以下、実施形態の搬送装置および搬送方法を、図面を参照して説明する。ここで、説明の便宜上、+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向、+Z方向、および−Z方向について定義する。+X方向、−X方向、+Y方向、および−Y方向は、例えば、略水平面に沿う方向である。−X方向は、+X方向の反対方向である。実施形態において、−X方向は「物品110の引き寄せ方向」である。「物品110の引き寄せ方向」とは、ボックスパレット100から支持部30に移動する方向である。+Y方向は、+X方向と交差する方向(例えば略直交する方向)である。−Y方向は+Y方向の反対方向である。+Z方向は、+X方向および+Y方向と交差する方向(例えば略直交する方向)であり、例えば略鉛直上向き方向である。−Z方向は+Z方向の反対方向であり、例えば略鉛直下向き方向である。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の搬送装置1の一例を示す図である。図2は、第1の実施形態の搬送装置1の一例を示すブロック図である。第1の実施形態の搬送装置1は、例えば、図1および図2に示すように、把持部10と、第1アーム部20と、支持部30と、第2アーム部40と、第2認識部50と、制御部60と、記憶部62とを備える。
図1において、把持部10および支持部30は、ボックスパレット100が移動される位置に対して−X方向側に配置される。また、支持部30および第2アーム部40は、ベルトコンベア(第2の支持部)200の+X方向側に配置される。第1アーム部20、第2アーム部40、およびベルトコンベア200は、例えば、地面Gに固定される。
ボックスパレット100から物品110を荷下ろしする際において、ボックスパレット100が支持部30および第2アーム部40の+X方向側に移動される。ボックスパレット100は、例えば、車輪102を有するロールボックスパレット(RBP)である。ボックスパレット100は、レール(不図示)に沿って移動するものであってもよい。
ボックスパレット100が支持部30および第2アーム部40の+X方向側に移動された場合に、ボックスパレット100に積み重ねられた物品110を取り出して、支持部30に搬送する。なお、搬送装置1が物品110を移載する先(荷下ろし場所)は、支持部30に限られず、台車、パレット、作業台などの支持部であればよい。
把持部10は、例えば、ハンド11と、吸着パッド12と、連結部13と、第1認識部14と、第1センサ15と、把持駆動部16とを備える。把持部10は、例えば、エンドエフェクタである。ハンド11には、ハンド11の鉛直下向き側の面(−Z方向側)、および側面(+X方向側)に複数の吸着パッド12が取り付けられる。
吸着パッド12は、物品110と接触して物品110を保持する接触部である。以下、吸着パッド12により物品110を吸着する面を「保持面10a」と記載する。保持面10aは、物品110を保持する場合に、物品110の鉛直上向き側の天面と対向される。なお、実施形態における「天面」とは、物品110において最も高い位置にある上面を意味する。吸着パッド12は、物品110の吸着を解除することで、物品110の保持を解除する。把持駆動部16は、例えば、吸着パッド12に連結された真空ポンプを備える。把持駆動部16は、吸着パッド12に物品110の保持、および物品110の保持の解除をさせる。
なお、把持部10は物品110を保持できればよく、把持に限らず、狭持であってもよい。図3は、第1の実施形態における把持部10の一例を示す図である。図3(a)に示すように、吸着パッド12は、ハンド11の側面に設けられて、物品110を吸着することで保持することができる。また、図3(b)に示すように、吸着パッド12は、ハンド11の鉛直下向き側に設けられる。吸着パッド12は、物品110の天面110#を吸着することで保持することができる。さらに、把持部10は、図3(c)に示すように、固定部12aと移動部12bとにより物品110を狭持してもよい。
ハンド11は、連結部13を介して第1アーム部20と接続される。ハンド11は、例えば、第1アーム部20により鉛直方向および水平方向を含む3軸方向に移動可能である。ハンド11は、物品110がXY平面またはXZ平面に対して傾斜をもって積み重ねられている場合に、保持面10aを傾斜された面に対向させるために、3軸方向以外の回転方向に移動可能であってもよい。
第1認識部14は、例えば、光源およびカメラを含む3次元距離画像センサである。3次元距離画像センサは、赤外線ドットパターン投影方式カメラなどの三次元位置計測可能なカメラにより実現される。赤外線ドットパターン投影方式カメラは、赤外線のドットパターンを物品110に投影し、物品110の赤外線画像を撮影する。3次元距離画像センサは、赤外線画像を解析することで物品110の3次元情報を得る。赤外線ドットパターン投影方式カメラは、カラー画像またはモノクロ画像を撮影してもよい。第1認識部14は、赤外線ドットパターン投影方式カメラの他に、カラー画像またはモノクロ画像を取得するカメラなどの光学センサをさらに含んでいてもよい。
第1認識部14は、ハンド11の+Z方向側に取り付けられる。第1認識部14は、撮像方向が、ボックスパレット100に積載された物品110を撮像する方向に調整される。第1認識部14の撮像方向は、水平方向と同じではなくてもよく、物品110の−X方向側からボックスパレット100に積層された物品110が撮像可能な方向であればよい。第1認識部14は、ハンド11とともに移動する。このため、第1認識部14は、広範囲を認識することが可能である。第1認識部14は、物品110の認識を行う場合に、物品110の最も高い位置が認識範囲の上限よりやや下に入る位置に移動される。第1認識部14は、カメラにより撮像した画像情報、および第2の方向の距離情報を生成して、制御部60に送信する。実施形態において、第2の方向は、水平方向であるが、これに限定されない。水平方向は、第1の方向と交わる方向の一例である。
第1センサ15は、光源および受光部を含む光距離計測装置(LRF(Laser Range finder))であるが、これに限定されない。第1センサ15は、光源から照射したレーザ光をスキャンし、反射光を受光することで、距離を計測する。第1センサ15のスキャン面15aは、XY平面に平行な面に設定される。第1センサ15は、ハンド11の−Z方向側の面(下面)に取り付けられる。第1センサ15は、保持面10aよりも所定の微小距離だけ鉛直下向き側にずれた面がスキャン面15aとなるように設置位置が調整される。第1センサ15は、第2の方向における物品110の距離を計測することで生成した奥行き方向の距離情報を制御部60に送信する。
第1アーム部20は、X軸アーム21と、Y軸アーム22と、Z軸アーム23と、連結部24と、第1アーム駆動部25を含むが、これに限定されない。第1アーム部20は、直交ロボットアームであり、多関節アームの一例である。X軸アーム21、Y軸アーム22、およびZ軸アーム23は、連結部24を介して把持部10に接続される。X軸アーム21は、把持部10をX軸方向(水平方向)に移動させる。Y軸アーム22は、把持部10をY軸方向(水平方向)に移動させる。Z軸アーム23は、把持部10をZ軸方向(鉛直方向)に移動させる。第1アーム駆動部25は、X軸アーム21、Y軸アーム22、およびZ軸アーム23にそれぞれ接続されたアクチュエータを含むが、これに限定されない。第1アーム駆動部25は、制御部60の制御に従ってX軸アーム21、Y軸アーム22、およびZ軸アーム23を駆動させることで、把持部10を移動させる。
支持部30は、ベルトコンベア31と、第2センサ32と、コンベア駆動部33とを含むが、これに限定されない。ベルトコンベア31は、ベルト、および駆動ローラなどを含むが、これに限定されない。ベルトコンベア31は、物品110の下面を支持する。以下、ベルトコンベア31により物品110を支持する面を「支持面30a」と記載する。コンベア駆動部33は、ベルトコンベア31を駆動させる駆動モータである。ベルトコンベア31は、コンベア駆動部33により駆動されて、物品110をベルトコンベア200側に搬送する。ベルトコンベア200は、ベルトコンベア31により搬送された物品110を+Y方向側に搬送する。
第2センサ32は、光源および受光部を含む光距離計測装置(LRF)であるが、これに限定されない。第2センサ32は、光源から照射したレーザ光をスキャンし、反射光を受光することで、水平面における検出基準点と物品110(搬送対象物品110Aを含む。)との距離を検出する。第2センサ32の設置位置が、水平面において物品110との距離を検出する検出基準点に相当する。第2センサ32のスキャン面32a(基準平面)は、XY平面に平行な面に設定される。第2センサ32は、ベルトコンベア31の鉛直上向き側に取り付けられる。第2センサ32は、支持部30の支持面30aよりも所定の微小な第1の基準距離だけ鉛直上向き側にずれた面がスキャン面32aとなるように設置位置が調整される。第2センサ32は、第2の方向における物品110の距離を計測することで生成した第2の方向の距離情報を制御部60に送信する。
第2アーム部40は、X軸アーム41と、Z軸アーム42と、第2アーム駆動部43を含むが、これに限定されない。X軸アーム41およびZ軸アーム42は、連結部(不図示)を介して支持部30に接続される。X軸アーム41は、支持部30をX軸方向(水平方向)に移動させる。Z軸アーム42は、第2アーム部40をZ軸方向(鉛直方向)に移動させる。第2アーム駆動部43は、X軸アーム41、およびZ軸アーム42にそれぞれ接続されたアクチュエータを含むが、これに限定されない。第2アーム駆動部43は、制御部60の制御に従ってX軸アーム41およびZ軸アーム42を駆動させることで、把持部10を移動させる。
第2認識部50は、光源およびカメラを含む3次元距離画像センサである。第2認識部50は、光源およびカメラを含む3次元距離画像センサであるが、これに限定されない。3次元距離画像センサは、赤外線ドットパターン投影方式カメラなどの三次元位置計測可能なカメラであってもよい。第2認識部50は、ボックスパレット100が配置される位置の上方に設置された設置板51の下面に取り付けられる。第2認識部50は、撮像方向が、ボックスパレット100に積載された物品110を撮像する方向に調整される。第2認識部50の撮像方向は、鉛直方向と同じではなくてもよく、物品110の鉛直上向き側からボックスパレット100に積層された物品110が撮像可能な方向であればよい。第2認識部50は、カメラにより撮像した画像情報、および鉛直方向の距離情報を生成して、制御部60に送信する。
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現されるが、これに限定されない。制御部60は、一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよい。
制御部60は、把持部10および第1アーム部20を制御することで、物品110のうちの搬送対象物品110Aを鉛直方向および水平方向に搬送させる。制御部60は、第1認識部14および第2認識部50により送信された情報に基づいて物品110の周囲の物品の天面の高さを認識する。制御部60は、物品110を鉛直上方向に引き上げ、物品110が水平方向に搬送可能な状態であることが検出された場合に、物品110を鉛直上方向に搬送させることを停止させる。以下の実施形態の説明は、物品110が水平方向に搬送可能な状態であることが検出された場合に、物品110を鉛直上方向に搬送させることを停止させることの一例である。
制御部60は、物品110の周囲の物品の天面の高さに基づいて基準面を設定する(設定部)。基準面は、例えば、XY平面に平行な面である。制御部60は、基準面における検出基準点と搬送対象物品110Aとの距離を検出する第2センサ32により検出された距離に基づいて、物品110を鉛直上方向に搬送させることを停止させる。
記憶部62は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。記憶部62には、ファームウェアやアプリケーションプログラム等の各種プログラム、制御部60の処理結果、第1認識部14、第1センサ15、第2センサ32、および第2認識部50により送信された情報などが記憶される。
以下、第1の実施形態の搬送装置1において、対象物品の周囲の物品の天面の高さに基づいて、基準面を設定する動作について説明する。図4、図5、および図6は、第1の実施形態の搬送装置1により搬送される搬送対象物品110Aを積載したボックスパレット100の一例を示す図である。図4は、第1の実施形態のボックスパレット100の斜視図である。図5は、第1の実施形態における図4の面100aから見たボックスパレット100の一例を示す断面図である。図6は、第1の実施形態における−X方向側から見たボックスパレット100の一例を示す図である。
制御部60は、第1認識部14により送信された画像情報および距離情報と、第2認識部50により送信された画像情報および距離情報を受信する。制御部60は、第1認識部14および第2認識部50からそれぞれ受信した画像情報、および距離情報に基づいて、ボックスパレット100に積層された物品110の位置および形状を認識する。制御部60は、複数の物品110のうち一つの物品110を搬送対象物品110Aとして選定する。制御部60は、例えば、複数の物品110のうち、天面高さが最も高い物品110を搬送対象物品110Aとして選定する。また、制御部60は、搬送対象物品110Aの位置に基づいて決定される領域において、2番目に高い所に位置する物品(物品110B)の位置を算出する。
制御部60は、例えば、選定した搬送対象物品110Aの天面高さ位置H1、天面手前側距離D1、天面手前側中央位置C、天面奥側距離D2、物品幅W(天面手前側端部のY軸方向長さ)、高さ位置H2を認識する。制御部60は、高さ位置H2に基づいて基準面を設定する(設定部)。基準面は、搬送対象物品110Aよりも−X方向側に配置された物品110であって、Y軸方向において搬送対象物品110Aの物品幅Wと重複する物品110Bの鉛直方向における天面位置よりも鉛直上向き側の位置を含むXY平面である。基準面は、把持部10の移動量を抑制する観点より、物品110Bの鉛直方向における天面位置に対して微小な距離だけ鉛直上向き側の位置であることが望ましい。制御部60は、認識した天面高さ位置H1、高さ位置H2、天面手前側距離D1、天面奥側距離D2、天面手前側中央位置C、物品幅W、および基準面を絶対座標系の値で表し、当該情報を物品110の情報として記憶部62に記憶させる。
なお、第1の実施形態において、第1認識部14は、画角の鉛直方向の狭さを補うためにハンド11と連動して鉛直方向に移動可能である。しかし、第1認識部14は、Y軸方向の画角がボックスパレット100のY軸方向の長さよりも狭い場合や、水平方向の物品110を撮像した画像の分解能が十分ではない場合などには、ハンド11に対してX軸方向およびY軸方向に移動可能であってもよい。また、第1の実施形態において、第2認識部50は、固定された位置に設置されるものとしたが、ボックスパレット100の大きさに対して画角が狭い場合には、XY平面において移動可能であってもよい。
また、第1の実施形態において、ボックスパレット100に中間棚などが存在し、第2認識部50により中間棚から下方の物品110が認識できない場合がある。これに対し、搬送装置1は、ハンド11に小型カメラを設置して、ハンド11を移動させて、第2認識部50により認識できない領域の物品110を撮像してもよい。搬送装置1は、第1センサ15により物品110の天面高さ位置H1および天面手前側距離D1が認識されているため、ハンド11を天面手前側距離D1の手前まで移動させた状態で小型カメラにより物品110の天面を撮像する。制御部60は、小型カメラにより撮像された画像に基づいて物品110の天面の奥側のエッジを検出し、物品110の天面の奥側のエッジよりも手前に位置するように再度ハンド11を移動させる。
さらに、第1の実施形態において、基準面を搬送装置1により設定したが、これに限定されず、搬送装置1は、外部装置により設定された基準面を特定するための情報を取得してもよい。この場合、搬送装置1における基準面を設定するための機能部は不要になる。
以下、第1の実施形態の搬送装置1において、ボックスパレット100から搬送対象物品110Aを取り出す搬送ルールについて説明する。図7は、第1の実施形態において搬送対象物品110Aを引き上げる動作の一例を示す図である。図8は、第1の実施形態の搬送装置1において、搬送対象物品110Aを引き寄せる動作の一例を示す図である。
搬送対象物品110Aの搬送ルールは、以下の通りである。まず、搬送装置1は、図7に示すように、天面高さ位置H1が最も高い位置に存在する搬送対象物品110Aを把持して、第1の方向(鉛直上方向)に引き上げる。次に、搬送装置1は、図8に示すように、搬送対象物品110Aの底面110Abの高さ位置Hbが、物品110Bの天面の高さに相当する高さ位置H2を通過した場合に、第2の方向(−X方向)に搬送対象物品110Aを引き寄せる。搬送対象物品110Aを第1の方向(鉛直上方向)に引き上げている状態であって、搬送対象物品110Aの底面110Abの高さ位置Hbが、物品110Bの天面の高さに相当する高さ位置H2を通過するまでの状態が、対象物品が対象物品の周囲の物品から鉛直上方向に引き上げられていない第1の状態に相当する。言い換えると、対象物品の高さ位置Hbが高さ位置H2を通過するまでの間であって、対象物品が第1の方向に搬送されている状態が第1の状態に相当する。搬送対象物品110Aの底面110Abの高さ位置Hbが、物品110Bの天面の高さに相当する高さ位置H2を通過した状態が、対象物品を水平方向に搬送可能な第2の状態に相当する。
これにより、搬送装置1は、図9、図10、および図11に示す比較例のように、搬送対象物品110Aが物品110Bに引っ掛かることを回避することができる。図9は、第1の比較例の搬送手順を示す図である。第1の比較例は、搬送対象物品110Aを引き上げる前に−X方向に引き寄せるため、搬送対象物品110Aが物品110Bに引っ掛かる。図10は、第2の比較例の搬送手順を示す図である。第2の比較例は、天面に物品110Bが積層された搬送対象物品110Aを−X方向側に引き寄せたため、搬送対象物品110Aが物品110Bに引っ掛かる。図11は、第3の比較例の搬送手順を示す図である。第3の比較例は、天面に物品110Bが積層された搬送対象物品110Aを+Z方向側に引き上げたため、搬送対象物品110Aが物品110Bに引っ掛かる。
以下、第1の実施形態の搬送装置1により搬送対象物品110Aをボックスパレット100から取り出して、搬送対象物品110Aを支持部30に搬送する動作について説明する。図12は、第1の実施形態の搬送装置1の動作手順の一例を示すフローチャートである。図13は、第1の実施形態の搬送装置1において把持部10を把持位置まで移動させる動作手順の一例を示すフローチャートである。図14は、第1の実施形態の搬送装置1において搬送対象物品110Aを支持部30まで搬送する動作手順の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部60は、物品110を認識する(ステップS100)。制御部60は、ボックスパレット100に積層された物品110のうち、第1認識部14および第2認識部50により認識されたことに基づく物品110の情報を受信する。制御部60は、受信した情報を、記憶部62に記憶させる。
次に、制御部60は、搬送対象物品110Aを選定する(ステップS102)。制御部60は、記憶部62に記憶された物品110の情報のうち、天面高さ位置H1が最も高い物品110を搬送対象物品110Aとして選定する。
次に、制御部60は、基準面を設定する(ステップS104)。制御部60は、搬送対象物品110Aよりも−X方向側に配置された物品110であって、Y軸方向において搬送対象物品110Aの物品幅Wと重複する物品110を物品110Bとして選定する。制御部60は、選定した物品110Bの天面高さ位置H1に基づいて、基準面を設定する。
次に、制御部60は、把持部10を把持位置まで移動させる(ステップS106)。図15、図16、および図17は、第1の実施形態の搬送装置1による位置決め動作の一例を示す図である。制御部60は、搬送対象物品110Aの天面よりも高い位置になるように把持部10を移動させる(ステップS130)。次に、制御部60は、把持部10を第2の方向における奥側(+X方向)に移動させる(ステップS132)。次に、制御部60は、第1センサ15により送信された距離情報に基づいて障害物を検知したか否かを判定する(ステップS134)。制御部60は、図15に示すようにスキャン面15aにおいて障害物を検知した場合には障害物を検知したと判定し、図16に示すように把持部10を上方に移動させる(ステップS136)。
ステップS134およびステップS136は、第1認識部14および第2認識部50による搬送対象物品110Aの位置の計測が誤差を含む可能性を考慮したものである。すなわち、ステップS130において、第1認識部14および第2認識部50により認識された天面高さ位置H1が実際の搬送対象物品110Aの天面高さよりも低い場合、天面高さ位置H1よりも高い位置に把持部10を移動させ、把持部10を第2の方向の搬送対象物品110A側に移動させた場合に、把持部10が搬送対象物品110Aと接触する場合がある。これに対し、制御部60は、第1センサ15により障害物を検知した場合には把持部10を上方に移動させることで、天面高さ位置H1の認識結果に誤差があった場合であっても、把持部10が搬送対象物品110Aに接触することを回避することができる。
さらに、制御部60は、ステップS136において把持部10を上方に移動させた結果、第1センサ15により障害物の検知が消失したか否かを判定してもよい。制御部60は、障害物の検知が消失したと判定するまで把持部10を上昇させ、障害物の検知が消失した場合には把持部10の上昇を停止させる。制御部60は、把持部10を所定距離上昇させても障害物の検知が消失しない場合、搬送対象物品110Aの搬送を停止して、物品110の認識(ステップS100)以降から処理を開始してもよい。これにより、搬送対象物品110Aの認識結果に大きな誤差がある場合、搬送装置1は、把持部10の移動を停止した後に、搬送対象物品110Aの認識を再開することができる。
なお、第1の実施形態では、第1センサ15のスキャン面15aのうち、把持部10の第2の方向に存在する障害物を検知したが、これに限定されない。搬送装置1は、LRFに代えて、障害物を検知するためのPSD(Position Sensitive Detector)などを別途設け、所定期間毎に光を投射することで限定した探知範囲内の障害物を検知してもよい。
制御部60は、障害物を検知していないと判定した場合、または把持部10を第1の方向に所定距離移動させた後に、搬送対象物品110Aの天面奥側距離D2に把持部10の搬送方向の端部が到着したか否かを判定する(ステップS138)。制御部60は、搬送対象物品110Aの情報に基づいて、ハンド11のY軸方向における中心が天面手前側中央位置Cに一致し、且つハンド11の第2の方向側の端部(+X方向側の端部)を天面奥側距離D2に一致したか否かを判定することで、搬送対象物品110Aの天面奥側距離D2に把持部10が到着したか否かを判定する。制御部60は、把持部10が搬送対象物品110Aの天面奥側距離D2に到着したと判定していない場合、ステップS132に処理を戻す。
制御部60は、把持部10が搬送対象物品110Aの天面奥側距離D2に到着したと判定した場合、把持部10の移動を停止させる(ステップS140)。次に、制御部60は、図17に示すように、把持部10を鉛直下向き方向に移動させる(ステップS142)。このとき、制御部60は、ハンド11の鉛直方向の位置を、搬送対象物品110Aの天面高さ位置H1に一致させる。これにより、搬送装置1は、把持部10における保持面10aを搬送対象物品110Aに対向するように位置決めする。
次に、制御部60は、搬送対象物品110Aを把持させる(ステップS108)。このとき、制御部60は、搬送対象物品110Aの天面に接触された吸着パッド12により搬送対象物品110Aを吸着させる。また、制御部60は、搬送対象物品110Aの天面領域を認識し、複数の吸着パッド12のうち、搬送対象物品110Aの天面領域に対応する吸着パッド12により搬送対象物品110Aを保持させることが望ましい。このとき、制御部60は、搬送対象物品110Aの、物品幅W、天面手前側距離D1および天面奥側距離D2に基づく搬送対象物品110Aの天面位置および大きさに対応した吸着パッド12を認識し、搬送対象物品110Aに接触していない吸着パッド12の吸引を停止させる。これにより、吸引が停止された吸着パッド12以外の吸着パッド12の吸引力を高くすることができる。また、吸着パッド12が搬送対象物品110Aに隣接する物品110に吸着することを回避することができる。
次に、制御部60は、把持部10を鉛直上向き方向に移動させる(ステップS110)。次に、制御部60は、支持部30を基準面に移動させる(ステップS112)。このとき、制御部60は、スキャン面32aが高さ位置H2よりも所定の微小距離だけ高くなるような鉛直上向き方向の位置となるように支持部30を移動させてもよい。
図18は、第1の実施形態において把持部10と支持部30との関係の一例を示す図である。図19は、第1の実施形態におけるスキャン面32aと物品110との関係を示す図である。制御部60は、把持部10を第1の方向に移動させる前、または搬送対象物品110Aの底面110Abが天面高さ位置H1を通過する前に、支持部30を移動させる。制御部60は、図18に示すように、第2センサ32のスキャン面32aが、天面高さ位置H1よりも高い位置となるように支持部30の位置合わせを実施する。また、制御部60は、図19に示すように、鉛直方向において支持部30を位置合わせした状態で、鉛直方向においてスキャン面32aが物品110および支持面30aを覆うように、支持部30のX軸方向およびY軸方向における位置合わせを実施する。
なお、第1の実施形態において、1つの第2センサ32によりスキャン面32aが物品110および支持面30aの上方を覆っているが、これに限定されない。第2センサ32は、物品110の死角などを考慮して、複数のLRFにより物品110および支持面30aを覆うスキャン面を形成してもよい。また、第2センサ32は、LRFに代えて、3次元距離センサなどの別のセンサを用いて、スキャン面を形成してもよい。
次に、制御部60は、搬送対象物品110Aの底面110Abが基準面を通過したか否かを判定する(ステップS114)。制御部60は、搬送対象物品110Aの底面110Abが基準面を通過した場合、把持部10の移動を停止させる(ステップS116)。図20は、第1の実施形態において、搬送対象物品110Aが基準面を通過する様子を示す図である。制御部60は、図20の左図に示すように把持部10により搬送対象物品110Aを把持した状態から把持部10を引き上げることで、図20の右図に示すように搬送対象物品110Aを引き上げる。
図21は、第1の実施形態において、搬送対象物品110Aが基準面を通過する様子の他の例を示す図である。搬送装置1は、図21の左図に示すように把持部10により搬送対象物品110Aを把持した状態から把持部10を引き上げることで、図21の右図に示すように搬送対象物品110Aを引き上げる。図21に示した搬送対象物品110Aは、図20に示した搬送対象物品110Aよりも高さが低いので、把持部10により搬送対象物品110Aを微小な距離を引き上げた状態で、高さ位置Hbが基準面よりも高くなることを検出することができる。
図22は、第1の実施形態の第2センサ32により検出された距離情報32bの一例を示す図である。図23は、第1の実施形態の第2センサ32により検出された距離情報32b#の他の一例を示す図である。高さ位置Hbが高さ位置H2を通過する前の状態において、第2センサ32は、図22に示すように、搬送対象物品110Aの−X方向側に側面に対応する距離を、距離情報32bとして検出する高さ位置Hbが高さ位置H2を通過した場合、第2センサ32は、図23に示すように、搬送対象物品110Aが存在していた位置よりも+X方向側の物品110の側面に対応する距離を距離情報32b#として検出する。制御部60は、以上のように距離情報が変化したことに応じて、高さ位置Hbが基準面を通過したことを判定することができる。
次に、制御部60は、搬送対象物品110Aを支持部30まで搬送させる(ステップS118)。図24は、第1の実施形態の搬送装置1における搬送対象物品110Aを引き寄せる動作の一例を示す図である。制御部60は、図14に示すように、把持部10を支持部30側(−X方向側)に水平移動させる(ステップS150)。このとき、制御部60は、搬送対象物品110Aの底面110Abと、支持部30における支持面30aとが、XY平面において重複するまで把持部10を移動させる。これにより、搬送対象物品110Aは、図24の左図に示すボックスパレット100から引き上げられた状態から、図24の右図に示すように、支持部30の上方まで引き寄せられる。
搬送対象物品110Aを支持部30側に引き寄せる場合、搬送対象物品110Aが物品110と接触しない。これにより、制御部60は、搬送対象物品110Aを引き上げた状態から同じ高さで搬送対象物品110Aを引き寄せることができる。制御部60は、搬送対象物品110Aを支持部30側に引き寄せる場合に、ボックスパレット100におけるフレームに接触することを監視してもよい。制御部60は、第1認識部14および第2認識部50により送信された情報に基づいて、搬送対象物品110Aとボックスパレット100のフレームとの距離を監視する。制御部60は、搬送対象物品110Aとボックスパレット100のフレームとの距離が所定値以下である場合には、搬送対象物品110Aを、ボックスパレット100のXY平面における中央側に水平移動させる。制御部60は、ボックスパレット100の形状が既知である場合、把持部10の移動量を監視し、把持部10の移動量が所定値を超えた場合に、搬送対象物品110Aを、ボックスパレット100のXY平面における中央側に水平移動させる。
次に、制御部60は、把持部10を鉛直下向き方向に移動させる(ステップS152)。これにより、搬送対象物品110Aは、図24の右図に示すように、支持面30a上に搬送対象物品110Aを引き寄せられた状態から、支持面30a側に搬送対象物品110Aを下降させる。
次に、制御部60は、搬送対象物品110Aを支持面30aに搬送させるように把持部10の鉛直下向き方向に移動させている状態で、第2センサ32により搬送対象物品110Aを検出したか否かを判定する(ステップS154)。下降されている搬送対象物品110Aを検出する場合、第2センサ32の物品110の検知範囲は、範囲30bに限定される。範囲30bは、支持面30aから鉛直上向き側における基準距離に存在する物品110を検出することができる範囲である。制御部60は、第2センサ32により搬送対象物品110Aを検出していない場合には、ステップS154の判定を繰り返す。制御部60は、第2センサ32により搬送対象物品110Aを検出した場合には、把持部10の移動を停止させる(ステップS156)。次に、制御部60は、搬送対象物品110Aを解放するように把持部10を制御する(ステップS158)。
なお、制御部60は、ステップS114において高さ位置Hbが基準面を通過した場合に、保持面10aの高さとスキャン面15aの高さとの差を演算することで、搬送対象物品110Aの鉛直方向の長さを推定してもよい。制御部60は、推定した搬送対象物品110Aの鉛直方向の長さに基づいて、把持部10の下降量を設定してもよい。
また、制御部60は、推定した搬送対象物品110Aの鉛直方向の長さに基づく把持部10の下降量に基づいて把持部10の下降量を制御してもよいが、これに限定されない。制御部60は、第2センサ32により搬送対象物品110Aを検出した場合に、把持部10の下降を停止させることが望ましい。第1の理由は、LRFはある程度の計測スポット径を有しているからである。第2の理由は、サンプリング周期分の移動ずれや通信時間、動作応答時間などの影響で実際のLRFのスキャン面の高さよりも高い位置まで搬送対象物品110Aが引き上げられるためである。搬送装置1は、第2センサ32により搬送対象物品110Aを検出した場合に、把持部10の下降を停止させることで、支持面30aから一定距離内に搬送対象物品110Aが収まっていることを保証する。これにより、搬送装置1によれば、搬送対象物品110Aの解放時に一定の高さ未満の高さから搬送対象物品110Aを着地させることができる。
さらに、制御部60は、ハンド11または支持面30aに感圧センサや力センサなどの着地センサを取り付けた場合、搬送対象物品110Aが支持面30aに着地したことを着地センサが検出するまで、把持部10の下降動作を継続してもよい。さらに、制御部60は、着地センサと第2センサ32とを組み合わせ、第2センサ32が搬送対象物品110Aを検知していない場合には高速で把持部10を下降させ、第2センサ32が搬送対象物品110Aを検知した場合には把持部10の下降速度を低下させ、着地センサにより搬送対象物品110Aが支持面30aに着地したことを検知した場合に、把持部10の下降動作を停止させる。
さらに、制御部60は、把持部10により把持されている搬送対象物品110Aが1個である場合には、スキャン面32aを搬送対象物品110Aの底面の大きさよりも大きくしてもよい。理由は、支持部30上に搬送対象物品110A以外の物体が存在することはないためである。
次に、制御部60は、支持部30により搬送対象物品110Aを搬送させる(ステップS120)。これにより、搬送対象物品110Aは、支持部30からベルトコンベア200に搬送される。このとき、支持部30は、ベルトコンベア200への投入高さに移動する。支持部30は、支持面30aの高さがベルトコンベア200への投入高さに移動した後、自装置のコンベアを回転させ、支持面30aに載置されている搬送対象物品110Aをベルトコンベア200側へ送る。このとき、制御部60は、支持面30a上の搬送対象物品110Aと、把持部10またはアームとが接触しない場合には、搬送対象物品110Aの支持面30a上の移動時間を考慮したうえで、支持面30aがベルトコンベア200の高さに到達する前に自装置のコンベアの動作を開始してもよい。
また、把持部10は、搬送対象物品110Aを解放した後、解放した搬送対象物品110Aと干渉しない位置に退避する。なお、把持部10は、支持部30およびベルトコンベア200による搬送対象物品110Aの搬送と干渉しなければ、次の搬送対象物品110Aを把持するために移動してもよい。
なお、第1の実施形態の搬送装置1は、搬送対象物品110Aの落下リスクを低減するため支持部30を介してベルトコンベア200に搬送対象物品110Aを搬送するが、これに限定されない。第1の実施形態の搬送装置1は、支持部30を無くして、把持部10により直接ベルトコンベア200上に搬送対象物品110Aを搬送してもよい。この場合、制御部60は、他のアーム部により第2センサを鉛直方向に移動させて、搬送対象物品110Aが基準面を通過したことを判定する。また、制御部60は、ベルトコンベア200上にセンサを配置して、ベルトコンベア200上に搬送対象物品110Aが搬送されたことを判定してもよい。
制御部60は、ステップS114において搬送対象物品110Aの底面110Abが基準面を通過していないと判定した場合、搬送対象物品110Aを基準距離だけ搬送したか否かを判定する(ステップS122)。基準距離は、例えば、把持部10を上方に引き上げることができる最大の距離である。制御部60は、搬送対象物品110Aを基準距離だけ搬送していない場合、ステップS114に処理を戻す。制御部60は、搬送対象物品110Aを基準距離だけ搬送したと判定した場合、通知を行う(ステップS124)。これにより、搬送装置1は、作業者に、異常等の情報を通知する。
ここで、画像処理等の誤認識や計測ミスであれば、再度認識等を実行することで正しい物品110の位置を設定して、搬送対象物品110Aの引き上げ動作が完了する。しかし、搬送対象物品110Aが第1アーム部20により搬送可能な長さ以上の物品110である場合には、喩え正しい位置の計測ができた場合であっても、搬送対象物品110Aの引抜き動作を達成することはできない。そこで、制御部60は、ステップS100以降のリトライ処理を規定回数実行しても搬送対象物品110Aの引き上げ動作が達成されない場合には、搬送対象物品110Aが搬送装置1において搬送可能な長さ以上の物品110であると判定する。この場合、搬送装置1は、動作を停止し、通知してもよい。
制御部60は、通知を行った後、ステップS100に処理を戻す。これにより、制御部60は、搬送対象物品110Aを高さ方向における基準距離搬送させた場合に、天面高さ位置H1(第1の情報)を含む物品110の情報を再度計測させる。その後、搬送装置1は、把持部10により搬送対象物品110Aを高さ方向に再度搬送させる。これにより、制御部60は、画像処理等の誤認識や計測ミスにより天面高さ位置H1が正確に設定できない場合において、搬送対象物品110Aが基準面を通過したことが判定できない場合に、再度天面高さ位置H1などを計測する。さらに、制御部60は、再計測した天面高さ位置H1に基づいて基準面を再設定することで第1センサ15のスキャン面15aの鉛直方向の位置を修正することができる。
以上説明したように、第1の実施形態の搬送装置1によれば、対象物品が対象物品の周囲の物品から鉛直上方向に引き上げられていない第1の状態から、対象物品を水平方向に搬送可能な第2の状態への変化を検出した場合に、対象物品を鉛直上方向に搬送させることを停止させる。具体的には、第1の実施形態の搬送装置1によれば、搬送対象物品110Aの周囲の物品110の天面の高さに基づいて、基準面を設定し、把持部10に搬送対象物品110Aを第1の方向に搬送させる場合、第2センサ32により検出された距離に基づいて把持部10の移動量を制御する。これにより、搬送装置1によれば、基準面まで搬送対象物品110Aを引き上げた後に、水平移動に搬送対象物品110Aを引き寄せることができる。
この結果、第1の実施形態の搬送装置1によれば、想定される搬送対象物品110Aの鉛直方向の長さよりも長い距離を引き出す必要が無く、把持部10の移動量を短くすることができ、搬送対象物品110Aの搬送時間を短縮することができる。また、第1の実施形態の搬送装置1によれば、搬送対象物品110Aが把持されて宙に浮いている時間を抑制することができ、搬送の安全性を高くすることができる。
また、第1の実施形態の搬送装置1によれば、搬送対象物品110Aを第1の方向における基準距離搬送させるように把持部10を制御した場合に、基準面を再度設定させ、再度設定された基準面における検出基準点と搬送対象物品110Aとの距離に基づいて、ハンド(搬送部)11の移動量を制御するので、基準面が誤って設定された場合などに、装置を停止させることなく搬送対象物品110Aの搬送を継続することができ、搬送対象物品110Aの搬送時間を短縮することができる。
さらに、第1の実施形態の搬送装置1によれば、再度設定された基準面における検出基準点と搬送対象物品110Aとの距離に基づいて第1の方向に基準距離だけ搬送対象物品110Aを搬送させるように把持部10を制御した場合に通知を行うので、装置の設定をオペレータに認識させることができる。
さらに、第1の実施形態の搬送装置1によれば、搬送対象物品110Aの第2の方向における天面奥側距離D2を設定し、天面奥側距離D2に基づいて、把持部10を搬送対象物品110Aの天面に移動させるので、第2の方向における把持部10の位置決めを短縮することができる。
さらに、第1の実施形態の搬送装置1によれば、把持部10に第1センサ15を設け、第1センサ15により物品を検出した場合に、把持部10を第1の方向に移動させるので、物品110の認識結果に誤差があっても、装置を停止させることなく搬送対象物品110Aの搬送を継続することができ、搬送対象物品110Aの搬送時間を短縮することができる。
さらに、第1の実施形態の搬送装置1によれば、支持部30に第2センサ32を設ける。第1の実施形態の搬送装置1によれば、第2センサ32を支持部30よって支持されて移動させ、基準面に加えて、支持部30の上方における基準平面(スキャン面32a)に搬送された搬送対象物品110Aを検出させ、基準平面に搬送対象物品110Aが搬送されたことを検出する。この場合、第1の実施形態の搬送装置1は、把持部10による搬送対象物品110Aの保持を解除する。これにより、第1の実施形態の搬送装置1によれば、スキャン面32aを、基準面の検出、および把持部10による保持の解除のために使用することができ、装置を簡略化することができる。
さらに、第1の実施形態の搬送装置1によれば、複数の吸着パッド12のうち、搬送対象物品110Aの天面領域に対応する吸着パッド12により搬送対象物品110Aを保持させるので、把持部10の保持力を高めることができる。
上述した実施形態の搬送装置1は、第1センサ15(LRF)により搬送対象物品110Aが基準面を通過したことを検知したが、これに限定されない。実施形態は、他の方式により、搬送対象物品110Aが、第1の方向(鉛直上方向)と交差する第2の方向(例えば水平方向)に搬送可能な状態であることを検出してもよい。
搬送装置1は、搬送対象物品110Aの側面のうち第1の領域に光を照射し、照射した光の反射状態に基づいて、搬送対象物品110Aが水平方向に搬送可能な状態であることを検出してもよい。第1の領域は、搬送対象物品110Aの周囲の物品110Bの天面の高さ(H2)に基づいて設定された領域である。この場合、搬送装置1は、反射状態として、光を照射した時刻から光の反射光を受光した時刻までの期間(往復期間)を検出する。
搬送装置1は、図20の左図に示すように搬送対象物品110Aを引き上げていない場合、搬送対象物品110Aの側面に光を照射し、反射光を受光する。搬送装置1は、図20の右図に示すように搬送対象物品110Aを引き上げた場合、光の往復期間が長く変化する。この場合、搬送装置1は、搬送対象物品110Aが、水平方向に搬送可能な状態であることを検出する。
搬送装置1は、光を照射した時刻から所定の時間までの期間において光の反射光を受光したか否かを検出してもよい。搬送対象物品110Aが引き抜かれた場合に、光を反射する物体がない場合、搬送装置1は、光を照射した時刻から所定の時間までの期間において光の反射光を受光できない。搬送装置1は、光を照射した時刻から所定の時間までの期間において光の反射光を受光できない場合に、搬送対象物品110Aが、水平方向に搬送可能な状態であることを検出する。
搬送装置1は、反射状態として、反射光の位相を検出してもよい。搬送対象物品110Aが引き上げた場合、搬送装置1は、反射光の位相を検出する。搬送対象物品110Aを引き上げた場合、搬送装置1は、反射光の位相が変化したことを検出する。この場合、搬送装置1は、搬送対象物品110Aが、水平方向に搬送可能な状態であることを検出する。
搬送装置1は、搬送対象物品110Aの側面のうち第2の領域を撮像した第1の画像の特徴量に基づいて、搬送対象物品110Aが水平方向に搬送可能な状態であることを検出してもよい。第2の領域は、例えば、搬送対象物品110Aの周囲の物品110Bの天面の高さよりも鉛直上方向における搬送対象物品110Aの側面を含む領域である。搬送対象物品110Aの周囲の物品110Bの天面の高さ(H2)に基づいて設定された領域である。搬送装置1は、例えば、第2センサ32に代えて、カメラ装置32Aを備えることで、搬送対象物品110Aと物品110Bとの境界付近を撮像する。図25は、第1の実施形態の搬送装置1の他の一例を示す図である。
搬送装置1は、撮像画像に対してエッジ検出処理を行うことで、画像の特徴量を取得する。搬送装置1は、特徴量が変化した場合に、搬送対象物品110Aが水平方向に搬送可能な状態であることを検出する。また、搬送装置1は、搬送対象物品110Aと物品110Bの天面との境界を表す特徴量から、搬送対象物品110Aの鉛直下方向におけるエッジを表す特徴量に変化したことを検出してもよい。
なお、搬送装置1は、搬送対象物品110Aおよび物品110Bの端部における陰影を強調するために、補助光源を備えていてもよい。これにより、搬送装置1は、エッジ検出の感度を高くすることができる。
さらに、搬送装置1は、第3の領域に投影光を投影した状態で、第3の領域における画像を撮像してもよい。第3の領域は、例えば、搬送対象物品110Aの周囲の物品110Bの天面の高さよりも鉛直上方向における搬送対象物品110Aの側面を含む領域である。図26は、第1の実施形態の搬送装置1の他の一例を示す図である。搬送装置1は、例えば、鉛直方向において搬送可能なプロジェクタ32Bを備える。プロジェクタ32Bは、物品110Bの天面が認識された場合に、物品110Bの天面の高さよりも鉛直上方向における搬送対象物品110Aの側面を含む領域に、投影光を投影する。
搬送装置1は、搬送対象物品110Aの側面のうち第3の領域に投影光を照射する。搬送装置1は、図26の左図のように搬送対象物品110Aが引き抜かれていない状態で、例えば、円形状が第3の領域に照射される投影光を投影する。図26の左図に示すように搬送対象物品110Aが引き抜かれた場合、円形状の投影光がひずむ。搬送装置1は、画像の特徴量が変化した場合に、搬送対象物品110Aが水平方向に搬送可能な状態であることを検出する。
さらに、搬送装置1は、少なくとも搬送対象物品110Aと、搬送対象物品110Aの周囲の物品とにより形成される空間に基づいて、搬送対象物品110Aが水平方向に搬送可能な状態であることを検出してもよい。搬送装置1は、図25に示したように、カメラ装置32Aを備え、カメラ装置32Aにより奥行き方向の距離を演算する。搬送装置1は、奥行き方向の距離に基づいて、搬送対象物品110Aの底面よりも鉛直下方向に形成される空間の体積を演算する。搬送装置1は、例えば、奥行き方向の距離と、搬送対象物品110Aの底面の幅と、物品110Bの天面の高さにおける物品110Bの幅とに基づいて、空間の体積を演算する。
搬送装置1は、図25の左図のように搬送対象物品110Aが引き抜かれていない状態で、空間が無いと判定する。図25の右図に示すように搬送対象物品110Aが引き抜かれた場合、搬送対象物品110Aの底面に空間が出現する。これにより、搬送装置1は、搬送対象物品110Aの底面に空間の体積が変化したことを検出することができる。
さらに、搬送装置1は、搬送対象物品110Aの周囲の物品に妨げられずに露出している搬送対象物品110Aの側面110aの面積に基づいて、搬送対象物品110Aが水平方向に搬送可能な状態であることを検出してもよい。図27は、第1の実施形態の搬送装置1の他の一例を示す図である。カメラ装置32Aは、搬送装置1において搬送されることが想定される最大寸法の物品110を撮像可能な画角であることが望ましい。
搬送装置1は、搬送対象物品110Aの側面110aの面積を検出する。搬送装置1は、図27の左図に示すように、搬送対象物品110Aを鉛直上方向に搬送している最中において、次第に搬送対象物品110Aの側面110aの面積が増加する。搬送装置1は、図27の右図に示すように搬送対象物品110Aが引き抜かれた場合、搬送対象物品110Aの側面110aの面積の増加していない状態に変化する。この場合、搬送装置1は、搬送対象物品110Aが水平方向に搬送可能な状態であることを検出する。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態の搬送装置1および搬送方法について説明する。第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付することで詳細な説明を省略する。
第2の実施形態の搬送装置1は、把持部10Aにより搬送対象物品110Aを把持していることを判定して、搬送対象物品110Aを搬送する点で、第1の実施形態の搬送装置1とは相違する。図28は、第2の実施形態における把持部10Aの一例を示す図である。図29は、第2の実施形態における把持部10Aにおける物品110の検出範囲10bの一例を示す図である。
把持部10Aは、吸着パッド12の間に設けられた第3のセンサ17Aを含む。第3のセンサ17Aは、吸着パッド12に加わる圧力を検出する圧力センサであるが、これに限定されない。第3のセンサ17Aは、光源および受光部を含む光学式の距離センサであってもよい。第3のセンサ17Aは、保持面10aから鉛直方向と交わる方向に存在する物品110を検出する。第3のセンサ17は、図29に示すように、保持面10aから下方向における微小距離が物品110の検出範囲10bに設定される。第3のセンサ17Aは、物品110の検出結果を制御部60に送信する。なお、第3のセンサ17Aは、吸着パッド12の間に複数備えるが、これに限定されず、1つであってもよい。
第2の実施形態における第3のセンサは、力センサであってもよい。図30は、第2の実施形態における把持部10Aの他の一例を示す図である。第3のセンサとしての力センサ17Bは、ハンド11と吸着パッド12との間に設けられる。力センサ17Bは、吸着パッド12に加わる引っ張り力またはモーメントに対応した値を検出して、制御部60に送信する。また、力センサ17Bの設置位置は、ハンド11と吸着パッド12との間に限定されず、ハンド11と連結部13との間など、把持部10Aが搬送対象物品110Aを保持した場合に変化する力が加わる場所にであってもよい。
図31は、第2の実施形態の搬送装置1において、把持部10Aが搬送対象物品110Aを把持している場合における処理の流れを示すフローチャートである。制御部60は、図11のステップS108において把持部10Aが搬送対象物品110Aを把持するように制御した場合に、図31の処理を実行する。なお、以下の説明において、第3のセンサ17Aおよび17Bを総称して第3のセンサ17と記載し、第3のセンサ17により検出されるセンサ値は、圧力値および引っ張り力またはモーメントに対応した値を含むものとする。
制御部60は、把持部10Aによる把持状態に異常があるか否かを判定する(ステップS200)。ステップS200において、制御部60は、第3のセンサ17により検出されたセンサ値を受信し、受信したセンサ値が、搬送対象物品110Aの把持が完了した時の圧力値から所定値以上変化した吸着パッド12を認識する。制御部60は、複数の吸着パッド12のうち、センサ値が所定値以上変化した吸着パッド12の割合が閾値に達したか否かを判定する。制御部60は、把持部10Aによる把持状態に異常がないと判定した場合、第2センサ32により搬送対象物品110Aを検出したか否かを判定する(ステップS202)。制御部60は、第2センサ32により搬送対象物品110Aを検出していない場合、ステップS200に処理を戻す。
制御部60は、第2センサ32により搬送対象物品110Aを検出したと判定した場合、把持部10Aにより搬送対象物品110Aが解放されたか否かを判定する(ステップS204)。制御部60は、把持部10Aにより搬送対象物品110Aが解放されていないと判定した場合にはステップS200に処理を戻し、把持部10Aにより搬送対象物品110Aが解放されたと判定した場合には処理を終了する。
制御部60は、把持部10Aによる把持状態に異常があると判定した場合、異常処理を実行する(ステップS206)。制御部60は、異常処理として、リトライ処理を実行するが、これに限定されない。制御部60は、リトライ処理において、把持部10Aを搬送対象物品110Aの把持を完了した位置に移動させた後に、搬送対象物品110Aを解放するように動作させる。制御部60は、異常処理が完了した後に処理を終了してステップS100以降の処理を開始することで、搬送対象物品110Aを搬送する処理を再度実行する。
なお、搬送装置1は、異常処理として、リトライ処理に加えて、またはリトライ処理に代えて、オペレータに異常を通知してもよい。
以上説明したように、第2の実施形態の搬送装置1によれば、把持部10に第3のセンサ17を備え、第3のセンサ17により物体が検出されてない場合には、基準面を再度設定させ、把持部10により搬送対象物品110Aを第1の方向に再度搬送させる。これにより、第2の実施形態の搬送装置1によれば、把持部10による搬送対象物品110Aの保持に失敗しても再度搬送を行うことができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態の搬送装置1および搬送方法について説明する。第3の実施形態の説明において、上述した実施形態と同じ部分については同一符号を付することで詳細な説明を省略する。第3の実施形態の搬送装置1は、把持部10Aにより複数の搬送対象物品110Aを把持することが可能である場合に、複数の搬送対象物品110Aを搬送する点で、上述した実施形態の搬送装置1とは相違する。
図32は、第3の実施形態における搬送動作の一例を示すフローチャートである。まず、制御部60は、ボックスパレット100に積層された複数の物品110の領域を認識する(ステップS300)。なお、ステップS300の処理は、上述した図11のステップS100からステップS104の処理を含んでもよいが、これに限定されない。次に、制御部60は、認識された複数の物品110により形成される領域と、把持部10における保持面10aにより形成される領域とを比較する(ステップS302)。複数の物品110により形成される領域は天面領域であり、および保持面10aにより形成される領域は、XY平面に平行な面の領域であるが、これに限定されない。
次に、制御部60は、複数の物品110により形成される領域と保持面10aにより形成される領域とを比較した結果に基づいて、把持部10により複数の物品110の把持が可能であるか否かを判定する(ステップS304)。図33は、第3の実施形態における保持面10aにより形成される領域10cと、搬送対象物品110A−1および110A−2により形成される領域との関係を示す図である。保持面10aにより形成される領域10cとは、把持部10が物品110よりも鉛直上向き側に配置された場合に、保持面10aを+Z方向側から物品110に投影した面の領域である。
制御部60は、例えば、物品110の天面が、XY平面において保持面10aにより形成される領域10cに一定の割合以上含まれ、且つ物品110の天面の高さが把持部10の鉛直方向の可動範囲内に含まれている物品110が、把持部10により把持が可能である物品110として判定する。把持部10の鉛直方向の可動範囲は、物品110に接触する接触部が吸着パッド12である場合、吸盤のベローズ伸縮範囲内である。制御部60は、任意に設定したXY平面内で物品110の天面が最も高い位置にある物品110を第一候補として選定する。次に制御部60は、第一候補の物品110と鉛直方向に一定距離以内に存在する物品110のうち、第一候補の物品110の次に天面の高さが高い物品110を第二候補の物品110とする。
制御部60は、複数の搬送対象物品110A−1および110A−2の位置と保持面10aにより形成される領域10cとを比較することで、保持面10aに対応する領域10cに複数の搬送対象物品110A−1および110A−2に対応する領域が含まれることを判定する。これにより、制御部60は、把持部10により複数の搬送対象物品110A−1および110A−2が把持可能であることを判定する。制御部60は、把持部10により複数の物品110の把持が可能ではないと判定した場合、図11のステップS106に処理を進めて、1つの搬送対象物品110Aを搬送する動作に移行する。
制御部60は、把持部10により複数の搬送対象物品110A−1および110A−2の把持が可能であると判定した場合、吸着パッド12と搬送対象物品110A−1および110A−2との関係を記憶部62に記憶させる(ステップS306)。このとき、制御部60は、搬送対象物品110Aごとに、当該搬送対象物品110Aを保持する吸着パッド12を記憶させる。制御部60は、記憶部62に記憶された物品110の情報を参照し、搬送対象物品110Aが保持面10a内に最も効率よく収まる把持位置を探索して、保持面10aが、第一候補の物品110の鉛直上向き側に位置するように設定する。
次に、制御部60は、把持部10により複数の搬送対象物品110A−1および110A−2を把持させ、把持部10により複数の搬送対象物品110A−1および110A−2を搬送させる(ステップS308)。図34は、第3の実施形態の搬送装置1により複数の搬送対象物品110A−1および110A−2を引き上げる動作の一例を示す図である。制御部60は、図34の左図に示すように、把持部10により複数の搬送対象物品110A−1および110A−2を把持させる。制御部60は、図34の右図に示すように、複数の搬送対象物品110A−1および110A−2の底面の高さ位置Hbが基準面を通過するまで、搬送対象物品110A−1および110A−2を引き上げる。このとき、制御部60は、複数の搬送対象物品110A−1および110A−2の鉛直方向の長さの情報を取得する。制御部60は、例えば、複数の搬送対象物品110A−1および110A−2のうち、搬送対象物品110A−1の方が鉛直方向の長さが長いことを表す情報を、鉛直方向の長さの情報として取得する。その後、制御部60は、複数の搬送対象物品110A−1および110A−2を支持面30aの鉛直上向き側まで搬送させるように把持部10を移動させる。
ここで、制御部60は、搬送対象物品110A−1および110A−2を引き上げる際に、第1センサ15のスキャン面15aの鉛直方向の位置を、搬送対象物品110A−1および110A−2のうち最も高い位置に設定する。制御部60は、把持されている物品110のうち、全ての物品110が基準面を通過した場合に、物品110の引き上げ動作を終了する。
次に、制御部60は、第2センサ32により物品110を検出したか否かを判定する(ステップS310)。制御部60は、第2センサ32により検出された物品110を特定する(ステップS312)。このとき、制御部60は、複数の搬送対象物品110A−1および110A−2の鉛直方向の長さの情報に基づいて、範囲30bまで下降された物品110として搬送対象物品110A−1を特定する。
次に、制御部60は、ステップS310において特定された搬送対象物品110A−1を解放するように把持部10を制御する(ステップS314)。このとき、制御部60は、特定された搬送対象物品110A−1に対応した吸着パッド12の吸着力を低減させるように制御する。また、制御部60は、特定された搬送対象物品110A−1以外に対応した吸着パッド12の吸着力を維持するように制御する。また、制御部60は、複数の搬送対象物品110A−1および110A−2の大きさに基づいて、物品110を検出する範囲30bの大きさを調整してもよい。
次に、制御部60は、把持部10により搬送された全ての物品110を解放したか否かを判定する(ステップS316)。制御部60は、全ての物品110を解放していない場合にはステップS308に処理を戻し、全ての物品110を解放したと判定した場合には処理を終了する。
図35は、第3の実施形態において複数の搬送対象物品110A−1および110A−2を解放する動作の一例を示す図である。制御部60は、図35の左上図に示すように、搬送対象物品110A−1が範囲30bまで下降された場合に、範囲30bまで下降された物品110が搬送対象物品110A−1であることを特定する。そして、制御部60は、搬送対象物品110A−1に対応する吸着パッド12の保持を解除させて、図35の右上図のように、搬送対象物品110A−1を支持面30aに着地させる。その後、制御部60は、搬送対象物品110A−1と干渉しないように把持部10を水平移動させ、把持部10を鉛直下方向に移動させる。制御部60は、図35の左下図に示すように、搬送対象物品110A−2が範囲30bまで下降された場合に、範囲30bまで下降された物品110が搬送対象物品110A−2であることを特定する。そして、制御部60は、搬送対象物品110A−2に対応する吸着パッド12の保持を解除させて、図35の右下図のように、搬送対象物品110A−2を支持面30aに着地させる。なお、第3の実施形態の搬送装置1は、2つの搬送対象物品110Aを搬送するが、これに限定されない。第3の実施形態の搬送装置1は、3以上の搬送対象物品110Aを搬送してもよい。
以上説明したように、第3の実施形態の搬送装置1によれば、複数の搬送対象物品110Aの天面領域をそれぞれ設定し、搬送対象物品110Aの天面領域のそれぞれに基づいて各搬送対象物品110Aを保持する吸着パッド12をそれぞれ特定し、特定した吸着パッド12により搬送対象物品110Aをそれぞれ保持させる。また、第3の実施形態の搬送装置1によれば、スキャン面32aに搬送対象物品110Aが搬送されたことを検出した場合に、把持部10により保持された搬送対象物品110Aを特定し、特定した搬送対象物品110Aを保持する吸着パッド12による保持を解除させる。これにより、第3の実施形態の搬送装置1によれば、複数の搬送対象物品110Aを一度の動作で搬送することができ、複数の物品の搬送時間を短縮することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、複数の物品の中から選択された対象物品を保持して対象物品を第1の方向に引き上げた後、第1の方向と交差する第2の方向に搬送する搬送部(ハンド11)と、対象物品が対象物品の周囲の物品から第1の方向に引き上げられていない第1の状態から、対象物品を第2の方向に搬送可能な第2の状態への変化を検出する検出部と、検出部により、第1の状態から第2の状態への変化を検出した場合に、対象物品を第1の方向に搬送させることを停止させる制御部60を持つことにより、搬送部(ハンド11)の移動量を短くすることができ、対象物品の搬送時間を短縮することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。