JP6714671B2 - Copd疾患を治療するための方法及び組成物 - Google Patents

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(関連出願の相互参照)
本出願は、出願日が2014年4月14日で、タイトルが「COPD疾患を治療するための方法及び組成物」である米国仮特許出願第61979149号に基づく優先権を主張すると共に、当該出願に記載された全内容を参照によって本願に取り入れたものである。
人が呼吸しているとき、空気は肺に入り、段階的に縮小し且つ周囲に平滑筋が分布している気道を流れる。それらの平滑筋が病理的状態(例えば腫脹、収縮など)にあると、多種の肺疾患(例えば喘息)を引き起こす恐れがある。喘息は世界中で約3億の人に影響を与え、現在で喘息を治療する方法は免疫調節、抗炎症、及び気道平滑筋を弛緩させることを含む。ホルモン又はその誘導体(例えば糖質コルチコイド、βアドレナリン作動薬)はそれらの治療方針に広く用いられる。
しかしながら、ホルモンやその誘導体を用いると、肝臓、腎臓及びその他の器官に毒性を及ぼすリスクがある。
本発明の一つの具体的な実施形態は、肺疾患などを治療するための方法に関する。該方法は、必要とする供試対象に治療有効量の式(I)の化合物、並びに前記式(I)の化合物の立体異性体、エナンチオマー又は互変異性体、或いはそれらの薬学的に許容される塩を施用することを含む。
--- 式(I)
(ただし、A環、B環、C環、D環又はE環はそれぞれ独立に完全に飽和された若しくは部分的に飽和された環であり;RはH又は糖残基から選ばれ;C2、C11、C12及びC19はそれぞれ独立にH又は−OHに置換され;R2a及びR2bはH、−COOH又はCOORから選ばれ、或いは両者が一つのCO−を形成し;Rは単糖残基であり;R3a及びR3bは一つのCH=を形成し、或いはそれぞれ独立に−CH又は−CH−OHから選ばれる)。
さらに、本発明の一つの具体的な実施形態は、肺疾患などを治療するためのキットに関する。該キットは所定量の式(I)の化合物、並びに前記式(I)の化合物の立体異性体、エナンチオマー又は互変異性体、或いはそれらの薬学的に許容される塩を含む。ただし、A環、B環、C環、D環又はE環はそれぞれ独立に完全に飽和された若しくは部分的に飽和された環であり;RはH又は糖残基から選ばれ;C2、C11、C12及びC19はそれぞれ独立にH又は−OHに置換され;R2a及びR2bはH、−COOH又はCOORから選ばれ、或いは両者が一つのCO−を形成し;Rは単糖残基であり;R3a及びR3bは一つのCH=を形成し、或いはそれぞれ独立に−CH又は−CH−OHから選ばれる。
ある実施形態において、式(I)の化合物は肺疾患の治療に用いられてもよい。ある実施形態において、式(I)の化合物は薬学的に許容される担体中にある。
ある実施形態において、かかる疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、慢性又は急性気管支収縮、成人呼吸促迫症候群、急性肺障害及び気管支拡張症のうちの少なくとも一種を含む肺疾患を含む。特定の実施形態において、肺疾患は喘息又はCOPDを含んでもよい。
ある実施形態において、A環及びB環はそれぞれ独立に完全に飽和された環であり、R2a及びR2bは一つのCO−を形成する。
ある実施形態において、糖残基は単糖残基又はオリゴ糖残基である。ある実施形態において、前記糖残基は単糖残基又はオリゴ糖残基である。ある実施形態において、単糖はアラビノース(Ara)、グルクロン酸(glucusonic acid)又は2−デオキシ−グルクロン酸(GlcA)、グルコース(Glc)又はラムノース(Rha)であってもよい。ある実施形態において、オリゴ糖残基は二糖残基、三糖残基又は四糖残基であってもよい。
ある実施形態において、A環、B環、C環、E環は完全に飽和された環であり、D環は部分的に飽和された環であり、C12及びC19はそれぞれ独立に−OHに置換され、C15及びC16はそれぞれ独立に2つのHに置換され、R2a及びR2bは一つのCO−を形成し、R3a及びR3bは−CHであり、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基である。特定の実施形態において、Rは三糖残基である。例えば三糖残基は−Ara−[(1−2)−Rha]−(1−3)−Glcであってもよい。
ある実施形態において、A環、B環、C環、E環は完全に飽和された環であり、D環は部分的に飽和された環であり、C12及びC19はそれぞれ独立に−OHに置換され、C15及びC16はそれぞれ独立に2つのHに置換され、R2a及びR2bは一つのCO−を形成し、R3a及びR3bは−CHであり、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基である。特定の実施形態において、Rは四糖残基である。例えば四糖残基は−Ara−[(1−2)−Rha]−(1−3)−Glc−(1−2)−Glcであってもよい。
ある実施形態において、A環、B環、C環、E環は完全に飽和された環であり、D環は部分的に飽和された環であり、C11及びC19はそれぞれ独立に−OHに置換され、C11はHに置換され、R2a及びR2bは一つの−CO−を形成し、R3a及びR3bは−CHであり、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基である。特定の実施形態において、Rは三糖残基である。例えば三糖残基は−Ara−[(1−2)−Rha]−(1−3)−Glcであってもよい。
ある実施形態において、A環、B環、E環は完全に飽和された環であり、C環、D環は部分的に飽和された環であり、C19は−OHに置換され、C9はHに置換され、R2a及びR2bは一つの−CO−を形成し、R3a及びR3bは−CHであり、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基である。特定の実施形態において、Rは三糖残基である。例えば三糖残基は−Ara−[(1−2)−Rha]−(1−3)−Glcであってもよい。
ある実施形態において、式(I)の化合物は苦丁茶抽出物(KE)から分離されるものである。ある実施形態において、供試対象はヒトである。
ある実施形態において、該方法は供試対象の肺気道に治療有効量の式(I)の化合物を投与することを含む。ある実施形態において、該方法は供試対象に式(I)の化合物を吸入させることにより、供試対象の肺気道に治療有効量の式(I)の化合物を投与することを含む。
ある実施形態において、前記キットは例えば噴霧投与デバイスや加圧投与デバイスのような投与デバイスを含む。
本概要は一連の関連概念を簡単な形式で紹介することを目的とするもので、後の発明を実施するための形態部分でさらに説明する。本概要は保護を要請する主題の要旨或いは必要特徴を定義すること、並びに特許請求の範囲を限定することを目的とするものではない。
苦丁茶抽出物による気道平滑筋弛緩作用を示す。異なる溶媒で抽出した後、抽出物をそれぞれ同体積のエタノールに溶解させる。10μMメサコリン(MCh)で気管支平滑筋を刺激し、抽出物を継続に加えることで弛緩させる。(A)は抽出物がn−ブタノール相から由来する場合を示し、(B)は抽出物が酢酸エチル相から由来する場合を示し、(C)は抽出物が水相から由来する場合を示し、(D)は弛緩程度を定量的に示す(χ+ SEM,n=4)。 苦丁茶抽出物のn−ブタノール相が喘息モデルマウスの気道抵抗を低下できることを示す。C57BL/6成年マウスをOVAで誘導してから、メサコリンで処理する。(A)はn−ブタノール相とアルブテロールを吸入した後の気道抵抗の変化比率を示し、(B)は吸入3分間後のマウスの気道抵抗の変化比率を示す(χ+ SEM,n=8)。 シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりn−ブタノール相物質を分離して得られる27つの成分の気道平滑筋弛緩能力を示す(Fr=溶離・収集した成分)。 シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりn−ブタノール相物質を分離して得られる27つの成分の気道平滑筋弛緩能力を示す(Fr=溶離・収集した成分)。 シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりn−ブタノール相物質を分離して得られる27つの成分の気道平滑筋弛緩能力を示す(Fr=溶離・収集した成分)。 苦丁茶中で確認された一部の化合物の構造を示す。 苦丁茶中で確認された一部の化合物の構造を示す。 苦丁茶中で確認された一部の化合物の構造を示す。 苦丁茶中で確認された一部の化合物の構造を示す。 苦丁茶中で確認された一部の化合物の構造を示す。 苦丁茶中で確認された一部の化合物の構造を示す。 クジノシドA及びクジノシドDによる気管支環弛緩が投与量依存性を有することを示す。(A)及び(B)は気道平滑筋がメサコリンに刺激された後、クジノシドDによる気道気管支環収縮力低下作用を示す。(C)及び(D)はクジノシドAによる気道気管支環収縮力低下作用を示す。 は急性喘息モデルマウスにおいて、クジノシドDが気道抵抗を低下できることを示す。(A)はPBS、0.03μgクジノシドD、0.3μgクジノシドD、3μgクジノシドD及び3μgアルブテロールを吸入してから5分間内の、気道抵抗の低下の経時変化の曲線図を示す。(B)は前記薬物を吸入してから3分間後の気道抵抗の低下の相対百分率的統計解析を示す(χ+ SEM。**P<0.01 vs PBS)。 クジノシドDが細胞質内のカルシウムイオン濃度の低下を引き起こすことを示す。初代培養の気道平滑筋細胞は、100μMアセチルコリンで刺激されてから8分間内(上方の図)で、カルシウムイオンシグナル濃度が上昇し且つ一定のレベルに維持する(矢印は細胞中の例示としての変化を指す)。アセチルコリン(ACh)を洗浄した後、10μMクジノシドDを含有する新たな緩衝液を加え、さらに100μMアセチルコリンで刺激すると、カルシウムイオンシグナル濃度は16〜18分間内で顕著に低下する。 クジノシドA、塩酸で処理された有機相と水相抽出物による気道平滑筋弛緩作用を示す。塩酸で処理された後、クロロホルムで抽出されると、反応系は有機相と水相に分かれる。その後、5μL有機相と5μL水相及び5μLの50mMクジノシドA(DMSOに溶解)をチャンバーに入れる。10μMメサコリンの刺激によって引き起こす収縮に対する、それらの成分による弛緩効果を測定する。(A)は50μMクジノシドAを示し、(B)は有機相を示し、(C)は水相を示す。 L型カルシウムチャネルがクジノシドAの作用標的である可能性を示す。溶媒対照、50μMクジノシドA又は1μMニフェジピンによる処理下で、ホールセルパッチクランプ技術により電圧依存性カルシウムチャネル(VDCC)電流を記録する。(A)は初代培養の気道平滑筋細胞における、溶媒対照、50μMクジノシドA、1μMニフェジピンによる処理後の電流記録を示す。(B)は溶媒対照(円形曲線)、50μMクジノシドA(角形曲線)、1μMニフェジピン(三角曲線)による処理後のピーク電流の電流−電圧関係を示す。
(概要)
本発明の一つの具体的な実施形態において、苦丁茶抽出物及び/又は苦丁茶抽出物誘導体の、供試対象の肺疾患(例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など)の治療における応用が開示された。本発明に開示された相応の内容から明らかなように、苦丁茶抽出物及び/又は苦丁茶抽出物誘導体は気道平滑筋を弛緩させ、供試対象の肺疾患に関する症状を緩和させることができる。例えば、前記実施形態に示されるように、苦丁茶抽出物(例えばクジノシドA、クジノシドDなど)は気道平滑筋を弛緩させ、喘息様気道収縮を軽減することができる。
(定義)
別途に定義しない限り、本発明における全ての技術と科学用語は本発明の所属分野の当業者が通常に理解する意味と一致する。本文の記載と類似又は均等する任意の方法と材料を用いて実施又は試験することができるが、本文では好ましい方法と材料が説明される。本発明の保護の目的で、下記用語は以下のように定義される。
本文において、冠詞の「一」とは、文法上で一つ又は一つ超(例えば少なくとも一つ)の対象を指す。一例を挙げると、「一つの単位」とは、一つ又は一つ超の単位を意味する。
「約」とは、量、レベル、値、数字、頻度、百分率、次元、大きさ、数量、重量又は長さが基準の量、レベル、値、数字、頻度、百分率、次元、大きさ、数量、重量又は長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%の差があることを指す。
本特許の明細書において、文中で別途に要求しない限り、用語の「含有」、「含む」、「具備する」は、一つの前記工程や成分、或いは一組の工程や成分を含むが、他のいずれかの工程や成分、或いは一組の工程や成分を除かないと理解すべきである。
「……からなる」とは、それに記載の範囲を含み、且つその範囲に限定されることを意味する。よって、用語の「……からなる」は、記載される成分が必須又は必要であり、且つ他の成分を含まないことを示す。
「実質的に……からなる」とは、それに記載の成分を全て含み、且つ本発明に記載の成分に定められる活性や作用を阻害しない若しくは関与する他の元素に限定されることを意味する。よって、用語の「実質的に……からなる」は、記載される成分が必須又は必要であり、且つ他の成分が、それらが記載される成分の活性や作用に影響するかどうかによるが、任意に選択できることを示す。
本文に用いられるように、用語の「アルキル基」(単独で又は他の用語と組み合わせて用いられるもの)とは、飽和脂肪族アルキル基を指し、1〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基を含む(数字範囲、例えばここの1〜20とは、基、例えばここでの該アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大で20個の炭素原子を有してもよいことを意味する)。
1〜4個の炭素原子を有するアルキル基は、低級アルキル基を指す。低級アルキル基が置換基に欠けるという場合は、無置換の低級アルキル基を指す。より好ましくは、アルキル基とは、1〜10個の炭素原子を有する中級アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、2−イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基及び類似のアルキル基を指す。最も好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、2−イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基及び類似のアルキル基を指す。アルキル基は置換されてもよいが、置換されなくてもよい。
置換される場合、置換基の数は1個又は複数個であり、好ましくは1〜3個であり、より好ましくは1個又は2個であり、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルコキシ基、1個又は複数個の置換基に置換されたアリール基からなる群から選ばれ、アリール基の置換は1個、2個又は3個の基に置換されるのが好ましく、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、任意に1個又は複数個の置換基に置換されたアリーロキシ基からなる群から選ばれ、アリーロキシ基の置換基の数は1個、2個又は3個が好ましく、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、環中に1〜3個の窒素原子を有する6員複素環からなる群から選ばれ、環中の炭素原子は任意に1個又は複数個の基に置換され、好ましくは1個、2個又は3個の基に置換され、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、環中に1〜3個の窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を有する5員複素環からなる群から選ばれ、環中の炭素又は窒素原子は任意に1個又は複数個の基に置換され、置換基の数は1個、2個又は3個が好ましい。
ここで、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、環中に1〜3個の窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を有する5員又は6員複素環からなる群から選ばれ、環中の炭素又は窒素原子(有れば)は任意に1個又は複数個の基に置換され、好ましくは1個、2個又は3個の基に置換され、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、メルカプト基、(無置換の低級アルキル)チオ、任意に1個又は複数個の基に置換されたアリールチオ基からなる群から選ばれ、置換基の数は1個、2個又は3個が好ましい。
ここで、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、シアノ基、アシル基、チオアシル基、O−カルバモイル、N−カルバモイル、O−チオカルバモイル、N−チオカルバモイル、C−アミド基、N−アミド基、ニトロ基、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、RS(O)−、RS(O)−、−C(O)OR、RC(O)O−及び−NR1314からなる群から選ばれ、ただし、R13及びR14は独立に水素、無置換の低級アルキル基、トリハロゲン化メチル基、シクロアルキル基、複素環及び任意に1個又は複数個の置換基に置換されたアリール基からなる群から選ばれ、置換基の数は1個、2個又は3個が好ましく、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基からなる群から選ばれる一又は二置換のアルキル基が好ましい。
ここで、置換基は独立にヒドロキシ基、環中に1〜3個の窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を有する5員又は6員複素環からなる群から選ばれ、環中の炭素又は窒素原子(有れば)は任意に1個又は複数個の基に置換され、好ましくは1個、2個又は3個の基に置換され、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、環中に1〜3個の窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を有する5員複素環からなる群から選ばれ、環中の炭素又は窒素原子は任意に1個又は複数個の基に置換され、好ましくは1個、2個又は3個の基に置換され、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、環中に1〜3個の窒素原子を有する6員複素環からなる群から選ばれ、環中の炭素原子は任意に1個又は複数個の基に置換され、好ましくは1個、2個又は3個の基に置換され、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、或いは−NR1314からなる群から選ばれ、ただし、R13及びR14は独立に水素及びアルキル基から選ばれる。一又は二置換のアルキル基がより好ましく、置換基は独立にヒドロキシ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、4−低級アルキルピペラジノ基、フェニル基、イミダゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、オキサゾリル基、トリアジニル基及び類似の基からなる群から選ばれる。
本文に用いられるように、用語の「芳香族基」、「芳香」、「アリール基」(単独で又は他の用語と組み合わせて用いられるもの)とは、6〜14個の炭素原子を有する芳香族環基(例えば6員単環、10員双環又は14員三環系)を指し、例示としてのアリール基はフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、インデニル基及びアントリル基を含む。
本文に用いられるように、用語の「ハロゲン」(単独で又は他の用語と組み合わせて用いられるもの)とは、フッ素に置換されること(「フルオロ」、−Fと記してもよい)、塩素に置換されること(「クロロ」、−Clと記してもよい)、臭素に置換されること(「ブロモ」、−Brと記してもよい)或いはヨウ素に置換されること(「ヨード」、−Iと記してもよい)を指す。
本文に用いられるように、用語の「シクロアルキル基」とは、3〜8員全炭素単環、5−6員縮合又は6−6員縮合の全炭素双環又は縮合多環(「縮合」環系とは、系中の環が二つずつ、隣接の一対の炭素原子を共有するものを指す)を指し、ただし、一つ又は複数の環は一つ又は複数の二重結合を有してもよいが、いずれの環も完全な共役Π電子系を有しない。
一例を挙げると(それに限定されないが)、シクロアルキル基とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、アダマンタニル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエニル基及び類似の基を指す。シクロアルキル基は置換されてもよいが、置換されなくてもよい。置換される場合、置換基の数は1個又は複数個であり、好ましくは1個又は2個であり、置換基は独立に無置換の低級アルキル基、トリハロゲン化アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルコキシ基、任意に1個又は複数個、好ましくは1個又は2個の置換基に置換されたアリール基からなる群から選ばれ、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、任意に1個又は複数個、好ましくは1個又は2個の置換基に置換されたアリーロキシ基からなる群から選ばれ、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、環中に1〜3個の窒素原子を有する6員複素環からなる群から選ばれ、環中の炭素原子は任意に1個又は複数個、好ましくは1個又は2個の基に置換される。
置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、環中に1〜3個の窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を有する5員複素環からなる群から選ばれ、環中の炭素又は窒素原子は任意に1個又は複数個、好ましくは1個又は2個の基に置換され、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、環中に1〜3個の窒素、酸素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を有する5員又は6員複素環からなる群から選ばれ、環中の炭素又は窒素原子(有れば)は任意に1個又は複数個、好ましくは1個、2個又は3個の基に置換され、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、メルカプト基、(無置換の低級アルキル)チオ、任意に1個又は複数個、好ましくは1個又は2個の基に置換されたアリールチオ基からなる群から選ばれ、置換基は独立にハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルキル基又は無置換の低級アルコキシ基、シアノ基、アシル基、チオアシル基、O−カルバモイル、N−カルバモイル、O−チオカルバモイル、N−チオカルバモイル、C−アミド基、N−アミド基、ニトロ基、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、RS(O)−、RS(O)−、−C(O)OR、RC(O)−及び上記に定義される−NR1314からなる群から選ばれる。
本文に用いられるように、用語の「アルケニル基」(単独で又は他の用語と組み合わせて用いられるもの)とは、少なくとも2個の炭素原子を有し且つ少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有する一類の低級アルキル基を指す。代表的な例はエテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−,2−又は3−ブテニル基、及び類似の構造を含むが、それらに限定されない。
本文に用いられるように、用語の「アルキニル基」(単独で又は他の用語と組み合わせて用いられるもの)とは、少なくとも2個の炭素原子を有し且つ少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を有する一類の低級アルキル基を指す。代表的な例はエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−,2−又は3−ブチニル基、及び類似の構造を含むが、それらに限定されない。
本文に用いられるように、用語の「アリール基」とは、1〜12個の炭素原子を有し、且つ少なくとも一つの環が共役Π電子系を有する全炭素単環又は縮合環(例えば環同士が隣接の一対の炭素原子を共有するもの)を指す。アリール基の例はフェニル基、ナフチル基及びアントリル基を含むが、それらに限定されない。アリール基は置換されてもよいが、置換されなくてもよい。置換される場合、置換基の数は1個又は複数個であり、好ましくは1個、2個又は3個であり、より好ましくは1個又は2個である。置換基は独立に無置換の低級アルキル基、トリハロゲン化アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルコキシ基、メルカプト基、(無置換の低級アルキル)チオ、シアノ基、アシル基、チオアシル基、O−カルバモイル、N−カルバモイル、O−チオカルバモイル、N−チオカルバモイル、C−アミド基、N−アミド基、ニトロ基、N−スルホンアミド、S−スルホンアミド、RS(O)−、RS(O)−、−C(O)OR、RC(O)−及び上記に定義される−NR1314を含む置換基から選ばれる。好ましくは、アリール基は任意に1個又は2個の置換基に置換され、置換基は独立にハロゲン、無置換の低級アルキル基、トリハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シアノ基、N−アミド基、モノ又はジアルキルアミノ基、カルボキシ基又はN−スルホンアミド基からなる群から選ばれる。
本文に用いられるように、用語の「ヘテロアリール基」とは、単環、或いは5〜12個の環原子からなる縮合環(例えば環同士が隣接の一対の炭素原子を共有するもの)を指す。環原子は1個、2個又は3個のN、O又はSから選ばれるヘテロ原子を含み、余分の環原子はCである。また、このような環系は完全な共役Π電子系を有する。無置換のヘテロアリール基はピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、プリン及びカルバゾールを含むが、それらに限定されない。ヘテロアリール基は置換されてもよいが、置換されなくてもよい。置換される場合、置換基の数は1個又は複数個であり、好ましくは1個、2個又は3個であり、より好ましくは1個又は2個である。置換基は独立に無置換の低級アルキル基、トリハロゲン化アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルコキシ基、メルカプト基、(無置換の低級アルキル)チオ、シアノ基、アシル基、チオアシル基、O−カルバモイル、N−カルバモイル、O−チオカルバモイル、N−チオカルバモイル、C−アミド基、N−アミド基、ニトロ基、N−スルホンアミド基、S−スルホンアミド基、RS(O)−、RS(O)−、−C(O)OR、RC(O)−及び上記に定義される−NR1314からなる群から選ばれる。好ましくは、ヘテロアリール基は任意に1個又は2個の置換基に置換され、置換基は独立にハロゲン、無置換の低級アルキル基、トリハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シアノ基、N−アミド基、モノ又はジアルキルアミノ基、カルボキシ基又はN−スルホンアミドからなる群から選ばれる。
本文に用いられるように、用語の「複素環」とは、5〜9個の環原子を有する単環又は縮合環を指し、ただし、1個又は2個の環原子は窒素、酸素又はS(O)n(nは0から2の整数である)から選ばれるヘテロ原子であり、余分は炭素原子である。それらの環は一つ又は複数の二重結合を有してもよいが、いずれの環も完全な共役Π電子系を有しない。一例を挙げると(それに限定されないが)、無置換の複素環はピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ホモピペラジノ基及び類似の構造である。複素環は置換されてもよいが、置換されなくてもよい。置換される場合、置換基の数は1個又は複数個であり、好ましくは1個、2個又は3個であり、より好ましくは1個又は2個であり、置換基は独立に無置換の低級アルキル基、トリハロゲン化アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシ基、無置換の低級アルコキシ基、メルカプト基、(無置換の低級アルキル)チオ、シアノ基、アシル基、チオアシル基、O−カルバモイル、N−カルバモイル、O−チオカルバモイル、N−チオカルバモイル、C−アミド基、N−アミド基、ニトロ基、N−スルホンアミド基、S−スルホンアミド基、RS(O)−、RS(O)−、−C(O)OR、RC(O)−及び上記に定義される−NR1314からなる群から選ばれる。好ましくは、複素環は任意に1個又は2個の基に置換され、置換基はハロゲン、無置換の低級アルキル基、トリハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シアノ基、N−アミド基、モノ又はジアルキルアミノ基、カルボキシ基又はN−スルホンアミド基からなる群から選ばれる。
本文に用いられるように、用語の「ヒドロキシ基」とは、−OH基を指す。
本文に用いられるように、用語の「アルコキシ基」とは、−O−(無置換アルキル基)及び−O−(無置換シクロアルキル基)を指す。代表的な例はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキシルオキシ基及び類似の構造を含むが、それらに限定されない。
本文に用いられるように、用語の「アリーロキシ基」とは、本文に定義されるように、−O−アリール基及び−O−ヘテロアリール基を指す。代表的な例はフェノキシ基、ピリジニルオキシ基、フラニルオキシ基、チエニルオキシ基、ピリミジニルオキシ基、ピラジニルオキシ基及び類似の構造、並びにそれらの誘導体を含むが、それらに限定されない。
用語の「複素環式」、「ヘテロシクロ」若しくは「ヘテロシクリル基」(単独で又は他の用語と組み合わせて用いられるもの)とは、完全に飽和された(例えば「ヘテロシクロアルキル基」)、非芳香族の部分的に飽和された(例えば「ヘテロシクロアルケニル基」)、或いは複素環式芳香族(例えば「ヘテロ芳香族環」)の環構造を指し、典型的には3〜約20個の炭素原子を有し、より典型的には3〜約14個の炭素原子を有する。例えば、複素環式基は、4〜約7員の単環系、7〜約11員の双環系又は10〜約15員の三環系であってもよく、ただし、少なくとも1個の炭素原子を有する環中には、少なくとも1個のヘテロ原子がある。複素環式基において、ヘテロ原子を有する環はいずれも、窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1、2、3又は4個有してもよく、ただし、窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は任意に第四級アンモニウム塩化されてもよい。ヘテロシクリル基は環又は環系の任意のヘテロ原子又は炭素原子に結合されてもよい。
複素環は単環であってもよく、一般的には3〜7個の環原子を有し、典型的には3〜6個の環原子を有し、より典型的には5〜6個の環原子を有する。例示としての単環式ヘテロシクリル基はフラニル基、チエニル基(チオフェニル基及びチオフラニル基ともいう)、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基(1,2,3−オキサジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基(アゾキシミルともいう)、1,2,5−オキサジアゾリル基(フラザニル基ともいう)及び1,3,4−オキサジアゾリル基を含む)、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサチアゾリル基、オキサトリアゾリル基(1,2,3,4−オキサトリアゾリル基及び1,2,3,5−オキサトリアゾリル基を含む)、ピリジニル基、ジアジニル基(ピリダジニル(1,2−ジアジニル基ともいう)、ピリミジニル基(1,3−ジアジニル基ともいう)及びピラジニル基(1,4−ジアジニル基ともいう)を含む)、トリアジニル基(s-トリアジニル基(1,3,5−トリアジニル基ともいう)、as-トリアジニル基(1,2,4−トリアジニル基ともいう)及びv-トリアジニル基(1,2,3−トリアジニル基ともいう)を含む)、オキサチアジニル基(1,2,5−オキサチアジニル基及び1,2,6−オキサチアジニル基を含む)、オキセピニル基、チエピニル基、ジヒドロフラニル基、テトラヒドロフラニル基、ジヒドロチエニル基(ジヒドロチオフェニル基ともいう)、テトラヒドロチエニル基(テトラヒドロチオフェニル基ともいう)、イソピロリル基、ピロリニル基、ピロリジニル基、イソイミダゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、ジチオリル基、オキサチオリル基、オキサチオラニル基、オキサゾリジニル基、イソオキサゾリジニル基、チアゾリニル基、イソチアゾリニル基、チアゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、ジオキサゾリル基(1,2,3−ジオキサゾリル基、1,2,4−ジオキサゾリル基、1,3,2−ジオキサゾリル基及び1,3,4−ジオキサゾリル基を含む)、ピラニル基(1,2−ピラニル基及び1,4−ピラニル基を含む)、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロピラニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、オキサジニル基(1,2,3−オキサジニル基、1,3,2−オキサジニル基、1,3,6−オキサジニル基(ペントキサゾイル基ともいう)、1,2,6−オキサジニル基及び1,4−オキサジニル基を含む)、イソオキサジニル基(o−イソオキサジニル基及びp−イソオキサジニル基を含む)、オキサジアジニル基(1,4,2−オキサジアジニル基及び1,3,5,2−オキサジアジニル基を含む)、モルホリニル基、アゼピニル基及びジアゼピニル基を含む。
例示としての単環式ヘテロシクリル基はピロリジニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、オキセタニル基、ピラゾリニル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、イソオキサゾリジニル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基、イソチアゾリル基、イソチアゾリジニル基、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、チエニル基、オキサジアゾリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、2−オキソピペラジニル基、2−オキソピペリジニル基、2−オキソピロロジニル基、2−オキソアゼピニル基、アゼピニル基、4−ピペリドニル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリニル基、チアモルホリニル基、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラニル基やテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル基、トリアゾリル基、トリアジニル基及び類似の構造を含む。
さらに、複素環は2〜5(より典型的には2又は3)個の環が縮合したもの、例えばインドリジニル基、ピラノピロリル基、プリニル基、イミダゾピラジニル基、イミダゾロピリダジニル基、ピリドピリジニル基(ピリド[3,4−b]ピリジニル基、ピリド[3,2−b]ピリジニル基、ピリド[4,3−b]ピリジニル基及びナフチリジニル基を含む)、プテリジニル基、ピリダジノテトラジニル基、ピラジノテトラジニル基、ピリミジノテトラジニル基、ピリンジニル基、ピラゾロピリミジニル基、ピラゾロピラジニル基、ピラゾロピリダジニル基又は4H−キノリジニル基であってもよい。ある実施形態において、多環式複素環はインドリジニル基、ピラノピロリル基、プリニル基、ピリドピリジニル基、ピリンジニル基及び4H−キノリジニル基である。
例示としての双環式ヘテロシクリル基はインドリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾジオキソリル基、ベンゾチエニル基、キヌクリジニル基、キノリニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾイミダゾリル基、インドリジニル基、ベンゾフラニル基、クロモニル基、クマリニル基、ベンゾピラニル基、シンノリニル基、キノキサリニル基、インダゾリル基、ピロロピリジニル基、フロピリジニル基(例えばフロ[2,3−c]ピリジニル基、フロ[3,2−b]ピリジニル基又はフロ[2,3−b]ピリジニル基)、ジヒドロイソインドリル基、ジヒドロキナゾリニル基(例えば3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル基)、テトラヒドロキノリニル基及び類似の構造を含む。
例示としての酸環式ヘテロシクリル基はカルバゾリル基、ベンゾインドリル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、キサンテニル基及び類似の構造を含む。
他の縮合ヘテロシクリル基の例は、ベンゾフラニル基(「クマロニル基」ともいう)、イソベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基(インドオキサジニル基ともいう)、アントラニリル基、ベンゾチエニル基(ベンゾチオフェニル、チオナフテニル及びベンゾチオフラニル基ともいう)、イソベンゾチエニル基(イソベンゾチオフェニル、イソチオナフテニル及びイソベンゾチオフラニル基ともいう)、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、インドリル基、イソインダゾリル基(ベンズピラゾリル基ともいう)、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾアジニル基(キノリニル基(1-ベンザジニル基ともいう)及びイソキノリニル(2-ベンザジニル基ともいう)基を含む)、フタラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾジアジニル基(シンノリニル基(1,2-ベンゾジアジニル基ともいう)及びキナゾリル基(1,3-ベンゾジアジニル基ともいう)を含む)、ベンゾイミダゾチアゾリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、イソインドリル基、インドレニニル基(プソイドインドリル基ともいう)、ベンゾジオキソリル基、クロマニル基、イソクロマニル基、チオクロマニル基、イソチオクロマニル基、クロメニル基、イソクロメニル基、チオクロメニル基、イソチオクロメニル基、ベンゾジオキサニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、ベンゾオキサジニル基(1,3,2−ベンゾオキサジニル基、1,4,2−ベンゾオキサジニル基、2,3,1−ベンゾオキサジニル基及び3,1,4−ベンゾオキサジニル基を含む)、ベンゾイソオキサジニル基(1,2−ベンゾイソオキサジニル基及び1,4−ベンゾイソオキサジニル基を含む)、ベンゾオキサジアジニル基及びキサンテニル基のようなベンゾヘテロシクリル基を含む。ある実施形態において、ベンゾヘテロシクリル基はベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、アントラニリル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、インドリル基、イソインダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾアジニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾジアジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、イソインドリル基、インドレニニル基、ベンゾジオキソリル基、クロマニル基、イソクロマニル基、チオクロマニル基、ベンゾジオキサニル基、テトラヒドロイソキノリニル基、ベンゾオキサジニル基、ベンゾイソオキサジニル基及びキサンテニル基である。
本文に用いられるように、用語の「ヘテロアリール基」(単独で又は他の用語と組み合わせて用いられるもの)とは、通常5〜14個の環原子を有する芳香族複素環を指す。ヘテロアリール基は単環又は縮合多環(通常は2つ又は3つの環)である。類似の基は、フラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサチアゾリル基及びオキサトリアゾリル基のような5員環;ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基及びオキサチアジニル基のような6員環;オキセピニル及びチエピニルのような7員環;ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、アントラニリル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、インドリジニル基、ピラノピロリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、インドリル基、イソインダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、プリニル基、イミダゾピラジニル基及びイミダゾロピリダジニル基のような6/5員縮合環系;キノリニル基、イソキノリニル基、ピリドピリジニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾジアジニル基、プテリジニル基、ピリダジノテトラジニル基、ピラジノテトラジニル基、ピリミジノテトラジニル基、ベンゾイミダゾチアゾリル基、カルバゾリル基及びアクリジニル基のような6/6員縮合環系;を含む。ある実施形態において、5員環はフラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、ピラゾリル基及びイミダゾリル基を含み;6員環はピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基及びトリアジニル基を含み;6/5員縮合環系はベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、アントラニリル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基及びプリニル基を含み;6/6員縮合環系はキノリニル基、イソキノリニル基及びベンゾジアジニル基を含む。
例示としてのヘテロアリール基はピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、イソチアゾリル基、フラニル基、チエニル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、トリアジニル基及び類似の構造を含む。
本文に用いられるように、用語の「ヒドロ」(単独で又は他の用語と組み合わせて用いられるもの)とは、一つの水素置換基を指すが、−Hを指すこともできる。
本文に用いられるように、用語の「ヒドロキシ基」(単独で又は他の用語と組み合わせて用いられるもの)とは、−OHを指す。
本文に用いられるように、用語の「ニトロ基」(単独で又は他の用語と組み合わせて用いられるもの)とは、−NOを指す。
本文に用いられるように、用語の「糖」とは、一つ又は複数の単糖残基を有する化合物を指す。単糖とは、ポリヒドロキシアルデヒド(例えばD−グルコース)又はポリヒドロキシケトン(例えばD−フルクトース)を指す。単糖はそれが有する炭素原子の数によって分けられ、3つの炭素を有する単糖はトリオースで、4つの炭素を有するのはテトロースで、5つの炭素を有するのはペントースで、6つの炭素を有するのはヘキソースで、7つの炭素を有するのはヘプトースである。例えば、D−グルコースのような六炭ポリヒドロキシアルデヒドはアルドヘキソースで、D−フルクトースのような六炭ポリヒドロキシケトンはケトヘキソースである。単糖には、異なるジアステレオマー、例えばαやβ異性体、DやL異性体がある。ある実施形態において、単糖は、例えばグルコースやガラクトースのような無置換の糖、一つ又は複数のヒドロキシ基が水素又は置換された炭素原子に修飾若しくは置換された修飾糖(例えばシアル酸)を含んでもよい。
「オリゴ糖」とは、単糖単位が共有結合した短鎖(例えば2〜9つの単糖からなるもの)を指す。例えば、オリゴ糖は二糖(二つの単糖を含むもの)、三糖(三つの単糖を含むもの)、四糖(四つの単糖を含むもの)を含む。「多糖」とは、単糖単位が共有結合した長鎖(例えば10個以上の単糖からなるもの)を指す。オリゴ糖と多糖は、多種の単糖が組み合わせた直鎖又は分岐鎖を含んでもよい。特定の実施形態において、直鎖又は分岐鎖はグルコース(Glc)、アラビノース(Ara)、グルクロン酸(GlcA)、ラムノース(Rha)の多種が組み合わせたものである。
糖分子部分は、例えば単糖残基構造を模擬した抗イディオタイプ抗体やシクロヘキサン誘導体のような非糖基を含んでもよい。一例を挙げると、単糖残基構造を模擬したが単糖残基を少量しか若しくは全く有しない化合物は、例えばHricouiniらのモデル(Biochem. 31:10018-10023(1992))のようなコンピューター3次元モデリングプログラムを用いて確定することができる。本文に用いられるように、単糖残基は単糖残基又は単糖残基を模擬した非糖基を含んでもよい。二糖残基は二糖残基又は二糖残基を模擬した非糖基を含んでもよい。オリゴ糖残基はオリゴ糖残基又はオリゴ糖残基を模擬した非糖基を含んでもよい。
本文に用いられるように、用語の「置換」とは、化合物が置換基を有することを指し、該置換基は、1個又は複数個の水素原子を有する炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を少なくとも一つ含有する。置換基は「置換された」と記載されると、炭素、窒素、酸素又は硫黄における一つの水素の位置が非水素置換基に占拠されたことを指す。一例を挙げると、置換されたアルキル置換基とは、アルキル基における少なくとも一つの水素の位置が非水素置換基に占拠されたことを指す。さらに説明すると、モノフルオロアルキル基とは、一つのフッ素に置換されたアルキル基を指し、ジフルオロアルキル基とは、二つのフッ素に置換されたアルキル基を指す。特に断らない限り、一つ以上に置換されると、各非水素置換基はそれぞれ同一又は異なっていてもよいことを指摘すべきである。
置換基は「選択的に置換された」と記載されると、置換基は(1)置換されてもよいが、或いは(2)置換されなくてもよい。置換基群の中の置換基は「選択的に置換された」と記載されると、該置換基群の中の各置換基における置換可能な原子はいずれも(1)置換されてもよいが、或いは(2)置換されなくてもよい。この特徴から明らかなように、該置換基群の中の一部の置換基は置換されてはいけない。置換可能な原子は、例えば少なくとも一つの水素が結合された炭素、少なくとも一つの水素が結合された酸素、少なくとも一つの水素が結合された硫黄又は少なくとも一つの水素が結合された窒素を含む。一方、単独の水素、ハロゲン、オキソ及びシアノ基は置換可能なものに属しない。
「安定した化合物」及び「安定した構造」は、このような化合物が充分に安定し、反応混合物から有用な純度への分離及び有効な治療剤への調製に耐えられることを示す。
「薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤」はアメリカ食品医薬品局の許可を取得した、ヒトや家畜に適用できるいずれかの佐剤、担体、賦形剤、流動化剤、甘味料、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、着香料、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定化剤、等張化剤、溶剤又は乳化剤を含むが、それらに限定されない。ある実施形態において、薬学的に許容される担体は一種又は多種の非活性医薬成分を含んでもよい。薬学的に許容される担体系における非活性医薬成分は安定化剤、防腐剤、添加剤、佐剤、噴霧剤、圧縮空気又は他の適切なガス、或いは薬効化合物(例えば一種の活性成分、原料薬)と併用する他の適切な非活性薬用成分を含んでもよい。
薬学的に許容される担体(例えば吸入担体)は、例えばエアゾール噴射剤(例えばヒドロフルオロアルカン噴射剤)、界面活性剤、添加剤、懸濁化剤、溶剤、安定化剤及び類似の成分のような、薬学的に許容される当業者によく知られる多種の吸入剤型に有用な非活性成分を含んでもよい。アルコールは担体としての好ましい例であり、剤型によって、活性成分若しくは非活性成分として扱われる。
本文に用いられるように、吸入剤型は噴霧剤を含むが、それに限定されない。該噴霧剤は、加圧包装による原料薬(API)含有医薬製品として、嗅上皮局所投与用のバルブシステムの励起によって放出できる。さらに、吸入剤型は経口(舌及び舌下噴霧)又は経肺(吸入噴霧)投与してもよい。泡スプレーは一種の剤型として、一種又は多種の原料薬(API)、界面活性剤、水又は非水性溶液、及び推進液を含む。推進液は内相溶液にある(例えば水中油滴エマルジョン剤)と、噴出されるのは安定した泡であり;推進液は外相溶液にある(例えば油中水滴エマルジョン剤)と、噴出されるのは噴霧又はすぐに破裂する泡である。加圧剤型定量噴霧剤としては、毎回で均一な量の噴霧を噴出させる定量バルブの使用が補助として必要である。粉末噴霧剤は、加圧包装による原料薬(API)含有製品として、適切なバルブシステムの励起によって粉末を放出できる。エアゾール噴霧器は噴霧製品であり、このような製品は圧縮ガスを推進液として使用することで、製品を湿霧として噴出させるための動力を提供し、このような製品は水性溶液に溶解できる医薬製剤に用いることができる。
「薬学的に許容される塩」は酸性塩と塩基性塩を含む。
「薬学的に許容される酸性塩」とは、遊離塩基の生物的活性と性質を保持できる塩を指し、このような塩は望ましくない生物的活性又は他の面での変化を発現しない。このような塩は無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸及び類似の酸からなってもよいが、それらに限定されない。さらに、このような塩は有機酸、例えば酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、ショウノウ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシルスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、ギ酸、フマル酸(fiimaric acid)、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2−オキソグルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、蓚酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸及び類似の酸からなってもよいが、それらに限定されない。
「薬学的に許容される塩基性塩」とは、遊離酸の生物的活性と性質を保持できる塩を指し、このような塩は望ましくない生物的活性又は他の面での変化を発現しない。それらの塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を加えることで調製される。無機塩基から得られる塩はナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩及び類似の塩を含むが、それらに限定されない。好ましい無機塩はアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩である。有機塩基から得られる塩は第一級・第二級・第三級アンモニウム塩、天然置換アミンと環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂を含む置換されたアミン、例えばアンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミド樹脂及び類似の構造を含むが、それらに限定されない。好ましい有機塩基はイソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインである。
通常、結晶により、開示された化合物の溶媒和物が生じる。本文に用いられる場合、用語の「溶媒和物」とは、一種又は多種の本特許に開示された化合物分子と、一種又は多種の溶媒分子とを含む重合体を指す。溶媒は水であってもよいが、この場合、溶媒和物は水和物であってもよい。任意的には、溶媒は有機溶媒であってもよい。従って、本特許に開示された化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物及び類似の構造を含む水和物として存在してもよいが、相応の溶媒和物として存在してもよい。本発明に開示された化合物は本物の溶媒和物であってもよいが、他の場合には、本発明に開示された化合物は一部の水しか保有しなくてもよく、或いは水とある溶媒の混合物を保有してもよい。
「医薬組成物」とは、本発明に開示された化合物と、活性化合物を哺乳動物、例えばヒトに転送するための、本分野でよく許容される投与媒体とからなる組成物を指す。該媒体は薬学的に許容される全ての担体、希釈剤又は賦形剤を含む。
「実質的に」とは、ほとんど全部又は完全であることを指し、例えば95%、96%、97%、98%、99%或いはより高い所定の数を指す。
本文に用いられるように、「治す」及び「治療」とは、治療試薬を供試対象に施用や適用すること、或いは疾病若しくは健康に関する状況の治療収益の獲得を目的とするステップやパターンを供試対象に実行することを指し、(1)哺乳動物の病気や症状の発現を予防すること(特に該哺乳動物は症状が発現し易いが、まだ病気だと診断されていない場合);(2)疾患や症状を抑制すること、即ちその進展を阻害すること;(3)疾患や症状を緩和させること、即ち疾患や症状の解消を引き起こすこと;或いは(4)疾患による症状を緩和させること、即ち鎮痛をするが疼痛を引き起こす疾患に対処しないことを含む。例えば、喘息やCOPDを罹患する供試対象を治療するとは、喘息、COPDに関する一種又は多種の症状(例えば呼吸困難、喘鳴、咳嗽、胸内苦悶、鼻閉など)の頻度及び/又は重篤度を低減させることを含む。
本文に用いられるように、用語の「予防」、「抑制」、「低減」又はこれらの用語のいずれかの異文は、任意な程度の低下又は完全な抑制により予期の結果を達成することを含む。例えば、通常の場合と比較して、活性又は症状の程度は5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%又はそれ以上、或いはここから推定できるいずれかの範囲で低下してもよい。
本文に用いられるように、用語の「疾患」及び「症状」は互いに交換して使用することができるが、ある特定の症状において異なる意味を持っていてもよく、前記症状は、その病因が既知していない(病因が見出されていない)せいで、疾患ではなく、望ましくない状態や症状として見做されるが、多少の特定の症状は既に臨床医に確認された。一例を挙げると、本発明に開示された疾患及び/又は症状は喘息、慢性又は急性気管支収縮、慢性気管支炎、小気道閉塞と肺気腫、閉塞性又は炎症性気道疾患(例えば慢性好酸球性肺炎、COPDなど)、気管支炎、急性肺障害、気管支拡張症などを含んでもよい。
本文に用いられるように、用語の「施用」及び「投与」は、本発明に開示された組成物を供試対象、標的(例えば細胞、組織、器官、系の一部など)に施用又は投与する、或いは組成物を直接に標的と並存させる過程を言い表す。ある実施形態において、「施用」及び「投与」は、供試対象に吸入させる形態で本発明に開示された組成物を供試対象、標的(例えば細胞、組織、器官、系の一部など)に投与する、或いは組成物を直接に標的と並存させる過程を含む。ある実施形態において、本発明に開示された組成物は経口、静脈内、腹腔内、皮下、筋内、鞘内、皮内、経鼻、腸管内、膣内、坐剤の形態で投与できる。例えば、標的は気道平滑筋線維又は供試対象の一部の気道であってもよい。用語の「施用」及び「投与」は互いに交換して使用することができる。
本文に用いられるように、用語の「接触」及び「露出」は、標的(例えば細胞、組織、器官など)に対して使用する場合、本発明に開示された組成物を標的(例えば細胞、組織、器官、系の一部など)に施用又は投与する、或いは化合物を直接に標的と並存させる過程を言い表す。用語の「施用」及び「投与」は「接触」及び「露出」と互いに交換して使用することができる。
本文に用いられるように、用語の「患者」、「供試対象」及び「個体」は本文において互いに交換して使用することができ、哺乳動物供試対象が治療及び/又は獲得を受けようとする生体試料形態を意味する。哺乳動物はヒトや家畜、例えばネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ及び類似の動物を含む。
本文に用いられるように、用語の「有効」とは、好ましい、望ましい、予期の結果を十分に達成することを意味する。例えば、「有効量」は治療収益を十分に生じる化合物の量であってもよい。
本文に用いられるように、用語の「治療有効」及び「治療有益」とは、供試対象がある症状に対して治療を受ける場合の、向上や促進が良くなるいずれかの状況を指す。それらは疾患の症状の発作、頻度、継続期間又はシグナルの重篤度の低減を含むが、それらに限定されない。
本文に用いられるように、用語の「治療有効量」とは、望ましい治療効果を有効に生じる化合物の量を意味する。化合物、症状及びその重篤度、治療される哺乳動物の年齢に応じて、「治療有効」に達する本発明に開示された化合物の量も変化するが、当業者であれば、その知見に基づき、本発明の開示内容により使用量を普通に確定できる。
本文に用いられるように、「当業者によく知られる方法」は多種の参考文献やデータベースにより確認できる。適切な参考文献及び論文で詳細に説明して合成された反応物は、本発明の化合物の調製に有用であり、或いは該調製方法の説明に参考を提供する。例えば「Syntheic Organic Chemistry」, John Wiley & Sons, Inc., New York; S. R. Sandler et al., 「Organic Functional Group Preparations」, 2nd Ed., Academic Press, New York, 1983; H. O. House, 「Modem Synthetic Reactions」, 2nd Ed., W.A. Benjamin, Inc. Menlo Park, Calif. 1972; T. L. Gilchrist. 「Heterocyclic Chemistry」, 2nd Ed., John Wiley & Sons, New York, 1992; 1. March, 「Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure」, 4th Ed., Wiley Interscience, New York, 1992が挙げられる。特定の反応物及びその類似物は、「米国化学会ケミカル・アブストラクツ・サービス」が作り上げた化学物質カタログにより確定できる。該カタログは大部分の公共及び大学の図書館で見ることができると共に、オンラインデータベースによって見ることもできる(詳しい情報については、「米国化学会、ワシントン、D.C.,www.acs.org」にお問い合わせることができる)。既知であるが購入できない化学物質は、通常の化学合成ラブに調製してもらうことができ、ただし、多くの標準化学品供給元(例えば以上に挙げられたもの)は合成サービスを提供する。
本文に用いられるように、用語の「診断的」、「診断」及び「診断される」とは、病理学的症状の有無又はその性質の確定を意味する。
本文に用いられるように、用語の「安全有効量」とは、適用される成分の、望ましい治療効果を十分に生じるが望ましくない有害反応(例えば毒性、刺激又はアレルギー反応)のない量を指し、例えばここに記載されたように、それには合理的なリスク/ベネフィット比が存在する。特定の場合において、「安全有効量」及び「治療有効量」は、患者の身体状況、治療される哺乳動物又は動物の種類、治療時間、同時治療(有れば)の性質、用いられる特定の処方、及び化合物又はその誘導体の構造のような要素によって異なる。
本発明に開示された複数の化合物は、以下のようにそれぞれA、B、C、D、Eと命名される5環コア(例えばコア骨格)を有する。
以上に示すように、コアの炭素原子は番号付けられる。便宜上で、コアの1位の炭素原子はC1と記し、その他も類似する。特に断らない限り、本発明に開示された化合物において、A環、B環、C環、D環、E環はそれぞれ独立に飽和された環、部分的に飽和された環または完全に飽和されない環である。つまり、A環、B環、C環、D環、E環を非飽和環にするように、1〜22位のいずれかの炭素原子に結合される水素は除去できる。
本発明に開示された化合物或いはその薬学的に許容される塩は、一つ又は複数の不斉中心を有してもよいので、エナンチオマー、ジアステレオマー及びその他の立体異性体と定義される形態が存在し、立体化学によって(R)−や(S)−、アミノ酸に用いられる(D)−や(L)−に分けられる。本発明はそれらの可能な異性体及びラセミ体と純エナンチオマー形態を全て含むことを意図する。光学活性の(+)と(−)、(R)−と(S)−又は(D)−と(L)−異性体は、キラルシントンやキラル試薬により調製することができ、或いはキラルカラムを用いた高速液体クロマトグラフィーのような通常の技術により分離して調製することができる。本発明に記載の化合物がエチレン性二重結合又は他の幾何不斉中心を有する場合、特に断らない限り、該化合物がEとZ幾何異性体を含むことを意味する。同様に、互変異性体も全て含まれる。
本発明に開示された化合物の命名方法はIUPAC命名システムから修正したものである。ChemDoodle(バージョン6.0.0)ソフトウェアを用いて、多種の化合物は上記のコア骨格の誘導体に命名される。また、置換基はインデン環平面の下に位置すると、置換基の立体配置は化合物の命名において「α」と記述され、置換基はインデン環平面の上に位置すると、「β」と記述される。一例を挙げると、例えば構造式(Ia)の化合物(炭素原子の番号は表示されている)が挙げられる:
--- 構造式(Ia)


ただし、A環、B環、D環、E環はそれぞれ独立に完全に飽和された環であり;C環は部分的に飽和された環であり;C2、C3、C5、C9、C10、C11、C12、C18及びC20はそれぞれ独立に水素に置換され;C1、C7、C8、C11、C15、C16、C19、C21及びC22は2つの水素に置換され;R及びR2aはそれぞれ独立に水素であり;C2は−OHに置換され、R2bは−COOHであり、R3aとR3bは一つのメチレン基を形成し、構造式(Ib)の化合物のようになる:
--- 構造式(Ib)
ここの化合物は(1S,2R,5S,8S,9R,14R,15R,17R)−10,11−ジヒドロキシ−1,2,6a,6b,12a−ペンタメチル−9−メチレン−2,3,4,4a,5,6,6a,6b,7,8,8a,10,11,12,12a,12b,13,14b−オクタデカヒドロ−1H−ピセン−4a−カルボン酸と命名される。該化合物の汎用名はイレクディノールB(Ilekudinol B)であり、そのChemSpiderデータベース登録番号は8822838である。
「立体異性体」とは、同様な原子が同様な化学結合によって結合しているが、異なる3次元構造を持つ化合物を指し、それらの化合物は互いに代用できない。本発明に開示された化合物は、異なる立体異性体及びそれらの混合物に関し、互いに鏡像となる二つの立体異性体を意味する「エナンチオマー」を含む。
互変異性体とは、一種の化合物の多種の形態を指し、それらの相違点は、一つ又は複数の二重結合の変位及びそれに伴う水素原子の変位にある。本発明は前記化合物の全ての互変異性体を含む。
(疾患を治療するための方法及び組成物)
本発明に開示された具体的な実施形態は、肺疾患などを治療する方法に関する。該方法は、必要とする供試対象に治療有効量の式(I)の化合物、並びに前記式(I)の化合物の立体異性体、エナンチオマー又は互変異性体、或いはそれらの薬学的に許容される塩を施用することを含む。
--- 式(I)
ただし、A環、B環、C環、D環又はE環はそれぞれ独立に完全に飽和された若しくは部分的に飽和された環であり;RはH又は糖残基から選ばれ;C2、C11、C12及びC19はそれぞれ独立にH又は−OHに置換され;R2a及びR2bはH、−COOH又はCOORから選ばれ、或いは両者が一つの−CO−を形成し;Rは単糖残基であり;R3a及びR3bは一つのCH=を形成し、或いはそれぞれ独立に−CH又は−CH−OHから選ばれる。
さらに、本発明の具体的な実施形態は、肺疾患などを治療するためのキットに関する。該キットは所定量の式(I)の化合物、並びに前記式(I)の化合物の立体異性体、エナンチオマー又は互変異性体、或いはそれらの薬学的に許容される塩を含む。ただし、A環、B環、C環、D環又はE環はそれぞれ独立に完全に飽和された若しくは部分的に飽和された環であり;RはH又は糖残基から選ばれ;C2、C11、C12及びC19はそれぞれ独立にH又は−OHに置換され;R2a及びR2bはH、−COOH又はCOORから選ばれ、或いは両者が一つの−CO−を形成し;Rは単糖残基であり;R3a及びR3bは一つのCH=を形成し、或いはそれぞれ独立に−CH又は−CH−OHから選ばれる。
ある実施形態において、式(I)の化合物は肺疾患の治療に用いられてもよい。ある実施形態において、式(I)の化合物は薬学的に許容される担体中にある。
ある実施形態において、前記疾患は、喘息、COPD、気管支炎、慢性又は急性気管支収縮、成人呼吸促迫症候群、急性肺障害及び気管支拡張症のうちの少なくとも一種を含む肺疾患である。ある実施形態において、肺疾患は喘息やCOPDを含んでもよい。
COPDは肺気流制限の場合を含む。COPDは時間と共に進展して悪化し、慢性閉塞性肺疾患を罹患する患者の小気道の変化を引き起こす。それらの変化は、息を吐くときの気道の縮小を引き起こし、患者の呼吸困難を招く。酸素ガスと二酸化炭素は肺胞において交換するが、ある患者において、酸素ガスと二酸化炭素が交換する肺胞の損傷により、生体はだんだん酸素欠乏になる。COPDは、例えば呼吸障害、慢性咳嗽、痰や粘液(痰)を吐くこと、息を吐く(息を吸う)能力の経時低下のような、呼吸に関する一連の症状に関連する。COPDには、肺気腫、慢性気管支炎、閉塞性細気管支炎の三つのタイプがある。肺気腫は主に肺胞損傷を特徴とし、肺の終末気道(細気管支)末端の肺胞嚢はブドウ状の集団のようになる。慢性気管支炎の症状は咳嗽、一定の時間間隔内で痰液が増加することである。閉塞性細気管支炎は小気道炎症に関する。COPDは慢性閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、肺気腫、慢性気管支炎ともいう。喫煙及び他の原因でCOPDを引き起こすことができる。例えば、α−1アンチトリプシンの欠乏、或いはあるガス、スモッグ又はダストへの露出はCOPDを引き起こす。COPDを検出するための方法は、肺容量を計測する小型デバイスに全力で息を吐くことを含む、肺活量測定法といわれる肺機能テストである。ある場合において、聴診器による肺音聴診、肺イメージング、血液テストによってもCOPDを診断できる。
喘息は、喘息を罹患する患者の正常な呼吸を困難にする肺状況を含む。例えば、アレルゲンや他の環境因子による刺激を受けると、患者の気道は変化する。このような変化は、過剰反応(高反応性ともいう)と炎症性反応との二種類の特定の反応として現れる。気道におけるそれらの反応は咳嗽、喘鳴、息切れ(呼吸困難)又は他の喘息症状を引き起こす。喘息はCOPDの症状の一部(例えば慢性咳嗽、喘鳴、息切れなど)を有すると共に、患者は喘息とCOPDを同時に罹患する可能性がある。例えば、既知のCOPD患者の約40%は喘息を同時に罹患する。喘息は、例えばアトピー性喘息、非アトピー性喘息、アレルギー性喘息、Ig−Eが仲介するアトピー性気管支喘息、気管支喘息、体質性喘息、真性喘息、病態生理学的障害により生じる内因性喘息、環境要因により生じる外因性喘息、不明な原因による体質性喘息、非アトピー性喘息、気管支喘息、肺気腫性喘息、運動誘発性喘息、アレルゲン誘発性喘息、冷気誘発性喘息、職業性喘息、感染性喘息(バクテリア感染、真菌感染、原虫感染或いはウイルス感染によるもの)、発症初期喘息、小児喘鳴症候群、細気管支炎などの多種のタイプを含む。特定の実施形態において、喘息はアレルギー性喘息を含んでもよい。
気管支炎は、異なるタイプ、異なる病因、異なる機序による気管支炎を含む。例えば、気管支炎は急性気管支炎、急性喉頭気管気管支炎、アラキジン酸性気管支炎、カタル性気管支炎、クループ性気管支炎(croupus bronchitis)、乾性気管支炎、感染性喘息性気管支炎、増殖性気管支炎、ブドウ球菌または連鎖球菌性気管支炎、小胞性気管支炎などを含んでもよい。
気管支拡張症は、異なるタイプ、異なる病因、異なる機序による気管支拡張症を含む。例えば、気管支拡張症は円柱状気管支拡張症、嚢状気管支拡張症、紡錘状気管支拡張症、細気管支拡張症、嚢胞状気管支拡張症、乾性気管支拡張症、濾胞性気管支拡張症などを含む。気管支拡張症は患者が受けるCOPDに関連する平滑筋弛緩治療にも関する。
気管支収縮は肺気道収縮の症状を含む。ただし、気道収縮は咳嗽、喘鳴及び息切れを引き起こす気道平滑筋の緊張によるものである。慢性気管支収縮は慢性閉塞性肺疾患によって発症し、急性気管支収縮は、例えば運動、ダスト、薬物が仲介する気管支収縮のような閉塞性肺疾患の急性誘発因子によって発症する。
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、肺軟部組織炎症を引き起こすことによりガス交換を阻害する肺症候群である。該疾患は炎症性伝達物質の全身性放出を招き、炎症、低酸素血症及び頻発の多臓器不全を引き起こすことができる。
ある実施形態において、前記疾患は高血圧、胃腸運動性又は他の平滑筋関連疾患を含んでもよい。
ある実施形態において、A環及びB環はそれぞれ独立に完全に飽和された環であり、R2a及びR2bは一つの−CO−を形成する。
ある実施形態において、糖残基は単糖残基又はオリゴ糖残基である。ある実施形態において、前記糖残基は単糖残基又はオリゴ糖残基である。ある実施形態において、単糖はアラビノース(Ara)、グルクロン酸(glucusonic acid)又は2−デオキシ−グルクロン酸(GlcA)、グルコース(Glc)又はラムノース(Rha)であってもよい。ある実施形態において、オリゴ糖残基は二糖残基、三糖残基又は四糖残基であってもよい。
ある実施形態において、A環、B環、C環、E環は完全に飽和された環であり、D環は部分的に飽和された環であり、C12及びC19はそれぞれ独立に−OHに置換され、C15及びC16はそれぞれ独立に2つのHに置換され、R2a及びR2bは一つの−CO−を形成し、R3a及びR3bは−CHであり、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基である。特定の実施形態において、Rは三糖残基である。例えば三糖残基は−Ara−[(1−2)−Rha]−(1−3)−Glcであってもよい。
ある実施形態において、A環、B環、C環、E環は完全に飽和された環であり、D環は部分的に飽和された環であり、C12及びC19はそれぞれ独立に−OHに置換され、C15及びC16はそれぞれ独立に2つのHに置換され、R2a及びR2bは一つの−CO−を形成し、R3a及びR3bは−CHであり、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基である。特定の実施形態において、Rは四糖残基である。例えば四糖残基は−Ara−[(1−2)−Rha]−(1−3)−Glc−(1−2)−Glcであってもよい。
ある実施形態において、A環、B環、C環、E環は完全に飽和された環であり、D環は部分的に飽和された環であり、C11及びC19はそれぞれ独立に−OHに置換され、C11はHに置換され、R2a及びR2bは一つの−CO−を形成し、R3a及びR3bは−CHであり、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基である。特定の実施形態において、Rは三糖残基である。例えば三糖残基は−Ara−[(1−2)−Rha]−(1−3)−Glcであってもよい。
ある実施形態において、A環、B環、E環は完全に飽和された環であり、C環、D環は部分的に飽和された環であり、C19は−OHに置換され、C9はHに置換され、R2a及びR2bは一つの−CO−を形成し、R3a及びR3bは−CHであり、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基である。特定の実施形態において、Rは三糖残基である。例えば三糖残基は−Ara−[(1−2)−Rha]−(1−3)−Glcであってもよい。
ある実施形態において、式(I)の化合物は苦丁茶抽出物(KE)から分離されるものである。ある実施形態において、苦丁茶抽出物(KE)は、本発明に開示された方法及び/又は本分野で常用の方法により苦丁茶から抽出した一種又は多種の溶液及び/又は化合物を含む。苦丁茶は例えば苦丁樹(Ilex Kudingcha)、ザンソロエア「ラティフォリア」(x latifolia)、扣樹(Ilex kaushue)、五稜苦丁茶(Ilex pentagona)、シナヒイラギ(Ilex cornuta)、イェルバ・マテ(Ilex paraguariensis)、リグストルム・ロブストゥム(ligustrum robustum)を含んでもよく、前記苦丁茶は複数の地方から採取されてもよい。
ある実施形態において、前記供試対象はヒトである。他のある実施形態において、前記供試対象は家畜、例えばネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ及び類似の動物であってもよい。
ある実施形態において、該方法は供試対象の肺気道に治療有効量の式(I)の化合物を投与することを含む。ある実施形態において、該方法は供試対象に式(I)の化合物を吸入させることにより、供試対象の肺気道に治療有効量の式(I)の化合物を投与することを含む。
ある実施形態において、前記キットは例えば噴霧投与デバイスや加圧投与デバイスのような投与デバイスを含んでもよい。
(苦丁茶及び苦丁茶抽出物)
苦丁茶は多種の植物から調製できる。例えば、植物は紫茎女貞(Ligustrum purpurascens Y.C. Yang)、アリサ ンイボタ(Ligustrum pricei Hayata)、ケネズミモチ(Ligustrum japonicum var. pubescens Koidz.)、デラワイ・イボタノキ(Ligustrum delavayanum Hariot.)、麗葉女貞(Ligustrum henryi Hemsl.)、トウネズミモチ(Ligustrum lucidum Ait.)、苦丁茶冬青(Ilex kudingcha C.J.Tseng)、タラヨウ(Ilex latifoliaThunb)、シナヒイラギ(Ilex cornuta Lindl.)、五稜苦丁茶(Ilex pentagona S.K.Chen)、扣樹(Ilex kaushue S.Y. Hu)、プリベット(Ligustrum sinense var. myrianthum (Diels) Hofk.)、リグストルム・ロブストゥム(Ligustrum robustum (Roxb.) BI.)、赤芽木(Cratoxylum formosum subsp. Pruniflorum (Kurz) Gogelin)、厚殻木(Ehretia thyrsiflora(Sieb.Et.Zucc.)Nakai.)、燈籠草(Clerodendrum fortunatum Linn.)、土オウバク(Mahonia (Fort) Carrie.)、支那ズイナ(Itea ilicifolia Oliver)などを含んでもよい。それらの植物のうち、現在で苦丁茶として最も広く使用されるのはモチノキ属(Ilex)植物、苦丁茶冬青(lex kudingcha C.J.Tseng)、五稜苦丁茶(Ilex pentagona S.K.Chen)、霍山冬青(Ilex huoshanensis Y.H.He)及びイボタノキ属(Ligustrum)(例えばLigustrum robustum(Roxb.)BI.、Ligustrum henryi Hemsl、Ligustrum pricei Hayata)である。
苦丁茶は異なる系において多種の薬理活性を示す。例えば、血管系において、苦丁茶粗抽出物は心・脳血液循環を改善することができ、これはそれにおける総サポニンが血管張力を弛緩できるからであるかもしれない。血液系において、苦丁茶抽出物は血小板凝集を抑制し、血液脂質を低下させ、血糖レベルを制御するなどのことができる。苦丁茶は高脂血症に対しても治療効果を有し、且つ生体代謝に影響することができる。茶として飲まれると、苦丁茶は脂肪細胞の産生を抑制することで体重を落とすことができる。例えば、該機序はモチノキ属の苦丁茶のACAT(ヒトアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ)に対する阻害作用によるものであるかもしれない。
免疫系において、苦丁茶抽出物とサポニンはマクロファージ、リンパ球の機能を制御する活性を有することにより、異なる炎症性反応を抑制する。茶として飲まれると、苦丁茶は血管及び皮膚炎症に作用することができる。
呼吸系において、タラヨウ(Ilex latifolia Thunb)抽出物は外来カルシウムイオンによる気道平滑筋収縮を抑制することができるが、それに潜在する機序及び活性成分はまだ判明しない。トウネズミモチ(L.LucidumAit.)抽出物は有効に痰を切り、咳を止めることができるが、それを喘息やCOPDも含む呼吸系疾患の治療に用いることは臨床でまだ報告されていない。
ある実施形態において、苦丁茶の異なる種類の成分、例えばフェニルプロパノイド、フラボノイド、テルペノイド、精油などが確認された。フェニルプロパノイド化合物はリグプルプロシド(liguprupuroside)A及びリグプルプロシド(liguprupuroside)Bなどを含む。フラボノイド化合物はケルセチン、ヒペロシド、ルテオリン−7−グルコシドなどを含む。テルペノイド化合物はモノテルペンとトリテルペンを含む。また、苦丁茶から分離された幾つかのトリテルペン、例えばラチホロシドB、C、N、O、シアレシノール酸、24−ヒドロキシオレアノール酸、クジノシドA〜T、イレクジノシドA〜S、イレキソシドXL VIII、オレアノール酸、β−アミリン、オレアナ−12−エン、クウテイチャゲニン(kudingchaenin)Iの構造も確認された。精油成分は主に若葉から抽出される。
(疾患と平滑筋収縮)
喘息は偶発性持続性気道閉塞を特徴とする慢性肺疾患である。患者の発症率が高く、且つ死亡のリスクがある。喘息は世界中で約3億の人に影響し、重大な社会損失と経済損失を生む。喘息発作時の主な症状は息切れ、胸内苦悶、咳嗽を含む。アレルゲン、冷気、運動などによる刺激と接触すると、喘息のそれらの症状は誘発される。喘息の主な病理学的変化は慢性炎症、粘膜増殖、可逆性気道閉塞及び気道高反応性(AHR)を含むが、ただし、気道平滑筋の高反応性収縮は気道収縮を引き起こす一つの原因と思われる。気道高反応性(AHR)とは、健常人にとってあまり影響しない多種の化学的・物理的刺激による気道の過剰収縮を指し、この場合、刺激物に対する気道の用量−反応曲線は明らかに左上にシフトする。刺激物に対する気道の感受性の向上は通常、気道平滑筋組織の炎症性反応によるものである。喘息による収縮の発症機序に基づき、現在では、アレルギー反応の抑制、気道リモデリングの抑制、及び気道平滑筋の弛緩を含む多数の治療方針が開発された。
COPDは肺気流制限の場合である。COPDは時間と共に進展して悪化し、慢性閉塞性肺疾患を罹患する患者の小気道の変化を引き起こす。それらの変化は、息を吐くときの気道の縮小を引き起こし、患者の呼吸困難を招く。ある患者において、酸素ガスと二酸化炭素が交換する肺胞の損傷により、生体はだんだん酸素欠乏になる。COPDは、例えば呼吸障害、慢性咳嗽、痰や粘液(痰)を吐くこと、息を吐く(息を吸う)能力の経時低下のような、呼吸に関する一連の症状に関連する。慢性閉塞性肺疾患には、肺気腫、慢性気管支炎、閉塞性細気管支炎の三つのタイプがある。肺気腫は主に肺胞損傷を特徴とし、肺の終末気道(細気管支)末端の肺胞嚢はブドウ状の集団のようになる。慢性気管支炎の症状は咳嗽、一定の時間間隔内で痰液が増加することである。閉塞性細気管支炎は小気道炎症を含む。COPDは慢性閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、肺気腫、慢性気管支炎ともいう。喫煙及び他の原因でCOPDを引き起こすことができる。例えば、α−1アンチトリプシンの欠乏、或いはあるガス、スモッグ又はダストへの露出はCOPDを引き起こす。COPDを検出するための方法は、肺容量を計測する小型デバイスに全力で息を吐くことを含む、肺活量測定法といわれる肺機能テストである。ある場合において、聴診器による肺音聴診、肺イメージング、血液テストによってもCOPDを診断できる。
平滑筋収縮は分子モーターのミオシン及びカルシウムイオン制御、細胞接着に関する膜性能をキーポイントとするシグナルネットワークによって制御される。細胞膜の脱分極により、電位開口型Ca2+チャネルが活性化され、Ca2+流入が引き起こされると共に、Ca2+/カルモジュリン依存性ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)で触媒されるミオシン制御軽鎖(RLC)のリン酸化によって、アクチンフィラメントにおいてミオシンのクロスブリッジサイクリングが活性化される。平滑筋細胞表面のGタンパク質共役型受容体が作動薬に刺激されると、さらに他の制御因子を集合させ、カルシウム感受性調節機序によって収縮を調節することもできる。平滑筋収縮はカルシウム依存性機序に仲介されるかもしれない。MLCK遺伝子ノックアウトマウスで、MLCKが平滑筋収縮にとって必須であることは証明されたが、それで平滑筋収縮に対するカルシウム依存性機序の重要性が強調された。重要なことに、MLCKが欠失すると、喘息マウスの気道狭窄症状が消失する。
以上に記載の各種の実施形態は、組み合わせることで新たな実施形態を得ることができる。異なる特許、特許出願及び文献における概念を用いてさらなる実施形態を提供しようとする場合、実施形態の一部を修正することができる。
以上の詳細な説明を考慮して、実施形態に各種の変更をすることができる。一般的には、以下の特許請求の範囲において、本明細書に記載の具体的な実施例において使用される用語は、特許請求の範囲を限定するものと解釈してはいけず、全ての可能な実施例の均等物を含む全範囲によって特許請求の範囲を規定するものと解釈すべきである。従って、特許請求の範囲は本発明の開示内容に限定されない。
(苦丁茶抽出物による気道平滑筋の弛緩)
1000gタラヨウ(Ilex latifolia thunb)の乾燥葉を90〜100%のエタノールに徹夜若しくはそれ以上に含浸させ、乾燥してエタノールを除去した。得られた産物を蒸留水に溶解させ、順次に酢酸エチルとn−ブタノールで抽出した。溶媒を蒸発乾燥した後、酢酸エチル相物質、n−ブタノール相物質及び水相物質がそれぞれ得られた。それらの気道平滑筋に対する弛緩活性を解析するように、異なる相の抽出物をエタノールに溶解させた。苦丁茶葉は安徽恵隆漢方薬煎じ出しピース有限会社から購入し、南京中医薬大学の潘揚教授に勘定してもらった。
マウスの全呼吸樹を迅速に取り出し、Krebs-Henseleit緩衝液(118.1mM塩化ナトリウム、4.7mM塩化カリウム、1.2mM硫酸マグネシウム、2.5mM塩化カルシウム、1.0mMリン酸二水素ナトリウム、25mM炭酸水素ナトリウム、11.1mMグルコース、pH 7.4)に含浸させた。長さ2ミリの気管支環を解剖顕微鏡により肺気管支から分離した。実体顕微鏡下で肺気管支を分離した(約2ミリ)。その後、2本の直径40マイクロの鋼線で気管支環を挿通し、且つそれぞれミオグラフ(Danish Myo Technology,Aarhus,デンマーク)チャンバー中の2つの支持部材に固定した。そのうち、一方の支持部材は等尺性筋力の変化を計測するためのフォースセンサーに接続され、もう一方の支持部材は環円周を制御するためのマイクロメーターに接続される。処理は全てチャンバー中で行われ、組織を5mLのKrebs-Henseleit溶液に含浸させ、且つ37℃で保持し、5%二酸化炭素と95%酸素ガスからなる混合ガスを導入した。気管支環の初期張力を0mNとし、20分間平衡させた後、張力が5mNに保持するように伸長させ、さらに20分間平衡させた。データ収集・解析プログラム(Danish Myo Technology,オーフス,デンマーク)を用いて、気管支環が生じる等尺性筋力を記録した。
苦丁茶抽出物は気道平滑筋に対して良好な弛緩効果及び低毒性リスクを有することから、その発展は前途有望であることが分かった。
苦丁茶抽出物の活性成分を確認するために、酢酸エチルとn−ブタノールによる順次抽出の方法で、抽出物を酢酸エチル相、n−ブタノール相及び水相の三つの部分に分けた。メサコリン(MCh)で気道平滑筋を刺激して相対的に安定した収縮状態にした時、それらの三つの成分をそれぞれ累積的に加えることで、それぞれの平滑筋に対する弛緩効果を評価した。投与量の累積に従って、それらの三つの成分はいずれも気管支環を弛緩させることができ、且つ投与量依存性を示したが、弛緩効果の面で大きな相違を示した(図1A、B、C)。意外なことに、0.1μLn−ブタノール相抽出物を加えた場合、気管支環の弛緩は既に開始し、1μLn−ブタノール相抽出物は気管支環をほとんど完全に弛緩させた(図1A、D)。一方、1μL酢酸エチル相抽出物は気管支環を90%しか弛緩させなかった。5μL水相抽出物は弛緩活性をあまり有しなかった(図1D)。それらの結果から分かるように、n−ブタノール相抽出物の気道平滑筋に対する弛緩活性は他の2種の苦丁茶抽出物より優れる。それらの結果から、苦丁茶抽出物は気道平滑筋を有効に弛緩できることが示される。
(苦丁茶抽出物による喘息時の気道収縮抑制)
喘息時の気道収縮は高反応性の平滑筋と組織リモデリングによって引き起こされるかもしれない。苦丁茶抽出物による弛緩効果を検出するために、動物喘息モデルを建築し、n−ブタノール相苦丁茶抽出物の効果を評価した。
マウス喘息モデルは報告された方法に従って構築した。6−8週齢のメスC57BL/6マウスを選択し、それぞれ0日目と14日目に100μgの卵白アルブミンと4mg水酸化アルミニウム佐剤(ThermoFisher Scientific)からなる混合液を0.2mL腹腔注射した。その後、それぞれ24、25、26日目に濃度が1.5%〜2%のエアロゾル化卵白アルブミンでそれらのマウスを1時間刺激した。最後の刺激試験から24時間後、それらのマウスの気道抵抗を計測することで薬効解析を行った。
気道抵抗を従来文献に報告された侵襲的な方法によって測定した。240mg/kg投与量のトリブロモエタノール(Avertin)でマウスを麻酔した後、18#金属ニードルを用いてマウスに気管挿管を行った。デバイス(FlexiVent;SCIREQ Inc,モントリオール,カナダ)の設定は:呼吸頻度が毎分で150回、一回換気量10ml/kg、呼気終末陽圧2.5cm水柱であった。メサコリンで刺激する前に、PBSをエアロゾル化した後、マウスに投与して深呼吸テストを行うことで、安定した気道抵抗値(Rrs、cmHO?s/mL)を得、PBSエアロゾル化後の気道抵抗値を基線値とした。その後、超音波エアロゾル化により、気管支が高反応性になる(この場合の気道抵抗は基線値より4〜5倍高い)ように刺激されるまで、マウスに濃度が順次に高まるメサコリン(2.0mg/mL、4.0mg/mL、8.0mg/mL、16mg/mL、32mg/mL、64mg/mL)を順次に投与した。最後の刺激から3分間後、受試薬物を同様に超音波エアロゾル化により投与した。全試験の過程において、30sごとにRrs値を測定した。ここで、全ての受試薬物の溶媒はPBSであるので、PBSを実験の陰性対照とし;現在でその応用が最も広く、有効に気管支を拡張できるβ受容体作動薬であるアルブテロール(Sigma)を陽性対照とした。
メサコリンで刺激した後、マウスの気道は持続性の収縮を示した。30μgのn−ブタノール相苦丁茶抽出物を投与して治療した後、気道抵抗を1分間内で顕著に低下させることができ、それから継続的な低下の傾向にあった。陽性対照としてのアルブテロール(3μg)は同様な条件下でも気道抵抗を顕著に低下させることができた(図2AとB)。以上の結果から明らかなように、n−ブタノール相苦丁茶抽出物は喘息時の気道抵抗を有効に低下できる。
(n−ブタノール活性成分の確認)
カラムクロマトグラフィーにシリカゲル(100〜200メッシュ、青島海洋化学工場)を用い、薄層クロマトグラフィーにシリカゲル(H級、青島海洋化学工場)を用いた。F級薄層クロマトグラフィー(TLC)シリカゲル板(青島海洋化学工場)を用いて成分の同一性を解析した。10%硫酸エタノール溶液により噴霧発色(105℃で5分間加熱)を行い、化合物を含有する領域には紫のスポットが現れた。
順次に酢酸エチル(5×100mL)とn−ブタノール(5×100 mL)で100mL苦丁茶抽出物を抽出した。n−ブタノール相を合わせてから、濃縮、真空乾燥した。固体を粉末(合計27.41g)に粉砕した後、そのうちの12gをカラムクロマトグラフィー(CC)により分離し(用いられたシリカゲルは、540gの100〜200メッシュシリカゲルと180gのH級シリカゲルを混合してなるものである)、トリクロロメタン:メタノール勾配溶出液で溶出した(100:0,3.5L),(98:2,3L),(95:5,5.5L),(90:10,33.5L),(85:15,20L),(80:20,24.5L)。最後に、溶出液を均一化し、27つの溶出成分を得た(Fr.1〜Fr.27)。
n−ブタノール相はまだ粗抽出物であるため、それには気道平滑筋弛緩に強い活性を有する単独の化合物があるかどうか確認する必要があった。n−ブタノール相をカラムクロマトグラフィーにより27つの成分に分けた。それぞれの成分について、実験によりインビトロでの気管支環に対する弛緩能力を評価した。前の17つの成分は50μL加えたとしても、弛緩活性をあまり示していなかった。特に、18つ目の成分(Fr.18)は強い気管支環弛緩活性を示した。20μLのFr.18を加えると、気道平滑筋をほとんど完全に弛緩できた。Fr.18より弱いが、Fr.19〜Fr.25も比較的に強い弛緩活性を有した。成分26、成分27は比較的に弱い弛緩活性を示した(図3)。全ての成分のスクリーニングにより、活性化合物はFr.18〜Fr.25中に富化されたと推測される。それらの結果から分かるように、Fr.18は他の成分より優れた弛緩活性を有し、且つ気管支環の弛緩は投与量依存性を有する。
(苦丁茶活性化合物の構造確定及び機能解析)
活性化合物を確認するために、HPLCにより成分18の物質を分離・精製し、その後NMR及び他の方法により得られた化合物の構造を解析した。実施例において、抽出物はタラヨウ(Ilex latifolia Thunb)及び苦丁茶冬青(lex kudingcha C.J.Tseng)から由来するものであった。
メタノール−HOを移動相とするプレパラティブHPLCにより、カラムクロマトグラフィーで精製された抽出物をさらに精製した。吸収ピークを一つずつ収集し、スペクトル解析を行った。
H NMR、13C NMR、H−H COSY、DEPT、HMBC及びHSQCを含む核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、ピリジン−dを用いて、500MHzの核磁気共鳴デバイスにより得られた。プレパラティブ高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムはWaters 2545 binary gradient module、Waters 2489 UV/Visible detector、Waters 2767 sample manager及びXBridgeTMprep C18 5μM OBDTM Column(19OBDTM C、260 nmで計測)を含んだ。
HPLCにより精製すると、抽出物から一連の化合物を得た。NMRスペクトルの結果から分かるように、それらの化合物はトリテルペノイドサポニン系化合物であり、クジノシド(Kudinosides)及びイレクジノシド(Ilekudinosides)を含む。表1はNMRスペクトルデータの実例及びクジノシドAとクジノシドDの二つの活性化合物の分子構造を示した。活性化合物の構造は図4にまとめた。
クジノシドは気管支環を顕著に弛緩させることができ、且つ投与量依存性を有する。それらのトリテルペノイドサポニンのうち、クジノシドDとクジノシドAは比較的に高い活性を示した。クジノシドの気道平滑筋弛緩に対する投与量効果を計測した。アセチルコリンで平滑筋の張力を相対的に安定した収縮状態にした後、系に累積濃度(0.1μM、0.3μM、1μM、3μM、10μM、30μM)のクジノシドを加えた。クジノシドDとクジノシドAはいずれも気管支環を顕著に弛緩させることができ、且つ投与量依存性を有した(図5)。クジノシドDの濃度は10μMになると、張力を約50%低下させた。特に、30μMクジノシドDで処理すると、張力を80%以上低下させることができた(図5B)。類似に、30μMクジノシドも同様に張力を80%以上低下させることができた。ところで、クジノシドを洗浄すると、メサコリンで平滑筋の収縮をもう一回引き起こすことができるので、クジノシドの弛緩活性は全く可逆的である。
タラヨウ(Ilex latifolia Thunb)及び苦丁茶冬青(lex kudingchaC.J.Tseng)から分離された多種のトリテルペノイド系物質は確認されており、且つそれらの構造と生物的活性の間の関係も初歩に特徴づけられた。図4に示すように、五環トリテルペノイド系化合物の基本的構造は含まれ、並びに側鎖修飾(例えばラクトン部分)はその生物的活性に影響する可能性があった。例えば、クジノシドHは有効な気管支環弛緩活性を示していなかった。
糖基とアグリコン部分は酸加水分解によって破壊できることから、クジノシドを2M HClで処理して糖残基を除去した。1.9mgクジノシドAを20μLの2M HCl中で95℃で6時間加熱し、その後ddHOで希釈し、さらにCHClで抽出した。有機相と水相を蒸発乾燥した後、20μLのDMSOに溶解させた。得られた成分について弛緩活性試験を行った。アグリコン部分は部分的に疎水性を有し、有機相に分布した。糖基部分は親水性を有し、水相に溶解した。図8に示すように、HCl処理後のクジノシドの弛緩活性は顕著に低下し、有機相成分でも水相成分でも、(メサコリンで刺激された)気道平滑筋の弛緩活性を示していなかった。それらの結果から分かるように、糖基はクジノシドの弛緩活性に重要な作用を有する。
図4に示すように、タラヨウ(Ilex latifolia Thunb)及び苦丁茶冬青(lex kudingchaC.J.Tseng)において、トリテルペノイドサポニンの主要なアグリコンはC30骨格を含有し、五環構造とする。それらのトリテルペノイドサポニンのアグリコンは、C19とC20位にいずれもメチル置換基を有するので、ウルサン型の五環トリテルペノイドサポニンに属する。一部のクジノシドの基本的なアグリコン骨格はその弛緩活性に重要な作用を有する。また、クジノシドHは気道平滑筋を弛緩できなかったという結果から分かるように、ラクトン部分もクジノシドの弛緩活性に重要な作用を有する。例えば、五環トリテルペノイドサポニンはトリテルペノイドサポニンに属し、多種の薬理活性を有する。五環トリテルペノイドサポニンであるクジノシドは、相対的に少ない薬理活性を有すると共に、ラクトン環構造を有する。
ラクトン構造とクジノシドの活性の間の関係を検討するために、大量の文献に報告された五環トリテルペノイドサポニンを45種選択し、活性試験を行った。それらの五環トリテルペノイドサポニンはグリチルレチン酸、グリチルリチン酸、18β−グリチルレチン酸、サイコサポニンA、サイコサポニンB1、サイコサポニンB2、サイコサポニンC、サイコサポニンD、ラッデアニンA、フィトラッカゲニン、エスクレントシドA、バヨゲニン、α−ボスウェル酸、ジンセノシドRo、アラサイドX、ディプサコシド(Dipascoside)B、アケビサポニンD、エキノシスト酸(Echinocysitic acid)、ヘデラサポニンB、シウジアノシドB、ペズンクロシド、ソヤサポニンBa、ソヤサポニンBb、アシアチン酸、アシアチコシド、マクラントイジンB、モモルジンIc、デメチルゼイラステラール、マスリニン酸、ウィルホルリドA、コロソリン酸、ロツンジン酸、アネモシドB4、グリチルリチン酸モノアンモニウム、テヌイホリン(Tnuifolin)、ポリガラク酸、ポリガラサポニンF、マデカシン酸、マデカソシド、エピフリーデリノール、アエスシンナトリウム、ヘデラゲニン、α−ヘデリン、ヘデラコシドC、ヘデラコシドDを含む。それらの五環トリテルペノイドサポニンは異なる植物から由来し、且つC30アグリコン骨格を有し、ヒドロキシ化やグリコシル化を含むそれらの修飾は異なる。それらの物質には分子内エステル化修飾がない。
例えば、一部の物質はサポニンであるが、もう一部はサポゲニンである。それらの物質を500mMのDMSO溶液に配合し、気管支環等尺性試験を行った。結果で示すように、45つの化合物のうち、5つの化合物は最終濃度500μMで50%の(メサコリンで刺激された)等尺性筋力弛緩作用を示した。それらの5つの化合物はグリチルレチン酸、サイコサポニンC、ソヤサポニンBb、ラッデアニンA及びフィトラッカゲニンであった。5つの化合物のうち、2つの化合物は80%超えの張力を弛緩できた。それらの2つの化合物はグリチルレチン酸とサイコサポニンCであり、気道平滑筋に対する弛緩は投与量依存性を有した。しかし、それらのIC50値(グリチルレチン酸:84.3μM;サイコサポニンC:>150μM)はクジノシドAとクジノシドDよりも高かった。それらの結果から分かるように、ラクトン構造はクジノシドの弛緩活性に重要な作用を有する。 ラクトンは相応のヒドロキシカルボン酸の分子内エステル化作用により形成される環状エステルである。直鎖エステルと類似に、ラクトンも水酸化ナトリウムのような塩基溶液中で加水分解できる。クジノシドのラクトン部分は、20,28β−ラクトン構造を有するδ−ラクトン環である。クジノシドのラクトン部分を切断するために、5mgクジノシドAを108μLの0.9%のNaCl溶液に溶解させてから、水酸化ナトリウムでpHを9に調節し、その後37℃で6時間振動して反応させた。ラクトンの加水分解−縮合反応は可逆的であるので、生成した物質は天然のクジノシドAに比べて、弛緩活性が顕著に低下した。それらの結果から明らかなように、ラクトン部分はクジノシドの弛緩活性に重要な作用を有する。
苦丁茶関連植物の弛緩活性について検討した。表2に示すように、低(+)から高(+++++)までは弛緩活性程度の範囲を示し;「+/−」は該植物が相対的に弱い弛緩活性しか有しないことを示し、「-」は該植物が弛緩活性を有しないことを示す。
(クジノシドによる動物の喘息時収縮に対する弛緩作用)
マウス急性喘息モデルは報告された方法に従って構築した。6−8週齢のメスC57BL/6マウスを選択し、それぞれ0日目と14日目に100μgの卵白アルブミンと4mg水酸化アルミニウム佐剤(ThermoFisher Scientific)からなる混合液を0.2mL腹腔注射した。その後、それぞれ24、25、26日目に濃度が1.5%〜2%のエアロゾル化卵白アルブミンでそれらのマウスを1時間刺激した。最後の刺激試験から24時間後、それらのマウスの気道抵抗を計測することで薬効解析を行った。気道抵抗を従来文献に報告された侵襲的な方法によって測定した。240mg/kg投与量のトリブロモエタノール(Avertin)でマウスを麻酔した後、18#金属ニードルを用いてマウスに気管挿管を行った。デバイス(FlexiVent;SCIREQ Inc,モントリオール,カナダ)の設定は:呼吸頻度が毎分で150回、一回換気量10ml/kg、呼気終末陽圧2.5cm水柱であった。メサコリンで刺激する前に、PBSをエアロゾル化した後、マウスに投与して深呼吸検査を行うことで、安定した気道抵抗値(Rrs、cmHO?s/mL)を得、PBSエアロゾル化後の気道抵抗値を基線値とした。その後、超音波エアロゾル化により、気管支が高反応性になる(この場合の気道抵抗は基線値より4〜5倍高い)ように刺激されるまで、マウスに濃度が順次に高まるメサコリン(2.0mg/mL、4.0mg/mL、8.0mg/mL、16mg/mL、32mg/mL、64mg/mL)を順次に投与した。最後の刺激から3分間後、受試薬物を同様に超音波エアロゾル化により投与した。全試験の過程において、30sごとにRrs値を測定した。ここで、全ての受試薬物の溶媒はPBSであるので、PBSを実験の陰性対照とし;現在でその応用が最も広く、有効に気管支を拡張できるβ受容体作動薬であるアルブテロール(Sigma)を陽性対照とした。
PBS対照群において、気管支収縮状態でPBSを吸入させた後、気道抵抗を1〜2分間内で約30%低下させることができ、吸入後で気道抵抗は低下し、そして安定状態になった。気管支拡張剤の使用により、安定状態はさらに下にシフトしたことから、気道抵抗は低下したことが分かった。クジノシドDを吸入させた後、気道抵抗は投与量依存的に低下した。図6に示すように、0.03μgクジノシドDはわずかな弛緩を引き起こしたが、0.3μg又は3μgクジノシドDは気道抵抗を顕著に低下できた。吸入から1分間後、0.03μg、0.3μg及び3μgクジノシドDは気道抵抗をそれぞれ69.65±5.87%、67.79±6.77%、45.81±6.87%まで低下させたが、3μgアルブテロール群は55.59±13.07%まで低下させた。驚くことに、吸入から3分間後、0.3μg及び3μgクジノシドDは3μgアルブテロールより優れた気道抵抗低下作用を示した。図6BはクジノシドDの投与量−効果図を示す。それらの結果から分かるように、クジノシドDはアルブテロールよりも強い気管支拡張剤である。
喘息動物が治療を受けた後の免疫学的変化を検出するために、動物の肺に組織学的解析を行った。溶媒対照群とクジノシドD群はいずれも出血、炎症性の好中球と好酸球浸潤等を含む類似の組織学的変化を示した。それらの結果から分かるように、クジノシドDによる抑制作用は喘息モデル構築の失敗によって生じたものではない。
クジノシドCの治療効果を計測すると、クジノシドCは気道平滑筋に対して比較的に強い弛緩作用を有することが見出された。顕著な気道収縮抑制作用も示しており、IC50値は150μgである。クジノシドHはインビトロで弛緩作用をあまり有さず、インビボでも気道収縮抑制活性をあまり有しない。それらの結果から分かるように、インビトロで弛緩活性を有する他のクジノシド系物質はインビボでも気道収縮抑制活性を有する可能性があるが、逆もまた同様である。
(クジノシドのカルシウムイオン流入調節による気道平滑筋の弛緩)
カルシウムイメージング(1〜3):レーザー共焦点顕微鏡(FV−1000,オリンパス)により488nmで励起されたFluo−4蛍光強度を計測することで、Ca2+シグナルを測定した。初代培養の気道平滑筋細胞をD−Hanks溶液で3回洗浄した後、2.5μMのFluo−4 AMと0.02%プルロニック酸(F127)を含有するD−Hanks溶液を加え、室温で30分間インキュベートした。さらにD−Hanks溶液で3回洗浄し、H−T緩衝液を加え、37℃で40分間インキュベートした。レーザー共焦点顕微鏡(FV−1000,オリンパス)により488nmで励起されたFluo−4蛍光強度を計測することで、Ca2+シグナルを測定した。
クジノシドが仲介する気道平滑筋弛緩はカルシウムイオン濃度の低下によって実現するかどうかを評価するために、膜透過性を有する平滑筋組織を作成した。C57BL/6Jマウスから新鮮な気管支環を剥離し、H−T緩衝液中に10分間置き、さらにCa2+非含有H−T緩衝液中において5分間処理し、その後緩衝液A(30mmol/L TES、0.5mmol/Lジチオスレイトール、50mmol/L塩化カリウム、5mmol/L KEGTA、150mmol/L蔗糖、pH 7.4)で5分間含浸させ、さらにαトクシン(16000units/mL;Sigma)を含有する緩衝液Aを用いて、室温で透過処理を40分間行った。
カルシウムストアを枯渇させるために、10mmol/Lのイオノマイシン(sigma)を含有する緩衝液Aで組織を10分間処理した。さらにpCa 9.0の溶液(20mmol/L TES、4mmol/L KEGTA、5.83mmol/L MgCl、7.56mmol/Lプロピオン酸カリウム、3.9mmol/L NaATP、0.5mmol/Lジチオエリトリトール、16.2mmol/Lクレアチンリン酸、15U/mLクレアチンキナーゼ、pH 6.9)で組織を洗浄し、その後、pCa 4.5の溶液(20mmol/L TES、4mmol/L CaEGTA、5.66mmol/L MgCl、7.53mmol/Lプロピオン酸カリウム、3.9mmol/L NaATP、0.5mmol/Lジチオエリトリトール、16.2mmol/Lクレアチンリン酸、15U/mLクレアチンキナーゼ、pH 6.9)を加えてCa2+仲介持続性収縮を引き起こした。洗浄後、さらにpCa 5.0の溶液で組織を処理し、さらにクジノシドDを加えてそれを弛緩させた。
静止状態では、平滑筋細胞は安定なカルシウムイオンシグナルを少量しか有しなかった。アセチルコリンを加えた後、カルシウムイオンシグナルは速やかに上昇し、その後また基準レベルに低下した。この過程においても、平滑筋収縮が観察された(図7)。しかし、クジノシドで細胞を予備処理すると、カルシウムイオンシグナルの上昇はもう引き起こされないと共に、収縮も生じなかった(図7)。それらの結果から分かるように、クジノシドは平滑筋弛緩時にカルシウムイオンの流入を低減させることができる。
仮に細胞内カルシウムイオン濃度の低下はクジノシドによる弛緩作用の原因であったら、細胞内カルシウムイオン濃度の固定化により弛緩を阻害できるはずだ。平滑筋の細胞膜を崩壊させると、pCa 4.5溶液により平滑筋の持続性収縮を引き起こすことができた。クジノシドDによる処理は、該収縮状態での細胞膜崩壊平滑筋を弛緩させることはおろか、逆に張力をわずか増強させた。それらの結果から分かるように、クジノシドDはカルシウムイオン濃度が固定化された平滑筋を弛緩させることができない。それらの結果からさらに分かるように、カルシウムイオンの流入の変化はクジノシドが仲介する弛緩に必要であり、クジノシドが仲介する弛緩の機序はカルシウムイオンの流入の変化に関連する。
平滑筋細胞において増強したCa2+シグナルは、電気結合及び薬物結合により引き起こされた収縮のセカンドメッセンジャーであるかもしれない。それらの二種類の通常の刺激方式において、L型カルシウムチャネルは収縮状態で生じるCa2+流入に重要な作用を担う。クジノシドの標的を確認するために、パッチクランプ技術により、クジノシドで処理されたL型カルシウムチャネルの電流変化を計測した。パッチクランプ研究において、室温でホールセルパッチクランプ技術により電圧固定方案でのVDCC電流を記録した(保持電位−80mV、脱分極電圧範囲−60〜+50mV、脱分極保持時間200ms)。溶媒対照群に比べて、50μMクジノシドAはL型カルシウムチャネルで生じる電流を60%低下させることができた(図9)。その結果から分かるように、L型カルシウムチャネルはクジノシドの主要な標的であるかもしれない。しかしながら、陽性対照である1μMニフェジピン(確認されたL型カルシウムチャネル拮抗剤)はL型カルシウムチャネルの電流をほとんど消した(図9)。まだ確認されていないクジノシド標的もたくさんあるかもしれない。
(苦丁茶抽出物の喘息患者に対する治療効果)
年齢が20〜50歳で、喘息管理国際指針(GINA)の基準により中等度喘息と診断された患者をボランティアとして選択した(表2)。喘息発作期間において、全ての患者は、糖質コルチコイド、ベクロメタゾン、長時間作用性β2−アドレナリン作動薬、サルメテロール、又はその他の類似の作用を有する薬物の吸入を含む薬物を使用することで、症状を制御する必要がある。
吸入式治療を受けた患者を無作為に10名選択した。患者の喘息症状はいずれも緩和であって、完全に又は部分的に治療できたため、治療する前のそれら自身を対照とすることができた。主要な効果は呼吸困難の速やかな緩和であった。
10名のボランティアはそれぞれ中国の西北や南方出身であり、季節、文化及び生活習慣上で巨大な地方的差異を有した。全ての患者は、喘息期間において1〜2回の苦丁茶抽出物(KE)(55mg/mL)噴霧治療を受け、呼吸困難と喘鳴の症状が5分間内で顕著に改善され、且つ30分間内で再発しなかった(表3)。大部分の症例(8/10)では、ボランティアは12時間内で2回目の噴霧治療を必要としなかった。KE治療は1回の噴霧後の咳嗽の頻度も有効に改善できたが、気道分泌物の産生及び鼻閉の状況を抑制できなかった(P>0.05)。興味深いことに、KEで治療を繰り返した後、4/10のボランティアの気管支炎は顕著に改善されたという結果があった。全治療過程において、呼吸、嘔吐、アレルギー、口渇及びその他の不快な感覚を含む有害反応は何も発現しなかった。それらの結果から分かるように、苦丁茶抽出物は喘息によって引き起こされる呼吸困難症状を速やかで、完全で、有効に緩和させることができる。
苦丁茶抽出物中の単一の物質の喘息に対する治療効果をテストするために、重症喘息症状を罹患するボランティア2名(男51歳、女72歳)に、エアロゾル化装置を通じてクジノシドA(20mM)による治療を受けさせた。15秒吸入させた後、男性ボランティアは5分間で、呼吸困難症状が緩和され、PEF値が100から320まで増加した。緩和効果は一晩継続した。アルブテロールを対照とすると、該男性ボランティアは3分間で、呼吸困難症状が緩和されたが、効果は一晩継続できず、薬物をもう一回吸入させる必要があった。女性ボランティアについても、同様な結果が見られた。その結果から分かるように、苦丁茶抽出物の活性成分の一つであるクジノシドAは、喘息の呼吸困難症状の緩和にも同様に顕著な治療効果を有する。

Claims (16)

  1. 肺疾患治療用の医薬組成物であって、
    治療有効量の式(I)の単離した化合物、又は前記式(I)の化合物の立体異性体、エナンチオマー又は互変異性体、或いはそれらの薬学的に許容される塩と、
    薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物。
    ------- 式(I)
    (ただし、
    A環、B環、C環、D環及びE環はそれぞれ独立に完全に飽和された若しくは部分的に飽和された環であり、
    は糖残基であり、
    C2、C11、C12及びC19はそれぞれ独立にH又は−OHで置換され、
    2a及びR2bはともに合して−CO−を形成し、
    3a及びR3bはともに合してCH=を形成し、或いはそれぞれ独立に−CH又は−CH−OHから選ばれる。)
  2. 前記肺疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、慢性又は急性気管支収縮、成人呼吸促迫症候群、急性肺障害及び気管支拡張症のうちの少なくとも一種を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記糖残基は単糖残基又はオリゴ糖残基である、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. A環、B環、C環、E環は完全に飽和された環であり、D環は部分的に飽和された環であり、C12及びC19はそれぞれ独立に−OHで置換され、R3a及びR3bは−CHであり、且つ、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基であるか、或いは
    A環、B環、C環、E環は完全に飽和された環であり、D環は部分的に飽和された環であり、C11及びC19はそれぞれ独立に−OHで置換され、R3a及びR3bは−CHであり、且つ、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基であるか、或いは
    A環、B環、E環は完全に飽和された環であり、C環及びD環は部分的に飽和された環であり、C19は−OHで置換され、R3a及びR3bはそれぞれ独立に−CHであり、且つ、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基である、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 前記化合物は以下の構造式で表される、請求項1に記載の医薬組成物。
    (ただし、Rは単糖残基又はオリゴ糖残基である。)
  6. 前記単糖残基はアラビノース、グルクロン酸、2−デオキシグルクロン酸、グルコース、又はラムノースから選ばれる、請求項3〜5の何れか一項に記載の医薬組成物。
  7. 前記オリゴ糖残基は二糖残基、三糖残基又は四糖残基から選択される、請求項3〜5の何れか一項に記載の医薬組成物。
  8. 前記オリゴ糖残基は直鎖又は分岐鎖を含む、請求項3〜5の何れか一項に記載の医薬組成物。
  9. 前記直鎖又は分岐鎖は、グルコース、アラビノース、ラムノース及びグルクロン酸の任意の組合せを有する、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 式(I)の前記化合物は、クジノシドA、クジノシドB、クジノシドC、クジノシドD、クジノシドE、クジノシドF、クジノシドI、クジノシドJ、イレクジノシドH、イレクジノシドI、及びイレクジノシドJからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  11. 式(I)の前記化合物は苦丁茶抽出物から分離されるものである、請求項1に記載の医薬組成物。
  12. 前記医薬を必要とする供試対象に肺気道経由で投与することを含み、供試対象はヒトである、請求項1に記載の医薬組成物。
  13. 前記医薬組成物は吸入剤型を有する、請求項11に記載の医薬組成物。
  14. 前記吸入剤型はエアゾール剤型である、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 前記医薬組成物は投与デバイスに入れられる、請求項13に記載の医薬組成物。
  16. 前記投与デバイスは噴霧投与デバイス又は加圧投与デバイスである、請求項15に記載の医薬組成物。
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