本明細書の技術は、溶接中に溶接の不適切性(以下不規則性)(Irregularity)を検出することを含み得る自動溶接のための新規な構成及び技術を含む。いくつかの実装形態は、溶接の不規則性の検出に基づいて、溶接中または溶接後に1つまたは複数の溶接パラメータを調整すること、オペレータに通知を送信すること、及び/または修理処置を実行することをさらに含み得る。いくつかの例では、溶接中に溶接領域から電磁放射を受けるために複数の光ファイバを溶接ツールに取り付けることができる。光ファイバは、溶接中に溶接の不規則性を検出するために溶接のリアルタイム監視を可能にするための光信号を提供することができる。本明細書のシステムは、溶接アークの不規則性及び/または溶接幾何学的不規則性などの不規則性を検出し、溶接プロセス中または溶接プロセス後に溶接パラメータを調整することができる。したがって、本明細書の実施例は、溶接部が形成されているときの各溶接部の検査を提供する。
いくつかの実装形態では、本明細書のシステムは、溶接ツール上に取り付けられているか、そうでなければそれに関連付けられている複数の光ファイバを含むことができる。例えば、光ファイバは、溶接ツールコレットの中または上に取り付けられてもよく、溶接ツールハウジングまたはノズルの中または上に取り付けられてもよく、かつ/または溶接電極の上に取り付けられてもよい。光ファイバは、溶接アークならびに溶融プール及び/または溶接ビードから可視光及び非可視光(電磁放射)を受け取ることができる。受信された光は、異なる位置で光ファイバを介してリアルタイムで受信された光信号を監視し比較するために分析されてもよい。異なる位置で光ファイバを介して受信された光信号は、サイズ、形状、及び位置などの溶接形状を光信号から決定することができるように処理することができる。受信された光データは、記録されてもよく、及び/またはパラメータ調整または溶接修理などの処置のために即座にオペレータに送信されてもよい。さらに、適応コントローラを使用して、溶接パラメータを自動的に調整し、及び/または不規則な溶接部を自動的に修復することができる。したがって、本明細書の実施例は、溶接部及び溶接製品の信頼性を向上させ、欠陥製品の数を減らし、溶接完了後の検査及び修理に以前に必要とされた時間を節約することができる。
本明細書の技術は、溶接アーク及び溶接ビード形成を監視することによって、すべての溶接部のリアルタイム溶接監視を可能にする。いくつかの例は、溶接ツール及び/またはアークの自動調整を実行することを含み得、及び/または必要に応じて溶接部の自動修復を実行することを含み得る。溶接中、設置された光ファイバは、例えば円形の溶接ビード形状の場合には3本の光ファイバを使用して、または例えば楕円形の溶接ビード形状の場合には4本の光ファイバを使用して、溶接アーク及び溶融プール(溶接プール)から放出される光信号(例えば電磁波放出)を受信する。光ファイバは、溶接ツールの周囲に配置された多数の可能な取り付け位置のうちの任意の位置で溶接ツールに取り付けることができる。本明細書のシステムは、複数の異なる位置から受信した光信号を比較することによって、溶接プロセス中にリアルタイムでサイズ、形状、及び位置などの溶接幾何学属性を予測することを可能にする。
いくつかの場合において、溶接ビード幾何学形状は、溶接性能を示し得、そして組立中に自動アーク溶接の広範な使用を含む製品の場合に適切に形成された溶接を確実にするために有用であり得る。いくつかの例では、本明細書の3本、4本、またはそれ以上の光ファイバは、異なる位置/視点から光スペクトルを受け取るために、アーク溶接ツールのシールドガスノズルの周りに、対称的に(または他の例では不規則に)分布するように配置し得る。例えば、これらのセンサを介して受信された赤外光信号の強度を測定し、比較して、溶融プールの幾何学形状を決定することができ、これは溶接の不規則性を示すことができる。さらに、センサを介して受信された紫外線及び/または可視光信号の放射強度を測定及び比較して、アークブローのような、異常なアーク状態を判定できる。以上なアーク状態は、例えば、斜め溶接部、不適切な形状の溶接部、または他の溶接の不規則性を招き得る。
受信された光信号情報及び比較結果は記録され、溶接データログに格納されてもよい。さらに、結果は、溶接の不規則性が検出されたときなどの即時の行動のために、人間のオペレータまたは自動溶接コントローラに直ちに提供されてもよい。追加の不規則性を低減または除去するために、及び/または検出された不規則な溶接部に対して修復処置を実行するために、不規則性が検出されたとき、1つ以上の溶接パラメータを変更するために適応制御アルゴリズムが用いられてもよい。したがって、本明細書の実装形態は、溶接性能に対する改善された制御、不規則性に対応するためのより迅速な認識、さらなる不規則性を自動的に低減する機能、及び検出された不規則性を自動的に修復する機能を提供する。
説明のために、自動TIG(GTAW)溶接の環境におけるいくつかの例示的な実装形態について説明する。しかしながら、本明細書における実装形態は、提供された特定の例に限定されず、当業者には明らかなように、ここでの開示の範囲において、他の製造環境、他の用途、他の溶接ツール構成、及び他の種類の溶接に拡張され得る。例えば、本明細書におけるいくつかの例は、産業用ロボットまたは他の自動溶接機によって組み立てられ得る製品のTIG溶接に関するものであり得る。しかしながら、本明細書における実装形態は、他のアーク溶接技術に拡張することができ、例えば、手動TIG溶接、半自動TIG溶接、及び、手動、半自動または全自動のガスメタルアーク溶接やレーザー溶接、摩擦攪拌溶接、プラズマ溶接のような他の種類の自動及び非自動溶接に、拡張することができる。したがって、本明細書の実装形態は、TIG溶接に限定されない。
図1は、いくつかの実装形態による例示的溶接システム100を示す。この例では、溶接ツール102は管状本体106の一端にノズル104を含む。ノズル104はノズル開口部108を含み、それを通して溶接電極110が延びる。溶接中に、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、それらの混合物、または他のガスなどの不活性ガスを、ノズル開口部108から外側に放出して、溶接が行われている溶接領域114の周りにガスシールド112を形成する。ガスシールド112は、溶接部の酸化または他の汚染を防ぐのに役立つ。
溶接中、高周波発生器(図1には図示せず)を使用して、溶接電極110と加工物118との間にアーク120を発生させる。通常、発生器は、アークを発生させるために一定の電流を供給する。この例では、加工物118は、突合せ溶接を行うために互いに隣接して配置された第1の加工物部分122と第2の加工物部分124とを含む。しかしながら、他の例では、ラップジョイント溶接、フィレットジョイント溶接、ティージョイント溶接、エッジジョイント溶接、ガースジョイント溶接など、他の任意の種類の溶接が本明細書の例に従って実行されてもよい。したがって、本明細書の例は、いかなる特定の種類の溶接部、加工物材料、加工物構成などにも限定されない。
アーク120は、加工物118の金属を溶融して溶融プール126を形成する。溶融プール126の大きさは、少なくとも部分的に、溶接電極110の大きさ、電流の量、及び溶融物の量に依存し得る。いくつかの例では、図示したように充填材料なしで、または他の例では充填材料と共に、非消耗性タングステン電極を溶接電極110として使用することができる。さらに、他の例では、消耗電極を使用することができる。
図示の例では、溶接電極110はコレット130によってハウジング106内の適所に支持されている。複数の光ファイバ132が溶接電極110の周囲の位置で、コレット130上またはその中に取り付けられている。本例においては、4本の光ファイバ132があり、3本の光ファイバ132は目に見え、4本目は溶接電極110の反対側に位置しているので溶接電極110によって見えなくなっている。各光ファイバ132は、溶接領域114に面する受光端134を有している。
溶接領域114は、作動時には、溶融プール126(及び/または形成された場合には溶接ビード)及びアーク120を含む。例えば、溶融プール126(及び形成された場合には溶接ビード)からの放射放出を含む溶接領域114からの電磁放射、及びアーク120は、各光ファイバ132の受光端134に入り、光ファイバを介して伝達される。いくつかの例では、溶接領域114から光ファイバ132によって受け取られる電磁放射は、紫外線(UV)電磁放射、可視光、及び赤外線(IR)電磁放射を含むことができる。
いくつかの例では、光信号受信装置140は、光ファイバ132から光信号136を受信し、その光信号136を光信号情報142に対応するデジタルデータに変換する複数の分光計(図1には示さず)を含む。他の例では、光信号受信装置140は、複数のビームスプリッタ、複数の物理的光フィルタ(電磁放射フィルタ)、並びに、赤外線センサや可視光及び/または紫外線センサなどの、複数の光センサ(電磁放射センサ:図1には示されていない)を含むことができる。センサは、受信した光を光信号情報142に対応するデジタルデータに変換する。光信号受信装置140に関するさらなる詳細については、図2及び図3を参照して後述する。さらに、本明細書では光信号受信装置140の2つの例が説明されているが、本明細書の開示の恩恵を受ける他の様々な可能な装置構成が当業者には明らかであろう。
光信号情報142は、監視計算装置150によって受信される。いくつかの例では、監視計算装置150は、直接有線または光接続を介して、光信号受信装置140に直接接続される。他の例では、光信号受信装置140は、1つまたは複数の通信インターフェース(図1には示さず)を含み、監視計算装置150が、ローカルエリアネットワーク(LAN)や広域ネットワーク(WAN)などの1つまたは複数のネットワークを介して、有線、無線もしくはそれらの任意の組み合わせによって、または、直接無線伝送または他のタイプの直接伝送を介して、光信号情報142を受信することを可能にする。
監視計算装置150は、任意の適切なタイプの計算装置であり、例えば、携帯型、半携帯型、半固定型、または固定型である。監視計算装置150のいくつかの例は、タブレット計算装置、スマートフォン及び移動体通信機器、ラップトップ、ネットブック、その他のポータブル計算装置またはセミポータブル計算装置、デスクトップ計算装置、サーバ計算装置、及び他の半固定式または固定式計算装置、並びに、通信を送受信し、本明細書で説明される技術による機能を実行することができる他のさまざまな計算装置を含む。
図示の例では、監視計算装置150は、少なくとも1つのプロセッサ152、1つ以上の計算機可読媒体154、1つ以上の通信インターフェース156、及び1つ以上の入出力(I/O)装置158を含む。各プロセッサ152は、それ自体、1つまたは複数の、プロセッサまたは処理コアを備えることができる。例えば、プロセッサ152は、1つまたは複数の、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央処理装置、状態機械、論理回路、及び/または動作命令に基づいて信号を操作する任意の装置として実装することができる。場合によっては、プロセッサ152は、本明細書に記載のアルゴリズム及びプロセスを実行するように特別にプログラムされた、またはそうでなければ構成された、任意の適切なタイプの1つまたは複数のハードウェアプロセッサ及び/または論理回路であり得る。プロセッサ152は、計算機可読媒体154に格納されている計算機可読プロセッサ実行可能命令を取り出して実行するように構成することができる。
監視計算装置150の構成に応じて、計算機可読媒体154は、有形の非過渡的計算機記憶媒体の一例とすることができ、計算機可読プロセッサ実行可能命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報を記憶するための任意の種類の技術において実装された、揮発性及び不揮発性メモリ及び/またはリムーバブル及び非リムーバブル媒体を含む。計算機可読媒体154は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、固体記憶装置、磁気ディスク記憶装置、光記憶装置、及び/または他の計算機可読媒体技術を含むが、これらに限定されない。さらに、いくつかの例において、監視計算装置150は、情報を格納するために使用することができ、プロセッサ152によって、直接または他の計算装置若しくはネットワークを介してアクセスされる、外部ストレージにアクセスすることができる。例えば、RAIDストレージシステム、ストレージアレイ、ネットワーク接続ストレージ、ストレージエリアネットワーク、クラウドストレージ、他の任意の媒体にアクセスできる。したがって、計算機可読媒体154は、プロセッサ152によって実行され得る命令、モジュールまたは構成要素を格納することができるコンピュータ記憶媒体である。さらに、言及されるとき、非過渡的計算機可読媒体は、エネルギ、搬送波信号、電磁波、及び信号それ自体などの媒体を除外する。
計算機可読媒体154は、プロセッサ152によって実行可能な任意の数の機能構成要素を格納及び維持するために使用される。いくつかの実装形態では、これらの機能構成要素は、プロセッサ152によって実行可能であり、実行時に、監視計算装置150に対する上記の動作及びサービスを実行するための動作ロジックを実装する命令またはプログラムを備える。計算機可読媒体154に格納された監視計算装置150の機能構成要素は、監視プログラム160を含む。本例において、監視プログラム160は、光信号情報142を受信し、溶接ツール102に取り付けられた3本以上の光ファイバ132から受信した光信号情報の分析を実行する。例えば、後述するように、監視プログラム160は、溶融プールの幾何学形状の不規則性を判定するために、赤外光信号強度と、光ファイバを介して受信された少なくとも3つの光信号のうちの任意の2つの信号間の差とを判定する。
さらに、監視プログラム160は、溶接アークが正常であるか不規則であるかを判定するために、光ファイバを介して受信された3つ以上の光信号から受信された紫外線及び/または可視光の放射強度を判定する。加えて、監視プログラム160は、1つ以上の溶接ログデータ構造(DS)162を生成する。溶接ログデータ構造(DS)162は、受信された光信号情報142と、受信された光信号から決定された溶接情報、例えば溶接が正常か不規則かを含む。監視プログラム160は、溶接ログデータ構造162を計算機可読媒体154に格納してもよく、及び/または、1つまたは複数のネットワーク(図1には図示せず)を介して溶接ログデータ構造162からの情報を別の計算装置に送信してもよい。
さらに、計算機可読媒体154は、機能構成要素によって使用されるデータ、データ構造なども記憶することができる。例えば、計算機可読媒体154によって格納されたデータは、溶接ログデータ構造162を含む。さらに、監視計算装置150は、許容範囲データ構造(DS)164を格納またはアクセスできる。許容範囲データ構造164は、各光ファイバ132によって監視される溶接の各部分に関する光信号情報についての経験的に決定された許容範囲を含む。例えば、溶接の各段階中の信号強度の許容範囲は、事前に決定され、許容範囲データ構造164に格納される。いくつかの例では、監視プログラム160は、許容範囲データ構造164にアクセスして、現在の溶接について測定された信号強度が許容範囲データ構造164内の許容範囲内にあるかどうかを判定する。
監視計算装置150の種類に応じて、計算機可読媒体154は、他の機能構成要素及びデータを、任意選択で含み得る。例えば、他のプログラム、ドライバや、ユーザによって使用されるまたは他の機能構成要素によって生成される、データを含んでもよい。さらに、監視計算装置150は、他の多くの論理的、プログラム的、及び物理的構成要素を含むことができ、それらのうち説明されたものは、本明細書の説明に関連する単なる例である。
通信インターフェース156は、1つ以上のネットワークを介してまたは直接に、他の様々なデバイスとの通信を可能にするための1つ以上のインターフェース及びハードウェア構成要素を含む。例えば、通信インターフェース156は、インターネット、ケーブルネットワーク、セルラーネットワーク、無線ネットワーク(例えば、Wi−Fi)、有線ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)または光)、さらに、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energyなどの近距離通信、のうちの1つまたは複数を介した通信を可能にする。
監視計算装置150は、1つまたは複数のI/O装置158をさらに含むことができる。I/O装置158は、スピーカ、ディスプレイ、マイクロフォン、カメラ、様々なユーザ制御装置(たとえば、ボタン、ジョイスティック、キーボード、キーパッドなど)、及び触覚出力デバイスなどを、含むことができる。例えば、不規則な溶接の検出の場合には、ディスプレイまたはスピーカの少なくとも一方を使用して溶接機コントローラ170のオペレータ168に通知を提供することができる。
溶接機コントローラ170は、1つまたは複数のプロセッサ172、計算機可読媒体174、1つまたは複数の通信インターフェース176、及び1つまたは複数のI/O装置178を含むことができる。本明細書のいくつかの例において、1つまたは複数のプロセッサ172は上述のプロセッサ152のいずれかを含むことができ、計算機可読媒体174は上述の計算機可読媒体154のいずれかを含むことができ、通信インターフェース176は上述の通信インターフェース156のいずれかを含むことができ、I/O装置178は上述のI/O装置158のうちのいずれかを含むことができる。溶接機コントローラプロセッサ172は、加工物118に関して溶接ツール102によって実行される溶接プロセスを制御するために使用され得る制御ソフトウェア180を実行し得る。例えば、溶接機コントローラ170によって実行される制御ソフトウェア180は、1つまたは複数の制御信号182をアーク制御部184及び/または1つまたは複数の位置アクチュエータ186に送信する。例えば、アーク制御部184は、アーク120の強度を制御するために溶接電極110に供給される電流の量を制御する。
さらに、1つまたは複数の位置アクチュエータ186は、加工物118に対する溶接ツール102の位置を制御し、またはその逆も可能である。例えば、位置アクチュエータ186は、溶接ツール102及び/または加工物118を互いに接近または遠ざけるように移動させ、加工物118に対する溶接ツール102の角度を制御し、溶接ツール102及び/または加工物118の移動を制御する。一例として、位置アクチュエータ186は、加工物118上の1つまたは複数の位置に、1つまたは複数の溶接部を適用するためのロボット機構の一部とすることができる。しかし、本明細書の実装形態は、加工物118に対する溶接ツールの位置のための特定のタイプの機構に限定されない。さらに、他の例では、1つまたは複数の位置アクチュエータ186を含まずに、溶接ツール102を手動などで位置決めすることができる。
いくつかの例では、溶接機コントローラ170及び監視計算装置150は、同じ計算装置であり、及び/または、同じソフトウェアまたは他の機能構成要素のうちの少なくともいくつかを含む。例えば、監視計算装置150は、制御ソフトウェア180を実行し、制御信号182をアーク制御部184及び/または位置アクチュエータ186に直接送信する。他の例では、溶接機コントローラ170は、監視プログラム160を実行して、光信号情報142を受信し、光信号解析の結果を決定し、そして溶接幾何学形状及び/またはアーク120の異常を検出する。したがって、いくつかの例において、溶接機コントローラ170または監視計算装置150のうちの1つを省くことができる。本明細書の開示の利益を得る多数の他の可能なシステム構成が、当業者には明らかであろう。
図示の例では、4つの光ファイバが溶接電極110の周りに均等に配置されて、インプロセス監視及び加工物118上で行われる溶接プロセスの制御を行っている。さらに他の場合では、上述のように、所望の溶接形状に応じて3本の光ファイバを使用してもよく、さらに他の場合には、以下でさらに議論されるように、5、6、8、10など、4本以上の光ファイバを溶接ツール102上の様々な位置に使用してもよい。本明細書におけるいくつかの実装形態は、特定の位置での複数の光ファイバ、例えば、コレット130に埋め込まれるなどして、溶接電極110の周りに均等に配置されている複数の光ファイバから収集された光信号を参照し比較することによって、溶接ビード(例えばスポット溶接)形状を決定する。図示の例では、コレット130は、複数の貫通孔を穿孔され、光ファイバ132を受け入れて支持する。
図示の例では、光ファイバ132は、以下にさらに説明するように、(例えば、電極110の中心の周りの半径方向の対称性に基づいて)溶接電極110の周りに円形のパターンで対称的に配置されている。さらに、ノズル104を通過するシールドガス112は、溶接部の酸化を防止するためのシールド機能を提供することに加えて、光ファイバ132のための冷却媒体として作用する。いくつかの例において、追加の冷却媒体を設けてもよく、または、シールドガス自体を従来のアーク溶接用途で使用される温度よりも低い温度に冷却してもよい。
上述のように、光ファイバ受光端134は、アーク120及び溶接領域114から放射された光を受信し、光ファイバは、受信した光を光信号136として送信する。光信号受信装置140は、光ファイバ132から光信号136を受信し、光信号情報142を監視計算装置150に供給する。以下で、図2及び図3を参照してさらに詳細に論じるように、監視計算装置150は、光信号情報142を解析する。分析結果に基づいて、溶接の不規則性が検出された場合、監視プログラム160は、制御信号190または通知192のうちの少なくとも1つを送信する。例えば、制御信号190は、溶接機コントローラ170の制御ソフトウェア180に、アーク制御部184または位置アクチュエータ186の少なくとも1つに制御信号182を送信させる。これに加えて、または、これに代えて、監視プログラム160は、監視プログラム160によって検出された溶接の不規則性に対処するための手動の行動を実行することができるオペレータ168に、通知192を送信及び/または提供する。
本明細書のシステム100は、溶接プロセス中に光信号を取得して分析し、取得した光信号を使用して溶接の不規則性を特定する。いくつかの例では、許容される信号強度範囲は、例えば形成されることが望まれる溶接部の種類及び幾何学形状に基づいて、各光ファイバについて個別に設定され得る。許容範囲は、許容範囲データ構造164に記憶されてもよく、これは、受信光信号を各光ファイバについて設定された許容範囲と比較するために、受信光信号の分析中にアクセスされる。さらに、溶接ツールに取り付けられた一組の光センサのうちの各2つの光センサ間の光信号の差を比較するための信号強度差について、許容範囲を設定することができる。
不規則な溶接は、例えば比較の結果が上述の許容範囲外であるとき、決定される。この不規則性判定アルゴリズムを採用することによって、正常または不規則(または合格/不合格)の決定をオペレータに提供することができ、受信した光学データを、分析結果と共に、溶接ログデータ構造162または他のデータベースに記録することができる。いくつかの例では、オペレータは、溶接の不規則性が修正可能である場合などに、溶接の不規則性を手動で修理する。あるいは、いくつかの例では、溶接機コントローラ170は、位置アクチュエータ186及び/またはアーク制御部184を自動的に作動させて、不規則な溶接を修復することができる。
溶接の不規則性を修復することができない場合などの他の場合では、溶接機コントローラ170は、1つまたは複数の制御信号182を依然として送信して、溶接ツール102の設定(例えば位置及び/またはアーク強度)を調整し、その後の溶接では溶接の不規則性を避ける。正常/不規則(または合格/不合格)判定基準に加えて、溶接が完全に不規則な態様で形成される前に、不規則性の早期修正を可能にするために、いくつかの例ではより厳しい基準を採用することができる。例えば、溶接機コントローラ170は、アークブローの検出時等に制御信号182を直ちに送信して、溶接プロセス中に検出された不規則性に、溶接ツール102の位置の変更、加工物位置の変更、アーク強度の調整などによって、リアルタイムで対応することを試みる。修正措置は、ユーザの成功経験に基づく。
さらに、製造される製品及び製造工程に応じて、溶接ツール構成及び溶接構成は異なり得る。加えて、様々な溶接構成、所望の溶接ジョイントの形状及び幾何学形状は変化し得る。溶接ツール102上の個々の光ファイバの配置を修正し、放射UV及び可視光強度並びに測定された放射IRエネルギについて適切な許容範囲を割り当てることによって、本明細書の監視システムは、ラップジョイント、フィレットジョイント、ティージョイント、エッジジョイント、ガースジョイントなどの、多くの種類の溶接に適用できる。したがって、本明細書における実装形態は、いかなる特定の溶接構成または加工物構成にも限定されない。
したがって、本明細書のシステム100は、複数の異なる視点から、溶接位置(例えば溶融プール位置)から光を受け取る複数の光ファイバそれぞれのから得られる複数の光信号を利用することができる。光信号が受信され、互いにそして基準信号パラメータと比較され、溶接部が適切に形成されているか不規則であるかを判定する。したがって、本明細書のシステムは、溶接が行われているときにリアルタイムで溶接幾何学形状及び溶接アークを監視することができ、さらに、監視に基づいて制御信号を送信する、例えば、検出された不規則性の場合に溶接中に修正措置を実施することができる。
図2及び3は、いくつかの実装形態による例示的なプロセスを示す流れ図である。プロセスは、論理フロー図のブロックの集まりとして示され、一連の動作を表し、その一部または全部はハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせで実施することができる。ソフトウェアの文脈では、ブロックは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、列挙された動作を実行するようにプロセッサをプログラムする、1つまたは複数の計算機可読媒体に格納された計算機実行可能命令を表し得る。一般に、計算機実行可能命令は、特定の機能を実行するかまたは特定のデータタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。ブロックが記載されている順序は、限定として解釈されるべきではない。説明されたブロックはいくつでも任意の順序で及び/または並行して組み合わせてプロセスまたは代替プロセスを実施することができ、すべてのブロックを実行する必要はない。説明の目的で、プロセスは、本明細書の例に記載されている環境、システム、及び装置を参照して説明されているが、プロセスは、多種多様な他の環境、システム、及び装置で実施され得る。
図2は、いくつかの実装形態による例示的なプロセス200を示す流れ図である。いくつかの例では、プロセス200は、部分的には光信号受信装置140によって、部分的には計算装置150によって、及び部分的には溶接機コントローラ170によって実行されるアルゴリズムであり、自動溶接中に複数の光ファイバから受信した光信号を使用して、溶接部(例えばスポット溶接部)のアーク及び溶接形状を監視及び制御する。
上述のように、本明細書の実施形態は、複数の光ファイバを介して受信した複数の光信号を比較して、溶接部のサイズまたは形状などの溶接幾何学形状の不規則性及びアークブローなどの溶接中の任意の溶接アーク不規則性を示す差を検出する。したがって、本明細書の実装形態は、溶融プールまたは溶接ビードの画像などに頼るのではなく、溶接領域の周りの複数の異なる位置から取得された取得光信号強度を比較して、不規則性を検出するための溶接幾何学形状及びアーク構成を決定する。さらに、本明細書の実施例では、光ファイバは、溶接ツール上の様々な位置に柔軟に配置することができ、異なる溶接ツール支持構造、異なる種類の組立作業などに対して最適な取り付け位置を可能にする。また、光ファイバは、または、意図する溶接幾何学形状に少なくとも部分的に依存して、電極の周りに均等に配置してもよく、または、不規則に配置してもよい。
202において、溶接機コントローラ170は、溶接プロセスを実行する。例えば、溶接機コントローラ170は、加工物上で溶接プロセスを開始する、または加工物上で溶接プロセスを続行する。
204において、光信号受信装置140は、光ファイバから信号を取得する。例えば、溶接中に、光ファイバは、アーク及び溶接領域によって放射される紫外光、可視光、及び赤外光の波長で放射される電磁放射を受け取り、光ファイバに沿ってこれらの波長を光信号受信装置140に送信する。したがって、この例では、図1の例のように4本の光ファイバがあると仮定する。したがって、光信号受信装置140は、第1の光信号136(1)、第2の光信号136(2)、第3の光信号136(3)、及び第4の光信号136(4)を取得する。
206で、光信号受信装置140は、光信号受信装置140に含まれる1つまたは複数の分光計203を使用して光ファイバからの光信号をデジタル化する。この例では、光信号136それぞれに対応する分光計203があると仮定し、例えば、第1の分光計203(1)、第2の分光計203(2)、第3の分光計203(3)、及び第4の分光計203(4)が、光信号136(1)〜136(4)を、それぞれ受信する。分光計203は、それぞれの光信号136を受信し、受信光信号136に基づいて、受信光信号136内の受信波長を示す光信号情報を生成する。通常、分光計203によって出力される光信号情報は、光信号136を示すデジタル情報であり、受信光信号136において測定された波長を示す。しかしながら、いくつかの代替例では、光信号情報は代わりにアナログ情報である。
208において、監視計算装置150は、分光計出力内の赤外光信号、紫外光信号、及び可視光信号を識別する。例えば、監視計算装置150上のプロセッサは、第1の仮想フィルタ207(1)を実行する。第1の仮想フィルタ207(1)は、各分光計から分光計出力を受け取り、分光計出力の赤外波長部分を識別し、そして赤外波長情報を分析プロセスに提供する。同様に、第2の仮想フィルタ207(2)は、プロセッサによって実行されるプロセスであり、各分光計から分光計出力を受け取り、複数の分光計203からの分光計出力の紫外線及び/または可視波長部分を識別し、そしてUV及び/または可視光波長情報を、分析プロセスへ提供する。
210において、監視計算装置150は、分析プロセスの一部として、赤外光信号強度及び受信した光信号のうちの任意の2つの間の差を決定する。例えば、光ファイバを介して受信された赤外光信号の強度が決定され比較されて、溶接不規則性を示す、溶融プールの幾何学形状を決定する。一例として、監視プログラムは、受信された各光信号について測定された光信号情報を、同じ時間枠内で受信された他の各光信号についての光信号情報と比較し、同じ時間枠内の他の光信号のいずれかと比較したいずれかの光信号の間で、赤外光信号強度に何らかの有意差があるかどうかを判定する。
212において、監視計算装置150は、分析プロセスの一部として、紫外線及び/または可視光信号放射強度及び任意の2つの光信号間の差を決定する。例えば、光ファイバを介して受信された紫外線及び/または可視光信号の放射強度を決定し、比較して、アークブローのような異常アーク状態を決定する。異常アーク状態は、斜めの溶接部、不適切な形状の溶接部、または他の溶接不規則性につながる。一例として、監視プログラムは、受信した各光信号について測定された光信号情報を、同じ時間枠内に受信された他の各光信号についての光信号情報と比較し、同じ時間枠内の他の光信号のいずれかと比較したいずれかの光信号の間で、紫外線及び/または可視光信号放射強度に何らかの有意差があるかどうかを判定する。
いくつかの例では、特定の波長の強度、または特定の範囲の波長からの平均強度積分が、例えば図14A〜図15Bを参照して関して後述するように、比較される。閾値設定に関しては、例えば、経験的に良及び不良と判定された受信光信号データの比較に基づいて、決定される。いくつかの例において、許容範囲データ構造164は、監視データ情報及び溶接品質情報を有するデータベースを含み得る。さらにいくつかの例では、監視プログラム160は、システム訓練プロセスまたは機械学習プロセスを含むまたはアクセスし、このプロセスは、溶接が実行されているときにデータが受信されたときに監視プログラムが溶接品質に関する判定を行うことができるように実行される。したがって、2つの異なる光ファイバの2つの光信号間の閾値差は、いくつかの例では検出強度間の許容差であってもよい。すなわち、差が閾値より大きい場合、溶接は不規則または欠陥であると判定され得る。
214において、監視計算装置150は、分析プロセスの一部として、212において実行された比較に基づいてアークが正常であるかどうかを判定する。例えば、1つまたは複数の信号が他の信号と閾値より大きい有意差を有する場合、これはアークが正常ではないことを示している。例えば、大量生産のためのアーク溶接の使用は、アーク安定性及びその結果としてのプロセスの堅牢性を維持するという課題に直面している。アークの状態は、入力電圧、電力、電極先端角、加工物の変動、環境要因などを含む多数の要因によって影響を受ける可能性がある。これらの要因のいずれかが正常な仕様の範囲外の場合、アーク長、半径、強度、及び偏向の変化など、アークの異常が発生する可能性がある。アークの正常性が溶接位置におけるワーク上の熱量及び熱の分布を決定するので、不規則なアークは不規則な溶接部をもたらす。
216において、監視計算装置150は、分析プロセスの一部として、210において実行された比較に基づいて、溶融プール幾何学形状が正常であるかどうかを判定する。例えば、1つまたは複数の信号が他の信号と有意に異なる場合、例えば、差が閾値を超えている場合、これは溶融プールの幾何学形状が正常ではないことを示す。
監視計算装置150が214でアークが正常ではないと判定した場合、または216で溶融プール幾何学形状が正常ではないと判定した場合、218において、監視計算装置150は、溶接装置のオペレータに通知を提供する。通知は、任意の適切な手段で与えることができる。例えば、監視計算装置150または溶接機コントローラ170で警告を鳴らす、監視計算装置150または溶接機コントローラ170に関連するディスプレイ上で通知を表示する、オペレータに関連付けられたモバイルデバイスにテキストメッセージまたはボイスメールを送信する、または、他の可視的及び/または可聴的通知を与えることができる。
220において、218の動作に加えてまたはその代わりとして、監視計算装置150が214においてアークが不規則である(正常ではない)と判定した場合、または216において溶融プールの幾何学形状が不規則であると判定した場合、監視計算装置150は、溶接機コントローラ170に信号を送信して、溶接機の少なくとも1つの溶接パラメータを変更させる。いくつかの例では、監視計算装置150によって送信される信号は、不規則な(正常ではない)アークまたは不規則な(正常ではない)溶融プール幾何学形状を示す分析の結果を単に含む。他の例では、監視計算装置150によって送信される信号は、溶接ツールの少なくとも1つの特定のパラメータを変更するための溶接機コントローラ170への命令を含む。例えば、監視計算装置150によって送信された信号は、溶接ツールに供給される電流の量を特定の量に変更し、加工物に対する溶接ツールの位置を特定の位置に変更するように溶接機コントローラ170に指示する。
222において、溶接機コントローラ170は、監視計算装置150から受信した受信信号に応答して溶接機の少なくとも1つの溶接パラメータを変更する。例えば、監視計算装置150から受信した信号に基づいて、溶接機コントローラ170は、溶接電極に供給される電流または電圧の量を変更することなどによって、溶接アークを制御するための1つまたは複数のパラメータを変更する。追加的にまたは代替的に、溶接機コントローラ170は、加工物に対する溶接ツール及び溶接電極の位置を制御する1つまたは複数のアクチュエータの位置を制御することなどによって、溶接ツールの位置を制御するための1つまたは複数のパラメータを変更する。いくつかの例では、溶接機コントローラ170は、溶接に伴う1つまたは複数の不規則性に対処するために溶接を再実行することなどによって、修復を実行する。
224に示すように、214でアークが正常であると判定され、216で溶融プールの幾何学形状が正常であると判定された場合、溶接機コントローラ170は、202に示すように、溶接プロセスを実行し続ける。例えば、動作が正常であることを示すために、監視計算装置150によって信号が溶接機コントローラ170に送信される。しかしながら、他の例では、信号は採用しなくてもよい。
図3は、いくつかの実装形態による例示的なプロセス300を示す流れ図である。いくつかの例では、プロセスは、部分的には光信号受信装置140によって、部分的には計算装置150によって、及び部分的には溶接機コントローラ170によって、実行されるアルゴリズムであり、自動溶接中に複数の光ファイバから受信した光信号を使用して、スポット溶接のような溶接の、アーク及び溶接幾何学形状を監視及び制御する。プロセス300は、少なくとも物理的ビームスプリッタ及び物理的光フィルタを使用する点でプロセス200とは異なるが、プロセス200では分光計が使用され、結果として得られる信号は、分光計によって提供される光信号情報から関心のある波長を識別し決定することによって、監視計算装置150のプロセッサによって計算上で「フィルタリング」される。
302において、溶接機コントローラ170は、溶接プロセスを実行する。例えば、溶接機コントローラ170は、加工物上で溶接プロセスを開始し、または加工物上で溶接プロセスを続ける。
304において、光信号受信装置140は、光ファイバから信号を取得する。例えば、溶接中に、光ファイバは、アーク及び溶接領域によって放射される紫外光、可視光、及び赤外光の波長で放射される電磁放射を受け取り、光ファイバに沿ってこれらの波長を光信号受信装置140に送信する。したがって、この例では、図1の例のように4本の光ファイバがあると仮定する。したがって、光信号受信装置140は、第1の光信号136(1)、第2の光信号136(2)、第3の光信号136(3)、及び第4の光信号136(4)を取得する。
306において、光信号受信装置140は、光ファイバから光信号136を受信し、光信号受信装置140に含まれる1つまたは複数のビームスプリッタ303を使用して、各光信号136を2つの異なる光信号に分割する。この例では、各受信光信号136に対応するビームスプリッタ303があると仮定する。第1のビームスプリッタ303(1)、第2のビームスプリッタ303(2)、第3のビームスプリッタ303(3)、第4のビームスプリッタ303(4)は、それぞれ光信号136(1)〜136(4)を受信する。ビームスプリッタ303はそれぞれの光信号136を受信し、各受信光信号136を分割して、受信した光信号136の第1の部分を第1のフィルタ305(1)に、受信した光信号136の第2の部分を第2のフィルタ305(2)に供給する。
308において、光信号受信装置140は、光信号をフィルタリングして検知して、監視計算装置150に提供する光信号情報を決定する。したがって、第1のフィルタ305(1)は、赤外線波長以外の波長を除去する。第1のフィルタ305(1)は第1の光センサ307(1)に赤外光を供給し、第1の光センサ307(1)は、各光ファイバについて受信光信号136(1)〜136(4)の赤外光信号強度を測定する。同様に、第2のフィルタ305(2)は、紫外光波長及び/または可視光波長以外の波長を除去する。第2のフィルタ305(2)は、紫外光及び/または可視光を第2の光センサ307(2)に供給し、第2の光センサ307(2)は、各光ファイバについて光信号136(1)〜136(4)で受信される紫外光及び/または可視光の放射強度を測定する。第1のセンサ307(1)及び第2のセンサ307(2)は、センサ307によって測定された光信号情報を監視計算装置150に提供する。
310において、監視計算装置150は、分析プロセスの一部として、赤外光信号強度を決定し、受信した光信号のうちの任意の2つの間の差を決定する。例えば、光ファイバを介して受信された赤外光信号の強度が決定され、比較され、溶接の不規則性を示す溶融プールの幾何学形状を決定する。一例として、監視プログラムは、受信された各光信号について測定された光信号情報を、同じ時間枠内に受信された他の各光信号についての光信号情報と比較し、同じ時間枠からの他の光信号のいずれかと比較したいずれかの光信号の赤外光信号強度に何らかの有意差があるかどうかを判定する。
312において、監視計算装置150は、分析プロセスの一部として、紫外光及び/または可視光信号放射強度を決定し受信した光信号のうちの任意の2つの間の差を決定する。例えば、光ファイバを介して受信された紫外光及び/または可視光信号放射強度が決定され、比較され、斜めの溶接部、不適切な形状の溶接部、または他の溶接不規則性を引き起こす、アークブローのような異常アーク状態を判定する。一例として、監視プログラムは、受信された各光信号について測定された光信号情報を、同じ時間枠内に受信された他の各光信号についての光信号情報と比較し、同じ時間枠からの他の光信号のいずれかと比較したいずれかの光信号の紫外光及び/または可視光信号放射強度に何らかの有意差があるかどうかを判定する。
314において、監視計算装置150は、分析プロセスの一部として、312において実行された比較に基づいてアークが正常であるかどうかを判定する。例えば、1つ以上の信号が閾値以上に他の信号と大きく異なる場合、アークが正常ではないことを示している。例えば、大量生産のためのアーク溶接の使用は、アーク安定性及びその結果としてのプロセスの堅牢性を維持するという課題に直面する。アークの状態は、入力電圧、電力、電極先端角、加工物の変動、環境要因などを含む多数の要因によって影響を受ける可能性がある。これらの要因のいずれかが正常な仕様の範囲外の場合、アーク長、半径、強度、及び偏向の変化など、アークの異常が発生する可能性がある。アークの正常性が溶接位置におけるワーク上の熱量及び熱の分布を決定するので、不規則なアークは不規則な溶接部をもたらす。
316において、監視計算装置150は、分析プロセスの一部として、310において実行された比較に基づいて、溶融プール幾何学形状が正常であるかどうかを判定する。例えば、1つまたは複数の信号が他の信号と大きく異なる、例えば、閾値以上に異なる場合、これは溶融プールの形状が正常ではないことを示している。
318において、監視計算装置150は、314においてアークが不規則(正常ではない)であると判定した場合、または316で溶融プール幾何学形状が不規則である(正常ではない)と判定した場合、溶接装置のオペレータに通知を行う。通知は任意の適切な手段によって提供することができ、例えば、監視計算装置150若しくは溶接機コントローラ170で警告を鳴らす、監視計算装置150若しくは溶接機コントローラ170に関連するディスプレイ上に通知を表示する、または、オペレータに関連付けられたモバイルデバイスにテキストメッセージまたはボイスメールを送信し、他の視覚的及び/または聴覚的な通知を与えることができる。
320において、318の動作に加えて、またはその代わりとして、監視計算装置150は、314においてアークが不規則である(正常ではない)と判定した場合、または316において溶融プールの幾何学形状が不規則であると判定した場合、監視計算装置150は、溶接機コントローラ170に溶接機の少なくとも1つの溶接パラメータを変更させるために、溶接機コントローラ170に信号を送信する。いくつかの例では、監視計算装置150によって送信される信号は、異常アークまたは異常溶融プール幾何学形状を示す分析の結果を単に含む。他の例では、監視計算装置150によって送信される信号は、溶接機コントローラ170への、溶接ツールの少なくとも1つの指定のパラメータを変更する命令を含む。例えば、監視計算装置150によって送信された信号は、溶接ツールに供給される電流の量を指定の量に変更し、加工物に対する溶接ツールの位置を指定の位置に変更するように溶接機コントローラ170に指示する。
322において、溶接機コントローラ170は、監視計算装置150から受信した受信信号に応答して、溶接機の少なくとも1つの溶接パラメータを変更する。例えば、監視計算装置150から受信した信号に基づいて、溶接機コントローラ170は、溶接電極に供給される電流または電圧の量を変更することなどによって、溶接アークを制御するための1つまたは複数のパラメータを変更する。追加的にまたは代替的に、溶接機コントローラ170は、加工物に対する溶接ツール及び溶接電極の位置を制御する1つまたは複数のアクチュエータの位置を制御するなどによって、溶接ツールの位置を制御するための1つまたは複数のパラメータを変更する。いくつかの例では、溶接機コントローラ170は、溶接における1つまたは複数の不規則性に対処するために、溶接を再実行することなどによって修復を行う。
324に示すように、314でアークが正常であると判定され、316で溶融プールの幾何学形状が正常であると判定されると、溶接機コントローラ170は、302に示すように、溶接プロセスを実行し続ける。例えば、動作が正常であることを示すために、監視計算装置150によって信号が溶接機コントローラ170に送信される。しかしながら、他の例では、信号は採用されなくてもよい。
本明細書におけるいくつかの実装形態は、例えば図1〜3に関して上述したように、自動溶接中にセンサとして複数の光ファイバを使用し、例えばスポット溶接や他の種類の溶接において、溶接アーク及び溶接部の幾何学形状に焦点を当てている。本明細書の実施例は、これらの複数の光ファイバを通して受信される電磁放射信号を比較することを含み、これにより、閾値差を超える差を検出して、溶接中に、溶接幾何学形状が不規則であるかどうかを決定する、及び/または、アークブローなどのアーク不規則性を検出する。したがって、いくつかの例は、赤外光範囲、紫外光範囲及び/または可視光範囲における受信光信号強度を比較して、溶融プール/溶接ビード幾何学形状及び/または溶接アーク構成を決定する。
図4A〜4Dは、いくつかの実装形態による例示的な光ファイバ配置位置を示す。図4Aの例では、図1に関して上述した例と同様に、光ファイバ132はコレット130内に埋め込まれており、例えば、コレット130に形成されたスルーホール402内に配置される。したがって、この例では、光ファイバ132(1)から132(4)は、溶接電極110の周囲に対称に配置され(例えば、溶接電極の中心の周りに放射状に対称)、さらに、コレット130内に配置され、コレット130によって支持される。
図4Bは、図4Aの例の断面図であって、図4Aの4B−4B線に沿って見たときの断面図である。図4Bは、光ファイバ132が溶接電極110の周りに対称に配置されていることを示している。したがって、溶接電極によって生成されたアークが、アークブローなどによって溶接電極110の一方の側に偏っている場合、光ファイバの1つは、溶接電極110の反対側の光ファイバよりも強い強度の光を受け取る。同様に、溶接中に生成された溶融プール及び/または溶接ビードが予期せぬ形で非対称である場合には、光ファイバ132(1)〜132(4)のうちの1つによって受けられる光の強度は、光ファイバ132(1)〜132(4)のうちの1つまたは複数の他のものによって受け取られるものとは異なる。
図4Cは、3本の光ファイバが溶接電極110の周りに対称的に配置され、コレット130の貫通孔402内に配置されている例を示している。図4Dは、図4Cの例の断面図を示し、図4Cの線4D−4Dに沿って見たときの図4Cの断面図である。図4Dの例は、光ファイバ132が溶接電極110の周りに対称に配置されていることを示している。したがって、溶接電極によって発生したアークが、アークブローなどによって溶接電極110の一方の側に偏っている場合、光ファイバのうちの1つは、溶接電極110の反対側の光ファイバよりも、強い強度の光を受ける。同様に、溶接中に生成された溶融プール及び/または溶接ビードが予期せぬ形で非対称である場合、光ファイバ132(1)〜132(3)のうちの1つによって受けられる光の強度は、光ファイバ132(1)〜132(3)のうちの1つまたは複数の他のものによって受け取られるものとは異なることになる。
図5A〜5Dは、いくつかの実装形態による例示的な光ファイバ配置位置を示す図である。図5A〜5Dの例では、光ファイバは、ノズル104の外側面に配置されている。一例として、この構成は、ノズル104またはコレット130の穿孔が望ましくないかまたは実用的ではない状況で使用される。そのような一例は、溶接ツール102が小さいサイズの場合である。さらに、いくつかの例では、追加の冷却媒体(図5A〜5Dには示されていない)を利用して、光ファイバへの熱損傷を防ぐことができる。
図5Aの例では、光ファイバ132は、ツールノズル104の外側面の周上に配置する。さらに、本明細書では説明の便宜のために光ファイバ132を切り取って示しているが、光ファイバ132は、上述のように、そして例えば図1に示すように、ハウジング106に沿って、上述した光信号受信装置140まで延びている。光ファイバは、接着剤、機械的固定具、一体的に形成されたコネクタなどのような、任意の適切な技術を使用してノズル104及び管状本体106に固定することができる。
図5Bは、図5Aの例の断面図を示し、図5Aの5B−5B線に沿って見た図である。図5Bの例は、光ファイバ132がノズル104の外面の周りに対称的に配置されていることを示している。図5Bでは、4つの光ファイバ132(1)〜132(4)が見えているが、図5Aにおいて、2つの光ファイバ132(1)及び132(3)のみが、見えている。
図5Cは、3本の光ファイバ132がノズル104の外側に対称に配置されている例を示している。図5Dは、図5Cの例の断面図を示し、図5Cの5D−5D線に沿って見た図である。図5Dの例は、光ファイバ132がノズル104及び溶接ツール本体106の外側の周りに対称的に配置されていることを示す。さらに、図5Dの図では、3本全ての光ファイバ132(1)〜132(3)が見えるが、図5Cでは、光ファイバ132(1)及び132(3)(部分的に隠れ線で示されている)のみが見えている。
図6A〜6Dは、いくつかの実装形態による例示的な光ファイバ配置位置を示す図である。図6A〜6Dの例では、光ファイバはガスノズル104の内側に配置されている。一例として、この構成は、コレット130の穿孔が望ましくないかまたは実用的ではなく、光ファイバを溶接ツールノズル104の外側上に配置することが望ましくない状況で使用される。例えば、この実装形態では、シールドガスは、上述のいくつかの実装形態と同様に、光ファイバ用の冷却剤としても機能する。
図6Aの例では、光ファイバ132は、ツールノズル104の内側に、周上に配置されている。さらに、本明細書では説明の便宜のために光ファイバ132を切り取って示しているが、図1に示す例と同様に、光ファイバ132は、ハウジング106の内側に沿って、上述した光信号受信装置140まで延びている。光ファイバ132は、接着剤、機械的固定具、一体的に形成されたコネクタなどのような任意の適切な技術を使用して、ノズル104及び管状本体106に固定することができる。
図6Bは、図6Aの例の断面図を示し、図6Aの6B−6B線に沿って見た図である。図6Bの例は、光ファイバ132がノズル104の内部の周りに対称的に配置されていることを示す。さらに、図6Bの図では、4本の光ファイバ132(1)〜132(4)が見えるが、図6Aの図では、光ファイバ132(1)及び132(3)のみが見えている。図5A〜図6Bに示すように、一例において、複数の光ファイバの1つ以上の光ファイバは、ノズルの内側またはノズルの外側のうちの少なくとも一方において、ノズルの円錐形状部に取り付けられる。
図6Cは、4本の光ファイバ132が溶接電極110の外側に対称に配置されている例を示している。図6Dは、図6Cの例の断面図を示し、図6Cの6D−6D線に沿って見た図である。図6Dの例は、光ファイバ132が溶接電極の外側の周上に対称的に配置されていることを示している。さらに、全4本の光ファイバ132(1)〜132(4)が図6Dの図には見えているが、図6Cの図では、光ファイバ132(1)、132(2)、及び132(3)のみが見えている。いくつかの例では、光ファイバは、1つまたは複数のリング形状ばね、1つまたは複数のホースクランプ、接着剤、または他の適切な固定具(図6A及び図6Dには不図示)などによって、溶接電極110上の定位置に維持することができる。
説明のために、コレット130に取り付けられ、ノズル104の内側または外側に取り付けられ、溶接電極110に取り付けられているなど、いくつかの例示的な光ファイバ配置を本明細書で説明する。しかしながら、本明細書における光ファイバの配置は、図示及び説明された例に限定されず、ノズルまたは溶接ツール本体に統合されたものなどの他の配置位置、記載された配置位置の任意の組み合わせ、または他の配置位置に拡張することができることは、本明細書の開示の恩恵を受ける当業者には明らかであろう。
さらに、円形スポット溶接が選択される場合など、本明細書に記載されるいくつかの特定の用途の場合、光ファイバは、溶接電極110などの周りに均一に及び/またはそうでなければ対称的に分布するように示される。しかし、光ファイバの数、ならびに光ファイバの分布及び配置は、対称配置に限定されず、不均一または他の非対称配置に拡張することができる。例えば、曲がった又は不規則な形状を有する加工物を溶接するときのような特定の用途に対して所望のスポット溶接形状が不規則であることが望まれる場合のように、光ファイバの最小数は場合によっては4本以上である。
図7は、いくつかの実装による強度対波長の例示的グラフ700を示す。この例では、グラフ700は、軟鋼のTIG溶接に関する典型的なアーク放射スペクトルを表す。グラフ700に示されるように、アークから検出される光信号は、紫外から(例えば380nm未満から可視光スペクトルまで(例えば750nmまで))広範囲のスペクトルにわたる光の波長を含む。図7のスペクトルは、発生したアークによって放射された光を表し、連続スペクトルと特性線スペクトルとからなる。強度の高い放射の大部分は、紫外領域702及び380〜600nmの短波長可視光領域704にある。
図8は、いくつかの実装形態による放射エネルギ対波長の例示的グラフ800を示す。可視光の範囲は802で陰影領域として示され、紫外光範囲804は可視光範囲802の左側にあり、赤外光範囲806は可視光範囲802の右側にある。このグラフは、溶融プールからの放射に対する、典型的な黒体の放射エネルギ対波長を表す。この例では、放射エネルギは近赤外範囲、例えば750〜1000nmの間でピークに達する。したがって、この範囲の溶融プール特性を決定することは溶融プールの状態と密接に関係している。
図1〜3の例では、光ファイバを介して受信された光信号は、(物理的または計算上)特定の波長範囲にフィルタリングされてもよい。例えば、紫外光及び可視光の範囲はアーク状態に敏感であり、赤外光範囲は溶融プールの状態により敏感である。図3に関して上述したように、ビームスプリッタ及び物理的光学フィルタが光ファイバに直列に接続されて、検出されている溶接状態の検出に寄与しない範囲の電磁放射を除去する。図2に関して説明したように、代替的な方法は、光ファイバを分光計に直列に接続し、続いて、得られたデータを計算によりフィルタリングして、検出されている溶接状態(すなわちアーク状態または溶融プール状態)にとって重要な光強度を有する特定波長を分離する。
他の例では、監視システムは、特定の波長範囲を分離するために光信号をフィルタリングすることなく動作してもよい。例えば、全スペクトルは、各光信号について分光計を使用することによって収集される。一例として、許容可能で欠陥のあるスペクトルパターンを用いてデータベースを構成することができる。したがって、受信スペクトルをデータベース内の許容可能な欠陥スペクトルパターンと比較して、溶接部または関連するアークが不規則であるかどうかを判定することができる。
いくつかの例では、機械学習モデルを使用してスペクトル比較を実行することができる。例えば、機械学習モデルは、許容可能で欠陥のあるスペクトルパターンのデータベースを使用して訓練される。続いて、複数の光ファイバから受信した新たな受信パターンを機械学習モデルに提供して、分類する、または、信頼レベル内などの範囲内で、許容範囲可能で欠陥のあるスペクトルパターンとのマッチングを行う。適切な機械学習モデルの例は、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、または畳み込みニューラルネットワークなどの深層学習ネットワークなどの分類モデルを含む。適切な機械学習モデルのさらなる例は、予測モデル、決定木、線形回帰モデルなどの回帰モデル、マルコフモデル及び隠れマルコフモデルなどの確率モデル、回帰ニューラルネットワークなどの人工ニューラルネットワークなどを含む。したがって、本明細書における実装形態は、特定のタイプの機械学習モデルに限定されない。
図9A〜9Dは、いくつかの実施態様による例示的な溶接幾何学形状を示す図である。図9Aは、第1の加工物部分902と第2の加工物部分906とを接続する楕円形スポット溶接部902が形成された加工物900の上面図を示す。図9Bは、図9Aの線9B−9Bに沿って見たときの加工物900及び楕円形スポット溶接部902の断面図を示す。この例では、楕円形スポット溶接部902は、第1の加工物部分904と第2の加工物部分906との間の接合部908の中心にあり、加工物900内に意図した距離まで貫通して、本明細書のいくつかの実施形態による、対称的で概ね上手く形成された楕円形スポット溶接部の例を与える。
楕円形スポット溶接部902の溶接品質を検出するために、図1〜3に関して上述したような本明細書のいくつかの例に従って、4つの対称的に配置された光ファイバ132(1)〜132(4)を使用することができる。例えば、溶接部の作成中に、光ファイバ132(1)〜132(4)は、概して溶接部902に関して示されるように位置決めされる。したがって、第1の光ファイバ132(1)から受信される光信号を第3の光ファイバ132(3)から受信された光信号と比較することによって、受信された光信号が許容される閾値量内で概ね同じである場合、溶接部は概ね対称的である。同様に、第2の光ファイバ132(2)から受信した光信号が第4の光ファイバ132(4)から受信した光信号と概ね同じである場合、これはまた、溶接部が概ね対称的であることを示す。さらに、第1及び第3の光ファイバによって受信された光信号が、第2及び第4の光ファイバによって受信された光信号よりも高い強度を有する場合、楕円形状を示す。さらに、各光ファイバによって受信された受信光の強度の量を検出することによって、図8のグラフ800に示されているように基準放射エネルギ情報と比較するときに、4つの光ファイバによって検出された4つの位置すべてにおいて、溶融プールが適切な溶接部の形成に十分な温度を達成したかどうかを判定することが可能である。
図9Cは、第1の加工物部分904と第2の加工物部分906を接続する円形スポット溶接部910がその上に形成された加工物900の上面図を示す。図9Dは、図9Cの線9D−9Dに沿って見たときの加工物900及び円形スポット溶接部910の断面図を示す。この例では、円形スポット溶接部910は、第1の加工物部分904と第2の加工物部分906との間の接合部908の中心にあり、加工物900内に意図した深さまで貫通して、本明細書のいくつかの実施形態による、対称的で概ね上手く形成された円形スポット溶接部の例を与える。
円形スポット溶接部910の溶接品質を検出するために、図1〜3に関して上述したような本明細書のいくつかの例と同様に、3つの対称的に配置された光ファイバ132(1)〜132(2)を使用することができる。例えば、円形溶接部910の作成中に、光ファイバ132(1)〜132(3)は概して溶接部910に関して示されるように位置決めさる。したがって、第1の光ファイバ132(1)によって受信された光信号を第2の光ファイバ132(2)及び第3の光ファイバ132(3)によって受信された光信号と比較することによって、さらに、第2の光ファイバ132(2)によって受信された光信号を第3の光ファイバ132(3)によって受信された光信号と比較することによって、円形スポット溶接部910の対称性を検出することができる。さらに、光ファイバによって検出された放射強度が概ね同じである場合、これは円形溶接部910が実際に円形であることを示している。さらに、各光ファイバによって受信された受信光の強度の量を検出することによって、図8のグラフ800に示されているような基準放射エネルギ情報と比較したとき、溶融プールが、3つの光ファイバによって検出された3つの位置すべてにおいて適切に溶接部を形成するのに十分な温度を達成したかどうかを判定することが可能である。
図10A及び10Bは、いくつかの実装形態による溶接幾何学形状監視の一例を示す図である。図10Aは、不規則な楕円形溶接部1002が形成された溶接ツール102及び加工物900の側面断面図を示す。図10Bは、図10Aの加工物900の上面図を示し、線10A−10Aは、上面図における図10Aの断面の位置を示す。図10A及び10Bは、加工物900に対する溶接ビード位置のずれによる溶接幾何学形状の不規則性を示す。破線1004は、加工物900に対する目標溶接位置を示す。
この例では、溶接中に不規則な溶融プールが形成されている。結果として、光ファイバ132によって検出される近赤外光信号は、接合部908の両側に非対称的な分布を有する。例えば、接合部908の左側には、強いIR放射の領域1006があり、接合部908の右側には、低いIR放射の領域がある。監視プログラムは、図1〜3を参照して上述した技術を使用して差異を検出し、オペレータに警告する、または、溶接機コントローラに制御信号を送信して、例えば、オフセットを補償するために電極位置を調整することによって、溶接を自動的に修正する。さらに、本明細書の監視システムは、検出されたIR放射に基づいて同様の方法で、不規則な大きさまたは形状などの他の溶接幾何学的不規則性を検出することができる。
図11A及び11Bは、いくつかの実装形態によるアークブローを監視する一例を示す図である。図11Aは、不規則な溶接部1102が形成された溶接ツール102及び加工物900の側面断面図を示す。図11Bは、図11Aの加工物900の上面図を示し、線11A−11Aは、上面図における図11Aの断面の位置を示す。図11A及び11Bは、アークブローによる溶接不規則性を示す。円形破線1004は、加工物900に対する目標溶接位置及び幾何学形状を示す。
この例では、不規則に形成された溶接部1102をもたらす不規則なアークによって示されるように、アークブローが発生した。アークブロー(「アークワンダー」とも呼ばれる)は、不均衡な磁場または熱効果に起因する望ましくない溶接状態である。アークブローが発生すると、アークは最短経路、つまり図11Aの垂直方向から偏向する。その結果、図11Bに示す斜めの溶接部のような欠陥のある溶接部が生じる。
アークは、図7に関して上述したように、主に紫外光及び可視光範囲内のスペクトル範囲の放射を発生させる。溶接中に各光ファイバが受ける紫外光及び可視光を分析して、著しいアークブロー挙動があるかどうか、もしあるならば、偏向方向を検出する。加えて、アークブローを検出するために、本明細書の実装形態は、不適切な電流または電圧や電極の磨耗等に起因する異常なアーク出力のような他のアーク状態を、上述の技術を通じて検出する。
図12は、いくつかの実装形態による例示的プロセス1200を示すフロー図である。このプロセスは論理フロー図においてブロックの集まりとして示されており、一連の動作を表している。ブロックが記載されている順序は、限定として解釈されるべきではない。場合によっては、説明されたブロックを組み合わせて、異なる順序で実行することができ、及び/またはプロセスまたは代替プロセスを実装するために並行して実行することができ、全てのブロックを実行する必要はない。説明の目的で、本プロセスは、本明細書の実施例に記載されている環境及び装置を参照して記載されているが、プロセスは他の様々な環境及び装置で実施することができる。いくつかの例では、プロセスは、少なくとも部分的に、図1に関して上で論じられた監視計算装置150(及び/または溶接機コントローラ170)によって実行され得る。
1202において、計算装置は、溶接作業中に溶接領域から電磁放射を受け取るように配置された複数の光ファイバの個々の光ファイバについての赤外光信号強度の許容範囲を決定する。例えば、許容範囲は、経験的に事前に決定されていてもよく、図1に関して上述したように、計算装置にアクセス可能な記憶場所の許容範囲データ構造に格納されてもよい。
1204において、計算装置は、複数の光ファイバの個々の光ファイバについて放射紫外光及び可視光信号強度についての許容範囲を決定する。例えば、許容範囲は、経験的に事前に決定されていてもよく、計算装置にアクセス可能な記憶場所に記憶されてもよい。
1206で、計算装置は、溶接作業中に複数の光ファイバを介して受信されたそれぞれの光信号に基づく光信号情報を受信する。図1〜3に関して上述したように、光信号受信装置は、光ファイバから光信号を受信し、光信号情報を出力する。光信号情報は、受信した光信号に関するデジタル情報である。受信した光信号は、溶接作業中の溶接部からそれぞれの光ファイバによって受信された紫外光、可視光、及び赤外光電磁放射強度を示す。
1208において、計算装置は、光ファイバのうちの第1の光ファイバに対応する光信号情報を、光ファイバのうちの第2の光ファイバに対応する光信号情報と比較する。いくつかの例において、計算装置は、各光ファイバについて受信された光信号情報を他の光ファイバのそれぞれと比較して、その差が許容されるしきい値差を超えるかどうかを判定してもよい。差が閾値を超える場合、溶接幾何学形状または溶接アークなどの溶接が、不規則であると判定され得る。
1210において、計算装置は、各光ファイバについて受信された光信号情報を放射紫外光及び可視光信号強度についての許容範囲と比較する。いくつかの例において、計算装置は、比較を行うために、許容範囲データ構造にアクセスしてもよい。いずれかの光ファイバについての光信号情報が許容範囲外である場合、溶接部は不規則であると判定される。
1212において、計算装置は、各光ファイバについて受信された光信号情報を赤外光信号強度についての許容範囲と比較する。いくつかの例において、計算装置は、比較を行うために、許容範囲データ構造にアクセスしてもよい。いずれかの光ファイバについての光信号情報が許容範囲外である場合、溶接部は不規則であると判定される。
1214において、1208、1210、及び/または1212での比較に少なくとも一部に基づいて、計算装置は、溶接幾何学形状または溶接アークのうちの少なくとも1つが、不規則であるかどうかを少なくとも部分的に判定する。
1216において、計算装置は、溶接幾何学形状または溶接アークのうちの少なくとも一方が不規則であると判定したことに基づいて、少なくとも1つの動作を実行する。
図13は、いくつかの実装形態による例示的なプロセス1300を示すフロー図である。この例では、光信号136は、光信号136が受信された時間に従って相関される。光信号136から決定されるセンサの読み取り値は、その後分析のためにデータ構造1302に格納される。したがって、いくつかの例では、プロセス1300は、図1〜3に関して上述した監視計算装置150上のプロセッサ152が、監視プログラム160からの命令を実行することによって、少なくとも部分的に実行され得る。さらに、いくつかの例では、プロセス1300は、少なくとも部分的に上述した溶接機コントローラ170またはロボットコントローラなどの他の計算装置によって実行され得る。
1304において、溶接機コントローラ170は、制御信号1303を溶接機1306に送信し、いくつかの例において、複数の分光計203(または図3の実施形態の場合にはセンサ307(図13において不図示))及び/または監視計算装置150に、追加の信号1305を同時に送信して、溶接中に光信号136の感知を引き起こす。溶接機コントローラ170は、オペレータによって手動で溶接を開始させる。他の例において、溶接は、監視計算装置150によって開始されてもよく、溶接機コントローラ170によって実行されるソフトウェアによって開始されてもよく、またはロボットコントローラなどの別の計算装置によって開始されてもよい。一例として、溶接は、監視計算装置150上の監視プログラムによって開始されてもよく、それは溶接機コントローラ170に制御信号1303を溶接機1306に送信させる。別の例として、図1〜3を参照して説明したように、溶接機コントローラ170によって実行されるソフトウェアは制御信号1303を送信して溶接プロセスを開始し、さらに制御信号1305を送信して複数の分光計203(またはセンサ307)に溶接領域から光ファイバによって受信された光信号を読み取らせる。
別の例として、監視計算装置150は、溶接機コントローラから制御信号1305を受信し、複数の分光計203と通信して分光計203からの読み取り値を光信号情報142として受信する。他の例において、監視計算装置150が溶接機コントローラ170に溶接を開始させる場合、監視計算装置150はまた、分光計203(または実装によってはセンサ307)から光信号情報を受信するために分光計203と通信する。いくつかの例では、複数の分光計203(またはセンサ307)は、同じデータ収集頻度に従って受信信号をサンプリングする。データ収集頻度は、分光計203自体または監視計算装置150のプロセッサによって制御される。
1310において、監視計算装置プロセッサは、分光計/センサからの読み取りのタイミングを決定し、タイミングに関連して読み取り値をデータ構造に格納する。一例として、タイムスタンプは、対応する光ファイバ識別子(ID)に対するデータ構造1302内の各分光計203からの各読み取りと関連付けられて記憶されてもよい。この例では、データ構造1302は、T1、T2、・・・、TNなどの各読み取りについての時間1312、及びファイバ1、ファイバ2、・・・、ファイバMなどのファイバID1314を格納する。ファイバIDは、光信号136を分光計203(1)〜203(4)または他の例では複数のセンサ307に供給するファイバに対応する。1316に示すように、各ファイバID1314及び各時間間隔1312について、データ構造1302は、各分光計またはセンサによって読み取られた対応する光信号から決定された強度読み取り値を格納する。監視計算装置はその後、リアルタイムで溶接部の分析を実行するために記憶された読み取り値を使用する。いくつかの例では、データ構造1302は、図1に関して上述した溶接ログデータ構造162の一部である、及び/またはその中に含まれる。
図14A及び14Bは、いくつかの実装形態による、異なる光信号から信号強度を決定する例を示す。例えば、検出された強度は、図13に関して上述したデータ構造1302から、各光ファイバIDについて特定の波長において決定される。各光ファイバIDは、溶接ツールや溶接部などの位置に対応し、形成されている溶接部の一部からの光信号を検出し、各光信号を溶接部の各部分に関連付ける。
図14Aの例では、図13の時間T2の間、分光計203(1)は、光ファイバ1から信号を受信し、強度グラフ1400を提供するとする。この場合、1402に示すように、波長400nmにおける信号の強度は450a.u.であるとする。図14Bの例では、同じ時間T2の間、分光計203(2)が光ファイバ2から信号を受信して、強度グラフ1404を提供するとする。この場合、1406に示されるように、400nmの波長における信号の強度は250a.u.であるとする。
いくつかの例において、これらの強度を互いに比較して、それらが互いの閾値内にあるかどうかを判定して、溶接が許容可能であるかまたは不規則であるかを、示すことができる。追加的に又は代替的に、各ファイバIDについて測定された強度は、経験的に定められた範囲の許容範囲データ構造164で特定されるそのファイバIDについての許容範囲と比較され、測定強度が、対応する時間及び溶接位置について決定されている範囲内にあるか否かを判定する。さらに、400nmが本例における比較のための例示的な波長として使用されるが、本明細書における実装形態は特定の波長に限定されない。
図15A及び15Bは、いくつかの実装による、異なる光信号から平均信号強度を決定する例を示す。上述の図14及び14Bの例と同様に、この例では、図15Aのグラフ1500は、光ファイバ1からの第1の光信号読み取り値を表し、図15Bのグラフ1502は、光ファイバ2からの第2の光信号読み取り値を表すとする。グラフ1500において、1000nmの範囲における放射エネルギは、1506において示されるように、約4a.u.の平均強度を有するとする。一方、グラフ1502において、1508で示されるように、1000nmにおける放射エネルギは、約3a.u.の平均強度を有するとする。
いくつかの例において、これらの平均強度を互いに比較して、それらが互いの閾値内にあるかどうかを判定し、溶接が許容可能であるかまたは不規則であるかを示す。追加的に又は代替的に、各ファイバIDについて測定された平均強度は、経験的に決定された範囲の許容範囲データ構造164で特定されるそのファイバIDについての許容範囲と比較され、測定強度が対応する時間及び溶接位置について決定された範囲内にあるか否かを決定する。さらに、1000nmの範囲がこの例における比較のための例示的な波長範囲として使用されているが、本明細書における実装形態は特定の波長範囲に限定されない。
本明細書に記載の例示的なプロセスは、説明の目的で提供されたプロセスの単なる例である。本明細書の開示に照らせば、他の多数の変形が当業者には明らかであろう。さらに、本明細書の開示は、プロセスを実行するための適切なフレームワーク、アーキテクチャ、及び環境のいくつかの例を説明しているが、本明細書の実装形態は、示し説明した特定の例に限定されない。さらに、本開示は、説明され図面に示されるように、様々な例示的な実装形態を提供する。しかし、本開示は、本明細書で説明及び図示された実装形態に限定されず、知られるように、または当業者に知られるようになるように、他の実装形態に拡張することができる。
本明細書に記載の様々な命令、方法、及び技法は、計算機可読媒体に格納され、本明細書のプロセッサによって実行されるコンピュータプログラム及びアプリケーションなどのコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で考えることができる。一般に、プログラム及びアプリケーションという用語は互換的に使用されることがあり、特定のタスクを実行するためまたは特定のデータタイプを実装するための命令、ルーチン、モジュール、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、実行可能コードなどを含むことがある。これらのプログラム、アプリケーションなどは、ネイティブコードとして実行することができ、または仮想マシンまたは他のジャストインタイムコンパイル実行環境の中などでダウンロードして実行することができる。典型的には、プログラム及びアプリケーションの機能は、様々な実装形態において望まれるように組み合わせられまたは分散され得る。これらのプログラム、アプリケーション、及び技術の実装は、計算機記憶媒体に格納されるか、または何らかの形の通信媒体を介して送信され得る。
主題は構造的特徴及び/または方法論的行為に特有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲に規定される主題は必ずしも説明された特定の特徴または行為に限定されないことを理解されたい。そうではなく、特定の特徴及び動作は、特許請求の範囲を実施する例示的形態として開示されている。