JP6719300B2 - Ag−Ni−金属酸化物系電気接点材料、その製造方法、遮断器及び電磁接触器 - Google Patents

Ag−Ni−金属酸化物系電気接点材料、その製造方法、遮断器及び電磁接触器 Download PDF

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Description

本発明は、Ag−Ni−金属酸化物系電気接点材料及びその製造方法に関する。詳細には、本発明は、気中用遮断器、開閉器、リレーなどに用いられるAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料及びその製造方法に関する。
気中用遮断器、開閉器、リレーなどに用いられる電気接点材料として、Ag−Ni系接点材料やAg−酸化物系電気接点材料が一般に用いられている。Ag−Ni系電気接点材料は、導電性と熱伝導性が良いため、電気接点に用いた場合に接触抵抗が低く安定し、加工性が良く、機械耐久性も良いという特長を持つ。一方、耐溶着性及び耐アーク消耗性が悪いため、定格電流値が50A以上の製品の電気接点には適さず、定格電流値が小さく開閉回数の多い電気接点に使用されることが多い。定格電流値の大きな製品では、Ag−酸化物系電気接点材料が使用されることが多い。Ag−酸化物系電気接点材料は、電気接点の耐溶着性及び耐アーク消耗性に優れるが、その加工性及び銅電極への接合性は、酸化物含有量の増加に伴って悪化する。
特許文献1〜3では、添加剤を含有するAg−Ni系電気接点材料が提案されている。特許文献1は、主に電気めっき法で希土類酸化物と炭素を含有するAg−Ni系電気接点用合金を得ている。しかしながら、特許文献1は、電気めっき液の製造中に劇物のシアン化カリウムを用いてシアン化銀を生成し、その製造過程において著しい環境汚染を引き起こしやすく、且つ使用者の健康にも被害を及ぼしてしまう。特許文献2は、微量の添加元素を含有する塩類化合物の溶液とAg粉/Ni粉を一定の割合で混合し、複合粉末ペースト材料を得た後に乾燥、粉砕処理する。そして処理後の複合粉末とAg粉/Ni粉とを一定の割合で混合し、更に静水圧プレス成形、焼結及び押出加工の処理を経て、Ag−Ni系電気接点用合金を得ている。特許文献2は、従来の粉末冶金技術の一部を改良したものであるが、その製造においても生産工程が長く、混合粉末の不均一性や、塩類化合物の未分解の問題がやはり存在している。特許文献3は、主に音響化学によるコーティングの表面処理を利用し、Ni粉の表面に、AgとNiとの間に架橋反応を起こす遷移元素を一層コーティングすることで、AgとNiとの間の結合境界を改良したAg−Ni系電気接点用合金を得ている。ただし、特許文献3は、その製造過程における音響化学によるコーティングの表面処理を行う際に、塩類化合物の未分解分が残留するという問題がやはり存在している。また、特許文献1〜3で提案されるAg−Ni系接点材料は、酸化物の含有量がいずれも5質量%を超えないため、耐溶着性及び耐アーク消耗性に対する改良には限度がある。
中国特許第100477044号明細書 中国特許出願公開第103710564号明細書 中国特許出願公開第102800513号明細書
従来のAg−Ni系電気接点材料の製造方法は、工程が複雑であり、Ag量も比較的多いため、コストが高いという問題がある。更に、従来のAg−Ni系電気接点材料は、耐溶着性に劣るため、定格電流値が50A以上の製品で使うことが困難であるという問題がある。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、耐溶着性及び耐アーク消耗性に優れるAg−Niをベースとした電気接点材料、及びそのような電気接点材料を低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、60〜80質量%のAg、10〜30質量%のNi、及び金属酸化物としての0.1〜1質量%のLaと5〜10質量%のSnO又はZnOとを含有し、Ag中に金属酸化物が分散された組織を有することを特徴とするAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料である。
また、本発明は、上記Ag−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法であって、
(1)Ag粉末、Ni粉末、La粉末、及びSnO又はZnO粉末を混合する工程と、
(2)工程(1)で得られた混合粉末を非酸化性雰囲気中で加熱処理する工程と、
(3)工程(2)で得られた混合粉末を冷間静水等方圧プレス成形してグリーン体を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたグリーン体を工程(2)と同じ非酸化性雰囲気中で焼結させる工程と、
(5)工程(4)で得られた焼結体を熱間押出して板材を得る工程と、
(6)工程(5)で得られた板材を冷間圧延する工程と
を有することを特徴とするAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法である。
本発明によれば、耐溶着性及び耐アーク消耗性に優れるAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料を提供することができる。また、本発明によれば、耐溶着性及び耐アーク消耗性に優れるAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料を低コストで製造する方法を提供することができる。
実施の形態1に係るAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法を説明するフロー図である。 実施の形態2に係るAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法を説明するフロー図である。 La濃度に対し、開閉1回あたりの接点の減少量をプロットしたグラフである。 電気試験前の実施例2の接点の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である(200倍)。 電気試験後の実施例2の接点の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である(200倍)。 電気試験前の実施例6の接点の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である(200倍)。 電気試験前の実施例6の接点の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である(1000倍)。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
本発明のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料は、60〜80質量%のAg、10〜30質量%のNi、及び金属酸化物としての0.1〜1質量%のLaと5〜10質量%のSnO又はZnOとを含有し、Ag中に金属酸化物が分散された組織を有することを特徴とするものである。本発明のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料は、Ag−Ni系材料の利点とAg−金属酸化物系材料の利点とを兼ね備え、比較的高い導電性及び熱伝導性、加工成形のしやすさ、並びに高い耐溶着性及び耐アーク消耗性を持つことを保証し、更にAg量を節約することができる。本発明のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料からなる接点は、耐溶着性及び耐アーク消耗性に優れるので、遮断器、電磁接触器等の接点として有用である。
Agの含有量が60質量%未満であると、導電性が低下し、発熱による接点の消耗が大きくなる。一方、Agの含有量が80質量%超であると、溶着を防ぐ金属酸化物の濃度が低くなるため耐溶着性が低下する。Agの含有量は好ましくは65〜80質量%である。
Niの含有量が10質量%未満であると、接点の硬度が十分に増大せず、接点の消耗が大きくなる。一方、Niの含有量が30質量%超であると、導電性が低下し、発熱による接点の消耗が大きくなる。Niの含有量は好ましくは15〜20質量%である。
金属酸化物としてのLaの含有量が0.1質量%未満であると、SnO又はZnOの分散が不十分となり、十分な耐アーク消耗性が得られない。一方、Laの含有量が1質量%超であると、接点間にアークが発生した際にSnO又はZnOが昇華し難くなるため接点表面でのSnO又はZnOの堆積が顕著になり、接触抵抗の増加をもたらす。また、接点の機械的強度が低下し、クラックが発生し易くなる。Laの含有量は好ましくは0.5〜1質量%である。
金属酸化物としてのSnO又はZnOの含有量が5質量%未満であると、溶着を防ぐ金属酸化物の濃度が低くなるため耐溶着性が低下する。一方、SnO又はZnOの含有量が10質量%超であると、接点の機械的強度が低下し、クラックが発生し易くなる。SnO又はZnOの含有量は好ましくは6〜9質量%である。
また、SnO又はZnOを昇華させ易くして、接点表面でのSnO又はZnOの堆積を抑制するという観点から、Ag−Ni−金属酸化物系電気接点材料は、金属酸化物として、0.1〜1質量%のCuOを含有することができる。結果として、Laが接点消耗を抑制する成分、CuOが接点消耗を加速する成分として、両者のバランスをとることにより、接点材の消耗が進んでも接触抵抗が上昇しない接点を製造することができる。
次に、本発明のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法について説明する。図1は、実施の形態1に係るAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法を説明するフロー図である。
図1に示されるように、本発明の実施の形態1に係るAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法は、原料粉末である、Ag粉末、Ni粉末、La粉末、SnO又はZnO粉末、及び任意のCuO粉末を混合する工程1Aと、工程1Aで得られた混合粉末を非酸化性雰囲気中で加熱処理する工程2Aと、工程2Aで得られた混合粉末を冷間静水等方圧プレス成形してグリーン体を得る工程3Aと、工程3Aで得られたグリーン体を工程2と同じ非酸化性雰囲気中で焼結させる工程4Aと、工程4Aで得られた焼結体を熱間押出して板材を得る工程5Aと、工程5Aで得られた板材を冷間圧延する工程6Aとを有し、必要に応じ、工程6Aの後に、冷間圧延材を切断する工程7Aを有してもよい。本発明では、従来のAg系電気接点材料の製造方法の1つである「粉末混合−焼結−押出」プロセスを採用し、金属酸化物を粉末混合方式で導入している。本発明の製造方法は、プロセスが簡単であり、加工周期が短いという特長を有する。また、本発明の製造方法は、化学めっき、化学コーティング等の化学的手法で粉末を処理する場合の短所、具体的には、環境への汚染が発生しやすかったり、導入した不純物を十分に除去できなかったり、プロセスが煩雑でコストが高いといった問題を回避することができる。
本発明の製造方法では、接点性能のばらつきをもたらす100μm以上の粗大粒子を減らす観点から、Ag粉末、La粉末、SnO又はZnO粉末、及びCuO粉末として、それぞれを200メッシュ(篩目開き75μm)の篩にかけ、篩下を回収したものを用いることが好ましい。また、Niは、Agよりも硬度が高く変形し難いため、より微細な粒子を用いて分散性を向上させることが好ましい。そのため、Ni粉末として、300メッシュ(篩目開き45μm)の篩にかけ、篩下を回収したものを用いることが好ましい。
工程1Aは、La粉末、SnO又はZnO粉末、及び任意のCuO粉末を粉砕・混合して平均粒径が5〜8μmの混合金属酸化物粉末を得る工程1A’と、得られた混合金属酸化物粉末を、Ag粉末、及びNi粉末と更に混合する工程1A’’とを有することが好ましい。なお、本発明において、混合金属酸化物粉末の平均粒径とは、レーザー散乱/回折式の粒度分布計で測定した値である。
工程1A’は、ボールの材質がタングステンカーバイドである高速ボールミルにより行われ、そのボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比が10〜12:1、回転数が1000〜2000rpm、処理時間が6〜10時間であることが好ましい。
工程1A’’は、ボールの材質がステンレス鋼である遊星式ボールミルにより行われ、そのボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比が10〜15:1、自転回転数が200〜500rpm、公転回転数が100〜250rpm、処理時間が6〜10時間であることが好ましい。
上記のように、金属酸化物粉末の混合に高速ボールミルを採用することで、金属酸化物を微細に粉砕しながら均一に混合することができ、その微細に粉砕した金属酸化物粉末を金属粉(Ag粉末及びNi粉末)と混合することで、原料粉末の混合プロセスを最適化することができる。その結果、Ag−Ni−金属酸化物の成分の分布均一性を向上させることができる。従来の粉末混合では材料の比重が異なるために、粉末混合中の各材料が偏析しやすいが、上記の工程1A’及び工程1A’’を採用すれば、そのような問題を回避することができる。
工程2Aでは、工程1Aで得られた混合粉末に含まれる水分を蒸発させる。具体的には、工程1Aで得られた混合粉末を、N雰囲気、Ar雰囲気、He雰囲気及びN+H雰囲気からなる群から選択される非酸化性雰囲気中で400〜500℃で2〜3時間加熱すればよい。
工程3Aでは、工程2Aで得られた混合粉末を、冷間静水等方圧プレス機により100〜150MPaの圧力で60〜120秒間保持してグリーン体を得る。このように混合粉末を冷間静水等方圧プレスすることで、密度が均一であるグリーン体を形成することができる。
工程4Aは、工程3Aで得られたグリーン体を、工程2Aと同じ非酸化性雰囲気の炉内で段階的に加熱して焼結させる。具体的には、工程3Aで得られたグリーン体を、室温から300〜500℃まで加熱して1〜2時間保持し、その後引き続き760〜900℃まで加熱して5〜7時間保持すればよい。
工程5Aは、工程4Aで得られた焼結体を、押出機により750〜850℃の温度及び10〜20:1の押出比で押出して板材を得る。なお、本発明において、押出比とは、押出機の金型内の材料の断面積と押出し後の材料の断面積との比である。
工程6Aは、工程5Aで得られた板材を冷間圧延する。後工程における電極台座へのろう付け性を向上させるという観点から、板材にAg層を貼り合わせながら冷間圧延することが望ましい。貼り合わせるAg層としては、工程5Aで得られた板材の1/12〜1/10の厚さを有するものを用い、圧延後のAg層の厚さを50〜200μmとすることが好ましい。
必要に応じて、工程7Aでは、工程6Aで得られた冷間圧延材を用途に応じて適宜切断する。
実施の形態2.
本発明のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の別の製造方法について説明する。図2は、実施の形態2に係るAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法を説明するフロー図である。
図2に示されるように、本発明の実施の形態2に係るAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法は、Ag粉末、Ni粉末、La粉末、SnO又はZnO粉末、及び任意のCuO粉末を混合する工程1Bと、工程1Bで得られた混合粉末を非酸化性雰囲気中で加熱処理する工程2Bと、工程2Bで得られた混合粉末をプレス成形してグリーン体を得る工程3Bと、工程3Bで得られたグリーン体を工程2Bと同じ非酸化性雰囲気中で焼結させる工程4Bと、工程4Bで得られた焼結体を再度プレスした後、工程2Bと同じ非酸化性雰囲気中で再度焼結させる工程5Bと、工程5Bで得られた焼結体を冷間圧延する工程6Bとを有し、必要に応じ、工程6Bの後に、冷間圧延材を切断する工程7Bを有してもよい。
実施の形態1と同様に、接点性能のばらつきをもたらす100μm以上の粗大粒子を減らす観点から、Ag粉末、La粉末、SnO又はZnO粉末、及びCuO粉末として、それぞれを200メッシュ(篩目開き75μm)の篩にかけ、篩下を回収したものを用いることが好ましい。また、Niは、Agよりも硬度が高く変形し難いため、より微細な粒子を用いて分散性を向上させることが好ましい。そのため、Ni粉末として、300メッシュ(篩目開き45μm)の篩にかけ、篩下を回収したものを用いることが好ましい。
工程1Bは、La粉末、SnO又はZnO粉末、及び任意のCuO粉末を粉砕・混合して平均粒径が5〜8μmの混合金属酸化物粉末を得る工程1B’と、得られた混合金属酸化物粉末を、Ag粉末、及びNi粉末と更に混合する工程1B’’とを有することが好ましい。
工程1B’は、ボールの材質がタングステンカーバイドである高速ボールミルにより行われ、そのボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比が10〜12:1、回転数が1000〜2000rpm、処理時間が6〜10時間であることが好ましい。
工程1B’’は、ボールの材質がステンレス鋼である遊星式ボールミルにより行われ、そのボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比が10〜15:1、自転回転数が200〜500rpm、公転回転数が100〜250rpm、処理時間が6〜10時間であることが好ましい。
上記のように、金属酸化物粉末の混合に高速ボールミルを採用することで、金属酸化物を微細に粉砕しながら均一に混合することができ、その微細に粉砕した金属酸化物粉末を金属粉(Ag粉末及びNi粉末)と混合することで、原料粉末の混合プロセスを最適化することができる。その結果、Ag−Ni−金属酸化物の成分の分布均一性を向上させることができる。従来の粉末混合では材料の比重が異なるために、粉末混合中の各材料が偏析しやすいが、上記の工程1B’及び工程1B’’を採用すれば、そのような問題も回避することができる。
工程2Bでは、工程1Bで得られた混合粉末に含まれる水分を蒸発させる。具体的には、工程1Bで得られた混合粉末を、N雰囲気、Ar雰囲気、He雰囲気及びN+H雰囲気からなる群から選択される非酸化性雰囲気中で400〜500℃で2〜3時間加熱すればよい。
工程3Bは、工程2Bで得られた混合粉末を、プレス機(油圧式)により300〜400MPaの圧力で5〜15分間保持してグリーン体を得る。
工程4Bは、工程3Bで得られたグリーン体を、工程2Bと同じ非酸化性雰囲気の炉内で段階的に加熱して焼結させる。具体的には、工程3Bで得られたグリーン体を、室温から300〜500℃まで加熱して1〜2時間保持し、その後引き続き760〜900℃まで加熱して2〜4時間保持すればよい。
工程5Bは、工程4Bで得られた焼結体を再度プレスした後、工程2Bと同じ非酸化性雰囲気の炉内で段階的に加熱して焼結を進行させる。具体的には、工程4Bで得られた焼結体を、プレス機(油圧式)により600〜800MPaの圧力で5〜15分間保持した後、それを、工程2Bと同じ非酸化性雰囲気の炉内で、室温から300〜500℃まで加熱して1〜2時間保持し、その後引き続き760〜900℃まで加熱して2〜4時間保持すればよい。
工程6Bは、工程5Bで得られた板材を冷間圧延する。後工程における電極台座へのろう付け性を向上させるという観点から、板材にAg層を貼り合わせながら冷間圧延することが望ましい。貼り合わせるAg層としては、工程5Bで得られた板材の1/12〜1/10の厚さを有するものを用い、圧延後のAg層の厚さを50〜200μmとすることが好ましい。工程6Bで板材にAg層を貼り合わせる代わりに、工程3Bにおいて、金型にAg粉末を敷き詰めた後、その上に、工程2Bで得られた混合粉末を敷き詰めてからプレス成形し、Ag層と混合粉末層とからなるグリーン体を得てもよい。ここでの混合粉末層の厚さは、Ag層の厚さの10〜12倍とすることが好ましい。
必要に応じて、工程7Bでは、工程6Bで得られた冷間圧延材を用途に応じて適宜切断する。
実施の形態2によれば、冷間静水等方圧プレスでは実現し難い400MPa以上の高い圧力でグリーン体を形成することができるので、高密度のグリーン体が得られる。
<実施例1〜3>
原料粉末としては、200メッシュ(篩目開き75μm)の篩にかけ、篩下を回収したAg粉末、300メッシュ(篩目開き45μm)の篩にかけ、篩下を回収したNi粉末、200メッシュの篩にかけ、篩下を回収したSnO粉末、200メッシュの篩にかけ、篩下を回収したCuO粉末、及び200メッシュの篩にかけ、篩下を回収したLa粉末を用いた。
表1に示すAg、Ni、SnO、CuO及びLaの質量割合の接点材料を以下の方法で作製した。
まず、金属酸化物粉末としてのSnO粉末、CuO粉末及びLa粉末を高速ボールミル内に入れて金属酸化物粉末を混合した。ここで、高速ボールミルとしては、直径12mm、8mm及び4mmのタングステンカーバイド製ボールが1:1:1の個数比となるように仕込まれたものを用いた。ボールミルの条件は、ボールと金属酸化物粉末との質量比を12:1とし、ボールミルの回転数を1200rpmとし、ボールミル処理時間を大気中で6時間とした。
ボールミル処理後、混合金属酸化物粉末を取り出し、レーザー散乱/回折式の粒度分布計で平均粒径を測定したところ、平均粒径は6.5〜7.3μmと微細であった。
次に、混合金属酸化物粉末と、Ag粉末及びNi粉末とを遊星式ボールミル内に入れて粉末を大気中で混合した。ここで、遊星式ボールミルとしては、直径15mm、10mm及び6mmのステンレス鋼製ボールが1:2:1の個数比となるように仕込まれたものを用いた。ボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比を10:1とし、遊星式ボールミルの回転数を公転が200rpm、自転が400rpmとし、ボールミル処理時間を大気中で8時間とした。
ボールミル処理後、得られたAg−Ni−SnO−CuO−La混合粉末に含まれる水分を蒸発させるため、Nガス雰囲気中で400℃、2時間加熱した。
冷間静水等方圧プレス(Cold Isostatic Press)機を用いて、Ag−Ni−SnO−CuO−La混合粉末を冷間静水圧プレス成形して円柱状のグリーン体を得た。ここで、成形圧力は120MPaとし、圧力保持時間は100秒とした。
グリーン体を、Nガス雰囲気の炉内に入れ、室温から300℃まで昇温して2時間保持し、その後引き続いて800℃まで昇温して5時間保持することにより、Ag−Ni−金属酸化物の焼結体が得られた。
焼結体を押出機において熱間押出して板材を得た。ここで、押出圧力は600MPaとし、熱間押出温度は800℃とし、押出比は15:1とした。
熱間押出後の板材に、板材の厚さの約1/10の厚さのAg層を貼り合わせながら全体の厚さが1.5mmになるように冷間圧延した。冷間圧延後の板材表面(Ag層のない方)のビッカース硬度を測定した結果を表2に示す。また、導電率を測定した結果を表2に示す。
冷間圧延後の板材を評価用遮断器接点の形状(5mm×5mm)になるように切断機で切断した。
<比較例1及び2>
表1に示すAg、Ni、SnO、CuO及びLaの質量割合に変更したこと以外は実施例1〜3と同様にして接点材料を作製した。ビッカース硬度及び導電率の測定結果を表2に示す。
<比較例3>
86質量%のAg及び14質量%のCdO(酸化カドミウム)からなる接点材料を内部酸化法で作製した。ビッカース硬度及び導電率の測定結果を表2に示す。
Figure 0006719300
実施例1〜3及び比較例1〜3で作製した接点それぞれの裏面(Ag層がある方)と、評価用遮断器の電極との間にロウ材(50Ag−34Cu−16Zn)のチップを挟み、抵抗溶接機にてろう付けを行った。
ろう付けが完了した電極を遮断器に組み込んで、通電させずにON/OFFを機械的に4000回繰り返し、接点の機械的な耐久性を試験した。結果を表2に示す。
表2からわかるように、La濃度が最も高い(2質量%)比較例2の接点では割れが発生した。
続いて、実施例1〜3、比較例1及び3の接点について、電圧AC200V、電流60Aを通電させながら、開閉を4000回繰り返す試験を行った。1サイクルを7秒とし、通電時間比率はON時間を1秒、OFF時間を6秒とした。
試験後の電極を遮断器から取り外し、電子天秤で接点を含む質量の測定を行い、試験前後の接点の質量の変化から、開閉1回あたりの接点の減少量を算出した。その結果を表2に示す。また、La濃度に対し、開閉1回あたりの接点の減少量をプロットしたグラフを図3に示す。
表2及び図3からわかるように、Laを添加しない比較例1と比較して、わずか0.1質量%のLaを添加した実施例1でも接点の消耗量は減少し、0.5質量%のLaを添加した実施例2では接点の消耗量が半分に減少した。0.5質量%のLaを添加した実施例2と、1質量%のLaを添加した実施例3とでは接点の消耗量が同等となっており、Laの添加効果が飽和しているものと推察される。また、0.5質量%のLaを添加した実施例2及び1質量%のLaを添加した実施例3では、比較例3のAg−CdO系接点よりも、接点の消耗量が少なかった。
また、遮断器をON(通電)した状態での接点の接触抵抗を、電気試験前後で測定した結果を表2に示す。表2からわかるように、0.5質量%のLaを添加した実施例2では、試験前の接触抵抗が1.8mΩであったのに対し、4000回開閉後の接触抵抗が1.9mΩであり、接触抵抗がわずかに増大した。また、実施例1〜3の接点はいずれも、比較例3のAg−CdO系接点と比較して、接触抵抗の増大量は少なかった。
Figure 0006719300
次に、遮断器から電極を取り外し、走査型電子顕微鏡(SEM)にて断面観察を実施した。図4は、電気試験前の実施例2の接点の表面近傍の断面を示すSEM写真である。図4において、白っぽく見える部位がAgであり、灰色が濃い部位が金属酸化物である。金属酸化物が均一に分散していることがわかる。接点内部も同様の分布状態であった。
図5は、電気試験後の実施例2の接点の表面近傍の断面を示すSEM写真である。開閉時に接点間に発生するアークによって接点材の溶融、再結晶が進み、最表面はAgの濃度が高い部分になっている。また、Ag濃度の高い部分とその下の接点部分との境界面にはクラックが入っていた。更に、接点内部に向かってクラックも伸展していた。
<実施例4>
実施例1〜3と同様の原料粉末を用いて、80質量%のAg、10質量%のNi、9質量%のSnO、0.5質量%CuO及び0.5質量%のLaの接点材料を以下の方法で作製した。
まず、金属酸化物粉末としてのSnO粉末、CuO粉末及びLa粉末を高速ボールミル内に入れて金属酸化物粉末を混合した。ここで、高速ボールミルとしては、直径12mm、8mm及び4mmのタングステンカーバイド製ボールが1:1:1の個数比となるように仕込まれたものを用いた。ボールミルの条件は、ボールと金属酸化物粉末との質量比を12:1とし、ボールミルの回転数を1200rpmとし、ボールミル処理時間を大気中で10時間とした。
ボールミル処理後、混合金属酸化物粉末を取り出し、レーザー散乱/回折式の粒度分布計で平均粒径を測定したところ、平均粒径は7.1μmと微細であった。
次に、混合金属酸化物粉末と、Ag粉末及びNi粉末とを遊星式ボールミル内に入れて粉末を大気中で混合した。ここで、遊星式ボールミルとしては、直径15mm、10mm及び6mmのステンレス鋼製ボールが1:2:1の個数比となるように仕込まれたものを用いた。ボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比を12:1とし、遊星式ボールミルの回転数を公転が200rpm、自転が400rpmとし、ボールミル処理時間を大気中で6時間とした。
ボールミル処理後、得られたAg−Ni−SnO−CuO−La混合粉末に含まれる水分を蒸発させるため、Arガス雰囲気中で400℃、2時間加熱した。
冷間静水等方圧プレス(Cold Isostatic Press)機を用いて、Ag−Ni−SnO−CuO−La混合粉末を冷間静水圧プレス成形して円柱状のグリーン体を得た。ここで、成形圧力は100MPaとし、圧力保持時間は60秒とした。
グリーン体を、Arガス雰囲気の炉内に入れ、室温から300℃まで昇温して2時間保持し、その後引き続いて800℃まで昇温して5時間保持することにより、Ag−Ni−金属酸化物の焼結体が得られた。
焼結体を押出機において熱間押出して板材を得た。ここで、押出圧力は600MPaとし、熱間押出温度は750℃とし、押出比は15:1とした。
熱間押出後の板材に、板材の厚さの約1/10の厚さのAg層を貼り合わせながら全体の厚さが1.5mmになるように冷間圧延した。
冷間圧延後の板材を評価用遮断器接点の形状(5mm×5mm)になるように切断機で切断した。
実施例1〜3と同様にして接点の評価を行った。結果を表3に示す。表3からわかるように、実施例4では、試験前の接触抵抗が1.5mΩであったのに対し、4000回開閉後の接触抵抗が1.8mΩであり、接触抵抗がわずかに増大しただけであった。
Figure 0006719300
<実施例5>
原料粉末として、200メッシュ(篩目開き75μm)の篩にかけ、篩下を回収したAg粉末、300メッシュ(篩目開き45μm)の篩にかけ、篩下を回収したNi粉末、200メッシュの篩にかけ、篩下を回収したZnO粉末、及び200メッシュの篩にかけ、篩下を回収したLa粉末を用いて、64質量%のAg、29質量%のNi、6.5質量%のZnO及び0.5質量%のLaの接点材料を以下の方法で作製した。
まず、金属酸化物粉末としてのZnO粉末及びLa粉末を高速ボールミル内に入れて金属酸化物粉末を混合した。ここで、高速ボールミルとしては、直径12mm、8mm及び4mmのタングステンカーバイド製ボールが1:1:1の個数比となるように仕込まれたものを用いた。ボールミルの条件は、ボールと金属酸化物粉末との質量比を12:1とし、ボールミルの回転数を1200rpmとし、ボールミル処理時間を大気中で8時間とした。
ボールミル処理後、混合金属酸化物粉末を取り出し、レーザー散乱/回折式の粒度分布計で平均粒径を測定したところ、平均粒径は5.3μmと微細であった。
次に、混合金属酸化物粉末と、Ag粉末及びNi粉末とを遊星式ボールミル内に入れて粉末を大気中で混合した。ここで、遊星式ボールミルとしては、直径15mm、10mm及び6mmのステンレス鋼製ボールが1:2:1の個数比となるように仕込まれたものを用いた。ボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比を10:1とし、遊星式ボールミルの回転数を公転が200rpm、自転が400rpmとし、ボールミル処理時間を大気中で8時間とした。
ボールミル処理後、得られたAg−Ni−ZnO−La混合粉末に含まれる水分を蒸発させるため、Nガスの雰囲気中で450℃、2時間加熱した。
冷間静水等方圧プレス(Cold Isostatic Press)機を用いて、Ag−Ni−ZnO−La混合粉末を冷間静水圧プレス成形して円柱状のグリーン体を得た。ここで、成形圧力は150MPaとし、圧力保持時間は120秒とした。
グリーン体を、Nガス雰囲気の炉内に入れ、室温から400℃まで昇温して2時間保持し、その後引き続いて800℃まで昇温して5時間保持することにより、Ag−Ni−金属酸化物の焼結体が得られた。
焼結体を押出機において熱間押出して板材を得た。ここで、押出圧力は600MPaとし、熱間押出温度は800℃とし、押出比は10:1とした。
熱間押出後の板材に、板材の厚さの約1/10の厚さのAg層を貼り合わせながら全体の厚さが1.5mmになるように冷間圧延した。
冷間圧延後の板材を評価用遮断器接点の形状(5mm×5mm)になるように切断機で切断した。
実施例1〜3と同様にして接点の評価を行った。結果を表4に示す。表4からわかるように、実施例5では、試験前の接触抵抗が1.9mΩであったのに対し、4000回開閉後の接触抵抗が2.0mΩであり、接触抵抗がわずかに増大しただけであった。
Figure 0006719300
<実施例6>
実施例1〜3と同様の原料粉末を用いて、80質量%のAg、13質量%のNi、6質量%のSnO、0.5質量%CuO及び0.5質量%のLaの接点材料を以下の方法で作製した。
まず、金属酸化物粉末としてのSnO粉末、CuO粉末及びLa粉末を高速ボールミル内に入れて金属酸化物粉末を混合した。ここで、高速ボールミルとしては、直径12mm、8mm及び4mmのタングステンカーバイド製ボールが1:1:1の個数比となるように仕込まれたものを用いた。ボールミルの条件は、ボールと金属酸化物粉末との質量比を10:1とし、ボールミルの回転数を1200rpmとし、ボールミル処理時間を大気中で4時間とした。
ボールミル処理後、混合金属酸化物粉末を取り出し、レーザー散乱/回折式の粒度分布計で平均粒径を測定したところ、平均粒径は7.2μmと微細であった。
次に、混合金属酸化物粉末と、Ag粉末及びNi粉末とを遊星式ボールミル内に入れて粉末を大気中で混合した。ここで、遊星式ボールミルとしては、直径15mm、10mm及び6mmのステンレス鋼製ボールが1:2:1の個数比となるように仕込まれたものを用いた。ボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比を10:1とし、遊星式ボールミルの回転数を公転が200rpm、自転が400rpmとし、ボールミル処理時間を大気中で2時間とした。
ボールミル処理後、得られたAg−Ni−SnO−CuO−La混合粉末に含まれる水分を蒸発させるため、Nガス雰囲気中で450℃、2時間加熱した。
次に、プレス機の金型にAg粉末のみを敷き詰めた後、その上に、Ag粉末の厚さの約10倍の厚さになるようにAg−Ni−SnO−CuO−La混合粉末を敷き詰めた。続いて、金型の蓋をしてから、圧力400MPa、圧力保持時間5分の条件でプレス成形してグリーン体を得た。
グリーン体を、Nガス雰囲気の炉内に入れ、室温から400℃まで昇温して2時間保持し、その後引き続いて820℃まで昇温して4時間保持することにより、Ag−Ni−金属酸化物の焼結体が得られた。
焼結体を金型に再び入れ、金型の蓋をしてから、圧力650MPa、圧力保持時間15分の条件で再びプレスした。
焼結体をNガス雰囲気の炉内に入れ、室温から400℃まで昇温して2時間保持し、その後引き続いて800℃まで昇温して4時間保持した。
その後、厚さが1.5mmになるように焼結体を冷間圧延して板材を得た。
冷間圧延して得られた板材を評価用遮断器接点の形状(5mm×5mm)になるように切断機で切断した。
実施例1〜3と同様にして接点の評価を行った。結果を表5に示す。表5からわかるように、実施例6では、試験前の接触抵抗が1.5mΩであったのに対し、4000回開閉後の接触抵抗が1.6mΩであり、接触抵抗がわずかに増大しただけであった。
Figure 0006719300
図6は、電気試験前の実施例6の接点の断面を示すSEM写真であり、図7は、接点の更に拡大した断面を示すSEM写真である。図6及び7において、白っぽく見える部位がAgであり、灰色が濃い部位が金属酸化物である。

Claims (17)

  1. 60〜80質量%のAg、10〜30質量%のNi、及び平均粒径が5〜8μmである金属酸化物としての0.1〜1質量%のLaと5〜10質量%のSnO又はZnOとを含有し、Ag中に金属酸化物が分散された組織を有することを特徴とするAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料。
  2. 金属酸化物として、0.1〜1質量%のCuOを更に含有することを特徴とする請求項1に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料。
  3. 請求項1に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法であって、
    (1)La 粉末、及びSnO 又はZnO粉末を粉砕・混合して平均粒径が5〜8μmの混合金属酸化物粉末を得、得られた混合金属酸化物粉末を、Ag粉末、及び粒径が45μm未満であるNi粉末と更に混合する工程と、
    (2)工程(1)で得られた混合粉末を非酸化性雰囲気中で加熱処理する工程と、
    (3)工程(2)で得られた混合粉末を冷間静水等方圧プレス成形してグリーン体を得る工程と、
    (4)工程(3)で得られたグリーン体を工程(2)と同じ非酸化性雰囲気中で焼結させる工程と、
    (5)工程(4)で得られた焼結体を熱間押出して板材を得る工程と、
    (6)工程(5)で得られた板材を冷間圧延する工程と
    を有することを特徴とするAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  4. 前記Ag粉末、前記La粉末、及び前記SnO又はZnO粉末として、それぞれを200メッシュの篩にかけ、篩下を回収したものを用い、且つ前記Ni粉末として、300メッシュの篩にかけ、篩下を回収したものを用いることを特徴とする請求項3に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  5. 前記La粉末、及び前記SnO又はZnO粉末粉砕・混合が、ボールの材質がタングステンカーバイドであるボールミルにより行われ、そのボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比が10〜12:1、回転数が1000〜2000rpm、処理時間が6〜10時間であり、且つ前記Ag粉末、及び前記Ni粉末と更に混合する工程が、ボールの材質がステンレス鋼である遊星式ボールミルにより行われ、そのボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比が10〜15:1、自転回転数が200〜500rpm、公転回転数が100〜250rpm、処理時間が6〜10時間であることを特徴とする請求項に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  6. 前記工程(2)が、前記混合粉末を、N雰囲気、Ar雰囲気、He雰囲気及びN+H雰囲気からなる群から選択される非酸化性雰囲気中で400〜500℃で2〜3時間加熱することであること特徴とする請求項3〜の何れか一項に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  7. 前記工程(3)が、前記混合粉末を、冷間静水等方圧プレス機により100〜150MPaの圧力で60〜120秒間保持することであることを特徴とする請求項3〜の何れか一項に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  8. 前記工程(4)が、前記グリーン体を、前記工程(2)と同じ非酸化性雰囲気の炉内で、室温から300〜500℃まで加熱して1〜2時間保持し、その後引き続き760〜900℃まで加熱して5〜7時間保持することであることを特徴とする請求項3〜の何れか一項に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  9. 前記工程(5)が、前記焼結体を、押出機により750〜850℃の温度及び10〜20:1の押出比で押出しすることであることを特徴とする請求項3〜の何れか一項に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  10. 請求項1に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法であって、
    (1)La 粉末、及びSnO 又はZnO粉末を粉砕・混合して平均粒径が5〜8μmの混合金属酸化物粉末を得、得られた混合金属酸化物粉末を、Ag粉末、及び粒径が45μm未満であるNi粉末と更に混合する工程と、
    (2)工程(1)で得られた混合粉末を非酸化性雰囲気中で加熱処理する工程と、
    (3)工程(2)で得られた混合粉末をプレス成形してグリーン体を得る工程と、
    (4)工程(3)で得られたグリーン体を工程(2)と同じ非酸化性雰囲気中で焼結させる工程と、
    (5)工程(4)で得られた焼結体を再度プレスした後、工程(2)と同じ非酸化性雰囲気中で再度焼結させる工程と、
    (6)工程(5)で得られた焼結体を冷間圧延する工程と
    を有することを特徴とするAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  11. 前記La粉末、及び前記SnO又はZnO粉末粉砕・混合が、ボールの材質がタングステンカーバイドであるボールミルにより行われ、そのボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比が10〜12:1、回転数が1000〜2000rpm、処理時間が6〜10時間であり、且つ前記Ag粉末、及び前記Ni粉末と更に混合する工程が、ボールの材質がステンレス鋼である遊星式ボールミルにより行われ、そのボールミルの条件は、ボールと粉末との質量比が10〜15:1、自転回転数が200〜500rpm、公転回転数が100〜250rpm、処理時間が6〜10時間であることを特徴とする請求項10に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  12. 前記工程(2)が、前記混合粉末を、N雰囲気、Ar雰囲気、He雰囲気及びN+H雰囲気からなる群から選択される非酸化性雰囲気中で400〜500℃で2〜3時間加熱することであること特徴とする請求項10又は11に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  13. 前記工程(3)が、前記混合粉末を、プレス機により300〜400MPaの圧力で5〜15分間保持することであることを特徴とする請求項1012の何れか一項に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  14. 前記工程(4)が、前記グリーン体を、前記工程(2)と同じ非酸化性雰囲気の炉内で、室温から300〜500℃まで加熱して1〜2時間保持し、その後引き続き760〜900℃まで加熱して2〜4時間保持することであることを特徴とする請求項1013の何れか一項に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  15. 前記工程(5)が、前記焼結体を、プレス機により600〜800MPaの圧力で5〜15分間保持した後、それを、前記工程(2)と同じ非酸化性雰囲気の炉内で、室温から300〜500℃まで加熱して1〜2時間保持し、その後引き続き760〜900℃まで加熱して2〜4時間保持することであることを特徴とする請求項1014の何れか一項に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料の製造方法。
  16. 請求項1又は2に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料からなる接点を備えたことを特徴とする遮断器。
  17. 請求項1又は2に記載のAg−Ni−金属酸化物系電気接点材料からなる接点を備えたことを特徴とする電磁接触器。
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