JP6724872B2 - ワイヤーハーネス - Google Patents

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Description

本発明は、ワイヤーハーネスに関するものである。
電線は、水の侵入または粉塵等からの保護のため、保護管で覆われる。電線は、様々な態様で配索されるため、保護管は、構造の異なる複数種の管の連結体として構成される。例えば、保護管は、電線の中間部を保護するパイプと、パイプとコネクタとの間の部分を保護するゴム製の防水カバーとを備える。保護管は、電線において一方端のコネクタと他方端のコネクタとの間の部分を密封する。このため、保護管内の温度変化による気圧変化等により、保護管の内圧が上昇することがある。このような内圧上昇を抑制するために、防水カバーには通気膜が設けられている。この通気膜を通じて、保護管の内外間で空気を流通させることができる(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−241143号公報
ところで、近年、保護管内に挿通される電線に流れる電流は大電流化する傾向にあり、電線から発生する熱量も大きくなっている。このため、保護管及び電線を備えたワイヤーハーネスにおける放熱性の向上が望まれている。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、放熱性を向上できるワイヤーハーネスを提供することにある。
上記課題を解決するワイヤーハーネスは、第1電線と、前記第1電線よりも高い屈曲性を有する第2電線と、前記第1電線と前記第2電線とを電気的に接続する接続部とを有する電線と、前記第1電線及び前記第2電線の少なくとも一方を収容する管状部材と、前記電線のうち前記接続部及び前記接続部の周辺領域を包囲する外装部を有し、前記管状部材に接続された筒状の外装通気部材と、を有し、前記外装部には、気体の通過を許容し、液体の通過を規制する性質を有する通気部が設けられており、前記接続部は、前記第1電線の芯線及び第2電線の芯線の各々に比べて、前記電線の延在方向に直交する断面の面積が大きい。
この構成によれば、第1電線と第2電線とを電気的に接続する接続部が、第1電線の芯線及び第2電線の芯線の各々に比べて、電線の延在方向に直交する断面の面積が大きくなる。このため、接続部では、第1電線の芯線及び第2電線の芯線と比べて、通電時の単位断面積当たりの発熱量が小さくなる。したがって、接続部には、その周囲の区間の電線から熱が伝達されやすい。そして、このように他の区間で生じた熱の伝達先となる接続部の近傍に、気体の通過を許容する通気部が設けられる。このため、接続部自体で発生した熱や接続部以外の区間の電線から伝達された熱などによって接続部の近傍で暖められた空気を、通気部を通じて外装通気部材の外部に放出させることができる。これにより、接続部の近傍において熱がこもり難くなり、接続部における放熱性を向上させることができ、ひいてはワイヤーハーネスの放熱性を向上させることができる。
本発明のワイヤーハーネスによれば、放熱性を向上させることができる。
一実施形態の車両の概略構成図。 一実施形態のワイヤーハーネスの側面図。 一実施形態のワイヤーハーネスの側断面図。 一実施形態のワイヤーハーネスの平面図。 変形例のワイヤーハーネスの側面図。
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図4を参照して説明する。なお、各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。
図1に示すワイヤーハーネス1は、2個又は3個以上の電気機器を電気的に接続する。本実施形態のワイヤーハーネス1は、ハイブリッド車や電気自動車等の車両2の前部に設置されたインバータ3と、そのインバータ3よりも車両2の後方に設置された高圧バッテリ4とを電気的に接続する。ワイヤーハーネス1は、例えば、車両2の床下等を通るように配索される。インバータ3は、車両走行の動力源となる車輪駆動用のモータ(図示略)と接続される。インバータ3は、高圧バッテリ4の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリ4は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
図1及び図2に示すように、ワイヤーハーネス1は、複数(本実施形態では2本)の電線10と、電線10の両端部に取り付けられたコネクタC1と、複数の電線10を一括して包囲する保護管60とを備えている。各電線10は、例えば、高電圧・大電流に対応可能な高圧電線である。また、各電線10は、例えば、自身にシールド構造を有しないノンシールド電線である。一方のコネクタC1はインバータ3に接続され、他方のコネクタC1は高圧バッテリ4に接続されている。保護管60は、例えば、飛翔物や水滴から電線10を保護する。
図3に示すように、各電線10は、単芯線電線20と、単芯線電線20よりも高い屈曲性を有する撚線電線30と、単芯線電線20と撚線電線30とを電気的に接続する接続部40とを備えている。
単芯線電線20は、1本の金属棒からなる芯線21と、芯線21を被覆する絶縁被覆22とを有している。芯線21は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金によって構成されている。芯線21の軸方向に垂直な断面形状(つまり、芯線21の軸方向と直交する平面によって芯線21を切断した断面形状)は、例えば、円形状に形成されている。例えば、芯線21は、内部が中実構造である略円柱状に形成されている。絶縁被覆22は、例えば、芯線21の外周面を密着状態で被覆している。
単芯線電線20は、例えば、電線10の配索経路に沿う形状を維持可能な剛性を有している。例えば、単芯線電線20は、車両2(図2参照)に搭載された状態において、車両2の振動等によって直線状又は曲げられた状態が解除されない程度の剛性を有している。換言すると、単芯線電線20が例えば曲がった経路に配索される場合には、単芯線電線20に対して曲げ加工が施され、その曲がった形状が維持される。
撚線電線30は、複数の金属素線を撚り合せてなる芯線31と、芯線31を被覆する絶縁被覆32とを有している。芯線31の一端部は単芯線電線20の芯線21の端部に接続され、芯線31の他端部は例えばコネクタC1(図2参照)に接続されている。芯線31を構成する金属素線は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金によって構成されている。絶縁被覆32は、例えば、芯線31の外周面を密着状態で被覆している。
接続部40では、単芯線電線20の芯線21と撚線電線30の芯線31とが接合されている。詳述すると、単芯線電線20の端部では、単芯線電線20の端末から所定長さ範囲に亘って絶縁被覆22が剥がされ、芯線21が露出されている。また、撚線電線30の端部では、撚線電線30の端末から所定長さ範囲に亘って絶縁被覆32が剥がされ、芯線31が露出されている。そして、接続部40では、絶縁被覆22から露出された芯線21に対して、絶縁被覆32から露出された芯線31が接合されている。
本例の接続部40では、芯線21と芯線31とが径方向(芯線21,31の軸方向と交差する方向)に重ね合わされて接合されている。詳述すると、絶縁被覆22から露出した芯線21の端部には、平板状に圧潰された圧潰部23が形成されている。圧潰部23は、平坦に形成された平坦面24を有している。芯線31の端部は、芯線21の平坦面24に重ね合わされて接合されている。これにより、芯線21と芯線31とが電気的に接続される。なお、芯線21と芯線31との接続方法は特に限定されない。例えば、芯線21と芯線31との接合方法としては、超音波溶着やレーザ溶着などを用いることができる。
接続部40は、芯線21及び芯線31の各々に比べて、電線10の延在方向(軸方向)と直交する断面の面積(以下、単に「断面積」ともいう。)が大きくなっている。すなわち、接続部40の導体部分の断面積は、芯線21の断面積よりも大きく、且つ芯線31の断面積よりも大きくなっている。本例の接続部40の導体部分の断面積は、絶縁被覆22を含めた単芯線電線20の断面積よりも大きく、且つ絶縁被覆32を含めた撚線電線30の断面積よりも大きくなっている。このため、本例の接続部40は、単芯線電線20よりも径方向に張り出して形成され、且つ撚線電線30よりも径方向に張り出して形成されている。
また、接続部40は、芯線21に比べて、表面積が大きくなっている。詳述すると、接続部40の表面積は、同じ区間長(つまり、電線10の延在方向の長さが同じになる範囲)で比較した場合には、芯線21の表面積よりも大きくなっている。例えば、接続部40の周方向の長さは、芯線21の周方向の長さよりも長くなっている。
接続部40は、例えば、絶縁部材50により被覆されている。絶縁部材50は、例えば、単芯線電線20の絶縁被覆22と撚線電線30の絶縁被覆32との間に架け渡されるように形成されている。絶縁部材50の一端部は絶縁被覆22の端末部の外周面を密着状態で被覆しており、絶縁部材50の他端部は絶縁被覆32の端末部の外周面を密着状態で被覆している。この絶縁部材50によって、接続部40、及び絶縁被覆22,32から露出した芯線21,31における電気的絶縁性が確保されている。また、絶縁部材50の肉厚は、例えば、絶縁被覆22の肉厚よりも薄く、且つ絶縁被覆32の肉厚よりも薄くなっている。絶縁部材50としては、例えば、収縮チューブや絶縁テープを用いることができる。収縮チューブとしては、例えば、熱収縮チューブを用いることができる。
図1及び図2に示した保護管60は、全体として長尺の筒状をなしている。保護管60は、管状部材であるコルゲート管61と、コネクタC1とコルゲート管61とを接続する防水カバー62と、外装通気部材70とを備えている。
防水カバー62は、バンドやテープ(図示略)等により、コネクタC1の外側とコルゲート管61の外側とにそれぞれ締結固定されている。防水カバー62は、コネクタC1の外側とコルゲート管61の外側とにそれぞれ気密状に密着している。また、外装通気部材70は、コルゲート管61の外側に気密状に密着している。これにより、一対のコネクタC1の間には、保護管60(コルゲート管61、防水カバー62及び外装通気部材70)によって包囲された密閉空間が構成されている。そして、図2に示すように、この密閉空間内に上述した複数の電線10が一括して収容されている。なお、防水カバー62は、例えば、ゴムやエラストマによって構成されている。
図3に示すように、コルゲート管61は、長尺の筒状をなしている。コルゲート管61は、環状の凹部と環状の凸部とがその長手方向(延在方向)に沿って交互に連設された蛇腹構造を有している。このため、コルゲート管61は、その軸線を湾曲又は屈曲させるような形態で弾性変形し得るようになっている。コルゲート管61の長手方向に垂直な断面形状は、例えば、円形状に形成されている。コルゲート管61は、例えば、合成樹脂によって構成されている。
コルゲート管61は、単芯線電線20を収容するコルゲート管61aと、撚線電線30を収容するコルゲート管61bとを有している。コルゲート管61aとコルゲート管61bとは、例えば、保護管60の長手方向において間隔をあけて設けられている。本例のコルゲート管61a,61bは、電線10のうち接続部40及びその接続部40の周辺領域を外部に露出するように設けられている。
外装通気部材70は、電線10及びコルゲート管61a,61bの外周を全周に亘って包囲する形態の筒状をなしている。本例の外装通気部材70は、コルゲート管61aとコルゲート管61bとの間に架け渡されるように設けられている。外装通気部材70は、例えば、弾性を有する材料によって構成されている。例えば、外装通気部材70は、ゴムやエラストマによって構成されている。
外装通気部材70は、コルゲート管61aと接続される筒状接続部71と、コルゲート管61bと接続される筒状接続部72と、電線10のうち接続部40及びその接続部40の周辺領域を包囲する筒状の外装部73とを有している。これら筒状接続部71,72と外装部73とは一体に形成されている。
外装通気部材70の一端部である筒状接続部71はコルゲート管61aに外装されており、外装通気部材70の他端部である筒状接続部72はコルゲート管61bに外装されている。筒状接続部71,72は、固定部材76によって、コルゲート管61a,61bの外側にそれぞれ締結固定されている。筒状接続部71は、コルゲート管61aの端末部の外周面に気密状に密着している。筒状接続部72は、コルゲート管61bの端末部の外周面に気密状に密着している。なお、固定部材76としては、バンドやテープを用いることができる。
筒状接続部71,72の内周には、例えば、コルゲート管61a,61bの外周の凹部に嵌合されるリブ74と、コルゲート管61a,61bの外周の凸部に嵌合される溝部75とが形成されている。これらリブ74及び溝部75をコルゲート管61a,61bの外周の凹部と凸部に嵌合させることにより、外装通気部材70の軸方向における位置決めを行うことができ、外装通気部材70の軸方向における位置ずれを抑制することができる。
外装部73は、筒状接続部71と筒状接続部72との間に設けられている。本例の外装部73は、コルゲート管61a,61bから露出された接続部40及びその接続部40の周辺領域を包囲するように設けられている。ここで、接続部40の周辺領域には、例えば、電線10のうち絶縁被覆22から露出された芯線21や、電線10のうち絶縁被覆32から露出された芯線31が含まれる。接続部40の周辺領域には、例えば、電線10のうち絶縁部材50により被覆された領域が含まれる。接続部40の周辺領域には、例えば、絶縁部材50から露出された絶縁被覆22の一部や、絶縁部材50から露出された絶縁被覆32の一部が含まれる。
外装部73の内径は、コルゲート管61aの内径よりも大きく、且つコルゲート管61bの内径よりも大きくなっている。外装部73の内径は、例えば、筒状接続部71の内径よりも大きく、且つ筒状接続部72の内径よりも大きくなっている。
外装部73には、気体の通過を許容し、液体の通過を規制する性質を有する通気部80が設けられている。通気部80は、外装部73の軸方向における任意の位置に形成することができる。本例の通気部80は、外装部73の軸方向において、接続部40と対向する位置に形成されている。すなわち、本例の通気部80は、平面視において、接続部40と重なる位置に形成されている。また、通気部80は、外装部73の周方向における任意の位置に形成することができる。本例の通気部80は、図1に示すように、ワイヤーハーネス1が車両2に組み付けられた際に、地面G1に対して上側(つまり、地面G1から離間する方向)に向くように形成されている。すなわち、本例の通気部80は、接続部40の直上に設けられている。
図3に示すように、通気部80は、外装部73の外部と内部を連通させる通気孔81と、外装部73の外周面から径方向に突出した筒部82と、筒部82に取り付けられた通気膜ユニット83とを有している。
筒部82は、通気孔81を内包するように設けられている。すなわち、筒部82は、その内部に設けられた空洞部が通気孔81と連通するように設けられている。筒部82は、例えば、円筒状に形成されている。筒部82の内周面には、周方向に沿った複数の係止突起84が、筒部82の軸方向に間隔を空けて形成されている。筒部82は、例えば、外装部73と一体に形成されている。すなわち、通気部80の一部が外装通気部材70と一体に形成されている。
通気膜ユニット83は、外装通気部材70とは別部品である。通気膜ユニット83は、筒部82の突出端側に取り付けられている。通気膜ユニット83は、筒状の保持部材85と、通気膜86とが一体化した部材である。
保持部材85は、例えば、外装部73よりも剛性の高い合成樹脂によって構成されている。保持部材85は、例えば、円筒状に形成されている。保持部材85の外周には、周方向に沿った複数の係止溝87が、保持部材85の軸方向に間隔を空けて形成されている。保持部材85には、通気孔81と連通し、外装部73の外部と内部を連通させる連通孔88が形成されている。
図3及び図4に示すように、通気膜86は、保持部材85の連通孔88を塞ぐように、保持部材85の後端部に設けられている。通気膜86は、例えば、モールド成形等によって保持部材85と一体化されている。通気膜86は、気体の通過を許容し、液体の通過を規制する性質を有する。通気膜86としては、樹脂多孔膜、織布、不織布、ネット、発泡体等を用いることができる。例えば、フッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔体からなる通気膜は、通気性が高く、水や粉塵等の異物の進入を抑制できる点で好適に用いることができる。
図3に示した通気膜ユニット83は、保持部材85を、その基端部側から筒部82内に嵌入することによって外装部73(外装通気部材70)に取り付けられている。通気膜ユニット83を外装部73に取り付けると、保持部材85の外周の複数の係止溝87と、筒部82の内周の複数の係止突起84とが密着状態で係止する。この係止により、通気膜ユニット83が外装部73に取り付けた状態に保持されるとともに、筒部82の内周と保持部材85の外周との隙間が気密状態に保持される。
次に、本実施形態に係るワイヤーハーネス1の作用及び効果について説明する。
(1)単芯線電線20と撚線電線30とを電気的に接続する接続部40は、単芯線電線20の芯線21及び撚線電線30の芯線31の各々に比べて、電線10の延在方向に直交する断面の面積が大きくなっている。このため、接続部40では、芯線21,31と比べて、通電時の単位断面積当たりの発熱量が小さくなる。したがって、接続部40には、その周囲の区間の電線10(例えば、単芯線電線20単独の部分や撚線電線30単独の部分)から熱が伝達されやすい。そして、このように他の区間で生じた熱の伝達先(逃げ先)となる接続部40の近傍に、気体の通過を許容する通気部80を設けた。この通気部80を通じて、接続部40の近傍で暖められた空気が保護管60の外部に放出される。具体的には、接続部40自体で発生した熱や接続部40以外の区間の電線10から伝達された熱などによって接続部40の近傍で暖められた空気が、通気部80を通じて保護管60の外部に放出される。これにより、接続部40の近傍において熱がこもり難くなり、接続部40における放熱性を向上させることができ、接続部40の温度上昇を抑制することができる。さらに、接続部40の温度上昇が抑制されると、接続部40の温度が他の区間に比べて相対的に低くなる。これにより、接続部40以外の区間から接続部40に対して熱が伝達されやすくなり、接続部40以外の区間の電線10における温度上昇を抑制することができる。このように、接続部40の近傍に通気部80を設けることにより、ワイヤーハーネス1全体の放熱性を向上させることができ、電線10全体の温度上昇を抑制することができる。
(2)接続部40の表面積は、同じ区間長で比較した場合には、芯線21の表面積よりも大きくなっている。このため、接続部40は、芯線21よりも放熱性に優れている。このように放熱性に優れた接続部40の近傍に通気部80を設けたため、その接続部40の近傍で暖められた空気を、通気部80を通じて外部に効率的に放出させることができる。これにより、ワイヤーハーネス1全体の放熱性をより向上させることができる。
(3)接続部40は、コルゲート管61から露出されている。この構成によれば、接続部40がコルゲート管61に包囲される場合に比べて、接続部40と通気孔81との間に介在物が少なくなるため、接続部40付近で暖められた空気が通気部80から外部に排出され易くなる。したがって、接続部40がコルゲート管61に包囲される場合に比べて、ワイヤーハーネス1の放熱性を向上させることができる。
(4)接続部40は、コルゲート管61から露出され、外装通気部材70によって包囲されている。この構成によれば、コルゲート管61の内径を、断面積の大きな接続部40の形状に依存せずに、単芯線電線20及び撚線電線30の外径に合わせて選択することができる。したがって、接続部40がコルゲート管61に収容される場合に比べて、コルゲート管61の内径及び外径を小さくすることができ、コルゲート管61の配索スペースを小さくすることができる。
(5)コルゲート管61aとコルゲート管61bとの間に架け渡されるように、且つ、コルゲート管61a,61bから露出された接続部40を包囲するように外装通気部材70を取着した。この構成によれば、外装通気部材70の内径が、断面積の大きな接続部40の形状に合わせて設定される。その一方で、コルゲート管61aの内径を、単芯線電線20の外径に合わせて選択することができる。同様に、コルゲート管61bの内径を、断面積の大きな接続部40の外径に依存せずに、撚線電線30の外径に合わせて選択することができる。したがって、コルゲート管61a,61bの内径を、外装通気部材70の内径よりも小さくすることができる。すなわち、接続部40を包囲する外装通気部材70のみを大型化させることにより、それ以外のコルゲート管61a,61bの大型化を抑制することができ、保護管60全体が大型化することを抑制できる。
(6)また、単芯線電線20を収容するコルゲート管61aの内径と、撚線電線30を収容するコルゲート管61bの内径とを個別に設定することができる。このため、コルゲート管61aの内径とコルゲート管61bの内径とを互いに異なる内径に設定することができる。
(7)接続部40を被覆する絶縁部材50の肉厚を、単芯線電線20の絶縁被覆22の肉厚よりも薄くし、撚線電線30の絶縁被覆32の肉厚よりも薄くした。これにより、接続部40及び絶縁部材50の外形が大型化することを抑制できる。
(8)さらに、絶縁部材50の肉厚が厚い場合に比べて、接続部40において熱がこもり難くなるため、接続部40における放熱性を向上させることができる。ひいては、ワイヤーハーネス1全体の放熱性を向上させることができる。
(9)ワイヤーハーネス1が車両2に組み付けられた際に、地面G1に対して上側に向くように通気部80を設けた。この構成によれば、温度が上昇して密度が小さくなった外装部73内の空気が、通気部80を通じて外部へ排出されやすくなる。したがって、ワイヤーハーネス1の放熱性を向上させることができる。
(10)外装通気部材70を、弾性を有する材料によって構成した。これにより、外装通気部材70を拡開変形させながら、外装通気部材70をコルゲート管61a,61bに外装させることができる。このため、外装通気部材70をコルゲート管61a,61bに取り付ける際の作業性を向上させることができる。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ワイヤーハーネス1が車両2に組み付けられた際に、通気部80を地面G1に対して上側に向くように設けるようにしたが、通気部80を他の方向(例えば、地面G1に向く方向)に向けて配置してもよい。
・上記実施形態では、通気部80を電線10の接続部40に対向するように設けたが、外装部73の軸方向における位置はこれに限定されない。例えば、外装部73の軸方向において接続部40とずれた位置に通気部80を設けるようにしてもよい。例えば、通気部80を接続部40の周辺領域に対向するように設けてもよい。
・上記実施形態では、外装部73に1つの通気部80を設けたが、外装部73に通気部80を複数設けてもよい。
例えば図5に示すように、外装部73に2つの通気部80を設けてもよい。この場合には、一方の通気部80が外部の空気を外装部73の内部に取り込む吸気口として機能し、他方の通気部80が外装部73内部の空気を外部に排気する排気口として機能する。これにより、外装部73の内部に空気の流れを生じさせることができる。このため、保護管60の内部に熱がこもり難くなり、ワイヤーハーネス1の放熱性を向上させることができる。
図5の例では、ワイヤーハーネス1が車両に組み付けられた際に、一方の通気部80が地面G1に対して上側に向くように設けられ、他方の通気部80が地面G1に向くように設けられている。さらに、2つの通気部80は、電線10を挟んで対向する位置に設けられている。この構成を採用することにより、吸気口として機能する通気部80と排気口として機能する通気部80との間に直線状の通路が形成される。これにより、吸気口から排気口に向かう空気の流れが生じやすくなる。このため、接続部40の近傍で暖められた空気を、排気口(通気部80)を通じて保護管60の外部に効率的に放出することができる。したがって、保護管60の内部に熱がこもり難くなり、ワイヤーハーネス1の放熱性をより向上させることができる。
なお、複数の通気部80の設置位置は特に限定されない。例えば、複数の通気部80の少なくとも1つの通気部80を、車両2の進行方向に沿って設けるようにしてもよい。この場合には、通気部80の突出先端側が車両2の前方側に向くように設けられることが好ましい。この構成を採用することにより、車両2の走行に伴って車体の前方から後方へ向かって流れる走行風を外装部73の内部に効率的に取り込むことができる。これにより、ワイヤーハーネス1の放熱性をより向上させることができる。
・上記実施形態の通気部80では、外装部73の外周面から径方向に突出した筒部82を設け、その筒部82に通気膜86を有する通気膜ユニット83を固定するようにしたが、通気部80の構造はこれに限定されない。例えば、通気膜86を外装通気部材70の通気孔81に直接固定するようにしてもよい。この場合には、筒部82や保持部材85が省略される。
・上記実施形態における通気膜86の強度を高めるために、他の多孔体、織布、不織布、ネット、発泡体またはメッシュ等を補強層として積層してもよい。
・上記実施形態の絶縁部材50の肉厚を、単芯線電線20の絶縁被覆22の肉厚と同等、もしくは絶縁被覆22の肉厚よりも厚く形成してもよい。また、絶縁部材50の肉厚を、撚線電線30の絶縁被覆32の肉厚と同等、もしくは絶縁被覆32の肉厚よりも厚く形成してもよい。
・上記実施形態では、接続部40を収縮チューブ等からなる絶縁部材50で被覆しているが、絶縁部材50の代わりに合成樹脂製の硬質のプロテクタ等によって接続部40を被覆してもよい。また、絶縁部材50と上記プロテクタとを併用してもよい。
・上記実施形態では、単芯線電線20の芯線21と撚線電線30の芯線31とを直接接合して両者を電気的に接続するようにしたが、これに限定されない。例えば、導電性を有する導電部材を介して芯線21と芯線31とを電気的に接続するようにしてもよい。例えば、芯線21の端部と芯線31の端部との間に導電性を有するパイプ部材を介在させ、パイプ部材の一端部と芯線21の端部とを接合し、パイプ部材の他端部と芯線31の端部とを接合するようにしてもよい。パイプ部材と芯線21,31との接合方法としては、例えば、超音波溶着、圧着、スピニング加工やスウェージング加工などを用いることができる。
・上記実施形態では、単芯線電線20の芯線21を円柱状に形成したが、例えば、芯線21を角柱状や半円柱状に形成してもよい。
・上記実施形態における単芯線電線20の芯線21や撚線電線30の芯線31の各素線を構成する金属材料は特に限定されない。例えば、芯線21と芯線31の各素線とを、銅や銅合金で構成してもよい。
・上記実施形態では、第1電線として単芯線電線20に具体化した。これに限らず、例えば、単芯線電線20の代わりに、導電性を有し、内部が中空構造である筒状導体(パイプ導体)を用いるようにしてもよい。
・上記実施形態では、第2電線として撚線電線30に具体化した。これに限らず、例えば、撚線電線30の代わりに、複数の金属素線が編み込まれて構成された編組線を用いるようにしてもよい。
・上記実施形態では、コルゲート管61a,61bから接続部40が露出されるようにコルゲート管61a,61bを設けたが、これに限定されない。例えば、コルゲート管61a,61bの少なくとも一方が接続部40を包囲するようにしてもよい。
・上記実施形態では、管状部材として樹脂製のコルゲート管61a,61bに具体化したが、これに限定されない。例えば、管状部材としては、コルゲート管の他に、コルゲート管よりも硬質で樹脂製の樹脂パイプや、金属製の金属パイプなどを用いることができる。また、管状部材としては、コルゲート管、樹脂パイプや金属パイプを自由に組み合わせて用いることができる。
・上記実施形態では、外装通気部材70を、ゴムやエラストマによって構成するようにしたが、これに限定されない。例えば、外装通気部材として、コルゲート管、樹脂パイプや金属パイプを用いることができる。例えば、コルゲート管を外装通気部材として用いる場合には、そのコルゲート管のうち接続部40及びその周辺領域を包囲する部分(外装部)に対して通気部が設けられる。この場合には、コルゲート管(外装通気部材)の端部を防水カバー62に接続してもよい。すなわち、この場合のコルゲート管(外装通気部材)は、例えば、接続部40を包囲するとともに、撚線電線30の略全長を包囲するように設けられる。
・上記実施形態におけるワイヤーハーネス1に複数の外装通気部材70を設けてもよい。例えば、電線10としては、単芯線電線20の両端部に撚線電線をそれぞれ接続した構成が考えられる。このような場合に、単芯線電線20の両端部にそれぞれ形成される2つの接続部に対して外装通気部材70を個別に設けるようにしてもよい。
・上記実施形態では、保護管60の内部に挿通される電線10が2本であったが、特に限定されるものではなく、車両2の仕様に応じて電線10の本数は変更することができる。例えば、保護管60の内部に挿通される電線10の本数は、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
・上記実施形態では特に言及していないが、保護管60の内部に電磁シールド部材を設ける構成を採用してもよい。電磁シールド部材は、例えば、複数の電線10を一括して包囲するように設けられる。電磁シールド部材は、例えば、保護管60の内面と電線10の外面との間に設けられる。電磁シールド部材としては、例えば、可撓性を有する編組線や金属箔を用いることができる。
・上記実施形態では、電線10によって接続される電気機器としてインバータ3及び高圧バッテリ4を採用したが、これに限定されない。例えば、インバータ3と車輪駆動用モータとを接続する電線に採用してもよい。すなわち、車両2に搭載される電気機器間を電気的に接続するものであれば適用可能である。
・上記各実施形態並びに各変形例は適宜組み合わせてもよい。
1 ワイヤーハーネス
2 車両
10 電線
20 単芯線電線(第1電線)
21 芯線
22 絶縁被覆
30 撚線電線(第2電線)
31 芯線
32 絶縁被覆
40 接続部
50 絶縁部材
60 保護管
61 コルゲート管(管状部材)
61a コルゲート管(第1管状部材)
61b コルゲート管(第2管状部材)
70 外装通気部材
73 外装部
80 通気部

Claims (9)

  1. 第1電線と、前記第1電線よりも高い屈曲性を有する第2電線と、前記第1電線と前記第2電線とを電気的に接続する接続部とを有する電線と、
    前記第1電線及び前記第2電線の少なくとも一方を収容する管状部材と、
    前記電線のうち前記接続部及び前記接続部の周辺領域を包囲する外装部を有し、前記管状部材に接続された筒状の外装通気部材と、を有し、
    前記外装部には、気体の通過を許容し、液体の通過を規制する性質を有する通気部が設けられており、
    前記接続部は、前記第1電線の芯線及び前記第2電線の芯線の各々に比べて、前記電線の延在方向に直交する断面の面積が大きいワイヤーハーネス。
  2. 前記接続部の表面積は、同じ区間長で比較した場合に、前記第1電線の芯線の表面積よりも大きい請求項1に記載のワイヤーハーネス。
  3. 前記接続部が、前記管状部材から露出されている請求項1又は2に記載のワイヤーハーネス。
  4. 前記管状部材は、前記第1電線を収容する第1管状部材と、前記第2電線を収容する第2管状部材とを有し、
    前記外装通気部材は、前記第1管状部材と前記第2管状部材との間を架け渡すように取着されている請求項3に記載のワイヤーハーネス。
  5. 前記外装部の内径は、前記第1管状部材の内径よりも大きく、且つ前記第2管状部材の内径よりも大きい請求項4に記載のワイヤーハーネス。
  6. 前記接続部を被覆する絶縁部材を有し、
    前記絶縁部材の肉厚は、前記第1電線の絶縁被覆の肉厚よりも薄く、且つ前記第2電線の絶縁被覆の肉厚よりも薄い請求項1〜5の何れか一項に記載のワイヤーハーネス。
  7. 前記通気部は、当該ワイヤーハーネスが車両に組み付けられた際に、地面に対して上側に向くように配置されている請求項1〜6の何れか一項に記載のワイヤーハーネス。
  8. 前記外装部には複数の前記通気部が設けられており、
    前記複数の通気部のうち少なくとも一つの通気部は、当該ワイヤーハーネスが車両に組み付けられた際に、地面に対して上側に向くように配置されている請求項1〜6の何れか一項に記載のワイヤーハーネス。
  9. 前記複数の通気部のうち2つの通気部は、前記電線を挟んで対向する位置に設けられている請求項8に記載のワイヤーハーネス。
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