐火物保護層
112 耐火物レンガ
114 電極板
116 熱電対
118 計測部
120 加熱電源
200 成形装置
210 成形体
300 切断装置

Claims (6)

  1. 熔解槽でガラス原料を熔解して熔融ガラスを生成する熔融工程と、
    生成した前記熔融ガラスを金属管内に流すとき、前記熔融ガラスの温度を熱電対により計測し、得られた計測結果に基づいて前記熔融ガラスの温度を調整する温度調整工程と、
    前記金属管から流れ出た前記熔融ガラスをシートガラスに成形する工程と、を有し、
    前記温度調整工程では、前記熱電対が出力する計測温度の時間波形から、時間変動の周波数の違いを利用して、前記熱電対の熱起電力のドリフト変動成分を除去することにより、前記熔融ガラスの温度の時間変動成分を抽出し、前記時間変動成分の抽出結果に応じて、予め定まっている前記熔融ガラスに与える基準加熱量に付加すべき、前記熔融ガラスに与える加熱量を定めて前記熔融ガラスの温度を調整する、ことを特徴とするガラス板の製造方法。
  2. 前記熔融ガラスの温度の前記時間変動成分は、前記熔解槽内の前記熔融ガラスの対流のゆらぎによって生じる温度変動成分である、請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 前記熔融ガラスを前記シートガラスに成形する前に、前記熔融ガラスを清澄する清澄工程を有し、
    前記熱電対による前記熔融ガラスの温度計測は、前記清澄工程の前に行われる、請求項1または2に記載のガラス板の製造方法。
  4. 前記金属管は、前記熔解槽と前記熔融ガラスの清澄を行なう清澄管と、前記清澄管と前記熔解槽を接続するガラス供給管を含み、
    前記熱電対による前記熔融ガラスの温度計測は、前記ガラス供給管の長手方向の中心に対して前記熔解槽の側の部分で行われる、請求項3に記載のガラス板の製造方法。
  5. 前記熱電対は、前記ガラス供給管の外側に設けられ、前記ガラス供給管の外側面の温度を計測することにより、前記熔融ガラスの温度は調整され、前記熱電対は、前記ガラス供給管の長手方向の、前記熔解槽と接続する前記ガラス供給管の接続部に設けられる、請求項4に記載のガラス板の製造方法。
  6. 前記金属管を流れる前記熔融ガラスの温度は、1620℃以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
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