JP6722421B2 - 位相シフトマスクおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、従来からフォトマスクとしては、透明基板上に形成された遮光膜を有し、透過領域および遮光領域を備えるバイナリマスク、透明基板上に形成され露光光の透過率が調整された膜を有し、透過領域および半透過領域を備えるハーフトーンマスク等が用いられており、露光光としては、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)等を含む混合波長の露光光が好適に用いられている。上述した混合波長の露光光を用いた場合は、透過領域においてレジスト層に与える露光エネルギーを大きくすることができ、露光時間を短くすることができるといった利点を有する。また、表示装置に用いられる機能素子(表示装置用機能素子)を形成する基板等の大面積化に対応することができ、製造タクトを良好にすることができる。
近年、表示装置の分野においては、露光装置のバイナリマスク等における解像限界以下の幅での微細加工が要求されており、新たな微細加工の方法が求められている。
半導体の分野においては、通常、露光光としては、単一波長光が用いられており、またより高い解像度での露光を行うため、i線、KrF線、ArF線等のより短波長側の光を用いることが望まれている。
本発明の位相シフトマスクは、透明基板と、上記透明基板上に形成された位相シフト膜とを有し、上記透明基板が露出した透過領域と、上記位相シフト膜が設けられた位相シフト領域とを備えるものであって、上記位相シフト領域が、上記位相シフト領域を透過したg線の位相を反転させる領域であり、上記位相シフト領域のi線の透過率がレジスト層のi線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であり、g線の透過率が上記i線の透過率よりも高いことを特徴とするものである。
しかしながら、通常、実際の表示装置用機能素子において用いられる露光装置においては、i線、h線およびg線を含む混合波長の露光光の照射強度および光源光に含まれるi線、h線およびg線の照射強度を調整することが困難である。また、露光時間についても、製造タクトを低下させない程度とされ、許容される時間には限りがある。また、従来の表示装置用機能素子に用いられるレジストは、このような露光装置および露光時間に合わせて、感光されるように処方されている場合が多いといった実情がある。
本発明は、位相シフト領域の透過率を変更することで、表示装置用機能素子の製造の露光工程における他の条件については、従来と同様の条件で行なうことができる利点を有する。
ここで、透過領域および位相シフト領域の境界における位相シフト効果は、透過領域から回折光と位相シフト領域を透過した位相シフト光との干渉効果により得られるものである。上記位相シフト効果は、位相シフト光の量が多いほど、高い効果を発揮すると考えられる。本発明においては、上記位相シフト領域を透過したg線の位相を反転させる領域であり、g線の透過率が上記i線の透過率よりも高いことにより、混合波長の露光光のなかでも透過率の高いg線について位相シフト光として用いることができるため、上記位相シフト効果を良好に発現することができると考えられる。
本発明の位相シフトマスクは、透過領域と、位相シフト領域とを備えるものである。以下、各領域について説明する。
本発明における位相シフト領域は、上記位相シフト領域を透過したg線の位相を反転させる領域である。また、上記位相シフト領域のi線の透過率がレジスト層のi線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であり、g線の透過率が上記i線の透過率よりも高い領域である。
位相シフト領域の透過率について説明する。
本発明においては、上記位相シフト領域のi線の透過率がレジスト層のi線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であることを特徴とする。
ここで、「レジスト層の特定光線の感光エネルギーのしきい値」とは、実際の表示装置用機能素子の製造における露光工程で用いられる露光条件で、実際に用いられるレジスト層を有する被処理部材の上記レジスト層を露光した場合に、i線、h線およびg線を含む混合波長の露光光の特定光線に対してレジスト層が感光しない最大の特定光線の露光エネルギーをいう。特定光線とは、i線、h線およびg線のいずれか一つの光線をいう。
また、「レジスト層の特定光線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率」とは、位相シフト領域の透過率が、実際の表示装置用機能素子の製造における露光工程で用いられる露光条件で、実際に用いられるレジスト層を有する被処理部材のレジスト層を露光した場合に、位相シフト領域を透過した特定光線により、レジスト層が感光しない最大の透過率をいう。
「レジスト層の特定光線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率」は、以下の換算方法により求められる値である。
以下に説明する換算方法は、レジスト層のi線、h線、およびg線のいずれか1つの光線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率を求めることができる方法である。
実際の表示装置用機能素子の製造の露光条件に用いられる露光装置を準備する。また、この際、露光装置の光源強度、すなわちi線、h線およびg線の各波長光の照射強度については実際の露光工程における照射強度とする。また、露光時間についても、実際の露光工程における時間とする。また、後述する測定用半透明膜付基板および測定用レジスト基板との距離、および露光面積についても実際の露光工程における距離および露光面積とする。
また、各光線の透過フィルタとしては、市販のバンドパスフィルタを使用することもでき、例えば、シグマ光機社のVPF-25C-10-25-36500(365nm)、VPF-25C-10-40-40470(405nm)、VPF-25C-10-40-43580(436nm)等を挙げることができる。
透明基板と、上記透明基板上に形成され、換算する特定光線の透過率が調整された半透明膜を有する測定用半透明膜付基板を準備する。また、測定用半透明膜付基板は、半透明膜の特定光線の透過率が漸次異なるものを複数枚準備する。
例えば、換算する特定光線がi線の場合は、半透明膜のi線の透過率が漸次異なるものを複数枚準備する。
上記半透明膜の特定光線の透過率は、例えば大塚電子のMCPDなどの分光透過率測定装置を用いて測定することができる。
実際の表示装置用機能素子の製造に用いられる被処理部材と、上記被処理部材上に形成され、実際の露光工程に用いられるレジストで、実際の厚みで形成されたレジスト層とを有する測定用レジスト基板を準備する。
上述した露光条件で、測定用半透明膜付基板の透過率を変更することにより、測定用感光レジスト基板のレジスト層の感光の有無を測定する。レジスト層の感光の有無は、以下のように評価する。
特定光線での露光を行い、未露光部の膜厚と露光部の膜厚に面内のばらつき以上の膜減りが無いかを膜厚測定を行って評価を行う。より具体的には、特定光線での露光を行い、未露光部の膜厚と露光部の膜厚に100nm以上の膜厚差を有する場合はレジスト層の感光有り、100nm未満の膜厚差を有する場合はレジスト層の感光無しと評価する。
なお、レジスト層を塗布法により形成した際に生じるレジスト層の面内ばらつきは、通常、100nm未満であることが知られている。そのため、本発明においては、未露光部の膜厚と露光部の膜厚に100nm以上の膜厚差を有する場合はレジスト層に反応が生じているものとし、感光有りと評価した。
上記膜厚の測定方法としては、ラムダエース(大日本スクリーン)などの光学特性から算出する方法とデックタック(アルバック)などの触針式表面形状測定器を用いる方法が挙げられる。
本発明においては、レジスト層が感光しなくなったときの測定用半透明膜付基板の透過率を、「レジスト層の特定光線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率」とする。
本発明においては、上記位相シフト領域のi線の透過率がレジスト層のi線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であればよいが、さらに、上記位相シフト領域のh線の透過率が上記レジスト層のh線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であることが好ましい。本発明の位相シフトマスクを用いてi線、h線およびg線を含む混合波長の露光光を用いて露光を行った場合に、位相シフト領域を透過するi線およびh線によりレジストが感光されることを防止することができることから、現像後のレジスト層の膜減りをより好適に防止することができる。
また、上記差の上限値としては、特に限定されないが、例えば30%程度である。
上記差が上述した範囲内であることにより、位相シフト領域の位相差および各光線の透過率の調整が容易になるからである。
例えばi線の透過率が、0%以上6%以下の範囲内であることが好ましく、なかでも0%以上4%以下の範囲内であることが好ましく、特に0%以上3%以下の範囲内であることが好ましい。
また、例えばh線の透過率が、0%以上10%以下の範囲内であることが好ましく、なかでも0%以上8%以下の範囲内であることが好ましく、特に0%以上6%以下の範囲内であることが好ましい。
また、例えばg線の透過率が、4%以上20%以下の範囲内であることが好ましく、
なかでも6%以上15%以下の範囲内であることが好ましく、特に6%以上12%以下の範囲内であることが好ましい。
i線、h線およびg線の透過率が上述した範囲内であることにより、現像後のレジスト層の膜減りを好適に抑制できる位相シフトマスクとすることができる。
本発明に用いられる位相シフト領域は、後述する位相シフト膜が設けられた領域である。本発明においては、位相シフト領域を透過したg線の位相を反転させる領域であることを特徴とする。
位相シフト領域のg線に対する位相差、ならびにi線、h線およびg線の透過率は、位相シフト膜の材料、および厚みにより調整することができる。
ここで、位相シフト領域に形成される位相シフト膜は露光光の位相を反転させる膜厚が求められる。また、露光光が位相シフト膜を透過することにより生じる位相差(位相シフト膜の露光光に対する位相差と称して説明する場合がある。)と、位相シフト膜の屈折率、膜厚、および露光光の波長とは下記式(1)で示される関係を有する。
Φ=2π(n−1)d/λ (1)
(式(1)中、Φは位相シフト膜の露光光に対する位相差、nは位相シフト膜の屈折率(絶対屈折率)、dは位相シフト膜の厚み、λは露光光の波長である。)
d=218/(n−1)(nm) (2)
(式(2)中、nは位相シフト膜の屈折率(絶対屈折率)、dは位相シフト膜の厚みである。)
また、この際、選択された位相シフト材料を用いた場合の、位相シフト膜の単位厚み(nm)当たりの位相差を算出することで、位相シフト膜の成膜の精度により生じる、位相シフト膜のg線に対する位相差のズレを求めることができるため、実際の成膜において許容される位相シフト膜の厚みを求めることができる。
本発明における透過領域は、透明基板が露出した領域である。
上記透過領域の露光光に対する透過率は、例えば大塚電子のMCPDなどの分光透過率測定装置を用いて測定することができる。
位相シフト領域のパターン形状としては、位相シフトマスクの用途に応じて適宜選択され、特に限定されない。例えば、図2に例示するようなラインパターン形状、図3に例示するようなドットパターン形状等を挙げることができる。また、位相シフト領域のパターン形状がラインパターン形状の場合は、図2に例示するようなラインアンドスペース(L&S)パターン形状、図示はしないが格子パターン形状等が挙げられる。
L&Sパターン形状は、例えば、TFT基板等に用いられるゲート電極、ソース電極、ドレイン電極等の信号電極、配線電極や、カラーフィルタの遮光部、導電性パターン付基板に用いられる細線電極、細線透明電極等を形成するためのパターン形状として、好適に用いることができる。
ドットパターン形状は、例えば、TFT基板等におけるコンタクトホール等を形成する際にホール用パターン形状として、好適に用いることができる。
位相シフト領域の幅について、特に上限はないが、上述した範囲にある場合は、バイナリマスクに比べて良好な解像度を示すことができる。
なお、位相シフト領域の幅とは、図2および図3においてW1で示される距離をいう。
また、上記の場合、位相シフト領域間のハーフピッチとしては、位相シフトマスクの用途に応じて適宜選択され、特に限定されないが、1.5μm〜10.0μmの範囲内、なかでも2.0μm〜8.0μmの範囲内、特に3.0μm〜6.0μmの範囲内であることが好ましい。
上記スペース部およびハーフピッチの幅が小さすぎると、本発明の位相シフトマスクを用いた場合も、レジストを解像することが困難となる可能性があるからである。
記ハーフピッチおよびスペース部の幅について、特に上限はないが、上述した範囲にある場合は、バイナリマスクに比べて良好な解像度を示すことができる。
なお、スペース部は図2においてW2で示される距離をいい、ハーフピッチは図2においてW3で示される距離をいう。
ここで、上記露光装置の解像限界の幅とは、上記露光装置に置いてバイナリマスクを用いた場合に、露光領域内で安定的に描画されるレジスト層の幅をいう。また、上記露光装置の解像限界の幅は、上記露光領域内で安定的に解像できるバイナリマスクの遮光領域および透過領域の最小値と同等のとして扱うことができる。
より具体的には、上述した位相シフト領域の幅、および位相シフト領域間に設けられる透過領域の幅が、露光装置の解像限界の幅に対して100%以下、なかでも85%以下であることが好ましく、30%以上、なかでも40%以上でレジスト層を描画できる幅であることが好ましい。上述した位相シフト領域の幅、および位相シフト領域間に設けられる透過領域の幅を上述した幅とすることにより、従来から表示装置の製造時に用いられている露光装置を用いた場合であっても、良好な解像度でレジスト層を露光することができるからである。
本発明の位相シフトマスクは、透明基板と位相シフト膜とを有するものである。
本発明に用いられる位相シフト膜は、後述する透明基板上に形成されるものである。また、位相シフト膜は、本発明の位相シフトマスクにおける位相シフト領域に、g線に対する所望の位相差、ならびにi線、h線およびg線の所望の透過率を付与するために設けられるものである。
上記位相シフト膜の材料としては、通常、その屈折率は1を超えるものであるが、例えば、その屈折率が1.5以上のものが好ましく、中でも1.5〜3.5の範囲内のもの、特に2.0〜3.0の範囲内のものが好ましい。
位相シフト膜の材料が上述した屈折率を有するものであれば、位相シフト膜の厚みを調整して成膜しやすいからである。
上記屈折率の測定方法としては、例えばジェー・エー・ウーラム(J.A.Woollam)社のエリプソメトリーなどを用いて測定を行う。また、上記屈折率は、200nm〜800nmの範囲内の波長を用いて測定された値とする。
本発明に用いられる位相シフト膜の材料としては、なかでも、酸化窒化クロム(CrON)であることが好ましい。
位相シフト膜の厚みとしては、具体的には、100nm〜250nm程度とすることができ、中でも120nm〜200nmの範囲内、特に140nm〜180nmの範囲内であることが好ましい。
透明基板は、位相シフト膜を支持するものである。また、本発明の位相シフトマスクにおいては、透明基板が露出した領域が透過領域として用いられる。
本発明の位相シフトマスクは、上述した透明基板および位相シフト膜以外に、例えば、遮光膜を有していてもよい。
遮光膜としては、一般的なフォトマスクに用いられるものと同様とすることができ、例えば、金属クロム等で構成されるものを挙げることができる。
本発明の位相シフトマスクの製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。また、本発明の位相シフトマスクの製造方法としては、後述する「B.位相シフトマスクの製造方法」の項で説明する方法を好適に用いることができる。
本発明の位相シフトマスクの製造方法は、透明基板と、上記透明基板上に形成された位相シフト膜とを有し、上記透明基板が露出した透過領域と、上記位相シフト膜が設けられた位相シフト領域とを備える位相シフトマスクを製造する製造方法であって、上記位相シフト膜の厚みおよび材料を調整することにより、上記位相シフト領域を透過したg線の位相を反転させ、上記位相シフト領域のi線の透過率がレジスト層のi線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であり、g線の透過率が上記i線の透過率よりも高くなるように、上記位相シフト領域を調整して上記位相シフトマスクを設計する設計工程を有することを特徴とする製造方法である。
本発明においては、図示はしないが、まず、上記位相シフト膜の厚みおよび材料を調整することにより、上記位相シフト領域を透過したg線の位相を反転させ、i線の透過率が所定の値以下となり、g線の透過率が上記i線の透過率よりも高くなるように、上記位相シフト領域を調整して上記位相シフトマスクを設計する(設計工程)。
次に、設計工程により調整された位相シフト膜の厚みおよび材料に従って、透明基板上に所定のパターン形状を有する位相シフト膜を形成して位相シフトマスクを製造する。一例を以下に挙げる。
まず、図4(a)に例示するように、透明基板1上の全面に位相シフト膜2をスパッタリング法等を用いて形成する(位相シフト膜形成工程)。次に、図4(b)に例示するように、位相シフト膜2上にレジストを含む塗工液を塗布し、塗布後に所定時間ベークし、均一な厚みのレジスト層5(以下、マスク用レジスト層と称して説明する場合がある。)を形成する。次にレーザー描画装置20により、マスク用レジスト層5に所望のパターンを描画し、現像して、図4(c)に例示するように、所定のパターン形状を有するマスク用レジスト層5を形成する(レジスト形成工程)。次いで、図4(d)に例示するように、現像後のマスク用レジスト層5から露出している位相シフト膜2をエッチングして除去し、残存しているマスク用レジスト層5を剥離除去する(エッチング工程)。
以上の工程により、図4(d)に例示するように、位相シフト領域4の形状にパターン形成された位相シフト膜2を有する位相シフトマスク10を製造することができる。なお、図4(d)に例示される位相シフトマスク10については、図1と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
以下、本発明の位相シフトマスクの製造方法の詳細について説明する。
本発明における設計工程は、上記位相シフト膜の厚みおよび材料を調整することにより、上記位相シフト領域を透過したg線の位相を反転させ、上記位相シフト領域のi線の透過率がレジスト層のi線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であり、g線の透過率が上記i線の透過率よりも高くなるように、上記位相シフト領域を調整して上記位相シフトマスクを設計する工程である。
本発明の位相シフトマスクの製造方法は、上述した設計工程以外に、通常、上述した設計工程を基に調整された位相シフトマスク厚みおよび材料を用いて透明基板上に位相シフト膜を形成する位相シフト膜形成工程を有する。
本工程において用いられる位相シフト膜の材料、形成される位相シフト膜については、上述した「A.位相シフトマスク」の項で説明したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明の位相シフトマスクの製造方法は、通常、上述した位相シフト膜形成工程後に、上記位相シフト膜上にマスク用レジスト層を形成し、上記マスク用レジスト層を露光した後、現像して、所定のパターン形状を有するマスク用レジスト層を形成するマスク用レジスト層形成工程を有する。
マスク用レジスト層の厚みとしては、特に限定されるものではないが、例えば10nm〜10μmの範囲内である。
マスク用レジスト層の形成方法については、公知の方法とすることができる。
本発明の位相シフトマスクの製造方法においては、通常、上述したレジスト形成工程後に、現像後のマスク用レジスト層から露出している位相シフト膜をエッチングして除去するエッチング工程が行われる。
また、位相シフト膜がクロム系の材料で構成された膜である場合、硝酸第2セリウムアンモニウムに過塩素酸を加えたウェットエッチャントを好適に用いることができる。
本発明により製造される位相シフトマスクについては、上述した「A.位相シフトマスク」の項で説明したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明の表示装置用機能素子の製造方法は、レジスト層を有する被処理部材を準備し、フォトマスクを介してi線、h線およびg線を含む露光光を照射して上記レジスト層を露光する露光工程と、露光後の上記レジスト層を現像する現像工程とを有し、上記フォトマスクが、透明基板と、上記透明基板上に形成された位相シフト膜とを有し、上記透明基板が露出した透過領域と、上記位相シフト膜が設けられた位相シフト領域とを備え、上記位相シフト領域が、上記位相シフト領域を透過したg線の位相を反転させる領域であり、上記位相シフト領域のi線の透過率が上記レジスト層に用いられるレジスト層のi線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であり、g線の透過率が上記i線の透過率よりも高い位相シフトマスクであることを特徴とする製造方法である。
以下、本発明の表示装置用機能素子の製造方法の詳細について説明する。
本発明における露光工程は、レジスト層を有する被処理部材を準備し、フォトマスクを介してi線、h線およびg線を含む露光光を照射して上記レジスト層を露光する工程である。また、本発明においては、フォトマスクとして、上述した「A.位相シフトマスク」の項で説明した位相シフトマスクを用いることを特徴とする。
本発明の現像工程は、露光後の上記レジスト層を現像する工程である。
本工程に用いられるレジスト層の現像方法については、上述した「B.位相シフトマスクの製造方法」の項で説明したマスク用レジスト層の現像方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明の表示装置用機能素子の製造方法は、上述した露光工程および現像工程を有する製造方法であれば特に限定されず、他にも必要な構成を適宜選択して追加することができる。
例えば、現像後のレジスト層を下層の金属層等のエッチングのためのレジストとして用いる場合、レジスト層から露出した金属層等をエッチングする工程や、レジストを剥離する工程等を挙げることができる。
本発明により製造される表示装置用機能素子としては、例えば、TFT基板、TFT基板等に用いられる金属配線付基板等、カラーフィルタ、カラーフィルタに用いられる遮光部付基板、タッチパネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル等を挙げることができる。
厚さ10mm、大きさ520mm×800mmの石英基板の表面を定法により洗浄した後、酸化窒化クロムを厚さ150nmでスパッタリング法にて形成して位相シフト膜を形成してフォトマスクブランクスを得た。位相シフト膜は、成膜装置としてプレーナ型DCマグネトロンスパッタリング装置を用い、ターゲットとして金属クロムを用い、所定のガスを用いてスパッタリング法を行なって形成した。また、位相シフト膜の厚さはi線、h線およびg線の透過率および位相差が下記の表1となるように調整した。
以上の手順により、位相シフトマスクを得た。
位相シフト膜の厚みを120nmとし、i線、h線およびg線の透過率および位相差が下記の表1となるように調整したこと以外は実施例と同様の手順により位相シフトマスクを得た。
厚さ10mm、大きさ520mm×800mmの石英基板の表面を定法により洗浄した後、クロム遮光膜を厚さ120nmでスパッタリング法にて形成した。クロム遮光膜は、成膜装置としてプレーナ型DCマグネトロンスパッタリング装置を用い、ターゲットとして金属クロムを用い、所定のガスを用いてスパッタリング法を行なって形成した。
以上の手順により、バイナリマスクを得た。
(レジスト層の各光線に対する感光の有無)
被処理部材として、ガラス基板を準備し、被処理部材上にレジストAZ1500を塗布してベークし、厚さ1.5μmのレジスト層を得た。
次に、上述した実施例および比較例1のフォトマスクブランクスを用いて下記の露光条件におけるi線、h線およびg線の各光線をレジスト層に照射して露光した場合のレジスト層の感光の有無を調べた。なお、レジスト層の感光の有無の評価については、上述した「A.位相シフトマスク」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。各光線の照射する際には、シグマ光機社のVPF-25C-10-25-36500(365nm)、VPF-25C-10-40-40470(405nm)、VPF-25C-10-40-43580(436nm)を用いて他の光線を遮光した。
露光装置:CANON製ミラープロジェクション
i線、h線およびg線の各々の照射強度:40mJ/cm2
露光面積:760mm×448mm
上述したレジスト層を有する被処理部材を用い、上述した露光条件(混合波長の露光光)で露光をし、上述の現像を行い、ライン状のレジスト層を形成した。表1においては、比較例2のレジスト層の形状を基準として、比較例2におけるエッジ部の形状よりも切り立った形状である場合は○で示している。
また、比較例2における中央部の形状の厚みと同等である場合を○、膜減りが生じている場合を×とした。
2 … 位相シフト膜
3 … 透過領域
4 … 位相シフト領域
10 … 位相シフトマスク
12 … レジスト層
13 … 被処理部材
100 … 表示装置用機能素子
Claims (4)
- 透明基板と、前記透明基板上に形成された位相シフト膜とを有し、前記透明基板が露出した透過領域と、前記位相シフト膜が設けられた位相シフト領域とを備える位相シフトマスクであって、
前記位相シフト領域が、前記位相シフト領域を透過したg線の位相を反転させる領域であり、
前記位相シフト領域のi線の透過率がレジスト層のi線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であり、
前記i線の透過率が、0%以上6%以下の範囲内であり、
g線の透過率が前記i線の透過率よりも高いことを特徴とする位相シフトマスク。 - 前記位相シフト領域のh線の透過率が前記レジスト層のh線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であることを特徴とする請求項1に記載の位相シフトマスク。
- 透明基板と、前記透明基板上に形成された位相シフト膜とを有し、前記透明基板が露出した透過領域と、前記位相シフト膜が設けられた位相シフト領域とを備える位相シフトマスクを製造する位相シフトマスクの製造方法であって、
前記位相シフト膜の厚みおよび材料を調整することにより、前記位相シフト領域を透過したg線の位相を反転させ、前記位相シフト領域のi線の透過率がレジスト層のi線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であり、前記i線の透過率が、0%以上6%以下の範囲内であり、g線の透過率が前記i線の透過率よりも高くなるように、前記位相シフト領域を調整して前記位相シフトマスクを設計する設計工程を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。 - レジスト層を有する被処理部材を準備し、フォトマスクを介してi線、h線およびg線を含む露光光を照射して前記レジスト層を露光する露光工程と、露光後の前記レジスト層を現像する現像工程とを有し、
前記フォトマスクが、透明基板と、前記透明基板上に形成された位相シフト膜とを有し、前記透明基板が露出した透過領域と、前記位相シフト膜が設けられた位相シフト領域とを備え、前記位相シフト領域が、前記位相シフト領域を透過したg線の位相を反転させる領域であり、前記位相シフト領域のi線の透過率が前記レジスト層に用いられるレジスト層のi線の感光エネルギーのしきい値に相当する透過率以下であり、前記i線の透過率が、0%以上6%以下の範囲内であり、g線の透過率が前記i線の透過率よりも高い位相シフトマスクであることを特徴とする表示装置用機能素子の製造方法。
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