以下、図1〜図10を参照しつつ、本発明の実施形態に係る床面洗浄機1について説明する。なお、以下の説明では、便宜上、床面洗浄機1の進行方向側(図1の右手前側)を前側として、前後左右の向きを決めることとする。
図1に示されているように、床面洗浄機1は、前後方向に長い箱形状の本体2と、本体2内の前側下部に収納されるモータ3と、モータ3の下方において本体2と床面4(図8等参照)との間に設けられる床面洗浄パッドユニット5と、本体2の前方部分を開放可能に設けられる前方カバー6と、モータ3に隣接して設けられる昇降装置7(図3参照)と、本体2内に設けられる清水タンク8と、本体2の後下方に設けられて左右方向に張り出すスキージ9と、本体内の上部に収納される回収タンク10と、本体2の後上方に設けられるハンドル11と、を備えている。
図3に示されているように、本体2内の下部には、本体シャーシ12が床面4と略平行に設けられている。本体シャーシ12の下面の前部と後部には、走行用の車輪13(図1参照)がそれぞれ軸支されている。本体シャーシ12の後部には、図示しない駆動用電源であるバッテリが支持されている。
本体シャーシ12の上面には一対のベース板(図示省略)が固定されている。この一対のベース板には、角筒形状の本体フレーム14が支持され、本体フレーム14には、左右一対のガイド板15が上下方向スライド可能に支持されている。左右一対のガイド板15の上部には連結板16が架設され、左右一対のガイド板15の下端にはモータ3を支持するモータ台17が固定されている。このような構成により、本体シャーシ12にモータ台17が上下動可能に支持されている。
図4に示されているように、モータ3には、下方に向かってモータ軸(図示省略)が設けられ、このモータ軸には、収納ケース18内に収納された減速機構(図示省略)を介して、収納ケース18から下方に突出するモータ3の回転軸19に接続されている。
モータの回転軸19の下端には、円柱状のスリーブ20が下向きに取り付けられている。スリーブ20の上面には、軸穴21が設けられており、スリーブ20の上部には、その外周面から軸穴21までネジ孔22が水平方向に穿設されている。そして、モータ3の回転軸19をスリーブ20の軸穴21に嵌合させた状態で、ネジ孔22に貫通させたネジ79を回転軸19に締結させることで、回転軸19とスリーブ20とが連結されるように構成されている。なお、回転軸19と軸孔21の間に図示しないキーを装着してもよい。
スリーブ20の外周面の下部には、放射状に爪部23が突設されている。爪部23は、スリーブ20の外周面の円周上に等間隔で多数個形成されている。各爪部23は、上下方向に長い形状を成し、各爪部23の下側端部(ボス側端部)は先細形状を成している。スリーブ20の外周面の上下方向中央には、爪部23の上方に、被係止部としての環状の溝部24が設けられている。
図3〜図6に良く示されているように、床面洗浄パッドユニット5は、床面4(図8等参照)に接触する洗浄パッド25と、洗浄パッド25の上面を面ファスナー26を介して着脱可能に接合して支持するパッド取付体27と、スリーブ20に連結されてモータ3の回転をパッド取付体27に伝達する取付具28と、を備えて構成されている。
洗浄パッド25は、例えば圧縮メラミンフォームや、不織布等の材質を用いて、30mm程度の厚さで形成されている。洗浄パッド25は、中央部にパッド側連通穴29を有する円環板状を成している。面ファスナー26は、平面視で洗浄パッド25と同じ円環状を成しており、パッド取付体27の下面に貼付されている。
パッド取付体27は、一体的に樹脂成形されている。パッド取付体27は、中央部に係合部であるパッド取付体側連通穴30を有する円環状を成しており、パッド取付体連通穴30を塞ぐよう取付具28が固定される。パッド取付体27は、パッド取付体27の外周部分は洗浄パッド25の外周面31に一致するように形成され、パッド取付体27の内周部分32は洗浄パッド25の内周面33より内側に突出するように形成されている。
パット取付体27の内周部分32の下面側には、洗浄パッド25の内周面33に嵌合するように、インロー部34が下方に延設されている。インロー部34は、少なくともパッド取付体27の下面から離間した高さから面ファスナー26の内周面までの範囲を覆うように形成されている。具体的にインロー部34は、洗浄パッド25が洗浄動作中に床面4に押接されても、インロー部34の端部が床面4に接触しない程度の高さだけ、パッド取付体27の下面(面ファスナー26の取付面)からさらに下方向に突出している。
パッド取付体27の内周部分32の上面側には、パッド取付体連通穴30に設けられる取付具28を囲繞するように、円周壁35が立設されている。円周壁35は、インロー部34の上方延長線上に形成されている。なお、円周壁35の内周面は下方に向かって内径が徐々に拡大するように傾斜して形成されているのが好ましい。これは、床面洗浄パッドユニット5の洗浄時の回転数が高速の場合、内側領域55に供給された洗浄水が、遠心力の作用で円周壁35の内周面を伝って上方に溢れ出そうとするからである。なお、円周壁35の内周面を下方に向かって内径が徐々に拡大するように傾斜して形成するには、例えば、射出成形用の金型が所謂アンダーカットの状態でも成形して型開きできるスライドコアの構造とすればよいし、若干のアンダーカットでも、成形初期の段階では強制的にコアを抜いて型開きする構造も可能である。若しくは、射出成形後に円周壁35の内周面を機械加工でテーパーを付けることも、さほど困難ではない。最も、床面洗浄パッドユニット5の洗浄時の回転数を中速から低速に抑えれば、円周壁35は、少なくとも上方に向かって内径が大きく拡大しない程度で、通常の金型抜きテーパー程度の傾斜を持っていてもよい。円周壁35には、径方向に沿ってスライド穴37が穿設され、スライド穴37の反対側部分に切り欠き部38が円弧状に形成されている。
円周壁35の内周面には、円周壁35の高さのほぼ中間位置から内側に向かって受け部40が水平に形成されている。受け部40は、円環状を成し、受け部40の内側端部は下方に屈曲した形状を成し、該屈曲部分の下端はインロー部34の下端と同一高さに形成されている。この場合、円周壁35の上端と受け部40との高さの差は、切り欠き部38が形成された部分を含めて、できるだけ大きいのが望ましい。また、受け部40の外周部には、円周壁35の内周面に接するように、排水口41が周方向に均等間隔で6箇所形成されている。
取付具28は金属製部材により形成されている。取付具28には、中央部に有底円筒形状のボス42が形成され、ボス42には、スリーブ20を挿脱可能な上向きの凹部43が形成されている。ボス42の内径はスリーブ20の外径に対して僅かに大きく設定され、スリーブ20の外周面とボス42の内周面の間に若干遊びを持たせている。ボス42の内周面には、放射状に爪部44が突設されている。ボス42の爪部44は、ボス42の内周面の円周上に等間隔で多数個形成されている。そして、ボス42の爪部44とスリーブ20の爪部23が噛合することで、スリーブ20に対するボス42の相対的な回転が規制され、モータの回転軸19の回転が、スリーブ20、ボス42を介して床面洗浄パッドユニット5に伝達されるようになっている。ボス42の各爪部44は、上下方向に長い形状を成し、各爪部44の上側端部(スリーブ側端部)は先細形状を成していてもよい。また、取付具28の中央部の有底円筒形状のボス42の底部には、水抜き孔などが穿孔されていてもよい。
取付具28には、ボス42の外周部にフランジ部45が形成されている。フランジ部45は、円周壁35の内周面39と間に排水口41に対応した隙間を隔てた状態で、パッド取付体27の受け部40に載置可能に形成されている。フランジ部45の外周部には、切込部46が周方向に均等間隔で6箇所形成され、これらの切込部46を介してネジ等を受け部40に取り付けることで、取付具28がパッド取付体27に固定されるようになっている。
取付具28には、ボス42の上方にガイド壁47が円周壁35と同心状に形成されている。ガイド壁47は、凹部43に挿入されるスリーブ20の外周部を半周程度覆うように平面視で半円状を成し、円周壁35のスライド穴37に対応する位置にスライド穴48が形成され、円周壁35の切り欠き部38に対応する位置に開口部49が円弧状に形成されている。この場合、ガイド壁47の上端と受け部40との高さの差は、開口部49が形成された部分を含めて、できるだけ大きいのが望ましい。
円周壁35のスライド穴37及びガイド壁47のスライド穴48には、係止手段としての係止キー50が、ボス42を中心とする放射線方向に貫挿している。係止キー50は、スリーブ20の爪部23とボス42の爪部44を噛合させた状態でスリーブ20の溝部24と対応する高さに設けられている。係止キー50の内端部には爪片51が設けられており、爪片51の内面は、上方に向かって僅かに外側に傾斜している。係止キー50の外端部には、係止キー50を進退操作する取っ手部52が設けられている。
係止キー50は、ボス42の凹部43に対して進退可能に設けられており、スリーブ20の爪部23とボス42の爪部44を噛合させた状態で、係止キー50の爪片51を凹部43に進入させると、係止キー50の爪片51が溝部24に係止されてスリーブ20とボス42が分離不能となる。一方で、係止キー50の爪片51を凹部43から退かせると、溝部24に対する係止キー50の爪片51の係止状態が解除されてスリーブ20とボス42が分離可能となる。係止キー50には、取付具28と円周壁35と間に圧縮バネ53が介装されている。圧縮バネ53は、係止キー50を内側に付勢し、係止キー50の爪片51をスリーブ20の溝部24に進入させるように作用している。そして、取っ手部52をスライド操作して、圧縮バネ53の付勢力に抗して爪片51をスリーブ20の溝部24から退かせたり、反対に、爪片51を溝部24に進入させたりするようになっている。床面洗浄パッドユニット5のパッド取付体27の外周部には、取っ手部52の延長線上に目印としての溝54(図5参照)が形成されている。これにより、スリーブ20の爪部23の位置合わせが可能なように構成されている。また、図7に示されているように、係止キー50には、円周壁35により囲まれた内側領域55を通過する部分の上部に平面部56が形成されている。
図1及び図2に示されているように、前方カバー6は、モータ3の前方において本体シャーシ12に固定されるカバー軸57(図3参照)を支点に上下に回動可能に設けられるカバー連結部58と、床面洗浄パッドユニット5の上方及び外周部を覆うように形成されるパッドカバー部59と、パッドカバー部59の上面において開閉可能に形成されるカバー蓋60と、を備えている。カバー連結部58とパットカバー部59とは一体に形成されており、前方カバー6をカバー軸5を支点に上方に回転させると、本体2の前方底部に、床面洗浄パッドユニット5を床面4に沿ってスライドさせるための空間80(図10(b)参照)が形成されるようになっている。
図3に示されているように、昇降装置7は、本体シャーシ12の上面に支持されるシリンダ61と、シリンダ61から下方に突出するロッド62と、を備えている。ロッド62の下端にはリフト軸63が連結され、リフト軸63には、モータ台17から突出したリフト板(図示せず)が支持されている。そして、シリンダ61を作動させてロッド62を上昇させると、ロッド62に連結されたリフト軸63が前記リフト板を持ち上げ、これに伴って、モータ台17及びモータ3が上昇するようになっている。また、シリンダ61を作動させてロッド62を下降させると、ロッド62に連結されたリフト軸63による前記リフト板の持ち上げが解除され、モータ台17及びモータ3が自重により下降するようになっている。
リフト軸63には、作動アーム64の一端部が取り付けられ、作動アーム64の他端部は、取付軸65を介してブラケット66に軸支されている。作動アーム64と連結板16の間には、牽引用スプリング67が張設されている。そして、シリンダ61を作動させてロッド62を下降させると、作動アーム64が取付軸65を支点に一方向に回転し、作動アーム64が牽引用スプリング67を介して連結板16を下方に牽引するように構成されている。そして、この牽引に伴ってモータ台17が下降し、床面洗浄パッドユニット5の洗浄パッド25が床面に圧接されるように構成されている。
清水タンク8には、給水手段が接続され、該給水手段は、図3及び図4に示されているように、給水ポンプや給水管(図示しない)、及び給水管の先端に取り付けられる給水ノズル68を備えている。給水ノズル68は、本体シャーシ12に固定されているため、洗浄パッド25の交換作業時におけるシリンダ61の動作に拘わらず、床面洗浄パッドユニット5の円周壁35により囲まれた内側領域55に精度良く位置決めされる。これにより、清水タンク8内に貯蔵された洗浄水は、給水ノズル68を介して内側領域55に確実に供給される。
図1に示されているように、スキージ9には、左右方向中央部に吸引口69が設けられており、この吸引口69は、吸引ホース70を介して回収タンク10の内部と連通している。そして、図示しない吸引ブロアーを稼動させて吸引口69から吸引ホース70を介して吸い込んだ汚水を、回収タンク10内に導入できるようになっている。
ハンドル11の近傍には、本体2の後側上部に操作部71が設けられている。操作部71には、洗浄作業をするための運転スイッチやメインスイッチ、パッド圧の切換スイッチなどの各種スイッチやバッテリ残量表示やエラー表示を行なう表示部が設けられている。操作部のメインスイッチは、電源ONモード、電源OFFモード、パッド交換モード(床面洗浄パッドユニット交換モード)の間で切換可能となっている。そして、メインスイッチを電源ONモード又は電源OFFモードからパッド交換モードに切換えると、シリンダ61が作動してロッド62が下降し、これに伴ってスリーブ20が最下降位置(スリーブ20の先端がボス42の凹部43の最下端に達する位置)まで下降するようになっている。また、メインスイッチをパッド交換モードから電源ONモード又は電源OFFモードに切換えると、シリンダ61が作動してロッド62が上昇し、スリーブ20が最上昇位置(スリーブ20の下端がガイド壁47の開口部49よりも若干高くなる位置)まで上昇するようになっている。
次に、主に図8及び図9を参照しつつ、上記した構成を備えた床面洗浄機1によって、床面4を洗浄する方法について説明する。
まず、床面洗浄機1の電源を入れて、オペレータが床面洗浄機1のハンドル11を押したり引いたりして走行させる。同時に、清水タンク8に収納された洗浄水を、適宜洗剤等を混合させた上で、給水ノズル68を介して床面洗浄パッドユニット5の内側領域55内に供給する。内側領域55内に供給された洗浄水は、排水口41を通って床面4上に滴下されるため、モータ3により床面洗浄パッドユニット5を高速回転させることで、床面4を洗浄することができる。
その後、床面4を洗浄して生じた汚水は、本体の後側に位置したスキージ9により中央に集められ、吸引口69から吸引ホース70を介して吸引回収され、回収タンク10内に収容される。
この場合、内側領域55に供給された洗浄水が例え受け部40等で跳ね返ったとしても、円周壁35によりパッド取付体27の上面等に飛散することを防止することができる。また、係止キー50の上部に平面部56が形成されているため、係止キー50の上部56に洗浄水が滴下されたとしても、その洗浄水は、図9(a)のように係止キーの上部に弾かれて円周壁35の外側に飛散することなく、図9(b)に示されているように、床面洗浄パッドユニット5の回転方向に沿って移動して内側領域55内に落下する。そのため、洗浄水の飛散防止用にスプラッシュガードを設けなくても、床面洗浄パッドユニット5の回転による遠心力で床面4に滴下する前の洗浄水が、床面洗浄パッドユニット5の周囲に飛散することがない。したがって、洗浄水を効率良く使用することができ、節水を図ることができる。
また、インロー部34によってパッド取付体27の下面から離間した高さから面ファスナー26の内周面までの範囲が覆われているため、パッド取付体27に対する面ファスナー26の貼り付け部分が洗浄水に浸されることがなく、パッド取付体27と面ファスナ−26の貼り付け状態を安定して維持することができる。
さらに、床面洗浄パッドユニット5は、回転トルクが加わる取付具28を金属製部材で形成することで所定の強度を確保することができると共に、円周壁35及びインロー部34をパッド取付体27と一体に樹脂成形することでパッド取付体27の重量アップをさせずにコストダウンを図ることができる。
次に、主に図10(a)、(b)を参照しつつ、上記した構成を備えた床面洗浄機1において、床面洗浄パッドユニット5を交換する手順について説明する。
まず、操作部71のメインスイッチを電源ONモードから電源OFFモードに切り替えて、床面洗浄機1の運転を停止させると、図10(a)に示すように、床面洗浄パッドユニット5の回転が停止した後、シリンダ61が駆動してロッド62が上昇し、スリーブ20が上昇位置まで上昇する。この状態で、パットカバー部59のカバー蓋60を開放すると、床面洗浄パッドユニット5の状態が視認できるため、オペレータが係止キー50の取っ手部52を掴んで手前に引き、係止キー50を前方にスライドさせる。
これにより、図10(b)に示すように、係止キー50の爪片51がスリーブ20の溝部24から退いて、スリーブ20とボス42とが分離し、取付具28と共に床面洗浄パッドユニット5は自重により床面4に脱落する。そこで、メインスイッチをパッド交換モードに切換えると、スリーブ20が最上昇位置まで上昇し、それに伴なって前述の作動アーム64の上昇動作によって前方カバー6が、カバー軸57を支点に上方に回転させられて、この脱落した床面洗浄パッドユニット5を、空間80を介して床面4に沿って前方にスライドさせて外部に引き出すことができる。これにより、床面洗浄パッドユニット5の取外し作業が完了する。
次に、使用済みの洗浄パッド25をパッド取付体27から取り外し、交換用の新しい洗浄パッド25を同一のパッド取付体27に装着する。そして、本体2の前方から空間80を介して本体2の内部のモータ3の回転軸19の下方まで、床面洗浄パッドユニット5を床面4に沿って後方にスライドさせ、スリーブ20の爪部23にボス42のガイド壁47を接触させて、ボス42とスリーブ20の位置合わせを行う。
次に、操作部71のメインスイッチをパッド交換モードから電源ONまたはOFFに切換えると、シリンダ61が駆動してロッド62が下降し、スリーブ20が最下降位置まで下降する。そして、スリーブ20の爪部23とボス42の爪部44が噛合すると共に、スリーブ20の溝部24に係止キー50の爪片51が係合し、モータ3の回転軸19と床面洗浄パッドユニット5が連結される。これにより、新しい洗浄パッド25を備えた床面洗浄パッドユニット5の取り付け作業が完了する。なお、前述のメインスイッチをOFFに切換えた場合には、すぐさまスリーブ20が上昇位置まで上昇し、その結果、洗浄パッド25が床面4から離間した状態で停止する(図10(a)の状態)。
この場合、洗浄水の飛散防止用にスプラッシュガードを設ける必要がないため、洗浄パッド25の交換時にスプラッシュガードを開放するためのスペースが不要になると共に、スリーブ20の最上昇位置では前方カバー6の前方が自動的に上昇して交換用の空間80が形成されるので、スプラッシュガードを開閉する手間が掛からず、床面洗浄パッドユニット5の交換作業を容易に行うことができる。
次に、図11及び図12を参照しつつ、本発明の別の実施形態に係る床面洗浄機について説明する。なお、以下の説明において、上記した実施形態に係る床面洗浄機1と同等の構成については、詳細な説明は省略する。
図11に示されているように、本実施形態に係る床面洗浄機1の床面洗浄パッドユニット81は、洗浄パッド25と、洗浄パッド25の上面に面ファスナー26を介して着脱可能に接合されるパッド取付体82と、スリーブ20とパッド取付体82とを連結する取付具83と、を備えて構成されている。
パッド取付体82は、樹脂製部材により一体に成形され、円環状を成している。パッド取付体82の内周部分84は洗浄パッド25の内周面33より内側に突出するように形成されている。パット取付体82の内周部分84には、洗浄パッド25の内周面33に嵌合するように、インロー部78が下方に延設されていると共に、取付具82を囲繞するように、円周壁85が立設されている。円周壁85は、インロー部78の上方延長線上に形成され、円周壁85の内周面は下方に向かって内径が徐々に拡大するように傾斜して形成されているのが好ましいが、少なくとも上方に向かって内径が大きく拡大しない程度であれば、通常の金型抜きテーパー程度の傾斜であればよい。
パッド取付体82の内周部分84には、円周壁84とインロー部78の境界部当りから内側に向かって受け部87が水平に形成されている。この場合、円周壁85の上端と受け部87との高さの差は、できるだけ大きいのが望ましい。また、受け部87の外周部には、円周壁85の内周面に接するように、排水口89が周方向に均等間隔で6箇所形成されている。
取付具83は金属製部材により形成されている。取付具83には、中央部に有底円筒形状のボス90が形成され、ボス90には、スリーブ20を挿脱可能な上向きの凹部91が形成されている。ボス90の内周面には、放射状に爪部92が多数個突設され、ボス90の爪部92とスリーブ20の爪部23が噛合することで、スリーブ20に対するボス90の相対的な回転が規制され、スリーブ20の回転がボス90を介して床面洗浄パッドユニット81に伝達されるようになっている。また、取付具83の中央部の有底円筒形状のボス90の底部には、水抜き孔などが穿孔されていてもよい。
取付具83には、ボス90の外周部にフランジ部93が形成されている。フランジ部93は、円周壁85と間に排水口89に対応した隙間を隔てた状態で、パッド取付体82の受け部87に載置可能に形成されている。
取付具83には、ボス90の上方にガイド壁94が円周壁85と同心状に形成されている。ガイド壁94は、凹部91に挿入されるスリーブ20の外周部を半周程度覆うように平面視で半円状を成し、ガイド壁94の円周方向の中央の位置に係合穴95が形成され、係合穴95の反対側に開口部96が円弧状に形成されている。この場合、ガイド壁94の上端と受け部87との高さの差は、開口部96が形成された部分を含めて、できるだけ大きいのが望ましい。
ガイド壁94の係合穴95には、係止手段としての係止レバー97が係合している。係止レバー97は、ボス90に対して前後に揺動可能に軸支される下端部と、前方に屈曲して形成される上端部99と、上下中間部から後方に突設されて係合穴95に係合する爪片100と、を備えて構成されている。係止レバー97は、スリーブ20の溝部24に対して進退可能に設けられており、スリーブ20の爪部23とボス90の爪部92を噛合させた状態で、係止レバー97の爪片100を溝部24に進入させると、スリーブ20とボス90が分離不能となる。一方で、係止レバー97の爪片100を溝部24から退かせると、スリーブ20とボス90が分離可能となる。なお、図示しないが、係止レバー97の下端部には、トーションバネが巻装されていて、係止レバー97の爪片100を係合穴95に進入させる方向に付勢している。
上記した構成を備えた床面洗浄機によって、床面4を洗浄する場合、給水ノズル68を介して床面洗浄パッドユニット81の内側領域101内に供給された洗浄水は、排水口89を通って床面4上に滴下されるため、床面洗浄パッドユニット81を高速回転させることで、床面4を洗浄することができる。
この場合、内側領域101に供給された洗浄水が例え受け部87等で跳ね返ったとしても、円周壁84によりパッド取付体82の上面等に飛散することを防止することができる。そのため、洗浄水の飛散防止用にスプラッシュガードを設けなくても、床面洗浄パッドユニット81の回転による遠心力で床面4に滴下する前の洗浄水が、床面洗浄パッドユニット81の周囲に飛散することがない。したがって、洗浄水を効率良く使用することができ、節水を図ることができる。また、パッド取付体27への面ファスナー26の貼り付け部分が洗浄水に浸されるのをインロー部78によって防止することができるため、パッド取付体27と面ファスナー26の貼り付け状態を安定して維持することができる。さらに、係止レバー97をボス90に軸支させると共に、受け部87を円周壁84とインロー部78の境界部当りのできるだけ低い位置から形成させることにより、洗浄水の飛散を防止しつつ、床面洗浄パッドユニット81の厚みを全体的に薄くすることができる。なお、先の実施例での円弧状に形成された切り欠き部38に相当する部分は無く、円周壁84の上端部は完全な円筒形状となっているため、切り欠き部38から洗浄水が溢れ出し易いということもない。
次に、主に図12(a)、(b)を参照しつつ、上記した構成を備えた床面洗浄機において、洗浄パッド25を交換する手順について説明する。
まず、図12(a)に示すように、所定の操作によって、床面洗浄パッドユニット81の回転が停止した後、スリーブ20が最上昇位置まで上昇した状態で、カバー連結部58のカバー蓋60を開放すると、床面洗浄パッドユニット81の状態が視認でき、また目印としての溝をパッドカバー部59の外から視認もできるため、オペレータが床面洗浄パッドユニット81の位相を調整した上で、係止レバー97の上端部99を掴んで下方に傾動させる。
これにより、図12(b)に示すように、係止レバー97の爪片100がスリーブ20の溝部24から退いて、スリーブ20とボス90とが分離し、取付具83と共に床面洗浄パッドユニット81は自重により床面4に脱落する。そこで、操作部71のメインスイッチをパッド交換モードに切換えると、スリーブ20が最上昇位置まで上昇し、それに伴なって前述の作動アーム64の上昇動作によって前方カバー6が、カバー軸57を支点に上方に回転させられて、この脱落した床面洗浄パッドユニット81を、空間80を介して床面4に沿って前方にスライドさせて外部に引き出し、床面洗浄パッドユニット81の取外し作業が完了する。
次に、使用済みの洗浄パッド25をパッド取付体82から取り外し、交換用の新しい洗浄パッド25を同一のパッド取付体82に装着する。そして、空間80を介して床面洗浄パッドユニット82を床面4に沿って後方にスライドさせ、スリーブ20の爪部23にボス90のガイド壁94を接触させて、ボス90とスリーブ20の位置合わせを行う。
次に、所定の操作によって、スリーブ20が最下降位置まで下降すると、スリーブ20の爪部23とボス90の爪部92が噛合すると共に、スリーブ20の溝部24に係止レバー97の爪片100が係合し、新しい洗浄パッド25を備えた床面洗浄パッドユニット81の取り付け作業が完了する。
この場合、洗浄水の飛散防止用にスプラッシュガードを設ける必要がないため、洗浄パッド25の交換時にスプラッシュガードを開放するためのスペースが不要になると共に、スプラッシュガードを開閉する手間が掛からない。また、上記したように床面洗浄パッドユニット81の厚みを全体的に薄くすることで、洗浄パッド25の交換時にスリーブ20の上昇高さを低くしても、床面洗浄パッドユニット81の取り外し及び取り付け作業を行うことが可能となると共に、床面洗浄機1自体の薄型化や構造の簡素化を図ることが可能となる。さらに、係止レバー97は容易に操作可能であり、操作性を高めることができるため、床面洗浄パッドユニット81の取り外し及び取り付け作業のより簡素化を図ることができる。
次に、図13及び図14を参照しつつ、本発明のさらに別の実施形態に係る床面洗浄機について説明する。なお、以下の説明において、上記した実施形態に係る床面洗浄機1と同等の構成については、詳細な説明は省略する。
図13に示されているように、本実施形態に係る床面洗浄機の床面洗浄パッドユニット111は、洗浄パッド25と、洗浄パッド25の上面に面ファスナー26を介して着脱可能に接合されるパッド取付体112と、スリーブ20とパッド取付体112とを連結する取付具113と、を備えて構成されている。
パッド取付体112は、樹脂製部材により一体に成形され、円環状を成している。パッド取付体112の内周部分には、取付具113を囲繞するように、円周壁115が立設されている。円周壁115の内周面は下方に向かって内径が徐々に拡大するように傾斜して形成されている。円周壁115の下方には、受け凹部117が形成され、受け凹部117より外側にインロー部118が形成されている。インロー部118は、洗浄パッド25の内周面33に嵌合するように、下方に延設されている。
取付具113は金属製部材により形成されている。取付具113には、中央部に有底円筒形状のボス119が形成され、ボス119には、スリーブ20を挿脱可能な上向きの凹部120が形成されている。ボス119の内周面には、放射状に爪部121が多数個突設され、ボス119の爪部121とスリーブ20の爪部23が噛合することで、スリーブ20に対するボス119の相対的な回転が規制され、スリーブ20の回転がボス119を介して床面洗浄パッドユニット111に伝達されるようになっている。また、取付具113の中央部の有底円筒形状のボス119の底部には、水抜き孔などが穿孔されていてもよい。
取付具113の外周部には、受け凹部117に対して下方から嵌合可能なように、フランジ部120が形成されている。フランジ部120を受け凹部117に下方から嵌合させてビス129をねじ込むことにより、取付具113はパッド取付体112に固定されるようになっている。フランジ部120の受け凹部117より内側部分には、排水口121が周方向に均等間隔で6箇所形成されている。この場合、円周壁115の上端と排水口121との高さの差は、できるだけ大きいのが望ましい。
取付具113には、ボス119の上方にガイド壁122が円周壁115と同心状に形成されている。ガイド壁122は、凹部120に挿入されるスリーブ20の外周部を半周程度覆うように平面視で半円状を成し、ガイド壁112の円周方向の中央の位置に係合穴123が形成され、係合穴123の反対側に開口部124が円弧状に形成されている。この場合、ガイド壁122の上端と排水口121との高さの差は、開口部124が形成された部分を含めて、できるだけ大きいのが望ましい。
ガイド壁122の係合穴123には、係止手段としての係止レバー125が係合している。係止レバー125は、ボス119に対して前後に揺動可能に軸支される下端部126と、前方に屈曲して形成される上端部127と、上下中間部から後方に突設されて係合穴123に係合する爪片128と、を備えて構成されている。係止レバー125は、スリーブ20の溝部24に対して進退可能に設けられており、スリーブ20の爪部23とボス119の爪部121を噛合させた状態で、係止レバー125の爪片128をスリーブ20の溝部に進入させると、スリーブ20とボス119が分離不能となる。一方で、係止レバー125の爪片128を溝部から退かせると、スリーブ20とボス119が分離可能となる。なお、係止レバー125の下端部126には、トーションバネが巻装されていて、係止レバー125の爪片128を係合穴123に進入させる方向に付勢している。
上記した構成を備えた床面洗浄機によって、床面4を洗浄する場合、図14に示されているように、給水ノズル68を介して床面洗浄パッドユニット111の内側領域129内に供給された洗浄水は、排水口121を通って床面4上に滴下されるため、床面洗浄パッドユニット111を高速回転させることで、床面4を洗浄することができる。
この場合、内側領域129に供給された洗浄水が例え排水口121の周囲で跳ね返ったとしても、円周壁115によりパッド取付体112の上面等に飛散することを防止することができる。そのため、洗浄水の飛散防止用にスプラッシュガードを設けなくても、床面洗浄パッドユニット111の回転による遠心力で床面4に滴下する前の洗浄水が、床面洗浄パッドユニット111の周囲に飛散することがない。したがって、洗浄水を効率良く使用することができ、節水を図ることができる。また、パッド取付体112への面ファスナー26の貼り付け部分が洗浄水に浸されるのをインロー部118によって防止することができるため、パッド取付体27と面ファスナー26の貼り付け状態を安定して維持することができる。さらに、係止レバー125をボス119に軸支させると共に、排水口121をできるだけ低い位置から形成させることにより、洗浄水の飛散を防止しつつ、床面洗浄パッドユニット111の厚みを全体的に薄くすることができる。
なお、上記した構成を備えた床面洗浄機において、洗浄パッド25を交換する手順は、上記した実施形態に係る床面洗浄機1の場合と同様であるので、説明を省略する。
上記した実施形態に係る床面洗浄機では、円周壁115の内周面が下方に向かって開いた形状を有していると共に、円周壁115の下方に受け凹部117が形成されており、床面洗浄パッドユニット111が金型で下方に抜きやすい形状を成しているため、容易に製作することができる。また、円周壁115の内周面が下方に向かって内径が徐々に拡大するように傾斜して形成されているため、円周壁84によりパッド取付体112の上面等に洗浄水が飛散するのをより確実に防止することができる。そのため、床面洗浄パッドユニット111の回転をかなり高速にしても、洗浄水が回転の遠心力で床面洗浄パッドユニット111の周囲に飛散したり、吹き出したりすることがなく、洗浄水を効率良く床面4の洗浄に利用することができる。なお、面ファスナー26の内径はインロー部118には嵌合させずに、インロー部118および洗浄パッド25の内径よりも大きい内径としている。これは、インロー部118と面ファスナー26の内径に隙間を持たせることで、洗浄水が面ファスナー26とパッド取付体112の貼り付け面に接触することを極力抑えて、面和すなー26の貼り付け状態を安定して維持するようにしている。また、本発明の実施例で説明した洗浄パッド25は、必ずしも円環状でなくともよい。円環状の洗浄パッド25を周方向に分割した扇状の洗浄パッドを複数装着する場合も、本発明の応用として可能である。さらに、不織布や圧縮メラミンフォーム製の洗浄パッド25以外にも、様々な材質のパッドやスポンジ等を用いて、床面洗浄以外の処理をする装置に使用する場合に、本発明の技術を応用することも可能である。
なお、上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係る床面洗浄機における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う床面洗浄機および床面洗浄パッドユニットもまた本発明の技術思想に含まれる。