JP2015140500A - 合成皮革およびその製造方法 - Google Patents

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舞 栗原
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Abstract

【解決手段】下記要件(i)〜(iv)を満たすプロピレン系重合体(I)を含む樹脂層(A)が、背面基布層(B)の少なくとも片面に、必要に応じて中間層(C)を介して積層されてなる合成皮革。
(i)MFRが0.01〜200g/10分の範囲にある、(ii)密度勾配管法で測定した密度が860〜920kg/m3の範囲にある、(iii)溶融張力が170℃〜230℃のいずれかの温度において10〜80mNの範囲にある、(iv)プロピレンから導かれる構成単位を60質量%以上含有し、実質的にシンジオタクティック構造を有する。
【効果】本発明によれば、リサイクル性や、軽量性、環境に対する低汚染性といったポリオレフィン系樹脂の良好な特性を有し、かつ、従来のポリオレフィン系樹脂では難しかった耐傷付性、耐摩耗性、耐加水分解性に優れる合成皮革を提供することができる。また、環境や生体に影響があると懸念されるハロゲン化物や可塑剤を実質的に含まない合成皮革を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、合成皮革およびその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、自動車内装材、衣服、鞄、靴、家具、文房具、玩具などの各種用途に使用される合成皮革および該合成皮革を製造する方法に関する。
基布や基材層の表面にポリ塩化ビニル(PVC)やポリウレタン樹脂層を形成した合成皮革が盛んに用いられている。ポリ塩化ビニル樹脂は安価であり、可塑剤の配合量により幅広い硬度の合成皮革を製造できる。また、ポリウレタン樹脂は、広い硬度範囲で優れた弾性率、耐荷重性、機械的強度に優れている点で利点がある。
一般的に合成皮革に適する柔らかい硬度を有する樹脂は耐擦傷性に劣るため、樹脂層が傷付きやすいという問題がある。このような問題を解決するため、例えばポリウレタンエラストマーとアクリル系樹脂を配合した合成樹脂レザーが提案されている(特許文献1参照)。また、合成皮革の表面層がポリ塩化ビニル層である場合およびポリウレタン樹脂層である場合のどちらも、環境暴露による経年劣化や皮革のべたつきが問題である。特に、ポリウレタン樹脂はその構造上、劣化スピードが速く、耐使用年数は2〜3年とも言われる。
一方、近年では、生体への悪影響への懸念から、ポリ塩化ビニル樹脂およびポリウレタン樹脂に盛んに用いられる可塑剤を不使用にする提案がなされている(特許文献2参照)。しかしながら、可塑剤を用いない場合には、その分柔らかさや風合いに劣り、さらなる改善の余地がある。一方、可塑剤を必要としないという点で、環境を汚染することが少なく、またリサイクル性にも優れているオレフィン系樹脂を用いた合成皮革が望まれている。しかしながら、柔軟オレフィン系樹脂も前記樹脂同様耐傷つき性に劣る上、カレンダー成形性に劣り、製造上の問題があった。
特開2012−193481号公報 特表2013−539482号公報
本発明は、上記問題点を解決するものであり、カレンダー成形性に優れ、かつ、耐摩耗性、耐傷付性、耐加水分解性などに優れ、繰り返しの折り曲げに対しても破れず損傷が小さく、軽量で、環境に対する汚染の少ない合成皮革及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、特定の物性を有するポリオレフィン系樹脂組成物を用いると、従来の合成皮革が有する上記問題点を改善し、上記課題を達成し得ることを見出した。すなわち、本発明の概要は以下の通りである。
〔1〕下記要件(i)〜(iv)を満たすプロピレン系重合体(I)を含む樹脂層(A)が、背面基布層(B)の少なくとも片面に、必要に応じて中間層(C)を介して積層されてなる合成皮革。
(i)MFRが0.01〜200g/10分の範囲にある、
(ii)密度勾配管法で測定した密度が860〜920kg/m3の範囲にある、
(iii)溶融張力が170℃〜230℃のいずれかの温度において10〜80mNの範囲にある、
(iv)プロピレンから導かれる構成単位を60質量%以上含有し、実質的にシンジオタクティック構造を有する。
〔2〕前記樹脂層(A)が、樹脂成分中に前記プロピレン系重合体(I)を35〜95重量%含む、前記〔1〕に記載の合成皮革。
〔3〕前記樹脂層(A)が、樹脂成分中にオレフィン系重合体(II)(ただし、プロピレン系重合体(I)を除く。)及び/またはオレフィン系エラストマー(X)(ただし、プロピレン系重合体(I)およびオレフィン系重合体(II)を除く。)を、オレフィン系重合体(II)とオレフィン系エラストマー(X)との合計で5〜65質量%含む、前記〔1〕または〔2〕に記載の合成皮革。
〔4〕前記樹脂層(A)中におけるハロゲン原子の含有量が1重量%未満である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の合成皮革。請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成皮革。
〔5〕前記樹脂層(A)中における可塑剤の含有量が1重量%未満である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の合成皮革。
〔6〕前記要件(i)〜(iv)を満たすプロピレン系重合体(I)を含む樹脂層(A)を、背面基布層(B)の少なくとも片面に、必要に応じて中間層(C)を介して積層する工程を有することを特徴とする合成皮革の製造方法。
本発明によれば、合成皮革の樹脂層として、特定のプロピレン系重合体を含有する樹脂層を採用することにより、ポリオレフィン系樹脂のもつリサイクル性や、軽量性、環境に対する低汚染性を保持しながら、従来のポリオレフィン系樹脂では難しかった耐傷付性、耐摩耗性、耐加水分解性に優れる合成皮革を提供することができる。また、環境や生体に影響があると懸念されるハロゲン化物や可塑剤を実質的に含まない合成皮革を提供することができる。
本発明の合成皮革は、特定のプロピレン系重合体(I)を含む樹脂層(A)を有するため、カレンダー成形性に優れて製造が容易であり、かつ、耐摩耗性、耐傷付性、耐加水分解性などに優れ、軽量で、可塑剤不含とすることができ環境に対する汚染が少なく、耐久性にも優れる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る合成皮革は、樹脂層(A)と背面基布層(B)とを有する合成皮革であって、樹脂層(A)と背面基布層(B)とは直接積層されていてもよく、また中間層(C)を介して積層されていてもよい。
樹脂層(A)
本発明に係る合成皮革を構成する樹脂層(A)は、プロピレン系重合体(I)を含有する。樹脂層(A)は、プロピレン系重合体(I)のみから構成されていてもよく、プロピレン系重合体(I)に加えて、後述するオレフィン系重合体(II)、オレフィン系エラストマー(X)、ならびにその他の樹脂成分および添加剤などのその他の成分を含んでいてもよい。
<プロピレン系重合体(I)>
本発明の合成皮革の樹脂層(A)を形成する成分の一つであるプロピレン系重合体(I)は、下記要件(i)〜(iv)を満たす重合体である。
(i)MFR(JIS K6721、230℃、2.16kg荷重)が、0.01〜200g/10分であり、好ましくは0.05〜150g/10分、さらに好ましくは0.05〜100g/10分の範囲である。MFRが上記範囲にあることにより、カレンダー加工時における溶融性、シートの離ロール性に優れ、搬送時のシートのたれがなく、カレンダー成形性に優れたシートが得られる。
(ii)密度勾配管法で測定した密度が、860〜950kg/m3であり、好ましくは860〜920kg/m3、さらに好ましくは860〜890kg/m3の範囲である。上記範囲にあることにより良好な流動性を示し、他の成分と配合し易く、また得られる樹脂層(A)(シンジオタクチックプロピレン系重合体組成物)は、シートを成形する際に離ロール性に優れる。
(iii)キャピラリーレオメーターで測定した溶融張力が、170〜230℃の温度範囲において、10〜80mNの範囲である。溶融張力が、上記範囲にあることにより、カレンダー成形時において良好な流動性を示し、他の成分と配合し易く、また機械的強度に優れた合成皮革が得られる。
要件(i)、(ii)および(iii)の物性をすべて満たすプロピレン系重合体(I)を含む樹脂層(A)は、一般にポリオレフィン系樹脂では難しいカレンダー成形も可能となり、経済性の点で特に好ましい。
(iv)プロピレンから導かれる構成単位を60質量%以上含有し、実質的にシンジオタクティック構造を有する。プロピレンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは60〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
本発明に係るプロピレン系重合体(I)が、プロピレンとプロピレン以外の単量体との共重合体である場合、プロピレンと共重合される単量体はα−オレフィンであり、通常、炭素原子数が2〜20のα−オレフィン、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどであり、エチレンまたは炭素原子数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。
本発明に係る熱可塑性プロピレン系重合体(I)は、プロピレンから導かれる構成単位が、実質的にシンジオタクティック構造を含有することにより、汎用ポリオレフィン系樹脂であるポリエチレン、ブロックポリプロピレン、アイソタクティックポリプロピレンよりも耐摩耗性、耐傷付性の点において特に優れる。
本発明に係るプロピレン系重合体(I)が、実質的にシンジオタクティック構造を有することによる上記効果の理由については、同一分子量において絡み合い点間分子量(Me)が小さく、分子の絡み合いが多くなるため、溶融張力が大きくなり液だれを起こさず、成形時にロールへの適度な密着性が生じ、成形した樹脂層は耐磨耗性や柔軟性などが発現すると推察される。
本発明に係るプロピレン系重合体(I)が、実質的にシンジオタクティック構造を有するとは、13C−NMRスペクトルにおける19.5〜20.3ppmに相当するピーク面積が、相対的に0.5以上であることをいう。シンジオタクティシティーが上記範囲にあると、結晶化速度が速く、加工性に優れる。
これらの物性を満たす具体的なポリオレフィン系樹脂としては、例えばノティオTM−SN0285(三井化学(株)製)が挙げられる。
<オレフィン系重合体(II)>
本発明の合成皮革を構成する樹脂層(A)は、オレフィン系重合体(II)を含んでもよい。
オレフィン系重合体(II)は、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィンから選ばれる1種以上のオレフィンを重合して得られる重合体であり、上述したプロピレン系重合体(I)以外の重合体であって、通常、結晶性の重合体である。
本発明に係るオレフィン系重合体(II)としては、JIS K−6253に従い測定したデュロメーターD硬度が50以上である公知のポリオレフィン(オレフィン重合体)であれば制限なく使用できるが、具体的には例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体などのプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体等のアイソタクティック構造を有するプロピレン系重合体;1−ブテン単独重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体等のブテン系重合体;4−メチル−1−ペンテン単独重合体、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・1−ブテン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン・1−ブテン共重合体等の4−メチル−1−ペンテン系重合体;エチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン系重合体;等を挙げることができる。これらオレフィン系重合体(II)の中でも、耐熱性の観点からアイソタクティックプロピレン単独重合体、及びアイソタクティックプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体などのアイソタクティックプロピレン系重合体が好ましく利用され得る。これら重合体は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
本発明に係るアイソタクティックプロピレン系重合体は、13C-NMR法により測定されるアイソタクティックペンタッド分率(mmmm分率)が85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であるプロピレン系重合体である(以下「アイソタクティックポリプロピレン」と言うことがある)。
アイソタクティックポリプロピレンは、NMR法により測定したアイソタクティックペンタッド分率が0.9以上、好ましくは0.95以上のポリプロピレンである。アイソタクティックペンタッド分率(mmmm)は、13C-NMR法を使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクティック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。具体的には、13C−NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に占めるmmmmピークの分率として算出される値である。アイソタクティックペンタッド分率(mmmm)は、特開2003-147135号公報に記載されている方法で測定、計算される。
本発明で、オレフィン系重合体(II)として好適に用いられるアイソタクティックポリプロピレンとしては、プロピレンから導かれる構成単位とプロピレン以外の単量体から導かれる構成単位との合計を100モル%とした場合に、プロピレンから導かれる構成単位は90モル%を超える量でかつ100モル%以下、好ましくは91モル%以上100モル%以下の量含み、プロピレン以外の単量体から導かれる構成単位を0モル%以上10モル%未満、好ましくは0モル%以上9モル%以下の量含む例を挙げることができる。プロピレン以外の単量体は、全量が炭素数2〜20のα−オレフィン(但しプロピレンを除く)であることが好ましい。
具体的にはプロピレン単独重合体またはプロピレンとプロピレン以外の炭素原子数が2〜20のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。ここでアイソタクティックポリプロピレン中の、プロピレンから導かれる構成単位とプロピレン以外の単量体から導かれる構成単位との合計を100モル%とした場合に、プロピレンから導かれる構成単位は90モル%を超える量でかつ100モル%以下、好ましくは91モル%以上100モル%以下の量存在している。
ここで、プロピレン以外の炭素原子数が2〜20のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、エチレンまたは炭素原子数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。これらのα−オレフィンは、プロピレンとランダム共重合体を形成してもよく、ブロック共重合体を形成してもよい。これらのα−オレフィンから導かれる構成単位は、ポリプロピレン中に10モル%未満、好ましくは9モル%以下の割合で含んでいてもよい。
本発明に係るオレフィン系重合体(II)の市販品としては、例えば、プライムポリプロ((株)プライムポリマー製)、ノバテック(日本ポリプロ(株)製)、ウィンテック(日本ポリプロ(株)製)、ミラソン((株)プライムポリマー製)、サンテック(旭化成ケミカルズ(株)製)、住友ノーブレン(住友化学(株)製)、エボリュー((株)プライムポリマー製)、ハイゼックス((株)プライムポリマー製)、などの商品名で製造・販売されている種々のポリオレフィンが挙げられる。
<オレフィン系エラストマー(X)>
本発明の合成皮革を構成する樹脂層(A)は、上述したプロピレン系重合体(I)およびオレフィン系重合体(II)以外の成分として、オレフィン系エラストマー(X)を含んでもよい。
合成皮革を構成する樹脂層(A)が、オレフィン系エラストマー(X)を含むことにより、樹脂層(A)の柔軟性、耐傷付性および耐磨耗性が優れたものとなるとともに、樹脂層(A)を成形する際に、シート成形時にロールに粘着しにくくなる。また、樹脂層(A)を後述する背面基布層(B)と積層した際にも、得られる合成皮革が変形に対する追従性を有し、合成皮革としての縫製や製品加工及び製品使用に良好な耐性を示すものとなる。
本発明に係るオレフィン系エラストマー(X)としては、JIS K−6253に従い測定したデュロメーターD硬度が50未満の、炭素数2〜20のα−オレフィン重合体または共重合体、ないしはエチレンと不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸エステルとの共重合体である。具体的には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、1−ブテン単独重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・1−ブテン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等を挙げることができる。これら重合体は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
本発明に係るオレフィン系エラストマー(X)の市販品としては、ミラストマー(三井化学(株)製)、タフマー(三井化学(株)製)、ビスタマックスTM(ExxonMobil Chemical Company製)、バーシファイTM(The Dow Chemical Company製)、サントプレンTM(ExxonMobil Chemical Company製)、ウェルネックス(日本ポリプロ(株)製)、インフューズTM(The Dow Chemical Company製)などの商品名で製造・販売されている熱可塑性ポリオレフィンエラストマーが挙げられる。
<その他の樹脂成分>
本発明に係る樹脂層(A)は、上述したプロピレン系重合体(I)、オレフィン系重合体(II)、オレフィン系エラストマー(X)以外のその他の樹脂成分を、本発明の目的を損なわない範囲で含んでもよい。
その他の樹脂成分としては、特に限定されるものではないが、たとえば、水添スチレン系ブロック共重合体、水添スチレン系ランダム共重合体などのゴム成分が挙げられる。このような水添スチレン系ブロック共重合体の市販品としては、例えば、クレイトンG(シェル化学(株)製)、ハイブラー((株)クラレ製)、タフテック(旭化成工業(株)製)、セプトン(登録商標、(株)クラレ製)などが挙げられる。
<樹脂層(A)>
本発明の合成皮革を構成する樹脂層(A)は、前記プロピレン系重合体(I)を必須成分として形成される。樹脂層(A)は、プロピレン系重合体(I)に加えて、前記オレフィン系重合体(II)および/または前記オレフィン系エラストマー(X)を含有してもよく、また、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の樹脂成分ならびに各種添加剤を含有してもよい。
本発明に係る樹脂層(A)の樹脂成分中、プロピレン系重合体(I)の含有量は、好ましくは35重量%以上、より好ましくは35〜95重量%、さらに好ましくは40〜90重量%程度であるのが望ましい。
樹脂層(A)の樹脂成分中における、プロピレン系重合体(I)の含有量が、35重量%未満であると、樹脂層(A)が、柔軟性、耐傷付性および耐磨耗性が劣るものとなる場合があり、一方、95重量%を超えると、ロールを用いてシート成形する場合にロールに粘着し易くなる場合がある。
本発明に係る合成皮革を構成する樹脂層(A)は、プロピレン系重合体(I)を含有する層であり、プロピレン系重合体(I)のみから構成されてもよいが、好ましくは、上述したオレフィン系重合体(II)および/またはオレフィン系エラストマー(X)を含むことが好ましい。
すなわち本発明に係る樹脂層(A)は、樹脂成分として、プロピレン系重合体(I)に加えて、オレフィン系重合体(II)およびオレフィン系エラストマー(X)の少なくとも一方を含有することが好ましく、樹脂層(A)の樹脂成分中のこれらの含有量は、オレフィン系重合体(II)とオレフィン系エラストマー(X)との合計で、好ましくは65重量%以下、より好ましくは5〜65重量%、さらに好ましくは10〜60重量%程度であるのが望ましい。
好ましくは、本発明に係る樹脂層(A)は、樹脂層(A)の樹脂成分中に、プロピレン系重合体(I)を35〜95重量%含み、オレフィン系重合体(II)および/またはオレフィン系エラストマー(X)を、オレフィン系重合体(II)とオレフィン系エラストマー(X)との合計で5〜65重量%含む。
本発明に係る樹脂層(A)の樹脂成分は、プロピレン系重合体(I)を必須成分とし、さらにオレフィン系重合体(II)、オレフィン系エラストマー(X)およびその他の樹脂成分の1種以上を含むことができるが、樹脂層(A)の樹脂成分全体に含まれるオレフィン含量は、55重量%以上であることが好ましい。樹脂層(A)のオレフィン含量が上記範囲にあると、カレンダー成形性に優れ、かつ、柔軟で、耐摩耗性・耐傷つき性に優れた樹脂層を得ることができる。
本発明に係る合成皮革の樹脂層(A)におけるハロゲン原子の含有量は1重量%未満であることが好ましくい。ハロゲン原子含有量が上記範囲であることにより、焼却した際、ダイオキシンなどの発生とそれらの環境への放出が抑制され、環境負荷が低減する。
本発明に係る合成皮革の樹脂層(A)における可塑剤の含有量は1重量%未満であることが好ましい。可塑剤が上記範囲であることにより、環境を汚染することが少なく、またリサイクル性にも優れる。
本発明に係る樹脂層(A)は、樹脂成分に加えて、必要に応じて、更に各種添加剤を含んでいてもよい。
樹脂層(A)に含まれてもよい添加剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、無機充填剤、滑剤、造核剤、酸化防止剤、難燃材剤、帯電防止剤、顔料、染料、発錆防止剤などの添加剤が挙げられる。
例えば、滑剤の例としては、ステアリル酸ホスフェイト系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アミド、シリコーンオイル、シリカ等が挙げられる。
樹脂層(A)が滑剤を含む場合、樹脂層(A)を形成する樹脂成分100重量部に対して、滑剤を好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜3重量部添加してもよい。滑剤を上記範囲で含むことにより、シート成形時の離ロール性、耐傷付性がより向上する。
樹脂層(A)の成形方法としては、所望の厚みのシート状またはフィルム状に成形し得る、従来公知の押出装置および成形条件を採用することができ、特に押出成形やカレンダー成形が好ましい。
例えば、本発明のプロピレン系重合体(I)と、オレフィン系重合体(II)及び/またはオレフィン系エラストマー(X)とを含む樹脂層(A)を成形する場合は、
(工程1):プロピレン系重合体(I)と、オレフィン系重合体(II)及び/またはオレフィン系エラストマー(X)とを含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、
(工程2):加熱溶融した前記樹脂組成物をシート状に成形する工程と
で行い得る。
また、前記樹脂組成物を調製する工程、あるいは前記(工程1)と(工程2)の間に、帯電防止剤、結晶核剤、酸化防止剤等の各種公知の添加剤やタルク、炭酸カルシウムなどの充填剤等を混練する工程を含んでもよい。
また、カレンダー成形により上記樹脂層(A)を成形する場合は、
(工程1):プロピレン系重合体(I)と、オレフィン系重合体(II)及び/またはオレフィン系エラストマー(X)とを含む樹脂組成物を加熱溶融する工程と、
(工程2−1):加熱溶融した前記樹脂組成物を、カレンダー加工によりシート状に成形する工程と
で行い得る。
また、前記樹脂組成物を調製する工程、あるいは前記(工程1)と(工程2‐1)の間に、公知の添加剤や充填剤等を混練する工程を含んでもよい。
また、前記(工程2−1)を、
(工程2−2):カレンダー加工により、樹脂層(A)のシート成形と、背面基布層(B)あるいは中間層(C)との貼り合わせを同時に行う工程
とし、シート積層体を得る工程を含んでもよい。
本発明の合成皮革において、樹脂層(A)は、通常表面層となるものであって、上述のプロピレン系重合体(I)を含むことにより、皮革様の柔軟性や触感を示すことができる。また樹脂層(A)は、可塑剤等を含有しない場合にもカレンダー成形などによる成形性に優れ、柔軟性を保持することができるため、可塑剤による生体への影響を防ぐことができ、べたつきがなく、可塑剤のブリードアウト等による劣化を生じることなく長期間安定して用いることができる。さらに本発明の樹脂層(A)は、耐摩耗性、耐傷つき性、耐加水分解性などに優れ、軽量である。
本発明に係る樹脂層(A)は、平滑な表面を有していてもよく、粗面状であってもよく、また、エンボス加工などによる型押しが施されていてもよい。
背面基布層(B)
本発明の合成皮革を構成する背面基布層(B)としては、合成皮革の用途により、種々公知の基材と積層して用い得るが、例えば合成繊維、天然繊維、無機繊維、またはこれらの混合物のうち少なくとも1つからなる、織布、編布、不織布、銀面層が挙げられる。
合成繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、シリコーンなどからなる合成繊維が挙げられる。
天然繊維としては、綿、麻、絹、羊毛などが挙げられる。
無機繊維としては、グラスファイバー、炭素繊維などが挙げられる。
また、織布としては、例えば、繊維質素材から作られた織物、編物などを挙げることができる。また不織布としては、繊維質素材を化学的方法、機械的方法、またはそれらの組み合わせにより絡み合わせてウェッブとしたものが挙げられる。
中間層(C)
本発明の合成皮革は、上述した樹脂層(A)と背面基布層(B)のみから構成されてもよいが、用途等に応じて、樹脂層(A)と背面基布層(B)との間に中間層(C)を有してもよい。
中間層(C)としては、特に限定されるものではないが、柔軟性、剛性、高反発性、低反発性などの所望の性状を与える基材を選択して用いることができる。好ましい中間層としては、ポリオレフィンやポリウレタン等の樹脂を発泡成形して得られる発泡ポリマーシート、各種樹脂シート等が挙げられる。中間層(C)が発泡ポリマーシートなどの発泡層である場合には、得られる合成皮革に、柔軟性、弾力性等を付与することができ好ましい。
表面層(D)
本発明の合成皮革は、樹脂層(A)あるいは背面基布層(B)の表面に、所望によりさらに表面層(D)を有してもよい。表面層としては、たとえば、表面保護、着色等による外観向上などの機能を有する層が挙げられる。表面層はフィルムなどにより形成されてもよく、またアクリル系、ウレタン系、シリコーン系、フッ素系などの任意の表面コート剤により形成されてもよい。
<合成皮革>
本発明の合成皮革は、少なくとも上述した樹脂層(A)と、背面基布層(B)とから構成され、樹脂層(A)が背面基布層(B)の少なくとも片面に積層された積層構造を有する。樹脂層(A)と背面基布層(B)との間には、中間層(C)を有していてもよく、中間層(C)としては発泡層が好ましく採用される。中間層(C)が発泡層である場合には、合成皮革に柔軟性や良好な感触を与えることができる。
また、本発明の合成皮革は、樹脂層(A)を最表面層として有していてもよく、樹脂層(A)の表面にさらに表面層(D)を有していてもよい。
本発明の合成皮革において、樹脂層(A)は通常皮革様の感触を与える層であり、背面基布層(B)は通常強度を付与する層として作用する。
本発明の合成皮革において、樹脂層(A)の厚みは、合成皮革の層構造やその用途により異なるが、成形性、引き裂き強度などの物性、取り扱い性などの点から、通常、全体の厚みが0.01〜2mm、好ましくは0.02〜1mm、更に好ましくは0.02〜0.5mmの範囲にある。
本発明の合成皮革の各層は、それぞれ公知の方法により積層し、貼り合わされていればよく、その方法としては、たとえばラミネートによる接着方法や、プライマー及び/または接着剤により接着させる方法、押出機による共押出による方法等が挙げられる。
また本発明の合成皮革は、樹脂層(A)、背面基布層(B)、および必要に応じて中間層(C)を有する積層体の、少なくとも一方の表面となる層、すなわち樹脂層(A)および/または背面基布層(B)の表面に、さらに表面層(D)を有していてもよい。表面層(D)は、樹脂層(A)や背面基布層(B)を保護する目的で設けられるのが好ましく、フィルム等から形成されていてもよく、また、従来公知のプライマー及び/または表面コート剤により得られる層であることも好ましい。表面コート剤の例としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、フッ素系コート剤が挙げられる。
本発明の合成皮革は、表面にエンボス加工を行ったものであることも好ましい。エンボス加工では、本発明の合成皮革に、皮革様の外観、風合い等を付与することができる。
<合成皮革の製造方法>
本発明の合成皮革は、上述したように、樹脂層(A)と背面基布層(B)と有し、必要に応じて樹脂層(A)と背面基布層(B)との間に中間層(C)を、また樹脂層(A)および/または背面基布層(B)上に必要に応じて表面層(D)を有する構成であり、この様な本発明の合成皮革を製造し得る製造方法をいずれも採用することができる。すなわち本発明の合成皮革の製造方法は、上述した要件(i)〜(iv)を満たすプロピレン系重合体(I)を含む樹脂層(A)を、背面基布層(B)の少なくとも片面に、必要に応じて中間層(C)を介して積層する工程を有する。
具体的には、たとえば、あらかじめシート状に成形した樹脂層(A)、背面基布層(B)、必要に応じて発泡層などの中間層(C)を、公知の方法により貼り合わせて積層体として、本発明の合成皮革を製造することができる。貼り合わせの方法としては、熱融着、圧着、公知の接着剤あるいは粘着剤を用いた接着などが挙げられる。接着剤としては、天然ゴム系、デンプン系などの天然系接着剤や、スチレン系、アクリル系、α−オレフィン系、ウレタン系、エチレン−酢酸ビニル系、エポキシ系、シリコーン系、シアノアクリレート系などの合成系接着剤などが挙げられる。接着剤を用いる場合は、被着物との相性や合成皮革の使用環境などにより種々選択して使用できるが、合成皮革の各々の層間剥離を防止するために、前記合成系接着剤が好適に用いられる。また、接着に際して適宜公知のプライマー等を適用してもよい。
中間層(C)として好適である発泡層は、湿式凝固、乾式発泡、機械発泡など従来公知の方法により形成される。発泡層を含む合成皮革は、柔かくて弾力があり、風合いの良い本革調となる。
また、樹脂層(A)と他層との積層は、樹脂層(A)と積層される層上に、樹脂層(A)を押出成型するか、樹脂層(A)を積層される層とともに共押出成形することにより形成してもよい。
本発明の合成皮革が樹脂層(A)および/または背面基布層(B)上に表面層(D)を有する場合、表面層(D)をあらかじめ形成した樹脂層(A)および/または背面基布層(B)を用いて積層体を製造してもよく、また、樹脂層(A)、背面基布層(B)、および必要に応じて中間層(C)からなる積層体を得た後に、塗布または貼付などの公知の方法により表面層(D)を形成してもよい。
本発明の合成皮革がエンボス加工を施したものである場合、エンボス加工は、従来公知のエンボス加工法を特に限定なく採用して行うことができ、各層の積層の前に樹脂層(A)に対して行ってもよく、また、各層の積層体とした後に行ってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における物性値等は、以下の方法により測定した。
(1)MFR(g/10分)
MFRは、JIS K6721に準拠して、230℃で2.16kgfの荷重にて測定した。
(2)密度(kg/m3
密度は、ASTM−D1505に準拠して、密度勾配管法にて測定した。
(3)溶融張力(mN)
プロピレン系重合体(I)の溶融張力は、東洋精機社製キャピログラフ1C((バレル径9.55mmΦ)、バレル温度200℃、キャピラリー長(L)=8mm、キャピラリー直径(D)=2.095mm、L/D=3.82)を用い、ピストン速度=15mm/min、巻き取り速度=15mm/min、の条件にて測定を行い、得られた値の平均値を求めた。
(4)シンジオタクティックポリプロピレンの含有量
プロピレン系重合体(I)に含まれるシンジオタクティックポリプロピレンは、13C−NMRスペクトルにおける19.5〜20.3ppmに相当する相対ピーク面積により求めた。
(5)ハロゲン原子の含有量(wt%)
樹脂層(A)のハロゲン原子の含有量は、電位差滴定装置(型番:AT−610型(京都電子工業製)を用い、樹脂試料を酸素フラスコにて燃焼分解した後、吸収液を硝酸酸性にし、0.01Nの硝酸銀にて電位差測定を行うことにより求めた。
(6)可塑剤の含有量(wt%)
樹脂層(A)の可塑剤(フタレート)の含有量は、アセトン/n−ヘキサン=7/3を溶媒として浸漬抽出を12時間行い、ガスクロマトグラフ−質量分析計(GC/MS)により得られたピーク面積値から求めた。
(7)カレンダー加工性評価
樹脂層(A)はカレンダー成形により作製した。ロール径6インチの逆L型カレンダー成形機を用い、ロール温度は165℃とし、厚み500μmのシートを作成した。
冷却ロールからの離形性が、実用上問題ないものを○、実用上問題あるものを×として目視評価した。
(8)軽量性評価
前記(7)にて作製した樹脂層(A)シートを2.5cm四方に切り出し、蒸留水を満たした500mLビーカーに入れた。シートが水より軽く、水面付近に浮いたものを○、ビーカー底に沈んだものを×として目視評価した。
(9)テーバー摩耗量
前記(8)にて作製した樹脂層(A)と、背面基布層(B)としてポリエステル100%基布を用い、ウレタン系接着剤ラックスキンOP−881(エイコー化成社製)をバーコーターにて塗布後、プレス温度140℃、圧力0.5MPaにて4分間熱融着させ、合成皮革を作製した。テーバー摩耗試験機を用いてJIS−6772、前記試験片を用いて、荷重1kg、H#22の摩耗輪を用い、23℃、回転回数200回、回転速度60回/分で樹脂層(A)の面を摩耗させ、その前後の質量変化を摩耗量として測定した。
(10)屈曲試験
前記(9)にて作製した合成皮革サンプルを用い、JIS−K6550の4.に準拠し70mm×45mmを切り出し、低温槽付フレキシオメーター197−LFR((株)安田精機製作所製)を用い、23℃にて毎分100回、計10万回屈曲させ、試験後の損傷を目視にて確認した。
屈曲部位の損傷がほとんどないものを○、損傷のあるものを×と評価した。
なお、以下の実施例において、本発明の合成皮革に用いたプロピレン系重合体(I)の物性は表1に示す。
Figure 2015140500
[実施例1]
プロピレン系重合体(I)として、ノティオTM−SN−0285(三井化学(株)製、商品名)を、オレフィン系重合体(II)としてプロピレン単独重合体〔アイソタクティックポリプロピレン:プライムポリプロ(登録商標)F730NV(プライムポリマー(株)製、商品名)〕を表2に記載の比率にて配合し、樹脂層(A)を作製した。得られたシートおよび合成皮革の評価結果を表2に示す。得られたシート及び合成皮革は、Cl含量および可塑剤の含有量が極めて低く、軽量で、耐傷付性及び耐磨耗性に優れていた。
[実施例2]
プロピレン系重合体(I)として、ノティオTM−SN−0285(三井化学(株)製、商品名)を、オレフィン系エラストマー(X)としてVistamaxxTM3980FL(ExxonMobil製、商品名)およびVistamaxxTM6102(ExxonMobil製、商品名)を表2に記載の比率にて配合し、樹脂層(A)を作製した。得られたシートおよび合成皮革の評価結果を表2に示す。得られたシート及び合成皮革は、Cl含量および可塑剤の含有量が極めて低く、軽量で、耐傷付性及び耐磨耗性に優れていた。
[実施例3]
樹脂層(A)の組成を表2に記載の組成とする以外は、実施例2と同様に行い樹脂層(A)を作製した。得られたシートおよび合成皮革の評価結果を表2に示す。得られたシート及び合成皮革は、Cl含量および可塑剤の含有量が極めて低く、軽量で、耐傷付性及び耐磨耗性に優れていた。
[実施例4]
プロピレン系重合体(I)として、ノティオTM−SN−0285(三井化学(株)製、商品名)を、オレフィン系エラストマー(X)としてVistamaxxTM6102(ExxonMobil製、商品名)およびタフテック(登録商標)H−1221(旭化成社製、商品名)を表2に記載の比率にて配合し、樹脂層(A)を作製した。得られたシート及び合成皮革は、Cl含量および可塑剤の含有量が極めて低く、軽量で、耐傷付性及び耐磨耗性に優れていた。
[実施例5]
樹脂層(A)の組成を表2に記載の組成とする以外は、実施例4と同様に行い樹脂層(A)を作製した。得られたシートおよび合成皮革の評価結果を表2に示す。得られたシート及び合成皮革は、Cl含量および可塑剤の含有量が極めて低く、軽量で、耐傷付性及び耐磨耗性に優れていた。
[比較例1]
プロピレン系重合体(I)を配合せず、オレフィン系重合体(II)としてプロピレン単独重合体〔アイソタクティックポリプロピレン:プライムポリプロ(登録商標)F730NV(プライムポリマー(株)製、商品名)〕を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い樹脂層(A)を作製した。Cl含量および可塑剤の含有量は極めて低いが、カレンダー加工性に劣り、ロールに樹脂が付着し、シートを得ることができなかった。結果を表2に示す。
[比較例2]
プロピレン系重合体(I)を配合せず、オレフィン系エラストマー(X)としてVistamaxxTM6102(ExxonMobil製、商品名)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い樹脂層(A)を作製した。Cl含量および可塑剤の含有量は極めて低いが、カレンダー加工性に劣り、ロールに樹脂が付着し、シートを得ることができなかった。結果を表2に示す。
[比較例3]
プロピレン系重合体(I)を配合せず、オレフィン系エラストマー(X)としてタフテック(登録商標)H−1221(旭化成社製、商品名)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い樹脂層(A)を作製した。Cl含量および可塑剤の含有量は極めて低いが、カレンダー加工性に劣り、ロールに樹脂が付着し、シートを得ることができなかった。結果を表2に示す。
[比較例4]
プロピレン系重合体(I)、オレフィン系重合体(II)、オレフィン系エラストマー(X)のいずれも配合せず、軟質塩化ビニルシートを用い、合成皮革を作製した。得られたシートおよび合成皮革はCl含量および可塑剤の含有量が極めて高く、重量が重く、耐摩耗性に劣っていた。結果を表2に示す。
Figure 2015140500
本発明に係る合成皮革は、自動車内外装材、衣服、鞄、靴、家具、文房具、玩具など、皮革あるいは合成皮革を適用し得る用途に制限なく用いることができる。

Claims (6)

  1. 下記要件(i)〜(iv)を満たすプロピレン系重合体(I)を含む樹脂層(A)が、背面基布層(B)の少なくとも片面に、必要に応じて中間層(C)を介して積層されてなる合成皮革。
    (i)MFRが0.01〜200g/10分の範囲にある、
    (ii)密度勾配管法で測定した密度が860〜920kg/m3の範囲にある、
    (iii)溶融張力が170℃〜230℃のいずれかの温度において10〜80mNの範囲にある、
    (iv)プロピレンから導かれる構成単位を60質量%以上含有し、実質的にシンジオタクティック構造を有する。
  2. 前記樹脂層(A)が、樹脂成分中に前記プロピレン系重合体(I)を35〜95重量%含む、請求項1に記載の合成皮革。
  3. 前記樹脂層(A)が、樹脂成分中にオレフィン系重合体(II)(ただし、プロピレン系重合体(I)を除く。)及び/またはオレフィン系エラストマー(X)(ただし、プロピレン系重合体(I)およびオレフィン系重合体(II)を除く。)を、オレフィン系重合体(II)とオレフィン系エラストマー(X)との合計で5〜65質量%含む請求項1または2に記載の合成皮革。
  4. 前記樹脂層(A)中におけるハロゲン原子の含有量が1重量%未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成皮革。
  5. 前記樹脂層(A)中における可塑剤の含有量が1重量%未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成皮革。
  6. 下記要件(i)〜(iv)を満たすプロピレン系重合体(I)を含む樹脂層(A)を、背面基布層(B)の少なくとも片面に、必要に応じて中間層(C)を介して積層する工程を有することを特徴とする合成皮革の製造方法。
    (i)MFRが0.01〜200g/10分の範囲にある、
    (ii)密度勾配管法で測定した密度が860〜920kg/m3の範囲にある、
    (iii)溶融張力が170℃〜230℃のいずれかの温度において10〜80mNの範囲にある、
    (iv)プロピレンから導かれる構成単位を60質量%以上含有し、実質的にシンジオタクティック構造を有する。
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