JP6715760B2 - 積層体 - Google Patents

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本発明は、制振性及び反発弾性を有する積層体に関する。
基布に樹脂を積層或いは含浸した人工皮革や合成皮革といった積層体は、ゴルフクラブやテニスラケットのグリップ部、ゴルフやテニス用手袋、野球グラブ、球技用ボール等の用途に用いられる。これらの用途では、相反する特性の組合わせが求められる場合があり、ゴルフクラブやテニスラケットのグリップ部、ゴルフやテニス用手袋等の用途では手首への耐衝撃吸収性と制振性能が求められ、野球グラブ、球技用ボール等の用途では、反発性と制振性能が求められることが多い。
従来、制振性を有する積層体、例えば、人工皮革・合成皮革などの材料として、特定のスチレン系熱可塑性エラストマー(以下、TPSと略記)を用いた制振性能を有する合成皮革、人工皮革などが提案されている(特許文献1〜2)。また、制振性と耐衝撃性を有する特定のポリウレタン系エラストマー(以下、TPUと略記)にTPSなどをブレンドした組成物を用いた制振性及び耐衝撃性を有する皮革様シートが提案されている(特許文献3)。
また、TPUを含浸した基布に、制振性を有するTPS組成物から得られる層を積層することにより作製された人工皮革が提案され、この人工皮革を用いて手袋等を作成した場合、手袋等に伝わる衝撃が軽減することが記載されている(特許文献4)。
特表2008−543978号公報 特開2011−79924号公報 特開平10−53689号公報 特許第4192007号公報
上記特許文献1〜3に記載の積層体では、制振性を優先すると耐衝撃性が悪化し、また 耐衝撃性を優先すると制振性が悪化する問題がある。
上記特許文献4に記載の人工皮革では、薄層TPSが用いられている為、制振性が不十分なだけでなく、ベタツキ(以下、非粘着性と称す)及び汚れが顕著であり使用に耐えない問題がある。また、反発性を重視すると、制振性が悪化し、かつ 柔軟性が増すためグリップ安定性の悪化が懸念される。一方、制振性を重視すると、反発性が悪化し、手首への負担が増加し、長期負担による関節の炎症が増す問題があり、制振性と反発性を両立することは困難である。
したがって、本発明は、制振性及び反発弾性を兼ね備えた積層体を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、基布層(A)と、基布層(A)の少なくとも一方の面に制振層(B)と、基布層(A)および/または制振層(B)の最外面に反発弾性層(C)とを有する積層体は、良好な制振性と反発弾性を併せ持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明には、以下の好適な実施態様が含まれる。
[1]基布層(A)と、該基布層(A)の少なくとも一方の面に制振層(B)と、該基布層(A)および/または制振層(B)の最外層の表面に反発弾性層(C)とを有する積層体であって、
制振層(B)および反発弾性層(C)はそれぞれ、
(a)少なくとも1個のビニル芳香族化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(X)と少なくとも1個の共役ジエン化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(Y)とからなるブロック共重合体および/または該ブロック共重合体の水素添加物である熱可塑性エラストマー、
(b)軟化剤、および
(c)オレフィン系樹脂
を少なくとも含有し、
制振層(B)は、制振層(B)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)中のイソプレンおよび/またはブタジエンに由来する構造単位における3,4−結合単位および1,2−結合単位の含有量(以下、ビニル結合含有量と称す)が35モル%以上であり、軟化剤(b)を制振層(B)を基準に30質量%以下およびオレフィン系樹脂(c)を制振層(B)を基準に30質量%以下含有し、および
反発弾性層(C)は、反発弾性層(C)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)中のビニル結合含有量が35モル%未満であり、軟化剤(b)を反発弾性層(C)を基準に40質量%以下およびオレフィン系樹脂(c)を反発弾性層(C)を基準に10質量%以下含有する、積層体。
[2]制振層(B)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)は、ビニル結合含有量が45モル%以上である熱可塑性エラストマー(a1)およびビニル結合含有量が45モル%未満である熱可塑性エラストマー(a2)の混合物である、[1]に記載の積層体。
[3]反発弾性層(C)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)は、重量平均分子量Mwが10万以下である熱可塑性エラストマー(a3)および重量平均分子量Mwが10万以上である熱可塑性エラストマー(a4)の混合物であり、該混合物中の熱可塑性エラストマー(a3)の割合は、該混合物の質量を基準に20〜70質量%である、[1]または[2]に記載の積層体。
本発明によれば、優れた制振性と反発弾性とを併せ持つ積層体を提供することができる。
<基布層(A)>
基布層(A)としては、適度な厚みと充実感を有し、かつ柔軟な風合を有するシート状の繊維質基材であればよく、中でも従来から人工皮革様の積層体の製造に用いられる各種の繊維質基材を好ましく用いることができる。限定されるものではないが、本発明に用い得る繊維質基材の例としては、極細繊維またはその束状繊維、特殊多孔質繊維、通常の合成繊維、半合成繊維、天然繊維、無機繊維などを用いて形成された絡合不織シートや編織物シートなどの繊維質シートが挙げられる。
上記繊維質基材のうち、極細繊維又はその束状繊維(以下、極細繊維束ともいう)を用いて形成される繊維質シートが好ましい。また、繊維質シートを構成する極細繊維の単繊維繊度は0.5dtex以下であるのが好ましく、0.1dtex以下であるのがより好ましい。また、繊維質基材を極細繊維束から形成する場合は、極細繊維束のトータル繊度が0.5〜1000dtexであることが積層体の風合などの点から好ましい。また、繊維質基材を構成する極細繊維は、ポリエステル系繊維及び/又はポリアミド系繊維から形成されているのが、得られる積層体の強度、感触、コストなどの点から好ましい。
極細繊維又は極細繊維束は、熱水或いは有機溶剤で溶解可能な樹脂、例えばポリエチレン(以降、PEと略す)、ポリビニルアルコール(以降、PVAと称す)などをポリエステル系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂にブレンドした後、繊維化し、次いで絡合不織シートや編織物シートなどの繊維質シートとし、場合により繊維質シートに制振層(B−1)を含浸又は積層により形成した後、熱水或いは有機溶剤でPE或いはPVAを除去することにより得ることができる。
基布層(A)と制振層(B)或いは反発弾性層(C)との接着性を向上させるために、基布層(A)の表面に、制振層(B)或いは反発弾性層(C)と親和性の高い重合体を含む表面処理剤の被覆層を形成してもよく、その場合の被覆層の厚さは5μm以下とするのが好ましい。前記被覆層の厚さが厚くなると、柔軟で一体感のある風合を有する積層体が得られにくくなる。
さらに、柔軟な風合を有し、且つ腰のある積層体を得るためには、基布層(A)の見掛け比重が0.25〜0.5g/cmであるのが好ましく、0.3〜0.35g/cmであるのがより好ましい。基布(A)の見掛け比重が大きすぎると、積層体がゴム様の風合となり易く、一方 基布(A)の見掛け比重が小さ過ぎると積層体の反発性が低く、さらに腰のない風合となり易い。
また、基布層(A)の厚さは、製造される積層体の用途などに応じて決めることができるが、0.3〜3mm程度であるのが好ましく、0.5〜2mm程度であるのがより好ましい。
<制振層(B)及び反発弾性層(C)>
制振層(B)及び反発弾性層(C)はそれぞれ、(a)少なくとも1個のビニル芳香族化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(X)と少なくとも1個の共役ジエン化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(Y)とからなるブロック共重合体及び/又はこのブロック共重合体の水素添加物である熱可塑性エラストマー、(b)炭化水素系ゴム用軟化剤、及び(c)オレフィン系樹脂を少なくとも含有する。
<熱可塑性エラストマー(a)>
熱可塑性エラストマー(a)は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(X)と少なくとも1個の共役ジエン化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(Y)とからなるブロック共重合体及び/又はこのブロック共重合体の水素添加物である。
<ブロック共重合体>
ブロック共重合体は、重合体ブロック(X)を1個以上、及び重合体ブロック(Y)を1個以上含有するため、制振層(B)及び反発弾性層(C)は、良好な柔軟性を発揮することができる。ブロック共重合体は、耐熱性、力学物性等の観点から、重合体ブロック(X)を2個以上、及び重合体ブロック(Y)を1個以上含有していることが好ましい。重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Y)の結合様式は、線状、分岐状あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよい。重合体ブロック(X)をXで、重合体ブロック(Y)をYで表したときのブロック共重合体の構造としては、例えばX−Yで示されるジブロック構造や、X−Y−Xで示されるトリブロック構造や、(X−Y)、(X−Y)−X、(ここでnは2以上の整数を表す)で示されるマルチブロック共重合体などが挙げられる。これらの中でも、X−Y−Xで示されるトリブロック構造のものが、制振性、耐熱性、力学物性、汚れ防止性、取り扱い性等の点で、またX−Yで示されるジブロック構造のものが、制振性、粘着性の面で好ましい。
また、重合体ブロック(X)の構成成分であるビニル芳香族化合物と重合体ブロック(Y)の構成成分である共役ジエン化合物とが、ランダム状及び/又はテーパー状に共重合したブロック部分を、本発明の効果が阻害されない範囲で含有することができる。ブロック共重合体がランダム状及び/又はテーパー状に共重合したブロック部分を含む場合、X−Y構造部分の接続部近傍に、該ランダムまたは/及びテーパー含有ブロックに配位することが好ましい。ランダム状に共重合したブロック部分を含有するとは、ブロックX及びYの間に、X及びYを構成する単量体がそれぞれランダムに結合した部分を伴って共重合する部分が存在することをいう。テーパー状に共重合したブロック部分を含有するとは、ブロックX及びYの間に、Xを構成する単量体数が一定割合で減少すると共にYを構成する単量体数が一定割合で増加する部分が存在することをいう。
ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましい。芳香族ビニル化合物は1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
熱可塑性エラストマー(a)中のビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量は5〜75質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量がこの範囲内であると、制振層(B)及び反発弾性層(C)の耐熱性及び力学物性が良好となり易い傾向がある。
重合体ブロック(X)は、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位と共に他の共重合性単量体に由来する構造単位を少量含有してもよい。他の共重合性単量体としては、例えば1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテル等のイオン重合性単量体が挙げられる。これら他の共重合性単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合体ブロック(A)が芳香族ビニル化合物に由来する構造単位以外にビニル芳香族化合物等の他の共重合性単量体に由来する構造単位を有する場合、それらの結合形態は、ランダム状、テーパード状等のいずれの形態であってもよい。この場合、他の共重合性単量体に由来する構造単位の割合は、重合体ブロック(X)の質量に基づいて10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。共役ジエン化合物は1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ブロック共重合体における少なくとも1個の共役ジエン化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(Y)は、制振性の観点からイソプレン単独、またはイソプレンとブタジエンの混合物に由来する構造単位からなることが適している。このような重合体ブロック(Y)を含むブロック共重合体は、重合体ブロック(Y)に枝分かれが多く、嵩高い構造を有しているため、本発明の積層体に振動エネルギーが及ぼされた際、分子同士が衝突する確率が高くなり、振動エネルギーが熱エネルギーに効率良く変換され、良好な制振性を与える。
制振層(B)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)は、共役ジエン化合物であるイソプレン及び/又はブタジエンに由来する構造単位の3,4−結合単位及び1,2−結合単位の含有量(以下、ビニル結合含有量とも称す)が、35モル%以上、好ましくは40モル%以上、より好ましくは45モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上である熱可塑性エラストマーである。制振層(B)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)中のビニル結合含有量が35モル%未満では制振性、使用感(衝撃吸収性)が悪化する傾向がある。
また、制振層(B)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)は、ビニル結合含有量が45モル%以上である熱可塑性エラストマー(a1)と、ビニル結合含有量が45モル%未満である熱可塑性エラストマー(a2)との混合物であってもよい。
熱可塑性エラストマー(a)は、重量平均分子量Mwが好ましくは4万〜50万、より好ましくは8万〜40万、さらに好ましくは16万〜30万である。分子量が上記範囲より小さすぎる場合は、得られる積層体の力学物性の低下を招き好ましくない。逆に大きすぎる場合には粘度の上昇が著しくなり、成形加工性が損なわれ好ましくない。重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定し、ポリスチレン換算により算出することができる。
反発弾性層(C)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)は、ビニル結合含有量が、35モル%未満、好ましくは30モル%以下であり、樹脂ビニル結合含有量が35モル%以上では、反発弾性が低下する傾向がある。
反発弾性層(C)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)は、重量平均分子量が10万以下である比較的低い分子量を有する熱可塑性エラストマー(a3)と、重量平均分子量が10万以上である比較的高い分子量を有する熱可塑性エラストマー(a4)との混合物であってもよい。混合物中のスチレン系熱可塑性エラストマー(a3)の割合は、混合物の質量を基準に20〜70質量%であるのが好ましく、25〜65質量%であるのがより好ましく、30〜50質量%であるのがさらに好ましい。熱可塑性エラストマー(a3)の含有量が20質量%未満では、成形加工性が悪化し、一方 70質量%を超えると、使用感(グリップ安定性、非粘着性)が悪化する傾向がある。
<ブロック共重合体の水素添加物>
熱可塑性エラストマー(a)は、耐熱性や耐光性の観点から、ブロック共重合体の水素添加物、又はブロック共重合体とその水素添加物との混合物であってよい。この場合、重合体ブロック(Y)を構成する構造単位中の共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の50%以上が水素添加されていることが好ましく、75%以上が水素添加されていることがより好ましく、95%以上が水素添加されていることがさらに好ましい。
熱可塑性エラストマー(a)の代表的市販品としては、例えばセプトン(株式会社クラレ)等が挙げられる。
<軟化剤(b)>
軟化剤(b)としては、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル等のプロセスオイル、流動パラフィン等の炭化水素系ゴム用軟化剤が挙げられる。これらの中でもパラフィン系オイル、ナフテン系オイル等のプロセスオイルが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
軟化剤(b)は、40℃での動粘度が好ましくは50〜500mm/sである。
上記軟化剤(b)の重量平均分子量Mwは700以上が好ましく、750以上がより好ましい。軟化剤(b)の重量平均分子量Mwは1500以下が好ましく、1400以下がより好ましい。軟化剤(b)の重量平均分子量Mwが700以上であればオイルブリードが非常に少なく、重量平均分子量Mwが1500以下であれば、成形加工性が良好である。
軟化剤(b)は、その製造について特に限定されず、例えば、従来公知の方法により製造できる。上記軟化剤(b)の代表的市販品としては、例えば出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルPWシリーズ(パラフィン系オイル)、出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルNRシリーズ(ナフテン系オイル)、NIKKO OIL PRODUCTS(株)製NOBELプロセスオイルABシリーズ(アロマ系オイル)等が挙げられる。
制振層(B)中の軟化剤(b)の含有量は、制振層(B)を基準に30質量%以下であり、30質量%を超えると使用感(非粘着性)が悪化する傾向がある。制振層(B)中の軟化剤(b)の含有量は、好ましくは28質量%以下、より好ましくは26質量%以下、さらに好ましくは24質量%以下である。また、制振層(B)中の軟化剤(b)の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上である。
反発弾性層(C)中の軟化剤(b)の含有量は、反発弾性層(C)を基準に40質量%以下であり、炭化水素系ゴム用軟化剤(b)の含有量が40質量%を超えると使用感(グリップ安定性)が悪化する傾向がある。制振層(C)中の軟化剤(b)の含有量は、好ましくは38質量%以下、より好ましくは36質量%、さらに好ましくは34質量%以下である。また、反発弾性層(C)中の軟化剤(b)の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上である。
<ポリオレフィン系樹脂(c)>
制振層(B)および反発弾性層(C)はそれぞれ、強度や成形性、耐薬品性、耐熱性、非粘着性の改善の目的からさらにポリオレフィン系樹脂(c)を含有する。ポリオレフィン系樹脂(c)としては、プロピレン系重合体、エチレン系重合体等が挙げられる。プロピレン系重合体としては、例えばホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン等を使用することができる。中でも、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンを用いるのが好ましい。エチレン系重合体としては、例えば中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のエチレン単独重合体;エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ヘプテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ノネン共重合体、エチレン・1−デセン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂(c)は、230℃でのメルトマスフローレート(MFR)が好ましくは1〜700g/10分である。
ポリオレフィン系樹脂(c)は、その製造について特に限定されず、例えば、従来公知の方法により製造することができる。ポリオレフィン系樹脂(c)の代表的市販品としては、例えばプライムポリプロJ108M(商品名)、株式会社プライムポリマー製が挙げられる。
制振層(B)中のポリオレフィン系樹脂(c)の含有量は、制振層(B)を基準に30質量%以下であり、ポリオレフィン系樹脂(c)の含有量が30質量%を超えると制振性、使用感(柔軟性)が悪化する傾向がある。制振層(B)中のポリオレフィン系樹脂(c)の含有量は、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%、さらに好ましくは15質量%以下である。また、制振層(B)中のポリオレフィン系樹脂(c)の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
反発弾性層(C)中のポリオレフィン系樹脂(c)の含有量は、反発弾性層(C)を基準に10質量%以下であり、オレフィン系樹脂(c)の含有量が10質量%を超えると、反発弾性、使用感(衝撃吸収性、柔軟性(ゴワゴワ感))が悪化する問題がある。反発弾性層(C)中のポリオレフィン系樹脂(c)の含有量は、好ましくは9質量%以下、より好ましくは8質量%、さらに好ましくは7質量%以下である。また、反発弾性層(C)中のポリオレフィン系樹脂(c)の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
制振層(B)は、熱可塑性エラストマー(a)中のビニル結合含有量が35モル%以上、好ましくは40モル%以上であり、炭化水素系ゴム用軟化剤(b)の含有量が30質量%以下、好ましくは28質量%以下、かつポリオレフィン系樹脂(c)の含有量が30質量%以下、好ましくは25質量%以下であることが、制振性、柔軟性、非粘着性を付与させる点で重要である。
反発弾性層(C)は、熱可塑性エラストマー(a)中のビニル結合含有量が35モル%未満、好ましくは30モル%以下、炭化水素系ゴム用軟化剤(b)の含有量が40質量%以下、好ましくは38質量%以下、かつポリオレフィン系樹脂(c)の含有量が10質量%以下、好ましくは9質量%以下であることが良好な反発弾性、使用感、成形性を発現させる点で重要である。
<その他の成分>
制振層(B)及び反発弾性層(C)はそれぞれ、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、必要に応じて、粘着付与材を含有させてもよい。粘着付与材としては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、これらのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステルなどのロジン系樹脂;α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンなどを主体とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂などテルペン系樹脂:(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂、(水添)芳香族系(C9系)石油樹脂、(水添)共重合系(C5−C9共重合系)石油樹脂、(水添)ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂環式飽和炭化水素など水素添加されていてもよい石油樹脂;ポリα−メチルスチレン、α−メチルスチレン−スチレン共重合体、スチレン系モノマー−脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー−芳香族系モノマー(スチレン系モノマーを除く)共重合体などのスチレン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン樹脂;クマロン−インデン系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、樹脂組成物の着色抑制の観点から、水添テルペン樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂、(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂が好ましい。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
制振層(B)及び反発弾性層(C)に粘着付与材を含有させる場合、その量は熱可塑性エラストマー(a)100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、耐熱性の観点からは80質量部以下であることがより好ましい。
制振層(B)及び反発弾性層(C)はそれぞれ、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウムなどのリン片状無機系添加剤、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミックス粉、粒状あるいは粉末ポリマー等の粒状あるいは粉末状固体充填材、その他の各種の天然または人工の短繊維、長繊維(例えば、わら、毛、ガラスファイバー、金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバー等)などを配合することができる。
また、中空フィラー、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーンなどの無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体などからなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化をはかることができる。中でも、ポリビニル系短繊維、ポリアリレート系短繊維、グラファイト、マイカ、酸化チタン、アルミニウム粉末、カーボンブラック、などは制振性を大きく改善する効果があり、より望ましい。
制振層(B)及び反発弾性層(C)はそれぞれ、上記の成分の他に、用途に応じて各種のブロッキング防止剤、熱安定剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、発泡剤、着色剤等を含有することも可能である。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジtert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジtert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−5,5−ウンデカンなどのフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等を使用することができる。中でもフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。制振層(B)又は発弾性層(C)に酸化防止剤を含ませる場合、酸化防止剤は、本発明の制振層(B)又は発弾性層(C)に含まれる上記成分(a)〜(c)の合計100質量部に対して、0.01〜3.0質量部であることが好ましく、0.05〜1.0質量部であることがより好ましい。
また、積層体の反発弾性および制振性を更に向上させるため、制振層(B)および/または反発弾性層(C)に発泡剤を添加し、発泡することができる。
<積層体>
本発明の積層体は、基布層(A)の少なくとも一方の面に制振層(B)が積層され、基布層(A)および/または制振層(B)の最外層の表面に反発弾性層(C)が積層された層構成であってよく、例えばB/A/C、A/B/Cの3層構成であってよい。また、制振層(B)及び反発弾性層(C)は用途等に応じて同一又は異なったものを複数積層してもよく、例えばC/B/A/C、B/A/C/C、B/B/A/C、B/B’/A/C、A/B/C/C、A/B/C/C’、A/B’/C/C’等の4層構成等や、B/B/A/C/C、B/B’/A/C/C’、A/B/B/C/C、A/B/B’/C/C’、B/A/B’/C/C’、B/B’/C/A/C’等の5層構成等であってよい。
また、本発明では、制振層(B)又は反発弾性層(C)は、部分的に又は完全に基布層(A)に含浸していてもよい。
制振層(B)と反発弾性層(C)とは、剥離可能な密着する程度で積層されていればよく、必ずしも互いに接着している必要はない。また、制振層(B)と反発弾性層(C)との積層面積は必ずしも同一である必要もない。更には、制振層(B)と反発弾性層(C)との厚み分布は均一である必要もない。制振層(B)と反発弾性層(C)とは必要な部分に配置する事が可能であり、使用部位、使用頻度、使用目的、使用者の個性に応じて、容易に変更可能な方がより望ましい場合がある。制振層(B)及び反発弾性層(C)の少なくとも一つは、基布層(A)に接着しているのが好ましい。
本発明の積層体は、制振層(B)および/または反発弾性層(C)の最外層側に非粘着性、使用感(グリップ安定性)、スリップ性、防汚性を更に改善する目的で、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂またはアクリル系樹脂の薄層コートを有してよい。薄層コートは、従来公知の方法、例えばロール塗布、ディッピング、スピンコート、噴霧、ラミネート、ドクターブレード等により塗布することができる。
本発明の積層体は、最外層が制振層(B)或いは反発弾性層(C)である場合、制振層(B)或いは反発弾性層(C)は、非粘着性および/または意匠性の観点から凹凸模様を有するものであってよい。凹凸模様は、後述する凹凸処理により付与することができる。
本発明の積層体は、損失係数ηが好ましくは0.1以上、より好ましくは0.12以上である。損失係数ηが高いほど積層体の制振性に優れる傾向がある。損失係数ηは、後述する実施例において説明する測定方法に従って求めた値である。
本発明の積層体は、反発弾性率が好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上である。反発弾性率が高いほど積層体の衝撃物の跳ね返しが高い傾向がある。反発弾性率は、後述する実施例において説明する測定方法に従って求めた値である。
本発明の多層積層体は、制振性、及び 反発弾性に優れ、制振性と反発弾性性とを併せ持つ人工皮革、合成皮革などに有効である。より具体的には、例えば、壁装材を含む建装材、車両内装材、コンピュータ、コンピュータディスプレイ、テレビ、ゲーム機器、冷蔵庫、掃除機など電気機器や家電製品などの外装材、各種スポーツ用具、スポーツウェアー、衣料品靴胛被、靴中敷、土木建築機器関連の保護カバー、保護手袋、医療器具、医療用品など必要箇所に部分的、或いは全面に使用できる。
<積層体の製造方法>
制振層(B)及び反発弾性層(C)はそれぞれ、上記(a)、(b)及び(c)、必要に応じてその他の成分を含む樹脂組成物から製造することができる。
制振層(B)を構成する樹脂組成物(以下、樹脂組成物(B)ともいう)及び反発弾性層(C)を構成する樹脂組成物(以下、樹脂組成物(C)ともいう)を調製するには、各成分を上記配合割合で配合して、これらを均一に混合することで得られ、特に限定されないが、例えばミキシングロール、加圧式ニーダ、一軸押出機、二軸押出機などによって溶融混練し、ペレット状に調製することができる。また、場合によっては、トルエンなどの有機溶剤で加熱下、溶解し、溶液状態で下記の後加工を行う場合もある。
得られたペレット状樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、ホットプレス機、射出成形機、インサート射出機、シート成形機、共押出シート成形機、押出ラミ成形機、などで単層シート及び多層シートを得る。単層シートの場合、ホットプレス機、熱ロールラミ機、押出ラミ機などで積層することができる。
基布(A)を制振層(B)及び反発弾性層(C)と積層、複合化する方法としては、特に限定するものではないが、1)樹脂組成物(B)及び/又は(C)をトルエンなどの有機溶剤に加熱下溶解した溶液を基布(A)に含浸および乾燥する方法、2)樹脂組成物(B)及び/又は(C)を、単層押出し成膜機、或いは共押出し成膜機を用い、樹脂組成物(B)及び/又は(C)を熱溶融下、基布(A)に押出しラミネートを行いつつ、冷却ロールで成型する方法、3)層押出し成膜機、或いは共押出し成膜機を用い、樹脂組成物(B)及び/又は(C)を熱溶融下、フィルムを成膜した後、熱ロール、或いは熱プレス機を用い、加熱及び加圧下、ラミネートする方法、4)カレンダー式加熱ロールを用い、溶融した樹脂組成物(B)及び/又は(C)を基布(A)に溶融下ラミネートする方法、或いは 1)〜4)の方法を2つ以上併せて用いる方法などが挙げられる。
最外層が制振層(B)及び/又は反発弾性層(C)である場合、制振層(B)及び/又は反発弾性層(C)に非粘着性および/または意匠性を付与するため、凹凸処理を施すことができる。上記1)〜4)の製法を用いる場合、冷却ロール或いは熱ロールに凹凸模様を付けたエンボスロールを用いることができる。また、別法として、基布(A)に含浸或いは積層した制振層(B)或いは反発弾性層(C)上に、凹凸模様を付けた紙或いはプラスチックシートに樹脂組成物(B)又は(C)を塗布或いは押出しラミネートした積層体をラミネートする方法や、基布(A)に凹凸模様を付けた紙或いはプラスチックシートに樹脂組成物(B)及び/又は(C)を構成する樹脂を塗布或いは押出しラミネートした積層体をラミネートする方法などがある。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例の物性評価は、以下に示す方法によって行った。
(1)重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件下、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を算出した。
GPC;LC Solution (SHIMADZU社製)
検出器:示差屈折率計 RID−10A(SHIMADZU社製)
カラム:TSKgelG4000Hxlを2本直列(TOSOH社製)
ガードカラム:TSKguardcolumnHxl−L(TOSOH社製)
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
流速:1ml/min
濃度:2mg/ml
(2)スチレン含有率
重合に使用した各モノマー成分の質量から算出した。
(3)1,2−結合および3,4−結合単位の含有率(ビニル結合含有量)
ブロック共重合体をCDClに溶解してH−NMRスペクトルを測定(装置:JNM−Lambda 500(日本電子(株)製、測定温度:50℃)し、イソプレン、ブタジエン、またはイソプレンとブタジエンの混合物由来の構造単位の全ピーク面積と、イソプレン構造単位における1,2−結合単位および3,4−結合単位、ブタジエン構造単位における1,2−結合単位および3,4−結合単位、またはイソプレンとブタジエンの混合物の場合にはそれぞれの前記結合単位に対応するピーク面積の比からビニル結合含有量(1,2−結合単位と3,4−結合単位の含有量の合計)を算出した。
(4)損失係数(η)の測定
振動体(厚さ1.0mm、幅15.0mm、長さ250mmのSPCC鋼板)及び 拘束層厚さ0.5mm、幅15.0mm、長さ250mmのアルミ板)に両面粘着テープを張付けた後、後述する実施例、比較例で作成した積層体の両側に該金属を貼り合わせ、リオン社製、商品名「SA−01」の測定装置を用い、0℃にて中央加振法により損失係数を測定。
(5)反発弾性率
反発弾性率は衝撃物を跳ね返す指標である。反発弾性層(C)を構成する樹脂組成物のペレットを、圧縮成形機により200℃、3分間圧縮成形し、直径29.0±0.5mm、厚さ12.5±0.5mmの円柱状試験片を作製した。この試験片を用い、JIS K6255に準拠して、リュプケ式反発弾性試験機によって25℃の反発弾性率を測定した。
(6)使用感(グリップ安定性及び衝撃吸収性)
多層積層体の制振層(A)を外側にして、両面粘着テープを用い、野球バットのグリップ部に巻き付け10人のモニターにより100発の打撃試験を実施した。打撃時の衝撃吸収性及びグリップ安定性を聴取し、良好と答えた人数を記載し、5名以上を使用感良好の目安とした。
(7)柔軟性(ゴワゴワ感)
該多層積層体の制振層(A)を内側にしたゴルフ用手袋を10人のモニターに装着し、ゴルフクラブの取手を握った場合の柔軟性(しなやかさ、ゴワゴワ感)を4段階評価で聴取し、平均値がランク2以下を柔軟性良好の目安とした。
ランク1:柔軟性良好
ランク2:しなやかさが少し不足
ランク3:ゴワゴワ感あり
ランク4:ゴワゴワ感が顕著
(8)非粘着性(ベタツキ感)
JIS K7125試験法に準拠し、多層積層体の反発弾性層(B)側を、両面接着テープを用いて、厚さ1.0mm、幅80mm、長さ200mmのSPCC鋼板に貼付け、制振層(A)側を上向きに水平常盤に固定。制振層(A)の上に、63mm×63mmのすべり片(アルミ板:200g)置き、23℃−50%RH雰囲気下、島津製作所製 オートグラフ 型番AG−1、500Nを用い、水平速度100mm/minで引っ張り、定常張力下で(動摩擦力係数=ピーク張力を除く平均張力/荷重)測定し、動摩擦力係数が2以下を非粘着性良好の目安とした。
(9)成形性
二軸押出機(口径46mm、L/D=46)を使用して、下記の各構成成分を表1〜3に示す配合に従って混合した後、230℃で溶融混練押出し、ダイスより吐出する溶融ストランドの外観より成形性をランク付けし、ランク2以下を成形性良好の目安とした。
ランク1:溶融ストランド 表面外観均質
ランク2:溶融ストランド 表面 微小凹凸あり
ランク3:溶融ストランド 凹凸顕著、切れ易い
ランク4:溶融ストランド 吐出不良
<実施例1〜11及び比較例1〜8>
二軸押出機(口径46mm、L/D=46)を使用して、下記の各構成成分を表1に示す配合に従って混合した後、190℃で溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物Bおよび樹脂組成物Cを得た。
制振層(B)或いは反発弾性層(C)を基布(A)に積層する方法としては、樹脂組成物(B)のペレットを、トルエン溶液を溶剤とし、3時間、110℃で加熱攪拌した濃度40質量%の均一溶液とした後、該基布(A)へ含浸させ、圧搾及び冷却後、乾燥(80℃、30分)し、樹脂厚み換算で0.5mmの積層体とした。その後、T型ダイス単軸押出機(口径40mm、L/D=24、230℃)を用い、基布層(A)に含浸させた樹脂組成物(B)とは異なる樹脂組成物(C)を厚み0.5mmで押出ラミネートし、制振層(B)/基布(A)/反発弾性層(C)を構成とする多層積層体を得た。評価結果を表2に示す。
<基布(A)>
コットン50%、ナイロン40%、及びスパンデックス10%を含有する30番手糸を用い、目付82g/m、密度(見掛け比重)0.4g/cm、厚み0.26mmの平織り布を用いた。
<熱可塑性エラストマー(a)の製造>
特許第2703335号公報、或いは特開2003−128870号公報に準じ、乾燥し窒素で置換された耐圧反応器で、溶媒としてシクロヘキサン、開始剤としてn−ブチルリチウム、場合によっては共触媒を用い、スチレンモノマー、イソプレンモノマー、スチレンモノマーの順に添加し重合することによりX−Y−Xの構造を有するブロック共重合体を得た後、シクロヘキサン中で、Pd−Cを触媒として用いて水素圧20kg/cmで 水素反応をおこない、熱可塑性エラストマー(a)としてブロック共重合体の水素添加物を得た。これらのブロック共重合体の水素添加物の分子特性を下記に示した。
<熱可塑性エラストマー(a)>
・(a1−1)
種類:スチレン−イソプレン−スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量73モル%、重量平均分子量28万、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量20質量%;
・(a1−2)
種類:スチレン−イソプレン−スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量55モル%、重量平均分子量29万、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量32質量%;
・(a1−3)
種類:スチレン−イソプレン−スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量50モル%、重量平均分子量17万、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量30質量%;
・(a2−1)
種類:スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量8モル%、重量平均分子量27万、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量30質量%;
・(a2−2)
種類:スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量40モル%、重量平均分子量9万、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量30質量%;
・(a3−1)
種類:スチレン−ブタジエン−スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量8モル%、重量平均分子量5万、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量30質量%;
・(a3−2)
種類:スチレン−ブタジエン−スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量40モル%、重量平均分子量9万、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量30質量%;
・(a4−1)
種類:スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量20モル%、重量平均分子量15万、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量33質量%;
・(a4−2)
種類:スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量8モル%、重量平均分子量27万、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量30質量%;
<炭化水素系ゴム用軟化剤(b)>
ダイアナプロセスオイルPW−380(商品名)、出光石油化学株式会社製、パラフィン系オイル、動粘度(40℃):381.6mm/s、環分析パラフィン:73%、環分析ナフテン:27%、重量平均分子量:1304
<ポリオレフィン系重合体(c)>
ポリプロピレン プライムポリプロ J108M(商品名)、株式会社プライムポリマー製、MFR(230℃):45g/10分
Figure 0006715760
Figure 0006715760
実施例1〜11に示すように、基布(A)に制振層(B)、反発弾性層(C)を積層した、本発明の構成を満足する多層積層体は制振性、反発弾性などに優れる。
比較例1は、実施例1において制振層(B)を構成する樹脂組成物(B)と反発弾性層(C)層を構成する樹脂組成物(C)とをそれぞれ等重量部ブレンドした樹脂を用い、実施例1と同様に積層を行い、樹脂組成物(B)及び樹脂組成物(C)から構成される層/基布層(A)/樹脂組成物(B)及び樹脂組成物(C)から構成される層からなる積層体を得たが、得られた積層体は制振性、反発弾性、及び使用感(衝撃吸収性)が悪化する結果となった。
比較例2は、制振層(B)の成分である軟化剤(b)の添加量を30質量%超えとし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は使用感(グリップ安定性、非粘着性)、が悪化する結果となった。
比較例3は、制振層(B)の成分であるオレフィン系樹脂(c)の添加量を30質量%超えとし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は、使用感(衝撃吸収性、柔軟性(ゴワゴワ感))が悪化する結果となった。
比較例4は、制振層(B)の樹脂成分であるビニル結合含有量を35モル%未満とし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は制振性、及び使用感(衝撃吸収性)が悪化する結果となった。
比較例5は、反発弾性層(C)の成分である軟化剤(b)の添加量を40質量%超えとし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は使用感(グリップ安定性)が悪化する結果となった。
比較例6は、制反発弾性層(C)の成分であるオレフィン系樹脂(c)の添加量を10質量%超えとし、実施例1と同様に積層体を得たが、得られた積層体は、反発弾性、使用感(衝撃吸収性、柔軟性(ゴワゴワ感))が悪化する結果となった。
比較例7は、反発弾性層(C)に用いた熱可塑性エラストマー中の低分子量成分含有量、すなわち熱可塑性エラストマーa3の割合を20質量%未満とし、実施例1と同様の操作を行なおうとしたが、ブレンド溶融樹脂混合物が不均一な為、良好な積層体は得られなかった。
比較例8は、反発弾性層(C)の低分子量成分含有量を70質量%超えとし、実施例1と同様の積層体を得たが、使用感(グリップ安定性、非粘着性)が悪化する結果となった。

Claims (2)

  1. 基布層(A)と、該基布層(A)の少なくとも一方の面に制振層(B)と、該基布層(A)および/または制振層(B)の最外層の表面に反発弾性層(C)とを有する積層体であって、
    制振層(B)および反発弾性層(C)はそれぞれ、
    (a)少なくとも1個のビニル芳香族化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(X)と少なくとも1個の共役ジエン化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(Y)とからなるブロック共重合体および/または該ブロック共重合体の水素添加物である熱可塑性エラストマー、
    (b)軟化剤、および
    (c)オレフィン系樹脂
    を少なくとも含有し、
    制振層(B)は、制振層(B)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)中のイソプレンおよび/またはブタジエンに由来する構造単位における3,4−結合単位および1,2−結合単位の含有量(以下、ビニル結合含有量と称す)が35モル%以上であり、軟化剤(b)を制振層(B)を基準に30質量%以下およびオレフィン系樹脂(c)を制振層(B)を基準に30質量%以下含有し、および
    反発弾性層(C)は、反発弾性層(C)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)中のビニル結合含有量が35モル%未満であり、軟化剤(b)を反発弾性層(C)を基準に40質量%以下およびオレフィン系樹脂(c)を反発弾性層(C)を基準に10質量%以下含有する、積層体。
  2. 制振層(B)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)は、ビニル結合含有量が45モル%以上である熱可塑性エラストマー(a1)およびビニル結合含有量が45モル%未満である熱可塑性エラストマー(a2)の混合物である、請求項1に記載の積層体。
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