JP6720980B2 - ガスバリアー性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリアー性フィルムに関し、詳細には、ガスバリアー性に優れ、高温高湿下においても耐屈曲性が高いガスバリアー性フィルムに関する。
従来、有機EL(Electro Luminescence)素子、液晶表示素子、太陽電池等の電子デバイスの封止には、軽量で可撓性の高いガスバリアー性フィルムが使用されている。ガスバリアー性フィルムは、一般的に樹脂製のベースフィルム上にガスバリアー層が形成されており、大気中の水、酸素等のガスの浸入を防ぐことができる。
電子デバイスに用いられるガスバリアー性フィルムは、優れたガスバリアー性が要求されるが、フレキシブル基板に使用しても優れたガスバリアー性が維持できるよう、高い耐屈曲性も要求されている。
ガスバリアー性フィルムの耐屈曲性を高めるため、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を原料として使用し、ガスバリアー層の層厚方向における炭素原子の分布を一定の条件を満たすように調整する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
長寿命化のためには、高温高湿下においても高い耐屈曲性が望まれる。高温高湿下ではベースフィルムが膨潤するため、ベースフィルムとガスバリアー層の膜応力の差が生じ、両者の密着性が低下しやすい。密着性が低下すると、屈曲によるベースフィルムの変形がガスバリアー層に伝搬した時に、ガスバリアー層にクラック等の損傷が生じやすく、ガスバリアー性の低下を招く。
特開2012−96531号公報
本発明は上記問題及び状況に鑑みてなされ、その解決課題は、ガスバリアー性に優れ、高温高湿下においても耐屈曲性が高いガスバリアー性フィルムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、Si原子、O原子及びC原子を含有するガスバリアー層はガスバリアー性に優れ、ガスバリアー層中のベースフィルム側のC−C結合の比率が高いと、高温高湿下においても高い耐屈曲性が得られることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段によって解決される。
1.ベースフィルム上にガスバリアー層を備えるガスバリアー性フィルムであって、
前記ガスバリアー層が、Si原子、O原子及びC原子を含有し、
前記ガスバリアー層の前記ベースフィルムと反対側の表面から前記ベースフィルム側の表面までの層厚方向における0〜100%の位置において、X線光電子分光法により測定されるC1sの波形解析に基づく、C−C、C−SiO、C−O、C=O及びC=OOの各結合の合計に対するC−C結合の比率を表すC−C結合分布曲線が、75〜100%の層厚方向の位置において少なくとも一つの極大値を有することを特徴とするガスバリアー性フィルム。
2.前記C−C結合分布曲線において、90〜100%の層厚方向の位置におけるC−C結合の比率の平均値が、20〜90%の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアー性フィルム。
3.前記C−C結合分布曲線が有する一又は複数の極大値の最大値が、20〜90%の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリアー性フィルム。
本発明の上記手段により、ガスバリアー性に優れ、高温高湿下においても耐屈曲性が高いガスバリアー性フィルムを提供できる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構は明確になっていないが、以下のように推察される。
少なくともSi原子、O原子及びC原子を含有するガスバリアー層は、Si−O−SiやSi−C−Si等の高密度な結合のネットワークを形成し、緻密な構造を有することから、高いガスバリアー性が得られると推察される。
また、ガスバリアー層の層厚方向において、ベースフィルム側のC−C結合の比率が高いと、高温高湿下において膨潤したベースフィルムの膜応力をC−C結合が緩和して、ベースフィルムとガスバリアー層の密着性の低下を抑えることができ、屈曲時の負荷に対する耐性を高めることができると推察される。さらに、屈曲時のベースフィルムの変形もC−C結合が緩和して、ガスバリアー層内部へ伝搬する変形を小さくすることができるため、高温高湿下においても高い耐屈曲性が得られると推察される。
本実施の形態のガスバリアー性フィルムの概略構成を示す断面図 実施例におけるガスバリアー層のC−C結合分布曲線を示すグラフ 実施例におけるガスバリアー層をC−C結合分布曲線を示すグラフ 比較例におけるガスバリアー層のC−C結合分布曲線を示すグラフ ガスバリアー性フィルムの製造装置の概略構成を示す正面図
本発明のガスバリアー性フィルムは、ベースフィルム上にガスバリアー層を備えるガスバリアー性フィルムであって、前記ガスバリアー層が、Si原子、O原子及びC原子を含有し、前記ガスバリアー層の前記ベースフィルムと反対側の表面から前記ベースフィルム側の表面までの層厚方向における0〜100%の位置において、X線光電子分光法により測定されるC1sの波形解析に基づく、C−C、C−SiO、C−O、C=O及びC=OOの各結合の合計に対するC−C結合の比率を表すC−C結合分布曲線が、75〜100%の層厚方向の位置において少なくとも一つの極大値を有することを特徴とする。この特徴は各請求項に係る発明に共通の技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、より高い耐屈曲性を得る観点から、前記C−C結合分布曲線において、90〜100%の層厚方向の位置におけるC−C結合の比率の平均値が、20〜90%の範囲内にあることが好ましい。
同様の観点から、前記C−C結合分布曲線が有する一又は複数の極大値の最大値が、20〜90%の範囲内にあることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態について詳細な説明をする。
なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
〔ガスバリアー性フィルム〕
図1は、本発明の実施の形態のガスバリアー性フィルムFの概略構成を示す断面図である。
ガスバリアー性フィルムFは、図1に示すように、ベースフィルム1と、ベースフィルム1上に形成されたガスバリアー層2と、を備えている。
(ガスバリアー層)
ガスバリアー層2は、ガスバリアー性を有する。
本発明において、ガスバリアー性を有するとは、MOCON水蒸気透過率測定装置Aquatran(MOCON社製)により、温度38℃、湿度90%RHで測定された水蒸気透過度が、0.1[g/(m・24h)]未満であることをいう。より高いガスバリアー性を得る観点から、水蒸気透過度は0.01[g/(m・24h)]未満であることが好ましい。
ガスバリアー層2は、少なくともSi原子、O原子及びC原子を含有している。
このようなガスバリアー層2は、例えばSi−C骨格を有する有機ケイ素化合物と酸素を反応させて、酸化炭化ケイ素(SiOC)膜を形成することにより、得ることができる。なお、成膜中に窒素、アンモニア等のガスを供給して窒化することにより、さらにN原子を含有するガスバリアー層2を形成してもよい。
使用できる有機ケイ素化合物としては、1分子中のSi−C結合の数が少ないものが好ましく、例えば1分子中の1個のSi原子に対するSi−C結合の数が2個以下であるテトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)等の環状シロキサン、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、テトラメトキシシラン(TMOS)等のアルコキシシランが挙げられる。これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なかでも、ガスバリアー層2中のC−C結合の比率を高めて耐屈曲性を向上させ、C=C結合及びC=OO結合の比率を減らして透明性を高める観点からは、1個のSi原子におけるSi−C結合の数が1又は0個であることがより好ましい。
TMCTS、OMCTS及びMTMSの構造を下記に示す。
Figure 0006720980
ガスバリアー層2は、蒸着法、スパッタ法等の物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法、プラズマ化学気相成長法(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)等のCVD法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等により形成することができ、ガスバリアー層2の原子組成の調整を容易にする観点からは、PECVD法が好ましい。なかでも、対向する二つのローラー間にプラズマを生成して各ローラーにより搬送されるベースフィルム上に並行してガスバリアー層を形成する対向ローラー型のPECVD法が、層厚方向の原子組成を連続的に変化させることができ、好ましい。
ガスバリアー層2は、図1に示すように、ガスバリアー層2のベースフィルム1と反対側の表面Saからベースフィルム1側の表面Sbまでの層厚方向における0〜100%の位置において、X線光電子分光(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)法により測定されるC1sの波形解析に基づく、C−C、C−SiO、C−O、C=O及びC=OOの各結合の合計に対するC−C結合の比率を表すC−C結合分布曲線が、75〜100%の層厚方向の位置において少なくとも一つの極大値を有する。
極大値は、C−C結合分布曲線において、C−C結合の比率が増加から減少へ変わる変曲点であって、かつ当該変曲点における比率よりも、当該変曲点から2〜20nmの層厚方向の位置における比率が5%以上低い点をいう。
極小値は、C−C結合分布曲線において、C−C結合の比率が減少から増加へ変わる変曲点をいう。
これら極大値及び極小値を極値という。
このように、層厚方向の位置が75〜100%の範囲内にあるベースフィルム1側のC−C結合の比率が高いガスバリアー層2は、ベースフィルム1側に多く分布するC−C結合が、高温高湿下において膨潤したベースフィルム1の膜応力や屈曲時にベースフィルムが変形して伝搬するガスバリアー層2への負荷を緩和する。高温高湿下においても、ベースフィルム1とガスバリアー層2の密着性が向上するとともに、屈曲時の負荷に対する耐性が高まり、ガスバリアー性の低下を抑えることができるため、耐屈曲性が高いガスバリアー層2が得られる。
より高い耐屈曲性を得る観点からは、上記C−C結合分布曲線において、90〜100%の層厚方向の位置におけるC−C結合の比率の平均値が、20〜90%の範囲内にあることが好ましい。
このようなガスバリアー層2は、C−C結合の比率がベースフィルム1との界面付近において特に高いため、より高い耐屈曲性を得ることができる。
上記C−C結合分布曲線が有する一又は複数の極大値の最大値が、20〜90%の範囲内にあることが好ましい。
このようなガスバリアー層2は、ベースフィルム1の膜応力や変形を緩和するC−C結合が豊富に存在することから、より高い耐屈曲性を得ることができる。
上記C−C結合分布曲線は、XPS法と希ガスイオンスパッタとを組み合わせることにより、作成することができる。XPS法は、X線を照射した試料表面から放出される光電子の運動エネルギーを計測し、試料表面を構成する原子の組成及び化学結合状態を分析する手法であり、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも呼ばれている。
具体的には、希ガスイオンスパッタにより試料をエッチングして露出した試料表面の原子組成及び化学結合状態をXPS法により分析することにより、試料の層厚方向の原子組成及び化学結合状態の変化を把握することができる。
XPS法と希ガスイオンスパッタを組み合わせた測定条件の一例を示す。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):2.5nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名“VG Theta Probe”
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びそのサイズ:800×400μmの楕円形。
ガスバリアー層2中のC−C結合の比率は、XPS法によりC原子の結合エネルギーを測定して得られるスペクトル中のC1sピークを波形解析することにより求める。具体的には、C1sピークからC−C結合由来のピークを分離し、C1sピークのピーク面積(Q1)に対するC−C結合のピーク面積(Q2)の比率(Q2/Q1×100)を、ガスバリアー層2中のC−C結合の比率として求める。すなわち、C−C結合の比率は、C1sピークを形成するC−C、C−SiO、C−O、C=O及びC=OOの各結合の合計(総結合数)に対するC−C結合の数の割合に等しい。比率の算出に必要な波形解析(ピークの分離、ピーク面積の算出、ピーク位置の特定等)には、PeakFIT(SYSTAT社製)等の市販の解析ソフトを使用することができる。
希ガスイオンスパッタにより上記エッチング間隔でガスバリアー層2をエッチングするごとに、その層厚方向の位置におけるC−C結合の比率を求め、各層厚方向の位置における比率の近似曲線を、0〜100%の層厚方向の位置におけるC−C結合の比率を表すC−C結合分布曲線として得る。
ガスバリアー層2の層厚方向の位置は、図1に示すように、ガスバリアー層2のベースフィルム1と反対側の表面Saの位置を0%、ベースフィルム1側の表面Sbの位置を100%として、0〜100%の割合で表す。
すなわち、ガスバリアー層2の層厚方向の位置は、ガスバリアー層2の表面Saから表面Sbまでの距離(ガスバリアー層2の層厚)に対する、表面Saからのスパッタ深さの割合で表すことができる。
ガスバリアー層2の層厚は、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によりガスバリアー性フィルムFの断面を観察して決定する。具体的には、ガスバリアー性フィルムFの断面を観察し、ガスバリアー層2の表面Saから表面Sbまでの距離を測定する。ガスバリアー層2とベースフィルム1の界面は両者のコントラスト差から決定する。この距離の測定をフィルム面上の位置が異なる10点において行い、各測定値の平均値をガスバリアー層2の層厚として決定する。
TEM及びTEM用の試料を作成するための集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)装置としては下記装置を使用できる。
(TEM)
装置:JEM2000FX(日本電子社製)
加速電圧:200kV
(FIB装置)
装置:SMI2050(SII社製)
加工イオン:Ga(30kV)
試料の厚さ:100〜200nm
図2及び図3は、本発明の実施例であるガスバリアー性フィルムのガスバリアー層を分析して得られたC−C結合分布曲線を示している。
図2は、メチルトリメトキシシラン(MTMS)及び酸素を原料としてPECVD法により形成したガスバリアー層のC−C結合分布曲線を示し、図3は、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)を原料としてPECVD法により形成したガスバリアー層のC−C結合分布曲線を示している。
図4は、比較例であるガスバリアー性フィルムのガスバリアー層を分析して得られたC−C結合分布曲線を示している。図4に示すC−C結合分布曲線は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)及び酸素を原料としてPECVD法により形成したガスバリアー層のC−C結合分布曲線である。
図2及び図3に示すように、実施例におけるC−C結合分布曲線はいずれも75〜100%の層厚方向の位置に一つの極大値を有している。各極大値は、約83%及び約85%の層厚方向の位置にあり、ベースフィルム側のC−C結合の比率が高いため、上述したようにガスバリアー層の耐屈曲性が高い。
一方、図4に示すように、比較例におけるC−C結合分布曲線は、75%未満の層厚方向の位置において一つの極大値を有するものの、75〜100%の層厚方向の位置には極大値がない。ベースフィルム側のC−C結合の分布が少ないため、高温高湿下のベースフィルムの膜応力や屈曲時のベースフィルムの変形を緩和できずに、クラック等のガスバリアー層の損傷が生じる可能性がある。
また、層厚方向の位置が90〜100%の範囲内のC−C結合の比率の平均値は、図2に示すC−C結合分布曲線では約35%、図3に示すC−C結合分布曲線では約69%であり、いずれも20〜90%の範囲内にある。また、図2及び図3中のC−C結合分布曲線は複数の極大値を有し、その最大値はそれぞれ20〜90%の範囲内にある。ベースフィルムとの界面付近のC−C結合の比率が高く、C−C結合が豊富であるため、高い耐屈曲性が得られる。
一方、図4に示すC−C結合分布曲線では、極大値の最大値が20〜90%の範囲内にあるものの、90〜100%の層厚方向の位置におけるC−C結合の比率の平均値が20%未満と低く、実施例と同様の高い耐屈曲性が期待できない。
なお、図2〜図4においては、ガスバリアー層2の0〜100%の層厚方向の位置におけるC−Si結合、C−O結合、C=O結合及びC=OO結合の各結合の比率を表す結合分布曲線も示している。C−C結合と同様に、C1sピークから各結合に由来のピークを分離して、C1sピークのピーク面積に対する各結合に由来のピークのピーク面積の割合を、各結合の比率として求めている。
図2及び図3を図4と比較すると、実施例の方が比較例よりも、C=O結合及びC=OO結合の比率が低い。発色団であるC=O結合及びC=OO結合が少ないガスバリアー層は、黄ばみが少なく、高い透明性が要求される電子デバイスの封止等への利用性が高まるため、好ましい。
ガスバリアー層2の層厚方向におけるC−C結合の比率は、使用できる有機ケイ素化合物として例示したもののなかから、分子内のC原子、H原子及びO原子の比率によって使用する1種又は複数種の有機ケイ素化合物を選択することにより、調整することができる。
原料の選択だけでなく、成膜条件を調整することによっても、層厚方向におけるC−C結合の比率を調整することができる。
例えば、PECVD法により、有機ケイ素化合物ととともに原料ガスとして供給する酸素ガスを供給してガスバリアー層2を形成する場合、酸素ガスの供給量を調整することにより、ガスバリアー層2中のC−C結合の比率を調整することができる。
また、成膜中に窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを供給し、この不活性ガスの供給量を調整することによって、プラズマを安定させ、酸素ガスと有機ケイ素化合物の酸化反応、堆積等を制御し、ガスバリアー層2の層厚方向において目的のC−C結合の比率に調整することもできる。
また、プラズマを生成する電極間の距離を連続的に変化させることによっても、層厚方向におけるC−C結合の比率を目的の比率に調整することができる。
対向ローラー型のPECVD法により成膜する場合、各ローラーが内蔵する電極の距離を変化させると、ローラーに接するベースフィルム1の表面で生成されるプラズマの密度が連続的に変化するため、ガスバリアー層2の組成も連続的に変化させることができる。
ガスバリアー層2の層厚は、50〜500nmの範囲内にあることが好ましく、50〜300nmの範囲内にあることが好ましい。
層厚が50nm以上であれば、十分なガスバリアー性を得ることができ、層厚が500nm以下であれば、薄いガスバリアー性フィルムFを得ることができる。
(ベースフィルム)
ベースフィルム1としては、フィルム状に成形された樹脂、ガラス、金属等を用いることができる。なかでも、樹脂が好ましく、透明性が高い樹脂であることが好ましい。樹脂の透明性が高く、ベースフィルム1の透明性が高いと、透明性が高いガスバリアー性フィルムFを得ることができ、有機EL素子等の電子デバイスに好ましく用いることができる。
ベースフィルム1として用いることができる樹脂としては、例えばメタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリスチレン(PS)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド等が挙げられる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が、コスト及び入手の容易性から好ましい。
ベースフィルム1は、上記樹脂が2以上積層された積層フィルムであってもよい。
樹脂製のベースフィルム1は、従来公知の一般的な製造方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイ又はTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の樹脂基材を製造することができる。また、材料となる樹脂を溶剤に溶解し、無端の金属樹脂支持体上に流延(キャスト)して乾燥、剥離することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸フィルムを、ベースフィルム1として得ることができる。
上記未延伸フィルムを、フィルムの搬送(MD:Machine Direction)方向又は搬送方向と直交する幅(TD:Transverse Direction)方向に延伸し、得られた延伸フィルムをベースフィルム1とすることもできる。
ベースフィルム1は、厚さが5〜500μmの範囲内であることが好ましく、25〜250μmの範囲内であることがより好ましい。
ガスバリアー性フィルムFは、目的に応じて、アンカー層、平滑化層、ブリードアウト防止層等の他の層を備えることができる。アンカー層、平滑化層、ブリードアウト防止層としては、特開2013−52561号公報等に記載されたものを使用できる。
(アンカー層)
ガスバリアー性フィルムFは、ベースフィルム1とガスバリアー層2の密着性を向上させる観点から、ベースフィルム1とガスバリアー層2との間に、アンカー層を備えることができる。
アンカー層は、例えばポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコーン樹脂、アルキルチタネート等を含有する塗布液を塗布し、乾燥することにより形成することができる。
(平滑化層)
ガスバリアー性フィルムFは、ガスバリアー層2の下層として、平滑化層を備えることもできる。平滑化層により、ガスバリアー層2を平坦な表面上に形成することができ、凹凸によるピンホールの発生等を防いで、ガスバリアー性の高いガスバリアー層2を得ることができる。
平滑化層は、例えば感光性樹脂を含有する塗布液を塗布し、硬化処理することにより形成することができる。感光性樹脂としては、例えばラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。
(ブリードアウト防止層)
ガスバリアー性フィルムFは、ベースフィルム1中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染するブリードアウト現象を抑制する観点から、ブリードアウト防止層を備えることができる。ブリードアウト防止層は、平滑層と反対側のベースフィルム1の表面に設けられる。ブリードアウト防止層は、ブリードアウトを抑制する機能を有するのであれば、基本的に平滑層と同じ構成であってもよい。
〔ガスバリアー性フィルムの光透過性〕
ガスバリアー性フィルムFは、透明性が高いと、電子デバイスの封止材としての利用性が高まり、好ましい。
具体的には、JIS K 7105:1981に準拠して測定される光線透過率が、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
〔ガスバリアー性フィルムの製造装置〕
図5は、上記ガスバリアー性フィルムFを製造可能な製造装置100の概略構成を示している。
ガスバリアー性フィルムの製造装置100は、図5に示すように、真空チャンバー10内において、複数のローラー11〜18によりベースフィルム1を搬送し、互いに対向する一対のローラー13及び16間に電圧を印加するとともに原料ガスを供給する。これにより、製造装置100は、原料ガスのプラズマ反応を生じさせ、ベースフィルム1上にガスバリアー層を形成して、ガスバリアー性フィルムFを製造する。
図5に示すように、真空チャンバー10には排気口41が設けられ、排気口41の終端に真空ポンプ42が設けられている。
また、図5に示すように、ローラー11はベースフィルム1を巻き出し、ローラー18はガスバリアー層の形成によって得られたガスバリアー性フィルムFを巻き取る。
ローラー12〜17は、ローラー11により巻き出され、ローラー18により巻き取られるまでの間、ベースフィルム1を搬送する。
一対のローラー13及び16は互いに対向するように配置され、各ローラー13及び16間に原料ガスを供給するガス供給部21が、ローラー13及び16に隣接して設けられている。
一対のローラー13及び16は、それぞれ電源22に接続され、磁場発生装置23を内蔵している。ガス供給部21により原料ガスを供給し、電源22により各ローラー13及び16間に電圧を印加することにより、各ローラー13及び16間の放電空間にプラズマが生成し、原料ガスのプラズマ反応が進行してローラー13及び16により搬送されるベースフィルム1上にそれぞれガスバリアー層が形成される。このとき、各ローラー13及び16の周辺には磁場発生装置23によりレーストラック状の磁場が形成されているので、プラズマはこの磁場の磁力線に沿って生成される。放電空間における電場と磁場によって、電子が成膜空間内に閉じ込められ、高密度のプラズマが生成されるため、成膜効率が向上する。
図5に示すガス供給部21は、ローラー13とローラー16の中心線上に設けられているが、この中心線からローラー13及び16のいずれかの方へ片寄らせてもよい。これにより、ローラー13及び16への原料ガスの供給量を異ならせることができ、ローラー13上で形成される膜とローラー16上で形成される膜の原子組成を異ならせることができる。同様に膜の原子組成を異ならせるため、各ローラー13及び16との距離が遠くなるか、近くなるように、中心線上でガス供給部21の位置をずらすこともできる。
成膜中の原料ガスの供給量等の成膜条件を変化させると、成膜条件を変化させるごとに異なる原子組成の膜が積層されていき、層厚方向における原子組成が連続的に変化する。
具体的には、ベースフィルム1がローラー13のA地点及びローラー16のB地点を通過すると、ガスバリアー層2中の層厚方向におけるC原子の数の比率が減少から増大へ変化し、O原子の数の比率が増大から減少へ変化する。
これに対して、ベースフィルム1がローラー13のC1及びC2地点と、ローラー16のC3及びC4地点を通過すると、ガスバリアー層2中の層厚方向におけるC原子の比率が増大から減少へ変化し、O原子の比率が減少から増大へ変化する。
このように減少から増大へ又は増大から減少へ転ずる極値の存在は、ガスバリアー層2中のC原子及びO原子の存在比が均一ではないことを示し、部分的にC原子が少ない緻密性の低い部分が存在することにより、ガスバリアー層2がフレキシブルな構造となって、耐屈曲性が向上する。
各ローラー13及び16は、回転軸が同一平面上において平行となるように、またそれぞれが搬送するベースフィルム1のガスバリアー層が形成される面が対面するように、配置することが好ましい。このような構成により、搬送方向上流のローラー13によりベースフィルム1上にガスバリアー層を形成した後、搬送方向下流のローラー16によりさらにガスバリアー層を積層することができ、成膜効率をより向上させることができる。
各ローラー13及び16は、成膜効率を高める観点から、直径が同一であることが好ましい。
各ローラー13及び16の直径としては、放電条件の最適化、真空チャンバー10内のスペース削減等の観点から、直径φが100〜1000mmの範囲内であることが好ましく、100〜700mmの範囲内であることがより好ましい。
直径φが100mm以上であれば、十分な大きさの放電空間を形成することができ、生産性の低下を防ぐことができる。また、短時間の放電で十分な層厚を得ることができ、放電時にベースフィルム1に加えられる熱量を抑えて、残留応力を抑えることができる。直径φが1000mm以下であれば、放電空間の均一性を維持することができ、装置設計において実用的である。
ガス供給部21は、一対のローラー13及び16間に形成された放電空間に、ガスバリアー層の原料ガスを供給する。例えば、有機ケイ素化合物を酸化させて酸化炭化ケイ素を含有するガスバリアー層を形成する場合、ガス供給部21は、有機ケイ素化合物のガスと、酸素、オゾン等のガスとを原料ガスとして供給する。窒化させる場合は、窒素、アンモニア等の原料ガスを供給すればよい。
ガス供給部21は、必要に応じて、原料ガスの供給にキャリアガスを用いることができ、プラズマの生成を促進するためにプラズマ生成用ガスを供給することもできる。キャリアガスとしては、例えばヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトン等の希ガス、窒素ガス等が挙げられ、プラズマ生成用ガスとしては水素等が挙げられる。
電源22としては、プラズマ発生用の公知の電源を使用できるが、各ローラー13及び16の極性を交互に反転させることができる交流電源が、成膜効率を向上させることができ、好ましい。
電源22が供給する電力量としては、0.1〜10.0kWの範囲内とすることができる。0.1kW以上であれば、パーティクルと呼ばれる異物の発生を抑えることができる。また、10.0kW以下であれば、発生する熱量を抑えることができ、温度上昇によるベースフィルム1のしわの発生を抑えることができる。また、交流電源とする場合、交流の周波数は、50Hz〜500kHzの範囲内であることが好ましい。
真空チャンバー10内の圧力、すなわち真空度は、原料ガスの種類等に応じて真空ポンプ42により調整することができるが、0.5〜100.0Paの範囲内であることが好ましい。
また、ベースフィルム1の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類、真空度等に応じて決定することができるが、0.25〜100.00m/minの範囲内であることが好ましく、0.5〜20.0m/minの範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ベースフィルム1のしわの発生を抑え、十分な厚さのガスバリアー層を形成することができる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示が用いられるが、特に断りが無い限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔ガスバリアー性フィルム1〕
厚さが125nmのKBフィルム(登録商標)G1SBF(きもと社製)をベースフィルムとして用意した。
このKBフィルムG1SBF上に、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)及び酸素を原料としてガスバリアー層を形成した。
ガスバリアー層は、図5に示す構成と同様の構成の製造装置を用いて、下記成膜条件により形成した。
(成膜条件)
原料ガス1:HMDSO
原料ガス2:酸素
原料ガス1の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
原料ガス2の供給量:650sccm
真空度:2Pa
プラズマ発生用電源による供給電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:2m/min
〔ガスバリアー性フィルム2〜7〕
上記ガスバリアー性フィルム1の製造において、原料ガス1の種類と、原料ガス1及び2の供給量を下記表1に示すように変更したこと以外は、ガスバリアー性フィルム1と同様にして、各ガスバリアー性フィルム2〜7を製造した。
〔C−C結合分布曲線〕
製造した各ガスバリアー性フィルム1〜7において、ガスバリアー層の層厚方向におけるC−C結合分布曲線を、次のようにして求めた。
各ガスバリアー性フィルム1〜7のTEM用試料を、下記FIB装置を用いて作製した。この試料を下記TEMにセットして、各ガスバリアー性フィルム1〜7の断面を観察し、ガスバリアー層のベースフィルムと反対側の表面からベースフィルム側の表面までの距離を測定した。ガスバリアー層とベースフィルムの界面は両者のコントラスト差から決定した。この測定をフィルム面上の位置が異なる10点において行い、各測定値の平均値をガスバリアー層の層厚(nm)として決定した。
(TEM)
装置:JEM2000FX(日本電子社製)
加速電圧:200kV
(FIB装置)
装置:SMI2050(SII社製)
加工イオン:Ga(30kV)
試料の厚さ:100〜200nm
また、各ガスバリアー性フィルム1〜7において、ガスバリアー層のベースフィルムと反対側の表面からベースフィルム側の表面までを希ガスイオンスパッタによりエッチングし、XPS法により露出した表面のC原子の結合エネルギーのスペクトルを得た。XPS法と希ガスイオンスパッタの測定条件は、下記のとおりである。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):2.5nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名“VG Theta Probe”
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びそのサイズ:800×400μmの楕円形。
XPS法により得られるスペクトル中のC1sピークから、C−C結合に起因するピークを分離し、C1sピークのピーク面積(Q1)に対するC−C結合のピーク面積(Q2)の比率(Q2/Q1×100)を、ガスバリアー層2中のC−C結合の比率として求めた。
ガスバリアー層のベースフィルムと反対側の表面からエッチングした層厚方向の位置に対して、求めたC−C結合の比率をプロットして、デプスプロファイルを作成した。このデプスプロファイルにおいて、プロットした比率の近似曲線をC−C結合分布曲線として求めた。デプスプロファイルにおいて、ガスバリアー層のベースフィルムと反対側の表面からの層厚方向の位置を、ベースフィルムと反対側の表面の層厚方向の位置を0%、ベースフィルム側の表面の層厚方向の位置を100%として表し、上記TEMにより決定したガスバリアー層の層厚(nm)に対するエッチングした深さ距離(nm)の割合で表した。
各ガスバリアー性フィルム1〜7のデプスプロファイルにおいて、65〜100%の層厚方向の位置においてC−C結合分布曲線が有する極大値の層厚方向の位置(%)を求めた。なお、いずれのC−C結合分布曲線も65〜100%の層厚方向の位置における極大値は一つであった。
また、C−C結合分布曲線が有する一又は複数の極大値のなかでも最大値の層厚方向の位置(%)と、90〜100%の層厚方向の位置におけるC−C結合の比率の平均値(%)と、をそれぞれ求めた。結果を下記表1に示す。
〔評価〕
(ガスバリアー性)
MOCON水蒸気透過率測定装置Aquatran(MOCON社製)を用いて、ガスバリアー性フィルム1〜7の温度38℃、湿度90%RHにおける水蒸気透過度[g/(m・2
4h)]を測定した。
測定した水蒸気透過度から、下記評価基準にしたがってガスバリアー性をランク評価した。水蒸気透過度は数値が小さいほどガスバリアー性が高く、ランク3以上が実用可能なガスバリアー性である。
5:水蒸気透過度が、0.005未満
4:水蒸気透過度が、0.005以上0.010未満
3:水蒸気透過度が、0.010以上0.100未満
2:水蒸気透過度が、0.100以上0.500未満
1:水蒸気透過度が、0.500以上
(耐屈曲性)
MOCON水蒸気透過率測定装置Aquatran(MOCON社製)を用いて、ガスバリアー性フィルム1〜7の温度38℃、湿度90%RHにおける水蒸気透過度(g/m・24h)を測定した。
測定後、各ガスバリアー性フィルム1〜7の屈曲試験を行った。屈曲試験では、まず各ガスバリアー性フィルム1〜7を温度60℃、湿度90%RHの高温高湿下で100時間保存した。高温高湿下から取り出した各ガスバリアー性フィルム1〜7を3cm×10cmの大きさに裁断し、ガスバリアー層が外側となるように金属棒(直径6mm)の周面に巻き付ける操作を100回繰り返した。この屈曲試験後の各ガスバリアー性フィルム1〜7の水蒸気透過度を、上記屈曲試験前と同様にして測定した。
屈曲試験前後に測定した水蒸気透過度から、下記式によって水蒸気透過度の変化率を算出した。
水蒸気透過度の変化率(%)
=(屈曲試験後の水蒸気透過度)/(屈曲試験前の水蒸気透過度)
算出した水蒸気透過度の変化率から、耐屈曲性を次のようにしてランク評価した。変化率は数値が小さいほど耐屈曲性に優れ、ランク3以上が実用可能な耐屈曲性である。
5:水蒸気透過度の変化率が、1.0以上2.0未満
4:水蒸気透過度の変化率が、2.0以上4.5未満
3:水蒸気透過度の変化率が、4.5以上7.0未満
2:水蒸気透過度の変化率が、7.0以上10.0未満
1:水蒸気透過度の変化率が、10.0以上
下記表1は、評価結果を示している。
なお、下記表1において、HMDSO、TMCTS及びMTMSは、それぞれヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン及びメチルトリメトキシシランの略記である。
Figure 0006720980
上記表1に示すように、C−C結合分布曲線が75〜100%の層厚方向の位置に少なくとも一つの極大値を有するガスバリアー性フィルム2〜7は、ガスバリアー性に優れるだけでなく、高温高湿下におかれた後もガスバリアー性の低下が少なく、耐屈曲性も高いことが分かる。
本発明のガスバリアー性フィルムは、高温高湿下において長期使用する用途に利用することができる。
F ガスバリアー性フィルム
1 ベースフィルム
2 ガスバリアー層
Sa ベースフィルムと反対側のガスバリアー層の表面
Sb ベースフィルム側のガスバリアー層の表面
100 ガスバリアー性フィルムの製造装置
11〜18 ローラー
22 電源

Claims (3)

  1. ベースフィルム上にガスバリアー層を備えるガスバリアー性フィルムであって、
    前記ガスバリアー層が、Si原子、O原子及びC原子を含有し、
    前記ガスバリアー層の前記ベースフィルムと反対側の表面から前記ベースフィルム側の表面までの層厚方向における0〜100%の位置において、X線光電子分光法により測定されるC1sの波形解析に基づく、C−C、C−SiO、C−O、C=O及びC=OOの各結合の合計に対するC−C結合の比率を表すC−C結合分布曲線が、75〜100%の層厚方向の位置において少なくとも一つの極大値を有することを特徴とするガスバリアー性フィルム。
  2. 前記C−C結合分布曲線において、90〜100%の層厚方向の位置におけるC−C結合の比率の平均値が、20〜90%の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアー性フィルム。
  3. 前記C−C結合分布曲線が有する一又は複数の極大値の最大値が、20〜90%の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリアー性フィルム。
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