JP6720730B2 - 信号伝送体、及び電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、温度変化に対する伝送損失の変動が小さい信号伝送体、及びこの信号伝送体を備える電子機器に関する。
近年、電子機器は大量の情報を処理することが求められている。このため、そのような電子機器においては、高周波数のデジタル信号や、マイクロ波、ミリ波等の高周波アナログ信号を処理し得る高周波信号伝送体が使用されてきた。
例えば、特許文献1には、特定の銅箔と、液晶ポリマーフィルムやフッ素樹脂フィルムとを積層して得られる銅張積層板が記載されている。特許文献1には、液晶ポリマーフィルムやフッ素樹脂フィルムは誘電正接が小さいため、これらの銅張積層板は高周波回路を形成する際の材料として適することも記載されている。
通常、電子機器には使用温度域全範囲において安定的に動作することが求められる。したがって、高温でも使用する可能性がある電子機器に用いられる信号伝送体は、常温域から高温域にわたって信号を正確に伝えることが求められる。
しかしながら、特許文献1に記載の信号伝送体は、高温時に波形が乱れたり、振幅が小さくなったりする結果、信号を正確に伝えることができない場合があった。
この問題は、入力電位を高めることで、ある程度解消することができる。しかしながら、この場合、消費電力が大きくなるという問題があった。さらに、入力電位を高めることで電子機器等がより発熱し易くなるため、新たな問題を引き起こすおそれもあった。
特開2014−225650号公報
上記のように、常温時の伝送特性に優れていても、温度変化に対する伝送損失の変動が大きく、高温時に伝送特性が大きく低下する信号伝送体は、使用条件によっては十分な性能を発揮するものではなかった。したがって、使用する温度条件に関わらず、安定的に信号を伝え得る信号伝送体が要望されていた。
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、温度変化に対する伝送損失の変動が小さい信号伝送体、及びこの信号伝送体を備える電子機器を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、銅等の導体材料は、温度が上昇するにつれて抵抗が大きくなり、また、液晶ポリマーやフッ素樹脂等の誘電体材料も、温度が上昇するにつれて誘電正接が大きくなるため、これらを組み合わせて得られる信号伝送体の伝送損失は、温度が上昇するにつれて極めて大きくなることが分かった。
本発明者は、さらに、温度が上昇するにつれて誘電正接が小さくなる樹脂を用いて誘電体部を形成することで、温度変化に対する伝送損失の変動が小さい信号伝送体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕〜〔8〕の信号伝送体、及び〔9〕の電子機器が提供される。
〔1〕導体部と誘電体部とを有する信号伝送体であって、下記式(I)を満たすことを特徴とする信号伝送体。
Figure 0006720730
(Xは、信号伝送体について、9GHzの高周波信号に対する伝送損失を−40℃と+80℃で測定して算出した、温度変化に対する伝送損失の変化率(dB/cm/℃)を表し、Yは、その信号伝送体を構成する導体部のみについて、9GHzの高周波信号に対する伝送損失を測定して算出した、温度変化に対する伝送損失の変化率(dB/cm/℃)を表す。)
〔2〕前記導体部が、銅を含有するものである、〔1〕に記載の信号伝送体。
〔3〕前記誘電体部が、下記式(II)を満たす樹脂を含有するものである、〔1〕又は〔2〕に記載の信号伝送体。
Figure 0006720730
(aは、+80℃、9GHzにおける誘電正接(tanδ)を表し、aは、−40℃、9GHzにおける誘電正接(tanδ)を表す。)
〔4〕前記樹脂が、脂環構造含有重合体である、〔3〕に記載の信号伝送体。
〔5〕9GHzの高周波信号に対する伝送損失を測定したときに、−40℃から+80℃の範囲における伝送損失の最大値と最小値の差が、0.0020dB/cm以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の信号伝送体。
〔6〕マイクロストリップライン構造を有する、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の信号伝送体。
〔7〕ストリップライン構造を有する、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の信号伝送体。
〔8〕同軸ケーブルである、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の信号伝送体。
〔9〕前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の信号伝送体を備える電子機器。
本発明によれば、温度変化に対する伝送損失の変動が小さい信号伝送体、及びこの信号伝送体を備える電子機器が提供される。
マイクロストリップラインの断面形状の模式図である。 実施例1で得られた信号伝送体の伝送損失と温度との関係を表すグラフである。 実施例1で得られた信号伝送体の導体部の抵抗率と温度との関係を表すグラフである。 実施例1で得られた信号伝送体の導体部の伝送損失と温度との関係を表すグラフである。 ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の誘電損失(tanδ)と温度との関係を表すグラフである。 ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の伝送損失と温度との関係を表すグラフである。 実施例1〜5で得られた信号伝送体の伝送損失の測定結果を表すグラフである。 実施例6〜10で得られた信号伝送体の導体部の抵抗率と温度との関係を表すグラフである。 実施例6〜10で得られた信号伝送体の伝送損失の測定結果を表すグラフである。 実施例11〜14で得られた信号伝送体の導体部の抵抗率と温度との関係を表すグラフである。 実施例11〜14で得られた信号伝送体の伝送損失の測定結果を表すグラフである。 ストリップラインの断面形状の模式図である。 実施例15〜18で得られた信号伝送体の伝送損失の測定結果を表すグラフである。 実施例19〜22で得られた信号伝送体の伝送損失の測定結果を表すグラフである。 実施例23〜26で得られた信号伝送体の伝送損失の測定結果を表すグラフである。 液晶ポリマーの誘電損失(tanδ)と温度との関係を表すグラフである。
本発明の信号伝送体は、導体部と誘電体部とを有する信号伝送体であって、前記式(I)を満たすことを特徴とするものである。
〔導体部〕
本発明の信号伝送体を構成する導体部は、導体を含有する部分であって、信号伝送を担うものである。
導体としては、銅、金、銀、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属が挙げられ、これらの中でも銅が好ましい。
導体部の形状は特に限定されない。導体部の形状は目的の信号伝送体に応じて適宜決定することができる。
〔誘電体部〕
本発明の信号伝送体を構成する誘電体部は、導体部に接するように配置され、導体部間を絶縁するものである。
誘電体部は、下記式(II)を満たす樹脂を含有するものが好ましい。誘電体部が、式(II)を満たす樹脂を含有することで、温度変化に対する伝送損失の変動が小さい信号伝送体が得られ易くなる。
Figure 0006720730
式(II)中、aは、+80℃、9GHzにおける誘電正接(tanδ)を表し、aは、−40℃、9GHzにおける誘電正接(tanδ)を表す。
は、通常、0.0004〜0.0008、好ましくは、0.0004〜0.0006である。
は、通常、0.0008〜0.0020、好ましくは、0.0008〜0.0010である。
、aは、実施例に記載の方法により測定することができる。
式(II)を満たす樹脂としては、脂環構造含有重合体が挙げられる。脂環構造含有重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環構造を有する重合体である。なかでも、機械的強度、耐熱性等に優れる誘電体部を形成できることから、主鎖に脂環構造を有するものが好ましい。
脂環構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられる。なかでも、機械的強度、耐熱性等に優れる誘電体部を形成できることから、シクロアルカン構造が好ましい。
脂環構造を構成する炭素原子数は、特に限定されないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲である。脂環構造を構成する炭素原子数がこれらの範囲内であることで、機械的強度、及び耐熱性等の特性がより高度にバランスされた誘電体部を形成し易くなる。
脂環構造含有重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位の割合は、適宜選択することができる。この繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位に対して、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。脂環構造含有重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位の割合が30重量%以上であることで、耐熱性、透明性等に優れる誘電体部を形成し易くなる。脂環構造含有重合体中の脂環構造を有する繰り返し単位以外の残部は、特に限定されず、適宜選択される。
脂環構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常、5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000である。脂環構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)がこれらの範囲内であることで、誘電体部の機械的強度と、誘電体部を形成する際の作業性とにより高度にバランスされる。
脂環構造含有重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、通常、1.0〜4.0、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.5である。
脂環構造含有重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、実施例に記載の方法に従って求めることができる。
脂環構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、通常、100〜200℃、好ましくは100〜170℃である。
脂環構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることで、耐熱性に優れる誘電体部を形成し易くなる。また、脂環構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)が200℃以下の脂環構造含有重合体は溶融時に十分な流動性を有し、成形性に優れる。
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 6911に基づいて測定することができる。
脂環構造含有重合体の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度に優れる誘電体部を形成し易いことから、ノルボルネン系重合体が好ましい。
なお、本明細書において、これらの重合体は、重合反応生成物だけでなく、その水素添加物も意味するものである。
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン骨格を有する単量体であるノルボルネン系単量体を重合して得られる重合体又はその水素添加物である。
ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体、これらの開環重合体の水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体などが挙げられる。
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するものをいう。)、トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(メタノテトラヒドロフルオレン、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基などが挙げられる。
置換基を有するノルボルネン系単量体としては、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、及びこれらの誘導体などの単環の環状オレフィン系単量体などが挙げられる。これらの置換基としては、ノルボルネン系単量体の置換基として示したものと同様のものが挙げられる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。これらの置換基としては、ノルボルネン系単量体の置換基として示したものと同様のものが挙げられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体は、単量体成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合させることにより合成することができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物と、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水添触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
ノルボルネン系単量体の付加重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体は、単量体成分を、公知の付加重合触媒の存在下で重合させることにより合成することができる。付加重合触媒としては、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が挙げられる。
これらのノルボルネン系重合体の中でも、耐熱性、機械的強度等に優れる誘電体部を形成し易いことから、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物が好ましい。
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの、単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体が挙げられる。
これらの付加重合体の合成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができる。
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−又は1,4−付加重合した重合体及びその水素添加物などが挙げられる。
これらの付加重合体の合成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができる。
(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体
ビニル脂環式炭化水素系重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素添加物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素添加物;などが挙げられる。また、ビニル脂環式炭化水素系単量体やビニル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。かかる共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体等が挙げられる。
これらの重合体の合成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができる。
より耐熱性に優れる誘電体部を形成できることから、脂環構造含有重合体としては結晶性の脂環構造含有重合体(以下、「重合体(α)」ということがある。)が好ましい。
「結晶性」とは、測定条件等を最適化することにより、示差走査熱量計(DSC)で融点を観測することができるという性質をいい、重合体鎖の立体規則性により定まる性質である。
重合体(α)としては、国際公開第2012/033076号パンフレットに記載の、シンジオタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物、特開2002−249553号公報に記載の、アイソタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物、特開2007−16102号公報に記載の、ノルボルネン開環重合体水素化物等が挙げられる。
重合体(α)の融点は、好ましくは、180〜350℃、より好ましくは200〜320℃、特に好ましくは220〜300℃である。
融点がこの範囲にある重合体(α)は、成形性と耐熱性とのバランスが良好なものとなる。
重合体(α)としては、シンジオタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物(以下、「重合体(α1)」ということがある。)が好ましい。
重合体(α1)の立体規則性の程度は特に限定されないが、耐熱性に優れる誘電体部を効率よく形成し得ることから、立体規則性の程度がより高いものが好ましい。
具体的には、ジシクロペンタジエンを開環重合して、次いで水素化して得られる繰り返し単位についてのラセモ・ダイアッドの割合が、51%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
ラセモ・ダイアッドの割合が高いものほど、すなわち、シンジオタクチック立体規則性の高いものほど、高い融点を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物となる。
ラセモ・ダイアッドの割合は、13C−NMRスペクトル分析で測定し、定量することができる。具体的には、オルトジクロロベンゼン−d4を溶媒として、150℃でinverse−gated decoupling法を適用して13C−NMR測定を行い、オルトジクロロベンゼン−d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルの強度比からラセモ・ダイアッドの割合を決定することができる。
ジシクロペンタジエンには、エンド体及びエキソ体の立体異性体が存在するが、本発明においては、そのどちらも単量体として用いることができる。また、一方の異性体のみを単独で用いてもよいし、エンド体及びエキソ体が任意の割合で存在する異性体混合物を用いてもよい。本発明においては、重合体(α1)の結晶性が高まり、耐熱性により優れる誘電体部をより形成しやすいことから、一方の立体異性体の割合を高くすることが好ましい。例えば、エンド体又はエキソ体の割合が、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。なお、合成が容易であることから、エンド体の割合が高いことが好ましい。
重合体(α1)を合成する際、単量体として、ジシクロペンタジエンのみを用いてもよいし、ジシクロペンタジエンと共重合可能な他の単量体を用いてもよい。他の単量体としては、ジシクロペンタジエン以外のノルボルネン類や、環状オレフィン類、ジエン類等が挙げられる。
他の単量体を用いる場合、その使用量は、単量体全量中、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
重合体(α1)の合成方法は特に限定されず、公知の方法に従って、開環重合反応及び水素化反応を行うことにより、重合体(α1)を合成することができる。
誘電体部は、脂環構造含有重合体の他に、添加剤等の他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、脂環構造含有重合体以外の樹脂、酸化防止剤、結晶核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、滑剤等が挙げられる。
誘電体部中の脂環構造含有重合体の含有量は、誘電体部全体に対して、通常、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは、80重量%以上である。
前記他の成分の含有量は、目的に合わせて適宜決定することができるが、誘電体部全体に対して、通常、50重量%未満、好ましくは40重量%未満、より好ましくは20重量%未満である。
〔信号伝送体〕
本発明の信号伝送体は、下記式(I)を満たすものである。
Figure 0006720730
(Xは、信号伝送体について、9GHzの高周波信号に対する伝送損失を−40℃と+80℃で測定して算出した、温度変化に対する伝送損失の変化率(dB/cm/℃)を表し、Yは、その信号伝送体を構成する導体部のみについて、9GHzの高周波信号に対する伝送損失を測定して算出した、温度変化に対する伝送損失の変化率(dB/cm/℃)を表す。)
X及びYは、実施例に記載の方法に従って求めることができる。
式(I)を満たすことからわかるように、本発明の信号伝送体は、導体部のみの場合に比べて、温度変化に対する伝送損失の変化率がより小さくなるものである。
すなわち、通常、導体部の抵抗値は温度が高くなるにつれて大きくなり、また、液晶ポリマーやフッ素樹脂の誘電正接も温度が高くなるにつれて大きくなる。
信号伝送体の伝送損失は、導体部の抵抗と誘電体部の誘電正接が合わさったものであると考えると、液晶ポリマーやフッ素樹脂を用いて誘電体部を形成すると、温度変化に対する伝送損失が極めて大きい信号伝送体になると考えられる。
一方、高温時の誘電正接よりも低温時の誘電正接が大きくなるような樹脂(例えば、前記式(II)を満たす樹脂)を用いて誘電体部を形成すると、温度変化に対する伝送損失の変化率は、導体部のみのものよりも信号伝送体のほうが小さくなる(すなわち、前記式(I)が満たされる。)。
このように、導体部における抵抗値の温度変化を、誘電体部における誘電正接の温度変化で相殺させるように、導体部と誘電体部とを組み合わせることで、本発明の信号伝送体を得ることができる。
本発明の信号伝送体は、下記式(III)を満たすことがより好ましい。
Figure 0006720730
式(III)中、X、Yは、前記と同じ意味を表し、|X|、|Y|は、それぞれXの絶対値、Yの絶対値を表す。
本発明の信号伝送体は、9GHzの高周波信号に対する伝送損失を測定したときに、−40℃から+80℃の範囲における伝送損失の最大値と最小値の差が、0.0020dB/cm以下であることが好ましく、0.0007〜0.0015dB/cmがより好ましく、0.0007〜0.0010dB/cmがさらに好ましい。
−40℃から+80℃の範囲における伝送損失の最大値と最小値の差を、0.0020dB/cm以下にするためには、例えば以下の方法に従って行うことができる。
(1)まず、所定の特性インピーダンスになるように、導体部の形状(厚み、幅)、GND層との距離、誘電体部の比誘電率、厚み等を基にして回路設計を行う。
(2)次いで、配線幅の値を大きくし、かつ、誘電体厚みの値を大きくした場合(又は、その逆に、配線幅の値を小さくし、かつ、誘電体厚みの値を小さくした場合)に、伝送損失における誘電体損失と導体損失の影響がどの程度変化するかを調べる。
(3)(2)で得られた知見を基に、配線幅及び誘電体厚みを最適化することにより、目的の特性を有する信号伝送体を得ることができる。
本発明の信号伝送体としては、マイクロストリップライン構造を有するもの、ストリップライン構造を有するもの、同軸ケーブルが挙げられる。
信号伝送体がマイクロストリップライン構造を有するものである場合、誘電体層の厚みを調節することにより、−40℃から+80℃の範囲における伝送損失の最大値と最小値の差を調節することができる。
マイクロストリップライン構造を有する信号伝送体の断面において、導体部の幅は通常0.8〜3.0mm、好ましくは1.2〜2.8mmであり、導体部の厚みは通常0.012〜0.035mm、好ましくは0.012〜0.018mmであり、誘電体部の厚みは通常、0.3〜1.0mm、好ましくは0.45〜1.0mmである。
マイクロストリップライン構造を有する信号伝送体の誘電体部の厚みとは、図1中のhをいう。
信号伝送体がストリップライン構造を有するものである場合、誘電体層の厚みを調節することにより、−40℃から+80℃の範囲における伝送損失の最大値と最小値の差を調節することができる。
ストリップライン構造を有する信号伝送体の断面において、導体部の幅は通常0.6〜2.0mm、好ましくは0.9〜1.8mmであり、導体部の厚みは通常0.012〜0.035mm、好ましくは0.012〜0.018mmであり、誘電体部の厚みは通常、0.4〜1.2mm、好ましくは0.6〜1.2mmである。
ストリップライン構造を有する信号伝送体の誘電体部の厚みとは、図12中のhをいう。
信号伝送体が同軸ケーブルの場合、内部導体部を覆う誘電体部の厚み(断面における直径)を調節することにより、−40℃から+80℃の範囲における伝送損失の最大値と最小値の差を調節することができる。
同軸ケーブルの断面において、内部導体部の直径は、通常0.01〜1.0mm、好ましくは0.05〜0.1mmであり、誘電体部の厚みは通常、0.4〜1.2mm、好ましくは0.6〜1.2mmである。
本発明の信号伝送体は、温度変化に対する伝送損失の変動が小さい。したがって、本発明の信号伝送体は、常温時だけでなく高温時においても、安定的に信号を伝えることができる。
〔電子機器〕
本発明の電子機器は、本発明の信号伝送体を備えるものである。したがって、本発明の電子機器は、高温時においても誤作動が少なく、また、電力消費量も少ない。
本発明の電子機器としては、携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、デジタルカメラ等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、下記の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
各例における測定は、以下の方法により行った。
〔ガラス転移温度及び融点〕
示差走査熱量計(製品名「DSC6220」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、昇温速度が10℃/分の条件で示差走査熱量測定を行い、重合体のガラス転移温度及び融点を測定した。
〔重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)〕
テトラヒドロフランを溶媒として、40℃でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を行い、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)をポリスチレン換算値として求めた。
測定装置:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム「HLC−8220」(東ソー社製)
カラム:「Hタイプカラム」(東ソー社製)
〔重合体中の不飽和結合の水素化率〕
H−NMR測定に基づいて、重合体中の不飽和結合の水素化率を求めた。
〔信号伝送体の伝送損失〕
実施例及び比較例において、マイクロストリップラインやストリップライン等の信号伝送体を作製した後、ネットワークアナライザー(製品名「PNA Network Analyzer E8361C」、アジレントテクノロジー社製)を用いて、それらの伝送損失を、−40℃、0℃、40℃、80℃で測定し、以下の基準で評価した。
◎:伝送損失の変化(最大値と最小値の差をいう。以下同じ)が0.0010dB/cm未満
○:伝送損失の変化が0.0010dB/cm以上、0.0020dB/cm未満
△:伝送損失の変化が0.0020dB/cm以上
〔信号伝送体の導体部の伝送損失〕
円柱共振器法測定装置(製品名「SUM−ROD」、サムテック社製)とネットワークアナライザー(製品名「PNA Network Analyzer E8361C」、アジレントテクノロジー社製)を用いて、導体部の抵抗率を測定し、導体部の伝送損失を算出した。
〔信号伝送体の誘電体部の誘電正接(tanδ)〕
厚さ0.1mm以上、1.0mm以下の誘電体部を50×50mmの外形寸法に加工し、平衡円板共振器法治具(SUMDISC社製)に収納し、ネットワークアナライザー(製品名「PNA―L Network Analyzer N5230C」、アジレントテクノロジー社製)を用いて、誘電体部の誘電正接(tanδ)を測定した。
〔製造例1〕〔ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の合成〕
内部を窒素置換した金属製耐圧反応容器に、シクロヘキサン154.5部、ジシクロペンタジエン(エンド体含有率99%以上)のシクロヘキサン溶液(濃度70%)42.8部(ジシクロペンタジエンとして30部)、1−ヘキセン1.9部を加え、全容を53℃に加熱した。
一方、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体0.014部を0.70部のトルエンに溶解して得られた溶液に、ジエチルアルミニウムエトキシドのn−ヘキサン溶液(濃度19%)0.061部を加えて10分間攪拌し、触媒溶液を調製した。この触媒溶液を前記反応器内に添加し、53℃で4時間、開環重合反応を行い、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液を得た。
得られたジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液200部に、停止剤として、1,2−エタンジオール0.037部を加えて、60℃で1時間攪拌し、重合反応を停止させた。その後、ハイドロタルサイト様化合物(製品名「キョーワード(登録商標)2000」、協和化学工業社製)を1部加えて、60℃に加温し、1時間攪拌した。濾過助剤(製品名「ラヂオライト(登録商標)#1500」昭和化学工業社製)を0.4部加え、PPプリーツカートリッジフィルター(製品名「TCP−HX」、ADVANTEC東洋社製)を用いて、吸着剤を濾別し、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液を得た。
この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,100、数平均分子量(Mn)は8,750、分子量分布(Mw/Mn)は3.21であった。
精製処理後の、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液200部(重合体含有量30部)に、シクロヘキサン100部、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.0043部を添加し、水素圧6MPa、180℃で4時間水素化反応を行なった。反応液は、固形分が析出したスラリー液であった。
反応液を遠心分離することにより、固形分と溶液とを分離し、固形分を、60℃で24時間減圧乾燥し、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物28.5部を得た。
水素化反応における不飽和結合の水素化率は99%以上、ガラス転移温度は98℃、融点は262℃であった。
得られたジシクロペンタジエン開環重合体水素化物をシート状に成形加工し、誘電体成形体を作製した。
〔実施例1〕
誘電体との接続界面の表面粗さ(Rz)が0.5μm以下である厚み18μmの平滑銅箔(CF−T4X−SV、福田金属箔粉社製)2枚で、厚み0.5mmの誘電体成形体を挟み、温度280℃、圧力3MPaで真空プレスすることで、銅箔付き誘電体板を作製した。
次いで、銅箔付き誘電体板の片側の面をエッチング加工し、配線幅1.4mmのマイクロストリップライン構造を有する信号伝送体(以下、「試料番号3」と表すことがある。)を作製した。
この信号伝送体の誘電体部の誘電率は2.4であり、配線幅1.4mm、誘電体厚み0.5mmとすることでインピーダンスは約50Ωとなる。なお、マイクロストリップラインの断面形状を示した図1において、1aが導体部(配線)、2aが誘電体部であり、配線幅はW、誘電体厚みはhである。
得られた信号伝送体について、9GHzの高周波信号に対する伝送損失を測定した。結果を第1表及び図2に示す。
信号伝送体全体の伝送損失は−40℃から80℃の間で変化が小さく、最大値と最小値の差は0.0010dB/cm/℃以下であった。
図3に、導体部(平滑銅箔)の抵抗率と温度との関係を示す。図3から分かるように、温度が上昇するにつれて導体部の抵抗率は上昇する。
導体部の抵抗が増加すると伝送損失は増加する。導体部の抵抗率から算出した導体部の伝送損失と温度との関係を図4に示す。図4から分かるように、温度上昇に伴い導体部の伝送損失は増加する。その傾き(−40℃から80℃の範囲における1℃あたりの伝送損失の変化量は、0.000034dB/cm/℃である。
図5に、誘電体部を構成する樹脂であるジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の誘電損失(tanδ)と温度との関係を示す。図5から分かるように、温度が上昇するにつれて誘電体部の誘電損失は低下する。
誘電体部の誘電損失が低下すると伝送損失は低下する。誘電体部の伝送損失と温度との関係を図6に示す。図6から分かるように、温度上昇に伴い誘電体部の伝送損失は低下する。
このように、通常、金属等の導電体は温度上昇に伴い抵抗率が増大し、伝送損失が増大するため、温度上昇に伴い誘電損失が低下する特性を有する樹脂を用いて誘電体部を形成することにより、温度変化に対して伝送損失の変動が小さい信号伝送体を得ることができる。
〔実施例2〜5〕
実施例1で得られた信号伝送体(試料番号3)は、配線幅が1.4mm、誘電体厚みが0.5mmのマイクロストリップライン構造を有するものである。
本発明の信号伝送体においては、配線幅や誘電体厚みを変更すると伝送損失がそれぞれ変化する。配線幅と誘電体厚みはインピーダンスにより決まる為、配線幅と誘電体厚みを自由に組み合わせることはできないが、配線幅の値を大きくし、誘電体厚みの値を大きくすると伝送損失における誘電体損失の影響が大きくなる。逆に配線幅の値を小さくし、誘電体厚みの値を小さくすると伝送損失における導体損失の影響が大きくなる。
このことを示すために、実施例1の信号伝送体から、配線幅と誘電体厚みを変化させた信号伝送体(試料番号1、2、4、5)の例を実施例2から5に示す。
なお、本実施例においてはインピーダンスを50Ωとしたが、信号伝送体を電子機器に用いる場合は75Ωや100Ωといった値を採用する場合もあり、本発明は50Ωに限定されるものではない。
実施例2〜5の結果を、第1表及び図7に示す。
Figure 0006720730
このように、配線幅および誘電体厚みを調整することで温度変化に対する伝送損失の変動が小さい信号伝送体を得ることができる。
〔実施例6〜10〕
実施例1において、誘電体との接続界面の表面粗さ(Rz)が1.0μmから2.0μmである厚み18μmの低粗化銅箔(3EC−VLP、三井金属鉱業社製)を使用したこと、及び第2表に記載の配線幅及び誘電体厚みにしたことを除き、実施例1と同様にして信号伝送体(試料番号6〜10)を作製し、各種測定を行った。なお、実施例6〜10ではインピーダンスを50Ωに調整した信号伝送体とした。
実施例6〜10の結果を、第2表及び図9に示す。
Figure 0006720730
銅箔の表面粗さの影響により、伝送損失の値は実施例1〜5とは異なるが、実施例6〜10の信号伝送体においても、温度変化に対する伝送損失の変動が小さい。
〔実施例11〜14〕
実施例1において、誘電体との接続界面の表面粗さ(Rz)が3.0μm以上である厚み18μmの粗化銅箔(GTS−MP、古河電気工業製)を使用したこと、及び第3表に記載の配線幅及び誘電体厚みにしたことを除き、実施例1と同様にして信号伝送体を作製し、各種測定を行った。なお、実施例11〜14ではインピーダンスを50Ωに調整した信号伝送体とした。
実施例11〜14の結果を、第3表及び図11に示す。
Figure 0006720730
銅箔の表面粗さの影響により、伝送損失の値は実施例1〜5とは異なるが、実施例11〜14の信号伝送体においても、温度変化に対する伝送損失の変動が小さい。
〔実施例15〕
誘電体との接続界面の表面粗さ(Rz)が0.5μm以下である厚み18μmの平滑銅箔(CF−T4X−SV、福田金属箔粉社製)3枚を用意し、この中の2枚で、厚み0.8mmの誘電体成形体を挟み、温度280℃、圧力3MPaで真空プレスすることで、両面銅箔付き誘電体板を作製した。また、残りの1枚の平滑銅箔と厚み0.8mmの誘電体成形体を重ね、温度280℃、圧力3MPaで真空プレスすることで、片面銅箔付き誘電体板を作製した。
両面銅箔付き誘電体板の片面をエッチング加工し、配線幅1.2mmの伝送路を形成した。得られた伝送路面に、片面銅箔付き誘電体板を重ね、温度280℃、圧力3MPaで真空プレスすることでこれらを貼り合わせ、ストリップライン構造を有する信号伝送体(以下、「試料番号15」と表すことがある。)を作製した。
なお、ストリップラインの断面形状を示した図12において、1bが導体部(配線)、2bが誘電体部であり、配線幅はW、誘電体厚みはhである。
得られた信号伝送体について、9GHzの高周波信号に対する伝送損失を測定した。結果を第4表及び図13に示す。
〔実施例16〜18〕
実施例15の信号伝送体から、配線幅と誘電体厚みを変化させた信号伝送体の例を実施例16〜18に示す。
実施例16〜18の結果を、第4表及び図13に示す。
Figure 0006720730
〔実施例19〜22〕
実施例15において、誘電体との接続界面の表面粗さ(Rz)が1.0μmから2.0μmである厚み18μmの低粗化銅箔(3EC−VLP、三井金属鉱業製)を使用したこと、及び第5表に記載の配線幅及び誘電体厚みにしたことを除き、実施例15と同様にして信号伝送体を作製し、各種測定を行った。
実施例19〜22の結果を、第5表及び図14に示す。
Figure 0006720730
〔実施例23〜26〕
実施例15において、誘電体との接続界面の表面粗さ(Rz)が3.0μm以上である厚み18μmの粗化銅箔(GTS−MP、古河電気工業製)を使用したこと、及び第6表に記載の配線幅及び誘電体厚みにしたことを除き、実施例15と同様にして信号伝送体を作製し、各種測定を行った。
実施例23〜26の結果を、第6表及び図15に示す。
Figure 0006720730
〔参考例1〕
誘電体として液晶ポリマーを使用する場合を想定し、液晶ポリマー(R−F705T、パナソニック社製)の誘電損失を測定した。その結果を図16に示す。
実施例で用いたジシクロペンタジエン開環重合体水素化物と異なり、温度が上昇するにつれて液晶ポリマーの誘電損失が増加している。
したがって、この液晶ポリマーを誘電体として用いて信号伝送体を製造すると、導体部と同様の温度特性を示すことから、温度変化に対する伝送損失の変動が極めて大きくなることが予想される。
1a、1b:導体部(配線)
2a、2b:誘電体部

Claims (8)

  1. 導体部と誘電体部とを有する信号伝送体であって、
    前記導体部が、銅、金、銀、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、クロムのいずれかを含有するものであり、
    前記誘電体部が、下記式(II)を満たす樹脂を含有するものであり、
    Figure 0006720730
    (a は、+80℃、9GHzにおける誘電正接(tanδ)を表し、a は、−40℃、9GHzにおける誘電正接(tanδ)を表す。)
    さらに、下記式(I)を満たすことを特徴とする信号伝送体。
    Figure 0006720730
    (Xは、信号伝送体について、9GHzの高周波信号に対する伝送損失を−40℃と+80℃で測定して算出した、温度変化に対する伝送損失の変化率(dB/cm/℃)を表し、Yは、その信号伝送体を構成する導体部のみについて、9GHzの高周波信号に対する伝送損失を測定して算出した、温度変化に対する伝送損失の変化率(dB/cm/℃)を表す。)
  2. 前記導体部が、銅を含有するものである、請求項1に記載の信号伝送体。
  3. 前記樹脂が、脂環構造含有重合体である、請求項1又は2に記載の信号伝送体。
  4. 9GHzの高周波信号に対する伝送損失を測定したときに、−40℃から+80℃の範囲における伝送損失の最大値と最小値の差が、0.0020dB/cm以下である、請求項1〜のいずれかに記載の信号伝送体。
  5. マイクロストリップライン構造を有する、請求項1〜のいずれかに記載の信号伝送体。
  6. ストリップライン構造を有する、請求項1〜のいずれかに記載の信号伝送体。
  7. 同軸ケーブルである、請求項1〜のいずれかに記載の信号伝送体。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の信号伝送体を備える電子機器。
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