図1は本発明の一実施の形態の建具の一例であるドアを室内側から見た図である。図1において、1は躯体の開口部に取付けられるドアの枠体である。2は枠体1内に蝶番3により開閉可能に取付けられるドア本体(障子)である。枠体1は、吊元側縦枠4と戸先側縦枠5と上側の横枠(上枠)6と下側の横枠(下枠)7とをタッピングねじ(図示せず)により組み合わせて矩形に構成する。37,38,39はそれぞれ縦枠4,5、上枠6の室外側に取付けられた金属製のカバーである。40は下枠7に取付けられた金属製のカバーである。
図2、図3、図4、図5はそれぞれ図1のA−A、B−B、C−C、D−D拡大断面図である。図2、図3、図4に示すように、縦枠4,5および上枠6は、いずれも樹脂製材料の押出形材でなり、これらの縦枠4,5および上枠6の室外側をアルミニウム合金等の金属製のカバー37,38,39で覆ってねじやリベット等の固定具41,42,43により固定している。縦枠4,5および上枠6はそれぞれ中空部(ホロー部)4a,5a,6a,6bを有し、各中空部にそれぞれ断熱材17a,17b,17c,17dを収容することにより、断熱性を高めている。これらの断熱材17a〜17dには例えば発泡ポリスチレン等の発泡材を用いる。なお、これらの断熱材17a,17b,17c,17dは必ずしも必要ではない。金属製のカバー37,38,39としてはステンレス鋼を用いてもよい。
18は縦枠4,5、上枠6および下枠7の室内側見付け面に取付けられた樹脂製またはゴム製の気密材であり、ドア本体2の4周の室内側の面を当接させて気密性を保つものである。
図5において、L1はこのドアの室外側の地面のレベルを示す。この地面のレベルL1は、ドア本体2の下面に対面する下枠7の上面と同一レベルまたはそのレベルよりやや低い位置に設定される。L2はこのドアが設置される室内側の土間のレベルを示す。このレベルL2は、下枠7の室内側部分の上面に設けられるゴム製の保護材24の上面とほぼ同一レベルに設定される。保護材24は、下枠7の上面が砂等の付着により損傷することと、結露を防止するために設けられる。
図5に示すように、本実施の形態の下枠7は、ドア本体2の下面に対向する室外側枠7aと、室内側枠7bとをアルミニウム合金等の金属製材料の押出形材により構成し、これらの室外側枠7aと室内側枠7bとの間をゴムまたは樹脂製の断熱材(ブリッジ材)7cにより結合して構成している。また、下枠7の室外側枠7aはステンレス鋼板等でなる金属製のカバー40で覆い、リベットやねじ等の固定具44で下枠7に固定している。室内側枠7bには、ドア本体2の室内側に対向する立上部7b1を有し、その立上部7b1にドア本体2の室内側の面を当てる気密材18を取付ける。
本実施の形態の下枠7においては、室外側枠7aは、断面形状が略矩形に形成される。金属製のカバー40は、室外側枠7aの下面部7a1の下の室外側部分を覆う下面部40aと、室外側枠7aの室外側の垂直面である見付け面部7a2を覆う見付け面部40bと、室外側枠7aの上面部7a3を覆う上面部40cとで構成している。
ここで、金属製のカバー40は、障子であるドア本体2を閉じた状態においては、少なくともドア本体2の下面に対向する下枠の上面部7a3を覆うように構成する。また、図6の拡大図に示すように、ドア本体2を開放した状態において、金属製のカバー40の室内側の端部40dは、2点鎖線18xで示すドア開放状態での気密材18の下方に位置し、これにより下枠7が金属製のカバー40により隠され、上方からは金属製のカバー40のみが目視できるように、金属製のカバー40の室内外方向の幅を設定することが、外観向上のために好ましい。
図6の例においては、室外側枠7aと室内側枠7bとを連結する断熱材7cの上面に、断熱材7cの両側からの水の流下を防ぐための軟質の樹脂からなる封止部材7mが設けられており、金属製のカバー40の室内側端部40dは、この封止部材7mの上面の上、すなわち室外側枠7aの上面部7a3の室内側端部7a4と、室内側枠7bの室外側端部7b2との間に位置し、室外側枠7aの室内側端部7a4を覆っている。
次にドア本体2の構成および取付け構造について説明する。ドア本体2は、鋼板等でなる金属製の室外側表面材8および室内側表面材9と、ドア本体2の吊元側端部(図2)、戸先側端部(図3)、上端部(図4)、下端部(図5)にそれぞれ設けられた樹脂製の端部材10,11,12,13とを有する。これらの端部材10〜13のうち、吊元側端部、上端部、下端部の各端部材10,12,13は、断面形状がコ字形をなす。一方、戸先側端部材は、戸先側カバー14を取付けるため、断面形状がL字形をなして室内外コーナー部にそれぞれ配置される2つの樹脂製の端部材11,11により構成している。
ドア本体2の吊元側端部、上端部、下端部の各端部材10,12,13は、その一部分として、ドア本体2の見付け面内方向について外側へ突出した露出部10a,12a,13aをそれぞれ有する。室外側表面材8および室内側表面材9は、見付け面部8a,9aの端部から見込み面部8b,9bをL字形に折り曲げて形成した形状を有する。ドア本体2の吊元側端部、上端部、下端部においては、これらの見込み面部8b,9bを、端部材10,12,13にリベット等の固定具15により固定する。端部材10,12,13の露出部10a,12a,13aは、室外側表面材8の見込み面部8bの室内側端部と、室内側表面材9の見込み面部9bの室外側端部との間に位置する。
17はパネル状の断熱材であり、この断熱材17は、室外側表面材8、室内側表面材9、端部材10,12、13および戸先側カバー14の取付け部材(後述)とでボックス状に組まれた枠内に収容される。また、断熱材17は室外側表面材8および室内側表面材9に接着して固定している。断熱材17には前記断熱材17a〜17dと同様の材料を用いてもよく他の材料を用いてもよい。
図3に示すドア本体2の戸先側においては、室外側、室内側に配置した2本の端部材11,11間に、断面形状がコ字形に形成された鋼材等の金属製の室外側芯材19と、この芯材19の室内側に両面テープ21等により固定された樹脂製の室内側芯材20との結合体を挟む。そして、これらの端部材11,11、芯材19,20および表面材8,9からなるドア本体の戸先側部分を戸先側カバー14で覆い、不図示のリベットやねじ等の固定具で芯材19に戸先側カバー14を固定することによって戸先側カバー14をドア本体2に取付ける。22は戸先側カバー14の室外側に取付けられた樹脂製またはゴム製の塞ぎ材であり、戸先側縦枠5の金属製のカバー38の室外側見付け面38aに当接させて外気の浸入を補助的に抑えるものである。
次にドア本体2の吊元側の取付け構造について、図2により説明する。25はドア本体2の吊元側を補強する鋼材等の金属でなる芯材である。この芯材25は、断面形状がコ字形をなす端部材10内に配置されると共に、芯材25とドア本体2の室外側表面材8との間で端部材10を挟持し、端部材10に後述の取付けねじ31により結合される。この芯材25は断面形状がコ字形をなす。本実施の形態においては、芯材として、金属製の芯材25のみならず、樹脂製の芯材26を備え、この芯材26は、金属製の芯材25の室内側の面に両面テープ27等を用いて固着し、端部材10内に芯材25,26を室内外方向に並べて収容した構造を有する。
蝶番3は枠体側取付け板3aとドア本体側取付け板3bとを有する。28は枠体側取付け板3aを縦枠4に取付ける蝶番取付け用ねじである。この蝶番取付け用ねじ28を、ドア本体側取付け板3aと、縦枠4のドア本体側プレート部4bに設けた貫通孔に通し、ドア本体側プレート部4bの裏側に当てた裏板29のねじ孔に螺合し締結することにより、枠体側取付け板3aを縦枠4に固定する。
31はドア本体側取付け板3bをドア本体2に固定する蝶番取付け用ねじである。この蝶番取付け用ねじ31を、ドア本体側取付け板3bと、端部材10および芯材25に設けた貫通孔に通し、一部のねじ31についてはドア本体2の室外側表面材8の見込み面部8bにも通し、芯材25の裏側に当てた裏板32のねじ孔に螺合し締結することにより、ドア本体側取付け板3bをドア本体2に固定する。33はドア本体側取付け板3bとドア本体2との間に介在させてドア本体2の建付けの調整を行なうスペーサである。
35は枠体1の縦枠4とドア本体2との間の隙間を閉塞して外気の浸入を補助的に抑える塞ぎ材である。この塞ぎ材35はゴムまたは樹脂製のものであり、本実施の形態においては、この塞ぎ材35のドア本体2に接して撓む撓み部35aがヒレによって構成されている例を示しているが、撓み部が中空状に形成されたものであってもよい。この塞ぎ材35は、縦枠4のドア本体側プレート部4bにリベット36等の固定具により固定して取付ける。ドアを閉めた状態においては、図示のように、塞ぎ材35の撓み部35aが端部材10の見込み面の露出部10aに当接して縦枠4とドア本体2との間の隙間を塞ぐ。このように、端部材10の露出部10aに塞ぎ材35の当接部35aを当接させることにより、ドア本体2の室内側表面材9は塞ぎ材35によって遮断されるので、室内側表面材9の外気による熱的影響が軽減され、断熱性が向上する。
本実施の形態においては、図2〜図4に示したように、縦枠4,5および上枠6に樹脂製の枠材を用いたので、断熱性の高い建具を実現できることは勿論のこと、金属製のカバー37,38,39で縦枠4,5および上枠6の室外側を覆ったので、樹脂製の枠材の直射日光による温度変化や経年変化による変形、変色等による外観の低下を防止することができる。すなわち縦枠4,5および上枠6が温度変化により変形や変色したとしても、金属製のカバー37,38,39で覆ったことにより、外部から目視することができないため、外観の低下を防止することができる。
また、樹脂製の枠材は、温度変化による変形が大きいため、室外側に化粧用のラッピングシートを貼りつけると、ラッピングシートに皺を発生したりするため、ラッピングシートを貼り付けて多種の外観の枠体を実現することが困難であり、外観が単調となる。一方、金属製のカバー37,38,39は温度変化による変形が少ないため、室外側に化粧用のラッピングシートを貼りつけることが可能で、外観の異なる種々の建具を提供できる。
また、本実施の形態においては、下枠7を金属製の押出形材でなる室外側枠7aと室内側枠7bで構成し、また、金属製のカバー40を設けたことで、下枠7の耐久性を高めることができる。特に本実施の形態のドアのように、人の荷重が下枠にかかる構成の建具の場合には、変形等を生じにくい建具を提供することが可能となる。また、本実施の形態のように、金属製のカバー40として押出形材でなる室外側枠7aや室内側枠7bより硬度の高いステンレス鋼を用いることにより、砂などの付着による下枠7の損傷を防止し、外観の低下を防止することができる。
また、室外側枠7aと室内側枠7bとが断熱材7cにより連結されるので、断熱性が向上すると共に、カバー40の室内側端部40dが、室内側枠7bの室外側端部よりも室外側に位置し、金属製のカバー40は室内側枠7bに接触しないので、室外側の温度がカバー40を通して室内側に伝わることを防止でき、断熱性を向上させることができる。
また、金属製のカバー40の室内側の端部40dは、室外側枠7aの上面部7a3の室内側端部よりも室内側に位置させることにより、カバー40と室外側枠7aとの間に水が介在することを抑制し、これにより、材質が異なる金属間に水が介在する際に生じる電食を防止して耐久性を向上させることができる。また、仮に電食が生じても、電食による生じた変色部等をカバー40により隠すことができ、意匠性低下防止の効果が得られる。また、金属製のカバー40の室内側の端部40dは、下枠の室内側枠7bに到達せず、断熱材7c上に位置させることにより、断熱性の低下を防ぐことができる。
なお、下枠7としては、本実施の形態の他、枠材として室外側枠7aと室内側枠7bとを一体に構成したもの、すなわち断熱材7cを無くしたものにより構成することも可能である。また、下枠7に金属製の押出形材を用いることなく、ステンレス鋼等を用いて下枠7を構成することも可能である。また、窓として建具を構成する場合には、下枠7はアルミニウム合金製押出形材等の金属製の押出形材だけで構成してもよい。
次に図7〜図10により本発明の他の実施の形態を説明する。図7、図8、図9、図10はそれぞれ上記実施の形態の図2、図3、図4、図5に相当する断面図である。図7に示すように、吊元側の縦枠4Xは樹脂製の押出形材でなる。縦枠4Xのドア本体2X側の部位は、見込み方向(室内外方向)に複数(図示例は4個)の中空部4g〜4jに区画されている。また、縦枠4の室外側部位は、ドア本体2から離反する側に見付け方向に延びる延出部4kを有し、その延出部4kにも、中空部4jに隣接する中空部4mが区画されている。
17e,17f,17gはそれぞれ縦枠4Xのドア本体2Xに隣接する中空部4h,4i,4j内に配置された断熱材であり、例えばEPS(発泡ポリスチレン樹脂)等の発泡材でなる。4qはコ字形の鋼板等の金属製芯材であり、この芯材4qは室外側の中空部4j内に嵌め込まれ、不図示の固定具、両面テープまたは接着剤等で中空部4jに固定される。中空部4j内の断熱材17gは、この金属製芯材4q内に嵌合、固定して設けられる。
図7〜図10において、気密材18は、ドア本体2Xの室内側の面と枠体1との間の隙間を塞ぐ気密部を構成するものである。図7に示す縦枠4Xにおいては、気密材18は、縦枠4Xのドア本体2X側の面に突出させて形成された気密材取付け部4rに基部を嵌合して取付けられている。断熱材17e〜17gは、縦枠4Xにおける、気密材18の取付け部よりも室外側にあり、かつドア本体2Xに隣接する中空部4h〜4j内にそれぞれ配置されている。一方、気密材18でなる気密部よりも室内側の中空部4g内には断熱材は配置されておらず、室外側にあって、ドア本体2Xに隣接していない中空部4m内にも断熱材は配置されていない。50は枠体1を取付ける開口部を構成する躯体の一部となる柱である。
図8に示すように、戸先側の縦枠5Xも同様に樹脂製押出形材でなり、そのドア本体2X側の部位は、見込み方向に複数(図示例は4個)の中空部5b〜5eに区画されている。また、縦枠5Xの室外側部位は、ドア本体2Xから離反する側に見付け方向に延びる延出部5fを有し、その延出部5fにも中空部5eに隣接する中空部5gが区画されている。
17h,17i,17jはそれぞれドア本体2X側の中空部5c,5d,5e内に嵌め込まれた断熱材であり、例えばEPS等の発泡材でなる。5kは断面形状がコ字形の鋼板等の金属製芯材であり、この芯材5kは室外側の中空部5e内に配置され、不図示の固定具、両面テープまたは接着剤等で中空部5eに固定されている。中空部5e内の断熱材17jは、金属製芯材5k内に嵌合、固定して設けられる。
図8においては、気密材18は、縦枠5Xのドア本体2X側の面に突出させて形成された気密材取付け部5jに基部を嵌合して取付けられている。断熱材17h〜17jは、縦枠5Xにおける、気密材18でなる気密部よりも室外側にあり、かつドア本体2Xに隣接する中空部5c〜5e内にそれぞれ配置されている。一方、気密材18でなる気密部よりも室内側の中空部5b内には断熱材は配置されておらず、室外側にあって、ドア本体2Xに隣接していない中空部5g内にも断熱材は配置されていない。51はドアの枠体1Xを取付ける開口部を構成する躯体の一部となる柱である。
図9に示すように、上枠6Xも同様に、ドア本体2X側の部位は、室内外方向に複数(図示例は3個)の中空部6c〜6eに区画されている。また、上枠6Xの室外側部位は、ドア本体2Xから離反する側に見付け方向に延びる延出部6fを有し、その延出部6fにも中空部6eに隣接する中空部6gが区画されている。
17k,17mはそれぞれ上枠6Xのドア本体2X側の中空部6d,6e内に配置された断熱材であり、例えばEPS等の発泡材でなる。
図9においても、気密材18は、上枠6Xのドア本体2X側の面に突出させて形成された気密材取付け部6jに基部を嵌合して取付けられている。断熱材17k,17mは、上枠6Xにおける、気密材18でなる気密部よりも室外側にあり、かつドア本体2Xに隣接する中空部6d,6e内にそれぞれ配置されている。一方、気密材18でなる気密部よりも室内側の中空部6c内には断熱材は配置されておらず、室外側にあって、ドア本体2Xに隣接していない中空部6g内にも断熱材は配置されていない。52はドアの枠体1Xを取付ける開口部を構成する躯体の一部となる横架材である。
図7〜図9において、37〜39はそれぞれ樹脂製の枠4X〜6Xを覆う前述した金属製のカバーである。図10に示す下枠7Xは、図5に示した下枠7と同様の構成を有する。
次に図7〜図10に示した実施の形態のドア本体2Xの構成およびその枠体1Xへの取付け構造について、図2〜図5の実施形態と異なる部分について説明する。ドア本体2Xの端部材10X,12,13のうち、吊元側の端部材10Xは矩形の中空形状をなし、上端部、下端部の各端部材12,13は、断面形状がコ字形をなす。吊元側の端部材10Xを中空形状に形成している理由はドア本体2Xの吊元側の強度を高めるためである。なお、図7〜図10の実施の形態においては、ドア本体2を構成する断熱材17rとして、断熱材17e〜17q以上の断熱性を有するフェノールホーム保温板(旭化成建材(株)社製、商品名:ネオマフォーム(ネオマは登録商標))を用いた。
図9、図10に示すように、ドア本体2Xの上端部、下端部においては、表面材8,9の見込み面部8b,9bは、ドア本体2Xの見込み方向の中央部近傍まで、すなわち図7に示す吊元側の見込み面部8b,9bに比べて長く延出させて形成され、不図示のリベットや接着剤により端部材12,13に固定される。
図7、図9、図10において、17n,17p,17qはそれぞれ端部材10X,12,13内に配置し固定した断熱材であり、ドア本体2の端部の端部材10X,12,13内における室内外温度差に基づく対流を防止し、もって熱性を向上させるために設けられたものである。これらの断熱材17n,17p,17qの材質は特に限定されないが、前記枠体1X内に収容した断熱材17e〜17mと同様の材質の断熱材を用いることができる。
図7において、25Xはドア本体2Xの吊元側を補強する鋼材等の金属でなる芯材である。この芯材25Xは断面形状がL字形をなし、中空状の端部材10Xの室外側コーナー部内に配置される。32Xは後述の蝶番3の取付け板3bに結合するための裏板であり、芯材25Xの端部材10Xへの取付けは、この裏板32Xを芯材25Xに固定した状態で、端部材10Xの縦枠4X側プレート部10bに対し、不図示の取付けねじ等により結合して行なう。
この芯材25Xの断面形状をL字形とし、これを端部材10Xの室外側コーナー部内に固定している理由は、この芯材25Xによる伝熱を抑えるためである。すなわち金属製の芯材25Xを端部材10の室外側の内部にさせ、芯材25Xの狭幅の端部25aを室内側に位置させることにより、芯材25Xの室内側への伝熱面積を狭くして芯材25Xによる伝熱を抑制している。また、芯材25Xの室内側端部25aを、室内側表面材9の見込み面部9bの室外側端部9b1よりも室外側に位置させることにより、芯材25Xと室内側表面材9との間の伝熱を抑制し、断熱性を高めている。
29Xは枠体側取付け板3aを蝶番取付け用ねじ28により取付けるための裏板であり、この裏板29Xは、縦枠4Xの室外側中空部4j内の芯材4q内に配置されている。蝶番取付け用ねじ28は、ドア本体側取付け板3aと、縦枠4のドア本体側プレート部4sと、芯材4qに設けた貫通孔に通し、芯材4q内に配置した裏板29Xのねじ孔に螺合し締結することにより、枠体側取付け板3aを縦枠4に固定する。
一方、ドア本体側取付け板3bへのドア本体2の固定は、蝶番取付け用ねじ31を、ドア本体側取付け板3bと、端部材10Xの縦枠4X側プレート部10bおよび芯材25Xに設けた貫通孔に通し、一部のねじ31についてはドア本体2の室外側表面材8の見込み面部8bにも通し、芯材25Xの裏側に当てた裏板32Xのねじ孔に螺合し締結することにより行なう。
図7〜図10の実施の形態においては、縦枠4X,5Xおよび上枠6Xに樹脂製の枠材を用いると共に、樹脂製の枠部は、気密材18でなる気密部よりも室外側の部分が見込み方向に複数個の中空部4h〜4j,5c〜5e,6d,6eに区画されるので、断熱性および強度を向上させることが可能となる。
また、断熱性を確保する上で重要となる気密材18でなる気密部より室外側に複数の中空部4h〜4j,5c〜5e,6d,6eを設けると共に、その中空部内に断熱材17e〜17g,17h〜17j,17k,17mを配置したので、断熱材17e〜17g,17h〜17j,17k,17mが中空部4h〜4j,5c〜5e,6d,6e内における室内外温度差による対流を防止し、断熱性を向上させることができる。しかも断熱材17e〜17g,17h〜17j,17k,17mは、枠体1Xにおける室内外の伝熱経路となる有効な位置、すなわち気密材18でなる気密部より室外側でかつドア本体2側に配置されているので、断熱材のコストを抑えつつ、高い断熱性が得られる。
換言すれば、断熱性の向上に関しては寄与の度合が低い部分、すなわち気密材18でなる気密部よりも室内側の中空部4g,5b,6c、および室外側の延出部4k,5f,6fの中空部4m,5g,6g内には断熱材を配置しない構成としたので、断熱材の無駄な配置がなく、断熱性確保の上で有効配置が実現される。
一方、縦枠4X,5Xおよび上枠6Xにおける、気密材18でなる気密部よりも室内側部分にも中空部4g,5b,6cを備えることにより、縦枠4X,5Xおよび上枠6Xにおける見込み方向の取付け幅が確保されると共に、縦枠4X,5Xおよび上枠6Xの強度が確保される。
また、本実施の形態においては、縦枠4X,5Xおよび上枠6Xの室外側にはドア本体2Xから離反する側に延出した延出部4k,5f,6fを有するため、ドアにおいて必要となる縦枠4X,5Xおよび上枠6Xにおける見付け方向の広い取付け幅が確保されると共に、これらの延出部4k,5f,6fにも中空部4m,5g,6gを区画したので、縦枠4X,5Xおよび上枠6Xの室外側部分の強度が確保される。
また、本実施の形態においては、室外側の取付け面を構成する壁部4h,5h,6gと、中空部間を区画する壁部4i,5i,6hとをそれぞれほぼ同一面に形成したので、枠体1の強度をより高めることができる。
上記実施の形態においては、ドアに本発明を適用した例を示したが、開閉式障子を有する窓にも本発明を適用することができる。窓を構成する場合には、下枠7,7Xにも縦枠4,4X,5,5Xや上枠6,6Xと同様の中空部を区画した構造や、下枠7,7Xの中空部内に断熱材を配置した構造を実現することが可能である。
図11は、下枠の断面図の参考例である。図11の実施の形態の下枠7Aは、樹脂を枠材に用いたものである。また、この樹脂製の下枠7Aは、下枠自体の強度を確保するため、室外側中空部7eと、この室外側中空部7eに連続して形成された複数の中空部を含む室内側中空部7fとを有する。室内側中空部7fの室内側には立上部7gを有し、この立上部7gにドア本体2の室内側の面を当てる気密材18を取付ける。
45は下枠7Aを覆う金属製のカバーである。金属製のカバー45は、下枠7Aの下面部7iの下の室外側を覆う下面部45aと、下枠7Aの室外側の垂直面である見付け面部7jを覆う見付け面部45bと、下枠7Aの上面部7kを覆う上面部45cとで構成している。
金属製のカバー45は、障子であるドア本体2を閉じた状態においては、下枠7Aの上面のうち、少なくともドア本体2の下面に対向する下枠7Aの上面部7kを覆うように構成する。また、ドア本体2を開放した状態において、金属製のカバー45の室内側の端部45dは、2点鎖線18xで示すドア開放状態での気密材18の下方に位置し、これにより下枠7が金属製のカバー45により隠され、上方からは金属製のカバー45のみが目視できるように、金属製のカバー45の室内外方向の幅を設定することが、外観向上および耐久性の向上のために好ましい。
図12は、図11を変形した参考例であり、この例は、前記金属製のカバー45の室内側端部45dが、ドアを閉じた状態において、ドア本体2の室内側端部よりもさらに室内側に位置するようにしたものである。
図11および図12に示したように、下枠7Aを樹脂製とし、この下枠7Aの上面部7kのうち、少なくともドア本体2の下面に対向する部分を金属製のカバー45により覆った構成にしたものとすれば、下枠7Aにおいても断熱性の向上が達成できると共に、金属製のカバー45としてステンレス鋼等を用いることにより、砂等の付着による損傷を防止でき、耐久性が向上する。
また、図11、図12の実施の形態においては、温度勾配が大きくなる室内側の部分に複数の中空部を有する室内側中空部7fを設けたので、より断熱性が高い下枠を実現できると共に、下枠7Aの剛性も向上する。また、図7に示すように、金属製のカバー45の室内側端部45dを、ドア本体2の室内側端部よりもより室内側に延出させた構造であっても、下枠7Aの断熱性は確保できる。
以上本発明を実施の形態により説明したが、本発明を実施する場合、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、構成部材やその組み合わせについて、種々の変更、付加が可能である。