最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係るセンサシステムは、複数の電波センサを備え、前記電波センサは、複数種類の変調方式を用いてそれぞれ生成した複数種類の電波を送信し、前記複数の電波センサは、前記変調方式ごとに、互いに異なる期間に電波を送信する時分割送信、および互いに異なる周波数の電波を送信する周波数分割送信のうちのいずれか1つを行う。
このような構成により、たとえば、ある電波センサが、他の電波センサから送信された電波を受信してしまうような配置環境においても、ある電波センサが電波を送信する期間における他の電波センサによる電波の送信を防ぐこと、または各電波センサが用いる周波数を異ならせることができる。これにより、各電波センサが干渉電波を受信してしまうことを防ぐことができるので、対象物の検知精度を向上させることができる。したがって、対象物をより正しく検知することができる。
(2)好ましくは、前記電波センサは、前記変調方式としてFM−CW(Frequency Modulated−Continuous Wave)方式を用いて生成した電波を送信することが可能であり、前記複数の電波センサは、前記FM−CW方式について、前記時分割送信、前記周波数分割送信および周波数の掃引方向が互いに異なるような電波の送信のうちのいずれか1つを行う。
FM−CW方式では、時分割送信および周波数分割送信に加えて、周波数の掃引方向を互いに異ならせる電波の送信を行うことができる。このような送信を行うことにより、電波の送信期間の短縮を回避することで対象物の検知精度の劣化を防ぎ、かつ周波数の掃引幅の縮小を回避することで電波センサから対象物までの距離等の測定精度の劣化を防ぐことができる。
(3)好ましくは、第1の前記電波センサは、交差点から流出する車両が通過する道路の部分と横断歩道との重複エリアの少なくとも一部を含む流出エリアへ電波を送信し、第2の前記電波センサは、前記交差点へ流入する前記車両が通過する前記道路の部分と前記横断歩道との重複エリアの少なくとも一部を含む流入エリアへ電波を送信し、前記センサシステムは、さらに、前記時分割送信において、前記第1の電波センサの前記期間の長さが、前記第2の電波センサの前記期間の長さと比べて大きくなるように設定する設定部を備える。
このような構成により、歩行者および車両が交錯することが多い流出エリアへ重点的に電波を送信することができるので、各電波センサが干渉電波を受信してしまうことを防ぎながら、流出エリアにおける対象物の検知精度を向上させることができる。
(4)好ましくは、前記センサシステムは、さらに、横断歩道が設けられた交差点に設けられた信号灯器における灯色を示す信号情報を取得する信号情報取得部と、前記信号情報取得部によって取得された前記信号情報に基づいて、前記時分割送信における前記複数の電波センサの前記期間をそれぞれ設定する設定部とを備える。
このような構成により、信号灯器の灯色に基づいて横断歩道における歩行者の移動を推定することができるので、各電波センサが干渉電波を受信してしまうことを防ぎながら、横断歩道における歩行者の移動に応じた適切な電波送信期間を設定することができる。
(5)好ましくは、第1の前記電波センサは、交差点から流出する車両が通過する道路の部分と横断歩道との重複エリアの少なくとも一部を含む流出エリアへ電波を送信し、前記第1の電波センサは、受信した電波に基づいて、前記流出エリアにおける物体を検知し、第2の前記電波センサは、前記交差点へ流入する前記車両が通過する前記道路の部分と前記横断歩道との重複エリアの少なくとも一部を含む流入エリアへ電波を送信し、前記第2の電波センサは、受信した電波に基づいて、前記流入エリアにおける物体を検知し、前記センサシステムは、さらに、前記第1の電波センサによる物体の検知結果および前記第2の電波センサによる物体の検知結果に基づいて、前記時分割送信における、前記第1の電波センサの前記期間の長さおよび前記第2の電波センサの前記期間の長さを設定する設定部を備える。
このような構成により、検知結果に基づいて流入エリアおよび流出エリアにおける歩行者の移動を認識することができるので、各電波センサが干渉電波を受信してしまうことを防ぎながら、流入エリアおよび流出エリアにおける歩行者の移動に応じて、各エリアへ電波を送信する期間の長さを適切に設定することができる。
(6)好ましくは、前記電波センサは、前記変調方式としてFM−CW方式および2周波CW方式を用いてそれぞれ生成した2種類の電波を送信し、前記複数の電波センサは、前記FM−CW方式について前記時分割送信を行い、かつ前記2周波CW方式について前記周波数分割送信を行う。
このように、FM−CW方式と比較して、必要な周波数帯域が狭くかつ長い検知時間を要する2周波CW方式について周波数分割送信を行う構成により、FM−CW方式について周波数掃引幅を確保しつつ、2周波CW方式においてセンサシステムでのセンシングの時間効率を向上させることができる。
(7)好ましくは、前記電波センサは、前記変調方式としてFM−CW方式および2周波CW方式を用いてそれぞれ生成した2種類の電波を送信し、前記複数の電波センサは、前記FM−CW方式および前記2周波CW方式について前記時分割送信を行う。
このような構成により、FM−CW方式において周波数掃引幅を確保しつつ、両方式において他の干渉回避方法と比べて干渉を最も抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムの構成を示す図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムの交差点における設置例を斜め上方から見た状態を示す図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムの設置例を道路上の交差点の手前から当該交差点への方向に見た状態を示す側面図である。
図1、図2および図3を参照して、安全運転支援システム301は、センサシステム201と、中継装置141と、信号制御装置151と、無線送信装置152と、アンテナ153と、歩行者用信号灯器161とを備える。センサシステム201は、電波センサ101A,101Bと、総合処理装置(設定部および信号情報取得部)111とを備える。以下、電波センサ101A,101Bの各々を電波センサ101とも称する。なお、センサシステム201は、3つ以上の電波センサ101を備えてもよい。
安全運転支援システム301における信号制御装置151および歩行者用信号灯器161は、交通信号機を構成し、たとえば交差点CS1の近傍に設置される。
[交差点付近について]
たとえば、図2および図3に示すように、交差点CS1付近において横断歩道PC1が設けられている。ここで、横断歩道PC1が設けられている道路を対象道路Rd1と定義する。対象道路Rd1は、交差点CS1を形成する。また、交差点CS1において対象道路Rd1と交差する道路を交差道路Rd2と定義する。
すなわち、対象道路Rd1および交差道路Rd2が交差する部分が交差点CS1である。言い換えると、交差点CS1は、対象道路Rd1と重複し、かつ交差道路Rd2と重複している。なお、交差点CS1において、さらに多数の道路が交差してもよい。
対象道路Rd1は、交差点CS1から流出する図示しない自動車Tgt1が走行する流出道路Rdeと、交差点CS1へ流入する自動車Tgt1が走行する流入道路Rdiとを含む。流出道路Rdeおよび流入道路Rdiの間に、車線TrLが設けられている。
流出道路Rdeに対する流入道路Rdiの反対側の端には、対象道路Rd1に沿って延伸するように歩道Pv1が設けられている。歩道Pv1は、交差点CS1の近傍において円弧形状の隅切りCCeに沿って延伸することにより対象道路Rd1に沿う方向から交差道路Rd2に沿う方向へ延伸方向を変える。
また、流入道路Rdiに対する流出道路Rdeの反対側の端には、対象道路Rd1に沿って延伸するように歩道Pv2が設けられている。歩道Pv2は、交差点CS1の近傍において円弧形状の隅切りCCiに沿って延伸することにより対象道路Rd1に沿う方向から交差道路Rd2に沿う方向へ延伸方向を変える。
センサ設置者は、たとえば、対象エリアA1および対象エリアB1を、互いに隣接するように設定する。このような対象エリアA1およびB1の設定は、たとえば大規模な交差点に適している。
より詳細には、横断歩道PC1の近傍のエリアは、たとえば、待機エリアSAis,SAes、流出エリアSAerおよび流入エリアSAirの4つのエリアに分けることが可能である。
待機エリアSAisは、たとえば四角形状を有しており、歩道Pv2の一部であって横断歩道PC1に隣接する部分を含む。待機エリアSAisは、たとえば歩行者Tgt2の待機エリアである。
待機エリアSAesは、たとえば四角形状を有しており、歩道Pv1の一部であって横断歩道PC1に隣接する部分を含む。待機エリアSAesは、たとえば歩行者Tgt2の待機エリアである。
流出エリアSAerは、たとえば四角形状を有しており、交差点CS1から流出する車両が通過する道路の部分と横断歩道PC1との重複エリアの少なくとも一部を含む。この例では、流出エリアSAerは、横断歩道PC1および流出道路Rdeが重複するエリアを含む。流出エリアSAerは、歩行者用信号灯器161が「すすめ」を点灯しているときに、歩行者Tgt2が横断歩道PC1に沿って通過するエリアであり、かつ交差道路Rd2から右折または左折した図示しない自動車Tgt1が対象道路Rd1に沿って通過するエリアである。
流入エリアSAirは、たとえば四角形状を有しており、交差点CS1へ流入する車両が通過する道路の部分と横断歩道PC1との重複エリアの少なくとも一部を含む。この例では、流入エリアSAirは、たとえば、横断歩道PC1および流入道路Rdiが重複するエリアを含む。流入エリアSAirは、歩行者用信号灯器161が「すすめ」を点灯しているときに、歩行者Tgt2が横断歩道PC1に沿って通過するエリアである。
センサ設置者は、たとえば、待機エリアSAesおよび流出エリアSAerの各々の少なくとも一部を含むように対象エリアA1を設定する。また、センサ設置者は、たとえば、待機エリアSAisおよび流入エリアSAirの各々の少なくとも一部を含むように対象エリアB1を設定する。
[電波センサの設置位置]
電波センサ101は、たとえば対象道路Rd1付近に設置されている。具体的には、電波センサ101Aは、歩道Pv1に対して対象道路Rd1の反対側に設置された支柱PWに固定されている。より詳細には、電波センサ101Aは、横断歩道PC1の歩道Pv1側への延長線上に設けられている。
電波センサ101Bは、歩道Pv2に対して対象道路Rd1の反対側に設置された支柱PVに固定されている。より詳細には、電波センサ101Bは、横断歩道PC1の歩道Pv2側への延長線上に設けられている。
中継装置141および総合処理装置111は、支柱PWに固定されている。総合処理装置111は、電波センサ101A,101Bを制御する。
電波センサ101は、対象エリアにおける物体を対象物Tgtとして検知することが可能である。具体的には、電波センサ101は、非特許文献1(四分一 浩二、外2名、”拡大するミリ波技術の応用”、[online]、[平成28年3月22日検索]、インターネット〈URL:http://www.spc.co.jp/spc/pdf/giho21_09.pdf〉)および非特許文献2(稲葉 敬之、桐本 哲郎、”車載用ミリ波レーダ”、自動車技術、2010年2月、第64巻、第2号、P.74−79)に記載された、FM−CW(Frequency Modulated−Continuous Wave)方式および2周波CW方式を用いて対象物を検知するレーダである。また、電波センサ101は、たとえば、対象エリアにおける物体の位置を測定することが可能である。
より詳細には、電波センサ101は、対象エリアにおいて、横断歩道PC1を用いて道路を横断する歩行者Tgt2を対象物Tgtとして検知する。なお、対象物Tgtには、歩行者Tgt2の他に、対象道路Rd1に沿って走行して横断歩道PC1を通過する自動車Tgt1が含まれてもよい。
より詳細には、電波センサ101Aは、たとえば、第1の電波センサとして、総合処理装置111の制御に従って、対象エリアA1へ電波を送信する。対象エリアA1内に位置する物体、たとえば、自動車Tgt1および歩行者Tgt2等は、電波センサ101Aから送信された電波を反射する。
電波センサ101Aは、たとえば、受信した電波に基づいて、流出エリアSAerにおける物体を検知する。より詳細には、電波センサ101Aは、たとえば、受信した電波に基づいて、検知した物体の位置の測定を行い、測定結果に基づいて、流出エリアSAerおよび待機エリアSAesごとに物体を検知する。電波センサ101Aは、検知結果を示す検知情報Aを総合処理装置111へ送信する。
電波センサ101Bは、たとえば、第2の電波センサとして、総合処理装置111の制御に従って、対象エリアB1へ電波を送信する。対象エリアB1内に位置する物体は、電波センサ101Bから送信された電波を反射する。電波センサ101Bは、物体により反射された電波を受信する。
電波センサ101Bは、受信した電波に基づいて、流入エリアSAirにおける物体を検知する。より詳細には、電波センサ101Bは、受信した電波に基づいて、検知した物体の位置の測定を行い、測定結果に基づいて、流入エリアSAirおよび待機エリアSAisごとに物体を検知する。電波センサ101Bは、検知結果を示す検知情報Bを総合処理装置111へ送信する。
総合処理装置111は、電波センサ101A,101Bから検知情報A,Bをそれぞれ受信し、受信した検知情報A,Bを総合的に処理した結果を示す結果情報を中継装置141へ送信する。
中継装置141は、総合処理装置111から受信する結果情報を信号制御装置151へ送信する中継処理を行う。
信号制御装置151および無線送信装置152は、歩道Pv2に設置された支柱PVに固定されている。また、アンテナ153は、支柱PVの頂部に固定されている。2つの歩行者用信号灯器161は、支柱PWおよびPVにそれぞれ固定されている。
歩行者用信号灯器161は、信号制御装置151の制御に従って、横断歩道PC1を横断する歩行者Tgt2に対して「すすめ」または「とまれ」を点灯して表示する。
たとえば、信号制御装置151は、歩行者用信号灯器161において「すすめ」を点灯する残り時間が少ない場合において、横断歩道PC1において歩行者Tgt2を検知したことを結果情報が示すとき、残り時間の延長を行う。なお、信号制御装置151は、「すすめ」を点灯する残り時間が少ない旨を歩行者Tgt2に音声で通知してもよい。
また、信号制御装置151は、歩行者用信号灯器161において「とまれ」を点灯している場合において、横断歩道PC1において歩行者Tgt2を検知したことを結果情報が示すとき、危険である旨を歩行者Tgt2に音声で警告する。
また、信号制御装置151は、電波センサ101から受信した結果情報に基づいて自動車Tgt1に対してサービスを提供する。
具体的には、信号制御装置151は、歩行者Tgt2が横断歩道PC1に存在することを結果情報が示すとき、横断歩道PC1における歩行者Tgt2に注意すべき旨を示す歩行者警戒情報を作成し、作成した歩行者警戒情報を無線送信装置152へ送信する。
無線送信装置152は、信号制御装置151から歩行者警戒情報を受信すると、受信した歩行者警戒情報を含む電波を生成し、生成した電波をアンテナ153経由で送信することにより、交差点CS1周辺に位置する自動車Tgt1へ歩行者警戒情報を報知する。
たとえば、交差道路Rd2から右折または左折して横断歩道PC1を通過しようとする図示しない自動車Tgt1は、無線送信装置152から送信された電波を受信すると、受信した電波に含まれる歩行者警戒情報を取得し、取得した歩行者警戒情報に基づいて、横断歩道PC1における横断対象物に注意すべき旨を当該自動車Tgt1の運転者に通知する。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る各電波センサにおける電波の送信スケジュールの一例を示す図である。なお、図4において、横軸は時間を示し、縦軸は電波センサ101Aから送信される電波の周波数FA、および電波センサ101Bから送信される電波の周波数FBを示す。
図4を参照して、電波センサ101は、複数種類の変調方式を用いてそれぞれ生成した複数種類の電波を送信する。具体的には、電波センサ101は、たとえば、変調方式としてFM−CW方式および2周波CW方式を用いてそれぞれ生成した2種類の電波を送信する。
電波センサ101A,101Bは、変調方式ごとに、互いに異なる期間に電波を送信する時分割送信、および互いに異なる周波数の電波を送信する周波数分割送信のうちのいずれか1つを行う。また、電波センサ101A,101Bは、たとえば、FM−CW方式について、時分割送信、周波数分割送信および周波数の掃引方向が互いに異なるような電波の送信のうちのいずれか1つを行う。
この例では、電波センサ101A,101Bは、たとえば、FM−CW方式について時分割送信を行い、かつ2周波CW方式について周波数分割送信を行う。
より詳細には、総合処理装置111は、設定部として、時分割送信を行う時分割期間FMTDおよび周波数分割送信を行う周波数分割期間TCWFDを含む単位シーケンスUSを繰り返し設定する。
総合処理装置111は、時分割期間FMTDにおいて、電波センサ101AがFM−CW方式で電波を送信する送信期間FMA、および電波センサ101BがFM−CW方式で電波を送信する送信期間FMBをこの順番で設定する。なお、総合処理装置111は、送信期間FMAおよびFMBを当該順番の逆の順番で設定してもよい。
また、総合処理装置111は、電波センサ101A,101BがFM−CW方式で送信する電波の周波数帯域の上限周波数F1および下限周波数F2と、周波数掃引方向である増加方向と、繰り返し周期TFMとを設定する。
ここでは、送信期間FMA,FMBおよび周波数分割期間TCWFDは連続しているが、各送信期間の終了後に、電波の送信を行わないガード期間が設けられてもよい。ガード期間の長さは、たとえば、電波センサ101が検知すべき物体であって電波センサ101から最遠の位置における物体までの距離に基づいて定められる。また、送信期間FMAおよびFMBの長さは同じになっているが、任意の長さに設定することが可能である。
総合処理装置111は、周波数分割期間TCWFDにおいて、電波センサ101Aが2周波CW方式で送信する電波の周波数F3,F4(F3>F4)、電波センサ101Bが2周波CW方式で送信する電波の周波数F5,F6(F5>F6)、および繰り返し周期TTCWを設定する。ここで、電波センサ101Aが周波数F3の電波を送信する期間と電波センサ101Bが周波数F5の電波を送信する期間とが同じ期間である。また、電波センサ101Aが周波数F4の電波を送信する期間と電波センサ101Bが周波数F6の電波を送信する期間とが同じ期間である。
周波数分割期間において、電波センサ101Aが送信する電波の周波数FAと電波センサ101Bが送信する電波の周波数FBとは、たとえば所定周波数Ff以上離れるように設定される。具体的には、所定周波数Ffは、たとえば1メガヘルツである。
この例では、周波数F3とF5とは、1メガヘルツ以上離れるように設定される。同様に、周波数F4とF6とは、1メガヘルツ以上離れるように設定される。
ここで、所定周波数Ffは、電波センサ101から送信された電波の周波数成分と電波センサ101が受信する物体からの反射波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号において、検知に用いる周波数帯の上限値以上の値であればよい。上限値は、たとえば、電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った物体の移動速度Vrの取り得る値のうちの上限値を、非特許文献1における式(9)または(10)へ代入することにより得られる。
電波センサ101は、送信する電波と受信した電波とを乗算することにより差分信号を生成し、生成した差分信号をたとえば、1メガヘルツ以上の周波数成分を減衰させるローパスフィルタを通過させることにより干渉電波を除去する。
総合処理装置111は、設定した変調方式ごとの、送信期間、周波数、周波数掃引方向および繰り返し周期等の送信パラメータを示す制御情報を電波センサ101A,101Bへ送信する。送信パラメータの各値は、たとえばセンサ設置者により変更可能である。
再び図1を参照して、電波センサ101A,101Bは、たとえば同期しており、総合処理装置111から制御情報を受信すると、受信した制御情報に従って、電波を対象エリアA1,B1へそれぞれ送信する。
より詳細には、電波センサ101A,101Bは、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される電波を受信し、受信した電波に含まれる時刻情報に基づいて標準時刻を取得する。電波センサ101A,101Bは、取得した標準時刻を用いることにより同期している。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る各電波センサにおける電波の送信スケジュールの一例を示す図である。なお、図5において、横軸は時間を示し、縦軸は周波数FAおよびFBを示す。
図5を参照して、この例では、電波センサ101A,101Bは、たとえば、FM−CW方式および2周波CW方式について時分割送信を行う。
より詳細には、総合処理装置111は、設定部として、FM−CW方式について時分割送信を行う時分割期間FMTDおよび2周波CW方式について時分割送信を行う時分割期間TCWTDを含む単位シーケンスUSを繰り返し設定する。ここで、時分割期間FMTDは、図4に示す時分割期間FMTDと同様である。
総合処理装置111は、時分割期間TCWTDにおいて、電波センサ101Aが2周波CW方式で電波を送信する送信期間TCWA、電波センサ101Bが2周波CW方式で電波を送信する送信期間TCWB、および繰り返し周期TTCWを設定する。
また、総合処理装置111は、周波数分割期間TCWAおよびTCWBにおいて、電波センサ101Aおよび101Bがそれぞれ2周波CW方式で送信する電波の周波数F3,F4(F3>F4)を設定する。
総合処理装置111は、送信パラメータを示す制御情報を電波センサ101A,101Bへ送信する。
なお、総合処理装置111は、図5に示す単位シーケンスUSにおいて、送信期間FMA,FMB,TCWA,TCWBの順に設定したが、これに限らず、送信期間FMA,TCWA,FMB,TCWBの順のように任意の順に設定してもよい。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る各電波センサにおける電波の送信スケジュールの一例を示す図である。なお、図6において、横軸は時間を示し、縦軸は周波数FAおよびFBを示す。
図6を参照して、この例では、電波センサ101A,101Bは、たとえば、FM−CW方式について周波数の掃引方向が互いに異なるように電波を送信する異掃引送信を行い、かつ2周波CW方式について周波数分割送信を行う。
より詳細には、総合処理装置111は、設定部として、FM−CW方式について異掃引送信を行う異掃引期間FMSDおよび2周波CW方式について周波数分割送信を行う周波数分割期間TCWFDを含む単位シーケンスUSを繰り返し設定する。ここで、周波数分割期間TCWFDは、図4に示す周波数分割期間TCWFDと同様である。
総合処理装置111は、異掃引期間FMSDにおいて、電波センサ101A,101BがFM−CW方式で送信する電波の周波数帯域の上限値および下限値と周波数掃引方向とを設定する。この例では、総合処理装置111は、電波センサ101Aの上限値、下限値および周波数掃引方向として、それぞれ周波数F1、周波数F2および増加方向を設定する。また、総合処理装置111は、電波センサ101Bの上限値、下限値および周波数掃引方向として、それぞれ周波数F1、周波数F2および減少方向を設定する。
総合処理装置111は、送信パラメータを示す制御情報を電波センサ101A,101Bへ送信する。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る各電波センサにおける電波の送信スケジュールの一例を示す図である。なお、図7において、横軸は時間を示し、縦軸は周波数FAおよびFBを示す。
図7を参照して、この例では、電波センサ101A,101Bは、たとえば、FM−CW方式について異掃引送信を行い、かつ2周波CW方式について時分割送信を行う。
より詳細には、総合処理装置111は、設定部として、FM−CW方式について異掃引送信を行う異掃引期間FMSDおよび2周波CW方式について時分割送信を行う時分割期間TCWTDを含む単位シーケンスUSを繰り返し設定する。ここで、異掃引期間FMSDは、図6に示す異掃引期間FMSDと同様である。時分割期間TCWTDは、図5に示す時分割期間TCWTDと同様である。
総合処理装置111は、送信パラメータを示す制御情報を電波センサ101A,101Bへ送信する。
[センサシステム201の変形例1]
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る各電波センサにおける電波の送信スケジュールの一例を示す図である。なお、図8において、横軸は時間を示し、縦軸は周波数FAおよびFBを示す。
図2、図3および図8を参照して、総合処理装置111は、たとえば、設定部として、時分割送信において、電波センサ101Aの送信期間の長さが、電波センサ101Bの送信期間の長さと比べて大きくなるように設定する。
より詳細には、総合処理装置111は、時分割期間FMTDおよび時分割期間TCWTDを含む単位シーケンスUSを繰り返し設定する。
また、総合処理装置111は、時分割期間FMTDにおいて、送信期間FMAの長さが送信期間FMBの長さと比べて大きくなるように送信期間FMAおよびFMBを設定する。
同様に、総合処理装置111は、時分割期間TCWTDにおいて、送信期間TCWAの長さが送信期間TCWBの長さと比べて大きくなるように送信期間TCWAおよびTCWBを設定する。
このような構成により、歩行者Tgt2および自動車Tgt1が交錯することが多い流出エリアSAerへ重点的に電波を送信することができるので、流出エリアSAerにおける対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。
[センサシステム201の変形例2]
再び図1を参照して、総合処理装置111は、たとえば、信号情報取得部として、横断歩道PC1が設けられた交差点CS1に設けられた歩行者用信号灯器161における灯色を示す信号情報を取得する。
具体的には、総合処理装置111は、複数の歩行者用信号灯器161における「青」および「赤」等の各灯色を点灯するための発光体に印加される電圧を信号情報として所定時間Tiごとに取得し、取得した信号情報に基づいて各信号灯器における各灯色の点灯状態を監視する。
総合処理装置111は、監視結果に基づいて、対象エリアA1,B1に含まれる横断歩道PC1に用いられる歩行者用信号灯器161(以下、対象信号灯器とも称する。)の灯色が赤色から青色に変化するタイミングtrbを取得する。
なお、総合処理装置111は、歩行者用信号灯器161における各灯色を点灯するための発光体に印加される各電圧を信号情報として取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。
たとえば、図1に示す信号制御装置151が、歩行者用信号灯器161および図示しない車両用交通信号灯器の現在の灯色が赤色から青色に切替わるまでの時間を示す信号時間情報を無線送信装置152へ送信し、無線送信装置152が信号制御装置151から受信した信号時間情報を電波に含めてアンテナ153経由で送信する場合がある。このような場合、総合処理装置111は、たとえば当該電波を受信し、受信した電波に含まれる信号時間情報を信号情報として取得してもよい。
また、総合処理装置111は、信号制御装置151が歩行者用信号灯器161および図示しない車両用交通信号灯器の灯色を制御するためのデジタル値である制御情報を、信号情報として当該信号制御装置151から中継装置141経由で取得してもよいし、当該信号制御装置151から直接取得してもよい。
また、信号制御装置151が、図示しない中央装置から受信する指示情報に従って、歩行者用信号灯器161および図示しない車両用交通信号灯器の灯色を制御する場合がある。このような場合、総合処理装置111は、たとえば当該指示情報を信号情報として取得してもよい。
総合処理装置111は、たとえば、設定部として、取得した信号情報に基づいて、時分割送信における電波センサ101A,101Bの送信期間をそれぞれ設定する。
より詳細には、総合処理装置111は、タイミングtrbから所定時間Tb1経過するまで、電波センサ101Aの送信期間の長さが、電波センサ101Bの送信期間の長さと比べて大きくなるように設定する。具体的には、総合処理装置111は、たとえば図8に示す送信スケジュールを作成する。
また、総合処理装置111は、タイミングtrbから所定時間Tb1経過したタイミング以降において、たとえば、電波センサ101Aの送信期間の長さと電波センサ101Bの送信期間の長さとが同じになるように設定する。具体的には、総合処理装置111は、たとえば図5に示す送信スケジュールを作成する。
このような構成により、待機エリアSAisから歩き出した歩行者Tgt2が流出エリアSAerまで到達しない可能性が高く、かつ待機エリアSAesから歩き出した歩行者Tgt2と自動車Tgt1とが交錯する可能性が高い、対象信号灯器の灯色が「赤」から「青」に切り替わってから所定時間Tb1経過するまでの時間帯において流出エリアSAerへ重点的に電波を送信することができるので、当該時間帯の流出エリアSAerにおける対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。
[センサシステム201の変形例3]
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る各電波センサにおける電波の送信スケジュールの一例を示す図である。なお、図9において、横軸は時間を示し、縦軸は周波数FAおよびFBを示す。
総合処理装置111は、たとえば、設定部として、電波センサ101Aによる物体の検知結果および電波センサ101Bによる物体の検知結果に基づいて、時分割送信における、電波センサ101Aの送信期間の長さおよび電波センサ101Bの送信期間の長さを設定する。
具体的には、総合処理装置111は、たとえば、電波センサ101A,101Bからそれぞれ受信する検知情報A,Bに基づいて、流出エリアSAerと比べて、流入エリアSAirにおいてより多数の物体を検知したと判断すると、図9に示すように、電波センサ101Bの送信期間の長さが、電波センサ101Aの送信期間の長さと比べて大きくなるように設定する。
より詳細には、総合処理装置111は、時分割期間FMTDにおいて、送信期間FMBの長さが送信期間FMAの長さと比べて大きくなるように送信期間FMBおよびFMAを設定する。
同様に、総合処理装置111は、時分割期間TCWTDにおいて、送信期間TCWBの長さが送信期間TCWAの長さと比べて大きくなるように送信期間TCWBおよびTCWAを設定する。
また、総合処理装置111は、たとえば、検知情報A,Bに基づいて、流入エリアSAirと比べて、流出エリアSAerにおいてより多数の物体を検知したと判断すると、図8に示すように、電波センサ101Aの送信期間の長さが、電波センサ101Bの送信期間の長さと比べて大きくなるように設定する。
また、総合処理装置111は、たとえば、検知情報A,Bに基づいて、流入エリアSAirおよび流出エリアSAerにおいて略同数の物体を検知したと判断すると、図5に示すように、電波センサ101Aの送信期間の長さと電波センサ101Bの送信期間の長さとが同じになるように設定する。
なお、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、電波センサ101は、2周波CW方式およびFM−CW方式の変調方式を用いて生成した電波を送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサ101は、1周波CW方式、パルス方式または2周波ICW(Interrupted CW)方式等の変調方式を用いて生成した電波を送信する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、電波センサ101A,101Bは、総合処理装置111による制御に従って、FM−CW方式について時分割送信および異掃引送信を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサ101A,101Bは、FM−CW方式について周波数分割送信を行う構成であってもよい。この場合、電波センサ101Aから送信される電波の周波数帯域と電波センサ101Bから送信される電波の周波数帯域とが重複していても、電波センサ101A,101Bからそれぞれ送信される電波の周波数は、各タイミングにおいて所定周波数離れていればよい。しかしながら、電波センサ101から送信される電波の周波数帯域が狭くなると距離の測定分解能が落ちてしまうので、FM−CW方式について時分割送信または異掃引送信を行う構成が好ましい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、総合処理装置111は、電波センサ101と一体化されていない構成であるとしたが、これに限定するものではない。総合処理装置111は、いずれかの電波センサ101と一体化された構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、総合処理装置111は、設定部として機能する構成であるとしたが、これに限定するものではない。複数の電波センサ101のうちのいずれか1つが、設定部として機能する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、総合処理装置111は、信号情報取得部として機能する構成であるとしたが、これに限定するものではない。複数の電波センサ101のうちのいずれか1つが、信号情報取得部として機能する構成であってもよい。
ところで、たとえば、ドライバーの安全運転を支援するための安全運転支援システムの一例である右折時歩行者衝突防止支援システムでは、交差点における各横断歩道における歩行者および車両等の対象物を検知すること、または対象物の検知精度を向上すること等を目的として、特許文献1に記載の歩行者感知器すなわち電波センサが、交差点の近傍に複数設けられることがある。
このように、複数の電波センサが交差点に設けられる場合、ある電波センサが、他の電波センサから送信された電波を受信してしまうことがある。このような場合、電波センサでは、他の電波センサから受信した電波が干渉電波として作用し、横断歩道における対象物を正しく検知することが困難となる。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、電波センサ101は、複数種類の変調方式を用いてそれぞれ生成した複数種類の電波を送信する。そして、複数の電波センサ101は、変調方式ごとに、互いに異なる期間に電波を送信する時分割送信、および互いに異なる周波数の電波を送信する周波数分割送信のうちのいずれか1つを行う。
このような構成により、たとえば、ある電波センサ101が、他の電波センサ101から送信された電波を受信してしまうような配置環境においても、ある電波センサ101が電波を送信する期間における他の電波センサ101による電波の送信を防ぐこと、または各電波センサ101が用いる周波数を異ならせることができる。これにより、各電波センサ101が干渉電波を受信してしまうことを防ぐことができるので、対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。したがって、対象物をより正しく検知することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、電波センサ101は、変調方式としてFM−CW方式を用いて生成した電波を送信することが可能である。そして、複数の電波センサ101は、FM−CW方式について、時分割送信、周波数分割送信および周波数の掃引方向が互いに異なるような電波の送信のうちのいずれか1つを行う。
FM−CW方式では、時分割送信および周波数分割送信に加えて、周波数の掃引方向を互いに異ならせる電波の送信を行うことができる。このような送信を行うことにより、電波の送信期間の短縮を回避することで対象物Tgtの検知精度の劣化を防ぎ、かつ周波数の掃引幅の縮小を回避することで電波センサ101から対象物Tgtまでの距離等の測定精度の劣化を防ぐことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、電波センサ101Aは、交差点CS1から流出する車両が通過する道路Rd1の部分と横断歩道PC1との重複エリアの少なくとも一部を含む流出エリアSAerへ電波を送信する。電波センサ101Bは、交差点CS1へ流入する車両が通過する道路Rd1の部分と横断歩道PC1との重複エリアの少なくとも一部を含む流入エリアSAirへ電波を送信する。そして、総合処理装置111は、設定部として、時分割送信において、電波センサ101Aの送信期間の長さが、電波センサ101Bの送信期間の長さと比べて大きくなるように設定する。
このような構成により、歩行者Tgt2および自動車Tgt1が交錯することが多い流出エリアSAerへ重点的に電波を送信することができるので、各電波センサ101が干渉電波を受信してしまうことを防ぎながら、流出エリアSAerにおける対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、総合処理装置111は、信号情報取得部として、横断歩道PC1が設けられた交差点CS1に設けられた歩行者用信号灯器161における灯色を示す信号情報を取得する。そして、総合処理装置111は、設定部として、取得した信号情報に基づいて、時分割送信における複数の電波センサ101の送信期間をそれぞれ設定する。
このような構成により、歩行者用信号灯器161の灯色に基づいて横断歩道PC1における歩行者Tgt2の移動を推定することができるので、各電波センサ101が干渉電波を受信してしまうことを防ぎながら、横断歩道PC1における歩行者Tgt2の移動に応じた適切な電波送信期間を設定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、電波センサ101Aは、交差点CS1から流出する車両が通過する道路Rd1の部分と横断歩道PC1との重複エリアの少なくとも一部を含む流出エリアSAerへ電波を送信する。電波センサ101Aは、受信した電波に基づいて、流出エリアSAerにおける物体を検知する。電波センサ101Bは、交差点CS1へ流入する車両が通過する道路Rd1の部分と横断歩道PC1との重複エリアの少なくとも一部を含む流入エリアSAirへ電波を送信する。電波センサ101Bは、受信した電波に基づいて、流入エリアASirにおける物体を検知する。そして、総合処理装置111は、設定部として、電波センサ101Aによる物体の検知結果および電波センサ101Bによる物体の検知結果に基づいて、時分割送信における、電波センサ101Aの送信期間の長さおよび電波センサ101Bの送信期間の長さを設定する。
このような構成により、検知結果に基づいて流入エリアSAirおよび流出エリアSAerにおける歩行者Tgt2の移動を認識することができるので、各電波センサ101が干渉電波を受信してしまうことを防ぎながら、流入エリアSAirおよび流出エリアSAerにおける歩行者Tgt2の移動に応じて、各エリアへ電波を送信する期間の長さを適切に設定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、電波センサ101は、変調方式としてFM−CW方式および2周波CW方式を用いてそれぞれ生成した2種類の電波を送信する。そして、複数の電波センサ101は、FM−CW方式について時分割送信を行い、かつ2周波CW方式について周波数分割送信を行う。
このように、FM−CW方式と比較して、必要な周波数帯域が狭くかつ長い検知時間を要する2周波CW方式について周波数分割送信を行う構成により、FM−CW方式について周波数掃引幅を確保しつつ、2周波CW方式においてセンサシステム201でのセンシングの時間効率を向上させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係るセンサシステムでは、電波センサ101は、変調方式としてFM−CW方式および2周波CW方式を用いてそれぞれ生成した2種類の電波を送信する。そして、複数の電波センサ101は、FM−CW方式および2周波CW方式について時分割送信を行う。
このような構成により、FM−CW方式において周波数掃引幅を確保しつつ、両方式において他の干渉回避方法と比べて干渉を最も抑制することができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係るセンサシステムと比べて複数の電波センサがそれぞれ異なる横断歩道へ電波を送信するセンサシステムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係るセンサシステムと同様である。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る安全運転支援システムの交差点における設置例を上方から見た状態を示す図である。
図10を参照して、安全運転支援システム302は、センサシステム202と、中継装置141と、信号制御装置151と、無線送信装置152と、アンテナ153と、歩行者用信号灯器161とを備える。センサシステム202は、前述の電波センサ101である電波センサ101A,101B,101C,101Dと、総合処理装置(設定部および信号情報取得部)111とを備える。なお、センサシステム202は、2つ、3つまたは5つ以上の電波センサ101を備えてもよい。
安全運転支援システム302における中継装置141、信号制御装置151、無線送信装置152、アンテナ153および歩行者用信号灯器161の動作は、図1に示す安全運転支援システム301における中継装置141、信号制御装置151、無線送信装置152、アンテナ153および歩行者用信号灯器161とそれぞれ同様である。
横断歩道PC1,PC3は、交差点CS1を挟んで対向し、かつ道路Rd3を横断するように設けられる。横断歩道PC2,PC4は、交差点CS1を挟んで対向し、かつ交差点CS1において道路Rd3と交差する道路Rd4を横断するように設けられる。また、横断歩道PC1〜PC4は、交差点CS1を上方から見て反時計回りにこの順番で設けられている。
道路Rd3は、交差点CS1から流出する自動車Tgt1が走行する流出道路Rde31,Rde32と、交差点CS1へ流入する自動車Tgt1が走行する流入道路Rdi31,Rdi32とを含む。
道路Rd4は、交差点CS1から流出する自動車Tgt1が走行する流出道路Rde41,Rde42と、交差点CS1へ流入する自動車Tgt1が走行する流入道路Rdi41,Rdi42とを含む。
センサ設置者は、たとえば、横断歩道PC1,PC2,PC3,PC4をそれぞれ含むように対象エリアA1,B1,C1,D1を設定する。より詳細には、対象エリアA1には、横断歩道PC1の流出道路Rde31側における歩道Pv1の一部であり、かつ横断歩道PC1に隣接する待機エリアと横断歩道PC1とが含まれる。対象エリアB1,C1,D1についても、対象エリアA1と同様である。このような対象エリアA1,B1,C1,D1の設定は、たとえば小規模な交差点に適している。
電波センサ101Aは、横断歩道PC1の流出道路Rde31側すなわち歩道Pv1側への延長線上に設けられている。電波センサ101Bは、横断歩道PC2の流出道路Rde41側すなわち歩道Pv2側への延長線上に設けられている。電波センサ101Cは、横断歩道PC3の流出道路Rde32側すなわち歩道Pv3側への延長線上に設けられている。電波センサ101Dは、横断歩道PC4の流出道路Rde42側すなわち歩道Pv4側への延長線上に設けられている。
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る各電波センサにおける電波の送信スケジュールの一例を示す図である。なお、図11において、横軸は時間を示す。
図11を参照して、総合処理装置111は、たとえば、信号情報取得部として、横断歩道PC1〜PC4が設けられた交差点CS1に設けられた歩行者用信号灯器161における灯色を示す信号情報を取得する。
総合処理装置111は、取得した信号情報に基づいて、電波センサ101A,101Cがそれぞれ対象とする対象エリアA1,C1に対応する歩行者用信号灯器161が、「青」の灯色を点灯する期間BAC、および「青」の灯色を点滅する期間YAC、ならびにすべての歩行者用信号灯器161が「赤」の灯色を点灯する期間AR1を認識する。
また、総合処理装置111は、取得した信号情報に基づいて、電波センサ101B,101Dがそれぞれ対象とする対象エリアB1,D1に対応する歩行者用信号灯器161が、「青」の灯色を点灯する期間BBD、および「青」の灯色を点滅する期間YBD、ならびにすべての歩行者用信号灯器161が「赤」の灯色を点灯する期間AR2を認識する。
ここで、対象エリアA1,C1に対応する歩行者用信号灯器161は、期間BBDおよびYBDにおいて「赤」の灯色を点灯する。また、対象エリアB1,D1に対応する歩行者用信号灯器161は、期間BACおよびYACにおいて「赤」の灯色を点灯する。
総合処理装置111は、たとえば、設定部として、取得した信号情報に基づいて、時分割送信における電波センサ101A〜101Dの送信期間をそれぞれ設定する。
より詳細には、総合処理装置111は、期間BACおよびYACを、電波センサ101A,101Cが電波を送信すべき送信期間TACとして設定するとともに、期間AR1、BBD、YBDおよびAR2を、電波センサ101A,101Cが電波の送信を停止すべき停止期間HACとして設定する。
総合処理装置111は、送信期間TACにおいて、たとえば、電波センサ101A,101Cが、図4〜図7のいずれか1つに示すような送信を行うように送信パラメータを設定する。
このような構成により、電波センサ101A,101C間の電波干渉をより確実に抑制することができる。
また、総合処理装置111は、期間BBDおよびYBDを、電波センサ101B,101Dが電波を送信すべき送信期間TBDとして設定するとともに、期間AR2、BAC、YACおよびAR1を、電波センサ101B,101Dが電波の送信を停止すべき停止期間HBDとして設定する。
総合処理装置111は、送信期間TBDにおいて、たとえば、電波センサ101B,101Dが、図4〜図7のいずれか1つに示すような送信を行うように送信パラメータを設定する。
このような構成により、電波センサ101B,101D間の電波干渉をより確実に抑制することができる。
総合処理装置111は、送信期間TACおよび停止期間HACと送信期間TBDおよび停止期間HBDとを含む単位シーケンスUS2を繰り返し設定する。
総合処理装置111は、送信パラメータを示す制御情報を電波センサ101A〜101Dへ送信する。
電波センサ101A,101B,101C,101Dは、総合処理装置111から制御情報を受信すると、受信した制御情報に従って、電波を対象エリアA1,B1,C1,D1へそれぞれ送信する。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係るセンサシステムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
なお、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る各装置の構成要素および動作のうち、一部または全部を適宜組み合わせることも可能である。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
複数の電波センサを備え、
前記電波センサは、複数種類の変調方式を用いてそれぞれ生成した複数種類の電波を送信し、
前記複数の電波センサは、前記変調方式ごとに、互いに異なる期間に電波を送信する時分割送信、および互いに異なる周波数の電波を送信する周波数分割送信のうちのいずれか1つを行い、
電波センサは、FM−CW方式、1周波CW方式、2周波CW方式、パルス方式および2周波ICW方式のうちの少なくともいずれか2つの変調方式を用いてそれぞれ生成した複数種類の電波を送信し、
前記複数の電波センサは、1つの横断歩道へ電波を送信するか、または複数の横断歩道へそれぞれ電波を送信する、センサシステム。