JP6721936B2 - 霧化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、反応種ないしは反応前駆体を含む原料液体を霧化し、成膜、エッチング等に用いられる霧化装置であって、超音波により原料液体を霧化する装置に関するものである。
従来の霧化装置は、原料液体を収容した原料容器の底面壁を解放水槽中の水等の伝達液体に浸し、該解放水槽の内に配置された超音波振動子から超音波を容器の底面壁方向に、解放水槽中の伝達液体を伝搬させて照射する構成としている(たとえば特許文献1)。この構成によれば、超音波振動子から照射された超音波は、解放水槽内の伝達液体を伝播した後、原料容器の底面壁を透過して、原料容器内の原料液体に伝播することによって、原料液体を超音波により霧化することができる。
しかしながら、原料容器の底面壁には、超音波の振動により発生する粗密波により伝達液体から微小な気泡が発生する。このため、原料容器の底面壁を凸湾曲状としたり(特許文献2)、底面部が平坦な原料容器の樹脂薄膜を傾斜させたりし(特許文献3)、気泡を底面壁から移動させて放出し、底面壁の気泡を排除している。
特開2005−307238号公報 登録実用新案第3009505号公報 特開2005−305233号公報
上記従来技術のように、原料容器の底面壁を解放容器中の伝達液体に浸す形態では、気泡の発生を抑制することができない。気泡は、伝達液体中の溶残気体に起因するものであり、超音波により伝達液体中に粗密波が発生することで、伝達液体中の溶残気体が発泡して発生する。気泡の発生は、超音波のエネルギーを消費すると同時に、伝達液体中に存在する気泡が緩衝材として働くため、超音波の減衰を速める。
原料容器を解放容器の伝達液体に浸す形態では、伝達液体中の溶残気体が発泡すると同時に、雰囲気との接触があるため、伝達液体の溶残気体をなくすことはできない。
このため、伝達液体の溶残気体量が常に不安定であり、伝達液体の温度により超音波の伝達速度が変わるなど、原料液体を収容する原料容器に一定条件で超音波を伝達できない。
また、通常の水槽中では、超音波が伝達液体中を伝搬することにより、伝達液体の温度は上昇し、伝達液体の温度を一定に保つことはできない。これにより、伝達液体の温度が、原料容器や薄膜を経由して原料液体にも伝わるため、原料液体の温度は、伝達液体の温度に従い、長期間、温度を一定に維持することは難しい。原料液体の温度が変化した場合、原料液体の粘性、表面張力の変化などから、一定の霧化条件を得ることは難しくなる。例えば、原料液体の温度が上昇した場合、粘度は低下し、表面張力も低下するため、霧化量は増加する。
また、原料容器の一部に薄膜を形成し、伝達液体と原料液体を仕切ると同時に、前記薄膜を超音波が透過することにより、原料液体に超音波を伝達する構成とした場合、前記薄膜は、効率的に超音波を伝達するために、適切な張力で貼られている必要がある。しかしながら、薄膜を一定の張力で固定しても、張力を掛けた状態で固定した場合は変形による張力変化が発生し、長期間継続的に一定張力を維持することは困難である。
この結果、超音波振動子で発生した超音波は、伝達液体中での減衰量が大きく、原料容器中の原料液体に効率的に伝搬しにくいという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、超音波振動子で発生した超音波を、長期間にわたり安定的に原料容器中の原料液体に伝搬する霧化装置を提供することを目的としている。
本発明の霧化装置は、原料液体を収容した原料容器と、原料容器と当接して配置され、超音波を伝達し脱気された伝達液体で満たされた密閉容器と、原料容器に対し密閉容器内の伝達液体を介して超音波を照射する超音波発生部と、伝達液体を循環させる密閉された循環経路を有し、循環経路は、伝達液体の温度を所定の温度に調整する温度調整手段と、密閉容器内の圧力を制御する圧力調整手段と、伝達液体を脱気する脱気機構を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、超音波振動子で発生した超音波を、長期間にわたり安定的に原料容器中の原料液体に伝搬する霧化装置を提供することができる。
第1の実施形態のミストエッチング装置の概略断面図である。 第1の実施形態のミストエッチング装置の変形例の概略断面図である。 第2の実施形態のミストエッチング装置の概略断面図である。 第3の実施形態のミストエッチング装置の概略断面図である。 第4の実施形態のミストエッチング装置の概略断面図である。
<第1の実施形態>
本発明に係る好適な第1の実施形態をミストエッチング装置の例で、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るミストエッチング装置の概略断面図である。ミストエッチング装置1は、原料液体6を霧化するミスト生成部2(霧化装置の一例)と、基板や基板上に形成された薄膜をエッチングするエッチング部3とから構成される。ミスト生成部2とエッチング部3は連結管4により相互に連結されている。ここで、原料液体とは、反応種又は反応前駆体を溶解した液体で、たとえばエッチング液である。
ミスト生成部2は、原料液体6を収容する原料容器5と、原料容器5に付設され伝達液体8を収容する密閉容器7と、超音波を発生させ原料液体6に照射する超音波振動子71(超音波発生部の一例)と、伝達液体8を循環させ伝達液体8の温度を調整する循環経路9(温度調整手段の一例)を備えている。
原料容器5は、ガラス製の円筒51と、円筒51の密閉容器7と当接する底面部に配置され底面を封止するポリエチレン等の合成樹脂薄膜52(薄膜の一例)、円筒51の上面部に配置され原料液体6を霧化したミストを取り出し、ミスト生成部2を連結管4を介してエッチング部3に連結するフランジ53で構成している。合成樹脂薄膜52は、一定の張力が与えられた状態で原料容器5の底部に固定されている。なお、合成樹脂薄膜52を用いる代わりに、原料容器5の密閉容器7と当接する底面壁の一部または全部を、超音波振動子71から発生した超音波が透過できる程度に薄く形成してもよい。
密閉容器7は、内径が原料容器5の内径と等しく底部が底面壁74で封止された円筒形の容器である。原料容器5の下端と密閉容器7の上端は当接して配置され、密閉容器7の上端は合成樹脂薄膜52で封止される。そのため、伝達液体8は密閉容器7の中に雰囲気に接触することなく密閉される。伝達液体8は、たとえば水等の超音波を伝達可能な液体である。
超音波振動子71は、密閉容器7の合成樹脂薄膜52に対向する位置に配置されている。超音波振動子71は、本実施形態では、周波数が2.4MHzのものを用い、伝達液体8が超音波振動子71の冷却液も兼ねている。原料液体6がミスト化される量は、超音波振動子71に印加する電力量によって適宜調節される。
超音波振動で71の配置位置は、図1に示した位置には限らず、伝達液体8を介して原料液体6に超音波を照射できる位置であればよい。たとえば、図2に示すように密閉容器5の側壁に配置することでもできる。
循環経路9は、伝達液体8を安定的に供給するための前段容器92、循環経路内9の伝達液体8の温度を一定とする伝達液体温度調整部93、配管97、98で構成されている。
循環経路9は密閉され、伝達液体8によって満たされている。
伝達液体8は、図示していない脱気装置により脱気され、印加される超音波により気泡が発生しない状態としている。脱気された伝達液体8は、前段容器92内に注ぎこまれ、ポンプ91を作動し、前段容器92に付設される空気抜き(図示せず)から気体を抜きながら、循環経路9中を満たし、密閉容器7内の気泡を無くし雰囲気と接触しないようにして密閉する。
また、前段容器92を密閉せず、伝達液体8の液面にフロート式の板等を設置し、液面の雰囲気への接触を少なくして、伝達液体8の脱気状態を維持しても良い。
ここで、伝達液体8の脱気の方法としては、真空を発生するポンプやエジェクター等を使用して真空下で脱気する方法や、長時間超音波を印加する方法を用いることができる。
また、図示はしていないが、中空糸膜等の静的な脱気機構、旋回流による脱気機構、真空を発生するポンプやエジェクター等により、配管97、98のインラインで常時脱気がなされる形態としてもよい。
伝達液体温度調整部93は、恒温槽95内に収容され温度調整された水96に、配管98の一部98cを浸し、伝達液体8の温度を一定とする形態をとっている。しかしながら、伝達液体8を密閉された状態で、温度調整できる機構であれば、ペルチェ素子のような固体機構を配管97、98に接触させた機構でもよく、前段容器92を恒温槽として温度調整してもよく、形態を問うものではない。また、本実施形態では、伝達液体温度調整部93の位置を前段容器92の上流としているが、循環経路9内で効果的に温度調整できる位置であれば、配置を問うものでもない。
配管97の一端97aは、密閉容器7に接続され、他端97bは前段容器92の内部に配置され開放されている。配管98の一端98aは密閉容器8の配管97が接続されている位置に対向する位置に接続され、他端98bは前段容器92の内部に配置され開放されている。配管97の中央付近には伝達液体8を送出するポンプ91が設けられている。配管98の一端98aの近傍には密閉容器7内の圧力を制御するためのニードルバルブ94(圧力調整手段の一例)が設けられている。配管98の一部98cはらせん状に加工され、恒温水槽95の内部に貯留され一定の温度に保たれている水96に浸潤するように配置されている。
ポンプ91を作動させると、密閉容器7内の伝達液体8は、一端98aから配管98に流入し、ニードルバルブ94、恒温槽93に配置された一部98cを経て移送され他端98bから前段容器92に流出する。前段容器92内の伝達液体8は、配管97の他端97bから配管97に流入しポンプ91を経由して一端97aから伝達容器8内に流出する。すなわち、伝達液体8は、密閉容器7と循環経路9に密閉された状態で、伝達液体温度調整部93により所定の温度に調整されながら図1の矢印Aに示すように反時計回りに循環する。
本実施形態では、ニードルバルブ94を密閉容器7の下流側に設置し、密閉容器7に付設される圧力計72を基に、密閉容器7内の圧力を制御する形態をとっている。ここで、ポンプ91が、ACモーターを使用したポンプであれば、インバータ等により、伝達液体8の圧力を調整してもよく、伝達液体8を密閉された状態で、密閉容器内7の圧力を調整できる機構であれば、機構の形態を問うものではない。これにより、密閉容器7内の伝達液体8の圧力を所望の圧力に維持することで合成樹脂薄膜52に所望の張力を与えることができ、合成樹脂薄膜52の張力による変形に対しても対応できるため、長期間にわたり合成樹脂薄膜52の設置状態を維持できる。
ここで、好適には、循環経路9の一部に、蛇腹状のフレキシブルチューブ(図示せず)やゴム球(図示せず)等を使用し、密閉容器7内の圧力変化に対応した密閉された伝達液体8の圧力の緩和を行うとよい。伝達液体8を循環状態と循環停止状態では、合成樹脂薄膜52の張り方で伝達液体8が密閉された循環経路9内の体積が若干異なる。このため、常時、伝達液体8の容積に合わせた循環経路9の体積調整できるようにした。
なお、伝達液体8の温度変動が小さく許容できる範囲内である場合は、循環経路9等の温度調整手段を設けなくてもよい。
ミスト生成部2を使用すると、ナノオーダーからマイクロオーダーサイズの微細なミスト粒子を効率的に生成することができるとともに、ミストの発生量を調節することができる。生成されたナノオーダーからマイクロオーダーのミスト粒子は速度を持たない、つまり空間に滞留可能であるため、速度を付与して整流することができる。
ミスト生成部2によりミスト化された原料液体6a(以下、単に「ミスト」という)は、ミスト状のままミスト排出口54から原料容器5外に排出され、図1の矢印Bに示すように連結管4内をキャリアガスによってエッチング部3に搬送される。エッチング部3に導入されたミスト6aはヒータ33により蒸気化されてエッチングに供される。
キャリアガスはミスト6aの成分であるエッチング原料と反応しないものであれば特に限定されず、例えば空気(圧縮空気)、窒素、アルゴン等が使用され、エッチング対象物により適宜変更される。
キャリアガス導入口55は、原料容器5に設けられることが好ましく、原料液体6の液面6bより上方に設けられることがより好ましい。そうすることで、より効率的に生成したミスト6aが搬送されることとなる。
搬送されたミスト6aは、ミスト導入口31を通過して処理室34部3内に導入される。
処理室34にはエッチング対象物10が設置され、処理室34は支持台11上に載置されてエッチング処理が施される。
また、処理室34にはキャリアガスを外部に排出するためのキャリアガス排出口32が設けられる。キャリアガス排出口32を設けることで、エッチングの際に生成する反応生成物が処理室3外に排出される。従って、エッチング対象物10上への反応生成物の残留を防ぐことができる。
なお、ミスト6aの供給先は、エッチング部3には限定されず、成膜装置等ミスト化された原料を必要とする任意の装置とすることができる。
エッチング装置1では、原料容器5に収容した原料液体6に、密閉容器7に収容された伝達液体8を介して、超音波振動子71から超音波が印加され、原料液体6はミスト6aとなる。伝達液体8は雰囲気に接触することなく密閉容器7に密閉されているから、伝達液体8に雰囲気中の気体が残存気体として溶け込むことがない。そのため、伝達液体7に超音波を印加しても気泡が発生することがない。
エッチング装置1では、原料容器5と密閉容器7は当接して配置され、その当接部には原料容器5の底面壁を兼ねる合成樹脂薄膜52が配置されている。あるいは、原料容器5の底面を薄く形成している。そのため、超音波を効率よく原料液体6に伝達することができる。
エッチング装置1は、伝達液体8が密閉容器7と循環経路9を循環するように構成されている。循環経路9には伝達液体温度調整部93が設けられ伝達液体8は所定の温度に保たれた状態で循環する。そのため、原料液体6の温度も一定に保たれ、原料液体6の粘性や表面張力も一定に保たれ、一定の霧化条件を得ることができる。
エッチング装置1では、循環経路9内にニードルバルブ94が設けられ、伝達液体8の圧力を調整することができる。そのため、合成樹脂薄膜52の張力を一定の適切な大きさに保つことができ、超音波を減衰させずに原料液体6に伝搬させることができる。
エッチング装置1では、伝達液体8が脱気されているので、超音波による気泡の発生を確実に防止することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る好適な第2の実施形態をミストエッチング装置の例で、図面を参照しながら説明する。図1の第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。第1の実施形態では、伝達液体8自体を循環させて温度調整したが、第2の実施形態では伝達液体8は循環させず、所定の温度に保った冷却液体を循環させてこの冷却液体で伝達液体8を温度調整する構成とした。
図3は、第2の実施形態のミストエッチング装置のミスト生成部21の概略断面図である。ミスト生成部21には、図1の循環経路9とほぼ同様の構成の水冷経路12が設けられている。水冷経路12は、水13(冷却液体の一例)を安定的に供給するための前段容器122、冷却経路12内の水13の温度を一定とする冷却液体温度調整部123、配管127、128、熱交換部129で構成されている。この場合、水13の圧力調整をする必要はないので、配管128にはニードルバルブを設けていない。
伝達液体8は脱気され、原料容器5に密閉され、満たされている。
冷却液体温度調整部123は、恒温槽125に収容され温度調整された水126に、配管128の一部128cを浸し、水13の温度を一定とする形態をとっているが、第1の実施形態と同様に、他の機構により冷却してもよいし、図3とは異なる位置に配置しても良い。
熱交換部129は、水13が循環する経路の一部を構成するリング状の中空部材である。熱交換部129の内面は密閉容器7の側壁の外周面に当接して配置され、適宜パッキン等を用いて水密な構造とする。密閉容器7内の伝達液体8と熱交換部129内の水13との間で熱交換が行われ、伝達液体8の温度は一定に保たれる。
配管127の一端127aは、熱交換部129に接続され、他端127bは前段容器122の内部に配置され開放されている。配管128の一端128aは熱交換部129の配管127が接続されている位置と対向する位置に接続され、他端128bは前段容器122の内部に配置され開放されている。配管127の中央付近には水126を送出するポンプ121が設けられている。
ポンプ121を作動させると、熱交換部129内の水13は、一端127aから配管128に流入し、恒温槽125に配置された一部128cを経て移送され他端128bから前段容器122に流出する。前段容器122内の水13は、配管127の他端127bから配管127に流入しポンプ121を経由して一端127aから熱交換部129内に流出する。すなわち、水13は、水冷経路12に密閉された状態で、冷却液体温度調整部123により所定の温度に調整されながら図3の矢印Aに示すように反時計回りに循環する。
第1の実施形態の場合と同様に、伝達液体8の温度変動が小さく許容できる範囲内である場合は、水冷経路12を設けなくてもよい。また、冷却液体として水以外の液体を用いてもよい。
ミスト生成部21は、水13が密閉容器7に当接する熱交換部129と水冷経路12を循環するように構成されている。水冷経路9には冷却液体温度調整部123が設けられ水13は所定の温度に保たれた状態で循環する。そのため、原料液体6の温度を一定に保ち、その粘性や表面張力を一定に保つことができ、一定の霧化条件を得ることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る好適な第3の実施形態をミストエッチング装置の例で、図面を参照しながら説明する。図1の第1の実施形態および図2の第2の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。第3の実施形態は、第2の実施形態と同様の水冷経路を備えるとともに、密閉容器にシリンジを備えている。
図4は、第3の実施形態のミストエッチング装置のミスト生成部22の概略断面図である。脱気された伝達液体8が密閉された密閉容器7には圧力計72に加えて、密閉容器7と連通するシリンジ73が設けられている。シリンジ73のピストンを押し引きすることで、密閉容器7内の伝達液体8の圧力を調整し合成樹脂薄膜52の張力を調整することができる。本実施例では、圧力調整手段としてシリンジを用いたが、密閉容器8内の圧力を変化させることができる機構であれば他の機構でも問題ない。
ミスト生成部22は、シリンジ73を備え伝達液体8の圧力を調整することができる。そのため、合成樹脂薄膜52の張力を一定の適切な大きさに保つことができ、超音波を減衰させずに原料液体6に伝搬させることができる。
<第4の実施形態>
次に、本発明に係る好適な第4の実施形態をミストエッチング装置の例で、図面を参照しながら説明する。第1〜第3の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。第4の実施形態は、基本的には第3の実施形態と同じであるが、密閉容器15を原料容器14の周囲に配置し、熱交換部130は密閉容器15の底部に配置している点が異なる。
図5は、第4の実施形態のミストエッチング装置のミスト生成部23の概略断面図である。原料容器14は、円筒形状である点は第3の実施形態と同様であるが、下端部が底面壁56で封止されている点が異なる。また、原料容器14の側面壁の下部は合成樹脂薄膜57で構成されている。
密閉容器15は、断面形状が内側の開放している溝型であり、平面形状がリング状である部材で原料容器5の側面壁の下部の全周を取り巻くように配置さている。密閉容器15の内側は、原料容器5の側面壁の硬質の部分58の下端と底面壁56の外周とに当接している。当接部分は、パッキン等を用いて水密に構成している。このような構成としているので、脱気された伝達液体8は、密閉容器15と合成樹脂薄膜57により雰囲気に触れないように密閉される。
密閉容器15には、第3の実施形態と同様に圧力計72とシリンジ73が設けられ、これらにより伝達液体8の圧力を調整し、合成樹脂薄膜57の張力を調整することができる。
超音波振動子71は、密閉容器15の側面壁に、原料容器14の中心に向かって超音波を照射するように取り付けられている。
水冷経路12の基本的な構成は、図4の第3の実施形態と同様であるが、熱交換部130は、断面溝型のリング状の部材で、その上面が密閉容器15の下面に当接するように配置されている。
ミスト生成部23は、水13が密閉容器7に当接する熱交換部130と水冷経路12を循環するように構成されている。水冷経路9には冷却液体温度調整部123が設けられ水13は所定の温度に保たれた状態で循環する。そのため、原料液体6の温度を一定に保ち、その粘性や表面張力を一定に保つことができ、一定の霧化条件を得ることができる。
以下、本発明に係るミストエッチング装置及びミストエッチング方法に関する実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は下記実施例には限定されない。
図4に示すミストエッチング装置を使用して基板上に形成された酸化亜鉛(ZnO)の薄膜に対してエッチング処理を施した。
実施例の薄膜は、スパッタリング法により基板上に成膜(膜厚100nm)した。
レジストパターンを夫々の薄膜に形成した後に、表1に示す条件にてミストエッチング処理を施した。尚、エッチング時間は180秒とした。キャリアガス及び希釈ガスに(圧縮)空気を使用した。
該実施例にて4時間の連続運転にてエッチングを実施した。連続運転においても、エッチングレート、エッチング形状に変化は見られず、安定してエッチング処理を実施できた。
1 ミストエッチング装置、2 ミスト生成部(霧化装置)、 3 エッチング部、4 連結管、5,14 原料容器、6 原料液体、7,15 密閉容器、8 伝達液体、9 循環経路(温度調整手段)、12 水冷経路(温度調整手段)、52,57 合成樹脂薄膜(薄膜)、71 超音波振動子(超音波発生部)、73 シリンジ(圧力調整手段)、94 ニードルバルブ(圧力調整手段)、93 伝達液体温度調整部、123 冷却液体温度調整部

Claims (3)

  1. 反応種ないしは反応前駆体を溶解した原料液体を霧化する霧化装置であって、
    前記原料液体を収容した原料容器と
    前記原料容器と当接して配置され、音波を伝達し脱気された伝達液体で満たされた密閉容器と、
    前記原料容器に対し前記密閉容器内の前記伝達液体を介して前記超音波を照射する超音波発生部と、
    前記伝達液体を循環させる密閉された循環経路を有し、
    前記循環経路は、前記伝達液体の温度を所定の温度に調整する温度調整手段と、前記密閉容器内の圧力を制御する圧力調整手段と、前記伝達液体を脱気する脱気機構を備えていることを特徴とする霧化装置。
  2. 前記原料容器の前記密閉容器と当接する当接部が薄く形成され、前記超音波は前記当接部を経由して前記原料容器内の前記原料液体に照射されることを特徴とする請求項1に記載の霧化装置。
  3. 前記原料容器と前記密閉容器の間に配置される薄膜を有し、前記超音波は前記薄膜を経由して前記原料容器内の前記原料液体に照射されることを特徴とする請求項1に記載の霧化装置。
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