JP6708232B2 - 磁気抵抗効果素子とその製造方法、及び磁気センサ - Google Patents

磁気抵抗効果素子とその製造方法、及び磁気センサ Download PDF

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本発明は磁気抵抗効果素子とその製造方法、及び磁気センサに関し、特に磁気抵抗効果素子のバリア層の構成に関する。
磁気抵抗効果素子を備える磁気センサにおいて、磁気抵抗効果素子はCIP(Current-In-Plane)−GMR(Gigantic Magneto Resistive)素子、AMR(Anisotropic Magneto Resistive)素子などから形成される。特許文献1〜3には、より高いMR比が得られるTMR(Tunnel Magneto Resistance)素子を用いた磁気抵抗効果素子が開示されている。一般に、TMR素子を用いた磁気抵抗効果素子は、外部磁界に対して磁化方向が変化する磁化自由層と、外部磁界に対して磁化方向が固定された磁化固定層と、磁化自由層と磁化固定層との間に位置し、磁気抵抗効果を奏するバリア層と、を含む多層膜で構成されている。バリア層は金属酸化物で形成され、特に100%を超える高いMR比が得られるMgOで形成されることが多い。
特許第5294043号明細書 特許第5586028号明細書 特許第5988019号明細書
磁気センサにおいては、一般に電気抵抗を所望の範囲に収めることが求められる。TMR素子を用いた磁気センサでは、回路の電気抵抗値がほぼTMR素子のトンネル抵抗で決定されるため、製造工程において、TMR素子のトンネル抵抗値を精度よく管理することが重要である。MgOからなるバリア層はMg膜をスパッタリングなどで成膜した後、Mg膜を酸化させることによって形成されることがある。しかし、Mg膜を酸化させる際にMg膜の表面に不動態が形成されやすく、Mg膜の内部に酸化不足のMgが残存しやすい。
TMR素子の電気抵抗はバリア層の膜厚、バリア層のトンネル障壁高さなどを変数とする指数関数で近似することができる。トンネル障壁高さは材料に依存する変数であり、例えば、バリア層内における酸化不足のMgの残存度合によって大きく変化する。従って、製造プロセスのばらつきによってトンネル障壁高さが変動し、その結果、トンネル障壁高さの指数関数で近似されるTMR素子の電気抵抗も大きく変動することとなる。一般的にTMR素子はウエハプロセスによって作成されるため、Mg膜の酸化状態のばらつきはTMR素子の電気抵抗のウエハ間のばらつきにつながる。このことは磁気センサの歩留まりや品質管理上大きな問題となる。
本発明は、高いMR比を確保しつつ、バリア層の電気抵抗のばらつきが軽減された磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。
本発明の磁気抵抗効果素子は、外部磁界に対して磁化方向が変化する磁化自由層と、外部磁界に対して磁化方向が固定された磁化固定層と、磁化自由層と磁化固定層との間に位置し、磁気抵抗効果を奏するバリア層と、を有している。バリア層はMgとAlとからなりAlの原子分率が40%以上、60%以下である合金の酸化物であり、結晶質領域と非晶質領域とを含む。
MgとAlを含む合金膜を酸化する場合、Mg膜を酸化する場合と比べて膜の内部での酸化が促進されやすい。従って、酸化の再現性が高くウエハ間のばらつきを低減することができる。このようなバリア層は結晶質領域と非晶質領域とを含んでいる。従って、本発明によれば、高いMR比を確保しつつ、バリア層の電気抵抗のばらつきが軽減された磁気抵抗効果素子を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子の概略斜視図である。 バリア層の内部の酸化状態を示す模式図である。 実施例のMTJの製造プロセスを示す概念図である。 酸素暴露量とRAの関係を示すグラフである。 規準化RAと規準化MR比との関係を示すグラフである。 酸素暴露量と規準化MR比との関係を示すグラフである。 Alの原子分率とRA及びMR比との関係を示すグラフである。 Alの原子分率と結晶化領域の体積比との関係を示すグラフである。 結晶化領域の体積比とRA及びMR比との関係を示すグラフである。 Z軸磁気センサの構成を示す概略斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の磁気抵抗効果素の実施形態について説明する。以下の説明において、X方向は磁気抵抗効果素子が磁界を検出する感磁方向である。Y方向はX方向と直交する方向であり、X及びY方向は磁気抵抗効果素子の設置面と平行である。Z方向はX方向及びY方向と直交する方向であり、磁気抵抗効果素子を構成する複数の膜が積層される方向に一致している。
図1は磁気抵抗効果素子の概略構成を示す断面図である。磁気抵抗効果素子1は、磁気トンネル接合部(MTJ(Magnetic Tunnel Junction)2)と、Z方向にMTJ2を挟む一対のリード電極3,4と、を有している。MTJ2は、磁化自由層24と、磁化固定層22と、磁化自由層24と磁化固定層22とに挟まれ、磁気抵抗効果を有するバリア層23と、を有する。従って、本実施形態の磁気抵抗効果素子1はTMR素子である。磁化自由層24はCoFeなどの軟磁性体で形成され、外部磁界に対する磁化方向がX方向とY方向を含む平面内で変化する。本実施形態では、磁化自由層24はCoFeからなる第1の磁化自由層24aと、CoFeBからなる第2の磁化自由層24bとよりなっている。磁化自由層24はY方向の長さがX方向の長さより十分に長く、外部磁界がないときまたは外部磁界が弱いときは、形状異方性によって磁化方向がY方向に向けられている。磁化方向をY方向に向けるため、磁化自由層24のY方向両側に硬磁性体からなるバイアス層を設けてもよい。磁化固定層22の磁化方向は外部磁界に対し固定されている。
磁化固定層22は第1の磁化固定層22aと、非磁性中間層22bと、第2の磁化固定層22cと薄いCoFe層22dとがこの順番に積層されたものである。CoFe層22dを設けることによって、第2の磁化固定層22cとバリア層23を直接接合させた場合に対してMR比を高めることができる。CoFe層22dは省略することもできる。第1の磁化固定層22aと第2の磁化固定層22cはCoFeなどの軟磁性体で形成され、非磁性中間層22bはRu、RhまたはIr、あるいはそれらの合金で形成されている。第1の磁化固定層22aと第2の磁化固定層22cは非磁性中間層22bを介して反強磁性結合をする。第1の磁化固定層22aの下に、IrMnなどからなり、第1の磁化固定層22aと交換結合をする反強磁性層21が設けられている。磁化自由層24はTaなどで形成された保護層25で覆われている。CoFe層22dを介してバリア層23と隣接している第2の磁化固定層22cと、第2の磁化自由層24bの少なくともいずれかは、CoとFeを含み、さらにSi,B,N,Pのいずれかを含んでいてもよい。(Si,B,N,Pのいずれかを加えることでMR比をさらに高めることができる。また、第2の磁化固定層22cと第2の磁化自由層24bは製造工程中のアニールによって結晶化される。この際、第2の磁化固定層22cのうち、少なくともCoFe層22dとの境界部分が、CoFe層22dの原子配列との連続的な周期性をもった原子配列で結晶化していることが望ましい。また、第2の磁化自由層24bと第1の磁化自由層24aとの境界部分も同様の態様で結晶化されていることが望ましい。また、CoFe層22dとバリア層23との境界部分及び、第1の磁化自由層24aとバリア層23との境界部分が結晶化されていることが望ましい。これらによって、MR比を高めることができる。
リード電極3,4はMTJ2にセンス電流を供給する。センス電流に対するMTJ2の電気抵抗は磁化自由層24と磁化固定層22の磁化方向が互いに反平行のときに最大となり、MTJ2を流れる電流は最小となる。一方、磁化自由層24と磁化固定層22の磁化方向が平行のときはMTJ2の電気抵抗は最小となり、MTJ2を流れる電流は最大となる。従って、MTJ2の電気抵抗の変化(電圧の変化)から外部磁界の大きさと向きを検知することができる。
バリア層23はMgとAlを含む合金の酸化物である。合金はMgとAlとからなるが、Mgの代わりに/またはMgに加えて、Zn及び/またはTiを含んでいてもよい。これによって、酸化工程中のMgの不動態形成(後述)を抑制するとともに、バリア層23の多晶質構造(後述)の形成を促進することができる。
これに対し、従来のバリア層23は例えば、高いMR比を得ることのできるMgOで形成されている。ここで、MgOからなるバリア層23の課題について説明する。MgOのバリア層23は、スパッタリングで成膜されたMg膜を酸化する方法、またはMgOを直接スパッタリングで成膜する方法で形成することができる。前者の方法は、MgOを直接スパッタリングする方法に対して、耐電圧信頼性の高いTMR膜を作製できるという特長がある。
前者の方法を採用する場合、成膜されたMg膜が内部まで酸化されることが重要である。すなわち、トンネル効果は絶縁体であるMgOのトンネル障壁効果によって得られるため、酸化不足により多量の酸素欠陥を含む酸化マグネシウムがバリア層23中に残存すると、所望のトンネル効果が得られなくなる。しかし、Mg膜は酸化されたときに表面に不動態が形成され、内部の酸化が進行しにくいという性質がある。ここで、TMR素子の素子電気抵抗はほぼバリア層23のトンネル抵抗で決まり、具体的には、
R∝exp(γtΦ)
の関係がある。ここで、RはTMR素子の素子抵抗、γは定数、tはバリア層23の膜厚、Φはトンネル障壁高さで、材料に依存する。このように、TMR素子の電気抵抗は、バリア層23の膜厚とバリア層23のトンネル障壁高さ(すなわち、バリア層23の材料)に指数関数的に依存する。電気抵抗Rは酸化のプロセス条件を変えることで変化する。なぜなら、酸化のプロセス条件によってバリア層23の組成が変化するため、バリア層23の実質的なトンネル障壁高さΦが変わるからである。Φの変化に対して電気抵抗Rが指数関数的に変化する性質はTMR素子に特有のものであり、このことはTMR素子の電気抵抗のばらつきの一因となっている。酸化プロセスはウエハ単位で行われるため、わずかなプロセス条件のばらつきがTMR素子の電気抵抗のウエハ単位のばらつきとして現れる。これに対し、CIP−GMR素子やAMR素子は金属膜のみから形成されるため、電気抵抗はおおよそ素子断面積に反比例し、素子長さに比例する。従って、これらの素子では電気抵抗やMR比のばらつきがほぼ成膜レートのばらつきのみに依存するため、生産上の特性ばらつきがTMR素子に比べて小さい。
図2はバリア層23の内部の酸化のしやすさを示す模式図である。Mg膜もMgAl膜も膜の表面は完全に酸化されるが、Mg膜は内部の酸化が進行しにくい。図示は省略するが、Al膜もMg膜と同様の傾向を示す。すなわち、バリア層23をAlで形成する場合も同様の課題がある。これに対し、MgAl膜は酸素雰囲気中で不動態の形成が抑制され、膜の内部の酸化が促進されやすい。本実施形態では、MgAl膜を用いているため、バリア層23の酸化の程度を膜厚方向に制御することが容易であり、電気抵抗のばらつきを低減することが可能である。
次にいくつかの実施例について述べる。各実施例においては、図3に示す方法でMTJ2を作成した。具体的には、図3(a)に示すように、基板のウエハ31上に、下部リード3を模擬する多結晶電極膜32と、磁化自由層24となるべき金属層であるCoFeB層33及びCoFe層34と、Mg膜35と、MgAl膜36(合金層)と、を順に形成した。CoFeB層33は実施形態の第2の磁化自由層24bに対応し、CoFe層34は第1の磁化自由層24aに対応する。CoFeB層33はこの段階では非晶質である。MgAl膜36はアルゴンガス等の不活性ガスをMgのターゲットとAlのターゲットに同時に衝突させることによって形成する。CoFe層34とMgAl膜36の間に膜厚0.4〜1nm程度のMg膜35を形成することで、MR比が高められる。次に、図3(b)に示すように、ウエハを酸化チャンバに収容し酸化工程を行う。これによってMgAl膜36が酸化され、MgAlOからなるバリア層361が形成される。次に、図3(c)に示すように、CoFe層37と、CoFeB層38と、Ru層39と、CoFe層40と、IrMnからなる反強磁性層41と、をバリア層361の上に形成する。最後にRuとTaからなる保護層42を形成する。CoFe層37と、CoFeB層38と、Ru層39と、CoFe層40はそれぞれ、CoFe層22dと、第2の磁化固定層22cと、非磁性中間層22bと、第1の磁化固定層22aに対応し、反強磁性層41は反強磁性層21に対応する。CoFeB層38とはこの段階では非晶質である。次に、磁界を印加しながらアニールを行う。アニールの温度は反強磁性層41のブロッキング温度以上で、かつ300℃以下とした。これによって、CoFe40の磁化方向が反強磁性層41で固定されるとともに、CoFe層37及びCoFeB層38とCoFe層40とがRu層39介して反強磁性結合する。CoFe層37及びCoFeB層38の磁化方向はCoFe40の磁化方向と反平行の向きに固定される。また、アニールの際にCoFeB層33が結晶質に変化し、CoFeB層33がCoFe層37と連続的な原子配置をとる結晶質となることによって、磁化自由層24と磁化固定層22が形成される。比較例のMTJ2の製造プロセスは、バリア層361の製造プロセスを除き実施例と同様とした。実施例のMgAl膜36あるいは比較例のMg膜の上下の磁性層(CoFeB層33,38)の組成(原子分率)はCo17Fe5924とした。また、反強磁性層41の組成(原子分率)はIr23Mn77とした。なお、実施例では磁化自由層24が基板側に形成されるが、図1に示すように磁化固定層22を基板側に形成することもできる。すなわち、磁化固定層22と磁化自由層24はバリア層23をZ方向両側から挟むように配置されていればよく、バリア層23のどちら側に設けられてもよい。
(実施例1)
酸素暴露量をパラメータとして複数のMTJを作成し、酸素曝露量とRAの関係を求めた。RAはMTJの電気抵抗Rとセンス電流が通る断面の素子断面積Aの積であり、磁気抵抗効果素子の特性を表す指標の一つである。RAの目安値は、磁気センサなどの磁気抵抗効果素子が組み込まれる製品によって設定されており、一般にRAは製品ごとに一定の範囲に収めることが要求されている。従って、磁気抵抗効果素子には酸素暴露量に対するRAの変動ないし敏感性が小さいことが要求される。
図4に、実施例及び比較例における酸素暴露量とRAの関係を示す。酸素暴露量は酸化チャンバ内の酸化圧力(Pa)×暴露時間(sec)として定義される。RAをy、酸素曝露量をxとして、yとxの関係をy=α×Ln(x)+βで近似した。傾きαは酸素曝露量に対するRAの敏感性を示す指標であり、αが大きいほど酸素暴露量に対するRAの敏感性が大きいこと、すなわち素子電気抵抗のばらつきが増加しやすいことを意味する。βは定数である。αはRAの絶対値に依存するため、図3に示す4つの領域D1〜D4で評価を行った。MgOに対するαをαMgO、MgAlOに対するαをαMgAlOとしたときの各領域の値を表1に示す。また、各領域D1〜D4におけるαMgAlO/αMgOを表2に示す。いずれの領域でもαMgAlO/αMgOは21%以下であった。すなわち、RAが1×10〜1×10のオーダーの広い領域で、MgAlOは酸化条件の変化に対する敏感性が小さかった。
Figure 0006708232
Figure 0006708232
(実施例2)
図5は規準化RAと規準化MR比の関係を示す。図5では、比較例(バリア層361がMgO)のRAとMR比をそれぞれ1として実施例(バリア層361がMgAlO)のRAとMR比を規準化している。実施例のRAと比較例のRAは同程度である。実施例のMR比は比較例のMR比の85%程度であった。バリア層がMgOであるTMR素子のMR比が典型的には150〜200%、バリア層がAlであるTMR素子のMR比が高々80%であることを踏まえると、バリア層がMgAlOである実施例のTMR素子は、MR比の観点からは、バリア層がMgOである従来のTMR素子に代替可能なMR特性を有していることが分かった。
図6は酸素暴露量と規準化MR比の関係を示す図であり、MR比が最大値の98.5%以上となる暴露量の範囲αを併せて示している。αMgOは比較例の範囲αを、αMgAlOは実施例の範囲αを示している。αMgAlO=720000(Pa・sec)、αMgO=30000(Pa・sec)であり、αMgAlOはαMgOより20倍以上大きい。これは酸素暴露量の変動に対するMR比の変化が実施例のほうがはるかに小さいことを示している。すなわち、実施例ではMR比のウエハ間のばらつきが小さいことがわかる。
(実施例3)
MgAl膜36におけるMgとAlの割合(原子分率)の好適な範囲を検討した。具体的には、MgAl膜36の膜厚を1.5nmとし、Alの原子分率を変えて複数のMTJを作成した。すべてのケースで酸化条件は同一とした。図7はAlの原子分率とRAの関係、及びAlの原子分率とMR比の関係を示す。Alの原子分率が78%at以上の領域でMR比が大幅に低下する傾向がみられる。従って、MR比の観点からは、Alの原子分率は75%at以下とすることが好ましい。RAはAlの原子分率が20%at程度及び78%at程度で最大値の20〜30%程度まで減少する。これらの領域ではバリア層361内に多くの酸化不足領域未酸化領域が存在していると考えられる。それらの存在はMR比だけでなく、耐電圧性などの信頼性の観点からも不利である。RA(すなわち、未酸化領域の存在)の観点からは、Alの原子分率は30%at以上、75%at以下とすることが好ましく、40%at以上、60%at以下とすることがさらに好ましい。
(各実施例におけるバリア層361の組成)
アニール後はMg元素とAl元素とO元素がバリア層361内で均一に拡散していた。また、バリア層361は多晶質であった。多晶質とは、結晶層と非晶質層とが混在し、結晶層が多結晶である材料の状態のことである。このMgAlOバリア層は、MgOバリア層(結晶質)やAlOバリア層(非晶質)とは異なる固相の状態であることが分かった。すなわち、実施例のMgAlOバリア層は、一部領域が結晶質酸化物となり一部領域が非晶質酸化物となって、深さ方向に緻密に酸化された状態となっていた。結晶化している領域も、下地磁性層(CoFeB層33)の配向面に応じて積層面が異なる様子が観測された。下地磁性層には、積層方向にbcc(001)面を向いたドメイン、歪んだbcc構造の(112)面が15°程度の傾きでバリア層361と接するドメイン等、複数の領域が確認された。
(実施例4)
まず、実施例3のMTJのTEM分析を行った。Alの原子分率が65%の場合、バリア層361全体の体積の約80%が結晶化領域であった。Alの原子分率が35%の場合、バリア層361全体の体積の約90%が結晶化領域であった。図8はAlの原子分率と結晶化領域の体積比の関係を示す。これより、非晶質層の割合はMgとAlの組成(原子分率)に依存することが分かる。
次に、Alの原子分率を変えて結晶化領域の体積比が異なるいくつかのMTJを作成し、結晶化領域の体積比とMR比との関係、及び結晶化領域の体積比とRAとの関係を求めた。図9に結果を示す。結晶化領域の体積比が75%を下回るとMR比が急激に低下する。また、結晶化領域の体積比の大きい領域と小さい領域ではRAの低下が著しく、これらの中間で高いRAが得られた。これは前述のとおり、結晶化領域の体積比の大きい領域と小さい領域では、バリア層361内に未酸化領域が存在していることを示唆している。これより、バリア層361における結晶質領域の体積比は75%以上、90%以下であることが好ましい。
次に、以上説明した磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサの一例について説明する。本発明の磁気抵抗効果素子は磁界を検出するあらゆる磁気センサに適用することができる。このような磁気センサには、地磁気等の純粋な磁界検出用のセンサのほか、電流線を流れる電流によって誘起された磁界を検出することで電流を測定する電流センサなども含まれる。図10は磁気抵抗効果素子の多層膜と垂直な方向の磁化を検出するいわゆるZ軸センサ10の例であるが、本発明がこれに限定されるわけではない。磁気センサ10は、基板6と、基板6上にX方向に配列された第1〜第4の磁気抵抗効果素子1a〜1dと、を有している。第1〜第4の磁気抵抗効果素子1a〜1dは、X方向とY方向とを含む面に配置され、X方向の磁界を検出する。第1〜第4の磁気抵抗効果素子1a〜1dはX方向よりY方向に長い略長方形の平面形状を有している。第1〜第4の磁気抵抗効果素子1a〜1dはブリッジ回路(図示せず)で相互に接続されており、これによって、磁気センサ10は外部磁界を測定することができる。
第1の磁気抵抗効果素子1aと第2の磁気抵抗効果素子1bとの間には軟磁性体からなる第1のヨーク5aが、第3の磁気抵抗効果素子1cと第4の磁気抵抗効果素子1dとの間には軟磁性体からなる第2のヨーク5bが配置されている。第1及び第2のヨーク5a,5bはNiFeなどで形成されている。第1のヨーク5aはX方向において第1及び第2の磁気抵抗効果素子1a,1bに隣接し、第2のヨーク5bはX方向において第3及び第4の磁気抵抗効果素子1c,1dに隣接している。第1及び第2のヨーク5a,5bは、これらのヨーク5a,5bに吸収された第3の方向Zの磁束を磁気抵抗効果素子1a〜1dの感磁方向、すなわちX方向に誘導する。磁気センサ10に第3の方向Zから外部磁界が印加されると、磁束は第1及び第2のヨーク5a,5bに吸収され(図に太い矢印で示す)、X方向に曲げられる。第1及び第2の磁気抵抗効果素子1a,1bには第1のヨーク5aを通過してX方向の成分が増加した磁界が印加され、第3及び第4の磁気抵抗効果素子1c,1dには第2のヨーク5bを通過してX方向の成分が増加した磁界が印加される。このため、磁気センサ10は第1及び第2のヨーク5a,5bがない場合と比べてより効率的にZ方向の磁界成分を検出することができる。
1 磁気センサ
2 磁気抵抗効果素子
22 磁化固定層
23,351 バリア層
24 磁化自由層

Claims (7)

  1. 外部磁界に対して磁化方向が変化する磁化自由層と、外部磁界に対して磁化方向が固定された磁化固定層と、前記磁化自由層と前記磁化固定層との間に位置し、磁気抵抗効果を奏するバリア層と、を有し、
    前記バリア層はMgとAlとからなりAlの原子分率が40%以上、60%以下である合金の酸化物であり、結晶質領域と非晶質領域とを含む、磁気抵抗効果素子。
  2. 前記バリア層における前記結晶質領域の体積比は75%以上、90%以下である、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記磁化自由層と前記磁化固定層はCoとFeを含み、さらにSi,B,N,Pの少なくとも一つを含む、請求項1または2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記磁化固定層と前記バリア層との間にCoFe層が設けられ、前記磁化固定層の前記CoFe層との境界部分と、前記磁化自由層の前記バリア層との境界部分の少なくともいずれかは結晶質である、請求項1からのいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子を有する磁気センサ。
  6. 外部磁界に対して磁化方向が変化する磁化自由層と、外部磁界に対して磁化方向が固定された磁化固定層となるべき金属層のいずれか一方の層を形成することと、
    前記一方の層の上にMgとAlとからなりAlの原子分率が40%以上、60%以下である合金膜を形成することと、
    前記合金膜を酸化して、磁気抵抗効果を奏し、結晶質領域と非晶質領域とを含むバリア層を形成することと、
    前記バリア層の上に前記磁化自由層と前記金属層のいずれか他方の層を形成することと、
    前記金属層の磁化方向を固定し、前記磁化固定層を形成することと、
    を有する、磁気抵抗効果素子の製造方法。
  7. 前記金属層と前記バリア層との間にCoFe層が設けられ、前記磁化自由層と前記金属層は非晶質であり、アニールによって、前記磁化自由層の少なくとも前記バリア層との境界部分と、前記金属層の少なくとも前記CoFe層との境界部分が結晶化される、請求項に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
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