JP6714053B2 - 切削加工用ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、水酸基価が200〜2000mgKOH/gでHLB値が10.0以上20.0以下のポリオール(A)と、HLB値が4.0以上10.0未満のポリオール(B)と、ポリイソシアネート(C)との硬化物及びカーボンブラック(D)を含有するポリウレタン樹脂組成物であって、ポリオール(A)とポリオール(B)との重量比(A)/(B)が90/10〜99.9/0.1である切削加工用ポリウレタン樹脂組成物(X)である。
エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコール;トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トルエンジアミンなどのアミン;ビスフェノールA、ビスフェノールF等の多価フェノール等およびそれらの混合物に、アルキレンオキサイド(以下、AOと略記することがある。)を付加した化合物である。
付加するAOとしては炭素数2〜8のものが好ましく、プロピレンオキサイド(以下、POと略記することがある)、エチレンオキサイド(以下、EOと略記することがある)、ブチレンオキサイド等が挙げられ、2種以上用いてもよいが、好ましいものはPO単独、EO単独、およびPOとEOの混合である。2種以上併用の際の付加形式はブロック状でもランダム状でもよい。
前記の多価アルコール[エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−または1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;前記ポリエーテルポリオール(特に2価のポリエーテルポリオール);またはこれらとグリセリン、トリメチロールプロパン等の3価又はそれ以上の多価アルコールとの混合物]と、アジピン酸、セバシン酸などのポリカルボン酸、もしくはそのエステル形成性誘導体〔無水マレイン酸、無水フタル酸など酸無水物、テレフタル酸ジメチルなどの低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル等〕とのポリエステルポリオール;前記カルボン酸無水物およびAOとの縮合反応物;これらの縮合反応物のAO(EO、PO等)付加物;多価アルコールを開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるポリラクトンポリオール;多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応で得られるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
HLB値が10未満であるポリオールでは、耐熱性が不十分であり、HLB値が20を超えるポリオールでは、工業的にポリウレタン樹脂組成物が得られにくい。
HLB値は、好ましくは11.0〜19.5、さらに好ましくは12.0〜19.1である。
また、ポリオールが2種または3種以上の場合、HLB値は各ポリオールのHLB値の重量による相加平均値である。
水酸基価は、好ましくは250〜1,200、さらに好ましくは300〜900、特に好ましくは350〜800である。
なお、本発明における水酸基価は、JIS K0070(1995年版)に規定の方法で測定される。また、ポリオールが2種または3種以上の場合、水酸基価は各ポリオールの水酸基価の重量による相加平均値である。
また、ひまし油誘導体とは、ひまし油に他の化合物を反応させたひまし油誘導体のことであり、分子量は1,000〜1,500が好ましい。
ひまし油誘導体としては、ひまし油に上記AOを付加した化合物が挙げられる。AOとしては炭素数2〜4のものが好ましく、上記EO、PO等が挙げられ、2種以上用いてもよい。
HLB値が4未満でも、該HLB値が10以上でも、外観を改善する効果が得られにくい。HLB値は、好ましくは4.0〜9.0、さらに好ましくは4.4〜8.0である。
(C)としては、芳香族ポリイソシアネート(C1)、脂肪族ポリイソシアネート(C2)、脂環式ポリイソシアネート(C3)、芳香脂肪族ポリイソシアネート(C4)およびこれらの変性物(C5)(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、またはオキサゾリドン基含有変性物など)が挙げられる。
(C)は1種でも、2種以上を併用してもよい。
具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI、またはポリメリックMDI)、などが挙げられる。
具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDIなどが挙げられる。
また、ポリイソシアネート(C)中のイソシアネート基含有率は、10〜40重量%が好ましい。
この目的で添加する無機バルーン(E)は、一般に市販されている各種の無機バルーンが使用できるが、例えば、ガラスマイクロバルーンが好ましい。
無機バルーン(E)の使用量は、組成物の成形性と線膨張率を小さくする観点からポリオール(A)および(B)とポリイソシアネート(C)の合計重量に基づいて、1重量%〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは2重量%〜25重量%、特に好ましくは3重量%〜20重量%である。
添加剤(G)としては、脱水剤、滑剤、可塑剤、チクソ性付与剤、充填剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、抗酸化剤、着色剤、難燃剤、防黴剤、抗菌剤、分散剤(沈降防止剤)、消泡剤、整泡剤、発泡剤が挙げられる。
各種(G)の添加量はポリオール(A)、(B)とポリイソシアネート(C)の合計重量に基づいて、30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは20重量%以下である。
本発明のポリウレタン樹脂成形品(Y)は、切削加工用ポリウレタン樹脂組成物(X)を成形してなる。
ポリウレタン樹脂成形品(Y)は、例えば、 上記の(A)〜(D)の構成原料と、必要により、前述の無機バルーン(E)ウレタン化触媒(F)、添加剤(G)とを、容器に入れて、混合したものを型に流し込んで、ウレタン反応により硬化させて得られる。
また、さらに、必要により切削、切断、裁断、抜き打ち、熱プレス等の加工を行ってもよい。
サンニックスGP−250(A−1)[三洋化成工業(株)製]2732.8部、サンニックスGP−3000(B−1)[三洋化成工業(株)製]143.8部、カーボンECP600JD(D−1)[ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ製]79.4部、グラスバブルズK37(E−1)[スリーエム(株)製]1587.3部、ネオスタンU−600(F−1)[トーソー(株)製]0.288部、モレキュラーシーブ3A−Bパウダー(G−1)[ユニオン昭和社製]398.6部の各成分を18Lペール缶で混合し、この混合物を市販の真空攪拌脱泡機に投入し、真空下回転数300rpmで30分間攪拌混合した。次に、コロネートMX(C−1)[トーソー(株)製]5059.6部を投入し、真空下、300rpmで15分間撹拌した。
この脱泡された混合液を、縦450mm×横450mm×高さ100mmの金型に注入し、硬化炉にて100℃で10時間加熱して硬化させることにより、本発明のポリウレタン樹脂組成物(X−1)を得た。
表1に記載の部数で、実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜10のポリウレタン樹脂組成物(X−2)〜(X−10)および比較例1〜4のポリウレタン樹脂組成物(X‘−1)〜(X’−4)を得た。
ポリオール(A−2):サンニックス GP−400、三洋化成工業(株)製、平均官能基数3.0、数平均分子量420、水酸基価400、HLB値12.4であるグリセリンのPO付加物。
ポリオール(A−3):サンニックス SP−750、三洋化成工業(株)製、平均官能基数6.0、数平均分子量750、水酸基価450、HLB値15.0である、ソルビトールのグリセリンのPO付加物
ポリオール(B−1):サンニックス GP−3000、三洋化成工業(株)製、平均官能基数3.0、数平均分子量3,000、水酸基価56、HLB値5.1である、グリセリンのPO付加物
ポリオール(B−2):サンニックス GP−1000、三洋化成工業(株)製、平均官能基数3.0、数平均分子量1000、水酸基価約168、HLB値7.4である、グリセリンのPO付加物
ポリオール(B−3):ひまし油 SL、伊藤製油(株)製、平均官能基数2.7、数平均分子量950、水酸基価160、HLB値4.4]
ポリオール(B’−1): オレイルアルコール、平均官能基数1.0、数平均分子量269、水酸基価209、HLB値 2.8 ]
ポリオール(B’−2): エチレングリコール、平均官能基数2.0、数平均分子量62、水酸基価1810、HLB値50.0]
ポリイソシアネ−ト(C−2):VESTANAT IPDI[イソホロンジイソシアネート、EVONIC社製、イソシアネート基含有率37.6重量%]
カーボンブラック(D−2):BET比表面積が800m2/gである導電性カーボンブラック粉末「カーボンECP」(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ製)
ウレタン化触媒(F−1):ネオスタン U−600[日東化成社製]
脱水剤:(G−1):モレキュラーシーブ3A−Bパウダー[ユニオン昭和社製]
その結果を表1に示す。
直方体形状の成形品の中心部から、200mm×100mm×30mmの試験片を切り出し、25℃に温調された室内で試験片の重量を秤量し、3辺の長さの積より算出した体積で除して密度(g/cm3)とした。
成形品の樹脂表面にまだら状の模様の「むら」が無いか、外観を以下の基準で、目視にて判別した。
○:むらがない
△:わずかにむらがある
×:むらがある
成形品を、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmに切断して試験片とし、支点間距離64mmで1.8MPaの荷重をかけ、JIS K7191に準じて熱変形温度(℃)を測定した。
測定はヒートディストーションテスター[(株)安田精機製作所製、型番No.148−HDPC−3]を使用した。
成形品の表面を1mm切削加工して表面部のスキン層を取り除き、切削面に残った切削粉をよく取り除いた後に、表面抵抗計ST−4(シムコジャパン製)を用いて切削面の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。
直方体形状の成形品をJIS K6253に従い、タイプDデュロメーターで5回測定して平均値を求め、これをショアD硬度とした。
成形品を80mm×30mm×10mmに切り出して切削抵抗評価用試験片とした。
25℃に温調された室内で、NCマシンで切削(切削刃:超硬スロウアウェイチップ、1枚刃、16mmφ、回転数:5,000rpm、送り速度:3,000mm/分、切り込み深さ:3mm)したときに、切削刃が刃物送り方向から受ける抵抗力を4成分動力計[KISTLER(株)製「9272型」、増幅器:KISTLER(株)製「チャージアンプ5011型」、記録計:グラフテック(株)製「WR7700」]で測定した。
抵抗の数値(単位はN)が小さいほど切削加工性が良好であることを示す。
一方、ポリオール(B)を使用しない組成である比較例1、ポリオール(B)のHLB値が10以上の比較例2、およびポリオー(B)のHLBが4未満の比較例3のポリウレタン樹脂組成物の表面にまだら状の模様の「むら」が認められ、外観が悪い。また、ポリオール(A)/ポリオール(B)の比率が90/10未満の比較例4のポリウレタン樹脂組成物は、外観はよいものの、熱変形温度が大幅に低下して耐熱性が悪く、切削抵抗も大きいため切削加工性も悪い。
さらに、線膨張率が低く、高温時の寸法変化が小さいため、高温処理が必要な電子部品用の治具、搬送トレイ、およびレーザープリンター等の画像形成装置用の素材として特に有用である。
Claims (6)
- 水酸基価が200〜2000mgKOH/gでHLB値が10.0以上20.0以下のポリオール(A)と、HLB値が4.0以上10.0未満のポリオール(B)と、ポリイソシアネート(C)との硬化物及びカーボンブラック(D)を含有するポリウレタン樹脂組成物であって、ポリオール(A)とポリオール(B)との重量比(A)/(B)が90/10〜99.9/0.1である切削加工用ポリウレタン樹脂組成物(X)。
- ポリオール(B)がひまし油、ひまし油のアルキレンオキサイド付加物、及びグリセリンのアルキレンオキサイド付加物からなる群より選ばれる1種以上である請求項1記載の切削加工用ポリウレタン樹脂組成物。
- 前記(A)〜(C)の合計重量に基づいて、(D)の含有量が0.1重量%〜3重量%である請求項1または2に記載の切削加工用ポリウレタン樹脂組成物。
- 前記カーボンブラック(D)のBET法による比表面積が200〜2,000m2/gである請求項1〜3のいずれかに記載の切削加工用ポリウレタン樹脂組成物。
- さらに、無機バルーン(E)を含有する請求項1〜4のいずれかに切削加工用ポリウレタン樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物を成形加工してなるポリウレタン樹脂成形品(Y)。
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