JP6994327B2 - 複合材、ならびに該複合材から構成される防護用品および振動抑制材 - Google Patents

複合材、ならびに該複合材から構成される防護用品および振動抑制材 Download PDF

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Description

本発明は、基布および樹脂組成物からなる層を有する複合材、ならびに該複合材から構成される防護用品および振動抑制材に関する。
基布に樹脂が積層または含浸された複合材は、工事現場や機械操作等において、身体への創傷を防ぐ手袋、操作用ノブカバー、グリップカバー等の防護用品に用いられている。そして、継続的に強い振動が生じる各種機械、例えば、チェーンソー、削岩機、各種土木建築機械、小型船舶、軍事機械等を操作・操縦する場合には、耐創傷性だけではなく、柔軟性、制振性、および耐水浸透性(防水性)が求められている。
従来、制振性を有する複合材としては、ポリアミドまたはポリエステル繊維からなる不織布に特定のスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)を含浸させてなる皮革様シートを用いた手袋が使用されている(例えば特許文献1)。
また、高剛性の織布または不織布にTPSを含浸することにより、耐貫通性および耐進入抵抗性を向上させた防弾チョッキ、ヘルメット、車両用防弾壁等の防護用品も検討されている(例えば特許文献2および3)。さらに、特許文献4には、高剛性の繊維に含浸容易なTPS組成物が開示されている。
また、垂れ幕、パーティション、ブラインドまたは天井幕等の建築資材用シートには、外部からの振動抑制性(以下、静音性または制振性と称することもある)、非粘着性、柔軟性(以下、屈曲性と称することもある)および防汚性等の性質が求められことが多い。
特許文献5には、TPS、軟化剤、粘着剤およびシリカ系充填剤を含有する制振・遮音材用組成物が記載されており、この組成物は良好な制振、遮音、吸音、防音、断熱特性を有し、自動車内装材、建材、家電、OA機器、内装材等に有用であることが記載されている。
特許文献6には、TPSおよび強化充填剤を含有する制振性熱可塑性樹脂組成物が記載されており、この組成物は制振性、機械的強度、難燃性、成形加工性に優れており、特にOA機器・電気電子分野での機構部品等の駆動系による振動対策に有効であることが記載されている。
また、特許文献7には、TPSを含有する樹脂組成物からなる防音用制振材、および該防音用制振材からなる制振層を有する防音シートが記載されており、この防音シートを被着体に対する巻き付けることにより、被着体に制振性および防音性を付与できることも記載されている。
特開2007-291565号公報 特開2008-525243号公報 特許第4079777号明細書 特開2005-513584号公報 特開平5-125252号公報 特開2002-60634号公報 特開2005-213429号公報
しかしながら、特許文献1に記載の皮革様シートは、制振性に優れる一方で、耐創傷性には向上の余地がある。また、特許文献2および3に記載の防護用品は、振動吸収性、耐創傷性および耐水浸透性に関して一切考慮されていない。特許文献4に記載のTPS組成物は、ベタツキが顕著であり、装着性および作業性の面で防護用品としての使用に問題がある。そこで本発明は、高い耐創傷性、制振性、柔軟性および耐水浸透性を同時に有する複合材、ならびに該複合材から構成される防護用品を提供することを第1の課題とする。
さらにまた、特許文献5~7に記載の樹脂組成物から製造されたシート単独では、振動抑制性が不十分な場合がある。そこで、本発明は、振動抑制性(静音性または制振性)、非粘着性および柔軟性(屈曲性)に優れた振動抑制材を提供することを第2の課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
[1]50GPa以上の弾性率を有する繊維からなる基布(A)、および該基布(A)の少なくとも一方の表面に積層される樹脂組成物(B)からなる層を有する複合材であって、樹脂組成物(B)は、(a)少なくとも1種のビニル芳香族化合物から構成される重合体ブロック(X)と少なくとも1種の共役ジエン化合物から構成される重合体ブロック(Y)とからなる、少なくとも1つのブロック共重合体および/または該ブロック共重合体の水素添加物、(b)オレフィン系樹脂、ならびに(c)炭化水素系ゴム用軟化剤を含有し、樹脂組成物(B)に含まれるオレフィン系樹脂(b)の含有比率が、樹脂組成物(B)の全質量に基づいて30質量%以下であり、軟化剤(c)の含有比率が、樹脂組成物(B)の全質量に基づいて10質量%以下であり、かつ樹脂組成物(B)の23℃、500Hzにおける損失係数ηは0.1以上である、複合材。
[2]ブロック共重合体(a)は、イソプレンおよび/またはブタジエンに由来する構造単位の3,4-結合単位および1,2-結合単位の含有量が45モル%以上のブロック共重合体(a1)、またはブロック共重合体(a1)と、イソプレンおよび/またはブタジエンに由来する構造単位の3,4-結合単位および1,2-結合単位の含有量が45モル%未満のブロック共重合体(a2)の混合物であり、該混合物のイソプレンおよび/またはブタジエンに由来する構造単位の3,4-結合単位および1,2-結合単位の含有量が35モル%以上である、前記[1]に記載の複合材。
[3]基布(A)は、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、セラミック繊維、および金属繊維からなる群から選択される少なくとも1種の繊維からなる織布、不織布、編物または複合布である、前記[1]または[2]に記載の複合材。
[4]基布(A)、および基布(A)の両表面に積層された樹脂組成物(B)からなる層を有する複合材(C)であって、該層の厚みは互いに10%以上異なる、前記[1]~[3]のいずれかに記載の複合材。
[5]前記[1]~[4]のいずれかに記載の複合材から構成される防護用品。
[6]前記[1]~[4]のいずれかに記載の複合材から構成される振動抑制材。
本発明によれば、高い耐創傷性、制振性、柔軟性および耐水浸透性を同時に有するか、または振動抑制性、非粘着性および柔軟性に優れた複合材、ならびに該複合材から構成される防護用品または振動抑制材を提供することができる。
本発明の一実施態様である複合材(C)は、50GPa以上の弾性率を有する繊維からなる基布(A)、および該基布(A)の少なくとも一方の表面に積層される樹脂組成物(B)からなる層を有する。樹脂組成物(B)からなる層は、基布(A)の両方の表面に積層されてもよい。
<基布(A)>
本発明において、基布(A)は、シート状の繊維質基材である。基布(A)は、50GPa以上、好ましくは60GPa以上、より好ましくは70GPa以上、特に好ましくは80GPa以上の弾性率を有する。基布(A)の弾性率が50GPa未満であると、複合材(C)に十分な耐創傷性または振動抑制性が付与されない。基布(A)の弾性率が上記下限値以上であると、複合材(C)は高い耐創傷性を発現することができる。なお、基布(A)の弾性率は、通常300GPa以下である。弾性率は、JIS R7606:2000に準じて測定することができ、例えば、温度23℃、湿度50%RHで引張速度1mm/分の条件下、引張試験機により測定することができる。
基布(A)としては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、超高分子量ポリエチレン、セラミック繊維および金属繊維等からなる群から選択される少なくとも1種の繊維からなる織布、不織布、編物および複合布等の繊維質基材が挙げられる。中でも、基布(A)は、複合材(C)の耐創傷性、制振性および柔軟性をさらに高める観点から、基布(A)は、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、セラミック繊維、および金属繊維からなる群から選択される少なくとも1種の繊維からなる織布、不織布、編物または複合布であることが好ましい。
基布(A)は、50GPa以上の弾性率を有する繊維の他に、良好な作業性等を付与するために、汎用の天然繊維、半合成繊維および/または合成繊維から構成されてもよい。基布(A)が汎用の天然繊維、半合成繊維および/または合成繊維を含む場合、汎用の天然繊維、半合成繊維および/または合成繊維の含有量は、基布(A)の全質量に基づいて、好ましくは20質量%以下、より好ましくは0~10質量%以下であり、通常0質量%以上である。
基布(A)は、極細繊維またはその束状繊維、特殊多孔質繊維から構成される絡合不織シートや編織物シートであってもよく、この場合、耐創傷性および作業性がより増強する傾向にあるため、好ましい。
基布(A)としては、極細繊維またはその極細繊維束から構成される繊維質基材が、耐創傷性および作業性の観点から好ましく、該繊維質基材を構成する極細繊維の単繊維繊度が10dtex以下であるのが好ましく、2dtex以下であるのがより好ましく、通常0.01dtex以上である。なお、該繊維質基材を構成する極細繊維の単繊維繊度は通常1000dtex以下である。また、繊維質基材が極細繊維束から構成される場合、極細繊維束のトータル繊度が10~1000dtexであることが複合材(C)の耐創傷性および作業性等の観点から好ましい。該繊維質基材を構成する極細繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、セラミック繊維および金属繊維が挙げられる。
また、基布(A)の厚みは、複合材(C)の用途等に応じて決めることができるが、通常0.05~10mm程度、好ましくは0.1~3mm程度、より好ましくは0.2~2.0mm程度である。
基布(A)の坪量は、複合材(C)の用途等に応じて決めることができるが、柔軟性および耐創傷性の観点から、好ましくは10~1000g/m、より好ましくは50~800g/mである。
基布(A)は、その製造方法について特に限定されず、従来公知の方法により製造できる。基布(A)として、市販品を用いることもでき、その代表例としては、例えば、株式会社クラレ製のベクトラン(登録商標)HT、およびデュポン製のケブラー(登録商標)49等が挙げられる。
<樹脂組成物(B)>
本発明において、樹脂組成物(B)は、
(a)少なくとも1種のビニル芳香族化合物から構成される重合体ブロック(X)と少なくとも1種の共役ジエン化合物から構成される重合体ブロック(Y)とからなる、少なくとも1つのブロック共重合体および/または該ブロック共重合体の水素添加物(以下、「ブロック共重合体(a)ともいう」)、
(b)オレフィン系樹脂、ならびに
(c)炭化水素系ゴム用軟化剤(以下、「軟化剤(c)」ともいう)
を含有する。
<ブロック共重合体(a)>
本発明において、ブロック共重合体(a)は、少なくとも1種のビニル芳香族化合物から構成される重合体ブロック(X)と、少なくとも1種の共役ジエン化合物から構成される重合体ブロック(Y)とからなる、少なくとも1つのブロック共重合体および/または該ブロック共重合体の水素添加物である。ブロック共重合体(a)は、該ブロック共重合体は、少なくとも部分的に水素添加されていてもよい。また、ブロック共重合体(a)は、ブロック共重合体とブロック共重合体の水素添加物との混合物であってもよい。
ブロック共重合体(a)は、制振性、柔軟性および非粘着性の観点から、重合体ブロック(X)を1個以上および重合体ブロック(Y)を1個以上含有していることが好ましい。ブロック共重合体(a)は、制振性、柔軟性、耐熱性および力学物性の観点から、重合体ブロック(X)を2個以上、共役ジエン化合物からなる重合体ブロック(Y)を1個以上含有していることが好ましい。重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Y)との結合様式は、線状、分岐状またはこれらの任意の組み合わせであってもよいが、重合体ブロック(X)をXで、重合体ブロック(Y)をYで表したとき、X-Yで示されるジブロック構造、X-Y-Xで示されるトリブロック構造、ならびに(X-Y)および(X-Y)-X(ここでnは2以上の整数を表す)で示されるマルチブロック構造等を挙げることができ、これらの中でも、X-Y-Xで示されるトリブロック構造が、制振性のみならず、耐熱性、力学物性、防汚性および取扱い性等の観点から好ましく、X-Yで示されるジブロック構造が、制振性および非粘着性の観点から好ましい。
上記ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルナフタレン、およびビニルアントラセン等が挙げられる。これらの中でも、ビニル芳香族化合物は、スチレンに由来することが好ましく、スチレンおよびα-メチルスチレンがより好ましい。ビニル芳香族化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体ブロック(X)は、ビニル芳香族化合物以外に、他の共重合性単量体から構成されてもよい。この場合、他の共重合性単量体に由来する構造単位の含有量は、重合体ブロック(X)の質量に基づいて、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下であり、通常0質量%以上である。なお、重合体ブロック(X)における上記他の共重合性単量体に由来する構造単位の含有量は、通常0質量%以下である。
重合体ブロック(X)において、他の共重合性単量体としては、例えば、1-ブテン、ペンテン、ヘキセン、1,3-ブタジエン(単に「ブタジエン」ともいう)、イソプレン、メチルビニルエーテル等のイオン重合性単量体が挙げられる。これら他の共重合性単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合体ブロック(X)が、ビニル芳香族化合物以外にも、他の共重合性単量体に由来する構造単位を有する場合、それらの結合形態は、ランダム、テーパード状等のいずれの形態であってもよい。
上記ブロック共重合体(a)におけるビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量は、好ましくは5~95質量%、より好ましくは5~75質量%、さらに好ましくは5~50質量%である。ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量が上記範囲内であると、樹脂組成物(B)の柔軟性および制振性、さらに複合材(C)の柔軟性および制振性が良好である。
上記共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、および1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、ブタジエン、イソプレンおよびこれらの混合物が好ましい。共役ジエン化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体ブロック(Y)は、制振性の観点から、イソプレン単独、またはイソプレンとブタジエンとに由来する構造単位からなることが好ましい。上記重合体ブロック(Y)は、共役ジエン化合物の他に、他の共重合性単量体から構成されてもよい。この場合、他の共重合性単量体に由来する構造単位の割合は、重合体ブロック(Y)の質量に基づいて、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下であり、通常0質量%以上である。
重合体ブロック(Y)において、他の共重合性単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、ジフェニルエチレン、1-ビニルナフタレン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン等のビニル芳香族化合物等のアニオン重合可能な単量体が挙げられる。これら他の共重合性単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合体ブロック(Y)が共役ジエン化合物に由来する構造単位以外にビニル芳香族化合物等の他の共重合性単量体に由来する構造単位を有する場合、それらの結合形態はランダム、テーパード状等のいずれでもよい。
ブロック共重合体(a)は、耐熱性や耐光性の観点から、少なくとも部分的に水素添加されていてもよい。ブロック共重合体(a)は、水素添加されたブロック共重合体と水素添加されていないブロック共重合体との混合物であってもよい。
さらに、ブロック共重合体(a)とオレフィン系樹脂(b)との相溶性を高めるために、ブロック共重合体(a)にヒドロシル基、カルボニル基、アミド基および/またはエステル基等の活性基を有する単量体を共重合(ランダム共重合、グラフト共重合)することにより得られる、活性基含有のブロック共重合体であってもよい。この場合、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックの共役ジエン化合物に由来する炭素-炭素二重結合の50%以上が水素添加されていることが好ましく、75%以上が水素添加されていることがより好ましく、95%以上が水素添加されていることが特に好ましい。なお、水素添加率は通常100%以下である。水素添加率は、ヨウ素価測定、赤外分光光度計(IR)、核磁気共鳴法(H-NMR、13C-NMR)等によって測定できる。
上記ブロック共重合体(a)における共役ジエン化合物に由来する構造単位の含有量は、好ましくは5~95質量%、より好ましくは5~75質量%、さらに好ましくは5~50質量%である。共役ジエン化合物に由来する構造単位の含有量が上記範囲内であると、樹脂組成物(B)の柔軟性および制振性、さらに複合材(C)の柔軟性および制振性が良好である。
ブロック共重合体(a)における重合体ブロック(X)の含有量は、ブロック共重合体(a)の全質量を基準として、好ましくは5~90質量%、より好ましくは5~70質量%、さらに好ましくは15~50質量%である。共役ジエン化合物に由来する構造単位の含有量が上記範囲内であると、樹脂組成物(B)の柔軟性および制振性、さらに複合材(C)の柔軟性および制振性が良好である。
ブロック共重合体(a)における重合体ブロック(Y)の含有量は、ブロック共重合体(a)の全質量を基準として、好ましくは30~90質量%、より好ましくは50~80質量%である。重合体ブロック(Y)の含有量がこの範囲内であると、樹脂組成物(B)の柔軟性および制振性、さらに複合材(C)の柔軟性および制振性が良好である。
ブロック共重合体(a)の重量平均分子量Mwは、好ましくは40000~500000、より好ましくは50000~450000、さらに好ましくは100000~400000の範囲である。ブロック共重合体(a)の重量平均分子量Mwが上記下限値以上であると、樹脂組成物(B)の力学物性、柔軟性および制振性、さらに複合材(C)の力学物性、柔軟性および制振性が良好である。ブロック共重合体(a)の重量平均分子量Mwが上記上限値以下であると、粘度の上昇が抑制され、成形加工性が良好となる。
本発明において重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定し、ポリスチレン換算により算出することができる。
本発明の好適な実施態様において、制振性、柔軟性および形成性の観点から、ブロック共重合体(a)は、イソプレンおよび/またはブタジエンに由来する構造単位の3,4-結合単位および1,2-結合単位の含有量(以下、「ビニル結合含有量」とも称す)が、イソプレンおよびブタジエン由来の全構造単位に基づいて、45モル%以上であるブロック共重合体(a1)、またはブロック共重合体(a1)と、ビニル結合含有量が45モル%未満であるブロック共重合体(a2)との混合物であることが好ましい。なお、ブロック共重合体(a)がブロック共重合体(a1)とブロック共重合体(a2)との混合物である場合、該混合物のビニル結合含有量は35モル%以上であることが好ましい。
本発明の一実施態様において、ブロック共重合体(a)がブロック共重合体(a1)とブロック共重合体(a2)との混合物である場合、ブロック共重合体(a1)のビニル結合含有量は、好ましくは45モル%以上、より好ましくは48モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上である。ブロック共重合体(a1)のビニル結合含有量が上記下限値以上であると、制振性が良好で、同時に柔軟性と制振性とのバランスを最適化することが可能となる。本発明の別の一実施態様において、ブロック共重合体(a)がブロック共重合体(a1)とブロック共重合体(a2)との混合物である場合、ブロック共重合体(a1)のビニル結合含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは52モル%以上、さらに好ましくは54モル%以上である。ブロック共重合体(a1)のビニル結合含有量が上記下限値以上であると、振動抑制性が良好で、同時に柔軟性と非粘着性と振動抑制性とのバランスを最適化することが可能となる。なお、ブロック共重合体(a1)のビニル結合含有量は通常100モル%以下である。
ブロック共重合体(a)がブロック共重合体(a1)とブロック共重合体(a2)との混合物である場合、ブロック共重合体(a2)のビニル結合含有量は、好ましくは45モル%未満、より好ましくは43モル%以下、より好ましくは41モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下である。ブロック共重合体(a1)のビニル結合含有量が上記上限値以下であると、制振性が良好で、同時に柔軟性と制振性とのバランスを最適化すること、または振動抑制性が良好で、同時に柔軟性と非粘着性と振動抑制性とのバランスを最適化することが可能となる。なお、ブロック共重合体(a2)のビニル結合含有量は通常0モル%以上である。
ブロック共重合体(a)がブロック共重合体(a1)とブロック共重合体(a2)との混合物である場合、該混合物(ブロック共重合体(a))のビニル結合含有量は好ましくは35モル%以上、より好ましくは37モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上である。ブロック共重合体(a)のビニル結合含有量が上記下限値以上であると、制振性が良好で、同時に柔軟性と制振性とのバランスを最適化すること、または振動抑制性が良好で、同時に柔軟性と非粘着性と振動抑制性とのバランスを最適化することが可能となる。なお、ブロック共重合体(a)のビニル結合含有量は通常100モル%以下である。
なお、ビニル結合含有量は、イソプレンおよび/またはブタジエンに由来する構造単位の3,4-結合単位および1,2-結合単位の含有量を、ヨウ素価測定、赤外分光光度計(IR)、核磁気共鳴法(H-NMR、13C-NMR)等によって測定し、その測定値から求めることができる。
上記ブロック共重合体(a)は、その製造方法について特に限定されず、従来公知の方法により製造できる。ブロック共重合体(a)の代表的市販品としては、例えばTSRC Corporation製のTAIPOL、(株)クラレ製のセプトン、Kraton polymers製のKraton、旭化成(株)製のタフテック等が挙げられる。
樹脂組成物(B)におけるブロック共重合体(a)の含有量は、樹脂組成物(B)の全量に対して、好ましくは50~98質量%、より好ましくは60~95質量%、さらに好ましくは65~90質量%である。ブロック共重合体(a)の含有量が上記下限値以上であると、柔軟性および制振性が良好である。ブロック共重合体(a)の含有量が上記上限値以下であると、樹脂組成物(B)自体の強度が良好であり、複合材(C)の耐創傷性が良好である。
<オレフィン系樹脂(b)>
本発明の一実施態様において、オレフィン系樹脂(b)としては、強度、成形加工性、耐薬品性、耐熱性および/または非粘着性の改善の目的から、プロピレン系重合体、エチレン系重合体およびその混合物が好ましい。
プロピレン系重合体としては、例えばホモポリプロピレン、ならびに他のα-オレフィンとポリプロピレンとの共重合体、例えばランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンが挙げられる。立体規則性は特に限定されず、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン等であってよい。中でも、他のα-オレフィンとプロピレンとの共重合体(例えばランダム共重合体およびブロック共重合体)が好ましい。他のα-オレフィンとして、エチレンおよび炭素数4~20のα-オレフィン等が挙げられ、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン等が挙げられる。他のα-オレフィンは、2種以上を併用することもできる。
エチレン系重合体としては、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)等のエチレン単独重合体;他のα-オレフィンとエチレンとの共重合体(例えばランダム共重合体およびブロック共重合体)が挙げられる。他のα-オレフィンとして、炭素数3~20のα-オレフィン等が挙げられ、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン等が挙げられる。他のα-オレフィンは、2種以上を併用することもできる。具体的には、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ヘプテン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン・1-ノネン共重合体、エチレン・1-デセン共重合体等のエチレン・α-オレフィン共重合体等が挙げられる。
さらに、ブロック共重合体(a)とオレフィン系樹脂(b)との相溶性を高めるために、オレフィン系樹脂(b)にヒドロシル基、カルボニル基、アミド基および/またはエステル基等の活性基を有する単量体を共重合(ランダム共重合、グラフト共重合)することにより得られる、活性基含有のオレフィン系樹脂を用いてもよい。
上記オレフィン系樹脂(b)は、その製造について特に限定されず、例えば、従来公知の方法により製造できる。上記オレフィン系樹脂(b)の代表的市販品としては、例えば(株)プライムポリマー製のプライムポリプロシリーズ、ハイゼックスシリーズ、ネオゼックスシリーズ、ウルトゼックスシリーズ等が挙げられる。
オレフィン系樹脂(b)のMFRは、通常3~40g/10分、好ましくは4~38g/10分、より好ましくは5~35g/10分である。MFRが上記範囲内であると成形加工性が良好である。MFRは、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定することができる。
オレフィン系樹脂(b)の含有量は、樹脂組成物(B)の全量に対して、30質量%以下、好ましくは1~30質量%、より好ましくは3~27質量%、特に好ましくは5~25質量%である。オレフィン系樹脂(b)の含有量が30質量%より大きいと、複合材(C)に十分な柔軟性が付与されない。オレフィン系樹脂(b)の含有量が上記上限値以下であると、成形加工性が良好である。オレフィン系樹脂(b)の含有量が上記下限値以上であると、柔軟性がさらに向上し、また耐屈曲性も良好となる。
<炭化水素系ゴム用軟化剤(c)>
本発明において、炭化水素系ゴム用軟化剤(c)としては、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル等のプロセスオイル;流動パラフィン;エチレン、共役ジエン化合物、および/または炭素数4以上のα-オレフィンの単独重合体および共重合体;等が挙げられる。中でも、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル等のプロセスオイル、およびポリイソブチレン系樹脂(PIB)が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記軟化剤(c)の重量平均分子量Mwは700以上が好ましく、750以上がより好ましい。軟化剤(c)の重量平均分子量Mwは1500以下が好ましく、1400以下がより好ましい。軟化剤(c)の重量平均分子量Mwが上記下限値以上であれば、柔軟性およびグリップ性が良好であり、重量平均分子量Mwが上記上限値以下であれば、成形加工性が良好である。
上記軟化剤(c)の動粘度(40℃)は、好ましくは80mm/s以上、より好ましくは90mm/s以上であり、好ましくは400mm/s以下、より好ましくは390mm/s以下である。軟化剤(c)の動粘度(40℃)が上記下限値以上であれば、柔軟性およびグリップ性が良好であり、動粘度が上記上限値以下であれば、成形加工性が良好である。なお、動粘度は、例えばJIS K 2283に従って測定することができる。
上記軟化剤(c)は、その製造について特に限定されず、例えば、従来公知の方法により製造できる。上記軟化剤(c)の代表的市販品としては、例えば出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルPWシリーズ(パラフィン系オイル)、出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルNRシリーズ(ナフテン系オイル)、NIKKO OIL PRODUCTS(株)製NOBELプロセスオイルABシリーズ(アロマ系オイル)等が挙げられる。
軟化剤(c)の含有量は、樹脂組成物(B)の全量に対して、10質量%以下、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~9質量%、特に好ましくは2~8質量%である。軟化剤(c)の含有量が10質量%より大きいと、複合材(C)に十分なグリップ安定性または非粘着性が付与されない。軟化剤(c)の含有量が上記上限値以下であると、柔軟性がさらに向上し、また耐屈曲性も良好となる。軟化剤(c)の含有量が上記下限値以上であると、ベタツキが抑制され、使用感が良好である。
<その他の成分>
樹脂組成物(B)は、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、必要に応じて、耐摩耗性、表面コート剤との接着性等の改善の目的に、極性エラストマー(d)を含有してもよい。極性エラストマー(d)としては、ポリウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーを挙げられ、極性エラストマーは一種類または二種以上の混合物であってもよい。なかでも、極性エラストマーは、ポリウレタン系エラストマーが好ましい。樹脂組成物(B)が極性エラストマー(d)を含有する場合、樹脂組成物(B)は、成分(a)100質量部に対して、極性エラストマー(e)を5~70質量部含有していることが、上記目的を達成する点から好ましく、5~50質量部がより好ましい。
また、樹脂組成物(B)は、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、必要に応じて、粘着付与材を含有してもよい。粘着付与材としては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、これらのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステルに代表されるロジン系樹脂;α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン等を主体とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂:(水添)脂肪族系(C系)石油樹脂、(水添)芳香族系(C系)石油樹脂、(水添)共重合系(C-C共重合系)石油樹脂、(水添)ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂環式飽和炭化水素等の、水素添加されていてもよい石油樹脂;ポリα-メチルスチレン、α-メチルスチレン-スチレン共重合体、スチレン系モノマー-脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー-芳香族系モノマー(スチレン系モノマーを除く)共重合体等のスチレン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン樹脂;クマロン-インデン系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、樹脂組成物(B)の着色抑制の観点から、水添テルペン樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂、(水添)脂肪族系(C系)石油樹脂が好ましい。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物(B)が粘着付与材を含有する場合、その含有量は、耐熱性の観点から、ブロック共重合体(a)100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは80質量部以下である。
樹脂組成物(B)は有機または無機添加剤を含有してもよい。有機または無機添加剤としては、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム等のリン片状無機系添加剤、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミックス粉、粒状または粉末ポリマー等の粒状または粉末状固体充填材、その他の各種の天然または人工の短繊維、長繊維(例えば、わら、毛、ガラスファイバー、金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバー等)等を含有してもよい。
また、樹脂組成物(B)は、軽量化の観点から、中空フィラー、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン等の無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体等からなる有機中空フィラーを含有してもよい。
中でも、樹脂組成物(B)がポリビニル系短繊維、ポリアリレート系短繊維、グラファイト、マイカ、酸化チタン、アルミニウム粉末、および/またはカーボンブラックを含むことが好ましく、この場合、制振性を大きく改善する効果がある。
樹脂組成物(B)は、上記の成分の他に、用途に応じて各種のブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、発泡剤、着色剤、難燃剤等を含有してもよい。ここで、酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジtert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジtert-ブチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ-5,5-ウンデカン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。中でも、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤は、ブロック共重合体(a)の100質量部に対して、0.01~3.0質量部であることが好ましく、0.05~1.0質量部であることがより好ましい。
また、難燃剤は特に限定されず、従来から用いられている各種の難燃化用添加剤(例えば、有機リン含有化合物、無機リン含有化合物、有機ハロゲン含有化合物、無機ハロゲン含有化合物、有機リン・ハロゲン含有化合物、無機リン・ハロゲン含有化合物、酸化アンチモン、酸化チタン、金属水酸化物、および含水無機結晶化合物等)の1種または2種以上を使用してよい。中でも、ハロゲンを含有しないリン系難燃剤が好ましく、その例として、赤リン、有機リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、およびホスホルアミド化合物等が挙げられる。芳香族系縮合リン酸エステル化合物がより好ましい。
樹脂組成物(B)が発泡剤を含有する場合、複合材(C)に消音性および耐衝撃性をさらに付与することができる。発泡する方法としては、特に限定されないが、化学発泡、物理発泡の方法があり、例えば、無機系発泡剤、有機系発泡剤、熱膨張性微粒子等の添加、二酸化炭素等の臨界発泡、または中空ガラスバルーン等を挙げることができる。
樹脂組成物(B)の23℃、500Hzにおける損失係数ηは0.1以上であることが重要である。損失係数ηが0.1未満であると、複合材(C)に十分な制振性が付与されない。損失係数ηは、好ましくは0.11以上、より好ましくは0.12以上、さらに好ましくは0.13以上である。樹脂組成物(B)の上記損失係数ηが上記下限値以上であると、制振性を向上させることができる。なお、樹脂組成物(B)の上記損失係数ηは通常0.4以下である。損失係数は、JIS G 0602:1993に従って測定することができる。
そのような損失係数を得るためには、樹脂組成物(B)が特定のブロック共重合体および/または該ブロック共重合体の水素添加物(a)を含有し、樹脂組成物(B)に含まれるオレフィン系樹脂(b)の含有量と炭化水素系ゴム用軟化剤(c)の含有量とを調整する必要がある。そのようなブロック共重合体および/または該ブロック共重合体の水素添加物(a)の詳細、ならびに樹脂組成物(B)に含まれるオレフィン系樹脂(b)の含有量および炭化水素系ゴム用軟化剤(c)の含有量の詳細は、先に記載したとおりである。
樹脂組成物(B)の製造方法としては、通常の樹脂組成物の製造またはゴム組成物の製造に際して用いられる方法を使用することができ、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、各種ニーダー等の溶融混練機(加工機)を用いて各成分を均一に複合化(溶融混練)することにより製造でき、得られた樹脂組成物(B)をペレット化することもできる。加工機の設定温度は、樹脂の種類によるが、例えば150℃~300℃の中から任意に選ぶことができ、その製造方法になんら制限はない。また、後述する含浸法により複合材(C)を製造する場合、上記溶融混練機により各成分を均一に複合化する必要はなく、溶液に各成分を別個に添加して、各成分を均一に溶解させてもよい。
複合材(C)において、基布(A)中に樹脂組成物(B)が含浸してもよい。基布(A)中に樹脂組成物(B)が含浸する場合、複合材(C)において基布(A)中に樹脂組成物(B)が含浸する程度に関して、基布(A)の厚みに対して樹脂組成物(B)が含浸する比率(以下、「樹脂含浸比率」ともいう)は、好ましくは10~80%、より好ましくは20~75%である。基布(A)中に樹脂組成物(B)が含浸する場合、基布(A)の厚みに対して樹脂組成物(B)の含浸比率が上記範囲内であると、耐水浸透性、柔軟性および作業性が良好であるだけでなく、基布(A)と樹脂組成物(B)からなる層との接着性を向上し、長期使用時に剥離が生じ難くなる。基布(A)中に樹脂組成物(B)が含浸する場合、基布(A)中に樹脂組成物(B)が含浸する程度を制御することにより複合材(C)の耐水浸透性、柔軟性および作業性を制御することができる。
複合材(C)において、基布(A)上に積層される樹脂組成物(B)からなる層の厚みは、好ましくは1~5000μm、より好ましくは5~4000μm、さらに好ましくは10~3000μmである。基布(A)上に積層される樹脂組成物(B)からなる層の厚みが上記範囲内であると、耐水浸透性、柔軟性および作業性が良好である。なお、基布(A)の両方の表面に樹脂組成物(B)からなる層が積層される場合、樹脂組成物(B)からなる2つの層の厚みは、同一であっても異なっていてもよい。
なお、基布(A)の両方の表面に樹脂組成物(B)からなる層が積層される場合、各層を構成する樹脂組成物(B)の組成は、同一であっても異なっていてもよい。
複合材(C)において、基布(A)に対する樹脂組成物(B)からなる層の厚み比率(樹脂組成物(B)からなる層/基布(A))は、好ましくは5/95~95/5、より好ましくは10/90~90/10、さらに好ましくは20/80~80/20、特に好ましくは30/70~70/30である。基布(A)に対する樹脂組成物(B)からなる層の質量比率が上記範囲内であると、耐水浸透性、柔軟性および作業性が良好である。なお、複合材が、基布(A)および樹脂組成物(B)層をそれぞれ複数層有する場合は、厚み比率はそれぞれの複数層の合計厚みの比率を意味する。
<複合材(C)>
本発明の一実施態様である複合材(C)は、上記基布(A)の少なくとも一方の表面に樹脂組成物(B)からなる層を積層させてなる。樹脂組成物(B)からなる層は、単層であっても複層であってもよい。
複合材(C)の製造方法は、特に限定されない。例えば、加工機を用いて、ペレット状の樹脂組成物(B)を溶融状態の層に加工し、該層を基布(A)上に積層させることにより、複合材(C)を製造することができる。溶融状態の樹脂組成物(B)からなる層を基布(A)上に積層する際には、加圧処理を行ってもよい。樹脂組成物(B)を溶融状態の層にするためには、例えば、熱プレスロール、ホットプレス機、射出成形機、インサート射出機、シート成形機、共押出シート成形機、押出ラミ成形機、カレンダーロール成形機等の加工機を用いることができる。また、上記加工機を用いて樹脂組成物(B)からなる層を形成し、該層を基布(A)上に、熱プレスロール、ホットプレス機、熱ロールラミ機等で熱ラミネートを行うことによっても複合材(C)を製造することができ、また、樹脂組成物(B)と基布(A)とを、接着剤(例えばアクリレート系、エポキシ系、ウレタン系接着剤)を用いて接合することによっても複合材(C)を製造することができる。さらに、含浸法によっても複合材(C)を製造することができる。含浸法とは、樹脂組成物(B)を有機溶剤に溶解させた溶液を用いて複合材(C)を製造する方法である。樹脂組成物(B)からなる層を1層だけを基布(A)上に積層させてもよく、複数層を基布(A)上に積層させてもよい。樹脂組成物(B)からなる層を複数層積層する場合にも、上記の製造方法を用いることができる。
本発明の一実施態様において、樹脂組成物(B)を有機溶剤に溶解させた溶液を用いた含浸法で得られた複合材(C)の少なくとも一方の表面に、樹脂組成物(B)からなる層をさらに積層させてもよい。こうして得られる複合材(C)は、さらに高い耐水浸透性を発揮することができる。
含浸法としては、例えば、樹脂組成物(B)を有機溶剤に溶解させた溶液に基布(A)を浸漬し、乾燥させることによって複合材(C)を製造する方法;および樹脂組成物(B)を有機溶剤に溶解させた溶液を、シリコン系樹脂、またはフッ素系樹脂をコートした剥離紙、または剥離フィルム上に塗布し、塗工膜を形成し、その塗工膜上に基布(A)を積層させ、乾燥処理を行うことによって、複合材(C)を製造する方法が挙げられる。含浸法により複合材(C)を製造する場合、基布(A)中に樹脂組成物(B)を含浸させることが容易となる。
上記含浸法により複合材(C)を作製する場合、乾燥温度や乾燥時間は特に限定されず、溶剤の種類等によって適宜選択することができる。
基布(A)中に樹脂組成物(B)が含浸する場合、複合材(C)において、基布(A)中に樹脂組成物(B)が含浸する程度を制御することにより複合材(C)の耐水浸透性、柔軟性および作業性を制御することができる。
また、樹脂組成物(B)からなる層にエンボス模様が必要とされる場合、積層またはラミネートの直後に凹凸模様を施した冷却プレスロールを通すことにより、樹脂組成物(B)からなる層にエンボス模様を付与することができる。
また、樹脂組成物(B)からなる層により精密なエンボス模様を施し、意匠性をさらに向上することが必要とされる場合、別法として、エンボス模様を施した紙金型または樹脂シート金型に、溶剤に加熱溶解した樹脂組成物(B)を塗布し、基布(A)に含浸またはラミネートして乾燥する方法、またはエンボス模様を施した紙または樹脂シートと基布(A)との間に、樹脂組成物(B)を押出しラミネートし、多層化する方法を用いることもできる。
複合材(C)は、少なくとも1つの表面に機能層(D)を備えてよい。機能層(D)は、基布(A)と樹脂組成物(B)とが接着していない基布(A)面、および/または樹脂組成物(B)面に配置されてよい。機能層(D)は、種々の機能を発現する層であり、例えばスリップ性、防汚性、防臭性、抗菌性、および/またはグリップ安定性を発現する層である。機能層(D)は、例えばフッ素系、アクリル系、シリコン系、またはEVOH系(エチレン・ビニルアルコール共重合体)樹脂等から構成される。機能層(D)は、スリップ性および/または防汚性を改善するために設けられる層である場合、例えば、フッ素系、アクリル系またはEVOH系樹脂等から構成される。複合材(C)の少なくとも1つの表面に機能層(D)を配置する方法は、基布(A)上に樹脂組成物(B)を積層する上記方法と同様の方法を用いることができる。機能層(D)の厚みは、機能層(D)の機能により適宜選択することができるが、例えば1~1000μm、好ましくは3~500μmである。
フッ素系防汚剤は、特に限定するものではないが、例えば、フッ素含有シラン化合物を用いることができる。アルコキシシランおよび/またはアルキルアルコキシシランを0.01~15質量%の範囲でフッ素含有シラン化合物に添加することにより得た塗布組成物を用いることが好ましい。
アクリル系防汚剤は、特に限定するものではないが、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸とC~Cアルコールとのエステルを主構成モノマーとする重合体または共重合体を主成分とする樹脂を用いることができる。このようなアクリル酸エステル系樹脂の主構成モノマーとしては、具体的には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレートおよびブチルメタクリレート等が挙げられ、特にメチルアクリレートおよびメチルメタクリレートが好ましい。また、これらの主構成モノマーと共重合させるコモノマーとしては、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸とC~C12アルコールとのエステル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはブタジエン等を用いることができる。
EVOH系防汚剤は、特に限定するものではないが、例えば、エチレン含有量20~55モル%、特に25~50モル%、酢酸ビニル成分のケン化度90モル%以上、特に95モル%以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物(すなわちEVOH)で、極限粘度が0.7~1.5dL/gの範囲にあるものが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、機能層(D)としてのEVOH樹脂層を構成するEVOH樹脂のうちの50質量%未満が、α-オレフィン、不飽和カルボン酸系化合物、不飽和スルホン酸系化合物、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、またはスチレン等の他のコモノマーで共重合変性されたEVOH樹脂であってもよく、ウレタン化、アセタール化、またはシアノエチル化等により後変性されたEVOH樹脂であってもよい。
機能層(D)と樹脂層(B)との接着性が不十分な場合、樹脂層(B)の表面に、コロナ処理またはプラズマ処理を施すことにより、機能層(D)と樹脂層(B)との接着性を高めることができる。プラズマ処理としては、酸素プラズマ処理、大気圧アルゴンプラズマ処理、または大気圧チッソプラズマ処理等を選択することができる。中でも、大気圧プラズマ処理が好ましい。
さらに、防汚層(D)と樹脂層(B)との接着性を改善する方法として、上記処理に加え、プライマー処理を行うことができる。防汚層(D)と樹脂層(B)との間に施すプライマー層は、特に限定するものではないが、脂肪族環式構造含有ポリオール、芳香族構造含有ポリエステルポリオール、または親水性基含有ポリオール等を含むポリオールと、脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート等を含むポリイソシアネートとを組み合わせ反応させ、乾燥することによって得ることができる。プライマー層の厚みは、複合材(C)の柔軟性の観点から、例えば1~10μm、好ましくは1~5μmである。
特に、機能層(D)にEVOH樹脂を用いる場合、機能層(D)を、複合材(C)の最外層に位置する樹脂層(B)に付与する方法として、スチレン系エラストマーおよび/またはポリエステル系樹脂とイソシアネート系架橋剤とを含有する接着性樹脂を樹脂層(B)に積層した後、機能層(D)を積層する方法、または離型フィルム(例えば離型PETフィルム)に、機能層(D)および接着性樹脂層を積層した後、接着性樹脂層側を樹脂層(B)に熱ラミネートした後、離型フィルムを剥離する転写方法等を用いることが好ましい。
複合材(C)は、少なくとも1つの表面に、樹脂組成物(B)以外の他の樹脂組成物からなる層を積層することもできる。他の樹脂組成物としては、エラストマー性を発現する組成物が挙げられる。他の樹脂組成物からなる層の形状は、特に限定されず、一面に均一な厚みを有する層であってよく、線状またはドット状であってもよい。他の樹脂組成物からなる層の厚みは、例えば10μm~1000mmである。
複合材(C)において、基布(A)の表面の少なくとも一方、および/または樹脂組成物(B)からなる層の表面の少なくとも一方に、コロナ処理またはプラズマ処理を施してよい。基布(A)と樹脂組成物(B)からなる層の互いに隣り合う面にコロナ処理またはプラズマ処理を行うことにより、基布(A)と樹脂組成物(B)からなる層との接着性を高めることができる。プラズマ処理としては、酸素プラズマ処理、大気圧アルゴンプラズマ処理、および大気圧チッソプラズマ処理等が挙げられる。中でも、大気圧プラズマ処理が好ましい。
複合材(C)において、基布(A)と樹脂組成物(B)からなる層との間に、プライマー層を備えてもよい。プライマー層は、基布(A)または樹脂組成物(B)からなる層の表面にプライマー剤を塗布し、乾燥することにより配置することができる。プライマー層としては、特に限定されないが、脂肪族環式構造含有ポリオール、芳香族構造含有ポリエステルポリオール、および親水性基含有ポリオール等を含むポリオール、および、脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート等を含むポリイソシアネートを組み合わせ反応させ、乾燥することによって得ることができる。プライマー層の厚みは、複合材(C)の柔軟性の観点から、例えば1~10μm、好ましくは1~5μmである。
本発明の好適な一実施態様では、振動抑制性の観点から、樹脂組成物(B)からなる層と基布(A)との位置関係について、樹脂組成物(B)からなる層と基布(A)とが可能な限り偏在することが好ましい。すなわち、複合体(C)の断面を観察したときに、基布(A)の一方の表面側に存在する樹脂組成物(B)からなる層の厚みと、基布(A)の他方の表面側に存在する樹脂組成物(B)からなる層の厚みとが、可能な限り異なることが好ましい。
従って、本発明の好適な一実施態様においては、基布(A)、および基布(A)の両表面に積層された樹脂組成物(B)からなる層を有する複合材(C)であって、該層の厚みは互いに10%以上異なる複合体が提供される。該層の厚みの差異を、以下、「偏在厚み比率」とも称する。偏在厚み比率が10%以上異なることにより、複合体(C)の振動抑制性をより向上させることができる。偏在厚み比率が30%以上であることが、より好ましい。また、好ましくは、偏在厚み比率の上限値は95%である。偏在厚み比率は、後述の実施例に記載されている方法で測定される。
複合材(C)の構成としては、樹脂層(B)/基布(A)/樹脂層(B)、樹脂層(B)/基布(A)/樹脂層(B)/基布(A)、樹脂層(B)/基布(A)/樹脂層(B)/基布(A)/樹脂層(B)等が例示される。ここで、樹脂層(B)とは、基布(A)に積層された樹脂組成物(B)の層、または基布(A)に含浸された樹脂組成物(B)の層を意味する。
振動抑制性は、基布(A)の弾性率および厚み、ならびに樹脂組成物(B)の組成および厚みに大きく影響を受けるため、樹脂層(B)の厚みは、一概には決定できないが、例えば0.3~5mm、好ましくは0.6~3.5mmである。なお、樹脂層(B)が基布(A)に含浸された樹脂組成物(B)である場合、その厚みは、含浸した樹脂組成物(B)の質量および密度、ならびに樹脂組成物(B)が含浸した基布の面積から、基布が存在しないものとして計算した樹脂組成物(B)の厚み(換算値)である。
本発明の別の実施態様においては、複合材(C)から構成される防護用品も提供される。防護用品としては、例えば手袋、作業服、前掛け、帽子、作業靴、機械操作用ノブカバー、および機械カバー等を挙げることができる。これらの防護用品は、金属加工、金属切り屑処理、刃物、工具、ガラス加工、廃棄物処理、自動車、板金、電気ケーブル剥離、鋳造作業、草刈、農機具、小型船舶等において使用することができる。特に、振動が発生する作業において、複合材(C)が有用である。
さらに、本発明の別の実施態様においては、複合材(C)からなる振動抑制材も提供される。振動抑制材は、振動抑制性、非粘着性および柔軟性等に優れていることから、垂れ幕、パーティション、ブラインド、天井幕、防火幕、防炎幕、テント、バルーン、養生シート等の建築資材用シート、防護用具、または映写スクリーン等に使用することができる。
上記防護用品または振動抑制材は、上記複合材(C)のみから構成されてもよく、複合材(C)の他に、他の構成部材から構成されてもよい。防護用品または振動抑制材が複合材(C)および他の構成部材から構成される場合、耐創傷性、制振性、柔軟性および/または耐水浸透性が求められる部分に複合材(C)を配置することが効率的であり、コスト面からも好ましい。上記防護用品または振動抑制材を構成する他の部材としては、特に限定されないが、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、およびこれから構成される織布、不織布、編物または複合布、ならびに天然皮革、合成皮革等の皮革等が挙げられる。
本発明の一実施態様である複合材(C)はグリップ安定性にも優れる。そのため、上記のような種々の用途に複合材(C)を使用する場合、滑り難く、作業性に優れる。そのため、複合材(C)は、防護用品および振動抑制材等において安全性に大きく寄与することができる。
複合材(C)から構成される防護用品または振動抑制材の製造方法は特に限定されない。防護用品または振動抑制材を製造する場合、裁断、溶着、縫製等の処理を行うことができる。複合材(C)の端部同士を接合する場合、複合材の端部同士が重なり合う部分の間に、樹脂組成物(B)からなる層が配置されることが好ましく、さらに、配置された樹脂組成物(B)からなる層を複合材(C)に融着させることがより好ましい。この場合、防護用品または振動抑制材の耐水浸透性を向上させることができる。さらに、複合材(C)の端部同士を縫製することによっても接合してもよく、この場合、防護用品または振動抑制材の強度を向上させることができる。また、従来の防護用品(例えば手袋)または振動抑制材の一部に、本発明の一実施態様である複合材(C)を接合してもよい。
例えば、防護用品または振動抑制材の縫製処理を行う場合、縫製により生じる縫い目部分を、上記機能層で被覆してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。例中の「%」および「部」は、特記ない限り、質量%および質量部を意味する。
まず評価方法について説明する。
(1)重量平均分子量Mw
サンプルに関して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件下、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwを算出した。
GPC;LC Solution (SHIMADZU社製)
検出器:示差屈折率計 RID-10A(SHIMADZU社製)
カラム:TSKgelG4000Hxlを2本直列(TOSOH社製)
ガードカラム:TSKguardcolumnHxl-L(TOSOH社製)
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
流速:1ml/min
濃度:2mg/ml
(2)損失係数ηの測定
JIS G 0602:1993に準じて測定した。具体的には、まず、後述する実施例および比較例における樹脂組成物(B)を用いて、射出成形機により厚み1.0mm、幅15.0mm、長さ250mmの平板状のサンプルを作製した。該平板状のサンプルの一方の表面に、両面粘着テープを介して振動体(厚み1.0mm、幅15.0mm、長さ250mmのSPCC鋼板)を貼合し、サンプルの他方の表面に、両面粘着テープを介して拘束層(厚み0.5mm、幅15.0mm、長さ250mmのアルミ板)を貼合した後、リオン社製、商品名「SA-01」の測定装置を用い、試験片の保持方式として中央支持法、試験片の加振方法として定常加振法、損失係数の算出方法として半値幅法を採用して、23℃、500Hzでの損失係数を算出した。測定は3回行い、その平均値を損失係数ηとし、下記のランク付けを行った。
◎ 損失係数(η)は0.12以上
○ 損失係数(η)は0.1以上
× 損失係数(η)は0.1未満
(3)スチレン含有率
重合に使用した各モノマー成分の質量から算出した。
(4)1,2-結合および3,4-結合単位の含有量(ビニル結合含有量)
ブロック共重合体(a)をCDClに溶解して、H-NMR測定を行った(装置:JNM-Lambda 500(日本電子(株)製、測定温度:50℃)。イソプレン由来の構造単位、ブタジエン由来の構造単位、またはイソプレンとブタジエンとの混合物由来の構造単位の全ピーク面積と、イソプレンの構造単位における1,2-結合単位および3,4-結合単位、ブタジエンの構造単位における1,2-結合単位および3,4-結合単位、またはイソプレンとブタジエンの混合物の場合には、それぞれの上記結合単位に対応するピーク面積との比から、ビニル結合含有量(1,2-結合単位と3,4-結合単位との含有量の合計)を算出した。
(5)厚み、樹脂含浸比率の測定
基布(A)上に積層される樹脂組成物(B)からなる層の厚みを、複合材(C)の断面を顕微鏡により観察することによって測定した。また、基布(A)の厚みに対して樹脂組成物(B)の含浸厚みの比率(樹脂含浸比率)は、複合材(C)の断面を顕微鏡により観察することによって測定した。複合材(C)の厚み、および複合材(C)中の樹脂組成物(B)の含浸厚みを無作為に10点測定し、その平均値を算出することによって樹脂含浸比率を決定した。樹脂含浸比率の算出は以下の式に従って行った。
樹脂含浸比率(%)=(樹脂組成物(B)の含浸厚み[平均])/(基布(A)の厚み[平均])
(6)耐創傷性の評価
SATRA Technolgy製のSTM-611機を用いて、EN388:2003に従って耐創傷性を評価した。5Nの荷重下、回転する円形刃をサンプルに対して水平に当て、貫通するまでの回数から、EN388:2003に従ってインデックスを算出した。インデックスが10以上であることが好ましい。
(7)耐水浸透性の評価方法
2枚の複合材(C)を用いて、手袋を作製した。2枚の複合材の端部同士を接合する際は、複合材の端部同士が重なり合う部分の間に、5mm巾×100μm厚みの樹脂組成物(B)からなる層を配置し、溶着機(ヤマトミシン製NSW2735、電磁加熱式)を用いて、樹脂組成物(B)を介して2枚の複合材(C)を融着し、さらに、融着中央部分の縫製を行った。こうして手袋を作製した。
こうした作製した手袋を10人のモニターに装着させ、耐水浸透性評価を行った。評価は、モニターが、100回の手の屈曲操作を行った後、手袋を装着した手を水に10分間浸漬することにより行った。その後、手袋を脱着し、水の浸透の有無を目視で観察し、水浸透なしと答えた人数が7人以上の場合が好ましい。なお、屈曲操作とは、手袋を着用した手を握り・開きを1回とし、100回することにより行った。
(8)制振性、柔軟性、およびグリップ安定性の評価方法
上記「(7)耐水浸透性の評価方法」にて作製した手袋を10人のモニターに装着させ、制振性、柔軟性、およびグリップ安定性の評価を行った。
手袋を装着したモニターに、チェーンソー(マキタ製MEA5000G)を用いて200~300mmφの丸太の切断作業をさせ、その際の制振性、柔軟性(ゴワゴワ感)およびグリップ安定性の官能評価を行った。耐水浸透性に関しては、良好と答えた人数が7人以上の場合が好ましく、9人以上がより好ましい。制振性に関しては、良好と答えた人数が5人以上の場合が好ましく、6人以上がより好ましく、7人以上がさらに好ましい。柔軟性およびグリップ安定性に関しては、良好と答えた人数が5人以上の場合が好ましく、6人以上がより好ましい。
<基布(A)>
以下の実施例および比較例において以下の基布を用いた。
・基布(A-1)
高剛性ポリアリレート繊維(クラレ製:ベクトラン(登録商標)HT、単糸繊度2.8dtex)を紡績することにより得られる撚係数2.5の20番手の紡績糸からなる平織布(弾性率:100GPa、坪量:200g/m、厚み:430μm)
・基布(A-2)
アラミド繊維(デュポン製、ケブラー(登録商標)49、30/1、繊度:197dtex)からなる平織布(弾性率:75GPa、坪量:200g/m、厚み:450μm)
・基布(A-3)
綿糸(龍田紡績製、30/1、繊度:178dtex)からなる平織布(弾性率:10GPa、坪量:200g/m、厚み:490μm)
<樹脂組成物(B)>
樹脂組成物(B)の調製において用いた成分は以下のとおりである。
(ブロック共重合体(a)の製造)
特許第2703335号明細書、または特開2003-128870号公報に準じ、乾燥され、窒素で置換された耐圧反応器において、溶媒としてシクロヘキサン、開始剤としてn-ブチルリチウム、共触媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、スチレンモノマー、イソプレンモノマー、スチレンモノマーの順に添加し重合することによりA-B-Aの構造を有するブロック共重合体を得た。その後、得られたブロック共重合体を、シクロヘキサン中において、触媒としてPd-Cを用いて水素圧20kg/cmで水素添加反応を行った。共触媒の添加量ならびにモノマーの添加比率および添加速度を適宜変更することにより、以下のブロック共重合体(a1-1)~(a1-3)および(a2-1)~(a2-2)を製造した。
[ブロック共重合体(a1)]
・ブロック共重合体(a1-1)
水素添加されたスチレン/イソプレン/スチレン型トリブロック共重合体、ビニル結合含有量73%、重量平均分子量Mw:200000、スチレン含有量:27モル%
・ブロック共重合体(a1-2)
水素添加されたスチレン/イソプレン/スチレン型トリブロック共重合体、ビニル結合含有量55%、重量平均分子量Mw:270000、スチレン含有量:32モル%
・ブロック共重合体(a1-3)
水素添加されたスチレン/イソプレン/スチレン型トリブロック共重合体、ビニル結合含有量50%、重量平均分子量Mw:250000、スチレン含有量:30モル%
[ブロック共重合体(a2)]
・ブロック共重合体(a2-1)
水素添加されたスチレン/イソプレン・ブタジエン/スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量40%、重量平均分子量Mw:260,000、スチレン含有量:34モル%
・ブロック共重合体(a2-2)
水素添加されたスチレン/イソプレン・ブタジエン/スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量8%、重量平均分子量Mw:270,000、スチレン含有量:33モル%
<オレフィン系樹脂(b)>
・オレフィン系樹脂(b)
ポリプロピレン プライムポリプロ F219DA(商品名)、株式会社プライムポリマー製、MFR(230℃、2.16kg荷重):8g/10分
<炭化水素系ゴム用軟化剤(c)>
・炭化水素系ゴム用軟化剤(c)
ダイアナプロセスオイルPW-380(商品名)、出光石油化学株式会社製、パラフィン系オイル、動粘度(40℃):381.6mm/s、環分析パラフィン:73%、環分析ナフテン:27%、重量平均分子量Mw:1304
実施例1
二軸押出機(口径46mm、L/D=46)を使用して、表1に記載の各成分を表1に示す配合に従って混合し、220℃で溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物(B)を得た。得られたペレット状の樹脂組成物(B)を押出ラミ成形機(Tダイ型単層押出ラミ製膜機、口径40mm、L/D=24)に投入し、押出温度280℃において、樹脂組成物(B)からなる200μmの厚みの溶融膜を基材(A-1)に溶融積層させ、80℃の熱プレスロールを通過させることにより、複合材(C-1)を得た。
実施例2~7および比較例1~5
実施例2~7において、表1に示す配合に従い表1に記載の各成分を用いた以外は、実施例1と同様にして複合材(C-2)~(C-7)をそれぞれ作製した。また、比較例1~5において、表1に示す配合に従い表1に記載の各成分を用いた以外は、実施例1と同様にして複合材(C-1)’~(C-5)’をそれぞれ作製した。
実施例8
トルエン溶剤に下記の各構成成分を表1に示す配合に従って添加し、120℃の油浴で4時間撹拌し、その後冷却することにより、濃度40質量%の樹脂組成物(B)溶液を調製した。この溶液を、離型処理したPETフィルム(東レフィルム加工製、セラピールBLK、厚み:50μm)の離型処理面に、ワイアーバーを用いて、塗工膜の厚みが150μm(乾燥後の厚みが75μmに相当)となるように塗布し、塗布直後に、塗工膜上に基布(A-2)を積層した。その後、乾燥処理を行うことにより、複合材(C-8)を作製した。
Figure 0006994327000001
実施例1~8および比較例1~5において得られた複合材(C-1)~(C-8)および(C-1)’-(C-5)’について、上記方法に従って手袋を作製し、各評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0006994327000002
表2に示される通り、本発明に係る実施例1~8においては、耐創傷性、制振性、柔軟性、および耐水浸透性に同時に優れる結果となった。さらに、グリップ安定性に関しても良好な結果となった。
一方、軟化剤(c)の添加量が10質量%を超える比較例1においては、制振性に劣り、さらにはグリップ安定性に関しても低く、オレフィン系樹脂(b)の添加量が30質量%を超える比較例2においては、柔軟性が低く、樹脂組成物(B)の損失係数ηが0.1未満であり、ビニル結合含有量を35%未満である比較例4においては、制振性が低く、低剛性の基布を用いた比較例5では、耐創傷性に劣る結果となった。
よって、本発明によれば、高い耐創傷性、制振性、柔軟性および耐水浸透性を有する防護用品を達成することができる。
次に実施例9~18および比較例6~10によりさらに説明する。
これらの実施例および比較例では、上記した「(1)重量平均分子量Mw」、「(2)損失係数ηの測定」および「(4)1,2-結合および3,4-結合単位の含有量(ビニル結合含有量)」に加えて、次のような測定を行った。
(9)偏在厚み比率
振動抑制多層シート(C)の断面10箇所を顕微鏡で観察し、基布(A)の両側に存在する樹脂組成物(B)層の平均厚みをそれぞれ(B-1)mm、(B-2)mmとした場合、偏在厚み比率(%)を下記式により算出した。
|(B-1)-(B-2)|×100/{(B-1)+(B-2)}
なお、基布(A)を挟んで、片方側にそれぞれ(B)層が複数層積層している場合は、
その複数層の合計厚みを、それぞれ(B-1)mm、(B-2)mmとする。
(10)振動抑制性(音源透過減衰率)
リオン株式会社製の無音響箱(商品名:RKB-33L)内部を遮音隔壁で仕切り、一方に記録計付属の騒音計(リオン株式会社製:NL27)を、他方に騒音発生器(リオン株式会社製:SF-06)付属のスピーカーを直線状に設置し、実施例および比較例で作製した複合材を該遮音隔壁の窓(300×500mm角)に取付けた場合と、該シートを取り除いた場合との騒音レベル(デシベル:db、23℃-500Hz)の差を算出することにより、防音性(Δdb:音源透過減衰率に相当)の評価を行った。
Δdbが10以上を良好な結果とした。
(11)非粘着性(スリップ性)
JIS K7125試験法に準拠し、実施例および比較例で作製した複合材の測定面側を、厚み1.0mm、幅80mm、長さ200mmのSPCC鋼板に、70℃の熱プレスロールを用いて、加圧および加熱下で貼り付け、SPCC鋼板側を下向きに水平常盤に固定した。その上に、63×63mmのすべり片(アルミ板:200g)を配置し、23℃および50%RHの雰囲気下、島津製作所製オートグラフ型番AG-1、500Nを用い、水平速度100mm/分で引っ張った際の初期張力(静摩擦係数=ピーク張力/荷重)およびそれ以降の定常張力(動摩擦力係数=ピーク張力を除く平均張力/荷重)を測定した。
最外層が一方の面と他方の面とで異なる複合材の測定面側は、下記構成(C-9)については樹脂層(B)側とし、下記構成(C-11)については樹脂層(B)(1.3mm)側とした。
(12)柔軟性(屈曲性)
実施例および比較例で作製した複合材から、25mm×100mmの試験片をそれぞれ2枚ずつ切り出し、10回屈曲したときの屈曲部の微小クラックおよび/または白化の有無を目視で観察し、下記のランク付けを行い、平均値が2以下を好適とした。
ランク1:微小クラックおよび/または白化はなし
ランク2:微小クラックおよび/または白化は僅かにあり
ランク3:微小クラックおよび/または白化はあり
ランク4:微小クラックおよび/または白化は顕著
[基布(A)]
実施例および比較例において、以下の基布を用いた。
・基布(A-1)
高剛性ポリアリレート繊維(クラレ製:ベクトラン(登録商標)HT、単糸繊度2.8dtex)を紡績することにより得られる撚係数2.5の20番手の紡績糸からなる平織布(弾性率:100GPa、坪量:200g/m、厚み:430μm)
・基布(A-2)
アラミド繊維(デュポン製、ケブラー(登録商標)49、30/1、繊度:197dtex)からなる平織布(弾性率:75GPa、坪量:200g/m、厚み:450μm)
・基布(A-3)
綿糸(龍田紡績製、30/1、繊度:178dtex)からなる平織布(弾性率:10GPa、坪量:200g/m、厚み:490μm)
[樹脂組成物(B)]
樹脂組成物(B)の調製において用いた成分は、以下のとおりである。
(ブロック共重合体(a)の製造)
特許第2703335号明細書、または特開2003-128870号公報に準じ、乾燥され、窒素で置換された耐圧反応器において、溶媒としてシクロヘキサン、開始剤としてn-ブチルリチウム、共触媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、スチレンモノマー、イソプレンモノマー、スチレンモノマーの順に添加し重合することによりA-B-Aの構造を有するブロック共重合体を得た。その後、得られたブロック共重合体を、シクロヘキサン中において、触媒としてPd-Cを用いて水素圧20kg/cm2で水素添加反応を行った。共触媒の添加量ならびにモノマーの添加比率および添加速度を適宜変更することにより、以下のブロック共重合体(a1-1)~(a1-3)および(a2-1)~(a2-2)を製造した。
[ブロック共重合体(a1)]
・ブロック共重合体(a1-1)
水素添加されたスチレン/イソプレン/スチレン型トリブロック共重合体、ビニル結合含有量73%、重量平均分子量Mw:200000、スチレン含有量:27モル%
・ブロック共重合体(a1-2)
水素添加されたスチレン/イソプレン/スチレン型トリブロック共重合体、ビニル結合含有量55%、重量平均分子量Mw:270000、スチレン含有量:32モル%
・ブロック共重合体(a1-3)
水素添加されたスチレン/イソプレン/スチレン型トリブロック共重合体、ビニル結合含有量50%、重量平均分子量Mw:250000、スチレン含有量:30モル%
[ブロック共重合体(a2)]
・ブロック共重合体(a2-1)
水素添加されたスチレン/イソプレン・ブタジエン/スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量40%、重量平均分子量Mw:260,000、スチレン含有量:34モル%
・ブロック共重合体(a2-2)
水素添加されたスチレン/イソプレン・ブタジエン/スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量8%、重量平均分子量Mw:270,000、スチレン含有量:33モル%
<オレフィン系樹脂(b)>
・オレフィン系樹脂(b)
ポリプロピレン プライムポリプロ F219DA(商品名)、株式会社プライムポリマー製、MFR(230℃、2.16kg荷重):8g/10分
<炭化水素系ゴム用軟化剤(c)>
・炭化水素系ゴム用軟化剤(c)
ダイアナプロセスオイルPW-380(商品名)、出光石油化学株式会社製、パラフィン系オイル、動粘度(40℃):381.6mm/s、環分析パラフィン:73%、環分析ナフテン:27%、重量平均分子量Mw:1304
[複合材(C)]
実施例および比較例において作製した複合材は、下記構成(C-9)~(C-12)のいずれかを有した。
・構成(C-9)
T型ダイス単軸押出機(口径40mm、L/D=24、230℃)を使用し、後述するように樹脂組成物(B)を含浸した基布(A)の含浸した面と反対側の面に、樹脂組成物(B)からなる厚み1.8mmの溶融シートを押出しラミネートし、樹脂組成物含浸基布(B+A)/樹脂層(B)の構成を得、これを構成(C-9)とした。
・構成(C-10)
後述するように樹脂組成物(B)を含浸した2枚の基布(A)を、含浸した面が最表層となるよう配置し、それらの間に、T型ダイス単軸押出機(口径40mm、L/D=24、230℃)を使用して、樹脂組成物(B)からなる厚み1.6mmの溶融シートを押出しラミネートし、樹脂組成物含浸基布(B+A)/樹脂層(B)/樹脂組成物含浸基布(A+B)の構成を得、これを構成(C-10)とした。
・構成(C-11)
T型ダイス単軸押出機(口径40mm、L/D=24、230℃)を使用し、基布(A)に、樹脂組成物(B)からなる厚み1.3mmの溶融シートを押出しラミネートした後、基布(A)側に、樹脂組成物(B)からなる厚み0.7mmの溶融シートを押出しラミネートし、樹脂層(B)(1.3mm)/基布(A)/樹脂層(B)(0.7mm)の構成を得、これを構成(C-11)とした。
・構成(C-12)
T型ダイス単軸押出機(口径40mm、L/D=24、230℃)を使用し、基布(A)に、樹脂組成物(B)からなる厚み1mmの溶融シートを押出しラミネートした後、基布(A)側に、樹脂組成物(B)からなる厚み1mmの溶融シートを押出しラミネートし、樹脂層(B)/基布(A)/樹脂層(B)の構成を得、これをシート構成(C-12)とした。
実施例9
二軸押出機(口径46mm、L/D=46)を使用して、表3に記載の各成分を表3に記載の配合に従って混合し、190℃で溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物(B)を得た。次いで、得られたペレット状の樹脂組成物(B)をトルエン中で熱溶解し、濃度30質量%の樹脂組成物(B)の溶液を得た。得られた樹脂組成物(B)の溶液を基布(A)(0.43mm)に含浸させ、圧搾した後、100℃で10分間乾燥し、樹脂組成物(B)を含浸した基布(A)を得た。含浸した樹脂組成物(B)の質量から計算した樹脂組成物(B)の換算厚み(基布なしの場合)は0.11mmであった。
T型ダイス単軸押出機(口径40mm、L/D=24、230℃)を使用し、得られた樹脂組成物(B)を含浸した基布(A)の含浸した面と反対側の面に、樹脂組成物(B)からなる厚み1.8mmの溶融シートを押出しラミネートし、構成(C-9)を有する複合材(C)を得た。
実施例10~18および比較例6~10
実施例10~18において、表3に示す配合に従い表3に記載の各成分を用い、表3に記載の構成としたこと以外は実施例9と同様にして、複合材(C)をそれぞれ作製した。また、比較例6~10において、表3に示す配合に従い表3に記載の各成分を用いたこと以外は実施例9と同様にして、複合材をそれぞれ作製した。
実施例9~18および比較例6~10において得られた複合材について、各評価を行った。その結果を、表3に示す。
Figure 0006994327000003
表3に示されているとおり、特定の基布と、該基布の少なくとも一方の表面に積層または含浸された樹脂組成物からなる層とを有する複合材であって、該樹脂組成物が特定の成分を特定の量で含有し、特定の損失係数を有する本発明の複合材(実施例9~18)は、優れた振動抑制性、非粘着性および柔軟性を併せ持っていた。また、ブロック共重合体(a)がブロック共重合体(a1)と(a2)との混合物であって、該混合物のビニル結合含有量が35モル%以上である場合(実施例9~12および14~18)、優れた振動抑制性、非粘着性および柔軟性を併せ持つ複合材が得られた。さらに、基布(A)、および基布(A)の両表面に積層された樹脂組成物(B)からなる層を有する複合材であって、偏在比率厚みが10%以上異なる場合(実施例9~18)、優れた振動抑制性、非粘着性および柔軟性を併せ持つ複合材が得られた。
一方、基布として綿平織布を使用した場合(比較例6)、得られた複合材において、優れた振動抑制性は得られなかった。軟化剤(c)の添加量が10質量%を超える場合(比較例7)、得られた複合材において、優れた非粘着性(スリップ性)は得られなかった。オレフィン系樹脂(b)の添加量が30質量%を超える場合(比較例8)、得られた複合材において、優れた柔軟性は得られなかった。また、樹脂組成物(B)の損失係数ηが0.1未満の場合(比較例9~10)、溶融混練性が悪く、不均一なペレットしか得られず、良好な複合材は得られなかった。
よって、本発明によれば、高い振動抑制性、非粘着性および柔軟性を有する振動抑制材を達成することができる。
以上のとおり、本発明の好適な実施態様を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
複合材(C)は、高い耐創傷性、制振性、柔軟性および耐水浸透性を有し、手袋、作業服、前掛け、帽子、作業靴、機械操作用ノブカバーおよび機械カバー等の防護用品に有利に使用することができる。
さらに、複合材(C)は、優れた振動抑制性、非粘着性および柔軟性を併せ持ち、垂れ幕、パーティション、ブラインド、天井幕、防火幕、防炎幕、テント、バルーン、養生シート等の建築資材用シート、防護用具、または映写スクリーン等に有利に使用することができる。

Claims (5)

  1. 50GPa以上の弾性率を有する繊維からなる基布(A)、および該基布(A)の少なくとも一方の表面に積層される樹脂組成物(B)からなる層を有する複合材であって、
    樹脂組成物(B)は、
    (a)少なくとも1種のビニル芳香族化合物から構成される重合体ブロック(X)と少なくとも1種の共役ジエン化合物から構成される重合体ブロック(Y)とからなる、少なくとも1つのブロック共重合体および/または該ブロック共重合体の水素添加物、
    (b)オレフィン系樹脂、ならびに
    (c)炭化水素系ゴム用軟化剤
    を含有し、
    樹脂組成物(B)に含まれるオレフィン系樹脂(b)の含有比率が、樹脂組成物(B)の全質量に基づいて7質量%以上、30質量%以下であり、軟化剤(c)の含有比率が、樹脂組成物(B)の全質量に基づいて3質量%以上、10質量%以下であり、かつ樹脂組成物(B)の23℃、500Hzにおける損失係数ηは0.1以上であり、
    上記ブロック共重合体(a)は、イソプレンおよび/またはブタジエンに由来する構造単位の3,4-結合単位および1,2-結合単位の含有量が45モル%以上のブロック共重合体(a1)、または
    ブロック共重合体(a1)と、イソプレンおよび/またはブタジエンに由来する構造単位の3,4-結合単位および1,2-結合単位の含有量が45モル%未満のブロック共重合体(a2)の混合物であり、該混合物のイソプレンおよび/またはブタジエンに由来する構造単位の3,4-結合単位および1,2-結合単位の含有量が40モル%以上である、複合材。
  2. 基布(A)は、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、セラミック繊維、および金属繊維からなる群から選択される少なくとも1種の繊維からなる織布、不織布、編物または複合布である、請求項1に記載の複合材。
  3. 基布(A)、および基布(A)の両表面に積層された樹脂組成物(B)からなる層を有する複合材(C)であって、該層の厚みは互いに10%以上異なる、請求項1または2に記載の複合材。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の複合材から構成される防護用品。
  5. 請求項1~3のいずれかに記載の複合材から構成される振動抑制材。
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