最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る電波センサは、パルス状の電波であるパルス電波を対象エリアへ送信し、n(nは1以上の整数)種類の周波数の上記パルス電波を所定の順番で送信する送信部と、上記対象エリアからの電波を受信する受信部と、上記受信部が受信した電波、および受信したタイミングに基づいて、上記対象エリアにおける検知対象を検知する検知部とを備え、上記送信部は、上記パルス電波の送信間隔を変更可能である。
このような構成により、電波センサがパルス電波を送信する送信タイミングと干渉波となる他の電波センサまたは電波センサ以外の装置により送信される電波を受信するタイミングとの関係が固定化される状況を回避し、干渉波を受信するタイミングを送信タイミングに対して分散させることができる。これにより、いずれの受信タイミングにおいても干渉の影響が緩和されるので、誤検知を抑制し、検知精度を向上させることができる。
また、たとえば、2周波CW方式またはFMCW方式を用いる他の電波センサに与える干渉の影響を低減することができる。
(2)好ましくは、上記送信部は、上記n種類の周波数の上記パルス電波の送信を周期的に行い、上記パルス電波の送信周期ごとに上記送信間隔を変更する。
このような構成により、たとえば、複数の電波センサが同じ送信間隔でパルス電波を継続して送信してしまうことを回避することができるので、送信タイミングと干渉波を受信するタイミングとの関係が固定化される状況をより確実に回避することができる。
また、送信周期におけるn種類の周波数のパルス電波の送信間隔を同じにすることができるので、受信した電波に基づく信号処理の負担を軽減することができる。
(3)好ましくは、上記送信部は、上記受信部が受信した電波に関する所定条件が満たされた場合に上記送信間隔を変更する。
このような構成により、電波センサの受信状況に応じて送信間隔を変更することができるので、干渉波を受信した場合等において送信間隔を柔軟に変更することができる。また、所定条件が満たされるまで同じ送信間隔を継続して用いることができるので、送信間隔の変更に伴う処理負荷を軽減することができる。
(4)好ましくは、上記検知部は、上記送信部による上記パルス電波の送信終了から次の上記パルス電波の送信開始までの受信期間において等間隔に設定された複数の設定タイミングについて、上記受信期間のいずれの上記設定タイミングにおいて電波を受信したか、および受信した上記電波に基づいて、上記対象エリアにおける検知対象を検知し、上記検知部は、2つ以上の上記設定タイミングごとに、かつ、上記受信期間における上記設定タイミングの数が偶数の場合には奇数個の上記設定タイミングごとに、上記受信期間における上記設定タイミングの数が奇数の場合には、上記受信期間における上記設定タイミングの数と異なる奇数個の上記設定タイミングごとに、上記受信部が受信した電波に基づいて上記検知対象の検知を行う。
このように、受信する電波をサンプリングする間隔を広くし、かつ受信期間において設定された複数の設定タイミングを万遍なくサンプリングする構成により、受信する電波を低いサンプリング周波数で正しくサンプリングすることができるので、電波センサのA/Dコンバータ等のコストを下げることができる。
(5)好ましくは、上記nは2以上の整数であり、上記送信部は、同じ周波数の上記パルス電波を繰り返し送信し、上記パルス電波の送信終了から次の上記パルス電波の送信開始までの受信期間において等間隔に設定された複数の設定タイミングについて、上記受信期間におけるすべての順番の上記設定タイミングにおいて受信された電波に基づいて上記検知対象の検知がそれぞれ行われると、上記パルス電波の周波数を変更する。
このような構成により、周波数ごとに検知処理を完結することができるので、検知処理が複雑化することを回避することができる。たとえば、受信する電波を低いサンプリング周波数でサンプリングする場合、すべての順番の設定タイミングにおいて受信する電波のサンプリングを周波数ごとに行うことができるので、サンプリングしたデータの並べ替え処理を軽減することができる。
(6)好ましくは、上記nは2以上の整数である。
このように、波長が異なる複数種類のパルス電波を用いる構成により、波長が異なる電波間の位相差の情報を取得することができるので、たとえば、取得した位相差の情報に基づいて電波センサから検知対象までの距離を算出することができる。
(7)本発明の実施の形態に係る検知方法は、電波センサにおける検知方法であって、パルス状の電波であるパルス電波を対象エリアへ送信するステップを含み、上記パルス電波を送信するステップにおいては、n(nは1以上の整数)種類の周波数の上記パルス電波を所定の順番で送信し、上記検知方法は、さらに、上記対象エリアからの電波を受信するステップと、受信した電波、および受信したタイミングに基づいて、上記対象エリアにおける検知対象を検知するステップと、上記パルス電波の送信間隔を変更するステップと、変更後の上記送信間隔で上記n種類の周波数の上記パルス電波を上記所定の順番で送信するステップとを含む。
このような構成により、電波センサがパルス電波を送信する送信タイミングと干渉波となる他の電波センサまたは電波センサ以外の装置により送信される電波を受信するタイミングとの関係が固定化される状況を回避し、干渉波を受信するタイミングを送信タイミングに対して分散させることができる。これにより、いずれの受信タイミングにおいても干渉の影響が緩和されるので、誤検知を抑制し、検知精度を向上させることができる。
また、たとえば、2周波CW方式またはFMCW方式を用いる他の電波センサに与える干渉の影響を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムの構成を示す図である。
図1を参照して、信号制御システム201は、電波センサ101と、信号制御装置151と、歩行者用信号灯器161とを備える。信号制御システム201における信号制御装置151および歩行者用信号灯器161は、交通信号機を構成し、たとえば交差点CS1の近傍に設置される。
電波センサ101は、対象エリアA1において移動する検知対象Tgtを検知する動体検知センサとして機能する。ここで、対象エリアA1は、たとえば、電波センサ101の設置者であるセンサ設置者が設定するエリアである。
具体的には、図1に示すように、センサ設置者は、たとえば、道路Rd1を隔てて設置された歩道Pv1,Pv2の間に位置する横断歩道PC1を移動する歩行者Tgt2および自動車Tgt1を検知対象Tgtとする場合、横断歩道PC1の全部を含むエリアを対象エリアA1として設定する。なお、センサ設置者は、たとえば、電波センサ101が自動車に取り付けられる場合において、当該自動車の前方に位置する歩行者Tgt2および自動車Tgt1を検知対象Tgtとするとき、当該自動車の前方の所定範囲を対象エリアA1として設定する。
電波センサ101は、たとえば交差点CS1へ延びる道路Rd1付近に設置されている。具体的には、電波センサ101は、たとえば道路Rd1付近に設置された支柱P1に固定されている。
歩行者用信号灯器161および信号制御装置151は、たとえば支柱P1に固定されている。電波センサ101および信号制御装置151は、たとえば図示しない信号線で接続されている。信号制御装置151および歩行者用信号灯器161は、たとえば図示しない信号線で接続されている。なお、電波センサ101は、道路Rd1上に設置されてもよいし、自動車に搭載されてもよい。
電波センサ101は、たとえば検知対象Tgtにより反射された電波に基づいて対象エリアA1における検知対象Tgtを検出する。より詳細には、電波センサ101は、たとえば信号制御装置151の制御に従って、横断歩道PC1を含む対象エリアA1へ電波を送信する。検知対象Tgtは、具体的には、自動車Tgt1および歩行者Tgt2等である。検知対象Tgtは、たとえば対象エリアA1内において移動しており、電波センサ101から送信される電波を反射する。
電波センサ101は、たとえば、対象エリアA1からの電波を受信し、受信した電波に基づいて対象エリアA1における検知対象Tgtを検出する。具体的には、電波センサ101は、受信した電波に基づいて、検知対象Tgtの検出対象速度vd、自己から検知対象Tgtまでの対象距離Lおよび反射強度Ir等の測定結果を算出し、算出した測定結果を信号制御装置151へ送信する。ここで、検出対象速度vdは、検知対象Tgtの電波センサ101に対する相対速度の成分のうち、電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った成分である。検出対象速度vdの詳細については後述する。
歩行者用信号灯器161は、信号制御装置151の制御に従って、たとえば横断歩道PC1を横断する歩行者Tgt2に対して「すすめ」または「とまれ」を点灯して表示する。
信号制御装置151は、電波センサ101から測定結果を受信すると、受信した測定結果に基づいて歩行者用信号灯器161を制御する。
たとえば、信号制御装置151は、歩行者用信号灯器161において「すすめ」を点灯する残り時間が少ない場合、検知対象Tgtの種類に応じた処理を行う。具体的には、信号制御装置151は、たとえば、電波センサ101から受信した測定結果が検知対象Tgtの種類が人間であることを示すとき、残り時間の延長を行う。なお、信号制御装置151は、たとえば、「すすめ」を点灯する残り時間が少ない旨を歩行者Tgt2に音声で通知してもよい。また、信号制御装置151は、たとえば、測定結果が検知対象Tgtの種類が車両であることを示すとき、残り時間の延長を行わない。
また、信号制御装置151は、たとえば、歩行者用信号灯器161において「とまれ」を点灯している場合において、測定結果が検知対象Tgtの種類が人間であることを示すとき、危険である旨を歩行者Tgt2に音声で警告する。
なお、信号制御装置151は、電波センサ101から受信する測定結果に基づいて自動車Tgt1に対してサービスを提供してもよい。具体的には、信号制御装置151は、測定結果が検知対象Tgtの種類が人間であることを示すとき、たとえば、横断歩道PC1における歩行者Tgt2に注意すべき旨の警告を自動車Tgt1に与える。
[課題]
図2は、比較例としてのFMCW方式を用いる電波センサおよび2周波CW方式を用いる電波センサから送信される電波の周波数の時間変化の一例を示す図である。
図2を参照して、ffmcw(t)は、たとえば、FMCW方式を用いる電波センサ901から送信される電波の周波数の時間変化を示す。また、f2cw(t)は、たとえば、2周波CW方式を用いる電波センサ902から送信される電波の周波数の時間変化を示す。
一般に、ffmcw(t)の周波数のレンジすなわちffmcw(t)の上限の周波数fUと下限の周波数fLとの差は、200メガヘルツ以上に設定される。一方、f2cw(t)の周波数f2と周波数f1との差は、数百キロヘルツ程度に設定される。
ffmcw(t)の周波数のレンジは大きいので、たとえば図2に示すように、f2cw(t)の周波数f2および周波数f1が当該レンジ内に含まれる場合が多い。
このような場合、たとえば、電波センサ901から送信される電波の周波数と電波センサ902から送信される電波の周波数とが頻繁に一致してしまう。具体的には、タイミングti1〜ti6において、電波センサ901から送信される電波の周波数と電波センサ902から送信される電波の周波数とが一致する。
たとえば、電波センサ902は、タイミングti1の前後において、周波数f2周辺の周波数の電波を電波センサ901から受信してしまう。たとえば、電波センサ902が、測定期間Tm1において継続して、受信した電波のサンプリングを行う場合、サンプリング結果には電波センサ901から送信された電波による干渉の影響が含まれる。このため、電波センサ902において、検知対象を正しく検知することができなくなることがある。測定期間Tm2,Tm4〜Tm7においても同様に、電波センサ902において、検知対象を正しく検知することができなくなることがある。
そこで、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、以下のような構成および動作により、このような課題を解決する。
[電波センサの構成]
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムにおける電波センサの構成を示す図である。
図3を参照して、電波センサ101は、送信部1と、受信部2と、信号処理部3と、検知部4と、初期値設定部5とを備える。送信部1は、電波出力制御部11と、サンプリング制御部12と、パルス電波生成部13と、パワーアンプ15と、送信アンテナ16とを含む。パルス電波生成部13は、電圧発生部18と、電圧制御発振器19と、ミキサ20と、パルス発生部21とを含む。受信部2は、受信アンテナ22と、ローノイズアンプ23と、ミキサ24と、IF(Intermediate Frequency)アンプ25と、ローパスフィルタ26と、A/Dコンバータ(ADC)27とを含む。
電波センサ101は、たとえば2周波スタガICW(Stagger Interrupted Continuous−Wave)方式を用いる電波センサである。電波センサ101における初期値設定部5は、たとえば、自己の電波センサ101が対象エリアA1において移動する検知対象Tgtを検知する際に用いる測定パラメータを設定する。
測定パラメータは、たとえば、センサ設置者により設定される。測定パラメータには、たとえば、周波数f1,f2、最小送信間隔Tlpri(least pulse repetition interval)、パルス幅Tp、観測時間Tcpiおよび距離ゲート幅Tg等が含まれる。測定パラメータの詳細については後述する。
(送信間隔の変更)
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る送信部が送信する電波の送信シーケンスの一例を示す図である。
図3および図4を参照して、送信部1は、たとえば、パルス状の電波であるパルス電波であって、2種類の周波数のパルス電波を生成し、生成したパルス電波を所定の順番で対象エリアA1へ送信する。ここで、所定の順番とは、2種類の周波数のパルス電波を並行して送信しないことを意味する。また、送信部1は、パルス電波の送信間隔を変更可能である。
具体的には、送信部1における電波出力制御部11は、たとえば、2種類の周波数のパルス電波が周期的に生成されるようにパルス電波生成部13を制御する。また、電波出力制御部11は、たとえば、パルス電波の送信周期ごとに送信間隔を変更する。
より詳細には、電波出力制御部11は、たとえば、初期値設定部5において設定された測定パラメータに基づいて、高速フーリエ変換処理の対象とする時間スペクトルを取得すべき観測時間Tcpiにおいて、以下の処理を行う。すなわち、電波出力制御部11は、たとえば、パルス電波生成部13を制御することによりパルス電波生成部13に周波数f1またはf2、およびパルス幅Tpを有するパルス電波をそれぞれM回生成させる。
具体的な送信シーケンスとして、電波出力制御部11は、たとえば、送信周期Tt[m]における送信間隔Tint[m]を以下のように決定する。ここで、mはゼロからM−1までの整数である。
すなわち、電波出力制御部11は、たとえば、最小送信間隔Tlpriにランダムな時間ΔTrdm[0]を加えた時間を、ゼロ番目の送信周期Tt[0]における送信間隔Tint[0]として決定する。
ここで、最小送信間隔Tlpriは、たとえば、電波センサ101がパルス電波を送信する間隔であって、電波センサ101がパルス電波を送信してから対象エリアA1内を移動する検知対象Tgtにより反射された反射波を受信するまでの時間差ΔTより長くなるように設定される。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが用いる距離ゲート幅に基づいて設定される検知エリア、および対象エリアの一例を示す図である。
図5を参照して、たとえば、半径がc×Tlpri/2の電波センサ101を中心とする円の中に対象エリアA1が含まれるように最小送信間隔Tlpriを設定すれば、時間差ΔTを最小送信間隔Tlpriより短くすることができる。これにより、電波センサ101がパルス電波を送信してから反射波を受信するまでの時間を時間差ΔTとして一義的に求めることができる。したがって、電波センサ101は、曖昧性を生ずることなく時間差ΔTを求めることができる。
再び図3および図4を参照して、電波出力制御部11は、たとえば、最小送信間隔Tlpriにランダムな時間ΔTrdm[1]を加えた時間を1番目の送信周期Tt[1]における送信間隔Tint[1]として決定する。電波出力制御部11は、2番目から(M−1)番目の送信周期Tt[2]〜送信周期Tt[M−1]のそれぞれの送信間隔Tint[2]〜Tint[M−1]についても同様に決定する。
なお、電波出力制御部11は、観測時間Tcpiが開始される前に各送信周期における送信間隔を決定してもよいし、観測時間Tcpi中に各送信周期における送信間隔を順次決定してもよい。
(送信シーケンス)
電波出力制御部11は、たとえば、観測時間Tcpiの開始タイミング、すなわち観測時間Tcpiにおける最初の送信周期である送信周期Tt[0]の開始タイミングt1(m=0)において、以下の処理を行う。すなわち、電波出力制御部11は、たとえば、観測開始信号を信号処理部3へ出力するとともに、f1パルス生成命令を信号処理部3、サンプリング制御部12およびパルス電波生成部13へ出力する。
タイミングt1(m=0)からパルス幅Tp経過するまで周波数f1のパルス電波が電波センサ101から送信される。そして、電波出力制御部11は、たとえば、f1パルス生成命令を出力してから送信間隔Tint[0]が経過したタイミングt2(m=0)において、f2パルス生成命令を信号処理部3、サンプリング制御部12およびパルス電波生成部13へ出力する。
タイミングt2(m=0)からパルス幅Tp経過するまで周波数f2のパルス電波が電波センサ101から送信される。そして、電波出力制御部11は、たとえば、f2パルス生成命令を出力してから送信間隔Tint[0]経過したタイミングt1(m=1)において、f1パルス生成命令を信号処理部3、サンプリング制御部12およびパルス電波生成部13へ出力する。
以下、m番目の送信周期Tt[m]において、周波数f1のパルス電波の送信終了から次のパルス電波である周波数f2のパルス電波の送信開始までの期間を受信期間Tf1[m]とも称する。言い換えると、m番目の送信周期Tt[m]において、f1パルス生成命令の出力タイミング後、パルス幅Tpに相当する時間が経過してからf2パルス生成命令の出力タイミングまでの期間が受信期間Tf1[m]である。
また、m番目の送信周期Tt[m]において、周波数f2のパルス電波の送信終了から次のパルス電波である周波数f1のパルス電波の送信開始までの期間を受信期間Tf2[m]とも称する。言い換えると、m番目の送信周期Tt[m]におけるf2パルス生成命令の出力タイミング後、パルス幅Tpに相当する時間が経過してから次の送信周期Tt[m+1]におけるf1パルス生成命令の出力タイミングまでの期間が受信期間Tf2[m]である。
電波センサ101では、受信期間Tf1[0],Tf2[0]において、受信した電波のサンプリングがたとえば等間隔で行われる。電波出力制御部11は、送信周期Tt[0]が満了すると、送信間隔をTint[0]からTint[1]に変更する。
電波出力制御部11は、送信周期Tt[1]〜Tt[M−1]においても送信間隔Tint[1]〜Tint[M−1]にそれぞれ基づいてf1パルス生成命令およびf2パルス生成命令を信号処理部3、サンプリング制御部12およびパルス電波生成部13へ同様に出力する。
電波出力制御部11は、たとえば、観測時間Tcpiの終了タイミングtendにおいて、観測終了信号を信号処理部3へ出力する。
(送信パルス電波の送信)
パルス電波生成部13は、電波出力制御部11から受けるf1パルス生成命令およびf2パルス生成命令に基づいて送信パルス電波を生成し、生成した送信パルス電波をパワーアンプ15および送信アンテナ16経由で対象エリアA1へ送信する。
具体的には、パルス電波生成部13は、電波出力制御部11から受けるf1パルス生成命令およびf2パルス生成命令に従って、観測時間Tcpiにおいてたとえば24GHz帯の周波数f1またはf2、およびパルス幅Tpを有する送信パルス電波すなわちミリ波の送信パルス電波をそれぞれM回生成する。
なお、パルス電波生成部13は、たとえば60GHz帯、76GHz帯または79GHz帯の周波数を有する送信パルス電波を生成してもよい。また、パルス電波生成部13は、たとえばミリ波帯より周波数の低いマイクロ波帯の周波数を有する送信パルス電波を生成してもよいし、また、ミリ波帯より周波数の高いテラヘルツ帯の周波数を有する送信パルス電波を生成してもよい。
より詳細には、パルス電波生成部13における電圧発生部18は、たとえば、初期値設定部5により設定された周波数f1,f2の電波を電圧制御発振器19に発生させるための制御電圧Vf1,Vf2をそれぞれ設定する。
電圧発生部18は、たとえば、電波出力制御部11からf1パルス生成命令を受けると、制御電圧Vf1を生成し、生成した制御電圧Vf1を電圧制御発振器19へ継続して出力する。また、電圧発生部18は、たとえば、電波出力制御部11からf2パルス生成命令を受けると、制御電圧Vf2を生成し、生成した制御電圧Vf2を電圧制御発振器19へ継続して出力する。
電圧制御発振器19は、具体的にはVCO(Voltage−controlled oscillator)であり、電圧発生部18から受ける制御電圧Vf1,Vf2に応じた周波数を有するミリ波帯の送信波を生成する。
より詳細には、電圧制御発振器19は、たとえば、送信周期Tt[m]においてf1パルス生成命令に基づく制御電圧Vf1を電圧発生部18から受けている間、以下の式(1)に示す周波数f1を有する送信波T1cm(t)を生成する。
ここで、φ1mは初期位相である。式(1)および以下の式中におけるtは時刻を表す。また、電圧制御発振器19は、たとえば、送信周期Tt[m]においてf2パルス生成命令に基づく制御電圧Vf2を電圧発生部18から受けている間、以下の式(2)に示す周波数f2を有する送信波T2cm(t)を生成する。
ここで、φ2mは初期位相である。なお、送信波T1cm(t)の振幅および送信波T2cm(t)の振幅はたとえば共にAである。電圧制御発振器19は、生成した送信波T1cm(t),T2cm(t)をミキサ20および受信部2へ出力する。
パルス発生部21は、電波出力制御部11から受けるf1パルス生成命令およびf2パルス生成命令に従って、初期値設定部5により設定されたパルス幅Tpを有するパルス信号を生成し、生成したパルス信号をミキサ20へ出力する。なお、パルス幅Tpは、たとえば対象距離Lの測定精度に応じて適宜設定される。
ミキサ20は、電圧制御発振器19から受ける送信波T1cm(t)またはT2cm(t)とパルス発生部21から受けるパルス信号とを乗算することにより送信パルス電波を生成し、生成した送信パルス電波をパワーアンプ15へ出力する。
より詳細には、ミキサ20は、たとえば、送信周期Tt[m]においてf1パルス生成命令に基づくパルス信号を受けている間、送信波T1cm(t)と当該パルス信号とを乗算することにより周波数f1の送信パルス電波T1pm(t)を生成する。
ミキサ20は、たとえば、f1パルス生成命令に基づくパルス信号を受けている間、生成した送信パルス電波T1pm(t)をパワーアンプ15へ出力する。ミキサ20は、たとえば、f1パルス生成命令に基づくパルス信号を受け終わってから、f2パルス生成命令に基づくパルス信号を受けるまで電波を出力しない。
ミキサ20は、たとえば、送信周期Tt[m]においてf2パルス生成命令に基づくパルス信号を受けている間、送信波T2cm(t)と当該パルス信号とを乗算することにより周波数f2の送信パルス電波T2pm(t)を生成する。
ミキサ20は、たとえば、f2パルス生成命令に基づくパルス信号を受けている間、生成した送信パルス電波T2pm(t)をパワーアンプ15へ出力する。ミキサ20は、たとえば、f2パルス生成命令に基づくパルス信号を受け終わってから、次の送信周期Tt[m+1]においてf1パルス生成命令に基づくパルス信号を受けるまで電波を出力しない。
パワーアンプ15は、ミキサ20から受ける送信パルス電波T1pm(t),T2pm(t)を増幅し、送信アンテナ16へ出力する。
送信アンテナ16は、パワーアンプ15から受ける送信パルス電波T1pm(t),T2pm(t)を対象エリアA1へ送信する。送信アンテナ16は、図1に示すように、たとえば送信波の指向性の方向Dirが横断歩道PC1の横断方向に沿うように設置される。ここで、送信波の指向性の方向Dirは、たとえば電波センサ101から対象エリアA1の中心Ctrへの方向である。
好ましくは、送信アンテナ16は、たとえば、横断歩道PC1面に対して送信波の指向性の方向Dirを当該面の法線方向に射影した方向と、歩行者Tgt2が対象エリアA1における横断歩道PC1を移動する方向vmすなわち方向vm2とが平行または反平行になるように設置される。
(送信パルス電波の反射波の受信)
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る送信アンテナ、受信アンテナおよび検知対象の配置の一例を示す図である。
図6を参照して、受信部2は、対象エリアA1からの電波を受信する。具体的には、受信部2における受信アンテナ22は、対象エリアA1からのミリ波すなわち反射波を受信する。ここで、受信アンテナ22は、たとえば、対象エリアA1における検知対象Tgtが送信パルス電波T1pm(t)またはT2pm(t)を反射することによりそれぞれ生成される反射波である反射パルス電波を受信可能な構成であればよい。
具体的には、受信アンテナ22は、送信アンテナ16と同じアンテナであってもよいし、異なるアンテナであってもよい。なお、送信アンテナ16および受信アンテナ22が別々のアンテナである場合、受信アンテナ22は、送信アンテナ16から離れた位置に配置されてもよいが、電波センサ101の構成を簡易にするために送信アンテナ16の近傍に配置されることが好ましい。
受信アンテナ22が受信する反射パルス電波には、たとえば、対象エリアA1内を移動する検知対象Tgtの表面が送信アンテナ16により送信された送信パルス電波T1pm(t)またはT2pm(t)を反射することによって発生するドップラー反射波が含まれる。
ここで、受信アンテナ22に対する検知対象Tgtの速度を相対速度vtと定義する。また、相対速度vtの成分のうち、電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った成分を検出対象速度vdと定義する。言い換えると、検出対象速度vdは、検知対象Tgtから受信アンテナ22への方向の単位ベクトルndと相対速度vtとの内積に相当する。
なお、電波センサ101は、たとえば支柱P1等の地面に対して動かないものに固定されていてもよいし、地面に対して動くものに固定されていてもよい。たとえば電波センサ101が支柱P1に固定されている場合、受信アンテナ22および対象エリアA1は地面に対して固定されるので、相対速度vtは、検知対象Tgtの地面に対する相対速度でもある。
受信アンテナ22が受信する検知対象Tgtにおける表面からのドップラー反射波の周波数f1rは、たとえば、送信パルス電波T1pm(t)の周波数f1に対して、検知対象Tgtの検出対象速度vdに応じてシフトする。また、ドップラー反射波の振幅は、検知対象Tgtの反射断面積に応じた振幅となる。
より詳細には、送信波T1cm(t)が式(1)により表される場合において、たとえば受信アンテナ22が送信アンテナ16の近傍に配置されているとき、検知対象Tgtの表面が送信波T1cm(t)に基づく送信パルス電波T1pm(t)を反射することによって発生するドップラー反射波は、稲葉 敬之、桐本 哲郎、”車載用ミリ波レーダ”、自動車技術、2010年2月、第64巻、第2号、P.74−79(非特許文献1)または四分一 浩二、外2名、”拡大するミリ波技術の応用”、[online]、[平成26年2月12日検索]、インターネット〈URL:http://www.spc.co.jp/spc/pdf/giho21_09.pdf〉(非特許文献2)に示すように以下の式(3)により表される。
ここで、Lは対象距離である。cは光速である。aはたとえば振幅A、送信アンテナ16および受信アンテナ22のアンテナゲイン、送信パルス電波の波長、対象距離Lならびに反射断面積等により定まる値である。
ドップラー反射波R1dpm(t)の周波数f1rは、式(3)に示すように、送信パルス電波T1pm(t)の周波数f1に対して、f1×(2×vd/c)を加えた周波数となる。具体的には、検知対象Tgtが受信アンテナ22へ近づく方向へ移動するとき、vdが正となるので周波数f1rは周波数f1より高くなり、また、検知対象Tgtが受信アンテナ22から遠ざかる方向へ移動するとき、vdが負となるので周波数f1rは周波数f1より低くなる。
受信アンテナ22が受信する反射パルス電波R1pm(t)には、一般に、ドップラー反射波R1dpm(t)、および検知対象Tgt以外の部分からの非ドップラー反射波R1ndpm(t)が含まれる。したがって、反射パルス電波R1pm(t)は、ドップラー反射波R1dpm(t)および非ドップラー反射波R1ndpm(t)の重ね合わせとなり、以下の式(4)により表される。
ここで、検知対象Tgt以外のものの検出対象速度がゼロである状況、すなわち非ドップラー反射波R1ndpm(t)の周波数がT1pm(t)の周波数f1と同じである状況を想定する。
同様に、受信部2は、送信アンテナ16から送信される送信波T2cm(t)に基づく送信パルス電波T2pm(t)から生成される反射パルス電波として、式(3)および式(4)と同様に導出される、以下の式(5)に示す反射パルス電波R2pm(t)を受信する。
再び図3を参照して、ローノイズアンプ23は、受信アンテナ22が受信した反射パルス電波R1pm(t),R2pm(t)を増幅し、ミキサ24へ出力する。
ミキサ24は、パルス電波生成部13から受ける送信波T1cm(t),T2cm(t)と、ローノイズアンプ23から受ける反射パルス電波R1pm(t),R2pm(t)とをそれぞれ乗算することにより、以下の信号を生成する。
すなわち、ミキサ24は、受信期間Tf1[m]において、送信波T1cm(t)と反射パルス電波R1pm(t)とを乗算することにより、送信波T1cm(t)の周波数成分と反射パルス電波R1pm(t)の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号および両周波数成分の和の周波数成分を有する和周波信号を生成する。
より詳細には、ミキサ24が受信期間Tf1[m]において送信波T1cm(t)および反射パルス電波R1pm(t)から生成する差分信号B1pm(t)は、以下の式(6)により表される。
ここで、B1dpm(t)は、送信波T1cm(t)とドップラー反射波R1dpm(t)とから生成される差分信号である。Kは差分信号B1dpm(t)の振幅である。−4π×f1×L/cが遅延位相θ1である。2×f1×vd/cがドップラー周波数f1dである。また、D1は、送信波T1cm(t)と非ドップラー反射波R1ndpm(t)とから生成される差分信号であり、非ドップラー反射波R1ndpm(t)の周波数が送信波T1cm(t)の周波数f1と同じであるため、直流成分となる。
また、ミキサ24は、受信期間Tf2[m]において、送信波T2cm(t)と反射パルス電波R2pm(t)とを乗算することにより、送信波T2cm(t)の周波数成分と反射パルス電波R2pm(t)の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号および両周波数成分の和の周波数成分を有する和周波信号を生成する。
より詳細には、ミキサ24が受信期間Tf2[m]において送信波T2cm(t)と反射パルス電波R2pm(t)とから生成する差分信号B2pm(t)は、以下の式(7)により表される。
ここで、B2dpm(t)は、送信波T2cm(t)とドップラー反射波R2dpm(t)とから生成される差分信号である。Kは差分信号B2dpm(t)の振幅である。−4π×f2×L/cが遅延位相θ2である。2×f2×vd/cがドップラー周波数f2dである。また、D2は、送信波T2cm(t)と非ドップラー反射波R2ndpm(t)とから生成される差分信号であり、非ドップラー反射波R2ndpm(t)の周波数が送信波T2cm(t)の周波数f2と同じであるため、直流成分となる。
ミキサ24は、生成した差分信号B1pm(t),B2pm(t)および和周波信号をIFアンプ25へ出力する。
IFアンプ25は、たとえば低周波数帯から中間周波数帯にかけて大きな増幅率を有するアンプであり、ミキサ24において生成された差分信号B1pm(t),B2pm(t)および和周波信号のうち差分信号B1pm(t),B2pm(t)を大きな増幅率で増幅し、増幅した差分信号B1pm(t),B2pm(t)をローパスフィルタ26へ出力する。
ローパスフィルタ26は、IFアンプ25において増幅された差分信号B1pm(t),B2pm(t)の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分、たとえば1kHz以上の成分を減衰させる。
(サンプリングタイミング)
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが距離ゲート幅に基づいて、受信する電波をサンプリングするタイミングの一例を示す図である。
図7には、図4に示す観測時間Tcpiにおける各送信周期のうちのたとえばm番目の送信周期Tt[m]における、それぞれ周波数f1,f2を有する送信パルス電波T1pm(t),T2pm(t)が送信される期間、受信期間Tf1[m],Tf2[m]およびサンプリングタイミングt1(m),t10〜t16,t2(m),t20〜t26,t1(m+1)が示される。
送信部1におけるサンプリング制御部12は、受信期間Tf1[m=0〜(M−1)],Tf2[m=0〜(M−1)]において等間隔の複数の設定タイミングを設定する。以下、「m=0〜(M−1)」を「mall」とも称する。
具体的には、サンプリング制御部12は、たとえば、初期値設定部5により設定された距離ゲート幅Tgごとに設定タイミングを設定し、設定した設定タイミングにおいて、サンプリングタイミングを示すタイミング信号を生成する。
距離ゲート幅Tgは、たとえばパルス幅Tpと同じ幅を有する。なお、距離ゲート幅Tgは、たとえば、パルス幅Tpより広い幅を有してもよいし、また、パルス幅Tpより狭い幅を有してもよい。
たとえば、距離ゲート幅Tgをパルス幅Tpより大きく設定すると、信号処理の負荷が軽くなる一方、受信期間Tf1[m],Tf2[m]に含まれるサンプリングタイミングの数が減少するため対象距離Lの算出精度が劣化する。また、たとえば、距離ゲート幅Tgをパルス幅Tpより狭くしても、対象距離Lの算出精度は向上しない上に、信号処理の負荷が増大してしまう。このため、たとえば距離ゲート幅Tgをパルス幅Tpと同じ幅に設定することにより、信号処理の負荷を無意味に増やすことなく対象距離Lの算出精度を向上させることができる。
サンプリング制御部12は、たとえば、タイミングt1(m)において電波出力制御部11からf1パルス生成命令を受けると、タイミングt1(m)から距離ゲート幅Tgごとに設定タイミングを設定する。
サンプリング制御部12は、たとえば、タイミングt1(m)においてタイミング信号を受信部2におけるA/Dコンバータ27へ出力する。
そして、サンプリング制御部12は、たとえば、タイミングt1(m)からパルス幅Tpすなわち距離ゲート幅Tgに相当する時間が経過したタイミングt10において、A/Dコンバータ27へタイミング信号を出力するとともに、送信周期Tt[m]における受信期間Tf1[m]の開始を認識する。
この後、サンプリング制御部12は、たとえば、距離ゲート幅Tgに相当する時間が経過するごとに、具体的にはタイミングt11〜t16において、タイミング信号をA/Dコンバータ27へ出力する。
サンプリング制御部12は、たとえば、タイミングt2(m)において電波出力制御部11からf2パルス生成命令を受けると、A/Dコンバータ27へタイミング信号を出力するともに、受信期間Tf1[m]の終了を認識する。
そして、サンプリング制御部12は、たとえば、タイミングt2(m)から距離ゲート幅Tgに相当する時間が経過したタイミングt20において、A/Dコンバータ27へタイミング信号を出力するとともに、受信期間Tf2[m]の開始を認識する。
この後、サンプリング制御部12は、たとえば、距離ゲート幅Tgに相当する時間が経過するごとに、具体的にはタイミングt21〜t26において、タイミング信号をA/Dコンバータ27へ出力する。
サンプリング制御部12は、たとえば、タイミングt1(m+1)において電波出力制御部11からf1パルス生成命令を受けると、A/Dコンバータ27へタイミング信号を出力するともに、受信期間Tf2[m]の終了を認識する。
A/Dコンバータ27は、たとえばサンプリング制御部12の制御に従って、ローパスフィルタ26を通過した差分信号B1pm(t),B2pm(t)のサンプリング処理を行う。具体的には、A/Dコンバータ27は、たとえばサンプリング制御部12からタイミング信号を受けると、差分信号B1pm(t),B2pm(t)をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を信号処理部3へ出力する。
以下、上記のように、送信パルス電波が送信されるタイミングに基づくサンプリングタイミングを距離ゲートとも称する。具体的には、たとえば、受信期間Tf1[m]における8つのサンプリングタイミングt10〜t16,t2(m)が距離ゲートG1(m,0)〜G1(m,7)にそれぞれ相当する。また、たとえば、受信期間Tf2[m]における8つのサンプリングタイミングt20〜t26,t1(m+1)が距離ゲートG2(m,0)〜G2(m,7)にそれぞれ相当する。
(FFT処理)
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける信号処理部の構成を示す図である。図9は、本発明の第1の実施の形態に係る信号処理部において処理されるデジタル信号の一例を示す図である。
図8および図9を参照して、信号処理部3は、第1バッファ31と、第2バッファ32と、バッファ制御部33と、FFT処理部34とを含む。
信号処理部3は、たとえば、A/Dコンバータ27から受けるデジタル信号のうち、差分信号の種類ごとにデジタル信号を時系列順に並べながら観測時間Tcpi蓄積し、蓄積したデジタル信号を高速フーリエ変換処理した後、検知部4へ出力する。
具体的には、信号処理部3におけるバッファ制御部33は、電波出力制御部11から受ける観測開始信号、観測終了信号、f1パルス生成命令およびf2パルス生成命令に基づいて、A/Dコンバータ27から受ける最小送信間隔Tlpri分のデジタル信号を第1バッファ31および第2バッファ32に選択的に蓄積する。
より詳細には、バッファ制御部33は、たとえば、A/Dコンバータ27から受けるデジタル信号のうち、観測時間Tcpiの開始タイミングから終了タイミングまでの差分信号B1pm(t)に基づくデジタル信号を時系列順に第1バッファ31に蓄積する。また、バッファ制御部33は、たとえば、A/Dコンバータ27から受けるデジタル信号のうち、観測時間Tcpiの開始タイミングから終了タイミングまでの差分信号B2pm(t)に基づくデジタル信号を時系列順に第2バッファ32に蓄積する。
たとえば、バッファ制御部33は、観測開始信号およびf1パルス生成命令を受けた後、初期値設定部5において設定されたパルス幅Tpに相当する時間が経過してからf2パルス生成命令を受けるまでの間、すなわち送信周期Tt[0]の受信期間Tf1[0]においてA/Dコンバータ27から順次受ける最小送信間隔Tlpri分のデジタル信号を第1バッファ31に選択的に蓄積する。
具体的には、バッファ制御部33は、たとえば、図9に示すように、受信期間Tf1[0]においてA/Dコンバータ27から順次受けるデジタル信号のうちの最初のkmax個のデジタル信号を、1次元の配列すなわち列ベクトルである差分デジタル信号Bd1[k][m=0]として第1バッファ31に蓄積する。ここで、kは、ゼロ〜(kmax−1)の整数であって、デジタル信号を受ける順にインクリメントする。また、kmaxは、たとえば最小送信間隔Tlpriを距離ゲート幅Tgで除した値に設定される。以下、「k=0〜(kmax−1)」を「kall」とも称する。
言い換えると、第1バッファ31には、たとえば図7に示す距離ゲートG1(m=0,k=0)〜G1(m=0,k=kmax−1)においてサンプリングされたデジタル信号が差分デジタル信号Bd1[kall][m=0]として蓄積される。
また、バッファ制御部33は、たとえば、f2パルス生成命令を受けた後、パルス幅Tpに相当する時間経過してからf1パルス生成命令を受けるまでの間、すなわち送信周期Tt[0]の受信期間Tf2[0]においてA/Dコンバータ27から順次受ける最小送信間隔Tlpri分のデジタル信号を第2バッファ32に選択的に蓄積する。
具体的には、バッファ制御部33は、たとえば、図示しないが、最小送信間隔Tlpri分のデジタル信号を1次元の配列すなわち列ベクトルである差分デジタル信号Bd2[k][m=0]として第2バッファ32に蓄積する。ここで、kは、ゼロ〜(kmax−1)の整数であって、デジタル信号を受ける順にインクリメントする。
言い換えると、第2バッファ32には、たとえば図7に示す距離ゲートG2(m=0,k=0)〜G2(m=0,k=kmax−1)においてサンプリングされたデジタル信号が差分デジタル信号Bd2[kall][m=0]として蓄積される。
バッファ制御部33は、たとえば、送信周期Tt[1]の受信期間Tf1[1]においてA/Dコンバータ27から順次受ける最小送信間隔Tlpri分のデジタル信号を、図9に示すように、差分デジタル信号Bd1[kall][m=1]として第1バッファ31に蓄積する。
言い換えると、第1バッファ31には、たとえば図7に示す距離ゲートG1(m=1,k=0)〜G1(m=1,k=kmax−1)においてサンプリングされたデジタル信号が差分デジタル信号Bd1[kall][m=1]としてさらに蓄積される。
また、バッファ制御部33は、たとえば、受信期間Tf2[1]においてA/Dコンバータ27から順次受ける最小送信間隔Tlpri分のデジタル信号を、図示しないが、差分デジタル信号Bd2[kall][m=1]として第2バッファ32に蓄積する。
言い換えると、第2バッファ32には、たとえば図7に示す距離ゲートG2(m=1,k=0)〜G2(m=1,k=kmax−1)においてサンプリングされたデジタル信号が差分デジタル信号Bd2[kall][m=1]としてさらに蓄積される。
以降、バッファ制御部33は、送信周期Tt[m]においてA/Dコンバータ27から順次受ける最小送信間隔Tlpri分のデジタル信号を差分デジタル信号Bd1[kall][m]またはBd2[kall][m]として第1バッファ31または第2バッファ32にそれぞれ蓄積する。
バッファ制御部33は、たとえば、送信周期Tt[M−1]において、f1パルス生成命令を受けた後、パルス幅Tpに相当する時間が経過してからf2パルス生成命令を受けるまでの間、すなわち受信期間Tf1[M−1]にA/Dコンバータ27から順次受ける最小送信間隔Tlpri分のデジタル信号を、図9に示すように、差分デジタル信号Bd1[kall][m=M−1]として第1バッファ31に蓄積する。
また、バッファ制御部33は、たとえば、f2パルス生成命令を受けた後、パルス幅Tpに相当する時間経過してから観測終了信号およびf1パルス生成命令を受けるまでの間、すなわち送信周期Tt[M−1]の受信期間Tf2[M−1]においてA/Dコンバータ27から順次受ける最小送信間隔Tlpri分のデジタル信号を、図示しないが、差分デジタル信号Bd2[kall][m=M−1]として第2バッファ32に蓄積する。
したがって、観測時間Tcpiが終了するタイミングにおいて、第1バッファ31および第2バッファ32には、それぞれ2次元の配列すなわち行列である差分デジタル信号Bd1[kall][mall]およびBd2[kall][mall]が蓄積される。
たとえば、差分デジタル信号Bd1[k1][mall]には、k1番目の距離ゲートにおいてサンプリングされた、観測時間cpiにわたる差分信号B1pm(t)の時間分布を示す1次元の配列すなわち行ベクトルである時間スペクトルTS1[k1]が含まれる。時間スペクトルTS1[k1]には、たとえば、TS1[k1][m=0]〜TS1[k1][m=M−1]のM個のデジタル信号が含まれる。
k1は、たとえばゼロ〜(kmax−1)までの整数の値をとることが可能であるので、差分デジタル信号Bd1[kall][mall]には、各距離ゲートにおいてサンプリングされたkmax個の時間スペクトルTS1[kall]が含まれる。
したがって、観測時間Tcpiが終了するタイミングにおいて、第1バッファ31および第2バッファ32には、kmax個の時間スペクトルTS1[kall]およびkmax個の時間スペクトルTS2[kall]がそれぞれ蓄積される。
バッファ制御部33は、たとえば、観測時間Tcpiが満了すると、時間スペクトルTS1[kall]および時間スペクトルTS2[kall]をFFT処理部34へ出力する。
FFT処理部34は、第1バッファ31から受ける時間スペクトルTS1[kall]を距離ゲートごとすなわちkごとに高速フーリエ変換する。具体的には、FFT処理部34は、たとえばk1番目の時間スペクトルであるTS1[k1]を高速フーリエ変換することにより、1次元の配列すなわち行ベクトルである、ドップラースペクトルDS1[k1]および位相スペクトルPS1[k1]を周波数分布情報として作成する。
FFT処理部34が高速フーリエ変換処理の対象とする時間スペクトルTS1[k1]はたとえば離散的なデータであるので、ドップラースペクトルDS1[k1]および位相スペクトルPS1[k1]は、離散的なデータにより構成される。なお、FFT処理部34は、たとえば、連続的な時間スペクトルを高速フーリエ変換処理の対象としてもよい。
したがって、FFT処理部34は、時間スペクトルTS1[kall]を高速フーリエ変換することにより、ドップラースペクトルDS1[kall]および位相スペクトルPS1[kall]を作成する。
たとえば、k1番目のドップラースペクトルであるDS1[k1]は、観測時間Tcpiにおけるk1番目の距離ゲートの時間スペクトルTS1[k1]に含まれる各周波数成分の振幅を示す。
ドップラースペクトルDS1[k1]には、たとえば、DS1[k1][b=0〜(M−1)]のM個のデジタル信号が含まれる。以下、「b=0〜(M−1)」を「ball」とも称する。
ドップラースペクトルDS1[k1][ball]のデータ間隔dfすなわちドップラースペクトルの分解能は、たとえば観測時間Tcpiの逆数程度である。また、たとえば,インデックスb=b1に対応する周波数すなわちドップラー周波数f1dは、df×b1である。したがって、ドップラースペクトルDS1[k1][b1]の値は、k1番目の距離ゲートのドップラースペクトルにおける周波数(df・b1)を有する成分の振幅である。
また、たとえば、k1番目の位相スペクトルであるPS1[k1]は、観測時間Tcpiにおけるk1番目の距離ゲートの時間スペクトルTS1[k1]に含まれる各周波数成分の位相を示す。
位相スペクトルPS1[k1]には、たとえば、PS1[k1][ball]のM個のデジタル信号が含まれる。したがって、位相スペクトルPS1[k1][b1]の値は、k1番目の距離ゲートの位相スペクトルにおける周波数(df・b1)を有する成分の位相である。
FFT処理部34は、作成したドップラースペクトルDS1[kall],DS2[kall]および位相スペクトルPS1[kall],PS2[kall]を検知部4へ出力する。
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける検知部の構成を示す図である。
図10を参照して、検知部4は、対象波形取得部35と、暫定位相差取得部36と、速度取得部37と、距離取得部38と、検知結果出力部39とを含む。
検知部4は、受信部2が受信した電波、および受信したタイミングに基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtを検知する。
言い換えると、検知部4は、受信部2が受信した電波の強度および周波数分布、ならびに受信期間のいずれのタイミングで電波を受信したかに基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtを検知する。
より詳細には、検知部4は、たとえば、m1番目の受信期間Tf1[m1]または受信期間Tf2[m1]において等間隔に設定された複数の設定タイミングについて、それぞれ受信期間Tf1[m1]または受信期間Tf2[m1]のいずれの設定タイミングにおいて電波を受信したか、および受信した電波に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtを検知する。言い換えると、検知部4は、たとえば、受信期間Tf1[m1]または受信期間Tf2[m1]を分割した複数の距離ゲートの各々において、受信部2が受信した電波ごとに、対象エリアA1における検知対象Tgtを検知する。
具体的には、検知部4は、受信期間Tf1[m1]または受信期間Tf2[m1]のいずれの距離ゲートにおいて電波を受信したか、ならびに受信した電波の強度、周波数および位相に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtを検知するとともに、対象距離Lおよび検出対象速度vdを算出する。
より詳細には、検知部4は、たとえば、信号処理部3から受けるドップラースペクトルDS1[kall],DS2[kall]および位相スペクトルPS1[kall],PS2[kall]に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtを検知するとともに、対象距離Lおよび検出対象速度vdを算出する。
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る検知部における対象波形取得部が取得する対象波形の一例を模式的に示す図である。
図10および図11を参照して、検知部4における対象波形取得部35は、たとえば、k1番目のドップラースペクトルDS1[k1]における各周波数成分の振幅すなわち反射強度Irと所定のしきい値Thaとの大小関係に基づいて、ドップラースペクトルDS1[k1]の一部または全部である対象波形W[k1]を取得する。
具体的には、対象波形取得部35は、信号処理部3から受けるドップラースペクトルDS1[k1]に含まれるM個のデジタル信号であるDS1[k1][ball]において、しきい値Tha以上の反射強度Irを有し、かつ連続するデジタル信号を対象波形W[k1]として取得する。なお、対象波形取得部35は、たとえば、1つの対象波形を取得してもよいし、複数の対象波形を取得してもよい。
たとえば、図11に示す対象波形W[k1]には2つのピークが含まれる。なお、対象波形W[k1]には、1つのピークが含まれてもよいし、3つ以上のピークが含まれてもよい。
たとえば、k1番目のドップラースペクトルDS1[k1]における対象波形W[k1]に含まれるピークのうち、反射強度Irが最大のピークをメインピークMp[k1]と定義する。また、対象波形[k1]のメインピークMp[k1]のドップラー周波数f1dをメインピーク周波数fMp[k1]と定義する。また、メインピークMp[k1]の反射強度Irを対象波形強度Irt[k1]と定義する。
具体的には、たとえば、対象波形W[k1]に含まれるデジタル信号のうち、最も反射強度Irが大きいデジタル信号がDS1[k1][b1]である場合、メインピーク周波数fMp[k1]は、たとえばインデックスb1にdfを乗じたものに相当する。また、対象波形強度Irt[k1]は、たとえばDS1[k1][b1]の値に相当する。
対象波形取得部35は、k1としてゼロ〜(kmax−1)までのドップラースペクトルDS1[k1]について対象波形W[k1]をそれぞれ取得する、すなわち対象波形W[kall]を取得する。
対象波形取得部35は、対象波形W[kall]を取得すると、取得した対象波形W[kall]に基づいて対象波形強度Irt[kall]およびメインピーク周波数fMp[kall]をそれぞれ算出する。
対象波形取得部35は、算出した対象波形強度Irt[kall]を検知結果出力部39へ出力する。また、対象波形取得部35は、算出したメインピーク周波数fMp[kall]を暫定位相差取得部36および速度取得部37へ出力する。
なお、対象波形取得部35は、たとえば、k1番目のドップラースペクトルであるDS1[k1]から対象波形W[k1]を取得できない場合、対象波形強度Irt[k1]およびメインピーク周波数fMp[k1]としてヌルをそれぞれ出力する。また、対象波形取得部35は、ドップラースペクトルDS1[kall]から対象波形W[kall]をそれぞれ取得する代わりに、たとえばドップラースペクトルDS2[kall]から対象波形W[kall]をそれぞれ取得してもよい。
速度取得部37は、対象波形取得部35から受けるメインピーク周波数fMp[kall]に基づいて、検知対象Tgtの移動速度すなわち検出対象速度を距離ゲートごとに取得する。
具体的には、速度取得部37は、たとえば、式(6)に基づく以下に示す式(8)を用いて、k1番目のメインピーク周波数であるfMp[k1]から検出対象速度vd[k1]を算出する。
速度取得部37は、k1としてゼロ〜(kmax−1)までのメインピーク周波数fMp[k1]から検出対象速度vd[k1]をそれぞれ算出する、すなわちvd[kall]を算出する。速度取得部37は、算出した検出対象速度vd[kall]を検知結果出力部39へ出力する。
暫定位相差取得部36は、対象波形取得部35からメインピーク周波数fMp[kall]を受けると、受けたメインピーク周波数fMp[kall]、および位相スペクトルPS1[kall],PS2[kall]に基づいて暫定位相差を取得する。
具体的には、暫定位相差取得部36は、たとえば、k1番目の位相スペクトルPS1[k1]に含まれるM個のデジタル信号であるPS1[k1][ball]において、PS1[k1][fMp[k1]/df]をメインピーク周波数fMp[k1]の周波数成分の位相を示すθ1[k1]として取得する。
また、暫定位相差取得部36は、たとえば、k1番目の位相スペクトルPS2[k1]に含まれるM個のデジタル信号であるPS2[k1][ball]において、PS2[k1][fMp[k1]/df]をメインピーク周波数fMp[k1]の周波数成分の位相を示すθ2[k1]として取得する。
暫定位相差取得部36は、取得した位相の差である(θ1[k1]−θ2[k1])を暫定的にα[k1](0≦α<2π)とすることによりα[k1]+2qπを暫定位相差Δθ[k1]として算出する。ここで、qは次数であり、ゼロ以上の整数である。
暫定位相差取得部36は、k1としてゼロ〜(kmax−1)までのメインピーク周波数fMp[k1]から暫定位相差Δθ[k1]、すなわちΔθ[kall]を取得し、取得した暫定位相差Δθ[kall]、およびメインピーク周波数fMp[kall]を距離取得部38へ出力する。
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る検知部における距離取得部の構成を示す図である。
図12を参照して、距離取得部38は、検知エリア設定部51と、暫定距離演算部53と、距離適性判定部54とを含む。
距離取得部38は、たとえば、暫定位相差取得部36から受ける暫定位相差Δθ[kall]のそれぞれに含まれる次数qを、距離ゲートに基づいて決定し、位相差を確定する。そして、距離取得部38は、確定した位相差を用いて対象距離Lを算出する。
[検知エリア]
再び図5を参照して、図5には、最小送信間隔Tlpriを距離ゲート幅Tgで除した値すなわちkmaxが6の場合における検知エリアDA0〜DA5が示される。
図12および図5を参照して、検知エリア設定部51は、たとえば、暫定位相差Δθ[kall]に含まれるデータ数、および初期値設定部5により設定された距離ゲート幅Tgに基づいて、検知エリアを設定する。
より詳細には、検知エリア設定部51は、暫定位相差Δθ[kall]すなわちΔθ[k=0〜(kmax−1)]にはkmax個の暫定位相差Δθが含まれていることを認識し、対象エリアA1においてkmax個の検知エリアを設定する。
具体的には、検知エリア設定部51は、対象エリアA1内であって、かつ電波センサ101からの距離が(c×Tg/2)以下のエリアを、k=0に対応する検知エリアDA0として設定する。
より詳細には、たとえば、m番目の送信周期Tt[m]において検知対象Tgtが対象エリアA1内を移動する際、検知対象Tgtは、送信パルス電波T1pm(t)の一部または全部を反射することによりドップラー反射波R1dpm(t)を生成する。
図7に示すように、距離ゲートG1(m,k=0)と同じタイミングで電波センサ101により受信されるドップラー反射波R1dpm(t)は、検知エリアDA0内を移動する検知対象Tgtからのドップラー反射波R1dpm(t)に制限される。
しがたって、距離ゲートG1(m,k=0)においてサンプリングされる差分デジタル信号Bd1[k=0][m]は、検知エリアDA0内を移動する検知対象Tgtからのドップラー反射波R1dpm(t)に基づいて生成される。
同様に、m番目の送信周期Tt[m]において検知対象Tgtが対象エリアA1内を移動する際、検知対象Tgtは、送信パルス電波T2pm(t)の一部または全部を反射することによりドップラー反射波R2dpm(t)を生成する。
距離ゲートG2(m,k=0)と同じタイミングで電波センサ101により受信されるドップラー反射波R2dpm(t)は、検知エリアDA0内を移動する検知対象Tgtからのドップラー反射波R2dpm(t)に制限される。
しがたって、距離ゲートG2(m,k=0)においてサンプリングされる差分デジタル信号Bd2[k=0][m]は、検知エリアDA0内を移動する検知対象Tgtからのドップラー反射波R2dpm(t)に基づいて生成される。
mの値がゼロ〜(M−1)のいずれの値である場合においても、差分デジタル信号Bd1[k=0][m],Bd2[k=0][m]は、検知エリアDA0内を移動する検知対象Tgtからのドップラー反射波R1dpm(t),R2dpm(t)に基づいてそれぞれ生成される。
また、たとえば、暫定位相差[k=0]は、差分デジタル信号Bd1[k=0][mall]に基づいて算出されたθ1[k=0]と、差分デジタル信号Bd2[k=0][mall]に基づいて算出されたθ2[k=0]との差である。
したがって、暫定位相差[k=0]は、検知エリアDA0内を移動する検知対象Tgtからのドップラー反射波に基づいて生成される。
また、検知エリア設定部51は、対象エリアA1内であって、かつ電波センサ101からの距離が(c×Tg/2)より大きく、かつ(c×Tg)以下のエリアを、k=1に対応する検知エリアDA1として設定する。したがって、検知エリアDA0および検知エリアDA1は、たとえば電波センサ101から(c×Tg/2)離れた境界線B01を介して隣接する。
暫定位相差[k=1]は、k=0の場合と同様に、検知エリアDA1内を移動する検知対象Tgtからのドップラー反射波に基づいて生成される。
また、検知エリア設定部51は、k=2〜5の場合も同様に、対象エリアA1内であって、かつ電波センサ101からの距離が(k×c×Tg/2)より大きく、かつ((k+1)×c×Tg/2)以下のエリアを、インデックスkに対応する検知エリアDAkとして設定する。
したがって、検知エリアDA1および検知エリアDA2は、たとえば電波センサ101から(c×Tg)離れた境界線B12を介して隣接する。検知エリアDA2および検知エリアDA3は、たとえば電波センサ101から(3×c×Tg/2)離れた境界線B23を介して隣接する。検知エリアDA3および検知エリアDA4は、たとえば電波センサ101から(2×c×Tg)離れた境界線B34を介して隣接する。検知エリアDA4および検知エリアDA5は、たとえば電波センサ101から(5×c×Tg/2)離れた境界線B45を介して隣接する。
暫定位相差[k=2〜5]は、k=0,1の場合と同様に、検知エリアDA2〜DA5内をそれぞれ移動する検知対象Tgtからのドップラー反射波に基づいて生成される。
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る検知エリア設定部により作成される検知エリア対応表の一例を示す図である。
検知エリア設定部51は、たとえば、検知エリアDA0〜DA5を設定すると、インデックスkと検知エリアの電波センサ101からの距離範囲との対応関係を示す検知エリア対応表Tb1を作成し、作成した検知エリア対応表Tb1を距離適性判定部54へ出力する。
暫定距離演算部53は、暫定位相差取得部36から暫定位相差Δθ[kall]を受けると、式(6)および式(7)に基づく以下の式(9)を用いて、受けた暫定位相差Δθ[kall]から暫定距離を算出する。
具体的には、暫定距離演算部53は、たとえば、k1番目の暫定位相差Δθ[k1]としてα[k1]+2qπを式(9)に代入することにより、以下の式(10)に示す対象距離L[k1]の暫定値を算出する。
ここで、Ldmaxは最大検知距離である。たとえば、最大検知距離以上の距離では、位相差の測定結果に曖昧性が含まれるため、対象距離を一義的に決定することができなくなる場合がある。具体的には、たとえば位相差の測定結果がα[k1]+2qπ(0≦[k1]<2πかつqはゼロ以上の整数)となる場合、qの値が確定しないため位相差の測定結果が曖昧となってしまい、電波センサ101は、対象距離L[k1]を確定することができなくなる。
暫定距離演算部53は、k1としてゼロ〜(kmax−1)についての対象距離L[k1]の暫定値、すなわち対象距離L[kall]の暫定値を算出し、算出した対象距離L[kall]の暫定値を距離適性判定部54へ出力する。
距離適性判定部54は、検知エリア設定部51から受ける検知エリア対応表Tb1を参照することにより、暫定距離演算部53から受ける対象距離L[kall]の暫定値の適性を判定する。
具体的には、距離適性判定部54は、たとえば、インデックスkがゼロの場合において、対象距離L[k=0]の暫定値として(Ldmax×α[k=0]/2π+Ldmax×q)を算出する。
そして、距離適性判定部54は、たとえば、次数qを変化させたときの対象距離L[k=0]の暫定値のいずれかが、検知エリア対応表Tb1におけるkがゼロのときの距離範囲すなわち0〜c×Tg/2に含まれるか否かを判定する。
距離適性判定部54は、たとえば、次数qがq1の場合において、対象距離L[k=0]の暫定値である(Ldmax×α[k=0]/2π+Ldmax×q1)が0〜c×Tg/2に含まれるとき、以下の処理を行う。すなわち、距離適性判定部54は、対象距離L[k=0]を(Ldmax×α[k=0]/2π+Ldmax×q1)に確定する。
一方、距離適性判定部54は、たとえば、次数qをいずれの値に変化させても、対象距離L[k=0]の暫定値が0〜c×Tg/2に含まれないとき、対象距離L[k=0]としてヌルを算出する。
距離適性判定部54は、インデックスkが1〜(kmax−1)の場合についても、k=0のときと同様の処理を行う。距離適性判定部54は、対象距離L[kall]を検知結果出力部39へ出力する。
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る検知結果出力部により作成される検知結果テーブルの一例を示す図である。
検知結果出力部39は、たとえば、対象波形取得部35から受ける対象波形強度Irt[kall]、速度取得部37から受ける検出対象速度vd[kall]、および距離取得部38から受ける対象距離L[kall]に基づいて、対象エリアA1における検知エリアごとの検知対象Tgtの検知結果を信号制御装置151へ送信する。
具体的には、検知結果出力部39は、たとえば、検知結果を示す検知結果テーブルTb2を作成する。
より詳細には、検知結果出力部39は、たとえば、対象波形強度Irt[k=0],Irt[k=2],Irt[k=3]においてヌルが含まれている場合、検知エリアDA0,DA2,DA3を移動する検知対象Tgtが存在しないことを示す「不検出」を検知結果テーブルTb2における「k」が0,2,3に対応する「対象波形強度」の項目に書き込む。この際、検知結果出力部39は、たとえば、検知結果テーブルTb2における「k」が0,2,3に対応する「検出対象速度」および「対象距離」の項目にも「不検出」を書き込む。
検知結果出力部39は、たとえば、検知エリアDA1を移動する歩行者Tgt2が存在することにより対象波形強度Irt[k=1]の値が−68dBmとなった場合、検知結果テーブルTb2における「k」が1に対応する「対象波形強度」の項目に「−68dBm」を書き込む。この際、検知結果出力部39は、たとえば、検出対象速度vd[k=1]および対象距離L[k=1]の値を、「k」が1に対応する「検出対象速度」および「対象距離」の項目にそれぞれ書き込む。
また、検知結果出力部39は、たとえば、検知エリアDA4を移動する自動車Tgt1が存在することにより対象波形強度Irt[k=4]の値が−40dBmとなった場合、検知結果テーブルTb2における「k」が4に対応する「対象波形強度」の項目に「−40dBm」を書き込む。この際、検知結果出力部39は、たとえば、検出対象速度vd[k=4]および対象距離L[k=4]の値を、「k」が4に対応する「検出対象速度」および「対象距離」の項目にそれぞれ書き込む。
また、検知結果出力部39は、たとえば、検知エリアDA5において移動する歩行者Tgt2が存在することにより対象波形強度Irt[k=5]の値が−80dBmとなった場合、検知結果テーブルTb2における「k」が5に対応する「対象波形強度」の項目に「−80dBm」を書き込む。この際、検知結果出力部39は、たとえば、検出対象速度vd[k=5]の値を、「k」が5に対応する「対象距離」の項目に書き込む。また、検知結果出力部39は、たとえば、対象距離L[k=5]においてヌルが含まれている場合、干渉により対象距離Lを適切に算出できなかったことを示す「不適正」を検知結果テーブルTb2における「k」が5に対応する「対象距離」の項目に書き込む。
検知結果出力部39は、たとえば、作成した検知結果テーブルTb2を信号制御装置151へ送信する。
[動作]
図15は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが対象エリアにおける検知対象を検知する際の動作手順を定めたフローチャートである。信号制御システム201における電波センサ101は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。この装置のプログラムは、外部からインストールすることができる。この装置のプログラムは、記録媒体に格納された状態で流通する。
図15を参照して、電波センサ101は、たとえば、M個の送信周期Tt[mall]を含む観測時間Tcpiを1つの単位として対象エリアA1における検知対象Tgtを検知する処理を行う。
まず、電波センサ101における送信部1は、インデックスmをゼロに初期化する(ステップS102)。
次に、送信部1は、送信周期Tt[m]における送信間隔Tint[m]をランダムに設定する(ステップS104)。
次に、送信部1は、送信周期Tt[m]の開始タイミングt1(m)において、送信パルス電波T1pm(t)を対象エリアA1へ送信する(ステップS106)。
次に、送信部1は、インデックスkをゼロに初期化する(ステップS108)。
次に、送信部1は、タイミングt1(m)から距離ゲート幅Tgごとの距離ゲートG1(m,k)においてタイミング信号を受信部2へ出力する。受信部2は、送信部1からタイミング信号を受けると、差分信号B1pm(t)をサンプリングする(ステップS110)。
次に、送信部1は、インデックスkが(kmax−1)より小さい場合(ステップS112でYES)、インデックスkをインクリメントする(ステップS114)。
次に、送信部1は、距離ゲートG1(m,k)においてタイミング信号を受信部2へ出力する。受信部2は、送信部1からタイミング信号を受けると、差分信号B1pm(t)をサンプリングする(ステップS110)。
一方、送信部1は、インデックスkが(kmax−1)以上である場合(ステップS112でNO)、タイミングt1(m)から送信間隔Tint[m]が経過したタイミングにおいて、送信パルス電波T2pm(t)を対象エリアA1へ送信する(ステップS116)。
次に、送信部1は、インデックスkをゼロに初期化する(ステップS118)。
次に、送信部1は、送信パルス電波T2pm(t)の送信が開始されてから距離ゲート幅Tgごとの距離ゲートG2(m,k)においてタイミング信号を受信部2へ出力する。受信部2は、送信部1からタイミング信号を受けると、差分信号B2pm(t)をサンプリングする(ステップS120)。
次に、送信部1は、インデックスkが(kmax−1)より小さい場合(ステップS122でYES)、インデックスkをインクリメントする(ステップS124)。
次に、送信部1は、距離ゲートG2(m,k)においてタイミング信号を受信部2へ出力する。受信部2は、送信部1からタイミング信号を受けると、差分信号B2pm(t)をサンプリングする(ステップS120)。
一方、送信部1は、インデックスkが(kmax−1)以上であり、かつインデックスmが(M−1)より小さい場合(ステップS122でNOおよびステップS126でYES)、mをインクリメントする(ステップS130)。
次に、送信部1は、送信周期Tt[m]における送信間隔Tint[m]をランダムに設定する(ステップS104)。
一方、検知部4は、インデックスkがkmax以上であり、かつインデックスmが(M−1)以上である場合(ステップS122でNOおよびステップS126でNO)、M個の送信周期Tt[mall]においてサンプリングされた差分信号B1pm(t),B2pm(t)に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの検出処理を行う(ステップS128)。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、2種類の周波数のパルス電波を生成し、生成したパルス電波を対象エリアA1へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサ101は、たとえば、1種類または3種類以上の周波数のパルス電波を生成し、生成したパルス電波を対象エリアA1へ送信する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサは、ある送信周期において周波数f1のパルス電波を送信してから周波数f2のパルス電波を送信するまでの送信間隔と周波数f2のパルス電波を送信してから次の送信周期において周波数f1のパルス電波を送信するまでの送信間隔とを同じ長さに設定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサは、たとえば、上記2つの送信間隔を異なる長さに設定する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサは、周波数f1のパルス電波および周波数f2のパルス電波を交互に送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサは、たとえば、周波数f1のパルス電波を連続して送信した後、周波数f2のパルス電波を連続して送信する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、2つの観測時間Tcpiが連続する構成であってもよいし、2つの観測時間Tcpiの間でにインターバルがある構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサは、周波数f1のパルス電波および周波数f2のパルス電波を交互に送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサは、たとえば、周波数f1のパルス電波を所定回数連続して送信した後、周波数f2のパルス電波を所定回数連続して送信する構成であってもよい。
ところで、たとえば、2周波CW方式を用いる電波センサは、2周波CW方式を用いる他の電波センサ、およびFMCW方式を用いる電波センサが送信する電波による干渉を受ける場合が多い。また、たとえば、自動車に取り付けられる電波センサは、FMCW方式が用いられることが多い。
たとえば、2周波CW方式を用いる電波センサを交差点の近傍に設置する場合、当該電波センサは、交差点の近傍を移動する自動車に取り付けられた電波センサから干渉を受ける場合がある。また、2周波CW方式を用いる電波センサを交差点の近傍に複数設置する場合、これらの電波センサ同士で干渉してしまう場合がある。そして、2周波CW方式を用いる電波センサは、このような干渉を受けることにより検知対象を誤って検知してしまうことがある。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、送信部1は、パルス状の電波であるパルス電波を対象エリアA1へ送信し、n(nは1以上の整数)種類の周波数のパルス電波を所定の順番で送信する。受信部2は、対象エリアA1からの電波を受信する。検知部4は、受信部2が受信した電波、および受信したタイミングに基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtを検知する。そして、送信部1は、パルス電波の送信間隔を変更可能である。
このような構成により、電波センサ101がパルス電波を送信する送信タイミングと干渉波となる他の電波センサ101または電波センサ101以外の装置により送信される電波を受信するタイミングとの関係が固定化される状況を回避し、干渉波を受信するタイミングを送信タイミングに対して分散させることができる。これにより、いずれの受信タイミングにおいても干渉の影響が緩和されるので、誤検知を抑制し、検知精度を向上させることができる。
また、たとえば、2周波CW方式またはFMCW方式を用いる他の電波センサに与える干渉の影響を低減することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、送信部1は、n種類の周波数のパルス電波の送信を周期的に行い、パルス電波の送信周期Tt[m](mはゼロ〜(M−1)までの整数)ごとに送信間隔Tint[m]を変更する。
このような構成により、たとえば、複数の電波センサ101が同じ送信間隔でパルス電波を継続して送信してしまうことを回避することができるので、送信タイミングと干渉波を受信するタイミングとの関係が固定化される状況をより確実に回避することができる。
また、送信周期Tt[m]におけるn種類の周波数のパルス電波の送信間隔Tint[m]を同じにすることができるので、受信した電波に基づく信号処理の負担を軽減することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、nは2以上の整数である。
このように、波長が異なる複数種類のパルス電波を用いる構成により、波長が異なる電波間の位相差の情報を取得することができるので、たとえば、取得した位相差の情報に基づいて電波センサ101から検知対象Tgtまでの対象距離Lを算出することができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電波センサと比べて、低いサンプリング周波数で電波のサンプリングを行う電波センサに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電波センサと同様である。
[電波センサの構成]
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサの構成を示す図である。
図16を参照して、電波センサ102は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサ101と比べて、送信部1、受信部2および信号処理部3の代わりに、送信部6、受信部7および信号処理部8を備え、さらに、受信レベル取得部9および干渉判断部10を備える。送信部6は、送信部1と比べて、電波出力制御部11およびサンプリング制御部12の代わりに、電波出力制御部61およびサンプリング制御部62を含み、さらに、電波断続部14を含む。受信部7は、受信部2と比べて、A/Dコンバータ27の代わりに、A/Dコンバータ(ADC)47を含む。
(送信間隔の変更)
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る送信部が送信する電波の送信シーケンスの一例を示す図である。
図17には、たとえば、観測時間Tcpiのうちのゼロ〜6番目の送信周期Tt[m=0〜6]における、それぞれ周波数f1,f2を有する送信パルス電波T1pm(t),T2pm(t)が送信される期間、送信間隔Tint[m=0〜6]、受信期間Tf1[m=0〜6],Tf2[m=0〜6]および距離ゲートG2(0,0),G1(1,1),G2(1,2),G1(2,3),G1(3,0),G2(3,1),G1(4,2),G2(4,3),G2(5,0),G1(6,1),G2(6,2)が示される。
図16および図17を参照して、送信部6における電波出力制御部61は、たとえば、2種類の周波数のパルス電波が周期的に生成されるようにパルス電波生成部13を制御する。また、電波出力制御部61は、たとえば、受信部7が受信した電波に関する所定条件が満たされた場合にパルス電波の送信間隔を変更する。
より詳細には、電波出力制御部61は、たとえば、観測時間Tcpiにおいて、初期値設定部5において設定された測定パラメータに基づいて以下の処理を行う。すなわち、電波出力制御部61は、たとえば、パルス電波生成部13を制御することによりパルス電波生成部13に周波数f1またはf2、およびパルス幅Tpを有するパルス電波をそれぞれM回生成させ、パワーアンプ15および送信アンテナ16経由で対象エリアA1へ送信させる。
具体的な送信シーケンスとして、電波出力制御部61は、たとえば、送信周期Tt[m]における送信間隔Tint[m]を最小送信間隔Tlpriに決定する。ここで、mはゼロからM−1までの整数である。図17には、送信間隔Tint[m]が4×Tpかつ4×Tgである場合の送信シーケンスが示される。この場合、最小送信間隔Tlpriを距離ゲート幅Tgで除した値であるkmaxが4となる。
また、電波出力制御部61は、たとえば、観測時間Tcpiの間に、パルス電波の送信が行われない送信中断期間を設ける。具体的には、電波出力制御部61は、たとえば、観測時間Tcpiの測定が所定回数行われるごとに送信中断期間を設ける。
なお、電波出力制御部61は、たとえば、自己の電波センサ101に接続される信号制御装置151が制御する歩行者用信号灯器161の灯色の変化に合わせて送信中断期間を設けてもよい。より詳細には、電波出力制御部61は、たとえば、歩行者用信号灯器161の灯色が赤色の場合、言い換えると対象エリアA1に含まれる横断歩道PC1の自動車Tgt1および歩行者Tgt2を検知する必要がない場合に送信中断期間を設けてもよい。
電波出力制御部61は、たとえば、送信中断期間において送信中断信号を受信レベル取得部9および電波断続部14へ継続して出力する。
電波断続部14は、パワーアンプ15と送信アンテナ16との間に設けられ、たとえば電波出力制御部61から送信中断信号を受けていない間、パワーアンプ15から受けるパルス電波を送信アンテナ16へ出力する。一方、電波断続部14は、たとえば電波出力制御部61から送信中断信号を受けている間、パワーアンプ15から受けるパルス電波を送信アンテナ16へ出力しない。
受信レベル取得部9は、たとえば、電波出力制御部61から送信中断信号を受けている間、受信部7におけるA/Dコンバータ47から出力されるデジタル信号の値であるレベルNlvを取得し、取得したレベルNlvを干渉判断部10へ出力する。
干渉判断部10は、受信レベル取得部9から受けるレベルNlvに基づいて自己の電波センサ101が他の装置から送信される電波による干渉を受けているか否かを判断する。また、干渉判断部10は、たとえば検知部4が信号制御装置151へ送信する検知結果テーブルTb2を取得し、取得した検知結果テーブルTb2に基づいて、自己の電波センサ101が干渉を受けているか否かを判断する。
具体的には、たとえば、送信中断期間において電波センサ101からパルス電波が送信されないので、受信部7が他の装置から送信される電波を受信していない場合、レベルNlvは低い。一方、送信中断期間において受信部7が他の装置から送信される電波を受信している場合、レベルNlvは高い。したがって、干渉判断部10は、たとえば、レベルNlvが所定のしきい値以上である場合、自己の電波センサ101が他の装置から送信される電波による干渉を受けていると判断し、干渉検出通知を電波出力制御部61へ出力する。
また、たとえば、干渉判断部10は、図14に示す検知結果テーブルTb2を参照し、「対象距離」の項目に「不適正」が含まれている場合、自己の電波センサ101が他の装置から送信される電波による干渉を受けていると判断し、干渉検出通知を電波出力制御部61へ出力する。
より詳細には、検知対象Tgtからのドップラー反射波R1dpm(t)またはR2dpm(t)の周波数と他の装置から送信される電波の周波数とが同じ場合、ドップラー反射波および当該電波が干渉し、ドップラー反射波の位相が変化してしまう。ドップラー反射波の位相が変化してしまうと差分信号の位相も変化するため、式(9)に基づく対象距離Lの算出処理において誤った対象距離Lが算出されてしまう。したがって、検知結果テーブルTb2における「対象距離」の項目に「不適正」が含まれている場合、電波センサ101が他の装置から送信される電波による干渉を受けている可能性が高い。
電波出力制御部61は、たとえば、干渉判断部10から干渉検出通知を受けると、送信周期Tt[m]における送信間隔Tint[m]を変更する。たとえば、電波出力制御部61は、m1番目の送信周期Tt[m1]において干渉検出通知を受けると、送信周期Tt[m1+1]以降の送信間隔を変更してもよいし、送信周期Tt[m=M−1]が満了した後、すなわち観測時間Tcpiが満了した後に次の観測時間Tcpiにおける送信間隔Tint[m]を変更してもよい。
[シフトサンプリング]
サンプリング制御部62は、受信期間Tf1[mall],Tf2[mall]において距離ゲート幅Tgごとの複数の設定タイミングを設定する。そして、サンプリング制御部62は、たとえば、受信期間Tf1[mall]またはTf2[mall]における設定タイミングの数が偶数の場合には、奇数個の設定タイミングごとに、かつ、2つ以上の設定タイミングごとに距離ゲートを示すタイミング信号を生成する。また、サンプリング制御部62は、たとえば、受信期間Tf1[mall]またはTf2[mall]における設定タイミングの数が奇数の場合には、受信期間Tf1[mall]またはTf2[mall]における設定タイミングの数と異なる奇数個の設定タイミングごとに、かつ、2つ以上の設定タイミングごとに距離ゲートを示すタイミング信号を生成する。
(受信期間における設定タイミングの数が偶数の場合)
具体的には、サンプリング制御部62は、図17に示すようにkmaxが4である場合、すなわち、受信期間における設定タイミングの数が偶数の場合、たとえば5個の設定タイミングごとにタイミング信号を生成する。
より詳細には、サンプリング制御部62は、たとえば、受信周期Tt[m=0]の開始タイミングであるt1(m=0)から5個の設定タイミングごとのタイミング信号、すなわち距離ゲートG2(0,0),G1(1,1),G2(1,2),G1(2,3),G1(3,0),G2(3,1),G1(4,2),G2(4,3),G2(5,0),G1(6,1),G2(6,2)を示すタイミング信号を生成し、生成したタイミング信号を受信部7におけるA/Dコンバータ47へ出力する。
この際、サンプリング制御部62は、たとえば、各距離ゲートの時系列順を特定するためのゲート順番情報を信号処理部8へ出力する。具体的には、サンプリング制御部62は、たとえば、距離ゲートG2(0,0)を示すタイミング信号をA/Dコンバータ47へ出力する際、「f2,m=0,k=0」をゲート順番情報として信号処理部8へ出力する。また、サンプリング制御部62は、たとえば、距離ゲートG1(1,1)を示すタイミング信号をA/Dコンバータ47へ出力する際、「f1,m=1,k=1」をゲート順番情報として信号処理部8へ出力する。
A/Dコンバータ47は、たとえばサンプリング制御部62からタイミング信号を受けると、差分信号B1pm(t),B2pm(t)をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を信号処理部8へ出力する。
A/Dコンバータ47がタイミング信号を受ける間隔は、たとえば距離ゲート幅Tgの5倍であるので、A/Dコンバータ47のサンプリング周波数を低くすることができ、A/Dコンバータ47のコストを低下させることができる。
図18は、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサにおける信号処理部の構成を示す図である。
信号処理部8は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサ101における信号処理部3と比べて、バッファ制御部33の代わりに、バッファ制御部63を含む。
信号処理部8におけるバッファ制御部63は、電波出力制御部61から受ける観測開始信号、観測終了信号、f1パルス生成命令およびf2パルス生成命令、ならびにサンプリング制御部62から受けるゲート順番情報に基づいて、A/Dコンバータ47から受ける距離ゲートごとのデジタル信号を並べ替えながら第1バッファ31および第2バッファ32に蓄積する。
具体的には、バッファ制御部63は、たとえば、送信周期Tt[m=5×j]〜Tt[5×j+4]において、A/Dコンバータ47から8個のデジタル信号を順次受けるとともに、サンプリング制御部62から以下のゲート順番情報を受ける。ここで、jはゼロ以上の整数である。
すなわち、バッファ制御部63は、たとえば、「f2,m=5×j,k=0」、「f1,m=5×j+1,k=1」、「f2,m=5×j+1,k=2」、「f1,m=5×j+2,k=3」、「f1,m=5×j+3,k=0」、「f2,m=5×j+3,k=1」、「f1,m=5×j+4,k=2」および「f2,m=5×j+4,k=3」の順にゲート順番情報を受ける。
したがって、バッファ制御部63は、受信期間Tf1[mall]においてサンプリングされたデジタル信号を、インデックスkが1,3,0,2の順で繰り返し受けるので、受けたデジタル信号をインデックスkの昇順で並べ替えながら第1バッファ31に蓄積する。
また、バッファ制御部63は、受信期間Tf2[mall]においてサンプリングされたデジタル信号を、インデックスkが0,2,1,3の順で繰り返し受けるので、受けたデジタル信号をインデックスkの昇順で並べ替えながら第2バッファ32に蓄積する。
(受信期間における設定タイミングの数が奇数の場合)
図19は、本発明の第2の実施の形態に係る送信部が送信する電波の送信シーケンスの一例を示す図である。
図19には、送信間隔Tint[m]が5×Tpかつ5×Tgである場合の送信シーケンスが示される。この場合、kmaxが5となる。より詳細には、図19には、観測時間Tcpiのうちのゼロ〜7番目の送信周期Tt[m=0〜7]における、それぞれ周波数f1,f2を有する送信パルス電波T1pm(t),T2pm(t)が送信される期間、送信間隔Tint[m=0〜7]、受信期間Tf1[m=0〜7],Tf2[m=0〜7]および距離ゲートG2(0,1),G1(1,3),G1(2,0),G2(2,2),G1(3,4),G1(4,1),G2(4,3),G2(5,0),G1(6,2),G2(6,4),G2(7,1)が示される。
サンプリング制御部62は、図19に示すようにkmaxが5である場合、すなわち、受信期間における設定タイミングの数が奇数の場合、たとえば7個の設定タイミングごとにタイミング信号を生成する。
より詳細には、サンプリング制御部62は、たとえば、受信周期Tt[m=0]の開始タイミングであるt1(m=0)から7個の設定タイミングごとのタイミング信号、すなわち距離ゲートG2(0,1),G1(1,3),G1(2,0),G2(2,2),G1(3,4),G1(4,1),G2(4,3),G2(5,0),G1(6,2),G2(6,4),G2(7,1)を示すタイミング信号を生成し、生成したタイミング信号を受信部7におけるA/Dコンバータ47へ出力する。
この際、サンプリング制御部62は、たとえば、各距離ゲートの時系列順を特定するためのゲート順番情報を信号処理部8へ出力する。具体的には、サンプリング制御部62は、たとえば、距離ゲートG2(0,1)を示すタイミング信号をA/Dコンバータ47へ出力する際、「f2,m=0,k=1」をゲート順番情報として信号処理部8へ出力する。また、サンプリング制御部62は、たとえば、距離ゲートG1(1,3)を示すタイミング信号をA/Dコンバータ47へ出力する際、「f1,m=1,k=3」をゲート順番情報として信号処理部8へ出力する。
A/Dコンバータ47は、たとえばサンプリング制御部62からタイミング信号を受けると、差分信号B1pm(t),B2pm(t)をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を信号処理部8へ出力する。
信号処理部8におけるバッファ制御部63は、たとえば、送信周期Tt[m=7×j]〜Tt[7×j+6]において、A/Dコンバータ47から10個のデジタル信号を順次受けるとともに、サンプリング制御部62から以下のゲート順番情報を受ける。ここで、jはゼロ以上の整数である。
すなわち、バッファ制御部63は、たとえば、「f2,m=7×j,k=1」、「f1,m=7×j+1,k=3」、「f1,m=7×j+2,k=0」、「f2,m=7×j+2,k=2」、「f1,m=7×j+3,k=4」、「f1,m=7×j+4,k=1」、「f2,m=7×j+4,k=3」、「f2,m=7×j+5,k=0」、「f1,m=7×j+6,k=2」および「f2,m=7×j+6,k=4」の順にゲート順番情報を受ける。
したがって、バッファ制御部63は、受信期間Tf1[mall]においてサンプリングされたデジタル信号を、インデックスkが3,0,4,1,2の順で繰り返し受けるので、受けたデジタル信号をインデックスkの昇順で並べ替えながら第1バッファ31に蓄積する。
また、バッファ制御部63は、受信期間Tf2[mall]においてサンプリングされたデジタル信号を、インデックスkが1,2,3,0,4の順で繰り返し受けるので、受けたデジタル信号をインデックスkの昇順で並べ替えながら第2バッファ32に蓄積する。
FFT処理部34は、第1バッファ31および第2バッファ32に蓄積されたデジタル信号を高速フーリエ変換処理し、ドップラースペクトルおよび位相スペクトルを生成する。FFT処理部34は、生成したドップラースペクトルおよび位相スペクトルを検知部4へ出力する。
検知部4は、たとえば、2つ以上の設定タイミングごとに、かつ、受信期間における設定タイミングの数が偶数の場合には奇数個の設定タイミングごとに、受信期間における設定タイミングの数が奇数の場合には、受信期間における設定タイミングの数と異なる奇数個の設定タイミングごとに、受信部7が受信した電波に基づいて検知対象Tgtの検知を行う。
具体的には、検知部4は、信号処理部8におけるFFT処理部34から受けるドップラースペクトルおよび位相スペクトルに基づいて検知対象Tgtの検知を行う。
[シフトサンプリングの変形例]
図20は、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサの変形例の構成を示す図である。
図20を参照して、電波センサ102の変形例である電波センサ103は、図16に示す電波センサ102と比べて、送信部6の代わりに、送信部76を備える。送信部76は、送信部6と比べて、電波出力制御部61およびサンプリング制御部62の代わりに、電波出力制御部71およびサンプリング制御部72を含む。
送信部76は、たとえば、同じ周波数のパルス電波を繰り返し送信し、受信期間におけるすべての順番の設定タイミングにおいて受信された電波に基づいて検知対象Tgtの検知がそれぞれ行われると、パルス電波の周波数を変更する。ここで、「すべての順番の設定タイミングにおいて受信された電波に基づいて」とは、時間的に連続する複数の距離ゲートにわたって各順番の距離ゲートの受信電波が用いられることを意味する。
図21は、本発明の第2の実施の形態に係る送信部が送信する電波の送信シーケンスの一例を示す図である。
図21には、たとえば、観測時間Tcpiのうちのゼロ〜1番目の送信周期Tt[m=0〜1]における、それぞれ周波数f1,f2を有する送信パルス電波T1pm(t),T2pm(t)が送信される期間、送信間隔Tint[m=0〜1]、受信期間Tf1[r=0〜8],Tf2[r=0〜4]および距離ゲートG1(0,0),G1(0,1),G1(0,2),G1(0,3),G2(0,0),G2(0,1),G2(0,2),G2(0,3),G1(1,0),G1(1,1),G1(1,2)が示される。
図20および図21を参照して、具体的な送信シーケンスとして、送信部76における電波出力制御部71は、たとえば、送信周期Tt[m]における送信間隔Tint[m]を最小送信間隔Tlpriに決定する。ここで、mはゼロからM−1までの整数である。図21には、送信間隔Tint[m]が4×Tpかつ4×Tgである場合の送信シーケンスが示される。この場合、kmaxが4となる。
電波出力制御部71は、たとえば、観測時間Tcpiの開始タイミングt1(m=0)において、観測開始信号を信号処理部8へ出力するとともに、f1パルス生成命令を信号処理部8、サンプリング制御部72およびパルス電波生成部13へ出力する。
そして、電波出力制御部71は、たとえば、サンプリング制御部72から第1サンプリング完了通知を受けるまで、送信間隔Tint[0]ごとにf1パルス生成命令を信号処理部8、サンプリング制御部72およびパルス電波生成部13へ出力する。
電波出力制御部71は、たとえば、タイミングt1(m=0)から5×Tint[0]に相当する時間が経過したタイミングt2(m=0)においてサンプリング制御部72から第1サンプリング完了通知を受けると、f2パルス生成命令を信号処理部8、サンプリング制御部72およびパルス電波生成部13へ出力する。
そして、電波出力制御部71は、たとえば、サンプリング制御部72から第2サンプリング完了通知を受けるまで、送信間隔Tint[0]ごとにf2パルス生成命令を信号処理部8、サンプリング制御部72およびパルス電波生成部13へ出力する。
電波出力制御部71は、たとえば、タイミングt2(m=0)から5×Tint[0]に相当する時間が経過したタイミングt1(m=1)においてサンプリング制御部72から第2サンプリング完了通知を受けると、f1パルス生成命令を信号処理部8、サンプリング制御部72およびパルス電波生成部13へ出力する。
また、たとえば、タイミングt1(m=0)において送信開始されるパルス電波がゼロ番目の周波数f1のパルス電波であるとする場合において、r番目の周波数f1のパルス電波の送信終了から当該パルス電波の次のパルス電波の送信開始までの期間が受信期間Tf1[r]に相当する。図21には、受信期間Tf1[r]のrがゼロ〜8の場合が示される。
また、たとえば、タイミングt2(m=0)において送信開始されるパルス電波がゼロ番目の周波数f2のパルス電波であるとする場合において、r番目の周波数f2のパルス電波の送信終了から当該パルス電波の次のパルス電波の送信開始までの期間が受信期間Tf2[r]に相当する。図21には、受信期間Tf2[r]のrがゼロ〜4の場合が示される。
また、電波出力制御部71は、たとえば、観測時間Tcpiの間に送信中断期間を設け、設けた送信中断期間において送信中断信号を受信レベル取得部9および電波断続部14へ継続して出力する。また、電波出力制御部71は、たとえば、干渉判断部10から干渉検出通知を受けると、送信周期Tt[m]における送信間隔Tint[m]を変更する。
(受信期間における設定タイミングの数が偶数の場合)
サンプリング制御部72は、たとえばr番目の受信期間Tf1[r],Tf2[r]において距離ゲート幅Tgごとの複数の設定タイミングを設定する。ここで、rはたとえばゼロ以上の整数である。そして、サンプリング制御部72は、たとえば、図21に示すようにkmaxが4である場合、すなわち、受信期間Tf1[r]またはTf2[r]における設定タイミングの数が偶数の4個の場合、4個より1個多い奇数の5個の設定タイミングごとにタイミング信号を生成する。
より詳細には、サンプリング制御部72は、たとえば、受信周期Tt[m=0]の開始タイミングであるt1(m=0)から5個の設定タイミングごとのタイミング信号、すなわち距離ゲートG1(0,0),G1(0,1),G1(0,2),G1(0,3)を示すタイミング信号を生成し、生成したタイミング信号を受信部7におけるA/Dコンバータ47へ出力する。
距離ゲートG1(0,3)を示すタイミング信号が出力されるタイミングt2(m=0)において、受信期間Tf1[r=0〜4]におけるすべての順番の設定タイミングについてのサンプリングが完了するので、サンプリング制御部72は、たとえば、第1サンプリング完了通知を電波出力制御部71へ出力する。
サンプリング制御部72は、たとえば、タイミングt2(m=0)から5個の設定タイミングごとのタイミング信号、すなわち距離ゲートG2(0,0),G2(0,1),G2(0,2),G2(0,3)を示すタイミング信号を生成し、生成したタイミング信号を受信部7におけるA/Dコンバータ47へ出力する。
距離ゲートG2(0,3)を示すタイミング信号が出力されるタイミングt1(m=1)において、受信期間Tf2[r=0〜4]におけるすべての順番の設定タイミングについてのサンプリングが完了するので、サンプリング制御部72は、たとえば、第2サンプリング完了通知を電波出力制御部71へ出力する。
タイミングt1(m=1)以降の送信周期Tt[m=1〜(M−1)]においても、サンプリング制御部72は、送信周期Tt[m=0]における処理と同様の処理を行う。
受信部7におけるA/Dコンバータ47は、サンプリング制御部72からタイミング信号を受けると、差分信号B1pm(t),B2pm(t)をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を信号処理部8へ出力する。
信号処理部8におけるバッファ制御部63は、たとえば、受信期間Tf1[r=0〜4]においてサンプリングされたデジタル信号を、インデックスkが0,1,2,3の昇順で受けることができるので、受けたデジタル信号を並べ替えることなく第1バッファ31に蓄積することができる。
同様に、バッファ制御部63は、たとえば、受信期間Tf2[r=0〜4]においてサンプリングされたデジタル信号を、インデックスkが0,1,2,3の昇順で受けることができるので、受けたデジタル信号を並べ替えることなく第2バッファ32に蓄積することができる。
すなわち、バッファ制御部63は、デジタル信号を受ける際、インデックスkが0,1,2,3の昇順で受けることができるので、受けたデジタル信号を並べ替えることなく第1バッファ31または第2バッファ32に蓄積することができる。
(受信期間における設定タイミングの数が奇数の場合)
図22は、本発明の第2の実施の形態に係る送信部が送信する電波の送信シーケンスの一例を示す図である。
図22には、たとえば、観測時間Tcpiのうちのゼロ〜1番目の送信周期Tt[m=0〜1]における、それぞれ周波数f1,f2を有する送信パルス電波T1pm(t),T2pm(t)が送信される期間、送信間隔Tint[m=0〜1]、受信期間Tf1[r=0〜9],Tf2[r=0〜5]および距離ゲートG1(0,0),G1(0,1),G1(0,2),G1(0,3),G1(0,4),G2(0,0),G2(0,1),G2(0,2),G2(0,3),G2(0,4),G1(1,0),G1(1,1),G1(1,2)が示される。
図20および図22を参照して、具体的な送信シーケンスとして、電波出力制御部71は、たとえば、送信周期Tt[m]における送信間隔Tint[m]を最小送信間隔Tlpriに決定する。図22には、送信間隔Tint[m]が5×Tpかつ5×Tgである場合の送信シーケンスが示される。この場合、kmaxが5となる。
サンプリング制御部72は、たとえばr番目の受信期間Tf1[r],Tf2[r]において距離ゲート幅Tgごとの複数の設定タイミングを設定する。ここで、rはたとえばゼロ以上の整数である。サンプリング制御部72は、たとえば、図22に示すようにkmaxが5である場合、すなわち、受信期間Tf1[r]またはTf2[r]における設定タイミングの数が奇数の5個の場合、5個より1個多い偶数の6個の設定タイミングごとにタイミング信号を生成する。
より詳細には、サンプリング制御部72は、たとえば、受信周期Tt[m=0]の開始タイミングであるt1(m=0)から6個の設定タイミングごとのタイミング信号、すなわち距離ゲートG1(0,0),G1(0,1),G1(0,2),G1(0,3),G1(0,4)を示すタイミング信号を生成し、生成したタイミング信号を受信部7におけるA/Dコンバータ47へ出力する。
距離ゲートG1(0,4)を示すタイミング信号が出力されるタイミングt2(m=0)において、受信期間Tf1[r=0〜5]におけるすべての順番の設定タイミングについてのサンプリングが完了するので、サンプリング制御部72は、たとえば、第1サンプリング完了通知を電波出力制御部71へ出力する。
サンプリング制御部72は、たとえば、タイミングt2(m=0)から6個の設定タイミングごとのタイミング信号、すなわち距離ゲートG2(0,0),G2(0,1),G2(0,2),G2(0,3),G2(0,4)を示すタイミング信号を生成し、生成したタイミング信号を受信部7におけるA/Dコンバータ47へ出力する。
距離ゲートG2(0,4)を示すタイミング信号が出力されるタイミングt1(m=1)において、受信期間Tf2[r=0〜5]におけるすべての順番の設定タイミングについてのサンプリングが完了するので、サンプリング制御部72は、たとえば、第2サンプリング完了通知を電波出力制御部71へ出力する。
タイミングt1(m=1)以降の送信周期Tt[m=1〜(M−1)]においても、サンプリング制御部72は、送信周期Tt[m=0]における処理と同様の処理を行う。
受信部7におけるA/Dコンバータ47は、サンプリング制御部72からタイミング信号を受けると、差分信号B1pm(t),B2pm(t)をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号を信号処理部8へ出力する。
信号処理部8におけるバッファ制御部63は、たとえば、受信期間Tf1[r=0〜5]およびTf2[r=0〜5]においてそれぞれサンプリングされたデジタル信号を、インデックスkが0,1,2,3,4の昇順で受けることができるので、受けたデジタル信号を並べ替えることなく第1バッファ31および第2バッファ32にそれぞれ蓄積することができる。
すなわち、バッファ制御部63は、デジタル信号を受ける際、インデックスkが0,1,2,3,4の昇順で受けることができるので、受けたデジタル信号を並べ替えることなく第1バッファ31または第2バッファ32に蓄積することができる。
[動作]
図23は、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサにおける送信部がパルス電波を対象エリアへ送信する際の動作手順を定めたフローチャートである。
図23を参照して、電波センサ102は、たとえば図17および図19に示す送信シーケンスで、M個の送信周期Tt[mall]を含む観測時間Tcpiを1つの単位としてパルス電波を対象エリアA1へ送信する処理を行う。
より詳細には、まず、電波センサ102における送信部6は、インデックスmをゼロに初期化する(ステップS202)。
次に、送信部6は、送信間隔Tint[m]を最小送信間隔Tlpriに設定する(ステップS204)。
次に、送信部6は、送信周期Tt[m]の開始タイミングt1(m)において、送信パルス電波T1pm(t)を対象エリアA1へ送信する(ステップS206)。
次に、送信部6は、タイミングt1(m)から送信間隔Tint[m]が経過したタイミングt2(m)において、送信パルス電波T2pm(t)を対象エリアA1へ送信する(ステップS208)。
次に、送信部6は、インデックスmが(M−1)より小さい場合(ステップS210でYES)、mをインクリメントする(ステップS212)。
次に、送信部6は、干渉判断部10から干渉検出通知を受けない場合(ステップS214でNO)、送信周期Tt[m]の開始タイミングt1(m)において、送信パルス電波T1pm(t)を対象エリアA1へ送信する(ステップS206)。
一方、送信部6は、干渉判断部10から干渉検出通知を受けた場合(ステップS214でYES)、送信間隔Tint[m]を変更し(ステップS216)、送信周期Tt[m]の開始タイミングt1(m)において、送信パルス電波T1pm(t)を対象エリアA1へ送信する(ステップS206)。
また、送信部6は、インデックスmが(M−1)以上である場合(ステップS210でNO)、観測時間Tcpiにおけるパルス電波の送信処理を終了する。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電波センサと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサでは、送信部6,76は、受信部7が受信した電波に関する所定条件が満たされた場合に送信間隔Tint[m]を変更する。
このような構成により、電波センサ101の受信状況に応じて送信間隔Tint[m]を変更することができるので、干渉波を受信した場合等において送信間隔Tint[m]を柔軟に変更することができる。また、所定条件が満たされるまで同じ送信間隔Tint[m]を継続して用いることができるので、送信間隔Tint[m]の変更に伴う処理負荷を軽減することができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサでは、検知部4は、送信部6によるパルス電波の送信終了から次のパルス電波の送信開始までのたとえば受信期間Tf1[m]において等間隔に設定された複数の設定タイミングについて、受信期間Tf1[m]のいずれの設定タイミングにおいて電波を受信したか、および受信した電波に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtを検知する。そして、検知部4は、2つ以上の設定タイミングごとに、かつ、受信期間Tf1[m]における設定タイミングの数が偶数の場合には奇数個の設定タイミングごとに、受信期間Tf1[m]における設定タイミングの数が奇数の場合には、受信期間Tf1[m]における設定タイミングの数と異なる奇数個の設定タイミングごとに、受信部7が受信した電波に基づいて検知対象Tgtの検知を行う。
このように、受信する電波をサンプリングする間隔を広くし、かつ受信期間Tf1[m]において設定された複数の設定タイミングを万遍なくサンプリングする構成により、受信する電波を低いサンプリング周波数で正しくサンプリングすることができるので、電波センサ102,103のA/Dコンバータ47等のコストを下げることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサでは、nは2以上の整数である。送信部76は、同じ周波数のパルス電波を繰り返し送信し、パルス電波の送信終了から次のパルス電波の送信開始までの受信期間において等間隔に設定された複数の設定タイミングについて、たとえば受信期間Tf1[m]におけるすべての順番の設定タイミングにおいて受信された電波に基づいて検知対象Tgtの検知がそれぞれ行われると、パルス電波の周波数を変更する。
このような構成により、周波数ごとに検知処理を完結することができるので、検知処理が複雑化することを回避することができる。たとえば、図21および図22に示すように、受信する電波を低いサンプリング周波数でサンプリングする場合、すべての順番の設定タイミングにおいて受信する電波のサンプリングを周波数ごとに行うことができるので、サンプリングしたデータの並べ替え処理を軽減することができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
パルス状の電波であるパルス電波を対象エリアへ送信し、n(nは1以上の整数)種類の周波数の前記パルス電波を所定の順番で送信する送信部と、
前記対象エリアからの電波を受信する受信部と、
前記受信部が受信した電波、および受信したタイミングに基づいて、前記対象エリアにおける検知対象を検知する検知部とを備え、
前記送信部は、前記パルス電波の送信間隔を変更可能であり、
前記送信部は、2種類の周波数の前記パルス電波を所定の順番で送信し、
前記パルス電波の送信開始から送信終了までの間隔、および受信部が電波を受信するタイミングの間隔が同じであり、
前記検知部は、前記受信部が受信した電波の強度、周波数および位相、ならびに受信したタイミングに基づいて、前記対象エリアにおける検知対象を検知する、電波センサ。