JP6716903B2 - ジペプチドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グリシルグリシンなどのジペプチドの製造方法に関する。
グリシルグリシンは、毛穴隠蔽効果や肌に張りを与える効果を有するジペプチドであり、美容液などの化粧料によく使用される成分である。一般に、グリシンなどのアミノ酸からグリシルグリシンなどのジペプチドを合成するには、官能基の活性化や酵素等の触媒を使用するなどの方法が必要であり、また、反応に関与させない官能基を保護する必要がある。
官能基の活性化や保護基による保護をすることなくグリシルグリシンを製造する方法として、特許文献1にはグリシンをグリセリン中約180℃で加熱還流し、冷却後、析出した固体をろ別、再結晶することで2,5-ジケトピペラジンを得、次いで得られた2,5-ジケトピペラジンを水酸化ナトリウムで加水分解し、塩酸によりpHを6とした後、濃縮、冷却することでグリシルグリシンを得る方法が開示されている。本製造方法によれば、比較的安価にグリシルグリシンを合成することが可能であるが、工業スケールでの製造に応用する場合、高温条件が必要であり、さらに中間体である2,5-ジケトピペラジンを晶析により一旦単離する必要があるなどの問題がある。そこで、より簡便に、かつ収率よくグリシルグリシンなどのジペプチドを合成する方法の開発が望まれている。
中国特許出願公開第101759767号明細書
本発明の課題は、安価で簡便に、かつ収率よくグリシルグリシンなどのジペプチドを製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アミノ酸エステルとグリシンとの反応において、簡便な反応条件を設定することで官能基の活性化や保護基による保護をすることなく、収率よくジペプチドを合成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を含む。
[1]一般式(1):
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。あるいは、RおよびRは一緒になってピロリジン環を形成する。]
で表される化合物またはその酸付加塩(以下、化合物(1)ともいう)および一般式(2):
[式中、Mは水素原子、アルカリ金属またはNHを表す。]
で表される化合物(以下、化合物(2)ともいう)を反応させることを特徴とする、一般式(3):
[式中、RおよびRは前記と同義である。]
で表される化合物またはその塩(以下、化合物(3)ともいう)の製造方法。
[2]Mがナトリウムである、[1]記載の製造方法。
[3]水酸化ナトリウムの存在下に反応させることを特徴とする、[1]または[2]記載の製造方法。
[4]RおよびRが水素原子である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]Rがメチル基またはエチル基である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]酸付加塩が塩酸塩である、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]酸付加塩がグリシンメチルエステル塩酸塩である、[6]記載の製造方法。
[8]グリシンメチルエステル塩酸塩が、グリシン、塩酸およびメタノールを混合して反応させることにより得られたものであることを特徴とする、[7]記載の製造方法。
本発明によれば、安価で簡便に、かつ収率よくグリシルグリシンなどのジペプチドを製造する方法を提供することができる。
実施例9で得られた溶離曲線を示すグラフである。「Gly」はグリシンを示し、「Gly−Gly」はグリシルグリシンを示す。 実施例10で得られた溶離曲線を示すグラフである。「Gly」はグリシンを示し、「Gly−Gly」はグリシルグリシンを示す。
以下に、本明細書において使用する用語を定義する。
本明細書において「炭素数1〜4のアルキル基」とは、炭素数1〜4の直鎖または分岐状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
本明細書において「アルカリ金属」とは、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を意味する。
以下に、一般式(1)、(2)および(3)における各置換基について説明する。
は水素原子またはメチル基を表す。
は好ましくは水素原子である。
は水素原子を表す。
あるいは、RおよびRは一緒になってピロリジン環を形成する。
は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は好ましくはメチル基またはエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
Mは水素原子、アルカリ金属またはNHを表す。
Mは好ましくはアルカリ金属であり、より好ましくはナトリウム、カリウムであり、さらに好ましくはナトリウムである。
本発明の一般式(1)で表される化合物としては、グリシンメチルエステル、グリシンエチルエステルが好ましく、グリシンメチルエステルがより好ましい。
本発明の一般式(1)で表される化合物の酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩などの有機酸塩が挙げられる。中でも塩酸塩、硫酸塩が好ましく、特に塩酸塩が好ましい。
次に、本発明のジペプチドの製造方法について説明する。
[式中、各記号は前記と同義である。]
ジペプチドである化合物(3)は、化合物(1)と化合物(2)を反応させることにより製造することができる。
本反応において使用する化合物(2)としては、あらかじめMがアルカリ金属またはNHである化合物(2)を用いてもよく、あるいはMが水素原子である化合物(2)にアルカリ金属水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アンモニアなどの塩基を添加して用いてもよい。
化合物(2)の使用量は、化合物(1)に対して、2.0〜6.0当量、好ましくは2.0〜4.0当量である。
なお、Mがアルカリ金属(好ましくはナトリウム)である化合物(2)を用いる場合、さらにアルカリ金属水酸化物(好ましくは水酸化ナトリウム)の存在下に反応を行うことで、化合物(2)を化合物(1)に対して1.0〜2.0当量使用する場合であっても、収率よく化合物(3)を製造することができる。
アルカリ金属水酸化物(好ましくは水酸化ナトリウム)を用いる場合の使用量は、Mがアルカリ金属(好ましくはナトリウム)である化合物(2)に対して、0.5〜1.5当量、好ましくは0.8〜1.2当量である。
本反応は、溶媒を用いて行うことができる。溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、水等を用いることができる。
本反応系内における化合物(1)の濃度は、0.05〜2.5mol/kg、好ましくは1.5〜2.5mol/kgである。
反応温度は、−15〜60℃、好ましくは0〜30℃である。
反応時間は、1〜60時間、好ましくは3〜48時間である。
本反応はフローリアクターあるいはフローマイクロリアクターを用いることでも行うことができる。その場合、反応温度は、20〜150℃、好ましくは80〜120℃であり、反応時間は、0.1秒〜1時間、好ましくは1秒〜10分である。
以上の方法で製造された化合物(3)は、例えば、1)晶析、2)イオン交換膜を用いた副生物である塩の除去などの公知の方法により、反応混合物から単離することができる。
化合物(3)の単離に用いるイオン交換樹脂としては、特に制限されないが、弱酸性もしくは強酸性イオン交換樹脂等を用いることができる。また溶離液としては、特に制限されないが、約75mMのアンモニア水等を用いることができる。
また、化合物(1)がグリシンメチルエステル塩酸塩である場合、グリシン、塩酸およびメタノールを混合してグリシンメチルエステル塩酸塩を調製した後、得られたグリシンメチルエステル塩酸塩を単離することなく化合物(2)と反応させることにより、ワンポットで化合物(3)(グリシルグリシンまたはその塩)を製造することができる。
グリシンメチルエステル塩酸塩の調製時に用いる塩酸としては、約35%の塩酸、塩化水素ガス等を用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明の有用性を具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
実施例1:グリシルグリシンの合成(1)
グリシンメチルエステル塩酸塩にグリシンナトリウム塩(グリシンメチルエステル塩酸塩に対して5.4当量)を添加し、さらに水を加えてグリシンメチルエステル塩酸塩の濃度が0.9mol/kgとなるように調整した。その後、60℃で3時間撹拌した。反応液をHPLCにより分析したところ、初期のグリシンメチルエステル塩酸塩を基準とするグリシルグリシンの収率は80%であった。
なお、HPLCによる分析は以下の条件で行い、以下の実施例においても同様の条件で行った。
溶出液:50mM NaH2PO4・2H2Oかつ5mM 1-オクタンスルホン酸となるように溶液を調製し、リン酸を用いてpH2.1に調整した。その後、本調整液とメタノールを5:1の割合で混合し、脱気をした後分析に使用した。
分析カラム:CAPCELL PAK C18 Type Mg 4.6mm x 250mm(資生堂)
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出波長:210nm
実施例2:グリシルグリシンの合成(2)
グリシンメチルエステル塩酸塩にグリシンナトリウム塩(グリシンメチルエステル塩酸塩に対して1.0当量)および水酸化ナトリウム(グリシンメチルエステル塩酸塩に対して1.0当量)を添加し、さらに水を加えてグリシンメチルエステル塩酸塩およびグリシンナトリウム塩それぞれの濃度が1.5mol/kgとなるように調整した。その後、30℃で48時間撹拌した。反応液をHPLCにより分析したところ、初期のグリシンメチルエステル塩酸塩を基準とするグリシルグリシンの収率は51.7%であった。
実施例3:グリシルグリシンの合成(3)
グリシンメチルエステル塩酸塩にグリシンナトリウム塩(グリシンメチルエステル塩酸塩に対して1.0当量)および水酸化ナトリウム(グリシンメチルエステル塩酸塩に対して1.0当量)を添加し、さらに水を加えてグリシンメチルエステル塩酸塩およびグリシンナトリウム塩それぞれの濃度が2.5mol/kgとなるように調整した。その後、30℃で24時間撹拌した。反応液をHPLCにより分析したところ、初期のグリシンメチルエステル塩酸塩を基準とするグリシルグリシンの収率は58.1%であった。
実施例4:グリシルグリシンの合成(4)
グリシンメチルエステル塩酸塩にグリシンナトリウム塩(グリシンメチルエステル塩酸塩に対して1.0当量)および水酸化ナトリウム(グリシンメチルエステル塩酸塩に対して1.0当量)を添加し、さらに水を加えてグリシンメチルエステル塩酸塩およびグリシンナトリウム塩それぞれの濃度が1.5mol/kgとなるように調整した。その後、0℃で24時間撹拌した。反応液をHPLCにより分析したところ、初期のグリシンメチルエステル塩酸塩を基準とするグリシルグリシンの収率は56.7%であった。
実施例5:グリシルグリシンの合成(5)
グリシンエチルエステル塩酸塩にグリシンナトリウム塩(グリシンエチルエステル塩酸塩に対して1.0当量)および水酸化ナトリウム(グリシンエチルエステル塩酸塩に対して1.0当量)を添加し、さらに水を加えてグリシンエチルエステル塩酸塩およびグリシンナトリウム塩それぞれの濃度が1.5mol/kgとなるように調整した。その後、30℃で24時間撹拌した。反応液をHPLCにより分析したところ、初期のグリシンエチルエステル塩酸塩を基準とするグリシルグリシンの収率は46.2%であった。
実施例6:アラニルグリシンの合成
アラニンメチルエステル塩酸塩にグリシンナトリウム塩(アラニンメチルエステル塩酸塩に対して4.0当量)を添加し、さらに水を加えてアラニンメチルエステル塩酸塩の濃度が1.13mol/kgとなるように調整した。その後、30℃で3時間撹拌した。反応液をHPLCにより分析したところ、初期のアラニンメチルエステル塩酸塩を基準とするアラニルグリシンの収率は71%であった。
実施例7:プロリルグリシンの合成
プロリンメチルエステル塩酸塩にグリシンナトリウム塩(プロリンメチルエステル塩酸塩に対して4.0当量)を添加し、さらに水を加えてプロリンメチルエステル塩酸塩の濃度が1.11mol/kgとなるように調整した。その後、30℃で24時間撹拌した。反応液をHPLCにより分析したところ、初期のプロリンメチルエステル塩酸塩を基準とするプロリルグリシンの収率は51%であった。
実施例8:グリシンからのグリシルグリシンのワンポット合成
グリシン5g、35%塩酸10.4g(グリシンに対して1.5当量)およびメタノール21.3g(グリシンに対して10当量)を混合し、密閉容器中で40℃で一昼夜撹拌した。反応液をHPLCにより分析したところ、グリシンメチルエステル塩酸塩の収率は79%であった。この反応液を減圧することで過剰な塩酸およびメタノールを蒸発留去した。その後、得られたグリシンメチルエステル塩酸塩と等モルになるように不足分のグリシンおよび水酸化ナトリウムを添加し、さらにグリシンメチルエステル塩酸塩の濃度が1.5mol/kgとなるように水を添加した。その後、30℃で24時間撹拌した。反応液をHPLCにより分析したところ、初期のグリシンメチルエステル塩酸塩を基準とするグリシルグリシンの収率は41.1%であった。
実施例9:グリシルグリシンの合成及び単離(1)
(i)グリシルグリシンの合成
グリシンメチルエステル塩酸塩にグリシンナトリウム塩(グリシンメチルエステル塩酸塩に対して4.0当量)を添加し、さらに水を加えてグリシンメチルエステル塩酸塩の濃度が0.9mol/kgとなるように調整した。その後、60℃で3時間撹拌することによりグリシルグリシン合成反応を進行させた。反応終了後の反応液をHPLCにより分析したところ、初期のグリシンメチルエステル塩酸塩を基準としたグリシルグリシンの収率は79%であった。
(ii)過剰グリシン回収
上記(i)で得られたグリシルグリシン合成反応液を撹拌しながら35%塩酸を添加することで、pH7.5に調整し、過剰なグリシンを結晶析出させた。その後、過飽和解消によるさらなる結晶析出を促すため、室温条件下でさらに24時間撹拌した。その後、析出した結晶を濾過により固液分離し、グリシンを主成分とする結晶と濾過液を得た。固液分離により得られた結晶をHPLCにより分析したところ、グリシンを63%、グリシルグリシンを2.8%含んでおり、本操作によるグリシン回収率は33%、グリシルグリシン回収率は3%となった。
(iii)強酸性イオン交換樹脂分離
強酸性イオン交換樹脂(三菱化学製:UBK550)を樹脂塔カラムに充填後に2mol/L硫酸を2カラムボリューム分送液し、樹脂交換基のH型化および活性化を行った。その後、精製水を通液し、樹脂表面を洗浄後、上記(ii)で得られた濾過液を通液した。本操作により溶液中に含まれる陽イオン成分であるNaイオン、グリシンおよびグリシルグリシンを樹脂に吸着させ、Clイオンを貫流液側へ排除した。その後、3カラムボリューム分、精製水を通液し、樹脂内に残存する未吸着成分を押し流した後、75mMアンモニア水にて吸着成分の溶離を開始した。樹脂を貫流した溶離液は、1/3カラムボリュームごとに回収した。回収した溶離液におけるグリシン、グリシルグリシン、Na、Cl及びNH3の濃度をHPLCにより分析し、溶離曲線を得た。得られた溶離曲線を図1に示す。
(iv)グリシルグリシン結晶取得
溶離曲線から、グリシルグリシンが多く含まれる回収画分を選定し、それらを混合後に凍結乾燥を実施した。凍結乾燥後、最終的に得られた結晶をHPLCにより分析したところ、グリシルグリシンを55%、グリシンを40%含んでおり、グリシルグリシンが多く含まれる結晶取得に成功した。また、得られた結晶中にはNa、Cl、NH3はほとんど含まれていなかった。本樹脂単離工程における、グリシルグリシン回収率は83.4%となり、初期グリシンメチルエステル量基準のグリシルグリシン合成反応および粗グリシン結晶回収工程も含むグリシルグリシントータル収率は63.4%となった。
実施例10:グリシルグリシンの合成及び単離(2)
(i)グリシルグリシンの合成
グリシンメチルエステル塩酸塩にグリシンナトリウム塩(グリシンメチルエステル塩酸塩に対して1.0当量)および水酸化ナトリウム粉末(グリシンメチルエステル塩酸塩に対して1.0当量)を添加し、さらに水を加えてグリシンメチルエステル塩酸塩およびグリシンナトリウム塩それぞれの濃度が2.5mol/kgとなるように調整した。その後、0℃で24時間撹拌することによりグリシルグリシン合成反応を進行させた。反応終了後の反応液をHPLCにより分析したところ、初期のグリシンメチルエステル塩酸塩を基準としたグリシルグリシンの収率は60%であった。
(ii)グリシルグリシン反応液中和
上記(i)で得られたグリシルグリシン合成反応液へ撹拌しながら精製水を添加し、体積が2倍になるよう希釈後、35%塩酸を添加することでpH7.0に調整した。
(iii)強酸性イオン交換樹脂分離
強酸性イオン交換樹脂(三菱化学製:UBK550)を樹脂塔カラムに充填後に2mol/L硫酸を2カラムボリューム分送液し、樹脂交換基のH型化および活性化を行った。その後、精製水を通液し、樹脂表面を洗浄後、上記(ii)で調製した中和液を通液した。本操作により溶液中に含まれる陽イオン成分であるNaイオン、グリシンおよびグリシルグリシンを樹脂に吸着させ、Clイオンを貫流液側へ排除した。その後、3カラムボリューム分、精製水を通液し、樹脂内に残存する未吸着成分を押し流した後、75mMアンモニア水にて吸着成分の溶離を開始した。樹脂を貫流した溶離液は、1/3カラムボリュームごとに回収した。回収した溶離液におけるグリシン、グリシルグリシン、Na、Cl及びNH3の濃度をHPLCにより分析し、溶離曲線を得た。得られた溶離曲線を図2に示す。
(iv)グリシルグリシン結晶取得
溶離曲線から、グリシルグリシンが多く含まれる回収画分を選定し、それらを混合後に凍結乾燥を実施した。凍結乾燥後、最終的に得られた結晶をHPLCにより分析したところ、グリシルグリシンを85.1%、グリシンを16.5%含んでいた。グリシンおよびグリシルグリシンの合計値が100%を越えているのは分析誤差によるものと推定する。また、得られた結晶中にはNa、Cl、NH3はほとんど含まれていなかった。本樹脂単離工程における、グリシルグリシン回収率は84.4%となり、初期グリシンメチルエステル量基準のグリシルグリシン合成反応を含むグリシルグリシントータル収率は50.4%となった。
本発明によれば、安価で簡便に、かつ収率よくグリシルグリシンなどのジペプチドを製造する方法を提供することができる。

Claims (8)

  1. 一般式(1):

    [式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子を表し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。あるいは、RおよびRは一緒になってピロリジン環を形成する。]
    で表される化合物またはその酸付加塩および一般式(2):

    [式中、Mは、アルカリ金属を表す。]
    で表される化合物を反応させることを特徴とする、一般式(3):

    [式中、RおよびRは前記と同義である。]
    で表される化合物またはその塩の製造方法。
  2. Mがナトリウムである、請求項1記載の製造方法。
  3. 水酸化ナトリウムの存在下に反応させることを特徴とする、請求項1または2記載の製造方法。
  4. およびRが水素原子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. がメチル基またはエチル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 酸付加塩が塩酸塩である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 酸付加塩がグリシンメチルエステル塩酸塩である、請求項6記載の製造方法。
  8. グリシンメチルエステル塩酸塩が、グリシン、塩酸およびメタノールを混合して反応させることにより得られたものであることを特徴とする、請求項7記載の製造方法。
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