JP2013198929A - 溶接トーチの接触検知装置及び溶接トーチの接触検知方法 - Google Patents

溶接トーチの接触検知装置及び溶接トーチの接触検知方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶接トーチのノズルとワークとの異常接触を適正に検出することができるようにする。
【解決手段】溶接トーチ2のノズル3と溶接トーチ2で溶接されるワーク4との間に電圧を印加し、印加した電圧の変化によりノズル3とワーク4との接触を検知する接触検知手段6を備えた溶接トーチの接触検知装置1であって、接触検知手段6は、電圧の変化によるノズル3とワーク4との接触時間に基づいてノズルの異常接触を検知する。接触検知手段6は、電圧の変化によるノズル2とワーク4との接触時間に基づいてノズルの異常接触を検知する
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、シールドガスを用いながら溶接を行うTIG、MIG、MAGなどのアーク溶接に用いる溶接トーチのノズルがワークに接触したことを検知する溶接トーチの接触検知装置及び溶接トーチの接触検知方法に関するものである。
従来より、シールドガスを用いながら溶接を行うTIG、MIG、MAGなどのアーク溶接などでは、溶接を行うワーク上に溶接トーチを設置し、この溶接トーチをウィービングさせながらワーク同士の溶接を行っている。溶接トーチをウィービングさせながら溶接を行ったとき、開先幅が狭い場合やノズル径が大きいと、溶接トーチのノズルの外周面がワーク(特に、ワークに形成された開先を構成する側壁)に接触することがある。溶接動作時において、溶接トーチのノズルとワークとの接触を検知する装置として特許文献1に示すものがある。
特許文献1では、トーチ接触検出機能によって検出された溶接トーチの接触検出信号に基づき溶接トーチの動作を停止させるロボット停止機能を備えた溶接ロボットにおいて、トーチ接触検出機能は選択自在な高低複数種類の接触検出感度の接触検出部を備え、ティーチングに基づいて各接触検出部のいずれかを選択する接触感度切換制御部を備えている。即ち、特許文献1では、溶接トーチのノズルがワークに接触したことを検出する接触感度を複数種類用意して、接触感度を切り換えることによって溶接トーチのノズルとワークとの接触を検知することとしている。
特開平06−246450号公報
特許文献1では、溶接トーチとワークとの接触判定は行えるものの、溶接トーチとワークとが接触した時点で即座に接触状態と判定し、溶接ロボットを停止することとしている。このような場合、頻繁に溶接ロボットが停止することになり、溶接ロボットによる溶接の自動化の効率が低下することになる。
また、特許文献1の技術を用いて多関節の溶接ロボットで溶接を行う場合は、まず、当該溶接ロボットに予め溶接トーチの位置を教示した後、教示した教示データに基づき溶接トーチを動かすことになる。教示段階で、溶接ロボットのノズルとワークとが接触することがある場合には、接触状態を判定し溶接ロボットを停止するための感度設定(閾値設定)が難しいこととなる。すなわち、溶接トーチとワークとが接触した時点で即座に接触状態と判定して停止とすれば、教示作業そのものができなくなり、溶接トーチとワークとの接触を大幅に許せば、適正な溶接が行えないことになる。
そこで、本発明は、問題点に鑑み、溶接トーチのノズルとワークとの異常接触を適正に検出することができる溶接トーチの接触検知装置及び溶接トーチの接触検知方法を提供するようにしたものである。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
即ち、本発明に係る溶接トーチの接触検知装置は、溶接トーチのノズルと前記溶接トーチで溶接されるワークとの間に電圧を印加し、印加した電圧の変化によりノズルとワークとの接触を検知する接触検知手段を備えた溶接トーチの接触検知装置であって、前記接触検知手段は、前記電圧の変化による前記ノズルとワークとの接触時間に基づいて、ノズルの異常接触を検知することを特徴とする。
前記接触検知手段は、溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差に基づいて、ノズルの異常接触を検知することが好ましい。
前記接触検知手段は、前記溶接トーチが予め設定されたウィービング端に位置するときの溶接トーチとワークとの接触時間と、前記溶接トーチが予め設定された非ウィービング端に位置するときの溶接トーチとワークとの接触時間とに基づいて、ノズルの異常接触を検知することが好ましい。
前記接触検知手段は、予め設定されたウィービング端に位置する溶接トーチに関して、溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差である第1判定値と、予め設定された非ウィービング端に位置する溶接トーチに関して、溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差である第2判定値とに基づいて、ノズルの異常接触を検知することが好ましい。
本発明に係る溶接トーチの接触検知方法は、溶接トーチのノズルと前記溶接トーチで溶接されるワークとの間に電圧を印加し、印加した電圧の変化によりノズルとワークとの接触を検知する溶接トーチの接触検知方法であって、前記電圧の変化による前記ノズルとワークとの接触時間に基づいて、ノズルの異常接触を検知することを特徴とする。
前記溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差に基づいて、ノズルの異常接触を検知することが好ましい。
前記溶接トーチが予め設定されたウィービング端に位置するときの溶接トーチとワークとの接触時間と、前記溶接トーチが予め設定された非ウィービング端に位置するときの溶接トーチとワークとの接触時間とに基づいて、ノズルの異常接触を検知することが好ましい。
予め設定されたウィービング端に位置する溶接トーチに関して、溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差である第1判定値と、予め設定された非ウィービング端に位置する溶接トーチに関して、溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差である第2判定値とに基づいて、ノズルの異常接触を検知することが好ましい。
本発明によれば、溶接トーチのノズルとワークとの異常接触を適正に検出することができる。
溶接トーチの接触検知装置の全体図である。 溶接トーチの平面視での動きと、溶接トーチのふり幅と、ノズルワーク間電圧との関係図である。 溶接トーチの接触検知装置における異常検知のフロー図である。 第2実施形態におけるノズルのウィービング軌道と、ウィービング端との関係図である。 第2実施形態における溶接トーチの動きと、溶接トーチのふり幅と、ノズルワーク間電圧との関係図である。 第2実施形態に係る溶接トーチの接触検知装置における異常検知のフロー図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
本発明の溶接トーチの接触検知装置は、例えば、シールドガスを用いながらTIG溶接を行う溶接装置において、溶接トーチの外側を形成する筒状のノズルと、溶接を行うワーク(溶接対象材)との異常接触を検知するものである。なお、説明の便宜上、溶接トーチの接触検知装置のことを、単に接触検知装置ということがある。
図1は、溶接トーチの接触検知装置の全体図を示している。
図1(a)に示すように、接触検知装置1は、溶接トーチ2のノズル3とワーク4との間に電圧を印加する電圧する電圧印加部5と、この電圧印加部5により印加した電圧の変化を検出してノズル3とワーク4との接触を検知する接触検知部(接触検知手段)6とを備えている。
電圧印加部5は、直流乃至は交流の電圧を発生可能に構成されている。電圧印加部5の一方端子は溶接トーチ2のノズル3に接続され、他方端子は、グランドを介してワーク4に接続されるものとなっている。接触検知部6は、例えば、PLCで構成され、ノズル3とワーク4との間の電圧を検出し、検出された電圧を基に、後述する溶接トーチの接触検知方法に基づき、溶接トーチ2の異常接触を検出するものとなっている。
溶接トーチ2は、例えば、チタン板材やアルミ板材などのワーク4同士をTIG溶接する溶接装置に取り付けられ、ワーク4の溶接線に沿って当該ワーク4の間をウィービングしながら移動するようになっている。溶接トーチ2は、導電性を有し且つ筒状とされたノズル3を有し、このノズル3の中心部には、アーク溶接を行うためのタングステン電極7や溶接ワイヤ(消耗電極)7が配置されている。ノズル3の内部には、Arなどの不活性ガスが通るガス流路8が設けられ、不活性ガスをノズル3の先端からワーク4に向けて放出しながら溶接ができるようになっている。溶接トーチ2は、自動溶接装置や多関節の溶接ロボットに取り付けられており、ワーク4の間をウィービングしながら溶接線に沿って移動し溶接を行うものとなっている。
さて、溶接トーチ2による溶接において、ワーク4に形成された開先が狭かったり、開先に比べて溶接トーチ2のノズル3の径が大きい場合、図1(b)に示すように、ウィービング動作中に、溶接トーチ2の溶接動作時にノズル3がワーク4に接触してしまうことがある。従来技術のように、ノズル3とワーク4とが接触したとき即座に異常であると判定してしまうと、溶接トーチ2による溶接がスムーズに進まないこともあることから、本発明の接触検知装置1では、溶接トーチ2のノズル3とワーク4との接触がある時間以上続くことを異常とし、溶接が斯かる異常状態であるか否かを適正に判断できるようにしている。
以下、溶接トーチの接触検知方法について、接触検知装置1と共に詳しく説明する。
図2は、溶接トーチの動きと、溶接トーチのふり幅と、ノズルワーク間電圧との関係をまとめたもので、図2(a)は、溶接時における溶接トーチのウィービングの動きを示し、図2(b)は、溶接トーチのウィービングの幅(ふり幅)を示し、図2(c)は、接触検知部で検知したノズルワーク間電圧の変化を示したものである。
図2(a)、(b)に示すように、溶接を開始すると、溶接トーチ2は、ふり幅に応じてワーク4、4間を波(例えば、サイン波)を描くようにウィービングしながら溶接線に沿って進む。
このように、溶接トーチ2がウィービングしながら溶接線に沿って進みながら溶接する溶接動作時において、溶接トーチ2のノズル3とワーク4の開先とが接触していない状態では、図2(c)に示すように、ノズルワーク間電圧は印加した電圧と略同じ電圧となる。
一方、溶接トーチ2の溶接動作時において、例えば、溶接トーチ2のノズル3の軌道N(ウィービング軌道)を見たとき、そのウィービング軌道Nの端(ウィービング端)と、開先の側壁4aとが重なり、ノズル3とワーク4の開先の側壁4aとが接触すると、図2(c)に示すように、ノズルワーク間電圧は一挙に下がり、ほぼ0Vに変化する。
例えば、図2に示すように、地点A、地点B、地点Cでノズル3とワーク4とが接触すると、これらが接触している時間だけ、ノズルワーク間電圧はほぼ0Vとなる。本発明では、ノズル3とワーク4との接触時間が長く、その接触時間が予め定められた所定時間を超えた場合は、ノズル3とワーク4との接触が異常である(異常接触)と判断し、接触時間が短く、その接触時間が所定時間よりも短い場合は異常接触と判断しない。
図3は、溶接トーチの接触検知装置における異常接触を検知するフローチャートを示したものである。
図3のS1に示すように、溶接トーチ2が溶接動作になると、接触検知装置1の電圧印加部5によってノズル3とワーク4との間に一定の電圧が印加されると共に、時間を計測するためのタイマがセットされる。次に、接触検知部6は、ノズル3とワーク4とが接触していないか否かを判断し(S2)、ノズルワーク間電圧が下がり接触を検知すれば(S2、yes)、次の処理であるS3に進む。
S3では、接触検知部6は、接触開始時間と、接触していた時間(接触時間)とを記録する。例えば、図2(a)に示すように、地点Aで溶接トーチ2のノズル3とワーク4とが接触した場合、接触検知部6は、地点Aにおける接触終了後に、地点Aで接触したときの接触開始時間と、地点Aでの接触時間とを記録し、次の処理であるS4に進む。
S4では、ノズル3とワーク4とが接触した接触時間の総和N(t)を過去に遡って求める。例えば、図2に示すように、溶接トーチ2のノズル3とワーク4とが地点A、地点B、地点Cの3カ所で接触していた場合、接触検知部6は、地点Cで接触が終了した現時点t(ノズルワーク間電圧が零から立ち上がった時点)で、地点Aで接触した接触時間Aと、地点Bで接触した接触時間Bと、地点Cで接触した接触時間Cとを足した接触時間の総和N(t)を求め、次の処理であるS5に進む。
S5では、接触検知部6は、S4で求めた接触時間の総和N(t)と予め定められた接触時間の閾値Nth(例えば、Nth=0.5秒)とを比べて、接触時間の総和N(t)が接触時間の閾値Nthよりも大きければ、次の処理であるS6に進む。
S6では、接触検知部6は、溶接トーチ2とノズル3とが異常接触したと判断し、溶接トーチ2を制御するコントローラ等にノズル3の異常接触を示す信号を出力して、周囲に警告を出したり、溶接トーチ2の溶接動作を停止させる。なお、S5にて、接触時間の総和N(t)が接触時間の閾値Nthよりも小さければ、ノズル3の異常接触は無いと判断し、S1の処理に戻る。
本発明によれば、上述したように、ノズルワーク間電圧の変化によって、ノズル3とワーク4との接触時間を求め、この接触時間に基づき、ノズル3の異常接触を検知しているため、溶接トーチ2のノズル3とワーク4との異常接触を適正に検出することができる。例えば、接触時間が短ければ異常接触で無いと判断できるため、過剰に異常検知であると判断することが無く、異常接触による警報を不用意に出したり、不用意に溶接動作を停止することを防止することができる。加えて、溶接途中において、溶接トーチ2とワーク4とが比較的接触しそうな箇所がある場合には、接触が起こる部分での異常接触の判定を予め緩めることによって、不用意な異常接触の判定が増加することを防止することができる。
さて、多関節の溶接ロボットでワーク4同士の溶接を行う場合は、溶接を行う前に、予め溶接トーチ2の位置を教示ペンダント等を用いて設定しておき、溶接トーチ2の位置を設定した教示プログラムを動作させることによって溶接を行う。このように、溶接ロボットで溶接する場合は、教示プログラムを用いて溶接トーチ2を動作させたときの教示動作時におけるノズル3とワーク4との接触時間と、溶接動作時におけるノズル3とワーク4との接触時間とを用いて、ノズル3の異常接触を検知してもよい。
具体的には、まず、溶接する前に、溶接を行わずに教示プログラムを用いて溶接トーチ2を動作させ、この教示動作時での各時間(t)におけるノズル3とワーク4との接触時間の総和N(t)を測定し、接触検知部6に記録しておく。そして、溶接する場合には、溶接動作時での各時間(t)におけるノズル3とワーク4との接触時間の総和N(t)’を測定し、教示動作時での接触時間の総和N(t)と、溶接動作時での接触時間の総和N(t)’との差[N(t)−N(t)’]を接触検知部6で算出する。そして、N(t)−N(t)’の値(教示溶接時間差)が、予め定められた接触時間の閾値Nth(例えば、Nth=2〜3秒)よりも大きい場合、異常接触と判断する。
なお、溶接トーチ2の教示動作時に記録されたノズル3とワーク4との接触時間N(t)と、溶接トーチ2の溶接動作時における接触時間N(t)’との教示溶接時間差に基づいて、ノズル3の異常接触を検知する場合は、異常接触を判定するための接触時間の閾値Nthを、教示動作時を用いない場合(前述した、接触時間のみを用いた判定手法)に比べて大きくすることが好ましい。特に、教示プログラムによって溶接トーチ2を動作させた場合、教示動作時における接触時間がワーク4によってばらつく場合は、さらに接触時間の閾値Nthを大きくすることが好ましい。
このように、教示溶接時間差によってノズル3の接触異常の判定をすれば、教示時点からノズル3がワーク4に接触するような状況でも、溶接動作時における接触異常の検知精度を向上させることができる。例えば、教示動作時における接触時間と、溶接動作時における接触時間とが殆ど変わらず教示溶接時間差が少ない場合は、通常の溶接動作と判断することができ、教示溶接時間が大きい場合は、溶接トーチ2(ノズル3)の異常な接触があると判断することができる。
[第2実施形態]
前述した第1実施形態は、溶接トーチ2がウィービングして溶接動作をしている状況下において、溶接トーチ2のノズル3がウィービング端に達したとき、異常接触を行う状況を特に念頭においたものであった。第2実施形態では、溶接トーチ2(ノズル3)がウィービング端に位置しない状況下でも、ノズル3の接触異常を検知することができるものとなっている。
図4は、ノズルのウィービング軌道と、ウィービング端との関係を示したものである。図4に示すように、平面視でノズル3のウィービング軌道Nを見たとき、当該ウィービング軌道Nの端(ウィービング端)は、溶接トーチ2の進行方向を示す進行線に対して垂直方向に最も遠く離れた点(最遠点)Pがノズル3のウィービング端と考えられる。この第2実施形態では、ウィービング端に幅を持たせ、最遠点Pを基準に進行方向に所定幅[±W(mm)]の領域(範囲)をウィービング端としている。また、この実施形態では、ノズル3の接触異常を検知するに際して、ウィービング端の領域と、このウィービング端の領域以外とを分けて考えることとしている。説明の便宜上、ウィービング端以外を非ウィービング端といい、ウィービング端に含まれる領域をウィービング端領域、非ウィービング端に含まれる領域を非ウィービング端領域という。
図5は、第2実施形態における溶接トーチの動きと、溶接トーチのふり幅と、ノズルワーク間電圧との関係をまとめたもので、図5(a)は、溶接時における溶接トーチのウィービングの動きを示し、図5(b)は、溶接トーチのウィービングの幅(ふり幅)とウィービング端領域及び非ウィービング端領域の関係を示し、図5(c)は、接触検知部で検知したノズルワーク間電圧の変化を示したものである。図6は、溶接トーチの接触検知装置における異常接触を検知するフローを示したものである。
図5(a)、(b)に示すように、溶接を開始すると、溶接トーチ2は、ふり幅に応じてワーク4間を波を描くようにウィービングしながら溶接線に沿って進む。つまり、溶接トーチ2は、ウィービング端領域と、非ウィービング端領域とを交互に溶接線に沿って進むことになる。ウィービング端領域や非ウィービング端領域にてノズル3がワーク4に接触した場合、いずれもノズルワーク間電圧は、ほぼ0Vになる。
溶接トーチ2が溶接動作になると、図6のS10に示すように、接触検知装置1の電圧印加部5によってノズル3とワーク4との間に一定の電圧が印加されると共にタイマがセットされる。次に、接触検知部6は、ノズル3とワーク4とが接触していないか否かを判断し(S11)、接触を検知すれば(S11、yes)、次の処理であるS12に進む。
S12では、接触検知部6は、ノズル3とワーク4との接触がウィービング端で発生したか否かを判断する。ウィービング端であるか非ウィービング端であるかの判定は、ウィービング端領域を座標データや関数等などで接触検知部6内に予め設定しておき、接触検知部6内の座標データや関数を用いて行うことが好ましい。なお、ウィービング端領域と、非ウィービング端領域との設定はどのような方法であってもよい。例えば、開先の幅(図5(a)で上下方向)を4分割し、幅方向の両端のそれぞれ1/4の部分をウィービング端領域とすると共に、幅方向の中央2/4の部分を非ウィービング端領域としてもよい。
ノズル3とワーク4との接触がウィービング端で発生した場合(S12、yes)、ウィービング端に位置するときの溶接トーチ2とワーク4との接触時間を記録する(S13)。例えば、図5(a)に示すように、地点Aや地点Bにて、ノズル3がウィービング端領域に位置するときにノズル3とワーク4との接触が発生した場合、接触検知部6は、地点A及び地点Bにおける接触終了後に、地点A及び地点Bで接触したときの接触開始時間と、地点A及び地点Bでの接触時間とを記録し、次の処理であるS14に進む。
S14では、ウィービング端領域において、ノズル3とワーク4との接触したときの接触時間の総和N1(t)を過去に遡って求める。例えば、図5に示すように、溶接トーチ2のノズル3とワーク4とが地点A、地点Bの2カ所で接触していた場合、接触検知部6は、地点Bで接触が終了した現時点t(ノズルワーク間電圧が零から立ち上がった時点)で、地点Aで接触した接触時間Aと、地点Bで接触した接触時間Bとを足したウィービング端領域における接触時間の総和N1(t)を求め、次の処理であるS15に進む。
S15では、接触検知部6は、S14で求めたウィービング端領域における接触時間の総和N1(t)と予め定められた接触時間の閾値Nth1とを比べて、接触時間の総和N1(t)が接触時間の閾値Nthよりも大きければ、次の処理であるS16に進む。
S16では、接触検知部6は、溶接トーチ2とノズル3とが異常接触したと判断し、コントローラ等にノズル3の異常接触を示す信号を出力して、周囲に警告を出したり、溶接トーチ2の溶接動作を停止させる。S16において、ウィービング端領域で異常接触が発生したことを示す警告を周囲に出すようにしてもよい。なお、接触時間の総和N1(t)が接触時間の閾値Nth1よりも小さければ、ノズル3の異常接触は無いと判断し、接触検知部6は、S10の処理に戻る。
一方、ノズル3とワーク4との接触が非ウィービング端で発生した場合(S12、No)、非ウィービング端に位置するときの溶接トーチ2とワーク4との接触時間を記録する(S17)。例えば、図5(a)に示すように、地点Cにて、ノズル3が非ウィービング端領域に位置するときにノズル3とワーク4との接触が発生した場合、接触検知部6は、地点Cにおける接触終了後に、地点Cで接触したときの接触開始時間と、地点Cでの接触時間とを記録し、次の処理であるS18に進む。
S18では、非ウィービング端領域において、ノズル3とワーク4との接触したときの接触時間の総和N2(t)を過去に遡って求める。例えば、図5に示すように、溶接トーチ2のノズル3とワーク4とが地点Cの1カ所で接触していた場合、接触検知部6は、地点Cで接触が終了した現時点t(ノズルワーク間電圧が零から立ち上がった時点)で、地点Cで接触した接触時間Cをウィービング端領域における接触時間の総和N2(t)とし、次の処理であるS19に進む。
S19では、接触検知部6は、S18で求めた非ウィービング端領域における接触時間の総和N2(t)と予め定められた接触時間の閾値Nth2とを比べて、接触時間の総和N2(t)が接触時間の閾値Nth2よりも大きければ、次の処理であるS16に進み。S16では、接触検知部6は、溶接トーチ2とノズル3とが異常接触したと判断し、コントローラ等にノズル3の異常接触を示す信号を出力して、周囲に警告を出したり、溶接トーチ2の溶接動作を停止させる。S16において、非ウィービング端領域で異常接触が発生したことを示す警告を周囲に出すようにしてもよい。なお、接触時間の総和N2(t)が接触時間の閾値Nth2よりも小さければ、ノズル3の異常接触は無いと判断し、接触検知部6は、S10の処理に戻る。
ノズル3がワーク4に接触する状況を考えたとき、ウィービング端でノズル3がワーク4に接触することが多く、非ウィービング端でノズル3がワーク4に接触することは少ないと考えられる。このようなことから、非ウィービング端でノズル3の異常接触を検知するための接触時間の閾値Nth2を、ウィービング端でノズル3の異常接触を検知するための接触時間の閾値Nth1よりも小さく(厳しく)することが好ましい(Nth1>Nth2)。
このように、溶接トーチ2が予め設定されたウィービング端に位置するときの溶接トーチ2とワーク4との接触時間と、溶接トーチ2が予め設定された非ウィービング端に位置するときの溶接トーチ2とワーク4との接触時間とに基づいて、ノズル3の異常接触を検知しているため、非ウィービング端に達したときのノズル3の接触異常を確実に検知することができる。また、ノズル3の接触異常が発生したときに、ウィービング端での接触異常であるか、非ウィービング端での接触異常であるかを的確に区別することができる。
さらに、この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、教示動作時におけるノズル3とワーク4との接触時間と、溶接動作時におけるノズル3とワーク4との接触時間とを用いて、ノズル3の異常接触を検知してもよい。
具体的には、まず、溶接する前に、溶接を行わずに教示プログラムを用いて溶接トーチ2を動作させ、ウィービング端での各時間(t)におけるノズル3とワーク4との接触時間の総和N1(t)を接触検知部6に記録すると共に、非ウィービング端での各時間(t)におけるノズル3とワーク4との接触時間の総和N2(t)を接触検知部6に記録しておく。
そして、溶接する場合であってウィービング端でノズル3がワーク4に接触した場合は、ウィービング端での各時間(t)におけるノズル3とワーク4との接触時間の総和N1(t)’を求める。その後、接触検知部6にて、教示動作時での接触時間の総和N1(t)と、溶接動作時での接触時間の総和N1(t)’との差(第1判定値)、すなわちΔA(t)=[N1(t)−N1(t)’]を算出する。ウィービング端における教示溶接時間差ΔA(t)が、予め定められた接触時間の閾値Nth1(例えば、Nth1=2〜3秒)よりも大きい場合、接触検知部6で異常接触と判断する。
一方、溶接する場合であって非ウィービング端でノズル3がワーク4に接触した場合は、非ウィービング端での各時間(t)におけるノズル3とワーク4との接触時間の総和N2(t)’を求める。その後、接触検知部6にて、教示動作時での接触時間の総和N2(t)と、溶接動作時での接触時間の総和N2(t)’との差(第2判定値)、すなわちΔB(t)=[N2(t)−N2(t)’]を算出する。
非ウィービング端における教示溶接時間差ΔB(t)が、予め定められた接触時間の閾値Nth2(例えば、Nth2=1〜2秒<Nth1)よりも大きい場合、接触検知部6で異常接触と判断する。
なお、教示プログラムによって溶接トーチ2を動作させた場合、教示動作時における接触時間N1(t)がワーク4によってばらつく場合は、そのばらつきも考慮して接触時間の閾値Nth1を大きくすることが好ましい。また、ウィービング端でノズル3の異常接触を検知するための接触時間の閾値Nth1を、非ウィービング端でノズル3の異常接触を検知するための接触時間の閾値Nth2よりも大きくすることも好ましい。
以上述べたように、接触検知部6は、ウィービング端に位置する溶接トーチ2に関して、溶接トーチ2の教示動作時に予め記録されたノズル3とワーク4との接触時間N1(t)と、溶接トーチ2の溶接動作時における接触時間N1(t)’との差である第1判定値と、非ウィービング端に位置する溶接トーチ2に関して、溶接トーチ2の教示動作時に予め記録されたノズル3とワーク4との接触時間N2(t)と、溶接トーチ2の溶接動作時における接触時間N2(t)’との差である第2判定値とに基づいて、ノズル3の異常接触を検知しているため、ウィービング端や非ウィービング端における接触異常の検知精度を向上させることができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 接触検知装置
2 溶接トーチ
3 ノズル
4 ワーク
5 電圧印加部
6 接触検知部(接触検知手段)
7 ワイヤ
8 ガス流路

Claims (8)

  1. 溶接トーチのノズルと前記溶接トーチで溶接されるワークとの間に電圧を印加し、印加した電圧の変化によりノズルとワークとの接触を検知する接触検知手段を備えた溶接トーチの接触検知装置であって、
    前記接触検知手段は、前記電圧の変化による前記ノズルとワークとの接触時間に基づいて、ノズルの異常接触を検知することを特徴とする溶接トーチの接触検知装置。
  2. 前記接触検知手段は、溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差に基づいて、ノズルの異常接触を検知することを特徴とする請求項1に記載の溶接トーチの接触検知装置。
  3. 前記接触検知手段は、前記溶接トーチが予め設定されたウィービング端に位置するときの溶接トーチとワークとの接触時間と、前記溶接トーチが予め設定された非ウィービング端に位置するときの溶接トーチとワークとの接触時間とに基づいて、ノズルの異常接触を検知することを特徴とする請求項1に記載の溶接トーチの接触検知装置。
  4. 前記接触検知手段は、
    予め設定されたウィービング端に位置する溶接トーチに関して、溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差である第1判定値と、
    予め設定された非ウィービング端に位置する溶接トーチに関して、溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差である第2判定値と、
    に基づいて、ノズルの異常接触を検知することを特徴とする請求項1に記載の溶接トーチの接触検知装置。
  5. 溶接トーチのノズルと前記溶接トーチで溶接されるワークとの間に電圧を印加し、印加した電圧の変化によりノズルとワークとの接触を検知する溶接トーチの接触検知方法であって、
    前記電圧の変化による前記ノズルとワークとの接触時間に基づいて、ノズルの異常接触を検知することを特徴とする溶接トーチの接触検知方法。
  6. 前記溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差に基づいて、ノズルの異常接触を検知することを特徴とする請求項5に記載の溶接トーチの接触検知方法。
  7. 前記溶接トーチが予め設定されたウィービング端に位置するときの溶接トーチとワークとの接触時間と、前記溶接トーチが予め設定された非ウィービング端に位置するときの溶接トーチとワークとの接触時間とに基づいて、ノズルの異常接触を検知することを特徴とする請求項5に記載の溶接トーチの接触検知方法。
  8. 予め設定されたウィービング端に位置する溶接トーチに関して、溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差である第1判定値と、
    予め設定された非ウィービング端に位置する溶接トーチに関して、溶接トーチの教示動作時に予め記録されたノズルとワークとの接触時間と、溶接トーチの溶接動作時における接触時間との差である第2判定値と、
    に基づいて、ノズルの異常接触を検知することを特徴とする請求項5に記載の溶接トーチの接触検知方法。
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