JP6716998B2 - 立体映像表示装置の製造方法、視差バリア部材付積層体および立体映像表示装置 - Google Patents
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Description
本発明の立体映像表示装置の製造方法は、基材および上記基材上に形成されたブラック層を有する視差バリア部材と、上記視差バリア部材の上記ブラック層の形成面側に貼合された透過型表示素子と、を備える立体映像表示装置の製造方法であって、キャリアガラスと、上記キャリアガラス上に配置され、脱着性を有する粘着層と、上記粘着層上に配置された上記基材と、を備える積層体を準備する準備工程と、上記積層体の上記基材上に、上記ブラック層を形成することにより、上記視差バリア部材を形成する視差バリア部材形成工程と、上記積層体の上記キャリアガラスに配置された上記視差バリア部材と、上記透過型表示素子とを貼合する貼合工程と、上記透過型表示素子に貼合された上記視差バリア部材から、上記キャリアガラスを剥離する剥離工程と、を有することを特徴とする。
以下、本発明の立体映像表示装置の製造方法の各工程について説明する。
本発明における準備工程は、キャリアガラスと、キャリアガラス上に配置され、脱着性を有する粘着層と、粘着層上に配置された基材と、を備える積層体を準備する工程である。
準備工程で準備される積層体は、キャリアガラスと、粘着層と、基材とを有する。
基材は、視差バリア部材においてブラック層を支持するものである。
基材は、通常、透明性を有する。「透明」とは、特段の事情が無い限り、立体映像表示装置においてバックライト光からの光を透過させ、観察者から認識される表示を行なうことが可能な程度の透明性をいう。したがって、「透明」は、無色透明、および映像表示を妨げない程度の有色透明を含み、厳密な透過率で規定されない。
透明基材は、視差バリア部材の基材として機能する。すなわち、バックライトの光を透過する機能を有する。バックライトの光の利用効率を高くする観点からは、透明基材の全光線透過率は高いことが好ましい。透明基材の全光線透過率は、具体的には、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。全光線透過率は、JIS K−7361−1に準拠して算出される値である。
機能性基材は、透明性を有し、立体映像表示装置の他の基材、すなわち視差バリア部材以外の部材の機能をさらに有する基材である。基材が機能性基材である場合、視差バリア部材は、立体映像表示装置の他の部材を兼ねることができる。すなわち、基材として機能性基材を用いた場合は、視差バリア部材と他の部材とを一つの部材とすることができるため、立体映像表示装置を構成する部材の数を少なくすることができる。よって、立体映像表示装置の薄型化を図ることができる。
光学基材は、通常、透過型表示素子およびバックライトとの間に配置される機能性部材、または、バックライトの部材として用いられるものである。
光学基材の一例としては、反射型偏光フィルム(反射型偏光板)を挙げることができる。反射型偏光フィルムは、通常、液晶パネルおよび偏光板とともに用いられるフィルムであり、通常、偏光板よりもバックライト側に配置される。反射型偏光フィルムは偏光板を通る偏光(p波)のみを透過し、偏光板を通らない偏光(s波)を反射して、バックライトへ向かわせる機能を有する。反射型偏光フィルムに反射された偏光は、バックライトの反射板等で反射されることで、偏光板を通る偏光とすることができる。反射型偏光フィルムを用いることで、バックライトの光を再利用することができ、光の利用効率を高くすることができる。反射型偏光フィルムとしては、具体的には、3M社製 輝度上昇フィルム DBEFシリーズ(DBEF−D2−280、DBEF−D2−350、DBEF−D2−400、DBEF−D2−550、DBEF−D3−260、DBEF−D3−315、DBEF−D3−460、DBEF−D3−340)を挙げることができる。
粘着層は、脱着性を有する。「脱着性」とは、粘着層を介して貼合させた部材同士を、各部材の機能を損なわずに、再度、剥離できる性質をいう。「粘着層が脱着性を有する」とは、粘着層の粘着力が、各部材の機能を損なわない程度の力で、各部材を引っ張ることにより剥離できる程度の粘着力であること、または、粘着層に対し、光照射、加熱、冷却等の外部刺激を与える処理を施すことにより、各部材を剥離できる程度に粘着力を低下させることができることをいう。粘着層は、視差バリア部材形成工程中は必要な密着性を有する。
なお、ここでの傾斜式ボールタック試験によるタック性の評価は、JIS Z 0237に準じて傾斜角20°の治具に粘着層における粘着面が上面となるように配置し、温度23℃、湿度65%の環境下で当該粘着面上に鋼球を転がしたとき、粘着面上で5秒以上、鋼球が停止した最も大きなボールナンバーにより評価した。粘着層が、外部刺激により粘着力が低下するものである場合は、粘着力が低下する前の粘着層のタック性をいうものとする。
なお、高温で剥離するタイプを用いる場合、粘着層の剥離方法としては、例えば、オーブンやホットプレートによる加熱の他、レーザー光等の照射による粘着材の加熱を行う方法を挙げることができる。
粘着層の厚みが薄すぎる場合はキャリアガラスおよび基材の密着性を十分に確保することが困難となる可能性があるからである。また、粘着層の厚みが厚すぎる場合は、剥離工程で視差バリア部材からキャリアガラスを剥離することが困難となる場合があるからである。また、粘着層の弾性が高くなることにより、後述する貼合工程において視差バリア部材および透過型表示素子を良好に貼合させることが困難となる可能性があるからである。
粘着層の厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて断面を観察することにより測定することができる。
キャリアガラスは、基材を支持する部材である。また、キャリアガラスは、視差バリア部材と透過型表示素子とを貼合した後に剥離される。
準備工程では、上述した積層体を形成することにより準備しても良く、製品の積層体を購入して準備しても良い。積層体の形成方法は、例えば、キャリアガラスと基材とを粘着層を用いて貼合する方法が挙げられる。
本発明における視差バリア部材形成工程は、積層体の基材上に、ブラック層を形成することにより、視差バリア部材を形成する工程である。視差バリア部材形成工程では、上記積層体の基材上に視差バリア部材を形成することにより、キャリアガラスと、キャリアガラス上に配置された粘着層と、粘着層上に配置された視差バリア部材とを有する視差バリア部材付積層体が得られる。
視差バリア部材形成工程において形成される視差バリア部材は、基材と、基材上に形成されたブラック層とを少なくとも有する。視差バリア部材について図を用いて説明する。図4(a)は本発明における視差バリア部材の一例を示す概略平面図であり、図4(b)は図4(a)のX−X断面図である。図4に示される視差バリア部材10は、基材11と、ガラス基材11上に形成されたブラック層12と、を備える。視差バリア部材10は、通常、透過領域R1と遮光領域R2とを有する。ブラック層12は、通常、遮光領域R2に配置される。
以下、視差バリア部材形成工程により得られる視差バリア部材の各構成について説明する。
ブラック層は、基材上に形成される。ブラック層は、通常、立体映像表示装置において遮光領域に配置され、バックライトからの光を右目用の光と左目用の光とに分離する機能を有する。また、ブラック層は、観察者側からの外光が反射することによる立体映像表示装置のコントラスト低下を抑制する機能を有する。ブラック層は、基材上に直に形成されていても良く、基材上に他の層を介して形成されていても良い。
遮光領域のパターンは、右目用画素および左目用画素の配列に応じて適宜選択され、特に限定されないが、例えば、ストライプ状、格子状、市松模様、千鳥格子等を挙げることができる。遮光領域のパターンのサイズは、右目用画素および左目用画素のサイズ、表示装置および観察者の距離等に応じて適宜選択される。右目用画素および左目用画素のサイズは、例えば、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましいことから、遮光領域のパターンのサイズは上記範囲内で調整されることが好ましい。
本発明における視差バリア部材は、基材上に形成され、金属層を含む高反射層をさらに有していても良い。高反射層は、視差バリア部材において、立体映像表示装置のバックライトからの光を反射して再利用させる機能を有する。高反射層は、視差バリア部材において、ブラック層よりもバックライト側に配置されるように形成される。高反射層が、基材のブラック層の形成面側に形成される場合は、通常、図5(a)〜(c)に示されるように、高反射層13は、基材11とブラック層12との間に形成される。
本発明においては、中でも、高反射層が純銀または銀を主成分とする銀合金であることが好ましい。高反射層の反射率を高くすることができるからである。
高反射層の厚みは、一般的な測定方法により測定することができる。厚みの測定方法としては、例えば、触針で表面をなぞり凹凸を検出することによって厚みを算出する触針式の方法や、分光反射スペクトルに基づいて厚みを算出する光学式の方法等を挙げることができる。具体的には、ケーエルエー・テンコール株式会社製の触針式膜厚計P−15を用いて厚みを測定することができる。なお、厚みとして、高反射層の複数箇所における厚み測定結果の平均値(平均厚み)が用いられてもよい。
金属層を所定のパターン状にエッチングする方法としては、例えば、フォトリソグラフィー法を用いたエッチング法を挙げることができる。具体的には、金属層上に感光性樹脂組成物を塗布してレジスト層を形成した後、フォトマスクを用いてレジスト層をパターン状に露光し、現像することによりパターンレジスト層を形成する。次にパターンレジスト層をマスクとして用いて、金属層をエッチングすることにより、金属層を所定のパターン状に形成する。レジスト層の形成方法、露光方法および現像方法については、一般的なフォトリソグラフィー法に用いられる方法と同様とすることができる。
金属層のエッチング方法としては、ドライエッチングであっても良く、ウェットエッチングであっても良いが、ウェットエッチングであることが好ましい。エッチング液としては、金属層の種類に応じて適宜選択される。具体的なエッチング液については、公知のものを用いることができる。
本発明におけるパターン基材は、必要に応じて、基材および金属層の間に密着層が形成されていても良い。例えば、基材の材料としてガラス材料を用い、高反射層の材料として銀を含む材料を用いる場合に、密着層を有することにより、基材および高反射層の密着性を高くすることができるからである。
密着層の厚みは、上述した「(b)高反射層」の項で説明した測定方法を用いて測定することができる。密着層の厚みは、平均厚みであっても良い。
本発明における視差バリア部材は、オーバーコート層をさらに有していても良い。オーバーコート層を形成することにより、例えば、ブラック層、高反射層等を保護することができる。また、オーバーコート層を形成することにより、視差バリア部材のブラック層の形成面側の表面に平坦性を付与することができる。
本発明における視差バリア部材形成工程は、ブラック層を形成する工程を少なくとも有する。視差バリア部材形成工程においては、必要に応じて、高反射層を形成する工程、密着層を形成する工程、およびオーバーコート層を形成する工程をさらに有していても良い。本発明においては、視差バリア部材形成工程では、基材上に、金属を含む高反射層をさらに形成することが好ましい。
本発明における貼合工程は、積層体のキャリアガラスに配置された視差バリア部材と、透過型表示素子とを貼合する工程である。すなわち、貼合工程は、視差バリア部材形成工程で形成された視差バリア部材と、透過型表示素子とを貼合する工程である。
貼合工程に用いられる透過型表示素子としては、右目用の画像と左目用の画像とを表示することが可能なものであれば特に限定されず、典型的な例としては、透過型液晶表示素子が挙げられる。透過型液晶表示素子は、通常、液晶層を有する液晶パネルを少なくとも有する。透過型液晶表示素子に用いられる液晶パネルとしては、一般的な透過型液晶表示装置に用いられるものを挙げることができる。
透過型表示素子は、例えば、液晶パネルの観察者側およびバックライト側の少なくともいずれか一方に配置された偏光板をさらに有していても良い。
積層体の視差バリア部材と、透過型表示素子とを貼合する方法としては、一般的な表示装装置の製造方法において用いられる部材同士の貼合方法を挙げることができる。貼合工程においては、通常、接着剤または粘着剤を含む接着層を用いて、視差バリア部材および透過型表示素子が貼合される。接着層に用いられる接着剤及び粘着剤については、一般的な表示装置の部材に用いられるものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。視差バリア部材と透過型表示素子との間の距離は、立体映像表示装置の三次元表示を視認する際の、表示素子と観察者の距離、および画素ピッチから規定される最適な距離に調整される。そのため、接着層の厚みは、上記三次元表示のために最適な透過型表示素子との間の距離に合わせて、適宜選択される。
本発明における剥離工程は、透過型表示素子に貼合された視差バリア部材から、キャリアガラスを剥離する工程である。
本発明の立体映像表示装置の製造方法は、上述した準備工程、視差バリア部材形成工程、貼合工程および剥離工程を有していれば特に限定されず、必要な構成を適宜選択して追加することができる。例えば、視差バリア部材の透過型表示素子の配置面側とは反対側にバックライトを配置する工程等を挙げることができる。
本発明の製造方法により得られる立体映像表示装置は、視差バリア部材と、透過型表示素子とを有し、通常、視差バリア部材の上記透過型表示素子側とは反対側に配置されたバックライトをさらに有する。
本発明における視差バリア部材付積層体は、立体映像表示装置の製造方法に用いられる視差バリア部材付積層体であって、キャリアガラスと、上記キャリアガラス上に配置され、脱着性を有する粘着層と、上記粘着層上に配置され、基材および上記基材上に形成されたブラック層を有する視差バリア部材と、を備え、上記視差バリア部材は、上記粘着層に対して、上記基材および上記ブラック層がこの順に積層されるように配置されていることを特徴とする。
本発明の立体映像表示装置は、基材および上記基材上に形成されたブラック層を有する視差バリア部材と、上記視差バリア部材の上記ブラック層の形成面側に貼合された透過型表示素子と、を備える立体映像表示装置であって、上記基材は、機能性基材であることを特徴とする。
仮粘着層(厚み0.1mm、ニッタ株式会社製 インテリマーテープ クールオフタイプ)を用いて、反射型偏光フィルム(厚み0.1mm)をキャリアガラス(厚み0.5mm)上に貼合して積層体を準備した。キャリアガラスに貼合された反射型偏光フィルム上に、カーボンブラック(遮光材料)および感光性樹脂組成物を含むブラック組成物を塗布、塗膜をパターン露光、および現像することにより、ブラック層(約1μm程度)を形成した。以上により、視差バリア部材を形成した。視差バリア部材の厚みは、約0.1mm程度である。
キャリアガラスに貼合された視差バリア部材と、透過型液晶セル(厚み0.6mm)と接着層(厚み0.05mm)で貼合して3D表示パネル(立体映像表示装置)を作製した。その後、キャリアガラスから視差バリア部材を剥離した。得られた視差バリア部材および透過型液晶セルの合計厚みは0.75mmとなった。
ガラス基材(厚み0.5mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてブラック層を形成した。次に、ガラス基材をスリミングすることにより、厚みを0.2mmとした。以上により、視差バリア部材を形成した。視差バリア部材の厚みは、約0.2mm程度である。
視差バリア部材のブラック層の形成面側とは反対側に、接着層(厚み0.05mm)を介して、反射型偏光フィルム(厚み0.1mm)を貼合した。また、視差バリア部材のブラック層側に、接着層(厚み0.05mm)を介して、透過型液晶セル(厚み0.6mm)を貼合した。以上の工程により、反射型偏光フィルム(厚み0.1mm)、接着層(厚み0.05mm)、視差バリア部材、接着層(厚み0.05mm)、透過型液晶セル(厚み0.6mm)の順で貼合された3D表示パネル(立体映像表示装置)を得た。得られた3D表示パネル(立体映像表示装置)の合計厚みは1mmとなった。
2 …キャリアガラス
3 …粘着層
10 …視差バリア部材
11 …基材
12 …ブラック層
30 …透過型表示素子
40 …バックライト
50 …視差バリア部材付基材
100 …立体映像表示装置
Claims (5)
- 基材および前記基材上に形成されたブラック層を有する視差バリア部材と、前記視差バリア部材の前記ブラック層の形成面側に貼合された透過型表示素子と、を備える立体映像表示装置の製造方法であって、
キャリアガラスと、前記キャリアガラス上に配置され、脱着性を有する粘着層と、前記粘着層上に配置された前記基材と、を備える積層体を準備する準備工程と、
前記積層体の前記基材上に、前記ブラック層を形成することにより、前記視差バリア部材を形成する視差バリア部材形成工程と、
前記視差バリア部材形成工程で形成された前記視差バリア部材と、前記透過型表示素子とを貼合する貼合工程と、
前記透過型表示素子に貼合された前記視差バリア部材から、前記キャリアガラスを剥離する剥離工程と、
を有することを特徴とする立体映像表示装置の製造方法。 - 前記視差バリア部材形成工程では、前記基材上に、金属を含む高反射層をさらに形成することを特徴とする請求項1に記載の立体映像表示装置の製造方法。
- 前記基材は、機能性基材であり、
前記機能性基材が、反射型偏光板、直線偏光板、導光板、および光拡散板からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の立体映像表示装置の製造方法。 - 立体映像表示装置の製造方法に用いられる視差バリア部材付積層体であって、
キャリアガラスと、
前記キャリアガラス上に配置され、脱着性を有する粘着層と、
前記粘着層上に配置され、基材および前記基材上に形成されたブラック層を有する視差バリア部材と、を備え、
前記視差バリア部材は、前記粘着層に対して、前記基材および前記ブラック層がこの順に積層されるように配置されており、
前記基材が、機能性基材であり、
前記機能性基材が、反射型偏光板、直線偏光板、導光板、および光拡散板からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする視差バリア部材付積層体。 - 前記視差バリア部材は、前記基材上に形成され、金属を含む高反射層をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の視差バリア部材付積層体。
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