JP6711510B2 - 嵌合部材及びこれを備えた軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、自動車等の軸受部に組み付けられる嵌合部材及びこれを備えた軸受装置に関する。
従来より、相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材で構成される軸受部における被嵌合部材の外周面や内周面に嵌合されるキャップや、エンコーダを構成する磁性ゴム環が設けられた芯金、シール(密封装置)の芯金等の金属製の円筒部を有した種々の嵌合部材が知られている。このような嵌合部材は、圧入によって被嵌合部材に嵌合固定されるが、振動等の繰り返し作用する衝撃や経年劣化等によって緩みが生じ軸方向に位置ずれが生じたり、抜け易くなることが考えられた。
例えば、下記特許文献1には、軸受に固定されるセンサユニットの環状の固定部材の圧入部に、外輪の外径面に設けられた周溝に折り曲げて係合される係合爪を設けた軸受装置が開示されている。
また、下記特許文献2及び下記特許文献3には、軸受の外方部材に固定される外部シールの芯金や保護カバーの嵌合部を外方部材に圧入させた後に、嵌合部の端部を、外方部材の外周に設けられた環状溝に向かって塑性変形させて加締部とした軸受装置が開示されている。
また、下記特許文献4には、軸受の外方部材の外周に環状溝を設け、この外方部材に固定される保護カバーの嵌合部に、内径側に突出し、外方部材の環状溝に係合する係止部を設けた軸受装置が開示されている。
特開2005−351668号公報 特開2007−303490号公報 特開2009−228818号公報 特開2009−228819号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載されたような構成とすれば、嵌合させた後に、折り曲げ工程や加締工程等が必要となり、組付工程が複雑化するという問題があった。また、上記特許文献4に記載されたような構成とすれば、圧入する際に内径側に突出した係止部が外方部材の外周に当接することで嵌合部が拡径するように変形することが考えられ、更なる改善が望まれる。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、組付工程を複雑化させることなく軸方向への位置ずれや抜けを抑制し得る嵌合部材及びこれを備えた軸受装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明に係る嵌合部材は、相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材で構成される軸受部における前記内側部材及び前記外側部材のうちのいずれかの被嵌合部材に嵌合される金属製の円筒部を有した嵌合部材であって、前記円筒部における圧入方向先端部には、前記被嵌合部材の周面から径方向一方側に段状に形成された段部に当接されることで径方向他方側に折曲変形可能とされ、かつ折り曲げられた状態で、該段部と前記周面との隅部に形成された径方向一方側に向けて開口する凹所に挿入される抜止片部が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、被嵌合部材に対して嵌合部材を圧入することで、嵌合部材の円筒部の抜止片部が径方向に折り曲げられて被嵌合部材の凹所に挿入されるので、圧入後における被嵌合部材に対する嵌合部材の軸方向への位置ずれや抜けを効果的に抑制することができる。つまり、凹所に挿入された抜止片部が凹所に引っ掛かるように係止し、嵌合部材の被嵌合部材に対する軸方向への移動を抑制することができる。また、被嵌合部材に対して嵌合部材を圧入させれば、抜止片部が段部に当接し、凹所に入り込むように折り曲げられるので、つまりは、嵌合部材を被嵌合部材に圧入させる際の荷重(圧入力)によって抜止片部が折り曲げられるので、圧入させた後に、折り曲げや加締等の工程を要さず、組付工程が複雑化するようなことを抑制することができる。
本発明においては、当該嵌合部材が前記被嵌合部材に圧入され、かつ前記抜止片部が前記段部に当接していない状態で、前記抜止片部における前記周面に対向する面の反対面と前記段部とのなす角度のうち前記凹所とは反対側のなす角度が鋭角となる構成としてもよい。
本発明によれば、抜止片部における周面に対向する面の反対面と段部とが直交状とされたものと比べて、段部に当接した抜止片部が凹所側に折り曲げられ易くなり、抜止片部を円滑に凹所に挿入させることができる。
本発明においては、前記抜止片部を、厚さ寸法が前記円筒部の厚さ寸法よりも小とされたものとしてもよい。
本発明によれば、抜止片部の厚さ寸法を円筒部の厚さ寸法と同寸法としたものと比べて、抜止片部が折曲変形し易くなり、嵌合部材を被嵌合部材に圧入させる際に要する荷重が過大となるようなことを抑制することができる。
本発明においては、前記抜止片部の少なくとも先端部に、反円筒部側に開口するように厚さ方向の全体に亘って切欠状とされた切欠状部が周方向に間隔を空けて複数箇所に設けられたものとしてもよい。
本発明によれば、このような切欠状部を設けていないものと比べて、抜止片部が折曲変形し易くなり、嵌合部材を被嵌合部材に圧入させる際に要する荷重が過大となるようなことを抑制することができる。また、切欠状部を設ける個数や周方向に沿う寸法を適宜、調整することで、嵌合部材を被嵌合部材に圧入させる際に要する荷重や、折り曲げられて凹所に挿入された抜止片部による抜止力を調整することも可能となる。
本発明においては、当該嵌合部材が前記被嵌合部材に圧入され、かつ前記抜止片部が前記段部に当接していない状態で、前記抜止片部が前記周面に接触しないように設けられたものとしてもよい。
本発明によれば、嵌合部材を被嵌合部材に圧入させる際に、抜止片部が周方向の全体に亘って被嵌合部材の周面に摺るように接触するようなものと比べて、抜止片部が圧入の妨げとなるようなことを抑制することができ、嵌合部材を被嵌合部材に円滑に圧入することができる。
本発明においては、前記周面を、前記被嵌合部材の外周面とし、前記抜止片部を、径方向外側に向けて開口する前記凹所に挿入されるものとしてもよい。つまり、嵌合部材が被嵌合部材の外周側に外嵌状に嵌合する構成としてもよい。
本発明によれば、圧入させる際に嵌合部材が拡開する方向に変形し易くなるが、抜止片部によって圧入後における被嵌合部材に対する嵌合部材の軸方向への位置ずれや抜けを効果的に抑制することができる。
本発明においては、前記周面を、前記被嵌合部材の内周面とし、前記抜止片部を、軸心側に向けて開口する前記凹所に挿入されるものとしてもよい。つまり、嵌合部材が被嵌合部材の内周側に内嵌状に嵌合する構成としてもよい。
本発明によれば、抜止片部によって圧入後における被嵌合部材に対する嵌合部材の軸方向への位置ずれや抜けを効果的に抑制することができる。
また、前記目的を達成するために、本発明に係る軸受装置は、本発明に係る嵌合部材と、相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材と、を備えており、前記嵌合部材が嵌合される前記内側部材及び前記外側部材のうちのいずれかの被嵌合部材には、前記段部と前記凹所とが設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、上記同様、嵌合部材の組付工程を複雑化させることなく軸方向への位置ずれや抜けを抑制することができる。
本発明に係る嵌合部材及びこれを備えた軸受装置は、上述のような構成としたことで、組付工程を複雑化させることなく軸方向への位置ずれや抜けを抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る嵌合部材の一例及びこれを備えた軸受装置の一例を模式的に示す概略縦断面図である。 (a)は、図1におけるX部に対応させた一部破断概略拡大縦断面図、(b)は、(a)に対応させた一部破断概略分解縦断面図である。 (a)は、図2(a)に対応させた一部破断概略分解縦断面図、(b)は、図2(b)におけるV−V線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。 (a)は、図1におけるY部に対応させた一部破断概略拡大縦断面図、(b)は、(a)に対応させた一部破断概略分解縦断面図である。 (a)は、図1におけるZ部に対応させた一部破断概略拡大縦断面図、(b)は、(a)に対応させた一部破断概略分解縦断面図である。 (a)、(b)は、本発明の他の実施形態に係る嵌合部材の一例及びこれを備えた軸受装置の一例を模式的に示し、(a)は、図2(a)に対応させた一部破断概略縦断面図、(b)は、(a)に対応させた一部破断概略分解縦断面図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の各実施形態では、軸L方向一方側(図1における紙面右側)を車体側、軸L方向他方側(図1における紙面左側)を車輪側として説明する。
図1〜図5は、第1実施形態に係る嵌合部材の一例及びこれを備えた軸受装置(軸受部)の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る嵌合部材10は、図1に示すように、相対的に同軸回転する内側部材としての内輪3及び外側部材としての外輪2で構成される軸受部1における内輪3及び外輪2のうちのいずれかの被嵌合部材2に装着される構成とされている。本実施形態に係る軸受装置1は、この嵌合部材10が装着される軸受部を構成し、嵌合部材10と、相対的に同軸回転する内輪3及び外輪2と、を備えている。
図1では、自動車の車輪(従動輪)を軸回転可能に支持する軸受装置1の一例としてのハブベアリングを示している。この軸受装置1は、外輪2と、ハブ輪4と、このハブ輪4の車体側に嵌合一体とされる内輪部材5と、外輪2とハブ輪4及び内輪部材5との間に介装される2列の転動体(ボール)8,8・・・と、を備えている。この例では、ハブ輪4及び内輪部材5が内輪3を構成する。
外輪2は、自動車の車体に固定される。
内輪3(ハブ輪4及び内輪部材5)は、外輪2に対して、軸L回りに回転可能とされ、外輪2と内輪3とにより、相対的に回転する2部材が構成され、これら2部材間に被密封空間となる環状空間6が形成され、この環状空間6には、転動体8,8・・・の転動を円滑にするためのグリース等の潤滑剤が充填される。
環状空間6内には、2列の転動体8,8・・・がリテーナ7に保持された状態で、外輪2の軌道輪2a,2a、ハブ輪4及び内輪部材5の軌道輪4a,5aを転動可能に介装されている。ハブ輪4は、円筒状(円柱状)のハブ輪本体と、ハブ輪本体より立上基部を介して径方向外側に延出するよう形成されたハブフランジと、を有し、ハブフランジにボルト及びナットによって車輪(従動輪)が取り付けられ固定される。ハブ輪4と内輪部材5とは、ハブ輪4の車体側の端部を内輪部材5にかしめることによって一体とされる。
環状空間6の車体側の端部は、外輪2における車体側の端部(車体側端部)2eに嵌合され、外輪2の開口部を封止する、嵌合部材を構成するキャップ10によって密封される。環状空間6の車輪側の端部は、ベアリングシール(密封装置)20によって密封される。つまり、これらキャップ10及びベアリングシール20が密封部材として機能し、これらによって環状空間6の軸L方向両端部が密封され、環状空間6内への汚泥等の侵入や環状空間6内に充填された潤滑剤(グリース等)の外部への漏出が抑制される。
キャップ10は、被嵌合部材としての外輪2に嵌合される金属製の円筒部12を有している。また、キャップ10は、外輪2の開口部を封止する円板部11を有している。この円板部11の外周縁部に円筒部12が一連状に形成されている。図例では、円板部11は、外輪2の車体側に向く端面に当接される円輪状(円環状)とされた外周側部位の円心側に、車体側に向かうに従い縮径状(先細り状)となるテーパ筒部を設けた構成とされ、このテーパ筒部の先端側となる円心側に円心側円板部を設けた例を示している。
このキャップ10は、ステンレス鋼板や冷間圧延鋼板などの鋼板から形成された金属製とされ、プレス加工等によって形成されている。
また、図2に示すように、円筒部12における圧入方向先端部には、外輪2の周面2bから径方向外側(径方向一方側)に段状に形成された段部2cに当接されることで軸心(径方向内)側(径方向他方側)に折曲変形可能とされ、かつ折り曲げられた状態で、段部2cと周面2bとの隅部に形成された径方向外側(径方向一方側)に向けて開口する凹所2dに挿入される抜止片部13が設けられている。
本実施形態では、外輪2の周面を外周面2bとし、このキャップ10の円筒部12が外輪2の車体側端部2eに外嵌される構成としている。つまり、円筒部12の内周面が外輪2の外周面2bに対面する構成とされている。この円筒部12の内径は、締り嵌めとなるよう、外輪2の車体側端部2eの外径よりも僅かに小さい径とされている(図2(b)参照)。
外輪2の段部2cは、外輪2の外周面2bから径方向外側に段状となるように設けられ、かつ車体側に向くように設けられている。この段部2cは、外輪2の車体側端部2eよりも車輪側の外周部分に、車体側端部2eよりも大径状となるように段付部を設けて全周に亘って形成されている(図1も参照)。また、この段部2cを、外周面2bに対して直交状となる垂直面状としている。つまり、周方向に見て(縦断面視して)、段部2cと外周面2bとのなす角度を直角としている。
凹所2dは、径方向外側に向けて開口するように設けられている。この凹所2dは、外周面2bにおける段部2cとの隅部を掘り下げるように形成され、車体側に向く一方の内側面が段部2cに面一状に連なるように形成されている。また、この凹所2dを、周方向に延びるように、かつ外周面2bの全周に亘って溝状に設けている。図例では、この凹所2dを、周方向に見て(縦断面視して)、径方向外側に向く溝底面が凹湾曲面状とされた略U字溝状としているが、矩形溝状や台形溝状等としてもよい。この凹所2dの径方向に沿う深さ寸法や軸L方向に沿う幅寸法は、抜止片部13の受け入れが可能なように、また、挿入された抜止片部13によってキャップ10の軸L方向への移動の抑制が可能なように適宜の寸法としてもよい。
抜止片部13は、外輪2の段部2cに当接されることで軸心側に折り曲げられ、径方向外側に向けて開口する外輪2の凹所2dに挿入される構成とされている。本実施形態では、図2(b)及び図3(a)に示すように、この抜止片部13を、当該キャップ10(円筒部12)が外輪2に圧入され、かつ抜止片部13が段部2cに当接していない状態で、外輪2の外周面2bに接触しないように設けている。換言すれば、折り曲げられていない状態における抜止片部13の内径(最も軸心側の部位の内径)を、外輪2の車体側端部2eの外径よりも大としている。
また、この抜止片部13の厚さ寸法を、円筒部12の厚さ寸法よりも小としている。本実施形態では、抜止片部13における外輪2の外周面2bに対向する側となる内周側に、円筒部12の内周面から段下がり状となる凹段部を設けて抜止片部13を円筒部12よりも薄くしている。
この抜止片部13の厚さ寸法は、抜止片部13の折曲容易性や強度上の観点、つまり、キャップ10の外輪2への圧入に伴い抜止片部13が折り曲げられ易いように、また、折り曲げられて外輪2の凹所2dに挿入された抜止片部13によるキャップ10の軸L方向への移動の抑制が可能なように、適宜の寸法としてもよい。この抜止片部13の厚さ寸法を、例えば、円筒部12の厚さ寸法(例えば、0.5mm〜1.5mm程度)の1/3〜1/2程度とするのが望ましく、図例では、2/5程度とした例を示している。なお、図例では、抜止片部13を、周方向に見た(縦断面視した)状態における基端部から先端部までの幅方向の全体に亘って概ね一様な厚さ寸法とした例を示しているが、先端側に向かうに従い先太り状となるように、先端側の厚さ寸法を基端側の厚さ寸法よりも大としてもよい。
また、抜止片部13の幅寸法(周方向に見た(縦断面視した)状態における基端部から先端部までの寸法)は、外輪2の凹所2dに挿入可能なように、また、折り曲げられて凹所2dに挿入された抜止片部13によるキャップ10の軸L方向への移動の抑制が可能なように、適宜の寸法としてもよい。上記のように抜止片部13の内周側に凹段部を設けて薄くした場合には、抜止片部13の幅寸法を、少なくとも円筒部12の厚さ寸法よりも大とすればよい。この抜止片部13の幅寸法を、折り曲げられて凹所2dに挿入された部位の径方向に沿う寸法(引っ掛かり代)が0.2mm以上となるように適宜の寸法としてもよい。
また、抜止片部13における外輪2の外周面2bに対向する面の反対面となる外周側面13aを、円筒部12の外周面に連なるように設けている。また、本実施形態では、図3(a)に示すように、当該キャップ10(円筒部12)が外輪2に圧入され、かつ抜止片部13が段部2cに当接していない状態で、この抜止片部13の外周側面13aと外輪2の段部2cとのなす角度のうち凹所2dとは反対側のなす角度(傾斜角度)θが鋭角となる構成としている。つまり、当該キャップ10(円筒部12)が外輪2に圧入され、かつ抜止片部13が段部2cに当接していない状態で、抜止片部13の外周側面13aに同一平面状となる仮想面と、この仮想面が交差する段部2cにおける交差部よりも径方向外側となる面と、のなす角度としての傾斜角度θが90度未満となる構成としている。この傾斜角度θは、キャップ10の外輪2への圧入に伴い抜止片部13が折り曲げられ易いように、また、上記引っ掛かり代が効果的に大きくなるように、適宜の角度としてもよい。例えば、この傾斜角度θを、60度〜85度程度としてもよく、好ましくは、70度〜80度程度としてもよく、図例では、略75度とした例を示している。
また、本実施形態では、幅方向の全体に亘って概ね一様な厚さとされた抜止片部13自体を、円筒部12に対して傾斜状、つまり、円筒部12から離れるに従い縮径状(先細り状)のテーパ筒状となるように設けた構成としている。
また、本実施形態では、図3(b)に示すように、抜止片部13の少なくとも先端部に、反円筒部12側(車輪側)に開口するように厚さ方向の全体に亘って切欠状とされた切欠状部14を周方向に間隔を空けて複数箇所に設けた構成としている。これら切欠状部14は、周方向に略等間隔を空けて設けられたものとしてもよい。また、これら切欠状部14の開口方向に沿う寸法(抜止片部13の幅方向に沿う寸法)は、キャップ10の外輪2への圧入に伴い抜止片部13が折り曲げられ易いように、適宜の寸法としてもよく、抜止片部13の幅寸法の2/3以上とするのが望ましい。図例では、抜止片部13の円筒部12側端部となる基端部側部位を僅かに残すように切欠状部14を設けた例を示している。また、図例では、径方向に見て、切欠状部14を略U字状とした例を示しているが、略矩形状や略台形状等としてもよい。
また、切欠状部14を設ける個数や切欠状部14の周方向に沿う寸法は、抜止片部13の折曲容易性や強度上の観点等から適宜の個数や寸法としてもよい。つまり、切欠状部14の個数を多くしたり、切欠状部14の周方向に沿う寸法を大きくしたりするに従い、抜止片部13が折り曲げられ易くなり、キャップ10を外輪2に圧入させる際に要する荷重を小さくすることが可能となるが、折り曲げられて外輪2の凹所2dに挿入された抜止片部13によるキャップ10の車体側への移動を抑制する抜止力が低下する傾向がある。このような観点から、切欠状部14の個数や周方向に沿う寸法を適宜、設定するようにしてもよい。
なお、抜止片部13の先端側のみに切欠状部14を設けた態様に代えて、抜止片部13の幅方向の全体に亘って切欠状部14を設けた態様としてもよい。換言すれば、抜止片部13を、周方向に(切欠状部14となる)間隔(略等間隔)を空けて複数箇所に設けた態様としてもよい。また、このような切欠状部14を設けた場合には、外輪2の段部2cや凹所2dを全周に亘って設けずに、周方向に間隔を空けて設けられた抜止片部13に対応させて、外輪2の段部2cや凹所2dを周方向に間隔を空けて複数箇所に設けた構成としてもよい。
また、図例では、抜止片部13が円筒部12に対して概ね直交状に折り曲げられたように示しているが、折り曲げられて凹所2dに挿入された抜止片部13が凹所2dに引っ掛かるように係止すればよく、折り曲げられた状態で円筒部12に対して傾斜状となるような態様としてもよい。
また、本実施形態では、図1に示すように、内輪3(内輪部材5)の車体側の端部(車体側端部)5eに嵌合され、環状の多極磁石からなる磁性環(磁気エンコーダ、磁性ゴム環)16Aを有した、嵌合部材を構成する支持リング15を備えている。つまり、本実施形態では、嵌合部材として、外輪2に嵌合するキャップ10に加え、内輪3(内輪部材5)に嵌合する支持リング15を備えた構成としている。
支持リング15は、図4に示すように、被嵌合部材としての内輪3に嵌合される金属製の円筒部17を有している。また、支持リング15は、車体側の面に磁性環16Aが設けられた鍔状部16を有している。鍔状部16は、円筒部17の車体側端部17aに一連状に全周に亘って円輪状に設けられている。この支持リング15は、キャップ10と同様、ステンレス鋼板や冷間圧延鋼板などの鋼板から形成された金属製とされ、プレス加工等によって形成されている。
鍔状部16に設けられた磁性環16Aの車体側に、キャップ10の円板部11の外周側部位を介して対峙するように磁気センサ9(図1参照)が車体に設置される。この磁気センサ9を車体に設置した状態で、内輪3(ハブ輪4及び内輪部材5)が軸L回りに回転すれば、磁性環16Aによる磁気変化が磁気センサ9によって検出され、この磁気変化の検出によって、ハブ輪4に取付けられる車輪の回転数等の回転状態のデータを得ることができる。
支持リング15の円筒部17における圧入方向先端部には、図4に示すように、内輪3を構成する内輪部材5の周面5bから径方向外側(径方向一方側)に段状に形成された段部5cに当接されることで径方向内側(径方向他方側)に折曲変形可能とされ、かつ折り曲げられた状態で、段部5cと周面5bとの隅部に形成された径方向外側(径方向一方側)に向けて開口する凹所5dに挿入される、上記したキャップ10の抜止片部13と概ね同様な抜止片部18が設けられている。また、上記同様、内輪部材5の周面を外周面5bとし、この支持リング15の円筒部17が内輪部材5の車体側端部5eに外嵌される構成としている。つまり、円筒部17の内周面が内輪部材5の外周面5bに対面する構成とされている。この円筒部17の内径は、上記同様、締り嵌めとなるよう、内輪部材5の車体側端部5eの外径よりも僅かに小さい径とされている(図4(b)参照)。
内輪部材5の段部5cは、外輪2の段部2cと概ね同様、外周面5bから径方向外側に段状となるように全周に亘って設けられ、かつ車体側に向くように設けられている。また、この段部5cを、外周面5bに対して直交状となる垂直面状としている。
また、内輪部材5の凹所5dは、外輪2の凹所2dと概ね同様、径方向外側に向けて開口するように設けられ、かつ、周方向に延びるように外周面5bの全周に亘って溝状に設けられている。
支持リング15の抜止片部18は、上記と概ね同様、内輪部材5の段部5cに当接されることで軸心側(径方向内側)に折り曲げられ、径方向外側に向けて開口する内輪部材5の凹所5dに挿入される構成とされている。また、この抜止片部18を、当該支持リング15(円筒部17)が内輪部材5に圧入され、かつ抜止片部18が段部5cに当接していない状態で、内輪部材5の外周面5bに接触しないように設けている。また、この抜止片部18の厚さ寸法を、円筒部17の厚さ寸法よりも小としている。また、上記同様、抜止片部18における内輪部材5の外周面5bに対向する側となる内周側に、円筒部17の内周面から段下がり状となる凹段部を設けて抜止片部18を円筒部17よりも薄くしている。この抜止片部18の厚さ寸法や幅寸法は、上記同様な観点から適宜の寸法としてもよい。
また、抜止片部18における内輪部材5の外周面5bに対向する面の反対面となる外周側面18aを、円筒部17の外周面に連なるように設けている。また、上記同様、当該支持リング15(円筒部17)が内輪部材5に圧入され、かつ抜止片部18が段部5cに当接していない状態で、この抜止片部18の外周側面18aと内輪部材5の段部5cとのなす角度のうち凹所5dとは反対側のなす角度(傾斜角度)が鋭角となる構成としている。この傾斜角度は、上記同様、適宜の角度としてもよい。
また、上記同様、抜止片部18の少なくとも先端部に、反円筒部17側(車輪側)に開口するように厚さ方向の全体に亘って切欠状とされた切欠状部19を周方向に間隔を空けて複数箇所に設けた構成としている。これら切欠状部19の開口方向に沿う寸法(抜止片部18の幅方向に沿う寸法)や周方向に沿う寸法、切欠状部19を設ける個数等は、上記同様、適宜の寸法や個数としてもよい。
ベアリングシール20は、図5(a)に示すように、外輪2の車輪側端部2fの内周面に嵌合される芯金21に、複数のリップ22,23,24を有したシール部材を加硫成型等によって固着させた構成とされている。図例では、環状空間6側とは反対側に延出するように設けられ、摺接対象の車体側を向く面(アキシャル面)にそれぞれ摺接する第1リップ22及び第2リップ23と、環状空間6側に延出するように設けられ、摺接対象の外周面(ラジアル面)に摺接する第3リップ24と、を設けた例を示している。これら各リップ22,23,24の摺接面に、環状空間6内に充填されるグリースとは別に予めグリースが塗布されたものとしてもよい。なお、リップ22,23,24の個数や形状は、図例に限られず、種々の変形が可能である。また、図5(a)では、弾性変形前(自然状態)の各リップ22,23,24を二点鎖線にて示している。
また、本実施形態では、これらリップ22,23,24が摺接される摺接対象として、ハブ輪4に嵌合する嵌合部材を構成するハブ用スリンガ(デフレクタ)25を備えた構成としている。つまり、本実施形態では、嵌合部材として、外輪2に嵌合するキャップ10及び内輪部材5に嵌合する支持リング15に加え、ハブ輪4に嵌合するハブ用スリンガ25を備えた構成としている。
このハブ用スリンガ25は、キャップ10と同様、ステンレス鋼板や冷間圧延鋼板などの鋼板から形成された金属製とされ、プレス加工等によって形成されている。また、ハブ用スリンガ25は、各リップ22,23,24が摺接されるスリンガ本体26と、このスリンガ本体26の圧入方向先端側に設けられ円筒部を構成する先側円筒部27と、を備えている。
スリンガ本体26は、ハブ輪4の二段状に形成された立上基部4eの環状空間6側部位の外周面4fに締り嵌め状に嵌合される円筒部26aと、環状空間6側部位の外周面4fに連なるように設けられ周方向に見て凹湾曲面状とされたフランジ面4gに沿って延出するように車輪側に向かうに従い拡開状に形成され、フランジ面4gに当接される鍔状部26bと、を有している。
先側円筒部27は、スリンガ本体26の鍔状部26bの外周縁部から車輪側に延出するように設けられている。この先側円筒部27は、ハブ輪4の二段状に形成された立上基部4eのハブフランジ側部位の外周面4bに隙間嵌め状に嵌合される構成とされている。つまり、この先側円筒部27の内径は、立上基部4eのハブフランジ側部位の外径よりも僅かに大きい径とされている。
また、この先側円筒部27における圧入方向先端部には、図5に示すように、内輪3を構成するハブ輪4の周面4bから径方向外側(径方向一方側)に段状に形成された段部4cに当接されることで径方向内側(径方向他方側)に折曲変形可能とされ、かつ折り曲げられた状態で、段部4cと周面4bとの隅部に形成された径方向外側(径方向一方側)に向けて開口する凹所4dに挿入される、上記したキャップ10の抜止片部13と概ね同様な抜止片部28が設けられている。また、上記同様、ハブ輪4の周面を外周面4bとし、この先側円筒部27がハブ輪4の立上基部4eのハブフランジ側部位に外嵌される構成としている。
ハブ輪4の段部4cは、外輪2の段部2cと概ね同様、外周面4bから径方向外側に段状となるように全周に亘って設けられ、かつ車体側に向くように設けられている。また、この段部4cを、ハブフランジの車体側に向く面とし、外周面4bに対して直交状となる垂直面状としている。つまり、この段部4cは、ハブフランジの一部(基端部)で構成されている。
また、ハブ輪4の凹所4dは、外輪2の凹所2dと概ね同様、径方向外側に向けて開口するように設けられ、かつ、周方向に延びるように外周面4bの全周に亘って溝状に設けられている。
先側円筒部27の抜止片部28は、上記と概ね同様、ハブ輪4の段部4cに当接されることで軸心側(径方向内側)に折り曲げられ、径方向外側に向けて開口するハブ輪4の凹所4dに挿入される構成とされている。また、この抜止片部28を、当該ハブ用スリンガ25(先側円筒部27)がハブ輪4に圧入され、かつ抜止片部28が段部4cに当接していない状態で、ハブ輪4の外周面4bに接触しないように設けている。また、この抜止片部28の厚さ寸法を、先側円筒部27の厚さ寸法よりも小としている。また、上記同様、抜止片部28におけるハブ輪4の外周面4bに対向する側となる内周側に、先側円筒部27の内周面から段下がり状となる凹段部を設けて抜止片部28を先側円筒部27よりも薄くしている。この抜止片部28の厚さ寸法や幅寸法は、上記同様な観点から適宜の寸法としてもよい。
また、上記同様、抜止片部28におけるハブ輪4の外周面4bに対向する面の反対面となる外周側面28aを、先側円筒部27の外周面に連なるように設けている。また、当該ハブ用スリンガ25(先側円筒部27)がハブ輪4に圧入され、かつ抜止片部28が段部4cに当接していない状態で、この抜止片部28の外周側面28aとハブ輪4の段部4cとのなす角度のうち凹所4dとは反対側のなす角度(傾斜角度)が鋭角となる構成としている。この傾斜角度は、上記同様、適宜の角度としてもよい。
また、上記同様、抜止片部28の少なくとも先端部に、反先側円筒部27側(車輪側)に開口するように厚さ方向の全体に亘って切欠状とされた切欠状部29を周方向に間隔を空けて複数箇所に設けた構成としている。これら切欠状部29の開口方向に沿う寸法(抜止片部28の幅方向に沿う寸法)や周方向に沿う寸法、切欠状部29を設ける個数等は、上記同様、適宜の寸法や個数としてもよい。
本実施形態に係る嵌合部材を構成するキャップ10、支持リング15及びハブ用スリンガ25並びにこれらを備えた軸受装置1は、上述のような構成としたことで、組付工程を複雑化させることなく軸方向への位置ずれや抜けを抑制することができる。
つまり、円筒部(先側円筒部)12,17,27における圧入方向先端部に、被嵌合部材2,5,4の周面2b,5b,4bから径方向一方側に段状に形成された段部2c,5c,4cに当接されることで径方向他方側に折曲変形可能とされ、かつ折り曲げられた状態で、段部2c,5c,4cと周面2b,5b,4bとの隅部に形成された径方向一方側に向けて開口する凹所2d,5d,4dに挿入される抜止片部13,18,28を設けた構成としている。従って、被嵌合部材2,5,4に対して嵌合部材10,15,25を圧入することで、嵌合部材10,15,25の円筒部12,17,27の抜止片部13,18,28が径方向に折り曲げられて被嵌合部材2,5,4の凹所2d,5d,4dに挿入されるので、圧入後における被嵌合部材2,5,4に対する嵌合部材10,15,25の軸L方向への位置ずれや抜けを効果的に抑制することができる。つまりは、凹所2d,5d,4dに挿入された抜止片部13,18,28が凹所2d,5d,4dに引っ掛かるように係止し、嵌合部材10,15,25の被嵌合部材2,5,4に対する軸L方向への移動を抑制することができる。また、被嵌合部材2,5,4に対して嵌合部材10,15,25を圧入させれば、抜止片部13,18,28が段部2c,5c,4cに当接し、凹所2d,5d,4dに入り込むように折り曲げられるので、つまりは、嵌合部材10,15,25を被嵌合部材2,5,4に圧入させる際の荷重(圧入力)によって抜止片部13,18,28が折り曲げられるので、圧入させた後に、折り曲げや加締等の工程を要さず、組付工程が複雑化するようなことを抑制することができる。
また、本実施形態では、嵌合部材10,15,25が被嵌合部材2,5,4に圧入され、かつ抜止片部13,18,28が段部2c,5c,4cに当接していない状態で、抜止片部13,18,28における周面2b,5b,4bに対向する面の反対面(外周側面)13a,18a,28aと段部2c,5c,4cとのなす角度のうち凹所2d,5d,4dとは反対側のなす角度(θ)が鋭角となる構成としている。従って、抜止片部13,18,28における周面2b,5b,4bに対向する面の反対面13a,18a,28aと段部2c,5c,4cとが直交状とされたものと比べて、段部2c,5c,4cに当接した抜止片部13,18,28が凹所2d,5d,4d側に折り曲げられ易くなり、抜止片部13,18,28を円滑に凹所2d,5d,4dに挿入させることができる。
また、本実施形態では、抜止片部13,18,28の厚さ寸法を、円筒部12,17,27の厚さ寸法よりも小としている。従って、抜止片部13,18,28の厚さ寸法を円筒部12,17,27の厚さ寸法と同寸法としたものと比べて、抜止片部13,18,28が折曲変形し易くなり、嵌合部材10,15,25を被嵌合部材2,5,4に圧入させる際に要する荷重が過大となるようなことを抑制することができる。
また、本実施形態では、円筒部12,17,27における被嵌合部材2,5,4の周面2b,5b,4bに対向する面側に凹段部を設けて抜止片部13,18,28を円筒部12,17,27よりも薄くした構造としているので、嵌合部材10,15,25を圧入させる際における抜止片部13,18,28の被嵌合部材2,5,4の周面2b,5b,4bへの接触を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、抜止片部13,18,28の少なくとも先端部に、反円筒部側に開口するように厚さ方向の全体に亘って切欠状とされた切欠状部14,19,29を周方向に間隔を空けて複数箇所に設けた構成としている。従って、このような切欠状部14,19,29を設けていないものと比べて、抜止片部13,18,28が折曲変形し易くなり、嵌合部材10,15,25を被嵌合部材2,5,4に圧入させる際に要する荷重が過大となるようなことを抑制することができる。また、切欠状部14,19,29を設ける個数や周方向に沿う寸法を適宜、調整することで、嵌合部材10,15,25を被嵌合部材2,5,4に圧入させる際に要する荷重や、折り曲げられて凹所2d,5d,4dに挿入された抜止片部13,18,28による抜止力を調整することも可能となる。
また、本実施形態では、嵌合部材10,15,25が被嵌合部材2,5,4に圧入され、かつ抜止片部13,18,28が段部2c,5c,4cに当接していない状態で、周面2b,5b,4bに接触しないように抜止片部13,18,28を設けた構成としている。従って、嵌合部材10,15,25を被嵌合部材2,5,4に圧入させる際に、抜止片部13,18,28が周方向の全体に亘って被嵌合部材2,5,4の周面2b,5b,4bに摺るように接触するようなものと比べて、抜止片部13,18,28が圧入の妨げとなるようなことを抑制することができ、嵌合部材10,15,25を被嵌合部材2,5,4に円滑に圧入することができる。
また、本実施形態では、周面2b,5b,4bを、被嵌合部材2,5,4の外周面2b,5b,4bとし、抜止片部13,18,28を、径方向外側に向けて開口する凹所2d,5d,4dに挿入される構成としている。つまり、嵌合部材10,15,25が被嵌合部材2,5,4の外周側に外嵌状に嵌合する構成としている。このような構成とした場合には、圧入させる際に嵌合部材10,15,25が拡開する方向に変形し易くなるが、抜止片部13,18,28によって圧入後における被嵌合部材2,5,4に対する嵌合部材10,15,25の軸方向への位置ずれや抜けを効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態では、嵌合部材として、それぞれに抜止片部13,18,28を備えたキャップ10、支持リング15及びハブ用スリンガ25を備えた軸受装置1を例示したが、これらキャップ10、支持リング15及びハブ用スリンガ25のうちの少なくとも一つを、抜止片部を備えた嵌合部材としてもよい。また、被嵌合部材に嵌合される金属製の円筒部を有した嵌合部材としては、キャップ10や、支持リング15、ハブ用スリンガ25に限られず、上記したベアリングシール20の芯金21としてもよい。この場合は、芯金21の円筒部が嵌合される外輪2の車輪側端部2fの内周面に段部及び凹所を設け、芯金21の円筒部の圧入方向先端部に、後記するように径方向外側に折り曲げられて凹所に挿入される抜止片部を設けた構成としてもよい。つまり、この場合は、径方向一方側を、上記とは逆となる径方向内側(軸心側)とし、径方向他方側を、上記とは逆となる径方向外側として把握するようにしてもよい。また、被嵌合部材に嵌合される金属製の円筒部を有した嵌合部材としては、その他の組み合わせシール(パックシール)を構成するシール部材の芯金やスリンガ等としてもよい。
次に、本発明に係る嵌合部材及びこれを備えた軸受装置の他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図6は、第2実施形態に係る嵌合部材の一例及びこれを備えた軸受装置(軸受部)の一例を模式的に示す図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
本実施形態に係る嵌合部材10Aも、上記同様、詳細な図示は省略しているが、内輪及び外輪2Aを有した軸受部を構成する本実施形態に係る軸受装置1Aに装着される。また、本実施形態においても、嵌合部材10Aを、外輪2Aの開口部を封止するキャップ10Aとしている。
このキャップ10Aは、上記と概ね同様、被嵌合部材としての外輪2Aに嵌合される金属製の円筒部12Aと、外輪2Aの開口部を封止する円板部11Aと、を有している。本実施形態では、このキャップ10Aを、外輪2Aの内周側に内嵌状に嵌合する構成としている。つまり、図6に示すように、外輪2Aの周面を、内周面2Abとし、キャップ10Aの円筒部12Aにおける圧入方向先端部に設けられた抜止片部13Aを、軸心側に向けて開口する外輪2Aの凹所2Adに挿入される構成としている。つまり、本実施形態では、径方向一方側を、上記第1実施形態とは逆となる径方向内側(軸心側)とし、径方向他方側を、上記第1実施形態とは逆となる径方向外側としている。
外輪2Aの段部2Acは、外輪2Aの内周面2Abから径方向内側に段状となるように設けられ、かつ車体側に向くように設けられている。この段部2Acは、外輪2の車体側端部2Aeよりも車輪側の内周部分に、車体側端部2Aeよりも小径状となるように段付部を設けて全周に亘って形成されている。また、この段部2Acを、上記と概ね同様、内周面2Abに対して直交状となる垂直面状としている。
外輪2Aの凹所2Adは、径方向内側(軸心側)に向けて開口するように設けられている。この凹所2Adは、上記と概ね同様、周方向に延びるように、かつ内周面2Abの全周に亘って溝状に設けられている。
キャップ10Aの円筒部12Aの外径は、締り嵌めとなるよう、外輪2Aの車体側端部2Aeの内径よりも僅かに大きい径とされている(図6(b)参照)。
キャップ10Aの抜止片部13Aは、外輪2Aの段部2Acに当接されることで径方向外側に折り曲げられ、軸心側に向けて開口する外輪2Aの凹所2Adに挿入される。本実施形態においても、上記と概ね同様、抜止片部13Aを、当該キャップ10A(円筒部12A)が外輪2Aに圧入され、かつ抜止片部13Aが段部2Acに当接していない状態で、外輪2Aの内周面2Abに接触しないように設けている。換言すれば、折り曲げられていない状態における抜止片部13Aの外径(最も径方向外側の部位の外径)を、外輪2Aの車体側端部2Aeの内径よりも小としている。
また、この抜止片部13Aの厚さ寸法を、上記と概ね同様、円筒部12Aの厚さ寸法よりも小としている。本実施形態では、抜止片部13Aにおける外輪2Aの内周面2Abに対向する側となる外周側に、円筒部12Aの外周面から段下がり状となる凹段部を設けて抜止片部13Aを円筒部12Aよりも薄くしている。この抜止片部13Aの厚さ寸法や幅寸法は、上記同様な観点から適宜の寸法としてもよい。
また、抜止片部13Aにおける外輪2Aの内周面2Abに対向する面の反対面となる内周側面13Aaを、円筒部12Aの内周面に連なるように設けている。また、上記同様、当該キャップ10A(円筒部12A)が外輪2Aに圧入され、かつ抜止片部13Aが段部2Acに当接していない状態で、この抜止片部13Aの内周側面13Aaと外輪2Aの段部2Acとのなす角度のうち凹所2Adとは反対側のなす角度(傾斜角度)が鋭角となる構成としている。この傾斜角度は、上記同様、適宜の角度としてもよい。
また、上記同様、抜止片部13Aの少なくとも先端部に、反円筒部12A側(車輪側)に開口するように厚さ方向の全体に亘って切欠状とされた切欠状部14Aを周方向に間隔を空けて複数箇所に設けた構成としている。これら切欠状部14Aの開口方向に沿う寸法(抜止片部13Aの幅方向に沿う寸法)や周方向に沿う寸法、切欠状部14Aを設ける個数等は、上記同様、適宜の寸法や個数としてもよい。
上記構成とされた本実施形態に係る嵌合部材を構成するキャップ10A及びこれを備えた軸受装置1Aにおいても、上記した第1実施形態と概ね同様の効果を奏する。
なお、上記各実施形態では、被嵌合部材2,5,4,2Aの周面2b,5b,4b,2Abに対して垂直面状とされた段部2c,5c,4c,2Acに対して、抜止片部13,18,28,13Aにおける周面2b,5b,4b,2Abに対向する面とは反対側となる面(反対面)13a,18a,28a,13Aaを傾斜面状として上記傾斜角度(θ)を鋭角とした構成としたが、これに代えて、または加えて、段部2c,5c,4c,2Acを周面2b,5b,4b,2Abに対して傾斜面状としてもよい。さらには、傾斜角度(θ)を鋭角とした態様に代えて、抜止片部13,18,28,13Aにおける周面2b,5b,4b,2Abに対向する面の反対面13a,18a,28a,13Aaと段部2c,5c,4c,2Acとが直交状とされたものとしてもよい。この場合には、抜止片部13,18,28,13Aの先端部に、折曲の誘いとなる面取り部等を設けた態様等としてもよい。
また、上記各実施形態では、抜止片部13,18,28,13Aの厚さ寸法を、円筒部12,17,27,12Aの厚さ寸法よりも小とした例を示しているが、円筒部12,17,27,12Aの厚さ寸法と略同寸法としてもよい。この場合において、上記のように傾斜角度(θ)を鋭角とする場合には、抜止片部13,18,28,13Aの途中部位に、屈曲部や湾曲部を設け、抜止片部13,18,28,13Aが被嵌合部材2,5,4,2Aの周面2b,5b,4b,2Abに接触しないようにした態様等としてもよい。
また、上記各実施形態では、抜止片部13,18,28,13Aの少なくとも先端部に、切欠状部14,19,29,14Aを周方向に間隔を空けて複数箇所に設けた例を示しているが、このような切欠状部14,19,29,14Aを設けていない態様としてもよい。
また、上記各実施形態では、嵌合部材10,15,25,10Aが被嵌合部材2,5,4,2Aに圧入され、かつ抜止片部13,18,28,13Aが段部2c,5c,4c,2Acに当接していない状態で、被嵌合部材2,5,4,2Aの周面2b,5b,4b,2Abに接触しないように抜止片部13,18,28,13Aを設けた例を示しているが、抜止片部13,18,28,13Aが被嵌合部材2,5,4,2Aの周面2b,5b,4b,2Abに摺るように接触するような態様等としてもよい。上記各実施形態に係る嵌合部材10,15,25,10A及びこれらが装着される軸受装置1,1Aとしては、その他、種々の変形が可能である。
1,1A 軸受装置(軸受部)
2,2A 外輪(外側部材、被嵌合部材)
2b 外周面(周面)
2Ab 内周面(周面)
2c,2Ac 段部
2d,2Ad 凹所
3 内輪(内側部材、被嵌合部材)
4 ハブ輪(内側部材、被嵌合部材)
4b 外周面(周面)
4c 段部
4d 凹所
5 内輪部材(内側部材、被嵌合部材)
5b 外周面(周面)
5c 段部
5d 凹所
10,10A キャップ(嵌合部材)
12,12A 円筒部
13,13A 抜止片部
13a 外周側面(周面に対向する面の反対面)
13Aa 内周側面(周面に対向する面の反対面)
14,14A 切欠状部
15 支持リング(嵌合部材)
17 円筒部
18 抜止片部
18a 外周側面(周面に対向する面の反対面)
19 切欠状部
25 ハブ用スリンガ(嵌合部材)
27 先端円筒部(円筒部)
28 抜止片部
28a 外周側面(周面に対向する面の反対面)
29 切欠状部
θ 傾斜角度(抜止片部における周面に対向する面の反対面と段部とのなす角度のうち凹所とは反対側のなす角度)

Claims (8)

  1. 相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材で構成される軸受部における前記内側部材及び前記外側部材のうちのいずれかの被嵌合部材に嵌合される金属製の円筒部を有した嵌合部材であって、
    前記円筒部における圧入方向先端部には、前記被嵌合部材の周面から径方向一方側に段状に形成された段部に当接されることで径方向他方側に折曲変形可能とされ、かつ折り曲げられた状態で、該段部と前記周面との隅部に形成された径方向一方側に向けて開口する凹所に挿入される抜止片部が設けられており、
    前記抜止片部の少なくとも先端部には、反円筒部側に開口するように厚さ方向の全体に亘って切欠状とされた切欠状部が周方向に間隔を空けて複数箇所に設けられていることを特徴とする嵌合部材。
  2. 相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材で構成される軸受部における前記内側部材及び前記外側部材のうちのいずれかの被嵌合部材に嵌合される金属製の円筒部を有した嵌合部材であって、
    前記円筒部における圧入方向先端部には、前記被嵌合部材の周面から径方向一方側に段状に形成された段部に当接されることで径方向他方側に折曲変形可能とされ、かつ折り曲げられた状態で、該段部と前記周面との隅部に形成された径方向一方側に向けて開口する凹所に挿入される抜止片部が設けられており、
    前記抜止片部は、当該嵌合部材が前記被嵌合部材に圧入され、かつ前記抜止片部が前記段部に当接していない状態で、前記周面に接触しないように設けられていることを特徴とする嵌合部材。
  3. 請求項において、
    前記抜止片部は、当該嵌合部材が前記被嵌合部材に圧入され、かつ前記抜止片部が前記段部に当接していない状態で、前記周面に接触しないように設けられていることを特徴とする嵌合部材。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項において、
    当該嵌合部材が前記被嵌合部材に圧入され、かつ前記抜止片部が前記段部に当接していない状態で、前記抜止片部における前記周面に対向する面の反対面と前記段部とのなす角度のうち前記凹所とは反対側のなす角度が鋭角となる構成とされていることを特徴とする嵌合部材。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項において、
    前記抜止片部は、厚さ寸法が前記円筒部の厚さ寸法よりも小とされていることを特徴とする嵌合部材。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項において、
    前記周面は、前記被嵌合部材の外周面とされ、前記抜止片部は、径方向外側に向けて開口する前記凹所に挿入されることを特徴とする嵌合部材。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項において、
    前記周面は、前記被嵌合部材の内周面とされ、前記抜止片部は、軸心側に向けて開口する前記凹所に挿入されることを特徴とする嵌合部材。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の嵌合部材と、相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材と、を備えており、
    前記嵌合部材が嵌合される前記内側部材及び前記外側部材のうちのいずれかの被嵌合部材には、前記段部と前記凹所とが設けられていることを特徴とする軸受装置。
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