JP6723520B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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本発明は、燃料電池システムに関する。
水素ガス及び酸化ガスを用いて電力を供給する燃料電池システムが実用化されている。発電装置である燃料電池は、アノードやカソードと称される電極を有している。燃料電池は、アノードに供給される水素ガスと、カソードに供給されると酸化ガスと、を用いて電気化学反応を生じさせることにより、電力を発生させる。
特許文献1には、水素ガス供給流路と、帰還流路と、水素ポンプと、を備える燃料電池システムが開示されている。水素ガス供給流路は、水素タンクに貯蔵された水素をアノードに供給する流路である。帰還流路は、アノードから排出されたガス(以下「アノードオフガス」という。)を水素ガス供給流路に戻す流路である。水素ポンプは、帰還流路に配置され、アノードオフガスを水素ガス供給流路側に圧送する流体機器である。アノードオフガスは、電気化学反応で消費されなかった残余の水素ガスを含んでいる。したがって、アノードオフガスをアノードに供給することにより、燃料電池システムの運転効率を向上させることができる。
ところで、アノードオフガスは、水素ガスの他にも、電気化学反応に伴って生成した水蒸気を含んでいる。このため、前述した特許文献1記載の構成では、水素ポンプにおいて凝縮水の生成及びその凍結が生じ、水素ポンプの駆動に支障を来すおそれがある。
そこで、特許文献1記載の燃料電池システムは、ヒータや、ヒータによって加熱された媒体を水素ポンプに供給する流路を備えている。このような構成を用いて水素ポンプを加熱することにより、水素ポンプにおける凝縮水の生成及びその凍結を抑制することが可能になる。
特開2009−158379号公報
しかしながら、特許文献1記載の燃料電池システムは、水素ポンプの温度調整のみに用いられる構成を必要とするため、製造コストの増大を招くという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、水素ポンプにおける凝縮水の生成及びその凍結を抑制しながらも、製造コストを抑制することが可能な燃料電池システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池システムは、水素ガス及び酸化ガスの供給を受け、電気化学反応を生じさせて電力を発生させる燃料電池と、燃料電池に水素ガスを供給する供給流路と、燃料電池から排出された水素ガスを供給流路に戻す帰還流路と、帰還流路に配置され、水素ガスを圧送する水素ポンプと、燃料電池を介して冷却水を循環させる冷却水流路が内部に形成された冷却水配管と、を備える。水素ポンプは、冷却水配管と当接している。
この構成によれば、まず、冷却水流路において循環する冷却水は、電気化学反応の反応熱によって昇温している燃料電池を冷却する。この冷却の際、冷却水は燃料電池から受熱し、その温度が上昇する。
水素ポンプは、冷却水流路が内部に形成された冷却水配管と当接している。したがって、水素ポンプは、冷却水流路を流れる冷却水から冷却水配管を介して受熱し、その温度が上昇する。
すなわち、上記構成によれば、燃料電池の冷却に用いられる冷却水により、水素ポンプを加熱することができる。この結果、水素ポンプにおける凝縮水の生成及びその凍結を抑制しながらも、製造コストを抑制することが可能になる。
本発明によれば、水素ポンプにおける凝縮水の生成及びその凍結を抑制しながらも、製造コストを抑制することが可能な燃料電池システムを提供することができる。
実施形態に係る燃料電池システムのブロック図である。 図1に示す水素ポンプの説明図である。 図1に示す水素ポンプの説明図である。
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
まず、図1を参照しながら、実施形態に係る燃料電池システム1の概要について説明する。図1は燃料電池システム1のブロック図である。図1は、燃料電池システム1が備える構成のうち主要なもののみを図示している。
燃料電池システム1は、不図示の車両に搭載されている。当該車両は所謂燃料電池自動車である。当該車両は、電力によって駆動する不図示の交流モータを動力源として備えている。燃料電池システム1は、電力を発生させるとともに、当該電力を交流モータに供給する。
燃料電池システム1は、燃料電池10と、酸化ガス供給部2と、水素ガス供給部3と、冷却水供給部4と、を備えている。
燃料電池10は、不図示の複数の単セルを積層してなる固体高分子形燃料電池である。各単セルは、アノードやカソードと称される電極と、アノードとカソードとの間に配置される高分子電解質膜と、を有している。アノードでは(1)式の酸化反応が生じる。カソードでは(2)式の還元反応が生じる。単セル全体としては、(3)式の電気化学反応が生じる。
2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
2+(1/2)O2 → H2O …(3)
燃料電池10は、この電気化学反応に伴って、電力線11に直流電力を出力する。当該直流電力は、不図示のインバータによって三相交流電力に変換された後に、交流モータに供給される。
酸化ガス供給部2は、燃料電池10のカソードに酸化ガスを供給する機能部である。具体的には、酸化ガス供給部2は空気をカソードに供給し、カソードでは当該空気中に含まれる酸素が電気化学反応に用いられる。
酸化ガス供給部2は、供給流路21及び排出流路22を有している。供給流路21は、車両の外部から取り込んだ空気を燃料電池10のカソードに導く流路である。排出流路22は、カソードから排出された空気を車両の外部に導く流路である。
供給流路21には、フィルタ211、コンプレッサ212及びインタークーラ213が配置されている。フィルタ211は、供給流路21に取り込まれる空気から異物を除去する。コンプレッサ212は、フィルタ211よりも下流側に配置され、空気を吸引して供給流路21に空気を取り込むとともに、圧縮して下流側に流す。インタークーラ213には、コンプレッサ212が圧縮した高温の空気が供給される。当該空気は、インタークーラ213を通過する際に放熱し、その温度が低下した後に、燃料電池10に導かれる。
水素ガス供給部3は、燃料電池10のアノードに水素ガスを供給する機能部である。水素ガス供給部3は、供給流路31及び排出流路32を有している。供給流路31は、水素ガスを燃料電池10のアノードに導く流路である。排出流路32は、アノードから排出されたアノードオフガスを車両の外部に導く流路である。
供給流路31には、水素タンク311及びインジェクタ312が配置されている。水素タンク311は、その内部に高圧(例えば、35MPaから70MPa程度)の水素ガスを貯蔵する容器である。水素タンク311は、不図示のバルブが開弁することにより、供給流路31に水素ガスを供給する。水素タンク311が供給した水素ガスは、インジェクタ312を通過することにより例えば200kPa程度まで減圧され、供給流路31を流れる。
水素ガス供給部3は、さらに、帰還流路33を有している。帰還流路33は、その一端が排出流路32に接続され、他端が供給流路31に接続されている。換言すると、帰還流路33は排出流路32から分岐するとともに、供給流路31に合流するように形成されている。これにより、燃料電池10のアノードから排出されたアノードオフガスの一部が、帰還流路33を介して供給流路31に供給される。
燃料電池10のアノードから排出されたアノードオフガスは、電気化学反応で消費されなかった残余の水素ガスを含んでいる。したがって、アノードオフガスが帰還流路33を介して供給流路31に供給されることにより、燃料電池10から排出された水素ガスが供給流路31に戻される。
帰還流路33には水素ポンプ5が配置されている。水素ポンプ5は、排出流路32からアノードオフガスを吸引するとともに、当該アノードガスを供給流路31に圧送する。水素ポンプ5の詳細な構成については後述する。
冷却水供給部4は、燃料電池10に冷却水を供給する機能部である。燃料電池10の各単セルは、電気化学反応の反応熱によって昇温する。冷却水供給部4は、冷却水を供給することにより燃料電池10を冷却し、燃料電池10の温度を所定の値に維持する。
冷却水供給部4は、冷却水流路40を有している。冷却水流路40は、冷却水を循環させる流路である。冷却水は、例えば不凍液を混入させたLLC等が用いられる。冷却水流路40は、主流路41及びバイパス流路42を有している。
主流路41の両端は、いずれも、燃料電池10の内部に形成された流路に接続されている。主流路41には、冷却水ポンプ411及びラジエータ412が配置されている。ラジエータ412の側方には、ファン413が配置されている。冷却水ポンプ411は、冷却水を吸引し、下流側に圧送する流体機器である。
ラジエータ412は、冷却水ポンプ411の下流側に配置され、不図示のチューブとコルゲートフィンとを有する熱交換器である。チューブは、内部に冷却水を流す金属製の管状部材である。コルゲートフィンは、金属製の板を折り曲げることで形成されている。ラジエータ412は、複数のコルゲートフィンと複数のコルゲートフィンとを交互に積層することで形成されている。
ファン413が駆動すると、車両の外部から空気が取り込まれる。この空気は、隣り合うチューブ間を流れることでラジエータ412を通過し、当該チューブの内部を流れる冷却水と熱交換を行う。これにより、ラジエータ412を流れる冷却水が放熱し、当該冷却水の温度が低下する。
バイパス流路42は、第1流路43及び第2流路44を有している。第1流路43及び第2流路44は、いずれも、その一端が主流路41に接続されている。詳細には、第1流路43の一端は、冷却水ポンプ411の下流かつラジエータ412の上流の部位に接続されている。また、第2流路44の一端は、ラジエータ412の下流かつ燃料電池10の上流の部位に接続されている。第1流路43及び第2流路44の他端は、いずれも、インタークーラ213の筐体の内部に形成された流路に接続されている。
冷却水ポンプ411が駆動すると、冷却水は主流路41及びバイパス流路42を循環するように流れる。主流路41を流れる冷却水は、燃料電池10の内部に形成された流路を流れる際に熱交換し、燃料電池10を冷却する。当該熱交換によって昇温し、燃料電池10から排出された冷却水は、主流路41によってラジエータ412に供給される。当該冷却水は、ラジエータ412の内部を流れる際に空気と熱交換し、その温度が低下する。ラジエータ412を通過した冷却水は、主流路41によって再び燃料電池10に供給され、その冷却の用に供される。
ここで、冷却水ポンプ411によって圧送される冷却水の一部は、主流路41からバイパス流路42の第1流路43に供給される。当該第1流路43を流れる冷却水は、インタークーラ213に供給される。当該冷却水は、インタークーラ213の筐体の内部を流れる際に熱交換し、当該筐体を冷却する。当該熱交換によって昇温した冷却水は、インタークーラ213からバイパス流路42の第2流路44に排出される。
第2流路44を流れる冷却水は、水素ポンプ5の近傍を通過した後、再び主流路41に戻される。当該冷却水は、ラジエータ412を通過して主流路41を流れる冷却水と合流し、燃料電池10の冷却の用に供される。
このように冷却水を循環させることにより、燃料電池10を継続的に冷却することができる。冷却された燃料電池10の温度は、所定の値に維持される。この結果、燃料電池10において電気化学反応を安定的に生じさせ、燃料電池システム1の発電効率を高めることが可能になる。
次に、水素ポンプ5の詳細な構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2及び図3は、水素ポンプ5の説明図である。図2は、水素ポンプ5及び冷却水配管441の外観を示している。図3は、図2の紙面奥行方向に対して垂直な平面で切断した水素ポンプ5の断面を示している。
水素ポンプ5は、真空ポンプやルーツポンプと称される流体機器である。図3に示されるように、水素ポンプ5は、ハウジング51と、ロータ55a,55bと、を有している。
ハウジング51は、水素ポンプ5の外殻となる部材である。ハウジング51の内部には、ポンプ室52が形成されている。また、ハウジング51のうち、互いに対向する部分には、吸込口53と、吐出口54と、が開設されている。吸込口53及び吐出口54は、いずれも、ハウジング51の外部とポンプ室52とを連通するように開設されている。吸込口53及び吐出口54は、いずれも帰還流路33(図1参照)と接続されている。
ポンプ室52には、一対のロータ55a,55bが配置されている。ロータ55a,55bは、相互間や、ハウジング51の内側面との間に僅かな隙間を隔てて配置されている。ロータ55a,55bは、中央部から両端部にかけて拡大するように形成されている。
ロータ55a,55bは、その中央部が回転軸56a,56bによって枢支されている。ロータ55a,55bは、不図示のタイミングギアの回転に伴い、回転軸56a,56bを中心として互いに反対方向に回転するように構成されている。
ロータ55a,55bが回転し、それぞれの端部が吸込口53の近傍を通過すると、当該端部とハウジング51との間にアノードオフガスが補足される。これにより、矢印F1で示されるように、帰還流路33を流れるアノードオフガスが吸込口53からポンプ室52に吸い込まれる。
ポンプ室52に吸い込まれたアノードオフガスは、ハウジング51とロータ55a,55bとの間に閉じ込められ、ロータ55a,55bの回転に伴って吐出口54側に送られる。このアノードオフガスは、矢印F2で示されるように吐出口54から排出され、前述したように帰還流路33を流れ、供給流路31を流れる水素ガスと合流する。
ところで、燃料電池10のアノードから排出流路32に排出されたアノードオフガスは、電気化学反応に伴って生成した水蒸気を含んでいる。したがって、水素ポンプ5が低温環境に置かれると、アノードオフガス中の水蒸気が凝縮し、その凝縮水が凍結するおそれがある。凍結によって生じた氷塊が、ロータ55a,55b間や、ロータ55a,55bとハウジング51との間に挟み込まれると、ロータ55a,55bの回転が妨げられ、水素ポンプ5の駆動に支障を来すおそれがある。このような凝縮水の生成及びその凍結は、アノードオフガスが吸い込まれる吸込口53の近傍で特に懸念される。
そこで、燃料電池システム1は、図2に示されるように、冷却水配管441を水素ポンプ5のハウジング51と当接させることで、凝縮水の凍結防止を図っている。特に、冷却水配管441は、吸込口53の近傍に当接している。冷却水配管441は管状の部材であり、その内部に第2流路44が形成されている。
前述したように、第2流路44には、燃料電池10及びインタークーラ213と熱交換を行って昇温した冷却水が流れている。したがって、水素ポンプ5のハウジング51は、第2流路44を流れる冷却水から冷却水配管441を介して受熱し、その温度が上昇する。
すなわち、本構成によれば、燃料電池10の冷却に用いられる冷却水により、水素ポンプ5を加熱することができる。この結果、水素ポンプ5における凝縮水の生成及びその凍結を抑制しながらも、製造コストを抑制することが可能になる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されず、適宜変更することができる。
例えば、上記実施形態では、インタークーラ213と熱交換を行って昇温した冷却水によって水素ポンプ5を加熱しているが、本発明はこの態様に限定されない。つまり、冷却水に、インタークーラ213との熱交換を行わせることなく、水素ポンプ5を加熱させてもよい。この場合、燃料電池10の下流側かつラジエータ412の上流側の主流路41を流れる冷却水を水素ポンプ5の加熱に用いることが好ましい。この構成によれば、ラジエータ412を通過する前の冷却水を用いることができるため、高温の冷却水によって水素ポンプ5を確実に加熱することができる。
1:燃料電池システム 31:供給流路 33:帰還流路 40:冷却水流路 411:冷却水ポンプ 441:冷却水配管

Claims (1)

  1. 燃料電池システムであって、
    水素ガス及び酸化ガスの供給を受け、電気化学反応を生じさせて電力を発生させる燃料電池と、
    前記燃料電池に水素ガスを供給する供給流路と、
    前記燃料電池から排出された水素ガスを前記供給流路に戻す帰還流路と、
    前記帰還流路に配置され、水素ガスを圧送する水素ポンプと、
    前記燃料電池を介して冷却水を循環させる冷却水流路が内部に形成された冷却水配管と、を備え、
    前記冷却水流路は、主流路とバイパス流路を有し、
    前記主流路の両端は、いずれも前記燃料電池の内部に形成された流路に接続されており、
    前記主流路には、冷却水ポンプ及びラジエータが配置されており、
    前記バイパス流路の一端は、前記冷却水ポンプの下流かつ前記ラジエータの上流の部位に接続されており、
    前記バイパス流路の他端は、前記ラジエータの下流かつ前記燃料電池の上流の部位に接続されており、
    前記水素ポンプは、前記バイパス流路が内部に形成された冷却水配管と当接していることを特徴とする燃料電池システム。
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