JP6721019B2 - Co2除去装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃焼排ガスや大気などのCOを含有するガスからCOを除去するための装置に関し、特にCO除去に必要なエネルギーを低減するための技術に関する。
温室効果ガスの排出による地球温暖化が世界的な問題となっている。温室効果ガスには二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、フロン類(CFCs)等がある。これらの中で影響が最も大きいものはCOであり、火力発電所や製鉄所などからのCO分離除去システムの構築が緊急の課題となっている。
また、COは人体にも影響を与える。例えば、COを高濃度に含むガスを吸引した場合には健康被害を引き起こすため、室内など、密閉された空間においてはCO濃度の管理が必要である。特に宇宙ステーションなど外気と室内空気との換気が困難な環境においては特にCOを除去する装置が必要である。他にも食品や化学製品の製造時においてCOが悪影響を与える可能性があることから、COを除去するシステムが求められている。
上記課題の解決策としては、化学吸収法、物理吸収法、膜分離法、吸着分離法、深冷分離法などがある。その中に、固体のCO捕捉材を用いたCO分離回収法が挙げられる。CO捕捉材を用いたCO除去システムでは、CO捕捉材を充填した捕捉材容器にCO含有ガスを導入し、CO捕捉材とガスを大気圧、もしくは加圧させて接触させることでCOを捕捉除去する。その後、捕捉材を加熱、もしくは捕捉材容器内を減圧することで捕捉したCOを脱離させ、除去する。COを脱離させたCO捕捉材は冷却、もしくは減圧した後に再度CO含有ガスを流通させてCOの捕捉除去に使用される。
これらCOの捕捉除去装置においてはCO捕捉材としてゼオライトが主に用いられている。例えば特許文献1においてはCOを含有するガスをゼオライト系のCO吸着材に接触させることでCOを吸着し、その後加熱することでCOを脱離させるCO除去方法が記載されている。
特表2010−527757号公報
ゼオライトは水蒸気(HO)を含有するガスと接触させた場合にCO捕捉量が低下するため、CO捕捉の前段でHOを除去することが一般的である。例えば、特許文献1に記載のCOの捕捉除去方法においては、CO含有ガスが水蒸気(HO)を含有する場合には前記HOの濃度を400ppm以下、より好ましくは20ppm以下に低減することが好ましいとしている。
固体のCO捕捉材の種類によっては、HOを含有するガスを接触させることによる好ましい影響、例えばCO捕捉量の増加もしくはCO脱離温度の低温化もしくはその両方があると考えられる。しかし、特許文献1においてはこれらが議論されておらず、さらにはそれを用いた装置構成について記載がない。
本発明の目的は、消費エネルギーを低減したCO分離除去装置を提供することにある。
上述の目的の為、本発明のCO除去装置はガス中のHO及びCOを捕捉するCO捕捉材と、前記捕捉材を内部に設置した反応容器と、前記ガス中のHO濃度を計測するためのHO計測器と、前記HO計測器で得た情報を基にHO濃度を調整するHO濃度調整機器と、前記HO濃度調整機器から前記反応容器に前記ガスを導入して前記CO捕捉材に接触させるためのガス導入路と、前記混合ガスを前記捕捉材に接触させた後に反応容器から排出するための第一のガス排出路と、CO捕捉材から脱離したガスを反応容器から排出するための第二のガス排出路を含むことを特徴とする。
本発明によれば、従来よりも消費エネルギーを低減したCO分離除去装置を提供できる。
セリウム酸化物におけるCO捕捉量をHO流通の有無で比較したグラフである。 セリウム酸化物における昇温時のCO脱離割合をHO流通の有無で比較したグラフである。 セリウム酸化物におけるCO脱離の際に捕捉材を加熱するために消費するエネルギーと温度の相関をHO流通の有無で比較したグラフである。 ジルコニウム酸化物における昇温時のCO脱離割合をHO流通の有無で比較したグラフである。 セリウム酸化物におけるHO濃度とHO吸着量の相関を示したグラフである。 捕捉材を固定床方式とした場合のCO除去装置の例である。 捕捉材を固定床方式とした場合にCOを連続的に除去できるCO除去装置の例である。 捕捉材をローター方式とした場合のCO除去装置の例である。 2つの反応容器を用い、1つの反応容器において捕捉飽和が発生した際に弁の切り替えにより、別の反応容器でHOもしくはCOもしくはその両方を除去するためのCO除去装置の例である。 2つの反応容器を用い、CO及びHO含有ガスの流通方向と加熱ガスの流通方向を逆とするCO除去装置の例である。
以下に本発明を実施するための最適な形態を示す。なお、本発明の範囲は下記に挙げる例に限定されるものではない。
本発明者らは上記課題を鋭意検討した結果、CO及びHOを含有するガスから固体のCO捕捉材を用いてCOもしくはHOもしくはその両方を分離除去するための装置において、前記装置がHO及びCOを捕捉できる捕捉材と、前記捕捉材を内部に設置した反応容器と、ガス中のHO濃度を計測するためのHO計測器と、ガス中のHO濃度を調整するためのHO濃度調整機器と、前記HO計測器で得た情報を基にHO濃度調整機器を制御するための手段と、前記反応容器にCO及びHOを含有する混合ガスを導入して前記捕捉材に接触させるための配管と、前記混合ガスを前記捕捉材に接触させた後に反応容器から排出するための配管を含み、前記HO濃度調整機器においてHOを残留させることでCOの分離除去に要するエネルギーを低減できる事を見出した。これはHOが流通することで固体の表面状態が変化し、脱離温度の低いCOの捕捉状態を形成でき、COを脱離させるために必要な加熱に必要なエネルギーを低減できるためと考えている。さらに、全量のHOを除去する場合と比べ、HO除去に要するエネルギーを低減できるためと考えている。
CO及びHOを捕捉するために使用する捕捉材はどのような物質でも良い。例として、金属酸化物、活性炭、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の水酸化物、層状複水酸化物、固体の有機化合物などが挙げられる。前記CO捕捉材としては単一の種類のものを用いてもよいし、複数の種類を組み合わせてもよい。また、一方を担体として用い、もう一方を含浸などの方法を用いて担持してもよい。
金属酸化物としては多孔質の金属酸化物が好ましく、特に好ましくは、Ce、Ce以外の稀土類金属、及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物もしくは複合酸化物を用いることが好ましい。前記組み合わせの酸化物を用いた場合にはHOを接触させた後もCO吸着が可能であり、かつCO脱離温度を低温化することが可能である。これは、上記酸化物においては酸化物表面がHOと反応することでヒドロキシル基(−OH)が形成し、本官能基とCOの反応により表面に炭酸水素塩(−COH)の形状でCOを吸着できるためと考えている。本捕捉材を合成する方法としては、含浸法、混練法、共沈法、及びゾルゲル法などの調製方法が挙げられる。例えば、Ceの硝酸塩を含んだ溶液に、アンモニア水、水酸化Na、及び水酸化Caなどの塩基性の化合物を加えることでpHを7〜10に調整し、沈殿させて得てもよい。沈殿により酸化物が形成される場合にはそのまま用いてもよいし、焼成により更に酸化させてもよい。
金属酸化物としては、層状複水酸化物を焼成して得られる酸化物を用いてもよい。層状複水酸化物とはハイドロタルサイト状化合物とも呼ばれ、2種類以上の金属元素を含み、その組成を下記(1)式で表すことのできる物質である。なお、下記式においてM(2+)は2価の金属イオン、例えばMg,Mn,Fe,Co,Ni,Cu及びZnを、M(3+)は3価の金属イオン、例えばAl,Cr,Fe,Co,及びInを、A(n−)はn価の陰イオン、例えば炭酸イオン、硝酸イオン、及び硫酸イオンをそれぞれ表す。前記M(2+)、M(3+)、A(n−)はそれぞれ単一のイオンを用いてもよいし、複数のイオンを用いてもよい。
M(2+)1−xM(3+)(OH)A(n−)x/n・yHO…(1)
層状複水酸化物を合成する方法としては、含浸法、混練法、共沈法、及びゾルゲル法などの調製方法が挙げられる。例えば、MgとAlの硝酸塩を含んだ溶液に、炭酸ナトリウムを添加した後、アンモニア水、水酸化Na、及び水酸化Caなどの塩基性の化合物を加えることでpHを8〜11に調整して、沈殿させて得てもよい。本沈殿で得られる物質は層状複水酸化物であるため、金属酸化物及び金属の複合酸化物を得るためには焼成してもよい。焼成温度はどのような温度でも構わないが、例えば400℃以上で焼成した場合に金属酸化物を得られる。
金属酸化物及び金属の複合酸化物として、他にもシリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ゼオライトなどを用いてもよい。また、比表面積向上や耐熱性向上、使用金属量の低減などのために、前記シリカ、アルミナ、ゼオライトにCe、稀土類金属、及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物もしくは混合酸化物などを担持してもよい。
捕捉材として用いる活性炭はどのようなものでも良い。活性炭はその内部に窒素元素(N)を含む場合に塩基性が増し、CO吸着性能が向上することがあるため、含有N量の多い活性炭が好ましい場合がある。このような活性炭を合成する場合には、活性炭にアンモニア(NH)を含むガスを接触させる手法、及びNを多く含む有機分子から活性炭を合成する手法が考えられる。
固体の有機化合物としては、塩基性を有する有機化合物が好ましく、例えばアミノ基を有する有機化合物があげられる。
CO捕捉材を充填した反応容器の後段に、異なるCO捕捉材もしくはHO捕捉材もしくはその両方を充填した反応容器を設置してもよい。さらに、反応容器をつなぐ配管部に流路切り替え用の弁を設置し、必要に応じて後段の反応容器を使用する手法を用いても良い。例えば前段の反応容器にCO及びHOの両方を捕捉できる捕捉材を充填した場合には、まずCO及びHOのいずれかのガスが先に捕捉飽和となり、反応容器出口から排出されると考えられる。COが先に捕捉飽和する場合は、後段に設置する反応容器にはHO流通時にCO捕捉性能が低下する捕捉材を使用しても良い。このような捕捉材の例としてはゼオライトや活性炭が挙げられる。また、HOが先に捕捉飽和する場合には、後段に設置する反応容器にはCO捕捉性能が低い捕捉材を使用しても良い。このような捕捉材の例としてはシリカやアルミナが挙げられる。ガス中のHOとCOの濃度比が変動しやすく、いずれのガスが捕捉飽和となりやすいかが不明な場合には、後段に2つの反応容器を設置し、捕捉飽和となったガス種に応じて使用する反応容器を選択する方式としてもよい。前段の捕捉容器のみを使用してHO及びCOを除去できた場合には、後段の反応容器からHOもしくはCOの脱離処理を行う必要が無く、消費エネルギーを低減できる。
前記反応容器及びCO捕捉材の組み合わせの例としては、前段にCe、Ce以外の稀土類金属、及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物もしくは複合酸化物を用いたCO捕捉材を充填した反応容器を設置し、後段にゼオライトを用いたCO捕捉材を充填した反応容器を設置する構成が挙げられる。本構成を用いた場合には、前段の反応容器においてCOのみが捕捉飽和となり、出口ガスから排出された場合においても、後段の反応容器においてCOを捕捉できる。反応容器前段でHOが捕捉飽和となり、出口ガスから排出された場合においても、後段のゼオライトにより捕捉可能であるが、一般にゼオライトはCOよりもHOを強く吸着するため、ゼオライトからHOを脱離させるためには、COを脱離させる場合よりも加熱・及び減圧に必要な負荷が高い。従って、本構成では前段の反応容器においてHOが捕捉飽和とならないように、HO濃度を調整した方が消費エネルギーを低減できると考えられる。
前記反応容器及びCO捕捉材の組み合わせの例としては、前段にCe、Ce以外の稀土類金属、及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物もしくは複合酸化物を用いたCO捕捉材を充填した反応容器を設置し、後段にシリカ、またはアルミナを用いたHO捕捉材を充填した反応容器を設置する構成が挙げられる。本構成を用いた場合には、前段の反応容器においてHOのみが捕捉飽和となり、出口ガスから排出された場合においても、後段の反応容器においてHOを捕捉できる。前段の反応容器でCOが捕捉飽和となり、後段に流入した場合には、シリカ及びアルミナはCO捕捉性能が低いため、CO除去が不完全となる可能性がある。従って本構成においては前段の反応容器中のCO濃度分布を測定する等、前段におけるCOの捕捉飽和を防止する必要がある。
前記CO及びHOを含有する混合ガスはどのようなガスでも良く、例えば石炭火力発電所のボイラ排ガスや、自動車などの燃焼排ガス、微生物由来の発酵により発生するガス、大気、生物の呼気などが挙げられる。組成は限定しないが、例えばボイラ排ガスや燃焼排ガスの場合には、CO及びHOの他、窒素(N)、酸素(O)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH)などのハイドロカーボン類、灰塵などが含まれる。前記ガスのうち、特にNOx、SOx及び灰塵は前記捕捉材のCO捕捉性能を低下させると考えられるため、これらが多く含まれる場合には予め除去することが好ましい。
前記CO除去装置におけるHO濃度調整機器はどのような機器を用いても良い。例えば、HOの飽和蒸気圧の温度依存性を利用するHO濃度調整器として、冷却式凝縮器があげられる。本機器は一般にはHO濃度を低減させる目的で使用されるが、例えば温度を調整することでHOの飽和蒸気圧を上昇させ、前記CO含有ガス中のHO濃度を増加させるために使用しても良い。HOの飽和蒸気圧の温度依存性を利用するHO濃度調整器としては、その他に温度が調整された液体の水(HO)の中にガスを流通させることでガス中のHO濃度を調整する機器があげられる。前記機器を用いる場合には水とガスとの接触面積を高めて効率を上げるため、バブラーなどの発泡機器を設置してもよい。このような構成を用いることで、適切なHO濃度に管理することが出来る。
前記HO濃度調整機器としては他にHOを捕捉する材を設置するHO濃度調整器が挙げられる。HOを吸着する材はどのようなものでも良いが、例としては多孔体や水を吸収する機能を持つ樹脂などがあげられる。多孔体の成分はどのようなものでも構わないが、例えばシリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニウム酸化物(ZrO)、セリウム酸化物(CeO)、ハイドロタルサイトなどの層状複水酸化物、ゼオライト、活性炭、樹脂材料などの有機化合物が挙げられる。
これら吸着材を用いた場合、ガス中のHO濃度が高い場合にはHOを吸着し、HOが低い場合には逆に捕捉材の中のHOが脱離すると考えられるため、前記CO含有ガス中のHO濃度が急激に変化した場合においても、CO捕捉材に接触するガス中のHO濃度の変化を抑えることができる。
前記HO濃度を調整する機器は、単一の機器を用いてもよいし、複数の種類の機器を組み合わせて使用してもよい。例えば、HOの飽和蒸気圧の温度依存性を利用してHO濃度を調整する場合には、水(HO)の気化もしくは水蒸気の凝縮による吸熱や発熱が発生するが、この量が多い場合には伝熱部分との温度差が大きくなり、適切に温度を制御できなくなることが考えられる。このような場合には複数のHO濃度調節機器を用いてHO濃度を精度よく制御することが好ましい。
前記HO濃度を測定する機器としてはどのようなものでも良いが、例えば露点湿度計、電気抵抗式湿度計、熱伝導度式湿度計、乾湿級湿度計があげられる。計測したHO濃度を基に前記HO濃度調整器を用いてHO濃度を調整するためには、HO濃度を電気信号として出力し、その信号を基に前記HO濃度調整器を制御することが好ましい。
前記HO濃度を測定する機器を設置する場所は限定しないが、例えばCO捕捉材を充填した反応容器の上流側で測定する方法や、HOの捕捉量分布を測定し、捕捉飽和を予測するために反応管内部のCO捕捉材の充填層内部で測定する方法、及び捕捉飽和を観測するために反応管の下流側で測定する方法などが挙げられる。
前記HO濃度調整器でHO濃度を調整した後の混合ガスにおけるHO濃度は特に限定しないが、例として20ppm以上であることが好ましく、2000ppm以上であっても良い。
O濃度はCO濃度から決定しても良い。この場合、COとのmol比で0.5以上40以下であることが好ましい。COとのmol比で0.5以上に制御することで、固体の表面状態が変化し、脱離温度の低いCOの捕捉状態を形成でき、COを脱離させるために必要な加熱に必要なエネルギーを低減できる。COとのmol比で40以下に制御することで、CO及びHO捕捉材におけるHOの捕捉飽和がCOが捕捉飽和以前に発生することを防ぐことが出来る。
前記捕捉材にCOを捕捉した後に、COを脱離させる方法はどのような方法でも良い。例えば、捕捉材の温度を上昇させ、COを脱離させる温度スイング法、もしくは捕捉材の雰囲気を減圧してCOを脱離させる圧力スイング法、もしくはその両方を使用する温度・圧力スイング法が挙げられる。これら脱離方法は、CO含有ガスの圧力やCO分圧、温度を勘案し、決定すればよい。
温度スイング法を用いる場合のCO捕捉材の加熱方法としては、加熱されたガスや液体などの熱媒を直接CO捕捉材に接触させる方法、伝熱管などに加熱されたガスや液体などの熱媒を流通させ、伝熱面からの熱伝導により加熱させる方法、電気炉などにより電気的に発熱させてCO捕捉材を加熱する方法などがあげられる。
温度の高い加熱用ガスを捕捉材に接触させる場合においては、加熱用ガスはCO分離除去の用途などを勘案し、決定すればよい。例えば、脱離後に回収するCO濃度を高めたい場合には、加熱ガスとしてCOを用いればよい。加熱用ガスと脱離ガスを分離したい場合には、温度により飽和蒸気圧が大幅に変化するHOを用い、回収したガスを冷却することでHOを除去すればよい。脱離ガス中のCO濃度が低下しても問題が無い場合には、比較的安価に得られるN2、O2、もしくは大気ガスなどを用いればよい。
2つ以上の反応容器に異なるCO捕捉材もしくはHO捕捉材を充填し、加熱ガスを流通させてCO及びHOを脱離させる構成においては、加熱ガスは各反応容器に別個に流通させても良い。この場合には、一方の捕捉材から脱離したガスが他方の捕捉材に影響を与えないという利点がある。または、反応容器同士を接続した状態で一方から加熱ガスを導入し、もう一方の反応容器まで加熱ガスを流通させたのちに排出する構成でも良い。この場合には、一方の捕捉材の加熱に用いたガスを再度利用するため、消費エネルギーを低減できる、また使用ガス量を低減できるという利点がある。この構成において、例えばHOの流入によりCO捕捉性能が低下する捕捉材を用いている場合には、脱離したHOが前記捕捉材に接触しないように加熱ガスの流通方向を制御することが好ましい。例えば、前段のCO捕捉材としてセリウム酸化物、後段のCO捕捉材としてゼオライトを用いた場合には、ガス流通方向を捕捉時と脱離時で変えた方が好ましい。CO及びHO捕捉時にはCO及びHO含有ガスを前段から後段の方向へ流通させることで後段にはHOが流通しにくい構成とし、脱離時には加熱ガスを後段から前段へ流通させることで前段のセリウム酸化物から脱離したHOが後段のゼオライトに接触しにくい構成とでき、後段の反応容器におけるCO捕捉性能を保持しやすくなる。
圧力スイング法、もしくは温度・圧力スイング法を用いる場合の減圧の方法としては、ポンプなどコンプレッサーなどを用いる機械的手段があげられる。機械的手段から発生する振動などで材料の粉化などの影響がある場合には、捕捉材雰囲気中の水蒸気を冷却により飽和蒸気圧を低下させて凝縮させ、減圧する方法などが挙げられる。CO捕捉材の周辺雰囲気のCO分圧を減圧する方法は、上記に加えCO以外のガスを流通させる方法が挙げられる。この際に使用するガスとしては、COと容易に分離できるガスが好ましく、特に冷却により容易に凝縮するという観点から水蒸気を使用する方法が挙げられる。
CO捕捉材の周辺雰囲気を加圧する方法は、ポンプやコンプレッサーなどにより機械的に加圧する方法や、周辺雰囲気よりも圧力が高いガスを導入する方法が挙げられる。
前記捕捉材はどのような形状で使用しても良い。例えば粉状、ペレット状、及び粒状に成型する方法や、ハニカムに担持する方法が挙げられる。これらの形状は必要となる反応速度、圧力損失及び脱離ガス中のCO純度を鑑みて決定すればよい。また、空隙率については脱離ガス中のCO純度を高める場合には空隙率を小さくすればよい。例えば、粒状で空隙率が小さい場合には、圧力損失が大きくなるという欠点があるが、空隙内に残留するCO以外のガス量が少なくなるため、回収ガス中のCO純度を高められるという利点がある。一方、ハニカムに担持する場合には空隙率が高いため圧力損失を小さくできるが、空隙内に残留するCO以外のガス量が多くなるため、脱離ガス中のCO純度が低くなるという欠点がある。
CO捕捉材を充填した反応容器はどのような構成及び運転方法としても構わない。例えば、粒状もしくは粉状のCO捕捉材を反応容器内に充填し、CO捕捉材自体は移動させずにCO捕捉材容器に導入するガスや反応容器内の温度・圧力を変化させる固定床方式が挙げられる。本構成においては、捕捉材の移動が少ないために捕捉材同士、もしくは捕捉材と反応容器との摩耗による性能低下を低く抑えることが出来るという利点がある。また、充填密度を高めることが出来るため、空隙率が低く、容積あたりのCO除去量を高めることが出来ると考えられる。一方で、本構成を用いて、加熱用ガスを流通させて捕捉材を加熱し、COを脱離させる温度スイング法を行う場合等では、流通ガスの切り替えが必要となるため、配管や弁の構成が複雑となるという欠点がある。
流通ガスなどの切り替えを行わず、CO捕捉材そのものを移動させる方法としては、例えばCO捕捉材を担持したハニカムローターと反応容器、及び反応容器内でガス流通を仕切るための仕切り板を設置し、流通するガスにより反応容器内をCO捕捉ゾーン、CO加熱脱離ゾーン、CO捕捉材冷却ゾーンなどに分けるローター方式がある。前記ハニカムを回転させることにより、内部のCO捕捉材は各ゾーンに移動し、CO捕捉、CO加熱脱離、CO捕捉材冷却のサイクルを行う事が出来る。本構成においては、CO捕捉材はハニカムに担持されており、CO捕捉材自体の摩耗は少なく性能低下を低く抑えることが出来るという利点がある。また、流通ガスの切り替えが不要となるため、配管や弁の構成が簡潔になる。また、仕切り板の設置の変化により各ゾーンの大きさを決定でき、これによりCO捕捉時間、加熱脱離時間、及び冷却時間などの比を容易に決められる。一方で、空隙率が高く、容積あたりのCO除去量が低い、またCO脱離ガス中のCO濃度が低いという欠点がある。本方式で2つ以上の捕捉材を用いる場合には、2つ以上の反応容器を設置し、それぞれに異なる捕捉材を担持したハニカムローターを用いても良いし、1つのハニカムローターにおいて各捕捉材を担持する場所を分け、2種類以上の捕捉材を担持しても良い。例としてはハニカムローターの上流側にセリウム酸化物を含むCO捕捉材、下流側にゼオライトを含むCO捕捉材を担持する方法が挙げられる。本構成においては、CO及びHO含有ガスは上流側から下流側の方向へ流通させ、加熱ガスは下流側から上流側の方向へ流通させることが、ゼオライトにHOが接触してCO捕捉性能が低減することを抑制する観点から好ましい。
流通ガスなどの切り替えを行わず、CO捕捉材そのものを移動させる方法としては、他にもCO含有ガスが流通するCO捕捉反応容器と、捕捉材加熱用のガスが流通するCO捕捉材加熱用容器を設置し、前記容器の間を粒状もしくは粉状の捕捉材をコンベヤやブロアによる動力を用いて移動させることにより、捕捉と脱離を繰り返す流動床方式がある。本構成においては流通ガスの切り替えが不要となるため、配管や弁の構成が簡潔になる。また、捕捉時と脱離時において異なる空隙率を設定できるため、例えば脱離時には空隙率を低くなるよう設定し、CO脱離ガス中のCO濃度を高めても良い。一方で、捕捉材そのものが移動するために、長期使用した場合には摩耗により性能が低下することが考えられる。ボイラ排ガスなどガス流量が非常に大きい場合には、コンベヤの代わりにガスにより捕捉材を吹き上げる方式を用いても良い。この場合、コンベヤと比較して機械部品が減るために簡潔な構成と出来る。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、硝酸セリウム六水和物(Ce(NO・6HO)、28重量%アンモニア水については、いずれも和光純薬工業製のものを使用した。
[実施例1]
(セリウム酸化物を用いたCO捕捉材)
精製水1080gに硝酸セリウム六水和物26.05gを室温で激しく撹拌しながら溶解させた。前記水溶液を撹拌しながら28重量%のアンモニア水溶液を滴下しpHを9.0とした。8時間撹拌した後、1時間静置し、沈殿物を洗浄ろ過により収集した。その後、沈殿物を乾燥炉にて120℃で乾燥させ、大気雰囲気下の電気炉にて400℃で1時間焼成し、得られたセリウム酸化物をCO捕捉材とした。
[実施例2]
(ジルコニウム酸化物を用いたCO捕捉材)
第一稀元素製のジルコニウム酸化物(RSC−100)をCO捕捉材とした。
(CO吸着試験−HO流通なし)
以下に、HOを流通させずにCOを吸着させた場合の試験条件を示す。
成型及び設置:
CO捕捉材は直径40mmの金型を使用して、プレス機により200kgfでペレット化し、破砕したのち篩を用いて0.5〜1.0mmの粒状に整粒した。その後、メスシリンダーを用いて1.0mlを測り、石英ガラス製反応管中に固定した。
加熱前処理:
150ml/分でHeを流通させながら、電気炉を用いてCO捕捉材の温度を400℃に上昇させて1時間保持して不純物及び捕捉材に吸着したガスを除去した。
冷却:
加熱前処理後、冷却してCO捕捉材温度を50℃まで下げた。
吸着:
電気炉で試料温度を50℃に保ちながらCOパルス捕捉試験によりCO捕捉量を測定した。サンプルガスとして12体積%のCOと88体積%のHeからなる混合ガス10mlをパルス状で4分おきに2分間導入し、反応管出口のCO濃度をガスクロマトグラフィにより測定した。パルス導入は反応管出口で測定されるCOが飽和するまで実施した。また、キャリアガスとしてHeを使用した。
昇温脱離:
電気炉で試料温度を昇温速度10℃/分で400℃まで加熱してCOの脱離量を測定した。
(CO吸着試験−HO流通あり)
Oを流通させた後にCOを吸着させた場合の試験条件を示す。CO吸着試験−HO流通なし、における測定方法において、冷却の後、吸着の前においてHO流通処理を行った以外は同様の方法でCO吸着量を評価した。
O流通処理:
25℃の水が入ったバブラー容器において、150ml/分でHeを1時間流通させた。処理中のCO捕捉材温度は電気炉で50℃に設定した。
図1は、実施例1のCO捕捉材においてCO捕捉量をHO流通の有無で比較したグラフである。HO流通により、CO捕捉量は約1割低下した。
図2は、実施例1のCO捕捉材における昇温時のCO脱離割合をHO流通の有無で比較したグラフである。HO流通がある場合は、50℃から200℃における比較的低温でのCO脱離量が多く、200℃までにCOはほぼ全量脱離した。一方で、HO流通が無い場合には300℃まで昇温してもCO脱離は完了しなかった。本結果からHO流通がCO脱離温度を低温化させる効果がある事がわかった。
図3は、セリウム酸化物を昇温するために必要な熱量を示したものであり、脱離CO量あたりの熱量を示している。セリウム酸化物の比熱は382J/K・kgとし、昇温に要する熱量Hは以下の式で算出した。なお、本試験でのセリウム酸化物のかさ密度は1.41(kg/L)、CO脱離量をQ、脱離温度をTとして下記式(2)で算出した。
H=1000(g)/44(g/mol)×1000/Q(mmol/L)
×1.41(kg/L)×(T−50)(K)×382(J/K・kg)…(2)
本結果から、HO流通がある方が加熱に要するエネルギーが低くできることがわかった。
図4は、実施例2のCO捕捉材における昇温時のCO脱離割合をHO流通の有無で比較したグラフである。HO流通がある場合は、50℃から200℃におけるCO脱離量が多く、本結果からHO流通がCO脱離温度を低温化させる効果がある事がわかった。
(比表面積の評価方法)
実施例1のセリウム酸化物におけるBET(Brunauer−Emmett−Teller)法を用いて−196℃での窒素の吸着等温線を測定し、比表面積を測定した。前処理として、真空引きを行いながら200℃で加熱した。実施例1の比表面積は130m/gであった。
(HO吸着等温線の計測)
実施例1のセリウム酸化物におけるHO吸着等温線を計測した。前処理として、真空引きを行いながら200℃で加熱した。その後真空引きを行いながら冷却し、試料温度は25℃で保持しながらHOを吸着させた。
(HO単分子層吸着量の算出)
実施例1のセリウム酸化物における表面にHO単分子層を形成するための吸着量Qmlを算出した。前記BET法で求めた比表面積をS、アボガドロ数をN=6.02×1023、HOの吸着断面積を1.25×10−19とし、下記式(3)を用いて算出した。
ml=S÷1.25×10−19÷6.02×1023×1000…(3)
本計算の結果、HO単分子層吸着量Qmlは1.8mol/kgと算出された。
図5は、実施例1のセリウム酸化物におけるHO吸着等温線を示したグラフである。本結果から実施例1におけるセリウム酸化物のHO吸着量について、CO吸着量と同量以上(300mol/L÷1.41kg/L=0.22mol/kg)となるためのHO分圧は0.002kPa以下であった。大気圧中で本HO分圧となるためにはHO濃度は約20ppmあればよい。すなわち、本HO濃度のガスを導入することが、HO/COがmol比で1以上反応するための条件と考えられる。前述の炭酸水素塩1molを形成するためには、表面にヒドロキシル基(−OH)1molが必要と考えられる。ヒドロキシル基の形成機構として、1molの表面酸素(O)と1molのHOが反応して2molのヒドロキシル基を生成すると仮定すると、HO/COがmol比で0.5以上あれば良く、HO/COがmol比で1.0以上あれば十分に反応が進むと推測される。上述の20ppmのHO濃度であればHO/COがmol比において1.0を超えることが可能である。また、セリウム酸化物表面をHO単分子層が被覆できればヒドロキシル基の形成はさらに促進されると考えられる。HO吸着量が、HO単分子吸着量と同等となるためには必要なHO分圧は0.2kPaであった。大気中でHO分圧となるためにはHO濃度は約2000ppmあればよい。
上記算出に関し、セリウム酸化物の比表面積が向上すればCO吸着量が増加するが、HO吸着量も比表面積に比例して増加すると考えられるため、従って、他の材料においても実施例1を基に得られたHO濃度の相関を利用できると考えている。
O濃度とHO吸着量の相関は、捕捉材の温度により異なるが、HOにおいては当該温度における飽和蒸気圧との相対圧P/Pが同等であれば、HO吸着量はほぼ同等となるという性質がある。従って、捕捉材の温度が変化した場合には当該温度での飽和蒸気圧を基にHO濃度を決めても良い。
[実施例3]
本願発明における固定床方式のCO除去装置において、実施例1のCO捕捉材を用い、室内へCO除去ガスを導入する例を図6に示す。実施例3におけるCO除去装置は、HO及びCO含有ガス101を流通させるための配管301と、凝縮器501と、凝縮器501で凝縮した水201を排出するための配管305と、HO濃度計601と、HO濃度計601からの信号を計算機1002に入力するための手段1001と、計算器1002から凝縮器501を制御するための信号を出力するための手段1003と、HO及びCO含有ガス101の流通を制御するための弁401と、反応容器701と、反応容器701内に粒状で充填した実施例1のセリウム酸化物を含むCO捕捉材801と、反応容器内のガスを室内へ流通するため配管302と、配管302のガス流通を制御するための弁402と、加熱器901と、大気から取り込んだ加熱用ガス103を、反応容器701へさせるための配管303と、配管303のガス流通を制御するための弁403と、反応容器内のガスを大気へ排出するための配管304と、配管304のガス流通を制御するための弁404から構成される。
COを捕捉する場合には弁401及び402を開、弁403及び404を閉とすることで、HO及びCO含有ガス101はCO捕捉材801においてCO及びHOが捕捉され、HO及びCOを除去したガスが室内に流通する。
CO捕捉材において捕捉したCOを脱離させる場合には、弁403及び404を開、弁401及び402を閉とすることで、大気から取り込んだガス102は加熱器901により加熱されて反応容器701に流通し、CO捕捉材801が加熱され、捕捉されたCOが脱離する。脱離したガスは配管304を流通して大気に放出される。
[実施例4]
本願発明における固定床方式のCO除去装置において、実施例1のCO捕捉材を用い、2つの反応容器を用いて連続的にCO除去ガスを室内に流通させる例を図7に示す。実施例3の構成に、反応容器702と、反応容器702内に粒状で充填したセリウム酸化物を含むCO捕捉材802と、反応容器702へHO及びCO含有ガス101の流通するための配管306と、配管306のガス流通を制御するための弁406と、反応容器内のガスを室内へ流通するため配管307と、配管307のガス流通を制御するための弁407と、大気から取り込んだ加熱用ガス102を、反応容器702へさせるための配管308と、配管308のガス流通を制御するための弁408と、反応容器内のガスを大気へ排出するための配管309と、配管309のガス流通を制御するための弁409から構成される。
反応管701でCOを捕捉し、反応管702からCOを脱離する場合には弁401、402、408及び409を開、弁403、404、406及び407を閉とすれば良い。反応管701でCOを脱離し、反応管701でCOを捕捉する場合には弁403、404、406及び407を開、弁401、402、408及び409を閉とすればよい。本構成及び運転方法によりCOを除去したガスを連続的に室内に流通させることが可能である。
[実施例5]
本願発明におけるローター方式のCO除去装置において、室内へCO除去ガスを導入する例を図8に示す。本CO除去装置における反応容器701の内部には、実施例1のセリウム酸化物を含むCO捕捉材を担持したハニカムローター801が設置されており、反応容器内の仕切り板702によってガス流通の経路が制限されるようになっている。反応容器701内のゾーン701A、ゾーン701B、ゾーン701Cは前記仕切り板702によって定められるガス流通の範囲である。ハニカムローター801が回転させた場合においても、仕切り板702の位置は変わらないが、ハニカムローター801が回転することで、ハニカムローターにおけるガスの接触する場所は変化する。本構成ではゾーン701AにHO及びCO含有ガスを流通させてCOを捕捉させ(捕捉ゾーン)、ゾーン701Cには加熱器901において加熱したガスを流通させてCOを脱離させ(脱離ゾーン)、ゾーン701Bには大気から取り込んだガス103を流通して冷却させる(冷却ゾーン)。
本CO除去装置は、HO及びCO含有ガス101を反応容器701におけるゾーン701Aに流通させるための配管301と、凝縮器501と、凝縮器から凝縮水201を排出するための配管305と、HO濃度計601と、HO濃度計から計算機1002に信号を入力するための手段1001と、凝縮器501を制御するために計算機1002から信号を出力するための手段1002と、反応容器701と、反応容器701に設置したCO捕捉材を担持した回転可能なハニカムローター801と、反応容器内に設置したガス流通を仕切るための仕切り板702と、ゾーン701Aから排出したガスを室内に流通するための配管302と、大気から取り込んだガス103をゾーン702Bに流通させるための配管303と、加熱器901と、ゾーン701Bから排出されたガスを加熱器901に流通させるための配管304と、加熱器901から排出されたガスをゾーン701Cへ流通させうるための配管306と、ゾーン701Cから排出されたガスを大気へ放出するための配管307から構成される。
本装置では、HO及びCO含有ガスはゾーン701Aに流通することでハニカムローター内のCO捕捉材において捕捉され、HO及びCOを除去したガスが室内に流通する。ハニカムローターの回転により、COを捕捉した部分はゾーン701Cに移動し、加熱されたガスを流通することでCOを脱離させる。加熱されてCOを脱離した部分は、ゾーン701Bに移動し、大気から取り込んだガスを用いて冷却される。冷却された部分はゾーン701Aに移動することで再度COを捕捉する。
本構成では大気から取り込んだガス103をハニカムローターの冷却に用いるため、本ガスは加熱される。このガスを用いて更に加熱器901で加熱しているため、加熱器901の負荷を低減できる。
[実施例6]
本願発明において、複数のCO捕捉材及び複数の反応容器を用いてHO及びCOを除去するための構成を図9に示す。本実施例ではCO捕捉材として、セリウム酸化物とゼオライトを用いる。本装置はHO及びCO含有ガス101を反応管701に流通させるための配管301と、反応管701に充填された実施例1のセリウム酸化物を含むCO捕捉材801と、凝縮器501と、凝縮器から凝縮水を排出するための配管305と、HO濃度計601と、HO濃度計から計算機1002に信号を入力するための手段1001と、凝縮器501を制御するために計算機1002から信号を出力するための手段1002と、加熱用ガスを流通させるための配管302と、反応管701から排出されたガスを室内へ流通するための配管303と、配管303のガス流通を制御するための弁403と、反応管701からガスを大気へ放出するための配管304と、配管304のガス流通を制御するための弁404と、更に反応管701から排出されるガス中のHO濃度を測定するためのHO濃度計602と、CO濃度計603と、反応管702と、反応管に充填されたゼオライトを含む捕捉材802と、反応管701から反応管702へガスを流通させるための配管306と、配管306のガス流通を制御するための弁406と、反応管702から排出されたガスを室内へ流通するための配管307と、配管307のガス流通を制御するための弁407と、反応管702からガスを大気へ放出するための配管309と、配管309のガス流通を制御するための弁409と、加熱用ガスを反応管701に流通するための配管308と、配管308のガス流通を制御するための弁408から構成される。
例えば、CO捕捉材801においてHOのみが捕捉飽和となりやすい場合には後段の反応管702における捕捉材802にHOを選択的に補足する捕捉材を充填しておけばよい。逆にCO捕捉材801においてCOのみが補足飽和となりやすい場合には、後段の反応管702における捕捉材802にCOを選択的に補足する捕捉材を充填することで、HO及びCOを除去したガスを安定して室内へ流通できる。
[実施例7]
本願発明において、複数のCO捕捉材及び複数の反応容器を用いてHO及びCOを除去するための構成を図10に示す。本構成ではCO捕捉材としてセリウム酸化物、及びゼオライトを用いている。本構成においては反応容器701にはセリウム酸化物を含むCO捕捉材801を、反応容器702にはゼオライトを含むCO捕捉材を用いている。HO及びCO含有ガスからHO及びCOを除去する際にはガス流通の流れ方向は反応容器701から反応容器702となっているが、HO及びCOを加熱ガスの流通により除去する際には加熱ガス流通の流れは反応容器702から反応容器701に流れるように各弁の開閉を調整する。これはセリウム酸化物を含むCO捕捉材801から脱離したHOが、反応容器702中のゼオライトに接触することで、HOがゼオライト中に強く捕捉されることを防ぐためである。
101…HO及びCO含有ガス
103…加熱用ガス
301、302、303、304…配管
401、402、403、404…弁
501…凝縮器
601…HO濃度計
701…反応容器
801、802…CO捕捉材
901…加熱器

Claims (8)

  1. 対象ガス中のHO及びCOを捕捉するCO捕捉材と、
    前記CO捕捉材を内部に設置した反応容器と、
    前記対象ガス中のHO濃度を調整するHO濃度調整機器と、
    前記HO濃度調整機器から前記反応容器に前記対象ガスを導入して前記CO捕捉材に接触させるガス導入路と、
    前記対象ガスを前記CO捕捉材に接触させた後に前記反応容器から排出するための第一のガス排出路と、
    前記CO捕捉材から脱離した脱離ガスを反応容器から排出するための第二のガス排出路を含み、
    前記反応容器は、前記CO捕捉材によって前記対象ガスからCOを捕捉する捕捉ゾーンと、前記CO捕捉材に加熱用流体を接触させて前記CO捕捉材からCOを脱離させる脱離ゾーンと、を含むロータであり、
    前記ロータは、前記CO 捕捉材に冷却用流体を接触させて前記CO 捕捉材を冷却する冷却ゾーンを更に含み、
    前記ロータにおいて、前記冷却ゾーンを流通する前記冷却用流体の流通方向は、前記捕捉ゾーンを流通する前記対象ガスの流通方向と同一方向となっており、前記冷却用流体の流通方向及び前記対象ガスの流通方向は、前記脱離ゾーンを流通する前記加熱用流体の流通方向とは逆方向となっており、
    前記冷却用流体の流通方向における前記冷却ゾーンの下流側には、前記加熱用流体を供給する加熱器が配置され、
    前記冷却ゾーンを流通した前記冷却用流体は、前記加熱器によって加熱されて前記加熱用流体として前記脱離ゾーンを流通するCO除去装置。
  2. 前記CO捕捉材は、セリウム、セリウム以外の稀土類金属、及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む酸化物もしくは複合酸化物を含む請求項1記載のCO除去装置。
  3. 前記対象ガス中のHO濃度を計測するためのHO計測器を更に含み、
    前記HO濃度調整機器は、前記HO計測器で得た情報を基に前記対象ガス中のHO濃度を調整する請求項1又は2記載のCO除去装置。
  4. 前記HO濃度調整機器は、前記対象ガスを冷却する凝縮器である請求項1〜のいずれか一項記載のCO除去装置。
  5. 前記加熱用流体が、CO、水蒸気、N、燃焼排ガス、及び、大気から取り込んだ後に加熱して得たガス、から選ばれる少なくとも1つのガスを含む流体である請求項1〜のいずれか一項記載のCO除去装置。
  6. 前記反応容器を減圧するための減圧機器を更に有する請求項1〜のいずれか一項記載のCO除去装置。
  7. 前記反応容器を加圧するための加圧機器を更に有する請求項1〜のいずれか一項記載のCO除去装置。
  8. 前記対象ガスが周辺の大気圧よりも高圧である請求項1〜のいずれか一項記載のCO除去装置。
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