JP6724167B2 - ターゲット撮影装置及び極端紫外光生成装置 - Google Patents

ターゲット撮影装置及び極端紫外光生成装置 Download PDF

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Description

本開示は、ターゲット撮影装置及び極端紫外光生成装置に関する。
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、20nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、波長13nm程度の極端紫外(EUV;Extreme Ultra Violet)光を生成するための装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
EUV光生成装置としては、ターゲット物質にレーザ光を照射することによって生成されるプラズマが用いられるLPP(Laser Produced Plasma)式の装置と、放電によって生成されるプラズマが用いられるDPP(Discharge Produced Plasma)式の装置と、軌道放射光が用いられるSR(Synchrotron Radiation)式の装置との3種類の装置が提案されている。
特開2001−242503号公報
概要
本開示の1つの観点に係るターゲット撮影装置は、外部からタイミング信号を受信し、タイミング信号の受信時から第1の遅延時間だけ遅延させたタイミングで第1のトリガ信号を出力する遅延回路と、第1のトリガ信号に基づいて発光する照明光源と、照明光源から発せられた光が観察対象であるターゲットに照射されることにより、ターゲットの影の像を撮影するよう配置された撮影部と、撮影部によって撮影された撮影画像から背景輝度を計測する処理を含む画像処理を行う処理部と、背景輝度に基づいて第1の遅延時間を調整する制御を行う制御部と、を備える。
本開示の他の1つの観点に係る極端紫外光生成装置は、内部でプラズマが生成されるチャンバと、チャンバの内部にプラズマの発生源となるターゲットを供給するターゲット供給部と、ターゲット供給部からチャンバの内部に供給されたターゲットの通過を検出してターゲット通過検出信号を出力するターゲット通過検出装置と、ターゲット通過検出信号を受信し、ターゲット通過検出信号の受信時から第1の遅延時間だけ遅延させたタイミングで第1のトリガ信号を出力する遅延回路と、第1のトリガ信号に基づいて発光する照明光源と、照明光源から発せられた光が観察対象であるターゲットに照射されることにより、ターゲットの影の像を撮影するようチャンバに配置された撮影部と、撮影部によって撮影された撮影画像から背景輝度を計測する処理を含む画像処理を行う処理部と、背景輝度に基づいて第1の遅延時間を調整する制御を行う制御部と、を備え、ターゲット供給部からチャンバの内部に供給されたターゲットにレーザ光を照射することによりターゲットをプラズマ化して極端紫外光を生成する。
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1は、例示的なLPP式のEUV光生成システムの構成を概略的に示す図である。 図2は、ターゲット撮影装置を含むEUV光生成装置の構成を概略的に示す図である。 図3は、ターゲット画像計測装置における照明部の第1構成例を模式的に示す図である。 図4は、ターゲット画像計測装置における照明部の第2構成例を模式的に示す図である。 図5は、ターゲット画像計測装置のタイミングチャートである。 図6は、フラッシュランプの発光タイミングの変化を例示的に示したグラフである。 図7は、フラッシュランプの経年劣化や状態変化等に起因して撮影画像の背景輝度が低下する様子を示したグラフである。 図8は、FLトリガの遅延時間TFLの設定が不適切な状態となる場合の例を示したタイミングチャートである。 図9は、フラッシュランプの発光状態に応じて画像センサによって撮影される撮影画像のイメージ図である。 図10は、図9に示した各画像A〜Cにおいて破線で示した水平方向の信号強度を示すラインプロファイルを示すグラフである。 図11は、第1実施形態に係るターゲット撮影装置を含むEUV光生成装置の構成を概略的に示す図である。 図12は、画像センサから得られる撮影画像の画像データのイメージを例示的に示す図である。 図13は、図12に示した撮影画像における輝度ヒストグラムを示すグラフである。 図14は、撮影画像の画像領域内に設定される複数の計測領域の例を示す図である。 図15は、撮影画像の例を示す図である。 図16は、撮影画像の他の例を示す図である。 図17は、第1実施形態に係るターゲット撮影装置におけるTFL調整処理のフローチャートである。 図18は、画像データ解析処理のフローチャートである。 図19は、背景輝度取得aの処理内容を示すフローチャートである。 図20は、背景輝度取得bの処理内容を示すフローチャートである。 図21は、背景輝度取得cの処理内容を示すフローチャートである。 図22は、背景輝度取得dの処理内容を示すフローチャートである。 図23は、背景輝度取得eの処理内容を示すフローチャートである。 図24は、背景輝度取得a〜eのそれぞれのメリット及びデメリットをまとめた図表である。 図25は、TFL最適化の処理内容を示すフローチャートである。 図26は、第2実施形態に係るターゲット撮影装置を含んだEUV光生成装置の構成を例示的に示した構成図である。 図27は、第2実施形態におけるFL放電電圧変更の処理を含むTFL調整処理のフローチャートである。 図28は、FL放電電圧変更の処理内容を示すフローチャートである。 図29は、放電電圧と最適遅延時間の相関を取得する処理の内容を示すフローチャートである。 図30は、ターゲットにピコ秒オーダーのパルス幅を有するプリパルスレーザ光の照射開始からピコ秒オーダーの時間が経過した時点において推定されるターゲットの状態を模式的に示す図である。 図31は、ターゲットにピコ秒オーダーのパルス幅を有するプリパルスレーザ光の照射開始からナノ秒オーダーの時間が経過した時点において推定されるターゲットの状態を模式的に示す図である。 図32は、ターゲットにピコ秒オーダーのパルス幅を有するプリパルスレーザ光の照射開始から約1μsの時間が経過した時点における拡散ターゲットの状態を模式的に示す図である。
実施形態
−目次−
1.極端紫外光生成システムの全体説明
1.1 構成
1.2 動作
2.用語の説明
3.ターゲット撮影装置を含むEUV光生成装置の説明
3.1 構成
3.2 動作
4.フラッシュランプの配置形態
4.1 第1構成例
4.2 動作
4.3 第2構成例
4.4 動作
5.ターゲット画像計測装置のトリガ関係の説明
6.課題
6.1 第1の課題
6.2 第2の課題
7.第1実施形態
7.1 構成
7.2 動作
7.3 TFL調整の実施タイミングについて
7.4 TFL調整処理アルゴリズムの例
7.5 効果
8.第2実施形態
8.1 構成
8.2 動作
8.3 効果
9.拡散ターゲットの計測について
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
1.極端紫外光生成システムの全体説明
1.1 構成
図1に、例示的なLPP式のEUV光生成システム10の構成を概略的に示す。EUV光生成装置12は、少なくとも1つのレーザ装置14と共に用いられる場合がある。本願においては、EUV光生成装置12及びレーザ装置14を含むシステムを、EUV光生成システム10と称する。図1に示し、かつ、以下に詳細に説明するように、EUV光生成装置12は、チャンバ16と、ターゲット供給部18とを含む。
チャンバ16は、密閉可能な容器である。ターゲット供給部18は、ターゲット物質をチャンバ16内部に供給するよう構成され、例えば、チャンバ16の壁を貫通するように取り付けられる。ターゲット物質の材料は、スズ、テルビウム、ガドリニウム、リチウム、キセノン、又は、それらの内のいずれか2つ以上の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。
チャンバ16の壁には、少なくとも1つの貫通孔が設けられている。その貫通孔は、ウインドウ20によって塞がれ、ウインドウ20をレーザ装置14から出力されるパルスレーザ光22が透過する。チャンバ16の内部には、例えば、回転楕円面形状の反射面を有するEUV光集光ミラー24が配置される。EUV光集光ミラー24は、第1の焦点及び第2の焦点を有する。EUV光集光ミラー24の表面には、例えば、モリブデンとシリコンとが交互に積層された多層反射膜が形成される。EUV光集光ミラー24は、例えば、その第1の焦点がプラズマ生成領域26に位置し、その第2の焦点が中間集光点(IF;Intermediate Focusing point)28に位置するように配置される。EUV光集光ミラー24の中央部には貫通孔30が設けられ、貫通孔30をパルスレーザ光23が通過する。
EUV光生成装置12は、制御部40と、ターゲットセンサ42等を含む。ターゲットセンサ42は、ターゲット44の存在、軌跡、位置、及び速度のうちいずれか、又は複数を検出するよう構成される。ターゲットセンサ42は、撮像機能を備えてもよい。
また、EUV光生成装置12は、チャンバ16の内部と露光装置46の内部とを連通させる接続部48を含む。接続部48内部には、アパーチャ50が形成された壁52が設けられる。壁52は、そのアパーチャ50がEUV光集光ミラー24の第2の焦点位置に位置するように配置される。
さらに、EUV光生成装置12は、レーザ光伝送装置54、レーザ光集光ミラー56、ターゲット44を回収するためのターゲット回収部58等を含む。レーザ光伝送装置54は、レーザ光の伝送状態を規定するための光学素子と、この光学素子の位置、姿勢等を調整するためのアクチュエータとを備える。ターゲット回収部58は、チャンバ16内に出力されたターゲット44が進行する方向の延長線上に配置される。
レーザ装置14は、MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)システムであってよい。レーザ装置14は、図示せぬマスターオシレータと、図示せぬ光アイソレータと、複数台の図示せぬCOレーザ増幅器とを含んで構成され得る。マスターオシレータには固体レーザを採用することができる。マスターオシレータが出力するレーザ光の波長は、例えば10.59μmであり、パルス発振の繰り返し周波数は、例えば100kHzである。
1.2 動作
図1を参照して、例示的なLPP式のEUV光生成システム10の動作を説明する。レーザ装置14から出力されたパルスレーザ光21は、レーザ光伝送装置54を経て、パルスレーザ光22としてウインドウ20を透過してチャンバ16内に入射する。パルスレーザ光22は、少なくとも1つのレーザ光経路に沿ってチャンバ16内を進み、レーザ光集光ミラー56で反射されて、パルスレーザ光23として少なくとも1つのターゲット44に照射される。
ターゲット供給部18は、ターゲット物質によって形成されたターゲット44をチャンバ16内部のプラズマ生成領域26に向けて出力するよう構成される。ターゲット44には、パルスレーザ光23に含まれる少なくとも1つのパルスが照射される。パルスレーザ光が照射されたターゲット44はプラズマ化し、そのプラズマから放射光60が放射される。放射光60に含まれるEUV光62は、EUV光集光ミラー24によって選択的に反射される。EUV光集光ミラー24によって反射されたEUV光62は、中間集光点28で集光され、露光装置46に出力さる。なお、1つのターゲット44に、パルスレーザ光23に含まれる複数のパルスが照射されてもよい。
制御部40は、EUV光生成システム10全体の制御を統括するよう構成される。制御部40は、ターゲットセンサ42の検出結果を処理するよう構成される。ターゲットセンサ42の検出結果に基づいて、制御部40は、例えば、ターゲット44が出力されるタイミング、ターゲット44の出力方向等を制御するよう構成されてもよい。さらに、制御部40は、例えば、レーザ装置14の発振タイミング、パルスレーザ光22の進行方向、パルスレーザ光23の集光位置等を制御するよう構成されてもよい。上述の様々な制御は単なる例示に過ぎず、必要に応じて他の制御が追加されてもよい。
本開示において、制御部40その他の制御装置は、1台又は複数台のコンピュータのハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現することが可能である。ソフトウェアはプログラムと同義である。プログラマブルコントローラはコンピュータの概念に含まれる。
また、複数の制御装置の機能を1台の制御装置で実現することも可能である。さらに本開示において、制御部40その他の制御装置は、ローカルエリアネットワークやインターネットといった通信ネットワークを介して互いに接続されてもよい。分散コンピューティング環境において、プログラムユニットは、ローカル及びリモート両方のメモリストレージデバイスに保存されてもよい。
2.用語の説明
「パルスレーザ光」は、複数のパルスを含むレーザ光を意味し得る。
「レーザ光」は、パルスレーザ光に限らずレーザ光一般を意味し得る。
「ターゲット」は、チャンバに導入されたレーザ光の被照射物である。レーザ光が照射されたターゲットは、プラズマ化してEUV光を放射する。
「ドロップレット」は、チャンバ内へ供給されたターゲットの一形態である。ドロップレットは、ドロップレット状のターゲットと同義である。ドロップレットは、溶融したターゲット物質の表面張力によってほぼ球状となったターゲットを意味し得る。
「拡散ターゲット」は、ターゲットにパルスレーザ光が照射されたことにより微細な粒子等に拡散したターゲットを意味する。ターゲット物質の微細な粒子群を「ミスト」という場合がある。拡散ターゲットにはプラズマが含まれる場合がある。拡散ターゲット(ミスト)は、ターゲットの一形態である。
「プラズマ光」は、プラズマ化したターゲットから放射された放射光である。当該放射光にはEUV光が含まれている。
「EUV光」という表記は、「極端紫外光」の略語表記である。
3.ターゲット撮影装置を含むEUV光生成装置の説明
3.1 構成
図2は、ターゲット撮影装置を含むEUV光生成装置の構成を概略的に示す図である。EUV光生成装置12は、ターゲット通過検出装置70と、ターゲット画像計測装置90とを備えている。ターゲット通過検出装置70とターゲット画像計測装置90は、チャンバ16に搭載される。
ターゲット通過検出装置70は、照明部71と計測部81とを含んで構成される。照明部71は、照明光源72と、照明光学系74と、光学フィルタ76とを含んで構成される。照明光源72は単色光のレーザ光源又は複数波長を出射するランプでもよい。また照明光源72は光ファイバを含んでもよく、光ファイバは照明光学系74に接続される。照明光学系74は集光レンズを含んで構成される。照明部71は、ウインドウ78を介してチャンバ16の外側に配置される。ウインドウ78はチャンバ16の壁に取り付けられている。ウインドウ78は、照明光学系74の構成要素に含まれてもよい。
計測部81は、光学フィルタ82と、計測光学系84と、光センサ86とを含んで構成される。光センサ86は、1つ若しくは複数の受光面を含む。光センサ86は、フォトダイオード、フォトダイオードアレイ、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管、マルチピクセルフォトンカウンター、及びイメージインテンシファイアのうちのいずれかによって構成することができる。光センサ86は受光量に応じた電気信号を出力する。計測光学系84は、照明光源72からの照明光により照明されたターゲットの像を光センサ86の素子上に転写するレンズを含んで構成される。
計測部81は、ウインドウ88を介してチャンバ16の外側に配置される。ウインドウ88は、ウインドウ78と対向してチャンバ16の壁に取り付けられている。ウインドウ88は、計測光学系84の構成要素に含まれてもよい。照明部71と計測部81は、ターゲットの通過位置を挟んで互いに対向するようにチャンバ16に取り付けられる。
ターゲット画像計測装置90は、照明部91と計測部101とを含んで構成される。照明部91は、照明光源としてのフラッシュランプ92と、照明光学系94とを含んで構成される。照明部91は、ウインドウ98を介してチャンバ16の外側に配置される。ウインドウ98はチャンバ16の壁に取り付けられている。照明光学系94には、コリメートレンズが用いられる。
計測部101は、光学フィルタ102と、結像光学系104と、シャッタ105と、転写光学系106と、画像センサ107と、を含んで構成される。画像センサ107として、例えば、CCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサを用いることができる。計測部101は、ウインドウ108を介してチャンバ16の外側に配置される。ウインドウ108は、ウインドウ98と対向してチャンバ16の壁に取り付けられている。照明部91と計測部101は、ターゲットの通過位置を挟んで互いに対向するようにチャンバ16に取り付けられる。
ウインドウ98は、フラッシュランプ92から発せられた光をターゲットに向けて出射する光出射ポートの役割を果たす。ウインドウ98は「第1のウインドウ」の一形態に相当する。ウインドウ108はターゲットの周辺を通過した光を計測部101に導入する光入射ポートの役割を果たす。ウインドウ108は「第2のウインドウ」の一形態に相当する。
制御部40は、処理部110と、遅延回路112とを含む。処理部110は、画像センサ107によって撮影された画像の画像データを処理する。遅延回路112は、ターゲット通過検出装置70からのターゲット通過検出信号を受信し、ターゲット通過検出信号の受信に基づいてFLトリガ、シャッタトリガ、撮像トリガ、及びドライブレーザ出力トリガなど各種のトリガ信号を生成する。FLの表記は「フラッシュランプ」を表す。
照明部91のウインドウ98と、計測部101のウインドウ108の対向方向は、ドロップレットの進行経路であるドロップレット軌道と直交してもよいし、ドロップレット軌道と非直交であってもよい。
EUV光生成装置12は、ドライブレーザ生成部114と共に用いられる。ドライブレーザ生成部114は、図1で説明したレーザ装置14及びレーザ光伝送装置54を含んだ構成に相当する。なお、図2では、図1に示したレーザ光伝送装置54、レーザ光集光ミラー56、及びEUV光集光ミラー24等の図示を省略した。ドライブレーザ生成部114は、複数台のレーザ装置を含んで構成されてもよい。本例のドライブレーザ生成部114は、図示せぬプリパルスレーザ装置及びメインパルスレーザ装置を含んで構成される。
チャンバ16には、図示せぬ排気装置と、図示せぬ圧力センサとが設けられている。また、チャンバ16は図示せぬガス供給装置と接続される。
ターゲット供給部18の詳細な構成は図示されていないが、ターゲット供給部18は、ターゲット物質を貯蔵する図示せぬタンクと、ターゲット物質を出力するノズル孔を含むノズルと、ノズルに配置された図示せぬピエゾ素子と、を含む。また、タンクの外側側面部には図示せぬヒータと図示せぬ温度センサとが配置される。さらに、EUV光生成装置12は、ターゲット物質を貯蔵するタンク内の圧力を調節する図示せぬ圧力調節器を備えている。ターゲット供給部18のノズルは、溶融したターゲット物質をチャンバ16内へジェット状に噴出するような形状で形成されている。ノズル孔から出力させるターゲット物質の一例として、液体スズを採用し得る。ノズルの中心軸方向の延長線上には、チャンバ16の内部にあるプラズマ生成領域26が位置する。
3.2 動作
図2において、方向に関する説明の便宜上、XYZ直交座標軸を導入する。ターゲット供給部18からターゲット物質のドロップレットを出力する方向をY軸の方向とする。チャンバ16から露光装置46(図1参照)に向かってEUV光を導出する方向をX軸の方向とし、図2の紙面に垂直な方向をZ軸の方向とする。
制御部40は、チャンバ16に取り付けられている図示せぬ圧力センサの検出値に基づいて、チャンバ16内の圧力が所定の範囲内となるように、図示せぬ排気装置による排気及びガス供給装置からのガス供給を制御する。チャンバ16内の圧力の所定の範囲とは、例えば、数パスカル[Pa]から数百パスカル[Pa]の間の値である。
ターゲット供給部18は、例えば、コンティニュアスジェット方式によりドロップレット116を形成する。コンティニュアスジェット方式では、ノズルを振動させて、ノズル孔からジェット状に噴出したターゲット物質の流れに定在波を与え、ターゲット物質を周期的に分離する。分離されたターゲット物質は、自己の表面張力によって自由界面を形成してドロップレット116を形成し得る。
制御部40は、ターゲット供給部18のタンクに取り付けられているヒータを制御することにより、タンク内のターゲット物質を融点以上の所定の温度まで加熱する。ターゲット物質がスズである場合、制御部40はヒータを制御することにより、タンク内のスズを融点以上の250℃から290℃の温度範囲の所定の温度まで加熱してタンク内のスズを温調する。スズの融点は232℃である。また、制御部40は、タンク内の圧力がノズル孔から所定の速度で液体スズのジェットを出力し得る圧力となるように圧力調節器を制御する。
次に制御部40は、ドロップレット116が生成するように、ピエゾ素子に所定の波形の電圧を供給する信号を送信する。ピエゾ素子に所定の波形の電圧が供給されることによりピエゾ素子が振動する。その結果、ノズル孔から出力される溶融スズのジェットに、ノズル孔の振動によって規則的な擾乱が与えられる。これにより、ジェット状の溶融スズがドロップレット116に分断され、均一な体積のドロップレット116が生成され得る。
ドライブレーザ生成部114は、プリパルスレーザ光を出力するよう構成されたプリパルスレーザ装置と、メインパルスレーザ光を出力するよう構成されたメインパルスレーザ装置とを含んで構成される。本実施形態におけるLPP式のEUV光生成装置12では、ドロップレット状のターゲットにプリパルスレーザ光を照射してターゲットを拡散させ、拡散ターゲットを形成した後、この拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射する。このように、拡散ターゲットにメインパルスレーザ光を照射すれば、ターゲット物質が効率良くプラズマ化され得る。これによれば、パルスレーザ光のエネルギーからEUV光のエネルギーへの変換効率(Conversion Efficiency:CE)が向上し得る。
拡散ターゲットを形成するためのプリパルスレーザ光は、各パルスのパルス幅が1ナノ秒[ns]未満、好ましくは500ピコ秒[ps]未満、さらに好ましくは50ピコ秒[ps]未満の短パルスとされる。さらに、プリパルスレーザ光は、各パルスのフルーエンスが、メインパルスレーザ光の各パルスのフルーエンス以下で、かつ、6.5J/cm以上、好ましくは30J/cm以上、さらに好ましくは45J/cm以上とされる。
このような構成によれば、プリパルスレーザ光の各パルスのパルス幅を短くすることにより、ターゲットを細かい粒子状に破壊して拡散させ得る。これにより、拡散したターゲットにメインパルスレーザ光を照射したときに、ターゲットが効率良くプラズマ化され、CEが向上し得る。
なお、メインパルスレーザ光の照射に先行して複数のプリパルスレーザ光をターゲットに照射する構成を採用してもよい。
ターゲット回収部58は、パルスレーザ光23が照射されずにプラズマ生成領域26を通過したドロップレット116や、パルスレーザ光23の照射によっても拡散しなかったドロップレットの一部分を回収する。
ターゲット通過検出装置70の照明部71は、ターゲット供給部18からチャンバ16内に導入されたターゲットを照明する。ターゲットが所定の位置を通過すると計測部81に受光される光強度が低下する。ターゲットの通過に伴う光強度の変化は、光センサ86により検出される。光センサ86は、ターゲットの通過タイミングを示すターゲット検出信号を制御部40に出力する。
制御部40は、ターゲット検出信号が所定の閾値電圧を下回ったタイミングでターゲット通過検出信号を生成する。なお、計測部81においてターゲット通過検出信号を生成し、計測部81から制御部40にターゲット通過検出信号が出力されてもよい。すなわち、ターゲット通過検出装置70は、光センサ86によってターゲットの通過を検出し、制御部40にターゲット通過検出信号を送信してもよい。
遅延回路112は、受信したターゲット通過検出信号に対して、フラッシュランプ92、シャッタ105、画像センサ107及びドライブレーザ生成部114の各装置に対してそれぞれ予め設定された遅延時間を付与して、装置ごとのトリガ信号を出力する。フラッシュランプ92、シャッタ105、画像センサ107及びドライブレーザ生成部114の各装置について、それぞれ設定された装置ごとの遅延時間は、ターゲットがプラズマ生成領域26の指定地点に到達するまでの時間から、トリガ信号を受信する各装置の内部遅延時間及び伝送時間を差し引いて定める。
フラッシュランプ92に与えられるトリガ信号を「FLトリガ」という。シャッタ105に与えられるトリガ信号を「シャッタトリガ」という。画像センサ107に与えられるトリガ信号を「撮像トリガ」という。ドライブレーザ生成部114に与えられるトリガ信号を「ドライブレーザ出力トリガ」という。
遅延回路112の働きにより、フラッシュランプ92の発光、シャッタ105の開動作、及び画像センサ107の露光(撮像動作)が同期する。すなわち、遅延回路112の働きにより、FLトリガに基づいてフラッシュランプ92が発光したタイミングでシャッタトリガに基づいてシャッタ105が開き、撮像トリガによって画像センサ107が露光を行う。
その結果として、ターゲット画像計測装置90は、プラズマ生成領域26付近のターゲットを撮像する。画像センサ107を介して取得された画像データは、制御部40の処理部110に送られ、処理部110において画像処理される。
4.フラッシュランプの配置形態
4.1 第1構成例
図3は、ターゲット画像計測装置90における照明部91の第1構成例を模式的に示す図である。図3に例示した照明部91は、ケース96内にフラッシュランプ92と照明光学系94と収容され、チャンバ壁16Aにケース96が直接取り付けられている。チャンバ壁16Aは、チャンバ16の壁の一部である。
4.2 動作
図3に示すように、フラッシュランプ92は、照明光学系94の近傍に配置される。チャンバ壁16Aに直付けされたケース96に収容されているフラッシュランプ92から発せられた照明光は、照明光学系94及びウインドウ98を介してりプラズマ生成領域26の付近に照射される。
4.3 第2構成例
図4は、ターゲット画像計測装置90における照明部91の第2構成例を示す図である。図4に例示する照明部91のフラッシュランプ92は、照明光学系94の近傍に配置せず、照明光学系94から十分な距離を隔てた遠方に配置される。また、照明部91は、フラッシュランプ92から発せられた照明光を照明光学系94へと導く光ファイバ93を備えている。
4.4 動作
図4に示したフラッシュランプ92から発せられた照明光は、光ファイバ93を用いてケース96内の照明光学系94へ伝送される。照明光は、光ファイバ伝送によりチャンバ付近で照明光学系94によりコリメートされ、プラズマ生成領域26の付近に照射される。なお、光ファイバ93に代えて、又は、これと組み合わせて、ミラーを用い、照明光を伝送する光伝送光路を採用してもよい。図4で例示したとおり、フラッシュランプ92は、チャンバ16から離れた位置に置くことができる。
5.ターゲット画像計測装置のトリガ関係の説明
図5は、ターゲット画像計測装置のタイミングチャートである。ターゲット通過検出信号は、撮像トリガ、シャッタトリガ、及びFLトリガの各トリガ信号のタイミングの基準となるタイミング信号である。遅延回路112は、ターゲット通過検出信号の受信時からそれぞれ必要な遅延時間を与えて、撮像トリガ、シャッタトリガ及びFLトリガの各トリガ信号を出力する。
遅延回路112は、ターゲット通過検出信号の受信時から遅延時間Tccdだけ遅延させた撮像トリガを生成し、撮像トリガを画像センサ107に送信する。撮像トリガがONとなる時間の長さは、例えば、概ね1ミリ秒である。
遅延回路112は、ターゲット通過検出信号の受信時から遅延時間Tstrだけ遅延させたシャッタトリガを生成し、シャッタトリガをシャッタ105に送信する。シャッタトリガがONとなる時間の長さは、例えば、概ね20ナノ秒である。遅延回路112は、ターゲット通過検出信号の受信時から遅延時間TFLだけ遅延させたFLトリガを生成し、FLトリガをフラッシュランプ92に送信する。FLトリガがONとなる時間の長さは、例えば、概ね10マイクロ秒である。
図5における「FL発光」は、FLトリガが入力されたフラッシュランプ92の発光強度を示している。フラッシュランプ92の発光強度は、フラッシュ発光による照明光の輝度を示している。フラッシュランプ92は、高輝度パルス光源であり、トリガ入力から少し遅れて発光し始め、トリガ入力タイミングからTemitの時間で発光強度がピークに達し、その後、発光強度が減衰する。
図5は、FLトリガの遅延時間TFLの設定が適切な状態の例を示している。FLトリガの遅延時間TFLの設定が適切な状態である場合、フラッシュランプ92の発光ピークのタイミングがシャッタトリガのタイミングに概ね一致する。図5中、FL発光におけるシャッタトリガのON期間に重なるハッチング部Hの面積(積分値)が画像センサ107によって撮影される画像の背景輝度に相当する。
6.課題
6.1 第1の課題
フラッシュランプ92を長期間にわたって使用していると、フラッシュランプ92の放電電極の損耗や、封入ガスの劣化、電子回路部品の劣化等によって、フラッシュランプ92のトリガ入力から発光までの時間差が変化する。
図6は、フラッシュランプの発光タイミングの変化を例示的に示したグラフである。横軸は、FLトリガの入力時からの時間差(経過時間)を示しており、単位はナノ秒[ns]である。横軸の原点はトリガ入力時である。縦軸はフラッシュランプの発光強度を示している。図6において、Date.Xで示した発光波形は、ある特定の日時Xにおいて計測されたフラッシュランプの発光状態を示している。例えば、Date.Xの発光波形は、フラッシュランプの初期性能を示している。図6において、Date.Zで示した発光波形は、日時Xから十分に長期間経過した特定の日時Zにおいて計測されたフラッシュランプの発光状態を示している。フラッシュランプ92の長期間の使用に伴い、フラッシュランプ92のトリガ入力から発光までの時間差が長くなる。
従来、フラッシュランプ92へのトリガ入力のタイミングは、装置の使用を開始する初期の段階で、計測部101における撮像系の露光タイミングと同期するように、つまり、露光時間内の積分光量(撮影画像の背景光量)が最大化するように、調整される。そして、その後は、フラッシュランプ92へのトリガ入力のタイミングの調整は行われない。
したがって、Date.Xの発光波形における発光ピークのタイミングと、シャッタトリガのタイミングとを概ね一致させるよう設定された装置状態において、Date.Zのような発光波形になると、シャッタトリガのON期間に照射される照明光の光量が低下する。
すなわち、フラッシュランプ92の経年劣化や状態変化によってフラッシュランプ92のトリガ入力から発光までの時間が変化することにより、撮像系の露光タイミングとの同期が崩れる。
図7は、フラッシュランプ92の経年劣化や状態変化等に起因して撮影画像の背景輝度が低下する様子を示したグラフである。図7の横軸は、時間を表しており、単位は月(month)である。縦軸は背景輝度を示している。図7中の「X」は、図6のDate.Xの日付けを表し、図7の「Z」は、図6のDate.Zの日付けを表す。図7中の「Y」は、XとYの間の特定の日付けを指す。図7に示すように、フラッシュランプ92の長期間の使用により、背景輝度が低下していく。
図8は、FLトリガの遅延時間TFLの設定が不適切な状態となる場合の例を示している。図8の最下段に示したFL発光の波形のうち、符号Aで示した発光状態は、図5に示した発光状態と同じ波形であり、発光ピークがシャッタトリガのタイミングと概ね一致している。
これに対し、符号Bと符号Cで示したそれぞれの波形は、FLトリガのトリガ入力タイミングからフラッシュランプ92の発光までの時間差が長くなり、フラッシュランプ92の発光ピークとシャッタトリガのタイミングがずれている状態を示している。
図5において、トリガ入力のタイミングから発光のピークに達するまでの時間差を発光ピーク到達時間Temitとすると、図5におけるFL発光のTemitが、フラッシュランプ92の劣化等により、例えば、図8に示すTemit−Bに変化する。
この場合、例えば、符号Bの状態では、シャッタトリガのON期間と重なるハッチング部Hの面積が図5で説明したハッチング部Hの面積よりも減少し、撮影画像の背景輝度が低下する。また、符号Cの状態になると、シャッタトリガのON期間と、FL発光期間とがずれてしまい、撮影画像の背景輝度が極端に低下する。
図9は、FLトリガの入力からFL発光までの時間差が、図8のA、B、及びCのそれぞれの状態である場合に、画像センサ107によって撮影される撮影画像のイメージ図である。図9の最左に示した画像Aは、FLトリガの入力からFL発光までの時間差が、図6において「A」で示した状態である場合に、画像センサ107によって撮影される撮影画像のイメージ図である。図9の中央に示した画像Bは、FLトリガの入力からFL発光までの時間差が、図8の「B」で示した状態である場合に、画像センサ107によって撮影される撮影画像のイメージ図である。図9の最右に示した画像Cは、FLトリガの入力からFL発光までの時間差が、図8の「C」で示した状態である場合に、画像センサ107によって撮影される撮影画像のイメージ図である。
フラッシュランプ92の長期間の使用により、FLトリガ入力から発光までの時間差が、図8のA→B→Cのように変化したとすると、画像センサ107によって撮像される画像のイメージは、図9の画像A→画像B→画像Cのように次第に背景が暗くなる。画像A、画像B及び画像Cの各画像における黒丸は、ドロップレットの影である。
各画像A〜Cにおいて破線で示した水平方向の信号強度を示すラインプロファイルは、図10のようになる。図10の横軸は水平方向の位置を表し、縦軸は信号強度、すなわち輝度を表す。なお、信号強度は、画像データにおける画素のカウント値、つまり、デジタル信号値で表すことができる。
図10中「A」で示したラインプロファイルは、図9の画像Aにおける破線aで示したラインの断面プロファイルである。図10中「B」で示したラインプロファイルは、図9の画像Bにおける破線bで示したラインの断面プロファイルである。図10中「C」で示したラインプロファイルは、図9の画像Cにおける破線cで示したラインの断面プロファイルである。図10に示す各ラインプロファイルにおいて、ターゲットの影の部分は、背景部分に比べて信号強度が低くなる。背景部分の信号の変動は熱ノイズによるものである。画像Aのように背景が明るい撮影画像の場合、ターゲットの影と背景との明暗の差が大きく、ターゲットの影に相当するターゲット信号を適切に判別できる。ターゲット信号とは、ターゲットの影の部分を捉えた信号である。
一方、画像Bのように、背景輝度が低い条件では、ターゲット信号とノイズの判別が困難になる。さらに、画像Cのように背景輝度が低下すると、ターゲットであるのか背景のノイズであるのかを判別不能なものとなり得る。つまり、背景輝度が低下すると、信号レベルが低下し、ターゲット信号に対するノイズの影響が相対的に大きくなる。その結果、撮影画像に基づくターゲットの位置や形状などの計測の誤差が拡大し、最悪の場合には計測不能に陥る。
上述のように、フラッシュランプ92の経年劣化や状態変化によって、露光タイミングとの同期が崩れ、露光時間内の積分光量が低下することにより、ターゲットの影と背景とのコントラストが低下して、ターゲットの計測精度が低下する。
6.2 第2の課題
また、第2の課題として、フラッシュランプを長期に使用した場合、フラッシュランプの発光光量の総量も経年劣化で低下する。フラッシュランプの発光光量自体が低下することにより、図7及び図8で説明したような現象が発生し得る。その結果として、上述した第1の課題と同様に、撮影画像に基づくターゲットの位置や形状などの計測の誤差拡大や最悪の場合には計測不能に陥るおそれがある。第1の課題と第2の課題は複合的に発生し得る。
7.第1実施形態
7.1 構成
図11は、第1実施形態に係るターゲット撮影装置を含むEUV光生成装置の構成を概略的に示す図である。制御部40は、処理部110による撮影画像の背景輝度計測の結果を用いて、遅延回路112の遅延時間を調整する制御を行う。
7.2 動作
処理部110は、画像センサ107から得られる撮影画像の画像データを基に、撮影画像の背景輝度を計測する。図12に、撮影画像の画像データのイメージを例示的に示す。撮影画像には、ドロップレットの影が映っている。このような撮影画像から、背景輝度を計測する方法として、例えば、次のような計測方法a〜cを採用し得る。
計測方法a:撮影画像の画像内全体の平均カウント値を背景輝度として採用する。カウント値とは画素のデジタル信号値を指す。カウント値は、画素が受けた光の強さを所定の階調数の段階における数値として表され、輝度が高いほどカウント値は大きくなる。例えば、所定の階調数が256階調(8ビット)である場合、カウント値は、0から255の範囲のいずれかの数値で表される。
計測方法b:撮影画像の画像内全体の中の最大カウント値を背景輝度として採用する。
計測方法c:撮影画像の画像内全体のカウント値のヒストグラムのピークに対応するカウント値を背景輝度として採用する。
図13は、図12に示した撮影画像における輝度ヒストグラムを示す。横軸は、撮影画像の各ピクセルのカウント値であり、縦軸は該当ピクセル数を表す。図中の「a」の矢印は、計測方法aによって取得する背景輝度のヒストグラム上の位置を示している。図中の「b」の矢印は、計測方法bによって取得する背景輝度のヒストグラム上の位置を示している。図中の「c」の矢印は、計測方法cによって取得する背景輝度のヒストグラム上の位置を示している。
また、撮影画像から背景輝度を計測する他の方法として、次のような計測方法d、eを採用し得る。
計測方法d:撮影画像の画像領域内に予め複数の計測領域を設定しておき、複数の計測領域のそれぞれの平均カウント値の平均値を背景輝度として採用する。
例えば、図14に示すように、撮影画像の画像領域内に予め4つの計測領域W1、W2、W3、W4を設定しておく。図14には、各計測領域W1、W2、W3、W4の境界を規定する四角形の計測枠が示されている。それぞれの計測枠内でのみ平均値(平均カウント値)を計算し、計測領域W1、W2、W3、W4ごとの4つの平均カウント値の平均値を背景輝度として採用する。複数の計測領域は、Y方向の位置が異なり、かつX方向の位置が異なる少なくとも2つの計測領域を含むことが好ましい。
計測方法e:撮影画像の画像領域内に予め複数の計測領域を設定しておき、複数の計測領域のうち、ターゲットが含まれた計測領域を除いた残りの計測領域のそれぞれの平均カウント値の平均値を背景輝度として採用する。
図15は、撮影画像の例である。図15の撮影画像は、画面の上から下に向かってターゲットが進行する向きで撮影が行われたものである。図15の例では、予めの設定した複数の計測領域W1〜W4のうち、ターゲットを含む計測領域W2及び計測領域W4については、背景輝度の計算から除外する。この場合、残りの計測領域W1と計測領域W3のそれぞれについて平均カウント値を求め、それら計測領域W1、W3ごとの2つの平均カウント値の平均値を背景輝度として採用する。
各計測領域にターゲットが含まれるか否かの判定は、例えば、次の2つの方法のいずれか、又は両方の組み合わせで行うことができる。
[ターゲットの有無の判定方法1]ターゲットの供給位置の情報に基づき判定する。制御部40は、ターゲット供給部18から出力するターゲットの供給位置の情報を保持している。ターゲット供給部18は、図示せぬ二次元ステージを介してチャンバ16に取り付けられている。制御部40は、図示せぬ二次元ステージを制御してターゲットの供給位置を制御する。制御部40は、二次元ステージの制御情報として、ターゲットの供給位置を保持している。制御部40は、このターゲット供給位置の情報を基に、撮影画像内におけるターゲットの位置を判定し得る。
[ターゲットの有無の判定方法2]撮影画像における各計測領域内の最低輝度の情報からターゲットの有無を判定できる。既述のとおり、撮影画像においてターゲットは影として映る。影の部分は輝度が低くなるため、計測領域内の画素の最低輝度が予め定められた規定の値よりも低い値である場合には、計測領域内にターゲットが含まれていると判定できる。
図16は、撮影画像の他の例である。図16に示した撮影画像は、画面の左から右に向かってターゲットが進行する向きで撮影が行われたものである。画像センサ107の向きによって、図16のような撮影画像になる場合があり得る。図16の場合、撮影画像の画像領域内に予めの設定した複数の計測領域W1、W2、W3、W4のうち、ターゲットを含む計測領域W3及び計測領域W4については、背景輝度の計算から除外する。この場合、計測領域W1と計測領域W2のそれぞれについて平均カウント値を求め、それら計測領域ごとの2つの平均カウント値の平均値を背景輝度として採用する。
計測方法d、又は計測方法eによれば、撮影画像内において背景輝度を計算するための計測領域を予め固定して限定することにより、計測方法a〜cと比較して、演算量が少なく、高速に背景輝度を取得することができる。
また、計測方法eで説明したように、ターゲットが含まれる計測領域を演算の対象から除外することによって、ターゲットの状態による平均輝度のばらつきが抑制される。
図14〜図16で例示したように、撮影画像の画像領域内に複数の計測領域を予め設定しておくことにより、ターゲットがいずれかの計測領域に含まれた場合に計測不能となることを防止することができる。
7.3 TFL調整の実施タイミングについて
背景輝度計測は、例えば、ターゲット計測を行うごとに毎回、又は、複数回のターゲット計測につき1回の割合で、常時実施してもよい。そして、計測された背景輝度が予め定めた基準輝度の許容変動幅(例えば90%)を下回った場合に、TFL調整を実施する。TFL調整とは、FLトリガの遅延時間TFLを最適な値に調整することを意味する。
また、計測された背景輝度が基準輝度の90%を下回らない場合であっても、1週間から1ヶ月程度の規定の期間経過ごとに定期的に、TFL調整を実施してもよい。
7.4 TFL調整処理アルゴリズムの例
図17は、第1実施形態に係るターゲット撮影装置におけるTFL調整処理のフローチャートである。図14に示すフローチャートの各ステップは、制御部40として機能する1つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより実施され得る。
ステップS11において、制御部40は、予め基準輝度Qと許容変動幅αを設定しておく。許容変動幅αは、例えばα=0.9とされる。α=0.9とは、基準輝度Qの90%までを許容することを意味する。
ステップS12において、制御部40は、フラッシュトリガの遅延時間TFLを設定し、かつ、調整フラグFをF=0とする。ステップS12の段階で、FLトリガの遅延時間TFLは、事前に調整されているとし、制御部40は、事前に調整されているTFLを設定する。調整フラグFは、TFL調整の状態を示すフラグである。本例の場合、F=0、1、2、3、4のいずれかの値を取り得る。
F=0は、調整完了(調整済み)の状態を表す。
F=1は、調整開始の状態を表す。F=1の状態において現在のTFL値での背景輝度を取得する。
F=2は、調整中の第1状態を表す。F=2の状態においてTFLをマイナス側に変更した場合の背景輝度データの取得が行われる。
F=3は、調整中の第2状態を表す。F=3の状態においてTFLをプラス側に変更した場合の背景輝度データの取得が行われる。
F=4は、調整中の第3状態を表す。F=4は、TFLの最適化処理が完了したことを示す。
ステップS14において、制御部40は、画像センサ107から画像データを受信したか否かを判定する。ステップS14にてNo判定の場合、制御部40はステップS14の処理をループさせ、画像データの受信を待つ。
ステップS14において、制御部40は、ターゲット撮像装置で撮影された画像データを受信すると、ステップS16に移行する。
ステップS16において、処理部110は、画像データ解析を行う。処理部110は、画像データ解析の中で撮影画像の背景輝度Qを取得する。背景輝度Qの取得方法については、既に説明した計測方法a〜eのいずれか、又はこれらの適宜の組み合わせを用いることができる。画像データ解析(ステップS16)の処理内容の詳細は後述する。
ステップS18において、制御部40は、調整フラグがF=0であるか否かを判定する。ステップS18の判定において、制御部40がF=0であると判定すると、ステップS20に進む。ステップS20において、制御部40は、背景輝度Qが基準輝度Qに対する許容変動幅αを下回っているか否か判定する。すなわち、制御部40はQ<αQを満たすか否かを判定する。基準輝度Qと許容変動幅αの積は、許容下限輝度の一例に相当する。許容下限輝度は、基準輝度Qと許容変動幅αの積によって設定される形態に限らない。許容下限輝度は、予め決められた値であっても構わない。
ステップS20において、Q≧αQである場合には、ステップS14に戻り、次の画像データの受信を待機する。
一方、ステップS20において、背景輝度Qが基準輝度Qと許容変動幅αの積を下回っている場合、制御部40は、ステップS22に進む。
ステップS22において、制御部40は、調整フラグをF=1とし、かつ、撮影回数を示す変数NにN=1を設定する。また、制御部40は、背景輝度の積算値QsumをQsum=Qとし、かつ、背景輝度の平均値Qave =0として、ステップS14に戻る。
その後、処理部110が画像データを受信して、ステップS16を経て、ステップS18に至ると、F=1となっているため、ステップS18の判定にてNo判定となり、ステップS24に移行する。
ステップS24において、制御部40は、TFL最適化の処理のサブルーチンを実行する。TFL最適化処理の内容について詳細は、図25を用いて後述する。TFL最適化の処理では、背景輝度の計算処理を行い、計算の結果に基づいた遅延時間の修正を行う。TFL最適化の処理の過程で調整フラグFは変更され、Fは{1、2、3、4}のいずれかの値を取り得る。
ステップS26において、制御部40はF=4であるか否かを判定する。ステップS26において、制御部40がF=4を満たさないと判定した場合は、ステップS30に進み、TFLの変更を装置に反映させてステップS14に戻る。
FLの最適化の処理が完了して、最適なTFLの値が決定した場合、調整フラグはF=4となる。ステップS26において、制御部40がF=4であると判定した場合は、ステップS28に進む。ステップS28において制御部40は、調整フラグをF=0に戻して、ステップS30に進み、最適化したTFLを反映させて、ステップS14に戻る。
図18は、画像データ解析処理のフローチャートである。画像データ解析処理は、ターゲット位置及び/又は形状計測のサブルーチン(ステップS40)と、背景輝度取得のサブルーチン(ステップS42)とを含んで構成される。
ステップS40において、制御部40は、ターゲット位置及び/又は形状の計測を行う。例えば、制御部40の処理部110は、撮影画像からドロップレットの径、ドロップレットの位置、ドロップレットの間隔、及びミスト(拡散ターゲット)の広がり形状のうち、少なくとも1つを計測する。
ステップS42において、制御部40は、背景輝度取得のサブルーチンとして、計測方法a〜eの5つの方法のうち、いずれかの計測方法に対応する処理を採用して背景輝度を計測する。計測方法aに基づく背景輝度の取得処理を「背景輝度取得a」と表記する。計測方法bに基づく背景輝度の取得処理を「背景輝度取得b」と表記する。計測方法cに基づく背景輝度の取得処理を「背景輝度取得c」と表記する。計測方法dに基づく背景輝度の取得処理を「背景輝度取得d」と表記する。計測方法eに基づく背景輝度の取得処理を「背景輝度取得e」と表記する。
図19は、背景輝度取得aの処理内容を示すフローチャートである。ステップS50において、処理部110は、画像の平均輝度Iaveを計算する。ここでいう平均輝度は、画像センサ107であるCCDイメージセンサから得られるデジタル画像データの各画素のカウント数の平均値、すなわち、撮影画像全体の画素値の平均値を計算することによって求められる。
ステップS52において、制御部40は、背景輝度QとしてIaveを採用する。
図20は、背景輝度取得bの処理内容を示すフローチャートである。ステップS60において、処理部110は、画像の最大輝度Imaxを計算する。ここでいう最大輝度は、画像センサ107であるCCDイメージセンサから得られるデジタル画像データの各画素のカウント数の中から、最も大きなカウント数を特定することによって求められる。
ステップS62において、制御部40は、背景輝度QとしてImaxを採用する。
図21は、背景輝度取得cの処理内容を示すフローチャートである。
ステップS70において、処理部110は、画像の輝度ヒストグラムを作成する。処理部110は、撮影画像の各ピクセルのカウント値を基に、図13で説明したような輝度ヒストグラムを作成する。
その後、ステップS72において、処理部110は、輝度ヒストグラムのピーク値Ipeakを取得する。輝度ヒストグラムのピーク値は、該当ピクセル数が最大となる画素のカウント値であり、ピークに対応するカウント値を意味する。
ステップS74において、制御部40は、背景輝度QとしてIpeakを採用する。
図22は、背景輝度取得dの処理内容を示すフローチャートである。ステップS80において、制御部40は、計測領域の個数Nwindowを設定する。図14で説明した例ではNwindow=4である。
ステップS82において、制御部40は、計測領域ごとの背景輝度Qを初期化し、かつ、演算対象とする計測領域を指定するインデックスmを初期化する。ステップS82の初期化処理により、Q=0(k=1,2、・・・Nwindow)及びm=1に設定される。kは、Nwindow個の計測領域の各々を識別するインデックスである。
ステップS82において、処理部110は、m番目の計測枠内の平均輝度Iaveを取得する。m番目の計測枠内とは、m番目の計測領域と同義である。
ステップS83において、制御部40は、Q=Iaveとし、ステップS84に進む。
ステップS84において、制御部40は、mの値をインクリメントし、m+1を新たにmの値に設定する。
次いで、ステップS85において、制御部40は、mがNwindowを超えたか否かの判定を行う。ステップS85において、mがNwindow以下であれば、ステップS82に戻り、ステップS82〜S85の処理を繰り返す。
ステップS85において、mがNwindowを超えた場合には、制御部40はステップS86に進む。
ステップS86において、処理部110は、Nwindow個のQ(k=1,2、・・・Nwindow)の平均値を計算し、算出された平均値を撮影画像の背景輝度Qとして採用する。
図23は、背景輝度取得eの処理内容を示すフローチャートである。ステップS90において、制御部40は、計測領域の個数Nwindowを設定する。図15及び図16で説明した例ではNwindow=4である。
ステップS91において、制御部40は、演算に必要な各種の初期化処理を行う。制御部40は、計測領域ごとの計測データの有効/無効を判定するパラメータpを初期化してp=0(k=1,2,・・・Nwindow)とする。制御部40は、計測領域ごとの背景輝度Qを初期化してQ=0(k=1,2、・・・Nwindow)とする。制御部40は、演算対象とする計測領域を指定するインデックスmをm=1に設定する。また、制御部40は、計測枠内にターゲットが存在するか否かの判定基準となるβの値を、例えばβ=0.2と設定する。
ステップS92において、制御部40は、m番目の計測枠内の平均輝度Iaveと最小輝度Iminを取得する。処理部110は、m番目の計測枠内の平均輝度Iaveと最小輝度Iminを求める処理を行う。ステップS93において、制御部40は、(Iave−Imin)/Iaveがβよりも小さいか否かを判定する。
計測枠内にターゲットが含まれている場合、(Iave−Imin)/Iaveの値は1に近い値となる。一方、計測枠内にターゲットが含まれていない場合、(Iave−Imin)/Iaveの値は0に近い値となる。
ステップS93において、制御部40は、(Iave−Imin)/Iaveがβよりも小さいと判定した場合は、ステップS94に進む。ステップS94において、制御部40は、p=1とし、かつ、Q=Iaveとした後、ステップS96に進む。
一方、ステップS93において、制御部40は、(Iave−Imin)/Iaveがβ以上であると判定した場合は、ステップS95に進む。ステップS95において、制御部40は、p=0とした後、ステップS96に進む。
ステップS96において、制御部40は、mの値をインクリメントして、m+1を新たにmの値に設定する。
ステップS97において、制御部40は、mがNwindowを超えたか否かの判定を行う。ステップS97において、mがNwindow以下であれば、ステップS92に戻り、ステップS92〜S97の処理を繰り返す。
ステップS97において、制御部40は、mがNwindowを超えたと判定すると、ステップS98に進む。
ステップS98において、処理部110は、Q=Σ(p)/Σ(p)の計算式に従い、撮影画像の背景輝度Qを求める。Σはk=1からNwindowまでの総和を求めることを表す。これにより、p=0となった計測枠の計測データは除外され、p=1となった計測枠の計測データのみを用いて背景輝度Qが算出される。
図19〜図23で説明した背景輝度取得a〜eのそれぞれのメリット及びデメリットを図24の表にまとめた。表中の「A」は相対的に評価が高いことを示しており、表中の「B」は「A」に比べて評価が劣ることを示している。
処理の複雑さに関して、背景輝度取得aと背景輝度取得bは、逐次処理のため、処理は容易である。この点、背景輝度取得c、d及びeは、処理がやや複雑となる。
処理範囲に関して、背景輝度取得a、b及びcは、処理範囲が画像全体のため、処理に時間がかかる。一方、背景輝度取得dと背景輝度取得eは、処理範囲が領域枠で規定される範囲に限定されるので短時間で処理できる。
ターゲット像の影響に関して、背景輝度取得b、c及びeでは、原理的にターゲット像は背景輝度にほとんど影響を与えない。一方、背景輝度取得aと背景輝度取得dでは、背景輝度がターゲット像の影響を受ける。
熱ノイズの影響は、背景輝度取得bの計測結果のみに表れる。
図24から総合的に評価すると、背景輝度取得a〜eのうち、背景輝度取得eの処理が最も好ましい方法である。
図25は、TFL最適化の処理内容を示すフローチャートである。各ステップを詳述する前に、図25に示す処理の全体を概説する。制御部40は、現在のTFLでNsample回の撮影を行いそれぞれの撮影により得られた撮影画像の画像データについて、背景輝度の平均値を求めQave =Qave として保存する(ステップS107)。
その後、制御部40はF=2とし(ステップS108)、TFLからΔTだけ差し引く(ステップS110)。ΔTは、予め定められた調整量の刻み幅であり、例えば、ΔTは50ナノ秒[ns]に定められている。こうして新たに設定されたTFLを装置に反映させ(図17のステップS30)、再び、Nsample回の撮影を行う(図25のステップS100〜S102)。Nsample回それぞれの撮影によって得られた撮影画像の画像データについて背景輝度の平均値を求め、Qave とする(ステップS104)。
制御部40は、Qave >Qave ならば、Qave =Qave とし(ステップS114)、再びTFLからΔTだけ差し引く(ステップS110)。そして、新たに設定されたTFLを装置に反映させ(図17のステップS30)、再び、Nsample回の撮影を行う(図25のステップS100〜S102)。Nsample回それぞれの撮影によって得られた撮影画像の画像データについて背景輝度の平均値を求め、Qave とする(ステップS114)。
一方、ステップS112において、制御部40は、Qave ≦Qave ならば、調整フラグをF=3とし(ステップS118)、TFLにΔTだけ加える(ステップS112)。
こうして新たに設定されたTFLを装置に反映させ(図17のステップS30)、再び、Nsample回の撮影を行う。Nsample回それぞれの撮影によって得られた撮影画像の画像データについて背景輝度の平均値を求め、Qave とする(ステップS104)。
ステップS112において、制御部40は、Qave > Qave ならば、Qave =Qave とし(ステップS114)、再びTFLからΔTだけ加える(ステップS122)。そして、新たに設定されたTFLを装置に反映させ(図17のステップS30)、再び、Nsample回の撮影を行う(図25のステップS100〜S102)。Nsample回それぞれの撮影によって得られた撮影画像の画像データについて背景輝度の平均値を求め、Qave とする(ステップS114)。
一方、ステップS112において、制御部40は、Qave ≦Qave ならば、調整フラグをF=4とし(ステップS118、S124)、TFLからΔTだけ差し引く(ステップS126)。その後、図17のメインフローに戻って、新たに設定されたTFLを装置に反映させ(ステップS30)、かつ、調整フラグをF=0とすることで(ステップS28)、調整完了とする。
図25に示したフローチャートの各ステップを詳述する。ステップS100において、制御部40は、現在の積算値Qsumに背景輝度Qを加えて、新たな積算値Qsumとする。また、制御部40は、測定回数のNをインクリメントして、N+1を新たなNとする。
ステップS102において、制御部40は、NがNsample以下であるか否かの判定を行う。ステップS102の判定がYES判定である場合、制御部40は、図17のステップS24に移行する。
一方、図25のステップS102において、NがNsampleを超えた場合、制御部40は、ステップS104に移行する。ステップS104において、制御部40は、積算値QsumをNsampleで除算して背景輝度の平均値Qave を求める。また、制御部40は、QsumとNをリセットし、Qsum=0、N=0とする。
ステップS106において、制御部40は、調整フラグがF=1であるか否かの判定を行う。ステップS106において、制御部40がF=1であると判定すると、ステップS107に進む。
ステップS107において、制御部40は、Qave =Qave とする。また、ステップS108において、制御部40は調整フラグをF=2にする。
次いで、ステップS110において、制御部80は、TFLからΔTだけ引いた値を新たにTFLとする。ステップS110は、遅延時間を短縮する方向(マイナス方向)に調整することに相当している。ステップS110にて変更されたTFLは、図17のステップS30において装置に反映される。
調整フラグがF=2の状態で、図25のステップS106に到来すると、ステップS106の判定はNo判定となり、ステップS112に移行する。
ステップS112において、制御部40は、Qave がQave よりも大きいか否かを判定する。Qave >Qave を満たす場合、制御部80は、ステップS114に進み、Qave の値をQave に更新する。例えば、F=2である場合のQave がQave >Qave を満たす場合は、ステップS114にてQave =Qave とされる。
ステップS116において、制御部40は、F=2であるか否かを判定する。ステップS116にてF=2を満たすと判定されると、ステップS110に進み、同様の処理が繰り返される。
FLについてΔTずつマイナス方向の調整を行うと、やがて、ステップS112においてQave ≦Qave となりうる。ステップS112において、制御部40がQave ≦Qave と判定した場合、ステップS118に移行し、調整フラグのFの値に1を加える。
次いで、ステップS120において、制御部40は、F=3であるか否かを判定する。ステップS120にてF=3であると判定されると、ステップS122に進み、TFLにΔTを加えて、新たにTFLとする。ステップS122にて変更されたTFLは、図17のステップS30において装置に反映される。
調整フラグがF=3の状態で、図25のステップS112に到来し、Qave >Qave を満たす場合、制御部80は、ステップS114に進み、Qave の値をQave とする。F=3の場合、ステップS116はNO判定となり、ステップS122に進み、再びにTFLからΔTだけ引いた値を新たにTFLとする。ステップS122は、遅延時間を長くする方向(プラス方向)に調整することに相当している。
ステップS110にて変更されたTFLは、図17のステップS30において装置に反映される。TFLについてΔTずつプラス方向の調整を行うと、やがて、ステップS112においてQave ≦Qave となりうる。ステップS112において、制御部40がQave ≦Qave と判定した場合、ステップS118に移行し、調整フラグのFの値に1を加える。F=3の状態でステップS118に到来すると、ステップS120の判定がNO判定となる。この場合、ステップS124において、制御部40はF=4として、ステップS126に移行する。ステップS126において制御部40は、TFLからΔTだけ差し引き、新たなTFLとする。ステップS126で定められたTFLが最適なTFLの値とされる。ステップS126の後、図17のステップS26に進むと、ステップS26の判定でYES判定となり、ステップS28に進む。制御部40はステップS28にて調整フラグをF=0に戻し、TFL調整を完了する。ステップS126で定められたTFLはステップS30にて装置に反映される。こうして、背景輝度が最も高くなるようにTFLが調整される。
第1実施形態において説明した計測部101は「撮影部」の一例に相当する。ターゲット画像計測装置90と、制御部40との組み合わせは「ターゲット撮影装置」の一例に相当する。ターゲット通過検出信号は、外部から受信するタイミング信号の一例に相当する。FLトリガは「第1のトリガ信号」の一例に相当し、TFLは「第1の遅延時間」の一例に相当する。撮影トリガは「第2のトリガ信号」の一例に相当し、Tccdは「第2の遅延時間」の一例に相当する。シャッタトリガは「第3のトリガ信号」の一例に相当し、Tstrは「第3の遅延時間」の一例に相当する。
7.5 効果
ターゲットの影を捉えた撮影画像から背景輝度を計測してFLトリガの遅延時間を調整することにより、適切な明るさの撮影画像を得ることができる。これにより、フラッシュランプの発光タイミングとシャッタトリガとの同期崩れによる背景輝度の低下を抑制することができ、背景輝度を概ね一定に保つことができる。第1実施形態によれば、フラッシュランプ92の経年劣化や状態変化による背景輝度の低下を抑えて、ターゲットの計測精度を維持することができる。
8.第2実施形態
8.1 構成
図26は、第2実施形態に係るターゲット撮影装置を含んだEUV光生成装置の構成を例示的に示した構成図である。図26に示す第2実施形態について、図11で説明した第1実施形態との相違点を説明する。
図22に示す第2実施形態において、制御部40は、処理部110と遅延回路112に加えてFL放電電圧制御部124を含んでいる。FL放電電圧制御部124は、フラッシュランプ92に対して放電電圧を指定する。FL放電電圧制御部124による放電電圧の指定方法は、アナログ電圧又は通信により行う。
8.2 動作
FL放電電圧制御部124は、処理部110による処理結果を基に、FL発光時に放出される光量が低下した際に、フラッシュランプ92の放電電圧を上昇させることによって、背景輝度を基準輝度に合わせる制御を行う。
図27は、第2実施形態におけるFL放電電圧変更の処理を含むTFL調整処理のフローチャートである。図27において、図17で説明したフローチャートと共通するステップには同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。
図27に示すフローチャートは、ステップS11の前段に、「放電電圧と最適遅延時間の相関を取得」する処理(ステップS10)が追加され、かつ、ステップS26とステップS28の間に、「FL放電電圧変更」の処理(ステップS27)が追加されている。
第2実施形態では、ステップS24の処理を経てTFLの最適化の処理が完了し、F=4となった段階で(ステップS26にてYES判定となった場合に)、FL放電電圧変更の処理(ステップS27)を実施する。
図28は、FL放電電圧変更の処理内容を示すフローチャートである。各ステップを詳述する前に、図28に示すFL放電電圧変更の処理の概要を説明する。フラッシュランプ92は、コンデンサに蓄えた電圧を放電することによって発光する。FL放電電圧制御部124は、フラッシュランプ92の発光光量が充電電圧の2乗に比例することを利用して、現在の放電電圧Vcurrから最適な放電電圧Voptを計算する(ステップS142)。そして、算出されたVoptが使用想定電圧範囲である最小放電電圧Vminから最大放電電圧Vmaxの範囲を超える場合、放電電圧をVmin又はVmaxでリミットして(ステップS146、S152)、ワーニングを出す(ステップS148、S154)。
また、放電電圧を変更すると、FLトリガから発光開始タイミングまでの時間が変わるため、最適な遅延時間TFLの設定値に補正を加える(ステップS158)。
図28に示したフローチャートの各ステップを詳述する。ステップS140において、FL放電電圧制御部124は、現在の放電電圧Vcurrを取得する。また、FL放電電圧制御部124は、使用可能な最大放電電圧Vmaxと、最小放電電圧Vminを取得する。
次いで、ステップS142において、FL放電電圧制御部124は、背景輝度が基準輝度Qとなる最適な放電電圧Voptを決定する。FL放電電圧制御部124は、Vopt=sqrt(Q/Qave )Vcurrの式に基づき、Voptを決定する。なお、sqrt(Q/Qave )は、Q/Qave の平方根を意味する。
ステップS144において、FL放電電圧制御部124は、VoptがVminよりも大きいか否かを判定する。Vopt≦Vminである場合、ステップS146に移行する。ステップS146において、FL放電電圧制御部124は、VoptをVminとする。また、ステップS148において、FL放電電圧制御部124は、放電電圧がVminに制限された旨を知らせるワーニングを出す。ワーニングの出し方として、例えば、制御部40に接続された図示せぬディスプレイなどに警告表示を行うなどの態様があり得る。
ステップS144において、Vopt>Vminであると判定された場合、又はステップS148の後は、ステップS150に進む。
ステップS150において、FL放電電圧制御部124は、VoptがVmaxよりも小さいか否かを判定する。Vopt≧Vmaxである場合、ステップS152に移行する。ステップS152において、FL放電電圧制御部124は、VoptをVmaxとする。また、ステップS154において、FL放電電圧制御部124は、放電電圧がVmaxに制限された旨を知らせるワーニングを出す。
ステップS150において、Vopt<Vmaxであると判定された場合、又はステップS154の後は、ステップS156に進む。
ステップS156において、FL放電電圧制御部124は、フラッシュランプ92の放電電圧をVoptに設定する。放電電圧を変更すると、発光タイミングが変わるため、ステップS158において、FL放電電圧制御部124は、フラッシュランプ92の放電電圧による発光タイミング変化を補正する処理を行う。FL放電電圧制御部124は、TFL=TFL+(dTFL/dV)(Vopt−Vcurr)の式に基づき、TFLを補正する。式中の「dTFL/dV」は、図27のステップS10によって取得される相関情報から得られる。図27のステップS10に示した「放電電圧と最適遅延時間の相関を取得」する処理は、図28のステップS158における補正処理に必要な情報を取得するステップである。
図29は、放電電圧と最適遅延時間の相関を取得する処理の内容を示すフローチャートである。各ステップを詳述する前に、図29のフローチャートの概要を説明する。FL放電電圧制御部124は、最小放電電圧Vminから最大放電電圧VmaxまでをM分割し(ステップS2010〜S202)、各放電電圧V(i=0,1,・・・M)で最適FL遅延時間(発光ピークタイミング)=Tを求める(ステップS228)。その後、FL放電電圧制御部124は、最小二乗法で、一次関数として放電電圧と最適FL遅延時間の相関を一般化する(ステップS240)。
以下、各ステップを順に説明する。ステップS200において、FL放電電圧制御部124は、最大放電電圧Vmaxの設定、最小放電電圧Vminの設定、及び初期のTFLを設定する。具体的な設定値の一例として、最大放電電圧Vmaxは1000ボルト[V]に設定される。最小放電電圧Vminは500ボルト[V]に設定される。初期のTFLを4000ナノ秒[ns]に設定される。
ステップS202において、FL放電電圧制御部124は、最小放電電圧Vminから最大放電電圧Vmaxまでの電圧範囲の分割数Mを設定する。具体的な設定値の一例として、M=5に設定される。また、ステップS202において、FL放電電圧制御部124は、放電電圧のデータ取得間隔ΔVを設定する。FL放電電圧制御部124は、ΔV=(Vmax−Vmin)/Mの式に従い、データ取得間隔ΔVを設定する。Vmax=1000ボルト[V]、Vmin=500ボルト[V]、分割数M=5の場合、ΔV=100ボルト[V]に設定される。
ステップS204において、FL放電電圧制御部124は、変数の初期化を行う。すなわち、FL放電電圧制御部124は、調整フラグFをF=0に初期化し、かつ、放電電圧のインデックスiをi=0に初期化する。
次いで、ステップS206において、FL放電電圧制御部124は、iがM以下であるか否かを判定する。ステップS206においてFL放電電圧制御部124がi≦Mを満たしていると判定すると、ステップS210に進む。
ステップS210において、FL放電電圧制御部124は、FLの放電電圧をV=Vmin+ΔV×iに設定する。
続くステップS214からステップS230の処理は、図17で説明したステップS14からステップS30の処理と同様であるため、説明を省略する。
図29のステップS226において、FL放電電圧制御部124はF=4である場合に、ステップS228に進む。
ステップS228において、FL放電電圧制御部124は、調整フラグをF=0に戻し、T=TFLとする。また、FL放電電圧制御部124はiをインクリメントして、i+1を新たなiとして設定する。
ステップS206からステップS230のループにより、各放電電圧Vにおける最適なFL遅延時間Tが得られる。
ステップS206においてiがMを超えると、FL放電電圧制御部124は、ステップS240に移行する。
ステップS240において、FL放電電圧制御部124は、i=0からMまでの(V,T)のデータを基に、最小二乗法でVに対するTの傾きdTFL/dVと接片TFL0を求める。こうして、放電電圧と最適FL遅延時間の相関を一次関数として一般化する。
なお、図29で示したフローチャートによって、放電電圧と最適FL遅延時間の相関を求める態様の他、フラッシュランプ単体でフォトダイオードなどを用いて事前に同様の計測を実施して、放電電圧と最適FL遅延時間の相関を示す一次関数を求めてもよい。
8.3 効果
第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、フラッシュランプの経年劣化による発光光量の総量の低下に対して、フラッシュランプの放電電圧を調整することにより、撮影画像の背景輝度の低下を抑制することができる。これにより、背景輝度を適正な基準輝度に維持することができる。
9.拡散ターゲットの計測について
第1実施形態及び第2実施形態の説明においては、ターゲット画像計測装置90がドロップレット状のターゲットを撮影する例を説明したが、ターゲット画像計測装置90は、ターゲットにプリパルスレーザ光を照射した後の拡散ターゲットを撮影してもよい。
図30〜図32は、ターゲットにピコ秒オーダーのパルス幅を有するプリパルスレーザ光が照射された場合の拡散ターゲットの生成過程を模式的に示す断面図である。図30は、ターゲットにピコ秒オーダーのパルス幅を有するプリパルスレーザ光の照射開始からピコ秒オーダーの時間が経過した時点において推定されるターゲットの状態を示す。図31は、ターゲットにピコ秒オーダーのパルス幅を有するプリパルスレーザ光の照射開始からナノ秒オーダーの時間が経過した時点において推定されるターゲットの状態を示す。図32は、ターゲットにピコ秒オーダーのパルス幅を有するプリパルスレーザ光の照射開始から約1μsの時間が経過した時点における拡散ターゲットの状態を示す。
図30に示すように、ドロップレット状のターゲットにプリパルスレーザ光が照射されると、ターゲット表面にプリパルスレーザ光のエネルギーの一部が吸収され得る。その結果、プリパルスレーザ光が照射されたターゲット表面からほぼ垂直にターゲットの外側に向かうイオンや原子等の噴射を伴う、レーザアブレーションが発生し得る。これにより、プリパルスレーザ光が照射されたターゲット表面に対して垂直かつターゲット内部に向かって、レーザアブレーションによる反作用が働き得る。
このプリパルスレーザ光は、例えば、6.5J/cm以上のフルーエンスを有し、ピコ秒オーダーの時間内でターゲット照射を終了し得るので、時間あたりにターゲットへ照射される光のエネルギーが大きい。したがって、強力なレーザアブレーションが短時間で発生し得る。このため、レーザアブレーションによる反作用も大きく、ターゲットの内部に衝撃波が発生するものと推測される。
衝撃波は、プリパルスレーザ光が照射されたターゲットの表面に対してほぼ垂直に進行するため、ドロップレット状のターゲットのほぼ中心に集束する。衝撃波の波面は、当初、ターゲットの表面とほぼ平行なほぼ半球面状である。衝撃波が集束するに伴って、エネルギーが集中し、集中したエネルギーが一定の大きさを超えると、ドロップレット状のターゲットの破壊が始まる。
ターゲットの破壊は、集束することによってエネルギーが一定の大きさを超えた衝撃波の、ほぼ半球面状の波面から始まるものと推測される。このことが、図31及び図32に示すように、ターゲットがプリパルスレーザ光の入射側にドーム型に拡散した理由であると考えられる。
図30において、衝撃波がドロップレット状のターゲットの中心にまで集束すると、エネルギーが最も集中し、ターゲットの残りの部分も一気に破壊され得る。このことが、図32に示すように、ターゲットがプリパルスレーザ光の進行方向側に円環状に拡散した理由であると考えられる。
また、図30においては、強力なレーザアブレーションが発生していると推測されるが、レーザアブレーションが発生している時間は僅かであり、衝撃波がターゲットの中心に到達するまでの時間も短いと推測される。そして、図31に示すように、おそらくナノ秒オーダーの時間が経過した時にはターゲットが破壊され始めていると推測される。このことが、図32に示すように、ターゲットの重心がプリパルスレーザ光の照射前の位置からあまり移動していない理由であると推測される。
第1実施形態及び第2実施形態で説明したEUV光生成装置12において、ドライブレーザ出力トリガ、撮像トリガ、シャッタトリガ、及びFLトリガの遅延時間を適切に設定することにより、ターゲット画像計測装置90は、拡散ターゲットを計測し得る。
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。したがって、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書、及び添付の特許請求の範囲に記載される不定冠詞「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。

Claims (18)

  1. 外部からタイミング信号を受信し、前記タイミング信号の受信時から第1の遅延時間だけ遅延させたタイミングで第1のトリガ信号を出力する遅延回路と、
    前記第1のトリガ信号に基づいて発光する照明光源と、
    前記照明光源から発せられた光が観察対象であるターゲットに照射されることにより、前記ターゲットの影の像を撮影するよう配置された撮影部と、
    前記撮影部によって撮影された撮影画像から背景輝度を計測する処理を含む画像処理を行う処理部と、
    前記背景輝度に基づいて前記第1の遅延時間を調整する制御を行う制御部と、
    を備えるターゲット撮影装置。
  2. 請求項1に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記照明光源から発せられた光を前記ターゲットに向けて出射する光出射ポートと、
    前記ターゲットの周辺を通過した光を前記撮影部に導入する光入射ポートとは、互いに前記ターゲットの通過位置を挟んで対向する位置に配置されるターゲット撮影装置。
  3. 請求項1に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記撮影部は、画像センサと、シャッタと、を含み、
    前記遅延回路は、前記タイミング信号の受信時から第2の遅延時間だけ遅延させたタイミングで第2のトリガ信号である撮像トリガを出力し、かつ、前記タイミング信号の受信時から第3の遅延時間だけ遅延させたタイミングで第3のトリガ信号であるシャッタトリガを出力し、
    前記撮像トリガに基づいて、前記画像センサによる撮影が行われ、
    前記シャッタトリガに基づいて、前記シャッタの開閉が行われるターゲット撮影装置。
  4. 請求項1に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記制御部は、前記第1の遅延時間の設定を変えて前記背景輝度の計測を行い、前記背景輝度が最も高くなるように前記第1の遅延時間を調整するターゲット撮影装置。
  5. 請求項1に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記処理部は、前記撮影部によって取得される前記撮影画像ごとに、前記撮影画像から前記ターゲットの位置及び形状の少なくとも一方に関する情報を得るための計測を行うターゲット計測処理と、前記背景輝度を計測する処理とを行うターゲット撮影装置。
  6. 請求項1に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記制御部は、前記処理部により計測された前記背景輝度が許容下限輝度を下回った場合に、前記第1の遅延時間を調整する制御を行うターゲット撮影装置。
  7. 請求項6に記載のターゲット撮影装置であって、
    予め基準輝度と前記基準輝度に対する許容変動幅とが設定され、
    前記制御部は、前記処理部により計測された前記背景輝度が、前記基準輝度と前記許容変動幅とで規定される前記許容下限輝度を下回った場合に、前記第1の遅延時間を調整する制御を行うターゲット撮影装置。
  8. 請求項6に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記制御部は、前記処理部により計測された前記背景輝度が、前記許容下限輝度を下回った場合に、前記第1の遅延時間を短縮するターゲット撮影装置。
  9. 請求項1に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記処理部は、前記撮影画像の各ピクセルのカウント値を基に、前記撮影画像の画像内全体の平均カウント値を算出する処理を行い、
    前記制御部は、前記背景輝度として前記平均カウント値を取得するターゲット撮影装置。
  10. 請求項1に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記処理部は、前記撮影画像の各ピクセルのカウント値から、前記撮影画像の画像内全体における最大カウント値を特定する処理を行い、
    前記制御部は、前記背景輝度として前記最大カウント値を取得するターゲット撮影装置。
  11. 請求項1に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記処理部は、前記撮影画像の各ピクセルのカウント値を基に、前記撮影画像の画像内全体の前記カウント値のヒストグラムを作成して、前記ヒストグラムのピークに対応するカウント値を特定する処理を行い、
    前記制御部は、前記背景輝度として前記ピークに対応するカウント値を取得するターゲット撮影装置。
  12. 請求項1に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記処理部は、前記撮影画像の画像領域内に予め複数の計測領域が設定され、
    前記計測領域ごとに、それぞれの計測領域内の平均カウント値を算出し、かつ、前記算出された前記計測領域ごとの前記平均カウント値の平均値を算出する処理を行い、
    前記制御部は、前記背景輝度として前記平均値を取得するターゲット撮影装置。
  13. 請求項1に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記処理部は、前記撮影画像の画像領域内に予め複数の計測領域が設定され、
    前記複数の計測領域のうち、前記ターゲットの影が含まれている計測領域を演算から除外して、前記ターゲットの影が含まれていない残りの計測領域ごとに、それぞれの計測領域内の平均カウント値を算出し、かつ、前記算出された前記計測領域ごとの平均カウント値の平均値を算出する処理を行い、
    前記制御部は、前記背景輝度として前記平均値を取得するターゲット撮影装置。
  14. 請求項1に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記照明光源は、フラッシュランプであるターゲット撮影装置。
  15. 請求項14に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記フラッシュランプの放電電圧を指定する放電電圧制御部を備え、
    前記放電電圧制御部は、前記処理部によって計測される前記背景輝度に基づいて前記フラッシュランプの放電電圧を調整する制御を行うターゲット撮影装置。
  16. 請求項15に記載のターゲット撮影装置であって、
    前記放電電圧制御部は、現在の放電電圧と、前記処理部によって計測された前記背景輝度と、予め定められた基準輝度と、を基に、背景輝度が前記基準輝度となるために最適な放電電圧を決定する処理を行い、
    前記制御部は、前記放電電圧制御部による放電電圧の設定の変更に伴い、放電電圧と最適遅延時間の関係を基に、前記前記第1の遅延時間の補正を行うターゲット撮影装置。
  17. 内部でプラズマが生成されるチャンバと、
    前記チャンバの内部に前記プラズマの発生源となるターゲットを供給するターゲット供給部と、
    前記ターゲット供給部から前記チャンバの内部に供給された前記ターゲットの通過を検出してターゲット通過検出信号を出力するターゲット通過検出装置と、
    前記ターゲット通過検出信号を受信し、前記ターゲット通過検出信号の受信時から第1の遅延時間だけ遅延させたタイミングで第1のトリガ信号を出力する遅延回路と、
    前記第1のトリガ信号に基づいて発光する照明光源と、
    前記照明光源から発せられた光が観察対象である前記ターゲットに照射されることにより、前記ターゲットの影の像を撮影するよう前記チャンバに配置された撮影部と、
    前記撮影部によって撮影された撮影画像から背景輝度を計測する処理を含む画像処理を行う処理部と、
    前記背景輝度に基づいて前記第1の遅延時間を調整する制御を行う制御部と、
    を備え、
    前記ターゲット供給部から前記チャンバの内部に供給された前記ターゲットにレーザ光を照射することにより前記ターゲットをプラズマ化して極端紫外光を生成する極端紫外光生成装置。
  18. 請求項17に記載の極端紫外光生成装置であって、
    前記チャンバは、前記照明光源から発せられた光を前記ターゲットに向けて出射する光出射ポートとしての第1のウインドウと、
    前記ターゲットの周辺を通過した光を前記撮影部に導入する光入射ポートとしての第2のウインドウと、を備え、
    前記第1のウインドウと前記第2のウインドウとは、互いに前記ターゲットの通過位置を挟んで対向する位置に配置される極端紫外光生成装置。
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