JP2017178649A - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス基板の製造方法において、熔融ガラスの攪拌槽を長い期間使用すると、白金または白金合金からなる攪拌槽の壁から熔融ガラスが漏れる場合がある。熔融ガラスの漏れに対処する期間、攪拌の効果を低下させず、且つ、スターラーが破損しない様に攪拌の回転をコントロールする必要があった。【解決手段】ガラス基板の製造方法であって、熔解炉でガラス原料を熔解して熔融ガラスをつくる熔解工程と、前記熔融ガラスが供給され、スターラーが備えられた攪拌槽において、前記熔融ガラスを攪拌する攪拌工程と、前記攪拌槽で攪拌された熔融ガラスをオーバーフローダウンドロー法によりガラス基板に成形する成形工程と、を含み、前記攪拌工程では、前記攪拌槽の外側表面の温度を測定して攪拌槽外へ放熱される放熱量を算出し、前記放熱量の変動に基づいて前記攪拌槽の熔融ガラス漏れが判断された場合に、前記スターラーの回転数を予め定められた基準回転数Aに基づいて制御する、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。【選択図】図3

Description

本発明は、ガラス基板を製造するガラス基板の製造方法、ガラス基板の製造装置、及びガラス基板製造の攪拌槽に関する。
ガラス基板は、ガラス原料を熔解して得られた熔融ガラスをガラス基板へ成形することにより製造する。製造過程には、熔融ガラスが内包する小さな気泡を除去する清澄工程の他に、清澄工程後、攪拌槽において、スターラーを用いて熔融ガラスを攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う均質化工程が含まれる。この均質化工程により、脈理等の原因となるガラスの組成ムラを低減することができる。
このような均質化工程では、熔融ガラスの高温に耐えることができるように、攪拌槽は、例えば、白金または白金合金から構成される。また、特許文献1に記載されているように、攪拌槽は分散強化した白金(以降、単に強化白金という)、例えば、ジルコニア強化白金からなるものも知られている。
特表2005−511462号公報
ガラス基板の製造方法において、熔融ガラスの攪拌槽を長い期間使用すると、白金または白金合金からなる攪拌槽の壁に小さな亀裂などが生じ、熔融ガラスが漏れる場合がある。このとき、攪拌槽から漏れた熔融ガラスは、攪拌槽を覆う耐熱部材との間で破損を補うように冷え固まり、操業を維持することができる。
しかし、熔融ガラスの漏れが起きると、攪拌槽内の熔融ガラスは温度変化とともに粘度も変動する。このような変動に対し、攪拌効果を落とさず、且つ、粘度の変動による負荷でスターラーが破損しない様に、攪拌回転を精度よくコントロールする必要がある。
本発明の目的は、攪拌槽で熔融ガラスが漏れた場合でも、攪拌効果を低下させず、且つ、攪拌槽のスターラーの破損を起こさないように、攪拌槽のスターラーの回転を最適に制御する、攪拌槽の攪拌制御方法を含むガラス基板の製造方法及びガラス基板の製造装置、並びに攪拌槽の提供にある。
本発明は、以下〔1〕から〔6〕を提供する。
〔1〕ガラス基板の製造方法であって、熔解炉でガラス原料を熔解して熔融ガラスをつくる熔解工程と、前記熔融ガラスが供給され、スターラーが備えられた攪拌槽において、前記熔融ガラスを攪拌する攪拌工程と、前記攪拌槽で攪拌された熔融ガラスをオーバーフローダウンドロー法によりガラス基板を形成する成形工程と、を含み、
前記攪拌工程では、前記攪拌槽の外側表面の温度を測定して攪拌槽外へ放熱される放熱量を算出し、前記放熱量の変動に基づいて前記攪拌槽の熔融ガラス漏れが判断された場合に、前記スターラーの回転数を予め定められた基準回転数Aに基づいて制御する、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
〔2〕前記攪拌工程において、前記基準回転数Aに基づいて前記スターラーの回転数を制御した後に前記成形工程で成形されたガラス基板から品質情報をフィードバックして、前記スターラーの回転数を上昇するか否か判定し、前記スターラーの回転数を上昇する場合に予め定められた目標回転数Bに基づいて上昇回転数を決定する、〔1〕に記載のガラス基板の製造方法。
〔3〕前記基準決定数Aは、前記スターラーに特定される応力集中領域において前記熔融ガラスから受ける応力が、前記回転数の制御を変更する前と後で同等となるように算出される、〔1〕又は〔2〕に記載のガラス基板の製造方法。
〔4〕前記目標回転数Bは、前記スターラーに特定される応力集中領域において前記熔融ガラスから受ける応力が前記回転数の制御を変更する前と後で同等となり、且つ、前記スターラーのクリープ強度が前記回転数の制御を変更する前と後で一定となるように算出される、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のガラス基板の製造方法。
〔5〕ガラス基板の製造装置であって、ガラス原料を熔解して熔融ガラスをつくる熔解炉と、スターラーが備えられ、前記熔解炉から供給された熔融ガラスを攪拌する攪拌槽と、前記攪拌槽で攪拌された熔融ガラスをオーバーフローダウンドロー法によりガラス基板を形成する成形装置と、を備え、
前記攪拌槽は、前記攪拌槽の外側表面の温度を測定して攪拌槽外へ放熱される放熱量を算出し、前記放熱量の変動をモニタリングするモニタリング手段と、前記放熱量の変動に基づいて前記攪拌槽における熔融ガラス漏れを判断するガラス漏れ判定部と、前記攪拌槽における熔融ガラス漏れが判断された場合に前記スターラーの回転数を予め定められた基準回転数Aに基づいて決定し、スターラー回転数の変更を指示する攪拌変更指示部と、を含む攪拌回転制御装置を有する、ことを特徴とするガラス基板の製造装置。
〔6〕前記攪拌回転制御装置は、さらに、前記回転変更指示部が前記スターラーの回転数を変更した後に前記成形工程で成形されたガラス基板からの品質のフィードバック情報を得て、スターラー回転数の上昇を判定する回転数上昇判定部と、
前記スターラー回転数を上昇する場合に、予め定められた目標回転数Bに基づいて上昇回転数を決定し、スターラー回転数の上昇を指示する回転数上昇指示部と、
を含む、〔5〕に記載のガラス基板の製造装置。
本発明のガラス基板の製造方法によれば、攪拌槽で熔融ガラスが漏れた場合でも、攪拌機能を低下させず、且つ、攪拌槽のスターラーの破損を起こさないように、攪拌槽のスターラーの回転を最適に制御することができる、攪拌槽の攪拌制御方法を含むガラス基板の製造方法及びガラス基板の製造装置、ならびに攪拌槽を提供する。
本発明のガラス基板の製造方法の工程の一例を示す図である。 本発明のガラス基板の製造方法における熔解工程〜切断工程を行う装置の一例を模式的に示す図である。 本発明に係る攪拌装置の一例を示すイメージ図である。 本発明に係る攪拌装置の制御方法の実施形態の一つを示すフロー図である。 本発明に係る攪拌装置の制御方法の実施形態の一つを示すフロー図である。
以下、本実施形態のガラス基板の製造方法及び製造装置、及び攪拌槽について説明する。図1は、本発明のガラス基板の製造方法の工程の一例を示す図である。
(1)ガラス基板の製造方法の全体概要
ガラス基板の製造方法は、熔解工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、均質化工程(ST3)と、供給工程(ST4)と、成形工程(ST5)と、徐冷工程(ST6)と、切断工程(ST7)と、を主に有する。この他に、切断研削工程、洗浄工程、検査工程、梱包工程等を有し、梱包工程で積槽された複数のガラス基板は、納入先の業者に搬送される。
熔解工程(ST1)は熔解槽で行われる。熔解工程では、熔解槽に蓄えられた熔融ガラスの液面にガラス原料を投入することにより熔融ガラスを作る。さらに、熔解槽の底部に設けられた流出口から後工程に向けて熔融ガラスを流す。
熔解工程(ST1)は熔解炉で行われる。熔解炉では、ガラス原料を、熔解炉に蓄えられた熔融ガラスの液面に投入し、加熱することにより熔融ガラスを作る。さらに、熔解炉の内側側壁の1つの底部に設けられた流出口から下流工程に向けて熔融ガラスを流す。
熔解炉の熔融ガラスの加熱は、熔融ガラス自身に電気が流れて自ら発熱して加熱する方法に加えて、バーナーによる火焔を補助的に与えてガラス原料を熔解することもできる。なお、ガラス原料には清澄剤が添加される。清澄剤として、SnO2,As23,Sb23,Fe23等、高温で還元反応により酸素を放出するタイプの金属酸化物が知られているが、特に制限されない。しかし、環境負荷低減の点から、清澄剤としてAs23の使用は望ましくない。
清澄工程(ST2)は、少なくとも清澄槽において行われる。清澄工程では、最初に、清澄槽内の熔融ガラスを昇温することで、溶融ガラス中に含まれる清澄剤に還元反応を起こさせ、O2を発生させる。このO2が、ガラス原料の分解反応やガラス原料中の不純物、溶解時の雰囲気の巻き込み等により、熔融ガラス中に含まれる、CO2、SO2あるいはN2等を含んだ気泡に吸収されることで、熔融ガラス中の気泡の泡径が拡大し、気泡の浮上速度が高まる。この気泡の浮上速度の向上により熔融ガラスの液面に気泡を浮上させて脱泡が促進される。すなわち、熔融ガラスの液面まで浮上した気泡は、液面で破泡し、気泡に含まれていたガスが清澄槽内の気相空間に放出される。
その後、溶融ガラスの温度を下げていき、清澄剤に酸化反応を起こさせ、溶融ガラス中のO2を再吸収させる。このO2の再吸収により、脱泡しきれなかった溶融ガラス中の小泡は、泡内のO2が脱泡とガラス温度の低下とが相まって、小泡内のガス圧が低下し、縮小消滅する。なお、清澄管は、熔融ガラスから気相空間に放出されたガスを大気に放出するために、大気に連通した通気管を備える。
均質化工程(ST3)では、清澄管から延びる配管を通って供給された攪拌槽内の熔融ガラスを、スターラを用いて攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。これにより、脈理等の原因であるガラスの組成ムラを低減することができる。
供給工程(ST4)では、攪拌槽から延びる配管を通して熔融ガラスが成形装置に供給される。
成形装置では、成形工程(ST5)及び徐冷工程(ST6)が行われる。
成形工程(ST5)では、熔融ガラスをシートガラスに成形し、シートガラスの流れを作る。成形は、オーバーフローダウンドロー法が用いられる。
徐冷工程(ST6)では、成形されて流れるシートガラスが所望の厚さになり、内部歪が生じないように、さらに、反りが生じないように冷却される。
切断工程(ST7)では、切断装置において、成形装置から供給されたシートガラスを所定の長さに切断することで、板状のガラス基板を得る。切断されたガラス基板はさらに、所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス基板が作られる。この後、ガラス基板の端面の研削、研磨が行われ、ガラス基板の洗浄が行われ、さらに、気泡等の異常欠陥の有無が検査された後、検査合格品のガラス基板が最終製品として梱包される。
図2は、本実施形態における熔解工程(ST1)〜切断工程(ST7)を行うガラス基板の製造装置の一例を模式的に示す図である。当該装置は、図2に示すように、主に熔解装置100と、成形装置200と、切断装置300と、を有する。熔解装置100は、熔解炉101と、清澄管102と、攪拌槽103と、ガラス供給管104,105,106と、を有する。
図2に示す熔解装置101では、ガラス原料の投入がバケット101dを用いて行われるが、原料投入方法に制約は無く、スクリューフィーダー方式や、ブッシュープレート方式の投入機を用いてもよい。
清澄管102では、熔融ガラスMGの温度を調整して、清澄剤の酸化還元反応を利用して熔融ガラスMGの清澄が行われる。さらに、攪拌槽103では、スターラ103aによって熔融ガラスMGが攪拌されて均質化される。成形装置200では、成形体210を用いたオーバーフローダウンドロー法により、熔融ガラスMGからシートガラスSGが成形される。
なお、図2に示す熔解炉101から成形装置200にいたる熔融ガラスMGの流路、具体的には、ガラス供給管104、清澄管102、ガラス供給管105、攪拌槽103、およびガラス供給管106の熔融ガラスMGの流路を形成する流路内表面は、少なくてもその一部が、白金あるいは白金合金で構成されている。
(2)ガラス基板
本発明の実施形態において製造されるガラス基板は、例えば、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板、またはカーブドパネルディスプレイ用ガラス基板で、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板あるいは、有機ELディスプレイ用のガラス基板として好適である。また、このガラス基板は、その他、携帯端末機器などのディスプレイや筐体用のカバーガラス、タッチパネル板、太陽電池のガラス基板やカバーガラスとしても用いることができる。特に、液晶ディスプレイ用ガラス基板に好適である。その中でも特に熱収縮率の小さいことが要求される、LTPS(低温ポリシリコン)・TFTや、酸化物半導体・TFT、IGZO(Indium-Gallium-Zinc-Oxide)・TFTディスプレイ用ガラス基板など、パネル製造工程において高温処理を必要とする製品に好適に用いることができる。
本実施形態において製造されるガラス基板は、特に制限されないが、例えば縦寸法及び横寸法のそれぞれが、500mm〜3500mm、1500mm〜3500mm、1800〜3500mm、2000mm〜3500mmなどが挙げられ、2000mm〜3500mmであることが好ましい。
ガラス基板の厚さは、例えば0.01mm〜1.1mmである。より好ましくは0.75mm以下の極めて薄い矩形形状の板で、例えば、0.55mm以下、さらには0.45mm以下の厚さがより好ましい。ガラス基板の厚さの下限値としては、0.15mm以上が好ましく、0.25mm以上がより好ましい。
本実施形態で製造されるガラス基板として、以下のガラス組成のガラス基板が例示される。つまり、以下のガラス組成のガラス基板が製造されるように、熔融ガラスの原料が調合される。
<ガラス組成>
本実施形態が適用するガラス組成として、例えば、次が挙げられる(質量%表示)。
SiO:50〜70%(好ましくは、57〜64%)、Al:5〜25%(好ましくは、12〜18%)、B:0〜15%(好ましくは、6〜13%)を含み、さらに、次に示す組成を任意に含んでもよい。任意で含む成分として、MgO:0〜10%(好ましくは、0.5〜4%)、CaO:0〜20%(好ましくは、3〜7%)、SrO:0〜20%(好ましくは、0.5〜8%、より好ましくは3〜7%)、BaO:0〜10%(好ましくは、0〜3%、より好ましくは0〜1%)、ZrO:0〜10%(好ましくは、0〜4%,より好ましくは0〜1%)が挙げられる。さらに、R’O:0.10%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがより好ましい。
或いは、SiO:50〜70%(好ましくは、55〜65%)、B:0〜10%(好ましくは、0〜5%、1.3〜5%)、Al:10〜25%(好ましくは、16〜22%)、MgO:0〜10%(好ましくは、0.5〜4%)、CaO:0〜20%(好ましくは、2〜10%、2〜6%)、SrO:0〜20%(好ましくは、0〜4%、0.4〜3%)、BaO:0〜15%(好ましくは、4〜11%)、RO:5〜20%(好ましくは、8〜20%、14〜19%),を含有することが好ましい(ただし、RはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種である)。さらに、R’Oが0.10%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがより好ましい。
さらに本実施形態のガラス基板の物性値として次が挙げられる。
<ヤング率>
本実施形態が適用されるガラス基板のヤング率として、例えば、72(Gpa)以上が好ましく、75(Gpa)以上がより好ましく、77(Gpa)以上がより更に好ましい。
<歪点>
本実施形態が適用されるガラス基板の歪率として、例えば、650℃以上が好ましく、680℃以上がより好ましく、700℃以上、720℃以上が更により好ましい。
また、例えば、ガラス基板の液相粘度は、104.3poise〜106.7poiseである。
もちろん、本発明においては、ガラス基板のガラス組成を限定するものではない。
<その他>
本実施形態における熔融ガラスからシートガラスを成形する方法として、フロート法やフュージョン法等が用いられるが、本実施形態のガラス基板のオフラインにおける熱処理を含むガラス基板の製造方法は、フュージョン法(オーバーダウンドロー法)において製造ライン上の徐冷装置を長くすることが困難である点から、フュージョン法に適している。本実施形態の熱処理により熱収縮率を低減する前のガラス基板の熱収縮率は、50ppm以下であり、好ましくは40ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更により好ましくは20ppm以下である。熱収縮率を低減する前のガラス基板の熱収縮率の範囲としては、10ppm〜40ppmが好ましい。
本実施形態における熔融ガラスからシートガラスを成形する方法として、フロート法やフュージョン法等が用いられるが、本実施形態のガラス基板のオフラインにおける熱処理を含むガラス基板の製造方法は、フュージョン法(オーバーダウンドロー法)において製造ライン上の徐冷装置を長くすることが困難である点から、フュージョン法に適している。
(3)攪拌槽の基本構成
以下、本発明にかかるガラス基板の製造方法の一実施形態について説明する。
図3を用いて本発明のガラス基板の攪拌槽の基本構成を説明する。具体的には、上述の均質化工程(ST3)、すなわち攪拌装置100を用いて溶融ガラスMGを均質化する工程についての説明である。
図3の攪拌装置103は、図2の攪拌装置103を詳細に示す図である。攪拌装置103は、攪拌容器103a、スターラ103c及び攪拌容器のカバー103bを備えている。
攪拌容器103aは、好ましくは円筒形であり、実質的に垂直に向けられているが、この攪拌容器は必要に応じて他の形状および向きを有していてもよい。攪拌容器103aは、白金または白金合金から構成された壁を有する。耐食性を含む耐高温性、並びに導電率を有するその他の白金族金属で構成される材料を代わりに使用してもよい。攪拌容器103aは、その上部にまたはその近くに位置し、溶融ガラスMGの攪拌容器103aへの入口管となるガラス供給管(以下、入口管ともいう)43b、および攪拌容器103aの下部の近くに位置し、溶融ガラスMGの攪拌容器101からの出口管となるガラス供給管(以下、出口管ともいう)43cを備えている。
スターラ103cは、攪拌槽103の槽本体内側を流れる熔融ガラスを攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。これにより、脈理等の原因であるガラスの組成ムラを低減する。
スターラ103cは、シャフト103dおよびシャフトから延在する複数の攪拌翼103eを備えている。攪拌翼103eは、攪拌装置103の動作中には、攪拌容器103a内の上部の気相空間に接する溶融ガラスMGの液面より下の位置となるように沈められている。スターラ103cは、図示されない回転駆動源に接続された駆動軸に接続されて回転する。スターラ103cの回転数は、例えば、6〜16回/分で回転する。スターラ103cで攪拌される熔融ガラスの粘度は800〜3000poiseである。溶融ガラスMGの表面温度は、約1300℃から1500℃の程度であるが、ガラス組成によりその範囲外となる場合もある。スターラ103cは、白金族金属の材料で構成されることが好ましい。
カバー103bは、攪拌容器103aの上部の開放部を覆うように設けられている。スターラ103cはカバー103bを貫通しており、スターラのシャフト103dとカバー103bとの間に間隙が存在する。カバー103bの下面は、気相空間に接している。
攪拌装置103において、攪拌容器に溶融ガラスを通過させて攪拌処理を行う際に、攪拌装置103の内部の溶融ガラスと接することのない領域として予め設定された領域(以下、単に領域ともいう)の少なくとも一部に、溶射により形成した耐火性酸化物からなる被覆層(以下、被覆層ともいう)を設けてもよい。例えば、上記領域を、攪拌容器103の内部の上部に存在する気相空間に接し、かつ、溶融ガラスMGの液位から5mm〜10mm以上上側の領域として設定することができる。その他の上記領域の例を次に挙げる:気相空間に接する攪拌容器103aの内壁のうち、溶融ガラスMGとの境目付近を除く(溶融ガラスMGの液位から5mm〜10mm以上上側の)領域;カバー103bの下面のうち、気相空間に接する部分;および、気相空間に接するシャフト103d表面のうち、溶融ガラスMGとの境目付近を除く(溶融ガラスMGの液位から5mm〜10mm以上上側の)部分。
カバー103bの下面にある気相空間は、攪拌容器103a内の溶融ガラスMGの液位の調整をすることにより所定の広さを得ることが可能である。上記の液位は、たとえばレーザ変位計を用いて必要に応じて計測し、熔解槽に投入するガラス材料の量を増減する等の好適な方法により調整する。液位が上がると上記の被覆層に接触するおそれがあるため、溶融ガラスMGの液位は上述の気相空間の最下端よりも上にならないように調整することが望ましい。
被覆層を形成する溶射の方法としては、ガス式溶射でもよいし、電気式溶射でもよい。ガス式溶射の例としては、フレーム溶射が挙げられる。電気式溶射の例としては、大気プラズマ溶射、減圧プラズマ溶射などのプラズマ溶射が挙げられ、適宜、溶射方法を選択し、可能な方法を採用してよい。
被覆層を構成する耐火性酸化物は、攪拌装置103の動作条件の高温に耐えられる任意の耐火性酸化物(セラミック材料)であり、例えば、Al23、ZrO2、Cr23、TiO2、MgOを含むものが挙げられるが、これらに限らない。また、Y23−ZrO2などの安定化ジルコニアであってもよい。例えば、Al23をプラズマ溶射することより、被覆層を形成してもよい。また、Y23−ZrO2をプラズマ溶射することより、被覆層を形成してもよい。
耐火性酸化物は、既に述べた溶射技法のうち好適な方法を採択し、所望の被覆厚を有する被覆層107が形成されるまで十分に溶射されるものとする。被覆層に要求される厚さは、攪拌装置103を加熱する温度、すなわちガラス材料により異なるものであり、必要に応じて好適な厚さに設定することができる。例えば、被覆層の厚さは50μm〜500μm程度とする。50μm未満の場合には、揮発を効果的に抑えることができない。また、500μmを超えると、溶射に時間を要する。好ましくは、被覆層の厚さは60μm〜500μm、さらに好ましくは、70μm〜500μm程度である。
(4)特徴
本発明の攪拌工程(攪拌槽103)の主な特徴は、前記攪拌槽の外側表面の温度を測定して攪拌槽外へ放熱される放熱量を算出し、算出される放熱量の変動に基づいて前記攪拌槽の熔融ガラス漏れが判断された場合に、スターラーの回転数を予め定められた所定の回転数である「基準回転数A」に基づいて制御する、ことである。
本発明のさらなる特徴は、攪拌工程において、基準回転数Aに基づいてスターラーの回転数を変更した後に成形工程で成形されたガラス基板からの品質のフィードバック情報に基づいてスターラー回転数を上昇するか否か判断し、スターラーの回転数を上昇する場合に、スターラーの上昇回転数を予め定められた目標回転数Bに基づいて決定する、ことである。かかる目標回転数Bは、スターラーのクリープ破断強度を算出して決定することができる。
(4−1)攪拌槽の放熱量のモニタリング
攪拌槽本体の壁に微孔や小さい亀裂が開いて漏れ出る熔融ガラスMGの漏洩により、攪拌槽本体から槽外へ放熱される放熱量は大きくなる。
例えば、攪拌槽本体は、その外側に、耐火物材(耐火物材のブロック)で槽本体の周囲を覆う保温構造(攪拌槽保温機構)を備えることができ、この場合、耐火物材と攪拌槽との間にキャスタブル耐火物が充填される。
攪拌槽本体がこのような保温構造を備える場合、熔融ガラスMGが攪拌槽本体から漏出したとき、漏出した熔融ガラスMGは、攪拌槽と攪拌槽の周囲を覆う耐火物材との間に充填されているキャスタブル耐火物を熔かし、キャスタブル耐火物と熔融ガラスの混合物に変化し固化する。この混合物は、キャスタブル耐火物に比べて熱伝導度が大きく、例えば1〜6[W/m/K]程度である。このため、熔融ガラスMGの漏出が進行すると、耐火物材への放熱量が増加する。
上述のとおり、熔融ガラスMGが攪拌槽本体から漏出した場合、攪拌槽からの放熱量は増大する。このような熔融ガラスMGの漏洩による攪拌槽本体の放熱量の増大は、攪拌槽本体の上部および下部の所定の位置における熔融ガラスの温度を計測して熔融ガラスMGの放熱量を求めることができる。
例えば、攪拌槽本体の熔融ガラスの流入口と流出口の部分に熱伝対などの温度測定手段を設置し、流入口と流出口における熔融ガラスMGの温度差と、熔融ガラスMGの流量と、熔融ガラスMGの比熱とを乗算し、乗算結果を、攪拌槽本体が加熱源として与える加熱量から減算することにより、放熱量を算出する。
この放熱量が予め定められた閾値(基準放熱量)を超えて増大した場合、熔融ガラスMGが攪拌槽本体から漏出したと判定することができる。
攪拌槽本体からの放熱量が増大したとき、加熱機構を用いて、攪拌槽の放熱分を補うように攪拌槽に熱量を与えて加熱し、攪拌槽の熔融ガラスMGを所定の温度に保つことができる。例えば、攪拌槽の保温構造のさらに外側に間接加熱空間が設けられ、この間接加熱空間には攪拌槽の保温構造の外側から攪拌槽を加熱することができる加熱装置が備えられる。
(4−2)攪拌槽の回転制御
熔融ガラスMGが攪拌槽本体から漏出すると、攪拌槽からの放熱量は増大し、攪拌槽内の熔融ガラスMGの温度は下がる傾向にある。攪拌槽内の熔融ガラスの温度が下がると、熔融ガラスMGの粘度は増加する傾向にある。攪拌槽内の熔融ガラスMGの粘度が増加した状況下で攪拌回転を続けた場合、攪拌槽のスターラーにより大きな負荷がかかることとなり、スターラーの寿命が短くなる、あるいはスターラーの破損が発生することがある。これは、攪拌槽の熔融ガラスMGの粘度が増加した分、より高い粘度の熔融ガラスを攪拌するスターラーに対し負荷が増加するためである。
熔融ガラスMGが攪拌槽本体から漏出し、攪拌槽からの放熱量が増大して、攪拌槽内の熔融ガラスの粘度が上昇した場合、より高い粘度の熔融ガラスを攪拌するのに、攪拌槽内の熔融ガラスMGの液面下に沈められているスターラーの領域において、応力が集中する領域(応力集中領域)が発生する領域により高い応力が発生する。このような応力集中領域の特定は、例えば、攪拌される溶融ガラスの温度とスターラーの回転数を測定して、スターラーの測定温度での物性値と、溶融ガラスの攪拌時の粘度と、スターラーの回転数のデータを用いた流体および構造シミュレーションにより応力集中領域を特定することができる。
上述のようにして特定された、攪拌槽内の熔融ガラスの液面下に沈められているスターラーの応力集中領域において、スターラーが熔融ガラスMGから受ける応力が、攪拌槽内の熔融ガラスの粘度が変化する前と後でほぼ同等となる回転数として「基準回転数A」が設定される。すなわち、基準回転数Aとは「スターラーが熔融ガラスから受ける力を一定にするための回転数」である。上述のように、熔融ガラスMGが攪拌槽本体から漏出した時にスターラーの攪拌を制御するための基準の回転数であり、攪拌槽本体から熔融ガラスが漏出してガラス温度が低下した状況下では、基準回転数Aに基づいてスターラーの攪拌を制御することで、温度低下による材料強度(クリープ強度)が増加するため、スターラーの強度が上がり、スターラーの破損を確実に防ぐことができる。
基準回転数Aの求める方法としては、例えば、流体および構造解析シミュレーションにより熔融ガラスの液面下に沈められているスターラーの応力集中領域、および応力集中領域における応力値を求めておいて、ガラス温度変化又は粘度変化を変数とする管理式を予め定めておくことで、熔融ガラスが漏出したときに、基準回転数Aを自動的に算出することができる。
また、基準回転数Aに、さらに、ガラス成分を均質化して攪拌作用を低減しない、とする要素を加えた回転数とすることができ、例えば、上述のようにして得られた基準回転数をAとし、過去の攪拌データ蓄積(ガラス温度/ガラス粘度の条件と回転数)に基づいた回転数で「ガラス成分を均質化する攪拌作用を低減しない」最適値と比較してAを所定の幅で調整をして基準回転数Aを設定してもよい。
このようにして設定される「基準回転数A」に基づいて、攪拌槽内の熔融ガラスMGの温度変化又は粘度変化に応じ、攪拌槽のスターラーの回転数を決定することで、攪拌制御を最適値に容易にコントロールできる。熔融ガラスが漏出して攪拌槽内の熔融ガラスMGの温度が低くなり、槽内の熔融ガラスMGの粘度が上昇する場合には、上述のようにして予め設定される基準回転数Aまでスターラーの回転数を落としても、スターラーの破損を確実に防ぐことができ、且つ、耐用年数が向上するように回転数をコントロールすることができ、攪拌効果を維持することができる(図4)。回転数の決定においては、例えば、基準回転数Aに基づいて、スターラーの破損が発生しない範囲で、基準回転数Aよりも少し大きい値に回転数を決定することができる。
このように攪拌槽内の熔融ガラスMGの温度変化又は粘度変化が生じた場合でも、基準回転数Aに基づいて攪拌槽のスターラー回転数を決定して攪拌制御することで、スターラーの破損を起こさずに、攪拌槽内の熔融ガラスMGの均質化を十分に行うことができる。
攪拌工程における制御手段として、基準回転数Aを算出する管理式を予め定めておき、プログラミング化して、攪拌槽内の熔融ガラスMGの粘度変化又は温度変化に応じた基準回転数Aを算出し、攪拌槽のスターラーの回転数をコントロールする制御装置を設けることができる。
具体的には、熔融ガラスMGの温度変化を捉えられる様に特定された攪拌槽外側表面の所定の位置に温度測定手段を設け、熔融ガラスMGの温度変化に応じ、基準回転数Aを自動で算出し、算出された基準回転数Aに基づいて攪拌槽のスターラーの回転を制御する制御部(回転数の変更指示部)を攪拌装置に備えることができる。
(ガラス品質情報のフィードバック)
さらに、攪拌工程において、基準回転数Aに基づいた攪拌槽のスターラー回転数の変更後に成形工程で形成されたガラス基板の品質情報をフィードバックして、攪拌槽のスターラーの変更後の回転数をより最適値へ制御することができる。
スターラーの回転数の変更後に成形されたガラス基板の品質情報として、例えば、ガラス基板に発生するスジ、脈理、気泡などの欠陥が挙げられる。攪拌槽で熔融ガラスMGが十分に均質化されず、ガラス成分が不均質なままガラス基板に成形されると、ガラス基板において脈理が発生する場合がある。また、攪拌槽におけるスターラー回転数の設定が高いなど回転数が適切でないと、攪拌槽内の熔融ガラスMGでリボイルが発生し、ガラス基板に気泡が形成される原因となる場合がある。
基準回転数Aに基づいてスターラー回転数を変更した後に成形されたガラス基板の品質情報を攪拌工程へフィードバックして、スターラーの回転数を変更するか否かを判定し、スターラーの回転数を変更する場合には、「目標回転数B」に基づいて攪拌槽のスターラーの回転数をより最適に決定することができる。「目標回転数B」は、スターラーのクリープ強度に基づいて設定することができる(図5)。
目標回転数Bとは攪拌槽内の熔融ガラスの粘度の変化の前後で「スターラーが熔融ガラスから受ける力を一定にする」且つ「クリープの強度を一定にする」ための回転数である。攪拌槽本体から熔融ガラスが漏出してガラス温度が低下した場合、温度の低下の分だけ材料強度(クリープ強度)が増加するため、この強度が増加した分だけスターラーに対する負荷を上げることができる。
つまり、目標回転数Bとはガラス温度の変化の前後で「スターラーの寿命を一定にする回転数」と言い換えることができる。目標回転数Bに基づいて、後工程の品質情報をフィードバックし、回転数を上げることができるため、攪拌工程における攪拌作用を上げることが出来るとともに、生産効率を上げることができ、スターラーの破損を防ぎつつ耐用年数を維持することができる。
例えば、攪拌槽内の熔融ガラスMGの温度が低くなり、槽内の熔融ガラスMGの粘度が上昇する場合、予め設定される基準回転数Aまでスターラーの回転数を落として攪拌効果を維持しながら攪拌し続ける;そして、基準回転数Aに変更した後に成形されたガラス基板の品質情報に基づいて、基準回転数Aで維持している攪拌回転を上昇するか否かを判断し、基準回転数Aまで落とした回転数を上昇する場合には、目標回転数Bまでの範囲で回転数の上昇を決定することができる(図5)。
このように攪拌槽内の熔融ガラスMGの温度変化又は粘度変化が生じた場合でも、基準回転数Aに基づいて攪拌槽のスターラー回転数を制御した後、成形されたガラス基板の品質情報に基づいてスターラーの回転数をさらに変更するか判断し、スターラーの回転数をさらに変更する場合に、目標回転数Bを基準に攪拌の回転数を決定することで、攪拌効果をより高めるように攪拌を最適に制御することができる。目標回転数Bに基づいて回転数を決定することで、攪拌工程における攪拌作用を上げることが出来るとともに、生産効率を上げることができ、スターラーの破損を防ぎつつ耐用年数を維持することができる。
攪拌工程において、攪拌槽内の熔融ガラスMGの粘度変化又は温度変化に応じた基準回転数Aに加え、目標回転数Bも合わせて自動で算出できる様に、予め、攪拌槽のスターラーの回転数を制御する制御装置に基準回転数A及び目標回転数Bを求める管理式を組み込むことができる。
前述のとおり、熔融ガラスMGの温度変化を捉えられる攪拌槽外側表面の所定の位置に温度測定手段を設け、熔融ガラスMGの温度変化に応じ、基準回転数Aを自動で算出し、算出された基準回転数Aに基づいて攪拌槽のスターラーの回転数を制御する制御部1(回転数の変更指示部)を攪拌装置に備えるとともに、さらに、ガラス基板の品質からフィードバックされた情報に基づいて攪拌の回転数を調整するか否かを判定し、攪拌の回転を最適に調整するための目標回転数Bを基準にしてスターラーの回転を制御する制御部2(回転数上昇指示部)を備えることができる。目標回転数Bを基準にしてスターラーの回転をさらに調整することで、攪拌効果をより高めるように攪拌を最適に制御することができる。
なお、本実施形態は、液晶表示装置用ガラス基板や有機ELディスプレイ用ガラス基板等のフラットパネルディスプレイ用基板の製造に用いる場合に上記効果を効率よく発揮することができる。液晶表示装置用ガラス基板等のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板では、ガラス基板に形成するTFTを劣化させないためにアルカリ金属を含まないか、ごく僅かしか含まないアルカリ微量含有ガラスが用いられることが多い。
アルカリ金属を含まないか、ごく僅かしか含まないアルカリ微量含有ガラスは高温粘性が高いため、温度が変化した時のスターラーにかかる応力の変動は従来より高くなる傾向がある。このような高温粘性の高いガラスを用いた場合、攪拌槽のスターラーにおける応力集中領域では、攪拌による負荷がより大きくなる傾向が高いなるため、攪拌工程において本実施形態の攪拌の制御方法(制御装置)を備えた本発明の効果はより大きくなる。
(実施例1)
実施形態1(図4)
流体および構造解析シミュレーションソフトを用いて、攪拌装置のスターラーにおける応力集中領域を特定した結果、スターラーの横羽根がシャフトに接合される最上部の接合部位が応力集中領域であると特定された。
攪拌槽内の熔融ガラス温度が1460℃から1380℃へ低下するとき、この応力集中領域において受ける応力が、攪拌槽内の熔融ガラスMGの温度が低下し粘度が上昇する前と後で同等となる「基準回転数A」として「3.65rpm」を得た。
一定期間、スターラーの回転数を基準回転数A(3.65rpm)へ変更し、変更後の回転数で攪拌して得た熔融ガラスMGを成形したガラス基板と、回転数を変更する前に成形されたガラス基板を比較した。この比較の結果、回転数の変更前と後で、品質が同等のガラス基板を得ることができた。
(実施例2)
実施形態2(図5)
実施形態1による条件で基準回転数Aの「3.65rpm」で攪拌工程の攪拌を続けた。この条件で所定の期間、操業を続けた後、応力集中領域におけるガラス温度が1385℃であると特定され、さらに、スターラーが熔融ガラスから受ける力を一定にする回転数で、且つ、スターラーのクリープの強度を一定にする回転数である「目標回転数B」として「4.70rpm」を得た。
実施形態1の条件で攪拌工程をした後に得られた後工程の成形ガラス基板において品質に問題は見られなかったため、目標回転数Bに基づいて、スターラーの回転数を、基準回転数A:3.65rpmから上昇させて攪拌工程を行った。
一定期間、スターラーの回転数を目標回転数Bに基づいて回転数を上昇させ、変更後の回転数で攪拌して得た熔融ガラスMGを成形したガラス基板と、回転数を変更する前に成形されたガラス基板を比較した。この比較の結果、回転数の変更前と後で、品質が同等のガラス基板を得ることができた。
以上、本発明を実施の形態により説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
103 撹拌槽(攪拌装置)
103a 攪拌容器
103b 攪拌容器のカバー
103c スターラ
103d シャフト
103e シャフトから延在する複数の攪拌翼
103f 液面異物排出パイプ
103g 熔融ガラス流出パイプ
103h 攪拌容器内壁
103i 攪拌容器上部空間
104 ガラス供給管1
105 ガラス供給管2
106 ガラス供給管3
110 溶解槽壁面
112 電極
200 成形装置
210 成形体
300 切断装置

Claims (6)

  1. ガラス基板の製造方法であって、
    熔解炉でガラス原料を熔解して熔融ガラスをつくる熔解工程と、
    前記熔融ガラスが供給され、スターラーが備えられた攪拌槽において、前記熔融ガラスを攪拌する攪拌工程と、
    前記攪拌槽で攪拌された熔融ガラスをオーバーフローダウンドロー法によりガラス基板を形成する成形工程と、を含み、
    前記攪拌工程では、前記攪拌槽の外側表面の温度を測定して攪拌槽外へ放熱される放熱量を算出し、前記放熱量の変動に基づいて前記攪拌槽の熔融ガラス漏れが判断された場合に、前記スターラーの回転数を予め定められた基準回転数Aに基づいて制御する、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記攪拌工程において、前記基準回転数Aに基づいて前記スターラーの回転数を制御した後に前記成形工程で成形されたガラス基板から品質情報をフィードバックして、前記スターラーの回転数を上昇するか否か判定し、前記スターラーの回転数を上昇する場合に予め定められた目標回転数Bに基づいて上昇回転数を決定する、請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記基準決定数Aは、前記スターラーに特定される応力集中領域において前記熔融ガラスから受ける応力が、前記回転数の制御を変更する前と後で同等となるように算出される、請求項1又は2に記載のガラス基板の製造方法。
  4. 前記目標回転数Bは、前記スターラーに特定される応力集中領域において前記熔融ガラスから受ける応力が前記回転数の制御を変更する前と後で同等となり、且つ、前記スターラーのクリープ強度が前記回転数の制御を変更する前と後で一定となるように算出される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス基板の製造方法。
  5. ガラス基板の製造装置であって、
    ガラス原料を熔解して熔融ガラスをつくる熔解炉と、
    スターラーが備えられ、前記熔解炉から供給された熔融ガラスを攪拌する攪拌槽と、
    前記攪拌槽で攪拌された熔融ガラスをオーバーフローダウンドロー法によりガラス基板を形成する成形装置と、を備え、
    前記攪拌槽は、前記攪拌槽の外側表面の温度を測定して攪拌槽外へ放熱される放熱量を算出し、前記放熱量の変動をモニタリングするモニタリング手段と、前記放熱量の変動に基づいて前記攪拌槽における熔融ガラス漏れを判断するガラス漏れ判定部と、前記攪拌槽における熔融ガラス漏れが判断された場合に前記スターラーの回転数を予め定められた基準回転数Aに基づいて決定し、スターラー回転数の変更を指示する攪拌変更指示部と、を含む攪拌回転制御装置を有する、ことを特徴とするガラス基板の製造装置。
  6. 前記攪拌回転制御装置は、さらに、前記回転変更指示部が前記スターラーの回転数を変更した後に前記成形工程で成形されたガラス基板からの品質のフィードバック情報を得て、スターラー回転数の上昇を判定する回転数上昇判定部と、
    前記スターラー回転数を上昇する場合に、予め定められた目標回転数Bに基づいて上昇回転数を決定し、スターラー回転数の上昇を指示する回転数上昇指示部と、
    を含む、請求項5に記載のガラス基板の製造装置。
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