JP2012238551A - 燃料電池の冷却システム - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で、燃料電池の昇温時にも燃料電池の冷却を良好に維持することができる燃料電池の冷却システムを提供する。
【解決手段】燃料電池11の冷却水循環流路17にはラジエータ18及び循環ポンプ19が接続されている。燃料電池11の下流側と循環ポンプ19との間の冷却水循環流路17には冷却水タンク20が設けられている。該冷却水タンク20には筒体21が連結され、その筒体21のオリフィス22がエアオフガス排出流路16内に開口されている。そして、エアオフガス排出流路16を通るエアオフガスの流れによりダイヤフラム23がエアオフガス排出流路16側へ膨出するように変形し、冷却水タンク20内の容量が増大するようになっている。このため、循環ポンプ19の吸入側と吐出側の差圧を増大させて燃料電池11に対する循環ポンプ19の冷却能力を高めるように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池の冷却を行うようにした冷却システムに関するものであって、例えば燃料電池車が加速したときに燃料電池の発電量が増えて発熱量が多くなったとしても、燃料電池の有効な冷却を継続することができる燃料電池の冷却システムに関する。
燃料電池においては、燃料ガスとしての水素と酸化剤ガスとしての酸素とが反応して電力を発生するときに発熱を伴うことから、冷却水を循環ポンプで循環して燃料電池を冷却するようになっている。図3に示すように、この冷却システムにおいては、燃料電池31を通る冷却水循環流路32に循環ポンプ33と熱交換器としてのラジエータ34とが直列に接続されている。そして、冷却水が循環ポンプ33で燃料電池31に送られ、該燃料電池31を冷却して温度上昇した冷却水がラジエータ34に送られて放熱され、冷却されるようになっている。
この種の冷却システムを備えた燃料電池システムが特許文献1に開示されている。すなわち、この燃料電池システムでは、燃料電池を冷却するための冷却水が流れる冷却水路が設けられ、該冷却水路には冷却水を循環させるための循環ポンプが接続されている。さらに、前記冷却水路には循環ポンプと直列又は並列に補助循環ポンプを配置することができるようになっている。
特開2010−80270号公報
ところが、図3に示されている従来構成や特許文献1に記載されている従来構成においては、燃料電池車の加速等に起因して燃料電池31が急に温度上昇したとき、冷却水循環流路32には圧力損失があることから、循環ポンプ33だけで冷却水を循環させることが難しい場合が生ずる。この場合には、燃料電池31の温度が異常に上昇するおそれがある。
さらに、特許文献1に記載の従来構成では冷却水路に前記循環ポンプと直列又は並列に補助循環ポンプを配置することができるが、この場合には風車を設けて酸化剤オフガスの流れで回転させ、風車の出力軸と連結された補助循環ポンプの羽根車を回転させて冷媒の循環を補助するようになっている。そのため、冷却システムを構築する部品点数が増えて構成が複雑になるという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、簡易な構成で、燃料電池の昇温時にも燃料電池の冷却を良好に維持することができる燃料電池の冷却システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の燃料電池の冷却システムは、燃料電池には燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給流路と燃料オフガスを排出する燃料オフガス排出流路を接続し、酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給流路と酸化剤オフガスを排出する酸化剤オフガス排出流路を接続するとともに、燃料電池を冷媒で冷却するための冷媒循環流路を接続した燃料電池の冷却システムであって、前記冷媒循環流路には熱交換器及び循環ポンプを接続するとともに、燃料電池の下流側と循環ポンプとの間の冷媒循環流路に冷媒タンクを設け、前記燃料オフガス排出流路からの燃料オフガス又は酸化剤オフガス排出流路からの酸化剤オフガスの流れにより生ずる負圧で冷媒タンクの容量を変更し、燃料電池の下流側と循環ポンプとの間の冷媒の圧力を下げて循環ポンプにおける吸入側と吐出側の差圧を増大させて燃料電池に対する循環ポンプの冷却能力を高めるように構成したことを特徴とする。
請求項2に記載の発明の燃料電池の冷却システムは、請求項1に係る発明において、前記冷媒タンクには筒体を連結し、該筒体の外端部を燃料オフガス排出流路又は酸化剤オフガス排出流路に開口させるように構成したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明の燃料電池の冷却システムは、請求項2に係る発明において、前記筒体内には内部を区画するダイヤフラムを設け、燃料オフガス排出流路からの燃料オフガス又は酸化剤オフガス排出流路からの酸化剤オフガスの流れにより生ずる負圧でダイヤフラムを作動させるように構成したことを特徴とする。
請求項4に記載の発明の燃料電池の冷却システムは、請求項2又は請求項3に係る発明において、前記筒体にはオリフィスを形成し、該オリフィスを燃料オフガス排出流路又は酸化剤オフガス排出流路に開口させるように構成したことを特徴とする。
請求項5に記載の発明の燃料電池の冷却システムは、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記負圧は酸化剤オフガス排出流路を流れる酸化剤オフガスの流れにより生ずるように構成したことを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の燃料電池の冷却システムにおいては、冷媒循環流路に熱交換器及び循環ポンプが接続されるとともに、燃料電池の下流側と循環ポンプとの間の冷媒循環流路に冷媒タンクが設けられ、燃料オフガス排出流路からの燃料オフガス又は酸化剤オフガス排出流路からの酸化剤オフガスの流れにより生ずる負圧で冷媒タンクの容量が変更されるようになっている。このため、燃料電池の下流側と循環ポンプとの間の冷媒の圧力を下げて循環ポンプにおける吸入側と吐出側の差圧を増大させて燃料電池に対する循環ポンプの冷却能力を高めることができる。
従って、冷媒循環流路に冷媒タンクを設け、その冷媒タンクの容量を変更するという簡単な構成で、燃料オフガス又は酸化剤オフガスにより作り出される負圧を利用して循環ポンプの能力を補うことができる。その結果、燃料電池の温度上昇に対して燃料電池を継続して適切に冷却することができる。
よって、本発明の燃料電池の冷却システムによれば、簡易な構成で、燃料電池の昇温時にも燃料電池の冷却を良好に維持することができるという効果を奏する。
実施形態における燃料電池の冷却システムを模式的に示す概略説明図。 燃料電池の冷却システムの要部を拡大して示す概略説明図。 従来の燃料電池の冷却システムを模式的に示す概略説明図。
以下、本発明の実施形態を図1及び図2に基づいて詳細に説明する。
燃料電池は、多数の単電池が積層されたスタック構造を有し、単電池は固体電解質で燃料ガス側セルと酸化剤ガス側セルとに区画形成され、燃料ガス側セル内の燃料ガス極(アノード)において酸化反応が生じ、酸化剤ガス側セル内の酸化剤ガス極(カソード)において還元反応が生ずるようになっている。そして、アノードとカソードとの間に電流が流れて電力を発生するように構成されている。この実施形態では、燃料ガスとして水素ガスが用いられ、酸化剤ガスとしてエアが用いられる。前記酸化反応と還元反応に基づく電気化学反応は発熱反応を伴う。
図1に示すように、燃料電池11には図示しない水素ガス極に水素ボンベ12から水素ガスを供給する水素ガス供給流路13が接続されるとともに、未使用の水素オフガスを排出する水素オフガス排出流路14が接続されている。また、燃料電池11にはエア極に大気からポンプでエアを供給するエア供給流路15が接続されるとともに、エアオフガスが排出されるエアオフガス排出流路16が接続されている。さらに、燃料電池11には酸化反応と還元反応との電気化学反応に基づく温度上昇を抑制すべく燃料電池11を冷媒としての冷却水で冷却するための冷却水循環流路17が接続され、燃料電池11内における冷却流路17aで熱交換して燃料電池11を冷却するようになっている。この冷却水循環流路17において、冷却水は図1の矢印で示すように時計方向に循環する。
該冷却水循環流路17には冷却水を冷却する熱交換器としてのラジエータ18及び冷却水を循環させる循環ポンプ19が直列に接続されている。燃料電池11の下流側と循環ポンプ19との間の冷却水循環流路17であって、この実施形態では燃料電池11の下流側とラジエータ18との間の冷却水循環流路17には同冷却水循環流路17の一部を構成する冷却水タンク20が配置されている。図2に示すように、該冷却水タンク20内には筒体21が連結され、その端部は縮径されてオリフィス22が形成され、その端部がエアオフガス排出流路16内にガス流方向と交差する方向に向かって開口している。
前記筒体21内にはダイヤフラム23が配置され、筒体21内部を冷却水循環流路17側の冷却水室24とエアオフガス排出流路16側のエア室25とに区画している。そして、エアオフガス排出流路16内のエアオフガスの流れによりオリフィス22を介してエア室25に負圧が生じてダイヤフラム23を図2の二点鎖線に示すように後退側に作動させ、冷却水タンク20の容量すなわち冷却水タンク20内の冷却水の量を増加させるように変更する。すなわち、冷却水タンク20は燃料電池11の下流側と循環ポンプ19との間の冷却水の圧力を下げるように作用する。つまり、循環ポンプ19の吸入側の圧力を下げ、吐出側の圧力との圧力差を増大させ(循環ポンプ19の揚程を実質的に大きくする)、燃料電池11内の冷却流路17aへの冷却水の流量を増加させることができるようになっている。
本実施形態の燃料電池11の冷却システムでは、図示しない温度センサを設けて燃料電池11内の温度を検出するように構成されている。そして、検出された温度に基づいて、循環ポンプ19から吐水される冷却水の流量を増加させるように制御する制御装置が設けられている。
次に、上記のように構成された燃料電池11の冷却システムについて作用を説明する。
さて、燃料電池車の発進時、加速時等において燃料電池11で発電量が増大すると、燃料電池11内での発熱量が増えることから、冷却水による冷却能力を一時的に上げる必要が生ずる。このとき、冷却水タンク20においては、エアオフガス排出流路16内に突出するオリフィス22の開口部の近傍を該オリフィス22と交差するようにエアオフガスが流れることから、オリフィス22を介してエア室25内が減圧されて、負圧が生じる。この負圧により、筒体21内のダイヤフラム23が図1及び図2の二点鎖線に示すように、エアオフガス排出流路16側へ膨らむように変形する。
このため、冷却水タンク20内の冷却水室24の容量が増大し、燃料電池11の下流側と循環ポンプ19との間の冷却水循環流路17内の圧力が低下する。すなわち、燃料電池11の上流側と循環ポンプ19との間の冷却水循環流路17内の圧力と、燃料電池11の下流側と循環ポンプ19との間の冷却水循環流路17内の圧力との圧力差を増大させることができる。その結果、循環ポンプ19によって燃料電池11の冷却流路17aに供給される冷却水の流量を増加させることができ、燃料電池11内の発熱によって上昇した温度を速やかに低下させることができる。
以上の実施形態により発揮される効果を以下にまとめて記載する。
(1)この実施形態における燃料電池11の冷却システムにおいては、エアオフガス排出流路16を通るエアオフガスの流れにより生ずる負圧で冷却水タンク20の容量が変更されるようになっている。このため、燃料電池11の下流側と循環ポンプ19との間の冷却水の圧力を下げて循環ポンプ19における吸入側と吐出側の差圧を増大させ、燃料電池11に対する循環ポンプ19の冷却能力を高めることができる。
従って、冷却水循環流路17に冷却水タンク20を設け、その冷却水タンク20の容量を変更するという簡単な構成で、エアオフガスにより作り出される負圧を利用して循環ポンプ19の能力を補うことができる。その結果、燃料電池11の温度上昇に対して燃料電池11を継続して適切に冷却することができる。
よって、本実施形態の燃料電池11の冷却システムによれば、簡易な構成で、燃料電池11の昇温時にも燃料電池11の冷却を良好に維持することができるという効果を奏する。
(2)前記冷却水タンク20には筒体21を連結し、該筒体21の外端部をエアオフガス排出流路16に開口させるように構成した。このため、冷却水タンク20に筒体21を設け、その外端部をエアオフガス排出流路16に開口させるという簡易な構成で、冷却水タンク20に負圧を生じさせてその容量を変更させることができる。
(3)前記筒体21内には内部を区画するダイヤフラム23を設け、エアオフガス排出流路16からのエアオフガスの流れにより生ずる負圧でダイヤフラム23を作動させるように構成した。従って、冷却水タンク20内のダイヤフラム23を容易に作動させることができ、冷却水タンク20内の冷却水の容量を速やかに変更することができる。
(4)前記筒体21にはオリフィス22を形成し、該オリフィス22をエアオフガス排出流路16に開口させるように構成した。そのため、開口部が絞られたオリフィス22の端部を流れるエアオフガスにより冷却水タンク20内に負圧を効果的に生じさせることができる。
(5)前記負圧はエアオフガス排出流路16を流れるエアオフガスの流れにより生ずるように構成した。従って、負圧生成のための取扱性例えば漏れ防止の取扱性を、水素オフガスを利用する場合に比べて向上させることができる。
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 前記冷却水タンク20のオリフィス22を水素オフガス排出流路14内に開口し、水素オフガスによりオリフィス22を介して筒体21内に負圧を発生させるように構成することもできる。
・ 前記燃料電池11の下流側と冷却水タンク20との間のエアオフガス排出流路16にメイン流路をバイパスするバイパス流路と両流路のうち一方を開放するとともに他方を閉じる切り替えバルブを設けることができる。そして、前記オリフィス22をバイパス流路に開口させ、必要時にのみ切り替えバルブを切り替えてオリフィス22側へエアオフガスを供給するように構成することができる。
・ 前記オリフィス22が開口されている部分のエアオフガス排出流路16の断面積を小さくして当該部位を流れるエアオフガスの流速を速くするように構成することができる。従ってこの場合、筒体21のエア室25に生ずる負圧を流速を速くしない場合と比較して増大させることができる。
・ 前記筒体21を省略し、オリフィス22及びダイヤフラム23を冷却水タンク20に設けるように構成することも可能である。
・ 酸化剤ガスとして、酸素ボンベ等に収容された酸素ガス等を用いることも可能である。また、冷媒としてオイル等を用いることもできる。
11…燃料電池、13…燃料ガス供給流路としての水素ガス供給流路、14…燃料オフガス排出流路としての水素オフガス排出流路、15…酸化剤ガス供給流路としてのエア供給流路、16…酸化剤オフガス排出流路としてのエアオフガス排出流路、17…冷媒循環流路としての冷却水循環流路、18…熱交換器としてのラジエータ、19…循環ポンプ、20…冷媒タンクとしての冷却水タンク、21…筒体、22…オリフィス、23…ダイヤフラム。

Claims (5)

  1. 燃料電池には燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給流路と燃料オフガスを排出する燃料オフガス排出流路を接続し、酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給流路と酸化剤オフガスを排出する酸化剤オフガス排出流路を接続するとともに、燃料電池を冷媒で冷却するための冷媒循環流路を接続した燃料電池の冷却システムであって、
    前記冷媒循環流路には熱交換器及び循環ポンプを接続するとともに、燃料電池の下流側と循環ポンプとの間の冷媒循環流路に冷媒タンクを設け、前記燃料オフガス排出流路からの燃料オフガス又は酸化剤オフガス排出流路からの酸化剤オフガスの流れにより生ずる負圧で冷媒タンクの容量を変更し、燃料電池の下流側と循環ポンプとの間の冷媒の圧力を下げて循環ポンプにおける吸入側と吐出側の差圧を増大させて燃料電池に対する循環ポンプの冷却能力を高めるように構成したことを特徴とする燃料電池の冷却システム。
  2. 前記冷媒タンクには筒体を連結し、該筒体の外端部を燃料オフガス排出流路又は酸化剤オフガス排出流路に開口させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の冷却システム。
  3. 前記筒体内には内部を区画するダイヤフラムを設け、燃料オフガス排出流路からの燃料オフガス又は酸化剤オフガス排出流路からの酸化剤オフガスの流れにより生ずる負圧でダイヤフラムを作動させるように構成したことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池の冷却システム。
  4. 前記筒体にはオリフィスを形成し、該オリフィスを燃料オフガス排出流路又は酸化剤オフガス排出流路に開口させるように構成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の燃料電池の冷却システム。
  5. 前記負圧は酸化剤オフガス排出流路を流れる酸化剤オフガスの流れにより生ずるように構成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池の冷却システム。
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