JP6725919B2 - クランプ装置 - Google Patents

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この発明は、切粉等の異物がハウジング内に侵入するのを防止する機能を備えるクランプ装置に関する。
この種のクランプ装置には、従来では、特許文献1(WO2012/073723)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
ハウジングの上部に形成された収容孔に、支持筒が半径方向に移動可能に挿入される。収容孔の内周面と支持筒の外周面との間に、弾性体によって形成された環状のダストシールが装着される。その半径方向の外端のリップ部が、支持筒の外周部のストレート面に自己の弾性力によって半径方向の内方に所定の締め代(つぶし代)だけ押圧される。
上記クランプ装置おいて、ワークの搬入時に、そのワークの孔の軸心と支持筒の軸心との両者が一致している場合には、ワークの孔が支持筒に円滑に挿入される。これに対し、ワークの搬入時に、上記の両者の軸心が上記の締め代の範囲内(許容範囲内)で心ズレしている場合には、ワークの孔の周壁が支持筒を半径方向に押動しながら円滑に挿入されると共に、支持筒等の半径方向への移動に追従するように前記リップ部が自己の復元力によって移動される。このため、前記リップ部が支持筒の外周部のストレート面に確実に密着される。その結果、収容孔の内周面と支持筒の外周面との間に形成された隙間に切粉等の異物が侵入するのを防止する。
WO2012/073723
上記の従来技術において、ワークの搬入時に、ワークの孔の軸心が支持筒の軸心から半径方向の一方側に上記の許容範囲を越えて心ズレしている場合には、リップ部の半径方向の一方側部分が支持筒によって過度に押し縮められた状態になると共に、リップ部の半径方向の他方側部分が伸びきった状態になる。このため、前記リップ部の他方側部分が支持筒等の移動に追従できなくなり、リップ部分の他方側部分が支持筒の外周部のストレート面から離間される。従って、収容孔の内周面と支持筒の外周面との間に形成された隙間に切粉等の異物が侵入することを防止できない点で改良の余地が残されていた。
本発明の目的は、ハウジング内に切粉等の異物が侵入するのを確実に防止することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図1および図2または図3に示すように、クランプ装置を次のように構成した。
ハウジング1に形成された収容孔5に、支持筒6が半径方向に移動可能に挿入される。前記ハウジング1よりも先端側へ突設される係合部材16が、半径方向に移動可能となるように前記支持筒6によって基端側から支持される。その係合部材16がクランプ対象物10の孔11に挿入可能となっている。前記収容孔5にクランプロッド28が軸方向および半径方向に移動可能に挿入される。クランプロッド28が、前記係合部材16に先端側または基端側から係合する楔面34を有する。前記クランプロッド28が駆動手段24によって軸方向に移動される。前記支持筒6の外周部または前記係合部材16の外周部に環状のシール部材38が装着される。前記ハウジング1に対して前記支持筒6または前記係合部材16が半径方向に移動されたときに、前記ハウジング1の前記収容孔5の内周面と前記支持筒6の外周面または前記係合部材16の外周面との間に形成された隙間7を封止するように前記シール部材38の前記半径方向の外端部38bが前記ハウジング1の前記先端面3a上で摺動可能に当接される。
上記の本発明は、上記のように構成されることから、次の作用効果を奏する。
上記クランプ装置において、クランプ対象物の搬入時に、クランプ対象物の孔の軸心が支持筒の軸心に対して半径方向に過度に位置ズレ(心ズレ)した場合には、クランプ対象物の孔の周壁が支持筒や支持筒を半径方向に移動させながら外嵌していく。このとき、収容孔の内周面と支持筒の外周面との間に形成された隙間を封止するようにシール部材の半径方向の外端部がハウジングの先端面上で摺動される。これにより、切粉等の異物が上記の隙間に侵入するのを確実に防止できる。
上記の本発明は、下記(1)から(3)の構成を加えることが好ましい。
(1)例えば、図1及び図2に示すように、前記支持筒6の外周部および前記係合部材16の外周部に装着された前記シール部材38が、前記支持筒6に対して前記係合部材16を半径方向の内方へ付勢する。
この場合、シール部材が係合部材を支持筒内に収容させるように半径方向の内方に確実に付勢する。
(2)例えば、図3に示すように、前記係合部材16の外周部に装着された前記シール部材38が、前記係合部材16を前記クランプロッド28に向けて付勢する。
この場合、シール部材が係合部材をクランプロッドに向けて確実に付勢する。
(3)例えば、図3に示すように、前記収容孔5の内周面と前記支持筒6の外周面との間に弾性部材40が装着される。前記弾性部材40が前記支持筒6を介して前記クランプロッド28を半径方向の内方に付勢する。
この場合、弾性部材が支持筒を介してクランプロッドを半径方向の内方に確実に付勢する。
図1は、本発明の第1実施形態を示し、クランプ装置のアンクランプ状態の立面視の断面図である。 図2は、上記クランプ装置のクランプ状態を示し、上記図1に類似する図である。 図3は、本発明の第2実施形態を示し、上記図2に類似する図である。
図1および図2は、本発明の第1実施形態を示している。まず、アンクランプ状態を示す図1に基づいて上記クランプ装置の構造を説明する。
固定台としてのテーブルTにハウジング1が固定され、そのハウジング1は、下側から順に形成された下ハウジング2と上ハウジング3とを有する。上ハウジング3が下ハウジング2にボルトによって連結され、下ハウジング2がテーブルTにボルトによって固定される。
上記の上ハウジング3の上部に収容孔5が形成され、その収容孔5に支持筒6が半径方向および上下方向(軸方向)に移動可能に挿入される。前記の収容孔5の内周面と支持筒6の外周面との間に隙間7が形成される。その支持筒6が下側から順に形成されたフランジ部6aと周壁6bと頂部6cとを有する。その周壁6bと頂部6cとが、上ハウジング3の上端面(先端面)3aから上方へ突設され、ワーク(クランプ対象物)10の孔11に挿入可能となっている(図2を参照)。頂部6cの外周壁が上方に向うにつれて狭まるようにテーパー状に形成される。その支持筒6が進出機構12によって上方に付勢される。収容孔5の内周壁の上端部から突起部が半径方向の内方に突設され、その突起部に支持筒6のフランジ部6aの上面が受け止められている。
なお、本実施形態において、進出機構12は、収容孔5の下端壁の上面と支持筒6の下面との間に装着された進出バネ13と連動部材14とによって構成される。
上記の支持筒6の周壁6bに案内孔15が周方向に所定の間隔をあけて半径方向に3つ形成される(図1および図2には、案内孔15を1つだけ示す)。その案内孔15に係合部材16が半径方向に移動可能に挿入される。各係合部材16の外周部に鋸刃状の突起17が上下方向に複数形成される。その突起17がワーク10の孔11の内周面に係合可能となっている。
上記の収容孔5に連通するようにシリンダ孔20が、下ハウジング2に形成される。そのシリンダ孔20が下側から順に形成された大径孔20aと小径孔20bとを有する。そのシリンダ孔20の大径孔20aにピストン21の大径部21aが上下方向に移動可能で保密状に挿入され、シリンダ孔20の小径孔20bにピストン21の小径部21bが保密状に挿入される。そのピストン21の下側にアンクランプ室22が形成されると共に、ピストン21の上側にクランプ室23が形成される。そのアンクランプ室22に圧油(圧力流体)を供給および排出する給排路22aが、テーブルTに形成される。クランプ室23に圧油を供給および排出する別の給排路23aが、下ハウジング2に形成される。ここで、本実施形態において、ピストン21とアンクランプ室22とクランプ室23によって駆動手段24が構成される。
上記のピストン21の小径部21bの上端部に案内孔26が形成される。その案内孔26が下側から順に形成された大径孔26aと小径孔26bとを有する。その案内孔26の大径孔26aに、クランプロッド28の下端部に形成されたフランジ部29が半径方向に移動可能に挿入される。フランジ部29の下部に装着溝30が周方向に形成され、その装着溝30に複数の鋼球31が挿入される。その鋼球31が案内孔26の底壁に当接されている。これにより、クランプロッド28がピストン21に対して半径方向に移動されるときに、クランプロッド28とピストン21との間に生じる摩擦力を低減できる。
上記のクランプロッド28が支持筒6の内周孔に上下方向に移動可能に挿入される。クランプロッド28の上端部に楔面34が上方に向うにつれて広がるように形成される。その楔面34が、前記の係合部材16の内側壁に形成された受け面35に上方から楔係合する。
上記の係合部材16の外周部に溝16aが周方向に形成されると共に、その溝16aに対応する高さ位置で支持筒6の周壁6bの外周部に溝6dが周方向に形成される。係合部材16の溝16aと支持筒6の溝6dとに、ゴムや板バネ等の弾性体からなるダストシール(環状のシール部材)38の半径方向の内端部38aが装着される。このため、そのダストシール38が係合部材16を半径方向の内方へ付勢している。これにより、ダストシール38によって係合部材16が支持筒6の外周面よりも半径方向の内方へ移動される。その結果、ワーク10の孔11を支持筒6に外嵌めするときに、ワーク10が係合部材16に衝突するのを防止できる。
また、薄肉状に形成されたダストシール38の半径方向の外端部38bが、収容孔5の内周面と支持筒6の外周面および前記係合部材16の外周面との間に形成された隙間7を封止するようにハウジング3の上端面(先端面)3a上で摺動可能に当接される。これにより、上記の隙間7に切粉などの異物が侵入するのを確実に防止できる。
上記構成のクランプ装置は、図1および図2に示すように、以下のように動作する。
図1のアンクランプ状態では、クランプ室23の圧油が排出されると共に、アンクランプ室22に圧油が供給されている。これにより、ピストン21とクランプロッド28とが上昇位置に移動され、前記の支持筒6が進出バネ13によって上昇位置に保持されている。このとき、上記係合部材16がダストシール38の弾性力によって縮径状態に切り換えられている。
図1のアンクランプ状態で、ワーク10の孔11の軸心Aがクランプロッド28の軸心Aに対して左側に距離gだけ心ズレしている状態で、搬送機構(図示しない)によって上方から搬入される。すると、そのワーク10の孔11が支持筒6の周壁6bに外嵌められていくと共に、ワーク10の孔11の周壁が支持筒6の周壁6bを介してクランプロッド28を左方に押動していく。このとき、収容孔5の内周面と支持筒6の外周面との間に形成された隙間7を封止するようにダストシール38の半径方向の外端部38bがハウジング1の上端面3a上で摺動される。引き続いて、ワーク10の孔11が支持筒6に外嵌めされていくと、上記テーブルTから上方に突設された支持ピン39に、ワーク10の下面10aが受け止められる。
上記クランプ装置を上記図1のアンクランプ状態から図2のクランプ状態へ切り換えるときには、アンクランプ室22の圧油を排出するとともに、クランプ室23に圧油を供給する。すると、まず、進出バネ13の付勢力によって上昇位置に保持された支持筒6に対して、クランプロッド28が下降されていく。次いで、クランプロッド28の楔面34によって係合部材16が縮径状態から拡径され(半径方向の外方へ移動され)、当該係合部材16の突起17がワーク10の孔11の内周面に係合される。引き続いて、孔11の内周面に食い込んだ状態の係合部材16が、上記の孔11を介してワーク10を下向きに引っ張る。これと同時に、係合部材16が支持筒6を進出バネ13の付勢力に抗して下方へ押圧する。これにより、ワーク10が支持ピン39に強力に押圧される。その結果、クランプ装置は、図2のクランプ状態に切り換えられる。
上記クランプ装置を図2のクランプ状態から図1のアンクランプ状態へ切り換えるときには、クランプ室23の圧油を排出すると共にアンクランプ室22へ圧油を供給する。これにより、クランプ装置は、上述したクランプ動作とはほぼ逆の手順でアンクランプ状態へ切り換えられる。
第1実施形態は次の長所を奏する。
上記クランプ装置において、ワーク10の搬入時に、ワーク10の孔11の軸心が支持筒6の軸心に対して半径方向に位置ズレ(心ズレ)した場合には、ワーク10の孔11の周壁が支持筒6を半径方向に移動させながら外嵌していく。このとき、収容孔5の内周面と支持筒6の外周面との間に形成された隙間7を封止するようにダストシール38の半径方向の外端部38bがハウジング1の上端面3a上で摺動される。これにより、切粉等の異物が上記の隙間に侵入するのを確実に防止できる。
図3は、本発明の第2実施形態を示し、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
図3の第2実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
第2実施形態のクランプ装置では、支持筒6の周壁と頂部が省略されている。その支持筒6が係合部材16を下方から支持する。その支持筒6の内周孔にクランプロッド28が上下方向に摺動可能に挿入される。収容孔5と支持筒6との間に形成された環状空間に、ゴムやバネ等の弾性部材40が装着される。その弾性部材40が支持筒6を介してクランプロッド28を半径方向の内方に付勢する。
前記の各係合部材16の外周部に溝16aが周方向に形成される。係合部材16の溝16aにゴムや板バネ等の弾性体からなるダストシール38が装着される。ダストシール38の弾性力によって半径方向の内方へ付勢された係合部材16が、その受け面35と楔面34とを介してクランプロッド28に受け止められる。
上記の上ハウジング3の上端面3aが半径方向の外方に向かうにつれて高さが低くなるように傾斜される。水平方向に対して上端面3aが傾斜角度α(°)だけ傾斜されている。本実施形態において、傾斜角度は、0〜5°程度であるが、これに限定されるものではない。これにより、上端面3aに切粉等の異物が堆積するのを防止できる。
第2実施形態は次の長所を奏する。
上記クランプ装置において、ワーク10の搬入時に、ワーク10の孔11の軸心がクランプロッド28の軸心に対して半径方向に過度に位置ズレ(心ズレ)した場合には、ワーク10の孔11の周壁がクランプロッド28を半径方向に移動させながら外嵌していく。このとき、収容孔5の内周面と係合部材16の外周面との間に形成された隙間7を封止するようにダストシール38の半径方向の外端部38bがハウジング1の上端面3a上で摺動される。これにより、切粉等の異物が上記の隙間7に侵入するのを確実に防止できる。
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
本発明が適用されるクランプ対象物は、例示したワーク10に代えてワークパレットや金型などであってもよい。
上記の進出機構12は、例示した進出バネ13と連動部材14とによって構成されることに代えて、油圧シリンダ等の流体圧シリンダによって構成されてもよい。
上記の係合部材16は、係合ボールや環状コレットでもよい。その環状コレットは、クランプロッド28の楔面34を外嵌めするように支持筒6に支持される。その環状コレットの周壁には、上下方向へスリットが形成される。クランプロッド28をクランプ駆動すると、環状コレットは、楔部34によって押圧されて半径方向の外方へ弾性変形し、ワーク10の孔11の内周面に係合される。
上記のピストン21とクランプロッド28とを別体に構成するのに代えて、ピストンとクランプロッドとを一体に構成してもよい。この場合、ピストンがシリンダ孔に上下方向および半径方向に移動可能に保密状に挿入される。
上記の駆動手段24は、例示したように、複動式の油圧シリンダに代えて、単動式の油圧シリンダであってもよく、また、他の圧力流体等の流体圧アクチュエータや電動アクチュエータに変更してもよい。
上記の楔面34及び係合部材16は、周方向へ所定の間隔を空けて3つ配置する例を示したが、1つまたは2つまたは4つ以上配置してもよい。
上記の楔面34は、例示したように、上方に向かうにつれて軸心から遠ざかるように形成されるのに代えて、上方に向かうにつれて軸心に近づくように形成されてもよい。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
1:ハウジング,3a:上端面(先端面),5:収容孔,6:支持筒,10:ワーク(クランプ対象物),11:孔,16:係合部材,24:駆動手段,28:クランプロッド,34:楔面,38:ダストシール(シール部材),38b:半径方向の外端部,40:弾性部材.

Claims (3)

  1. ハウジング(1)に形成された収容孔(5)に半径方向に移動可能に挿入された支持筒(6)と、
    前記ハウジング(1)よりも先端側へ突設されると共に、半径方向に移動可能となるように前記支持筒(6)によって基端側から支持される係合部材(16)であって、クランプ対象物(10)の孔(11)に挿入可能となっている係合部材(16)と、
    前記収容孔(5)に軸方向および半径方向に移動可能に挿入されるクランプロッド(28)であって、前記係合部材(16)に先端側または基端側から係合する楔面(34)を有するクランプロッド(28)と、
    前記クランプロッド(28)を軸方向に移動させる駆動手段(24)と、
    前記支持筒(6)の外周部または前記係合部材(16)の外周部と前記ハウジング(1)の先端面(3a)との間に装着される環状のシール部材(38)と、を備え、
    前記ハウジング(1)に対して前記支持筒(6)または前記係合部材(16)が半径方向に移動されたときに、前記ハウジング(1)の前記収容孔(5)の内周面と前記支持筒(6)の外周面または前記係合部材(16)の外周面との間に形成された隙間(7)を封止するように前記シール部材(38)の半径方向の外端部(38b)が前記ハウジング(1)の前記先端面(3a)に摺動可能に当接され
    前記収容孔(5)の内周面と前記支持筒(6)の外周面との間に弾性部材(40)が装着され、前記弾性部材(40)が前記支持筒(6)を介して前記クランプロッド(28)を半径方向の内方に付勢する、
    ことを特徴とするクランプ装置。
  2. 請求項1のクランプ装置において、
    前記支持筒(6)の外周部および前記係合部材(16)の外周部に装着された前記シール部材(38)が、前記支持筒(6)に対して前記係合部材(16)を半径方向の内方へ付勢する、
    ことを特徴とするクランプ装置。
  3. 請求項1のクランプ装置において、
    前記係合部材(16)の外周部に装着された前記シール部材(38)が、前記係合部材(16)を前記クランプロッド(28)に向けて付勢する、
    ことを特徴とするクランプ装置。
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