本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1、図2は本実施形態の洗車機を示す側面図、正面図である。以下の説明において、移動方向、左右で洗車機の構造、動作を説明する場合がある。前後は、図1を基準とする。すなわち、ブラシによる洗浄時における、洗車機本体1の移動方向は、被洗浄車両CAの前面側から後面側への一方向(図1における右から左)と定義する。また、左右は、被洗浄車両CAから洗車機本体1を見た状態での左右(図2の左右)と定義する。さらに、洗車機本体1の手前側及び奥側と称する場合、被洗浄車両CA内のユーザから洗車機本体1を見たときの手前側及び奥側(例えば、図1では、左が手前、右が奥)とする。さらに、外側、内側と記載する場合がある。外側は、被洗浄車両CAからみて、洗車機本体1の左右方向の外側を示し、内側は、被洗浄車両CAからみて、洗車機本体1の左右方向の内側を示すものとする。
<洗車機の全体構成>
図1、図2に示すように、洗車機WAは洗車機本体1を備えている。被洗浄車両CAが洗車機本体1に進入する経路上には、被洗浄車両に乗車したユーザ等が操作可能なリモートパネルRpが配される。図2に示すように、洗車機本体1の一方の側方(ここでは、右側)の手前側には被洗浄車両CAから降車したユーザ等が操作可能な操作パネルOpが配される。操作パネルOpとリモートパネルRpとは、同様の操作が可能である。ユーザ等によるリモートパネルRp及び(又は)操作パネルOpの操作を受け付けることで、被洗浄車両CAの洗車の受け付けや洗車条件等の設定を行う。
すなわち、操作パネルOp及びリモートパネルRpは、例えば、洗車開始のボタン(不図示)及び洗車条件、被洗浄車両の形状等の設定を行う設定ボタン(不図示)等が設けられる。設定ボタンで設定する洗車条件としては、例えば、シャンプー、ワックス掛け、撥水コート等を挙げることができる。また、高級なシャンプー、高級なワックス、高級な撥水コート、特殊なコート等を含んでいてよい。
また、設定ボタンによる被洗浄車両の形状等の設定項目としては、例えば、車両の形状(ワンボックス、ミニバン、セダン等)、フロントガード有り、フェンダーポール有り、ドアミラー有り、リヤワイパー有り、該当装備品無し等の装備品設定を挙げることができる。また、これら以外にも、洗車機WAによる非洗車車両CAの洗車に必要な設定を行うための操作が可能となっている。なお、上述したボタンは、機械的な接点を有する押ボタンであってもよいし、画面上の接触を感知するセンサ、いわゆる、タッチセンサ式であってもよい。また、ユーザが所有している携帯端末(スマートフォン等)から、操作可能な構成であってもよい。
洗車機本体1は開口を有し、被洗浄車両CAに向かって移動することで、被洗浄車両CAを跨ぐ門型に形成される。洗車機本体1の底面には地面に設けられた左右一対のレール20上に配される車輪21が設けられる。これにより、洗車機本体1はレール20上を走行して被洗浄車両CAの前方から後方に相対移動する。なお、本実施形態の洗車機WAでは、停止している被洗浄車両CAに対して、洗車機本体1が移動する構成となっているが、これに限定されない。例えば、床面に、ベルトコンベヤ等の移動機構を設け、移動機構に載置された被洗浄車両CAを固定された洗車機本体1に対して相対移動させてもよい。さらには、被洗浄車両CA及び洗車機本体1の両方を、移動させるものであってもよい。
洗車機本体1には被洗浄車両CAをブラッシングする複数の回転するブラシを設けている。ブラシはサイドブラシ31、ロッカーブラシ32及びトップブラシ4を含む。トップブラシ4は被洗浄車両CAの上面を洗浄し、水平なシャフト40(図3参照)に布(織布、編布、不織布等)や樹脂繊維から成るブラシ毛を放射状に固着して形成される。
サイドブラシ31は左右一対設けられ、被洗浄車両CAの両側面と前後面に摺動して被洗浄車両CAを洗浄する。ロッカーブラシ32は左右一対設けられ、被洗浄車両CAのタイヤを含む側面下部を洗浄する。サイドブラシ31及びロッカーブラシ32もトップブラシ4と同様の回転軸及びブラシ毛を有している。
洗車機本体1の一方の側方には洗剤やワックス等の各種液剤を貯液する複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部22が配される。タンク収納部22の上方には市水及び各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部23が設けられる。洗車機本体1には、分配配管部23から導出される第1、第2浄水ノズル11、13、第1、第2洗剤ノズル12、15、撥水コートノズル14、ワックスノズル16が設けられている。
第1、第2浄水ノズル11、13は洗車機本体1の手前側及び奥側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対して市水を噴射する。第1、第2洗剤ノズル12、15は洗車機本体1の手前側及び奥側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対して洗剤を噴射する。撥水コートノズル14は洗車機本体1の奥側に配され、被洗浄車両CAに対して撥水コート剤を噴射する。ワックスノズル16は洗車機本体1の奥側に配され、被洗浄車両CAに対してワックスを噴射する。
また、洗車機本体1には、被洗浄車両CAを乾燥させるトップ送風ノズル18とサイド送風ノズル19とを設けている。トップ送風ノズル18は、洗車機本体1の中央上部に設けられる。サイド送風ノズル19は、洗車機本体1の左右両側方に設けられる。トップ送風ノズル18及びサイド送風ノズル19はブロワ17からの送風を被洗浄車両CAに対して吹き付けて、被洗浄車両CAの表面に付着した水分等を乾燥させる。
洗車機本体1の前面の上部には車両センサSeが設けられている。車両センサSeは光電センサや超音波センサ等から成り、洗車機本体1に進入する被洗浄車両CAの外面形状を検知する。
<トップブラシの構成>
図3は洗車機本体のトップブラシの要部構成を示す正面図である。洗車機本体1は、トップブラシ4を上下に昇降可能な構成を有している。また、洗車機本体1が、被洗浄車両CAに向かって移動する場合、トップブラシ4は、被洗浄車両CAから押される。洗車機WAでは、トップブラシ4は揺動することで被洗浄車両CAからの力を逃がす構成を有している。
このような構成を有する、洗車機本体1は、ガイドレール10と、トップブラシ4と、保持部5と、揺動部6と、揺動規制部7と、昇降機構8とを備えている。トップブラシ4は、シャフト40を備えている。シャフト40は、トップブラシ4の中心から左右方向に延びている。
シャフト40の右側方には、伝達機構42を介して回転モータ41が取り付けられている。伝達機構42は、回転モータ41の出力軸で発生する回転力を、シャフト40に伝達する。伝達機構42としては、チェーンとスプロケットを利用したもの、ドライブシャフトを利用したもの等を挙げることができるが、これらに限定されない。回転モータ41には、図示を省略した電源より電力が供給されている。電力が供給されることで回転モータ41が駆動し、回転モータ41の回転力が伝達機構42を介してシャフト40に伝達されて、シャフト40、すなわち、トップブラシ4が回転する。
シャフト40の軸方向両端は、保持部5に揺動可能に支持された揺動部6に回転可能に支持されている。保持部5は、洗車機本体1の左右一対で立設されたガイドレール10に上下方向に摺動可能に配置されている。
<ガイドレール、保持部及び揺動部の構成>
ガイドレール10、保持部5及び揺動部6について、新たな図面を参照して説明する。図4は、保持部及び揺動部の断面図である。図5は、図4に示す保持部及び揺動部の縦断面図である。保持部5及び揺動部6は、左右で同様の構成を有しているため、図4及び図5では、左側のみを図示している。そして、以下では、特に言及しない限り、左側のガイドレール10、保持部5及び揺動部6に基づいて、説明する。
まず、ガイドレール10について説明する。上述したように、ガイドレール10は、洗車機本体1の左右に対をなすように設けられている。図4に示すように、左側のガイドレール10は、手前側と奥側に隙間をあけて立設された一対の柱部材100を備えている。すなわち、一対の柱部材100は平行であるとともに、上下に延びて配されている。左のガイドレール10が、一対の柱部材100を有し、右のガイドレールも一対の柱部材100を有している。柱部材100は、断面正方形状の角パイプ状であり、各柱部材100の四面は、それぞれ、手前側、奥側、左側及び右側に配されている。なお、各柱部材100の洗車機本体1における外側に向いた面を外面101、内側に向いた面を内面102及び一対の柱部材100の互いに対向する面を対向面103とする。
保持部5は、ガイドレール10に案内される。図4、図5に示すように、保持部5は、外側台座501と、内側台座502と、連結部503とを含む台座を有している。そして、保持部5には、ガイドレール10に対して転動する又は転動可能となる第1ローラ51、第2ローラ52、第3ローラ53、第4ローラ54及びガイドローラ55を備えている。
外側台座501は、ガイドレール10の外側に配される。外側台座501は、柱部材100の外面101に沿って上下に延びる矩形平板状の平板部5011と、平板部5011の上下方向と直交する方向の両端部から柱部材100に向かって延びる一対のリブ5012とを有している。
外側台座501の一対のリブ5012は上部に、左右、すなわち、トップブラシ4の軸方向に延びる一対の長孔504を有している。一対の長孔504は、同一の形状であるとともに、外側台座501がガイドレール10の外側に配されているときに、手前側と奥側とが上下左右に一致する。そして、一対の長孔504を、第1ローラシャフト511が貫通している。第1ローラシャフト511は、長孔504に沿って、左右方向に移動可能なように取り付けられる。
そして、第1ローラシャフト511の軸方向の両端部、すなわち、手前側の端部及び奥側の端部には、第1ローラ51が回転可能に取り付けられている。第1ローラ51が取り付けられることで、第1ローラシャフト511は、手前側及び奥側への移動が制限される。また、第1ローラシャフト511の手前側の端部に取り付けられた第1ローラ51は、手前側の柱部材100の外面101上を転動可能であり、第1ローラシャフト511の奥側の端部に取り付けられた第1ローラ51は、奥側の柱部材100の外面101上を転動可能である。以上のようにして、第1ローラ51が、ガイドレール10の外面101上を転動するように外側台座501に配される。
なお、本実施形態では、第1ローラ51は第1ローラシャフト511にボールベアリングを介して取り付けられているが、これに限定されず、例えば、第1ローラ51と第1ローラシャフト511とを固定しておき、第1ローラシャフト511を回転可能に支持するような構成であってもよい。第1ローラ51が外面101上を転動するような取り付け方法を広く採用することが可能である。
外側台座501の平板部5011には、第1ローラシャフト511をガイドレール10に向かって押す可変部56が設けられている。可変部56は、平板部5011に固定されたナット(雌ねじ部)と、ナットに螺合されて平板部5011を貫通するボルトを備えている。ボルトの先端が、第1ローラシャフト511に接触している。可変部56のボルトを回すことで、ボルトの先端が第1ローラシャフト511を押し、第1ローラシャフト511の外側台座501に対する位置が可変される。なお、図5に示すように、本実施形態では、可変部56を2個設けて、第1ローラシャフト511を傾かないように押している。しかしながら、これに限定されず、第1ローラシャフト511を傾かないように押せるものであれば、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。また、ボルトナット、すなわち、ねじを利用したものに限定されない。
外側台座501の一対のリブ5012は下部に、左右、すなわち、トップブラシ4の軸方向に延びる一対の長孔506を有している。長孔506は、同一の形状であるとともに、外側台座501がガイドレール10の外側に配されているときに、手前側と奥側とが上下左右に一致する。なお、長孔506は、長孔504と同一の形状であってもよいし、異なっていてもよい。
一対の長孔506のそれぞれには、ローラピン531が貫通している。ローラピン531の端部には、第3ローラ53が回転可能に取り付けられている。第3ローラ53は予め決められた力で、リブ5012に保持されている。第3ローラ53は、保持部5がぶれたり、傾いたりしたときに、ガイドレール10の柱部材100の外面101と接触して、外面101上を転動可能なように取り付けられている。ローラピン531は、ボルトを用いており、ナット及びワッシャを利用して、リブ5012に固定されている。ローラピン531は、長孔506に沿って左右に移動させることが可能である。ローラピン531を長孔506内で移動させて、第3ローラ53のガイドレール10に対する位置を調整した後、ローラピン531はリブ5012に固定される。
なお、本実施形態では、第3ローラ53はローラピン531にボールベアリングを介して取り付けられているが、これに限定されず、例えば、第3ローラ53とローラピン531とを固定しておき、ローラピン531を回転可能に支持するような構成であってもよい。第3ローラ53が外面101と接触したときに、外面101上を転動するような取り付け方法を広く採用することが可能である。
内側台座502は、ガイドレール10の内側に配される。内側台座502は、柱部材100の内面102に沿って上下に延びる矩形平板状の平板部5021と、平板部5021の上下方向と直交する方向の両端部から柱部材100に向かって延びる一対のリブ5022とを有している。
内側台座502の一対のリブ5022の下部には、一対の貫通孔505を備えている。一対の貫通孔505は、同一内径の円柱状である。一対の貫通孔505は、内側台座502がガイドレール10の内側に配されているときに、手前側と奥側とが上下左右に一致する。そして、一対の貫通孔505を、第2ローラシャフト521が貫通している。第2ローラシャフト521は、上下左右に動かないように貫通孔505に固定されている。なお、固定方法としては、圧入を挙げることができるが、これに限定されない。
そして、第2ローラシャフト521の軸方向の両端部、すなわち、手前側の端部及び奥側の端部には、第2ローラ52が回転可能に取り付けられている。第2ローラ52が取り付けられることで、第2ローラシャフト521は、手前側及び奥側への移動が制限される。また、第2ローラシャフト521の手前側の端部に取り付けられた第2ローラ52は、手前側の柱部材100の内面102上を転動可能であり、第2ローラシャフト521の奥側の端部に取り付けられた第2ローラ52は、奥側の柱部材100の内面102上を転動可能である。以上のようにして、第2ローラ52が、台座上にガイドレール10の内面102上を転動するように配される。第2ローラシャフト521が、貫通孔505に固定されるため、第2ローラ52の内側台座502に対する位置は可変ではない、すなわち、固定である。
なお、本実施形態では、第2ローラ52は第2ローラシャフト521にボールベアリングを介して取り付けられているが、これに限定されず、例えば、第2ローラ52と第2ローラシャフト521とを固定しておき、第2ローラシャフト521を回転可能に支持するような構成であってもよい。第2ローラ52が内面102上を転動するような取り付け方法を広く採用することが可能である。
内側台座502の一対のリブ5022は上部に、左右、すなわち、トップブラシ4の軸方向に延びる一対の長孔507を有している。長孔507は、同一の形状であるとともに、内側台座502がガイドレール10の内側に配されているときに、手前側と奥側とが上下左右に一致する。なお、長孔507は、長孔504、長孔506のいずれかと同一の形状であってもよいし、異なっていてもよい。
一対の長孔507のそれぞれには、ローラピン541が貫通している。ローラピン541の端部には、第4ローラ54が回転可能に取り付けられている。第4ローラ54は予め決められた力で、リブ5022に保持されている。第4ローラ54は、保持部5がぶれたり、傾いたりしたときに、ガイドレール10の柱部材100の内面102と接触して、内面102上を転動可能なように取り付けられている。ローラピン541は、ボルトを用いており、ナット及びワッシャを利用して、リブ5022に固定されている。ローラピン541は、長孔507に沿って左右に移動させることが可能である。ローラピン541を長孔507内で移動させて、第4ローラ54のガイドレール10に対する位置を調整した後、ローラピン541はリブ5022に固定される。
なお、本実施形態では、第4ローラ54はローラピン541にボールベアリングを介して取り付けられているが、これに限定されず、例えば、第4ローラ54とローラピン541とを固定しておき、ローラピン541を回転可能に支持するような構成であってもよい。第4ローラ54が内面102と接触したときに、内面102上を転動するような取り付け方法を広く採用することが可能である。
保持部5は、ガイドレール10の柱部材100の間に配されるとともに、外側台座501の平板部5011と内側台座502の平板部5021とに固定されたガイドシャフト551を備えている。そして、ガイドシャフト551に回転可能であるとともに、柱部材100の対向面103と接触可能に配されたガイドローラ55を備えている。保持部5が手前側又は奥側にぶれたときに、柱部材100の対向面103に接触する。なお、保持部5では、ガイドローラ55は、保持部5の上部と下部に設けられている。保持部5の外側台座501には、外側に突出する支持部57が設けられている。
昇降機構8は、保持部5をガイドレール10に沿って昇降させる。昇降機構8は、昇降モータ80と、駆動側スプロケット81と、従動側スプロケット82と、チェーン83と、カウンターシャフト84とを備えている。
駆動側スプロケット81は、従動側スプロケット82の上方に配されており、チェーン83が巻きまわされている。なお、チェーン83が巻きまわされた駆動側スプロケット81及び従動側スプロケット82は、洗車機本体1の左右両側に配されている。そして、左右の駆動側スプロケット81には、カウンターシャフト84が取り付けられている。そして、カウンターシャフト84には、駆動モータ80からの駆動力が伝達されている。駆動モータ80の駆動力はカウンターシャフト84を介して、左右の駆動側スプロケット81に伝達され、左右の駆動側スプロケット81が回転される。これにより、駆動側スプロケット81及び従動側スプロケット82に巻きまわされたチェーン83が動く。
チェーン83の両端は、ドッグ83aを介して繋がっており、無端状になっている。保持部5の支持部57の下部は、ドッグ83aに支持されている。チェーン83が駆動されることで、ドッグ83aがガイドレール10に沿って昇降する。チェーン83の駆動によりドッグ83aが上昇するときに、支持部57が上方に押し上げられる。これにより、保持部5はガイドレール10に沿って上昇する。また、チェーン83の駆動によりドッグ83aが下降するときには、保持部5は、下部をドッグ83aに支持されつつ、自重によってガイドレール10に沿って下降する。
つまり、保持部5は、チェーン83の動作に従ってガイドレール10に沿って昇降する。なお、図示を省略しているが、実際には、チェーン83による引っ張り力が偏らないようにするため、保持部5の内側にも同様にチェーンが取り付けられて、チェーンによって引っ張ることができるようになっている。
次に、揺動部6について説明する。図5に示すように、揺動部6は、下部が手前側から奥側に揺動可能なように、上部を保持部5に保持されている。揺動部6は、揺動シャフト60と、揺動筒部61と、支持アーム62と、レバー部63と、支持シャフト64とを備えている。
揺動シャフト60は、保持部5から左右方向内側に延びる円柱状の軸体である。揺動シャフト60は、外側台座501の平板部5011の上下方向中間部分及び内側台座502の平板部5021の上下方向中間部分に揺動軸C1回りに回動可能に支持されている。なお、揺動シャフト60は、ベアリングを介して、平板部5011及び平板部5021に回転可能に支持されている。
揺動筒部61は、揺動シャフト60に外嵌している。揺動筒部61は、揺動シャフト60に固定されている。揺動筒部61の中心軸は、揺動シャフト60の中心軸(すなわち、揺動軸C1)と一致する。支持アーム62は、揺動シャフト60から揺動軸と直交する方向に延びる長尺部材である。支持アーム62の揺動シャフト60の軸方向に間をおいて2個配置されている。図5に示すように、揺動部6において、支持アーム62は、揺動シャフト60から下に向かって延びている。
レバー部63は、揺動筒部61から揺動軸C1と直交する方向であって、支持アーム62とは異なる方向に延びている。レバー部63は、揺動筒部61と一体に形成されている。レバー部63は、支持アーム62が延びる方向と反対方向、すなわち、上方に延びている。レバー部63は、揺動シャフト60の揺動に基づいて、揺動軸C1回りで周方向に移動する。レバー部63の移動は、揺動規制部7によって規制される。揺動規制部7によるレバー部63の移動の規制については、後述する。レバー部63には、上下に延びる長孔631が設けられている。長孔631は、揺動規制部7の後述するガイドシャフト71が
貫通している。そして、長孔631の延びる方向が、上下方向、すなわち、揺動軸C1に対して直交する方向であるため、レバー部63が揺動軸C1回りに周方向に移動したときに、レバー部63がガイドシャフト71に接触しにくくなる。
支持アーム62は上端部で、揺動シャフト60と接続している。また、支持アーム62の下端部には、揺動軸C1と平行に延びる支持シャフト64が固定されている。支持シャフト64は、左右方向に延びるとともに、支持シャフト64の径方向外側に、トップブラシ4のシャフト40が回転可能に取り付けられている。これにより、トップブラシ4のシャフト40は、軸方向の両端部を揺動部6に回転可能に支持される。
<揺動規制部の構成>
揺動部6の揺動を規制する揺動規制部7について新たな図面を参照して説明する。図6は、揺動規制部の平面図である。図7は、図6に示す揺動規制部の正面図である。図8は、図6に示す揺動規制部の手前側から見た側面図である。
図4、図5等に示すように、揺動規制部7は、内側台座502の平板部5021の内面で揺動部6の上方に固定されている。揺動規制部7は、台座70と、ガイドシャフト71と、揺動制限部72と、コイルばね73と、ばね押え部74と、固定ナット75とを備えている。
台座70は、正面視長方形状の板状の部材である。台座70は、長手方向の両端から直交する方向に延びる一対の支持部701を備えている。そして、支持部701には、ガイドシャフト71が貫通する貫通孔702が設けられている。
ガイドシャフト71は、円柱状の部材であり、軸方向の両端に雄ねじ711及び雄ねじ712とが形成されている。ガイドシャフト71の軸方向の両端は、貫通孔702を支持部701の内側から外側に貫通している。そして、ガイドシャフト71は貫通孔702を貫通して、支持部701の外側の部分に、ワッシャを挟んで固定ナット75が取り付けられている。固定ナット75を雄ねじ711及び雄ねじ712に螺合することで、ガイドシャフト71は台座70に対して固定される。
なお、本実施形態では、ガイドシャフト71に形成された雄ねじ711及び雄ねじ712に固定ナット75を螺合しているが、これに限定されない。例えば、固定ナット75の代わりに、ガイドシャフト71の支持部701の外側に突出している部分を固定する固定部材を用いてもよい。
上述のとおり、洗車機本体1は、トップブラシ4で洗浄を行うときに、被洗浄車両CAの前から後に一方にのみ移動する。そのため、トップブラシ4には、被洗浄車両CAから奥向きの力が付勢される。そして、トップブラシ4は、支持アーム62に支持されており、レバー部63が支持アーム62とは反対側の上方に延びているため、トップブラシ4が被洗浄車両CAから奥側に向かって押されると、レバー部63は上部が手前側に向かって回動する。
揺動制限部72は、レバー部63と接触することでレバー部63の移動を制限する。揺動制限部72は、トップブラシ4を用いた洗浄を行っていない状態(ニュートラル状態NSとする)のときに、レバー部63の奥側の面と接触して、レバー部63の奥側への移動を制限する。これにより、トップブラシ4の手前側への移動が制限される。なお、揺動制限部72とレバー部63との間には、接触時の衝撃を吸収するような、ゴム等の緩衝性を有する材料で形成された緩衝部材を配置してもよい。緩衝部材は、レバー部63に取り付けてもよいし、揺動制限部72に取り付けてもよい。
揺動制限部72は、ワッシャ721と、ナット722とを備えている。ワッシャ721をレバー部63に当接させ、ワッシャ721のレバー部63と反対側をナット722で固定する。ナット722は、ガイドシャフト71に形成されている雄ねじ711に螺合される。なお、ナット722は、ここでは、2個のナット(ダブルナット)を用いているが、これに限定されない。緩みにくい状態でワッシャ721を固定することができる構成を広く採用することができる。
揺動規制部7では、コイルばね73をガイドシャフト71が軸方向に貫通する。コイルばね73は、両端に、ワッシャ741が接触している。コイルばね73の一方の端部と接触するワッシャ741は、レバー部63と接触している。また、コイルばね73の他方の端部と接触するワッシャ741は、雄ねじ712に螺合されたナット742で抑えられている。ここで、ナット742は、ダブルナットである。
ナット742のガイドシャフト71の軸方向の位置を調整することで、コイルばね73の長さを変更することができる。このとき、コイルばね73の軸方向長さを自然長よりも短くすることで、予圧を発生させ、予圧で揺動部6のレバー部63を押圧することが可能である。コイルばね73は、レバー部63を揺動制限部72に押し付ける付勢部である。すなわち、コイルばね73は、トップブラシ4の奥側への移動を規制している。なお、付勢部としコイルばね73を用いているがこれに限定されない。例えば、おもりとワイヤを用いて、おもりの重力でレバー部63を付勢する構成であってもよい。レバー部63をしっかり付勢できる構成を広く採用することができる。
ここで、「制限」とは、ある動作ができないようにすることを指す。例えば、揺動制限部72は、レバー部63の奥側への移動を制限しているため、レバー部63はニュートラル状態NSから奥側には移動できない。一方、「規制」とは、一定の抗力があればある動作が可能なようにすることを指す。例えば、コイルばね73は、レバー部63を奥側に規制している。これにより、レバー部63の手前側に移動しにくくなるが、コイルばね73のフ勢力よりも大きい力で押すことで移動することは可能である。
<トップブラシのたわみについて>
トップブラシ4のたわみについて図面を参照して説明する。図9は、たわみが発生しているトップブラシを示す概略図である。図10は、トップブラシのたわみを修正した状態を示す概略図である。
理想的なトップブラシ4は、図9に二点鎖線で示すように、たわみがない又は少ない状態で、洗車機本体1に取り付けられる。トップブラシ4は、シャフト40の両端を揺動部6に支持されている。すなわち、シャフト40の両端でトップブラシ4全体の重量を支えている。自重や経年変化によって、トップブラシ4は、図9の実線で示すように、軸方向の中央部分が下方にたわみが発生する。トップブラシ4がたわんだ状態で、回転すると、トップブラシ4の回転の軸とシャフト40の中心軸C2がずれて(偏心して)回転するため、回転にむら(拍動)が発生し、振動や騒音の原因となる場合がある。また、偏心して回転することで、トップブラシ40のブラシ毛の被洗浄車両CAと接触する接触圧が、変動してしまうため、洗浄むらが発生したり、ブラシ毛が偏摩耗したり等の原因となる場合がある。
そこで、図10に示すように、左右の揺動部6の揺動軸C11の内側を上方に傾けることで、トップブラシ4のたわみを修正している。以下に、トップブラシ4のたわみの修正方法について説明する。
図11は、図9に示すトップブラシがたわんでいる状態の保持部の一例を示す図である。図12は、図10に示すトップブラシのたわみを修正した状態の保持部の一例を示す図である。
保持部5の外側台座501の平板部5011及び内側台座502の平板部5021は、ガイドレール10と平行である。このとき、保持部5に支持される揺動シャフト60は、左右方向で洗車機本体1の内側に向かって突出する。そして、揺動シャフト60の先端側に、支持アーム62を介して、トップブラシ4が取り付けられている。図9に示すように、トップブラシ4は中央が下部に下がるようにたわんでいる。
保持部5は、第2ローラ52とガイドレール10の内面102との接触部分を支点として、上部が洗車機本体1の内側に回転させる方向の力が作用している。そして、第1ローラ51がガイドレール10の外面101と接触することで、保持部5に作用する洗車機本体1の内側に回転させる方向の力に抗している。これにより、保持部5は、ガイドレール10に摺動可能に取り付けられている。
すなわち、保持部5は、第1ローラ51と第2ローラ52とが、ガイドレール10に接触することで、ガイドレール10に保持される。保持部5において、第1ローラ51と第2ローラ52とで、保持部5に保持される部材の力を受けている。また、第3ローラ53、第4ローラ54は、洗車機WAを通常使用している状態において、力を受けるローラではなく、移動時等に保持部5をガイドするガイド用のローラである。第3ローラ53、第4ローラ54は、洗車機WAを通常使用している状態において、ガイドレール10に接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
図9に示すように、揺動シャフト60の中心軸である揺動軸C1が水平方向に延びているとき、トップブラシ4のシャフト40の中心軸C2は、たわんでいる。そこで、可変部56をねじ込むことで、第1ローラシャフト511を押し、第1ローラ51の保持部5に対する相対位置をずらす。このとき、第1ローラ51は、ガイドレール10の外面101を押すとともに、平板部5011から遠ざかる。また、第2ローラ52の保持部5に対する位置は、変化しない。これらのことから、可変部56を操作することにより、保持部5は、第2ローラ52とガイドレール10の内面102との接触部を支点として、外側に回転する(図11中矢線Rt)。
第3ローラ53は、保持部5の上部が外側に回転したときに、ガイドレール10の外面101に接触しない位置に固定されている。同様に、第4ローラ54は、保持部5の上部が外側に回転したときに、ガイドレール10の内面102に接触しない位置に固定されている。なお、第3ローラ53及び第4ローラ54を移動可能としておき、ばね等を利用して、ガイドレール10に常に接触するように付勢されていてもよい。
また、保持部5が第2ローラ52とガイドレール10の内面102との接触部を支点として、洗車機本体1の外側に回転することで、揺動シャフト60も保持部5に合せて回転する。図12に示すように、揺動シャフト60は、内側(図12では、右側)が上方に傾斜する。揺動シャフト60の中心軸(新しい揺動軸C11)は、元の揺動軸C1に対して、内側が上方に傾いている。このように、揺動シャフト60の内側を上方に傾けることで、揺動シャフト60と支持アーム62及び支持シャフト64を介して取り付けられるシャフト40に中央部を上方に持ち上げる力(モーメント)が作用する。これにより、シャフト40の中心軸C2は、水平になる(図10参照)。
なお、可変部56としては、ねじを用いているが、これに限定されず、ねじ以外にも、例えば、空圧シリンダ等のように第1ローラ51又は第1ローラシャフト511を操作して、ガイドレール10に対する保持部5の角度を調整可能な構成を広く採用することが可能である。
また、例えば、トップブラシ4が被洗浄車両CAに押される(乗り上げる)等で、トップブラシ4に対して上向きの力が作用する場合がある。このとき、保持部5には、上部が外側に回転する方向の力が作用する。上部が外側に回転したときに、第3ローラ53がガイドレール10の外面101と接触し、第4ローラ54がガイドレール10の内面102と接触する。これにより、保持部5の上部の外側への回転が、一定角度以内となるように抑制される。これにより、保持部5の過剰な回転によるシャフト40の変形を抑制できる。
また、上述しているように、第3ローラ53及び第4ローラ54をばね等でガイドレール10と接触するように付勢している場合もある。この場合、ガイドブラシ4に対して上向きの力が作用し、保持部5の上部が外側に回転したときに、第3ローラ53及び第4ローラ54とが、ガイドレール10に衝突しない。これにより、接触による破損、変形等を抑制することが可能である。また、接触音を抑制できる。なお、第3ローラ53及び第4ローラ54は、保持部5の上部の外側への回転角度が一定の範囲内のとき、付勢力と釣り合う状態で左右に移動可能とし、一定の角度回転したときには、ストッパ等で左右の移動を制限するような構成であってもよい。
上述のように、第1ローラ51及び第2ローラ52は、トップブラシ4の重量を支えるローラであるため、鋼材等の金属やセラミック等の硬い材料で形成されている。一方で、第3ローラ53及び第4ローラ54は、常にトップブラシ4の重量を受け持つわけではなく、トップブラシ4に上向きの力が作用したときにだけガイドレール10と接触するローラである。そのため、樹脂等で形成された、第1ローラ51及び第2ローラ52よりも柔かい材料で形成されていてもよい。なお、第3ローラ53及び第4ローラ54は、トップブラシ4に作用する上向きの力に抗して、保持部5を支持できる程度の強度を有しているものとする。
第3ローラ53及び第4ローラ54を柔かい材料で形成することで、変形して保持部5の角度調整時に変形してガイドレール10に接触するようにしてもよい。このようにすることで、長孔と合わせて、一定以上の力を逃がすことが可能である。このように、3ローラ53、第4ローラ54を柔かい部材で形成したとき、ローラピン531及びローラピン541は、長孔ではなく、移動が規制される貫通孔に取り付けられていてもよい。
また、トップブラシ4に対して、上向きの力が作用しない構成である場合、又は、上向きの力を逃がすことができる構成を別途、有している場合、第3ローラ53及び第4ローラ54を省略してもよい。このとき、どちらか一方を省略してもよいし、両方省略してもよい。
上述した保持部5では、外側台座501に設けられた可変部56を操作することで、第1ローラ51をガイドレール10に向かって押し、保持部5のガイドレール10に対する角度を可変していた。しかしながら、これに限定されない。本実施形態の保持部の変形例について図面を参照して説明する。
図13は、保持部の他の例を示す図である。図14は、図13に示す保持部でトップブラシのたわみを修正した状態を示す図である。図13に示す、保持部5Bは、内側台座502に可変部58を備えており、可変部58は、第2ローラシャフト521をガイドレール10に向けて押すように取り付けられている。そして、第2ローラシャフト521は、リブ5022に形成された長孔509を貫通して設けられている。また、第1ローラ51が取り付けられた第1ローラシャフト511は、外側台座501のリブ5011に形成された貫通孔に嵌っている。第1ローラシャフト511は、保持部5Bに対して、常に同じ位置に保持されている。可変部58は、保持部5に設けられている可変部56と同じ構成を有しており、詳細な説明は省略する。
そして、保持部5Bでは、第1ローラ51のガイドレール10の外面101と接触している部分を支点に上部が洗車機本体1の内側に向く方向の力が作用している。そして、可変部58をねじ込むことで、第2ローラシャフト521を押し、第2ローラ52の保持部5に対する相対位置がずれる。このとき、第2ローラ52は、ガイドレール10の内面102を押す。また、第1ローラ51の保持部5に対する位置は、変化しない。これらのことから、可変部58を操作することにより、保持部5は、第1ローラ51とガイドレール10の外面101との接触部を支点として、外側に回転する(図14参照)。
以上のように、第1ローラ51の保持部5に対する位置を固定とし、第2ローラ52の保持部5に対する位置を可変することでも、保持部5をガイドレール10に対して傾けることが可能となる。これにより、トップブラシ4のたわみの修正が可能である。
このように、本発明にかかる洗車機WAでは、保持部5に備えられている可変部を操作することで、トップブラシ4のたわみを修正することが可能である。これにより、たわんだトップブラシ4を用いることによる見た目の悪さ、振動、騒音、回転系全体の劣化(金属疲労、摩耗等)を抑制することができる。さらに、トップブラシ4がたわんだ状態での回転によるモータの劣化を抑制することが可能である。
なお、本実施形態では、トップブラシ4の経年劣化によるたわみの修正を想定しているがこれに限定されない。例えば、洗車機WAの製造直後であっても、トップブラシ4は自重でたわむことがある。この自重によるたわみの修正に利用してもよい。さらには、組み立て時の誤差の修正に利用してもよい。
<トップブラシの揺動規制について>
トップブラシ4は揺動軸C1(ここでは、たわみの修正が不要であるとする)回りに揺動する。トップブラシ4の揺動の規制について図面を参照して説明する。図15は、揺動部、揺動規制部及びトップブラシを模式的に示した図である。また、図16は、揺動部、揺動規制部及びトップブラシが揺動した状態を示す図である。図15及び図16は、図7を模式的に示した図であり、図15及び図16において右が奥側である。図17は、レバー部の変位とレバー部がコイルばねを押す力との関係を示す図である。
本発明の洗車機WAにおいて、トップブラシ4で被洗浄車両CAを洗車するとき、洗車機本体1は、被洗浄車両CAの前側から後側に向かってのみ移動する。すなわち、トップブラシ4は、被洗浄車両CAから奥側に押される。トップブラシ4が奥側に押されると、トップブラシ4を支持する揺動アーム62は下部が奥側に押され、揺動シャフト60が同じ方向に回動する。揺動シャフト60に固定された揺動筒部61に固定されたレバー部63は、上部が手前側に移動するように構成されている。また、トップブラシ4が手前側に押されることはなく、また、レバー部63が揺動制限部72と接触するため、トップブラシ4は、ニュートラル状態NSよりも手前側に移動することはない。
トップブラシ4のシャフト40にぶれがない場合には、トップブラシ4の回転によって、揺動部6を揺動させる力は発生しない、または、略発生しない。しかしながら、トップブラシ4は、製造時の誤差、自重によるたわみ、経年変化等によって、回転軸と中心軸がずれる場合が多い。回転軸と中心軸がずれると、トップブラシ4の回転が振れて、回転時に揺動方向の力が発生する。
図15を参照して、トップブラシ4の回転によって、揺動方向の力が発生した場合を考える。洗車機WAでは、トップブラシ4を揺動可能に支持する揺動部6では、レバー部63の奥側への移動が揺動制限部72によって制限されている。よって、ニュートラル状態NSで、トップブラシ4を回転させて、トップブラシ4が手前側に移動するような力が発生しても、トップブラシ4は、手前側に移動しない。
本発明にかかる揺動規制部7では、コイルばね73を自然長よりも短くなるように圧縮した状態で取り付けられている。つまり、コイルばね73は、予圧Fpで圧縮されており、予圧Fpでレバー部63を押している。
この状態を図17のグラフを利用して説明する。図17では、縦軸にレバー部の変位、横軸にレバー部がコイルばねを押す力を示している。図17に示すように、レバー部63がコイルばね73を押す力をFとすると、F≦Fpの区間(図17では、領域Ar1)では、レバー部63の変位は0である。すなわち、レバー部63がコイルばね73を押す力Fが、予圧Fp以下では、レバー部63は、ニュートラル位置NSから移動しない(図15参照)。このことは、揺動部6の揺動が規制されていることを示しており、トップブラシ4の回転によるブレが抑制されている。
例えば、トップブラシ4の回転数が上がると、揺動部6に対して揺動方向に作用する力が大きくなる。そして、図17において、F>Fpの領域Ar2、すなわち、レバー部63がコイルばね73を押す力Fが、予圧Fpを超えると、レバー部63は変位が発生する。なお、レバー部63が変位すると、コイルばね73が押圧される。そして、一般的にコイルばねの弾性力と変位とは比例関係にある。そのため、図17では、右肩上がりの直線となる。コイルばね73のばね定数をk(>0)とすると、レバー部63の変位xと、レバー部63がコイルばね73を押す力をFとの関係は次のとおりである。
x=(F−Fp)/k
トップブラシ4は揺動方向と直交する軸回りに回転しているため、回転に伴う力は、手前向きと奥向きの両方に発生する。トップブラシ4による揺動方向の力が正確に一定周期で発生している場合、揺動部6、すなわち、レバー部63は振動する。例えば、変位Δxが発生する力でレバー部63がコイルばね73を押しているとすると、洗車機WAにおいて、レバー部63は奥側への変位が制限されているため、レバー部63の変位の幅は、Δxとなる。
ここで、本発明の特徴を説明するために考案した、比較例の揺動を制限する構成について説明する。図18は、比較例のトップブラシの揺動を規制する揺動規制部の構成を示す概略図である。図18に示す構成では、揺動規制部7Jが異なる以外、図15に示す構成と同じである。そのため、実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。また、図17に揺動規制部7Jを用いたときのレバー部63の変位と、レバー部63からコイルばね93に作用する力との関係を破線で示す。
通常、この手の揺動規制機構では、レバーの揺動方向の両側にコイルばねを配置するものが多く採用されている。そこで、図18に示すように、揺動規制部7Jは、レバー部63の手前側と奥側の両方に配置された2個のコイルばね93を備えている。そして、2個コイルばね93の一方は、レバー部63の手前側の面を奥に向かって押し、他方はレバー部63の奥側の面を手前に向かって押している。なお、2個のコイルばね93は、揺動規制部7に用いられるコイルばね73と同じものとし、コイルばね73と同じく予圧Fpで圧縮されて揺動規制部7Jに取り付けられるものとする。
図18に示すように、レバー部63の奥側の面が手前に向かって力Fpで押されており、手前側の面が奥に向かって力Fpで押されている。つまり、レバー部63を含む揺動部6で見ると、コイルばね93によってレバー部63に作用する力は釣り合っている。
そのため、レバー部63を手前向き又は奥向きに移動させる力が発生すると、レバー部63は移動する。つまり、図17に示すように、レバー部63からコイルばね93に作用する力が0のときは、変位が0である(すなわち、ニュートラル状態NS)であるが、レバー部63からコイルばね93に作用する力が0よりも大きくなると、変位も0ではなくなる。つまり、揺動部6のレバー部63の手前側及び奥側の面を予圧したコイルばねで押える構成の場合、トップブラシ4の回転によって揺動方向の力が発生すると、その力が小さくても、揺動が発生する。
図17に示すように、揺動規制部7用いた場合、レバー部63からコイルばね73に作用する力がFp未満の領域Ar1では、揺動部6は揺動しない。一方、揺動規制部7Jを用いた場合では、領域Ar1でも揺動する。すなわち、レバー部63に作用する力が小さい領域Ar1において、本発明の揺動規制部7を用いることで、揺動部6は揺動しない。一方、揺動規制部7Jを用いた場合でも、揺動部6は揺動する。揺動規制部7Jを用いた場合に比べて、揺動時の変位は小さい。
図17に示すように、揺動規制部7を用いた場合と、揺動規制部7Jを用いた場合のレバー部63の変位は、レバー部63からコイルばね73(93)に作用する力がF1のときに同じになり、その後、傾きが同じになっている。これは、揺動規制部7Jの2個のコイルばね93のうち、レバー部63の変動によって、延びる側のコイルばね93が自然長になる、すなわち、予圧が解放される側の予圧が0になるときである。これ以上変位すると、レバー部63は縮む側のコイルばねでのみ支えられるため、揺動規制部7と重なる。
揺動規制部7Jにおいて、レバー部63からコイルばね93にF1以上の力が作用すると、コイルばね93の一方が作用しなくなる。そのため、揺動規制部7Jは、レバー部63からコイルばね93に作用する力が0〜F1までの範囲で利用されるものとすることがほとんどである。なお、Fp、F1等の力は、コイルばねのばね定数、予圧時の圧縮量によって変化する。
また、トップブラシ4の回転による揺動部6の動きは振動となる。そして、揺動規制部7では、揺動制限部72がレバー部63の奥側への移動を制限する。一方で、揺動規制部7Jでは、手前側、奥側両方に移動可能であるため、振動時の移動量は、揺動規制部7を用いるときに比べて大きくなる。
本発明にかかる揺動規制部7を用いることで、2本のコイルばね93で支持していた揺動規制部7Jよりも、振動時の揺動部6の移動量を小さく抑えることが可能である。これにより。トップブラシ4の回転時の見た目の悪さ、異音、振動等を抑制することができる。また、トップブラシ4の回転時の振動を小さくすることができるため、回転系全体の金属疲労等の劣化やモータへの負荷を低減することが可能である。トップブラシ4による洗車時の振動を小さくすることができるため、洗浄むらを抑制し、トップブラシ4の偏摩耗を抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。