JP6717722B2 - 無灰炭の製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、無灰炭の製造装置及び無灰炭の製造方法に関する。
石炭は、火力発電やボイラーの燃料又は化学品の原料として幅広く利用されており、環境対策の一つとして石炭中の灰分を効率的に除去する技術の開発が強く望まれている。例えば、ガスタービン燃焼による高効率複合発電システムでは、LNG等の液体燃料に代わる燃料として、灰分が除去された無灰炭(HPC)を使用する試みがなされている。また高炉用コークス等の製鉄用コークスの原料炭として、無灰炭を使用する試みがなされている。
無灰炭の製造方法としては、重力沈降法を用いてスラリーから溶剤に可溶な石炭成分(以下、溶剤可溶成分とも言う)を含む液体分を分離し、分離した液体分から溶剤を回収することで無灰炭を得る方法が提案されている(特開2005−120185号公報)。
上記従来の無灰炭の製造方法では、無灰炭との分離容易性から上記溶剤の回収に噴霧乾燥法が用いられている。噴霧乾燥法ではフラッシュ蒸留器を用いて溶剤を回収する。具体的には、溶剤は以下のように回収される。まず、溶剤の沸点以上に加熱された不活性ガス、例えば窒素ガスを上記液体分に噴霧用ガスとして高速で衝突させることで、この液体分を微細化する。この液体分の微細化により蒸発し易くなった溶剤は、液体分の自己顕熱及び加熱した窒素ガスから付与される熱量で大部分が蒸発し、液体分から分離される。次に、上記フラッシュ蒸留器内の気体を回収し、熱交換器により熱交換を行う。これにより蒸発分離した溶剤は凝縮され、液状となる。また、回収された上記気体には、噴霧用ガスである窒素も含まれ、この窒素ガスは、熱交換器を通過した後においても気体である。この液状の溶剤と気体の窒素ガスとは、気液分離器に送られ、液状の溶剤が分離回収される。また、気相にある窒素ガスも回収され、例えばブロワーにより加熱器へ送られ、噴霧用ガスとして循環使用される。
上記従来の噴霧乾燥法では、蒸発回収した溶剤の凝縮に用いる熱交換器へは噴霧用ガスである窒素ガスも共に送られるため、溶剤及び窒素ガスの合計体積で決まる伝熱面積を有する熱交換器が必要となる。また、溶剤を凝縮後に気相の窒素ガスと分離するため、気相容積を十分に持つ気液分離器が必要となる。さらに、熱交換により冷却された窒素ガスを再利用するため、窒素ガスを十分に加熱できるガス予熱器が必要となる。このため、上記従来の噴霧乾燥法によると、溶剤蒸発部が大型化し易い。このため、上記従来の無灰炭の製造方法では、無灰炭の製造設備として設置のための広いスペースが必要となる。
特開2005−120185号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、溶剤を比較的効率良く回収できると共に、溶剤蒸発部を小型化できる無灰炭の製造装置及び無灰炭の製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、石炭及び溶剤を混合する混合部と、上記混合部で得られたスラリー中の上記石炭から溶剤に可溶な成分を溶出させる溶出部と、上記溶出部で溶出後の上記スラリーを、溶剤可溶成分を含む液体分及び溶剤不溶成分を含む固形分に分離する分離部と、上記分離部で分離した上記液体分から溶剤を蒸発回収する第1溶剤蒸発部と、上記分離部で分離した上記固形分から溶剤を蒸発回収する第2溶剤蒸発部とを備え、上記第1溶剤蒸発部又は第2溶剤蒸発部が、蒸発回収される気体の主成分が溶剤である溶剤回収装置を有する無灰炭の製造装置である。
当該無灰炭の製造装置は、第1溶剤蒸発部又は第2溶剤蒸発部が、蒸発回収される気体の主成分が溶剤である溶剤回収装置を有する。つまり、溶剤回収装置で蒸発回収される気体に溶剤以外の成分が少ない。このため、当該無灰炭の製造装置では、溶剤を凝縮させる熱交換器は、主に溶剤の体積で決まる比較的小さい伝熱面積のものを用いることができる。また、蒸発回収される気体の主成分が溶剤であるので、当該無灰炭の製造装置では、溶剤を凝縮させた後の気相分の割合が低い。このため、当該無灰炭の製造装置では、溶剤の回収効率を維持しつつ、気液分離器を不要とするか又は気相容積の小さいものとすることができる。従って、当該無灰炭の製造装置は、溶剤蒸発部を小型化できる。
上記溶剤回収装置がフラッシュ蒸留器であり、上記フラッシュ蒸留器の噴霧用ガスとして上記第1溶剤蒸発部又は第2溶剤蒸発部で回収される溶剤を過熱して用いるとよい。フラッシュ蒸留器の噴霧用ガスとして溶剤を過熱して得られる溶剤ガスを用いることで、溶剤回収装置で蒸発回収される気体に溶剤以外の成分がほとんど含まれない。このため、熱交換器の伝熱面積をさらに低減できると共に、気液分離器を不要とでき、構成機器の数を減らすことができる。さらに、溶剤は伝熱効率が比較的高いため、過熱の際に用いる予熱器の伝熱面積を小さくできるので、予熱器を小型化できる。従って、溶剤蒸発部をさらに小型化できる。
上記溶剤の過熱温度としては、280℃以上450℃以下が好ましい。上記溶剤の過熱温度を上記範囲内とすることで、過熱のためのエネルギー消費量を抑えつつ、溶剤を容易かつ確実に蒸発回収できる。
上記溶剤回収装置が、内部に液体サイクロンを備えるとよい。このように上記溶剤回収装置が内部に液体サイクロンを備えることで、第1溶剤蒸発部又は第2溶剤蒸発部において回収される溶剤への溶剤以外の成分の混入を抑止しつつ、溶剤回収装置を小型化できる。また、液体サイクロンは、噴霧用ガス等の気体を用いることなく溶剤を蒸発回収できるので、気液分離器を不要とでき、構成機器の数を減らすことができる。
上記溶剤回収装置が、その中心軸が鉛直方向となるように配設される円筒状のケーシングをさらに備え、上記液体サイクロンが上記円筒状ケーシングの側壁近傍に配設され、上記液体サイクロンの上部流出口の液体流出方向が、平面視で上記液体サイクロンと上記ケーシングの中心とを結ぶ直線に対して略直交するとよい。液体サイクロンをこのように配設することで、液体サイクロンにより分離され上部流出口から排出される溶剤がケーシングに沿って旋回流を形成する。この旋回流により、溶剤中に残留する固形物を円筒状ケーシングの側壁に沿って下降回収すると共に、溶剤を蒸発し易くできる。従って、溶剤の回収率を高めると共に、回収される溶剤の純度を高められる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、石炭及び溶剤を混合する混合工程と、上記混合工程で得られたスラリー中の上記石炭から溶剤に可溶な成分を溶出させる溶出工程と、上記溶出工程で溶出後の上記スラリーを、溶剤可溶成分を含む液体分及び溶剤不溶成分を含む固形分に分離する分離工程と、上記分離工程で分離した上記液体分から溶剤を蒸発回収する第1溶剤蒸発工程と、上記分離工程で分離した上記固形分から溶剤を蒸発回収する第2溶剤蒸発工程とを備え、上記第1溶剤蒸発工程又は第2溶剤蒸発工程で、蒸発回収される気体の主成分が溶剤である溶剤回収装置を用いる無灰炭の製造方法である。
当該無灰炭の製造方法は、第1溶剤蒸発工程又は第2溶剤蒸発工程で、蒸発回収される気体の主成分が溶剤である溶剤回収装置を用いる。つまり、溶剤回収装置で蒸発回収される気体に溶剤以外の成分が少ない。このため、当該無灰炭の製造方法では、溶剤を凝縮させる熱交換器は、主に溶剤の体積で決まる比較的小さい伝熱面積のものを用いることができる。また、蒸発回収される気体の主成分が溶剤であるので、溶剤を凝縮させた後の気相分の割合が低い。このため、当該無灰炭の製造方法では、溶剤の回収効率を維持しつつ、気液分離器を不要とするか又は気相容積の小さいものとすることができる。従って、当該無灰炭の製造方法は、溶剤蒸発部を小型化できる。
ここで、無灰炭(ハイパーコール、HPC)とは、石炭を改質した改質炭の一種であり、溶剤を用いて石炭から灰分と非溶解性成分とを可能な限り除去した改質炭である。しかしながら、無灰炭の流動性や膨張性を著しく損ねない範囲で、無灰炭は灰分を含んでもよい。一般に石炭は7質量%以上20質量%以下の灰分を含むが、無灰炭においては2質量%程度、場合によっては5%質量程度の灰分を含んでもよい。なお、「灰分」とは、JIS−M8812:2004に準拠して測定される値を意味する。
また、「主成分」とは、最も含有量の多い成分を意味し、例えば含有量が90質量%以上、好ましくは95質量%以上の成分をいう。また、「略直交」とは、2つの直線のなす角度が80°以上100°以下であることを意味する。
以上説明したように、本発明の無灰炭の製造装置及び製造方法は、溶剤を比較的効率良く回収できると共に、溶剤蒸発部を小型化できる。従って、本発明の無灰炭の製造方法及び製造装置は、製造設備の設置スペースを低減できる。
図1は、本発明の第一実施形態の無灰炭の製造装置を示す概略図である。 図2は、図1の無灰炭の製造装置の第1蒸発分離部の構成の一例を示す概略図である。 図3は、図2の第1蒸発分離部とは異なる第1蒸発分離部の構成を示す概略図である。 図4は、図3の第1蒸発分離部の円筒状ケーシング内の液体サイクロンの配設位置を示す模式的断面図である。
[第一実施形態]
以下、本発明に係る無灰炭の製造装置及び製造方法の第一実施形態について詳説する。
〔無灰炭の製造装置〕
図1の無灰炭の製造装置は、石炭供給部1と、溶剤供給部2と、混合部3と、ポンプ4と、加熱部5と、溶出部6と、分離部7と、第1溶剤蒸発部8と、第2溶剤蒸発部9とを主に備える。
<石炭供給部>
石炭供給部1は、石炭を混合部3へ供給する。石炭供給部1としては、常圧状態で使用される常圧ホッパー、常圧状態及び加圧状態で使用される加圧ホッパー等の公知の石炭ホッパーを用いることができる。
石炭供給部1から供給する石炭は、無灰炭の原料となる石炭である。上記石炭としては、様々な品質の石炭を用いることができる。例えば無灰炭の抽出率の高い瀝青炭や、より安価な低品位炭(亜瀝青炭や褐炭)が好適に用いられる。また、石炭を粒度で分類すると、細かく粉砕された石炭が好適に用いられる。ここで「細かく粉砕された石炭」とは、例えば石炭全体の質量に対する粒度1mm未満の石炭の質量割合が80%以上である石炭を意味する。また、石炭供給部1から供給する石炭として塊炭を用いることもできる。ここで「塊炭」とは、例えば石炭全体の質量に対する粒度5mm以上の石炭の質量割合が50%以上である石炭を意味する。塊炭は、細かく粉砕された石炭に比べて未溶解な固形分石炭の粒度が大きく保たれるため、後述する分離部7での分離を効率化することができる。ここで、「粒度(粒径)」とは、JIS−Z8815:1994のふるい分け試験通則に準拠して測定した値をいう。なお、石炭の粒度による仕分けには、例えばJIS−Z8801−1:2006に規定する金属製網ふるいを用いることができる。
上記低品位炭の炭素含有率の下限としては、70質量%が好ましい。一方、上記低品位炭の炭素含有率の上限としては、85質量%が好ましく、82質量%がより好ましい。上記低品位炭の炭素含有率が上記下限未満であると、溶剤可溶成分の溶出率が低下するおそれがある。逆に、上記低品位炭の炭素含有率が上記上限を超えると、供給する石炭のコストが高くなるおそれがある。
なお、石炭供給部1から混合部3へ供給する石炭として、少量の溶剤を混合してスラリー化した石炭を用いてもよい。石炭供給部1からスラリー化した石炭を混合部3へ供給することにより、混合部3において石炭が溶剤と混合し易くなり、石炭をより早く溶解させることができる。ただし、スラリー化する際に混合する溶剤の量が多いと、加熱部5でスラリーを溶出温度まで昇温するための熱量が不必要に大きくなるため、製造コストが増大するおそれがある。
<溶剤供給部>
溶剤供給部2は、溶剤を混合部3へ供給する。上記溶剤供給部2は、溶剤を貯留する溶剤タンクを有し、この溶剤タンクから溶剤を混合部3へ供給する。上記溶剤供給部2から供給する溶剤は、石炭供給部1から供給する石炭と混合部3で混合される。
溶剤供給部2から供給する溶剤は、石炭を溶解するものであれば特に限定されないが、例えば石炭由来の2環芳香族化合物が好適に用いられる。この2環芳香族化合物は、基本的な構造が石炭の構造分子と類似していることから石炭との親和性が高く、比較的高い抽出率を得ることができる。石炭由来の2環芳香族化合物としては、例えば石炭を乾留してコークスを製造する際の副生油の蒸留油であるメチルナフタレン油、ナフタレン油等を挙げることができる。
上記溶剤の沸点は、特に限定されないが、例えば上記溶剤の沸点の下限としては、180℃が好ましく、230℃がより好ましい。一方、上記溶剤の沸点の上限としては、300℃が好ましく、280℃がより好ましい。上記溶剤の沸点が上記下限未満であると、溶剤が揮発し易くなるため、スラリー中の石炭と溶剤との混合比の調整及び維持が困難となるおそれがある。逆に、上記溶剤の沸点が上記上限を超えると、溶剤可溶成分と溶剤との分離が困難となり、溶剤の回収率が低下するおそれがある。
<混合部>
混合部3は、石炭供給部1から供給する石炭及び溶剤供給部2から供給する溶剤を混合する。
上記混合部3としては、調製槽31を用いることができる。この調製槽31には、供給管を介して上記溶剤及び石炭が供給される。上記調製槽31では、この供給された溶剤及び石炭が混合され、スラリーが調製される。また、上記調製槽31は、攪拌機31aを有しており、混合したスラリーを攪拌機31aで撹拌しながら保持することによりスラリーの混合状態を維持する。
調製槽31におけるスラリー中の無水炭基準での石炭濃度の下限としては、10質量%が好ましく、13質量%がより好ましい。一方、上記石炭濃度の上限としては、25質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。上記石炭濃度が上記下限未満であると、後述する加熱部5で溶出される溶剤可溶成分の溶出量がスラリー処理量に対して少なくなるため、無灰炭の製造効率が低下するおそれがある。逆に、上記石炭濃度が上記上限を超えると、溶剤中で上記溶剤可溶成分が飽和し易いため、上記溶剤可溶成分の溶出率が低下するおそれがある。
なお、混合部3の調製槽31で調製されたスラリーは、供給管を介して加熱部5へ送られる。
<ポンプ>
ポンプ4は、混合部3から加熱部5へスラリーを供給する供給管に配設されており、上記調製槽31に貯留されているスラリーを加熱部5へ圧送する。
上記ポンプ4の種類は、供給管を介して上記スラリーを加熱部5へ圧送できるものであれば特に限定されないが、例えば容積型ポンプ又は非容積型ポンプを用いることができる。上記容積型ポンプとしては、ダイヤフラムポンプやチューブフラムポンプ等が挙げられ、上記非容積型ポンプとしては、渦巻ポンプ等が挙げられる。
<加熱部>
加熱部5は、上記混合部3で得られるスラリーを加熱する。
加熱部5としては、加熱炉51を用いることができる。加熱炉51としては、内部を通過するスラリーを加熱できるものであれば特に限定されないが、例えば抵抗加熱式ヒーターや誘導加熱コイルが挙げられる。また、加熱炉51は、熱媒を用いて加熱を行うよう構成されていてもよく、例えば内部を通過するスラリーの流路の周囲に配設される加熱管を有し、この加熱管に蒸気、油等の熱媒を供給することでスラリーを加熱可能に構成されていてもよい。
加熱炉51による加熱後のスラリーの温度の下限としては、300℃が好ましく、360℃がより好ましい。一方、上記スラリーの温度の上限としては、420℃が好ましく、400℃がより好ましい。上記スラリーの温度が上記下限未満であると、石炭を構成する分子間の結合を十分に弱められず、溶出率が低下するおそれがある。逆に、上記スラリーの温度が上記上限を超えると、スラリーの温度を維持するための熱量が不必要に大きくなるため、製造コストが増大するおそれがある。
<溶出部>
溶出部6は、上記混合部3で得られ、上記加熱部5で加熱されたスラリー中の石炭から溶剤に可溶な石炭成分を溶出させる。
溶出部6としては、抽出槽61を用いることができ、この抽出槽61に上記加熱後のスラリーが供給される。上記抽出槽61では、このスラリーの温度を保持しながら溶剤に可溶な石炭成分を石炭から溶出させる。また、上記抽出槽61は、攪拌機61aを有している。この攪拌機61aによりスラリーを攪拌することで上記溶出を促進できる。
なお、溶出部6での溶出時間としては、特に限定されないが、溶剤可溶成分の抽出量と抽出効率との観点から10分以上70分以下が好ましい。
<分離部>
分離部7は、上記溶出部6で溶出後の上記スラリーを、溶剤可溶成分を含む液体分及び溶剤不溶成分を含む固形分に分離する。なお、溶剤不溶成分は、抽出用溶剤に不溶な灰分と不溶石炭とを主として含み、これらに加え抽出用溶剤をさらに含む抽出残分をいう。
分離部7における上記分離は、例えば重力沈降法により行うことができる。ここで重力沈降法とは、沈降槽内で重力を利用して固形分を沈降させて固液分離する分離方法である。重力沈降法により分離を行う場合、溶剤可溶成分を含む液体分は、沈降槽の上部に溜まる。この液体分は必要に応じてフィルターユニットを用いて濾過した後、第1溶剤蒸発部8に排出される。一方、溶剤不溶成分を含む固形分は、分離部7の下部に溜まり、第2溶剤蒸発部9に排出される。
また、重力沈降法により分離を行う場合、スラリーを分離部7内に連続的に供給しながら溶剤可溶成分を含む液体分及び溶剤不溶成分を含む固形分を沈降槽から排出することができる。これにより連続的な固液分離処理が可能となる。
分離部7内でスラリーを維持する時間は、特に限定されないが、例えば30分以上120分以下とでき、この時間内で分離部7内の沈降分離が行われる。なお、石炭として塊炭を使用する場合には、沈降分離が効率化されるので、分離部7内でスラリーを維持する時間を短縮できる。
分離部7内は、加熱及び加圧することが好ましい。分離部7内の加熱温度の下限としては、300℃が好ましく、350℃がより好ましい。一方、分離部7内の加熱温度の上限としては、420℃が好ましく、400℃がより好ましい。上記加熱温度が上記下限未満であると、溶剤可溶成分が再析出し、分離効率が低下するおそれがある。逆に、上記加熱温度が上記上限を超えると、加熱のための運転コストが高くなるおそれがある。
また、分離部7内の圧力の下限としては、1MPaが好ましく、1.4MPaがより好ましい。一方、上記圧力の上限としては、3MPaが好ましく、2MPaがより好ましい。上記圧力が上記下限未満であると、溶剤可溶成分が再析出し、分離効率が低下するおそれがある。逆に、上記圧力が上記上限を超えると、加圧のための運転コストが高くなるおそれがある。
なお、上記液体分及び固形分を分離する方法としては、重力沈降法の他に例えば濾過法や遠心分離法を用いてもよい。固液分離方法として濾過法や遠心分離法を用いる場合、分離部7として濾過器や遠心分離器などが使用される。
<第1溶剤蒸発部>
第1溶剤蒸発部8は、上記分離部7で分離した上記液体分から溶剤を蒸発回収する。この溶剤の蒸発回収により無灰炭HPCが得られる。
このようにして得られる無灰炭は、灰分が5質量%以下又は3質量%以下であり、灰分をほとんど含まず、水分は皆無であり、また例えば原料石炭よりも高い発熱量を示す。さらに無灰炭は、製鉄用コークスの原料として特に重要な品質である軟化溶融性が大幅に改善され、例えば原料石炭よりも遥かに優れた流動性を示す。従って無灰炭は、コークス原料の配合炭として使用することができる。
第1溶剤蒸発部8は、図2に示すように溶剤回収装置10と、コントロールバルブ11と、ブロワー12と、予熱器13と、熱交換器14とを主に備える。また、上記第1溶剤蒸発部8は、溶剤回収装置10の上部に接続され、上記液体分を溶剤回収装置10へ供給する供給配管15aと、溶剤回収装置10の上部に接続され、溶剤を排出する上部排出配管15bと、溶剤回収装置10の下部に接続され、無灰炭HPCを排出する下部排出配管15cとを備える。さらに、第1溶剤蒸発部8は、上部排出配管15bから分配され溶剤回収装置10へ噴霧用ガスを供給する噴霧用ガス供給配管15dと、上記熱交換器14を経て液体化される溶剤を回収する溶剤回収配管15eとを備える。
上記溶剤回収装置10は、フラッシュ蒸留器である。上記溶剤回収装置10は、供給配管15aを通じて上記溶剤回収装置10に供給される液体分に噴霧用ガスを噴射する噴霧ノズル10aを有する。上記噴霧ノズル10aは、例えば2流体ノズルや4流体ノズルに供給配管15aを接続した構成とすることができる。
フラッシュ蒸留器では、加熱された噴霧用ガスを噴霧ノズル10aにより上記液体分に衝突させることで上記液体分を微細化して分散させる。噴霧用ガスの衝突により霧状となった液体分のうち溶剤は、自己顕熱及び加熱された噴霧用ガスからの熱量付与により蒸発し、溶剤の蒸発効率が高まる。この蒸発した溶剤は溶剤回収装置10の上部に接続される上部排出配管15bから気体として排出される。また、上記液体分から溶剤を蒸発分離した残部が無灰炭HPCとなる。この無灰炭HPCは溶融状態にあり、溶剤回収装置10の下部に接続される下部排出配管15cから排出される。
当該無灰炭の製造装置は、上記フラッシュ蒸留器の噴霧用ガスとして上記第1溶剤蒸発部8で回収される溶剤を過熱して用いる。つまり、当該無灰炭の製造装置は、噴霧用ガスとして不活性ガスを用いない。従って、蒸発回収される気体は実質的に不活性ガスを含まない。すなわち、蒸発回収される気体は、その主成分が溶剤である。具体的には、当該無灰炭の製造装置は、図2に示すように上部排出配管15b上の上流側から下流側に、コントロールバルブ11、ブロワー12及び予熱器13をこの順に備える。当該無灰炭の製造装置では、上記コントロールバルブ11により蒸発回収される溶剤のうち噴霧用ガスとして用いる溶剤量を制御し、上記ブロワー12により上記溶剤を噴霧ノズル10aへ送る。また、当該無灰炭の製造装置では、上記予熱器13により噴霧ノズル10aへ送られる溶剤を過熱して噴霧用ガスを生成する。
また、排出された上記溶剤のうち噴霧用ガスとして使用されない残りの溶剤は、熱交換器14へ送られる。上記熱交換器14では、気体の上記溶剤と熱交換を行うことでこの溶剤を凝縮し液体化する。上記熱交換器14により回収された熱は、例えば加熱部5でスラリーの加熱に利用することができる。また、液体化された溶剤は、溶剤回収配管15eを介して回収される。回収された溶剤は、例えば混合部3に供給し、石炭供給部1と混合する溶剤として利用できる。このように溶剤を循環利用することで、無灰炭の製造コストを低減できる。
当該無灰炭の製造装置では上記フラッシュ蒸留器の噴霧用ガスとして過熱した溶剤を用いる。ここで、例えば窒素ガスを噴霧用ガスとする場合、溶剤回収配管15eにより溶剤と共に窒素ガスも回収され、熱交換器14へ送られる。窒素ガスは熱交換器14で熱交換を行った後も気体であるため、体積が大きく、この窒素ガスの体積分を考慮した伝熱面積が熱交換器14に求められる。さらに、窒素ガスを噴霧用ガスとする場合、熱交換器14の下流に気液分離器を配設し、窒素ガスと液体化した溶剤を相分離する必要がある。これに対し、当該無灰炭の製造装置ではフラッシュ蒸留器の噴霧用ガスとして溶剤を用いるので、溶剤の凝縮に用いる熱交換器14へは蒸発した溶剤が主に送られ、溶剤以外の成分がほとんど含まれない。一般に気体の伝熱効率は分子量が大きいほど高いので、窒素ガス等の不活性ガスより分子量が大きい溶剤を主成分とする上記熱交換器14は、伝熱面積が低減できる。従って、当該無灰炭の製造装置では、窒素ガスを噴霧用ガスとする場合に比べて熱交換器14を小型化できる。また、溶剤以外の成分がほとんど含まれないので、当該無灰炭の製造装置では気液分離器を不要とできる。さらに、溶剤は伝熱効率が比較的高いため、過熱の際に用いる予熱器13の伝熱面積を、窒素ガスを噴霧用ガスとして用いる場合に比べて小さくできる。このため、当該無灰炭の製造装置では、予熱器13を小型化できる。従って、当該無灰炭の製造装置は、溶剤蒸発部を小型化できる。
上記溶剤回収装置10内の温度としては、分離部7内の温度と同等とでき、例えば300℃以上420℃以下とできる。また、上記溶剤回収装置10内の圧力としては、大気圧以上かつ溶剤の蒸気圧以下が好ましく、例えば0.1MPa以上1MPa以下が好ましい。上記溶剤回収装置10内の圧力が上記下限未満であると、溶剤の沸点が低下して溶剤回収装置10内の温度が無灰炭の溶融温度以下となり易く、無灰炭が固体化して下部排出配管15cからの抜出しが困難となるおそれがある。逆に、上記溶剤回収装置10内の圧力が上記上限を超えると、溶剤が気化し難くなり、溶剤と無灰炭との分離が困難となるおそれがある。
上記予熱器13により予熱される溶剤の過熱温度の下限としては、280℃が好ましく、320℃がより好ましい。一方、上記溶剤の過熱温度の上限としては、450℃が好ましく、400℃がより好ましい。上記溶剤の過熱温度が上記下限未満であると、供給配管15aから導入される液体分に含まれる溶剤への噴霧用ガスからの熱量付与が不足するおそれや、噴霧用ガスとして供給した溶剤が凝縮し、溶剤が十分に蒸発しないおそれがある。逆に、上記溶剤の過熱温度が上記上限を超えると、過熱のためのエネルギー消費量が不要に増大するおそれがある。
<第2溶剤蒸発部>
第2溶剤蒸発部9は、分離部7で分離された上記固形分から、溶剤を蒸発分離させて副生炭RCを得る。
副生炭RCは、軟化溶融性は示さないが、含酸素官能基が脱離されている。そのため、副生炭RCは、配合炭として用いた場合にこの配合炭に含まれる他の石炭の軟化溶融性を阻害しない。従って、この配合炭はコークス原料の配合炭の一部として使用することができる。また、副生炭RCは一般の石炭と同様に燃料として利用してもよい。
第2溶剤蒸発部9は、第1溶剤蒸発部8と同様に構成でき、溶剤の分離及び回収により、固形分から灰分等を含む溶剤不溶成分が濃縮された副生炭RCを得ることができる。具体的には、溶剤回収装置に供給配管から上記固形分を供給し、溶剤回収配管を通じて溶剤を回収すると共に、下部排出配管から副生炭RCを得ることができる。また、第2溶剤蒸発部9で蒸発させた溶剤は、熱交換器により液体化して、混合部3に供給し、石炭供給部1と混合する溶剤として利用できる。このように溶剤を循環利用することで、無灰炭の製造コストを低減できる。なお、副生炭RCは固体状であり、この固体状の副生炭RCが通過可能な径を有する下部排出配管から、直接落下により、又はロータリーバルブ等を介して、排出される。
〔無灰炭の製造方法〕
当該無灰炭の製造方法は、混合工程と、溶出工程と、分離工程と、第1溶剤蒸発工程と、第2溶剤蒸発工程とを備える。当該無灰炭の製造方法は、図1の無灰炭の製造装置を用いて行うことができる。
<混合工程>
混合工程では、石炭及び溶剤を混合する。具体的には、石炭供給部1から供給される石炭及び溶剤供給部2から供給される溶剤を混合部3の調製槽31により混合してスラリーとする。
<加熱工程>
加熱工程では、上記混合工程で得られるスラリーを加熱する。具体的には、混合工程で調製されたスラリーをポンプ4によって加熱部5の加熱炉51に供給し、上述の温度まで加熱する。
<溶出工程>
溶出工程では、上記混合工程で得られたスラリー中の石炭から溶剤に可溶な石炭成分を溶出させる。具体的には、上記加熱後のスラリーを抽出槽61に供給し、攪拌機61aで攪拌しながら上述の温度で保持して溶出を行う。
<分離工程>
分離工程では、上記溶出工程で溶出後の上記スラリーを、溶剤可溶成分を含む液体分及び溶剤不溶成分を含む固形分に分離する。具体的には、抽出槽61から排出されるスラリーを分離部7へ供給し、分離部7内に供給されたスラリーを例えば重力沈降法により上記液体分及び固形分に分離する。
<第1溶剤蒸発工程>
第1溶剤蒸発工程では、上記分離工程で分離した上記液体分から溶剤を蒸発させる。つまり、第1溶剤蒸発工程では、分離部7で分離した上記液体分を第1溶剤蒸発部8に供給し、この溶剤を溶剤回収装置10を用いて蒸発させる。上記溶剤回収装置10としては、蒸発回収される気体の主成分が溶剤である溶剤回収装置を用いる。当該無灰炭の製造装置においては、上記溶剤回収装置10は、回収される溶剤の一部を過熱して噴霧用ガスとして用いるフラッシュ蒸留器である。これにより上記液体分を溶剤と無灰炭HPCとに分離する。
<第2溶剤蒸発工程>
第2溶剤蒸発工程では、上記分離工程で分離した上記固形分から溶剤を蒸発させる。第2溶剤蒸発工程では、分離部7で分離された固形分を第2溶剤蒸発部9に供給し、溶剤回収装置を用いて溶剤を蒸発させて溶剤と副生炭RCとに分離する。なお、第2溶剤蒸発工程で用いる溶剤回収装置は、第1溶剤蒸発工程と同様に構成できる。
〔利点〕
当該無灰炭の製造装置は、第1溶剤蒸発部8及び第2溶剤蒸発部9が、蒸発回収される気体の主成分が溶剤である溶剤回収装置10を有する。また、当該無灰炭の製造方法は、第1溶剤蒸発工程及び第2溶剤蒸発工程で、蒸発回収される気体の主成分が溶剤である溶剤回収装置10を用いる。つまり、溶剤回収装置10で蒸発回収される気体に溶剤以外の成分が少ない。このため、当該無灰炭の製造装置及び当該無灰炭の製造方法では、溶剤を凝縮させる熱交換器14は、窒素ガス等の不活性ガスを噴霧用ガスとして用いないため、必要とする伝熱面積が小さくなり、小型化できる。また、蒸発回収される気体の主成分が溶剤であるので、当該無灰炭の製造装置及び当該無灰炭の製造方法では、溶剤を凝縮させた後に気相となる成分がほとんど含まれない。このため、当該無灰炭の製造装置及び当該無灰炭の製造方法では、溶剤の回収効率を維持しつつ気液分離器を不要とできる。従って、当該無灰炭の製造装置及び当該無灰炭の製造方法を用いることで、溶剤蒸発部を小型化できる。
[第二実施形態]
次に、本発明に係る無灰炭の製造装置の第二実施形態について詳説する。
図3に示す第1溶剤蒸発部16は、図1に示す無配炭の製造装置の第1溶剤蒸発部8に代えて用いられる。上記第1溶剤蒸発部16は、溶剤回収装置17と、熱交換器18とを主に備える。また、上記第1溶剤蒸発部16は、溶剤回収装置17の上部に接続され、分離部7で分離された溶剤可溶成分を含む液体分を溶剤回収装置17へ導入する供給配管19aと、溶剤回収装置17の上部に接続され、溶剤を排出する上部排出配管19bと、溶剤回収装置17の下部に接続され、無灰炭HPCを排出する下部排出配管19cとを備える。また、上記熱交換器18は、上記上部排出配管19b上に配設されている。
上記溶剤回収装置17は、ケーシング20と、ケーシング20の内部に配設される1対の液体サイクロン21とを備える。ケーシング20は、その中心軸が鉛直方向となるように配設される円筒状の第1ケーシング部20aと、この第1ケーシング部20aの下端から連続し、下方に頂点を有する円錐状の第2ケーシング部20bとから構成される。また、1対の液体サイクロン21は、第1ケーシング部20aの側壁近傍に平面視でこの第1ケーシング部20aの中心軸を挟んで対称に配設される。
上記ケーシング20の材質は特に限定されないが、例えばステンレス等の金属が挙げられる。
液体サイクロン21は、例えば図3に示すように円筒状の胴体部と、この胴体部の下端から連続し、下方に頂点を有する円錐状の遠心分離部とから構成される。上記液体サイクロン21は、上記胴体部の側面に流体供給管21aを有する。また、上記液体サイクロン21は、上記胴体部の上方に上部流出管21bを有し、遠心分離部の下方の円錐頂点に下部流出管21cを有する。上記流体供給管21aは、供給配管19aと接続される。また、上部流出管21b及び下部流出管21cは、ケーシング20の円筒状の部分、つまり第1ケーシング部20a内に流出口を有する。
液体サイクロン21へは液体サイクロン21内よりも高圧状態の液体分が供給配管19aから供給される。液体サイクロン21へ供給された上記液体分中の溶剤は、圧力の低下により液体サイクロン21内で気化膨張し、液体サイクロン21内で流速を増大しつつ回転運動する。この回転運動の遠心力により液体分中の溶剤可溶成分は液体サイクロン21の遠心分離部の側壁付近に移動する。上記遠心分離部の側面付近には、この側面に沿って下降流が発生しており、この流れに乗って液状である溶剤可溶成分が主に下方の下部流出管21cへ排出される。一方、液体サイクロン21の中心部では逆に上昇流が発生しており、気化した溶剤を主成分とするガス状の流体は、この流れに乗って上方の上部流出管21bから第1ケーシング部20aへ排出される。
上記溶剤回収装置17の円筒状の第1ケーシング部20aの液体サイクロン21を除く空間(以下、単に「円筒部空間」ともいう)は、液体サイクロン21内の空間よりも広く、かつ圧力が低い。当該無灰炭の製造装置は、溶剤可溶成分及び溶剤をこの圧力が低い円筒部空間に拡散させることで溶剤の蒸発を促進する。また、上部流出管21bから排出される流体は主に気体の溶剤である。この気体の溶剤は、第1ケーシング部20aの上部では比較的速い上昇流を形成し、速やかに上部排出配管19bへ導かれる。一方、下部流出管21cから排出される溶剤可溶成分を主成分とする流体は、液体サイクロン21内の遠心力により加速され、第2ケーシング部20bの下部へ向かって勢いよく排出される。ケーシング20内のうち、この下部流出管21cの流出口より下の領域では、気化した溶剤による上昇流は比較的遅いため、この溶剤可溶成分を主成分とする流体は速やかに下部流出管21cへ排出され、気化した溶剤の上昇流に溶剤可溶成分等が混入し難い。従って、当該無灰炭の製造装置は、蒸発回収される溶剤の純度を高めることができる。
また、上述のように液体サイクロン21を用いる場合、気化した溶剤の上昇流に溶剤可溶成分等が混入し難い。一方、例えば窒素ガスを噴霧用ガスとしてフラッシュ蒸留を行う場合では、噴霧により霧散した溶剤可溶成分等が、気化した溶剤によりフラッシュ蒸留器内全体に生じる上昇流に乗って溶剤に混入することがある。フラッシュ蒸留を行う場合では、この混入を防ぐため、蒸発筒の断面積を大きくして、すなわちフラッシュ蒸留器を大型化して、上昇流を抑える必要がある。これに対して、当該無灰炭の製造装置では、液体サイクロン21を用いるので、回収される溶剤への溶剤可溶成分等の混入を抑止しつつ、装置を小型化できる。
また、上部流出管21bの流出口(上部流出口)の液体流出方向は、平面視で上記液体サイクロン21と上記第1ケーシング部20aの中心とを結ぶ直線に対して略直交していることが好ましい。このように液体サイクロン21の上部流出口を配設することで、液体サイクロン21により分離され上部流出口から排出される溶剤が第1ケーシング部20aの側壁に沿って旋回流を形成する。この旋回流により、溶剤中に残留する溶剤可溶成分等をケーシング20の側壁に沿って下降回収すると共に、溶剤をさらに蒸発し易くできる。従って、溶剤の回収率を高めると共に、回収される溶剤の純度をさらに高められる。
液体サイクロンは、噴霧用ガス等の他の気体を用いることなく、液体分から溶剤を分離できる。そのため、上記溶剤回収装置17により蒸発回収される気体は実質的に不活性ガスを含まない。すなわち、蒸発回収される気体は、その主成分が溶剤である。この蒸発回収される溶剤は、上部排出配管19bから排出される。また、液体分から溶剤を分離した後に残る溶剤可溶成分は主に下部排出配管19cから無灰炭HPCとして回収される。なお、液体サイクロン21内の流速を高め、遠心力を増すため、蒸発回収された溶剤は、過熱して、供給配管19aから導入される溶剤可溶成分を含む液体分に同伴させてもよい。
上記液体サイクロン21への供給口における上記液体分の温度としては、溶剤の沸点以上が好ましく、例えば、分離部7での温度と同等の300℃以上420℃以下とできる。
上記液体サイクロン21への供給口における上記液体分の圧力は、溶剤の蒸気圧以上が好ましく、具体的には上記液体分の圧力の下限としては、1MPaが好ましく、1.4MPaがより好ましい。一方、上記液体分の圧力は、分離部7内の圧力以下が好ましく、具体的には上記液体分の圧力の上限としては、3MPaが好ましく、2MPaがより好ましい。上記液体分の圧力が上記下限未満であると、溶剤が十分に気化せず、分離効率が低下するおそれがある。逆に、上記液体分の圧力が上限を超えると、分離部7から排出された流体をさらに昇圧する必要があり、加圧のための機器の追加が必要となるおそれがある。
上記液体サイクロン21の流出口における圧力は供給口における圧力よりも低いことが好ましく、その圧力差の下限としては、0.1MPaが好ましく、0.4MPaがより好ましい。一方、上記圧力差の上限としては、1MPaが好ましく、0.8MPaがより好ましい。上記圧力差が上記下限未満であると、溶剤と溶剤可溶成分との分離効率が低下するおそれがある。逆に、上記圧力差が上記上限を超えると、圧力差を生じさせるために必要となる遠心力が大きくなり過ぎ、溶剤回収装置17の製造設備のコストが上昇するおそれがある。
上記液体サイクロン21に流入するスラリーの流速の下限としては、3m/秒が好ましく、5m/秒がより好ましい。一方、上記スラリーの流速の上限としては、15m/秒が好ましく、10m/秒がより好ましい。上記スラリーの流速が上記下限未満であると、遠心力が不足し、溶剤と溶剤可溶成分とを十分に除去できないおそれがある。逆に、上記スラリーの流速が上記上限を超えると、製造装置のコストの上昇に対して得られる分離効果が十分に向上しなくなるおそれがある。
上部排出配管19bを通じて蒸発回収された上記溶剤は、上部排出配管19b上に配設されている熱交換器18に導入される。上記熱交換器18では、気体の溶剤と熱交換を行うことで溶剤を凝縮し液体化する。熱交換器18により回収された熱は、例えば加熱部5でスラリーの加熱に利用される。また、液体化された溶剤は、混合部3に供給し、石炭供給部1と混合する溶剤として利用できる。このように溶剤を循環利用することで、無灰炭の製造コストを低減できる。
なお、第2溶剤蒸発部についても、第1溶剤蒸発部16と同様に液体サイクロンを用いて構成できる。
〔利点〕
上記溶剤回収装置17が液体サイクロン21を備えることで、当該無灰炭の製造装置は、回収される溶剤への溶剤以外の成分の混入を抑止しつつ、溶剤回収装置17を小型化できる。また、液体サイクロン21は、噴霧用ガス等の気体を用いることなく溶剤を蒸発回収できるので、気液分離器を不要とでき、構成機器の数を減らせる。また、液体サイクロン21による溶剤回収では、ガスの噴霧等を行わないため、配管の径を絞る必要がなく、溶剤による配管の閉塞が発生し難い。このため、当該無灰炭の製造装置では、フラッシュ蒸留器に比較して安定して溶剤回収を行える。
[その他の実施形態]
なお、本発明の無灰炭の製造装置及び無灰炭の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1溶剤蒸発部及び第2溶剤蒸発部の両方が蒸発回収される気体の主成分が溶剤である溶剤回収装置を有する場合を説明したが、いずれか一方のみが蒸発回収される気体の主成分が溶剤である溶剤回収装置を有してもよい。
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1溶剤蒸発部及び第2溶剤蒸発部が同じ構成の溶剤回収装置を有する場合を説明したが、異なる溶剤回収装置を有してもよい。例えば第1溶剤蒸発部が第1実施形態で説明したフラッシュ蒸留器を有し、第2溶剤蒸発部が第2実施形態で説明した液体サイクロンを有する構成であってもよい。
また、上記実施形態では、無灰炭の製造装置の混合部が調製槽を有する構成について説明したが、この構成に限らず、溶剤と石炭との混合ができれば、調製槽を省略してもよい。例えばラインミキサーにより上記混合が完了するような場合には、調製槽を省略して供給管と分離部との間にラインミキサーを備える構成としてもよい。
また、上記実施形態では、分離工程を連続処理で行う方法を示したが、分離工程を連続処理で行なわず、例えば分離部にスラリーを貯留し分離を行うことを繰り返すバッチ処理としてもよい。
上記第2実施形態では、1対の液体サイクロンが第1ケーシング部の側壁近傍に中心軸を挟んで対称に配設される場合を説明したが、液体サイクロンの配設位置はこれに限定されない。例えば液体サイクロンは、第1ケーシング部の中心軸近傍に配設されてもよく、また中心軸を挟んで対称に配設されなくともよい。
また、上記第2実施形態において液体サイクロンの数は、1対すなわち2に限定されず、1又は3以上であってもよい。
さらに、上記第2実施形態では、液体サイクロンの上部流出管及び下部流出管がケーシング内に流出口を有する構成を説明したが、これは必須の構成ではなく、例えば上部流出管と上部排出配管とが接続され、下部流出管と下部排出配管とが接続される構成であってもよい。
以上説明したように、本発明の無灰炭の製造装置及び製造方法は、溶剤を比較的効率良く回収できると共に、溶剤蒸発部を小型化できる。従って、本発明の無灰炭の製造方法及び製造装置は、製造設備の設置スペースを低減できる。
1 石炭供給部
2 溶剤供給部
3 混合部
31 調製槽
31a 攪拌機
4 ポンプ
5 加熱部
51 加熱炉
6 溶出部
61 抽出槽
61a 攪拌機
7 分離部
8、16 第1溶剤蒸発部
9 第2溶剤蒸発部
10、17 溶剤回収装置
10a 噴霧ノズル
11 コントロールバルブ
12 ブロワー
13 予熱器
14、18 熱交換器
15a、19a 供給配管
15b、19b 上部排出配管
15c、19c 下部排出配管
15d 噴霧用ガス供給配管
15e 溶剤回収配管
20 ケーシング
20a 第1ケーシング部
20b 第2ケーシング部
21 液体サイクロン
21a 流体供給管
21b 上部流出管
21c 下部流出管

Claims (4)

  1. 石炭及び溶剤を混合する混合部と、
    上記混合部で得られたスラリー中の上記石炭から溶剤に可溶な成分を溶出させる溶出部と、
    上記溶出部で溶出後の上記スラリーを、溶剤可溶成分を含む液体分及び溶剤不溶成分を含む固形分に分離する分離部と、
    上記分離部で分離した上記液体分から溶剤を蒸発回収する第1溶剤蒸発部と、
    上記分離部で分離した上記固形分から溶剤を蒸発回収する第2溶剤蒸発部と
    を備え、
    上記第1溶剤蒸発部又は第2溶剤蒸発部が、蒸発回収される気体の主成分が溶剤である溶剤回収装置を有し、
    上記溶剤回収装置がフラッシュ蒸留器であり、
    上記フラッシュ蒸留器の噴霧用ガスとして上記第1溶剤蒸発部又は第2溶剤蒸発部で回収される溶剤を過熱して用いる無灰炭の製造装置。
  2. 上記溶剤の過熱温度が280℃以上450℃以下である請求項に記載の無灰炭の製造装置。
  3. 上記溶剤回収装置が、内部に液体サイクロンを備える請求項1に記載の無灰炭の製造装置。
  4. 上記溶剤回収装置が、その中心軸が鉛直方向となるように配設される円筒状のケーシングをさらに備え、
    上記液体サイクロンが上記円筒状ケーシングの側壁近傍に配設され、
    上記液体サイクロンの上部流出口の液体流出方向が平面視で上記液体サイクロンと上記ケーシングの中心とを結ぶ直線に対して略直交する請求項に記載の無灰炭の製造装置。
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