JP2014120666A - 窒化物半導体太陽電池、窒化物光−電気変換素子、窒化物半導体太陽電池を作製する方法 - Google Patents

窒化物半導体太陽電池、窒化物光−電気変換素子、窒化物半導体太陽電池を作製する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】量子井戸からの電子及び正孔の取り出しを改善できる窒化物半導体太陽電池を提供する。
【解決手段】この窒化物半導体太陽電池11によれば、III族窒化物半導体層15の量子井戸19はn型III族窒化物半導体層13とp型III族窒化物半導体層17との間に設けられており、この量子井戸19において光を吸収してキャリアが生成される。量子井戸19におけるピエゾ分極がp型III族窒化物半導体層17からn型III族窒化物半導体層13への方向に向くので、量子井戸19で生成されたキャリアが量子井戸から抜け出す観点で、III族窒化物半導体層15の量子井戸19のバンド障壁が低くなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体太陽電池、窒化物光−電気変換素子、及び窒化物半導体太陽電池を作製する方法に関する。
特許文献1及び特許文献2は、III族窒化物系太陽電池を開示する。非特許文献1は、面方位とピエゾ電界との関係を開示する。
特開2012−009785号公報 特開2012−009783号公報
Jpn. J. Appl. Phys. Vol.39 (2000) 413
特許文献1には、III族窒化物系太陽電池が記載されている。III族窒化物系太陽電池は、第1のIII族窒化物からなる光電変換層を備える。この光電変換層は、(1−100)配向した第1の導電型の窒化ガリウムからなる第1の導電層上にエピタキシャル成長されている。また、光電変換層上には、第2のIII族窒化物からなる第2の導電型の第2の導電層が設けられている。
特許文献2には、III族窒化物系太陽電池が記載されている。III族窒化物系太陽電池は、AlGaInN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0<Z≦1、X+Y+Z=1)なる組成を有する第2のIII族窒化物半導体からなり、周期的超格子構造を有する光電変換層を備える。この光電変換層は第1の導電層上に形成される。この光電変換層上には、第3のIII族窒化物からなる第2の導電型の第2の導電層が設けられる。
III族窒化物系物質は、材料としては0.7〜6.2eV(InN〜AlN)の幅広いバンドギャップエネルギーを提供でき、これに対応した幅広いエネルギー帯の光を吸収できる。太陽光の吸収のためには、光電変換層は、可視光域にエネルギー吸収帯を有することを必要とする。光電変換層が量子井戸を備えるとき、光吸収に応答して電子・正孔対が量子井戸内で生成する。発明者の知見によれば、太陽電池の量子効率は、量子井戸からの電子及び正孔を取り出すことにも関係する。
本発明は、このような事情を鑑みて為されたものであり、量子井戸からの電子及び正孔の取り出しを改善できる窒化物半導体太陽電池を提供することを目的とし、またこの窒化物半導体太陽電池を作製する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、量子井戸からの電子及び正孔の取り出しを改善できる窒化物光−電気変換素子を提供することを目的とする。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池は、(a)III族窒化物半導体からなる半極性面を有するn型III族窒化物半導体層と、(b)III族窒化物半導体からなる半極性面を有するp型III族窒化物半導体層と、(c)量子井戸を含むIII族窒化物半導体層とを備え、前記III族窒化物半導体層は前記n型III族窒化物半導体層の前記半極性面と前記p型III族窒化物半導体層の前記半極性面との間に設けられて、前記量子井戸におけるピエゾ分極は、前記p型III族窒化物半導体層から前記n型III族窒化物半導体層への方向に向き、前記量子井戸は量子井戸構造及び量子ドット構造のいずれかを有する。
この窒化物半導体太陽電池によれば、III族窒化物半導体層の量子井戸はn型III族窒化物半導体層とp型III族窒化物半導体層との間に設けられており、この量子井戸において光を吸収してキャリアが生成される。量子井戸におけるピエゾ分極がp型III族窒化物半導体層からn型III族窒化物半導体層への方向に向くので、量子井戸で生成されたキャリアが量子井戸から抜け出す観点で、III族窒化物半導体層の量子井戸のバンド障壁が低くなる。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記III族窒化物半導体層は200nm以下の厚さを有することが好ましい。
この窒化物半導体太陽電池によれば、薄いIII族窒化物半導体層は、pn接合の拡散電位に起因してIII族窒化物半導体層とIII族窒化物半導体層の量子井戸におけるバンド傾斜を大きくすることを可能にする。量子井戸で生成されたキャリアが量子井戸から抜け出すことを容易にする。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記n型III族窒化物半導体層のIII族窒化物のc軸は前記n型III族窒化物半導体層の前記半極性面の法線軸に対して傾斜を成しており、前記傾斜の角度は、50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲にあり、前記n型III族窒化物半導体層、前記III族窒化物半導体層及び前記p型III族窒化物半導体層は、半極性GaN下地面上に設けられており、前記n型III族窒化物半導体層、前記III族窒化物半導体層及び前記p型III族窒化物半導体層は、前記半極性GaN下地面上に順に配列されており、前記n型III族窒化物半導体層は窒化ガリウム系半導体からなることができる。
この窒化物半導体太陽電池によれば、n型III族窒化物半導体層、III族窒化物半導体層及びp型III族窒化物半導体層は半極性GaN下地面上に順に配列されているので、n型III族窒化物半導体層が窒化ガリウム系半導体からなるとき、50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲において、量子井戸におけるピエゾ分極がp型III族窒化物半導体層からn型III族窒化物半導体層への方向に向くので、量子井戸からキャリアの抜け出しが容易になる。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記量子井戸は、III族構成元素としてインジウムを含むIII族窒化物からなり、前記量子井戸の前記III族窒化物のバンドギャップエネルギーは、前記n型III族窒化物半導体層のIII族窒化物のバンドギャップエネルギーより小さく、前記量子井戸の前記III族窒化物のバンドギャップエネルギーは、前記p型III族窒化物半導体層のIII族窒化物のバンドギャップエネルギーより小さいことができる。
この窒化物半導体太陽電池によれば、III族構成元素としてインジウムを含むIII族窒化物を量子井戸に適用するとき、可視光域にエネルギー吸収感度を有する量子井戸の構成を容易にする。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池は、III族窒化物からなる主面を有する基板を更に備えることができる。前記基板の前記III族窒化物はGaN及びInGaNのいずれかからなり、前記量子井戸は圧縮歪みを内包し、前記n型III族窒化物半導体層、前記III族窒化物半導体層、及び前記p型III族窒化物半導体層は、前記基板の前記主面上に搭載されており、前記n型III族窒化物半導体層、前記III族窒化物半導体層、及び前記p型III族窒化物半導体層は、前記基板の前記主面の法線軸の方向に配列されていることができる。
この窒化物半導体太陽電池によれば、n型III族窒化物半導体層、III族窒化物半導体層及びp型III族窒化物半導体層は、GaN及びInGaNのいずれかからなる半極性基板主面上に順に配列されているので、量子井戸は主面の面内方向に圧縮歪みを内包して、ピエゾ分極の向きを利用した量子井戸からキャリアの抜け出しが容易になる。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記基板の前記III族窒化物のc軸は前記基板の前記主面の前記法線軸に対して傾斜を成しており、前記傾斜の角度は、50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲にあることができる。
この窒化物半導体太陽電池によれば、n型III族窒化物半導体層、III族窒化物半導体層及びp型III族窒化物半導体層は、半極性基板主面上に順に配列されているので、n型III族窒化物半導体層が窒化ガリウム系半導体からなるとき、50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲において、量子井戸におけるピエゾ分極がp型III族窒化物半導体層からn型III族窒化物半導体層への方向に向くので、量子井戸からキャリアの抜け出しが容易になる。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記基板はInGaN基板を含むことができる。この窒化物半導体太陽電池によれば、InGaN基板を用いることにより、III族窒化物半導体層と基板との格子不整合度を低減して、大きな格子不整合度に起因する新たな欠陥発生を抑えることができる。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記基板はGaN基板を含むことが好ましい。この窒化物半導体太陽電池によれば、低転位(転位密度<1×10cm−2)のGaN基板を用いることにより、GaN基板上に成長される半導体層の結晶品質を良好にできる。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記量子井戸はInN及びInGaNのいずれかを備えることができ、前記傾斜の角度は63度以上80度以下の角度範囲にあることが好ましい。
この窒化物半導体太陽電池によれば、上記の範囲ではピエゾ分極が小さいので、波動関数の重なりが大きくなってより効率的に光を吸収できる。また、この角度範囲は、インジウムの均質な取り込みに優れた面方位であり、結晶品質の優れたInGaN又はInNを成長可能である。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記量子井戸は量子井戸構造によって提供され、前記量子井戸は井戸層を含み、該井戸層はInGaNを備え、前記井戸層は第1障壁層と第2障壁層との間に設けられることができる。
この窒化物半導体太陽電池によれば、量子井戸は、第1障壁層及び第2障壁層を備える量子井戸構造を有することができる。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記第1障壁層は、0.05以上0.4以下のIn組成を有するInGaNを備えることができる。この窒化物半導体太陽電池によれば、障壁層においても可視光の吸収が可能になり、窒化物半導体太陽電池の吸収効率を向上できる。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記量子井戸は量子ドットを含み、該量子ドットはInGaN又はInNを備えることができる。この窒化物半導体太陽電池によれば、量子井戸は量子ドットを備えることができる。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記III族窒化物半導体層は、前記量子井戸に接触を成す0.05以上0.4以下のIn組成を有するInGaNを含むことができる。
この窒化物半導体太陽電池によれば、量子井戸に接触するように量子井戸を覆うInGaNでも光の吸収を可能にする。InGaNは可視域のエネルギーの光を吸収できるので、窒化物半導体太陽電池の吸収効率を向上できる。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池は、前記n型III族窒化物半導体層と前記III族窒化物半導体層との間に設けられたn型InGaN層を更に備えることができる。前記n型InGaN層は、前記n型III族窒化物半導体層と前記n型InGaN層との界面にミスフィット転位を含むことができる。
窒化物半導体太陽電池が、比較的大きなインジウム組成を有するIII族窒化物半導体層を含む。III族窒化物半導体層がn型III族窒化物半導体層の半極性面上に成長されてIII族窒化物半導体層がn型III族窒化物半導体層と界面を形成する構造では、この界面にミスフィット転位が形成されると、窒化物半導体太陽電池の変換効率の低下を招く。一方、この窒化物半導体太陽電池によれば、ミスフィット転位は、n型III族窒化物半導体層とn型InGaN層との界面に形成され、c軸の傾斜方向に対して垂直方向に延びる。この界面は、光吸収が生じるIII族窒化物半導体層からn型InGaN層によって隔てられると共に、n型III族窒化物半導体層とn型InGaN層とによって形成される。この構造ではミスフィット転位を含む界面がマジョリティキャリア(電子)の中に存在する。このため、ミスフィット転位に起因する悪影響は小さく、III族窒化物半導体層のインジウム組成の設計自由度を高めることができる。
本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記ミスフィット転位の密度が5×10cm−1以上であることが好ましい。また、本発明に係る窒化物半導体太陽電池では、前記ミスフィット転位の密度が5×10cm−1以下であることが好ましい。この範囲であれば、ミスフィット転位に起因する悪影響を小さくすることができる。
本発明に係る窒化物光−電気変換素子は、(a)III族窒化物半導体からなる半極性面を有するn型III族窒化物半導体層と、(b)前記半極性面上に設けられたIII族窒化物半導体層と、(c)前記半極性面上に設けられたp型III族窒化物半導体層とを備え、前記III族窒化物半導体層は量子井戸を含み、前記III族窒化物半導体層は前記n型III族窒化物半導体層と前記p型III族窒化物半導体層との間に設けられて、前記量子井戸におけるピエゾ分極は、前記p型III族窒化物半導体層から前記n型III族窒化物半導体層への方向に向き、前記量子井戸は量子井戸構造及び量子ドット構造の少なくともいずれかによって提供される。
この窒化物光−電気変換素子によれば、III族窒化物半導体層の量子井戸はn型III族窒化物半導体層とp型III族窒化物半導体層との間に設けられており、この量子井戸が光を吸収してキャリアを生成する。量子井戸におけるピエゾ分極がp型III族窒化物半導体層からn型III族窒化物半導体層への方向に向くので、量子井戸で生成されたキャリアが量子井戸から抜け出す観点で、III族窒化物半導体層の量子井戸のバンド障壁が低くなる。
本発明は、窒化物半導体太陽電池を作製する方法に係る。この方法は、(a)光吸収のための量子井戸におけるピエゾ分極の向きを見積もるために、III族窒化物半導体からなる基板主面のための一又は複数の傾斜角を選択する工程と、(b)前記選択された傾斜角を有しIII族窒化物半導体からなる基板主面の基板を準備する工程と、(c)前記基板の前記基板主面上に、前記量子井戸並びにp型及びn型III族窒化物半導体層を形成して、基板生産物を準備する工程と、(d)前記基板生産物のフォトルミネッセンスの測定を前記基板生産物にバイアスを印加しながら行って、前記基板生産物のフォトルミネッセンスのバイアス依存性を得る工程と、(e)前記測定されたバイアス依存性から、前記基板主面の前記選択された傾斜角の各々において前記量子井戸におけるピエゾ分極の向きの見積もりを行う工程と、(f)前記見積りに基づき判断して、前記窒化物半導体太陽電池の作製のための成長基板の面方位を選択する工程と、(g)前記窒化物半導体太陽電池のための半導体積層を前記成長基板の主面上に形成する工程とを備え、前記成長基板の前記主面は前記III族窒化物半導体からなる。
この窒化物半導体太陽電池を作製する方法によれば、基板生産物のフォトルミネッセンスの測定を基板生産物にバイアスを印加しながら行うので、基板生産物のフォトルミネッセンスのバイアス依存性を得ることができる。フォトルミネッセンスのバイアス依存性は、ピエゾ分極の向きに関する情報を含む。ピエゾ分極の向きの見積りに基づき、基板主面に対応する傾斜角及び基板主面の裏面に対応する傾斜角のいずれかの使用を判断できる。この後に、半導体素子の作製のための成長基板の面方位を決定する。この成長基板の主面上に太陽電池のための半導体積層を形成するので、太陽電池の作製において、光吸収領域におけるピエゾ分極の向きを適切な方向に選択可能になる。
本発明に係る作製方法では、前記量子井戸は量子井戸構造及び量子ドット構造の少なくともいずれかを含むことができる。
本発明に係る作製方法は、前記ピエゾ分極の向きの見積もりから、前記ピエゾ分極の正負の符号に応じて前記複数の傾斜角を含む角度範囲の区分けを行う工程を更に備えることができる。前記判断は、前記区分けに基づき行われることができる。
本発明に係る作製方法では、前記判断は、前記量子井戸におけるピエゾ分極が前記p型III族窒化物半導体層から前記n型III族窒化物半導体層への方向に向むように行われることができる。
以上説明したように、本発明によれば、量子井戸からの電子及び正孔の取り出しを改善できる窒化物半導体太陽電池が提供される。また、本発明によれば、この窒化物半導体太陽電池を作製する方法が提供される。さらに、本発明によれば、量子井戸からの電子及び正孔の取り出しを改善できる窒化物光−電気変換素子が提供される。
図1は、本実施の形態に係る窒化物光−電気変換素子の構造を概略的に示す図面である。 図2は、窒化ガリウム系半導体におけるピエゾ分極及びピエゾ電界の向きを模式的に示す図面である。 図3は、p型III族窒化物半導体層からn型III族窒化物半導体層への方向に向くピエゾ分極(負のピエゾ分極)におけるバンド構造を示す図面である。 図4は、n型III族窒化物半導体層からp型III族窒化物半導体層への方向に向くピエゾ分極(正のピエゾ分極)におけるバンド構造を示す図面である。 図5は、ピエゾ分極とc軸傾斜角との関係を概略的に示す図面である。 図6は、ミスフィット転位を生成する可能性のある接合を示す図面である。 図7は、p型III族窒化物半導体層からn型III族窒化物半導体層への方向に向くピエゾ分極(負のピエゾ分極)におけるバンド構造における技術的寄与を示す図面である。 図8は、実施例1で作成される素子構造を概略的に示す図面である。 図9は、フォトルミネッセンススペクトルの測定及びフォトルミネッセンススペクトルのバイアス依存性を模式的に示す図面である。 図10は、バイアス印加PLの測定におけるPLスペクトルのバイアス依存性を示す図面である。 図11は、(20−21)面GaN面上に成長された太陽電池構造及び(20−2−1)面GaN面上に成長された太陽電池構造におけるPL強度の印加バイアス依存性を示す図面である。 図12は、実施例1及び実施例2の素子構造におけるPL強度のバイアス依存性を示す図面である。 図13は、窒化物光−電気変換素子(例えば窒化物半導体太陽電池)を作製する方法における主要な工程を示す図面である。 図14は、バルク及び量子井戸の光吸収層を有する太陽電池におけるキャリア生成を模式的に示す図面である。 図15は、光−電気変換素子及び半導体太陽電池のIII族窒化物を潜在的に適用可能な光波長領域を示す図面である。
引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の窒化物半導体太陽電池、窒化物光−電気変換素子、窒化物半導体太陽電池を作製する方法に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、本実施の形態に係る窒化物光−電気変換素子の構造を概略的に示す図面である。本実施の形態では、窒化物光−電気変換素子として窒化物半導体太陽電池を説明する。しかしながら、窒化物光−電気変換素子は窒化物半導体太陽電池に限定されることなく、光センサー、アップコンバージョン素子等を含むことができる。
窒化物半導体太陽電池11は、n型III族窒化物半導体層13、III族窒化物半導体層15、及びp型III族窒化物半導体層17を備える。n型III族窒化物半導体層13は、III族窒化物半導体からなる第1面13a及び第2面13bを有しており、第1面13aは第2面13bの反対側にある。第1面13aは半極性を示し、III族窒化物半導体からなる半極性面を有する。第2面13bは半極性を示すことができる。p型III族窒化物半導体層17は、III族窒化物半導体からなる第1面17a及び第2面17bを有しており、第1面17aは第2面17bの反対側にある。第1面17aは、半極性を示し、またIII族窒化物半導体からなる半極性面を有する。第2面17bは半極性を示すことができる。
III族窒化物半導体層15は、n型III族窒化物半導体層13の半極性面13a上に設けられており、III族窒化物半導体層15のIII族窒化物は半極性面13aに応じた配向を有する。III族窒化物半導体層15は量子井戸19を含み、量子井戸19は量子井戸構造21及び量子ドット構造23のいずれかによって提供される。量子井戸19も、III族窒化物半導体層15のIII族窒化物は半極性面13aに応じた配向を有する。量子井戸19は歪みを内包し、この歪みは半極性面において圧縮方向に作用することが好ましい。III族窒化物半導体層15は、半極性の第1面13aと半極性の第2面17bとの間に設けられる。
n型III族窒化物半導体層13は、量子井戸のIII族窒化物のバンドギャップエネルギーより大きなバンドギャップエネルギーを有するIII族窒化物を備える。これにより、n型III族窒化物半導体層13が、量子井戸によって吸収される光の波長帯の一部又は全部を遮蔽することを避けることができる。n型III族窒化物半導体層13は、例えばGaN、AlGaN、InAlGaN等からなることができる。
p型III族窒化物半導体層17は、量子井戸のIII族窒化物のバンドギャップエネルギーより大きなバンドギャップエネルギーを有するIII族窒化物を備える。p型III族窒化物半導体層17は、例えばGaN、AlGaN、InAlGaN等からなることができる。これにより、p型III族窒化物半導体層17が、量子井戸によって吸収される光の波長帯の一部又は全部を遮蔽することを避けることができる。
III族窒化物半導体層15はn型III族窒化物半導体層13とp型III族窒化物半導体層17との間に設けられて、量子井戸19におけるピエゾ分極PPZはp型III族窒化物半導体層17からn型III族窒化物半導体層13への方向に向く。図2は、ピエゾ分極とピエゾ電界との関係を示す。ピエゾ分極の向きはピエゾ電界と逆向きであり、半極性面ではc軸の傾斜に応じてピエゾ分極の向きと大きさが変化する。
この窒化物半導体太陽電池(及び窒化物光−電気変換素子)11によれば、III族窒化物半導体層15の量子井戸19はn型III族窒化物半導体層13とp型III族窒化物半導体層17との間に設けられており、この量子井戸19において光を吸収してキャリアが生成される。量子井戸19におけるピエゾ分極がp型III族窒化物半導体層17からn型III族窒化物半導体層13への方向に向くので、量子井戸19で生成されたキャリアが量子井戸から抜け出す観点で、III族窒化物半導体層15の量子井戸19のバンド障壁が低くなる。
窒化物半導体太陽電池11では、量子井戸19は、III族構成元素としてインジウムを含むIII族窒化物からなり、例えばInGaN、InN等がなることができる。この窒化物半導体太陽電池11によれば、III族構成元素としてインジウムを含むIII族窒化物を量子井戸19に適用するとき、圧縮歪みを内包することになるので、量子井戸19からキャリアの抜け出しを容易にするバンド構造を量子井戸に提供できる。
量子井戸19は量子井戸構造21及び量子ドット構造23の少なくともいずれかを含む。
量子井戸19が量子井戸構造21によって提供されるとき、量子井戸構造21は、量子井戸19を対応する井戸層27aを含み、井戸層27aは第1障壁層と第2障壁層との間に設けられることができる。これ故に、量子井戸構造21は、井戸層27aを隔てる障壁層27bを含む。井戸層27a及び障壁層27bは交互に配列されていることができる。井戸層27aはInGaN、InN等がなることができる。障壁層27bはGaN又はInGaN等がなることができる。障壁層27bがInGaNからなるとき、障壁層29bが光吸収して電子・正孔対を生成できる。障壁層27bはInGaNを備えることができる。障壁層27bのIn組成は例えば0.05以上0.4以下程度の範囲であることができる。障壁層27bのIn組成が0.2以上であることができ、0.4以下であることを有するとき、障壁層27bの伝導帯に励起された電子が伝導帯の下端にエネルギー緩和する際に生じる熱損失を低減することができる。障壁層27bのIn組成は井戸層27aのIn組成より小さい。
量子ドット構造23は、量子井戸19に対応する量子ドット29aを含み、また量子ドット29aを覆う母材層29bを含む。量子ドット29aは、例えばInN又はInGaN等がなることができる。量子ドット29aのサイズは例えば径20nm以上程度の範囲であることができ、また径80nm以下程度の範囲であることができ、量子ドット29aのIn組成は例えば0.15程度に等しいか或いはより大きいことができ、1程度に等しいか或いはより小さいことができる。母材層29bはGaN又はInGaN等がなることができる。量子ドット構造23は多段となるように繰り返しても良い。母材層29bがInGaNからなるとき、母材層29bが光吸収して電子・正孔対を生成できる。母材層29bのIn組成は例えば0.05以上0.4以下程度の範囲であることができる。母材層29bのIn組成が0.2以上であることができ、0.4以下であることを有するとき、母材層29bの伝導帯に励起された電子が伝導帯の下端にエネルギー緩和する際に生じる熱損失を低減することができる。母材層29bのIn組成は量子ドット2aのIn組成より小さい。
この窒化物半導体太陽電池11によれば、量子井戸19に接触するInGaNでも光の吸収を可能にする。InGaNは可視域のエネルギーの光を吸収できるので、窒化物半導体太陽電池11の吸収効率を向上できる。
図3及び図4を参照しながら、量子井戸19からのキャリアの抜け出し易さとピエゾ分極の向きとの関係を説明する。図3は、p型III族窒化物半導体層からn型III族窒化物半導体層への方向に向くピエゾ分極(以下、「負のピエゾ分極」として参照する)におけるバンド構造を示す図面である。図4は、n型III族窒化物半導体層からp型III族窒化物半導体層への方向に向くピエゾ分極(以下、「正のピエゾ分極」として参照する)におけるバンド構造を示す図面である。
図3を参照すると、3つの井戸層27a(量子井戸19)とこれらを隔てる5つの障壁層27bを含む。ある一つの量子井戸(最もn領域に近い量子井戸)19に着目するとき、伝導帯においてn側障壁BEN(n)はp側障壁BEN(p)より小さい。これ故に、この量子井戸19において光吸収により電子・正孔対が生成されると、電子Eはより低いn側障壁BEN(n)を越えてn型III族窒化物半導体層13に流れる。ここで、n側障壁BEN(n)は、電子の擬フェルミレベルFE(n)からn側の障壁層の伝導帯までの障壁により規定され、p側障壁BEN(p)は、電子の擬フェルミレベルFE(n)からp側の障壁層の伝導帯までの障壁により規定される。また、価電子帯における量子井戸のバンドオフセットは伝導帯における量子井戸のバンドオフセットより小さいので、量子井戸19において光吸収により電子・正孔対が生成されると、正孔Hは比較的容易に量子井戸19から抜け出してp型III族窒化物半導体層17に流れる。価電子帯においてp側障壁BHN(p)はn側障壁BEN(n)より小さい。
図4を参照すると、3つの量子井戸18とこれらを隔てる4つの障壁層24を含む。ある一つの量子井戸(最もn領域に近い量子井戸)18に着目するとき、伝導帯においてn側障壁BEP(p)はp側障壁BEP(n)より大きい。これ故に、この量子井戸18において光吸収により電子・正孔対が生成されると、電子Eはより高いn側障壁BEP(n)を越えてn型III族窒化物半導体層に流れる。ここで、n側障壁BEP(n)及びp側障壁BEP(p)は、電子の擬フェルミレベルから伝導帯までの障壁により規定される。
既に説明したように、窒化物半導体太陽電池11によれば、III族窒化物半導体層15はn型III族窒化物半導体層13とp型III族窒化物半導体層17との間に設けられており、III族窒化物半導体層15の量子井戸19において光を吸収して電子・正孔対が生成される。量子井戸19においてピエゾ分極が負であるので、正のピエゾ分極のバンド構造に比べて、電子・正孔対の電子が量子井戸19から容易に抜け出すことを可能にする。伝導帯に関して、III族窒化物半導体層15の量子井戸19のバンド障壁が低くなる。図3に示されたバンド構造は、光−電気変換に有利である。図3及び図4を参照した上記説明は、量子井戸構造21のバンド構造を示しているけれども、この説明は量子ドット構造23にも適用される。
窒化物半導体太陽電池11では、III族窒化物半導体層15は200nm以下の厚さを有することが好ましい。薄いIII族窒化物半導体層15は、pn接合の拡散電位に起因してIII族窒化物半導体層15とIII族窒化物半導体層15の量子井戸19におけるバンド傾斜を大きくすることを可能にする。量子井戸19で生成されたキャリア(電子、正孔)が量子井戸19から抜け出すことを容易にする。
図5は、ピエゾ分極とc軸傾斜角との関係を概略的に示す図面である。窒化物半導体太陽電池11におけるピエゾ分極の向き(縦方向のピエゾ分極)は、図5に概略的に示されるけれども、ピエゾ分極が、結晶に内包される歪みに係る現象であるので、負のピエゾ分極を実現する厳格な角度範囲を一般的なものとして実際には決定しがたい場合がある、角度範囲の一例を示せば、角度は50度以上80度以下又は130度以上170度以下の範囲にあることができる。この角度範囲に関しては、n型III族窒化物半導体層13、III族窒化物半導体層15及びp型III族窒化物半導体層17は半極性GaN下地面上に設けられていると共に、n型III族窒化物半導体層13は窒化ガリウム系半導体からなることができる。この角度は、n型III族窒化物半導体層13のIII族窒化物のc軸Cx([0001]軸)がn型III族窒化物半導体層13の半極性面13aの法線軸NVに対して成す傾斜角として規定される。図1に示される傾斜の角度THは、例えば50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲にあることができる。この角度範囲では量子井戸からキャリアの抜け出しが容易になる。
図5を参照すると、負のピエゾ分極を実現できる角度範囲は、概略的には50度以上80度以下の角度範囲(第1範囲)、及び130度以上170度以下の角度範囲(第2範囲)に分けられる。第1範囲及び第2範囲のいずれの範囲においても、ピエゾ分極がバンドオフセットを下げるように作用する。第1範囲においては、電子の波動関数WF(n)及び正孔の波動関数WF(p)が量子井戸19において良好に重なり合って、電子正孔対の生成に有利である。図5の(b)部及び(c)部に示されるように、量子井戸19における電子の波動関数WF(n)及び正孔の波動関数WF(p)の重なりに関して、第1範囲は、第2範囲に比べて電子正孔対の生成に有利である。
InGaN及びInNの結晶成長の観点で、量子井戸19がGaN及びInGaNのいずれかを備えるとき、傾斜度THはc軸からm軸への方向に規定された63度以上80度以下の角度範囲にあることが好ましい。この角度範囲は、インジウムの均質な取り込みに優れた面方位であり、優れた結晶品質のInGaN又はInNを成長可能である。また、上記の範囲におけるピエゾ分極の極大値が第1範囲において小さいので、波動関数の重なりが大きくなりより効率的に光を吸収できる。
負のピエゾ分極は、例えば結晶成長する基板の面方位により実現できる。再び図1を参照すると、窒化物半導体太陽電池11は、基板31を更に備えることができ、基板31は、III族窒化物からなる主面31aを有する。基板31のIII族窒化物のc軸Cxは基板31の主面31aの法線軸NVに対して傾斜を成しており、この傾斜角THが50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲にある様にしても良い。n型III族窒化物半導体層13、III族窒化物半導体層15、及びp型III族窒化物半導体層17は半極性の主面31aの法線軸NVの方向に配列される。
この窒化物半導体太陽電池11によれば、n型III族窒化物半導体層13、III族窒化物半導体層15及びp型III族窒化物半導体層17は、半極性基板主面31a上に順に配列されているので、窒化物半導体層13、15、17の表面の面方位は、個々の半導体層の下地の面方位を引き継ぎ、下地の面方位を反映したものとなる。このため、窒化物半導体層13、15、17の表面の面方位は、それぞれの半導体材料の格子定数差に起因する歪みによる微差を除いて、例えばn型III族窒化物半導体層13が窒化ガリウム系半導体からなるとき、50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲において量子井戸19からキャリアの抜け出しが容易になる。
また、基板31のIII族窒化物はGaN及びInGaNのいずれかからなることが好ましい。量子井戸19は主面の面内方向に圧縮歪みを内包するように、n型III族窒化物半導体層13、III族窒化物半導体層15、及びp型III族窒化物半導体層19は基板主面31a上に搭載されている。
この窒化物半導体太陽電池11によれば、n型III族窒化物半導体層13、III族窒化物半導体層15、及びp型III族窒化物半導体層17は、GaN及びInGaNのいずれかからなる半極性の基板主面の法線軸の方向に配列されているので、量子井戸19は主面の面内方向に圧縮歪みを内包して、ピエゾ分極の向きを利用した量子井戸からキャリアの抜け出しが容易になる。一実施例では、基板31はInGaN基板を含むことができる。窒化物半導体太陽電池11がInGaN基板を用いることにより、III族窒化物半導体層15と基板31との格子不整合度を低減して、大きな格子不整合度に起因する新たな欠陥の発生を抑えることができる。別の実施例では、窒化物半導体太陽電池11がGaN基板を含むことが好ましい。低転位(例えば転位密度<1×10cm−2)のGaN基板を用いることにより、GaN基板上に成長される半導体層の結晶品質を良好にできる。
窒化物半導体太陽電池11では、III族窒化物半導体層15がp型III族窒化物半導体層17に接触を成すことができる。また、n型III族窒化物半導体層13がIII族窒化物半導体層15に接触を成すことができる。
窒化物半導体太陽電池11は、n型InGaN層33を更に備えることができる。n型InGaN層33はn型III族窒化物半導体層13とIII族窒化物半導体層15との間に設けられる。n型InGaN層33は、n型III族窒化物半導体層13とn型InGaN層33との界面にミスフィット転位を含むことができる。n型InGaN層33の厚さは例えば50nm以上であることができ、適切な範囲のミスフィット転位を導入することができる。n型InGaN層33の厚さは例えば500nm以下であることができ、過度にミスフィット転位が導入されることを防ぐことができる。また、n型InGaN層33のIn組成は例えば0.02以上であることができ、適切な範囲のミスフィット転位を導入することができる。n型InGaN層33のIn組成は例えば0.4以下であることができ、III族窒化物半導体層15に対して下地としての良好な結晶性を損なわないようにすることができる。
これらの範囲であれば量子井戸における光吸収の性能を低下させることなくミスフィット転位の導入が可能である。また、ミスフィット転位を導入する界面を太陽電池の特性に影響を及ぼさない素子領域に隔てることができる。なお、n型InGaN層33のIn組成は量子井戸のIn組成よりは小さいことが好ましい。
窒化物半導体太陽電池11が、比較的大きなインジウム組成の半導体を備えるIII族窒化物半導体層15を含む。III族窒化物半導体層15がn型III族窒化物半導体層13の半極性面13a上に成長されてIII族窒化物半導体層15がn型III族窒化物半導体層13と界面を形成する構造では、この界面にミスフィット転位が形成される場合には窒化物半導体太陽電池の変換効率の低下を招く可能性がある。一方、窒化物半導体太陽電池11によれば、n型InGaN層33の追加により、n型InGaN層33とIII族窒化物半導体層15との界面J2におけるミスフィット転位の生成を避けると共に、n型III族窒化物半導体層13とn型InGaN層33との界面J1にミスフィット転位を形成させることを可能にする。ミスフィット転位は界面J1においてc軸の傾斜方向に対して垂直方向に延びる。この界面J1は、光吸収が生じるIII族窒化物半導体層15からn型InGaN層33によって隔てられると共に、n型III族窒化物半導体層13とn型InGaN層33とによって形成される。この構造ではミスフィット転位を含む界面J1がマジョリティキャリア(電子)の中に存在する。このため、ミスフィット転位に起因する悪影響は小さい。しかし、図6に示されるように、光吸収に係るIII族窒化物半導体層に接する半導体層の接合(2つの界面)のうち、このIII族窒化物半導体層に近い接合近傍にミスフィット転位MF1が生成されるとき、この接合界面の近傍には電子及び正孔の両方が存在するので、これらのキャリアが非発光性再結合を引き起こし、太陽電池の効率を低減させる。ところが、上記の接合界面から離れた位置に生成されるミスフィット転位MF2は、図6に示されるように、多数の電子をマジョリティキャリアとして含む半導体領域中に位置するので、非発光再結合の可能性は低い。この知見から、ミスフィット転位の生成は、III族窒化物半導体層15の無歪み格子定数(インジウム組成の大きさ)と半導体層13、17の無歪み格子定数との差に関係しており、常にミスフィット転位が形成されることにならない。
接合J1におけるミスフィット転位密度が5×10cm−1以上であることが好ましい。この窒化物半導体太陽電池によれば、III族窒化物半導体層15のインジウム組成の設計自由度を高めることができる。接合J1におけるミスフィット転位密度が5×10cm−1以下であることが好ましい。この窒化物半導体太陽電池によれば、ミスフィット転位に起因する悪影響を小さくすることができる。
図1に示されるように、基板31上には半導体積層35が設けられており、半導体積層35は、n型III族窒化物半導体層13、III族窒化物半導体層15及びp型III族窒化物半導体層17を備え、また必要な場合にn型InGaN層33を更に備えることができる。基板31のIII族窒化物はn導電性を有することができる。基板31の裏面31bには電極37が設けられ、電極37は裏面31bに良好なオーミック接触を成すことが好ましい。電極37は例えばTi/Al等であることができる。半導体積層35の上面35aには全面を覆うように電極39が設けられ、電極39は上面35aに良好なオーミック接触を成すことが好ましい。また、電極39は光Lを受け入れるために透明電極(例えばITO、ZnO)、半透明電極(例えばNi/Au)等であることができる。電極39上には、パッド電極41を設けることができる。必要な場合には、電極39が開口を有することができ、この開口を介してパッド電極41が半導体積層35の上面35aに接触を成すことができる。本実施例では、半導体積層35の上面35aにはp型III族窒化物半導体層17が現れており、電極39は上面35aに接触を成している。本実施例では、パッド電極41が半導体素子の中央付近に位置しているけれども、パッド電極41の位置は必要に応じて変更可能である。
図7に示されるように、III族窒化物半導体層15内の最もp領域に近い量子井戸19において光吸収により電子・正孔対が生じる。この電子がこの量子井戸19とn型III族窒化物半導体層13との間に位置する別の量子井戸19に落ち込むことがある。落ち込んだ電子は、量子井戸19の低い障壁BEN(n)の作用により再び障壁層の伝導帯に戻ることが容易になる。これと同様に、III族窒化物半導体層15内の最もn領域に近い量子井戸において光吸収により電子・正孔対が生じる。この正孔が、この量子井戸19とp型III族窒化物半導体層17との間に位置する別の量子井戸19に落ち込むことがある。落ち込んだ正孔は、量子井戸19の低い障壁BHN(p)の作用により再び障壁層の価電子帯に戻ることが容易になる。ピエゾ分極による障壁BEN(n)及び障壁BHN(p)の低減効果は、量子ドットにおいても寄与することがある。
ピエゾ分極の寄与はGaAs等のIII−V化合物半導体を用いる太陽電池ではない。
(実施例1)
図8は、実施例1で作成される素子構造を概略的に示す図面である。図8に示されるように、2枚の(20−21)面GaN基板を準備する。GaN基板の主面の法線軸は、このGaNのc軸に対してc軸([0001]軸)とm軸とにより規定される基準面内でc軸からm軸の方向に75度の角度で傾斜している。このGaN基板では、(0001)面はガリウム面(Ga面)であり、この面は基板主面に対して75度の角度を成す。一方のGaN基板にはその主面上に結晶成長を行い、他方のGaN基板にはその裏面に結晶成長を行う。(000−1)面は窒素面(N面)であり、この面は基板裏面に対して75度の角度を成す。
これらのGaN基板を成長炉に配置して、有機金属気相成長法により、太陽電池構造のための半導体層の結晶成長を行う。有機金属原料としてTMG、TMI、TMAを用い、ドーパントのためにCpMg、SiHを用いる。成長炉において、GaN表面のサーマルクリーニングを行う。このサーマルクリーニングの条件は、アンモニア(NH3)及び水素(H2)を含む雰囲気、摂氏1050度、及び10分間である。次いで、GaN表面上にn−GaN層を摂氏1050度の温度で成長し、この厚さは2μmであり、n型ドーパント濃度は2×1018cm−3である。n−GaN層上に、本実施例では摂氏840度の温度でn−InGaN層を成長する。このn−InGaN層のIn組成は0.02であり、n型ドーパント濃度は2×1018cm−3である。このn−InGaN層上に光電変換層を成長する。光電変換層は、例えば3周期の多重量子井戸構造を有する。多重量子井戸構造は、井戸層(In組成0.3及び厚さ3nmのアンドープInGaN)及び母材層(厚さ15nmのアンドープGaN)を備える。InGaNの成長温度は摂氏790度であり、母材層の成長温度は摂氏840度である。光電変換層上にp−GaN層を摂氏1000度の温度で成長し、この厚さは50nmであり、p型ドーパント濃度は1×1020cm−3である。これらの工程により、エピタキシャル基板が作製される。
p−GaN層上にp側電極を蒸着し、p側電極はNi/Auからなる半透明電極である。蒸着において、Ni層の厚さは例えば5nmであり、Au層の厚さは例えば10nmである。p側電極上にはパッド電極を蒸着する。パッド電極はTi/Auからなる。p側電極とパッド電極のパターン形成のための加工にはフォトリソグラフィを適用する。GaN基板の裏面にn側電極を蒸着し、n側電極はTi/Alからなる。これらの工程により、基板生産物が作製される。
これらの窒化物光−電気変換素子の井戸層における内部電界の向きを決定する。この内部電界の測定により、ピエゾ分極の向きに関する情報を得ることができる。内部電界は、厳密には自発分極及びピエゾ分極の両成分を含む。基板生産物を半導体チップに分離して、このチップを実装する。
内部電界の向きの決定は、図9の(a)部に示されるように、バイアス印加フォトルミネッセンス(PL)スペクトルの測定により行われる。バイアス印加PLスペクトルは、素子に外部電圧を加えながら、励起光をNi/Au電極上に照射して、これに応答するPLスペクトルを検出する。PLスペクトルのための励起光源からの励起光としてArSHG(244nm)を用いると共に、測定環境の温度として、室温より低い温度、例えば絶対温度100ケルビン(K)を用いる。バイアス印加PLの測定により、PLスペクトルのバイアス依存性により、ピエゾ分極の向きに関する情報を得ることができる。井戸層のピエゾ分極が正であるときは、図9の(b)部に示されるように、順バイアスを印加するときにPLスペクトルはレッドシフトを示す。井戸層のピエゾ分極が負であるときは、図9の(c)部に示されるように、順バイアスを印加するときにPLスペクトルはブルーシフトを示す。
図10は、バイアス印加PLの測定におけるPLスペクトルのバイアス依存性を示す。図10の(a)部に示されるように、(20−21)面GaN面上に成長された太陽電池構造におけるバイアス印加PLの測定から、印加バイアスの増加に従ってPLスペクトルはブルーシフトを示す。よって、(20−21)面GaN面上の太陽電池構造の量子井戸におけるピエゾ分極は負である。図10の(b)部に示されるように、(20−2−1)面GaN面上に成長された太陽電池構造におけるバイアス印加PLの測定から、印加バイアスの増加に従ってPLスペクトルはレッドシフトを示す。よって、(20−2−1)面GaN面上の太陽電池構造の量子井戸におけるピエゾ分極は正である。
図11は、(20−21)面GaN面上に成長された太陽電池構造及び(20−2−1)面GaN面上に成長された太陽電池構造におけるPL強度の印加バイアス依存性を示す。PL強度は、井戸層からのキャリアの逃げにくさを反映している。測定は、絶対温度100Kで行われる。この温度における測定により、非発光再結合はある程度抑制されている。印加バイアスが小さいか又は負であるとき、(20−21)面GaN面上の太陽電池構造が、(20−2−1)面GaN面上の太陽電池構造に比べて、低いPL強度を示す。これは、(20−2−1)面GaN面上の太陽電池構造に比べて、(20−21)面GaN面上の太陽電池構造においてキャリアが逃げやすいことを示す。井戸層のピエゾ分極が負であることに起因して、井戸層で生成されたキャリアが量子井戸から容易に抜け出していることを示す。この観点において、太陽電池の光電変換層として(20−21)面GaN面上の太陽電池構造は、(20−2−1)面GaN面上の太陽電池構造に比べて優れる。
(実施例2)
実施例1における多重量子井戸構造は、井戸層(In組成0.3及び厚さ3nmのアンドープInGaN)及び母材層(厚さ15nmのアンドープGaN)を備える。実施例2における多重量子井戸構造は、井戸層(In組成0.3及び厚さ3nmのアンドープInGaN)及び母材層(厚さ3nmのアンドープGaN)を備える。
図12は、実施例1及び実施例2の素子構造におけるPL強度のバイアス依存性を示す図面である。実施例2の太陽電池構造におけるPL強度は実施例1の太陽電池構造に比べてさらに低い。実施例2の多重量子井戸構造は、実施例1に比べて、障壁の高さを変えずに障壁の厚さを変更している。これは、実施例2の太陽電池構造が、キャリアの放出に関して容易な多重量子井戸構造を有することを示す。
実施例2の太陽電池構造では、多重量子井戸構造を有する光電変換層(i層)の厚さが薄くなったことにより、pn接合の拡散電位によって光電変換層における電界が強まり量子井戸のバンド曲がりの傾きを大きくできることに起因している。バンド曲がりの傾きを大きくできることに加えて、光電変換層の電界を大きくできるので、量子井戸からのキャリアの取り出しが向上される。太陽電池では、光吸収量を稼ぐために光電変換層の厚みを厚くすることが良いけれども、ピエゾ分極の向きを制御した上で量子井戸で吸収させる本実施例では、光電変換層の厚さを薄くすることに技術的寄与がある。
(実施例3)
量子ドットを成長するために、以下の成長条件を用いる。n−GaN層の半極性面上に、摂氏790度の温度、InGaN(In組成0.3の成膜条件)InGaNを1〜2モノレイヤを成長する時間で、有機Ga原料(例えばTMG)、有機In原料(例えばTMI)及び窒素原料(例えばアンモニア)を成長炉に供給して、所望のモノレイヤを成長する。有機Ga原料供給を止める一方で、有機In原料(例えばTMI)及び窒素原料(例えばアンモニア)を成長炉に供給しながら、成長炉の温度を摂氏840度に上昇させる。この成長中断中に歪みがドライビングフォースとなって量子ドットが自己形成される。この量子ドットを形成した後に、母材層を成長する。母材層は例えばInGaNであることができ、この実施例では、母材層の厚さは20nmである。量子ドットの密度、形状はTMI流量、中断時間、昇温温度、昇温レートなどで制御できる。太陽電池に好適な条件は、十分な光吸収を実現するために、量子ドットの面密度1×1010〜1×1012cm−2、量子ドットの直径20〜80nm、量子ドットの高さ2〜10nmである。量子ドットにおけるピエゾ分極がp型III族窒化物半導体層からn型III族窒化物半導体層への方向に向くとき、本実施例の量子ドットにおいても吸収したキャリアの取り出しを容易にできる。必要な場合には、量子ドットの形成及び母材層の成長を繰り返すことができる。
引き続き、窒化物光−電気変換素子(例えば窒化物半導体太陽電池)を作製する方法を説明する。図13は、窒化物光−電気変換素子(例えば窒化物半導体太陽電池)を作製する方法における主要な工程を示す図面である。この作製方法において理解を容易にするために、可能な場合には図1に合わせた参照符号を用いる。
工程S101では、光吸収のための量子井戸19におけるピエゾ分極の向きを見積もるために、III族窒化物半導体からなる基板主面のための一又は複数の傾斜角を選択する。例えば実施例1では、(20−21)面を選択している。工程S102では、選択された傾斜角を有しIII族窒化物半導体からなる基板主面の基板を準備する。例えば図5の横軸に示された角度範囲のいずれかの角度を選択できる。工程S103では、基板の基板主面上に、量子井戸並びにp型及びn型III族窒化物半導体層を形成して、基板生産物(又はエピタキシャル基板)を準備する。この準備は、例えば実施例1及び実施例3に示されるように、太陽電池11の半導体積層構造を模擬してエピタキシャル積層を形成する。工程S104では、基板生産物のフォトルミネッセンスの測定を基板生産物にバイアスを印加しながら行って、基板生産物のフォトルミネッセンスのバイアス依存性を得る。例えば図9に示されるような測定系を用いてPLスペクトルを測定できる。工程S105では、測定されたバイアス依存性から、基板主面の選択された傾斜角の各々において量子井戸におけるピエゾ分極の向きの見積もりを行う。例えば図10に示されるPLスペクトルのバイアス依存性から、ピエゾ分極の向きの見積もりが可能である。工程S106では、ピエゾ分極の向きの見積もりに基づき、窒化物半導体太陽電池11の作製のための成長基板31の面方位を選択する。面方位の選択については、例えば基板主面31aに対応する傾斜角及び基板主面の裏面に対応する傾斜角のいずれかの使用を見積りに基づき判断するようにしてもよい。また、図5の横軸に示された角度範囲のいずれかの角度を選択できる。工程S107では、窒化物半導体太陽電池11のための半導体積層35を成長基板31の主面31a上に形成する。この成長は、例えば実施例1、実施例2及び実施例3のように行われることができる。この後の工程において、半導体積層35上に電極39、41を形成すると共に成長基板31の裏面31bに電極37を形成する。これら一連の工程により、窒化物半導体太陽電池11のアレイを含む太陽電池基板生産物が完成される。続く工程では、太陽電池基板生産物を個々の半導体素子に分離することができる。
この方法において、見積もり用基板の主面及び成長基板の主面はIII族窒化物半導体(例えばGaN)からなる。好適には、見積もり用基板及び成長基板はIII族窒化物半導体基板からなる。面方位を規定する傾斜角は、例えば基板主面とIII族窒化物半導体の(0001)面との成す角度によって規定されることができ、或いは例えば基板主面31aの法線軸NVとc軸Cxとの成す角度によって規定されることができる。半導体積層35は、実施例や実施形態に開示されるように、第1III族窒化物半導体領域13、量子井戸19を含むIII族窒化物半導体層15及び第2III族窒化物半導体領域17を備え、また更にInGaN層33を備えることができる。ここで、III族窒化物半導体層15は、第1III族窒化物半導体領域13と第2III族窒化物半導体領域17との間に設けられる。量子井戸19、27a及び母材層(又は障壁層)27bの各々はIII族窒化物半導体のc軸Cxに延びる基準軸に直交する面から傾斜した基準平面Scに沿って延びている。量子井戸19は歪みを内包し、例えば量子井戸19がGaN上に設けられたInGaN及びInNの少なくともいずれかを備えるとき、量子井戸19は主面の面内方向に圧縮歪みを内包する。第1III族窒化物半導体領域13は一又は複数のn型III族窒化物半導体層を含むことができ、第2III族窒化物半導体領域17は一又は複数のp型III族窒化物半導体層を含むことができる。量子井戸は量子井戸構造及び量子ドット構造の少なくともいずれかを含むことができる。
この作製方法によれば、基板生産物のフォトルミネッセンスの測定を基板生産物にバイアスを印加しながら行うので、基板生産物のフォトルミネッセンスのバイアス依存性を得ることができる。フォトルミネッセンスのバイアス依存性は、ピエゾ分極の向きに関する情報を含む。ピエゾ分極の向きの見積りに基づき、基板主面に対応する傾斜角及び基板主面の裏面に対応する傾斜角のいずれかの使用を判断できる。この後に、半導体素子の作製のための成長基板31の面方位を選択する。この成長基板31の主面上31aに太陽電池11のための半導体積層35を形成するので、太陽電池11の作製において、光吸収領域におけるピエゾ分極の向きを適切な方向に選択可能になる。
この作製方法は、ピエゾ分極の向きの見積もりから、ピエゾ分極の正負の符号に応じて複数の傾斜角を含む角度範囲の区分けを行う工程を備えることができる。好適な実施例では、作製方法における判断は、量子井戸におけるピエゾ分極がp型III族窒化物半導体層からn型III族窒化物半導体層への方向に向むように行われることができる。
この作製方法では、傾斜角の見積もりと共に、障壁層の厚さ、InGaN層33の厚さの少なくともいずれかを変更して、PLスペクトルから、傾斜角の見積もり結果に加えて障壁層の厚さ及び/又はInGaN層33の厚さに関する評価結果を得ることができる。InGaN層33の厚さに関しては、ミスフィット転位密度は例えばカソードルミネッセンスや透過電子顕微鏡によって測定される。また、この作製方法では、傾斜角の見積もりと共に、PLスペクトルから、量子ドットの成長条件、InGaN層33の厚さの少なくともいずれかを変更して、傾斜角の見積もり結果に加えて量子ドットの特性及び/又はInGaN層33の厚さに関する評価結果を得ることができる。更には、傾斜角の見積もりに替えて、PLスペクトルから、障壁層の厚さ、及びInGaN層33の厚さの少なくともいずれかを変更して、障壁層の厚さ及び/又はInGaN層33の厚さに関する評価結果を得ることができる。また、この作製方法では、傾斜角の見積もりに替えて、PLスペクトルから、量子ドットの成長条件、InGaN層33の厚さの少なくともいずれかを変更して、傾斜角の見積もり結果に加えて量子ドットの特性及び/又はInGaN層33の厚さに関する評価結果を得ることができる。したがって、PLスペクトルを利用して、量子井戸からキャリアを効率的に取り出す構造を得ることができる。
図14の(a)部は、pin型のバルク光電変換層を有する太陽電池のバンド構造を示す図面である。pin型の太陽電池では、外部からの光がバルクi層で吸収されて、電子・正孔対が生成される。電子がn側半導体へ、正孔がp側半導体へ移動することで電流が流れる。図14の(b)部は、量子井戸の光電変換層を示す図面である。III族窒化物太陽電池では、高In組成のInGaN厚膜をGaN下地層上に成長することは、InGaNとGaNとの大きな格子不整合に起因して困難である。このため、III族窒化物太陽電池では、高In組成のInGaN薄膜を含む量子井戸構造を作製する。この量子井戸では、光吸収によって生じた電子と正孔を障壁層の個々の伝導バンド(伝導帯及び価電子帯)まで取り出して光電流を取り出す。光電流を効率良く取り出せないときには、ある量子井戸内で生成された電子・正孔が、同一又は他の量子井戸内で再結合して、光又は熱に変換されてしまう(光の場合は発光再結合、熱の場合は非発光再結合)。以上説明した本実施の形態では、III族窒化物太陽電池におけるキャリア取り出しを容易にできる。
また、III族窒化物太陽電池では、例えばInGaNのバンドギャップでは、そのIn組成(0〜1)に応じて3.4エレクトロンボルト(eV)のGaNから0.7エレクトロンボルト(eV)のInNまで制御可能である。これは、図15に示されるように、波長換算で365nm〜1771nmに対応する。光の吸収はバンドギャップエネルギー以上(つまり、バンドギャップ波長以下)の光に対して生じる。GaN系半導体を受光層として太陽光を対象にすると、In組成の高いInGaN及び/又はInNとすることで高い効率が得られることが分かる。
本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。
以上説明したように、本実施の形態によれば、量子井戸からの電子及び正孔の取り出しを改善できる窒化物半導体太陽電池が提供される。また、本実施の形態によれば、この窒化物半導体太陽電池を作製する方法が提供される。さらに、本実施の形態によれば、量子井戸からの電子及び正孔の取り出しを改善できる窒化物光−電気変換素子が提供される。
11…窒化物半導体太陽電池、13…n型III族窒化物半導体層、15…III族窒化物半導体層、17…p型III族窒化物半導体層、13a…半極性面、19…量子井戸、21…量子井戸構造、23…量子ドット構造、27a…井戸層、27b…障壁層、31…基板、33…InGaN層、35…半導体積層、37…裏面電極、39…光透過性電極、41…パッド電極、L…入射光、PPZ…ピエゾ分極。

Claims (21)

  1. 窒化物半導体太陽電池であって、
    III族窒化物半導体からなる半極性面を有するn型III族窒化物半導体層と、
    III族窒化物半導体からなる半極性面を有するp型III族窒化物半導体層と、
    量子井戸を含むIII族窒化物半導体層と、
    を備え、
    前記III族窒化物半導体層は前記n型III族窒化物半導体層の前記半極性面と前記p型III族窒化物半導体層の前記半極性面との間に設けられて、前記量子井戸におけるピエゾ分極は、前記p型III族窒化物半導体層から前記n型III族窒化物半導体層への方向に向き、
    前記量子井戸は量子井戸構造及び量子ドット構造の少なくともいずれかを備える、窒化物半導体太陽電池。
  2. 前記III族窒化物半導体層は200nm以下の厚さを有する、請求項1に記載された窒化物半導体太陽電池。
  3. 前記n型III族窒化物半導体層のIII族窒化物のc軸は前記n型III族窒化物半導体層の前記半極性面の法線軸に対して傾斜を成しており、
    前記傾斜の角度は、50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲にあり、
    前記n型III族窒化物半導体層、前記III族窒化物半導体層及び前記p型III族窒化物半導体層は、半極性GaN下地面上に設けられており、
    前記n型III族窒化物半導体層、前記III族窒化物半導体層及び前記p型III族窒化物半導体層は、前記半極性GaN下地面上に順に配列されており、
    前記n型III族窒化物半導体層は窒化ガリウム系半導体からなる、請求項1又は請求項2に記載された窒化物半導体太陽電池。
  4. 前記量子井戸は、III族構成元素としてインジウムを含むIII族窒化物からなり、
    前記量子井戸の前記III族窒化物のバンドギャップエネルギーは、前記n型III族窒化物半導体層のIII族窒化物のバンドギャップエネルギーより小さく、
    前記量子井戸の前記III族窒化物のバンドギャップエネルギーは、前記p型III族窒化物半導体層のIII族窒化物のバンドギャップエネルギーより小さい、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された窒化物半導体太陽電池。
  5. III族窒化物からなる主面を有する基板を更に備え、
    前記基板の前記III族窒化物はGaN及びInGaNのいずれかからなり、
    前記量子井戸は圧縮歪みを内包し、
    前記n型III族窒化物半導体層、前記III族窒化物半導体層、及び前記p型III族窒化物半導体層は、前記基板の前記主面上に搭載されており、
    前記n型III族窒化物半導体層、前記III族窒化物半導体層、及び前記p型III族窒化物半導体層は、前記基板の前記主面の法線軸の方向に配列されている、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された窒化物半導体太陽電池。
  6. 前記基板の前記III族窒化物のc軸は前記基板の前記主面の前記法線軸に対して傾斜を成しており、
    前記傾斜の角度は、50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲にある、請求項5に記載された窒化物半導体太陽電池。
  7. 前記基板はInGaN基板を含む、請求項5又は請求項6に記載された窒化物半導体太陽電池。
  8. 前記基板はGaN基板を含む、請求項5又は請求項6に記載された窒化物半導体太陽電池。
  9. 前記傾斜の角度は、63度以上80度以下の角度範囲にある、請求項3又は請求項6に記載された窒化物半導体太陽電池。
  10. 前記量子井戸は量子井戸構造によって提供され、
    前記量子井戸は井戸層を含み、該井戸層はInGaNを備え、
    前記井戸層は第1障壁層と第2障壁層との間に設けられる、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載された窒化物半導体太陽電池。
  11. 前記第1障壁層は、0.05以上0.4以下のIn組成を有するInGaNを備える、請求項10に記載された窒化物半導体太陽電池。
  12. 前記量子井戸は量子ドットを含み、該量子ドットはInGaN又はInNを備える、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載された窒化物半導体太陽電池。
  13. 前記III族窒化物半導体層は、前記量子井戸に接触を成す0.05以上0.4以下のIn組成を有するInGaNを含む、請求項12に記載された窒化物半導体太陽電池。
  14. 前記n型III族窒化物半導体層と前記III族窒化物半導体層との間に設けられたn型InGaN層を更に備え、
    前記n型InGaN層は、前記n型III族窒化物半導体層と前記n型InGaN層との界面にミスフィット転位を含む、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載された窒化物半導体太陽電池。
  15. 前記ミスフィット転位の密度が5×10cm−1以上である、請求項14に記載された窒化物半導体太陽電池。
  16. 前記ミスフィット転位の密度が5×10cm−1以下である、請求項14又は請求項15に記載された窒化物半導体太陽電池。
  17. 窒化物光−電気変換素子であって、
    III族窒化物半導体からなる半極性面を有するn型III族窒化物半導体層と、
    前記半極性面上に設けられたIII族窒化物半導体層と、
    前記半極性面上に設けられたp型III族窒化物半導体層と、
    を備え、
    前記III族窒化物半導体層は量子井戸を含み、前記量子井戸は量子井戸構造及び量子ドット構造のいずれかによって提供され、
    前記III族窒化物半導体層は前記n型III族窒化物半導体層と前記p型III族窒化物半導体層との間に設けられて、前記量子井戸におけるピエゾ分極は、前記p型III族窒化物半導体層から前記n型III族窒化物半導体層への方向に向く、窒化物光−電気変換素子。
  18. 窒化物半導体太陽電池を作製する方法であって、
    光吸収のための量子井戸におけるピエゾ分極の向きを見積もるために、III族窒化物半導体からなる基板主面のための一又は複数の傾斜角を選択する工程と、
    前記選択された傾斜角を有しIII族窒化物半導体からなる基板主面の基板を準備する工程と、
    前記基板の前記基板主面上に、n型III族窒化物半導体層、量子井戸及びp型III族窒化物半導体層を形成して、基板生産物を準備する工程と、
    前記基板生産物のフォトルミネッセンスの測定を前記基板生産物にバイアスを印加しながら行って、前記基板生産物のフォトルミネッセンスのバイアス依存性を得る工程と、
    前記測定されたバイアス依存性から、前記基板主面の前記選択された傾斜角の各々において前記量子井戸におけるピエゾ分極の向きの見積もりを行う工程と、
    前記見積もりに基づき判断して、前記窒化物半導体太陽電池の作製のための成長基板の面方位を選択する工程と、
    前記窒化物半導体太陽電池のための半導体積層を前記成長基板の主面上に形成する工程と、
    を備え、
    前記成長基板の前記主面は前記III族窒化物半導体からなる、窒化物半導体太陽電池を作製する方法。
  19. 前記量子井戸は量子井戸構造及び量子ドット構造の少なくともいずれかを含む、請求項18に記載された窒化物半導体太陽電池を作製する方法。
  20. 前記ピエゾ分極の向きの見積もりから、前記ピエゾ分極の正負の符号に応じて前記複数の傾斜角を含む角度範囲の区分けを行う工程を更に備え、
    前記判断は、前記区分けに基づき行われる、請求項18又は請求項19に記載された窒化物半導体太陽電池を作製する方法。
  21. 前記判断は、前記量子井戸におけるピエゾ分極が前記p型III族窒化物半導体層から前記n型III族窒化物半導体層への方向に向むように行われる、請求項18〜請求項20のいずれか一項に記載された窒化物半導体太陽電池を作製する方法。
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