JP6720563B2 - 溶接接合構造 - Google Patents

溶接接合構造 Download PDF

Info

Publication number
JP6720563B2
JP6720563B2 JP2016023965A JP2016023965A JP6720563B2 JP 6720563 B2 JP6720563 B2 JP 6720563B2 JP 2016023965 A JP2016023965 A JP 2016023965A JP 2016023965 A JP2016023965 A JP 2016023965A JP 6720563 B2 JP6720563 B2 JP 6720563B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
plate
backing
joint structure
welded joint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016023965A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017140634A (ja
Inventor
博巳 平山
博巳 平山
半谷 公司
公司 半谷
浩資 伊藤
浩資 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2016023965A priority Critical patent/JP6720563B2/ja
Publication of JP2017140634A publication Critical patent/JP2017140634A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6720563B2 publication Critical patent/JP6720563B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Joining Of Building Structures In Genera (AREA)
  • Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)

Description

本発明は、水平材と鉛直材とを裏当て金を用いて突合せ溶接する溶接接合構造に関するものである。
水平材と鉛直材とを裏当て金を用いて突合せ溶接する溶接接合構造は、その生産性の高さから建築構造や土木構造の接合部では一般的に用いられているが、応力方向に対して直角なノッチが存在する接合構造であるため、溶接終了後に裏当て金をはつる等の処置を施さない限り、作用応力の履歴によりこのノッチを起点とする疲労破壊の可能性が存在する。
通常、水平材と鉛直材とを裏当て金を用いて突合せ溶接する場合、図5に示すように、鉛直材1に溶接すべき水平材2の端部を斜めに切り欠くことによって、水平材2と鉛直材1との間に開先部2aを設けるとともに、水平材2の下面に沿って設けた裏当て金3のこば面(側端面)を鉛直材1の表面に突き当てた(当接した)うえで、開先部2aに溶接金属WMを流し込むことによって、水平材2と鉛直材1とを溶接している。なお、裏当て金3は、仮付け溶接a,bによって水平材2および鉛直材1に仮固定されている。
このような、水平材2と鉛直材1とを裏当て金3を用いて突合せ溶接する溶接接合構造では、裏当て金3のこば面(側端面)4と鉛直材1の表面との間に、ノッチとなる、水平材の応力方向と直交する狭い間隙が不可避的に存在している。
そして、このような溶接接合構造は、間隙における溶接金属WMの溶込深さをdとし、裏当て金の板厚をtb1とすれば、深さが(tb1−d)のノッチを有するものとなっている。
ところで、図6(b)に示すように、有限幅Wの板において、幅aの縁き裂(ノッチ)を有しており、き裂(ノッチ)の直角方向に十分遠方で一様引張応力σを受ける場合の、板のき裂(ノッチ)の応力拡大係数Kは下式で求められる(非特許文献1参照)。
Figure 0006720563
ここに、F(λ):無次元化応力拡大係数、λ=a/W である。
応力拡大係数Kは、き裂から十分離れた位置での応力σと、き裂寸法aによって決まるパラメータであり、この値が大きいほどき裂先端での応力が大きくなり破壊しやすい形状となる。前記式から求められるKを引張応力σで無次元化した値K/σと、き裂幅aと有限幅Wの比λの関係は図6(a)のようになる。この図に示すように、き裂幅a(ノッチ深さ)が大きくなるほど応力拡大係数が大きくなっていくため、ノッチ深さが深いほど破壊が生じ易くなる。
このため、破壊力学の観点からは裏当て金の板厚をできるだけ薄くして、ノッチを小さくすることが望ましいが、裏当て金を薄くしすぎると溶融した溶接金属が裏当て金を貫いて溶け出してしまう可能性が高まる。溶接条件を厳重に管理することで溶接金属の溶込深さを推定して、最適な厚さの裏当て金を適用する方法も考えられるが、溶接金属の溶込量は、電流、電圧、速度、開先形状等の条件により変化し、特に周囲の環境条件がたやすく変化するような建築工事等の現場においては、前述の溶融金属が溶け出すことのないように安全側に十分な厚さを有する裏当て金を用いることが通常である。
また、裏当て金と鉛直材の間のノッチを起点とする破壊を防止するために、ノッチ先端に生じる応力度を低減させる技術として特許文献1が、ノッチそのものを接合部に生じさせない技術として特許文献2および3の技術が各々開示されているが、これらの特許文献1〜3は柱梁接合部のダイアフラムとスキンプレートのエレクトロスラグ溶接による接合部への適用を前提としたものであり、例えばH形鋼梁フランジと柱側ダイアフラム又はスキンプレートとのCO溶接等のMAG溶接には適用できない。特に現場溶接により梁フランジを、裏当て金を用いて片側からダイアフラム等へCO溶接をする場合は、梁フランジ応力の大きい外面側にノッチが生じるので、このような梁フランジとダイアフラム等の溶接接合構造にできるノッチ先端の応力を低減できる技術が必要とされている。
特開2005−273394号公報 特開2003−112273号公報 特開平08−155661号公報
野田尚明、「応力拡大係数を用いた接着強度評価について」、フジコー技報−tukuru、株式会社フジコー 技術開発センター、平成25年12月1日、No.21、p11−16
上述したように、建築構造等で一般に適用されている裏当て金を用いた水平材と鉛直材とを接合する突合せ溶接は、裏当て金のこば面と鉛直材表面の間の間隙に起因するノッチが必然的に生じる構造であり、このノッチを起点とする破壊を抑制するためには、溶接構造におけるノッチ深さをいかに小さくして、かつ経済性に優れ、溶接施工性を妨げない接合部を実現する技術が必要とされている。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、水平材と鉛直材とを裏当て金を用いて突合せ溶接する溶接接合構造において、裏当て金と鉛直材との間に生じる間隙に起因する応力方向に直交するノッチの深さを小さくすることにより、ノッチ先端の応力拡大係数を低減して溶接接合部の破壊を抑制することができる溶接接合構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の溶接接合構造は、水平材を鉛直材に突合せ溶接してなり、
裏当て金を備え、
前記裏当て金の表面は前記水平材の下面に当接され、前記裏当て金のこば面は前記鉛直材の表面に突き当てられており、
前記裏当て金が鉛直方向に積み重ねられた複数の金属板によって構成され、
前記裏当て金への溶接金属の溶込深さが前記裏当て金の全厚さを超えず、かつ前記裏当て金の前記こば面と前記鉛直材の前記表面との突合せ部に生じている間隙に起因するノッチ深さが、前記溶接金属の下端が到達する前記金属板の板厚以下であるとともに、ノッチは溶接方向に平行して存在することを特徴とする。
本発明においては、裏当て金と鉛直材との間に生じる間隙に対する溶込深さに拘らず、ノッチ深さは裏当て金を構成する一枚の金属板の板厚以下となるので、ノッチの深さを小さくすることができる。
したがって、溶接の際の電流、電圧、速度、開先形状等の溶接条件および周囲の環境条件に影響されずにノッチ先端の応力拡大係数を必ず一定以下の値に低減できる。
このように、ノッチ先端の応力拡大係数を低減できるので、溶接接合部の破壊を抑制することができる。
本発明の前記構成において、前記複数の金属板は、結合手段によって、板厚方向については隣接する前記金属板どうしの離間を規制し、かつ、板厚直交方向については少なくとも前記鉛直材に接離する方向の移動を許容するように、結合されていることが好ましい。
このような構成によれば、結合手段によって、複数の金属板が板厚直交方向については少なくとも前記鉛直材に接離する方向の移動を許容するように結合され、板厚直交方向については少なくとも前記鉛直材に接離する方向の移動を許容するように結合されているので、金属板相互間のせん断応力が伝達されることがない。このため、複数の金属板を積層してなる裏当て金が一体として挙動することがないので、ノッチ深さが一枚の金属板の板厚を超えることがなく、ノッチの深さを小さくすることができ、また、裏当て金と水平材の間、および裏当て金と鉛直材の間に溶接施工を妨げるような空隙を発生させることもない。
また、本発明の前記構成において、複数の前記金属板のうち、前記溶接金属が溶け込んでいる金属板の板厚よりも、それ以外の金属板の板厚が厚くなっていてもよい。
このような構成によれば、裏当て金を構成する金属板の数を減らすことができるので、簡単な構成でより経済的に溶接接合構造を得ることができる。
本発明によれば、裏当て金と鉛直材との間に生じる間隙に起因する応力方向に直交するノッチの深さを小さくすることができるので、ノッチ先端の応力拡大係数を低減して溶接接合部の破壊を抑制することができる
本発明の第1の実施の形態に係る溶接接合構造を示すもので、その概略図である。 同、裏当て金の斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る溶接接合構造を示すもので、その概略図である。 本発明の第3の実施の形態に係る溶接接合構造を示すもので、その概略図である。 従来の溶接接合構造の一例を示す概略図である。 板のき裂(ノッチ)の応力拡大係数を説明するためのもので、(a)はき裂の無次元化幅λとK/σとの関係を示すグラフ、(b)は有限幅Wの板において、き裂(ノッチ)の直角方向に十分遠方で一様引張応力σを受ける場合を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明に係る溶接接合構造の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態における溶接接合構造を示す概略図である。
図1に示すように、鉛直材1に溶接すべき水平材2の端部を斜めに切欠くことによって、水平材2と鉛直材1との間に略V字溝状の開先部2aが設けられている。鉛直材1は、例えば鋼材で形成された柱であり、水平材2は、例えばH形鋼で形成された梁のフランジである。
水平材2の端部下面には、当該端部下面に沿って裏当て金10が設けられている。裏当て金10の表面(上面)は水平材2の下面に当接され、こば面(側端面)11は鉛直材1の表面に突き当てられている(当接されている。)。
また、裏当て金10のこば面11に対して逆側の側端面と、水平材2の下面とは仮付け溶接aによって仮固定されている。さらに、裏当て金10のこば面11側の下面と、鉛直材1の表面とは仮付け溶接bによって仮固定されている。このような仮付け溶接a,bは、裏当て金10の長手方向(図1において紙面と直交する方向)に所定間隔で設けられている。
そして、前記開先部2aに溶接金属WMを流し込むことによって、水平材2と鉛直材1とが溶接されている。この溶接は例えば、MAG溶接や炭酸ガスアーク溶接等のアーク溶接によって行われているが、これに限ることはない。
裏当て金10は、鉛直方向に積み重ねられた複数(本実施の形態では4枚)の金属板10aによって構成されている。裏当て金10の全体の厚さ(板厚tb1)は、図5に示す従来の裏当て金3とほぼ等しい厚さとなっており、4枚の金属板10aはそれぞれ等しい厚さ(板厚tb2)となっている。したがって、1枚の金属板10aの厚さ(板厚tb2)は、従来の裏当て金3の厚さ(板厚tb1)の約1/4となっている。
このような裏当て金10は、水平材2への仮付け溶接a等から伝わる応力を、積み重ねられた(積層された)金属板10a,10a相互の間で伝えない構造とする必要がある。このため、図2に示すように、裏当て金10は、結合手段15によって、複数(4枚)の金属板10aが板厚方向に結合固定され、かつ板厚直交方向に固定されていない状態となっている。すなわち、複数(4枚)の金属板10aは、結合手段15によって、板厚方向については隣接する金属板10a,10aどうしの離間を規制し、かつ、板厚直交方向については金属板10a,10aどうしの相対的な移動を許容するように、結合されている。なお、板厚直交方向における金属板10aの移動の許容は、少なくとも鉛直材1に接離する方向の移動を許容すればよい。
このような結合手段15によって、裏当て金10を形成する金属板10aは、板厚方向については隣接する金属板10a,10aどうしが面接触で常に密着して相互に離間しない一方で、板厚直交方向については隣接する金属板10a,10aどうしの相対的な移動が可能となっている。
結合手段15は以下のような構成となっている。
すなわち、結合手段15は、水平材2に当接する面の金属板10aの表面および鉛直材1に当接する全ての金属板10aのこば面に連続して形成された溝状の切欠き15aと、この切欠き15aに当該切欠き15aに沿って設けられるともに、4枚の金属板10aの全体に巻き付けることで、積層してなる複数(4枚)の金属板10aを板厚方向に一体化する針金等の結束線15bとを備えている。なお、切欠き15aは、水平材2に当接する面と反対側の金属板10aの表面(下面)および鉛直材1に当接しない側の全ての金属板10aのこば面には形成されていないが、形成してもよい。
切欠き15aは、裏当て金10の長手方向に離間して、2箇所設けられており、各切欠き15aの幅および深さは、結束線15bの太さ(直径)より深くなっている。したがって、切欠き15aに設けられた結束線15bは、水平材2に当接する裏当て金10の表面(上側の金属板10aの表面)から突出することなく、かつ、鉛直材2に当接するこば面11から突出することがない。
このような結束線15bは、積層してなる複数(4枚)の金属板10aに巻き付けるようにして、切欠き15aに設けられている。結束線15bの締付け力は、複数(4枚)の金属板10aを板厚方向に結合固定し、かつ板厚直交方向に固定しない程度に設定する。したがって、複数(4枚)の金属板10aは、金属板相互間のせん断応力が伝達されることがなく、板厚直交方向にフリー(スライド可能)な状態となる。
このような裏当て金10を用いた溶接接合構造では、図1に示すように、裏当て金10への溶接金属WMの溶込深さが裏当て金10の全厚さ(板厚tb1)を超えず、かつ裏当て金10と鉛直材1との突合せ部に生じている間隙において、溶込深さd、すなわち溶接金属WMが複数(4枚)の金属板10aのうちのいずれか一つの金属板10aの板厚内まで溶け込んでいる。具体的には、本実施の形態では、溶接金属WMが複数(4枚)の金属板10aのうちの最も上側の金属板10aの板厚(tb2)内まで溶け込んでおり、溶け込んだ溶接金属WMの下端は、最も上側の金属板10aの下面まで達しておらず、かつ、前記隙間において、溶接金属WMが複数(4枚)の金属板10aのうちのいずれか一つの金属板10aの板厚内まで溶け込んでいる。
したがって、前記間隙に起因するノッチ深さは裏当て金10を構成する最も上側の金属板10aの板厚(tb2)以下となるので、ノッチの深さは従来に比して小さくなる。
以上のように、本実施の形態によれば、裏当て金10と鉛直材1との間に生じる間隙に対する溶込深さdに拘らず、ノッチ深さは裏当て金10を構成する一枚の金属板10aの板厚(tb2)以下となるので、ノッチの深さを小さくすることができる。
したがって、溶接の際の電流、電圧、速度、開先形状等の溶接条件および周囲の環境条件に影響されずにノッチ先端の応力拡大係数を必ず一定以下の値に低減できる。
このように、ノッチ先端の応力拡大係数を低減できるので、溶接接合部の破壊を抑制することができる。
また、結合手段15によって複数(4枚)の金属板10aが板厚直交方向に固定されていないので、金属板相互間のせん断応力が伝達されることがない。このため、複数(4枚)の金属板10aを積層してなる裏当て金10が一体として挙動することがないので、ノッチ深さが一枚の金属板10aの板厚を超えることがなく、ノッチの深さを従来に比べて小さくすることができる。
また、結合手段15によって複数(4枚)の金属板10aが板厚方向に結合固定され、かつ板厚直交方向に固定されていないので、裏当て金10と水平材2の間、および裏当て金10と鉛直材1の間に溶接施工を妨げるような空隙を発生させることもない。
(第2の実施の形態)
図3は第2の実施の形態における溶接接合構造を示す概略図である。
図3に示す溶接接合構造が、図1に示す第1の実施の形態の溶接構造と主に異なる点は、裏当て金10が3枚の金属板で構成されている点あるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態と共通部分には同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
本実施の形態では、裏当て金10は、鉛直方向に積み重ねられた3枚の金属板10a,10a,10bによって構成されている。3枚の金属板10a,10a,10bのうち、溶接金属WMの溶込深さが到達する2枚の金属板10a,10aそれぞれの板厚tb2よりも、溶接金属WMの溶込深さが到達しない金属板10bの板厚tb3が厚くなっている。
具体的には、裏当て金10を構成する最も下側に位置する金属板10bの厚さ(板厚tb3)が、金属板10aの厚さ(板厚tb2)の約2倍となっている。このような、複数(3枚)の金属板10a,10a,10bは、第1の実施の形態と同様の結合手段15(図3には図示していない。)によって、板厚方向に結合固定され、かつ板厚直交方向に固定されていない。
また、このような裏当て金10を用いた溶接接合構造では、図3に示すように、裏当て金10への溶接金属WMの溶込深さが裏当て金10の全厚さtb1を超えず、かつ裏当て金10と鉛直材1との突合せ部に生じている間隙において、溶接金属WMが溶込深さd、すなわち複数(3枚)の金属板10a,10a,10bのうち、最も上側の金属板10aの板厚tb2を超えて、上から2層目の金属板10aの板厚tb2内まで溶け込んでおり、溶け込んだ溶接金属WMの下端は、2層目の金属板10aの下面まで達していない。
このため、前記間隙に起因するノッチ深さは裏当て金10を構成する2層目の金属板10aの板厚tb2以下となるので、ノッチの深さは従来に比して小さくなる。
したがって、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、金属板10bの板厚は、破壊に関わるノッチ深さには影響しないので、金属板10aより厚い板厚tb3とすることができる。このため、裏当て金10を構成する金属板の数を減らすことができるので、より経済的に溶接接合構造を得ることができる。
(第3の実施の形態)
図4は第3の実施の形態における溶接接合構造を示す概略図である。
本実施の形態は、本発明をエレクトロスラグ溶接による溶接接合構造に適用したものである。なお、第1の実施の形態と共通部分には同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
図4に示すように、鉛直材1と水平材2と裏当て金10とによって開先部20が設けられている。
水平材2の端部下面および端部上面には、それぞれ裏当て金10が設けられている。下側の裏当て金10の表面(上面)は水平材2の下面に当接され、こば面(側端面)11は鉛直材1の表面に突き当てられている(当接されている。)。
上側の裏当て金10の表面(下面)は水平材2の下面に当接され、こば面(側端面)11は鉛直材1の表面に突き当てられている(当接されている。)。
また、下側の裏当て金10のこば面11に対して逆側の側端面と、水平材2の下面とは仮付け溶接aによって仮固定され、上側の裏当て金10のこば面11に対して逆側の側端面と、水平材2の上面とは仮付け溶接aによって仮固定されている。
このような仮付け溶接aは、裏当て金10の長手方向(図4において紙面と直交する方向)に所定間隔で設けられている。
そして、前記開先部20にエレクトロスラグ溶接方法によって、溶接金属WMを流し込むことによって、水平材2と鉛直材1とが溶接されている。
裏当て金10は、第1の実施の形態と同様に、鉛直方向に積み重ねられた複数(本実施の形態では4枚)の金属板10aによって構成され、1枚の金属板10aの厚さ(板厚tb2)は、従来の裏当て金3の厚さ(板厚tb1)の約1/4となっている。
また、4枚の金属板10aは、第1の実施の形態と同様の結合手段15(図4には図示していない。)によって、板厚方向に結合固定され、かつ板厚直交方向に固定されていない。
このような裏当て金10を用いた溶接接合構造では、裏当て金10への溶接金属WMの溶込深さが裏当て金10の全厚さ(板厚tb1)を超えず、かつ裏当て金10と鉛直材1との突合せ部に生じている間隙において、溶接金属WMが、溶込深さd、すなわち水平材2に当接している金属板10aの板厚tb2を超えて、当該金属板10aに重ねられている2層目の金属板10aの板厚tb2内まで溶け込んでいる。そして、溶け込んだ溶接金属WMの上下端は、それぞれ上側の裏当て金10の2層目の金属板10aの上面まで達しておらず、下側の裏当て金10の2層目の金属板10aの下面まで達していない。
したがって、前記間隙に起因するノッチ深さは裏当て金10を構成する金属板10aの板厚(tb2)以下となるので、ノッチの深さは従来に比して小さくなる。
したがって、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、ノッチ深さは裏当て金10を構成する一枚の金属板10aの板厚(tb2)以下となるので、ノッチの深さを小さくすることができる。
よって、溶接の際の電流、電圧、速度、開先形状等の溶接条件および周囲の環境条件に影響されずにノッチ先端の応力拡大係数を必ず一定以下の値に低減できるので、溶接接合部の破壊を抑制することができる。
なお、前記第1〜第3の実施の形態では、複数の金属板10a,10bを結合する結合手段15として、溝状の切欠き15aと結束線15bとを備えた構成としたが、これに限ることはない。
例えば、積層された上下の金属板の接合面の一方に凹部を設けるとともに、他方に凸部を設け、これらを板厚方向に結合し、かつ板厚直交方向に固定しないように嵌合させてもよい。この場合、金属板は、板厚直交方向については少なくとも鉛直材に接離する方向の移動を許容すればよいので、凹部は、金属板の幅方向(図1、図3および図4において左右方向)に延在する断面台形状のあり溝とし、凸部はあり溝に摺動可能に嵌合する断面台形状の突条とすればよい。
また、結合手段による複数の金属板の結合は、板厚方向については隣接する前記金属板どうしの離間が規制され、かつ、板厚直交方向については、各金属板が少なくとも鉛直材に接離する方向に移動可能に結合されていれば、各金属板の板厚直交方向については、鉛直材に接離する方向以外の方向への移動を許容するものであってよい。
1 鉛直材
2 水平材
10 裏当て金
10a,10b 金属板
15 結合手段
WM 溶接金属

Claims (3)

  1. 水平材を鉛直材に突合せ溶接してなる溶接接合構造であって、
    裏当て金を備え、
    前記裏当て金の表面は前記水平材の下面に当接され、前記裏当て金のこば面は前記鉛直材の表面に突き当てられており、
    前記裏当て金が鉛直方向に積み重ねられた複数の金属板によって構成され、
    前記裏当て金への溶接金属の溶込深さが前記裏当て金の全厚さを超えず、かつ前記裏当て金の前記こば面と前記鉛直材の前記表面との突合せ部に生じている間隙に起因するノッチ深さが、前記溶接金属の下端が到達する前記金属板の板厚以下であるとともに、ノッチは溶接方向に平行して存在することを特徴とする溶接接合構造。
  2. 前記複数の金属板は、結合手段によって、板厚方向については隣接する前記金属板どうしの離間を規制し、かつ、板厚直交方向については少なくとも前記鉛直材に接離する方向の移動を許容するように、結合されていることを特徴とする請求項1に記載の溶接接合構造。
  3. 複数の前記金属板のうち、前記溶接金属が溶け込んでいる金属板の板厚よりも、それ以外の金属板の板厚が厚いことを特徴とする請求項1または2に記載の溶接接合構造。
JP2016023965A 2016-02-10 2016-02-10 溶接接合構造 Expired - Fee Related JP6720563B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016023965A JP6720563B2 (ja) 2016-02-10 2016-02-10 溶接接合構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016023965A JP6720563B2 (ja) 2016-02-10 2016-02-10 溶接接合構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017140634A JP2017140634A (ja) 2017-08-17
JP6720563B2 true JP6720563B2 (ja) 2020-07-08

Family

ID=59628842

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016023965A Expired - Fee Related JP6720563B2 (ja) 2016-02-10 2016-02-10 溶接接合構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6720563B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5120349B2 (ja) * 1972-07-22 1976-06-24
JPS5360842A (en) * 1976-11-15 1978-05-31 Chiyoda Chem Eng Construct Co Multiilayer backing strip for welding
JPH0675798B2 (ja) * 1988-10-13 1994-09-28 千代田化工建設株式会社 突合わせ溶接法
JPH07223083A (ja) * 1994-02-14 1995-08-22 Tomoe Giken:Kk 構造部材の溶接方法
JP3701862B2 (ja) * 2000-11-29 2005-10-05 株式会社アークリエイト 鉄骨構造物の高強度継手施工方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017140634A (ja) 2017-08-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5754238B2 (ja) 柱梁接合構造
JP6203647B2 (ja) 高強度鋼板のレーザ溶接継手およびその製造方法
JP2016160692A (ja) 鋼製部材の溶接接合方法および溶接接合構造
JP2017185526A (ja) 多層盛り突合せ溶接継手の製造方法、多層盛り突合せ溶接継手
JP6382593B2 (ja) 溶接方法
JP6505359B2 (ja) Zn系めっき鋼板製部材のアーク溶接方法
JP6720563B2 (ja) 溶接接合構造
JP5935395B2 (ja) 溶接組立四面箱形断面部材の角溶接用開先部
JP5973968B2 (ja) 柱梁溶接継手およびその製造方法
JP2002160056A (ja) 鉄骨構造物の高強度継手施工方法
JP5953744B2 (ja) 溶接四面箱形断面部材の角溶接用開先部
JP5978187B2 (ja) 柱梁溶接継手およびその製造方法
JP7163849B2 (ja) 接合構造およびh形断面部材
WO2017090400A1 (ja) H形鋼の継手構造およびh形鋼の接合方法
JP6179757B2 (ja) 建築物の異径柱接合用柱梁接合構造
JP5527945B2 (ja) 柱梁接合部構造
JP6319027B2 (ja) 溶接継手、溶接継手の製造方法
WO2017130830A1 (ja) 溶接接合部およびその製造方法
WO2019215942A1 (ja) H形断面部材の接合構造およびその製造方法
JP5367790B2 (ja) 橋桁の製造方法
JPS6188969A (ja) A1又はa1合金製形材の溶接方法
JP7205205B2 (ja) 鋼部材の溶接接合方法および溶接接合構造
WO2017141470A1 (ja) レーザ溶接形鋼およびその製造方法
JP4734840B2 (ja) 柱梁接合部
KR20120028022A (ko) U리브 및 이 u리브의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181003

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190625

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191210

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200123

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200519

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200601

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6720563

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees