JP6721566B2 - 成形体、積層体、工具用グリップ材及び工具 - Google Patents

成形体、積層体、工具用グリップ材及び工具 Download PDF

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Description

本発明は成形体、積層体、工具用グリップ材及び工具に関し、より詳細には、層間の融着強度(以下、層間融着強度ともいう)に優れ、また、離型性が良好であり、成形体(積層体)の生産性に優れた熱可塑性エラストマー組成物からなる部材を有する成形体、該熱可塑性エラストマー組成物からなる層を有する積層体、該熱可塑性エラストマー組成物からなる工具用グリップ材及び該成形体を用いてなる工具に関する。
従来、電動工具等の工具の基体として、ナイロン6、ナイロン12のようなポリアミド系樹脂又はそれにガラス繊維を添加したものが使用されている。このような工具のグリップ部にはこれを手で握った際のグリップ感が要求されるために、軟質材料が用いられている。
このような工具のグリップ部に用いられる軟質材料は柔軟性を有するだけではなく、更に、基体であるポリアミド系樹脂との部材間での融着強度に優れることが必要とされる。従来、このような工具のグリップ部には主として、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー組成物が用いられている(例えば、特許文献1)。
日本国特開2009−209273号公報
本発明者の詳細な検討によれば、上記特許文献1に記載されているようなポリウレタン系熱可塑性エラストマー組成物を用いた成形体(積層体)は、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー組成物とポリアミド系樹脂等の基体との間での融着強度が高いという利点を有する一方で成形時の金型離型性が乏しく、生産性が悪いという欠点があることがわかった。
本発明の課題は、上記問題点を解決しようとするものである。即ち、本発明の課題は、熱可塑性エラストマー組成物とポリアミド系樹脂との間での融着強度に優れ、金型離型性が良好であり、生産性に優れた成形体、積層体、工具用グリップ材、及び該成形体を用いてなる工具を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の熱可塑性エラストマー組成物がポリアミド系樹脂との間での融着強度に優れ、また、金型離形性が良好であるために成形体(積層体)の生産性に優れることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
即ち、本発明の要旨は以下[1]〜[20]の通りである。
[1]下記成分(A)及び成分(B)を含有する熱可塑性エラストマー組成物からなる部材(1)とポリアミド系樹脂を含む部材(2)とを有する成形体。
成分(A):下記成分(A1)を含有するポリプロピレン系樹脂
成分(A1):ポリプロピレン系樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリプロピレン
成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックPと、共役ジエン及びイソブチレンの少なくとも一方に由来する重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体からなる群のうちの少なくとも1つのブロック共重合体
[2]前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記成分(A)と前記成分(B)の合計量に対して、前記成分(A)の含有量が5〜60重量%である、[1]に記載の成形体。
[3]前記熱可塑性エラストマー組成物が下記成分(C)を含む、[1]又は[2]に記載の成形体。
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
[4]前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記成分(A)〜(C)の合計量に対して、前記成分(A)の含有量が0.5〜55重量%、前記成分(B)の含有量が10〜60重量%、前記成分(C)の含有量が10〜60重量%である、[3]に記載の成形体。
[5]前記成分(A)が前記成分(A1)及び下記成分(A2)を含有し、これらの合計量に対して前記成分(A1)を1〜85重量%含有する、[1]〜[4]のいずれか1に記載の成形体。
成分(A2):ポリプロピレン系樹脂
[6]前記成分(A1)の不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト率が0.01〜10重量%である、[1]〜[5]のいずれか1に記載の成形体。
[7]下記成分(A)及び成分(B)を含有する熱可塑性エラストマー組成物からなる層(1)とポリアミド系樹脂を含む層(2)とを有する積層体。
成分(A):下記成分(A1)を含有するポリプロピレン系樹脂
成分(A1):ポリプロピレン系樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリプロピレン
成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックPと、共役ジエン及びイソブチレンの少なくとも一方に由来する重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体からなる群のうちの少なくとも1つのブロック共重合体
[8]前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記成分(A)と前記成分(B)の合計量に対して、前記成分(A)の含有量が5〜60重量%である、[7]に記載の積層体。
[9]前記熱可塑性エラストマー組成物が下記成分(C)を含む、[7]又は[8]に記載の積層体。
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
[10]前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記成分(A)〜(C)の合計量に対して、前記成分(A)の含有量が0.5〜55重量%、前記成分(B)の含有量が10〜60重量%、前記成分(C)の含有量が10〜60重量%である、[9]に記載の積層体。
[11]前記成分(A)が前記成分(A1)及び下記成分(A2)を含有し、これらの合計量に対して前記成分(A1)を1〜85重量%含有する、[7]〜[10]のいずれか1に記載の積層体。
成分(A2):ポリプロピレン系樹脂
[12]成分(A1)の不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト率が0.01〜10重量%である、[7]〜[11]のいずれか1に記載の積層体。
[13]下記成分(A)及び成分(B)を含有する熱可塑性エラストマー組成物からなる工具用グリップ材。
成分(A):下記成分(A1)を含有するポリプロピレン系樹脂
成分(A1):ポリプロピレン系樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリプロピレン
成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックPと、共役ジエン及びイソブチレンの少なくとも一方に由来する重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体からなる群のうちの少なくとも1つのブロック共重合体
[14]前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記成分(A)と前記成分(B)の合計量に対して、前記成分(A)の含有量が5〜60重量%である、[13]に記載の工具用グリップ材。
[15]前記熱可塑性エラストマー組成物が下記成分(C)を含む、[13]又は[14]に記載の工具用グリップ材。
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
[16]前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記成分(A)〜(C)の合計量に対して、前記成分(A)の含有量が0.5〜55重量%、前記成分(B)の含有量が10〜60重量%、前記成分(C)の含有量が10〜60重量%である、[15]に記載の工具用グリップ材。
[17]前記成分(A)が前記成分(A1)及び下記成分(A2)を含有し、これらの合計量に対して前記成分(A1)を1〜85重量%含有する、[13]〜[16]のいずれか1に記載の工具用グリップ材。
成分(A2):ポリプロピレン系樹脂
[18]前記成分(A1)の不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト率が0.01〜10重量%である、[13]〜[17]のいずれか1に記載の工具用グリップ材。
[19][1]〜[6]のいずれか1に記載の成形体を用いてなる工具。
[20]グリップ部と基体とを有し、該グリップ部に前記部材(1)を用い、かつ該基体に前記部材(2)を用いる、[19]に記載の工具。
本発明によれば、特定の熱可塑性エラストマー組成物とポリアミド系樹脂との間での融着強度に優れ、金型離型性が良好であり、生産性に優れた成形体、積層体、工具用グリップ材及び該成形体を用いてなる工具が提供される。さらに、本発明の成形体(積層体)は、上記効果を奏することから、工具のグリップ部として特に好適である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。また、本発明において、「(メタ)アクリレート」という表現を用いた場合、「アクリレート」と「メタクリレート」の一方又は両方を意味するものとする。
[熱可塑性エラストマー組成物]
本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)及び成分(B)を含有することに特徴をもつものである。
成分(A): 下記成分(A1)を含有するポリプロピレン系樹脂
成分(A1):ポリプロピレン系樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリプロピレン
成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックPと、共役ジエン及びイソブチレンの少なくとも一方に由来する重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体からなる群のうちの少なくとも1つのブロック共重合体
本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(C)を含むことが好ましい。
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物はポリアミド系樹脂との融着強度に優れるものである。この効果を奏するのは次の理由によるものと考えられる。即ち、本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物においては成分(A)がマトリックス成分を構成し、成分(B)がゴム成分として分散するものと考えられる。そして、成分(A)における成分(A1)の変性ポリプロピレンがポリアミド系樹脂との融着性を付与するものであるが、成分(A1)はマトリックス成分を構成しているためにポリアミド系樹脂との融着性に寄与することができるものと考えられる。
以下、各成分についてさらに詳細に説明する。
<成分(A)>
本発明において、成分(A)は、上記のとおり、「成分(A1):ポリプロピレン系樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリプロピレン」を含有するポリプロピレン系樹脂である。成分(A)には、「成分(A2):ポリプロピレン系樹脂」を含んでいてもよい。なお、本発明において、成分(A2)には成分(A1)は含まれないものとする。
本発明において、成分(A1)の原料として用いるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単量体単位が50重量%を超える、即ちプロピレン以外の単量体単位が50重量%未満のものであれば特に限定されない。プロピレン以外の単量体単位は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
また、成分(A1)の原料として用いるポリプロピレン系樹脂の密度は特に限定されないが、通常0.87g/cm以上、好ましくは0.88g/cm以上であり、また、通常0.92g/cm以下、好ましくは0.91g/cm以下である。
本発明において、成分(A2)として用いるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン以外の単量体単位が5重量%未満のものである。また、(A2)として用いるポリプロピレン系樹脂の密度は特に限定されないが、通常0.87g/cm以上、好ましくは0.88g/cm以上であり、また、通常0.92g/cm以下、好ましくは0.91g/cm以下である。
成分(A1)の原料および成分(A2)におけるポリプロピレン系樹脂としては、上記に該当するものであれば特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレンとその他のα−オレフィンとの共重合体及びプロピレンとその他のビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。
ここで、「その他のα−オレフィン」、すなわち、プロピレン以外のα−オレフィンとしては特に限定されないが、通常、エチレンのほか、好ましくは炭素数4〜20、より好ましくは炭素数4〜10の二重結合を有する炭化水素が挙げられる。また、「その他のビニルモノマー」も特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びスチレン誘導体等が挙げられる。
また、成分(A1)及び成分(A2)それぞれに用いるポリプロピレンは、上記の樹脂を2種以上併用してもよい。また、成分(A1)、成分(A2)として、それぞれに異なる樹脂を用いてもよいし、同一であってもよい。なお、前記の各共重合体としては、ブロック共重合体、グラフト共重合体又はランダム共重合体等の何れであってもよい。
これらの中でも、成分(A1)の原料及び成分(A2)としては、プロピレン単独重合体若しくはプロピレン・エチレン共重合体又はこれらのブレンド物が好ましく、プロピレン単独重合体がより好ましい。
成分(A1)及び成分(A2)それぞれに用いるポリプロピレン系樹脂の立体規則性には特に制限は無く、プロピレン連鎖がアイソタクティック、シンジオタクティック、アタクティック又はステレオブロック等の何れでもよいが、プロピレン連鎖がアイソタクティックであることが好ましく、特にアイソタクティックホモポリプロピレンが好ましい。また、重合に用いる触媒も公知のものを適宜採用することができる。
本発明において、成分(A1)の原料及び成分(A2)それぞれに用いるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、ISO 1133(2011年)(230℃、荷重2.16kg)の条件で、通常0.5g/10分以上、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上であり、また、通常100g/10分以下、好ましくは80g/10分以下、より好ましくは60g/10分以下、更に好ましくは40g/10分以下である。
成分(A1)の原料及び成分(A2)のそれぞれに用いるポリプロピレンのMFRが前記下限値以上であることにより、単独での凝集力が強くなり他の成分との均一混合性が不十分になるのを防ぐことができるほか、本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物を製造する際のエネルギー負荷が大きくなり過ぎるのを防ぐことができる。また、これらのポリプロピレンのMFRが前記上限値以下であることが、本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物の流動性の観点から好ましい。
成分(A1)及び(A2)それぞれに用いるポリオレフィン系樹脂は市販品として入手することができる。ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、日本ポリプロ社製ノバテック(登録商標)PPシリーズ及びウィンテック(登録商標)シリーズ等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。また、ポリエチレン系樹脂としては、例えば、日本ポリエチレン社製ノバテック(登録商標)シリーズ及び旭化成ケミカルズ社製クレオレックス(登録商標)シリーズ等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
<成分(A1)>
本発明において、成分(A1)は、前記のポリプロピレン系樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリプロピレンである。不飽和カルボン酸としては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸が好ましい。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸及びイソクロトン酸等が挙げられる。誘導体としては、例えば、酸無水物及びカルボン酸エステル等が挙げられ、更には、酸ハロゲン化物、アミド及びイミド等の誘導体であってもよい。これらの誘導体としては、酸無水物が好ましい。
これらの中で、特にマレイン酸又はその無水物が好ましい。また、これらの化合物は、1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合せ及び比率で用いてもよい。更には、ビニルトリメトキシシラン等のいわゆるビニルシラン類等を不飽和カルボン酸又はその誘導体とともに併用することもできる。
成分(A1)を得るための変性は如何なる方法を用いてもよく、熱のみの反応でも得ることができるが、反応の際にラジカルを発生させる有機過酸化物等をラジカル発生剤として添加してもよい。また、反応させる手法としては、溶媒中で反応させる溶液変性法又は溶媒を使用しない溶融変性法等が挙げられ、更には、懸濁分散反応法等その他の方法を用いてもよい。
溶液変性法としては、ポリプロピレン系樹脂を有機溶剤等に溶解して、これにラジカル発生剤と不飽和カルボン酸又はその誘導体とを添加してグラフト共重合させる方法を使用することができる。有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルキル基置換芳香族炭化水素又はハロゲン化炭化水素を使用することができる。
溶融変性法としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂と不飽和カルボン酸又はその誘導体、及び必要により後述するラジカル発生剤を予め混合した上で、混練機中で溶融混練させ反応させる方法、及び混練機中で溶融したポリプロピレン系樹脂に、ラジカル発生剤と不飽和カルボン酸又はその誘導体との混合物を装入口から添加して反応させる方法等が挙げられる。混合には通常、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー又はV型ブレンダー等が使用され、溶融混練には通常、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー又はブラベンダーミキサー等を使用することができる。
ポリプロピレン系樹脂に対する不飽和カルボン酸又はその誘導体の配合割合は特に限定されないが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、通常0.01重量部以上、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
ラジカル発生剤は特に限定されないが、具体的には、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエ−ト)ヘキシン−3、ラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエ−ト、tert−ブチルペルイソブチレ−ト、tert−ブチルペルピバレ−ト及びクミルペルピバレ−ト等の有機ペルオキシド又は有機ペルエステル、並びにアゾビスイソブチロニトリル及びジメチルアゾイソブチレ−ト等のアゾ化合物等を使用することができる。
これらのラジカル発生剤は、原料のポリプロピレン系樹脂の種類やMFR、不飽和カルボン酸又はその誘導体の種類および反応条件等に応じて適宜選択することができ、1種のみを用いても、2種以上を任意の組み合せ及び比率で併用してもよい。
ラジカル発生剤の配合量は特に限定されないが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.01〜3重量部である。
本発明において、成分(A1)は、上記に該当する変性ポリプロピレンを単独で用いることもできるし、2種以上を任意の組み合せ及び比率で併用することもできる。
成分(A1)のMFR[ISO 1133(2011年)(180℃、荷重2.16kg)]は特に限定されないが、通常0.1g/10分以上、好ましくは1g/分以上、より好ましくは5g/分以上であり、また、通常10,000g/10分以下、好ましくは5,000g/10分以下、より好ましくは3,000g/10分以下、さらに好ましくは1,000g/10分以下である。
成分(A1)における不飽和カルボン酸又はその誘導体によるグラフト率(変性量)は特に限定されないが、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上であり、また、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7.5重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
成分(A1)における不飽和カルボン酸又はその誘導体による変性量が前記下限値以上であると、本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物における基材への接着性能が向上する。また、該変性量が前記上限値以下であると熱安定性が向上するほか、他の成分との相溶性が向上する。
ここでグラフト率(変性量)とは、赤外分光測定装置で測定した際の、不飽和カルボン酸又はその誘導体成分の含有率を意味する。例えば、厚さ100μm程度のシート状にプレス成形したサンプル中のカルボン酸またはその誘導体特有の吸収、具体的には1,900〜1,600cm-1(C=O伸縮振動帯)のカルボニル特性吸収を測定することにより求めることができる(以下の記載においても同様である。)。
なお、不飽和カルボン酸又はその誘導体による変性は、100%が反応に供されずに、ポリプロピレン系樹脂と反応していない不飽和カルボン酸又はその誘導体も変性ポリプロピレン中に残留している場合があるが、本発明におけるグラフト率(変性量)は、上記の方法で測定した際の値を意味するものとする。
成分(A)が成分(A2)を含有することは任意であり、成分(A1)および成分(A2)の配合比率は特に限定されない。成分(A1)とともに成分(A2)を用いる場合は、成分(A1)の含有量は、成分(A1)及び(A2)の合計量に対して、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは85重量%以下、より好ましくは65重量%以下、さらに好ましくは45重量%以下である。成分(A1)の含有量を前記下限値以上とすることにより、本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物における基材への接着性能が向上する。
また、成分(A)中の不飽和カルボン酸又はその誘導体によるグラフト率(変性量)は、通常0.05重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1.5重量%以上であり、また、通常4重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下である。
成分(A)中の不飽和カルボン酸又はその誘導体によるグラフト率(変性量)が前記下限値以上であると、本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物におけるポリアミド系樹脂等の基材への接着性能が向上する。また、該変性量が前記上限値以下であると熱安定性が向上するほか、他の材料との相溶性が向上する。
また、成分(A1)または成分(A)は、未反応の不飽和カルボン酸またはその誘導体を除く処理を行ったものでもよい。この処理方法は特に限定されないが、具体的な例としては、装置下部より気体が吹き込める構造を有する貯蔵タンクに成分(A1)または成分(A)を入れて、ヒーターまたは熱媒油で装置を100℃程度に加熱し、装置下部より窒素等の不活性気体または空気を吹き込み、6〜24時間処理するという方法がある。本発明において成分(A)は、予め成分(A1)及び成分(A2)を溶融混練等で樹脂組成物としておいてもよいが、これらを独立に用いて、後述する他の成分と配合してもよい。
<成分(B)>
本発明において、成分(B)は、ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックPと、共役ジエン及びイソブチレンの少なくとも一方に由来する重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体からなる群のうちの少なくとも1つのブロック共重合体である。
成分(B)は、ブロックPを少なくとも2個有し、かつブロックQを少なくとも1個有するブロック共重合体、及び該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体からなる群のうちの少なくとも1つのブロック共重合体であることが好ましい。
ブロックPを構成する単量体のビニル芳香族化合物は特に限定されないが、スチレン又はα−メチルスチレン等のスチレン誘導体が好ましい。中でも、スチレンを主体とすることが好ましい。なお、ブロックPには、ビニル芳香族化合物以外の単量体が原料として含まれていてもよい。
上記ビニル芳香族化合物以外の単量体としては、例えば、エチレン及びα−オレフィン等が挙げられる。また、ブロックPが、上記ビニル芳香族化合物以外の単量体を原料として含む場合、その含有量は、好ましくは50重量%未満、より好ましくは40重量%以下である。含有量がこの範囲であることにより耐熱性や圧縮永久歪が良好となる傾向がある。
ブロックQは共役ジエン及びイソブチレンの少なくとも一方に由来するものである。ブロックQに用いることのできる単量体の共役ジエンは特に限定されないが、ブタジエン及びイソプレンの少なくとも一方を主体とすることが好ましく、より好ましくはブタジエン及びイソプレンである。なお、ブロックQには、共役ジエン以外の単量体が原料として含まれていてもよい。ここで、本発明において「主体とする」とは、50重量%以上であることを意味する。
上記共役ジエン及びイソブチレンの少なくとも一方以外の単量体としては、スチレン等が挙げられる。また、ブロックQが、上記共役ジエン及びイソブチレンの少なくとも一方以外の単量体を原料として含む場合、その含有量は、好ましくは50重量%未満、より好ましくは40重量%以下である。含有量がこの範囲であることによりブリードアウトが抑制される傾向がある。
成分(B)のブロック共重合体は、上記重合体ブロックPと上記重合体ブロックQとを有するブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体であってもよい。より具体的には、ブロック共重合体のブロックQが有する二重結合を水素添加した水添ブロック共重合体であってもよい。ブロックQの水素添加率は特に限定されないが、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%である。ブロックQを前記範囲で水素添加することにより、得られる熱可塑性エラストマー組成物の粘着的性質が低下し、弾性的性質が増加する傾向がある。なお、ブロックPが、原料としてジエン成分を用いた場合についても同様である。また、水素添加率は、13C−NMRにより測定することができる。
なお、ブロックQを構成する単量体の共役ジエンがブタジエンの場合、ミクロ構造中のブタジエンは、1,4−付加構造と1,2−付加構造を取りうるが、特に、ブロックQが水素添加誘導体であり、ブタジエンを主体として構成される場合には、ブロックQのミクロ構造中のブタジエンの1,4−付加構造が20〜100重量%であることが好ましい。
ブロックQを構成する単量体の共役ジエンがイソプレンの場合、ミクロ構造中のイソプレンは、1,2−付加構造、1,4−付加構造及び3,4−付加構造を取りうるが、上記と同様に、特に、ブロックQが水素添加誘導体であり、ブロックQがイソプレンから構成される場合には、ブロックQのミクロ構造中のイソプレンの1,4−付加構造が60〜100重量%であることが好ましい。
また、ブロックQが水素添加誘導体であり、ブロックQを構成する単量体の共役ジエンがブタジエンとイソプレンを含む場合には、ブロックQのミクロ構造中のブタジエン及びイソプレンの1,4−付加構造が、それぞれ、20〜100重量%及び60〜100重量%であることが好ましい。
何れの場合も、1,4−付加構造の比率を前記の範囲とすることにより、得られる熱可塑性エラストマー組成物の粘着的性質が低下し、弾性的性質が増加する傾向がある。なお、1,4−付加構造の比率(以下、「1,4−ミクロ構造比」ということがある。)は、13C−NMRにより測定することができる。
本発明における成分(B)は、重合体ブロックPと重合体ブロックQとを有する構造であれば特に限定されず、直鎖状、分岐状又は放射状等の何れであってもよいが、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体である場合が好ましい。
さらに、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体は、水素添加して得られる水添ブロック共重合体であることがより好ましい。下記式(1)又は(2)で表される共重合体が水添ブロック共重合体であると、熱安定性が良好になる。
P−(Q−P) (1)
(P−Q) (2)
(式中、Pは重合体ブロックPを、Qは重合体ブロックQをそれぞれ示し、mは1〜5の整数を示し、nは2〜5の整数を示す。)
式(1)又は(2)において、m及びnは、ゴム的高分子体としての秩序−無秩序転移温度を下げる点では大きい方がよいが、製造のしやすさ及びコストの点では小さい方がよい。
成分(B)が式(1)又は(2)で表される水添ブロック共重合体であり、ブロックQがブタジエンから構成される場合、ブロックQのミクロ構造中のブタジエンの1,4−付加構造が20〜100重量%であることが好ましい。
同様に、ブロックQがイソプレンから構成される場合、ブロックQのミクロ構造中のイソプレンの1,4−付加構造が60〜100重量%であることが好ましい。同様に、ブロックQがブタジエン及びイソプレンから構成される場合、ブロックQのミクロ構造中のブタジエン及びイソプレンの1,4−付加構造は、それぞれ20〜100重量%及び60〜100重量%であることが好ましい。何れの場合も、1,4−ミクロ構造比を前記の範囲とすることにより、得られる熱可塑性エラストマー組成物の粘着的性質が低下し、弾性的性質が増加する傾向がある。
ブロック共重合体及び水添ブロック共重合体の少なくとも一方(以下、「(水添)ブロック共重合体」ということがある。)としては、ゴム弾性に優れることから、式(2)で表される(水添)ブロック共重合体よりも式(1)で表される(水添)ブロック共重合体の方が好ましく、mが3以下である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体がより好ましく、mが2以下である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体が更に好ましく、mが1である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体が最も好ましい。
成分(B)を構成するブロックPとブロックQとの重量割合は任意であるが、本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度及び熱融着強度の点からはブロックPが多い方が好ましく、一方、柔軟性、異形押出成形性及びブリードアウト抑制の点からはブロックPが少ない方が好ましい。
成分(B)中のブロックPの重量割合は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上であり、また、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは45重量%以下である。
本発明における成分(B)の製造方法は、上述の構造と物性が得られればどのような方法でもよく、特に限定されない。具体的には、例えば、日本国特公昭40−23798号公報に記載された方法によりリチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック重合を行うことによって得ることができる。
また、ブロック共重合体の水素添加(水添)は、例えば、日本国特公昭42−8704号公報、日本国特公昭43−6636号公報、日本国特開昭59−133203号公報及び日本国特開昭60−79005号公報等に記載された方法により、不活性溶媒中で水添触媒の存在下で行うことができる。
前記水添処理では、重合体ブロック中のオレフィン性二重結合の50%以上が水添されていることが好ましく、80%以上が水添されていることがより好ましく、且つ、重合体ブロック中の芳香族不飽和結合の25%以下が水添されていることが好ましい。
このような水添ブロック共重合体の市販品としては、例えば、クレイトンポリマー社製「KRATON(登録商標)−Gシリーズ」、「KRATON(登録商標)−Aシリーズ」、クラレ社製「セプトン(登録商標)シリーズ」、「ハイブラー(登録商標)シリーズ」の一部グレード、旭化成社製「タフテック(登録商標)シリーズ」等が挙げられる。非水添型のブロック共重合体の市販品としては、クレイトンポリマー社製「KRATON(登録商標)−Dシリーズ」、クラレ社製「ハイブラー(登録商標)シリーズ」の一部グレード及び旭化成社製「タフプレン(登録商標)シリーズ」等が挙げられる。これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
本発明における成分(B)の数平均分子量(Mn)は特に限定されないが、好ましくは30,000以上、より好ましくは50,000以上、さらに好ましくは80,000以上であり、また、好ましくは500,000以下、より好ましくは400,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。成分(B)の数平均分子量が前記範囲内であると、成形性と耐熱性が良好となる傾向がある。
成分(B)の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、好ましくは50,000以上、より好ましくは80,000以上、さらに好ましくは100,000以上であり、また、好ましくは550,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは400,000以下である。成分(B)の重量平均分子量が前記範囲内であると、成形性と耐熱性が良好となる傾向がある。
なお、本発明において、成分(B)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)による測定で求められるポリスチレン換算値であり、その測定条件は以下の通りである。
(測定条件)
機器:東ソー社製「HLC−8120GPC」
カラム:東ソー社製「TSKgel Super HM−M」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒:クロロホルム
温度:40℃
流速:0.5mL/分
注入量:20μL
濃度:0.1重量%
較正資料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
<成分(C)>
本発明に用いる熱可塑性エラストマーに含むことのできる成分(C)は、炭化水素系ゴム用軟化剤である。成分(C)は、熱可塑性エラストマー組成物を軟化させ、柔軟性、弾性、加工性及び流動性を向上させると共に、積層体の透明性及び成形体の外観等の向上に寄与する。
炭化水素系ゴム用軟化剤としては、例えば、鉱物油系軟化剤及び合成樹脂系軟化剤等が挙げられるが、他の成分との親和性の観点から鉱物油系軟化剤が好ましい。鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30〜45%がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが芳香族系オイルと各々呼ばれている。これらの中で、本発明においては、パラフィン系オイルを用いることが好ましい。なお、炭化水素系ゴム用軟化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
炭化水素系ゴム用軟化剤の40℃における動粘度は特に限定されないが、好ましくは20センチストークス以上、より好ましくは50センチストークス以上であり、また、好ましくは800センチストークス以下、より好ましくは600センチストークス以下である。また、炭化水素系ゴム用軟化剤の引火点(COC法)は、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。
成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤は市販品として入手することができる。該当する市販品としては、例えば、JX日鉱日石エネルギー社製「日石ポリブテン(登録商標)HVシリーズ」、出光興産社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPWシリーズ」等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
<各成分の含有量>
本発明において、熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(A)及び成分(B)を含有するものであり、好ましくは成分(C)を含有する。
成分(A)の含有量は、成分(A)及び成分(B)の合計量に対して、下限が好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上であり、また、上限が好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。成分(A)の含有量を前記下限値以上とすることにより、熱可塑性エラストマーのポリアミド系樹脂等との融着強度、耐熱性が良好となり、また、前記上限値以下であると、熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性(硬度)の観点から好ましい。
また、成分(A)の含有量は、成分(A)〜(C)の合計量に対して、下限が好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であり、また、上限が好ましくは55重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下、特に好ましくは30重量%以下である。成分(A)の含有量を前記下限値以上とすることにより、熱可塑性エラストマーのポリアミド系樹脂等との融着強度、耐熱性が良好となり、また、前記上限値以下であると柔軟性の観点から好ましい。
また、成分(B)の含有量は、成分(A)〜(C)の合計量に対して、下限が好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であり、また、上限が好ましくは60重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。成分(B)の含有量を前記下限値以上とすることにより、熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性(硬度)が良好となり、また、前記上限値以下であると、耐熱性が良好となる。
さらに、成分(C)の含有量は、成分(A)〜(C)の合計量に対して、下限が好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上であり、また、上限が好ましくは60重量%以下、より好ましくは57重量%以下、さらに好ましくは55重量%以下である。成分(C)の含有量を前記範囲内とすることにより、熱可塑性エラストマー組成物の流動性が高くなり過ぎず、また流動性が下がり過ぎず、成形性が良好となる
<その他の成分>
本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物には、成分(A)及び(B)以外に本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてその他の成分を配合することができる。
その他の成分としては、例えば、成分(A)及び成分(B)以外の熱可塑性樹脂又はエラストマー等の樹脂、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材及び蛍光増白剤等の各種添加物等が挙げられる。これらは任意のものを単独又は併用して用いることができる。
成分(A)及び成分(B)以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン6及びナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー及びポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂及びポリオレフィン樹脂[ただし、成分(A)に該当するものを除く。]等が挙げられる。また、成分(A)及び成分(B)以外のエラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム及びスチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラストマー[ただし、成分(B)に該当するものを除く。];ポリエステル系エラストマー;ポリブタジエン等が挙げられる。
充填材としては、例えば、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン及びカーボンブラック等が挙げられる。充填剤を用いる場合、成分(A)〜成分(C)の合計100重量部に対して、通常0.1〜50重量部で用いられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤及びチオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤を用いる場合、成分(A)〜成分(C)の合計100重量部に対して、通常0.01〜3重量部の範囲で用いられる。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明において、熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)及び成分(B)、必要に応じて配合されるその他の成分を、公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー又はタンブラーブレンダー等で機械的に混合した後、公知の方法で機械的に溶融混練することにより製造することができる。前記機械的溶融混練には、バンバリーミキサー、各種ニーダー又は単軸若しくは二軸押出機等の一般的な溶融混練機を用いることができる。
<熱可塑性エラストマー組成物の物性>
本発明に用いる熱可塑性エラストマー組成物は、硬度がISO 7619−1(2010年)に準拠して測定された硬度デュロAで、好ましくは90以下、より好ましくは80以下である。下限は特に限定されないが、30以上が好ましい。
[成形体(積層体)]
本発明の成形体(積層体)は、上述した熱可塑性エラストマー組成物からなる部材(1)[層(1)]とポリアミド系樹脂を含む部材(2)[層(2)]とを有する成形体(積層体)である。以下、本発明の成形体が積層体である場合には、「部材(1)」を「層(1)」と、「部材(2)」を「層(2)」と、それぞれ読み替えるものとする。
ここで、本発明の成形体(積層体)において、部材(1)及び部材(2)は、少なくとも他の一つの部材とともに成形体(積層体)中に存在するものであり、予め形成された部材でも、成形体の製造中に形成された部材でもよい。また、これらの部材は如何なる形状であっても、連続性でも非連続性のものでもよく、隣接する部材と完全に接触している必要もない。
また、成形体は、少なくとも二つの部材の一部が固着していればよく、予め形成された部材よりなるものでも、成形体の形成と同時に形成される部材よりなるものでも、予め形成された部材と成形体の形成と同時に形成される部材よりなるものでもよい。そして、各部材は、如何なる形状のものでもよく、連続性でも非連続性でもよい。また、積層体とは、製品の形態に成形されたもの(成形体)であっても、成形して製品となる中間状態のものでもよい。
本発明の成形体(積層体)には、前記の部材(1)及び部材(2)以外に任意の部材を設けることができる。これらの部材を構成する材料は特に限定されないが、通常は樹脂である。任意の部材が樹脂からなる場合、該樹脂も特に限定されない。
<部材(2)の樹脂>
本発明の成形体(積層体)において、上述のとおり、部材(2)は、ポリアミド系樹脂を含ものであれば特に限定されない。ポリアミド系樹脂は特に限定されないが、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/11、MXDナイロン、アモルファスナイロン、テレフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体等が好ましいものとして挙げられる。中でも、融点又は剛性等が優れるナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66がより好ましい。
<部材(2)の樹脂の物性>
部材(2)の樹脂の曲げ弾性率は、好ましくは20,000MPa以下、より好ましくは10,000MPa以下であり、また、好ましくは1,000MPa以上、より好ましくは1,500MPa以上である。なお、曲げ弾性率はISO 178(1993年)に準拠して測定した値である。
<成形体(積層体)の製造方法>
上記した部材(1)の熱可塑性エラストマー組成物と部材(2)のポリアミド系樹脂とを、例えば、成形して熱融着させることにより、本発明の成形体を製造することができる。
成形方法は特に限定されず、通常の射出成形、押出成形又はプレス成形等の各種成形方法を用いることができる。また、必要に応じて、ガスインジェクション成形、射出圧縮成形又はショートショット発泡成形等の各種成形方法を用いることもできる。本発明においては、以上に挙げた成形方法の中でも射出成形が特に好適である。射出成形としては、例えば、インサート射出成形法、二色射出成形法及びコアバック射出成形法等が挙げられる。
インサート射出成形法とは、予め芯材〔部材(2)のポリアミド系樹脂〕を射出成形し、賦形された成形品を金型内にインサートした後、該成形品と金型との間の空隙に表層材〔部材(1)の熱可塑性エラストマー組成物〕を射出成形する成形方法である。
二色射出成形法とは、二台以上の射出成型機を用いて、芯材〔部材(2)のポリアミド系樹脂〕を射出成形した後に、金型が回転、又は移動することにより、金型のキャビティーが交換され、該成形品と金型との間に空隙ができ、そこに表層材〔部材(1)の熱可塑性エラストマー組成物〕を射出成形する成形方法である。
また、コアバック射出成形法とは、1台の射出成形機と1個の金型を用いて、芯材〔部材(2)[層(2)]のポリアミド系樹脂〕を射出成形した後に、金型のキャビティー容積を拡大させ、該成形品と金型との間の空隙に表層材〔部材(1)の熱可塑性エラストマー組成物〕を射出成形する成形方法である。また、芯材の成形は、通常の射出成形法を用いたものでもよく、ガスインジェクション成形をしたものでもよい。
本発明の成形体(積層体)は、熱可塑性エラストマー組成物とポリアミド系樹脂との融着強度に優れ、金型離型性が良好であることから、部材(1)の熱可塑性エラストマー組成物と、部材(2)のポリアミド系樹脂とを用いて、二色射出成形又はインサート射出成形することにより、これらの他の樹脂との成形体(積層体)とすることが好ましい。また、各々別々に成形した成形体を熱融着して一体化して成形体(積層体)とすることもできる。特に、後述する工具のグリップ部を製造する場合には、二色射出成形が特に好適である。
<成形体(積層体)の層構成、厚み、形状>
本発明の成形体(積層体)において、部材(1)と部材(2)の積層様式は、部材(1)が外側あることが好ましい。場合によっては部材(1)及び部材(2)以外の部材(層)が含まれていても差支えない。また、部材(1)及び部材(2)の厚みも特に限定はなく、各用途に応じた厚みを任意に選ぶことができる。
さらに、本発明の成形体(積層体)の形状には特に限定はなく、シート状、管状、棒状又は異形体のいずれでもよい。また、部材(1)及び部材(2)の形状にも特に限定はなく、成形体(積層体)となり得る形状であれば、それぞれ、任意の形状を選ぶことができる。
部材(1)及び部材(2)間の融着強度は、好ましくは1N/25mm以上、より好ましく10N/25mm以上、さらに好ましくは30N/25mm以上である。この値が大きいほど、部材(1)と部材(2)との融着性に優れることを示す。なお、熱融着強度は、後述する実施例の「剥離試験」と同じ条件で測定した値である。
[工具用グリップ材]
本発明の工具用グリップ材は、上述した熱可塑性エラストマー組成物からなる。工具用グリップ材の成形方法は特に限定されず、通常の射出成形、押出成形又はプレス成形等の各種成形方法を用いることができる。
[用途]
本発明の成形体(積層体)は、部材間(層間)融着強度に優れ、また、金型離形性にも優れるものである。また、透明性、成形体の外観等が良好であるために意匠性にも優れたものである。このため、本発明の成形体(積層体)は、歯ブラシ、筆記具(例えば、シャープペンシル及びボールペン等)、髭剃り、玩具、スポーツ用品又は工具等の、基体部とグリップ部とを有する日用品として好ましい。
本発明に用いる熱可塑性エラストマーは、工具のグリップ部として特に好ましい。すなわち、本発明の成形体を用いてなる工具、さらに具体的には、グリップ部と基体とを有し、該グリップ部に上記部材(1)を用い、かつ該基体に前記部材(2)を用いる工具が提供される。
以下、実施例を用いて本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔部材(1)〕
[原料]
[成分(A)]
<成分(A1)>
A1−1:
無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン〔グラフト率:2.5重量%、MFR(180℃、荷重2.16kg(直径1mmφ、長さ8mmのオリフィスを使用して測定した値):450g/10分(直径2mmφのオリフィスで測定した場合の7,200g/10分に相当)〕
a1−1(比較例用):
無水マレイン酸グラフト変性エチレン・オクテン共重合体
<成分(A2)>
A2−1:
日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PP BC03B」(ポリプロピレン・エチレンブロック共重合体)〔MFR[ISO 1133(2011年)(230℃、荷重2.16kg)]:30g/10分〕
A2−2:
日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PP MG03BD」(ポリプロピレンランダム共重合体)〔MFR[ISO 1133(2011年)(230℃、荷重2.16kg)]:30g/10分〕
[成分(B)]
B−1:
クレイトンポリマー社製「Kraton(登録商標)G1651HU」(スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物)〔重量平均分子量(Mw):250,000、スチレン含有量:33重量%〕
B−2:
クレイトンポリマー社製「Kraton(登録商標)G1650MU」(スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物)〔重量平均分子量:90,000、スチレン含有量:33重量%〕
B−3:
旭化成ケミカルズ社製「タフテック(登録商標)M1943」(無水カルボン酸変性スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)
[成分(C)]
C−1:
出光興産社製「ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW90」(パラフィン系オイル)
(その他の成分)
D−1:
白石カルシウム社製「ソフトン(登録商標)1200」(炭酸カルシウム)〔平均粒径:1.8μm(カタログ値)〕
X−1(比較例用):
DICバイエルン社製「パンデックス(登録商標)T−1180N」(ウレタン系熱可塑性エラストマー)(硬度デュロA:80)
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
表1及び表2に記載の各成分を二軸混練機により溶融混練(シリンダー温度160℃〜210℃)し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
[射出成形]
各例で得られた部材(1)の熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、射出成形機(日本製鋼所社製「J110AD」、型締め力110T)を用いて、金型温度40℃、射出圧力147MPa、シリンダー温度210℃、冷却時間30秒にて射出成形を行い、100mm×100mm、厚み2mmの成形体を得た。
[評価方法]
<硬度デュロA>
部材(1)に用いた熱可塑性エラストマー組成物について、ISO 7619−1(2010年)に準拠してデュロA硬度を測定した。
〔部材(2)〕
[原料]
<ポリアミド系樹脂>
DSM社製「ノバミッド(登録商標)1013GH30」(30%ガラス入りナイロン6)
[射出成形]
上記30%ガラス入りナイロン6を用い、射出成形機(日本製鋼所社製「J110AD」、型締め力110T)により、金型温度60℃、射出圧力147MPa、シリンダー温度260℃、冷却時間30秒にて射出成形を行い、100mm×100mm、厚み2mmの成形体を得た。
〔成形体〕
[射出成形]
得られた成形体〔部材(2)〕を100mm×100mm×4mmのシート用金型にインサートした。次いで、該成形体〔部材(2)〕と金型との空隙に、各例で得られた熱可塑性エラストマー組成物ペレットを射出成形機(日本製鋼所社製「J110AD」、型締め力110T)を用いて、射出温度270℃、金型温度60℃、冷却時間30秒にて射出して部材(1)の熱融着成形を行い、成形体(積層体)を得た。
[評価方法]
<融着強度>
得られた成形体(積層体)を、25mm×100mm×4mmの短冊状試験片に切断し、部材(1)と部材(2)を180℃方向に引張速度200mm/分で剥離試験を行い、部材(1)/部材(2)の熱融着強度を測定した。この値が大きいほど、部材(1)と部材(2)との熱融着性に優れるものと評価される。
<金型離型性>
上記記載の成形体の成形時、金型を開いた際に金型と熱可塑性エラストマーが剥がれ、金型が開いた後、可動側に成形体(積層体)が移動するものを「合格」(○)、金型を開いた際に金型と熱可塑性エラストマーが密着し、金型が開いた後、固定側に成形体(積層体)が残るものを「不合格」(×)と評価した。
表1及び表2に、実施例1−1〜1−9、比較例1−1〜1−7の部材(1)の組成と評価結果、得られた成形体(積層体)の評価結果を示す。
Figure 0006721566
Figure 0006721566
表1の実施例1−1〜1−9に示すように、本発明の成形体(積層体)は、部材(1)と部材(2)との間の部材間(層間)融着強度及び金型離型性に優れるものであった。
一方、表2に示すように、成分(A)を使用しなかった比較例1−1及び1−3〜1−5では、層間融着強度が悪かった。また、本発明の成形体(積層体)における熱可塑性エラストマー組成物からなる部材(1)[層(1)]を形成せずに、代わりに熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用い、成分(B)を使用しなかった比較例1−2及び1−7では金型離型性が悪かった。また、比較例1−6では成分(A)を使用せず、代わりに無水マレイン酸グラフト変性エチレン・オクテン共重合体を用いたものであるが、ポリイミド系樹脂との層間融着強度が悪かった。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2015年2月18日付で出願された日本特許出願(特願2015−029682)に基づいており、その全体が引用により援用される。

Claims (14)

  1. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する熱可塑性エラストマー組成物からなる部材(1)とポリアミド系樹脂を含む部材(2)とを有し、
    前記熱可塑性エラストマー組成物において、下記成分(A)〜(C)の合計量に対して、下記成分(A)の含有量が0.5〜55重量%、下記成分(B)の含有量が10〜60重量%、下記成分(C)の含有量が10〜60重量%である、成形体。
    成分(A):下記成分(A1)及び成分(A2)を含有し、これらの合計量に対して下記成分(A1)を1〜85重量%含有するポリプロピレン系樹脂
    成分(A1):無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン
    成分(A2):プロピレン・エチレン共重合体
    成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックPと、共役ジエン及びイソブチレンの少なくとも一方に由来する重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体からなる群のうちの少なくとも1つのブロック共重合体
    成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
  2. 前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記成分(A)と前記成分(B)の合計量に対して、前記成分(A)の含有量が5〜60重量%である、請求項1に記載の成形体。
  3. 前記成分(A1)の無水マレイン酸のグラフト率が0.01〜10重量%である、請求項1又は2に記載の成形体。
  4. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する熱可塑性エラストマー組成物からなる層(1)とポリアミド系樹脂を含む層(2)とを有し、
    前記熱可塑性エラストマー組成物において、下記成分(A)〜(C)の合計量に対して、下記成分(A)の含有量が0.5〜55重量%、下記成分(B)の含有量が10〜60重量%、下記成分(C)の含有量が10〜60重量%である、積層体。
    成分(A):下記成分(A1)及び成分(A2)を含有し、これらの合計量に対して下記成分(A1)を1〜85重量%含有するポリプロピレン系樹脂
    成分(A1):無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン
    成分(A2):プロピレン・エチレン共重合体
    成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックPと、共役ジエン及びイソブチレンの少なくとも一方に由来する重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体からなる群のうちの少なくとも1つのブロック共重合体
    成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
  5. 前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記成分(A)と前記成分(B)の合計量に対して、前記成分(A)の含有量が5〜60重量%である、請求項4に記載の積層体。
  6. 前記成分(A1)の無水マレイン酸のグラフト率が0.01〜10重量%である、請求項4又は5に記載の積層体。
  7. 下記成分(A)及び成分(B)を含有する熱可塑性エラストマー組成物からなる工具用グリップ材。
    成分(A):下記成分(A1)を含有するポリプロピレン系樹脂
    成分(A1):ポリプロピレン系樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリプロピレン
    成分(B):ビニル芳香族化合物に由来する重合体ブロックPと、共役ジエン及びイソブチレンの少なくとも一方に由来する重合体ブロックQとを有するブロック共重合体、並びに該ブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体からなる群のうちの少なくとも1つのブロック共重合体
  8. 前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記成分(A)と前記成分(B)の合計量に対して、前記成分(A)の含有量が5〜60重量%である、請求項7に記載の工具用グリップ材。
  9. 前記熱可塑性エラストマー組成物が下記成分(C)を含む、請求項7又は8に記載の工具用グリップ材。
    成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
  10. 前記熱可塑性エラストマー組成物において、前記成分(A)〜(C)の合計量に対して、前記成分(A)の含有量が0.5〜55重量%、前記成分(B)の含有量が10〜60重量%、前記成分(C)の含有量が10〜60重量%である、請求項9に記載の工具用グリップ材。
  11. 前記成分(A)が前記成分(A1)及び下記成分(A2)を含有し、これらの合計量に対して前記成分(A1)を1〜85重量%含有する、請求項7〜10のいずれか1項に記載の工具用グリップ材。
    成分(A2):ポリプロピレン系樹脂
  12. 前記成分(A1)の不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト率が0.01〜10重量%である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の工具用グリップ材。
  13. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形体を用いてなる工具。
  14. グリップ部と基体とを有し、該グリップ部に前記部材(1)を用い、かつ該基体に前記部材(2)を用いる、請求項13に記載の工具。
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