JP6708442B2 - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

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本発明は窒化物半導体発光素子に関するものである。
半導体素子のほとんどはp型半導体層とn型半導体層とを積層して形成される。高い効率で動作する素子を実現するためには、電気抵抗が低いp型半導体層及びn型半導体層が必要である。ところが、紫外可視光波長域発光・受光素子として有用な窒化物半導体は、p型半導体層の電気抵抗率が〜1Ωcm程度である。これは、n型窒化物半導体や赤外半導体であるn型GaAs(ガリウムヒ素)やp型GaAsの電気抵抗率が0.01Ωcm以下であることに比べて100倍以上大きい。さらに、深紫外領域で必要な、大きなバンドギャップを有したAlN(窒化アルミニウム)モル分率が大きいAlGaNでは、p型AlGaNが得られないという課題がある。
トンネル接合は通常のpn接合に比べてp型半導体層及びn型半導体層のそれぞれにp型不純物及びn型不純物が高濃度に添加されたpn接合である。これにより、トンネル接合は通常のpn接合に比べてp型半導体層とn型半導体層との界面に形成される空乏層の厚みが薄くなる。これにより、トンネル接合のp型半導体層とn型半導体層とに逆バイアス電圧を印加すると電子が空乏層を通り抜けp型半導体層の価電子帯からn型半導体層の伝導帯へ移動する(トンネルする)ことができる。つまり、トンネル接合はn型半導体層からp型半導体層に向けて電流を流すことができる。
ゆえに、窒化物半導体発光素子において、電子に比べ移動度が低く有効質量が大きい正孔の供給源であるp型半導体層の大部分を、トンネル接合を用いることによって、正孔に比べ移動度が高く有効質量が小さい電子の供給源であるn型半導体層に置き換えることができる。つまり、窒化物半導体発光素子にトンネル接合を用いることによって、電気抵抗が大きいp型半導体層の大部分を電気抵抗の小さいn型半導体層に置き換えることができる。そして、さらにトンネル接合自体の電気抵抗を小さくすることができれば、従来の素子の電気抵抗をより小さくすることができ、さらに、現在実用化が遅れている深紫外発光素子の実用化が可能になる。しかし、窒化物半導体はバンドギャップが大きく、アクセプタの濃度を大きくすることが難しい。このため、窒化物半導体を用いたトンネル接合は、電気抵抗を小さくすることが難しいと考えられてきた。
非特許文献1、2の窒化物半導体発光素子はトンネル接合層にGaInN層を用いている。これにより、この窒化物半導体発光素子ではトンネル接合層のバンドギャップが小さくなり、InN(窒化インジウム)が添加されて発生するピエゾ分極によって大きな分極電荷が生じるため、トンネル接合を介して、窒化物半導体発光素子であるLEDを駆動する際に必要な低電流密度領域(100A/cm2以下)において、極めて低い電圧降下を示すことが開示されている。
これに対して、非特許文献3のトンネル接合を有する窒化物半導体発光素子は、レーザ駆動に必要な高電流密度領域(〜10kA/cm2)において、素子の表面側にp型半導体層であるp型コンタクト層を有する従来の素子に比べ、駆動電圧がおよそ2V(ボルト)高いことが開示されている。
S.Krishnamoorthy,et al,、"Polarization-engineered GaN/InGaN/GaN tunnel diodes"、Applied Physics Letter、(米国)、2010年11月、Vol.97,Issue20 M.Kaga,et al,、"GaInN-Based Tunnel Junctions in n-p-n Light Emitting Diodes"Japanese Journal of Applied Physics、2013年、Vol.52,Number8S D.Minamikawa,et al,、"GaInN-based tunnel junctions with high InN mole fractions grown by MOVPE"Physica Status Solidi、2015年5月、Vol.252,Issue5,P.1127−1131
非特許文献1〜3に開示された内容を踏まえて、発明者らが鋭意検討した結果、素子の電気抵抗の全体としては、トンネル接合において電子及び/又は正孔が空乏層を通過する(トンネルする)際の直接的な電気抵抗のみならず、電子及び/又は正孔がトンネルした後に受ける電気抵抗も重要であることを新たに見出した。
詳しくは、従来のトンネル接合を備える窒化物半導体発光素子において、電子及び/又は正孔が空乏層をトンネルする確率を大きくするために、InN(窒化インジウム)モル分率が所定の大きさ(例えば0.4)であるGaInN層をトンネル接合に用いる。すると、GaInN層はGaInN層に隣り合うGaN層に比べてバンドギャップが小さくなる。つまり、GaInN層とGaInN層に隣り合うGaN層との間のバンドオフセットが大きくなる。これにより、GaInN層と、GaInN層に隣り合うGaN層との間にエネルギーヘテロ障壁(以下、ヘテロ障壁という)が生じる。
つまり、非特許文献1〜3のように、InNモル分率のより大きなGaInN層をトンネル接合に用いると、トンネルした後に、電子及び/又は正孔がヘテロ障壁を乗り越えて通過できるようにするために、電子及び/又は正孔により大きなエネルギーを与える必要がある。このため、InNモル分率を大きくした割には、素子全体の電気抵抗が小さくならないという課題が生じることを見出した。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、素子の電気抵抗が十分に小さく、これにより高効率で発光することができる窒化物半導体発光素子を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の窒化物半導体発光素子は、
活性層の表面側にトンネル接合層が積層された窒化物半導体発光素子であって、
前記トンネル接合層は、p型不純物が添加され、前記トンネル接合層において最もバンドギャップく前記活性層側に位置する第1層
n型不純物が添加されて前記第1層の表面に積層され、前記第1層よりもバンドギャップの大きい第2層と、
を有し、
前記第1層は、層の厚み方向にInN(窒化インジウム)モル分率を変化させて層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜し、少なくとも層の厚み方向の一方又は他方の界面のいずれかにおける前記InN(窒化インジウム)のモル分率が0であることを特徴とする。
この窒化物半導体発光素子はトンネル接合層において、積層された第1層と第2層との界面に急激な電位の差であるヘテロ障壁が発生することを抑えることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子は電子及び/又は正孔がヘテロ障壁に妨げられることなく第1層と第2層との界面を良好に通過することができるため、トンネル接合層の電気抵抗を抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は良好に発光することができる。また、第1層の格子定数の違いによる結晶の歪みを層の厚み方向の全体にわたって徐々に変化させることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子は第1層の厚み方向の全体にわたって転位等の結晶欠陥が発生することを抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は結晶品質を良好にすることができる。また、第1層のバンドギャップをより小さくすることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子はトンネル接合に生じる空乏層の厚みをより抑えることができるため、電子及び/又は正孔が空乏層をより良好に通過することができる。このため、この窒化物半導体発光素子はトンネル接合層の電気抵抗をより抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は良好に発光することができる。
また、本発明の窒化物半導体発光素子は、
活性層の表面側にトンネル接合層が積層された窒化物半導体発光素子であって、
前記トンネル接合層は、p型不純物が添加され、前記トンネル接合層において最もバンドギャップの狭い第1層
n型不純物が添加されて前記第1層の表面に積層され、前記第1層よりもバンドギャップの大きい第2層
p型不純物が添加されて前記第1層の前記活性層側に積層され、前記第1層よりバンドギャップが大きい第3層と、
を有し、
前記第1層は、層の厚み方向にInN(窒化インジウム)のモル分率を変化させて層の厚み方向に組成傾斜し、少なくとも前記第2層及び前記第3層との界面のいずれかにおける前記InN(窒化インジウム)のモル分率が0であることを特徴とする。
この窒化物半導体発光素子はトンネル接合層において、第1層の第2層側との界面又は第3層側との界面の少なくとも一方に急激な電位の差であるヘテロ障壁が発生することを抑えることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子は電子及び/又は正孔がヘテロ障壁に妨げられることなく第1層と第2層との界面、及び/又は第1層と第3層との界面を良好に通過することができるため、トンネル接合層の電気抵抗を抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は良好に発光することができる。また、第1層のバンドギャップをより小さくすることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子はトンネル接合に生じる空乏層の厚みをより抑えることができるため、電子及び/又は正孔が空乏層をより良好に通過することができる。このため、この窒化物半導体発光素子はトンネル接合層の電気抵抗をより抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は良好に発光することができる。
したがって、本発明の窒化物半導体発光素子は良好に発光することができる。
実施例1〜3、及び比較例1の層の構造を示す模式図である。 実施例1のトンネル接合層の厚み方向に対するバンドギャップを示すグラフである。 実施例2のトンネル接合層の厚み方向に対するバンドギャップを示すグラフである。 実施例3のトンネル接合層の厚み方向に対するバンドギャップを示すグラフである。 比較例1のトンネル接合層の厚み方向に対するバンドギャップを示すグラフである。 実施例1〜3、及び比較例1のトンネル接合層の厚み方向に対するInNモル分率の大きさを示すグラフであって、(A)は実施例1のトンネル接合層の厚み方向に対するInNモル分率の大きさを示し、(B)は実施例2のトンネル接合層の厚み方向に対するInNモル分率の大きさを示し、(C)は実施例3のトンネル接合層の厚み方向に対するInNモル分率の大きさを示し、(D)は比較例1のトンネル接合層の厚み方向に対するInNモル分率の大きさを示す。 実施例1〜3、及び比較例1の電流に対する電圧の大きさを示すグラフである。 実施例4〜6のトンネル接合層の構造を示す模式図である。 実施例4〜6のトンネル接合層の厚み方向に対するInNモル分率の大きさを示すグラフであって、(A)は実施例4のトンネル接合層の厚み方向に対するInNモル分率の大きさを示し、(B)は実施例5のトンネル接合層の厚み方向に対するInNモル分率の大きさを示し、(C)は実施例6のトンネル接合層の厚み方向に対するInNモル分率の大きさを示す。
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
本発明の窒化物半導体発光素子において、前記第1層は、層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜し得る。この場合、この窒化物半導体発光素子は、第1層の格子定数の違いによる結晶の歪みを層の厚み方向の全体にわたって徐々に変化させることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子は第1層の厚み方向の全体にわたって転位等の結晶欠陥が発生することを抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は結晶品質を良好にすることができる。
次に、本発明の窒化物半導体発光素子を具体化した実施例1〜6、及び比較例1について、図面を参照しつつ説明する。
<実施例1〜3及び比較例1>
実施例1〜3、及び比較例1の窒化物半導体発光素子は、図1に示すように、第1n−GaN層11、GaInN/GaN5重量子井戸活性層12、p−AlGaN層13、p−GaN層14、トンネル接合層15、第2n−GaN層16、及びn−GaNコンタクト層17を備えている。
実施例1〜3、及び比較例1の窒化物半導体発光素子は、サファイア基板(以下、基板という)(図示せず)の表面側(表は図1における上側である、以下同じ。)に低温堆積緩衝層(図示せず)を介して形成したGaNテンプレート10の表面側に、MOCVD法(有機金属気相成長法)を用いて積層して結晶成長する。
先ず、基板の表面側に形成されたGaNテンプレート10の表面に第1n−GaN層11を積層して結晶成長する。詳しくは、先ず、反応炉内に基板をセットする。そして、反応炉内にN(窒素)の原料であるNH3(アンモニア)、及びキャリアガスであるH2(水素)を供給して、反応炉内の温度を調節して基板の温度を1050℃にする。そして、反応炉内にGa(ガリウム)の原料であるTMGa(トリメチルガリウム)と、n型不純物であるSi(ケイ素)の原料であるSiH4(シラン)とを供給して、2μmの厚みの第1n−GaN層11を積層して結晶成長させる。反応炉内へのSiH4の供給量は第1n−GaN層11に添加されるn型不純物であるSiの添加濃度が8×1018cm-3になるように調節する。
次に、第1n−GaN層11の表面にGaInN/GaN5重量子井戸活性層12を積層して結晶成長する。GaInN/GaN5重量子井戸活性層12は、GaInN井戸層(図示せず)、及びGaNバリア層(図示せず)を有している。
先ず、GaInN井戸層を積層して結晶成長する。詳しくは、反応炉内へのH2、TMGa、及びSiH4の供給を停止する。そして、反応炉内にキャリアガスとしてN2(窒素)を供給する。そして、反応炉内の温度を調節して基板の温度を780℃にする。そして、反応炉内にGaの原料であるTEGa(トリエチルガリウム)と、In(インジウム)の原料であるTMIn(トリメチルインジウム)とを供給して、2nmの厚みのGaInN井戸層を積層して結晶成長させる。
次に、GaInN井戸層の表面にGaNバリア層を積層して結晶成長する。詳しくは、反応炉内へのTMInの供給を停止して、10nmの厚みのGaNバリア層を積層して結晶成長させる。こうして成長させたGaInN量子井戸層、及びGaNバリア層を1ペアとして、この1ペアを5ペア積層して結晶成長する。こうしてGaInN/GaN5重量子井戸活性層12を形成する。そして、反応炉内へのTEGa及びTMInの供給を停止する。
次に、GaInN/GaN5重量子井戸活性層12の表面にp−AlGaN層13を積層して結晶成長する。詳しくは、反応炉内へ供給するキャリアガスをN2からH2に切り替える。そして、反応炉内の温度を調節して基板の温度を1000℃にする。そして、反応炉内にTMGa、Al(アルミニウム)の原料であるTMAl(トリメチルアルミニウム)、及びp型不純物であるMg(マグネシウム)の原料であるCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を供給して、20nmの厚みのp−AlGaN層13を積層して結晶成長させる。反応炉内へのCp2Mgの供給量はp−AlGaN層13に添加されるp型不純物であるMgの濃度が2×1019cm-3になるように調節する。
次に、p−AlGaN層13の表面にp−GaN層14を積層して結晶成長する。詳しくは、反応炉内へTMAlの供給を停止して、100nmの厚みのp−GaN層14を積層して結晶成長させる。p−GaN層14に添加されるp型不純物であるMgの濃度は2×1019cm-3である。そして、反応炉内へのTMGa及びCp2Mgの供給を停止して、キャリアガスをH2からN2に切り替える。そして、反応炉内の温度を調節して基板の温度を720℃にする。
次に、p−GaN層14の表面にトンネル接合層15を形成する。トンネル接合層15は第1層であるp++−GaInN層15A、及び第2層であるn++−GaN層15Bを有している。ここで、p++とはp型不純物であるMgが高濃度に添加された状態を意味し、n++とはn型不純物であるSiが高濃度に添加された状態を意味する。
ここで、実施例1〜3、及び比較例1の窒化物半導体発光素子はそれぞれでp++−GaInN層15Aを積層して結晶成長する方法が異なる。このため、実施例1〜3、及び比較例1のそれぞれのp++−GaInN層15Aの結晶成長する方法を説明する。
実施例1は、反応炉内にTEGa、及びCp2Mgの供給を開始した時点で、反応炉内へのTMInの供給量は0である。そして、p++−GaInN層15Aを結晶成長させつつ、反応炉内へのTMInの流量を次第に増加させる。そして、p++−GaInN層15Aの厚みが4nmになったときに、InNモル分率が0.4になるように反応炉内へのTMInの流量を増加させる。実施例1はp++−GaInN層15Aに添加されるp型不純物であるMgの濃度が2×1020cm-3になるようにCp2Mgの流量を調節する。こうして、実施例1のp++−GaInN層15Aの結晶成長を終了する。実施例1のp++−GaInN層15Aは層の厚み方向の全体にわたってInNモル分率が変化している。つまり、実施例1のp++−GaInN層15Aは層の厚み方向におけるInNモル分率を変化させて、層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜している。
実施例2は、反応炉内にTEGa、Cp2Mg、及びTMInを供給する。このときの反応炉内へのTMInの供給量はp++−GaInN層15AのInNモル分率が0.4になる量である。そして、p++−GaInN層15Aを結晶成長させつつ、反応炉内へのTMInの流量を次第に減少させる。そして、p++−GaInN層15Aの厚みが4nmになったときに、反応炉内へのTMInの供給量が0になるようにTMInの流量を減少させる。実施例2はp++−GaInN層15Aに添加されるp型不純物であるMgの濃度が2×1020cm-3になるようにCp2Mgの流量を調節する。こうして、実施例2のp++−GaInN層15Aの結晶成長を終了する。実施例2のp++−GaInN層15Aは層の厚み方向の全体にわたってInNモル分率が変化している。つまり、実施例2のp++−GaInN層15Aは層の厚み方向におけるInNモル分率を変化させて、層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜している。
実施例3は、反応炉内にTEGa、及びCp2Mgの供給を開始した時点で、反応炉内へのTMInの供給量は0である。そして、p++−GaInN層15Aを結晶成長させつつ、反応炉内へのTMInの流量を次第に増加させる。そして、p++−GaInN層15Aの厚みが2nmになったときに、InNモル分率が0.4になるように反応炉内へのTMInの流量を増加させる。そして、さらにp++−GaInN層15Aを結晶成長させつつ、反応炉内へのTMInの流量を次第に減少させる。そして、p++−GaInN層15Aの厚みが4nmになったときに、InNモル分率が再び0になるように反応炉内へのTMInの流量を減少させる。実施例3はp++−GaInN層15Aに添加されるp型不純物であるMgの濃度が2×1020cm-3になるようにCp2Mgの流量を調節する。こうして、実施例3のp++−GaInN層15Aの結晶成長を終了する。実施例3のp++−GaInN層15Aは層の厚み方向の全体にわたってInNモル分率が変化している。つまり、実施例3のp++−GaInN層15Aは層の厚み方向におけるInNモル分率を変化させて、層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜している。
比較例1は、反応炉内にTEGa、Cp2Mg、及び所定の量のTMInを供給する。こうして、2nmの厚みのp++−GaInN層15Aを成長させる。比較例1はp++−GaInN層15Aに添加されるp型不純物であるMgの濃度が2×1020cm-3になるようにCp2Mgの流量を調節する。こうして、比較例1のp++−GaInN層15Aの結晶成長を終了する。比較例1のp++−GaInN層15Aは層の厚み方向の全体にわたってInNモル分率が変化していない。つまり、比較例1のp++−GaInN層15Aは組成傾斜していない。
次に、p++−GaInN層15Aの表面にn++−GaN層15Bを積層して結晶成長する。詳しくは、実施例1〜3、及び比較例1のそれぞれにおいてp++−GaInN層15Aを積層して結晶成長させた後、反応炉内へのCp2Mg及びTMInの供給を停止する。そして、反応炉内にSiH4を供給して、2nmの厚みのn++−GaN層15Bを積層して結晶成長させる。その後、反応炉内へのTEGa及びSiH4の供給を停止する。こうして、実施例1〜3、及び比較例1のそれぞれにおいてトンネル接合層15を形成する。n++−GaN層15Bに添加されるn型不純物であるSiの濃度は4×1020cm-3以上である。
次に、トンネル接合層15の表面に第2n−GaN層16を積層して結晶成長する。詳しくは、反応炉内へ供給するキャリアガスをN2からH2に切り替える。そして、反応炉内の温度を調節して基板の温度を1000℃にする。そして、第2n−GaN層16を400nmの厚みで積層して結晶成長させる。第2n−GaN層16に添加されるn型不純物であるSiの濃度は8×1018cm-3である。
次に、第2n−GaN層16の表面にn−GaNコンタクト層17を積層して結晶成長する。n−GaNコンタクト層17は層の厚みが10nmである。そして、反応炉内へのTMGa及びSiH4の供給を停止して結晶成長を終了する。そして、反応炉内へ供給するキャリアガスをH2からN2に切り替える。そして、反応炉内の温度を調節して基板の温度が400℃以下になった時点で、反応炉内へのNH3の供給を停止する。そして、基板の温度が室温になった後、反応炉内のパージを行い、基板を反応炉から取り出す。
次に、こうして結晶成長して層構造を形成した実施例1〜3、及び比較例1の基板のそれぞれを用いて電流注入可能な素子形成を行う。
先ず、表面からの平面視において、基板上に直径35μmの円形形状であるメサ構造20を形成する。詳しくは、フォトリソグラフィ及びドライエッチングを用いて基板上にメサ構造20を形成する。より詳しくは、基板上の最も表面に積層して結晶成長したn−GaNコンタクト層17の表面に直径35μmの円形形状のフォトレジスト又は金属マスクを形成する(図示せず。)。フォトレジスト又は金属マスクが形成された直下はエッチングで除去されない。また、フォトレジスト又は金属マスクが形成されていない領域は、表面に第1n−GaN層11が露出するまでエッチングされる。こうして、基板上に直径35μmの円形形状であるメサ構造20を形成する。
次に、メサ構造20を形成した基板をO2(酸素)雰囲気中にて、725℃で30分間アニール処理を行い、埋め込まれたp−AlGaN層13、p−GaN層14、及びトンネル接合層15のp++−GaInN層15AのMgを活性化させる。ここで、活性化とはp型不純物であるMgに結合しているH(水素)を離脱させてMgを活性化させ、Mgが添加されたp−AlGaN層13、p−GaN層14、及びトンネル接合層15のp++−GaInN層15Aの電気伝導性を向上させることである。こうして活性化することで、エッチングによって、側面が露出したp−AlGaN層13、p−GaN層14及びトンネル接合層15のp++−GaInN層15Aのそれぞれの側面からMgを不活性化させていたHを離脱させる。
次に、第1電極21、及び第2電極22を形成する。詳しくは、円形形状をなした第1電極21をメサ構造20の表面に形成する。また、円環状をなした第2電極22をメサ構造20の周囲を囲むように、第1n−GaN層11の露出した表面に形成する。第1電極21、及び第2電極22は、Ti/Al/Ti/Auである。また、第1電極21、及び第2電極22はそれぞれを一括して形成する。こうして、電流が第1電極21からトンネル接合層15、及びGaInN/GaN5重量子井戸活性層12を通過して第2電極22に流れる実施例1〜3、及び比較例1の窒化物半導体発光素子を形成する。
次に、実施例1〜3、及び比較例1の窒化物半導体発光素子のそれぞれのトンネル接合層15の特徴について説明する。
実施例1は、図6(A)に示すように、p−GaN層14から第2n−GaN層16に向けて、すなわち、結晶成長する方向にp++−GaInN層15AのInNモル分率が0から0.4まで増加している。つまり、実施例1のp++−GaInN層15Aは層の厚み方向におけるInNモル分率を変化させて、層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜している。また、実施例1はp−GaN層14とp++−GaInN層15Aとの界面を含むこの界面近傍の領域が組成傾斜している。
また、実施例1は、図2に示すように、トンネル接合層15において最もバンドギャップの狭いp++−GaInN層15A、及びp++−GaInN層15A上に積層され、p++−GaInN層15Aよりもバンドギャップの大きいn++−GaN層15Bを有している。また、実施例1はトンネル接合層15のGaInN層であるp++−GaInN層15Aのp−GaN層14側との界面にヘテロ障壁が生じていない。これにより、実施例1のトンネル接合層15ではp++−GaInN層15Aからp−GaN層14の方向に正孔が容易に通過することができる。
実施例2は、図6(B)に示すように、p−GaN層14から第2n−GaN層16に向けて、すなわち、結晶成長する方向にp++−GaInN層15AのInNモル分率が0.4から0まで減少している。つまり、実施例2のp++−GaInN層15Aは層の厚み方向におけるInNモル分率を変化させて、層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜している。また、実施例2はp++−GaInN層15Aとn++−GaN層15Bとの界面を含むこの界面近傍の領域が組成傾斜している。
また、実施例2は、図3に示すように、トンネル接合層15において最もバンドギャップの狭いp++−GaInN層15A、及びp++−GaInN層15A上に積層され、p++−GaInN層15Aよりもバンドギャップの大きいn++−GaN層15Bを有している。また、実施例2は、トンネル接合層15のGaInN層であるp++−GaInN層15Aのn++−GaN層15B側との界面にヘテロ障壁が生じていない。これにより、実施例2のトンネル接合層15はp++−GaInN層15Aからn++−GaN層15Bの方向に電子が容易に通過することができる。
実施例3は、図6(C)に示すように、p−GaN層14から第2n−GaN層16に向けて、すなわち、結晶成長する方向にp++−GaInN層15AのInNモル分率が前半の2nmにおいて0から0.4に増加し、後半の2nmにおいて0.4から0に減少している。つまり、実施例3のp++−GaInN層15Aは層の厚み方向におけるInNモル分率を変化させて、層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜している。また、実施例3はp++−GaInN層15Aとn++−GaN層15Bとの界面を含むこの界面近傍の領域が組成傾斜している。また、実施例3はp++−GaInN層15Aとp−GaN層14との界面を含むこの界面近傍の領域も組成傾斜している。
また、実施例3は、図4に示すように、トンネル接合層15において最もバンドギャップの狭いp++−GaInN層15A、及びp++−GaInN層15A上に積層され、p++−GaInN層15Aよりもバンドギャップの大きいn++−GaN層15Bを有している。また、実施例3はトンネル接合層15のGaInN層であるp++−GaInN層15Aのp−GaN層14側と、n++−GaN層15B側との2つの界面にヘテロ障壁が生じていない。これにより、実施例3のトンネル接合層15はp++−GaInN層15Aからn++−GaN層15Bの方向に電子が容易に通過することができ、且つ、p++−GaInN層15Aからp−GaN層14の方向に正孔が容易に通過することができる。
比較例1は、図6(D)に示すように、p++−GaInN層15AのInNモル分率が層の厚み方向の全体にわたって一定である。つまり、比較例1はp++−GaInN層15AのInNモル分率が層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜していない。
また、比較例1は、図5に示すように、トンネル接合層15のp++−GaInN層15Aのバンドギャップが、p++−GaInN層15Aに隣り合うn++−GaN層15B,及びp−GaN層14に比べて小さい。これにより、p++−GaInN層15Aの両側にバンドオフセットが生じて、p−GaN層14側、及びn++−GaN層15B側の両側にヘテロ障壁30、31が生じている。ヘテロ障壁30はp++−GaInN層15Aからp−GaN層14に流れる正孔に対する障壁である。ヘテロ障壁30の大きさはおよそ0.4eV(エレクトロンボルト)である。また、ヘテロ障壁31はp++−GaInN層15Aからn++−GaN層15Bに流れる電子に対する障壁である。ヘテロ障壁31の大きさはおよそ0.9eV(エレクトロンボルト)である。
次に、実施例1〜3、及び比較例1の窒化物半導体発光素子におけるトンネル接合での電圧降下を評価するために実施例1〜3、及び比較例1の窒化物半導体発光素子のそれぞれに電圧を印加して、電流−電圧特性を測定した。
図7に示すように、実施例1〜3は、比較例1に比べて、駆動電圧が大きく低減しており、5kA/cm2において、およそ1V(ボルト)低い。すなわち、トンネル接合層15に組成傾斜を取り入れることによって素子の電気抵抗を小さくできることがわかった。ゆえに、これまで、トンネル接合層のみの低抵抗化を検討していたが、それだけでなく、トンネル接合層の両側の層の構造も含めた提案が重要であることがわかった。
このように、この窒化物半導体発光素子はトンネル接合層15において、積層されたp++−GaInN層15Aとn++−GaN層15Bとの界面に急激な電位の差であるヘテロ障壁が発生することを抑えることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子は電子及び/又は正孔がヘテロ障壁に妨げられることなくp++−GaInN層15Aとn++−GaN層15Bとの界面を良好に通過することができるため、トンネル接合層15の電気抵抗を抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は良好に発光することができる。
したがって、この窒化物半導体発光素子は良好に発光することができる。
また、この窒化物半導体発光素子において、p++−GaInN層15Aは、層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜している。このため、この窒化物半導体発光素子は、p++−GaInN層15Aの格子定数の違いによる結晶の歪みを層の厚み方向の全体にわたって徐々に変化させることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子はp++−GaInN層15Aの厚み方向の全体にわたって転位等の結晶欠陥が発生することを抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は結晶品質を良好にすることができる。
また、この窒化物半導体発光素子において、p++−GaInN層15Aは、層の厚み方向におけるInN(窒化インジウム)モル分率を変化させて、組成傾斜している。このため、この窒化物半導体発光素子は、p++−GaInN層15Aのバンドギャップをより小さくすることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子はトンネル接合層15に生じる空乏層の厚みをより抑えることができるため、電子及び/又は正孔が空乏層をより良好に通過することができる。このため、この窒化物半導体発光素子はトンネル接合層15の電気抵抗をより抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は良好に発光することができる。
<実施例4〜6>
実施例4〜6は、図8に示すように、トンネル接合層115に第3層であるp++−GaN層115Cを有している点、及びp++−GaInN層115AにInNモル分率が0.4である領域F1〜F3を備えている点が実施例1〜3と異なる。他の構成は実施例1〜3と同様であり、実施例1〜3と同一の構成は同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例4は、p−GaN層14の表面にトンネル接合層115を形成する際に、反応炉内にTEGa、及びCp2Mgの供給を開始して、所定の時間InNを含まないp++−GaN層115Cを積層して結晶成長させる。次に、p++−GaN層115Cの表面にp++−GaInN層115Aを積層して結晶成長させる。詳しくは、反応炉内へのTMInの供給を開始する。開始直後は、反応炉内へのTMInの供給量は0であるが、p++−GaInN層115Aを結晶成長させつつ、反応炉内へのTMInの流量を次第に増加させる。そして、p++−GaInN層115Aの厚みが2nmになったときに、InNモル分率が0.4になるように反応炉内へのTMInの流量を増加させる。そして、InNモル分率が0.4になるTMInの反応炉内への流量を維持して、p++−GaInN層115Aの厚みが4nmになるまで結晶成長させる。こうして、確実にInNモル分率が0.4である領域F1(図9(A)参照)を形成することができる。つまり、領域F1はp++−GaInN層115Aにおいて最もInNモル分率が大きく組成が平坦である。領域F1の厚みは2nmである。こうして、実施例4のp++−GaInN層115Aの結晶成長を終了する。そして、反応炉内へのCp2Mg及びTMInの供給を停止する。そして、反応炉内にSiH4を供給して、p++−GaInN層115Aの表面に所定の厚みのn++−GaN層115Bを積層して結晶成長する。こうして、実施例4はトンネル接合層115を形成する。
実施例4はトンネル接合層115のp++−GaInN層115AにInNが添加されている。このため、実施例4はトンネル接合層115のp++−GaInN層115Aのバンドギャップがp++−GaN層115C、及びn++−GaN層115Bに比べて小さい。つまり、実施例4は、トンネル接合層115において最もバンドギャップの狭いp++−GaInN層115A、p++−GaInN層115Aに積層され、p++−GaInN層115Aよりもバンドギャップの大きいn++−GaN層115B、及びp++−GaInN層115Aを挟んでn++−GaN層115Bの反対側に積層され、p++−GaInN層115Aよりバンドギャップが大きいp++−GaN層115Cを有したトンネル接合層115を形成する。
実施例4は、図9(A)に示すように、p−GaN層14から第2n−GaN層16に向けて、すなわち、結晶成長する方向にp++−GaInN層115AのInNモル分率が0から0.4まで増加している。つまり、実施例4のp++−GaInN層115Aは層の厚み方向におけるInNモル分率を変化させて、層の厚み方向に組成傾斜している。また、実施例4はトンネル接合層115のp++−GaInN層115Aのp++−GaN層115C側との界面を含むこの界面近傍の領域が組成傾斜する。一方で、InNモル分率が一定の領域F1も存在する。
実施例5は、p−GaN層14の表面にトンネル接合層115を形成する際に、反応炉内にTEGa、及びCp2Mgの供給を開始して、所定の時間InNを含まないp++−GaN層115Cを積層して結晶成長させる。次に、p++−GaN層115Cの表面にp++−GaInN層115Aを積層して結晶成長させる。詳しくは、反応炉内へのTMInの供給を開始する。このときの反応炉内へのTMInの供給量はp++−GaInN層115AのInNモル分率が0.4になる量である。そして、InNモル分率が0.4になるTMInの反応炉内への流量を維持して、p++−GaInN層115Aの厚みが2nmになるまで結晶成長させる。こうして、確実にInNモル分率が0.4である領域F2(図9(B)参照)を形成することができる。つまり、領域F2はp++−GaInN層115Aにおいて最もInNモル分率が大きく組成が平坦である。領域F2の厚みは2nmである。そして、p++−GaInN層115Aを結晶成長させつつ、反応炉内へのTMInの流量を次第に減少させる。そして、p++−GaInN層115Aの厚みが4nmになったときに、反応炉内へのTMInの供給量が0になるようにTMInの流量を減少させる。こうして、実施例5のp++−GaInN層115Aの結晶成長を終了する。そして、反応炉内へのCp2Mg及びTMInの供給を停止する。そして、反応炉内にSiH4を供給して、p++−GaInN層115Aの表面に所定の厚みのn++−GaN層115Bを積層して結晶成長する。こうして、実施例5はトンネル接合層115を形成する。
実施例5はトンネル接合層115のp++−GaInN層115AにInNが添加されている。このため、実施例5はトンネル接合層115のp++−GaInN層115Aのバンドギャップがp++−GaN層115C、及びn++−GaN層115Bに比べて小さい。つまり、実施例5は、トンネル接合層115において最もバンドギャップの狭いp++−GaInN層115A、p++−GaInN層115Aに積層され、p++−GaInN層115Aよりもバンドギャップの大きいn++−GaN層115B、及びp++−GaInN層115Aを挟んでn++−GaN層115Bの反対側に積層され、p++−GaInN層115Aよりバンドギャップが大きいp++−GaN層115Cを有したトンネル接合層115を形成する。
実施例5は、図9(B)に示すように、p−GaN層14から第2n−GaN層16に向けて、すなわち、結晶成長する方向にp++−GaInN層115AのInNモル分率が0.4から0まで減少している。つまり、実施例5のp++−GaInN層115Aは層の厚み方向におけるInNモル分率を変化させて、層の厚み方向に組成傾斜している。また、実施例5はトンネル接合層115のp++−GaInN層115Aのn++−GaN層115B側との界面を含むこの界面近傍の領域が組成傾斜する。一方で、InNモル分率が一定の領域F2も存在する。
実施例6は、p−GaN層14の表面にトンネル接合層115を形成する際に、反応炉内にTEGa、及びCp2Mgの供給を開始して、所定の時間InNを含まないp++−GaN層115Cを積層して結晶成長させる。次に、p++−GaN層115Cの表面にp++−GaInN層115Aを積層して結晶成長させる。詳しくは、反応炉内へのTMInの供給を開始する。このとき、反応炉内へのTMInの供給量は0である。そして、p++−GaInN層115Aを結晶成長させつつ、反応炉内へのTMInの流量を次第に増加させる。そして、p++−GaInN層115Aの厚みが1.5nmになったときに、InNモル分率が0.4になるように反応炉内へのTMInの流量を増加させる。そして、InNモル分率が0.4になるTMInの反応炉内への流量を維持して、p++−GaInN層115Aの厚みが2.5nmになるまで結晶成長させる。こうして、確実にInNモル分率が0.4である領域F3(図9(C)参照)を形成することができる。つまり、領域F3はp++−GaInN層115Aにおいて最もInNモル分率が大きく組成が平坦である。領域F3の厚みは1nmである。そして、さらにp++−GaInN層115Aを結晶成長させつつ、反応炉内へのTMInの流量を次第に減少させる。そして、p++−GaInN層115Aの厚みが4nmになったときに、InNモル分率が再び0になるように反応炉内へのTMInの流量を減少させる。こうして、実施例6のp++−GaInN層115Aの結晶成長を終了する。そして、反応炉内へのCp2Mg及びTMInの供給を停止する。そして、反応炉内にSiH4を供給して、p++−GaInN層115Aの表面に所定の厚みのn++−GaN層115Bを積層して結晶成長する。こうして、実施例6はトンネル接合層115を形成する。
実施例6はトンネル接合層115のp++−GaInN層115AにInNが添加されている。このため、実施例6のトンネル接合層115はp++−GaInN層115Aのバンドギャップがp++−GaN層115C、及びn++−GaN層115Bに比べて小さい。つまり、実施例6は、トンネル接合層において最もバンドギャップの狭いp++−GaInN層115A、p++−GaInN層115Aに積層され、p++−GaInN層115Aよりもバンドギャップの大きいn++−GaN層115B、及びp++−GaInN層115Aを挟んでn++−GaN層115Bの反対側に積層され、p++−GaInN層115Aよりバンドギャップが大きいp++−GaN層115Cを有したトンネル接合層115を形成する。
実施例6は、図9(C)に示すように、p−GaN層14から第2n−GaN層16に向けて、すなわち、結晶成長する方向にp++−GaInN層115AのInNモル分率が前半において0から0.4に増加し、InNモル分率が0.4と一定である領域F3を挟み、後半においてInNモル分率が0.4から0に減少している。つまり、実施例6のp++−GaInN層115Aは層の厚み方向におけるInNモル分率を変化させて、層の厚み方向に組成傾斜している。また、実施例6はトンネル接合層115のp++−GaInN層115Aのp++−GaN層115C側、及びn++−GaN層115B側の界面を含むこの界面近傍の領域が組成傾斜する。
このように、この窒化物半導体発光素子はトンネル接合層115において、p++−GaInN層115Aのn++−GaN層115B側との界面、又はp++−GaN層115C側との界面の少なくとも一方に急激な電位の差であるヘテロ障壁が発生することを抑えることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子は電子及び/又は正孔がヘテロ障壁に妨げられることなくp++−GaInN層115Aとn++−GaN層115Bとの界面、及び/又はp++−GaInN層115Aとp++−GaN層115Cとの界面を良好に通過することができるため、トンネル接合層115の電気抵抗を抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は良好に発光することができる。
したがって、この窒化物半導体発光素子も良好に発光することができる。
また、この窒化物半導体発光素子において、p++−GaInN層115Aは、層の厚み方向に組成傾斜している。このため、この窒化物半導体発光素子は、p++−GaInN層115Aの格子定数の違いによる結晶の歪みを層の厚み方向に徐々に変化させることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子はp++−GaInN層115Aの厚み方向に転位等の結晶欠陥が発生することを抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は結晶品質を良好にすることができる。
また、この窒化物半導体発光素子において、p++−GaInN層115Aは、層の厚み方向におけるInN(窒化インジウム)モル分率を変化させて、組成傾斜している。このため、この窒化物半導体発光素子は、p++−GaInN層115Aのバンドギャップをより小さくすることができる。これにより、この窒化物半導体発光素子はトンネル接合に生じる空乏層の厚みをより抑えることができるため、電子及び/又は正孔が空乏層をより良好に通過することができる。このため、この窒化物半導体発光素子はトンネル接合層115の電気抵抗をより抑えることができる。このため、この窒化物半導体発光素子は良好に発光することができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1〜6に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1〜3では、トンネル接合層の裏面側は一般的な青色LED構造であるが、これに限らず、高電流密度領域における電圧降下が大きく改善されることから、端面レーザダイオードや、第1n−GaN層の裏面側に、多層膜反射鏡を設けた面発光レーザ構造としても良い。
(2)実施例1〜3では、p型不純物としてMgを用いているが、これに限らず、p型不純物である、Zn,Be、Ca、Sr、及びBa等であっても良い。
(3)実施例1〜3では、n型不純物としてSiを用いているが、これに限らず、n型不純物である、Ge等であっても良い。
(4)実施例1〜3では、GaInN/GaN5重量子井戸活性層の表面にp−AlGaN層を積層して形成しているが、これに限らず、GaInN量子井戸活性層の表面にp−AlGaN層を積層して形成しなくても良い。
(5)実施例1〜3では、サファイア基板を用いているが、これに限らず、窒化ガリウム基板やAlN基板等の他の基板を用いても良い。
(6)実施例1〜3では、トンネル接合層のp++−GaInN層の厚みを4nmとしているが、これに限らず、トンネル接合層のp++−GaInN層の厚みを4nmより小さくしても良く、4nmより大きくしても良い。
(7)実施例1〜3では、トンネル接合層のn++−GaN層の厚みを2nmとしているが、これに限らず、トンネル接合層のn++−GaInN層の厚みを2nmより小さくしても良く、2nmより大きくしても良い。
(8)実施例1〜3では、トンネル接合層のp++−GaInN層のInNモル分率を0〜0.4に変化させているが、これに限らず、トンネル接合層のp++−GaInN層のInNモル分率を0.4より小さくしても良く、0.4より大きくしても良い。
(9)実施例1〜6では、トンネル接合層のp++−GaInN層にInNを添加しているが、これに限らず、p++−GaN層、及びn++−GaN層より小さいバンドギャップを有する他の物質を添加しても良い。
(10)実施例4〜6では、領域F1〜F3のそれぞれの厚みが1〜2nmであるが、これに限らず、領域F1〜F3のそれぞれの厚みが1nm未満でも良く、2nmより大きくても良い。
15,115…トンネル接合層
15A,115A…p++−GaInN層(第1層)
15B,115B…n++−GaN層(第2層)
115C…p++−GaN層(第3層)

Claims (3)

  1. 活性層の表面側にトンネル接合層が積層された窒化物半導体発光素子であって、
    前記トンネル接合層は、p型不純物が添加され、前記トンネル接合層において最もバンドギャップく前記活性層側に位置する第1層
    n型不純物が添加されて前記第1層の表面に積層され、前記第1層よりもバンドギャップの大きい第2層と、
    を有し、
    前記第1層は、層の厚み方向にInN(窒化インジウム)モル分率を変化させて層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜し、少なくとも層の厚み方向の一方又は他方の界面のいずれかにおける前記InN(窒化インジウム)のモル分率が0であることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  2. 活性層の表面側にトンネル接合層が積層された窒化物半導体発光素子であって、
    前記トンネル接合層は、p型不純物が添加され、前記トンネル接合層において最もバンドギャップの狭い第1層
    n型不純物が添加されて前記第1層の表面に積層され、前記第1層よりもバンドギャップの大きい第2層
    p型不純物が添加されて前記第1層の前記活性層側に積層され、前記第1層よりバンドギャップが大きい第3層と、
    を有し、
    前記第1層は、層の厚み方向にInN(窒化インジウム)のモル分率を変化させて層の厚み方向に組成傾斜し、少なくとも前記第2層及び前記第3層との界面のいずれかにおける前記InN(窒化インジウム)のモル分率が0であることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  3. 前記第1層は、
    層の厚み方向の全体にわたって組成傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の窒化物半導体発光素子。
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