以下、本発明の実施の形態に係る露光装置について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図面は、実際の構造、寸法、縦横の縮尺等を厳密に反映したものではない模式図である。また、以下に説明するマスクパターンとは、フォトマスクに設けられた露光光を通過させる孔の形状のことであり、パターン転写とは、フォトマスクを介して露光光を照射してマスクパターンを基板に転写するプロセスのことであり、転写パターンとは、この転写プロセスによって基板にできるパターンである。
[基板10、第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bの構成]
まず、露光対象物である基板10及び第1フォトマスク11A、第2フォトマスク11Bの構成例について図1〜図3を参照して説明する。図1〜図3に示す例は、露光対象領域14を基板10の幅方向に2分割する例である。
図1は、露光対象領域14を基板10の幅方向に分割したときの基板10の一部を示す平面図であり、転写パターン12の1例を表している。なお、図1に示すマスクパターン12は、実際には高密度に配置されるものであり、曲線で構成されることもあるが、図1では簡略化して表している。また、以降の説明においては、基板10の送り方向(長さ方向)をX方向、幅方向をY方向とし、X−Y平面に対して垂直方向をZ方向又は上下方向と記載する。基板10は、表面に感光性の層が形成されている感光性基板であり、ロール状に巻かれた長尺基板である。
図1に例示する基板10には、複数のスルーホール13が形成されており、転写パターン12は2個のスルーホール13のランドを接続している。但し、1本の転写パターン12が、複数のスルーホール13を接続する場合もある。転写パターン12の形成範囲を、露光対象領域14として説明する。露光対象領域14は、転写パターン12を形成する際の露光光照射の範囲を便宜的に表しており、視認できるものではないが基板10の送り方向に直列に配置される。一つの露光対象領域14が、露光プロセスの1サイクル分に相当する。露光対象領域14は、基板10の幅方向に仮想的な分割線15によって第1露光対象領域14Aと第2露光対象領域15Bとに分割される。仮想的な分割線とは、実際には視認できない線のことであり、以降の説明においては単に分割線と記載する。図1において、第1露光対象領域14A内の転写パターンを転写パターン12A、第2露光対象領域14B内の転写パターンを転写パターン12Bとする。転写パターン12Aと転写パターン12Bを合成することによって転写パターン12が形成される。基板10の露光対象領域14の外側の4隅には、認識マーク16が配置されている。認識マーク16は、フォトマスク11A,11Bとの間の位置合わせに使用する、いわゆるアライメントマークである。
旧来技術においては、露光対象領域14全体を1枚のフォトマスク11によってマスクパターン12を基板10にパターン転写するが、基板10(露光対象領域14)の平面サイズが大判化すると、フォトマスク11の外周部においては、中心部よりも寸法誤差が大きくなる傾向があり、スルーホール13に対して転写パターン12の位置ずれが発生し易い。そこで、本実施の形態においては、基板10の幅方向(Y方向)に分割線15によって露光対象領域14を第1露光対象領域14Aと第2露光対象領域14Bとに分割している。第1露光対象領域14Aに対応するフォトマスクを第1フォトマスク11A(図2参照)、第2露光対象領域14Bに対応するフォトマスクを第2フォトマスク11B(図3参照)とし、2枚のフォトマスクを使用して基板10にマスクパターンを転写する。分割線15は、第1露光領域14Aと第2露光領域14Bとを転写パターンを分断することなく分割することが可能な任意の形状とする。
図2は、第1フォトマスク11Aを示す平面図である。第1フォトマスク11Aには、第1露光対象領域14Aに配置されるマスクパターン17Aが形成されている。マスクパターン17Aは、露光光が通過する孔であり、露光プロセスによって基板10に転写パターン12Aを形成する。
第1フォトマスク11Aの4隅には認識マーク18が設けられている。認識マーク18は、基板10に設けられた認識マーク16と同じ位置に配置されており、フォトマスク11Aの上方から基板10側の認識マーク16を視認することが可能であり、認識マーク16と認識マーク18との位置ずれを位置検出装置であるCCDカメラ36(図7参照)で検出し、基板10とフォトマスク11Aとの相対的な位置合わせをすることが可能となっている。なお、図2に示す認識マーク18は円形であるが、三角形、四角形又は他の多角形とすることなど、認識マーク16がCCDカメラ36で検出可能であれば形状は限定されない。一方、基板10側の認識マーク16においても、円形に限らず十文字などであってもよい。認識マーク16,18は、露光対象領域14の外側に配置される。なお、図中ハッチングで表示する領域が遮光領域19であり、第2露光対象領域14Bの領域は遮光領域19である。
図3は、第2フォトマスク11Bを示す平面図である。第2フォトマスク11Bには、第2露光対象領域14Bに配置されるマスクパターン17Bが形成されている。マスクパターン17Bは、露光光が通過する孔であり、露光プロセスによって基板10に転写パターン12Bを形成する。第2フォトマスク11Bの4隅には認識マーク18が配置されている。認識マーク18は、基板10に設けられた認識マーク16と同じ位置に配置されている。つまり、第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bには、同じ位置、同じ形状の認識マーク18が設けられている。従って、2枚のフォトマスク11A,11Bを使用する露光プロセスにおいて、スルーホール13に対して転写パターン12A,12Bの位置ずれを抑えることが可能となる。なお、図中ハッチングで表示する領域は遮光領域19であり、第1露光対象領域14Aの範囲は遮光領域19である。なお、図2に示す第1フォトマスク11A及び図3に示す第2フォトマスク11Bは、ガラス基板にクロム遮光膜を形成したハードマスクの例である。
[基板10、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bの構成]
続いて、露光対象物である基板10及び第1フォトマスク20A、第2フォトマスク20Bの構成例について図4〜図6を参照して説明する。図4〜図6に示す例は、露光対象領域22を基板10の長さ方向(送り方向)に2分割する例である。
図4は、露光対象領域22を基板10の長さ方向に分割したときの基板10の一部を示す平面図であり、転写パターン21の1例を表している。なお、図4に示すマスクパターン21は、実際には高密度に配置されるものであり、曲線で構成されることもあるが、図4では簡略化して表している。図4に示す転写パターン21は、長さ方向に延長された例を表している。基板10は、表面に感光性の層が形成されている感光性基板であり、ロール状に巻かれた長尺基板である。
図4に例示する基板10には、複数のスルーホール13が形成されており、転写パターン21は2個のスルーホール13のランドを接続している。但し、1本の転写パターン21が、複数のスルーホール13を接続する場合もある。転写パターン21の形成範囲を、露光対象領域22として説明する。露光対象領域22は、転写パターン21を形成する際の露光光照射の範囲を便宜的に表している。一つの露光対象領域22が、露光プロセスの1サイクル分に相当する。露光対象領域22は、基板10の長さ方向(送り方向)に分割線23によって第1露光対象領域22Aと第2露光対象領域22Bとに分割される。なお、分割線23は、直線でも任意の曲線でもよく、露光対象領域22を2等分しなくてもよい。
図4において、第1露光対象領域22A内の転写パターンを転写パターン21A、第2露光対象領域22B内の転写パターンを転写パターン21Bとする。転写パターン22Aと転写パターン22Bを合成することによって転写パターン22が形成される。第1露光対象領域22Aに対応するフォトマスクを第1フォトマスク20A(図5参照)、第2露光対象領域22Bに対応するフォトマスクを第2フォトマスク20B(図6参照)とし、2枚のフォトマスクを使用して基板10にマスクパターンを転写する。図4においては、第1フォトマスク20Aを点線で表し、第2フォトマスク20Bを一点鎖線で表している。基板10の露光対象領域20Aの外側の4隅には、認識マーク16Aが配置されている。認識マーク16Aは、第1フォトマスク20Aとの位置合わせに使用する。基板10の露光対象領域20Bの外側の4隅にも認識マーク16Aが配置され、第2フォトマスク20Bとの位置合わせに使用する。
図4に示す例においては、6カ所に認識マーク16Aが設けられているが、第1露光対象領域22Aと第2露光領域22Aとの境界にある2か所の認識マーク16Aは、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bのために共通に使用される。但し、第1フォトマスク20Aに対応する認識マーク16Aを4箇所、第2フォトマスク20Bに対応する認識マーク16Aを4箇所、それぞれに配設してもよい。
図5は、第1フォトマスク20Aを示す平面図である。第1フォトマスク20Aには、第1露光対象領域22Aに配置されるマスクパターン24Aが形成されている。マスクパターン24Aは、露光光が通過する孔であり、露光プロセスによって基板10に転写パターン21Aを形成する。
第1フォトマスク20Aの4隅には認識マーク18Aが設けられている。認識マーク18Aは、基板10に設けられた認識マーク16Aと同じ位置に配置されており、第1フォトマスク20Aの上方から基板10側の認識マーク16Aを視認することが可能であり、認識マーク16Aと認識マーク18Aとの位置ずれを位置検出装置であるCCDカメラ36(図7参照)で検出し、基板10と第1フォトマスク20Aとの相対的な位置合わせをすることが可能となっている。なお、図5に示す認識マーク18Aは円形であるが、三角形、四角形又は他の多角形とすることなど、認識マーク16AがCCDカメラ36で検出可能であれば形状は限定されない。認識マーク16A,18Aは、第1露光対象領域22Aの外側に配置される。なお、図中ハッチングで表示する領域が遮光領域19である。
図6は、第2フォトマスク20Bを示す平面図である。第1フォトマスク20Bには、第2露光対象領域22Bに配置されるマスクパターン24Bが形成されている。マスクパターン24Bは、露光光が通過する孔であり、露光プロセスによって基板10に転写パターン21Bを形成する。なお、マスクパターン24Aとマスクパターン24Bとの接合部分は高精度に位置調整される。但し、両者の接合部分を、例えば数μm以内で交差させるようにしてもよい。
第2フォトマスク20Bの4隅には認識マーク18Aが設けられている。認識マーク18Aは、基板10に設けられた認識マーク16Aと同じ位置に配置されており、第2フォトマスク20Bの上方から基板10側の認識マーク16Aを視認することが可能であり、認識マーク16Aと認識マーク18Aとの位置ずれを位置検出装置であるCCDカメラ36(図7参照)で検出し、基板10と第2フォトマスク20Bとの位置合わせをすることが可能となっている。認識マーク16A,18Aは、第2露光対象領域22Bの外側に配置される。なお、図中ハッチングで表示する領域が遮光領域19である。
続いて、露光装置の具体的な実施の形態について説明する。なお、以下に説明する第1〜第5の各実施の形態においては、図1〜図3で説明した基板10、第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bに適用する露光装置を代表例として説明する。なお、各実施の形態は、図4〜図6で説明した基板10、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bに対しても適用可能である。例えば、第1フォトマスク11Aを第1フォトマスク20Aに、第2フォトマスク11Bを第2フォトマスク20Bに、転写パターン12を転写パターン21に、露光対象領域14を露光対象領域22に読み替えるなど、構成要素及び構成部材の符号を読み替えることによって説明できることから、図4〜図6において説明した露光対象物である基板10及び第1フォトマスク11A、第2フォトマスク11Bを使用する露光装置の説明は省略する。
[第1の実施の形態]
図7は、露光装置1の概略構成を示す正面図、図8は、露光装置1の概略構成を示す平面図である。なお、図8は、露光光照射機構30の図示を省略している。露光装置1は、長尺の感光性の基板10に直列配置される露光光対象領域14を2分割した第1露光対象領域14Aに対応する第1フォトマスク11A及び第2露光対象領域14Bに対応する第2フォトマスク11Bを使用してマスクパターン17A,17Bを基板10に転写し、転写パターン12を形成する装置である。
露光装置1は、基板10の送り方向(図面左側から右側)の上流側に配置される第1ステージ25及び下流側に配置される第2ステージ26を有している。第1ステージ25及び第2ステージ26は、各々基板10の露光対象領域14の下面を吸着保持する構成となっている。図示は省略するが、第1ステージ25及び第2ステージ26は、基板10を真空吸着する吸着孔を有している。第1ステージ25は、第1露光対象領域14Aにマスクパターン17Aを転写する場所であり、第2ステージ26は、第2露光対象領域14Bにマスクパターン17Bを転写する場所である。
露光装置1は、基板10を第1ステージ25から第2ステージ26に送る基板送り機構27と、基板10(第1露光対象領域14A)と第1フォトマスク11Aとの間の位置及び基板10(第2露光対象領域14B)と第2フォトマスク11Bとの間の位置を決めるアライメント機構28とを有している。第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bは、図示しないマスク枠によってフォトマスク移動機構34に固定されている。露光装置1は、第1ステージ25上の第1フォトマスク11Aに露光光50を照射する露光光照射機構30Aと第2ステージ26上の第2フォトマスク11Bに露光光50を照射する露光光照射機構30Bとを有している。露光光照射機構30A,30Bは、同じ構成である。
基板送り機構27は、第1ステージ25の基板送り方向上流側に配置される基板送出しロール31と、第2ステージ26の基板送り方向下流側に配置される基板巻取りロール32とを有している。さらに、基板送り機構27は、第1ステージ25と第2ステージ26との間に基板中間支持機構33を有している。基板中間支持機構33は、ダンサローラ42と中間ローラ43とから構成され、基板送りの際に基板10に弛みができることを抑制している。図示は省略するが、基板中間支持機構33としてはダンサローラ42に替えて基板支持ステージを配設するようにしてもよい。基板支持ステージには、真空吸着孔が設けられていて基板送り以外の工程中において基板10を吸着保持する。基板送出しロール31及び基板巻取りロール32は、同じタイミングで基板10を送り、同じタイミングで停止するように制御される、なお、基板巻取りロール32の基板送り方向手前にニップローラを配設してもよい。
アライメント機構28は、第1ステージ25上及び第2ステージ26上の両方に配設される。アライメント機構28は、位置検出装置であるCCDカメラ36とフォトマスク移動機構34とから構成される。第1ステージ25及び第2ステージ26において、アライメント機構28は同じ構成であることから、第1ステージ25側について代表して説明する。CCDカメラ36は、基板10の4か所に設けられている認識マーク16及び第1フォトマスク11Aに設けられている4か所の認識マーク18を検出することが可能な位置に配設されている。第1ステージ25においては、CCDカメラ36は、認識マーク16,18の位置を同時に検出して基板10、すなわち第1露光対象領域14A及び第1フォトマスク11Aの位置を特定する。第2ステージ26においては、CCDカメラ36は、認識マーク16,18の位置を同時に検出して基板10、すなわち第2露光対象領域14B及び第2フォトマスク11Bの位置を特定する。
フォトマスク移動機構34は、X軸移動機構38、Y軸移動機構39、Z軸移動機構40及びθ軸回転機構41を有している。第1ステージ25においては、フォトマスク移動機構34は、CCDカメラ36が検出した認識マーク16,18の位置のずれ量に基づき第1フォトマスク11A(認識マーク18)を基板10(認識マーク16)の位置に合わせる。フォトマスク移動機構34は、X軸移動機構38及びY軸移動機構39によって平面方向の位置を合せ、θ軸回転機構41はZ軸を回転中心として第1フォトマスク11AのX軸又はY軸に対する傾きのずれ量を補正する。Z軸移動機構40は、第1フォトマスク11Aを上下動して基板10との間の隙間を露光プロセス時の最適値(例えば、数μm)に調整する。基板送り時には、Z軸駆動機構40は第1フォトマスク11Aを基板10が接触しない高さに上昇させる。
第2ステージにおけるアライメント動作は、これまでの説明において第1フォトマスク11Aを第2フォトマスク11Bに読み替えることによって、第1ステージ25と同じように説明することが可能であることから説明を省略する。
なお、図7及び図8において、第1ステージ25側のアライメント機構28と第2ステージ26側のアライメント機構28とは、互いに同じ方向を向くように配設されているが、互いに対向する方向に配置してもよい。アライメント機構28が互いに同じ方向に向くように配設することによって、第1ステージ25及びアライメント機構28を含んでユニット化したとき、第2ステージ26及びアライメント機構を含むユニットを同じ構成にすることが可能となる。
第1ステージ25において、露光光照射機構30Aは、光源45及び光源45から出射される光を反射して第1フォトマスク11Aに露光光50として照射する反射ミラー47,48を有している。露光光照射機構30Aの光学系としては、露光光50を平行光に変換するレンズ類が配設されるが、図示及び説明を省略する。光源45及び反射ミラー47,48から構成される露光光照射機構30Aは1例であって、この構成に限定されない。第2ステージ26側においても、第1ステージ25側と同じ構成の露光光照射機構30Bが備えられている。第2ステージ26においては、光源45から出射される光は、反射ミラー47,48で反射し露光光50として第2フォトマスク11Bに照射される。
続いて、露光装置1を使用するときの露光方法について図9に示す工程フロー図に沿い、図1〜図8を参照しながら説明する。
図9は、露光装置1を使用するときの露光方法の主要工程を示す工程フロー図である。露光装置1の稼働開始に先立ち、基板10を第1ステージ25上及び第2ステージ26上のCCDカメラ36が認識マーク16,18を検出可能な位置にセットする。露光装置1の稼働開始時には、第1露光対象領域14A及び第2露光対象領域14B共にマスクパターン12は転写されていないものとする。まず、第1ステージ25において、基板10に第1フォトマスク11Aの位置を合せる(ステップS1)。この工程では、CCDカメラ36によって認識マーク16,18の位置ずれを検出し、フォトマスク移動機構34を駆動し基板10(第1露光対象領域14A)に対して適切な位置に第1フォトマスク11Aを合せる。
次いで、露光光照射機構30Aから露光光50を照射し、第1露光対象領域14Aに第1マスクパターン12Aを転写し(ステップS2)、基板10を基板送り機構27によって1ピッチ分送る(ステップS3)。基板10は、第1マスクパターン12Aが転写された露光対象領域14が第2ステージ上の所定位置において吸着保持される。第1ステージ25上には、マスクパターン12が転写されていない露光対象領域14が配置されることになる。次いで、第2ステージ26において、基板10(第2露光対象領域14B)に対して適切な位置に第2フォトマスク11Bを合せる(ステップS4)。この位置合わせ動作は、第1ステージ25におけるステップS1と同じ動作で行われる。
基板10に第2フォトマスク14Bの位置を合せた後、露光光50を照射し、第2ステージ26において第2露光対象領域14Bに第2マスクパターン17Bを転写する(ステップS5)。第2ステージ26において第2露光対象領域14Bに第2マスクパターン17Bを転写した後、基板10を1ピッチ分送り(ステップS6)、ステップS1からステップS6を所定回数に達するまで繰り返す。以降、常に第2ステージ26には、マスクパターン17Aが転写された第1露光対象領域14Aが配置されることから、基板10と第2フォトマスク11Aとの位置を合せ(ステップS4)、第2露光対象領域14Bに第2マスクパターン17Bを転写する工程(ステップS5)を第1ステージ25におけるステップS1及びステップS2と同時並行して行うことが可能である。
露光装置1は、アライメント機構28及び露光光照射装置30が、第1ステージ25と第2ステージ26とにそれぞれ独立して配設されている。そのことによって、露光装置1を連続運転する間においては、第1フォトマスクの位置合わせ(ステップS1)と、第2フォトマスクとの位置合わせ(ステップS4)を同時に行うことが可能である。また、第1ステージ25において基板10に第1マスクパターン17Aを転写している(ステップS2)間に、第2ステージ26において第2フォトマスクとの位置合わせ(ステップS4)をすることが可能であり、第2ステージ26において基板10に第2マスクパターン17Bを転写している(ステップS5)間に、第1ステージ25において第1フォトマスクの位置合わせ(ステップS1)を行うことが可能である。
以上説明した露光装置1,2,3,4,5は、感光層を有する基板10の送り方向に直列配置される複数の露光対象領域14,22の一つを第1露光対象領域14A,22Aと第2露光対象領域14B,22Bとに任意形状の仮想的な分割線15,23で分割し、第1露光対象領域14A,22Aに対応する第1フォトマスク11A,20A及び第2露光対象領域14B,22Bに対応する第2フォトマスク11B,20Aを使用してマスクパターン17A,17B,24A,24Bを基板10に転写する装置である。露光装置1は、基板10の送り方向上流側に配置され、基板10の露光対象領域14,22を支持する第1ステージ25と、第1ステージ25よりも下流側に配置され、露光対象領域14,22を支持する第2ステージ26と、露光対象領域14,22を第1ステージ25から第2ステージ26に送る基板送り機構27と、を有している。さらに、露光装置1は、第1ステージ25において第1露光対象領域14A,22Aと第1フォトマスク11Aとの間の相対的な位置を合せるアライメント機構28及び第2露光対象領域14B,22Bと第2フォトマスク11Bとの間の相対的な位置の各々を合せるアライメント機構28と、光源45から出射される光を露光光50として、第1ステージ25上の第1フォトマスク11A,20Aに照射し、かつ第2ステージ26上の第2フォトマスク11B,20Bに照射する露光光照射機構30A,30B,35,55A,55B,62と、を備えている。
露光装置1,2,3,4,5は、露光対象領域14を基板10の幅方向に分割線15で分割することによって、マスクパターン17A,17Bの中心部からの長さ(距離)を短くすることができ、高精度で基板10に転写することが可能となる。また、露光対象領域22を基板10の長さ方向に分割線23で分割することによって、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bの基板送り方向の長さが同じマスクパターンを基板10に転写する一括露光対応のフォトマスクに対して約半分となる。このことによって、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bのコストを格段に下げることが可能となる。
また、露光装置1,2,3,4,5は、第1ステージ25及び第2ステージ26のそれぞれにアライメント機構28を有し、さらに、第1ステージ25上及び第2ステージ26上に露光光50を照射可能な露光光照射機構30A,30B,35,55A,55B,62を有している。そのことによって、第1ステージ25でパターン転写をしている間に、第2ステージ26では第2フォトマスク11B,20B0Aと基板10との間の相対的な位置合わせを行い、また、第2ステージ26でパターン転写をしている間に、第1ステージ25では第1フォトマスク11A,20Bと基板10との間の位置合わせを行うことが可能となる。従って、2回に分けて露光しパターン転写をする分割露光方式であっても、大判サイズのフォトマスクを使用して一回でパターン転写をする従来の一括露光方式の露光装置に対して同等のタクトタイム(又はサイクルタイムという)に抑えることが可能となる。タクトタイムと、転写パターンの高精度化に伴う歩留まり向上を考慮すれば生産性を高めることが可能となる。
従って、このような構成の露光装置1によれば、フォトマスクを低コスト化し、かつ、マスクパターン17A,17B,4A,24Bを大判サイズの基板10に高精度に転写し、分割露光方式であっても生産性を高めることが可能となる。
図1〜図3において説明した露光対象物の例においては、露光対象領域14は、基板10の幅方向に仮想的な分割線15で分割される。第1フォトマスク11Aは、第1露光対象領域14Aの範囲に形成されるマスクパターン17Aと第2露光対象領域14Bに形成される遮光領域19とで構成されており、前記第2フォトマスク11Bは、第2露光対象領域14Bの範囲に形成されるマスクパターン17Bと第1露光対象領域14Aに形成される遮光領域19とで構成されている。
1枚の大判サイズのフォトマスクで基板に一括露光する場合、基板の外周側においては、大判化するほど転写パターンの位置ずれが中央部よりも大きくなる傾向がある。基板送り方向においては基板送り量(送りピッチ)で位置合わせをすることがある程度可能であるが、幅方向においては位置ずれを補正することは困難である。そこで、露光対象領域14を基板10の幅方向で分割して露光することによって、マスクパターン17A,17Bの中心部からの長さ(距離)を短くすることによって高精度で基板10に転写することが可能となる。
図4〜図6において説明した例においては、露光対象領域22は、基板10の長さ方向に仮想的な分割線23で分割され、第1フォトマスク20Aは、第1露光対象領域22Aを覆う平面サイズを有し、第2フォトマスク20Bは、第2露光対象領域22Bを覆う平面サイズを有している。
一般に、フォトマスクは、平面サイズ(面積)が大きくなるにつれコスト高となる。露光対象領域22を基板10の長さ方向(送り方向)に第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bに2分割することによって、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bの面積は露光対象領域22を一括露光するフォトマスクに対して面積が約半分となる。このようにすることによって、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bのコストを一括露光用のフォトマスクに対して格段に下げることが可能となる。
アライメント機構28は、第1ステージ25及び第2ステージ26の各々に配設されている。一方のアライメント機構28は、第1ステージ25上で第1露光対象領域14A,22A及び第1フォトマスク11A,20Aの位置を検出する位置検出装置であるCCDカメラ36と、検出結果に基づき基板10に第1フォトマスク11Aの相対的な位置を合わせるフォトマスク移動機構34を有している。他方のアライメント機構28は、第2ステージ26上で第2露光対象領域14B,22B及び第2フォトマスク11Bの位置を検出する位置検出装置であるCCDカメラ36と、検出結果に基づき基板10に第2フォトマスク11B,20Bの相対的な位置を合わせるフォトマスク移動機構34と、を有している。
このような構成にすることによって、第2ステージ26においてはマスクパターン17A,24Aが転写された基板に第2フォトマスク11B,20Bの位置を合せて露光することになる。従って、位置ずれがない転写パターン12,21を形成することが可能となる。
また、露光装置1は、第1ステージ25と第2ステージ26との間に配設される基板中間支持機構33を有している。第1ステージ25、基板中間支持機構33及び第2ステージ26は直列に配設される。基板中間支持機構33は、第1ステージ25と第2ステージ26との間において基板送りのバッファとなる。基板10は長尺であることから、露光プロセスの前工程などで位置ずれが発生する可能性がある。しかし、基板送りにバッファを設けることによって、第1ステージ25において独立して基板10と第1フォトマスク11A,20Aとの間の相対的な位置合わせを行い、第2ステージにおいて独立して基板10と第2フォトマスク11B,20Bとの間の相対的な位置合わせを行うことが可能となる。
また、露光光照射機構30は、光源45及び光源45から出射される光を反射し露光光50として照射する反射ミラー47,48を有し、露光光照射機構30は、第1ステージ25及び第2ステージ26の各々の上方に配設されている。
このような構成にすることによって、第1ステージ25における露光光50の照射と第2ステージ26における露光光50の照射とを独立して行うことが可能となる。このことによって、第1ステージ25及び第2ステージ26それぞれにおいて、位置合わせ、パターン転写及び基板送りの各動作を最短タクトタイムとなるように制御することが可能となる。
なお、露光装置1は、露光対象領域14,22を基板10の幅方向又は長さ方向に2分割する例をあげ説明しているが、3分割或いは4分割することも可能である。例えば、3分割する場合には、第1ステージ25及び第2ステージ26に加えて第3ステージを連結することによって可能となる。第3ステージには、アライメント機構、露光光照射機構及び第3フォトマスクが配設され、第2ステージ26と第3ステージの間には、基板中間支持機構が配設される。
また、露光装置1においては、露光対象領域14を分割しない一括露光にも適用することが可能である。例えば、第1ステージ25及び第2ステージ26において、位置合わせ工程、パターン転写工程を同時に行い、基板10を2ピッチ分送るようにすれば、タクトタイムを第1の実施の形態のタクトタイムの約1/2にすることが可能となる。
[第2の実施の形態]
続いて、第2の実施の形態に係る露光装置2の構成について図10を参照して説明する。露光装置2は、前述した露光装置1が第1ステージ25及び第2ステージ26のそれぞれに対応する露光光照射機構30A,30Bを有していることに対し、露光光照射機構35で光路を第1ステージ25側と第2ステージ26側とに切替えて、露光光50を照射する構成としていることが相違点である。なお、フォトマスクとして第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bを使用する例を代表例にあげ説明する。
図10は、露光装置2の概略構成を示す正面図である。露光装置2は、露光光照射機構35以外は、露光装置1と同じ構成であることから、露光光照射機構35の構成及び作用を中心に説明する。なお、図10において、露光装置1との共通部分には図7と同じ符号を付している。露光装置2は、本体側としては、第1ステージ25、第2ステージ26、基板送り機構27及びアライメント機構28を有している。露光光照射機構35の光源45は、第1ステージ25と第2ステージ26とを結ぶ直線上の中間位置、かつ、Y方向の中間位置の上方に配置される。
露光光照射機構35は、光源45、光源45から出射する光を露光光50として第1フォトマスク11Aに照射する方向と第2フォトマスク11Bに照射する方向とに光路を切換えて照射する光路切換手段46及び反射ミラー47,48を有している。光路切換手段46は、反射ミラー49と、反射ミラー49を第1ステージ11A及び第2ステージ11Bの表面に対する傾斜角度を切り換える切換え機構及び反射ミラー49をZ軸回りに回転する回転機構(共に図示は省略)とを有している。
第1フォトマスク11Aに露光光50を照射する場合、反射ミラー49は、光路切換手段46によって反射ミラー49A(図示点線)で表す姿勢に制御される。光源45から出射された光は、反射ミラー49Aによって光路29Aに光路が切換えられ、反射ミラー47によって露光光50として第1フォトマスク11Aに照射される。第2フォトマスク11Bに露光光50を照射する場合、反射ミラー49は、光路切換手段46によって反射ミラー49B(図示実線)で表す姿勢に制御される。光源45から出射された光は、反射ミラー49Bによって光路29Bに光路が切換えられ、反射ミラー48で露光光50として第2フォトマスク11Bに照射される。露光光50は、第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bの表面に対して垂直に照射される。露光光照射機構35の光学系としては、露光光50を平行光に変換するレンズ類が配設されるが、図示及び説明を省略する。
なお、第1露光対象領域14Aに露光光50を照射する場合、或いは第2露光対象領域14Bに露光光50を照射する場合には、光路切換手段46によって照射範囲を制御することが可能である。例えば、反射ミラー49、第1反射ミラー47及び第2反射ミラー48をそれぞれ第1ステージ11A又は第2ステージ11Bの表面に対する傾斜角度を切り換えることによって、第1露光対象領域14A又は第2露光対象領域14Bに集光させることが可能である。或いは、指向性を備える光源45を選択してもよい。
続いて、露光装置2を使用するときの露光方法について図11に示す工程フロー図に沿いながら、図1〜図3及び図10を参照しながら説明する。なお、図1〜図3において説明した第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bを使用する例を代表例として説明する。
図11は、露光装置2を使用するときの露光方法の主要工程を示す工程フロー図である。露光装置2の稼働開始に先立ち、基板10を、第1ステージ25上及び第2ステージ26上のCCDカメラ36が認識マーク16を検出することが可能な位置にセットする。露光装置2の稼働開始時には、第1露光対象領域14A及び第2露光対象領域14B共にマスクパターン12は転写されていないものとする。まず、第1ステージ25において、基板10(第1露光対象領域14Aに対して適切な位置に第1フォトマスク11Aを合せる(ステップS1)。この工程では、CCDカメラ36によって認識マーク16,18の位置ずれを検出し、フォトマスク移動機構34を駆動し基板10に第1フォトマスク11Aの位置を合せる。
次いで、露光光50を第1フォトマスク11Aに照射するように光路切換手段46によって光路29Aに切換え(ステップS2)、第1露光対象領域14Aにマスクパターン17Aを転写する(ステップS3)。パターン転写後、基板10を基板送り機構27によって1ピッチ分送る(ステップS4)。このことによって、マスクパターン12Aが転写された露光対象領域14が第2ステージ上の所定位置に吸着保持される。第1ステージ25上には、マスクパターン12Aが転写されていない露光対象領域14が配置されることになる。次いで、基板10(第2露光対象領域14B)に対して適切な位置に第2フォトマスク11Bの位置を合せる(ステップS5)。この位置合わせ動作は、第1ステージ25におけるステップS1と同じ動作で行われる。なお、光路を切換える工程(ステップS2)は、第1ステージ25と同じタイミングで行うことが可能である。
基板10に第2フォトマスク14Bの位置を合せた後、露光光50を第2フォトマスク11Bに照射するように光路切換手段46によって光路29Bに切換え(ステップS6)、第2ステージ26において第2露光対象領域14Bにマスクパターン17Bを転写する(ステップS7)。パターン転写後、基板10を基板送り機構27によって1ピッチ分送り(ステップS8)、ステップS1からステップS8の工程を所定数に達するまで繰り返す。光路を切換える工程(ステップS6)は、基板10の送り工程(ステップS4)から位置合わせ工程(ステップS5)が終了するまでの間に並行して行うことが可能である。
露光装置2は、アライメント機構28が第1ステージ25と第2ステージ26とにそれぞれ独立して配設されている。そのことによって、露光装置2を連続運転する間においては、第1フォトマスク11Aの位置合わせ(ステップS1)と、第2フォトマスク11Bとの位置合わせ(ステップS5)を同時に行うことが可能である。また、第1ステージ25において基板10(第1露光対象領域14A)にマスクパターン17Aを転写している(ステップS3)間に、第2ステージ26において基板10(第2露光対象領域14B)第2フォトマスク11Bとの間の位置合わせ(ステップ5)をすることが可能であり、第2ステージ26において基板10(第2露光対象領域14B)にマスクパターン17Bを転写している(ステップS7)間に、第1ステージ25において基板10(第1露光対象領域14A)と第1フォトマスク11Aとの間の位置合わせ(ステップS1)をすることが可能である。
以上説明した露光装置2においては、露光光照射機構35は、第1ステージ25と第2ステージ26との中間位置上方に配設され、光源45から出射される光を第1フォトマスク11A又は第2フォトマスク11Bに切換えて照射する光路切換手段46を有している。
露光装置2は、前述した露光装置1が2セットの露光光照射機構30を装備していることに対して1セットの露光光照射機構35を装備していること以外は露光装置1と同じ構成である。露光光照射機構35は、第1ステージ25において第1フォトマスク11Aに露光光50を照射した後、光路切換手段46によって第2ステージ26において第2フォトマスク11Bに露光光50を照射するように光路を切換える。第2ステージ26における露光光50を照射した後に、光路切換手段46によって第1ステージにおいて第1フォトマスク11Aに露光光50を照射するように光路を切換える。露光装置2は、露光光照射機構35の1セットで、マスクパターン17A,17Bを基板に転写することが可能となり、露光装置1が露光光照射機構30A,30Bを備えていることに対して構成を簡略化することが可能となる。
また、第1フォトマスク11Aの位置合わせ(ステップS1)と、第2フォトマスク11Bとの位置合わせ(ステップS5)を同時に行うことが可能である。また、第1ステージ25において基板10に第1マスクパターン17Aを転写している(ステップS3)間に、第2ステージ26において第2フォトマスクとの位置合わせ(ステップ5)をすることが可能であり、第2ステージ26において基板10に第2マスクパターン17Bを転写している(ステップS7)間に、第1ステージ25において第1フォトマスク11Aの位置合わせ(ステップS1)をすることが可能である。従って、露光装置2によれば、光路を切換える動作があるものの、露光装置1に対してタクトタイムが長くなることはない。
図1〜図3において説明した露光対象物の例においては、露光対象領域14を基板10の幅方向で分割して露光することによって、マスクパターン17A,17Bの長さを短くすることによって高精度で基板10に転写することが可能となる。また、図4〜図6において説明した露光対象物の例においては、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bの平面サイズ(面積)は、露光対象領域22を一括露光するフォトマスクに対して約半分となる。このようにすることによって、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bのコストを一括露光用のフォトマスクに対して格段に下げることが可能となる。
以上説明した露光装置2によれば、第1フォトマスク20A,20Bのコストを低減し、かつ、マスクパターン17A,17B又はマスクパターン24A,24Bを大判サイズの基板10に高精度に転写することが可能となり、分割露光方式であっても生産性を高めることが可能となる。
[第3の実施の形態]
続いて、第3の実施の形態に係る露光装置3の構成について図12〜図14を参照して説明する。露光装置3は、前述した露光装置1を平行に2列に併設し、露光光照射機構55A,55B(図9参照)によってマスクパターン17A,17B又はマスクパターン24A,4Bを基板10に転写する装置である。2列の露光ラインの一方を第1露光ライン60、他方を第2露光ライン61とする。以下の説明においては、フォトマスク11A,11Bを使用する例を代表例として説明する。
図12は、露光装置3の概略構成を示す平面図であり、図13は、図12の左方(太い矢印方向)から見た第1ステージ25側の露光光照射機構55Aの構成及び作用を模式的に説明する説明図である。図14は、図9の左方(太い矢印方向)から見た第2ステージ26側の露光光照射機構55Bの構成及び作用を模式的に説明する説明図である。第1露光ライン60及び第2露光ライン61は、露光光照射機構30A,30Bを除いて露光装置1と同じ構成であることから詳しい説明を省略し、露光装置1に対し共通部分には、図7及び図8と同じ符号を付して説明する。露光装置3は、第1露光ライン60、第2露光ライン61及び露光光照射機構55A,55Bによって構成される。
第1露光ライン60は、基板10の送り方向(X軸方向)上流側から下流側に基板送出しロール31、第1ステージ25、基板中間支持機構33、第2ステージ26、基板巻取りロール32の順に直列に配設されている。第1ステージ25及び第2ステージ26には、それぞれにアライメント機構28が配設される。アライメント機構28は、フォトマスク移動機構34と位置検出装置であるCCDカメラ36とから構成されている。第2露光ライン61は、第1露光ライン60と同じ構成である。従って、第1露光ライン60及び第2露光ライン61は共に、第1ステージ25に第1フォトマスク11Aが配設され、第2ステージ26に第2フォトマスク11Bが配設される。
なお、以下の説明において第1露光ライン60及び第2露光ライン61の作用の説明を区別するために、第1露光ライン60においては第1ステージ25に配置される第1フォトマスク11Aを第1フォトマスク11Aa、第2ステージ26に配置される第2フォトマスク11Bを第2フォトマスク11Baと記載する。また、第2露光ライン61においては第1ステージ25に配置される第1フォトマスク11Aを第1フォトマスク11Ab、第2ステージ26に配置されるフォトマスク11Bを第2フォトマスク11Bbと記載する。
第1露光ライン60の第1ステージ25と第2露光ライン61の第1ステージ25との中間位置には露光光照射機構55Aが配設されている。また、第1露光ライン60の第2ステージ26と第2露光ライン61の第2ステージ26との中間位置には露光光照射機構55Bが配置されている。露光光照射機構55Aと露光光照射機構55Bの構成は同じである。第1ステージ25側の露光光照射機構55Aは、光源45から出射される光を光路切換手段46によって反射ミラー49の傾斜角度を切換え、第1反射ミラー47で反射して第1フォトマスク11Aaに照射し、第2反射ミラー48で反射して第1フォトマスク11Abに照射する。一方、第2ステージ26側の露光光照射機構55Bにおいても第1ステージ25側と同様に、光源45から出射される光を光路切換手段46によって反射ミラー49の傾斜角度を切換え、第1反射ミラー47で反射して第2フォトマスク11Baに照射し、第2反射ミラー48で反射して第2フォトマスク11Bbに照射する。露光光照射機構55Aの作用については図13を参照し、露光光照射機構55Bの作用については図14を参照して詳しく説明する。
第1ステージ25側においては、図13に示すように露光光照射機構55Aは、光源45、光源45から出射する光を露光光50として第1露光ライン60側の第1フォトマスク11Aaに照射する方向と第2露光ライン61側の第1フォトマスク11Abに照射する方向とに光路を切換えて照射する光路切換手段46、第1反射ミラー47及び第2反射ミラー48を有している。
第1露光ライン60側の第1フォトマスク11Aaに露光光50を照射する場合には、反射ミラー49は光路切換手段46によって反射ミラー49Aで表す姿勢に切換えられる。光源45から出射された光は、反射ミラー49Aによって光路が光路29Aに切換えられ、第1反射ミラー47で反射して露光光50として第1フォトマスク11Aaに照射される。第2露光ライン61側の第1フォトマスク11Abに露光光50を照射する場合には、反射ミラー49は光路切換手段46によって反射ミラー49Bで表す姿勢に切換えられる。光源45から出射された光は、反射ミラー49Bで光路が光路29Bに切り換えられ、反射ミラー48で反射し露光光50として第1フォトマスク11Abに照射される。露光光50は、第1フォトマスク11Aa,11Abの表面に対して垂直に照射される。
第2ステージ26側においては、図14に示すように露光光照射機構55Bは、光源45、光源45から出射する光を露光光50として第1露光ライン60側の第2フォトマスク11Baに照射する方向と第2露光ライン61側の第2フォトマスク11Bbに照射する方向とに光路を切換えて照射する光路切換手段46、第1反射ミラー47及び第2反射ミラー48を有している。
第1露光ライン60側の第2フォトマスク11Baに露光光50を照射する場合には、反射ミラー49は光路切換手段46によって反射ミラー49Aで表す姿勢に切換えられる。光源45から出射された光は、反射ミラー49Aによって光路が光路29Aに切換えられ、第1反射ミラー47で反射して露光光50として第2フォトマスク11Baに照射される。第2露光ライン61側の第2フォトマスク11Bbに露光光50を照射する場合には、反射ミラー49は光路切換手段46によって反射ミラー49Bで表す姿勢に切換えられる。光源45から出射された光は、反射ミラー49Bで光路が光路29Bに切り換えられ、反射ミラー48で反射し露光光50として第2フォトマスク11Bbに照射される。露光光50は、第2フォトマスク11Ba,11Bbの表面に対して垂直に照射される。なお、露光光照射機構55A,55Bの光学系としては、露光光50を平行光に変換するレンズ類が配設されるが、図示及び説明を省略する。
続いて、露光装置3を使用するときの露光方法について図15に示す工程フロー図に沿いながら、図9〜図11を参照しながら説明する。なお、図1〜図3において説明した第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bを使用する例として説明する。
図15は、露光装置3を使用するときの露光方法の主要工程を示す工程フロー図である。露光装置3の稼働開始に先立ち、基板10を第1露光ライン60及び第2露光ライン61において第1ステージ25上及び第2ステージ26上のCCDカメラ36が認識マーク16を検出可能な位置にセットする。露光装置3の稼働開始時には、第1露光ライン60及び第2露光ライン61には共に露光対象領域14にマスクパターン12は転写されていないものとする。
図15において、左側に示す工程フローは第1露光ライン60のもの、右側に示す工程フローは第2露光ライン61のものである。まず、第1露光ライン60の第1ステージ25において、基板10(第1露光対象領域14A)に第1フォトマスク11Aaの位置を合せ(ステップS1)、併行して第2露光ライン61の第1ステージ25において、基板10(第1露光対象領域14A)に第1フォトマスク11Abの位置を合せる(ステップS2)。次いで、露光光50が第1フォトマスク11Aaに照射するように光路切換手段46によって光路を光路29Aに切換える(ステップS3)。なお、露光光照射機構55Aの初期設定が第1フォトマスク11Aaに露光光50を照射する状態にある場合には、ステップS3は省略する。続いて、第1露光ライン60の第1ステージ25において、第1露光対象領域14Aにマスクパターン17Aを転写し(ステップS4)、露光光50を第2露光ライン61側の第1フォトマスク11Abに照射するように光路切換手段46によって光路を光路29Bに切換える(ステップS5)。
第1露光ライン60では、第1ステージ25において第1露光対象領域14Aにマスクパターン17Aを転写した後、基板10を1ピッチ分送る(ステップS6)。このことによって、マスクパターン17Aが転写された露光対象領域14が第2ステージ26の所定位置に配置される。第1ステージ25には、マスクパターン17A,17Bが転写されていない露光対象領域14が配置される。
第2露光ライン61では、光路が切換えられた後に、第1ステージ25において第1露光対象領域14Aにマスクパターン17Aを転写する(ステップS7)。第1露光ライン60では、基板10を送った後、第2ステージ26において基板10(第2露光対象領域14B)に第2フォトマスク11Baの位置を合せる(ステップS8)。第2露光ライン61では、第1ステージ25において、マスクパターン17Aが転写された基板10を1ピッチ分送る(ステップS9)。このことによって、マスクパターン17Aが転写された露光対象領域14が第2ステージ26の所定位置に配置される。第1ステージ25には、マスクパターン17A、17Bが転写されていない露光対象領域14が配置される。
第1露光ライン60では、露光光50を第2フォトマスク11Baに照射するように光路切換手段46によって光路を光路29Aに切換え(ステップS10)、第2ステージ26において第2露光対象領域14Bにマスクパターン17Bを転写する(ステップS11)。
第2露光ライン61においては、基板10を送った後、第2ステージ26において基板10に第2フォトマスク11Bbの位置を合せ(ステップS12)、露光光50を第2フォトマスク11Bbに照射するように光路切換手段46によって光路を切換え(ステップS13)、第2ステージ26において第2露光対象領域14Bにマスクパターン17Bを転写する(ステップS14)。
第1露光ライン60においては、第2フォトマスク11Baによるマスクパターン17Aの転写が終了後、基板10を1ピッチ分送る(ステップS15)。第2露光ライン61においても、第2フォトマスク11Bbによるマスクパターン17Aの転写が終了後、基板10を1ピッチ分送る(ステップS16)。以上説明したステップ1〜ステップ16を所定数に達するまで繰り返す。
露光装置3は、第1露光ライン60、第2露光ライン61及び露光光照射機構55A,55Bを有している。第1露光ライン60及び第2露光ライン61は、それぞれが直列に連結された第1ステージ25及び第2ステージ26を有し、第1ステージ25及び第2ステージ26は、独立して駆動することが可能なアライメント機構28を有している。図15に示した工程フローにおいては、第1露光ライン60及び第2露光ライン61を同期して駆動する例を示しているが、第1露光対象領域14A又は第2露光対象領域14Bに所定のマスクパターンを転写する前に、露光対象の第1フォトマスク11Aa,11Ab、第2フォトマスク11Ba,11Bbそれぞれに露光光50を照射するように露光光照射機構55A又は露光光照射機構55Bの光路切換手段46によって光路を切換える。このことによって、基板10とフォトマスク11Aa,11Ab,11Ba,11Bbとの位置合わせ及び基板10を送ることなどのタイミングは、自在に設定することが可能である。従って、第1露光ライン60又は第2露光ライン61を単独で駆動することも可能となる。
また、露光光照射機構55A,55Bによる光路を切換える工程を、例えば、基板10と各フォトマスクとの間の位置合わせ又は基板10の送り工程中に行うことが可能である。そのことによって、露光光50を照射する対象場所が4か所有り、露光光照射機構55A,55Bが2セットの構成であっても、露光ラインが1ラインの場合に対してタクトタイムを同等に抑えることが可能となる。
以上説明した露光装置3は、第1ステージ25、第2ステージ26、基板送り機構27、アライメント機構28及び中間基板支持機構33からなる機構の構成を第1露光ライン60としたとき、第1露光ライン60と同じ構成であり、第1露光ライン60に対して平行に配設される第2露光ライン61をさらに有している。露光光照射機構35は、第1露光ライン60の第1ステージ25及び第2露光ライン61の第1ステージ25の中間位置上方と、第1露光ライン60の第2ステージ26及び第2露光ライン61の第2ステージ26の中間位置上方と、に配設される。一方の露光光照射機構35Aは、第1露光ライン60の第1フォトマスク11Aa又は第2露光ライン61の第1フォトマスク11Abに露光光50を切換えて照射する光路切換手段46を有し、他方の露光光照射機構35Bは、第1露光ライン60の第2フォトマスク11Ba又は第2露光ライン61の第2フォトマスク11Bbに露光光50を切換えて照射する光路切換手段46を有している。
露光装置3は、露光装置1に対して露光光照射機構30を取り除いた構成を露光ラインとし、2本の露光ラインの一方を第1露光ライン60、他方を第2露光ライン61としてY方向に平行に配設し、2セットの露光光照射機構35A,35Bを配設したものである。また、露光光照射機構35は、露光装置2に対して配置位置と姿勢制御は異なるものの同じ構成である。このように構成される露光装置3は、第1露光ライン60及び第2露光ライン61それぞれにおいて露光対象領域14を2分割し、分割された一方の第1露光対象領域14Aに対応する第1フォトマスク11Aa、11Abと、他方の第2露光対象領域14Bに対応する第2フォトマスク11Ba,11Bbを使用して露光し、大判サイズの基板10に転写パターンを形成する。このことから、第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bのパターン長さ(距離)を短くすることによって、マスクパターン17A,17Bを高精度で基板10に転写することが可能となる。
なお、図4〜図6において説明した露光対象物の例においては、露光対象領域22を一括露光するフォトマスクに対して約半分の面積となる。このようにすることによって、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bのコストを一括露光用のフォトマスクに対して格段に下げることが可能となる。
また、露光装置3においては、第1露光ライン60及び第2露光ライン61それぞれにおいて、第1ステージ25上で第1露光対象領域14Aにマスクパターン17Aを転写する工程の前及び第2ステージ26上で第2露光対象領域14Bにマスクパターン17Bを転写する工程の前に光源45から出射される光の光路を切換え、露光光50として照射する。この光路切換え動作は、基板10に第1フォトマスク11Aa,11Abの位置を合せる工程、基板10に第2フォトマスク11Ba,11Bbの位置を合せる工程、或いは、基板送りの工程の途中で行うことができる可能である。このことから、第1露光ライン60及び第2露光ライン61それぞれは、前述した露光装置1と同等のタクトタイムで基板10にマスクパターン17A,17Bを転写することが可能であり、生産性は露光装置1に対して約2倍となる。
以上のことから、露光装置3によれば、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bのコストを低減し、かつ、マスクパターン17A,17B及びマスクパターン24A,24Bを大判サイズの基板10に高精度に転写し、分割露光方式であっても生産性を高めることが可能となる。
[第4の実施の形態]
続いて、第4の実施の形態に係る露光装置4の構成について図16〜図18を参照して説明する。前述した露光装置3が、露光光照射機構55A,55Bを装備し、光路切換手段46によって光路をそれぞれ2方向に切換えることによってマスクパターン17A,17B又はマスクパターン24A,24Bを基板10に転写する装置であることに対して、露光装置4は、1セットの露光光照射機構62(図16参照)によって第1露光ライン60及び第2露光ライン61の各ステージの4方向に光路を切換えてマスクパターン17A,17B又はマスクパターン24A,24Bを基板10に転写する装置である。以下の説明においては、フォトマスク11A,11Bを使用する例を代表例として説明する。
図16は、露光装置4の概略構成示す平面図である。露光装置4は、第1露光ライン60、第2露光ライン61及び露光光照射機構62を有している。第1露光ライン60及び第2露光ライン51は、それぞれ露光光照射機構62を除き露光装置3と同じ構成であるため詳しい説明は省略し、共通部分には図12と同じ符号を付している。第1露光ライン60は、基板10の送り方向上流側から下流側に向かって基板送出しロール31、第1ステージ25、基板中間支持機構33、第2ステージ26及び基板巻取りロール32の順に直列に連結されている。第1ステージ25及び第2ステージ26には、それぞれにアライメント機構28が配置される。アライメント機構28は、フォトマスク移動機構34及び位置検出装置であるCCDカメラ36から構成される。第2露光ライン61は、上記第1露光ライン60と同じ構成である。
なお、以下の説明において第1露光ライン60及び第2露光ライン61の作用の説明を区別するために、第1露光ライン60においては第1ステージ25に配置される第1フォトマスク11Aを第1フォトマスク11Aa、第2ステージ26に配置される第2フォトマスク11Bを第2フォトマスク11Baと記載する。また、第2露光ライン61においては第1ステージ25に配置される第1フォトマスク11Aを第1フォトマスク11Ab、第2ステージ26に配置されるフォトマスク11Bを第2フォトマスク11Bbと記載する。
露光光照射機構62は、光源45、光路切換手段63及び各種反射ミラー64〜68で構成される。光源45は、平面視して平行に並列される第1露光ライン60と第2露光ライン61との間の中間位置で、第1フォトマスク11Aaと第2フォトマスク11Bbとの中間位置、かつ第1フォトマスク11Abと第2フォトマスク11Bbとの中間位置に配置される。第1露光ライン60側には、第1フォトマスク11Aa上に配置される第3反射ミラー64、第2フォトマスク11Ba上に配置される第4反射ミラー65を有し、第2露光ライン61側には、第1フォトマスク11Ab上に配置される第5反射ミラー66、第2フォトマスク11Bb上に配置される第4反射ミラー67を有している。
光路切換手段63は、反射ミラー68を第1露光ライン60の第1ステージ25側又は第2ステージ26側に向くように切換え、さらに、反射ミラー68を第2露光ライン61の第1ステージ25側又は第2ステージ26側に向くように切換える。すなわち、光路切換手段63は、反射ミラー68を第3反射ミラー64、第4反射ミラー65、第5反射ミラー66及び第6反射ミラー67に光学的に対面するように切換える。
図17は、露光光照射機構62の構成及び作用を模式的に示す説明図であり、第1露光ライン60側に露光光50を照射する状態を表している。なお、図17は、図16に示す太い実線の矢印方向から見た図であり、第1露光ライン60において露光光50を第1フォトマスク11Aa又は第2フォトマスク11Baに照射する状態を表している。第1露光ライン60側の第1フォトマスク11Aaに露光光50を照射する場合には、反射ミラー68を光路切換手段63によって反射ミラー68Aで表す光学的に第3反射ミラー64に対面する姿勢に切換える。光源45から出射された光は、反射ミラー68Aによって光路69Aに切換えられ第3反射ミラー64で反射し露光光50として第1フォトマスク11Aaに照射される。
第2フォトマスク11Baに露光光50を照射する場合には、図示しない回転機構によって反射ミラー68をZ軸回りに回転して反射ミラー68Bで表す光学的に第4反射ミラー65に対面する姿勢に切換える。光源45から出射された光は、反射ミラー68Bによって光路69Bに切換えられ、第4反射ミラー65で反射し露光光50として第2フォトマスク11Baに照射される。
図18は、露光光照射機構62の構成及び作用を模式的に示す説明図であり、第2露光ライン61側に露光光50を照射する状態を表している。なお、図18は、図16に示す太い点線の矢印方向から見た図であり、第2露光ライン61において露光光50を第1フォトマスク11Ab又は第2フォトマスク11Bbに照射する状態を表している。第2露光ライン61側の第1フォトマスク11Abに露光光50を照射する場合には、光路切換手段63によって反射ミラー68を反射ミラー68Aの姿勢から光路69A(図16参照)の光軸を回転軸として第5反射ミラー66に光学的に対面する反射ミラー68Cで表す方向に回転する。光源45から出射された光は、反射ミラー68Cによって光路が光路69Cに切換えられ、第5反射ミラー66で反射し露光光50として第1フォトマスク11Abに照射される。
第2フォトマスク11Bbに露光光50を照射する場合には、光路切換手段63によって反射ミラー68を反射ミラー68Bの姿勢から光路69A(図16参照)の光軸を回転軸として第6反射ミラー67に光学的に対面する反射ミラー68Dで表す方向に回転する。光源45から出射された光は、第4反射ミラー68Cによって光路が光路69Dに切換えられ第4反射ミラー66で反射し露光光50として第2フォトマスク11Bbに照射される。
続いて、露光装置4を使用する露光方法について図19に示す工程フロー図に沿って、図16〜図18を参照しながら説明する。なお、図1〜図3において説明した第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bを使用する例として説明する。
図19は、露光装置4を使用するときの露光方法の主要工程を示す工程フロー図である。露光装置4の稼働開始に先立ち、基板10を第1露光ライン60及び第2露光ライン61において第1ステージ25上及び第2ステージ26上のCCDカメラ36が認識マーク16,18を検出可能な位置にセットする。露光装置3の稼働開始時には、第1露光ライン60及び第2露光ライン61には第1露光対象領域14A及び第2露光対象領域14Bマスクパターン17A,17Bは転写されていないものとする。
図19において、左側に示す工程フローは第1露光ライン60のもの、右側に示す工程フローは第2露光ライン61のものである。まず、第1露光ライン60の第1ステージ25において、基板10(第1露光対象領域14A)に第1フォトマスク11Aaの位置を合せ(ステップS1)、併行して第2露光ライン61の第1ステージ25において、基板10(第1露光対象領域14A)に第1フォトマスク11Abの位置を合せる(ステップS2)。次いで、露光光50が第1フォトマスク11Aaに照射するように光路切換手段63によって光路を光路69Aに切換える(ステップS3)。なお、露光光照射機構62の初期設定が第1フォトマスク11Aaに露光光50を照射する状態にある場合には、ステップS3は省略する。続いて、第1露光ライン60の第1ステージ25において、第1露光対象領域14Aにマスクパターン17Aを転写し(ステップS4)、露光光50を第2露光ライン61の第1フォトマスク11Abに照射するように光路切換手段63によって光路を光路69Bに切換える(ステップS5)。
第1露光ライン60では、第1ステージ25において第1露光対象領域14Aにマスクパターン17Aを転写した後、基板10を1ピッチ分送る(ステップS6)。このことによって、マスクパターン17Aが転写された露光対象領域14が第2ステージ26の所定位置に配置される。第1ステージ25には、マスクパターン17A,17Bが転写されていない露光対象領域14が配置される。
第2露光ライン61では、光路が切換えられた後に、第1ステージ25において第1露光対象領域14Aにマスクパターン17Aを転写する(ステップS7)。第1露光ライン60では、基板10を送った後、第2ステージ26において基板10(第2露光対処領域14B)に第2フォトマスク11Baの位置を合せる(ステップS8)。第2露光ライン61では、第1ステージ25において、マスクパターン17Aが転写された基板10を1ピッチ分送る(ステップS9)。このことによって、マスクパターン17Aが転写された露光対象領域14が第2ステージ26の所定位置に配置される。第1ステージ25には、マスクパターン17A,17Bが転写されていない露光対象領域14が配置される。
第1露光ライン60では、露光光50を第2フォトマスク11Baに照射するように光路切換手段63によって光路を光路69Cに切換え(ステップS10)、第2ステージ26において第2露光対象領域14Bにマスクパターン17Bを転写する(ステップS11)。
第2露光ライン61においては、基板10を送った後、第2ステージ26において基板10(第2露光対象領域14B)に第2フォトマスク11Bbの位置を合せ(ステップS12)、露光光50を第2フォトマスク11Bbに照射するように光路切換手段63によって光路を光路69Dに切換え(ステップS13)、第2ステージ26において第2露光対象領域14Bにマスクパターン17Bを転写する(ステップS14)。
第1露光ライン60においては、第2フォトマスク11Baによるマスクパターン17Aの転写が終了後、基板10を1ピッチ分送る(ステップS15)。第2露光ライン61においても、第2フォトマスク11Bbによるマスクパターン17Aの転写が終了後、基板10を1ピッチ分送る(ステップS16)。以上説明したステップ1〜ステップ16を所定数に達するまで繰り返す。
図19に示した工程フローにおいては、第1露光ライン60及び第2露光ライン61を同期して駆動する例を示している。しかし、第1露光対象領域14A又は第2露光対象領域14Bに所定のマスクパターンを転写する前に、露光対象の第1フォトマスク11Aa,11Ab及び第2フォトマスク11Ba,11Bbそれぞれに露光光50を照射するように光路切換手段63によって光路を切換える。このことによって、基板10とフォトマスク11Aa,11Ab,11Ba,11Bbとの位置合わせ及び基板10を送ることなどのタイミングは、自在に設定することが可能である。従って、第1露光ライン60又は第2露光ライン61を単独で駆動することも可能となる。
また、露光光照射機構62による光路を切換える工程を、例えば、基板10と各フォトマスクの位置合わせ又は基板10の送り工程中に行うことが可能である。そのことによって、露光光50を照射する対象場所が4か所あり、露光光照射機構62が1セットの構成であっても、露光ラインが1ライン(露光装置1又は露光装置2)の場合に対してタクトタイムを同等に抑えることが可能となる。
以上説明した露光装置4は、第1ステージ25、第2ステージ、基板送り機構27、アライメント機構28及び中間基板支持機構33からなる機構の構成を第1露光ライン60としたとき、第1露光ライン60と同じ構成であり、第1露光ライン60に対して平行に配設される第2露光ライン61を有している。露光光照射機構62は、第1露光ライン60と第2露光ライン61との平面方向中央部上方に配設され、第1露光ライン60の第1フォトマスク11Aa及び第2フォトマスク11Baと第2露光ライン61の第1フォトマスク11Ab及び第2フォトマスク11Bbの個々対して露光光50を切換えて照射する光路切換手段63を有している。
露光装置4は、第1露光ライン60及び第2露光ライン61それぞれにおいて露光対象領域14を2分割し、分割された一方の第1露光対象領域14Aに対応する第1フォトマスク11Aa、11Abと、他方の第2露光対象領域14Bに対応する第2フォトマスク11Ba,11Bbを使用して露光し、大判サイズの基板10にマスクパターン17A,17Bを転写する。このことから、第1フォトマスク11Aa、11Ab及び第2フォトマスク11Ba,11Bbのパターン長さを短くすることによってマスクパターン17A,17Bを高精度で基板10に転写することが可能となる。
なお、図4〜図6において説明した露光対象物の例においては、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bの面積は露光対象領域22を一括露光するフォトマスクに対して約半分となる。このようにすることによって、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bのコストを一括露光用のフォトマスクに対して格段に下げることが可能となる。
また、露光装置4は、1セットの露光光照射機構62によって、第1露光ライン60及び第2露光ライン61の各ステージの4方向に光路を切換えてマスクパターン17A,17Bを基板10に転写する。露光光照射機構62は、光路切換手段63によって第1露光ライン60側の第1フォトマスク11Aa、第2フォトマスク11Ba、第2露光ライン61側の第1フォトマスク11Ab及び第2フォトマスク11Bbに光源45から出射される光の光路を切換えて露光光50として照射する。この光路切換え動作は、基板10(第1露光対象領域14A)に第1フォトマスク11Aa,11Abの位置を合せる工程、基板10(第2露光対象領域14B)に第2フォトマスク11Ba,11Bbの位置を合せる工程、或いは、基板送りの工程の途中で行うことができる。このことから、露光光照射機構が1セットの構成であっても、第1露光ライン60及び第2露光ライン61それぞれは、前述した露光装置1と同等のタクトタイムで基板10にマスクパターン17A,17Bを転写することが可能となる。
以上のことから、露光装置4によれば、第1フォトマスク20A,20Bのコストを低減し、かつ、マスクパターン17A,17B又はマスクパターン24A,24Bを大判サイズの基板10に高精度に転写し、分割露光方式であっても生産性を高めることが可能となる。
[第5の実施の形態]
続いて、第5の実施の形態に係る露光装置5の構成について図17を参照して説明する。前述した露光装置1〜露光装置4が、基板10の一方向の面(表面)にマスクパターン17A,17B又はマスクパターン24A,24Bを転写する装置であることに対して、露光装置5は、基板10の表裏両面にマスクパターンを転写する装置である。このような露光装置5は、両面露光装置と呼ばれる。露光装置5の技術思想は、前述した露光装置1〜露光装置4のそれぞれにおいて基板10の表裏両面に適用することが可能であるが、ここでは露光装置1に適用した例であって、フォトマスク11A,11Bを使用する例を代表例として説明する。
図20は、露光装置5の概略構成を示す正面図である。露光装置5は、表裏両面に感光性の層が形成されている長尺の基板10に、表面及び裏面から露光光50を照射して表裏両面にマスクパターンを転写する装置である。露光装置5においては、基板10の表面側に対して異なるマスクパターンを裏面側に転写することが可能であるが、ここでは表裏両面に同じマスクパターンを転写することを例示して説明する。本例においては、基板10の表裏両面共に、2分割された一方の第1露光対象領域14Aにフォトマスク11Aを使用してマスクパターン17Aを転写し、他方の第2露光対象領域14Bにフォトマスク11Bを使用してマスクパターン17Bを転写するものとする。
露光装置5は、基板10の送り方向(図示左側から右側)の上流側に配置される第1ステージ25及び下流側に配置される第2ステージ26を有し、第1ステージ25及び第2ステージ26の裏面側から照射される露光光50が透過することが可能な貫通孔73が設けられ、貫通孔73の周囲には基板10を真空吸着する図示しない吸着孔が設けられている。
露光装置5は、表裏両面側に共通の基板送り機構27を有している。基板10の上方側には、露光装置1と同じ構成の基板10と第1フォトマスク11Aとの間の位置及び基板10と第2フォトマスク11Bとの間の位置を決めるアライメント機構28、第1ステージ25上の第1フォトマスク11Aに露光光50を照射する露光光照射機構30A及び第2ステージ26上の第2フォトマスク11Bに露光光50を照射する露光光照射機構30Bを有している。表面側の構成を表面側露光ラインという。
基板10の裏面側には、基板10を挟んで表面側露光機構ラインに対向配置されるアライメント機構28及び露光光照射機構30A,30Bが配置されている。裏面側の構成を裏面側露光ラインという。各アライメント機構28及び露光光照射機構30A,30Bは、それぞれ独立して駆動することが可能な構成となっている。
表面側露光機構ライン及び裏面側露光機構ラインにおいては、それぞれに共通の第1ステージ25、第2ステージ26、アライメント機構28及び露光光照射機構30A,30Bを有している。基板送り機構27、第1ステージ25、第2ステージ26、アライメント機構28及び露光光照射機構30A,30Bそれぞれの構成及び作用は露光装置1と同じであるため詳しい説明は省略する。なお、露光装置1〜露光装置4において、第1ステージ25及び第2ステージ26に、貫通孔73を設けるようにしてもよい。
次に、露光装置5を使用するときの露光方法について図21に示す工程フロー図に沿って、図21を参照しながら説明する。
図21は、露光装置5を使用するときの露光方法の主要工程を示す工程フロー図である。露光装置5の稼働開始に先立ち、基板10を第1ステージ25上及び第2ステージ26上の位置検出装置であるCCDカメラ36が認識マーク16,18を検出可能な位置にセットする。基板10の表裏面には共に、同じ位置に認識マーク16が設けられている。露光装置3の稼働開始時には、基板10の表面側及び裏面側には共にマスクパターン17A,17Bは転写されていないものとする。
図20において、左側に示す工程フローは表面側露光機ラインに対するもの、右側に示す工程フローは裏面側露光ラインに対するものである。まず、表面側露光ライン及び裏面側露光ラインにおいて、第1ステージ25で基板10(第1露光対象領域14A)に第1フォトマスク11Aの位置を合せ(ステップS1)、露光光照射機構30Aから露光光50を照射し第1露光対象領域14Aにマスクパターン17Aを転写し(ステップS2)、基板10を基板送り機構27によって1ピッチ分送る(ステップS3)。このことによって、マスクパターン17Aが転写された露光対象領域14が第2ステージ26の所定位置に送られる。第1ステージ25には、マスクパターン17A,17Bが転写されていない露光対象領域14が配置されることになる。
次いで、基板10(第2露光対象領域14B)に第2フォトマスク11Bの位置を合せ(ステップS4)、露光光照射機構30Bから露光光50を照射し第2露光対象領域14Bに第2マスクパターン17Bを転写する(ステップS5)。第2ステージ26において第2露光対象領域14Bに第2マスクパターン17Bを転写した後、基板10を1ピッチ分送る(ステップS6)。そして、ステップS1からステップS6を所定数に達するまで繰り返す。
なお、本例においては、基板送りの工程(ステップS3とステップS6)は、表面側露光ライン及び裏面側露光ラインの共通の工程であり、この基板送りの工程のタイミングを避ければ、他の位置合わせの工程(ステップS1とステップS4)及びマスクパターン転写の工程(ステップS2とステップS5)の動作タイミングは、表面側露光ライン及び裏面側露光ラインで必ずしも一致しなくてもよい。
露光装置5は、前述した露光装置1の構成及び作用に適用させたものであるが、露光装置2〜露光装置4の構成及び作用に適用させることが可能である。露光装置2への適用させることにおいては、露光光50を第1フォトマスク11A又は第2フォトマスク11Bに光路を切換えて照射する露光光照射機構35A,35Bを表面側露光ラインと裏面側露光ラインとに装備すれば可能となる。露光装置3においては、第1露光ライン60及び第2露光ライン61共に、露光光50を第1フォトマスク11Aa、11Ab又は第2フォトマスク11Ba、11Bbに光路を切換えて照射する露光光照射機構55A,55Bを表面側露光ライン及び裏面側露光ラインに装備すれば可能となる。露光装置4においては、露光光50を第1フォトマスク11Aa、11Ab又は第2フォトマスク11Ba、11Bbに光路を切換えて照射する露光光照射機構62を表面側露光ライン及び裏面側露光ラインに装備すれば可能となる。
以上説明した露光装置5は、基板10は表裏両面に前記感光層を有しており、基板10の表面側に配設される第1フォトマスク11A、第2フォトマスク11B、アライメント機構28及び露光光照射機構30A,30Bと、基板10の裏面側に配設される第1フォトマスク11A、第2フォトマスク11B、アライメント機構28及び露光光照射機構30A,30Bが、第1ステージ25及び第2ステージ26を挟んで対向するように配設され、第1ステージ25及び第2ステージ26には、基板10の裏面に露光光50を照射することが可能な貫通孔73が設けられている。
露光装置5は、表裏両面に感光性の層が形成されている長尺の基板10に、表裏両面から露光光50を照射して表裏両面にマスクパターン17A,17Bを転写する装置である。露光装置5は、表面側露光ライン及び裏面側露光ラインそれぞれにおいて露光対象領域を2分割し、分割された一方の第1露光対象領域14Aに対応する第1フォトマスク11Aと、他方の第2露光対象領域14Bに対応する第2フォトマスク11Bを使用して露光し、大判サイズの基板10に転写パターンを形成する。このことから、第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bのパターン長さを短くすることによって、マスクパターン17A,17Bを高精度で基板10に転写することが可能となる。
なお、図4〜図6において説明した露光対象物の例においては、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bの面積は露光対象領域22を一括露光するフォトマスクに対して約半分となる。このようにすることによって、第1フォトマスク20A及び第2フォトマスク20Bのコストを一括露光用のフォトマスクに対して格段に下げることが可能となる。
また、露光装置5は、表面側露光ライン及び裏面側露光ラインが同じ構成であることから、基板10の表裏両面において、基板10に第1フォトマスク11A及び第2フォトマスク11Bの位置を合せる動作、マスクパターン17Aを転写する動作、マスクパターン17Bを転写する動作及び基板送り動作を同期して行うことが可能である。また、基板10の表裏両面にマスクパターンを転写しても、一面側に転写する場合と同じタクトタイムに抑えることが可能となる。
以上のことから、露光装置5によれば、第1フォトマスク20A,20Bのコストを低減し、かつ、マスクパターン17A,17B又はマスクパターン24A,24Bを大判サイズの基板10に高精度に転写し、表裏両面露光であり、分割露光方式であっても生産性を高めることが可能となる。