JP6714528B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直流電圧を所望の電圧に変換し電子機器に供給するためのスイッチング電源装置に関する。
従来、スイッチング電源装置を高効率化する手段として、例えば、特許文献1に示されている安定型コンバータと非安定型コンバータを組み合わせてスイッチング電源装置を構成する方法がある。
非安定型コンバータは、フルブリッジコンバータ、ハーフブリッジコンバータ等を用いて、スイッチング素子のオンデューティを約50%の固定デューティで動作させて用いる。これにより、トランスの導通率をほぼ100%とすることが可能となり、トランスの利用率を高めることで高効率を実現する。また、スイッチング素子のオンデューティを約50%の固定デューティで動作させて用いることからトランスの2次側には、わずかのオフ期間が存在するだけなので出力側の平滑回路は、平滑用のチョークコイルを設ける必要が無いか、もしくは、非常に小さなインダクタンスのチョークコイルで良いため、平滑回路の導通抵抗を低減することでも高効率化を図ることができる。
非安定型コンバータは、トランスの1次側巻線と2次側巻線の巻数比で入力電圧を出力電圧に変換するコンバータであり、それ自身に出力電圧を制御する機能を持たないため、スイッチング電源装置として用いる場合には、安定型コンバータと組み合わせて用いられることが一般的である。そして、スイッチング電源装置の出力電圧を安定化するために、安定型コンバータに対してフィードバック制御を行う。
図5は安定型コンバータと非安定型コンバータを組み合わせたスイッチング電源装置の一例を示した回路ブロック図である。特許文献1では、安定型コンバータとして昇圧チョッパー、非安定型コンバータとしてハーフブリッジコンバータにダイオードを用いた全波整流回路を組み合わせたスイッチング電源装置が開示されているが、後述の説明のために、本回路を変形したスイッチング電源装置を図5に示している。
図5に示すスイッチング電源装置は、安定型コンバータ12として降圧チョッパー、非安定型コンバータ14としてフルブリッジコンバータ14aとダイオードD51,D52を用いたセンタータップの整流回路14bを組み合わせたスイッチング電源装置である。また、安定型コンバータ12に対してフィードバック制御を行う回路を備えており、さらに、スイッチング電源装置が起動の際に出力電圧が急激に上昇してオーバーシュートする等の不具合を解消するためのソフトスタート回路22を実装している。
(回路構成)
図5に示すように、安定型コンバータ12に設けられた降圧チョッパーは、スイッチング素子TR11、ダイオードD11、インダクタL11及びコンデンサC11で構成され、スイッチング素子TR11は、出力電圧検出回路16、フィードバック制御回路18及び安定型コンバータスイッチング素子制御回路20によって制御され、安定化された所定の電圧V1を出力する。
安定型コンバータスイッチング素子制御回路20は、PWMコンパレータ30と三角波発生回路28を持ち、PWMコンパレータ30には、三角波発生回路28から出力された三角波電圧Vtriとフィードバック制御回路18から出力されたフィードバック信号電圧VFBが入力される。
PWMコンパレータ30は三角波電圧Vtriがフィードバック信号電圧VFBよりも小さい場合はスイッチング素子TR11をオン、三角波電圧Vtriがフィードバック信号電圧VFBよりも大きい場合はスイッチング素子TR11をオフにする制御を行う。これにより、フィードバック信号電圧VFBが大きいときはスイッチング素子TR11のデューティが広くなり、フィードバック信号電圧VFBが小さいときは、スイッチング素子TR11のデューティが狭くなる。
入力電源10から供給された電圧Vinは、スイッチング素子TR11で断続電圧に変換される。断続電圧はインダクタL11とコンデンサC11で整流平滑されることで電圧V1に変換される。
フィードバック制御回路18は、誤差アンプ24と基準電圧源26を持ち、誤差アンプ24には基準電圧Vrefと出力電圧検出回路16の出力比例電圧Vo1が入力される。誤差アンプ24は、出力比例電圧Vo1が基準電圧Vrefよりも大きいとフィードバック信号電圧VFBが小さくなるように制御し、出力比例電圧Vo1が基準電圧Vrefよりも小さいとフィードバック信号電圧VFBが大きくなるように制御することで、スイッチング電源装置の出力電圧Voを所定の電圧に制御する。
ソフトスタート回路22は、フィードバック信号電圧VFBを「コンデンサC21の電圧+トランジスタTR21のベース・エミッタ間電圧」でクランプする回路である。スイッチング電源装置を起動する場合には、トランジスタTR22をオフさせ、コンデンサC21が抵抗R21から供給される電流で充電されることで、コンデンサC21の電圧が徐々に上昇するため、クランプされているフィードバック信号電圧VFBが徐々に上昇する。
この動作により、スイッチング素子TR11のデューティを徐々に広げる動作を行うことが可能となり、ソフトスタート動作を行うことができる。また、トランジスタTR22をオンさせることでコンデンサC21を放電し、フィードバック信号電圧VFBを低下させてスイッチング素子TR11の動作を停止させることができる。
非安定型コンバータ14は、スイッチング素子TR31〜TR34を備えたフルブリッジコンバータ14a、1次側巻線N1と2次側巻線N2を備えたトランスT51、ダイオードD51,D52とを備えたセンタータップの整流回路14b及び平滑用のコンデンサCoで構成される。
非安定型コンバータ14のスイッチング素子TR31〜TR34を制御するスイッチング素子駆動部32は、非安定型コンバータスイッチング素子駆動パルス発生回路36、分配回路38、スイッチング素子駆動回路40,42で構成される。
非安定型コンバータスイッチング素子駆動パルス発生回路36でデッドタイムを設けたスイッチング素子駆動パルスVswを生成する。スイッチング素子駆動パルスVswは、分配回路38で1パルス毎にスイッチング素子駆動回路40とスイッチング素子駆動回路42に振り分けられる。この信号でスイッチング素子TR31〜TR34を駆動することで、非安定型コンバータ14のスイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせを約50%のデューティで相補的にオンオフすることができる。
非安定型コンバータスイッチング素子駆動パルス発生回路36でデッドタイムを設けているのは、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンオフが切り替わる瞬間に、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせが同時にオンする状態がないようにするためである。同時にオンする状態があると、安定型コンバータ12の出力が短絡された状態となり、スイッチング電源装置が故障する原因となる。
その他にも、非安定型コンバータ14では、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンオフが切り替わる瞬間のデッドタイムを最適化すると、デッドタイム期間中にトランスT51の励磁インダクタンスとスイッチング素子のドレイン・ソース間の寄生容量の共振現象を利用して、スイッチング素子のドレイン・ソース間の寄生容量に蓄えられた電荷を引き抜く動作を実現できる。寄生容量の電荷を引き抜いた後にスイッチング素子をオンすることで、ゼロボルトスイッチング動作を行うことが可能となり、スイッチング素子がオンする際の損失を低減することができる。
また、非安定型コンバータスイッチング素子駆動パルス発生回路36からのスイッチング素子駆動パルスVswを分配回路38で分配した信号で駆動しているのは、各スイッチング素子TR31〜TR34の組み合わせのオン時間を対称にすることでトランスT51が偏磁してしまう不具合を防ぐためである。
非安定型コンバータ14は安定型コンバータ12から入力された電圧V1を断続電圧に変換する。断続電圧をトランスT51に入力することで電圧変換を行う。安定型コンバータ12より出力された電圧V1はトランスT51の巻線の巻数比(N1:N2)で変換されて、ダイオードD51およびダイオードD52で整流され、コンデンサCoで平滑されてスイッチング電源装置の出力電圧Voとなる。
センタータップの整流回路14bは、ダイオードD51及びダイオードD52で構成され、トランスT51から出力された電圧を整流する回路であり、スイッチング電源装置の出力電圧Voを出力する。出力電圧Voと入力電圧V1は式(1)の関係となる。
Vo=N2/N1・V1 (1)
続いて、図5に示したスイッチング電源装置の動作を説明する。図6は図5のスイッチング電源装置における各部の動作波形を示したタイムチャートである。ここで、図6(A)はソフトスタート回路22に設けたトランジスタTR22のベース・エミッタ間電圧VBEを示し、図6(B)は安定型コンバータ12の出力電圧V1を示し、図6(C)はPWMコンパレータ30に入力するフィードバック信号電圧VFBと三角波電圧Vtriを示し、図6(D)はスイッチング素子TR11の駆動信号によるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図6(E)はスイッチング素子駆動パルスVsw、図6(F)はスイッチング素子TR31,TR34の駆動信号によるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図6(G)はスイッチング素子TR32,TR33の駆動信号によるゲート・ソース間電圧VGSを示している。
(期間Aの起動前)
期間Aは、スイッチング電源装置が起動する前の状態であり、ソフトスタート回路22のトランジスタTR22がオンしており、コンデンサC21がトランジスタTR22で放電された状態となり、トランジスタTR21でフィードバック信号電圧VFBがクランプされて、VFB<Vtriとなり、スイッチング素子TR11の動作が停止した状態となっている。
このとき、スイッチング電源装置の出力比例電圧Vo1が基準電圧Vrefよりも小さいため、フィードバック制御回路18は、フィードバック信号電圧VFBを高くするように制御しようとする。ただし、フィードバック信号電圧VFBは、「コンデンサC21の電圧+トランジスタTR21のベース・エミッタ間電圧」でクランプされている。以降、説明をわかりやすくするため、トランジスタTR21のベース・エミッタ間電圧をゼロとして考えることとすると、コンデンサC21はトランジスタTR22で放電されてゼロとなっているため、フィードバック信号電圧VFBもゼロにクランプされている。
(期間Bのソフトスタート動作)
図5のスイッチング電源装置を起動させるために、期間Bの最初でソフトスタート回路22のトランジスタTR22をオフする。同時に、非安定型コンバータ14のスイッチング素子TR31〜TR34がオンオフ動作を開始する。非安定型コンバータ14は、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせがデューティ約50%で相補的にオンオフを繰り返す。
コンデンサC21が抵抗R21を介して充電され、コンデンサC21の電圧が徐々に上昇する。コンデンサC21の電圧上昇に合せてクランプされているフィードバック信号電圧VFBも徐々に上昇する。
PWMコンパレータ30は、フィードバック信号電圧VFBが三角波電圧Vtriよりも高いときにスイッチング素子TR11をオンさせる動作を行う。フィードバック信号電圧VFBが徐々に上昇するため、スイッチング素子TR11のオンパルス幅が徐々に広がる。スイッチング素子TR11のオンパルスが広くなると非安定型コンバータ14の入力電圧V1となる安定型コンバータ12の出力電圧V1が上昇する。
非安定型コンバータ14は、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせがデューティ約50%で相補的にオンオフを繰り返しているため、非安定型コンバータ14の入力電圧V1と出力電圧Voは、トランスT51の1次側巻線N1と2次側巻線N2の巻数に比例した関係を持つことになる。従って、スイッチング電源装置の出力電圧Voは、安定型コンバータ12からの入力電圧V1に対して、トランスT51の1次側巻線N1と2次側巻線N2の巻数に比例した関係を持つことになる。
(期間Cの定常動作)
スイッチング電源装置の出力電圧Voがフィードバック制御回路18で決定される電圧に達すると、出力電圧Voが一定になるようにフィードバック制御回路18がフィードバック信号電圧VFBを制御する。
ソフトスタート回路22のコンデンサC21の電圧はさらに上昇するが、トランジスタTR21はエミッターフォロワーで用いられているため、トランジスタTR21は逆バイアスとなってオフすることで、フィードバック信号電圧VFBがソフトスタート回路22によりクランプされなくなり、スイッチング電源装置は定常動作している状態となる。
(安定型コンバータ+非安定型コンバータの同期整流化)
図5のスイッチング電源装置をさらに高効率化する場合、非安定型コンバータ14の整流回路14bのダイオードD51およびダイオードD52をMOS−FETに置き換えて同期整流を行うことが考えられる。
図7は図5の非安定型コンバータを同期整流としたスイッチング電源装置の例を示した回路ブロック図であり、図5のスイッチング電源装置における非安定型コンバータ14のダイオードD51およびD52を同期整流素子TR51および同期整流素子TR52に変更して同期整流回路14cとし、同期整流素子TR51,TR52を制御する同期整流素子駆動部34を追加している。
同期整流素子駆動部34は、非安定型コンバータ同期整流素子駆動パルス発生回路44、分配回路46、同期整流素子駆動回路48及び同期整流素子駆動回路50で構成される。
同期整流素子駆動部34により、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオンに同期して同期整流素子TR51がオンし、スイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンに同期して同期整流素子TR52がオンするように制御が行われる。
図8は図7のスイッチング電源装置における各部の動作波形を示したタイムチャートである。ここで、図8(A)はソフトスタート回路22に設けたトランジスタTR22のベース・エミッタ間電圧VBEを示し、図8(B)は安定型コンバータ12の出力電圧V1を示し、図8(C)はPWMコンパレータ30に入力するフィードバック信号電圧VFBと三角波電圧Vtriを示し、図8(D)はスイッチング素子TR11の駆動信号によるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図8(E)はスイッチング素子TR31,TR34の駆動信号によるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図8(F)はスイッチング素子TR32,TR33の駆動信号によるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図8(G)は同期整流素子TR51の駆動信号によるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図8(H)は同期整流素子TR52の駆動信号によるゲート・ソース間電圧VGSを示している。
このとき、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオンに対して、同期整流素子TR51のオンが若干遅れるように制御を行うことで、同期整流素子TR51のスイッチング損失を無くすことができる。これは同期整流素子TR51がオフの状態で、ソースからドレインに向かって電流が流れる期間を作ることで、同期整流素子TR51のドレイン・ソース間の寄生容量に蓄えられた電荷を放出した後に同期整流素子TR51がオンすることが可能となり、寄生容量の電荷が同期整流素子TR51のオンで短絡されしまうことによって発生する損失を無くすことができる。
また、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオフに対して、同期整流素子TR51のオフが若干速くなるように制御を行うことで貫通電流による損失を無くすことができる。これは非安定型コンバータスイッチング素子駆動パルス発生回路36でデッドタイムを設けることで、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンオフが切り替わる瞬間(トランスの極性が反転する瞬間)までに、同期整流素子TR51を確実にオフさせることでトランスの出力側が短絡されてしまうことを防ぐことができる。同期整流素子TR52も同期整流素子駆動部34により同様の制御を行う。
スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオンに同期して同期整流素子TR51がオンし、スイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンに同期して同期整流素子TR52がオンするように制御を行うだけでも、効率を向上させることが可能だが、上記のように同期整流素子TR51,TR52を高度に制御することで、さらに高効率なスイッチング電源装置を得ることができる。
特開2014−220862号公報
(非安定型コンバータを同期整流化した場合の問題点1)
ところで、図7に示したスイッチング電源装置の出力側に電圧を印加した状態でソフトスタート動作を行うと、スイッチング電源装置の出力側から内部に向かって大きな電流が流れ、スイッチング電源装置が故障してしまうと言う問題を持つ。以下、理由を説明する。
図8の期間Aは、図7のスイッチング電源装置が起動する前の状態であり、ソフトスタート回路22のトランジスタTR22がオンしており、コンデンサC21がトランジスタTR22で放電された状態となり、トランジスタTR21でフィードバック信号電圧VFBがクランプされて、VFB<Vtriとなり、スイッチング素子TR11の動作が停止した状態となっている。
この状態では、安定型コンバータ12のコンデンサC11が完全に放電された状態になっており、安定型コンバータ12の出力電圧V1がゼロの状態になっている。
図7のスイッチング電源装置を起動させるために、期間Bの最初でソフトスタート回路22のトランジスタTR22をオフする。同時に、非安定型コンバータ14のスイッチング素子TR31〜TR34、同期整流素子TR51、TR52がオンオフ動作を開始する。非安定型コンバータ14は、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせがデューティ約50%で相補的にオンオフを繰り返す。また、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオンに同期して同期整流素子TR51がオンし、スイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンに同期して同期整流素子TR52がオンする動作が行われる。
スイッチング電源装置がソフトスタート動作を開始すると安定型コンバータ12の出力電圧V1がゆっくりと上昇する動作となる。ソフトスタート動作を開始すると同時に、非安定型コンバータ14のスイッチング素子TR31〜TR34および同期整流素子TR51,TR52がデューティ約50%で相補的にオンオフを繰り返す動作が行われる。
同期整流素子TR51,TR52であるMOS−FETはオンすることで、ソースからドレイン方向の電流だけでなく、ドレインからソース方向の電流も流すことができるようになるため、スイッチング電源装置の出力側に電圧が印加されていると、入力電圧V1と出力電圧Voが先の式(1)の関係になるように入力電圧V1が上昇するまで非安定型コンバータ14の出力側から入力側へ電流が流れ込む。
入力電圧V1は安定型コンバータ12の出力電圧であり、コンデンサC11の電圧であるので、非安定型コンバータ14の出力側から入力側へ流れ込む電流はコンデンサC11の充電電流となる。コンデンサC11が充電されて電圧が上昇し、式(1)の関係を満たすと電流が停止する。
非安定型コンバータ14の出力側から入力側に向かって流れる電流経路は、同期整流素子TR51,TR52、トランスT51の2次側巻線N2と1次側巻線N1、スイッチング素子TR31〜TR34を含む各素子を接続する配線であり、通常のスイッチング電源装置では損失を低減するためにこれらの抵抗値が小さくなるよう設計が行われているため、上記の非安定型コンバータ14の出力側から入力側へ流れ込む電流は、非常に大きな値となるため、同期整流素子TR51,TR52やスイッチング素子TR31〜TR34に大きなストレスを与えることになり、最悪の場合、スイッチング電源装置を破壊させることになる。
(非安定型コンバータを同期整流化した場合の問題点2)
同期整流の非安定型コンバータ14は、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオンに同期して同期整流素子TR51がオンし、スイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンに同期して同期整流素子TR52がオンするように制御を行うだけでも、効率を向上させることが可能だが、先の説明で示したような高度な制御を行うことで効率を向上させることができる。
ただし、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオンに対して、同期整流素子TR51のオンが若干遅れる制御における遅れ時間は、同期整流素子TR51のドレイン・ソース間の寄生容量に蓄えられた電荷量に対して正確に制御する必要があり、寄生容量に蓄えられた電荷が放出された直後に同期整流素子TR51がオンしないと、同期整流素子TR51の寄生ダイオードに電流が流れることになり損失が発生する。
また、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオフに対して、同期整流素子TR51のオフが若干速くなるように行う制御においても、同期整流素子TR51のオフが速すぎると同期整流素子TR51の寄生ダイオードに電流が流れることになり損失が発生する。同期整流素子TR52も同様となる。
さらに、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンオフが切り替わる瞬間のデッドタイムが小さい場合は、スイッチング素子のドレイン・ソース間の寄生容量に蓄えられた電荷を引き抜く前にスイッチング素子がオンすることになるためゼロボルトスイッチングを行うことができないことによる損失が発生し、大きい場合は、一端引き抜かれた寄生容量の電荷が、トランスT51の励磁インダクタンスとスイッチング素子のドレイン・ソース間の寄生容量の共振現象によって戻されることになり、寄生容量に電荷が蓄えられた状態でスイッチング素子がオンすることになるためゼロボルトスイッチングを行うことができないため損失が発生する。
同期整流化した非安定型コンバータの効率を向上させるためには、スイッチング素子TR31〜TR34、同期整流素子TR51,TR52を高度に制御する必要があるが、遅れ時間等を正確に制御する回路を設計することが難しいと言った問題がある。
本発明は、同期整流化した非安定型コンバータの逆流電流を抑制すると共に、スイッチング素子および同期整流素子のデッドタイムを正確に制御することで高効率化を実現したスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
(スイッチング電源装置)
本発明は、2組のスイッチング素子がトランスの1次側に接続され、2組の同期整流素子がトランスの2次側に接続され、2組のスイッチング素子を相補的にオンオフすると共に2組のスイッチング素子のオンオフに同期して2組の同期整流素子を相補的にオンオフすることで、入力電圧をトランスで決定される所定の比率で変換して出力電圧を生成する非安定型コンバータで構成されたスイッチング電源装置であって、スイッチング電源装置の起動時には、2組のスイッチング素子を所定のデッドタイムを持った、約50%のオンデューティで相補的にオンオフさせ、2組の同期整流素子は狭いオンデューティで相補的にオンオフさせ、その後、2組の同期整流素子を所定の時間の間に徐々にオンデューティを広げ、定常動作時には、2組のスイッチング素子および2組の同期整流素子を共に約50%のオンデューティで相補的にオンオフさせるように制御させる駆動パルス生成回路が設けられたことを特徴とする。
(駆動パルス生成回路とその制御)
駆動パルス生成回路は、設定部、クロック部、カウンタ、第1比較部、第2比較部、第3比較部、第4比較部、第1出力部、及び、第2出力部で構成され、
設定部は、所定の第1設定値(R1)、第2設定値(R2)、第3設定値(R3)、及び第4設定値(R4)を、第1比較部、第2比較部、第3比較部、及び第4比較部の各々へ出力し、
クロック部は、所定の周期をもつクロック信号をカウンタへ出力し、
カウンタは、クロック信号をカウントすることでカウント値を生成して第1乃至第4比較部へ出力すると共に第1比較部が出力する信号が入力されることでカウント値をリセットし、
第1比較部は、カウント値が第1設定値(R1)で決定される値に達すると第1出力部の一方の入力とカウンタへ信号を出力し、
第2比較部は、カウント値が第2設定値(R2)で決定される値に達すると第1出力部の他方の入力へ信号を出力し、
第3比較部は、カウント値が第3設定値(R3)で決定される値に達すると第2出力部の一方の入力へ信号を出力し、
第4比較部は、カウント値が第4設定値(R4)で決定される値に達すると第2出力部の他方の入力へ信号を出力し、
第1出力部は、一方の入力に第1比較部からの信号が入力されると出力を非反転レベルに保持し、他方の入力に第2比較部からの信号が入力されると出力を反転レベルに保持する機能を備えており、第1出力部の出力をスイッチング素子駆動パルスとして用いることで2組のスイッチング素子を相補的にオンオフさせ、
第2出力部は、一方の入力に第3比較部からの信号が入力されると出力を非反転レベルに保持し、他方の入力に第4比較部からの信号が入力されると出力を反転レベルに保持する機能を備えており、第2出力部の出力を同期整流素子駆動パルスとして用いることにより2組の同期整流素子を相補的にオンオフさせる。
(同期整流のソフトスタート動作)
設定部は、更に、スイッチング電源装置が起動する際に、第4設定値(R4)を時間の経過と共に増加させることにより、所定の時間の間に徐々に2組の同期整流素子のオンデューティを広げる制御を行う。
(第1乃至第4設定値の機能)
第1設定値(R1)によって、2組のスイッチング素子のスイッチング素子駆動パルス周期が設定され、
第2設定値(R2)によって、2組のスイッチング素子を相補的にオンオフする際の同時オンによる貫通電流を防ぐための第1デッドタイムが決定され、
第3設定値(R3)によって、2組のスイッチング素子に相補的にオンしてから2組の同期整流素子が相補的にオンするまでの第2デッドタイムが決定され、
第4設定値(R4)によって、2組の同期整流素子の相補的なオフを2組のスイッチング素子の相補的なオフよりも速くするための第3デッドタイムが決定される。
(スイッチング素子と同期整流素子の駆動部)
更に、
駆動パルス生成回路が出力するスイッチング素子駆動パルスを分配した信号によって2組のスイッチング素子を相補的にオンオフするように動作させ、
駆動パルス生成回路が出力する同期整流素子駆動パルスを分配した信号によって2組の同期整流素子を相補的にオンオフするように動作させる。
(非安定型コンバータと安定型コンバータの組み合わせ)
非安定型コンバータの前段に、出力電圧を所定の電圧に安定化する機能を備えた安定型コンバータを接続し、安定型コンバータの出力を非安定型コンバータの入力とし、非安定型コンバータの出力をスイッチング電源装置の出力とする。
(基本的な効果)
本発明は、2組のスイッチング素子がトランスの1次側に接続され、2組の同期整流素子がトランスの2次側に接続され、2組のスイッチング素子を相補的にオンオフすると共に2組のスイッチング素子のオンオフに同期して2組の同期整流素子を相補的にオンオフすることで、入力電圧をトランスで決定される所定の比率で変換して出力電圧を生成する非安定型コンバータで構成されたスイッチング電源装置であって、スイッチング電源装置の起動時には、2組のスイッチング素子を所定のデッドタイムを持った、約50%のオンデューティで相補的にオンオフさせ、2組の同期整流素子は狭いオンデューティで相補的にオンオフさせ、その後、2組の同期整流素子を所定の時間の間に徐々にオンデューティを広げ、定常動作時には、2組のスイッチング素子および2組の同期整流素子を共に約50%のオンデューティで相補的にオンオフさせるように制御させる駆動パルス生成回路が設けられたため、従来の同期整流を備えた非安定型コンバータの出力側に電圧を印加した状態で非安定型コンバータを起動した場合、大きな逆流電流が流れて非安定型コンバータが破壊するが、本発明では、非安定型コンバータが起動する際に同期整流素子のオン期間をゆっくりと増加させる制御を行うことで、トランスの漏れインダクタンスにより逆流電流を抑制し、非安定型コンバータを安全に起動することができるようになる。
(駆動パルス生成回路とその制御による効果)
また、駆動パルス生成回路は、設定部、クロック部、カウンタ、第1比較部、第2比較部、第3比較部、第4比較部、第1出力部、及び第2出力部で構成され、設定部は、所定の第1設定値(R1)、第2設定値(R2)、第3設定値(R3)、及び第4設定値(R4)を、第1比較部、第2比較部、第3比較部及び第4比較部の各々へ出力し、クロック部は、所定の周期をもつクロック信号をカウンタへ出力し、カウンタは、クロック信号をカウントすることでカウント値を生成して第1乃至第4比較部へ出力すると共に第1比較部が出力する信号が入力されることでカウント値をリセットし、第1比較部は、カウント値が第1設定値(R1)で決定される値に達すると第1出力部の一方の入力とカウンタへ信号を出力し、第2比較部は、カウント値が第2設定値(R2)で決定される値に達すると第1出力部の他方の入力へ信号を出力し、第3比較部は、カウント値が第3設定値(R3)で決定される値に達すると第2出力部の一方の入力へ信号を出力し、第4比較部は、カウント値が第4設定値(R4)で決定される値に達すると第2出力部の他方の入力へ信号を出力し、第1出力部は、一方の入力に第1比較部からの信号が入力されると出力を非反転レベルに保持し、他方の入力に第2比較部からの信号が入力されると出力を反転レベルに保持する機能を備えており、第1出力部の出力をスイッチング素子駆動パルスとして用いることで2組のスイッチング素子を相補的にオンオフさせ、第2出力部は、一方の入力に第3比較部からの信号が入力されると出力を非反転レベルに保持し、他方の入力に第4比較部からの信号が入力されると出力を反転レベルに保持する機能を備えており、第2出力部の出力を同期整流素子駆動パルスとして出力して2組の同期整流素子を相補的にオンオフさせ、設定部は、更に、スイッチング電源装置が起動する際に、第4設定値(R4)を時間の経過と共に増加させることにより、所定の時間の間に徐々に2組の同期整流素子のオンデューティを広げる制御を行うようにし、更に、第1設定値(R1)によって、2組のスイッチング素子のスイッチング素子駆動パルス周期が設定され、第2設定値(R2)によって、2組のスイッチング素子を相補的にオンオフする際の同時オンによる貫通電流を防ぐと同時にゼロボルトスイッチング動作を行うための第1デッドタイムが決定され、第3設定値(R3)によって、2組のスイッチング素子に相補的にオンしてから2組の同期整流素子が相補的にオンするまでの寄生容量の電荷の放出期間を作るための第2デッドタイムが決定され、第4設定値(R4)によって、2組の同期整流素子の相補的なオフを2組のスイッチング素子の相補的なオフよりも速くするための第3デッドタイムが決定されるようにしたため、非安定型コンバータが起動する際に同期整流素子のオン期間をゆっくりと増加させる制御を行うことで、トランスの漏れインダクタンスにより逆流電流を抑制する効果に加え、スイッチング素子および同期整流素子のデッドタイムを正確に制御することができ、同期整流を備えた非安定型コンバータを更に高効率化することが可能になる。
(スイッチング素子と同期整流素子の駆動部による効果)
また、駆動パルス生成回路が出力するスイッチング素子駆動パルスを分配した信号によって2組のスイッチング素子を相補的にオンオフするように動作させ、駆動パルス生成回路が出力する同期整流素子駆動パルスを分配した信号によって2組の同期整流素子を相補的にオンオフするように動作させたため、2組のスイッチング素子及び同期整流素子の相補的なオン時間を対称にすることでトランスが偏磁してしまう不具合を防ぐことができる。
(非安定型コンバータと安定型コンバータの組み合わせによる効果)
また、非安定型コンバータの前段に、出力電圧を所定の電圧に安定化する機能を備えた安定型コンバータを接続し、安定型コンバータの出力を非安定型コンバータの入力とし、非安定型コンバータの出力をスイッチング電源装置の出力とするようにしたため、非安定型コンバータに安定型コンバータと組み合わせてフィードバック制御を行うことで、出力電圧を安定化するスイッチング電源装置が実現できる。
本発明のスイッチング電源装置を構成する非安定型コンバータの実施形態を示した回路ブロック図 図1の駆動パルス生成回路における各部の動作波形を示したタイムチャート 図1の非安定型コンバータの実施形態で出力側に電圧が印加されていない場合の各部の動作波形を示したタイムチャート 図1の非安定型コンバータの実施形態で出力側に電圧が印加されている場合の各部の動作波形を示したタイムチャート 安定型コンバータと非安定型コンバータを組み合わせたスイッチング電源装置の一例を示した回路ブロック図 図5のスイッチング電源装置における各部の動作波形を示したタイムチャート 図5の非安定型コンバータを同期整流としたスイッチング電源装置の例を示した回路ブロック図 図7のスイッチング電源装置における各部の動作波形を示したタイムチャート
図1は本発明のスイッチング電源装置を構成する非安定型コンバータの実施形態を示した回路ブロック図である。
(回路構成)
図1に示すように、非安定型コンバータ14は、フルブリッジコンバータ14a、同期整流回路14c、スイッチング素子駆動部32、同期整流素子駆動部34、および、駆動パルス生成回路52で構成される。以下の説明は、フルブリッジコンバータ14aを例にして説明を行うが、本発明は、ハーフブリッジコンバータやプッシュプルコンバータ等の同様の動作を行うコンバータに置き換えることができる。
フルブリッジコンバータ14aは、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせを約50%のデューティで相補的にオンオフすることで入力電圧Vinを断続電圧に変換する。断続電圧をトランスT51に入力することで電圧変換を行う。入力電圧VinはトランスT51の巻線の巻数比(N1:N2)で変換された電圧に変換される。
同期整流回路14cは、トランスT51から出力された電圧を整流し、出力電圧Voを出力する。ここで、出力電圧Voと入力電圧Vinは、
Vo=N2/N1・Vin
の関係を持つ。
同期整流回路14cは、非安定型コンバータ14のスイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンオフに同期し、同期整流素子TR51と同期整流素子TR52が相補的にオンオフする動作を行う。スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせがオンするときには、同期整流素子TR51がオンする。スイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせがオンするときには、同期整流素子TR52がオンする。
駆動パルス生成回路52は、設定部60、クロック部54、カウンタ56、比較部62,64,66,68及び出力部70,72で構成され、スイッチング素子駆動パルスVswおよび同期整流素子駆動パルスVsrを生成する。
設定部60は、CPU及び出力ポート等を備えたデジタルプロセッサであり、設定値R1,R2,R3,R4を比較部62,64,66,68へ出力する。ここで、設定値R1は第1設定値、設定値R2は第2設定値、設定値R3は第3設定値、設定値R4は第4設定値に対応する。
また、設定部60は設定値R1〜R3を所定の固定値として出力するが、比較部68に出力する設定値R4は、起動指示が与えられた場合に、所定の最小値から所定の固定値に向けてゆっくりと増加させ、これにより非安定型コンバータ14が起動する際に同期整流素子TR51,TR52のオン期間をゆっくりと増加させる制御を行う。
クロック部54は、所定の周期Tckをもつクロック信号CKをカウンタへ出力する。
カウンタ56は、クロック信号CKをカウントし、カウント値NCTを比較部62,64,66,68へ出力する。またカウンタ56は、比較部62が出力する信号が入力されると、カウント値NCTを0にリセットする。
比較部62は、カウント値NCTと設定値R1が入力されており、カウント値NCTが設定値R1と一致すると出力部70のS端子とカウンタ56へ信号を出力する。
比較部64は、カウント値NCTと設定値R2が入力されており、カウント値NCTが設定値R2と一致すると出力部70のR端子へ信号を出力する。
比較部66は、カウント値NCTと設定値R3が入力されており、カウント値NCTが設定値R3と一致すると出力部72のS端子へ信号を出力する。比較部68は、カウント値NCTと設定値R4が入力されており、カウント値NCTが設定値R4と一致すると出力部72のR端子へ信号を出力する。
出力部70は、RSフリップフロップであり、S端子に信号が入力されると、出力端子であるQ端子の出力レベルを非反転レベルに設定し、S端子の信号の入力が無くなってもこの出力レベルを維持し、R端子に信号が入力されるとQ端子の出力レベルを反転レベルに設定し、R端子の信号の入力が無くなってもこの出力レベルを維持する動作を行う。出力部70のQ端子の出力は、スイッチング素子駆動パルスVswとしてスイッチング素子駆動部32へ出力される。
出力部72もRSフリップフロップであり、同様に、S端子に信号が入力されると、出力端子であるQ端子の出力レベルを非反転レベルに設定し、S端子の信号の入力が無くなってもこの出力レベルを維持し、R端子に信号が入力されるとQ端子の出力レベルを反転レベルに設定し、R端子の信号の入力が無くなってもこの出力レベルを維持する動作を行う。出力部72のQ端子の出力は、同期整流素子駆動パルスVsrとして同期整流素子駆動部34へ出力される。
スイッチング素子駆動部32は、スイッチング素子駆動パルスVswが入力され、スイッチング素子TR31〜TR34を駆動する。本実施形態では、分配回路38をスイッチング素子駆動部32内に備えることで、スイッチング素子駆動パルスVswをスイッチング素子駆動回路40,42に対しスイッチング素子駆動信号VswA,VswBとして振り分けているが、分配回路38は駆動パルス生成回路52内に備えた構成とすることもできる。
同期整流素子駆動部34は、同期整流素子駆動パルスVsrが入力され、同期整流素子TR51、同期整流素子TR52を駆動する。本実施形態では、分配回路46を同期整流素子駆動部34内に備えることで、同期整流素子駆動パルスVsrを同期整流素子駆動回路48,50に対し同期整流素子駆動信号VsrA,VsrBに振り分けているが、分配回路46は駆動パルス生成回路52内に備えた構成とすることもできる。
(駆動パルス生成回路の動作)
図2は図1の駆動パルス生成回路における各部の動作波形を示したタイムチャートである。ここで、図2(A)はクロック信号CKを示し、図2(B)はカウント値NCTを示し、図2(C)はスイッチング素子駆動パルスVswを示し、図2(D)は同期整流素子駆動パルスVsrを示し、図2(E)はスイッチング素子駆動信号VswAを示し、図2(F)はスイッチング素子駆動信号VswBを示し、図2(G)は同期整流素子駆動信号VsrAを示し、図2(H)は同期整流素子駆動信号VsrBを示している。
以下、図2を基に駆動パルス生成回路の動作を示す。クロック部54から、クロック周期Tckを持つクロック信号CKがカウンタ56へ出力される。カウンタ56は、クロック信号CKをカウントし、カウント値NCTを比較部62,64,66,68へ出力する。また、カウンタ56 は、比較部62が出力する信号が入力された後、次のクロック信号CKの入力でカウント値NCTを0にリセットする。
比較部62は、カウント値NCTと設定値R1が入力されており、カウント値NCTが設定値R1と一致すると出力部70のS端子とカウンタ56へ信号を出力する。設定値R1は、スイッチング素子駆動パルス周期Tpを決定する。カウント値NCTは0から始まりクロック信号CKが入力される毎にカウント値NCTが1ずつ増加し、カウント値NCTが設定値R1に達すると比較部62が信号を出力する。
比較部62が信号を出力すると、出力部70のQ端子の出力レベルが非反転レベルに設定される。同時に、カウンタ56のカウント値NCTがリセットされカウント値NCTが0となる。カウント値NCTがリセットされる周期が、スイッチング素子駆動パルス周期Tpとなるので、
Tp=(クロック周期Tck)×(設定値R1)
となる。
比較部64は、カウント値NCTと設定値R2が入力されており、カウント値NCTが設定値R2と一致すると出力部70のR端子へ信号を出力する。比較部64が信号を出力すると、出力部70のQ端子の出力レベルが反転レベルに設定される。従って、設定値R2によって、スイッチング素子駆動パルスVswの出力レベルが非反転レベルから反転レベルに変化するタイミングを設定することができる。
その結果、クロック周期Tckと設定値R1によって、スイッチング素子駆動パルス周期Tpが決定され、設定値R1と設定値R2の差(R1−R2)によって、スイッチング素子駆動パルスVswのデッドタイム(第1デッドタイム)tdsw(出力レベルが反転レベルになっている期間)を作ることができる。
比較部66は、カウント値NCTと設定値R3が入力されており、カウント値NCTが設定値R3と一致すると出力部72のS端子へ信号を出力する。比較部66が信号を出力すると、出力部72のQ端子の出力レベルが非反転レベルに設定される。従って、設定値R3によって、スイッチング素子駆動パルスVswと同期整流素子駆動パルスVsrの出力レベルが反転レベルから非反転レベルに変化する状態におけるデッドタイム(第2デッドタイム)tdsr1を設定することができる。
比較部68は、カウント値NCTと設定値R4が入力されており、カウント値NCTが設定値R4と一致すると出力部72のR端子へ信号を出力する。比較部68が信号を出力すると、出力部72のQ端子の出力レベルが反転レベルに設定される。従って、設定値R2と設定値R4の差(R2−R4)によって、スイッチング素子駆動パルスVswと同期整流素子駆動パルスVsrの出力レベルが非反転レベルから反転レベルに変化する状態におけるデッドタイム(第3デッドタイム)tdsr2を設定することができる。
以上により、設定値R1によって、スイッチング素子駆動パルス周期Tpを決定することができる。設定値R2によって、スイッチング素子TR31〜TR34をオンオフする際の同時オンによる貫通電流の防止とゼロボルトスイッチング動作を実現するためのデッドタイムtdswを決定することができる。
また、設定値R3によって、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせがオンしてから同期整流素子TR51がオンするまでの寄生容量の電荷の放出期間を作るためのデッドタイムtdsr1、及びスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせがオンしてから同期整流素子TR52がオンするまでの寄生容量の電荷の放出期間を作るためのデッドタイムtdsr1を決定することができる。
更に、設定値R4によって、同期整流素子TR51のオフをスイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオフよりも速くすることで同期整流素子TR51がトランスT51の出力側を短絡してしまうことを防ぐためのデッドタイムtdsr2、及び同期整流素子TR52のオフをスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオフよりも速くすることで同期整流素子TR52がトランスT51の出力側を短絡してしまうことを防ぐためのデッドタイムtdsr2を設定することができる。
例えば、図2のように、クロック周期Tck=100nsec、設定値R1=100、R2=99、設定値R3=1、設定値R4=97とすると、スイッチング素子駆動パルス周期Tp=100nsec×100クロック=10μsecに対して僅かなデッドタイムtdsw=(R1―R2)×Tck=100nsecを持ったデューティがほぼ100%のスイッチング素子駆動パルスVswを生成することができる。
スイッチング素子駆動パルスVswは、スイッチング素子駆動回路40,42でスイッチング素子駆動信号VswA,VswBに分配されて各スイッチング素子TR31〜TR34に出力するため、スイッチング電源装置としてのスイッチング周期Tswはスイッチング素子駆動パルス周期Tpの2倍になり、
Tsw=Tp×2=200μsec
となる。
スイッチング素子駆動信号VswAおよびスイッチング素子駆動信号VswBはスイッチング素子駆動パルスVswをスイッチング素子駆動回路40,42へ分配して作られるため、それぞれデューティがほぼ50%のパルス信号となり、スイッチング素子駆動信号VswAの反転レベルへの立下りからスイッチング素子駆動信号VswBの非反転レベルへの立上りの時間がスイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせがオンオフする際のデッドタイムtdswとなる。
また、同期整流素子TR51のオンはスイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオンに対して
tdsr1=R3×Tck=100nsec
だけ遅れるように設定されており、同期整流素子TR51のオフはスイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオフに対して
tdsr2=(R2―R4)×Tck=200nsec
だけ速くなるように設定されている。
同期整流素子TR52についても同様であり、同期整流素子TR52のオンはスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンに対して
tdsr1=R3×Tck=100nsec
だけ遅れるように設定されており、同期整流素子TR52のオフはスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオフに対して
tdsr2=(R2―R4)×Tck=200nsec
だけ速くなるように設定されている。
設定値R1〜R4は設定部60からの指示で設定される値であるので、これらを変更することで任意のスイッチング素子駆動パルス周期Tpとデッドタイムtdswを持ったスイッチング素子駆動信号VswA,VswBおよびデッドタイムtdsr1,tdsr2を持った同期整流素子駆動信号VsrA,VsrBを作ることができる。
(非安定型コンバータの出力側に電圧が印加されていない場合の動作)
図3は図1の非安定型コンバータの実施形態で出力側に電圧が印加されていない場合の各部の動作波形を示したタイムチャートである。ここで、図3(A)は出力電圧Voを示し、図3(B)は入力電圧Vinを示し、図3(C)はスイッチング素子TR31,TR34の駆動信号となるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図3(D)はスイッチング素子TR32,TR33の駆動信号となるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図3(E)は同期整流素子TR51の駆動信号となるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図3(F)は同期整流素子TR52の駆動信号となるゲート・ソース間電圧VGSを示す。
図1のスイッチング電源装置の出力側に電圧が印加されていない状態で、入力側の電圧がゆっくり上昇した場合の動作について図3を基に説明すると次のようになる。
本実施形態のスイッチング電源装置である非安定型コンバータ14の入力側には、図5の従来例で示した安定型コンバータ(図示せず)が接続されている場合を想定している。安定型コンバータがソフトスタート動作を行うことで、本実施形態の非安定型コンバータ14の入力側の電圧Vinがゆっくり上昇する。
期間Aは、入力側の安定型コンバータおよび本実施形態の非安定型コンバータ14ともに停止している状態である。
期間Bの最初で、入力側の安定型コンバータがソフトスタート動作を開始し、本実施形態の非安定型コンバータ14の入力電圧Vinがゆっくり上昇する。入力側の安定型コンバータがソフトスタート動作を開始すると同時に、本実施形態の非安定型コンバータも駆動パルス生成回路52に起動指示が与えられることで動作を開始する。
本実施形態の非安定型コンバータ14は、駆動パルス生成回路52の設定部60により設定値R1およびR2は固定値が与えられている。例えば、図2のようにR1=100、R2=99が与えられており、非安定型コンバータ14の動作が開始されると、駆動パルス生成回路52が生成するスイッチング素子駆動パルスVswによってスイッチング素子駆動部32がスイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせを約50%のデューティで相補的にオンオフする制御が行われる。スイッチング素子TR31〜TR34の動作は、図5に示した従来例の非安定型コンバータ14と同様である。
駆動パルス生成回路52の設定部60により設定値R3も固定値が与えられており、例えば、図2のようにR3=1が与えられている。
駆動パルス生成回路52の設定部60により、設定値R4は、非安定型コンバータ14の動作開始直後は、R3以上の値である小さな値が与えられており、その後、R2以下の値までゆっくり増加するように制御が行われる。例えば、非安定型コンバータ14の動作開始直後はR4=2が与えられており、その後、ゆっくり増加し、最終値は図2のようにR4=97となるように制御が行われる。
これにより、本実施形態の非安定型コンバータ14の動作開始直後は、同期整流素子TR51,TR52のオン期間が短く、ゆっくりとオン期間が増加し、最終的にはスイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオンよりも僅かに遅く同期整流素子TR51がオンし、同様に、スイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンよりも僅かに遅く同期整流素子TR52がオンし、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオフよりも僅かに速く同期整流素子TR51がオフし、同様に、スイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオフよりも僅かに速く同期整流素子TR52がオフするようになる。
このように非安定型コンバータ14の動作開始の際の同期整流素子TR51,TR52の動作が従来例の非安定型コンバータと異なることが本発明の特徴である。
期間Bでは、入力側の安定型コンバータのソフトスタート動作によって非安定型コンバータ14の入力電圧Vinが上昇する。非安定型コンバータ14のスイッチング素子TR31〜TR34のオンオフにより、(N2/N1)・Vinの電圧がトランスT51の2次側巻線N2に発生する。非安定型コンバータ14の出力側には電圧が印加されていないことから、非安定型コンバータ14の入力側から出力側に向かって電流が流れることになるため、同期整流素子TR51又は同期整流素子TR52がオフしている場合でも同期整流素子TR51又は同期整流素子TR52の寄生ダイオードを介して電流が流れることになり、上記の同期整流素子TR51,TR52のオン期間がゆっくりと増加する制御により同期整流のオン期間が短く制御されていても、非安定型コンバータ14は電流を出力することができる。期間Bの最後で安定型コンバータ14のソフトスタート動作が完了する。
期間Cでは、非安定型コンバータ14の入力電圧Vinが一定となるが、同期整流素子TR51,TR52のオン期間がゆっくりと増加する動作は続いている状態となっている。同期整流素子TR51,TR52がオフの期間は寄生ダイオードを介して電流が流れているため、寄生ダイオードの順方向電圧降下分だけ出力電圧が降下することになる。
従って、非安定型コンバータ14の出力電圧Voは、トランスT51の2次側巻線N2に発生する電圧に対して寄生ダイオードの順方向電圧降下分だけ電圧が低下した状態となる。期間Cでは、同期整流素子TR51,TR52のオン期間がゆっくりと増加していくため、寄生ダイオードによる電圧降下の影響が徐々に小さくなることで、非安定型コンバータ14の出力電圧Voが徐々に増加する。同期整流素子TR51,TR52のオン期間がゆっくりと増加する動作を行うことで非安定型コンバータ14の出力電圧Voのオーバーシュートの発生を防いでいる。
期間Cの最後で、設定値R4の増加が停止し、非安定型コンバータ14の同期整流素子TR51,TR52のオンデューティがほぼ50%に達し、出力電圧Voの上昇が停止する。
期間Dは、非安定型コンバータ14が定常状態になっており、スイッチング素子TR31〜TR34および同期整流素子TR51,TR52ともに、オンデューティがほぼ50%となって動作している。
(非安定型コンバータの出力側に電圧が印加されている場合の動作)
図4は図1の非安定型コンバータの実施形態で出力側に電圧が印加されている場合の各部の動作波形を示したタイムチャートである。ここで、図4(A)は出力電圧Voを示し、図4(B)は入力電圧Vinを示し、図4(C)はスイッチング素子TR31,TR34の駆動信号となるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図4(D)はスイッチング素子TR32,TR33の駆動信号となるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図4(E)は同期整流素子TR51の駆動信号となるゲート・ソース間電圧VGSを示し、図4(F)は同期整流素子TR52の駆動信号となるゲート・ソース間電圧VGSを示す。
図1のスイッチング電源装置の出力側に電圧が印加されている状態で、入力側の電圧がゆっくり上昇した場合の動作について図4を基に説明すると次のようになる。
本実施形態のスイッチング電源装置である非安定型コンバータ14の入力側には何も接続されていないものとして以下説明を行う。
期間Aは、本実施形態の非安定型コンバータ14が停止している状態である。
期間Bの最初で、入力側の安定型コンバータがソフトスタート動作を開始し、本実施形態の非安定型コンバータ14の入力電圧Vinがゆっくり上昇し、本実施形態の非安定型コンバータ14も動作を開始する。
先に説明したと同様に、駆動パルス生成回路52の設定部60により設定値R1およびR2は固定値が与えられている。例えば、図2のようにR1=100、R2=99が与えられており、動作が開始されると、駆動パルス生成回路52が生成するスイッチング素子駆動パルスVswによってスイッチング素子駆動部32がスイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせを約50%のデューティで相補的にオンオフする制御が行われる。
先に説明したと同様に、駆動パルス生成回路52の設定部60により、設定値R3も固定値が与えられており、例えば、図2のようにR3=1が与えられている。
また、先に説明したと同様に、駆動パルス生成回路52の設定部60により、非安定型コンバータ14の動作開始直後は、設定値R4はR3以上の値である小さな値が与えられており、その後、R2以下の値までゆっくり増加するように制御が行われる。例えば、非安定型コンバータ14の動作開始直後はR4=2が与えられており、その後、ゆっくり増加し、最終値は、図2のようにR4=97となるような制御が行われる。
これにより、本実施形態の非安定型コンバータ14の動作開始直後は、同期整流素子TR51,TR52のオン期間が短く、ゆっくりとオン期間が増加し、最終的には、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオンよりも僅かに遅く同期整流素子TR51がオンし、同様に、スイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンよりも僅かに遅く同期整流素子TR52がオンし、また、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせのオフよりも僅かに速く同期整流素子TR51がオフし、同様に、スイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオフよりも僅かに速く同期整流素子TR52がオフするようになる。
非安定型コンバータ14の出力側に電圧が印加されている状態で入力側に電圧が無い状態の時に同期整流素子TR51,TR52が相補的にオンすると、非安定型コンバータ14の出力側から入力側に向かって電流が流れる。同期整流素子TR51,TR52が相補的にオンすると、トランスT51や配線の漏れインダクタンスによって制限されて電流が上昇する。非安定型コンバータ14の出力側から入力側に向かって流れる電流をトランスT51の1次側から見た場合の電流の上昇は式(2)のようになる。
Figure 0006714528
ΔI:トランス1次側の電流上昇
L :トランスの漏れインダクタンス
N1:トランスの1次側巻数
N2:トランスの2次側巻数
Vo:非安定型コンバータの出力側に印加された電圧
(トランスの2次側に印加された電圧)
Vin:非安定型コンバータの入力側に発生する電圧
(コンデンサC11の電圧)
t :同期整流素子のオン時間
本実施形態の非安定型コンバータ14は、動作開始直後は同期整流素子TR51,TR52のオン期間が短くなるように制御が行われているため、非安定型コンバータ14の出力側から入力側に向かって流れる電流が大きくなる前に同期整流素子TR51,TR52がオフする動作となり、これがスイッチング素子駆動パルス周期Tpで繰り返される。
ここで、図4を見やすくために期間Bをスイッチング素子駆動パルス周期Tpが6周期(スイッチング周期Tswとしては3周期)として記載してあるが、実際の非安定型コンバータ14では、同期整流素子TR51,TR52を数十周期以上、短いパルスになるように動作させる。この動作により、電流が制限された状態で、非安定型コンバータ14の入力側のコンデンサC11が充電される。コンデンサC11の電圧V(C11)は、
V(C11)=(N1/N2)・Vo
となるまで上昇する。この電圧に達すると、非安定型コンバータ14の出力側から入力側へ流れる電流が停止する。
期間Cでは、非安定型コンバータ14の出力側から入力側へ流れる電流が停止している期間となるが、設定値R4がゆっくり増加動作は継続するため、同期整流素子TR51,TR52のオン期間がゆっくりと増加しオンデューティがほぼ50%となるまで継続する。
期間Dは、非安定型コンバータ14が定常状態になっており、スイッチング素子TR31〜TR34および同期整流素子TR51,TR52ともに、オンデューティがほぼ50%となって動作している。
上記では、本実施形態の非安定型コンバータ14の入力に何も接続されていない状態の動作に関して説明を行ったが、図5に示した従来例のようなソフトスタート動作を行う安定型コンバータ12が接続された場合は、コンデンサC11は、非安定型コンバータ14の出力側から入力側へ流れる電流と安定型コンバータ12からの電流で充電が行われることになり、コンデンサC11の電圧上昇速度が速くなる。ただし、非安定型コンバータ14の出力側から入力側へ流れる電流が小さい状態でコンデンサC11を充電する動作は変わらない。
また、非安定型コンバータ14の出力側に印加されている電圧が小さい場合は、安定型コンバータ12の電圧がソフトスタート動作によって上昇してくると、期間Bで非安定型コンバータ14の入力側から出力側へ向かって電流が流れる通常の動作に移行する図3と同じ動作となる。
(本実施形態による従来例の問題点1の解消)
本実施形態による非安定型コンバータ14の動作開始時おいて、同期整流素子TR51,TR52のオン期間をゆっくりと増加させるように制御を行うことで、非安定型コンバータ14の出力側に電圧が印加されている場合でも、出力側から入力側へ流れる電流が小さい状態を保ちながら非安定型コンバータ14の入力側のコンデンサC11を充電することでコンデンサC11の電圧を上昇させて、非安定型コンバータ14の出力側から入力側へ流れる電流を停止させることができる。これにより、非安定型コンバータ14の出力側に電圧が印加されている場合でも、半導体素子等が破壊すること無く起動動作を行うことができる。
また、非安定型コンバータ14の動作開始時において、非安定型コンバータ14の同期整流素子TR51,TR52のオン期間をゆっくりと増加させる制御は、非安定型コンバータ14の出力側に電圧が印加されていない状態に対しても起動動作に影響を及ぼすことがない。このとき、同期整流素子TR51,TR52のオン期間をゆっくりと増加させる制御が行われている期間においても、スイッチング素子TR31とスイッチング素子TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32とスイッチング素子TR33の組み合わせのオンオフが切り替わる瞬間のデッドタイムがゼロボルトスイッチング動作を行うことができるように設定されているため、スイッチング素子TR31〜TR34の損失が小さくなる動作を実現できている。
従って、非安定型コンバータ14の出力側の電圧印加の有無に寄らず同一の制御を行うことができることから、制御回路の構成を簡単にすることが可能となり、回路コストを低減することができる。
(本実施形態による従来例の問題点2の解消)
本実施形態の非安定型コンバータ14は、駆動パルス生成回路52を、設定部60、クロック部54、カウンタ56、比較部62,64,66,68、出力部70,72で構成し、スイッチング素子駆動パルスVswおよび同期整流素子駆動パルスVsrを生成するようにしたことで、スイッチング素子TR31〜TR34と同期整流素子TR51,TR52のタイミングを正確に制御することが可能となるため、従来例で述べた、スイッチング素子のゼロボルトスイッチング動作による効率の向上を実現し、また、非安定型コンバータを同期整流化した際のMOS−FETを用いた同期整流素子TR51,TR52の寄生ダイオードに電流が流れること等による効率の低下の問題を解決することができる。
また、従来の非安定型コンバータは、スイッチング素子や同期整流素子の個体差、入力電圧、出力電圧、温度等の変化に対して、スイッチング素子や同期整流素子の寄生容量に蓄えられる電荷が変化するため、スイッチング素子TR31〜TR34や同期整流素子TR51,TR52のデッドタイムの最適値も入力電圧、出力電圧、温度等で変化することになるが、本実施形態の非安定型コンバータ14は、設定部60からの設定値R1〜R4を変更することでデッドタイムを容易に変更することができるため、入力電圧、出力電圧、温度等の変化に対して設定値R1〜R4を変更することによりデッドタイムの最適化が可能となり、高効率なスイッチング電源装置を作ることができる。
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、駆動パルス生成回路52として、設定部60、クロック部54、カウンタ56、比較部62,64,66,68及び出力部70,72で構成しているが、これに限定されず、デジタルプロセッサのCPUによるプログラムの実行による制御機能として実現するようにしても良い。
上記の実施形態は、非安定型コンバータ14の動作開始時において、非安定型コンバータ14のスイッチング素子TR31〜TR34と同期整流素子TR51,TR52の動作開始タイミングを同じにした場合で説明を行ったが、同期整流素子TR51,TR52のオン期間をゆっくりと増加させる制御を行うものであれば、スイッチング素子TR31〜TR34の動作開始タイミングに対して同期整流素子TR51,TR52の動作開始タイミングを遅らせても構わない。
上記の実施形態は、設定値R4は、非安定型コンバータ14の動作開始直後は、設定値R3以上の値である小さな値が与えられており、その後、設定値R2以下の値までゆっくり増加するように制御が行われているが、スイッチング素子駆動部等と同期整流素子駆動部等の遅延時間を加味して同期整流素子のオフとスイッチング素子のオフのタイミングが逆転しなければ設定値R4は設定値R2以上の値となっても構わない。
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
12:安定型コンバータ
14:非安定型コンバータ
14a:フルブリッジコンバータ
14b:センタータップの整流回路
14c:同期整流回路
32:スイッチング素子駆動部
34:同期整流素子駆動部
38,46:分配回路
40,42:スイッチング素子駆動回路
48,50:同期整流素子駆動回路
52:駆動パルス生成回路
54:クロック部
56:カウンタ
60:設定部
62,64,66,68:比較部
70,72:出力部

Claims (6)

  1. 2組のスイッチング素子がトランスの1次側に接続され、2組の同期整流素子が前記トランスの2次側に接続され、前記2組のスイッチング素子を相補的にオンオフすると共に前記2組のスイッチング素子のオンオフに同期して前記2組の同期整流素子を相補的にオンオフすることで、入力電圧を前記トランスで決定される所定の比率で変換して出力電圧を生成する非安定型コンバータで構成されたスイッチング電源装置であって、
    スイッチング電源装置の起動時には、前記2組のスイッチング素子を所定のデッドタイムを持った、約50%のオンデューティで相補的にオンオフさせ、前記2組の同期整流素子は狭いオンデューティで相補的にオンオフさせ、その後、前記2組の同期整流素子を所定の時間の間に徐々にオンデューティを広げ、定常動作時には、前記2組のスイッチング素子および前記2組の同期整流素子を共に約50%のオンデューティで相補的にオンオフさせるように制御させる駆動パルス生成回路が設けられたことを特徴とするスイッチング電源装置
  2. 請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、
    前記駆動パルス生成回路は、設定部、クロック部、カウンタ、第1比較部、第2比較部、第3比較部、第4比較部、第1出力部、及び第2出力部で構成され、
    前記設定部は、所定の第1設定値、第2設定値、第3設定値、及び第4設定値を、前記第1比較部、前記第2比較部、前記第3比較部、及び前記第4比較部の各々へ出力し、
    前記クロック部は、所定の周期をもつクロック信号を前記カウンタへ出力し、
    前記カウンタは、前記クロック信号をカウントすることでカウント値を生成して前記第1乃至第4比較部へ出力すると共に前記第1比較部が出力する信号が入力されることで前記カウント値をリセットし、
    前記第1比較部は、前記カウント値が前記第1設定値で決定される値に達すると前記第1出力部の一方の入力と前記カウンタへ信号を出力し、
    前記第2比較部は、前記カウント値が前記第2設定値で決定される値に達すると前記第1出力部の他方の入力へ信号を出力し、
    前記第3比較部は、前記カウント値が前記第3設定値で決定される値に達すると前記第2出力部の一方の入力へ信号を出力し、
    前記第4比較部は、前記カウント値が前記第4設定値で決定される値に達すると前記第2出力部の他方の入力へ信号を出力し、
    前記第1出力部は、前記一方の入力に前記第1比較部からの信号が入力されると出力を非反転レベルに保持し、前記他方の入力に前記第2比較部からの信号が入力されると出力を反転レベルに保持する機能を備えており、前記第1出力部の出力をスイッチング素子駆動パルスとして用いることで前記2組のスイッチング素子を相補的にオンオフさせ、
    前記第2出力部は、前記一方の入力に前記第3比較部からの信号が入力されると出力を非反転レベルに保持し、前記他方の入力に前記第4比較部からの信号が入力されると出力を反転レベルに保持する機能を備えており、前記第2出力部の出力を同期整流素子駆動パルスとして用いることで前記2組の同期整流素子を相補的にオンオフさせることを特徴とするスイッチング電源装置。
  3. 請求項2記載のスイッチング電源装置に於いて、前記設定部は、更に、スイッチング電源装置が起動する際に、前記第4設定値を時間の経過と共に増加させることにより、所定の時間の間に徐々に前記2組の同期整流素子のオンデューティを広げる制御を行うことを特徴とするスイッチング電源装置。
  4. 請求項2記載のスイッチング電源装置に於いて、
    前記第1設定値によって、前記2組のスイッチング素子のスイッチング素子駆動パルス周期が設定され、
    前記第2設定値によって、前記2組のスイッチング素子を相補的にオンオフする際の第1デッドタイムが決定され、
    前記第3設定値によって、前記2組のスイッチング素子に相補的にオンしてから前記2組の同期整流素子が相補的にオンするまでの第2デッドタイムが決定され、
    前記第4設定値によって、前記2組の同期整流素子の相補的なオフを前記2組のスイッチング素子の相補的なオフよりも速くするための第3デッドタイムが決定されることを特徴とするスイッチング電源装置。
  5. 請求項2記載のスイッチング電源装置に於いて、更に、
    前記駆動パルス生成回路が出力する前記スイッチング素子駆動パルスを分配した信号によって前記2組のスイッチング素子を相補的にオンオフするように動作させ、
    前記駆動パルス生成回路が出力する前記同期整流素子駆動パルスを分配した信号によって前記2組の同期整流素子を相補的にオンオフするように動作させる、
    ことを特徴とするスイッチング電源装置。
  6. 請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、
    前記非安定型コンバータの前段に、出力電圧を所定の電圧に安定化する機能を備えた安定型コンバータを接続し、前記安定型コンバータの出力を前記非安定型コンバータの入力とし、前記非安定型コンバータの出力をスイッチング電源装置の出力としたことを特徴とするスイッチング電源装置。
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