JP6153378B2 - 熱可塑性エラストマー不織布 - Google Patents
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Description
ビニル芳香族モノマーからなる重合体ブロック(A)を構成するビニル芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどが挙げられる。ビニル芳香族モノマーからなる重合体ブロック(A)は、これらのビニル芳香族モノマー1種のみに由来する構造単位からなっていてもよいし、2種以上に由来する構造単位からなっていても良い。中でも、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましい。
共役二重結合を有するモノマーからなる重合体ブロック(B)を構成する共役二重結合を有するモノマーとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。中でも、ブタジエン、イソプレンが好ましい。共役二重結合を有するモノマーからなる重合体ブロック(B)は、これらの共役二重結合を有するモノマー1種のみに由来する構造単位からなっていてもよいし、2種以上に由来する構造単位からなっていても良い。中でも、イソプレンまたはブタジエンに由来する構造単位、またはブタジエンおよびイソプレンに由来する構造単位からなっていることが好ましい。
不織布中の任意の点に対し、走査型電子顕微鏡にて、1000倍で拡大撮影し、100本の繊維径を測定した値の平均値を平均繊維径とした。
JIS L 1906に準じ、接着シート幅1mあたりから、縦20cm×横20cmの試料片を3枚採取し、各試料片の質量を電子天秤にて測定し、3点の平均値を試験片面積400cm2で除して、単位面積当たりの質量を算出し、目付とした。
JIS L 1906に準じ、目付け測定と同試料片を用い、各試料片において、φ16mm、荷重20gf/cm2のデジタル測厚計((株)東洋精器製作所製:B1型)で各5箇所測定し、15点の平均値を厚さとした。
JIS L 1096の6.27.1(A法:フラジール法)に準じ、目付け測定と同試料片を用い、各試料片おいて、通気度測定器(TEXTEST製(スイス):FX3300)を使用し、測定面積38cm2、測定圧力125Paの条件で測定し、3点の平均値を通気度とした。
JIS L 1906に準じ、島津製作所製オートグラフにて、タテ方向、ヨコ方向、各3点の破断伸度を測定し、その平均値を、それぞれ、タテ方向伸度、横方向伸度とした。
不織布を熱プレス成形にてシート状に加工し、レオバイブロン(オリエンテック社製)により昇温速度3℃/min、周波数11Hzで粘弾性スペクトルを測定することにより、ピーク温度とピーク温度における値を求めた。
不織布を、厚さ10μmのポリエチレンフィルムにニチバン製アクリル系粘着材両面テープで接着積層し、吸音性能の指標として、音響特性装置(ブリュエルケアー製4206S型)にて、環境温度20℃で500〜6400Hzまでの音響透過損失を測定した。入射音に対して透過音が10分の1のときは透過損失は10dB、100分の1のときは20dBとなり、値が大きいほど吸音性能に優れる。本発明では、6300Hzでの透過損失を吸音性能として規定した。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン64L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%シクロヘキサン溶液)0.20Lを仕込み、有機ルイス塩基としてテトラヒドロフラン0.3L(開始剤中のリチウム原子に対して、量論比で15倍相当)を仕込んだ。50℃に昇温した後、スチレン2.3Lを加えて3時間重合させ、引き続いてイソプレン23Lを加えて4時間重合を行い、さらにスチレン2.3Lを加えて3時間重合を行った。得られた反応液をメタノール80Lに注ぎ、析出した固体を濾別して50℃で20時間乾燥することにより、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体を得た。
続いて、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体10kgをシクロヘキサン200Lに溶解し、水素添加触媒としてパラジウムカーボン(パラジウム担持量:5質量%)を該共重合体に対して5質量%添加し、水素圧力2MPa、150℃の条件で10時間反応を行った。放冷、放圧後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、濾液を濃縮し、さらに真空乾燥することにより、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体の水添物(以下、熱可塑性エラストマー(1)と称する)を得た。得られた熱可塑性エラストマー(1)の重量平均分子量は107,000、スチレン含有量は21質量%、水素添加率は85%、分子量分布は1.04、ポリイソプレンブロックに含まれる1,2−結合および3,4−結合量の合計量は60モル%であった。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン86L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%シクロヘキサン溶液)0.22Lを仕込み、有機ルイス塩基としてエチレングリコールジメチルエーテル0.02L(開始剤中のリチウム原子に対して、量論比で0.7倍相当)を仕込んだ。50℃に昇温した後、スチレン2.3Lを加えて3時間重合させ、引き続いてブタジエン25.5Lを加えて4時間重合を行い、さらにスチレン2.3Lを加えて3時間重合を行った。得られた反応液をメタノール80Lに注ぎ、析出した固体を濾別して50℃で20時間乾燥することにより、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体を得た。
続いて、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体10kgをシクロヘキサン200Lに溶解し、水素添加触媒としてパラジウムカーボン(パラジウム担持量:5質量%)を該共重合体に対して5質量%添加し、水素圧力2MPa、150℃の条件で10時間反応を行った。放冷、放圧後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、濾液を濃縮し、さらに真空乾燥することにより、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体の水添物(以下、熱可塑性エラストマー(2)と称する)を得た。得られた熱可塑性エラストマー(2)の重量平均分子量は126,000、スチレン含有量は21質量%、水素添加率は95%、分子量分布は1.11、ポリブタジエンブロックに含まれる1,2−結合量は78モル%であった。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン80L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%シクロヘキサン溶液)0.40Lを仕込み、有機ルイス塩基としてテトラヒドロフラン0.6L(開始剤中のリチウム原子に対して、量論比で15倍相当)を仕込んだ。50℃に昇温した後、スチレン4.2Lを加えて3時間重合させ、引き続いてイソプレン28Lを加えて4時間重合を行い、さらにスチレン4.2Lを加えて3時間重合を行った。得られた反応液をメタノール80Lに注ぎ、析出した固体を濾別して50℃で20時間乾燥することにより、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体を得た。
続いて、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体20kgをシクロヘキサン200Lに溶解し、水素添加触媒としてパラジウムカーボン(パラジウム担持量:5質量%)を該共重合体に対して5質量%添加し、水素圧力2MPa、150℃の条件で10時間反応を行った。放冷、放圧後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、濾液を濃縮し、さらに真空乾燥することにより、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体の水添物(以下、熱可塑性エラストマー(3)と称する)を得た。得られた熱可塑性エラストマー(3)の重量平均分子量は72,800、スチレン含有量は30質量%、水素添加率は90%、分子量分布は1.04、ポリイソプレンブロックに含まれる1,2−結合および3,4−結合量の合計量は60モル%であった。
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン69L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%シクロヘキサン溶液)0.48Lを仕込み、50℃に昇温した後、スチレン3.3Lを加えて3時間重合させ、引き続いてイソプレン21Lを加えて4時間重合を行い、さらにスチレン3.3Lを加えて3時間重合を行った。得られた反応液をメタノール80Lに注ぎ、析出した固体を濾別して50℃で20時間乾燥することにより、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体を得た。
続いて、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体10kgをシクロヘキサン200Lに溶解し、水素添加触媒としてパラジウムカーボン(パラジウム担持量:5質量%)を該共重合体に対して5質量%添加し、水素圧力2MPa、150℃の条件で10時間反応を行った。放冷、放圧後、濾過によりパラジウムカーボンを除去し、濾液を濃縮し、さらに真空乾燥することにより、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体の水添物(以下、熱可塑性エラストマー(4)と称する)を得た。得られた熱可塑性エラストマー(4)の重量平均分子量は54,500、スチレン含有量は30質量%、水素添加率は97%、分子量分布は1.04、ポリイソプレンブロックに含まれる1,2−結合および3,4−結合量の合計量は5モル%であった。
熱可塑性エラストマー(1)100重量部を単軸押し出し機により押し出し、ノズル孔径0.3mmφ、幅1mあたり孔数1300(ノズル孔同士の間隔0.77mm)のノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.3g/分、樹脂温度300℃、熱風温度310℃、ノズル幅1mあたり11Nm3で吹き付けて、平均繊維径10.6μm、目付40g/m2の不織布を得た。得られた不織布のtanδのピーク温度は、−2℃、ピーク値は1.21であった。得られた不織布を厚さ10μmのポリエチレンフィルムにニチバン製アクリル系粘着材両面テープで接着積層し、透過損失を測定した結果、図2に示すごとく500〜6400Hzで高い吸音性を示し、6300Hz時の透過損失は29dBと高い値を示した。
熱可塑性エラストマー(1)90重量部に、熱可塑性エラストマー(4)10重量部を混合した後、単軸押し出し機により押し出し、ノズル孔径0.3mmφ、幅1mあたり孔数1300(ノズル孔同士の間隔0.77mm)のノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.3g/分、樹脂温度300℃、熱風温度310℃、11Nm3/ノズル幅1mあたりで吹き付けて、平均繊維径10.1μm、目付40g/m2の不織布を得た。得られた不織布のtanδのピーク温度は、−47℃と−2℃で、それぞれのピーク値は0.21/0.95であった。得られた不織布を厚さ10μmのポリエチレンフィルムにニチバン製アクリル系粘着材両面テープで接着積層し、透過損失を測定した結果、図2に示すごとく500〜6400Hzで高い吸音性を示し、6300Hz時の透過損失は29dBと高い値を示した。
熱可塑性エラストマー(1)30重量部に、熱可塑性エラストマー(4)70重量部を混合した後、単軸押し出し機により押し出し、ノズル孔径0.3mmφ、幅1mあたり孔数1300(ノズル孔同士の間隔0.77mm)のノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.3g/分、樹脂温度300℃、熱風温度310℃、11Nm3/ノズル幅1mあたりで吹き付けて、平均繊維径9.2μm、目付40g/m2の不織布を得た。得られた不織布のtanδのピーク温度は、−47℃と−2℃で、それぞれのピーク値は0.32/0.35であった。得られた不織布を厚さ10μmのポリエチレンフィルムにニチバン製アクリル系粘着材両面テープで接着積層し、透過損失を測定した結果、図2に示すごとく500〜6400Hzで高い吸音性を示し、6300Hz時の透過損失は28dBと高い値を示した。
熱可塑性エラストマー(1)10重量部に、熱可塑性エラストマー(4)90重量部を混合した後、単軸押し出し機により押し出し、ノズル孔径0.3mmφ、幅1mあたり孔数1300(ノズル孔同士の間隔0.77mm)のノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.3g/分、樹脂温度300℃、熱風温度310℃、11Nm3/ノズル幅1mあたりで吹き付けて、平均繊維径8.9μm、目付40g/m2の不織布を得た。得られた不織布のtanδのピーク温度は、−47℃と−2℃で、それぞれのピーク値は0.80/0.28であった。得られた不織布を厚さ10μmのポリエチレンフィルムにニチバン製アクリル系粘着材両面テープで接着積層し、透過損失を測定した結果、図2に示すごとく500〜6400Hzで高い吸音性を示し、6300Hz時の透過損失は27dBと高い値を示した。
熱可塑性エラストマー(2)50重量部に、熱可塑性エラストマー(4)50重量部を混合した後、単軸押し出し機により押し出し、ノズル孔径0.3mmφ、幅1mあたり孔数1300(ノズル孔同士の間隔0.77mm)のノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.3g/分、樹脂温度310℃、熱風温度320℃、1 1Nm3/ノズル幅1mあたりで吹き付けて、平均繊維径9.6μm、目付40g/m2の不織布を得た。得られた不織布のtanδのピーク温度は、−47℃と−17℃で、それぞれのピーク値は0.17/0.79であった。得られた不織布を厚さ10μmのポリエチレンフィルムにニチバン製アクリル系粘着材両面テープで接着積層し、透過損失を測定した結果、図2に示すごとく500〜6400Hzで高い吸音性を示し、6300Hz時の透過損失は29dBと高い値を示した。
熱可塑性エラストマー(3)50重量部に、熱可塑性エラストマー(4)50重量部を混合した後、単軸押し出し機により押し出し、ノズル孔径0.3mmφ、幅1mあたり孔数1300(ノズル孔同士の間隔0.77mm)のノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.5g/分、樹脂温度300℃、熱風温度310℃、11Nm3/ノズル幅1mあたりで吹き付けて、平均繊維径8.1μm、目付40g/m2の不織布を得た。得られた不織布のtanδのピーク温度は、−47℃と−5℃で、それぞれのピーク値は0.17/0.72であった。得られた不織布を厚さ10μmのポリエチレンフィルムにニチバン製アクリル系粘着材両面テープで接着積層し、透過損失を測定した結果、図2に示すごとく500〜6400Hzで高い吸音性を示し、6300Hz時の透過損失は28dBと高い値を示した。
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー製:J108M、MFR45)を単軸押し出し機により押し出し、ノズル孔径0.3mmφ、幅1mあたり孔数1300(ノズル孔同士の間隔0.77mm)のノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.1g/分、樹脂温度300℃、熱風温度310℃、8Nm3/ノズル幅1mあたりで吹き付けて、平均繊維径4.5μm、目付40g/m2の不織布を得た。得られた不織布のタテ方向の伸度は40%、ヨコ方向の伸度は60%と伸縮性の小さいものであった。
熱可塑性エラストマー(4)を単軸押し出し機により押し出し、ノズル孔径0.3mmφ、幅1mあたり孔数1300(ノズル孔同士の間隔0.77mm)のノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.4g/分、樹脂温度300℃、熱風温度310℃、8Nm3/ノズル幅1mあたりで吹き付けて、平均繊維径9.7μm、目付40g/m2の不織布を得た。得られた不織布のtanδのピーク温度は、−47℃、ピーク値は1.25であった。得られた不織布を厚さ10μmのポリエチレンフィルムにニチバン製アクリル系粘着材両面テープで接着積層し、透過損失を測定した結果、図2に示すごとく500〜6400Hzでの吸音性は低く、6300Hz時の透過損失は23dBと低い値を示した。
Claims (8)
- ビニル芳香族モノマーからなる重合体ブロック(A)と、共役二重結合を有するモノマーからなる重合体ブロック(B)とを含有するブロック共重合体またはその水素添加物であり、−20℃〜20℃間に少なくとも1つの動的粘弾性測定における損失正接(tanδ)のピークを有する熱可塑性エラストマーからなるメルトブロー不織布。
- 不織布の厚みが0.01〜1.0mmである、請求項1記載のメルトブロー不織布。
- 熱可塑性エラストマーが、ビニル芳香族モノマーからなる重合体ブロック(A)と、3,4−結合及び1,2−結合が合わせて40モル%以上である、共役二重結合を有するモノマーからなる重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体またはその水素添加物である請求項1または2記載のメルトブロー不織布
- 熱可塑性エラストマーが、前記共重合体10〜90重量%に対し、ビニル芳香族モノマーからなる重合体ブロック(A)と、3,4−結合及び1,2−結合が合わせて40モル%未満である、共役二重結合を有するモノマーからなる重合体ブロック(C)を有するブロック共重合体またはその水素添加物を90〜10重量%混合してなる請求項1〜3のいずれかに記載のメルトブロー不織布。
- 平均繊維径が3〜30μmである請求項1〜4のいずれかに記載のメルトブロー不織布。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のメルトブロー不織布からなる吸音シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のメルトブロー不織布と少なくとも1種類以上の織物、フィルム、金属、成型体等が積層されてなる積層体。
- 請求項7記載の積層体からなる吸音材。
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